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特許7549064スラスト火格子の運転方法及びスラスト火格子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】スラスト火格子の運転方法及びスラスト火格子
(51)【国際特許分類】
   F23H 7/08 20060101AFI20240903BHJP
   B65G 25/02 20060101ALI20240903BHJP
   F23H 9/06 20210101ALI20240903BHJP
   F23H 11/04 20060101ALI20240903BHJP
   F23H 11/06 20060101ALI20240903BHJP
   F23H 11/12 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F23H7/08 A
B65G25/02 Z
F23H9/06
F23H11/04
F23H11/06
F23H11/12
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034257
(22)【出願日】2023-03-07
(65)【公開番号】P2023145363
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】10 2022 107 219.3
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523082613
【氏名又は名称】ヒタチ・ゾウセン・イノヴァ・シュタインミュラー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・モツフ
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-320713(JP,A)
【文献】特開2021-067453(JP,A)
【文献】特表2007-524063(JP,A)
【文献】特開平06-042729(JP,A)
【文献】米国特許第03413938(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第04027055(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23H 1/00 - 17/12
B65G 5/00 - 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラスト火格子(100)の運転方法であって、該スラスト火格子(100)は複数の火格子棒列(2)を有しており、これら火格子棒列(2)はそれぞれ一つの火格子棒支持体(5)を有しており、該火格子棒支持体(5)にはその第1端部(4)を介して複数の火格子棒(3)が回転可能に支承されており、
隣接する火格子棒列(2)の火格子棒(3)は、それぞれの火格子棒(3)の第2端部(6)が、流れ方向(F)に隣接する火格子棒(3)の表面(7)の上に支持されるように屋根瓦状に重なり合っており、
個々の火格子棒列(2)の火格子棒(3)の表面(7)がスラスト火格子面(O)を形成しており、火格子棒(3)の前記表面(7)は非平坦な表面輪郭(13)を有しており、
駆動可能な火格子棒列(2a)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)には駆動部(12)を介してそれぞれ第1駆動運動(A1)が導入され、又は、導入可能であり、それにより、異なる駆動ポジション(S)が交互に生じ、それら異なる駆動ポジションでは、それぞれ駆動可能な火格子棒支持体(5a)にある火格子棒(3)と、駆動不能な火格子棒列(2b)の駆動不能な火格子棒支持体(5b)にある火格子棒(3)とを異なって設定することにより、前記スラスト火格子表面(O)上に存在する燃焼対象物(B)の搬送及び/又は煽りが行われ
記駆動可能な火格子棒列(2a)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)のうち少なくともいくつかが少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に、前記第1駆動運動(A1)が異なる火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に互いに独立して導入されるように分けられており、同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられた前記駆動可能な火格子棒支持体(5a)は常に同期して駆動され、
前記第1駆動運動(A1)が、前記少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)のうちの少なくとも一つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入されることによって、設定された運動モード(M)に応じて、異なる駆動ポジション(S)が交互に設定される、運転方法において、
前記スラスト火格子(100)内に、又は、前記スラスト火格子(100)のスラスト火格子モジュール(1)内に二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)が設けられており、
-第1駆動ポジション(S1)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する少なくとも一つの第1駆動部(12a)、及び、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する少なくとも一つの第2駆動部(12b)が、それぞれ縮んでおり、及び/又は、
-第2駆動ポジション(S2)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が伸びており、かつ、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)が縮んでおり、及び/又は、
-第3駆動ポジション(S3)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が縮んでおり、かつ、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)が伸びており、及び/又は、
-第4駆動ポジション(S4)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)、及び、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)がそれぞれ伸びており、
第1運動モード(M1)においては、第1駆動ポジション(S1)、第2駆動ポジション(S2)、第1駆動ポジション(S1)及び第3駆動ポジション(S3)が、次々に繰り返し設定される、及び/又は、
第3運動モード(M3)においては、第2駆動ポジション(S2)及び第4駆動ポジション(S4)が次々に繰り返し設定され、駆動部(12)のうちの少なくとも一つ、とりわけ前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が第3運動モード(M3)においては静止しており、とりわけ伸びたままである
ことを特徴とする当該運転方法。
【請求項2】
前記第1駆動運動(A1)は、設定された運動モード(M)に応じて、
-少なくとも一時的に、時間的にずれて及び/又は非同期で、異なる火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入されるか、又は、
-少なくとも一時的に、前記少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)のうちの一つのみに導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流れ方向(F)にそれぞれ隣接する火格子棒(3)の非平坦な表面輪郭(13)の上に第2端部(6)でもって支持される火格子棒(3)に、駆動可能な及び駆動不能な火格子棒列(2a、2b)の火格子棒(3)の間の相対運動によって第2駆動運動(A2)が導入され、
そのために前記火格子棒(3)の非平坦な表面輪郭(13)は、流れ方向(F)に経過する曲線プロフィール(K)を有することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
-前記駆動可能な火格子棒列(2a)の火格子棒(3)の第1火格子棒運動(Ba)は、前記第1端部(4)を介して誘起された第1駆動運動(A1)と、前記第2端部(6)を介して誘起された第2駆動運動(A2)とから成り、及び/又は、
