(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】光漏れ防止部を有する発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 43/00 20180101AFI20240903BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240903BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240903BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240903BHJP
【FI】
F21S43/00
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:20
(21)【出願番号】P 2022572440
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2021063946
(87)【国際公開番号】W WO2021239753
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-24
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピノー、トマ
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-131004(JP,U)
【文献】実開昭50-133078(JP,U)
【文献】実開昭61-029406(JP,U)
【文献】実開昭59-002005(JP,U)
【文献】実開昭59-076007(JP,U)
【文献】特開2008-192354(JP,A)
【文献】特開2019-016512(JP,A)
【文献】特開2010-258451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21W 103/00
F21W 103/35
F21W 103/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための発光装置(100)であって、
- 少なくとも2つの光源(10a、10b)であって、各光源が異なる光機能を生成するように適合される、少なくとも2つの光源(10a、10b)と、
- 少なくとも2つの機能エリアを有する光源支持部(12)であって、第1機能エリアが、第1光機能を生成するための第1光源(10a)を収容し、第2機能エリアが、第2光機能を生成するための第2光源(10b)を収容する、少なくとも2つの機能エリアを有する光源支持部(12)と、
-
前記光源支持部(12)において隣り合う機能エリア間に設けられる溝(14)
であって、前記光源支持部(12)の一部の厚みが局所的に小さい箇所に設けられる溝(14)と、
- 隣り合う機能エリア間の光を遮るために前記溝(14)内に
一部が挿入されるシールド(18)と、
を備える発光装置(100)。
【請求項2】
前記溝(14)は、前記光源支持部(12)の一方のエッジから反対側のエッジまで延びる、請求項1に記載の発光装置(100)。
【請求項3】
前記溝(14)は、前記光源支持部(12)の長さ
の全部又は一部に沿っ
て設けられる、請求項1に記載の発光装置(100)。
【請求項4】
前記光源支持部(12)は、前記第1機能エリアから前記第2機能エリアまで延びるトラックを有し、前記トラックは、前記光源支持部(12)上の前記
溝の外側に設けられる、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記溝(14)の形状は、矩形状のプロファイルである、請求項1~4のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項6】
前記溝(14)の形状は、湾曲したプロファイルである、請求項1~4のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項7】
前記溝(14)の形状は、三角形状のプロファイルである、請求項1~6のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項8】
前記溝(14)の深さは、光源支持部(12)の厚さの半分よりも小さい、請求項1~7のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項9】
前記溝(14)の深さは0.6mmから1.2mmの範囲である、請求項1~8のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項10】
前記溝(14)は、光吸収材料でコーティングされている、請求項1~9のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項11】
