(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】船舶バラスト水の処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20240903BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20240903BHJP
B63B 13/00 20060101ALI20240903BHJP
C25B 1/26 20060101ALI20240903BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20240903BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C02F1/50 520Z
C02F1/50 531P
B63B13/00 Z
C25B1/26 C
C25B9/19
(21)【出願番号】P 2022559618
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2020019206
(87)【国際公開番号】W WO2021230458
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0056537
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516357351
【氏名又は名称】テックウィン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TECHWIN Co., LTD
【住所又は居所原語表記】(Songjeong-dong) 60, Jikji-daero 474beon-gil, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ブン イク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン シク
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョン ス
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0142289(KR,A)
【文献】特開2018-161633(JP,A)
【文献】特開2012-075844(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0056383(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0129645(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0022415(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/50
B63B13/00
C25B1/00-1/55
C25B9/00-9/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料物質を第1拠点から船舶が停泊可能な第2拠点に運送する第1段階;
前記第2拠点に位置した現場型の有隔膜電気分解装置に前記原料物質を投入して処理剤を製造する第2段階;及び
前記処理剤を前記第2拠点に停泊した船舶の処理剤貯蔵槽に注入する又は前記処理剤を担持したカートリッジを前記船舶に設置し、前記処理剤を用いてバラスト水を処理する第3段階;を含み、
前記原料物質が固体である塩素化合物であり、
前記処理剤が次亜塩素酸塩であり、
前記処理剤の濃度が1.5~50%であることを特徴とする、船舶バラスト水の処理方法。
【請求項2】
前記第1段階は、陸路、海路、空路及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つを通じて行われることを特徴とする、請求項1に記載の船舶バラスト水の処理方法。
【請求項3】
前記第2拠点は、港口、港湾又は沿岸であることを特徴とする、請求項1に記載の船舶バラスト水の処理方法。
【請求項4】
電気分解設備は、前記処理剤の濃度によって、
第1濃度を有する処理剤を製造する第1電気分解ライン;及び
第2濃度を有する処理剤を製造する第2電気分解ライン;を含み、
前記第1及び第2濃度は、相異なることを特徴とする、請求項1に記載の船舶バラスト水の処理方法。
【請求項5】
前記処理剤の濃度は、前記船舶の国籍、前記第1及び2拠点が位置した国家、法律、条約、使用者の注文及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つにより提供されたデータベースに基礎して決定されることを特徴とする、請求項4に記載の船舶バラスト水の処理方法。
【請求項6】
電気分解設備は、前記処理剤の種類によって、
第1処理剤を製造する第1電気分解ライン;及び
第2処理剤を製造する第2電気分解ライン;を含むことができ、
前記第1及び第2処理剤の種類は相異なることを特徴とする、請求項1に記載の船舶バラスト水の処理方法。
【請求項7】
