(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】特に電気的及び/又は電子的負荷の監視されたスイッチオンのための安全スイッチングデバイス
(51)【国際特許分類】
H01H 47/00 20060101AFI20240903BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01H47/00 C
H01H9/54 B
H01H9/54 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023073945
(22)【出願日】2023-04-28
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】10 2022 110 812.0
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Flachsmarktstrasse 8, D-32825 Blomberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス フランケ
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-047556(JP,A)
【文献】特開2008-91335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00
H01H 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電気的及び/又は電子的負荷(200)の監視されたスイッチオンのための安全スイッチングデバイス(10)であって、
それぞれに活性化信号が印加可能な第1の入力(91)及び第2の入力(101)と、
前記電気的負荷(200)のエネルギー供給のために電源電圧を印加するように設計された第3の入力(131)と、
試験電圧供給デバイス(20)と、
前記電気的負荷(200)の接続のために設計された出力(132)であって、前記第3の入力(131)と前記出力(132)との間に負荷電流経路(130)が延びる、出力(132)と、
それぞれが、励磁コイル(61,71)と、常閉接点(63,73)と、常開接点(64,74)と、共通の中間端子(65,75)と、を備える第1の切り替えスイッチ(60)及び第2の切り替えスイッチ(70)であって、前記第1の切り替えスイッチ(60)及び前記第2の切り替えスイッチ(70)は、それぞれの前記共通の中間端子(65,75)によって互いに電気的に接続されており、前記第1の切り替えスイッチ(60)及び前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記常開接点(64,74)は、前記負荷電流経路(130)内で互いに直列に配置されている、第1の切り替えスイッチ(60)及び第2の切り替えスイッチ(70)と、
を備え、
前記第1の切り替えスイッチ(60)の前記励磁コイル(61)は、前記第1の入力(91)に電気的に接続された第1の制御電流経路(90)内に配置されており、前記第1の切り替えスイッチ(60)の前記常閉接点(63)は、第1の診断回路(30)内に配置されており、
前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記励磁コイル(71)は、前記第2の入力(101)に電気的に接続された第2の制御電流経路(100)内に配置されており、前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記常閉接点(73)は、第2の診断回路(31)内に配置されており、前記第1の診断回路(30)及び前記第2の診断回路(31)は、前記試験電圧供給デバイス(20)に並列に接続されており、
第1の診断電流検出デバイス(40)が、前記第1の診断回路(30)に割り当てられ、前記第1の診断回路(30)が前記第1の切り替えスイッチ(60)の前記常閉接点(63)によって閉じられた場合にのみ第1の制御信号を供給するように設計されており、
第2の診断電流検出デバイス(50)が、前記第2の診断回路(31)に割り当てられ、前記第2の診断回路(31)が前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記常閉接点(73)によって閉じられた場合にのみ第2の制御信号を供給するように設計されており、
前記第2の入力(101)に電気的に接続可能な第1の制御可能な短絡デバイス(80)が設けられており、
前記第1の入力(91)に電気的に接続可能な第2の制御可能な短絡デバイス(110)が設けられており、
前記第1の短絡デバイス(80)は、前記第2の入力に印加された第1の活性化信号に応答して、前記第2の診断電流検出デバイス(50)が、前記第1の活性化信号の印加後に、前記第2の制御信号を所定の期間供給する場合にのみ、前記第1の切り替えスイッチ(60)の前記励磁コイル(61)を短絡するよう、設計されており、
前記第2の短絡デバイス(110)は、前記第1の入力(91)に印加された第2の活性化信号に応答して、前記第1の診断電流検出デバイス(40)が、前記第2の活性化信号の印加後に、前記第1の制御信号を所定の期間供給する場合にのみ、前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記励磁コイル(71)を短絡するよう、設計されている、安全スイッチングデバイス(10)。
【請求項2】
前記第1の診断電流検出デバイス(40)及び前記第2の診断電流検出デバイス(50)は、それぞれ1つの光カプラ(41,42;51,52)を備える、請求項1に記載の安全スイッチングデバイス。
【請求項3】
前記試験電圧供給デバイス(20)は変圧器(22)を備える、請求項1又は2に記載の安全スイッチングデバイス。
【請求項4】
前記変圧器(22)は、一次側でDC/ACコンバータ(21)又はAC/ACコンバータに、二次側でAC/DCコンバータ(23)に、それぞれ接続されている、請求項3に記載の安全スイッチングデバイス。
【請求項5】