-前記駆動不能な火格子棒列(2b)の火格子棒(3)の第2火格子棒運動(Bb)は、前記第2端部(6)を介して誘起された前記第2駆動運動(A2)から生じることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の少なくとも二つの駆動可能な火格子棒支持体(5a)が、一つの共通の駆動部(12;12a、12b)に割り当てられており、それにより、第1駆動運動(A1)が、一つの共通の駆動部(12;12a、12b)を介して、前記同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられている駆動可能な火格子棒支持体(5a)のうちの少なくとも二つに同期して導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1駆動運動(A1)は、前記共通の駆動部(12;12a、12b)を介して、ただ一つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の前記少なくとも二つの駆動可能な火格子棒支持体(5a)のみに導入されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が前記第1運動モード(M1)において前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動するのは、前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)が前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動しない場合、もしくは静止している場合のみであることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
第2運動モード(M2)においては、第1駆動ポジション(S1)及び第4駆動ポジション(S4)が次々に繰り返し設定され、前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する一方で、前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)も、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動するもしくは移動させることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
第4運動モード(M)においては、第2駆動ポジション(S2)及び第3駆動ポジション(S3)が次々に繰り返し設定され、前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を同時に駆動する一方、前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)も、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記スラスト火格子(100)の一つおきの火格子棒列(2)は、駆動部(12)を介して駆動される火格子棒列(2a)であり、これら列の間には非駆動の火格子棒列(2b)が配置されており、前記一つおきに駆動される火格子棒列(2a)は同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記それぞれの駆動部(12)は、駆動機構(9)を介して第1駆動運動(A1)をそれぞれの駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入し、前記それぞれの駆動機構(9)は、トーションシャフト(10)に取り付けられたトーションレバー(11a、11b)を有しており、該トーションレバー(11a、11b)は、駆動部(12)を、前記駆動可能な火格子棒支持体(5a)に接続し、それによりそれぞれの駆動部(12)が作動すると、前記トーションシャフト(10)により規定された第2回転軸(D2)を中心に円弧形状の第1駆動運動(A1)が生じることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項12】
却炉用のスラスト火格子(100)であって、請求項1に記載の方法を実施するためのものであり、複数の火格子棒列(2)及び制御装置(50)を備え、前記複数の火格子棒列(2)は、複数の火格子棒(3)がその第1端部(4)を介して回転可能に支承されたそれぞれ一つの火格子棒支持体(5)を有しており、隣接する火格子棒列(2)の火格子棒(3)は、それぞれの火格子棒(3)の第2端部(6)が流れ方向(F)に隣接する火格子棒(3)の表面(7)の上に支持されるように、屋根瓦状に重なり合っており、
個々の火格子棒列(2)の火格子棒(3)の表面(7)はスラスト火格子面(O)を形成しており、火格子棒(3)の表面(7)は非平坦な表面輪郭(13)を有しており、
前記火格子棒列(2)のうちの少なくともいくつかは、駆動部(12)を介して駆動可能である火格子棒列(2a)であり、
前記制御装置(50)は、駆動可能な火格子棒支持体(5a)にそれぞれ第1駆動運動(A1)を導入できるように駆動部(12)を制御するよう構成されており、前記第1駆動運動(A1)では、それぞれの駆動可能な火格子棒支持体(5a)にある火格子棒(3)と、駆動不能な火格子棒列(2b)の駆動不能な火格子棒支持体(5b)にある火格子棒(3)とに異なる設定がされていることにより交互に異なる駆動ポジション(S)が生じ、それによりスラスト火格子表面(O)上に存在する燃焼対象物(B)の搬送及び/又は煽りが行われる、
スラスト火格子(100)において、
前記駆動可能な火格子棒列(2a)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)は少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に分割されており、
前記制御装置(50)は、
-第1駆動運動(A1)が、それぞれの駆動部(12)を介して互いに独立して、異なる火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入され、
-同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられた駆動可能な火格子棒支持体(5a)は、常に同期して駆動され、
-設定された運動モード(M)に応じて交互に異なる駆動ポジション(S)が設定され、そこでは前記第1駆動運動(A1)が、それぞれの駆動部(12)を介して前記少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)のうちの少なくとも一つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入されるように構成されていることを特徴とするスラスト火格子(100)。
【請求項13】
前記スラスト火格子(100)は、相前後して及び/又は隣り合って配置された複数のスラスト火格子モジュール(1)から構成されており、これらスラスト火格子モジュール(1)はそれぞれ、同期して駆動可能な少なくとも二つの火格子棒支持体(5a)及びそこに回転可能に支承された火格子棒(3)から成るそれぞれ少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)を有していることを特徴とする請求項12に記載のスラスト火格子(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ廃棄物焼却施設の焼却炉のためのスラスト火格子の運転方法、ならびに該方法を実行するためのスラスト火格子に関する。
【0002】
スラスト火格子は通常、廃棄物が可燃物として燃焼される廃棄物焼却施設で用いられる。スラスト火格子は多くの場合、火格子棒を有する個々の火格子棒列から成り、該火格子棒列は燃料の流れ方向に相前後して配置されており、また、屋根瓦状に互いに重なり合っている。火格子棒列の火格子棒は火格子棒支持体に支承されている。一つおきの火格子棒支持体には駆動部が係合しており、駆動部は、駆動されるもしくは駆動可能な該当する火格子棒列に駆動運動を導入する。それにより、駆動可能な火格子棒列は、非駆動で定置の火格子棒列に対して移動される。このとき、全ての駆動可能な火格子棒列の駆動部は、駆動可能な各火格子棒列が同じようにもしくは同時に前後に運動し、それによりスラスト火格子全体にわたって運動経過が均一になるように、制御装置により同期してもしくは同時に(同ストロークで)制御される。
【0003】
駆動可能な火格子棒列が同ストロークで前述のように運動することにより、一方では、スラスト火格子のスラスト火格子面の上に投入された燃料が燃焼により搬送され、また、他方では、燃料層が煽られる。このときスラスト火格子面は、個々の火格子棒の表面により形成されるため、その位置も搬送及び燃料層の煽りに影響する。例えば特許文献1又は特許文献2に記述されているように、公知のスラスト火格子においては、円弧形状の第1駆動運動が駆動部によりトーションシャフト及びトーションレバーを介して火格子棒支持体に導入され、それにより、駆動可能な火格子棒支持体に支承された火格子棒は、それぞれそれに応じた火格子棒運動を行う。代替的に、リンク機構を介した直線的な第1駆動運動も可能であり、そこから、駆動可能な火格子棒支持体に支承された火格子棒の直線的な火格子棒運動が生じる。