前記第2段階で、製造された前記処理剤を温度、湿度、圧力及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つが制御された密閉された貯蔵所に保管することを特徴とする、請求項1に記載の船舶バラスト水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶バラスト水の処理方法に関し、より詳しくは、船舶が停泊可能な拠点で処理剤を製造した後、停泊した船舶に注入するか、前記処理剤を担持したカートリッジを前記船舶に設置、交替することによって船舶バラスト水をより迅速、簡便で且つ経済的に処理し得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、上下水道、廃水処理、海水電解及び船舶バラスト水の処理、農食品及び食資材の殺菌消毒など多様な分野に適用されている。
【0003】
最近、安定性、維持管理の便利性、経済性の側面で小規模浄水場に相応な現場型の次亜塩素酸ナトリウム製造装置が脚光を浴びている。このような現場型の次亜塩素酸ナトリウム製造装置は、塩水を電気分解して0.4~1.0%の低濃度の次亜塩素酸ナトリウムを製造し得るが、このような次亜塩素酸ナトリウム製造装置は、工程上副産物を除去しにくく、塩の転換率及び電力効率が低く、低い次亜塩素酸ナトリウムの濃度により大容量設備に適用しにくいという問題がある。
【0004】
韓国登録特許第10-1226640号公報、韓国公開特許第10-2012-0002074号公報などは、有隔膜方式で高濃度の次亜塩素酸ナトリウムを製造し得る装置及び/又は方法を開示するが、陽極室に供給される塩水(NaCl水溶液)の精製手段が具備されておらず、塩化ナトリウム内に残留するカルシウム、マグネシウムなどイオン性不純物が電気分解槽のイオン交換膜を汚染させて電力効率を減少させ、イオン交換膜の寿命を短縮させる問題があり、伝導度センサー、温度センサーのみで陽極室に供給される塩水の物質バランスを調節しにくいという問題がある。
【0005】
また、このような有隔膜方式の電気分解槽は、塩(NaCl)と水の電気化学的反応時に塩の消耗量が水の消耗量より多く、これによって、陽極室に初期に供給された飽和塩水の濃度が徐徐に減少するようになる。このような濃度減少に対応するために飽和塩水を注入して濃度を維持することができるが、陽極水の用量が増加するに従ってオーバーフロー現象が現われ、このようにオーバーフローした陽極水は、別途の再生工程を経ることになるが、このような再生工程による設備、費用、規模が増加するだけでなく、塩酸(HCl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、残留塩素中和剤などの化学薬品の使用による人的/物的負担が増加する問題がある。
【0006】
韓国登録特許第10-2074331号公報などは、海水又は人工塩水を用いて高濃度の次亜塩素酸ナトリウムを現場で製造する装置を開示するが、このような装置が設備又は船舶に直接設置される場合、設備又は船舶の使用者が負担する費用が増加することがあり、設備又は船舶に直接設置しないとしても製造された次亜塩素酸ナトリウムを設備又は船舶に適用するための別途の設備が必要であるので、効率、経済性の側面で不利となる問題がある。
【0007】
特に、船舶バラスト水の処理に用いられる次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度は、船舶の国籍だけでなく停泊した国家の法律と国際条約などによる制約を受けるので、従来の現場型装置では多様な濃度の次亜塩素酸ナトリウムを製造してこのような制約を解消しにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第10-1226640号公報
【文献】韓国公開特許第10-2012-0002074号公報
【文献】韓国登録特許第10-2074331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、処理剤の製造及びこれを用いた船舶バラスト水の処理において、経済性と効率が改善され、特に、船舶の国籍だけではなく停泊した国家の法律と国際条約のような多様な変数と制約に対して簡便で円滑に対応できる船舶バラスト水の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、原料物質を第1拠点から船舶が停泊可能な第2拠点に運送する第1段階;前記第2拠点に位置した現場型の処理剤製造設備に前記原料物質を投入して処理剤を製造する第2段階;及び前記処理剤を前記第2拠点に停泊した船舶に供給し、前記処理剤を用いてバラスト水を処理する第3段階;を含む船舶バラスト水の処理方法を提供する。
【0011】
一実施例において、前記原料物質は、塩素化合物、オキソ酸塩又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0012】
一実施例において、前記原料物質は、固体、液体又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0013】
一実施例において、前記第1段階は、陸路、海路、空路及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つを通じて行われ得る。
【0014】
一実施例において、前記第2拠点は、港口、港湾又は沿岸であってもよい。
【0015】
