(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】維持管理支援装置および維持管理支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/163 20240101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q50/163
(21)【出願番号】P 2023043366
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-03-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日(発明を発表した日):令和5年2月20日~3月13日(令和5年2月17日)、公開された発明の内容:ファシリティ マネジメント フォーラム2023にて、中規模ビルの常駐型維持管理における巡回ビルサービスへの転換~常駐型から巡回型へ~について発表した。
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 真範
(72)【発明者】
【氏名】松田 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 庸晴
(72)【発明者】
【氏名】峰川 諒平
(72)【発明者】
【氏名】徳永 優輝
(72)【発明者】
【氏名】秋山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】小野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】松田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】矢後 亘久
(72)【発明者】
【氏名】北林 泰彰
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-146759(JP,A)
【文献】特開2003-122889(JP,A)
【文献】特開2000-348277(JP,A)
【文献】特開2010-122847(JP,A)
【文献】特開2006-199469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巡回設備員による複数の建物の維持管理を支援する維持管理支援装置であって、
前記建物に関する修繕対応の情報である修繕対応情報に基づいて、当該建物への駆付けに関する情報を前記巡回設備員が携帯する携帯情報端末に出力する差配部と、
前記修繕対応情報に基づく修繕対応に関する実施情報を前記携帯情報端末に出力する実施部と、
前記携帯情報端末に入力された修繕対応の結果に関する結果情報を取得し報告情報を作成する報告部と、
が設けられ
、
前記修繕対応情報、前記駆付けに関する情報、前記実施情報、前記結果情報、および、前記報告情報には、修繕対応の対象を個別に識別する識別情報が含まれ、
前記識別情報は、前記対象に関連する法令名を特定する第1情報、前記対象の種別を特定する第2情報、前記対象における種別の種類を特定する第3情報および前記対象の型式を特定する第4情報を有することを特徴とする維持管理支援装置。
【請求項2】
前記差配部は、
前記修繕対応情報を受け付ける受付部と、
前記修繕対応情報に基づいて前記巡回設備員の駆付け対応が必要か判定する駆付け判定部と、
駆付け対応が必要と判定された場合には、前記駆付けに関する情報を前記巡回設備員が携帯する携帯情報端末に出力する出力部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の維持管理支援装置。
【請求項3】
前記実施部は、前記修繕対応情報に基づいて修繕対応の項目、および、
前記建物の不具合解消に関する情報を含む前記実施情報を作成して、前記携帯情報端末に前記実施情報を出力することを特徴とする請求項1記載の維持管理支援装置。
【請求項4】
前記報告部は、
前記結果情報に基づいて前記建物に関する修繕対応が完了したか判定する完了判定部と、
前記建物に関する修繕対応が完了したと判定されたのちに、前記報告情報を作成する作成部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の維持管理支援装置。
【請求項5】
巡回設備員による複数の建物の維持管理を支援する維持管理支援装置と、前記維持管理支援装置と情報通信可能に接続された携帯情報端末と、を有する維持管理支援システムであって、
前記維持管理支援装置には、
前記建物に関する修繕対応の情報である修繕対応情報に基づいて、当該建物への駆付けに関する情報を前記巡回設備員が携帯する前記携帯情報端末に出力する差配部と、
前記修繕対応情報に基づく修繕対応に関する実施情報を前記携帯情報端末に出力する実施部と、
前記携帯情報端末に入力された修繕対応の結果に関する結果情報を取得し報告情報を作成する報告部と、
が設けられ
、
前記修繕対応情報、前記駆付けに関する情報、前記実施情報、前記結果情報、および、前記報告情報には、修繕対応の対象を個別に識別する識別情報が含まれ、
前記識別情報は、前記対象に関連する法令名を特定する第1情報、前記対象の種別を特定する第2情報、前記対象における種別の種類を特定する第3情報および前記対象の型式を特定する第4情報を有することを特徴とする維持管理支援システム。
【請求項6】
前記維持管理支援システムには、前記建物とは異なる場所に配置された遠隔監視装置が更に設けられ、
前記差配部は、
前記遠隔監視装置を経由して前記修繕対応情報を少なくとも受け付ける受付部と、
前記修繕対応情報に基づいて前記巡回設備員の駆付け対応が必要か判定する駆付け判定部と、
駆付け対応が必要と判定された場合には、前記駆付けに関する情報を前記巡回設備員が携帯する携帯情報端末に出力する出力部と、
を有し、
前記遠隔監視装置は、
前記建物における修繕対応の発生を検知する建物管理部から出力される警報情報を取得する取得部と、
前記警報情報を取得した際に、前記警報情報を出力した前記建物を識別可能な態様で発報する発報部と、