前記第1の短絡デバイス(80)は、前記第1の切り替えスイッチ(60)の前記励磁コイル(61)を短絡するためのスイッチング素子(81)と、前記所定の期間を定義するためにサイズ決めされたRC素子(82,84)とを備え、前記第2の短絡デバイス(110)は、前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記励磁コイル(71)を短絡するためのスイッチング素子(111)と、前記所定の期間を定義するためにサイズ決めされたRC素子(112,114)とを備える、請求項1に記載の安全スイッチングデバイス。
【請求項6】
前記第1の切り替えスイッチ(60)の前記励磁コイル(61)に直列に接続され、前記第1の制御電流経路(90)を開閉するように設計された第1のスイッチング素子(180)と、
前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記励磁コイル(71)に直列に接続され、前記第2の制御電流経路(100)を開閉するように設計された第2のスイッチング素子(190)と、
前記第1のスイッチング素子(180)及び前記第2のスイッチング素子(190)を閉じるように、しかも、前記第1及び第2の活性化信号、始動信号、並びに、前記第1及び第2の制御信号が同時に論理回路に印加される場合にのみ閉じるように設計された論理回路(170)と、
を更に備え、
前記第1の短絡デバイス(80)は、前記第2の診断電流検出デバイス(50)が、前記第2のスイッチング素子(190)が閉じた後、依然として所定の期間中、前記第2の制御信号を供給する場合にのみ、前記第1の切り替えスイッチ(60)の前記励磁コイル(61)を短絡するよう、設計されており、
前記第2の短絡デバイス(110)は、前記第1の診断電流検出デバイス(40)が、前記第1のスイッチング素子(180)が閉じた後、依然として所定の期間中、前記第2の制御信号を供給する場合にのみ、前記第2の切り替えスイッチ(70)の前記励磁コイル(71)を短絡するよう、設計されている、請求項1に記載の安全スイッチングデバイス。
【請求項7】
前記論理回路(170)は、前記第1のスイッチング素子(180)を、及び時間遅延して前記第2のスイッチング素子(190)を、あるいはその逆に、閉じるよう設計されている、請求項6に記載の安全スイッチングデバイス。
【請求項8】
前記第1の短絡デバイス(80)は、前記第2の診断電流検出デバイス(50)の前記出力に電気的に接続された第1の端子と、前記第2の入力(101)に電気的に接続された第2の端子と、を備える更なるスイッチング素子(85)を備え、
前記第2の短絡デバイス(110)は、前記第1の診断電流検出デバイス(40)の前記出力に電気的に接続された第1の端子と、前記第1の入力(101)に電気的に接続された第2の端子と、を備える更なるスイッチング素子(115)を備える、請求項6に記載の安全スイッチングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に監視されたスイッチオンあるいは電源電圧への電気的及び/又は電子的負荷の接続のための、安全スイッチングデバイスに関する。安全スイッチングデバイスは、好ましくは、工業的な自動化されたプロセス制御システムにおいて使用され得る。
【背景技術】
【0002】
安全スイッチングデバイスは、特に、不具合の発生の際に、操作員を負傷及び健康障害から保護し、機器の損傷又は破壊を阻止するべく、電気的及び/又は電子的負荷を安全な状態へ移行させるか、又は、それらを完全にスイッチオフするために用いられる。安全スイッチングデバイスの確実な動作を保証することを可能とするために、そのような安全スイッチングデバイスは、例えば、少なくとも1つの負荷電流経路において2つのスイッチング素子を互いに直列に接続することによって、冗長に構築されている。負荷電流経路が両方のスイッチング素子によって閉じられる場合にのみ、電気的及び/又は電子的負荷は、スイッチオンされるか又は電源電圧に接続され得る。通常、単相又は多相の負荷は、安全スイッチングデバイスを介して、単相又は多相の電源電圧に接続され得る。既定の動作を保証することを可能とするために、特にスイッチング素子は、その機能性について監視されなければならない。スイッチング素子が、マイクロコントローラとして設計された評価及び制御ユニットの助けを借りて監視されることが、知られている。
【0003】
特許文献1から、電気的負荷の安全なスイッチオフのための、そのような安全スイッチングデバイスが、知られている。公知の安全スイッチングデバイスは、とりわけ、互いに直列に配置された2つの切り替えスイッチを備え、これらの切り替えスイッチは電力供給経路に割り当てられており、当該電力供給経路を介して電気的負荷が電源電圧に接続されるか又はこれから切り離され得る。マイクロコントローラとして設計された評価及び制御ユニットは、規定の時刻に、特に負荷への電流供給経路が閉じられる前に、機能試験を実行するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、強制駆動されない切り替えスイッチの機能性を、信頼性が高く費用効果の高い方法で監視することができる、安全スイッチングデバイスを提供することである。
【0006】
本発明の核となる着想は、それによって不具合の検出の際に、特にスイッチオンあるいは電気的負荷の電源電圧への接続のための始動プロセスが中止され得る、安全スイッチングデバイスを創作する点に見ることができる。このために、好ましくは、始動プロセス中に、例えば2つの強制駆動されない切り替えスイッチ、特にそれらの常閉接点の機能性が、マイクロコントローラを使用することなく監視され得る。ブレイク接点とも呼ばれる常閉接点は、それぞれ別個の診断回路内に配置されており、診断回路は、試験電圧に対して並列に接続されている。切り替えスイッチの常開接点又はメイク接点は、負荷回路において互いに直列に配置されている。好ましくは、切り替えスイッチを制御及び監視するために、好ましくは論理回路を実装する回路構成が使用され、論理回路は、例えばオーム抵抗器、半導体スイッチ及びコンデンサのような、能動的な及び場合によっては受動的な、個別の電気部品のみを備える。なお、切り替えスイッチは、例えば切り替えリレーとして設計され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術課題は、請求項1の特徴によって解決される。有利な発展形態は、下位請求項の主題である。
【0008】