【0004】
特許文献3にはまた、トーションシャフトを備えるスラスト火格子が記述されており、トーションシャフトのシャフトベアリングは高さを調整することができ、それにより、火格子棒列の駆動を再び直線的な駆動方向に従って行うことができる。さらなる駆動態様を持つ送り火格子もしくはスラスト火格子は例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7に記述されている。
【0005】
さらに特許文献8には、火格子棒列のうちの少なくともいくつかの火格子棒列の火格子棒の表面が非平坦な表面輪郭を有しており、それにより、第1駆動運動に追加して、駆動可能な火格子棒列の火格子棒と駆動不能な火格子棒列の火格子棒との間の相対運動によって第2駆動運動を導入することができる。それにより運動経過が複雑化し、燃焼対象物の搬送もしくは送り及び煽りがさらに最適化される。
【0006】
そのようなスラスト火格子の運転における短所としては、燃料もしくは燃料層の搬送もしくは送り及び煽りが、互いに不可分に結びついていることが挙げられる。つまり運動モードは一つだけであり、そこでは燃料が、駆動可能な火格子棒列の同時かつ互いに連結された運動により常に同じように搬送され、また、同時に煽られる。この運動モードにおいて燃料に対する作用は、駆動可能な火格子棒列の運動速度の変化のみにより調整することができるが、しかしそれは搬送と煽りとの組み合わせには影響しない。
【0007】
特許文献9又は特許文献10にはそれぞれ、二つの火格子棒列ユニットを持つ送り火格子が記述されており、この二つの火格子棒列ユニットはそれぞれ、運動するように互いに連結された複数の火格子構成部分を有している。それぞれの火格子棒列ユニットの火格子構成部分は、それぞれの火格子棒列ユニットに割り当てられた駆動部を介して一緒にもしくは同期して駆動することができ、その際、それぞれの火格子棒列ユニットに割り当てられた駆動部は、互いに独立して制御することができるため、異なる火格子棒列ユニットの火格子構成部分も同様に互いに独立して運動することができる。このとき駆動可能な火格子構成部分は、固定されたもしくは不動の火格子構成部分の上を前後にスライドし、駆動可能な火格子構成部分も駆動不能な固定された火格子構成部分も、平坦な表面輪郭を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国登録特許第6332410号
【文献】独国公開特許第3007678号
【文献】独国特許第3007678号広報
【文献】米国登録特許第4179183号
【文献】欧州特許出願第3845806号
【文献】中国公開特許第107062233号
【文献】スウェーデン公開特許第1951417号
【文献】独国公開特許第102019128536号
【文献】米国登録特許第3863578号
【文献】独国公開特許第2359635号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、スラスト火格子のフレキシブルな運転を低コストで行えるようにするための方法及びスラスト火格子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、独立請求項に記載された方法及びスラスト火格子により解決される。従属請求項には好ましい発展形が記述されている。
【0011】
それによれば、スラスト火格子の運転方法では、スラスト火格子が複数の(駆動可能な及び駆動不能な)火格子棒列を有しており、該火格子棒列はそれぞれ一つの火格子棒支持体を有しており、この火格子棒支持体には複数の火格子棒は、その第1端部を介して回転可能に支承されており、隣接する火格子棒列の火格子棒は、それぞれの火格子棒の第2端部が、流れ方向で隣接する火格子棒の表面の上に支持されるように屋根瓦状に互いに重なり合っている。このとき個々の火格子棒列の火格子棒の表面は、一緒にもしくは共にスラスト火格子面を形成しており、少なくともいくつかの、望ましくは全ての火格子棒の表面は非平坦な表面輪郭を有している。
【0012】
駆動可能な火格子棒列の駆動可能な火格子棒支持体にはそれぞれ、例えば円弧形状又は直線的に経過する第1駆動運動を、駆動部及び駆動機構を介して導入することができ、その際に異なる駆動ポジションが交互に生じ、それら駆動ポジションにおいてはそれぞれ駆動可能な火格子棒支持体にある火格子棒と、駆動不能な火格子棒列の駆動不能な火格子棒支持体にある火格子棒とが、表面輪郭が非平坦であるため、異なって設定もしくは運動され、スラスト火格子表面に存在する燃焼対象物が搬送及び/又は煽られる。
【0013】
本発明によるとその際、スラスト火格子の駆動可能な火格子棒列の少なくともいくつかの、望ましくは全ての、駆動可能な火格子棒支持体が、少なくとも二つの火格子棒列ユニットに望ましくは均一に分散されており、その際、第1駆動運動が、異なる火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体へと互いに独立してもしくは連動せずに導入され、その際、同じ火格子棒列ユニットに割り当てられている駆動可能な火格子棒支持体は常に同期して及び/又は互いに連動して駆動される。スラスト火格子の運転中、駆動可能な各火格子棒支持体はただ一つの火格子棒列ユニットのみに割り当てられており、一方、一つの火格子棒列ユニット内の火格子棒運動は同期してもしくは一緒に行われ、(複数の)火格子棒列ユニット間の火格子棒運動は状況に応じて、つまり、設定された運動モードに応じて、互いに独立して行われる。このことは、スラスト火格子又はスラスト火格子の個々のスラスト火格子モジュールのよりフレキシブルな運転を可能にする。なぜなら、駆動される火格子棒列の全てが常に同期してないし同じように駆動されるわけでもなく、そもそも常に駆動されるわけでもないからである。
【0014】
さらに本発明によると、設定されたもしくは所与の運動モードに応じて、例えば制御装置により制御されて、異なる駆動ポジションが交互で設定され、その際に第1駆動運動が、少なくとも二つの火格子棒列ユニットのうちの少なくとも一つの駆動可能な火格子棒支持体に導入される。それにより、相応にパラメータ化された制御装置を用いて、純粋に制御側において、高価で誤動作を起こしやすい追加の駆動機構を用いずに、運動モードに応じて、状態の異なる火格子棒運動が現れる。
【0015】
火格子棒の表面が非平坦であるため、この火格子棒運動は非常に複雑であり、それは、第1駆動運動が火格子棒運動に寄与するだけでなく、流れ方向にそれぞれ隣接する火格子棒の非平坦な表面輪郭上に第2端部により支持されている火格子棒に、駆動可能な火格子棒列の火格子棒と駆動不能な火格子棒列の火格子棒との間の相対運動による第2駆動運動も導入されるからである。このとき火格子棒の非平坦な表面輪郭は、例えば流れ方向に経過する、望ましくは凹状又は凸状に湾曲した曲線プロフィールを描くことができ、及び/又は、曲線プロフィールの隣接する曲線領域の湾曲は異なっている。これら両方の駆動運動から複雑な運動経過が生まれ、それが、それぞれ設定された運動モードと相互作用することにより、スラスト火格子のフレキシブルな運転を容易に可能にする。
【0016】
それにより、燃焼プロセスにおいて例えば運動モードを設定でき、この運動モードでは、第1駆動運動をそれぞれ駆動可能な火格子棒支持体に目的どおりに導入することと、その結果得られる第2駆動運動とにより、適切な駆動ポジションが交互に設定され、これらの駆動ポジションにより、乗っている燃焼対象物を特に良好に煽ることができる。次に、運動モードの切り替え後に、別の駆動ポジションを交互に設定することができ、これらの駆動ポジションにより、例えば燃焼対象物をスラスト火格子から取り除くために、特に良好な搬送効率を達成できる。ここでは、燃焼対象物の煽り及び搬送は、それぞれの運動モードを目的どおりに設定することにより、少なくとも一時的に連動しないようにすることができる。
【0017】
異なる火格子棒列ユニットは、相応の制御を行うことにより基本的に引き続き同期して運転することができるため、従来技術の場合のように、全ての駆動可能な火格子棒支持体が同期して運動する運動モードを少なくとも一時的に設定することができる。しかしながらこれは、スラスト火格子を一時的に運転するために可能な運動モードの一つにすぎない。
【0018】