前記建物管理部を操作する操作部と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の維持管理支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、維持管理支援装置および維持管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建物の維持管理業務では、業務を行う人員が当該建物に常駐していた。維持管理する対象としては、建物に設置された空調設備や照明設備や変電設備などの各種の設備が知られている。維持管理業務には、事前に実施が計画された業務や、設備の故障などのトラブルに対応する業務や、建物の所有者または入居者からの問い合わせ等に対応する窓口業務などが含まれる。
【0003】
上述の維持管理業務を支援するシステムとして種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、設備の点検に要する労力などが多大になることを防ぐ技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、建物に常駐した人員が維持管理業務を行う場合、維持管理業務を行う建物ごとに人員が配置されていた。また、建物ごとに維持管理業務が完結していた。このように、建物ごとに人員を配置して維持管理業務を完結させていると、維持管理などの情報共有がされにくくなっていた。
【0006】
そのため、人員が複数の建物の維持管理業務を行うことが難しいという問題があった。また、維持管理業務の品質を維持しつつ、複数の建物の維持管理業務を行うことが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、維持管理業務の品質を維持しつつ、複数の建物の維持管理業務を行うことができる維持管理支援装置および維持管理支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様に係る維持管理支援装置は、巡回設備員による複数の建物の維持管理を支援する維持管理支援装置であって、前記建物に関する修繕対応の情報である修繕対応情報に基づいて、当該建物への駆付けに関する情報を前記巡回設備員が携帯する携帯情報端末に出力する差配部と、前記修繕対応情報に基づく修繕対応に関する実施情報を前記携帯情報端末に出力する実施部と、前記携帯情報端末に入力された修繕対応の結果に関する結果情報を取得し報告情報を作成する報告部と、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様に係る維持管理支援システムは、巡回設備員による複数の建物の維持管理を支援する維持管理支援装置と、前記維持管理支援装置と情報通信可能に接続された携帯情報端末と、を有する維持管理支援システムであって、前記維持管理支援装置には、前記建物に関する修繕対応の情報である修繕対応情報に基づいて、当該建物への駆付けに関する情報を前記巡回設備員が携帯する前記携帯情報端末に出力する差配部と、前記修繕対応情報に基づく修繕対応に関する実施情報を前記携帯情報端末に出力する実施部と、前記携帯情報端末に入力された修繕対応の結果に関する結果情報を取得し報告情報を作成する報告部と、が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の態様に係る維持管理支援装置および第2の態様に係る維持管理支援システムによれば、駆付けに関する情報を携帯情報端末に出力することにより、修繕対応を行う建物に巡回設備員を駆付けさせることができ、複数の建物の維持管理を行いやすい。修繕対応に関する実施情報を携帯情報端末に出力することにより、巡回設備員は修繕対応に関する実施情報に基づいて修繕対応を行うことができ、巡回設備員による修繕対応の品質の低下を抑制しやすい。結果情報を取得して報告情報を作成することにより、報告情報の品質の低下を抑制しやすい。
【0011】
上記本発明の第1の態様において前記差配部は、前記修繕対応情報を受け付ける受付部と、前記修繕対応情報に基づいて前記巡回設備員の駆付け対応が必要か判定する駆付け判定部と、前記駆付けに関する情報を前記巡回設備員が携帯する携帯情報端末に出力する出力部と、を有することが好ましい。
【0012】
このように、差配部に受付部と駆付け判定部と出力部とを設けることにより、修繕対応を行う建物に巡回設備員を駆付けさせやすくなり、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。
【0013】
上記本発明の第1の態様において前記受付部は、前記建物とは異なる場所に配置された遠隔監視装置を経由して前記修繕対応情報を少なくとも受け付け、前記遠隔監視装置は、前記建物における修繕対応の発生を検知する建物管理部から出力される警報情報を取得する取得部と、前記警報情報を取得した際に、前記警報情報を出力した前記建物を識別可能な態様で発報する発報部と、前記建物管理部を操作する操作部と、を有することが好ましい。
【0014】
このように遠隔監視装置を経由して不具合情報を少なくとも受け付けることにより、オペレータを介在させずに修繕対応情報を受け付けることができ、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。
【0015】
遠隔監視装置の発報部は、警報情報を出力した建物を識別可能な態様で発報することができるため、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。遠隔監視装置の操作部は、建物管理部を操作することができるため、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。
【0016】
上記本発明の第1の態様において前記実施部は、前記修繕対応情報に基づいて修繕対応の項目、および、修繕対応の結果に関する情報を含む前記実施情報を作成して、前記携帯情報端末に前記実施情報を出力することが好ましい。
【0017】
このように実施部は、修繕対応情報に基づいて実施情報を作成して、携帯情報端末に実施情報を出力することにより、巡回設備員は修繕対応に関する実施情報に基づいて修繕対応を行いやすくなり、巡回設備員による修繕対応の品質の低下を抑制しやすくなる。
【0018】