それによれば、特に監視されたスイッチオンあるいは電源電圧への電気的及び/又は電子的負荷の接続のための、安全スイッチングデバイスが創作される。安全スイッチングデバイスは、好ましくは、それぞれ活性化信号が印加可能又は供給可能である、第1及び第2の入力を備えることができる。活性化信号は、トランスデューサからのセンサ信号、又は、例えば、励磁コイルへの通電のために用いられる電源電圧であることができる。
【0009】
更に、安全スイッチングデバイスは、電気的及び/又は電子的負荷へのエネルギー供給のための電源電圧を印加可能又は供給可能である、第3の入力を備えることができる。電源電圧は、直流電圧又は交流電圧であり得る。
【0010】
更に、安全スイッチングデバイスは、好ましくは直流電圧を送給する試験電圧供給デバイスを備えることができる。安全スイッチングデバイスは、電気的及び/又は電子的負荷が接続可能な出力を有することができ、第3の入力と出力との間には負荷電流経路が延びる。
【0011】
既にこの時点で、多相の電気的負荷を接続するための複数の出力と、多相の電源電圧を印加するための複数の第3の入力とを設けることもでき、それらの間に、それぞれ負荷電流経路が延びることに留意されたい。このようにして、単相又は多相の電気的負荷が、安全スイッチングデバイスに接続され得る。
【0012】
安全スイッチングデバイスは、更に、第1及び第2の切り替えスイッチを備えることができ、その各々は、励磁コイル、常閉接点、常開接点、及び、ルートとも呼ばれる共通の中間端子を備える。2つの切り替えスイッチは、例えば切り替えリレーとして設計され得る。
【0013】
第1の切り替えスイッチ及び第2の切り替えスイッチは、好ましくは、それぞれの共通の中間端子によって、互いに電気的に接続されている。このようにして、第1及び第2の切り替えスイッチの常開接点は、負荷電流経路において互いに直列に配置されている。第1の切り替えスイッチの励磁コイルは、第1の入力に電気的に接続された第1の制御電流経路内に配置されており、一方、第1の切り替えスイッチの常閉接点は、第1の診断回路内に配置されている。第2の切り替えスイッチの励磁コイルは、第2の入力に電気的に接続された第2の制御電流経路内に配置されており、一方、第2の切り替えスイッチの常閉接点は、第2の診断回路内に配置されている。第1の診断回路及び第2の診断回路は、試験電圧供給デバイスに並列に接続されている。
【0014】
安全スイッチングデバイスは、更に、第1の診断電流検出デバイスを備えることができ、これは、第1の診断電流回路に割り当てられているか、又は、これと作動接続状態にある。それは、第1の診断回路が第1の切り替えスイッチの常閉接点によって閉じられている場合にのみ、第1の制御信号を供給するように設計されている。したがって、第1の制御信号は、第1の診断回路内を診断電流が流れていることを伝達する。
【0015】
更に、第2の診断電流検出デバイスが設けられることができ、これは、第2の診断回路に割り当てられているか、又は、これと作動接続状態にある。それは、第2の診断回路が第2の切り替えスイッチの常閉接点によって閉じられている場合にのみ、第2の制御信号を供給するように設計されている。したがって、第2の制御信号は、第2の診断回路内を診断電流が流れていることを伝達する。
【0016】
安全スイッチングデバイスは、更に、第2の入力に電気的に接続可能な、第1の制御可能な短絡デバイスを備えることができる。更に、第1の入力に電気的に接続可能な、第2の制御可能な短絡デバイスが設けられ得る。好ましくは、第1の短絡デバイスは、第2の入力に印加された第1の活性化信号に応答して、第2の診断電流検出デバイスが、第1の活性化信号の印加後に、第2の制御信号を所定の期間供給する場合にのみ、第1の切り替えスイッチの励磁コイルを短絡するよう、設計されている。第2の短絡デバイスは、第1の入力に印加された第2の活性化信号に応答して、第1の診断電流検出デバイスが、第2の活性化信号の印加後に、第1の制御信号を所定の期間供給する場合にのみ、第2の切り替えスイッチの励磁コイルを短絡するよう、設計され得る。
【0017】
この機構のおかげで、安全スイッチングデバイスは、始動プロセスの開始と共に、すなわち、第1及び第2の入力に、それぞれ、例えば電源電圧のような活性化信号が印加された時点で、切り替えスイッチの監視を開始する。監視は、マイクロコントローラを使用することなく実行されることに留意されたい。
【0018】
好ましくは、第1及び第2の診断電流検出デバイスは、それぞれ光カプラを備える。
【0019】
ポテンシャルフリーの試験電圧を送給することを可能とするために、試験電圧供給デバイスは、変圧器を備えることができ、当該変圧器は、一次側でDC/ACコンバータ又はAC/ACコンバータに、二次側でAC/DCコンバータに、それぞれ接続され得る。DC/ACコンバータは、好ましくは、外部の直流電圧源に接続されるであろう。
【0020】
有利な構成では、第1の短絡デバイスが、第1の切り替えスイッチの励磁コイルを短絡するためのスイッチング素子と、所定の期間を規定する時定数を有するRC素子とを備えることが意図される。同様に、第2の短絡デバイスは、第2の切り替えスイッチの励磁コイルを短絡するためのスイッチング素子と、所定の期間を規定する時定数を有するRC素子とを備えることができる。RC素子は、例えばそれぞれローパスとして設計され得る。
【0021】
有利な発展形態によれば、第1のスイッチング素子は、第1の切り替えスイッチの励磁コイルと直列に接続されることができ、第1のスイッチング素子は、第1の制御電流経路を開閉するように設計されている。更に、第2のスイッチング素子は、第2の切り替えスイッチの励磁コイルと直列に接続されることができ、第2のスイッチング素子は、第2の制御電流経路を開閉するように設計されている。更に、論理回路が設けられることができ、当該論理回路は、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を閉じるように、しかも、第1及び第2の活性化信号、始動信号、並びに、第1及び第2の制御信号が同時に論理回路に印加される場合にのみ閉じるように、設計され得る。この場合、第1の短絡デバイスは、第2の診断電流検出デバイスが、第2のスイッチング素子が閉じた後、第2の制御信号を、依然として所定の期間中、供給若しくは送給する場合にのみ、第1の切り替えスイッチの励磁コイルを短絡するよう、設計され得る。このために、第2の短絡デバイスは、第1の診断電流検出デバイスが、第1のスイッチング素子が閉じた後、第2の制御信号を、依然として所定の期間中、供給する場合にのみ、第2の切り替えスイッチの励磁コイルを短絡するよう、設計され得る。論理回路は、好ましくは、例えばnpnトランジスタ及びpnpトランジスタ、電気抵抗並びにコンデンサのような能動的な及び場合によっては受動的な個別の電気部品のみから構築されていることに留意されたい。
