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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ボタン電池及びその製造方法、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/636 20210101AFI20240903BHJP
   H01M 50/627 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/153 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20240903BHJP
【FI】
H01M50/636
H01M50/627
H01M50/109
H01M50/153
H01M50/545
H01M50/56
H01M50/531
H01M50/536
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022574616
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2021098182
(87)【国際公開番号】W WO2021244618
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】202010496417.7
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110394741.2
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522442283
【氏名又は名称】チューハイ コスミクス バッテリー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ペン,ニン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ロンユン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ユシャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ジダ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨンワン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジフェン
(72)【発明者】
【氏名】スー,ディシェン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ホンカイ
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110459705(CN,A)
【文献】国際公開第2019/013326(WO,A1)
【文献】特開2014-026865(JP,A)
【文献】特開2000-268811(JP,A)
【文献】特開2019-145376(JP,A)
【文献】特開2015-176637(JP,A)
【文献】特開2019-046639(JP,A)
【文献】特開平02-065066(JP,A)
【文献】特開2020-268811(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111613739(CN,A)
【文献】中国実用新案第204596910(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-198
H01M 50/50-691
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン電池であって、シェル、電極アセンブリ及びシーリング部材を含み、前記シェル内に収納室があり、前記電極アセンブリは前記収納室内に位置し、前記シェルに注液孔が設けられ、
前記シェルの外面に凹部が設けられ、前記凹部は前記収納室の内側に凹み、前記凹部は前記注液孔の孔口に位置し、且つ前記注液孔に連通し、前記シーリング部材は前記シェルの外側に溶接されて、前記凹部と前記注液孔を覆い、
前記シェルは下シェルとカバープレートアセンブリを含み、前記下シェルと前記カバープレートアセンブリにより囲まれて前記収納室が形成されており、
前記カバープレートアセンブリはトップカバーと導電部材を含み、前記トップカバーは前記下シェルの頂部に接続され、前記トップカバーに貫通孔が開けられ、前記導電部材は前記貫通孔上を覆い、且つ前記導電部材は前記トップカバーに絶縁して接続され、
前記導電部材はボス部を含み、前記ボス部は前記トップカバーの貫通孔に対応して設けられ、且つ前記ボス部は前記導電部材の他の部分の外側から突出して、前記貫通孔を通して前記収納室の内部に延びる、
ことを特徴とするボタン電池。
【請求項2】
前記凹部は前記注液孔の周方向に沿って前記孔口を周回し、それによって前記凹部にザグリ孔構造を形成させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のボタン電池。
【請求項3】
記注液孔は前記導電部材に位置し、前記シーリング部材は前記導電部材に溶接されて、前記凹部と前記注液孔を覆う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のボタン電池。
【請求項4】
記電極アセンブリは第1タブを含み、前記第1タブと前記ボス部は電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載のボタン電池。
【請求項5】
前記シーリング部材と前記導電部材は互いに溶接されて第1溶接跡を形成し、前記第1溶接跡は前記導電部材の前記シーリング部材に向かう一面に位置する、及び/又は、
前記第1タブと前記ボス部は互いに溶接して接続され、且つ第2溶接跡を形成し、前記第2溶接跡は前記導電部材の前記シーリング部材から離れる一面に位置し、
前記第1溶接跡と前記第2溶接跡はずらす、
ことを特徴とする請求項4に記載のボタン電池。
【請求項6】
前記シーリング部材と前記導電部材は互いに溶接されて第1溶接跡を形成し、前記第1溶接跡は前記導電部材の前記シーリング部材に向かう一面に位置する、及び/又は、
前記第1タブと前記ボス部は互いに溶接して接続され、且つ第2溶接跡を形成し、前記第2溶接跡は前記導電部材の前記シーリング部材から離れる一面に位置し、
前記第1溶接跡と前記第2溶接跡は互いに重なる、
ことを特徴とする請求項4に記載のボタン電池。
【請求項7】
前記ボス部の突出端面の前記下シェルの底部に対する所在高さは前記トップカバーの底端面の所在高さより低い、及び/又は
前記導電部材の前記ボス部から離れる一面に取り付け溝が設けられ、前記取り付け溝は前記ボスに対応し、前記注液孔は前記取り付け溝の溝底に位置し、前記シーリング部材は前記取り付け溝内に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のボタン電池。
【請求項8】
電子機器であって、電子機器本体及び請求項1~のいずれか一項に記載のボタン電池を含み、
