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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】吸引装置、端末装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/65 20200101AFI20240903BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240903BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
A24F40/65
A24F40/40
A24F40/50
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022569421
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047141
(87)【国際公開番号】W WO2022130563
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 剛志
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-120781(JP,A)
【文献】特表2018-533923(JP,A)
【文献】特表2019-512245(JP,A)
【文献】国際公開第2020/148861(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/026320(WO,A1)
【文献】特開2005-217621(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0144142(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0238016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/65
A24F 40/40
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置であって、
基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
情報を記憶する記憶部と、
前記吸引装置の動作のための電力を蓄積及び供給する電源部と、
前記吸引装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に取得される情報であるログ情報を前記記憶部に記憶し、
前記電源部の電力残量が閾値未満になったことをトリガとして、前記電源部の電力残量が閾値未満になったときに前記記憶部に記憶されてい前記ログ情報に対し所定の処理を実行
前記所定の処理は、前記記憶部に記憶されている前記ログ情報に対し所定のフラグを付与することである、
吸引装置。
【請求項2】
前記吸引装置は、他の装置と通信する通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記ログ情報を、付与された前記所定のフラグと共に送信するよう前記通信部を制御する、
請求項に記載の吸引装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電源部の充電が開始されたことをトリガとして、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報を前記記憶部から削除する、
請求項1または2に記載の吸引装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電源部の充電が開始されたことをトリガとして、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報に含まれる、前記ログ情報が取得された時刻を示す情報を削除する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項5】
前記制御部は、単位時間が経過する度にカウンタの値を変化させ、
前記ログ情報は、前記所定の動作が行われた時刻を示す情報として、前記所定の動作が行われた第1のタイミングにおける前記カウンタの値を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項6】
前記吸引装置は、他の装置と通信する通信部をさらに備え、
前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記ログ情報を第2のタイミングにおいて送信し、前記第2のタイミングにおける前記カウンタの値を送信する、
請求項に記載の吸引装置。
【請求項7】
前記所定の動作は、前記生成部がエアロゾルの生成を開始する動作を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項8】
前記所定の動作は、ユーザがエアロゾルを吸引する動作を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項9】
前記所定の動作は、前記電源部を充電する動作を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項10】
前記制御部は、第1の条件が満たされた場合にエアロゾルの生成を許可し、
前記所定の動作は、前記第1の条件を満たす動作を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項11】
前記制御部は、第2の条件が満たされた場合にエアロゾルの生成を禁止し、
前記所定の動作は、前記第2の条件を満たす動作を含む、
請求項1~1のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項12】
他の装置と通信する通信部と、
前記通信部により受信された、基材を用いてエアロゾルを生成する吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に前記吸引装置により取得されるログ情報に、所定のフラグが付与されているか否かに応じて、前記ログ情報に対し異なる処理を実行する制御部と、
を備える端末装置。
【請求項13】
前記端末装置は、情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報を破棄し、前記所定のフラグが付与されていない前記ログ情報を前記記憶部に記憶する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項14】
前記端末装置は、情報を出力する出力部をさらに備え、
前記制御部は、前記ログ情報を前記所定のフラグが付与されているか否かに応じて異なる形態で出力するよう前記出力部を制御する、
請求項1又は1に記載の端末装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報が取得された時刻を示す情報が正確ではないことを示す情報を出力するよう前記出力部を制御する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項16】
前記吸引装置は、単位時間が経過する度にカウンタの値を変化させ、
前記ログ情報は、前記所定の動作が行われた第1のタイミングにおける前記カウンタの値を含み、
前記通信部は、前記吸引装置が前記ログ情報を送信する第2のタイミングにおける前記カウンタの値を受信し、
前記制御部は、前記第1のタイミングにおける前記カウンタの値、前記第2のタイミングにおける前記カウンタの値、及び前記通信部が前記ログ情報を受信した時刻に基づいて、前記第1のタイミングに対応する時刻を計算する、
請求項1~1のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項17】
他の装置と通信する端末装置を制御するコンピュータに、
前記端末装置により受信された、基材を用いてエアロゾルを生成する吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に前記吸引装置により取得されるログ情報に、所定のフラグが付与されているか否かに応じて、前記ログ情報に対し異なる処理を実行すること、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引装置、端末装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザ等の、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、吸引装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することで、香味を味わうことができる。
【0003】