【0022】
この機構のおかげで、安全スイッチングデバイスは、始動プロセスの開始と共に、すなわち、始動信号が、並びに、第1及び第2の入力にそれぞれ例えば電源電圧のような活性化信号が、印加された時点で、切り替えスイッチの監視を開始する。
【0023】
有利な実装形態によれば、2つの切り替えスイッチの監視は、遅延して開始される。すなわち、先ず第1の切り替えスイッチの機能性が、続いて第2の切り替えスイッチの機能性がチェックされ、あるいはその逆である。このために、論理回路は、第1のスイッチング素子を、及び時間遅延して第2のスイッチング素子を、あるいはその逆に、閉じるように設計され得る。しかしながら、2つの切り替えスイッチの監視は、同時にも行われ得る。
【0024】
電気的及び/又は電子的負荷のスイッチオンの監視は、マイクロコントローラを使用することなく実行されることに留意されたい。
【0025】
有利な発展形態によれば、第1の短絡デバイスは、第2の診断電流検出デバイスの出力に電気的に接続された第1の端子と、第2の入力に電気的に接続可能な第2の端子とを備える、更なるスイッチング素子を備えることができる。更なるスイッチング素子は、好ましくは、第1の診断回路内を診断電流が流れる場合に、第1の短絡デバイスを活性化させるために用いられる。このために、第2の短絡デバイスは、第1の診断電流検出デバイスの出力に電気的に接続された第1の端子と、第1の入力に電気的に接続可能な第2の端子とを備える、更なるスイッチング素子を備えることができる。更なるスイッチング素子は、好ましくは、第2の診断回路内を診断電流が流れる場合に、第2の短絡デバイスを活性化させるために用いられる。
【0026】
本発明が、以下において、添付の図面と関連する実施例に基づいて、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明による例示的な安全スイッチングデバイスの第1の部分である。
【
図1B】本発明による例示的な安全スイッチングデバイスの第2の部分である。
【
図2】
図1Bに示された論理回路の例示的な回路構成である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1A及び1Bを参照すると、両図が全体として安全スイッチングデバイス10を示しており、これは、例えば、自動化されたプロセス制御システムのような工業的な自動化環境において使用され得る。例示的な安全スイッチングデバイス10は、好ましくは、電気的及び/又は電子的負荷200の監視されたスイッチオンのための、すなわち、好ましくは電気的及び/又は電子的負荷200の電源電圧への監視された接続のための始動プロセス中に、安全スイッチングデバイスの機能性、特に強制駆動されない切り替えスイッチの機能性を監視し、不具合の発生の際に始動プロセスを中止することができる。
【0029】
図1A及び1Bに示されているように、安全スイッチングデバイス10は、破線で示されたハウジング15内に配置され得る。更に
図1Bに見られるように、安全スイッチングデバイス10は例えば第1の入力91を備え、当該第1の入力91には、例えばセンサ92の作動の際、活性化信号が印加され得る。センサ92は、例えば、スイッチ又はボタンであり得る。有利な実装形態によれば、第1の入力91には、電圧源93が接続され得る。本例では、電圧源93は、例えば24Vを供給することができる直流電圧源である。活性化信号は、この場合、印加された直流電圧に対応する。更に、安全スイッチングデバイス10は第2の入力101を備え、当該第2の入力101には、例えばセンサ102の作動の際、同様に活性化信号が印加され得る。センサ102は、例えば、スイッチ又はボタンであり得る。有利な実装形態によれば、例えばDC電圧源103のような電圧源が、ボタン102を介して第2の入力101に印加され得る。活性化信号は、この場合も、印加された直流電圧に対応する。換言すれば:例示的なボタン92及び102の作動の際に、第1の入力91及び第2の入力101に、活性化信号又はセンサ信号として、それぞれ直流電圧が供給される。
【0030】
図1Aに示されるように、安全スイッチングデバイス10は第3の入力131を備えることができ、当該第3の入力131には、電気的及び/又は電子的負荷200のエネルギー供給のために、電源電圧が印加され得る。電源電圧は、好ましくは、直流電圧源又は交流電圧源として設計され得る、電圧源120を介して供給される。更に、安全スイッチングデバイス10は、好ましくは出力132を備え、当該出力132には、電気的及び/又は電子的負荷200が接続され得る。
図1Aに見られるように、第3の入力131と出力132との間を、負荷電流経路130が延びる。既にこの時点で、単相の電気的負荷の代わりに多相の電気的負荷も接続されることが想定される場合には、複数の第3の入力131及び複数の出力132が設けられ得ることを指摘しておく。この場合、負荷電流経路は、3つごとの入力と出力との間を延びる。
【0031】
例示的な安全スイッチングデバイス10は、好ましくは試験電圧供給デバイス20を備え、当該試験電圧供給デバイス20は、入力側において、2つの入力接続140及び141を介して外部の電圧源に接続され得る。電圧源150は、交流又は直流電圧源であり得る。ポテンシャルフリーの試験電圧を供給することを可能とするために、試験電圧供給デバイス20は変圧器22を備えることができ、当該変圧器22の一次側には、図示のように電圧源150が直流電圧源である場合、DC/ACコンバータ21が接続されている。さもなければ、一次側にはAC/ACコンバータが接続され得る。入力側において、DC/ACコンバータ21は、入力140及び141に接続されている。二次側では、AC/DCコンバータ23が変圧器22に接続されることができ、これは、出力側において、試験電圧としてポテンシャルフリーの直流電圧を送給する。直流電圧は、AC/DCコンバータ23内の直流電圧源によって象徴的に示されている。
【0032】