一実施例において、前記現場型の処理剤製造設備は、電気分解設備であってもよい。
【0016】
一実施例において、前記電気分解設備は、下記(i)~(iii)のうち一つを含むことができる。
【0017】
(i)陽極及び陰極を含む無隔膜電気分解装置;(ii)陽極、陰極及び隔膜を含む有隔膜電気分解装置;及び(iii)前記(i)及び(ii)の組み合わせ。
【0018】
一実施例において、前記電気分解設備は、前記処理剤の濃度によって、第1濃度を有する処理剤を製造する第1電気分解ライン;及び第2濃度を有する処理剤を製造する第2電気分解ライン;を含み、前記第1及び第2濃度は、相異なっていてもよい。
【0019】
一実施例において、前記処理剤の濃度は、前記船舶の国籍、前記第1及び2拠点が位置した国家、法律、条約、使用者の注文及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つにより提供されたデータベースに基づいて決定され得る。
【0020】
一実施例において、前記電気分解設備は、前記処理剤の種類によって、第1処理剤を製造する第1電気分解ライン;及び第2処理剤を製造する第2電気分解ライン;を含むことができ、前記第1及び第2処理剤の種類は相異なっていてもよい。
【0021】
一実施例において、前記処理剤の濃度は、0.01~50%であってもよい。
【0022】
一実施例において、前記処理剤は、塩素酸化合物、過オキソ酸塩又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0023】
一実施例において、前記塩素酸化合物は、次亜塩素酸塩であってもよい。
【0024】
一実施例において、前記第2段階で、製造された前記処理剤を温度、湿度、圧力及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つが制御された密閉された貯蔵所に保管することができる。
【0025】
一実施例において、前記第2段階で、前記処理剤をカートリッジに注入し、前記第3段階で、前記カートリッジを前記第2拠点に停泊した前記船舶に設置することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一側面による船舶バラスト水の処理方法は、船舶が停泊可能な拠点で処理剤を製造した後、停泊した船舶に注入するか、前記処理剤を担持したカートリッジを前記船舶に設置、交替することによって、船舶バラスト水をより迅速、簡便で且つ経済的に処理することができる。
【0027】
本発明の効果は、上述した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むものと理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による船舶バラスト水の処理方法を図式化した図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例による電気分解設備を図式化した図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例による電気分解設備を図式化した図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例による電気分解設備を図式化した図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例による電気分解ラインを図式化した図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の一実施例による電気分解ラインを図式化した図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の一実施例による電気分解ラインを図式化した図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例によって製造された処理剤が適用された船舶を図式化した図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例による電気分解設備の運用メカニズムを図式化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付した図面を参照して本発明を説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態で具現することができる。したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。また、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似した部分に対しては類似した図面符号を付与した。
【0030】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとの用語は、「直接的に連結」されている場合だけでなく、それらの間に他の部材を介在して「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」との用語は、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外することではなく他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0031】