近年では、吸引装置に通信機能を搭載して、吸引装置とスマートフォン等の端末装置とを通信させることで、様々なサービスを提供することが検討されている。例えば、下記特許文献1では、吸引装置から受信した情報に基づいて、端末装置により吸引装置の使用履歴を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/006311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸引装置が過放電状態になる等、電力残量が低下した場合には、吸引装置の動作が不安定になり得る。しかし、上記特許文献1ではこの点について何ら検討されていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、吸引装置の動作が不安定になった場合であっても、吸引装置が記憶する情報に関し一定の信頼性を維持することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、吸引装置であって、基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、情報を記憶する記憶部と、前記吸引装置の動作のための電力を蓄積及び供給する電源部と、前記吸引装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に取得される情報であるログ情報を前記記憶部に記憶し、前記電源部の電力残量が閾値未満になったことをトリガとして、前記記憶部に記憶されている前記ログ情報に対し所定の処理を実行する、吸引装置が提供される。
【0008】
前記所定の処理は、前記記憶部に記憶されている前記ログ情報に対し所定のフラグを付与することであってもよい。
【0009】
前記吸引装置は、他の装置と通信する通信部をさらに備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記ログ情報を、付与された前記所定のフラグと共に送信するよう前記通信部を制御してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記電源部の充電が開始されたことをトリガとして、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報を前記記憶部から削除してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記電源部の充電が開始されたことをトリガとして、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報に含まれる、前記ログ情報が取得された時刻を示す情報を削除してもよい。
【0012】
前記所定の処理は、前記ログ情報に含まれる、前記ログ情報が取得された時刻を示す情報を削除することであってもよい。
【0013】
前記所定の処理は、前記ログ情報を前記記憶部から削除することであってもよい。
【0014】
前記制御部は、単位時間が経過する度にカウンタの値を変化させ、前記ログ情報は、前記所定の動作が行われた時刻を示す情報として、前記所定の動作が行われた第1のタイミングにおける前記カウンタの値を含んでいてもよい。
【0015】
前記吸引装置は、他の装置と通信する通信部をさらに備え、前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記ログ情報を第2のタイミングにおいて送信し、前記第2のタイミングにおける前記カウンタの値を送信してもよい。
【0016】
前記所定の動作は、前記生成部がエアロゾルの生成を開始する動作を含んでいてもよい。
【0017】
前記所定の動作は、ユーザがエアロゾルを吸引する動作を含んでいてもよい。
【0018】
前記所定の動作は、前記電源部を充電する動作を含んでいてもよい。
【0019】
前記制御部は、第1の条件が満たされた場合にエアロゾルの生成を許可し、前記所定の動作は、前記第1の条件を満たす動作を含んでいてもよい。
【0020】
前記制御部は、第2の条件が満たされた場合にエアロゾルの生成を禁止し、前記所定の動作は、前記第2の条件を満たす動作を含んでいてもよい。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の装置と通信する通信部と、前記通信部により受信された、基材を用いてエアロゾルを生成する吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に前記吸引装置により取得されるログ情報に、所定のフラグが付与されているか否かに応じて、前記ログ情報に対し異なる処理を実行する制御部と、を備える端末装置が提供される。
【0022】
前記端末装置は、情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報を破棄し、前記所定のフラグが付与されていない前記ログ情報を前記記憶部に記憶してもよい。
【0023】
前記端末装置は、情報を出力する出力部をさらに備え、前記制御部は、前記ログ情報を前記所定のフラグが付与されているか否かに応じて異なる形態で出力するよう前記出力部を制御してもよい。
【0024】
前記制御部は、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報が取得された時刻を示す情報が正確ではないことを示す情報を出力するよう前記出力部を制御してもよい。
【0025】
前記吸引装置は、単位時間が経過する度にカウンタの値を変化させ、前記ログ情報は、前記所定の動作が行われた第1のタイミングにおける前記カウンタの値を含み、前記通信部は、前記吸引装置が前記ログ情報を送信する第2のタイミングにおける前記カウンタの値を受信し、前記制御部は、前記第1のタイミングにおける前記カウンタの値、前記第2のタイミングにおける前記カウンタの値、及び前記通信部が前記ログ情報を受信した時刻に基づいて、前記第1のタイミングに対応する時刻を計算してもよい。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の装置と通信する端末装置を制御するコンピュータに、前記端末装置により受信された、基材を用いてエアロゾルを生成する吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に前記吸引装置により取得されるログ情報に、所定のフラグが付与されているか否かに応じて、前記ログ情報に対し異なる処理を実行すること、を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、吸引装置の動作が不安定になった場合であっても、吸引装置が記憶する情報に関し一定の信頼性を維持することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】吸引装置の第1の構成例を模式的に示す模式図である。
図2】吸引装置の第2の構成例を模式的に示す模式図である。
図3】本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係るシステムにおいて実行されるログ情報に関する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図5】本実施形態に係る吸引装置100において実行されるログ情報に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本実施形態に係る端末装置200において実行されるログ情報に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じて吸引装置100A、及び100Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、吸引装置100A及び100Bを特に区別する必要が無い場合には、単に吸引装置100と称する。
【0031】
<<1.吸引装置の構成例>>
吸引装置は、ユーザにより吸引される物質を生成する装置である。以下では、吸引装置により生成される物質が、エアロゾルであるものとして説明する。他に、吸引装置により生成される物質は、気体であってもよい。
【0032】
(1)第1の構成例
図1は、吸引装置の第1の構成例を模式的に示す模式図である。図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100Aは、電源ユニット110、カートリッジ120、及び香味付与カートリッジ130を含む。電源ユニット110は、電源部111A、センサ部112A、通知部113A、記憶部114A、通信部115A、及び制御部116Aを含む。カートリッジ120は、加熱部121A、液誘導部122、及び液貯蔵部123を含む。香味付与カートリッジ130は、香味源131、及びマウスピース124を含む。カートリッジ120及び香味付与カートリッジ130には、空気流路180が形成される。