例示的な安全スイッチングデバイス10は、好ましくは第1の切り替えスイッチ60を備え、当該第1の切り替えスイッチ60は、励磁コイル61と、常閉接点若しくはブレイク接点63と、常開接点若しくはメイク接点64と、ルートとしても知られる共通の中間端子65と、可動のスイッチング素子62と、を備える。好ましくは第2の切り替えスイッチ70が設けられており、当該第2の切り替えスイッチ70は、励磁コイル71と、常閉接点若しくはブレイク接点73と、常開接点若しくはメイク接点74と、ルートとも呼ばれ得る共通の中間端子75と、可動のスイッチング素子72と、を備える。2つの切り替えスイッチ60,70は、それぞれ切り替えリレーとして設計され得る。
【0033】
図1Aに更に見られるように、2つの切り替えスイッチ60及び70は、それらの2つの共通の中間端子65及び75を介して、互いに電気的に接続されている。切り替えスイッチ60及び70は、2つの切り替えスイッチ60及び70の常開接点64及び74が、負荷電流経路130において互いに直列に配置されるように、接続されている。例示的な安全スイッチングデバイス10では、負荷電流経路130が2つの常開接点64及び74によって閉じられている場合にのみ、電気的負荷200が始動され又は電圧源120に接続され得ることが、明らかである。
【0034】
図1Bに見られるように、第1の切り替えスイッチ60の励磁コイル61は、第1の入力91に電気的に接続された第1の制御電流経路90内に配置されており、一方、第1の切り替えスイッチ60の常閉接点63は、
図1Aに示されているように、第1の診断回路30内に配置されている。第2の切り替えスイッチ70の励磁コイル71は、
図1Bが示すように、第2の入力101に電気的に接続された第2の制御電流経路100内に配置されており、一方、第2の切り替えスイッチの常閉接点73は、
図1Aに見られるように、第2の診断回路31内に配置されている。
【0035】
第1の診断回路30及び第2の診断回路31は、試験電圧供給デバイス20又はAC/DCコンバータ23によって送給される試験電圧に並列に接続されている。好ましくは、AC/DCコンバータ23の正極は、切り替えスイッチ60及び70の2つのルート65及び75に電気的に接続されている。
【0036】
更に、第1の診断電流検出デバイス40が、第1の診断回路30に割り当てられるか、又は、これと作動接続状態にある。診断電流検出デバイス40は、有利には、第1の診断回路30が第1の切り替えスイッチ60の常閉接点63によって閉じられている場合にのみ、第1の制御信号を供給するように設計されている。好ましくは、第1の診断電流検出デバイス40は光カプラを備え、当該光カプラは、LED41若しくはレーザダイオードと、フォトトランジスタ42とから構築されている。例示的な実装形態によれば、LED41は、第1の診断回路30内に配置されており、LED41の陽極は常閉接点63に接続され、一方、LED41の陰極は、例えばAC/DCコンバータ23のアースに接続されている。したがって、例示的な実装形態によれば、オープナとして機能する常閉接点63が閉じるとすぐに、診断電流が第1の診断回路30を通じて流れる。この場合、LED41は光を放射し、その結果、フォトトランジスタ42は導通状態になる。
図1Aに示されているように、フォトトランジスタ42の端子は、アースに接続されている。
【0037】
同様に、第2の診断電流検出デバイス50が、第2の診断回路31に割り当てられるか、又は、これと作動接続状態にある。第2の診断電流検出デバイス50もやはり光カプラを備えることができ、当該光カプラは、LED51若しくはレーザダイオードと、フォトトランジスタ52とから構築されている。例示的な実装形態によれば、LED51は、第2の診断回路31内に配置されており、LED51の陽極は第2の切り替えスイッチ70の常閉接点若しくはオープナ73に接続され、一方、LED51の陰極は、AC/DCコンバータ23のアース端子に接続されている。換言すれば:2つの診断回路30及び31は、AC/DCコンバータ23の出力直流電圧、すなわち試験電圧に並列に接続されている。したがって、例示的な実装形態によれば、オープナとして機能する常閉接点73が閉じるとすぐに、診断電流が第2の診断回路31を通じて流れる。この場合、LED51は光を放射し、その結果、フォトトランジスタ52は導通状態になる。
図1Aに示されているように、フォトトランジスタ52の端子は、アースに接続されている。
【0038】
例示的な安全スイッチングデバイス10は、好ましくは、
図1Bに示される第1の制御可能な短絡デバイス80を備える。第1の制御可能な短絡デバイス80は、第2の入力101に電気的に接続可能である。後により詳細に説明するように、このために、例えば、制御電流経路100内にスイッチング素子190がある。更に、第1の入力91に電気的に接続可能な、第2の制御可能な短絡デバイス110が設けられている。この目的のために、後述するように、例えばスイッチング素子180が、第1の制御回路90内に接続され得る。
【0039】
第1の短絡デバイス80は、特に、第2の入力に印加された第1の活性化信号に応答して、第2の診断電流検出デバイス50が、第1の活性化信号の印加後に、第2の制御信号を所定の期間供給する場合にのみ、第1の切り替えスイッチ60の励磁コイル61を短絡するよう、設計されている。有利な実装形態によれば、入力101に印加され得る第1の活性化信号は、電圧源103によって供給される直流電圧である。
【0040】
同様に、第2の短絡デバイス110は、好ましくは、第1の入力91に印加された第2の活性化信号に応答して、第1の診断電流検出デバイス40が、第2の活性化信号の印加後に、第1の制御信号を所定の期間供給する場合にのみ、第2の切り替えスイッチ70の励磁コイル71を短絡するよう、設計されている。第2の活性化信号は、例示的な実装形態によれば、電圧源93によって供給され、入力91に印加される直流電圧である。この時点で既に、第1又は第2の診断電流検出デバイス40の第1及び第2の制御信号は、第1の診断回路30又は第2の診断回路31内を診断電流が流れていることを伝達する制御信号であることに、留意されたい。既に述べたように、常閉接点63又は常閉接点73が閉じられている場合にのみ、それぞれの診断回路内を診断電流が流れる。
【0041】