前記ボタン電池は前記電子機器本体に電気エネルギーを提供する、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特にボタン電池及びその製造方法、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電池は、外形寸法がボタンのような電池を指し、一般的に直径が大きく、厚さが薄い。ボタン電池はその体積が小さいため、例えば、着用型電子機器分野及び医療製品分野等、様々なマイクロ電子機器に幅広く用いられている。
【0003】
ボタン電池の内部は密閉空間であるため、ボタン電池には密封性が極めて重要である。しかしながら、従来技術におけるボタン電池の密封性が低く、さらにボタン電池の安全性、安定性が低いことを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑み、本願の実施例は、安全性及び安定性に優れるボタン電池及びその製造方法、電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願の実施例は以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
本願の実施例に係る第1の態様はボタン電池であって、シェル、電極アセンブリ及びシーリング部材を含み、シェル内に収納室があり、電極アセンブリは収納室内に位置し、シェルに収納室に電解液を注入するための注液孔が設けられ、シェルの外面に凹部が設けられ、凹部は収納室の内側に凹み、凹部は注液孔の孔口に位置し、且つ注液孔に連通し、シーリング部材はシェルの外側に溶接されて、凹部と注液孔を覆う、ボタン電池を提供する。
【0007】
本願の実施例に係る第2の態様は電子機器であって、電子機器本体及び第1の態様におけるボタン電池を含み、ボタン電池は電子機器本体に電気エネルギーを提供する、電子機器を提供する。
【0008】
本願の実施例に係る第3の態様はボタン電池であって、シェル、セル及び導電部材を含み、前記シェルはボトムシェルとトップカバーを含み、前記トップカバーは前記ボトムシェルに密封して接続され、前記ボトムシェルと前記トップカバーは囲んで設けられて前記セルを収容するための収容室を形成し、前記トップカバーに前記収容室に連通する貫通孔が設けられ、前記導電部材は前記貫通孔を覆うとともに、前記トップカバーとの間が密封ゴムリングによって絶縁し且つ密封して接続され、前記導電部材に前記収容室内に電解液を注入するための注液口がさらに設けられ、前記注液口上をシーリング部材が覆い、前記シーリング部材と前記注液口との間は密封して接続され、前記セルは第1タブと第2タブを有し、前記第1タブは前記ボトムシェルの内底壁に当接し、且つ前記ボトムシェルの内底壁に溶接され、前記第2タブは前記導電部材に電気的に接続される。
【0009】
本願の実施例に係る第4の態様は電子機器であって、電子機器本体及び第3の態様にて提供されるボタン電池を含み、前記ボタン電池は前記電子機器本体に電気エネルギーを提供する、電子機器を提供する。
【0010】
本願の実施例に係る第5の態様は、トップカバーの貫通孔上に導電部材を覆い、前記トップカバーと前記導電部材を絶縁し且つ密封して接続させるステップと、セルをボトムシェルの収容室内に配置するステップと、当接部材を用いて前記セルにおける第1タブを前記ボトムシェルの内底壁に当接し、前記第1タブを前記ボトムシェルの内底壁に密接させるステップと、前記第1タブを前記ボトムシェルの内底壁に溶接するステップと、セルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続するステップと、前記当接部材を除去し、電解液を前記導電部材上の注液口から前記収容室内に注入し、前記電解液の注入が完了した後、シーリング部材で前記注液口を覆い、且つ前記導電部材に密封して接続するステップと、を含む、ボタン電池の製造方法を提供する。
【0011】
本願の実施例における第6の態様は、トップカバーと導電部材を絶縁し且つ密封して接続し、前記トップカバーの貫通孔上に前記導電部材を覆うステップと、セルにおける第2タブを前記導電部材に電気的に接続するステップと、前記導電部材に電気的に接続されたセルをボトムシェルと導電部材を有するトップカバーとが囲んで設けられて形成した収容室内に配置するステップと、導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続するステップと、前記セルにおける第1タブを前記ボトムシェルに溶接するステップと、電解液を前記導電部材上の注液口から前記収容室内に注入し、前記電解液の注入が完了した後、シーリング部材で前記注液口を覆い、且つ前記導電部材に密封して接続するステップと、を含む、ボタン電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願の実施例にて提供されるボタン電池は以下の利点を有する。
【0013】
本願の実施例において、ボタン電池はシェル、電極アセンブリ及びシーリング部材を含み、シェル内に収納室があり、電極アセンブリは収納室内に位置し、シェルに収納室に電解液を注入するための注液孔が設けられ、シェルの外面に凹部が設けられ、凹部は収納室の内側に凹み、凹部は注液孔の孔口に位置し、且つ注液孔に連通し、シーリング部材はシェルの外側に溶接されて、凹部と注液孔を覆う。上記解決手段では、注液孔の孔口に凹部が設けられ、凹部の口部がシェルの外側に向かって開放することにより、電解液の注入が完了した後、注液孔の孔口近傍に残留する電解液が凹部内に収容され、シェルの外面における溶接領域に残留することがないため、シーリング部材とシェルとの溶接作業に影響を及ぼすこともなく、溶接の密封性に影響を及ぼすこともなく、したがって、ボタン電池は安全性、安定性にいずれも優れている。
【0014】
以上に説明した本願の実施例が解決しようとする技術的問題、技術的解決手段を構成する技術的特徴及びこれらの技術的解決手段の技術的特徴による有益な効果以外に、本願の実施例にて提供されるボタン電池及びその製造方法、電子機器が解決できる他の技術的問題、技術的解決手段に含まれる他の技術的特徴及びこれらの技術的特徴による有益な効果は、具体的な実施形態においてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下は実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力をせず、これらの図面に基づいて他の図面をさらに得ることができる。
図1】本願の実施例にて提供されるボタン電池の全体構造概略図である。
図2】本願の実施例にて提供されるボタン電池の第1タブに沿って切断された断面概略図である。
図3】本願の実施例にて提供されるボタン電池の第2タブに沿って切断された断面概略図である。
図4】本願の実施例にて提供されるボタン電池におけるカバープレートアセンブリの断面図である。
図5】本願の実施例にて提供されるボタン電池の他の構造の断面概略図である。
図6】本願の実施例にて提供されるボタン電池の他の構造の断面概略図である。
図7】本願の実施例にて提供されるボタン電池の他の構造の全体構造概略図である。
図8】本願の実施例2にて提供されるボタン電池の構造概略図である。
図9】本願の実施例2にて提供されるボタン電池の分解構造概略図である。