【0033】
電源部111Aは、電力を蓄積する。そして、電源部111Aは、制御部116Aによる制御に基づいて、吸引装置100Aの各構成要素に電力を供給する。電源部111Aは、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。
【0034】
センサ部112Aは、吸引装置100Aに関する各種情報を取得する。一例として、センサ部112Aは、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により構成され、ユーザによる吸引に伴う値を取得する。他の一例として、センサ部112Aは、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。
【0035】
通知部113Aは、情報をユーザに通知する。通知部113Aは、例えば、発光する発光装置、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、又は振動する振動装置等により構成される。
【0036】
記憶部114Aは、吸引装置100Aの動作のための各種情報を記憶する。記憶部114Aは、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。
【0037】
通信部115Aは、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行うことが可能な通信インタフェースである。かかる通信規格としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。
【0038】
制御部116Aは、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100A内の動作全般を制御する。制御部116Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。
【0039】
液貯蔵部123は、エアロゾル源を貯蔵する。エアロゾル源が霧化されることで、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体である。エアロゾル源は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。吸引装置100Aがネブライザ等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。
【0040】
液誘導部122は、液貯蔵部123に貯蔵された液体であるエアロゾル源を、液貯蔵部123から誘導し、保持する。液誘導部122は、例えば、ガラス繊維等の繊維素材又は多孔質状のセラミック等の多孔質状素材を撚って形成されるウィックである。その場合、液貯蔵部123に貯蔵されたエアロゾル源は、ウィックの毛細管効果により誘導される。
【0041】
加熱部121Aは、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。図1に示した例では、加熱部121Aは、コイルとして構成され、液誘導部122に巻き付けられる。加熱部121Aが発熱すると、液誘導部122に保持されたエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121Aは、電源部111Aから給電されると発熱する。一例として、ユーザが吸引を開始したこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部112Aにより検出された場合に、給電されてもよい。そして、ユーザが吸引を終了したこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部112Aにより検出された場合に、給電が停止されてもよい。
【0042】
香味源131は、エアロゾルに香味成分を付与するための構成要素である。香味源131は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。
【0043】
空気流路180は、ユーザに吸引される空気の流路である。空気流路180は、空気流路180内への空気の入り口である空気流入孔181と、空気流路180からの空気の出口である空気流出孔182と、を両端とする管状構造を有する。空気流路180の途中には、上流側(空気流入孔181に近い側)に液誘導部122が配置され、下流側(空気流出孔182に近い側)に香味源131が配置される。ユーザによる吸引に伴い空気流入孔181から流入した空気は、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと混合され、矢印190に示すように、香味源131を通過して空気流出孔182へ輸送される。エアロゾルと空気との混合流体が香味源131を通過する際には、香味源131に含まれる香味成分がエアロゾルに付与される。
【0044】
マウスピース124は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。マウスピース124には、空気流出孔182が配置される。ユーザは、マウスピース124を咥えて吸引することで、エアロゾルと空気との混合流体を口腔内へ取り込むことができる。
【0045】
以上、吸引装置100Aの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Aの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0046】
一例として、吸引装置100Aは、香味付与カートリッジ130を含んでいなくてもよい。その場合、カートリッジ120にマウスピース124が設けられる。
【0047】
他の一例として、吸引装置100Aは、複数種類のエアロゾル源を含んでいてもよい。複数種類のエアロゾル源から生成された複数種類のエアロゾルが空気流路180内で混合され化学反応を起こすことで、さらに他の種類のエアロゾルが生成されてもよい。
【0048】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Aによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、振動霧化、又は誘導加熱であってもよい。
【0049】
(2)第2の構成例
図2は、吸引装置の第2の構成例を模式的に示す模式図である。図2に示すように、本構成例に係る吸引装置100Bは、電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、制御部116B、加熱部121B、保持部140、及び断熱部144を含む。
【0050】
電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、及び制御部116Bの各々は、第1の構成例に係る吸引装置100Aに含まれる対応する構成要素と実質的に同一である。
【0051】
保持部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。保持部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、保持部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。保持部140は、スティック型基材150へ供給される空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0052】
スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。基材部151は、エアロゾル源を含む。なお、本構成例において、エアロゾル源は液体に限られるものではなく、固体であってもよい。スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、基材部151の少なくとも一部は内部空間141に収容され、吸口部152の少なくとも一部は開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から内部空間141に空気が流入し、基材部151から発生するエアロゾルと共にユーザの口内に到達する。
【0053】
加熱部121Bは、第1の構成例に係る加熱部121Aと同様の構成を有する。ただし、図2に示した例では、加熱部121Bは、フィルム状に構成され、保持部140の外周を覆うように配置される。そして、加熱部121Bが発熱すると、スティック型基材150の基材部151が外周から加熱され、エアロゾルが生成される。
【0054】
断熱部144は、加熱部121Bから他の構成要素への伝熱を防止する。例えば、断熱部144は、真空断熱材、又はエアロゲル断熱材等により構成される。
【0055】