第1の短絡デバイス80は、有利には、個別の電気部品のみによって構築されている。好ましくは、第1の短絡デバイス80は、好ましくはnpnトランジスタとして設計された第1のスイッチング素子81を備える。トランジスタ81のコレクタ端子は、励磁コイル61の端子に接続され、トランジスタ81のエミッタ端子は、励磁コイル61の第2の端子に接続されており、当該第2の端子は、同様にアースに接続されている。このようにして、トランジスタ81は、励磁コイル61に対して並列に接続されている。npnトランジスタ81が所定の期間後に初めて導通状態となるように、対応するタイミング素子が設けられており、当該タイミング素子は、有利には、所定の時定数を有するRC素子として設計されている。時定数は、所定の期間を規定する。RC素子は、好ましくは、電気抵抗82及びコンデンサ84を備える。電気抵抗82の一方の端子は、この場合、コンデンサ84の端子に、及び例えば電気抵抗83の端子に接続されており、当該電気抵抗83の別の端子は、トランジスタ81のベース端子に接続され、コンデンサ84の第2の端子は、アースに接続されている。
図1Bに見られるように、励磁コイル61の端子は、トランジスタ81のエミッタ端子に接続されており、これは同様にアースに接続されている。更に、第1の短絡デバイス80は更なるスイッチング素子85を備えることができ、当該スイッチング素子85は、例えば同様にpnpトランジスタとして設計されている。トランジスタ85のコレクタ端子は、電気抵抗82の別の端子に接続されている。トランジスタ85のベース端子は、
図1A及び1Bを一緒に見ることにより明らかなように、フォトトランジスタ52の別の端子に接続されている。第2のトランジスタ85のエミッタ端子は、第2の制御電流経路100に接続され、このようにして励磁コイル71の端子に接続されている。この時点で既に、励磁コイル71の第2の端子がアースに接続されていることに留意されたい。
【0042】
第2の短絡デバイス110も、有利には、個別の電気部品のみによって構築されている。好ましくは、第2の短絡デバイス110は、好ましくはnpnトランジスタとして設計された第1のスイッチング素子111を備える。トランジスタ111のコレクタ端子は、励磁コイル71の端子に接続され、トランジスタ111のエミッタ端子は、励磁コイル71の第2の端子に接続されており、当該第2の端子は、同様にアースに接続されている。このようにして、トランジスタ111は、励磁コイル71に対して並列に接続されている。npnトランジスタ111が所定の期間後に初めて導通状態となるように、対応するタイミング素子が設けられており、当該タイミング素子は、有利には、所定の時定数を有するRC素子として設計されている。所定の時定数は、所定の期間を規定する。RC素子は、好ましくは、電気抵抗112及びコンデンサ114を備える。電気抵抗112の一方の端子は、この場合、コンデンサ114の端子に、及び例えば電気抵抗113の端子に接続されており、当該電気抵抗113の別の端子は、トランジスタ111のベース端子に接続され、コンデンサ114の第2の端子は、アースに接続されている。
図1Bに見られるように、励磁コイル71の端子は、トランジスタ111のエミッタ端子に接続されており、これは同様にアースに接続されている。更に、第2の短絡デバイス110は更なるスイッチング素子115を備えることができ、当該スイッチング素子115は、例えば同様にpnpトランジスタとして設計されている。トランジスタ115のコレクタ端子は、電気抵抗112の別の端子に接続されている。トランジスタ115のベース端子は、
図1A及び1Bを一緒に見ることにより明らかなように、フォトトランジスタ42の別の端子に接続されている。第2のトランジスタ115のエミッタ端子は、第1の制御電流経路90に接続され、このようにして励磁コイル61の端子に接続されている。この時点で既に、励磁コイル61の第2の端子がアースに接続されていることに留意されたい。
【0043】
上述したように、スイッチング素子180は、第1の制御電流経路90に接続され得る。スイッチング素子180は、好ましくはpnpトランジスタとして設計されており、そのベース端子は、論理回路170の出力に接続されている。論理回路170の例示的な実装形態は、
図2に示されており、更に以下でより詳細に説明される。論理回路170の入力は、安全スイッチングデバイス10の入力160に電気的に接続されている。入力160には、例えば直流電圧のような始動信号が、例えばスイッチ161を介して印加され得る。好ましくは、このために、直流電圧源162が、スイッチ161を介して、入力160に接続され得る。
図1Bに見られるように、トランジスタ180のエミッタ端子は第1の入力91に接続されており、一方、コレクタ端子は励磁コイル61の端子に、したがってトランジスタ81のコレクタ端子に接続されている。
【0044】
更に、上述したように、スイッチング素子190は、第2の制御電流経路100内に接続され得る。スイッチング素子190は、好ましくはpnpトランジスタとして設計されており、そのベース端子は、論理回路170の別の出力に電気的に接続され得る。
図1Bに見られるように、トランジスタ190のエミッタ端子は第2の入力101に接続されており、一方、コレクタ端子は励磁コイル71の端子に、したがってトランジスタ111のコレクタ端子に接続されている。
【0045】
例示的な論理回路170は、
図2に見られるように、8つのスイッチング素子210、215、220、230、240、241、250及び251を備えることができる。スイッチング素子210、215、240、241、250及び251は、それぞれnpnトランジスタとして実装され、スイッチング素子220及び230は、それぞれpnpトランジスタとして実装され得る。2つのnpnトランジスタ240及び241は、例えば、それらのコレクタ端子が互いに直接的に電気的に接続され、それらのエミッタ端子が互いに直接的にかつアースに電気的に接続されるように、互いに接続されている。2つのnpnトランジスタ250及び251は、例えば、それらのコレクタ端子が互いに直接的に電気的に接続され、それらのエミッタ端子が互いに直接的にかつアースに電気的に接続されるように、同様に互いに接続されている。
【0046】
論理回路170の例示的な実装形態によれば、npnトランジスタ210のエミッタ端子はフォトトランジスタ42に、npnトランジスタ215のエミッタ端子はフォトトランジスタ52に、それぞれ電気的に接続されている。npnトランジスタ210のベース端子は、入力91又は電流経路90に電気的に接続され、一方、npnトランジスタ215のベース端子は、入力101又は電流経路100に電気的に接続されている。npnトランジスタ210のコレクタ端子は、pnpトランジスタ220のベース端子に電気的に接続され、一方、npnトランジスタ215のコレクタ端子は、pnpトランジスタ230のベース端子に電気的に接続されている。2つのpnpトランジスタ220及び230は直列に接続され、pnpトランジスタ220のエミッタ端子、したがって論理回路170は、始動入力160に電気的に接続されている。