本発明によるとスラスト火格子はさらに、本発明の方法を実行するための制御装置を備えており、スラスト火格子はとりわけ、相前後して及び/又は隣り合って配置された複数のスラスト火格子モジュールから成っており、これらスラスト火格子モジュールはそれぞれ、それぞれ少なくとも同期して駆動可能な二つの火格子棒支持体、及び、そこに回転可能に支承された火格子棒から成る少なくとも二つの火格子棒列ユニットを有している。したがってスラスト火格子は、異なるゾーン又は領域において異なって駆動することができる。そのため、異なるスラスト火格子モジュールの駆動可能な火格子棒支持体を、異なる火格子棒列ユニットにも割り当てることができ、するとこれら火格子棒列ユニットは、選択された運動モードに応じて、それぞれモジュールを跨いで同じように駆動されるか、又は、異なるように駆動される。したがって全てのスラスト火格子モジュールを同じように制御する場合、それぞれの運動モードをスラスト火格子全体にわたって変更することができ、又は、駆動可能な火格子棒支持体が少なくとも二つの火格子棒列ユニットに分散されている個々のスラスト火格子モジュールについては領域ごとにだけ変更することができる。それにより特にフレキシブルな運転が可能となる。
【0019】
望ましくはさらに、設定された運動モードに応じて、第1駆動運動が、
-少なくとも一時的に時間的にずれて及び/又は非同期で、異なる火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体に導入される、又は
-少なくとも一時的に、少なくとも二つの火格子棒列ユニットの一つのみに導入される、もしくは火格子棒列ユニットのうちの一部に、導入される。それにより、異なる火格子棒ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を互いに相対的に動かすことにより火格子棒運動を容易に発生させることができる。この相対運動から、燃焼対象物の煽り及び搬送を相応に目的どおりに設定できる、さらなる可能な駆動ポジションが生まれる。
【0020】
望ましくはさらに、同じ火格子棒列ユニットの少なくとも二つの駆動可能な火格子棒支持体に、一つの共通の駆動部を割り当て、それにより第1駆動運動が、一つの共通の駆動部を介して、及び、例えば相応に構成された伝達リンク機構を介して、同じ火格子棒列ユニットに割り当てられた駆動可能な火格子棒支持体のうちの少なくとも二つに、同期してもしくは互いに連動されて導入される。このようにして第1駆動運動を、少数の駆動部を用いて導入することができ、火格子棒列ユニットにおける同期運動をより容易に実施できる。
【0021】
これに補足的に、第1駆動運動が前記共通の駆動部を介して、ただ一つの、つまり、それぞれ割り当てられている火格子棒列ユニットの少なくとも二つの駆動可能な火格子棒支持体にのみ、もしくはそれに排他的に導入され、その他の火格子棒列ユニットには導入されないようにすることができる。それにより確実に、異なる火格子棒列ユニットの火格子棒支持体の運動も、状況に応じて互いに独立して行える。
【0022】
望ましくはさらに、スラスト火格子のスラスト火格子モジュール内には(正確に)二つの火格子棒列ユニットが設けられており、
-第1駆動ポジションが設定され又は設定することができ、第1駆動ポジションでは、第1火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第1駆動部、及び、第2火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第2駆動部が、それぞれ縮んでおり、及び/又は、
-第2駆動ポジションが設定され又は設定することができ、第2駆動ポジションでは、第1火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第1駆動部が伸び、かつ、第2火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第2駆動部が縮んでおり、及び/又は、
-第3駆動ポジションが設定され又は設定することができ、第3駆動ポジションでは、第1火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第1駆動部が縮み、かつ、第2火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第2駆動部が伸びており、及び/又は、
-第4駆動ポジションが設定され又は設定することができ、第4駆動ポジションでは、第1火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第1駆動部、及び、第2火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する少なくとも一つの第2駆動部が、それぞれ伸びている。それにより、もっとも単純な場合には、スラスト火格子の各スラスト火格子モジュールのために、又は、スラスト火格子内の個々のスラスト火格子モジュールのためだけに、4つの異なる駆動ポジションを設定することができる。これらの駆動ポジションは、設定された運動モードに応じて交互に変更することができる。
【0023】
望ましくはその際、第1運動モードにおいては、第1駆動ポジション、第2駆動ポジション、第1駆動ポジション、第3駆動ポジションが(この順序で)次々に繰り返し設定される。それにより、一つのスラスト火格子モジュール内において、もしくはスラスト火格子全体にわたって顕著な火格子段及び煽りポケットが形成され、これらは、交番する駆動ポジションにより流れ方向に動的に移動していき、燃焼対象物はそれにより常にほぐされ、かつ、効率的に搬送される。したがってこの第1運動モードが継続して設定される場合、良好な搬送効率及び良好な煽り作用が得られる。
【0024】
これに補充的に、第1運動モードにおいて、少なくとも一つの第1駆動部が第1火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動するのが、少なくとも一つの第2駆動部が第2火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動しない場合、もしくは静止している場合のみとすることができる。それにより、交互に生じる逆ストローク運動により、非常に顕著で動的に移動する火格子段及び煽りポケットが得られる。
【0025】
望ましくはさらに、第2運動モードにおいて、第1駆動ポジション及び第4駆動ポジションが(この順序で)次々に繰り返し設定されるようにでき、少なくとも一つの第1駆動部が、第1火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動する一方で、少なくとも一つの第2駆動部も、第2火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動するもしくは自身が運動する。それによりスラスト火格子もしくは個々のスラスト火格子モジュールが少なくとも一時的に同ストロークでも運転され、それにより一時的に、煽り作用が小さくても高い搬送効率を得ることができ、このことは、例えばスラスト火格子を清掃することにとって有利である。したがって、異なる運動モードを設定できることにより、フレキシブルな運転を可能にすることができる。
【0026】
望ましくはさらに、第3運動モードにおいて第2駆動ポジション及び第4駆動ポジションが(この順序で)次々に繰り返し設定されるようにでき、それにより駆動部のうちの少なくとも一つの駆動部、とりわけ少なくとも一つの第1駆動部が、第3運動モードにおいては静止し、とりわけ、伸びた状態のままとなる。その後、一つの火格子棒列ユニットのみが駆動され、それにより、略静止した煽りが行われる。つまり、搬送効率は非常に低いが、スラスト火格子表面が持ち上がることにより乗っている燃焼対象物を非常に良好にほぐすこともしくは煽ることができる。この第3運動モードがスラスト火格子のためにもしくは個々のスラスト火格子モジュールのために設定されている場合、煽りと搬送とを十分に分離させることができる。
【0027】
望ましくはさらに、第4運動モードにおいて、第2駆動ポジション及び第3駆動ポジションを(この順序で)次々に繰り返し設定するようにでき、このとき、少なくとも一つの第1駆動部が、第1火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を同時に駆動し、一方で、少なくとも一つの第2駆動部も第2火格子棒列ユニットの駆動可能な火格子棒支持体を駆動し、それにより、駆動された火格子棒支持体もしくは火格子棒列が互いに相反して運動する。それにより、それぞれの状況に対応して調整された燃焼対象物の搬送及び対応して調整された煽りを行うことができる。
【0028】
望ましくはさらに、スラスト火格子の一つおきの火格子棒列は、駆動部を介して駆動される火格子棒列であり、それらの間には駆動されない火格子棒列が配置されており、スラスト火格子又はスラスト火格子のスラスト火格子モジュールの駆動される一つおきの火格子棒列は、同じ火格子棒列ユニットに割り当てられる。それにより、火格子棒列ユニットを均一に分散することができ、それにより、設定された運動モードに応じて、スラスト火格子全体にわたってスラスト火格子表面の均一な運動も設定することができる。