以下、添付した図面を参考して本発明の実施例を詳しく説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例による船舶バラスト水の処理方法を図式化した図である。
図1を参考すると、本発明の一側面による船舶バラスト水の処理方法は、原料物質を第1拠点A、A’から船舶Xが停泊可能な第2拠点Bに運送する第1段階;前記第2拠点に位置した現場型の処理剤製造設備に前記原料物質を投入して処理剤を製造する第2段階;及び前記処理剤を前記第2拠点Bに停泊した船舶Xに供給し、前記処理剤を用いてバラスト水を処理する第3段階;を含むことができる。
【0033】
前記第1段階で、原料物質を第1拠点A、A’から船舶Xが停泊可能な第2拠点Bに運送することができる。
【0034】
従来、殺菌消毒技術の場合、大規模化学団地の化学工程で電気分解設備を用いて製造された気相の塩素、すなわち、塩素ガスを高圧ガス保管容器に充填して現場に運送して殺菌消毒工程に用いたが、このような塩素ガスは、毒性物質であるので、運搬、貯蔵、使用はもちろん公衆保健と安全に深刻な問題を引き起こし、特に、混雑する道路での運搬、環境保護地域と人口密集地域での使用はより大きい問題となっている。
【0035】
また、港湾の内部ではない大規模化学団地で必要な濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造した後、港湾に運送して船舶に適用する方法が提案されたが、この場合、運送及び適用の所要時間が増えて次亜塩素酸ナトリウム溶液が変質する可能性が高くなり、運送の所要コストが加重されるという問題がある。
【0036】
具体的に、次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造するための原料物質のうちの一つである塩の転換率が100%であり、固体相塩1トンを運搬するために1台の陸上運送手段が必要であると仮定すれば、固体相塩1トンを用いて製造した10%濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を運搬するためには、10倍以上の陸上運送手段が必要であるので、それによる運送費も顕著に増加するしかない。
【0037】
それに対して、前記第1段階で、第1拠点A、A’で提供するか、生産、製造された前記原料物質を船舶Xが停泊可能な第2拠点Bに運送し、前記第2段階で、前記第2拠点Bに位置した現場型の処理剤製造設備を用いて前記原料物質及び/又は海水を処理剤に転換させるので、従来提案された方法に比べて安全性、運搬性、経済性、生産性が顕著に改善され得る。
【0038】
前記原料物質は、塩素化合物、オキソ酸塩又はこれらの組み合わせを含むことができる。前記塩素化合物は、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
また、前記原料物質は、固体、液体又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0040】
前記第1拠点が陸上に存在する場合(A)、前記原料物質は、例えば、固体塩であってもよいが、これに限定されるものではない。本明細書で使われた用語「塩」は、塩化ナトリウム(NaCl)を主成分として含む固体相塩を意味するものであって、前記塩化ナトリウム(NaCl)以外にも塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)のような塩化物をさらに含むことができる。
【0041】
前記第1拠点が海上に存在するか港口、港湾、沿岸である場合(A’)、前記原料物質は、例えば、液体相海水、その濃縮物及び/又はその精製物であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記第1段階は、陸路、海路、空路及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つを通じて行われ得、好ましくは、陸路を通じて行われ得るが、これに限定されるものではない。また、前記第1段階での運送手段は、陸上、海上、空中運送手段及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つであってもよく、好ましくは、陸上運送手段であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記第2拠点Bは、船舶Xが停泊できる施設を備えた所であれば、特に制限されるものではなく、好ましくは、港口、港湾又は沿岸であってもよいが、これに限定されるものではない。また、前記第1拠点A、A’及び前記第2拠点Bは、同一の大陸に位置してもよく、前記第1拠点A、A’及び前記第2拠点Bのうち少なくとも一つが隣接した島嶼地域又は他の大陸に位置してもよい。前記第1拠点A、A’及び前記第2拠点Bのうち少なくとも一つが隣接した島嶼地域に位置した場合、前記第1段階で、前記原料物質が海上及び/又は空中運送手段により島嶼間に運送されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記第2段階で、前記第2拠点Bに位置した現場型の処理剤製造設備に前記原料物質及び/又は海水を投入して予め定まった濃度を有する処理剤を製造することができる。前記現場型の処理剤製造設備は、電気分解設備であってもよい。