【0047】
pnpトランジスタ220のコレクタ端子は、pnpトランジスタ230のエミッタ端子に電気的に接続されている。pnpトランジスタ230のコレクタ端子は、直接的に、npnトランジスタ240のベース端子及びnpnトランジスタ250のベース端子に、接続され得る。npnトランジスタ240及び241のコレクタ端子は、pnpトランジスタ180のベース端子に接続され、npnトランジスタ250及び251のコレクタ端子は、pnpトランジスタ190のベース端子に電気的に接続され得る。npnトランジスタ241のベース端子は、pnpトランジスタ180のコレクタ端子に電気的に接続され、npnトランジスタ251のベース端子は、pnpトランジスタ190のコレクタ端子に電気的に接続され得る。このようにして、始動プロセス中に、2つの切り替えスイッチ60及び70の機能性が同時に監視されることが達成される。
【0048】
例えば、npnトランジスタ250のベース端子に遅延素子(図示せず)が予め接続されている場合、始動プロセス中、先ず切り替えスイッチ70の機能性が、次いで切り替えスイッチ60の機能性が、チェックされる。始動プロセスは、好ましくは電気的及び/又は電子的負荷200の監視されたスイッチオンを、特に切り替えスイッチ60及び70の機能性の監視を、開始することに再度留意されたい。
【0049】
例示的な論理回路170は、安全スイッチングデバイス10の始動プロセス、特に切り替えスイッチ60及び70の機能性の監視が、スイッチ92、102及び161が閉じられ、診断電流検出デバイス40及び50から、常閉接点63及び73が閉じられていることを伝達する制御信号が送給される場合にのみ始まる、という結果をもたらす。その点では、論理回路170は、入力91及び101における活性化信号、入力160における始動信号、並びに、診断電流検出デバイス40及び50の2つの制御信号の、AND結合を実現する。これらの条件が全て満たされた場合に初めて、始動プロセスが開始される。
【0050】
なお、
図1A及び1Bにおいては、励磁コイル71が可動のスイッチング素子72に作用し、一方、励磁コイル61が切り替えスイッチ60の可動のスイッチング素子62に作用することが、それぞれ破線によって象徴的に示されていることに、再度留意されたい。
【0051】
以下において、
図1A、1B及び2に示された例示的な安全スイッチングデバイス10の作動原理が、始動プロセスに関連してより詳細に説明される。先ず、直列に接続された強制駆動されない2つの切り替えスイッチ60及び70の助けを借りて、以下の不具合例が検出され得ることに留意されたい:
1.それぞれの常閉接点の溶着、
2.それぞれの常開接点の溶着、
3.それぞれの常閉接点及び常開接点62、63、64、72、73、74の融着によって発生する、第1の切り替えスイッチ60及び第2の切り替えスイッチ70における短絡、並びに、
4.診断電流検出デバイス40又はフォトトランジスタ42、及び/又は、診断電流検出デバイス50又はフォトトランジスタ52における短絡。
【0052】
有利な実装形態によれば、始動プロセスの開始及び制御のために、
図2に示された例示的な論理回路170が使用され得る。論理回路170は、有利には、以下のように動作する:
2つの診断電流検出デバイス40及び50が、それぞれ、第1の診断回路30又は第2の診断回路31が閉じられ、更にスイッチング素子92、102、161が閉じられていることを伝達する制御信号を送給する場合、例えば、
- pnpトランジスタ180が導通状態となり、それにより(既に上述したように)第1の切り替えスイッチ60の試験が開始され、
- 同時に、pnpトランジスタ190が導通状態となり、それにより(上述したように)第2の切り替えスイッチ70の試験が開始される。
【0053】
2段階の試験又は診断段階中に、切り替えスイッチ60及び70に関して不具合が確認されない場合、負荷200は、既定どおりにスイッチオンされるか又は電源電圧源120に接続される。さもなければ、機能を果たし得る切り替えスイッチの励磁コイルが短絡される。
【0054】
電気的及び/又は電子的負荷200の監視されたスイッチオンは、以下においてより詳細に説明される。
【0055】
ここで、安全スイッチングデバイス10が始動される、すなわち電気的及び/又は電子的負荷200が電源電圧、すなわち供給電圧源120に接続されると仮定する。更に、それぞれセンサ又は信号デバイスとして設計され得るボタン92及び102は、最初は開かれた状態にあると仮定する。したがって、入力91及び101には電源電圧が印加されず、励磁コイル61及び71は通電されない。更に、ブレイク接点として機能する2つの常閉接点63及び73は閉じられた状態にあり、その結果、第1の診断回路30及び第2の診断回路31の両方に診断電流が流れるものと仮定する。
【0056】
有利なシナリオによれば、ここで、始動プロセスの開始のために2つのボタン92及び102が操作され、その結果、電圧源93によって供給される電源電圧が入力91に、電圧源103によって供給される電源電圧が入力101に、それぞれ供給されると仮定する。更に、スイッチ161も閉じられ、その悔過、本例では直流電圧源162によって送給される始動信号が入力160に印加されるものと仮定する。これは、pnpトランジスタ220のコレクタ端子に直流電圧が、npnトランジスタ210のベース端子に電圧源93から送給された直流電圧が、npnトランジスタ215のベース端子に電圧源103から送給された直流電圧が、それぞれ印加され、その結果、2つのトランジスタ210及び215が導通状態にスイッチングされていることを意味する。したがって、pnpトランジスタ220及び230のベース端子には、それぞれアース電位が制御信号として印加され、当該制御信号は、フォトトランジスタ42及びnpnトランジスタ210、又は、フォトトランジスタ52及びpnpトランジスタ215を介して供給される。
【0057】