【0029】
望ましくはさらに、それぞれの駆動部は、駆動機構を介して第1駆動運動をそれぞれ駆動可能な火格子棒支持体に導入し、それぞれの駆動機構は、トーションシャフトに固定されたトーションレバーを有しており、これらトーションレバーは、例えば液圧シリンダである駆動部を駆動可能な火格子棒支持体に接続し、それぞれの駆動部が作動すると、トーションシャフトにより規定された第2回転軸を中心に円弧形状の第1駆動運動が行われる。このようにして第1駆動運動が、それぞれの駆動部を介してそれぞれの火格子棒支持体に容易に導入され、その際、個々のトーションレバー間の伝達リンク機構を介して、それぞれの火格子棒列ユニット内においても第1駆動運動の同期を容易に行うことができる。
【0030】
以下、図を用いて本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1a】二つの別個の駆動部を備えるスラスト火格子モジュールが第1駆動ポジションにある図である。
図1b】二つの別個の駆動部を備えるスラスト火格子モジュールが第1駆動ポジションにある図である。
図2a図1aのスラスト火格子モジュールが第2駆動ポジションにある図である。
図2b図1bのスラスト火格子モジュールが第2駆動ポジションにある図である。
図3a図1aのスラスト火格子モジュールが第3駆動ポジションにある図である。
図3b図1bのスラスト火格子モジュールが第3駆動ポジションにある図である。
図4a図1aのスラスト火格子モジュールが第4駆動ポジションにある図である。
図4b図1bのスラスト火格子モジュールが第4駆動ポジションにある図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
これらの図にはスラスト火格子モジュール1が図示されており、スラスト火格子100の構成部分は、焼却炉(図示されず)、とりわけ廃棄物焼却施設(図示されず)のためのものであり、燃焼プロセス中に、例えば燃焼された廃棄物などの燃焼対象物Bを流れ方向Fに沿って搬送するのに用いられる。これらの図は、設定された駆動ポジションSが異なるのみであり、以下に詳しく説明するように、スラスト火格子モジュール1の火格子棒列2の火格子棒3及び火格子棒支持体5が図示されている。
【0033】
スラスト火格子100は通常、複数のスラスト火格子モジュール1から構成されており、これらスラスト火格子モジュール1は、流れ方向Fに対して垂直に隣り合って並ぶ一つから3つの領域内にあり、これらの領域内では流れ方向Fにおいて相前後して並ぶように複数のゾーンに配置されている。全てのスラスト火格子モジュール1は共同で、全てのゾーンにわたってかつ全ての領域にわたって連続するスラスト火格子面Oを構成し、燃焼プロセス中はこのスラスト火格子面O上に燃焼対象物Bが乗っている。
【0034】
各スラスト火格子モジュール1はそのために流れ方向Fに沿って配置された複数の火格子棒列2を有しており、この火格子棒列2は、それぞれ横方向Q(流れ方向Fに対して垂直)に隣り合って並ぶ火格子棒3から構成されている。火格子棒列2の火格子棒3は第1端部4を介して火格子棒支持体5に支承されており、各火格子棒3は、それぞれの火格子棒支持体5により規定された第1回転軸D1を中心に回転可能である。さらに、個々の火格子棒列2の火格子棒3は屋根瓦状に互いに重なり合っており、このとき、それぞれの火格子棒3の第2端部6は重力により、流れ方向Fで見て隣接する火格子棒3の表面7の上に支持されている。それにより、個々の火格子棒3の表面7は連続するスラスト火格子面Oを構成することができ、そのスラスト火格子面Oの上で燃焼対象物Bが搬送され、煽られかつ燃焼される。
【0035】
図に示すように、一つおきの火格子棒列2は、駆動されるもしくは駆動可能な火格子棒列2aであり、一つおきの火格子棒支持体5は、駆動されるもしくは駆動可能な火格子棒支持体5aであり、該格子棒支持体5aは駆動機構9と協働し、駆動機構9はスラスト火格子モジュール1もしくはスラスト火格子100の下部送風領域200に配置されている。それらの間に位置する火格子棒列2もしくは火格子棒支持体5は、非駆動のもしくは駆動不能な火格子棒列2b、又は、非駆動のもしくは駆動不能な火格子棒支持体5bである。駆動機構9を介して第1駆動運動A1(図1b参照)を、駆動可能な火格子棒列2aもしくは駆動可能な火格子棒支持体5aへ、さらに、その上に支承された火格子棒3の第1端部4へと導入することができる。
【0036】
第1駆動運動A1は望ましくは円弧形状(図1bの点線)に形成されており、そのために駆動機構9はトーションシャフト10に取り付けられた少なくとも二つのトーションレバー11a、11bを有しており、これらは駆動部12、とりわけリニアアクチュエータ、例えば液圧シリンダと、駆動可能な火格子棒支持体5aとを接続している。それにより駆動部12を作動させることにより、トーションシャフト10により規定された第2回転軸D2を中心にする円弧形状の第1駆動運動A1をもたらすことができ、それにより、駆動可能な火格子棒支持体5aならびにそこに支承された火格子棒3の第1端部4が、第2回転軸D2を中心に円弧形状運動を行う。
【0037】
しかしながら基本的に、駆動機構9が、直線的な第1駆動運動A1(図1bの一点鎖線)及びそれにより駆動可能な火格子棒支持体5aならびにそこに支承された火格子棒3の第1端部4の直線的な運動をもたらすことも可能である。円弧形状又は直線的な第1駆動運動A1により、駆動可能な火格子棒支持体5aに支承された火格子棒3の第1火格子棒運動Baが得られ、この第1火格子棒運動Baは、流れ方向Fにおいても、上に向かう垂直方向においても(流れ方向Fに対しても横方向Qに対しても垂直)方向成分を有しているため、燃焼対象物Bを流れ方向Fに沿って搬送すると同時に煽ることもできる。
【0038】
これを最適化するために個々の火格子棒3の表面7は、それぞれの火格子棒3の第2端部6を介して補充的に第2駆動運動A2がそれぞれの火格子棒3に導入されるように構成されている(図1b参照)。図示された実施形態によるとこの第2駆動運動A2は、駆動可能な火格子棒支持体5aに支承された火格子棒3にも、駆動不能な火格子棒支持体5bに支承された火格子棒3にも導入される。
【0039】
それぞれの火格子棒3の表面7はそのために、断面において、凸状及び/又は凹状に湾曲していて波状に構成することも可能な曲線プロフィールKの形式の非直線的な表面輪郭13を有している。それにより、その上に支持された、流れ方向Fとは反対方向に隣接するそれぞれの火格子棒3の第2端部6は、曲線プロフィールK上の位置に応じて上に向かって又は下に向かって運動し、それにより第2駆動運動A2が生まれる。したがって、それぞれの火格子棒3の第2端部6に導入される第2駆動運動A2は主に、流れ方向Fに隣接する火格子棒3の曲線プロフィールK上において第2端部6が占める位置に依存する。
【0040】
したがって、駆動可能な火格子棒支持体5aに支承された火格子棒3には、とりわけ第1駆動運動A1及び第2駆動運動A2に依存する第1火格子棒運動Baが生まれる。また、駆動不能な火格子棒支持体5bに支承された火格子棒3には、相応に、主に第2駆動運動A2から生じる第2火格子棒運動Bbが生まれる。このとき第2駆動運動A2はそれぞれ曲線プロフィールKにより規定されるが、それぞれの火格子棒運動Ba、Bbにより火格子棒3の表面7も運動しているため、この曲線プロフィールK自体は静止しているわけではない。つまり、第1及び/又は第2駆動運動A1、A2により、それぞれの火格子棒3の複雑な火格子棒運動Ba、Bbがもたらされる。
【0041】
搬送及び煽りプロセスは、複雑な火格子棒運動Ba、Bbの可能性を備えるこのようなスラスト火格子100によりすでに最適化することができ、そのために駆動機構9又は駆動部12を変更すること、もしくは、下部送風領域200にさらなる大規模な駆動機構9を設けることは必要ないため、この解決法により誤動作の起こりやすさを高めることがなく、信頼性を保つことができる。
【0042】
本発明によればさらに、このようなスラスト火格子モジュール1の駆動可能な火格子棒支持体5aもしくは駆動可能な火格子棒列2aに、制御装置50を介して、異なる運動モードMにおいて特別な動きを行わせることができ、それによりそのようなスラスト火格子モジュール1をスラスト火格子100内においてより効率的にまたフレキシブルに駆動することができる。そのために駆動可能な火格子棒支持体5aを有する個々の駆動可能な火格子棒列2aはまず、目的どおりに一つの火格子棒列ユニットEに割り当てられる。これは、図に示すように例えばペアで行うことができる。しかし基本的に他の分け方も可能である。
【0043】