上記本発明の第1の態様において前記報告部は、前記結果情報に基づいて前記建物に関する修繕対応が完了したか判定する完了判定部と、前記建物に関する修繕対応が完了したと判定されたのちに、前記報告情報を作成する作成部と、を有することが好ましい。
【0019】
このように、報告部に完了判定部と作成部とを設けることにより、報告情報の品質の低下を抑制しやすくなる。
【0020】
上記本発明の第1の態様において前記修繕対応情報、前記駆付けに関する情報、前記実施情報、前記結果情報、および、前記報告情報には、修繕対応の対象を個別に識別する識別情報が含まれていることが好ましい。
【0021】
このように修繕対応情報、駆付けに関する情報、実施情報、結果情報、および、報告情報に、識別情報を共通して含ませることにより、差配部、実施部、および、報告部における一連の処理を円滑に行いやすくなる。
【0022】
上記本発明の第1の態様において前記識別情報は、前記対象に関連する法令に基づく第1情報、前記対象の種別に基づく第2情報、前記対象における種別の種類に基づく第3情報および前記対象の型式に基づく第4情報を有することが好ましい。
【0023】
このように識別情報が第1情報、第2情報、第3情報および第4情報を有することにより、差配部、実施部、および、報告部のそれぞれにおける処理が行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る維持管理支援システムの構成を説明する図である。
【
図2】
図1の維持管理支援装置の構成を説明するブロック図である。
【
図3】
図1の遠隔監視装置の構成を説明するブロック図である。
【
図4】駆付け対応を行う際の演算処理を説明するフローチャートである。
【
図5】受付の演算処理を説明するフローチャートである。
【
図6】駆付け手配の演算処理を説明するフローチャートである。
【
図7】駆付け対応の演算処理を説明するフローチャートである。
【
図8】対応後の処理の演算処理を説明するフローチャートである。
【
図9】定型業務を行う際の演算処理を説明するフローチャートである。
【
図10】資料作成の処理を説明するフローチャートである。
【
図11】遠隔監視装置による遠隔監視を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の一実施形態に係る維持管理支援装置10および維持管理支援システム1について、
図1から
図11を参照しながら説明する。本実施形態の維持管理支援装置10および維持管理支援システム1は、建物の維持管理業務を支援する装置およびシステムであり、設備員が複数の建物を巡回して行う維持管理業務を支援する装置およびシステムである。以下では、複数の建物を巡回する設備員を巡回設備員とも表記する。
【0026】
維持管理支援システム1には、
図1に示すように、維持管理業務を支援する維持管理支援装置10と、維持管理の対象である建物の状態を監視する1台以上の遠隔監視装置40と、巡回設備員が携帯する1台以上の携帯情報端末50と、が設けられている。
図1には、維持管理支援システム1に1台の維持管理支援装置10と、1台の遠隔監視装置40と、3台の携帯情報端末50と、が設けられた例が示されている。
【0027】
なお、維持管理支援装置10が設けられる台数は1台であってもよいし、複数台の維持管理支援装置10を設けて、複数台の維持管理支援装置10が協働して後述する演算処理を行ってもよい。
【0028】
また、遠隔監視装置40が設けられる台数は、管理対象である建物の数に応じて変更されてもよく1台よりも多くてもよい。携帯情報端末50が設けられる台数は、巡回設備員の人数、または、グループの数に応じて変更されてもよく、3台よりも少なくてもよいし、3台よりも多くてもよい。
【0029】
また、
図1には維持管理支援システム1における維持管理支援装置10と遠隔監視装置40とが別の装置である例が示されているが、維持管理支援装置10と遠隔監視装置40とが一体に構成された装置であってもよい。
【0030】
維持管理支援装置10は、例えば、巡回設備員の業務を支援するサポートセンターに配置された装置である。サポートセンターは、維持管理の対象である複数の建物とは異なる建物に設けられてもよいし、維持管理の対象の建物に設けられてもよい。
【0031】
維持管理支援装置10は、遠隔監視装置40および携帯情報端末50と有線や無線による公知の情報通信網を介して、情報通信可能に接続されている。維持管理支援装置10は、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するサーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理機器である。
【0032】
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、
図2に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて差配部11と、実施部21と、報告部31として機能させるものである。
【0033】
差配部11は、駆付けに関する情報を作成する構成、作成した駆付けに関する情報を携帯情報端末50に出力する構成を有する。駆付けに関する情報には、巡回設備員に不具合が生じた建物への駆付けを指示する情報や、定型業務を行う建物への駆け付けを指示する情報や、駆け付ける建物を特定する情報や、不具合の内容を示す情報や、定型業務の内容を示す情報などが含まれる。駆付けに関する情報は、修繕対応情報に基づいて作成される情報である。
【0034】
修繕対応情報は、建物に関する修繕対応の情報であり、修繕対応の対象は建物の他に建物に関連する設備も含まれる。修繕対応には、不具合の修繕対応、および、定型業務における作業の少なくとも一方が含まれる。修繕対応情報には、建物に関する不具合の情報である不具合情報、および、定型業務における作業内容に関する情報である定型業務情報の少なくとも一方が含まれる。
【0035】
差配部11は、受付部12と、駆付け判定部13と、出力部14と、を有する。
受付部12は、修繕対応情報を受け付ける構成を有する。修繕対応情報に含まれる不具合情報は、遠隔監視装置40を経由して受付部12に受け付けられてもよいし、建物の所有者や、建物を管理する管理業者や、建物に入居しているテナントから申告により受付部12に受け付けられてもよい。修繕対応情報に含まれる定型業務情報は、維持管理支援装置10の定型常務情報が記憶された記憶部(図示せず)から受付部12に受け付けられてもよいし、維持管理支援装置10以外の情報処理端末から受付部12に受け付けられてもよい。