【0045】
本明細書で使われた用語「電気分解設備」は、一つ以上の電気分解ラインを含む設備を意味する。特に、前記電気分解ラインが2以上である場合、それぞれの電気分解ラインは、製造しようとする処理剤の濃度に応じて相互独立的に構成され得、それぞれの電気分解ラインは、直列的及び/又は並列的に連結された単位電気分解槽又は単位電気分解装置を含むことができる。
【0046】
前記処理剤は、塩素酸化合物、過オキソ酸塩又はこれらの組み合わせを含む溶液であってもよく、好ましくは、水溶液であってもよい。前記塩素酸化合物は、次亜塩素酸塩、好ましくは、次亜塩素酸ナトリウムであってもよい。また、前記処理剤は、固体相で製造され得、このような固体相処理剤は、別途の溶解装置を通じて予め定まった濃度の溶液として製造されて用いられ得る。前記溶解装置は、前記第2拠点及び/又は船舶に設置され得る。
【0047】
図2~
図4は、本発明の一実施例による電気分解設備を図式化した図である。
図2~
図4を参考すると、前記電気分解設備は、下記(i)~(iii)のうち一つを含むことができる。(i)陽極及び陰極を含む無隔膜電気分解装置;(ii)陽極、陰極及び隔膜を含む有隔膜電気分解装置;及び(iii)前記(i)及び(ii)の組み合わせ。必要に応じて、前記有隔膜電気分解装置は、前記陽極と前記陰極で生成された物質が反応して処理剤を生成する反応部をさらに含んでもよい。
【0048】
前記原料物質である塩素化合物の電気分解により生成される処理剤である次亜塩素酸塩の生成過程は次の通りである。
【0049】
前記塩素化合物が電気分解装置に流入されると、陽極では前記塩素化合物のうち陰イオンである塩素イオン(Cl-)が塩素ガス(Cl2)に転換される酸化反応が起き、陰極では水(H2O)が水素ガス(H2)と水酸化イオン(OH-)に転換される還元反応が起きる。
【0050】
陽極と陰極でそれぞれ生成された塩素ガスと水酸化イオンは、電気分解装置の内部及び/又は外部に具備された反応部で化学反応を通じて次亜塩素酸イオン(OCl-)や次亜塩素酸(HOCl)を形成する。このとき、次亜塩素酸イオン及び次亜塩素酸は、pHによって化学的平衡状態を維持する。前記原料物質として塩化ナトリウム(NaCl)を用いると、次亜塩素酸イオン(OCl-)がナトリウムイオン(Na+)と結合して次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が生成される。
【0051】
図2を参考すると、前記電気分解設備は、陽極及び陰極を含む無隔膜電気分解装置を含むことができる。前記無隔膜電気分解装置で、上述した酸化及び還元反応がそれぞれ陽極と陰極で行われ、前記無隔膜電気分解装置の内部のバルク上で塩素ガスと水酸化イオンの反応が起きて次亜塩素酸塩が生成され得る。
【0052】
図3を参考すると、前記電気分解設備は、陽極を含む陽極室、陰極を含む陰極室、前記陽極室と陰極室を区画する隔膜及び前記陽極と前記陰極で生成された物質が反応して処理剤を生成する反応部を含む有隔膜電気分解装置を含むことができる。前記反応部は、陽極、陰極及び隔膜を含む電気分解槽の外部に別に具備され得、陽極及び陰極でそれぞれ生成された塩素ガスと水酸化イオンは、前記反応部で反応して次亜塩素酸塩が生成され得る。必要に応じて、前記陽極室と前記反応部の間、及び前記陰極室と前記反応部の間には、それぞれ陽極水貯蔵槽及び陰極水貯蔵槽が具備され得、前記陽極水貯蔵槽及び前記陰極水貯蔵槽に保存された陽極水及び陰極水は、それぞれ前記陽極室と前記陽極水貯蔵槽、及び前記陰極室と前記陰極室貯蔵槽を循環することができる。
【0053】
前記陽極水貯蔵槽及び前記陰極水貯蔵槽は、前記有隔膜電気分解槽の前記陽極室及び前記陰極室と循環するようにした陽極水及び陰極水が貯蔵される構成であって、前記陽極水貯蔵槽及び/又は前記陰極水貯蔵槽は、伝導度センサー及び/又は水位センサーを具備することができる。好ましくは、前記伝導度センサーは、陽極水循環管路及び/又は陰極水循環管路上に具備され得、前記水位センサーは、前記陽極水貯蔵槽及び/又は前記陰水貯蔵槽内に具備され得る。
【0054】
前記伝導度センサーにより伝導度バルブを開閉することによって陽極水及び/又は陰極水の濃度を制御することができ、前記水位センサーにより水位バルブを開閉することによって純水の供給とそれによる陽極水及び/又は陰極水の水位を制御することができる。すなわち、前記伝導度センサー及び前記水位センサーを通じて陽極水及び/又は陰極水の水位と濃度を同時に制御することによって、前記陽極水貯蔵槽及び/又は前記陰極水貯蔵槽の物質バランスを調節することができる。
【0055】
図4を参考すると、
図3の前記反応部が陽極、陰極及び隔膜を含む電気分解槽と一体型で構成され得、このような一体型電気分解槽で前記陽極水貯蔵槽及び/又は前記陰極水貯蔵槽は、必要に応じて、適切に省略され得る。
【0056】
一方、前記第1段階で、前記原料物質としてオキソ酸塩を用いる場合、前記第2段階で、前記オキソ酸塩を電気分解して過オキソ酸塩、好ましくは、過オキソ酸塩を含む溶液、より好ましくは、過オキソ酸塩を含む水溶液を製造することができる。
【0057】