ここでは、スラスト火格子モジュール1の駆動可能な火格子棒列2aの第1ペアP1が第1火格子棒列ユニットE1に割り当てられ、また、駆動可能な火格子棒列2aの第2ペアP2が第2火格子棒列ユニットE2に割り当てられており、その際、駆動可能な各火格子棒列2aもしくは駆動可能な各火格子棒支持体5aは、ただ一つの火格子棒列ユニットEに割り当てられている。図示された実施例においては第1及び第5の火格子棒列2(駆動不能な火格子棒列2bも含めて数える)もしくは第1及び第3の駆動可能な火格子棒列2aが、第1火格子棒列ユニットE1に割り当てられており、このときこの第1火格子棒列ユニットE1は一つの共通の第1駆動部12aにより駆動されている。
【0044】
このとき第1駆動部12aは、伝達リンク機構14を介して第1火格子棒列ユニットE1の両方の駆動可能な火格子棒支持体5aの駆動機構9に同時に作用するため、これらのために必要なのはただ一つの共通の第1駆動部12aのみである。しかし同様に、分割された“第1”駆動部12aを設けて、第1火格子棒列ユニットE1に割り当てられた両方の駆動可能な火格子棒列2aもしくは両方の駆動可能な火格子棒支持体5aを、別々の第1駆動部12aを介して駆動することも可能である(図示されず)。この場合、別個に構成された両方の第1駆動部12aは制御装置50により同期して制御され、その際には、第1火格子棒列ユニットE1の両方の駆動可能な火格子棒支持体5aに対して、一つの共通の第1駆動部12aのみによる実施例の場合と同じように、同期した同一の第1駆動運動A1がもたらされるようにされる。
【0045】
第1火格子棒列ユニットE1と同様に、第2火格子棒列ユニットE2にも第2駆動部12b(又は、同期して制御される、分割された二つの“第2”駆動部12b)が割り当てられており、それにより、第2火格子棒列ユニットE2の両方の駆動可能な火格子棒支持体5aの駆動機構9に、同期して第1駆動運動A1を導入することができる。また、両方の火格子棒列ユニットE;E1、E2は、それらの駆動部12;12a、12bを介して互いに独立して駆動することもしくは運動させることができ、その際、一つの火格子棒列ユニットE;E1、E2内の駆動可能な火格子棒列2aもしくは駆動可能な火格子棒支持体5aは常に一緒にもしくは同期して駆動される。
【0046】
それにより火格子棒列2の火格子棒3及び火格子棒支持体5に対して、異なる図にそれぞれ図示するように、異なる駆動ポジションSが生じる。これらの駆動ポジションSが制御装置50により、所定の時間的順番で設定されることにより、スラスト火格子100の運転中、状況に応じて様々な運動モードMを実現することができる。次に、これらの駆動ポジションSもしくは運動モードMについて図を参照しながら詳しく説明する。図2a、図2b、図3a、図3b、図4a、図4bにおいては、それぞれの駆動ポジションSに関連する符号のみがプロットされている。
【0047】
図1a及び図1bには、第1火格子棒列ユニットE1の第1駆動部12a、及び、第2火格子棒列ユニットE2の第2駆動部12bが縮んでおり、それにより第1駆動ポジションS1が生まれることが、異なる視点から図示されている。
【0048】
図2a及び図2bには、第1火格子棒列ユニットE1の第1駆動部12aが伸びており、第2火格子棒列ユニットE2の第2駆動部12bは縮んでおり、それにより第2駆動ポジションS2が生まれることが、異なる視点から図示されている。
【0049】
図3a及び図3bには、第1火格子棒列ユニットE1の第1駆動部12aが縮んでおり、第2火格子棒列ユニットE2の第2駆動部12bは伸びており、それにより第3駆動ポジションS3が生まれることが、異なる視点から図示されている。
【0050】
図4a及び図4bには、第1火格子棒列ユニットE1の第1駆動部12a、及び、第2火格子棒列ユニットE2の第2駆動部12bが伸びており、それにより第4駆動ポジションS4が生まれることが、異なる視点から図示されている。
【0051】
第1運動モードM1(逆ストロークが交互する)においては、制御装置50は、第1駆動ポジションS1、第2駆動ポジションS2、第1駆動ポジションS1、そして最後に第3駆動ポジションS3を時間的に連続して設定できる。第1運動モードM1が作動している間は、これらのポジションS1、S2、S1、S3がこの順序で繰り返される。この第1運動モードM1においては両方の駆動部12;12a、12bの交番する運動経過が同時に行われるわけではなく、つまり、駆動部12a、12bの一方が伸びて再び縮む(S1-S2、S2-S1)間、駆動部12b、12aの他方は継続して縮んだままであり、次にこれが逆になる(S1-S3、S3-S1)。
【0052】
このとき、第2駆動ポジションS2及び第3駆動ポジションS3においては、重なり合う複数の火格子棒3から成る顕著な火格子段17、及び、流れ方向Fにおいて前方に対応する煽りポケット18が形成され、これらは、時間的にその間に第1駆動ポジションS1が設定されるので、流れ方向Fにおいて静的ではなくむしろ動的に移動する。このことは火格子棒3の非直線的な表面輪郭13による複雑な火格子棒運動Ba、Bbにより助けられ、その結果、動的に移動する火格子段17及び煽りポケット18を介して燃焼対象物Bを効率的に連行することができ、同時に煽ることができる。そのため全体的に良好な搬送効率と同時に良好な煽り作用が得られる。
【0053】
第2運動モードM2(同ストロークでの送り)においては、制御装置50は時間的に連続して第1駆動ポジションS1と第4駆動ポジションS4とを設定することができる。第2運動モードM2が作動している間、これら二つのポジションS1、S4はこの順序で交番する。この第2運動モードM2においては両方の駆動部12;12a、12bの交互の運動経過が同時に行われる。つまり、両方の駆動部12a、12bは同時に縮み、再び伸びるため、一つおきの火格子棒列2もしくは駆動可能な各火格子棒列2aは同時に前へ動き、そして後ろに動き、またこの際にも、移動する火格子ポケット17が形成されるが、これは第2及び第3駆動ポジションS2、S3と比較するとより平坦であり、また、流れ方向Fにおける移動もそれより動的ではない。それにより、乗っている燃焼対象物Bが全ての駆動可能な火格子棒列2aの火格子棒3を介して同時に流れ方向Fに搬送されるため、非常に良好な搬送効率が得られる。しかし同時に、火格子棒3の非直線的な表面輪郭13はほぐしを緩やかにしか行うことができないため、(スラスト火格子モジュール1にとっての)可能な煽り作用は最小である。
【0054】
第3運動モードM3(準静止的な煽り)においては、制御装置50は時間的に連続して第2駆動ポジションS2と第4駆動ポジションS4とを設定することができる。この二つのポジションS2、S4は、第3運動モードM3が作動している間はこの順序で交番する。この第3運動モードM3においては、両方の駆動部12;12a、12bの交互の運動経過は、駆動部12;12a、12bの一方、本実施例では第1駆動部12aが常に伸びた状態にあり、駆動部12;12b、12aの他方、本実施例では第2駆動部12bは、交互に縮んだり伸びたりするようにして行われる。
【0055】
したがって、第1火格子棒列ユニットE1の(ここでは)駆動可能な火格子棒列2aは燃焼対象物Bの搬送には貢献していない。したがって燃焼対象物Bは、5列目の火格子棒列2もしくは一つおきの駆動可能な火格子棒列2aによってのみ運ばれる。同時に、火格子棒3の非直線的な表面輪郭13による複雑な火格子棒運動Ba、Bbによって、また、第1駆動運動A1によっても、燃焼対象物Bはわずかな押し戻し成分しか獲得しないため、全体的に流れ方向Fにおいて、あったとしても最小限の搬送(準静止)しか行われない。
【0056】
同時に、第4駆動ポジションS4が設定される場合、もしくは第2火格子棒列ユニットE2の第2駆動部12bが伸ばされる場合、スラスト火格子表面Oは大面積で持ち上げられる。それにより燃焼対象物Bがほぐされて灰が除去される。つまりこの第3運動モードM3においては、搬送効率はほとんどゼロであるが、全体的に非常に良好な煽り作用が得られる。つまり、第3運動モードM3においては煽りと搬送とがほぼ分離されている。この第3運動モードM3は、燃焼プロセスの途中に組み入れることにより、燃焼プロセスの最適化に貢献することができる。
【0057】
第4運動モードM4(同時の逆ストローク)においては、制御装置50は時間的に連続して第2駆動ポジションS2と第3駆動ポジションS3とを設定することができる。これら二つのポジションS2、S3は第4運動モードM4が作動している間はこの順序で交番する。この第4運動モードM4において両方の駆動部12;12a、12bの交互の運動経過は同時ではあるものの逆向きに行われ、つまり、駆動部12a、12bのうちの一方が縮むと、駆動部12b、12aのうちの他方が同時に伸び、次に、その逆が行われる。それにより異なる火格子棒列ユニットEの駆動可能な火格子棒列2aは常に互いに逆向きに運動し、そのことは、状況に応じて燃焼プロセスにおいて利用することができる。
【0058】