【0036】
駆付け判定部13は、修繕対応情報に含まれる不具合情報に基づいて巡回設備員の駆付け対応が必要か判定する構成を有する。巡回設備員の駆付け対応が必要か判定する演算処理の内容については後述する。
【0037】
出力部14は、駆付けに関する情報を巡回設備員が携帯する携帯情報端末50に出力する構成を有する。
【0038】
実施部21は、修繕対応に関する実施情報を作成する構成、および、作成した実施情報を携帯情報端末50に出力する構成を有する。修繕対応に関する実施情報には、不具合対応に関する実施情報、および、定型業務の対応に関する実施情報の少なくとも一方が含まれる。実施情報には、不具合に対応する作業の項目、および、不具合を解消する作業の内容である不具合の解消に関する情報などが含まれる。また、実施情報には、定型業務に対応する作業の項目などが含まれる。
【0039】
報告部31は、後述する作成部33において報告情報を作成する構成、作成された報告情報を報告する構成を有する。報告情報を報告する宛先としては、建物の所有者や、建物を管理する業者や、建物に入居しているテナントや、行政担当者などを例示することができる。
【0040】
報告部31は、完了判定部32と、作成部33と、を有する。
完了判定部32は、建物に関する修繕対応が完了したか判定する構成を有する。判定を行う演算処理には、携帯情報端末50に入力された修繕対応の結果に関する結果情報および実施情報を用いてもよい。建物に関する修繕対応には、建物に関する不具合の対応、および、建物に関する定型業務の対応の少なくとも一方が含まれる。
【0041】
作成部33は、上述の報告情報を作成する構成を有する。報告情報は、建物に関する修繕対応が完了したと判定されたのち作成される。報告情報は、携帯情報端末50に入力された結果情報に基づいて作成される。
【0042】
上述の不具合情報、駆付けに関する情報、実施情報、結果情報、および、報告情報には、不具合を起こした対象を個別に識別する識別情報が共通して含まれている。対象には、建物に設置された設備などが含まれる。識別情報は、後述する第1情報、第2情報、第3情報および第4情報を結合した情報である。
【0043】
第1情報は対象に関連する法令に基づく情報であり、法令名コードとも表記する。第1情報は、例えば、対象に関連する法令名を特定する情報である。第2情報は対象の種別に基づく情報であり、設備コードとも表記する。第2情報は、例えば、対象の種別を特定する情報である。第1情報および第2情報の結合を設備コードとも表記する。
【0044】
第3情報は対象における種別の種類に基づく情報であり、種類コードとも表記する。第3情報は、例えば、種別の種類を特定する情報である。第4情報は対象の型式に基づく情報であり、型式コードとも表記する。第4情報は、例えば、型式を特定する情報である。第3情報および第4情報の結合を属性コードとも表記する。
【0045】
識別情報は8桁の数字で表現されてもよい。この場合、第1情報を2桁の数字で表現し、第2情報を2桁の数字で表現し、第3情報を2桁の数字で表現し、第4情報を2桁の数字で表現してもよい。
【0046】
なお、識別情報を表現する数字の桁数は8桁でもよいし、8桁よりも大きな桁数でもよいし、8桁よりも小さな桁数でもよい。また、第1情報、第2情報、第3情報および第4情報を表現する数字の桁数は2桁でもよいし、2桁よりも大きな桁数でもよいし、2桁よりも小さな桁数でもよい。さらに、第1情報、第2情報、第3情報および第4情報は、全て同じ桁数で表現されてもよいし、少なくとも一部が異なる桁数で表現されてもよい。また、識別情報、第1情報、第2情報、第3情報および第4情報を数字で表現してもよいし、数字以外のアルファベットや記号などを用いて表現してもよい。
【0047】
例えば、対象が非常電源設備、言い換えると、蓄電池設備の場合、識別情報を「17100300」と表現することができる。この識別情報は、第1情報「17」、第2情報「10」、第3情報「03」、および、第4情報「00」が結合された情報である。
【0048】
遠隔監視装置40は、例えば、維持管理支援装置10と同じサポートセンターに配置された装置である。なお、遠隔監視装置40は、維持管理支援装置10とは異なる場所に配置されてもよい。
【0049】
遠隔監視装置40は、維持管理支援装置10と有線や無線による公知の情報通信網を介して、情報通信可能に接続されている。また、後述する建物管理部60とも有線や無線による公知の情報通信網を介して、情報通信可能に接続されている。遠隔監視装置40は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するサーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理機器である。
【0050】
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、
図3に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて取得部41と、発報部42と、操作部43として機能させるものである。
【0051】
取得部41は、建物管理部60から出力される警報情報を取得する構成を有する。建物管理部60は、建物における不具合の発生を検知する構成を有する。建物管理部60としては、ビルディングオートメーションシステム(以下BASとも表記する。)などの建物の管理に用いられるシステムや装置を例示することができる。建物管理部60により検知される建物における不具合としては、建物に設けられた電気設備、空調装置、衛生設備、照明設備、防災設備、および、エレベーター設備の故障などを例示することができる。
【0052】
発報部42は、警報情報を取得したことを知らせる構成を有する。例えば、警報情報を出力した建物を識別可能な態様で発報する構成を有する。識別可能な態様には、視覚によって警報情報を出力した建物を識別する態様や、聴覚によって警報情報を出力した建物を識別する態様が含まれる。
【0053】