具体的に、前記過オキソ酸塩のうち過硫酸塩は、固体相として製造され得、必要に応じて、固体相過硫酸塩を溶液として製造して用いる場合、固体相過硫酸塩の保管に必要な体積を減らすことができるだけでなく、溶液を長期間保管することによる溶液の変性、濃度変化による問題を解決することができる。例えば、前記固体相過硫酸塩が過硫酸ナトリウムである場合、溶媒として水を用いることができる。
【0058】
前記固体相過硫酸ナトリウムを処理剤貯蔵槽に保管し、必要時に船舶に別に設置された溶解装置で水に溶解させて処理剤注入部を通じてバラスト水タンクに供給することができる。また、前記固体相過硫酸ナトリウムを前記第2拠点Bに位置した後述する貯蔵所に保管し、必要時に前記第2拠点Bに別に設置された溶解装置で水に溶解させて船舶の処理剤貯蔵槽に注入してもよい。
【0059】
前記溶解装置は、一般的に、溶解槽、固体相処理剤移送ライン、撹拌機、溶媒供給ライン、生成された液体相処理剤注入ラインを含むことができる。また、前記溶解装置は、溶解時に発生し得る発熱及び/又は吸熱による温度変化を制御し得る温度調節装置などをさらに含んでもよい。前記オキソ酸塩は、例えば、硫酸塩(sulfate)、硫酸水素塩(hydrogen sulfate)又はこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、硫酸アンモニウム(ammonium sulfate、(NH4)2SO4)であってもよいが、これに限定されるものではない。前記過オキソ酸塩は、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate、(NH4)2S2O8)、過硫酸ナトリウム(sodium persulfate、Na2S2O8)、過硫酸カリウム(potassium persulfate、K2S2O8)及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つであってもよく、好ましくは、電気分解効率が相対的に高い過硫酸アンモニウムであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0060】
前記硫酸塩は、陽極の表面で酸化して電子を出して過硫酸イオンに転換される。反応式は、次のとおりである。
【0061】
-2SO4
2- → S2O8
2-+2e-
【0062】
-2HSO4
- → S2O8
2-+2H++2e-
【0063】
前記過硫酸塩の生成メカニズムは次のとおりである。
【0064】
-過硫酸アンモニウム:(NH4)2SO4+H2SO4 → (NH4)2S2O8+H2
【0065】
-過硫酸ナトリウム:(NH4)2S2O8+2NaOH → Na2S2O8+2NH4
【0066】
-過硫酸カリウム:(NH4)2S2O8+2KOH → K2S2O8+2NH4
【0067】
過硫酸アンモニウムは、硫酸アンモニウムと硫酸水溶液を用いて電気化学的方法で製造され得る。具体的に、陽極室と陰極室の間に隔膜、例えば、イオン交換膜を設置して電気分解槽を構成し、前記陽極室及び前記陰極室にそれぞれ硫酸アンモニウム及び硫酸水溶液を注入した後に電気を印加して過硫酸アンモニウムを製造することができる。過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムの場合、電気化学的に製造された過硫酸アンモニウムをそれぞれ水酸化ナトリウム(NaOH)及び水酸化カリウム(KOH)水溶液と反応させてアンモニウムをナトリウム(Na+)又はカリウム(K+)に置換することで製造することができる。一方、硫酸ナトリウム(Na2SO4)や硫酸カリウム(K2SO4)を直接電気分解反応させて過硫酸ナトリウムや過硫酸カリウムを製造してもよい。
【0068】
図5~
図7は、本発明の一実施例による電気分解ラインを図式化した図である。まず、
図5を参考すると、前記電気分解設備は、前記処理剤の濃度によって、第1濃度を有する処理剤を製造する第1電気分解ライン;及び第2濃度を有する処理剤を製造する第2電気分解ライン;を含み、前記第1及び第2濃度は、相異なっていてもよい。
【0069】
前記処理剤の濃度は、0.01~50%(重量基準)であってもよい。例えば、前記処理剤の第1及び第2濃度をそれぞれ0.01~1.5%及び1.5~50%に設定し、設定された濃度に基づいて前記第1及び第2電気分解ラインを運用することができる。
【0070】
前記電気分解設備は、製造しようとする前記処理剤の濃度によって3個以上の電気分解ラインで構成してもよい。例えば、前記電気分解設備が3個の電気分解ラインで構成される場合、前記処理剤の第1~第3濃度をそれぞれ0.01~1.5%、1.5~15%及び15~50%に設定し、設定された濃度に基づいて第1~第3電気分解ラインを運用することができる。このように、前記電気分解ラインの数は、前記処理剤の濃度である0.01~50%をn個の詳細範囲に区分することによってn個に決定され得る。
【0071】
また、前記電気分解設備は、前記処理剤の種類に応じて、第1処理剤を製造する第1電気分解ライン;及び第2処理剤を製造する第2電気分解ライン;を含むことができ、前記第1及び第2処理剤の種類は相異なっていてもよい。例えば、前記第1処理剤は、塩素酸化合物のうちの一つである次亜塩素酸ナトリウムであってもよく、前記第2処理剤は、過オキソ酸塩のうちの一つである過硫酸ナトリウムであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0072】