以上、吸引装置100Bの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Bの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0056】
一例として、加熱部121Bは、ブレード状に構成され、保持部140の底部143から内部空間141に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状の加熱部121Bは、スティック型基材150の基材部151に挿入され、スティック型基材150の基材部151を内部から加熱する。他の一例として、加熱部121Bは、保持部140の底部143を覆うように配置されてもよい。また、加熱部121Bは、保持部140の外周を覆う第1の加熱部、ブレード状の第2の加熱部、及び保持部140の底部143を覆う第3の加熱部のうち、2以上の組み合わせとして構成されてもよい。
【0057】
他の一例として、保持部140は、内部空間141を形成する外殻の一部を開閉する、ヒンジ等の開閉機構を含んでいてもよい。そして、保持部140は、外殻を開閉することで、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を挟持してもよい。その場合、加熱部121Bは、保持部140における当該挟持箇所に設けられ、スティック型基材150を押圧しながら加熱してもよい。
【0058】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Bによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、誘導加熱であってもよい。
【0059】
また、吸引装置100Bは、第1の構成例に係る加熱部121A、液誘導部122、液貯蔵部123、及び空気流路180をさらに含んでいてもよく、空気流路180の空気流出孔182が内部空間141への空気流入孔を兼ねていてもよい。この場合、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと空気との混合流体は、内部空間141に流入して加熱部121Bにより生成されたエアロゾルとさらに混合され、ユーザの口腔内に到達する。
【0060】
<<2.第1の実施形態>>
(1)システム構成例
図3は、本実施形態に係るシステム1の構成の一例を示す図である。図3に示すように、システム1は、吸引装置100、及び端末装置200を含む。
【0061】
-吸引装置100の構成
本実施形態に係る吸引装置100は、基材を用いてユーザに吸引されるエアロゾルを生成する。加熱部121は、基材を用いてエアロゾルを生成する生成部の一例である。第1の構成例におけるカートリッジ120及び香味付与カートリッジ130、並びに第2の構成例におけるスティック型基材150は、本実施形態における基材の一例である。吸引装置100は、吸引装置100に装着された基材を用いてエアロゾルを生成する。第1の構成例において、電源ユニット110に接続されたカートリッジ120及び香味付与カートリッジ130は、吸引装置100に装着された基材の一例である。第2の構成例において、吸引装置100に挿入されたスティック型基材150は、吸引装置100に装着された基材の一例である。
【0062】
加熱部121は、基材から誘導された液体としてのエアロゾル源を加熱してもよい。例えば、吸引装置100は、第1の構成例において説明したように、液誘導部122により液貯蔵部123から誘導されたエアロゾル源を加熱することで、エアロゾルを生成してもよい。
【0063】
加熱部121は、エアロゾル源を含有する、所定の形状に形成された基材を加熱してもよい。所定の形状の一例は、スティック状である。例えば、吸引装置100は、第2の構成例において説明したように、スティック型基材150を加熱することで、エアロゾルを生成してもよい。所定の形状の他の一例は、カード状である。所定の形状の他の一例は、キューブ状である。
【0064】
吸引装置100は、上記説明した第1の構成例、又は第2の構成例のうち任意の構成例を取り得る。以下では、説明を簡易にするために、主に吸引装置100が第2の構成例をとる場合の例を説明する。また、以下では、吸引装置100により生成されたエアロゾルをユーザが吸引することを、単に「吸引」又は「パフ」とも称する。また、ユーザが吸引する動作を、以下ではパフ動作とも称する。
【0065】
-端末装置200の構成
端末装置200は、吸引装置100のユーザにより使用される装置である。例えば、端末装置200は、スマートフォン、タブレット端末又はウェアラブルデバイス等の任意の情報処理装置により構成される。図3に示すように、端末装置200は、入力部210、出力部220、通信部230、記憶部240、及び制御部250を含む。
【0066】
入力部210は、各種情報の入力を受け付ける機能を有する。入力部210は、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置を含んでいてもよい。入力装置としては、例えば、ボタン、キーボード、タッチパネル、及びマイク等が挙げられる。他にも、入力部210は、画像センサ等の各種センサを含んでいてもよい。
【0067】
出力部220は、情報を出力する機能を有する。出力部220は、ユーザに対し情報を出力する出力装置を含んでいてもよい。出力装置としては、例えば、情報を表示する表示装置、発光する発光装置、振動する振動装置、及び音を出力する音出力装置等が挙げられる。表示装置の一例は、ディスプレイである。発光装置の一例は、LED(Light Emitting Diode)である。振動装置の一例は、偏心モータである。音出力装置の一例は、スピーカである。出力部220は、制御部250から入力された情報を出力することで、情報をユーザに通知する。
【0068】
通信部230は、端末装置200と他の装置との間で情報の送受信を行うための、通信インタフェースである。通信部230は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。かかる通信規格としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。
【0069】
記憶部240は、各種情報を記憶する。記憶部240は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。
【0070】
制御部250は、演算処理装置又は制御装置として機能し、各種プログラムに従って端末装置200内の動作全般を制御する。制御部250は、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。他に、制御部250は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、並びに適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。端末装置200は、制御部250による制御に基づいて、各種処理を実行する。入力部210により入力された情報の処理、出力部220による情報の出力、通信部230による情報の送受信、並びに記憶部240による情報の記憶及び読み出しは、制御部250により制御される処理の一例である。各構成要素への情報の入力、及び各構成要素から出力された情報に基づく処理等、端末装置200により実行されるその他の処理も、制御部250により制御される。
【0071】
なお、制御部250の機能は、アプリケーションを用いて実現されてもよい。当該アプリケーションは、プリインストールされていてもよいし、ダウンロードされてもよい。また、制御部250の機能は、PWA(Progressive Web Apps)により実現されてもよい。
【0072】
-装置間通信
吸引装置100は、他の装置と通信可能である。吸引装置100と他の装置との間の通信に用いられる通信リンクは、無線であってもよいし、有線であってもよい。本実施形態では、通信リンクが無線であるものとして説明する。
【0073】
とりわけ、吸引装置100は、ペアリングされた他の装置との間で接続を確立し、情報を送受信する。ペアリングとは、2つの装置の間で、互いの情報を交換し保存する処理である。交換される情報の一例は、SSID(Service Set Identifier)等の相手の識別情報、及び送受信される情報の暗号化に用いられる暗号化鍵に関する情報である。
【0074】
吸引装置100及び端末装置200は、まずペアリングを行い、その後情報を送受信する。吸引装置100と端末装置200との間の無線通信に用いられる無線通信規格は、Bluetooth等の近距離無線通信規格であることが望ましい。その場合、吸引装置100及び端末装置200は、近距離無線通信が可能な範囲内に位置する場合に、接続を確立し、通信することが可能となる。以下では、吸引装置100と端末装置200とは、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))に準拠した通信を行うものとする。
【0075】