図10】本願の実施例2にて提供されるボタン電池の第1種類の構造の内部構造概略図である。
図11】本願の実施例2にて提供されるボタン電池の第2種類の構造の内部構造概略図である。
図12】本願の実施例2にて提供されるボタン電池の第3種類の構造の内部構造概略図である。
図13】本願の実施例3にて提供されるボタン電池の製造方法のフローチャートである。
図14】本願の実施例4にて提供されるボタン電池の他の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来のボタン電池はシーリングシートと金属シェルを溶接すると、溶接密封性が不良であるため、ボタン電池の安全性、安定性が低いという技術的問題が存在する。これは、注液口を通して金属シェル内に電解液を注入する際に、電解液の一部が金属シェル上の溶接領域近傍に滞留することで、金属シェルとシーリングシートとの溶接作業に影響を及ぼすためである。
【0017】
本願のボタン電池は、注液孔の孔口に凹部を設け、残存した電解液の滞留部として機能することにより、電解液がシェルの外面上の溶接領域に付着することを効果的に回避することができ、それによりシーリング部材とシェルとの溶接に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0018】
本願の実施例の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下では本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明瞭且つ完全に説明する。明らかに、説明する実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者は創造的な労力をせず得た全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0019】
実施例1
以下、図面を参照して本願の実施例のボタン電池を説明する。
【0020】
図1は本願の実施例にて提供されるボタン電池の全体構造概略図であり、図2は本願の実施例にて提供されるボタン電池の第1タブに沿って切断された断面概略図であり、図3は本願の実施例にて提供されるボタン電池の第2タブに沿って切断された断面概略図であり、図4は本願の実施例にて提供されるボタン電池におけるカバープレートアセンブリの断面図である。
【0021】
図1図2図3図4に示すように、本願の実施例において、ボタン電池100は、シェル10、電極アセンブリ20及びシーリング部材30を含み、シェル10内に収納室11があり、電極アセンブリ20は収納室11内に位置し、シェル10に収納室11に電解液を注入するための注液孔50が設けられ、シェル10の外面に凹部60が設けられ、凹部60は収納室11の内側に凹み、凹部60は注液孔50の孔口51に位置し、且つ注液孔50に連通し、シーリング部材30はシェル10の外側に溶接されて、凹部60及び注液孔50を覆う。
【0022】
上記解決手段では、注液孔50の孔口51に凹部60が設けられ、凹部60の口部がシェル10の外側に向かって開放することにより、電解液の注入が完了した後、注液孔50の孔口51近傍に残留する電解液が凹部60内に収容され、シェル10の外面上の溶接領域に付着することがないため、シーリング部材30とシェル10との溶接作業に影響を及ぼすこともなく、溶接の密封性に影響を及ぼすこともなく、したがって、ボタン電池100は安全性、安定性にいずれも優れている。
【0023】
また、注液孔50の孔口51に凹部60が設けられるため、シーリング部材30とシェル10との溶接点は従来技術における注液孔50のみを有する構造に比べ、注液孔50の中心軸線からの距離がより遠く、このように溶接操作により有利である。
【0024】
ここで、ボタン電池とは、外形寸法がボタンのような電池を指し、一般的に直径が大きく、厚さ寸法が薄いため、ボタン電池は外形により電池を分類したものである。本願において、シェル10は金属シェルであってもよく、シェル10の断面形状は円形に限定されず、楕円形、多角形等であってもよい。以下の実施例では、ボタン電池100がリチウムイオン電池であることを例に説明する。
【0025】
本願の実施例において、図2図3に示すように、電極アセンブリ20はコイルコア24、第1タブ25及び第2タブ26を含むことができ、コイルコア24は第1極板21と、第2極板22と、第1極板21と第2極板22を隔離するためのセパレータ23等とを含む。具体的には、コイルコア24は円柱状の巻回体として収納室11内に設けることができ、収納室11内に電解液も同時に収納され、第1極板21と第2極板22はセパレータ23によって分離され且つ巻回され、また、コイルコア24の中央部に中空部241を設けることができる。なお、コイルコア24の頂端部及び底端部に端面絶縁ゲル242をそれぞれ設けることもできることを理解されたい。
【0026】
第1極板21の巻回外周に近い位置に第1タブ25が電気的に接続され、第2極板22の巻回外周に近い位置に第2タブ26が電気的に接続され、第1タブ25と第2タブ26はそれぞれコイルコア24の両端側に引き出すことができ、且つ第1タブ25とコイルコア24の中心との結線と、第2タブ26とコイルコア24の中心との結線とのなす角度は0°より大きく且つ180°より小さく、例えば90~180°の範囲であってもよい。電解液はシェル10に設けられた注液孔50を通してシェル10内に注入することができる。
【0027】
上記解決手段において、凹部60が収納室11の内側に凹むということは、凹部60の深さ方向が収納室11の外側から内側に向かうことを意味する。凹部60が注液孔50の孔口51に位置し、且つ注液孔50に連通するということは、凹部60が注液孔50の孔口51の縁部に位置し、且つシェル10の外側に向かって開口することを意味する。
【0028】
第1極板21及び第2極板22はいずれも電池活性材料で塗布することができる。第1タブ25及び第2タブ26の表面にはそれぞれ保護ゴムを貼り付けることができる。
【0029】
本願の実施例において、注液孔50の全周方向における溶接操作がいずれも影響を受けないようにするために、凹部60は注液孔50の周方向に沿って孔口51を周回することができ、それによって凹部60はザグリ孔構造を形成し、ザグリ孔構造のように設けられると、加工しやすくなる。
【0030】
任意選択的に、注液孔50の直径範囲は0.2~3mmであってもよく、例えば、0.5~1.5mmであってもよく、凹部60、すなわちザグリ孔構造の直径範囲は1.5~3.5mmであり、例えば、2~3mmであってもよく、凹部60の深さ範囲は0.01~0.2mmであり、例えば、0.05~0.1mmであってもよく、ここで、凹部60と注液孔50の横断面形状は円形又は多角形であってもよい。
【0031】
本願の実施例において、図2図3に示すように、任意選択的な一実施形態において、シェル10は下シェル13及びカバープレートアセンブリ12を含み、下シェル13とカバープレートアセンブリ12は共に囲んで収納室11を形成することができる。上記のようにシェル10を解体可能な2部分に設けることで、電極アセンブリ20等の収納室11内への取り付けが容易になる。任意選択的に、下シェル13は、底壁131及び底壁131を囲む側壁132を含み、側壁132の底端は底壁131に接続され、このように、下シェル13は開口を有するフード状に形成される。