また、前記第2段階で、製造された前記処理剤を温度、湿度、圧力及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つが制御された密閉された貯蔵所に保管することができる。前記貯蔵所は、それぞれの電気分解ラインに独立的に具備され得る。
【0073】
前記第3段階で、前記処理剤を前記第2拠点に(B)停泊した船舶Xに供給し、前記処理剤を用いてバラスト水を処理することができる。
【0074】
図8は、本発明の一実施例によって製造された処理剤が適用された船舶を図式化した図である。
図8を参考すると、前記貯蔵所に保管された前記処理剤は、前記第2拠点に停泊した船舶の内部で処理剤注入部200の先端に具備された処理剤貯蔵槽100に注入され得る。
【0075】
必要に応じて、前記処理剤貯蔵槽100と前記処理剤注入部200は、一体型からなってもよく、前記処理剤貯蔵槽100には、前記処理剤の注入量と状態を確認、制御し得る制御装置がさらに具備され得る。
【0076】
前記処理剤貯蔵槽100には、前記処理剤の安定性を確保するための温度センサー、温度調節装置、外気遮断装置、漏出防止装置などがさらに具備され得る。前記漏出防止装置は、例えば、漏洩警報器、放流段差、漏出した処理剤を無害化する触媒反応器及び/又は中和機、吸収及び/又は吸着を通じて拡散を防止する装置などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0077】
一方、前記第2段階で、前記処理剤をカートリッジに注入し、前記第3段階で、前記カートリッジを前記第2拠点Bに停泊した前記船舶Xに設置することができる。本明細書で使われた用語「カートリッジ」は、必要な内容物(例えば、処理剤)を入れて機械、装置又は設備(例えば、船舶に設置されたバラスト水処理システム)に容易に設置及び脱去し得る容器を意味する。
【0078】
図6及び
図7は、本発明の一実施例による電気分解ラインを図式化した図である。
図6及び
図7を参考すると、前記電気分解設備は、前記処理剤の濃度によって、第1濃度を有する処理剤を含む第1カートリッジを製造する第1電気分解ライン;及び第2濃度を有する処理剤を含む第2カートリッジを製造する第2電気分解ライン;を含むことができ、前記第1及び第2濃度は、相異なっていてもよい。
【0079】
前記処理剤の濃度は、0.01~50%であってもよい。例えば、前記第1及び第2カートリッジに含まれた処理剤の濃度をそれぞれ0.01~1.5%及び1.5~50%に設定し、設定された濃度に基づいて前記第1及び第2電気分解ラインを運用することができる。
【0080】
前記電気分解設備は、製造しようとする前記処理剤の濃度によって3個以上の電気分解ラインで構成されてもよい。例えば、前記電気分解設備が3個の電気分解ラインで構成される場合、第1~第3カートリッジに含まれた処理剤の濃度をそれぞれ0.01~1.5%、1.5~15%及び15~50%に設定し、設定された濃度に基づいて第1~第3電気分解ラインを運用することができる。このように、前記電気分解ラインの数は、前記処理剤の濃度である0.01~50%をn個の詳細範囲に区分することによってn個に決定され得る。
【0081】
また、前記電気分解設備は、前記処理剤の種類によって、第1処理剤を製造する第1電気分解ライン;及び第2処理剤を製造する第2電気分解ライン;を含むことができ、前記第1及び第2処理剤の種類は、相異なっていてもよい。例えば、前記第1処理剤は、塩素酸化合物のうちの一つである次亜塩素酸ナトリウムであってもよく、前記第2処理剤は、過オキソ酸塩のうちの一つである過硫酸ナトリウムであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0082】
また、前記第2段階で、製造された前記カートリッジを温度、湿度、圧力及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つが制御された密閉された貯蔵所に保管することができる。
【0083】
前記貯蔵所は、それぞれの電気分解ラインに独立的に具備され得、必要に応じて、それぞれの電気分解ラインで製造されたカートリッジが単一の貯蔵所で統合保管してもよい。
【0084】
前記貯蔵所に保管された前記カートリッジは、前記第2拠点に停泊した船舶の内部、好ましくは、処理剤注入部の先端に設置され得、前記カートリッジに担持された前記処理剤は、前記処理剤注入部を通じて船舶のバラスト水タンクに注入され得る。
【0085】
前記第2段階で、前記処理剤をカートリッジに注入し、前記第3段階で、前記カートリッジを前記第2拠点Bに停泊した前記船舶Xに設置する場合、
図8で前記処理剤貯蔵槽100は、前記カートリッジに代替され得る。これに基づいて、
図8を再び参考すると、前記船舶Xに設置されたバラスト水処理システムは、処理剤カートリッジ100、処理剤注入部200及びバラスト水タンク300を含むことができる。
【0086】
前記貯蔵所に保管された前記処理剤カートリッジ100は、前記第2拠点に停泊した船舶の内部、好ましくは、処理剤注入部200の先端に設置され得、前記処理剤カートリッジ100に担持された前記処理剤は、前記処理剤注入部200を通じて船舶のバラスト水タンク300に注入され得る。
【0087】