前記シールド(18)は、光吸収材料でコーティングされている、請求項1~10のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項12】
前記少なくとも2つの光源(10a、10b)はLEDである、請求項1~11のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項13】
前記光源支持部(12)はプリント回路基板である、請求項1~12のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項14】
前記溝(14)はフライス加工によって作られる、請求項1~13のいずれかに記載の発光装置(100)。
【請求項15】
前記シールド(18)は前記発光装置のハウジングから突出する、請求項1~14のいずれかに記載の発光装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車両用のマルチファンクション発光装置に関し、より詳細には、機能エリア間に光漏れ防止システムを有するマルチファンクション発光装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
最先端技術
照明装置は、自動車などにおいて、前方の道を照らすために、又は他の道路利用者に対して前方、後方又は側方に情報を与えるために、使用される。これらの現在の照明装置は、様々な種類のLED光源を使用して、高効率の光を作り出す。照明装置は、現代の自動車の要求に基づいて、多数の機能を実行するように設計される。自動車車両のテールランプは、ブレーキライト、方向指示器及びテールライトなど、様々な信号機能を行う。法規制及び設計上の目的に従って、1つのエリアからの光が他のエリア内に漏れないようにすることが求められる。これに対応するため、従来、様々なシステムが採用され或いは知られている。そのような既知の技術の1つは、2つの様々な機能エリアを別々のPCB(プリント回路基板)及び光源とともに設けて、そして壁又はシールドを使ってそれらを分離する。このシステムは更なるスペースが必要であり、洗練されたデザインを有する現代の照明装置はそのようなシステムを使用できない。また、そのシステムは、面倒で複雑な組み立てを伴い、複数のプリント回路基板を使用する場合にはコストを増大させる。現代のシステムは、複数の光源のために1つの基板を用いる。この種類のシステムにおいて、シールドは、設けられた場合に小さなセグメントを有し、そこからランプの1つのエリアからの光が他のエリアに漏れる可能性がある。つまり、シールドとプリント回路基板との間には、これらの2つの要素間における機械的な接触を避けるために、隙間が必要であり、その接触は、例えばランプが振動にさらされる場合に、ダメージを生み出しうる。この隙間を介して光漏れが可能である。
【0003】
先行技術及び従来の方法は上記のような様々な不利な点を有し、現代の照明装置の要件に適応でき且つ規制要件を満たすこともできる照明装置を考え出す必要性がある。
【0004】
発明の概要
本発明の実施形態として、自動車車両のための発光装置が、各光源が異なる光機能(photometric functions)を生成するように適合される少なくとも2つの光源、及び、第1機能エリアが第1光機能を生成するための第1光源を収容し且つ第2機能エリアが第2光機能を生成するための第2光源を収容する少なくとも2つの機能エリアを有する光源支持部と;隣り合う機能エリア間に設けられる溝と;隣り合う機能エリア間で光を遮ぎるために溝内に部分的に挿入されるシールドと、ともに設けられる。
【0005】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の内面と、溝に挿入されたシールドの部分との間に隙間が存在する。つまり、シールドが、溝において光源支持部に接触しない。したがって溝及びシールドはラビリンス(迷路)を作り出す。光は、前記ラビリンスを通過することができず、隣り合う機能エリア間で遮断される。
【0006】
本発明の非限定的な実施形態において、溝は、光源支持部の一方のエッジから反対側のエッジまで延びる。
【0007】
本発明の非限定的な実施形態において、溝は、光源支持部の長さに沿って部分的に設けられる。
【0008】
本発明の非限定的な実施形態において、光源支持部は、第1機能エリアから第2機能エリアまで延びる複数のトラック(tracks)を備え、当該複数のトラックは、光源支持部上の溝エリアの外側に設けられる。
【0009】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の形状はプロファイルが多角形である。
【0010】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の形状はプロファイルが台形である。
【0011】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の形状はプロファイルが長方形である。