【0032】
本願のボタン電池100において、注液孔50は必要に応じてシェル10の頂部又は底部に設けることができ、以下は状況に応じて説明する。
【0033】
図2図3に示すように、任意選択的な一実施形態では、カバープレートアセンブリ12はトップカバー121及び導電部材122を含み、トップカバー121は下シェル13の頂部に接続され、トップカバー121に貫通孔1211が開けられ、導電部材122は貫通孔1211上を覆い、且つ導電部材122はトップカバー121に絶縁して接続される。注液孔50は導電部材122に位置し、シーリング部材30は導電部材122に溶接されて、凹部60と注液孔50を覆う。導電部材122の材質は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金であってもよく、トップカバー121の材質は、例えば、鋼又はニッケルなどの金属であってもよい。
【0034】
ここで、導電部材122はトップカバー121に絶縁して接続され、例えば、導電部材122とトップカバー121との間に絶縁密封接着剤、例えばホットメルトPP(ポリプロピレン)接着剤123が設置されてもよく、このように、加熱された状態で、導電部材122とトップカバー121との間はホットメルトPP接着剤123により接続されることで、導電部材122とトップカバー121との間は絶縁し且つ密封することができる。トップカバー121の収納室11に向かう内側壁に、シェル絶縁ゲル124を貼り付けることもでき、このシェル絶縁ゲル124は非金属絶縁材質であり、厚さは0.02~0.1mmであってもよく、例えば、0.03~0.05mmである。
【0035】
図2図4に示すように、カバープレートアセンブリ12の構造概略図であり、任意選択的に、導電部材122はボス部1221を含み、ボス部1221はトップカバー121の貫通孔1211に対応して設けられ、且つボス部1221は導電部材122の他の部分の外側から突出して、貫通孔1211を通して収納室11の内部に伸び、また、第1タブ25とボス部1221の底端面は電気的に接続される。このように、導電部材122にボス部1221を設けることで、ボス部1211はトップカバー121の貫通孔1211から収納室11の内部に伸び、第1タブ25と電気的に接続しやすくなる。可能な一実施形態として、ボス部1221は、例えば、プレスによって形成されてもよく、ボス部1221の外部輪郭は貫通孔1211の縁部輪郭とほぼ同じであってもよい。
【0036】
導電部材122において、ボス部1221の周囲に設けられた重ね継ぎ部1222をさらに含むことができ、重ね継ぎ部1222の一端はボス部1221に接続され、且つボス部1221から離れる方向に伸び、導電部材122を取り付けるとき、重ね継ぎ部1222はホットメルトPP接着剤123によりトップカバー121に溶接することができ、且つボス部1221は貫通孔1211を通して収納室11内に伸びる。なお、導電部材122とトップカバー121との接触を回避するように、ボス部1221の側面は貫通孔の孔壁から所定の間隔を離れる。このとき、第1タブ25は直接ボス部1221と接触することができ、すなわち導電部材122と第1タブ25との電気的接続を実現する。第2タブ26はシェル10の底部の内側壁に直接溶接することができ、溶接点はコイルコア24の中央位置に対応することができる。
【0037】
ここで第1タブ25とボス部1221は互いに溶接して接続し、第2溶接跡126を形成することができ、第2溶接跡126は導電部材122がシーリング部材30から離れる一面に位置することができ、すなわち図2において、第2溶接跡126は導電部材122の下面に位置する。
【0038】
シーリング部材30と導電部材122は互いに溶接されて第1溶接跡125を形成することができ、第1溶接跡125は導電部材122がシーリング部材30に向かう一面に位置することができ、すなわち図2において、第1溶接跡125は導電部材122の上面に位置する。このように、第1溶接跡125が位置するシーリング部材30の一面に、シーリング部材30の外観から溶接跡が見えず、ボタン電池の美観性を向上させることができる。
【0039】
ここで、第1溶接跡125及び第2溶接跡126は互いにずれてもよく、このように、ボタン電池全体の外観の平坦度を向上させ、ボタン電池の外観をより美しくすることができる。
【0040】
あるいは、第1溶接跡125及び第2溶接跡126は互いに重なり合ってもよい。このように、溶接する際に、第1溶接跡125及び第2溶接跡126は互いに融着することができ、溶接の堅牢性を向上させることができ、ボタン電池の信頼性を高くさせる。
【0041】
引き続き図4を参照すると、ボス部1221の突出端面の下シェル13の底部に対する所在高さは、トップカバー121の底端面の所在高さより低く、すなわち、ボス部1221の底端面である突出端面の下シェル13の底部に対する設置高さh1は、トップカバー121の底端面の下シェル13の底部に対する設置高さh2より低い。このように、第1タブ25をボス部1221の底端面に直接重ね継ぎして溶接することができ、下シェル13の内壁に接触することはない。当然のことながら、トップカバー12の底端面にシェル絶縁ゲル124が設けられている場合には、絶縁ゲル124の底端面がトップカバー121の底端面であると考えることができる。
【0042】
任意選択的に、図2に示すように、導電部材122においてボス部1221から離れる一面に取り付け溝1223がさらに開けられてもよく、取り付け溝1223はボス部1221の位置に対応し、注液孔50は取り付け溝1223の溝底に位置してもよく、このようにシーリング部材30を取り付け溝1223内に取り付けることができる。シーリング部材30を収容することができる取り付け溝1223を設置することにより、このように、シーリング部材30はボタン電池100の表面から突出することがなく、外観がよく、そして取り付け溝1223はボスに対応する位置に位置し、このようにボス部1221の突出高さを十分に利用して、導電部材122全体の厚さを均一にさせることができる。
【0043】
図5は本願の実施例にて提供されるボタン電池の他の構造の断面概略図であり、図6は本願の実施例にて提供されるボタン電池の他の構造の断面概略図であり、図7は本願の実施例にて提供されるボタン電池の他の構造の全体構造概略図である。図5図6図7を参照して注液孔がシェルの底部に設けられる場合について説明し、本解決手段におけるボタン電池200は、上記解決手段に加えて注液孔の位置を変更し、そのために導電部材の構造及びシーリング部材の取り付け位置を変更する。他の構造は上記図2図3に示す構造と類似し、ここで説明を省略する。
【0044】
前述したように、下シェル13は底壁131及び底壁131を囲む側壁132を含み、側壁132の底端は底壁131に接続され、前述とは異なり、注液孔70は底壁131に位置し、シーリング部材71は底壁131に溶接されて、注液孔70を覆う。
【0045】
任意選択的な一実施形態では、カバープレートアセンブリ12はトップカバー121及び導電部材72を含み、トップカバー121は側壁132の頂端に接続され、トップカバー121に貫通孔1211が開けられ、導電部材72は貫通孔1211上を覆い、且つ導電部材72はトップカバー121に絶縁して接続され、電極アセンブリ20は第1タブ25と第2タブ26を含み、第1タブ25は導電部材72に溶接して接続され、第2タブ26は底壁131に溶接して接続される。