視覚によって警報情報を出力した建物を識別する態様には、遠隔監視装置40に設けられた液晶ディスプレイなどの表示部に、警報情報を出力した建物を特定する画像を表示する態様が含まれる。
【0054】
操作部43は、建物管理部60を遠隔から操作する構成を有する。操作部43における操作内容が入力される機器としては、遠隔監視装置40に設けられたキーボードやマウスなどを例示することができる。
【0055】
操作部43に入力された操作内容は、複数の建物管理部60のうち、選択された建物管理部60に入力される。選択された建物管理部60としては、警報情報を出力した建物管理部60を例示することができる。
【0056】
携帯情報端末50は、巡回設備員が携帯して持ち運ぶ端末である。例えば、設備員とともに複数の建物を巡回する巡回経路を移動したり、維持管理の業務を行う現場に持ち込まれたりする端末である。
【0057】
携帯情報端末50は、維持管理支援装置10と有線や無線による公知の情報通信網を介して、情報通信可能に接続されている。携帯情報端末50は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するノート型コンピュータやタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの持ち運びが可能な情報処理機器である。
【0058】
次に、上記の構成からなる維持管理支援装置10および維持管理支援システム1による駆付け対応を行う際の演算処理の内容について
図4から
図8を参照しながら説明する。
【0059】
駆付け対応は、実施が計画された修繕である定型業務とは異なる非定型業務であって、臨時に発生する臨時業務である。駆付け対応には、遠隔監視装置40から出力される警報に対応して行われる修繕業務や、夜間、事故または災害時における修繕業務などが含まれる。
【0060】
維持管理支援装置10に電力が供給されると、
図4に示すように、受付の処理が開始される(S10)。受付の処理が開始されると、
図5に示すように、差配部11の受付部12に臨時修繕の依頼である不具合情報が入力されたか判定する処理が行われる(S11)。
【0061】
不具合情報は、遠隔監視装置40から受付部12に直接入力されてもよいし、建物の所有者や、建物を管理する管理業者や、建物に入居しているテナントが操作する情報処理端末から受付部12に直接入力されてもよい。
【0062】
遠隔監視装置40から入力される不具合情報は警報であってもよい。建物の所有者や、建物を管理する管理業者や、建物に入居しているテナントから入力される不具合情報は、要望の情報であってもよい。
【0063】
また、建物の所有者や、建物を管理する管理業者や、建物に入居しているテナントから電話などを介して伝えられた情報を、オペレータが受付部12に不具合情報を入力してもよい。
【0064】
不具合情報には、誰が又は何がと、誰に又は何にと、どこでと、いつまでにと、どうしてほしい等の情報が含まれていることが好ましい。例えば「ABCビル〇〇階、XYZ会社特許太郎から、〇〇階事務室の照明管球切れの問い合わせ。明日までに管球交換をして欲しい。」などの不具合情報が挙げられる。
【0065】
臨時修繕の依頼が入力されていないと判定された場合(S11におけるNoの場合)には、再びS11の判定処理が繰り返される。
臨時修繕の依頼が入力されたと判定された場合(S11におけるYesの場合)には、差配部11により臨時修繕が予め定められた仕様の範囲内か判定する処理が行われる(S12)。
【0066】
仕様の範囲は、駆付け対応が可能な仕様の範囲であり、事前に定められた範囲である。判定処理は、不具合情報に含まれる識別情報や修繕の内容と、予め定められた仕様の範囲とを対比して判定する処理である。例えば、識別情報に基づいて駆付け対応を行う対象か否かを判定する処理や、駆付け対応を行う修繕の種類か否かを判定する処理である。
【0067】
臨時修繕が予め定められた仕様の範囲内ではないと判定された場合(S12におけるNoの場合)には、小規模修繕に対応する処理(S13)が行われる。小規模修繕に対応する処理としては、予め定められた仕様の範囲外の修繕を請け負う業者に修繕依頼を行う処理を例示することができる。修繕依頼をする業者は、予め登録されている業者から選ばれてもよい。
【0068】
予め定められた仕様の範囲内の依頼であると判定された場合(S12におけるYesの場合)には、差配部11により依頼が緊急対応の依頼か判定する処理が行われる(S14)。緊急対応の依頼か判定する処理としては、不具合情報に緊急対応を希望する情報が含まれているか判定する処理を例示することができる。また、緊急対応が必要な不具合の種類や不具合を起こした対象を予め定めておき、不具合情報に含まれる不具合の種類や対象が予め定められた不具合の種類や対象と一致するか判定する処理なども例示することができる。
【0069】
緊急対応の依頼ではないと判定された場合(S14におけるNoの場合)には、差配部11によりトラブル対応の処理(S15)が行われる。トラブル対応の処理としては、予め登録されている小規模よりも大きな規模の修繕を請け負う業者に修繕依頼を行う処理を例示することができる。
【0070】
緊急対応の依頼であると判定された場合(S14におけるYesの場合)には、
図4に戻り、差配部11により駆付け手配の処理が行われる(S20)。
駆付け手配の処理が開始されると、
図6に示すように、差配部11の駆付け判定部13により駆付け対応が必要か判定する処理が行われる(S21)。判定する処理は、不具合情報に基づいて行われる。
【0071】
例えば、不具合情報に駆付け対応を希望する情報が含まれているか判定する処理を例示することができる。また、駆付け対応が必要な不具合の種類や対象を予め定めておき、不具合情報に含まれる不具合の種類や対象が予め定められた不具合の種類や対象と一致するか判定する処理などを例示することができる。
【0072】
駆付け対応が必要ないと判定された場合(S21におけるNoの場合)には、処置実施を行う処理(S22)が行われる。処置実施を行う処理としては、定期的に実施される修繕として、予め登録されている業者に依頼を行う処理を例示することができる。
【0073】