したがって、始動信号として入力160に印加される直流電圧は、pnpトランジスタ220及び230を介して、先ずnpnトランジスタ240のベース端子及びnpnトランジスタ250のベース端子に印加される。したがって、トランジスタ240及び241を介してアース電位がpnpトランジスタ180のベース端子に印加され、トランジスタ250及び251を介してアース電位がpnpトランジスタ190のベース端子に印加され、その結果、pnpトランジスタ180及び190は導通状態となり、励磁コイル61は電源電圧源93を介して、励磁コイル71は電源電圧源103を介して、それぞれ通電される。その結果、既定の動作においては、切り替えスイッチ60の常閉接点63は可動のスイッチング素子62によって開かれ、常開接点64は閉じられ、切り替えスイッチ70の常閉接点73は可動のスイッチング素子72によって開かれ、常開接点74は閉じられる。その結果、診断回路30及び31は開かれ、診断電流はもはや流れないが、これは、診断電流検出デバイス40又は50によって検出される。したがって、フォトトランジスタ42及び52は、遮断された状態へ移行する。これは更に、第2の短絡デバイス110のトランジスタ115が遮断され、それにより短絡デバイス110が非活性化されるという結果をもたらす。同様に、第1の短絡デバイス80のトランジスタ85は遮断され、それにより短絡デバイス80は非活性化される。この既定の動作により、2つの常開接点64及び74は閉じられ、したがって電気的負荷200は既定どおりに電源電圧源120に接続される。
【0058】
ここで、例示的に、切り替えスイッチ70が既定どおりに動作しており、したがって短絡デバイス110が活性化されないと仮定する。しかしながら、スイッチ161、102及び92が不具合に起因して閉じられた後、常閉接点63は開かず、その結果、第1の診断回路30内を更に診断電流が流れ、これは、フォトトランジスタ42が導通状態に保たれるという結果をもたらす。この結果、アース電位は、フォトトランジスタ42を介して短絡デバイス110のトランジスタ115のベース端子に印加され、これは更に短絡デバイス110を活性化させる。トランジスタ115は導通状態にあるので、制御回路90を通じて流れる電流は、トランジスタ115のコレクタ-エミッタ経路を介してRC素子112/114へ導かれ、それに基づいてコンデンサ114が充電される。RC素子112/114によって規定された期間中、常閉接点63が閉じたままである場合、第2の制御電流経路100が開いているか閉じているかにかかわらず、所定の期間が経過した後にトランジスタ111が導通状態となり、それにより励磁コイル71を短絡する限り、コンデンサ114は充電される。このようにして、始動プロセス、すなわちスイッチオン又は電気的負荷200の電源電圧120への接続が阻止される。なぜなら、常開接点64が、常閉接点63の融着に起因して開いたままとなるだけでなく、第2の切り替えスイッチ70の励磁コイル71も短絡されるからである。いずれにせよ、安全スイッチングデバイス10は、スイッチ又は信号デバイス102が閉じられたときでも安全な状態のままであり、それにより、第2の制御電流経路100は、電源電圧源103を介してエネルギーを供給される。
【0059】
この特別な安全スイッチングデバイス10によって検出され得る第2のあり得る不具合は、例えば、第1の切り替えスイッチ60の可動のスイッチング素子62と、常閉接点63と、常開接点64との間で、電気的な短絡が発生することにある。この場合、始動プロセスが開始されていない場合であっても、負荷電流回路130内に配置された常開接点64は、既に閉じられている。
【0060】
この不具合が発生した場合、スイッチ92、102及び161が閉じられた後、励磁コイル61は、制御電流経路90を介して通電される。しかしながら、常閉接点63も閉じたままであるため、依然として診断電流は第1の診断回路30内を流れる。これは、フォトトランジスタ42を介して更に供給された制御信号、例えばアース電位が、pnpトランジスタ115を導通状態に移行させ、その結果、制御回路90内を流れる制御電流が、短絡デバイス110のトランジスタ115を介して、RC素子112、114の時定数によって規定される所定の期間、トランジスタ111が導通状態にスイッチングされ、したがって励磁コイル71が短絡される限りコンデンサ114を充電する、という結果をもたらす。これは、入力160に始動信号が、入力102に活性化信号、すなわち電源電圧源103の直流電圧が、それぞれ印加され、したがって第2の制御電流経路100が閉じられる場合であっても、励磁コイル71は通電されず、したがって、第2の切り替えスイッチ70の常開接点74は開いたままであることを意味する。その結果、切り替えスイッチ60は、短絡によりもはや既定どおりには動作され得ないにもかかわらず、負荷電流回路130は開いたままであり、したがって、安全スイッチングデバイス10又は負荷200は安全な状態のままである。
【0061】
切り替えスイッチ70が故障しており、切り替えスイッチ60が既定どおりに動作しており、したがって短絡デバイス80が活性化されない場合、安全スイッチングデバイス10は同様に動作する。
【0062】
スイッチ161、102及び92が閉じられた後、常閉接点73は不具合に起因して開かないので、第1の診断回路40内を更に診断電流が流れ、これは、フォトトランジスタ52が導通状態に保たれるという結果をもたらす。この結果、アース電位は、フォトトランジスタ52を介して短絡デバイス80のトランジスタ85のベース端子に印加され、これは更に短絡デバイス80を活性化させる。トランジスタ85は導通状態にあるので、制御回路100を通じて流れる電流は、トランジスタ85のコレクタ-エミッタ経路を介してRC素子82/84へ導かれ、それに基づいてコンデンサ84が充電される。RC素子82/84によって規定された期間中、常閉接点73が閉じたままである場合、第1の制御電流経路90が開いているか閉じているかにかかわらず、所定の期間が経過した後にトランジスタ81が導通状態となり、それにより励磁コイル61を短絡する限り、コンデンサ84は充電される。このようにして、始動プロセス、すなわちスイッチオン又は電気的負荷200の電源電圧120への接続が阻止される。なぜなら、常開接点74が、常閉接点74の融着に起因して開いたままとなるだけでなく、第2の切り替えスイッチ60の励磁コイル61も短絡されるからである。いずれにせよ、安全スイッチングデバイス10は、スイッチ又は信号デバイス92が閉じられたときでも安全な状態のままであり、それにより、第1の制御電流経路90は、電源電圧源93を介してエネルギーを供給される。