【0046】
また、注液孔70が底壁131に設けられた場合には、シーリング部材71と底壁131との溶接点Aは底壁131においてシーリング部材71に近い位置に位置し、底壁131と第2タブ26との溶接点Bは、この溶接点Aの位置を避けるように、他の位置に位置することができ、両溶接点の重なりを回避し、ボタン電池全体の外観の平坦性を高めることができる。第1タブ25については、導電部材72と直接溶接することができる。
【0047】
理解されるように、底壁131の外面に底部取り付け溝74を開けることができ、注液孔70は底部取り付け溝74の底部に位置することができる。底部取り付け溝74はシーリング部材71を収容することが可能に配置され、このようにシーリング部材71を底部取り付け溝74内に取り付けることができる。ここでシーリング部材71を収容することができる底部取り付け溝74を設けることにより、シーリング部材71がボタン電池100の表面から突出せず、外観がよい。
【0048】
本願のボタン電池において、電解液は注液孔からコイルコアの中空部内に注入され、凹部は残りの電解液を貯蔵するために用いられ、注液した後、シーリング部材は注液孔と凹部を覆い、円周を重ね継ぎし、溶接することにより密封させ、当然のことながら、シーリング部材と注液孔との間を略同軸に設置させることができる。
【0049】
本願の実施例において、ボタン電池はシェル、電極アセンブリ及びシーリング部材を含み、シェル内に収納室があり、電極アセンブリは収納室内に位置し、シェルに収納室に電解液を注入するための注液孔が設けられ、シェルの外面に凹部が設けられ、凹部は収納室の内側に凹み、凹部は注液孔の孔口に位置し、且つ注液孔に連通し、シーリング部材はシェルの外側に溶接されて、凹部と注液孔を覆う。上記解決手段では、注液孔の孔口に凹部が設けられ、凹部の口部がシェルの外側に向かって開放することにより、電解液の注入が完了した後、注液孔の孔口近傍に残留する電解液が凹部内に収容され、シェルの外面に付着することがないため、シーリング部材とシェルとの溶接作業に影響を及ぼすこともなく、溶接の密封性に影響を及ぼすこともなく、したがって、ボタン電池は安全性、安定性にいずれも優れている。
【0050】
本願は電子機器であって、電子機器本体及びボタン電池を含み、ボタン電池は電子機器本体に電気エネルギーを提供する電子機器をさらに提供する。
【0051】
ここで、本願にて提供される電子機器におけるボタン電池の構造は以上に記載のボタン電池の構造と同じであり、且つ同じ又は類似の技術的効果をもたらすことができ、ここでは説明を省略する。
【0052】
実施例2
ボタン電池の内部は密閉空間に属し、そのため、ボタン電池には密封性が極めて重要であり、関連技術において、まず電解液をセルが配置された収容室内に注入し、さらに導電部材をシェルにおける貫通孔内に穿設し、導電部材を貫通孔にかしめ、且つ導電部材と貫通孔との間に絶縁の密封ゴムリングを設け、ただし、導電部材と貫通孔をかしめると、シェルが発振し、収容室内の電解液が密封ゴムリングに飛散することで、密封ゴムリングの一部が失効し、密封性が低くなってしまう。
【0053】
上記問題を解決するために、本願の実施例にて提供されるボタン電池において、トップカバーの貫通孔上に導電部材を覆い、トップカバーと導電部材を密封ゴムリングによって絶縁し且つ密封して接続し、セルをボトムシェルの収容室内に配置し、セルにおける第1タブをボトムシェルの内底壁に溶接し、そして導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続し、セルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続し、最後に導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続し、電解液を導電部材上の注液口から収容室内に注入し、電解液の注入が完了した後、注液口にシーリング部材を覆い、且つシーリング部材と注液口を接着又は溶接の方式によって密封して接続させ、それによりボタン電池の密封性を向上させる。
【0054】
図8に示すように、本願の実施例にて提供されるボタン電池は、シェル10、シェル10の収容室1011内に位置するセル20及びシェル10に設けられ且つシェル10に絶縁接続される導電部材30を含み、導電部材30に収容室1011内に電解液を注入する注液口301及び注液口301を覆うシーリング部材40が設けられ、シーリング部材40は注液口301に密封して接続され、セル20に第1タブ201及び第2タブ202が設けられ、第1タブ201はシェル10に溶接等の方式により電気的に接続され、第2タブ202も溶接、接着の方式により導電部材30に電気的に接続され、シェル10と導電部材30はそれぞれ電子機器に電気的に接続され、それによってセル20はシェル10と導電部材30を介して電子機器に電気エネルギーを提供する。
【0055】
図9から図11に示すように、シェル10はボトムシェル101及びトップカバー102を含み、ボトムシェル101にはボトムシェル101の底壁に向かって延在する溝が設けられ、溝はセル20を収容するための収容室1011を形成し、トップカバー102は収容室1011に連通する開口部を覆い、それによってボトムシェル101とトップカバー102は囲んで設けられて収容室1011を有するシェル10を形成する。ここで、密封性を高めるために、トップカバー102とボトムシェル101との間は密封して接続され、例えば、トップカバー102とボトムシェル101との間に溶接等を行う。
【0056】
シェル10の横断面の形状は、円形、楕円形、多角形等の任意の形状とすることができ、これについて、本実施例は限定しない。
【0057】
セル20はシェル10と導電部材30を介して電子機器に電気エネルギーを提供する必要があるため、シェル10と導電部材30はステンレス鋼、銅、鉄等の金属材質で製造することができる。
【0058】
トップカバー102に貫通孔1021が設けられて、トップカバー102に環状構造を形成させ、導電部材30は貫通孔1021上を覆い、且つ導電部材30と貫通孔1021との間に密封ゴムリング50が設けられ、密封ゴムリング50は導電部材30と貫通孔1021との間を絶縁し且つ密封して接続し、すなわち、導電部材30は密封ゴムリング50により貫通孔1021の縁部に接着され、且つトップカバー102にある貫通孔1021を覆う。ここで、貫通孔1021の形状は、円形、楕円形又は多角形等とすることができる。
【0059】
導電部材30とトップカバー102との間の接続密封性を向上させるために、加熱加圧方式によって導電部材30を密封ゴムリング50によりトップカバー102に接着することができ、このように、密封ゴムリング50の接着信頼性を向上させることができ、それにより導電部材30とトップカバー102との間の接続密封性を向上させる。
【0060】
さらに、導電部材30はトップカバー102の表面から突出してもよく、トップカバー102に導電部材を配置するための収容溝1022を設置してもよく、導電部材30は収容溝1022内に位置し、図12に示すように、且つ導電部材30の上面はトップカバー102の上面と面一であり、導電部材30が密封ゴムリング50によってトップカバー102と絶縁し且つ密封して接続される場合、加熱加圧する際に、密封ゴムリング50にはゴム溢れが発生し、このように、溢れたゴムは収容溝1022内に位置し、トップカバー102の表面から溢れることはなく、このように、トップカバー102の表面が比較的平坦であり、且つボタン電池全体の構造がよりコンパクトであり、ボタン電池全体の美観性を向上させる。