駆付け対応が必要あると判定された場合(S21におけるYesの場合)には、差配部11により駆付け者を決定する処理(S23)が行われる。駆付け者を決定する処理では、予め定められた複数の巡回設備員の中から駆付け者が能動的に選ばれて決定される。
【0074】
例えば、予め定められた複数の巡回設備員のうち、後述する定型業務への対応が予定された巡回設備員を除き、残りの巡回設備員から駆付け者が選ばれてもよい。言い換えると、後述する定型業務への対応が予定されていない巡回設備員から駆付け者が選ばれてもよい。
【0075】
また、予め定められた巡回設備員の中で、処理が行われている時間帯に巡回を行っている巡回設備員が選ばれてもよい。さらに、巡回を行っている巡回設備員の中で、駆け付け先に近い場所を巡回している巡回設備員が選ばれてもよい。さらに、不具合情報に含まれる修繕の内容に基づいて、修繕対応が可能な巡回設備員が選ばれてもよい。
【0076】
駆付け者が決定されると、差配部11の出力部14により決定された駆付け者に駆付け指示を出す処理(S24)が行われる。出力部14は、決定された駆付け者が携帯する携帯情報端末50に駆付けに関する情報を出力する。
【0077】
駆付けに関する情報には、識別情報や駆け付け先である建物の場所の情報が含まれる。また、駆付けに関する情報には、到着が求められる目標時刻の情報が含まれてもよいし、更に、不具合情報に含まれる不具合を起こした対象、修繕の内容、および、修繕に必要な工具や機器の情報などが含まれてもよい。
【0078】
駆付け指示を出す処理が行われると、
図4に戻り、実施部21により駆付け対応の処理が行われる(S30)。
駆付け対応の処理が開始されると、
図7に示すように、実施部21により修繕などの処置が可能か判定する処理が行われる(S31)。処置が可能か判定する処理には、実施情報を駆付け者が携帯する携帯情報端末50に出力する処理が含まれる。
【0079】
駆け付け対応における実施情報は、不具合対応に関する情報であり、不具合に対応する作業の項目、および、不具合を解消する作業の内容である不具合の解消に関する情報などが含まれる。実施部21は、識別情報と紐づけされている不具合に対応する作業の項目、および、不具合を解消する作業の内容である不具合の解消に関する情報を収集して実施情報を作成する。
【0080】
処置が可能か判定する処理には、駆付け者が携帯情報端末50に入力する修繕などの処置が可能か否かの情報を取得し、取得した情報に基づいて処置が可能か判定する演算処理が含まれる。
【0081】
処置が可能でないと判定された場合(S31におけるNoの場合)には、実施部21によりトラブル対応を行う処理(S32)が行われる。トラブル対応の処理としては、駆付け者とは異なる業者であって、予め登録されている業者に修繕依頼を行う処理を例示することができる。
【0082】
処置が可能と判定された場合(S31におけるYesの場合)には、実施部21により処置を実施する処理(S33)が行われる。処置を実施する処理には、駆付け者が携帯する携帯情報端末50に修繕などの処置の実施を指示する情報を出力する処理が含まれる。また、処置の実施に用いられるより詳細な情報を出力する処理が含まれてもよい。
【0083】
処置を実施する処理が行われると、
図4に戻り、報告部31により対応後の処理が行われる(S40)。
対応後の処理が開始されると、
図8に示すように、報告部31により申告者へ報告する処理が行われる(S41)。報告される内容は、不具合を起こした対象や、S33において実施された処置の終了や、修繕の結果などの内容である。S33において実施された処置の終了や、修繕の結果などの内容は、識別情報に紐づけされる。
【0084】
報告される申告者は、S11の処理において入力された不具合情報に関する申告者である。不具合情報が遠隔監視装置40から入力された場合には、遠隔監視装置40が設置された建物の管理者などへ報告される。不具合情報が建物の所有者や、建物を管理する管理業者や、建物に入居しているテナントから入力された情報である場合には、建物の所有者や、建物を管理する管理業者や、建物に入居しているテナントに報告される。
【0085】
申告者への報告処理が行われると、報告部31により緊急に報告が必要な不具合を報告する処理が行われる(S42)。緊急に報告が必要な不具合は、予め定められた不具合であってもよいし、駆付け者が携帯する携帯情報端末50に入力した情報に基づいて定められる不具合であってもよい。また、あらかじめ定められた対象が起こした不具合であってもよい。緊急に報告が必要な不具合の内容は、識別情報に紐づけされる。
【0086】
S41の報告する処理、および、S42の不具合を報告する処理の少なくとも一方の処理と同時、または、処理を行った後に、修繕の提案を行う処理を行ってもよい。さらに、修繕の提案が採用された場合には、修繕の対応を行ってもよい。提案する修繕としては小規模修繕であってもよい。例えば、性能が低下するなどの劣化した設備などの対象に行う修繕であって、性能の少なくとも一部を回復させる修繕や、新設時の性能に戻す修繕が含まれる。
【0087】
不具合報告の処理が行われると、報告部31の完了判定部32により不具合項目の確認の処理が行われる(S43)。完了判定部32は識別情報に紐づけされた不具合項目を収集し、不具合項目を確認して建物に関する不具合の対応が完了したか判定する。
【0088】
確認する対象としては、携帯情報端末50に入力された不具合対応の結果に関する結果情報および実施情報を例示することができる。確認される不具合の項目は、識別情報に対応して予め定められた項目であってもよいし、不具合を起こした対象に対して行った全ての処置の項目であってもよい。
【0089】
不具合項目の確認の処理が行われると、報告部31により登録の処理が行われる(S44)。登録先は、維持管理支援装置10の記憶機器であってもよいし、維持管理支援装置10以外の情報処理機器であってもよい。登録される報告の内容は、識別情報と紐づけされる。
【0090】
登録の処理が行われると、
図4に示すようにS10の受付の処理に戻り、上述の駆付け対応を行う際の演算処理が繰り返される。
【0091】
次に、維持管理支援装置10および維持管理支援システム1による定型業務を行う際の演算処理の内容について
図9を参照しながら説明する。定型業務には、例えば、巡視や検針など行う作業と、行政検査や定期点検などを行う立会と、が含まれる。以下では、立会の定型業務について主に説明する。