したがって、駆動可能な火格子棒列2aを異なる火格子棒列ユニットE;E1、E2に分けること、及び、それぞれ割り当てられた駆動部12;12a、12bを別個にもしくは独立して制御する可能性により、異なる運動経過を達成することができ、これら異なる運動経過は、燃焼プロセス中の異なる状況において相応に使用することができる。そのためには制御装置50においてそれぞれの運動モードMを設定するだけでよく、それに基づき制御装置50は、それぞれの駆動部12;12a、12bを相応の時点で制御する。
【0059】
このとき、その制御はスラスト火格子100の各スラスト火格子モジュール1について同じようにもしくは同時に行われる。つまりスラスト火格子100の全ての列及びゾーンのスラスト火格子モジュール1は同じように制御され、それにより、スラスト火格子表面O全体にわたって均一に配分された火格子棒運動が設定される。すると全てのスラスト火格子モジュール1の第1及び第2駆動部12a、12bは対応して同様に制御され、それによりスラスト火格子100全体にわたって広がる火格子棒列ユニットE;E1、E2が得られ、それユニットの中では、それぞれ割り当てられた駆動可能な火格子棒支持体5aがそれぞれ同期して駆動される。
【0060】
しかしながら適用に関連して、スラスト火格子100の特定のゾーン又は列において、それぞれのスラスト火格子モジュール1にわたって別の搬送作用及び/又は煽り作用を得るために、部分ごとにもしくは異なるスラスト火格子モジュール1に対して異なる運動モードMを設定することもできる。その際は異なるスラスト火格子モジュール1の第1及び第2駆動部12a、12bは、場合によっては駆動の仕方が異なってもよいが、その場合は火格子棒列ユニットE;E1、E2もモジュールを超えて広がるのではなく、一つのスラスト火格子モジュール1からの駆動可能な火格子棒支持体5aのみを有する。
【0061】
つまり、制御装置50は、スラスト火格子モジュール1の駆動可能な火格子棒列2a、又はスラスト火格子100の複数のスラスト火格子モジュール1を、それぞれの駆動部12を介して容易にかつフレキシブルにそれぞれの適用に適応させて運動させることができる。そのために追加の機械的なコンポーネントは必要なく、必要なのは、対応してパラメータ化されたもしくはパラメータ化可能であって、個々の駆動部12;12a、12bを協調して制御することができる制御装置50のみである。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
スラスト火格子(100)の運転方法であって、該スラスト火格子(100)は複数の火格子棒列(2)を有しており、これら火格子棒列(2)はそれぞれ一つの火格子棒支持体(5)を有しており、該火格子棒支持体(5)にはその第1端部(4)を介して複数の火格子棒(3)が回転可能に支承されており、
隣接する火格子棒列(2)の火格子棒(3)は、それぞれの火格子棒(3)の第2端部(6)が、流れ方向(F)に隣接する火格子棒(3)の表面(7)の上に支持されるように屋根瓦状に重なり合っており、
個々の火格子棒列(2)の火格子棒(3)の表面(7)がスラスト火格子面(O)を形成しており、火格子棒(3)の前記表面(7)は非平坦な表面輪郭(13)を有しており、
駆動可能な火格子棒列(2a)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)には駆動部(12)を介してそれぞれ第1駆動運動(A1)が導入され、又は、導入可能であり、それにより、異なる駆動ポジション(S)が交互に生じ、それら異なる駆動ポジションでは、それぞれ駆動可能な火格子棒支持体(5a)にある火格子棒(3)と、駆動不能な火格子棒列(2b)の駆動不能な火格子棒支持体(5b)にある火格子棒(3)とを異なって設定することにより、前記スラスト火格子表面(O)上に存在する燃焼対象物(B)の搬送及び/又は煽りが行われる運転方法において、
前記駆動可能な火格子棒列(2a)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)のうち少なくともいくつかが少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に、前記第1駆動運動(A1)が異なる火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に互いに独立して導入されるように分けられており、同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられた前記駆動可能な火格子棒支持体(5a)は常に同期して駆動され、
前記第1駆動運動(A1)が、前記少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)のうちの少なくとも一つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入されることによって、設定された運動モード(M)に応じて、異なる駆動ポジション(S)が交互に設定される当該運転方法。
2.
前記第1駆動運動(A1)は、設定された運動モード(M)に応じて、
-少なくとも一時的に、時間的にずれて及び/又は非同期で、異なる火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入されるか、又は、
-少なくとも一時的に、前記少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)のうちの一つのみに導入される上記1に記載の方法。
3.
流れ方向(F)にそれぞれ隣接する火格子棒(3)の非平坦な表面輪郭(13)の上に第2端部(6)でもって支持される火格子棒(3)に、駆動可能な及び駆動不能な火格子棒列(2a、2b)の火格子棒(3)の間の相対運動によって第2駆動運動(A2)が導入され、
そのために望ましくは前記火格子棒(3)の非平坦な表面輪郭(13)は、流れ方向(F)に経過する曲線プロフィール(K)を有する上記1又は2に記載の方法。
4.
-前記駆動可能な火格子棒列(2a)の火格子棒(3)の第1火格子棒運動(Ba)は、前記第1端部(4)を介して誘起された第1駆動運動(A1)と、前記第2端部(6)を介して誘起された第2駆動運動(A2)とから成り、及び/又は、
-前記駆動不能な火格子棒列(2b)の火格子棒(3)の第2火格子棒運動(Bb)は、前記第2端部(6)を介して誘起された前記第2駆動運動(A2)から生じる上記3に記載の方法。
5.
同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の少なくとも二つの駆動可能な火格子棒支持体(5a)が、一つの共通の駆動部(12;12a、12b)に割り当てられており、それにより、第1駆動運動(A1)が、一つの共通の駆動部(12;12a、12b)を介して、前記同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられている駆動可能な火格子棒支持体(5a)のうちの少なくとも二つに同期して導入される上記1から4のいずれか1つに記載の方法。
6.
前記第1駆動運動(A1)は、前記共通の駆動部(12;12a、12b)を介して、ただ一つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の前記少なくとも二つの駆動可能な火格子棒支持体(5a)のみに導入される上記5に記載の方法。
7.
前記スラスト火格子(100)内に、又は、前記スラスト火格子(100)のスラスト火格子モジュール(1)内に二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)が設けられており、
-第1駆動ポジション(S1)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する少なくとも一つの第1駆動部(12a)、及び、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する少なくとも一つの第2駆動部(12b)が、それぞれ縮んでいること、及び/又は、
-第2駆動ポジション(S2)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が伸びており、かつ、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)が縮んでいること、及び/又は、
-第3駆動ポジション(S3)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が縮んでおり、かつ、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)が伸びていること、及び/又は、
-第4駆動ポジション(S4)が設定され又は設定することができ、そこでは、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)、及び、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)がそれぞれ伸びている上記1から6のいずれか1つに記載の方法。
8.