また、担持した処理剤が全て消尽されたカートリッジ、いわゆる、廃カートリッジは、前記船舶から脱去されて前記貯蔵所に移されてもよく、前記電気分解ラインで製造された処理剤を前記廃カートリッジにさらに充填して前記貯蔵所に保管した後、これを前記第2拠点に停泊した船舶に適用してもよい。
【0088】
前記処理剤カートリッジ100及び前記処理剤注入部200は、管路により連結、締結及び/又は固定されてもよく、前記管路が一つ以上の単位パイプで構成される場合、前記単位パイプ間の直径を合わせるためのアダプター(adapter)、単位パイプ間の連結部を密閉するためのガスケット(gasket)などが具備されてもよい。
【0089】
前記処理剤カートリッジ100及び前記処理剤注入部200の連結、締結及び/又は固定は、前記処理剤カートリッジ100及び前記処理剤注入部200に具備されて/されるか、これらと別に具備される物理的/機械的手段のみを通じて行われるので、すなわち、接着剤、密封材のような何らの化学的手段も用いられないため、前記処理剤カートリッジの設置、交替及び/又は脱去が迅速、簡便に行われ得る。必要に応じて、前記処理剤注入部は、前記カートリッジと一体型からなり得る。
【0090】
このように、船舶が停泊可能な前記第2拠点で処理剤を担持したカートリッジを製造した後、前記カートリッジを停泊した船舶に設置されたバラスト水処理システムに設置、交替する場合、船舶の使用者、特に、船主は、船舶に処理剤を製造するための設備、バラスト水を物理的、化学的、生物学的に処理するための追加の設備を設置しなくても構わないので、バラスト水をより迅速、簡便に処理できるだけはなく、バラスト水の処理の所要コストも顕著に軽減され得る。また、必要に応じて、処理剤の消尽した廃カートリッジを収去して再使用する場合、このような効果は一層極大化され得る。
【0091】
一方、前記貯蔵所と独立的に、前記カートリッジは、その内部に担持した処理剤の濃度、内部の温度、湿度、圧力及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つを予め定まった範囲に維持するセンサー及び/又はコントローラーをさらに含むことができ、前記カートリッジは、不純物、空気、酸素などの流入と処理剤の流出を防止するように密封、密閉され得る。
【0092】
図9は、本発明の一実施例による電気分解設備の運用メカニズムを図式化した図である。
図9を参考すると、前記処理剤の濃度は、前記船舶の国籍、前記第1及び第2拠点が位置した国家、法律、条約、使用者の注文及びこれらのうち2以上の組み合わせからなる群より選択された一つにより提供されたデータベースに基づいて決定され得る。前記データベースと前記電気分解設備の間の命令、信号又はそれに類似したものの送受信と前記電気分解設備の運用は、自動的に行われ得る。
【0093】
前記データベースは、前記電気分解設備に具備された制御部に決定された濃度の処理剤を製造するように命令することができる。前記命令を受信した制御部は、前記電気分解設備を運用して決定された濃度の処理剤を製造することができる。
【0094】
前記データベースで船舶の国籍、第1及び第2拠点が位置した国家、法律、条約などに関する受動的データが受動的に及び/又は自動的に、周期的に及び/又は非周期的にアップデート及び/又は同期化され得、前記受動的データは、能動的データである使用者の注文が前記受動的データに符合するか否かを判断する基準となり得る。
【0095】
本明細書で使われた用語「受動的データ」は、使用者が任意に定義するか変更できないものであって、遵守義務が賦課されたデータを意味し、「能動的データ」は、使用者が任意に定義するか変更できるデータを意味する。
【0096】
例えば、使用者の注文が船舶の国籍に該当する国家の法律や条約に符合しない場合、使用者に再注文が必要であるというフィードバックを提供することができる。反対に、使用者の注文が船舶の国籍に該当する国家の法律や条約に符合する場合、前記データベースは、前記電気分解設備に具備された制御部に決定された濃度の処理剤を製造するように命令することができる。
【0097】
このように、少なくとも一部が自動化された方式で運用される電気分解設備により製造された処理剤及び/又はこれを担持したカートリッジは、前記第2拠点に停泊した船舶のバラスト水処理システムに迅速、簡便に注入及び/又は設置され得る。
【0098】
前述した本発明の説明は例示のためのものに過ぎず、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変更が可能である。したがって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は分散して実施することもでき、同様に、分散されたものとして説明されている構成要素を結合された形態で実施することもできる。
【0099】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲により示されるが、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態は、本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0100】
A、A’:第1拠点
B:第2拠点
X:船舶
100:処理剤カートリッジ又は処理剤貯蔵槽
200:処理剤注入部
300:バラスト水タンク