(2)ロック機能
吸引装置100は、ロック機能を有する。ロック機能とは、加熱部121による加熱の可否を制御する機能である。以下では、加熱部121による加熱が禁止されることを、ロックとも称する。また、加熱部121による加熱を許可することを、ロックを解除するとも称する。
【0076】
ロックが解除された状態で、加熱開始を指示するユーザ操作が行われた場合、吸引装置100は、加熱部121による加熱を開始する。加熱開始を指示する操作の一例は、吸引装置100に設けられたボタンの押下である。他方、ロックがかかっている状態で、加熱開始を指示するユーザ操作が行われた場合、吸引装置100は、加熱部121による加熱を開始しない。かかる構成によれば、ロックが掛かっている状態では、例えば鞄の中でボタンが誤って押下されても加熱部121による加熱が開始されないので、吸引装置100の使用に関する安全性を向上させることが可能となる。
【0077】
吸引装置100は、第1の条件が満たされた場合に、ロックを解除する。複数の第1の条件が設定されている場合、吸引装置100は、複数の第1の条件のうちいずれかが満たされた場合に、ロックを解除してもよい。
【0078】
第1の条件は、予め設定された第1の操作パターンに対応する操作が検出されたことを含んでいてもよい。操作パターンとは、吸引装置100に設けられた物理的な操作を受付可能な操作部に対する操作の組み合わせである。吸引装置100には、一例として、ボタン、及び開口142を開閉するスライダが、操作部として設けられていてもよい。その場合、ボタンの押下と開口142を開閉する操作との組み合わせにより、第1の操作パターンが設定される。かかる構成によれば、第1の操作パターンに対応する操作が行われない限り、ロックが解除されない。従って、ユーザ以外の、例えば子供による誤使用を防止することができるので、吸引装置100の使用に関する安全性を向上させることが可能となる。
【0079】
第1の条件は、吸引装置100と端末装置200とが通信していることを含んでいてもよい。ここでの、吸引装置100と端末装置200とが通信していることの一例は、吸引装置100と端末装置200との間でBLE等の近距離無線通信規格による接続が確立していることである。かかる構成によれば、吸引装置100及び端末装置200が、近距離無線通信が可能な範囲内に位置し、且つ通信を行っている場合に限りロックが解除され、そうでない場合にロックが解除されない。従って、ユーザが端末装置200を携帯して外出した場合に、自宅に残された吸引装置100が例えば子供により誤使用されることを防止することが可能となる。よって、吸引装置100の使用に関する安全性を向上させることが可能となる。他方、ユーザが端末装置200を携帯しながら吸引装置100を使用する場合、自動的にロックが解除されるので、ロック解除のための操作を行う手間を削減しユーザビリティを高めることができる。
【0080】
吸引装置100は、第2の条件が満たされた場合に、ロックをかける。複数の第2の条件が設定されている場合、吸引装置100は、複数の第2の条件のうちいずれかが満たされた場合に、ロックをかけてもよい。
【0081】
第2の条件は、予め設定された第2の操作パターンに対応する操作が検出されたことを含んでいてもよい。かかる構成によれば、ユーザによる明示的な操作に基づいてロックをかけることが可能となる。
【0082】
第2の条件は、吸引装置100と端末装置200との通信が終了したことを含んでいてもよい。即ち、第2の条件は、吸引装置100と端末装置200との間で確立していたBLE等の近距離無線通信規格による接続が切断したことを含んでいてもよい。かかる構成によれば、ユーザが端末装置200を携帯して外出した場合に、自宅に残された吸引装置100に自動的にロックをかけることが可能となる。
【0083】
(3)ログ情報の取得
吸引装置100は、吸引装置100の使用に応じて取得される情報であるログ情報を記憶部114に記憶する。ログ情報は、吸引装置100に関する所定の動作が行われた場合に取得される。そして、ログ情報は、吸引装置100に関する所定の動作が行われた時刻を示す情報を含む。例えば、吸引装置100は、吸引装置100に関する所定の動作が行われた時刻を示す情報と、当該所定の動作を示す識別情報とを対応付けて記憶する。そして、吸引装置100は、記憶部114に記憶されたログ情報を端末装置200に送信する。なお、吸引装置100と端末装置200とは常時接続しているわけではないと想定される。そのため、吸引装置100は、端末装置200と接続していない間ログ情報を蓄積し、端末装置200と接続されたタイミングで、蓄積したログ情報を送信する。
【0084】
端末装置200は、吸引装置100から受信したログ情報を他の装置に転送する。他の装置の一例は、吸引装置100に関するサービスを提供するサーバである。サーバは、ログ情報を収集及び解析し、吸引装置100のファームウェアのアップデート等のサービスに活用する。かかる構成により、吸引装置100に関し提供されるサービスを向上させることが可能である。
【0085】
また、端末装置200は、吸引装置100から受信したログ情報をユーザに対し出力してもよい。その場合、ユーザは、ユーザ自身による吸引装置100の使用履歴を閲覧することが可能となる。
【0086】
-時刻を示す情報
吸引装置100は、カウンタを有する。カウンタとは、数を数える論理的又は物理的な構成要素である。
【0087】
吸引装置100は、単位時間が経過する度にカウンタの値を変化させる。変化の一例は、カウントアップである。カウンタは、例えば、制御部116を構成するCPUのクロックパルスの数を数えてもよく、その場合、単位時間はクロックパルスの長さに対応する。若しくは、カウンタは、RTC(real-time clock)であってもよく、単位時間は1秒であってもよい。吸引装置100は、吸引装置100が初めて起動されたタイミングから、カウンタの値の変化を開始する。かかる構成により、異なるタイミングにおけるカウンタの値が異なることが保証される。従って、カウンタの値に基づく時刻の計算が可能となる。
【0088】
ログ情報は、時刻を示す情報として、カウンタの値を含む。即ち、ログ情報は、吸引装置100に関する所定の動作が行われた時刻を示す情報として、吸引装置100に関する所定の動作が行われた第1のタイミングにおけるカウンタの値を含む。かかる構成により、後述するように、吸引装置100に関する所定の動作が行われた第1のタイミングに対応する時刻を、端末装置200において計算することが可能となる。
【0089】
吸引装置100は、記憶したログ情報を第2のタイミングにおいて送信し、第2のタイミングにおけるカウンタの値を送信する。その結果、端末装置200は、吸引装置100に関する所定の動作が行われた第1のタイミングにおけるカウンタの値を含むログ情報、及び吸引装置100がログ情報を送信する第2のタイミングにおけるカウンタの値を受信する。そして、端末装置200は、第1のタイミングにおけるカウンタの値、第2のタイミングにおけるカウンタの値、及び端末装置200がログ情報を受信した時刻に基づいて、第1のタイミングに対応する時刻を計算する。ここでの第1のタイミングに対応する時刻とは、吸引装置100に関する所定の動作が行われたタイミングにおける、端末装置200に搭載された時計が指す時刻である。端末装置200がログ情報を受信した時刻は、第2のタイミングにおけるカウンタの値に対応する。また、第1のタイミングにおけるカウンタの値と第2のタイミングにおけるカウンタの値との差分にカウンタの単位時間を乗算することで計算される時間は、第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間に相当する。そこで、端末装置200は、端末装置200がログ情報を受信した時刻から、計算された第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間を巻き戻した時刻を、第1のタイミングに対応する時刻として計算する。
【0090】
一例として、端末装置200がログ情報を受信した時刻が10時15分である例が想定される。第1のタイミングにおけるカウンタの値が400であり、第2のタイミングにおけるカウンタの値が1000であるものとする。カウンタの単位時間は1秒であるものとする。その場合、1000から400を差し引いた600に単位時間である1秒を乗算した600秒が、第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間である。よって、10時15分から600秒前の時刻である10時5分が、第1のタイミングに対応する時刻である、と計算される。
【0091】
かかる構成により、第1のタイミングに対応する時刻を、端末装置200において計算することが可能となる。また、吸引装置100に時計が搭載されていない場合、又は吸引装置100に搭載された時計と端末装置200に搭載された時計とにズレがある場合であっても、端末装置200に搭載された時計を基準とする、第1のタイミングに対応する時刻を取得することが可能である。