【0061】
一実施例において、貫通孔1021は円形孔であり、導電部材30は円盤状であり、貫通孔1021の直径は導電部材30の直径より小さく、したがって、導電部材30の縁部と貫通孔1021の縁部は径方向に沿って少なくとも一部が積層して設けられ、貫通孔1021と導電部材30との間は密封ゴムリング50により加熱加圧の方式で密着して接着され、高熱高圧での密封ゴムリング50は貫通孔1021と導電部材30との間をより密着して接続させることができ、それによりボタン電池の密封性を向上させる。
【0062】
導電部材30の縁部と貫通孔1021の縁部との径方向に沿った片辺の積層寸法が大きいほど、密封性が高くなるため、一実施例において、導電部材30と貫通孔1021との径方向に沿った片辺の積層部分は0.3mm以上であり、このように、導電部材30と貫通孔1021との間の密封面積を増大させ、それにより導電部材30と貫通孔1021との間の密封性を向上させる。
【0063】
さらに、図10に示すように、導電部材30に貫通孔1021に穿設された延伸部303がさらに設けられ、例えば、導電部材30はT字型の導電部材30として形成され、このように、延伸部303と貫通孔1021の孔壁との間は密封ゴムリング50によって密封して接続され、さらに導電部材30と貫通孔1021との間の密封面積を増大させ、それにより導電部材30と貫通孔1021との間の密封性を向上させる。ここで、密封ゴムリング50は可溶性材質とすることができ、密封ゴムリング50の電解液に対する耐食性及び密封性を向上させる。
【0064】
ここで、密封ゴムリング50は環状であり、導電部材30及びトップカバー102を加熱加圧するとき、密封ゴムリング50の外縁は導電部材30とトップカバー102との接合部から溢れ、密封ゴムリング50の内縁は密封ゴムリング50とトップカバー102にある貫通孔1021の縁部との接合部から溢れ、このように、密封ゴムリング50が導電部材とトップカバー102とを接続する接続信頼性を保証することができる。
【0065】
上記実施例に加えて、図8から図11に示すように、導電部材30に収容室1011内に電解液を注入する注液口301がさらに設けられ、注液口301は円形、四角形、多角形等の任意の形状とすることができる。一実施例において、注液口301は導電部材30と同心に設けられ、導電部材30はシェル10においてセル20を収容するための収容室1011と同心に設けられる。
【0066】
一実施例において、シーリング部材40と注液口301との間の密封性を高めるために、注液口301が収容室1011から離れる一端にザグリ孔302が設けられ、ザグリ孔302の直径は注液口301より大きく、且つザグリ孔302は注液口301に連通し且つ同軸心に設けられる。ここで、ザグリ孔302の形状は注液口301の形状と同じであり、すなわち、注液口301の形状が円形である場合、ザグリ孔302の形状も円形であり、例示的に、ザグリ孔302の深さは、例えば、0.01mm~0.5mmの間であってもよい。
【0067】
注液口301上をシーリング部材40が覆い、すなわちシーリング部材40はザグリ孔302内に位置し、ザグリ孔302の深さが小さいため、シーリング部材40はシート状構造であってもよく、ザグリ孔302内に位置して注液口301を覆い、密封性を向上させるために、シーリング部材40は注液口301に密封して接続され、例えば、シーリング部材40と注液口301との間は溶接することができ、すなわち、注液口301を通して収容室1011内に電解液を注入した後、シェル10の外側でシーリング部材40とザグリ孔302との接合部を溶接し、それにより密封性を向上させる。
【0068】
例示的に、シーリング部材40はシーリング釘であってもよく、シーリング釘をザグリ孔302内に位置させ、さらにシーリング釘とザグリ孔302との接合部を溶接方式で溶接する。
【0069】
図11に示すように、シーリング釘と注液口301との間は溶接方式で密封される場合、溶接を容易にするために、ザグリ孔302の直径はシーリング釘のキャップの直径より大きく、シーリング釘のザグリ孔302内に位置する部分は溶接跡を有し、すなわち、溶接機器はザグリ孔302内においてシーリング釘と導電部材30との接合部を溶接することができ、例えば、レーザ溶接機器のレーザビームはザグリ孔302内に伸びてシーリング釘と導電部材30を溶接することができる。
【0070】
任意選択的に、シーリング部材40はさらに、ザグリ孔302内に位置し、且つザグリ孔と密封ゴムリング等の方式で接着することができ、それによって操作工程を簡略化する。
【0071】
任意選択的な一実現形態において、セル20は巻回式セル20であり、具体的には、巻回式セル20は第1極板、第2極板及び第1極板と第2極板を隔離するためのセパレータを含む。第1極板に第1タブ201が設けられ、第1タブ201は溶接の方式により第1極板に設けることができ、第2極板に第2タブ202が設けられ、第2タブ202は溶接の方式により第2極板に設けることができる。巻回過程において第1極板、第2極板及びセパレータは巻回先端から同一方向に1層ずつ巻回して最終的に巻回式セル20を形成する。
【0072】
理解されるように、セル20の第1極板は正極板であってもよく、第2極板は負極板であってもよく、この場合、第1極板に設けられた第1タブ201は正極タブであり、第2極板に設けられた第2タブ202は負極タブであり、具体的に実現する場合、セル20を収容室1011内に収容し、正極タブとボトムシェル101の内底壁を溶接の方式により電気的に接続することでボトムシェル101をボタン電池の正極に形成させ、負極タブは導電部材30に電気的に接続されることで導電部材30をボタン電池の負極に形成させ、このボタン電池が電子機器に用いられる場合、ボトムシェル101は電子機器の正極に接続されて導通し、導電部材30は電子機器の負極に接続されて導通し、それによりセル20は電子機器に給電する。
【0073】
あるいは、セル20の第1極板は負極板であってもよく、第2極板は正極板であってもよく、この場合、第1極板に設けられた第1タブ201は負極タブであり、第2極板に設けられた第2タブ202は正極タブであり、具体的に実現する場合、セル20を収容室1011内に収容し、負極タブとボトムシェル101を溶接の方式により電気的に接続することでボトムシェル101をボタン電池の負極に形成させ、正極タブは導電部材30に電気的に接続されることで、導電部材30をボタン電池の正極に形成させ、このボタン電池が電子機器に用いられる場合、ボトムシェル101は電子機器の負極に接続されて導通し、導電部材30は電子機器の正極に接続されて導通し、それによりセル20は電子機器に給電する。
【0074】