【0092】
維持管理支援装置10に電力が供給されると、
図9に示すように、維持管理支援装置10により定型業務の予定があるか判定する処理が行われる(S51)。判定する処理では、受付部12により定型業務情報が含まれる修繕対応情報を取得する処理が行われる。取得された定型業務情報に基づいて、判定時の日時と、記憶されている定型業務を行う日時とを対比することにより判定する処理が行われる。
【0093】
定型業務の予定がないと判定された場合(S51のNoの場合)には、再びS51に戻り判定する処理が行われる。
定型業務の予定があると判定された場合(S51のYesの場合)には、維持管理支援装置10により準備の処理が行われる(S52)。準備の処理には、維持管理支援装置10から携帯情報端末50へ作業計画の情報を出力する処理が含まれる。
【0094】
定型業務が定期点検である場合には、作業計画の情報は点検前に利用される情報である。作業計画の情報には、例えば、点検作業計画、点検周期、点検チェック項目、点検対象設備、および、点検実施会社の情報が含まれる。維持管理支援装置10は、識別情報に紐づけされた点検作業計画、点検周期、点検チェック項目、点検対象設備、および、点検実施会社の情報を取得して作業計画の情報を作成する。
【0095】
なお、準備の処理には、巡回設備員が定型業務を行う建物への入館する手続きに関する情報を出力する処理が含まれてもよいし、入館に用いる鍵の準備に関する情報を出力する処理が含まれてもよい。
【0096】
準備の処理が行われると、維持管理支援装置10により実施の処理が行われる(S53)。実施の処理には、維持管理支援装置10が携帯情報端末50から点検結果の情報を取得する処理が含まれる。
【0097】
点検結果の情報は、巡回設備員が点検後に携帯情報端末50に入力する情報である。点検結果の情報には、例えば、点検実績、点検周期、点検チェック結果、点検対象設備、および、点検実施会社の情報が含まれる。点検実績、点検周期、点検チェック結果、点検対象設備、および、点検実施会社の情報は、識別情報に紐づけされる。
【0098】
なお、実施の処理には、検査や点検の立会に関する情報を出力する処理が含まれてもよいし、検査や点検と併行して実施される修繕に関する情報を出力する処理が含まれてもよい。検査や点検の立会に関する情報や、検査や点検と併行して実施される修繕に関する情報は、識別情報に紐づけされてもよい。
【0099】
実施の処理が行われると、維持管理支援装置10により不具合事項があるか判定する処理が行われる(S54)。判定する処理では、例えば、S53の処理で取得した点検結果の情報に基づいて判定が行われる。点検結果に不具合事項があるとの情報が含まれていれば、不具合事項があると判定される。不具合事項があるとの情報が含まれていなければ、不具合事項はないと判定される。
【0100】
不具合事項があると判定された場合(S54のYesの場合)には、状況確認の処理が行われる(S55)。状況確認の処理には、不具合事項がある設備の状況を確認し、確認結果の報告を指示する情報を携帯情報端末50に出力する処理が含まれる。
【0101】
不具合事項がないと判定された場合(S54のNoの場合)には、完了確認の処理が行われる(S56)。完了確認の処理には、点検チェック項目の全てについてチェックが行われているか確認する処理が含まれる。
【0102】
状況確認の処理、または、完了確認の処理が行われると、維持管理支援装置10により緊急不具合の報告の処理が行われる(S57)。S57における緊急不具合の報告の処理では、S42における緊急不具合の報告の処理と同様な処理が行われる。
【0103】
S57の不具合を報告する処理と同時、または、処理を行った後に、修繕の提案を行う処理を行ってもよい。さらに、修繕の提案が採用された場合には、修繕の対応を行ってもよい。提案する修繕としては小規模修繕であってもよい。例えば、性能が低下するなどの劣化した設備などの対象に行う修繕であって、性能の少なくとも一部を回復させる修繕や、新設時の性能に戻す修繕が含まれる。
【0104】
緊急不具合の報告の処理が行われると、維持管理支援装置10により不具合項目の確認の処理が行われる(S58)。S58における不具合項目の確認の処理では、S43における不具合項目の確認の処理と同様な処理が行われる。
【0105】
不具合項目の確認の処理が行われると、維持管理支援装置10により登録の処理が行われる(S59)。S59における登録の処理では、S44における登録の処理と同様な処理が行われる。
【0106】
登録の処理が行われると、S51の定型業務の予定があるか判定する処理に戻り、上述の定型業務を行う際の演算処理が繰り返される。
【0107】
次に、資料作成の処理について
図10を参照しながら説明する。
資料作成の処理は、駆付け対応を行う際の演算処理が終了した後、定型業務を行う際の演算処理が終了した後に行われる。
【0108】
資料作成の処理では、最初に、携帯情報端末50による報告書の作成処理が行われる(S71)。報告書の作成処理では、報告書を作成する対象の識別情報に紐づけされた情報を収集する処理が行われる。そして、収集された情報に基づいて報告書を作成する処理が行われる。収集される情報には、駆付け対応を行う際の演算処理や、定型業務を行う際の演算処理において記憶されたり、登録されたりした情報が含まれる。
【0109】
修繕が巡視や検針など行う作業であった場合には、点検報告書の作成が行われる。また、修繕が行政検査や定期点検などを行う立会であった場合には、行政報告書が作成される。
【0110】
報告書が作成されると、維持管理支援装置10により報告書の確認処理が行われる(S72)。確認処理には、識別情報に基づいて携帯情報端末50で作成された報告書の電子データを取得する処理が含まれる。また、確認処理としては、例えば、報告書の書式があらかじめ定められた書式と一致しているか、報告書に記載が求められている項目が全てそろっているか等を確認する処理が挙げられる。報告書の書式や、報告書に記載が求められている項目は、識別情報に紐づけされた書式や項目であってもよい。
【0111】