【0012】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の形状はプロファイルが湾曲している。特に、そのプロファイルは、円の一部であってもよい。
【0013】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の形状はプロファイルが三角形である。
【0014】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の深さは、光源支持部の厚さの半分未満である。
【0015】
本発明の非限定的な実施形態において、溝の深さは、0.6mmから1.2mmまでの範囲である。
【0016】
本発明の非限定的な実施形態において、溝は光吸収材料でコーティングされている。
【0017】
本発明の非限定的な実施形態において、シールドは光吸収材料でコーティングされている。
【0018】
例として、光吸収材料は、暗い面倒であり、特に黒い面倒である。光源支持部及び/又はシールドの材料に適合する他の任意の暗色、特に黒色のコーティング材料を使用可能である。
【0019】
本発明の非限定的な実施形態において、光源支持部及び/又はシールドの材料は、光吸収材料、暗色、特に黒色、である。
【0020】
本発明の非限定的な実施形態において、少なくとも2つの光源はLEDである。
【0021】
本発明の非限定的な実施形態において、光源支持部は、プリント回路基板である。
【0022】
本発明の非限定的な実施形態において、溝はフライス加工によって作られる。
【0023】
本発明の非限定的な実施形態において、シールドは、発光装置のハウジングから突出している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
発明の簡単な説明
説明を完成させるため且つ発明のより良い理解を提供するために、図面のセットが提供される。前記図面は、明細書の不可欠な部分を形成し、発明の実施形態を示すものであり、発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、発明を実施することができる方法の一例としてのみ解釈されるべきである。図面は以下の特徴を含む。
【
図1a】
図1aは、従来の既知技術のある実施形態による、異なる光効果(photometric effect)を生成するための光源の2つのセットを有する発光装置の断面を示す。
【
図1b】
図1bは、従来の既知技術の別の実施形態による、異なる光効果を生成するための2セットの光源を有する発光装置の断面を示す。
【
図2】
図2は、本発明のある実施形態による、異なる光効果を生成するための2セットの光源を有する発光装置の断面を示す。
【
図3】
図3は、本発明のある実施形態による、2セットの光源を有する発光装置の光源支持部を溝とともに示す。
【
図4】
図4は、本発明のある実施形態による、2セットの光源及びシールドを有する光源支持部を有する、
図2の発光装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態による、単一の光源支持部を示す
図2の発光装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0026】
現代の自動車の照明モジュールは、様々な機能を実現するために複数の光機能が設けられる。例として、自動車のテールランプの場合、ブレーキランプ、方向指示器及びテールライトなどの様々な機能が与えられる。これらのシステムは、その機能に基づいて様々な光機能を有する。これらの種類の照明モジュールにおいて、一つの光機能が光漏れによって他の機能に影響を与えないように、様々な設備が設けられる。
【0027】
図1a及び
図1bは、異なる光効果を生み出すための2セットの光源を有する照明モジュールのための先行する既知の解決策を示す。
図1aにおいて、各光機能のために2つの別個の光源支持部が設けられており、それらはシールド又は壁(w)によって分離されている。このシールドは隣り合うエリアへの光の漏れ出しを防ぎ、また
図1aは、2つの光源支持部を接続するために使われるハーネス(H)を示す。ハーネス(H)は、両方の光源支持部における光源(10a、10b)への電力供給を確保するために使用される。この配置の欠点は、追加の部品を必要としており、組み立ての間に追加の時間を要することである。
図1bは、様々な光機能を生成するために単一の光源支持部が用いられる同様の解決策を示す。ここでも、
図1bで囲まれたエリア(参照L)における光の漏れ出しを防ぐようにシールドが設置される。このやり方では、シールドが光源支持部に接触できないため、このエリアにおける光の漏れ出しの可能性が依然としてある。
【0028】
図2は、本発明のある実施形態による、異なる光効果を生成するための2セットの光源を有する発光装置を示す。