一実施例において、第2タブ202は導電部材30における収容室1011内に伸びる延伸部303の端部に電気的に接続され、このように、第2タブ202と導電部材30との接触面積を増大させることができ、それにより電気的接続の信頼性を向上させる。ここで、第2タブ202と延伸部303との接続時にトップカバー102による干渉の発生を防止するために、延伸部303は収容室1011に伸びた後、延伸部303の収容室1011に向かう一端はトップカバー102の内壁を超え、このように、第2タブ202が延伸部303の端面に接続されると、第2タブ202とトップカバー102の内壁との間に隙間が形成され、又はトップカバー102の内壁と第2タブ202との間に絶縁層を設けることにより、第2タブ202と導電部材30との電気的接続の信頼性を高める。
【0075】
なお、第1タブ201とシェル10におけるトップカバー102は溶接、接着の方式により電気的に接続される。
【0076】
任意選択的に、第1タブ201及び第2タブ202の電気的接続の信頼性を向上させるために、第1タブ201及び第2タブ202の周方向にいずれも絶縁層を設けることができ、第1タブ201又は第2タブ202はボトムシェル101又は導電部材30と電気的に接続される部分のみを露出させればよい。
【0077】
任意選択的に、巻回式セル20は巻回時に中央位置にセルキャビティ203を形成することができ、セル20が収容室1011内に配置されると、セルキャビティ203は注液口301と同心に設置され、このように、収容室1011内に電解液を注入する時、セル20における極板及びセパレータ等は電解液の注入を阻止せず、電解液の注入効率を向上させ、それによりボタン電池の生産効率を向上させる。
【0078】
一実施例において、図10に示すように、注液口301からセルキャビティ203に当接部材80をさらに挿入することができ、当接部材80は柱状構造であってもよく、例えば、円柱、角柱等の構造であってもよく、1つの柱状部材で構成されてもよく、2つ又は2つ以上の柱状部材が順次首尾接続されて構成されてもよく、第1タブ201とボトムシェル101の内底壁を溶接する時、まず当接部材80をセルキャビティ203に挿入し、当接部材80の第1端を第1タブ201に当接させ、且つ当接部材80の第2端に圧力を印加し、第1タブ201を当接部材80の押圧によりボトムシェル101の内底壁に密接させ、さらに溶接を行い、このように、第1タブ201とボトムシェル101との間の溶接信頼性を向上させることができ、それにより第1タブ201とボトムシェル101との間の溶接信頼性を向上させることができる。
【0079】
なお、ユーザが操作しやすいために、当接部材80の第2端はシェル10のトップカバー102から延出することができ、ボタン電池における第1タブ201とボトムシェル101の内底壁との溶接が完了した後、且つ導電部材30を有するトップカバー102とボトムシェル101との間が密封して接続された後、当接部材80はセルキャビティ203から注液口301に沿って取り出すことができる。
【0080】
溶接過程において、揺動が発生する可能性があり、まずボトムシェル101とトップカバー102を密封して接続した後、さらに第1タブ201とボトムシェル101を溶接すると揺動が発生し、それによりボトムシェル101とトップカバー102との間にずれが発生し、ボトムシェル101とトップカバー102との間に位置ずれが発生し、ボトムシェル101とトップカバー102との間の密封接続に緩みが発生し又は密封接続が失効し、最終的にボタンセルの密封性が低くなってしまう。したがって、本実施例において、まず第1タブ201及び第2タブ202付きのセル20をボトムシェル101の収容室1011内に配置し、セル20のセルキャビティ203内に当接部材80を挿入し、当接部材80により第1タブ201を押圧し、第1タブ201をボトムシェル101の内底壁に密接させ、さらに溶接機器によりボトムシェル101と第1タブ201を溶接し、第1タブ201とボトムシェル101との間に電気的接続を実現させ、さらに導電部材30を有するトップカバー102を溶接又は接着の方式によってボトムシェル101と密封して接続し、ボトムシェル101とトップカバー102との間を溶接すると、揺動も発生するが、当接部材80は常に第1タブ201に当接するため、第1タブ201とボトムシェル101の内壁との間に揺動による接続の緩みの問題が発生せず、第1タブ201とボトムシェル101との間の接続信頼性を保証するとともに、ボトムシェル101とトップカバー102との間の密封接続の信頼性を向上させ、それによりボタン電池の密封性を向上させる。
【0081】
本願の実施例にて提供されるボタン電池は、具体的な実現では、まず、加熱加圧の方式によってトップカバー102と導電部材30との間を密封ゴムリング50により絶縁し且つ密封して接続し、そしてセル20をボトムシェル101内の収容室1011内に配置し、当接部材80をセルキャビティ203に挿入し、当接部材80の第1端を第1タブ201に当接させ、当接部材80の第2端をトップカバー102の外に伸び出し、当接部材80を押圧することにより、第1タブ201をボトムシェル101の内底壁に密接させ、溶接機器により第1タブ201とボトムシェル101との間を溶接し、さらにボトムシェル101上に導電部材30を有するトップカバー102を覆い、接着又は溶接の方式によりボトムシェル101とトップカバー102を密封して接続し、且つセル20における第2タブ202を導電部材30に電気的に接続させ、当接部材80を取り出し、且つ電解液を注液口301から収容室内に注入し、電解液の注入が完了した後、注液口301上にシーリング部材40を覆い、且つ接着又は溶接の方式によりシーリング部材40と注液口301を密封して接続する。
【0082】
本願の実施例にて提供されるボタン電池は、トップカバーの貫通孔上に導電部材を覆い、トップカバーと導電部材を密封ゴムリングによって絶縁し且つ密封して接続し、セルをボトムシェルの収容室内に配置し、セルにおける第1タブをボトムシェルの内底壁に溶接し、そして導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続し、且つセルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続させ、最後に電解液を導電部材上の注液口から収容室内に注入し、電解液の注入が完了した後、注液口上にシーリング部材を覆い、且つシーリング部材と注液口を接着又は溶接の方式によって密封して接続させ、それによりボタン電池の密封性を向上させる。
【0083】
本願の実施例は電子機器であって、電子機器本体及び実施例1にて提供されたボタン電池を含み、ボタン電池は電子機器本体に電気エネルギーを提供する、電子機器をさらに提供する。
【0084】
ここで、ボタン電池の構造及び動作原理は既に実施例1において詳細に説明されており、ここでは、説明を省略する。
【0085】
本願にて提供される電子機器は、電子機器本体及び電子機器本体に電気エネルギーを提供するボタン電池を含み、ボタン電池は、トップカバーの貫通孔上に導電部材を覆い、トップカバーと導電部材を密封ゴムリングによって絶縁し且つ密封して接続し、セルをボトムシェルの収容室内に配置し、セルにおける第1タブをボトムシェルの内底壁に溶接し、そして導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続し、且つセルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続させ、最後に導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続し、電解液を導電部材上の注液口から収容室内に注入し、電解液の注入が完了した後、注液口上にシーリング部材を覆い、且つシーリング部材と注液口を接着又は溶接の方式によって密封して接続させ、それによりボタン電池の密封性を向上させる。