【0092】
端末装置200は、ログ情報に含まれるカウンタの値を、計算した時刻に変換してもよい。そして、端末装置200は、変換後のログ情報を記憶したり、他の装置に転送したりしてもよい。他の装置の一例は、吸引装置100に関するサービスを提供するサーバである。かかる構成によれば、サーバにおける解析に、ログ情報が取得された時刻を用いることが可能となる。
【0093】
吸引装置100は、カウンタの単位時間を示す情報を送信してもよい。その場合、端末装置200は、受信した情報により示されるカウンタの単位時間にさらに基づいて、第1のタイミングに対応する時刻を計算する。詳しくは、端末装置200は、第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間を計算する際に、第1のタイミングにおけるカウンタの値と第2のタイミングにおけるカウンタの値との差分に、受信した情報により示されるカウンタの単位時間を乗算する。かかる構成によれば、吸引装置100ごとにカウンタの単位時間が異なる場合であっても、正確な時刻を計算することが可能となる。
【0094】
-所定の動作の例
所定の動作は、加熱部121がエアロゾルの生成を開始する動作を含んでいてもよい。例えば、吸引装置100は、加熱開始を指示するユーザ操作が行われ、加熱部121が加熱を開始したタイミングにおけるカウンタの値を含むログ情報を記憶する。かかる構成によれば、吸引装置100がエアロゾルの生成を開始した時刻を、端末装置200において計算することが可能となる。
【0095】
所定の動作は、ユーザがエアロゾルを吸引する動作を含んでいてもよい。例えば、吸引装置100は、加熱部121の温度低下、又は空気流路180を流れる空気流量の増加等の、ユーザによるパフに伴う値が検出されたタイミングにおけるカウンタの値を含むログ情報を記憶する。かかる構成によれば、ユーザがパフを行った時刻を、端末装置200において計算することが可能となる。
【0096】
所定の動作は、電力を蓄積し吸引装置100の動作のために供給する電源部111を充電する動作を含んでいてもよい。例えば、吸引装置100は、USB等を介して外部電源に接続された場合に、電源部111の充電を開始する。その場合、吸引装置100は、外部電源に接続され充電が開始されたタイミングにおけるカウンタの値を含むログ情報を記憶する。かかる構成によれば、吸引装置100が充電を開始した時刻を、端末装置200において計算することが可能となる。
【0097】
所定の動作は、ロック機能に設定された第1の条件を満たす動作を含んでいてもよい。例えば、吸引装置100は、予め設定された第1の操作パターンに対応する操作が検出されたこと、又は吸引装置100と端末装置200との接続が確立したことに基づきロックが解除されたタイミングにおける、カウンタの値を含むログ情報を記憶する。かかる構成によれば、吸引装置100のロックが解除された時刻を、端末装置200において計算することが可能となる。
【0098】
所定の動作は、ロック機能に設定された第2の条件を満たす動作を含んでいてもよい。例えば、吸引装置100は、予め設定された第2の操作パターンに対応する操作が検出されたこと、又は吸引装置100と端末装置200との接続が切断されたことに基づきロックがかけられたタイミングにおける、カウンタの値を含むログ情報を記憶する。かかる構成によれば、吸引装置100のロックがかけられた時刻を、端末装置200において計算することが可能となる。
【0099】
(4)電力残量低下時の対処
吸引装置100は、電源部111の電力残量が閾値未満になったことをトリガとして、記憶部114に記憶されているログ情報に対し所定の処理を実行する。上記閾値の一例は、放電終止電圧、又は放電終止電圧に所定値を加えた値である。放電終止電圧とは、その電圧に至った後は放電しないことが推奨される電圧である。その場合、吸引装置100は、電源部111が過放電状態になったこと、又は過放電が間近な状態になったことをトリガとして、記憶部114に記憶されているログ情報に対し所定の処理を実行する。過放電状態、又は過放電が間近な状態に至った場合、ログ情報を正しく記憶することが困難になり得る。この点、かかる構成によれば、吸引装置100が記憶するログ情報に関し、一定の信頼性を維持することが可能となる。
【0100】
ここで注意すべきは、電源部111の電力残量が閾値未満になった場合、カウンタが停止する又はリセットされ得る点である。カウンタを動作させるための電力が不足するためである。この場合、ログ情報に含まれるカウンタの値に基づいて、ログ情報が取得された時刻を正確に計算することが困難になる。なぜならば、カウンタが停止する又はリセットされると、第1のタイミングにおけるカウンタの値と、ログ情報を送信した第2のタイミングにおけるカウンタの値との差分が、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の時間間隔に一致しなくなるためである。
【0101】
具体例として、吸引装置100が長期間放置され、その間カウンタが停止している例が考えらえる。吸引装置100は、長期間放置された後、充電されて再度起動され、それに伴いカウンタが再開され、放置される前に記憶されたログ情報を送信する。その場合、ログ情報を取得した第1のタイミングにおける停止前のカウンタの値と、ログ情報を送信した第2のタイミングにおける再開後のカウンタの値との差分は、カウンタが停止していた期間の長さを反映しない。そのため、端末装置200は、ログ情報を取得した時刻として、カウンタが停止していた時間の分だけ実際よりも遅い時刻を、誤って算出してしまう。この点、本実施形態によれば、吸引装置100が記憶するログ情報のうち、とりわけログ情報が取得された時刻を示す情報について、一定の信頼性を維持することが可能となる。
【0102】
所定の処理の一例は、記憶部114に記憶されているログ情報に対し所定のフラグを付与することである。所定のフラグは、ログ情報に含められていてもよい。かかる構成によれば、電源部111の電力残量が閾値未満になったときに記憶されていたログ情報と、電源部111が充電されて電力残量が閾値以上になった後に記憶されたログ情報とを、区別することが可能となる。
【0103】
そして、吸引装置100は、記憶部114に記憶されたログ情報を、付与された所定のフラグと共に送信してもよい。かかる構成によれば、端末装置200において、電源部111の電力残量が閾値未満になったときに記憶されていたログ情報と、電源部111が充電されて電力残量が閾値以上になった後に記憶されたログ情報とを、区別することが可能となる。
【0104】
端末装置200は、受信されたログ情報に所定のフラグが付与されているか否かに応じて、ログ情報に対し異なる処理を実行する。かかる構成によれば、時刻を示す情報が不正確なログ情報と、時刻を示す情報が正確なログ情報とに、それぞれ異なる処理が適用される。従って、端末装置200において、ログ情報に関する一定の信頼性を維持することが可能となる。
【0105】
一例として、端末装置200は、所定のフラグが付与されたログ情報を破棄し、所定のフラグが付与されていないログ情報を記憶部240に記憶してもよい。かかる構成によれば、時刻を示す情報が不正確なログ情報を破棄し、時刻を示す情報が正確なログ情報のみを選択的に記憶することが可能となる。
【0106】
他の一例として、端末装置200は、ログ情報を所定のフラグが付与されているか否かに応じて異なる形態で出力部220により出力してもよい。かかる構成によれば、時刻を示す情報が不正確なログ情報と、時刻を示す情報が正確なログ情報とを、ユーザに区別可能に提供することが可能となる。例えば、端末装置200は、所定のフラグが付与されたログ情報が取得された時刻を示す情報が正確ではないことを示す情報を出力する。かかる構成によれば、時刻を示す情報が不正確なログ情報について、ユーザに注意を促すことができる。
【0107】
他の一例として、端末装置200は、ログ情報に含まれる、ログ情報が取得された時刻を示す情報(例えば、カウンタの値)を削除してもよい。かかる構成によれば、ログ情報のうち不正確な時刻を示す情報のみを削除することができる。よって、不正確な時刻を示す情報を含まないログ情報がサーバに転送されるので、吸引装置100に関するサービスの向上に資することが可能である。
【0108】
(5)処理の流れ
-ログ情報に関する処理の流れ
図4は、本実施形態に係るシステム1において実行されるログ情報に関する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、吸引装置100及び端末装置200が関与する。以下では、吸引装置100に関する所定の動作の一例としてパフに関するログ情報が取得された場合の処理について説明する。
【0109】
図4に示すように、まず、吸引装置100は、パフが行われた場合に、パフが行われた第1のタイミングにおけるカウンタの値を含むログ情報を記憶する(ステップS102)。吸引装置100は、パフが行われる度に、ステップS102にかかる処理を繰り返し実行する。