第1運動モード(M1)においては、第1駆動ポジション(S1)、第2駆動ポジション(S2)、第1駆動ポジション(S1)及び第3駆動ポジション(S3)が、次々に繰り返し設定される上記7に記載の方法。
9.
前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が前記第1運動モード(M1)において前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動するのは、前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)が前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動しない場合、もしくは静止している場合のみである上記8に記載の方法。
10.
第2運動モード(M2)においては、第1駆動ポジション(S1)及び第4駆動ポジション(S4)が次々に繰り返し設定され、前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する一方で、前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)も、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動するもしくは移動させる上記7から9のいずれか1つに記載の方法。
11.
第3運動モード(M3)においては、第2駆動ポジション(S2)及び第4駆動ポジション(S4)が次々に繰り返し設定され、駆動部(12)のうちの少なくとも一つ、とりわけ前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が第3運動モード(M3)においては静止しており、とりわけ伸びたままである上記7から10のいずれか1つに記載の方法。
12.
第4運動モード(M3)においては、第2駆動ポジション(S2)及び第3駆動ポジション(S3)が次々に繰り返し設定され、前記少なくとも一つの第1駆動部(12a)が、前記第1火格子棒列ユニット(E1)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を同時に駆動する一方、前記少なくとも一つの第2駆動部(12b)も、前記第2火格子棒列ユニット(E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)を駆動する上記7から11のいずれか1つに記載の方法。
13.
前記スラスト火格子(100)の一つおきの火格子棒列(2)は、駆動部(12)を介して駆動される火格子棒列(2a)であり、これら列の間には非駆動の火格子棒列(2b)が配置されており、前記一つおきに駆動される火格子棒列(2a)は同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられている上記1から12のいずれか1つに記載の方法。
14.
前記それぞれの駆動部(12)は、駆動機構(9)を介して第1駆動運動(A1)をそれぞれの駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入し、前記それぞれの駆動機構(9)は、トーションシャフト(10)に取り付けられたトーションレバー(11a、11b)を有しており、該トーションレバー(11a、11b)は、例えば液圧シリンダである駆動部(12)を、前記駆動可能な火格子棒支持体(5a)に接続し、それによりそれぞれの駆動部(12)が作動すると、前記トーションシャフト(10)により規定された第2回転軸(D2)を中心に円弧形状の第1駆動運動(A1)が生じる上記1から13のいずれか1つに記載の方法。
15.
とりわけ廃棄物焼却施設の焼却炉用のスラスト火格子(100)であって、とりわけ上記1から14に記載の方法を実施するためのものであり、複数の火格子棒列(2)及び制御装置(50)を備え、前記複数の火格子棒列(2)は、複数の火格子棒(3)がその第1端部(4)を介して回転可能に支承されたそれぞれ一つの火格子棒支持体(5)を有しており、隣接する火格子棒列(2)の火格子棒(3)は、それぞれの火格子棒(3)の第2端部(6)が流れ方向(F)に隣接する火格子棒(3)の表面(7)の上に支持されるように、屋根瓦状に重なり合っており、
個々の火格子棒列(2)の火格子棒(3)の表面(7)はスラスト火格子面(O)を形成しており、火格子棒(3)の表面(7)は非平坦な表面輪郭(13)を有しており、
前記火格子棒列(2)のうちの少なくともいくつかは、駆動部(12)を介して駆動可能である火格子棒列(2a)であり、
前記制御装置(50)は、駆動可能な火格子棒支持体(5a)にそれぞれ第1駆動運動(A1)を導入できるように駆動部(12)を制御するよう構成されており、前記第1駆動運動(A1)では、それぞれの駆動可能な火格子棒支持体(5a)にある火格子棒(3)と、駆動不能な火格子棒列(2b)の駆動不能な火格子棒支持体(5b)にある火格子棒(3)とに異なる設定がされていることにより交互に異なる駆動ポジション(S)が生じ、それによりスラスト火格子表面(O)上に存在する燃焼対象物(B)の搬送及び/又は煽りが行われる、
スラスト火格子(100)において、
前記駆動可能な火格子棒列(2a)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)は少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に分割されており、
前記制御装置(50)は、
-第1駆動運動(A1)が、それぞれの駆動部(12)を介して互いに独立して、異なる火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入され、
-同じ火格子棒列ユニット(E;E1、E2)に割り当てられた駆動可能な火格子棒支持体(5a)は、常に同期して駆動され、
-設定された運動モード(M)に応じて交互に異なる駆動ポジション(S)が設定され、そこでは前記第1駆動運動(A1)が、それぞれの駆動部(12)を介して前記少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)のうちの少なくとも一つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)の駆動可能な火格子棒支持体(5a)に導入されるように構成されているスラスト火格子(100)。
16.
前記スラスト火格子(100)は、相前後して及び/又は隣り合って配置された複数のスラスト火格子モジュール(1)から構成されており、これらスラスト火格子モジュール(1)はそれぞれ、同期して駆動可能な少なくとも二つの火格子棒支持体(5a)及びそこに回転可能に支承された火格子棒(3)から成るそれぞれ少なくとも二つの火格子棒列ユニット(E;E1、E2)を有している上記15に記載のスラスト火格子(100)。
【0062】
つまり、制御装置50は、スラスト火格子モジュール1の駆動可能な火格子棒列2a、又はスラスト火格子100の複数のスラスト火格子モジュール1を、それぞれの駆動部12を介して容易にかつフレキシブルにそれぞれの適用に適応させて運動させることができる。そのために追加の機械的なコンポーネントは必要なく、必要なのは、対応してパラメータ化されたもしくはパラメータ化可能であって、個々の駆動部12;12a、12bを協調して制御することができる制御装置50のみである。
【符号の説明】
【0063】
1 スラスト火格子モジュール
2 火格子棒列
2a 駆動可能な火格子棒列
2b 駆動不能な火格子棒列
3 火格子棒
4 火格子棒3の第1端部
5 火格子棒支持体
5a 駆動可能な火格子棒支持体
5b 駆動不能な火格子棒支持体
6 火格子棒3の第2端部
7 火格子棒3の表面
9 駆動機構
10 トーションシャフト
11a トーションレバー
11b トーションレバー
12 駆動部
12a 第1駆動部
12b 第2駆動部
13 表面輪郭
14 伝達リンク機構
17 火格子段
18 煽りポケット
100 スラスト火格子
200 下部送風領域
B 燃焼対象物
Ba 第1火格子棒運動
Bb 第2火格子棒運動
D1 第1回転軸
D2 第2回転軸
E 火格子棒列ユニット
E1 第1火格子棒列ユニット
E2 第2火格子棒列ユニット
F 流れ方向
K 曲線プロフィール
M 運動モード
M1 第1運動モード
M2 第2運動モード
M3 第3運動モード
M4 第4運動モード
O スラスト火格子表面
P1 駆動可能な火格子棒列2aの第1ペア
P2 駆動可能な火格子棒列2aの第2ペア
Q 横方向
S 駆動ポジション
S1 第1駆動ポジション
S2 第2駆動ポジション
S3 第3駆動ポジション
S4 第4駆動ポジション
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b