【0086】
実施例3
図13に示すように、本願の実施例は、以下のステップS101~S106を含む、ボタン電池の製造方法をさらに提供する。
【0087】
S101において、トップカバーの貫通孔上に導電部材を覆い、トップカバーと導電部材を絶縁し且つ密封して接続し、
トップカバーと導電部材との間に密封ゴムリングを設け、トップカバーと導電部材との間をまず加熱加圧の方式で押圧して接続し、密封ゴムリングが押圧されて変形することにより、トップカバーと導電部材との間の密封性を向上させる。
【0088】
S102において、セルをボトムシェルの収容室内に配置する。
【0089】
S103において、当接部材を用いてセルにおける第1タブをボトムシェルの内底壁に当接し、第1タブをボトムシェルの内底壁に密接させる。
【0090】
S104において、第1タブをボトムシェルの内底壁に溶接する。
【0091】
S105において、セルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続する。
【0092】
S106において、当接部材を除去し、電解液を導電部材上の注液口から収容室内に注入し、電解液の注入が完了した後、シーリング部材で注液口を覆い、且つ導電部材に密封して接続する。
【0093】
なお、導電部材を有するトップカバーとボトムシェルを密封して接続する前に、まずセルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続してもよい。
【0094】
任意選択的に、トップカバーと導電部材を密封ゴムリングによって絶縁し且つ密封して接続する前に、さらに、
トップカバー及び導電部材に対して不動態化処理を行うステップを含む。
【0095】
ここで、不動態化処理とは、金属に強い酸化剤又は電気化学的方法によって酸化処理を行い、表面を不活性状態にさせ、すなわち不動態化する過程であり、金属表面を酸化されにくい状態に変換させ、金属の腐食速度を遅延させる方法である。
【0096】
任意選択的に、セルにおける第1タブをボトムシェルに溶接する前に、さらに、
注液口からセルキャビティに配置された当接部材を押圧するステップと、当接部材はセルにおける第1タブを押圧して第1タブをボトムシェルの内底壁に密接させるステップと、を含む。
【0097】
本願の実施例にて提供されるボタン電池の製造方法は、トップカバーの貫通孔上に導電部材を覆い、トップカバーと導電部材を密封ゴムリングによって絶縁し且つ密封して接続し、セルをボトムシェルの収容室内に配置し、セルにおける第1タブをボトムシェルの内底壁に溶接し、そして導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続し、且つセルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続し、最後に電解液を導電部材上の注液口から収容室内に注入し、電解液の注入が完了した後、注液口上にシーリング部材を覆い、且つシーリング部材と注液口を密封して接続させ、それによりボタン電池の密封性を向上させる。
【0098】
実施例4
図14に示すように、本願の実施例は、
トップカバーと導電部材を絶縁し且つ密封して接続し、トップカバーの貫通孔上に導電部材を覆うステップS01と、
セルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続するステップS02と、
導電部材に電気的に接続されたセルをボトムシェルと導電部材を有するトップカバーとが囲んで設けられて形成した収容室内に配置するステップS03と、
導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続するステップS04と、
セルにおける第1タブをボトムシェルに溶接するステップS05と、
電解液を導電部材上の注液口から収容室内に注入し、電解液の注入が完了した後、シーリング部材で注液口を覆い、且つ導電部材に密封して接続するステップS06と、を含む、ボタン電池の他の製造方法をさらに提供する。
【0099】
なお、導電部材を有するトップカバーをボトムシェルに密封して接続した後、さらにセルにおける第2タブを導電部材に電気的に接続してもよい。
【0100】
本願の実施例にて提供されるボタン電池の製造方法は、具体的な実現では、まず、加熱加圧の方式によりトップカバーと導電部材を密封ゴムリングにより絶縁し且つ密封して接続し、且つ導電部材を第2タブに電気的に接続し、導電部材に第2タブにより電気的に接続されるセルを収容室内に配置し、ボトムシェル上に導電部材を有するトップカバーを覆い、且つ接着又は溶接の方式によりボトムシェルとトップカバーを密封して接続し、注液口から当接部材を挿入し、当接部材を第1タブに当接させ、第1タブをボトムシェルの内底壁に密接させることができ、溶接機器によって第1タブをボトムシェルに溶接し、さらに当接部材を注液口から取り出し、注液口上にシーリング部材を覆い、且つ溶接又は接着の方式によってシーリング部材を導電部材に接着し、ここで、密封性を向上させるために、さらにシーリング部材と注液口に密封部材を追加することができ、それによりボタン電池の密封性を向上させる。
【0101】
まず第1タブとボトムシェルの内底壁を溶接し、後にボトムシェルとトップカバーを溶接する場合、溶接により第1タブとボトムシェルに揺動が発生するため、第1タブとボトムシェルの内底壁との間の溶接が緩み、それにより第1タブとボトムシェルとの電気的接続の信頼性が低くなるという問題を引き起こす。本実施例において、まずボトムシェルとトップカバーを溶接し、続いて第1タブとボトムシェルの内底壁を溶接することで、第1タブとボトムシェルの溶接信頼性を向上させることができ、それにより第1タブとボトムシェルとの間の電気的接続の信頼性を向上させる。
【0102】
本明細書における各実施例又は実施形態はいずれも漸進の方式で説明し、各実施例は他の実施例との相違点に重点を置いて説明し、各実施例の間の同一又は類似の部分は相互に参照すればよい。
【0103】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は本願の技術的解決手段を限定するものではなく、説明するためにのみ用いられる。前記各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴に対して同等置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させないことを理解すべきである。
【0104】
本願は、2021年04月13日に中国特許庁に提出され、出願番号202110394741.2、出願名「ボタン電池及び電子機器」の中国特許出願、及び2020年06月03日に中国特許庁に提出され、出願番号202010496417.7、出願名「ボタン電池及びその製造方法、電子機器」の中国特許出願の優先権を主張し、それらと本願の内容のすべては参照によって本願に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14