図2に見られるように、自動車用の発光装置(100)は、少なくとも2セットの光源(10a、10b)を備える。その少なくとも2セットの光源は、異なる光機能を作り出すように適合される。このために、光源のセットは、異なる発光レベル及び/又は色を有していてもよい。その2セットの源、すなわち第1光源(10a)及び第2光源(10b)は、少なくとも2つの機能エリアを有する光源支持部(12)上に固定される。第1機能エリアは、第1光機能を生成するための第1光源(10a)を収容し、第2機能エリアは、第2光機能を生成するための第2光源(10b)を収容する。発光装置によって生成されるその2つの異なる光機能は、方向指示器又はブレーキライト又は後退灯又はテールライト又は上記の任意の組み合わせであってもよい。いくつかのケースでは、発光装置が、発明の範囲から逸脱することなく、2つよりも多い機能性を有していてもよい。この場合、各機能は、光源支持部における機能エリアに対応する光源のセットに関連づけられる。
【0029】
図3に見られるように、本発明のある実施形態によれば、2セットの光源(10a及び10b)を有する発光装置(100)の光源支持部は、溝(14)とともに設けられる。溝(14)は、発光装置の隣り合う機能エリア間に設けられる。本発明のある実施形態において、溝(14)は、この図上で見えるように、光源支持部の一方のエッジから反対側のエッジまで延びるように設けられる。溝(14)は、光源支持部の材料をフライス加工で除去することで作られる。溝(14)の深さは、光源支持部の厚さの半分よりも小さいように設計される。発明の非限定的な実施形態における溝(14)の深さは、0.6mm~1.2mmの範囲である。いくつかの非限定的な実施形態において、溝深さが光源支持部の厚さの半分よりも小さく且つ同時に0.6~1.2mmの範囲でもあるようなPCBの厚さを有することが、可能である。非限定的なある実施形態における溝(14)のプロファイルは、横方向の断面で、すなわち溝の延長方向に垂直な平面による断面で考えた場合、長方形である。同様の結果を達成するために、上記に加え、三角形プロファイル、湾曲プロファイル又は同様のプロファイルなどの他の形状も、溝(14)に関して使用可能である。
【0030】
図4及び
図5はそれぞれ、本発明のある実施形態による
図2の発光装置の斜視図及び上面図を示し、当該発光装置は、2セットの光源及びシールドを有する光源支持部を有する。ここでの光源支持部(12)は、
図5に見られるように、単一体で作られる。さらに、光源支持部の機能エリアが、同じ光源支持部上で区別できるエリアを有することが、
図4において分かる。
【0031】
さらに、
図2に見られるように、シールド(18)が部分的に溝(14)内に挿入される。
図3から分かるように、シールド(18)は、突出しているか、又は、発光装置のハウジング(図示せず)の一体部分である。シールド(18)は、隣り合う機能エリア間の光を遮る役割を果たす。シールド(18)は、シールド(18)が光源を支持する光源支持部(12)の表面と交差し且つ当該表面を越えるように、それが部分的に溝(18)内に挿入されるように設けられる。溝(14)の内面と、溝内に挿入されるシールド(18)の部分との間には、隙間が存在する。つまり、シールドは、溝(14)において光源支持部(12)に接触しない。このように、溝(14)及びシールド(18)は、ラビリンスを作り出す。光は前記ラビリンスを通過することができず、隣り合う機能エリア間で遮られる。シールド(18)は光源支持部(12)を支持しないので、発光装置におけるあらゆる干渉を防ぐ。シールドと光源支持部との間の接触はそれらにダメージを与えうるものであり、装置の通常の使用で発生する振動による摩耗によってダストが作り出されうる。光機能はシールド(18)により、第1光源(10a)によって生み出される光機能は第1機能エリア内に反射され、同様に第2光源(10b)によって生み出される第2機能エリア内に反射される。これは、1つの機能エリアから隣り合う機能エリアへの光漏出又は光機能の漏出を防ぐ。
【0032】
本発明のある実施形態において、溝(14)は、発光装置(100)の光源支持部(12)の長さに沿って部分的に設けられる。この実施形態において、溝の少なくとも一端部と支持部の一エッジとの間に光支持部上の空間が存在する。光源支持部(12)は、第1機能エリアから第2機能エリアまで走るトラックを有し、そのトラックは、溝(14)と干渉することなく、光源支持部上の溝エリアの外側に設けられる。さらに、溝は、光吸収材料によりコーティングされて光機能遮断性を向上させることができる。いくつかのケースでは、発光装置の機能エリア内のホットスポット(hot spots)又は不要な光効果を防止するように、シールド(18)は光吸収材料によりコーティングされることもできる。本発明の別の実施形態において、光源支持部及び/又はシールドの材料は、光吸収性材料である。
【0033】
ある実施形態において、光源支持部(12)は、少なくとも2つのセットの光源(10a、10b)が実装されるプリント回路基板である。その光源はここではLEDであるが、いくつかのケースでは電球又はレーザー又はレーザーダイオードなどの他の任意の種類とすることができる。