【0110】
次いで、吸引装置100と端末装置200とは、接続を確立する(ステップS104)。例えば、吸引装置100と端末装置200とが近距離無線通信が可能な範囲内に位置し、且つ吸引装置100に対し所定のユーザ操作が行われた場合に、吸引装置100と端末装置200とは接続を確立する。
【0111】
次に、吸引装置100は、ステップS102において記憶したログ情報を送信すると共に、ログ情報を送信する第2のタイミングにおけるカウンタの値を送信する(ステップS106)。これらの情報は、端末装置200により受信される。
【0112】
そして、端末装置200は、受信した情報、及び端末装置200がログ情報を受信した時刻に基づいて、パフが行われた第1のタイミングに対応する時刻を計算する(ステップS108)。詳しくは、まず、端末装置200は、パフが行われた第1のタイミングにおけるカウンタの値と吸引装置100がログを送信した第2のタイミングにおけるカウンタの値との差分にカウンタの単位時間を乗算することで、これらのタイミング間の時間を計算する。そして、端末装置200は、端末装置200がログ情報を受信した時刻から、計算した時間を巻き戻した時刻を、第1のタイミングに対応する時刻として計算する。
【0113】
次いで、端末装置200は、パフが行われた時刻を出力する(ステップS110)。その後、処理は終了する。
【0114】
-電力残量低下に関する吸引装置100における処理
図5は、本実施形態に係る吸引装置100において実行されるログ情報に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下では、吸引装置100に関する所定の動作の一例としてパフに関するログ情報が取得された場合の処理について説明する。
【0115】
図5に示すように、まず、制御部116は、パフが行われた場合に、パフが行われた第1のタイミングにおけるカウンタの値を含むログ情報を、記憶部114に記憶する(ステップS202)。
【0116】
次いで、制御部116は、電源部111の電力残量が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS204)。
【0117】
電源部111の電力残量が閾値以上であると判定された場合(ステップS204:NO)、制御部116は、記憶部114に記憶されたログ情報を送信すると共に、ログ情報を送信する第2のタイミングにおけるカウンタの値を送信する(ステップS212)。その後、処理は終了する。
【0118】
他方、電源部111の電力残量が閾値未満であると判定された場合(ステップS204:YES)、制御部116は、記憶部114に記憶されているログ情報に対し所定のフラグを付与する(ステップS206)。
【0119】
次に、制御部116は、電源部111の電力残量が閾値以上になったか否かを判定する(ステップS208)。
【0120】
電源部111の電力残量が閾値未満であると判定された場合(ステップS208:NO)、制御部116は、電源部111の電力残量が閾値以上になるまで待機する。例えば、制御部116は、吸引装置100がUSBを介して外部電源に接続され、電源部111が充電されるまで待機する。
【0121】
他方、電源部111の電力残量が閾値以上であると判定された場合(ステップS208:YES)、制御部116は、記憶部114に記憶されたログ情報、及び付与された所定のフラグを送信すると共に、ログ情報を送信する第2のタイミングにおけるカウンタの値を送信するよう通信部115を制御する(ステップS210)。ログ情報が送信された後、送信されたログ情報に付与されていたフラグは、記憶部114から削除されてもよい。その後、処理は終了する。
【0122】
-電力残量低下に関する端末装置200における処理
図6は、本実施形態に係る端末装置200において実行されるログ情報に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下では、吸引装置100に関する所定の動作の一例としてパフに関するログ情報が取得された場合の処理について説明する。
【0123】
図6に示すように、まず、通信部230は、パフが行われた第1のタイミングにおけるカウンタの値を含むログ情報、及び吸引装置100がログ情報を送信する第2のタイミングにおけるカウンタの値を受信する(ステップS302)。
【0124】
次いで、制御部250は、受信した情報、及び端末装置200がログ情報を受信した時刻に基づいて、パフが行われた第1のタイミングに対応する時刻を計算する(ステップS304)。
【0125】
次に、制御部250は、ログ情報に所定のフラグが付与されているか否かを判定する(ステップS306)。
【0126】
ログ情報に所定のフラグが付与されていると判定された場合(ステップS306:YES)、制御部250は、パフが行われた時刻を示す情報と、当該時刻が正確ではないことを示す情報とを出力するよう出力部220を制御する(ステップS308)。
【0127】
他方、ログ情報に所定のフラグが付与されていないと判定された場合(ステップS306:NO)、制御部250は、パフが行われた時刻を示す情報を出力するよう出力部220を制御する(ステップS310)。
【0128】
<<3.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0129】
例えば、上記実施形態では、電力残量低下時に実行される所定の処理の一例として、ログ情報に所定のフラグを付与する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。
【0130】
一例として、電力残量低下時に実行される所定の処理は、ログ情報に含まれる、ログ情報が取得された時刻を示す情報(即ち、カウンタの値)を削除することであってもよい。かかる構成によれば、ログ情報のうち不正確な時刻を示す情報のみを削除することができる。よって、不正確な時刻を示す情報を含まないログ情報が充電後に送信されるので、ユーザに提供される情報量の低下を防止すると共に、サーバによる吸引装置100に関するサービスの向上に資することが可能である。
【0131】
他の一例として、電力残量低下時に実行される所定の処理は、ログ情報を記憶部114から削除することであってもよい。かかる構成によれば、時刻を示す情報が不正確なログ情報を吸引装置100に残さないようにすることが可能である。
【0132】
ここで、記憶部114は、不揮発性の記憶媒体に加え、揮発性の記憶媒体を含んでいてもよい。そして、ログ情報が不揮発性の記憶媒体に記憶され、不揮発性の記憶媒体のどの領域にログ情報が記憶されているかを示す論理的位置情報が、揮発性の記憶媒体に記憶されてもよい。この場合、電力残量低下時に実行されるログ情報の削除は、揮発性の記憶媒体に記憶された論理的位置情報を消去することにより、実現されてもよい。論理的位置情報が消去されると、不揮発性の記憶媒体に記憶されたログ情報にアクセスできなくなるためである。なお、揮発性の記憶媒体に記憶された論理的位置情報の消去は、揮発性の記憶媒体への給電停止に伴う消去であってもよい。
【0133】
例えば、上記実施形態では、吸引装置100がログ情報と共に、ログ情報に付与された所定のフラグを送信する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。吸引装置100において、所定のフラグに応じた他の処理が実行されてもよい。
【0134】
一例として、吸引装置100は、所定の条件が満たされたことをトリガとして、所定のフラグが付与されたログ情報を記憶部114から削除してもよい。所定の条件の一例は、電源部111の充電が開始されたことである。所定の条件の他の一例は、電源部111が充電され、電源部111の電力残量が閾値以上になったことである。吸引装置100の電力残量が閾値未満になった後にログ情報を削除することは、電力不足により途中で中断され得る等信頼性に欠けるとも言える。この点、かかる構成によれば、電力残量が十分にある状態でログ情報を削除することができるので、削除処理に関する信頼性を高めることが可能である。また、かかる構成によれば、時刻を示す情報が不正確なログ情報を、送信することなく削除することができるので、通信量を削減することが可能である。
【0135】
他の一例として、吸引装置100は、所定の条件が満たされたことをトリガとして、所定のフラグが付与されたログ情報に含まれる、ログ情報が取得された時刻を示す情報(即ち、カウンタの値)を削除してもよい。所定の条件の一例は、電源部111の充電が開始されたことである。所定の条件の他の一例は、電源部111が充電され、電源部111の電力残量が閾値以上になったことである。かかる構成によれば、不正確な時刻を示す情報のみを削除し、その他の情報については送信される。従って、ユーザに提供される情報量の低下を防止すると共に、サーバによる吸引装置100に関するサービスの向上に資することが可能である。また、上記構成によれば、信頼性の欠ける状態での削除を回避し、電力残量が十分にある状態で不正確な時刻を示す情報を削除することが可能である。