報告書の確認処理がされると、維持管理支援装置10により報告書の検収処理が行われる(S73)。修繕が巡視や検針など行う作業であった場合には、検収処理に数量を確定する処理が含まれる。数量は、修繕の際に用いられた資材などの数が例示される。修繕が行政検査や定期点検などを行う立会であった場合には、検収処理に押印処理と行政に報告する処理が含まれる。
【0112】
次に、遠隔監視装置40による遠隔監視について
図3および
図11を参照しながら説明する。
遠隔監視装置40は、
図3および
図11に示すように、AビルのBASである建物管理部60と、BビルのBASである建物管理部60と、CビルのBASである建物管理部60と、情報通信可能に接続されている。
【0113】
遠隔監視装置40の表示部には、建物管理部60における管理状況が表示される。例えば、表示部における表示面を分割して複数の建物管理部60における管理状況が表示される。例えば、
図11に示すように、表示面を4分割して3つの建物管理部60における管理状況が表示してもよい。
【0114】
建物管理部60が警報情報を出力すると、
図3に示すように、取得部41が出力された警報情報を取得する。警報情報が取得されると、発報部42は警報情報を取得したことを知らせる処理を行う。
【0115】
例えば、
図11では、BビルのBASである建物管理部60が警報情報を出力したことを知らせる表示が発報部42により行われている。また、発報部42は警報音を出力してもよい。
【0116】
また、遠隔監視装置40の操作部43に入力された操作内容は、複数の建物管理部60のうち、選択された建物管理部60に入力される。
図11では、マウスを用いて表示部に表示されたカーソルをAビルの表示領域に重ねることにより、AビルのBASである建物管理部60が選択された状態を示している。なお、建物管理部60を選択する方法としては、マウスを用いる方法であってもよいし、キーボードを用いる方法であってもよい。
【0117】
さらに、カーソルをAビルの表示領域に重ねてクリックすることにより、建物管理部60における監視機能をONにする入力操作を行った状態を示している。なお、建物管理部60の機能を制御する方法としては、マウスを用いる方法であってもよいし、キーボードを用いる方法であってもよい。
【0118】
AビルのBASである建物管理部60には、遠隔監視装置40から監視機能をONにする信号が入力され、Aビルを監視する動作を開始する。
【0119】
上記の構成の維持管理支援装置10および維持管理支援システム1によれば、駆付けに関する情報を携帯情報端末50に出力することにより、修繕対応を行う建物に巡回設備員を駆付けさせることができ、複数の建物の維持管理を行いやすい。修繕対応に関する実施情報を携帯情報端末50に出力することにより、巡回設備員は修繕対応に関する実施情報に基づいて修繕対応を行うことができ、巡回設備員による修繕対応の品質の低下を抑制しやすい。結果情報を取得して報告情報を作成することにより、報告情報の品質の低下を抑制しやすい。
【0120】
差配部11に受付部12と、駆付け判定部13と、出力部14とを設けることにより、修繕対応を行う建物に巡回設備員を駆付けさせやすくなり、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。
【0121】
遠隔監視装置40を経由して修繕対応情報を少なくとも受け付けることにより、オペレータを介在させずに修繕対応情報を受け付けることができ、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。
【0122】
遠隔監視装置40の発報部42は、警報情報を出力した建物を識別可能な態様で発報することができるため、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。遠隔監視装置40の操作部43は、建物管理部60を操作することができるため、複数の建物の維持管理を行いやすくなる。
【0123】
実施部21は、修繕対応情報に基づいて実施情報を作成して、携帯情報端末50に実施情報を出力することにより、巡回設備員は修繕対応に関する実施情報に基づいて修繕対応を行いやすくなり、巡回設備員による修繕対応の品質の低下を抑制しやすくなる。
【0124】
報告部31に、完了判定部32と、作成部33とを設けることにより、報告情報の品質の低下を抑制しやすくなる。
【0125】
修繕対応情報、駆付けに関する情報、実施情報、結果情報、および、報告情報に、識別情報を共通して含ませることにより、差配部11、実施部21、および、報告部31における一連の処理を円滑に行いやすくなる。
【0126】
例えば、報告部31における報告書の作成処理が効率化しやすい。点検結果などの修繕結果が識別情報に紐づけされているため、報告書に対応する識別情報を用いることで報告書に記載する点検結果などを集めやすくなり、報告書を作成しやすくなる。
【0127】
識別情報が第1情報、第2情報、第3情報および第4情報を有することにより、差配部11、実施部21、および、報告部31のそれぞれにおける処理が行いやすくなる。例えば、識別情報に含まれる第1情報、第2情報、第3情報および第4情報のうち、処理に関連する第1情報等をキーとして点検結果などの情報を集めやすくなり、報告や分析などの処理を行いやすくなる。
【符号の説明】
【0128】
1…維持管理支援システム、 10…維持管理支援装置、 11…差配部、 12…受付部、 13…駆付け判定部、 14…出力部、 21…実施部、 31…報告部、 32…完了判定部、 33…作成部、 40…遠隔監視装置、 41…取得部、 42…発報部、 43…操作部、 50…携帯情報端末、 60…建物管理部
【要約】
【課題】維持管理業務の品質を維持しつつ、複数の建物の維持管理業務を行うことができる維持管理支援装置および維持管理支援システムを提供する。
【解決手段】巡回設備員による複数の建物の維持管理を支援する維持管理支援装置10であって、建物に関する修繕対応の情報である修繕対応情報に基づいて、当該建物への駆付けに関する情報を巡回設備員が携帯する携帯情報端末50に出力する差配部11と、修繕対応情報に基づく修繕対応に関する実施情報を携帯情報端末50に出力する実施部21と、携帯情報端末50に入力された修繕対応の結果に関する結果情報を取得し報告情報を作成する報告部31と、が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図2