【0136】
例えば、上記実施形態では、吸引装置100と端末装置200とが直接的に通信する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。吸引装置100と端末装置200とは、中継装置を介して間接的に通信してもよい。そのような中継装置としては、吸引装置100を充電する充電器が挙げられる。中継装置は、ログ情報及び第2のタイミングにおけるカウンタの値を、吸引装置100から受信し、端末装置200に転送する。中継装置がログ情報を遅滞なく転送可能な場合、端末装置200は、上記実施形態において説明した方法で、吸引装置100においてログ情報が取得された時刻を計算することができる。他方、中継装置にログ情報が滞留し転送するまでにタイムラグが生じる場合もあり得る。その場合、中継装置は、中継装置に搭載されたカウンタの、吸引装置100から情報を受信した第2のタイミングにおける値と端末装置200に送信する第3のタイミングにおける値とを、さらに端末装置200に送信する。端末装置200は、第2のタイミング及び第3のタイミングにおけるカウンタの値の差分に基づいて、中継装置にログ情報が滞留していた時間長を計算する。そして、端末装置200は、中継装置にログ情報が滞留していた時間長を加味することで、吸引装置100においてログ情報が取得された時刻を計算することができる。
【0137】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、本明細書において説明した各装置を制御するコンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0138】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0139】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
吸引装置であって、
基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
情報を記憶する記憶部と、
前記吸引装置の動作のための電力を蓄積及び供給する電源部と、
前記吸引装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に取得される情報であるログ情報を前記記憶部に記憶し、
前記電源部の電力残量が閾値未満になったことをトリガとして、前記記憶部に記憶されている前記ログ情報に対し所定の処理を実行する、
吸引装置。
(2)
前記所定の処理は、前記記憶部に記憶されている前記ログ情報に対し所定のフラグを付与することである、
前記(1)に記載の吸引装置。
(3)
前記吸引装置は、他の装置と通信する通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記ログ情報を、付与された前記所定のフラグと共に送信するよう前記通信部を制御する、
前記(2)に記載の吸引装置。
(4)
前記制御部は、前記電源部の充電が開始されたことをトリガとして、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報を前記記憶部から削除する、
前記(2)に記載の吸引装置。
(5)
前記制御部は、前記電源部の充電が開始されたことをトリガとして、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報に含まれる、前記ログ情報が取得された時刻を示す情報を削除する、
前記(2)に記載の吸引装置。
(6)
前記所定の処理は、前記ログ情報に含まれる、前記ログ情報が取得された時刻を示す情報を削除することである、
前記(1)に記載の吸引装置。
(7)
前記所定の処理は、前記ログ情報を前記記憶部から削除することである、
前記(1)に記載の吸引装置。
(8)
前記制御部は、単位時間が経過する度にカウンタの値を変化させ、
前記ログ情報は、前記所定の動作が行われた時刻を示す情報として、前記所定の動作が行われた第1のタイミングにおける前記カウンタの値を含む、
前記(1)~(7)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(9)
前記吸引装置は、他の装置と通信する通信部をさらに備え、
前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記ログ情報を第2のタイミングにおいて送信し、前記第2のタイミングにおける前記カウンタの値を送信する、
前記(8)に記載の吸引装置。
(10)
前記所定の動作は、前記生成部がエアロゾルの生成を開始する動作を含む、
前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(11)
前記所定の動作は、ユーザがエアロゾルを吸引する動作を含む、
前記(1)~(10)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(12)
前記所定の動作は、前記電源部を充電する動作を含む、
前記(1)~(11)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(13)
前記制御部は、第1の条件が満たされた場合にエアロゾルの生成を許可し、
前記所定の動作は、前記第1の条件を満たす動作を含む、
前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(14)
前記制御部は、第2の条件が満たされた場合にエアロゾルの生成を禁止し、
前記所定の動作は、前記第2の条件を満たす動作を含む、
前記(1)~(13)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(15)
他の装置と通信する通信部と、
前記通信部により受信された、基材を用いてエアロゾルを生成する吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に前記吸引装置により取得されるログ情報に、所定のフラグが付与されているか否かに応じて、前記ログ情報に対し異なる処理を実行する制御部と、
を備える端末装置。
(16)
前記端末装置は、情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報を破棄し、前記所定のフラグが付与されていない前記ログ情報を前記記憶部に記憶する、
前記(15)に記載の端末装置。
(17)
前記端末装置は、情報を出力する出力部をさらに備え、
前記制御部は、前記ログ情報を前記所定のフラグが付与されているか否かに応じて異なる形態で出力するよう前記出力部を制御する、
前記(15)又は(16)に記載の端末装置。
(18)
前記制御部は、前記所定のフラグが付与された前記ログ情報が取得された時刻を示す情報が正確ではないことを示す情報を出力するよう前記出力部を制御する、
前記(17)に記載の端末装置。
(19)
前記吸引装置は、単位時間が経過する度にカウンタの値を変化させ、
前記ログ情報は、前記所定の動作が行われた第1のタイミングにおける前記カウンタの値を含み、
前記通信部は、前記吸引装置が前記ログ情報を送信する第2のタイミングにおける前記カウンタの値を受信し、
前記制御部は、前記第1のタイミングにおける前記カウンタの値、前記第2のタイミングにおける前記カウンタの値、及び前記通信部が前記ログ情報を受信した時刻に基づいて、前記第1のタイミングに対応する時刻を計算する、
前記(15)~(18)のいずれか一項に記載の端末装置。
(20)
他の装置と通信する端末装置を制御するコンピュータに、
前記端末装置により受信された、基材を用いてエアロゾルを生成する吸引装置に関する所定の動作が行われた場合に前記吸引装置により取得されるログ情報に、所定のフラグが付与されているか否かに応じて、前記ログ情報に対し異なる処理を実行すること、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0140】
1 システム
100 吸引装置
110 電源ユニット
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
120 カートリッジ
121 加熱部
122 液誘導部
123 液貯蔵部
124 マウスピース
130 香味付与カートリッジ
131 香味源
140 保持部
141 内部空間
142 開口
143 底部
144 断熱部
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
180 空気流路
181 空気流入孔
182 空気流出孔
200 端末装置
210 入力部
220 出力部
230 通信部
240 記憶部
250 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6