(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】光学測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240903BHJP
G02F 1/35 20060101ALI20240903BHJP
G01N 21/17 20060101ALN20240903BHJP
G01N 21/01 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G02F1/35
G01N21/17 630
G01N21/01 D
(21)【出願番号】P 2023076186
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2020081346の分割
【原出願日】2013-05-30
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2012-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(32)【優先日】2012-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】506179491
【氏名又は名称】エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】NKT PHOTONICS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トムセン、カーステン エル.
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、トマス ベスタガード
(72)【発明者】
【氏名】フォイヒター、トマス
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/083755(WO,A1)
【文献】特開2007-193231(JP,A)
【文献】特開2009-092570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0268393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0097512(US,A1)
【文献】特開2005-294806(JP,A)
【文献】特表2008-501130(JP,A)
【文献】特表2007-535691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G01N 21/01
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーコンティニウム光源であって、
パルス周波数F
seedを備えたシードパルスを供給するように構成されたシードレーザと、
前記パルス周波数F
seedを備えたシードパルスを、パルス周波数F
pumpを備えたポンプパルスに変換することによって、前記シードパルスを逓倍するように構成されたパルス周波数逓倍器(PFM)であって、F
pumpはF
seedよりも大き
く、
F
pump
が150MHz以上である、前記パルス周波数逓倍器(PFM)と、
前記ポンプパルスを受信し、前記ポンプパルスを、少なくとも約λ
1~約λ
2にわたるスーパーコンティニウムスペクトルを有するスーパーコンティニウム光のパルスに変換するように構成された非線形素子であって、λ
1-λ
2>約500nmである、前記非線形素子と、
前記スーパーコンティニウム光源からの出力スペクトルがλ
3からλ
4までわたるように、前記スーパーコンティニウムスペクトルをスペクトル的に成形するように構成された成形光学素子であって、λ
3-λ
4>0、λ
1≧λ
3、およびλ
2≦λ
4である、前記成形光学素子と、を備えるスーパーコンティニウム光源。
【請求項2】
前記成形光学素子は、プリズム、ローパス光学フィルタ、ハイパス光学フィルタ、およびバンドパス光学フィルタから選択される素子を含む、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項3】
前記スーパーコンティニウム光源は、λ
3からλ
4の間の前記スーパーコンティニウムスペクトルを減衰させるように構成された減衰光学素子を含む、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項4】
前記減衰光学素子は、ニュートラルデンシティフィルタを含む、請求項3に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項5】
前記出力スペクトルのスペクトル形状は、波長範囲λ
3~λ
4において、前記スーパーコンティニウムスペクトルのスペクトル形状と異なる、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項6】
前記スーパーコンティニウムスペクトルをスペクトル的に成形することは、λ
3-λ
4<λ
2-λ
1となるようにスペクトルの幅を減少させることを含む、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項7】
前記成形光学素子は、前記スーパーコンティニウム光を受光してスペクトル的に成形するように構成された単一モード結合ユニットの一部である、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項8】
前記パルス周波数逓倍器は、F
pump未満のパルス周波数を有する光パルスを減衰させるように構成された減衰器を含む、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項9】
前記非線形素子は、微細構造光ファイバを含む、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項10】
前記シードレーザは、約1psよりも長いパルス幅t
seedを有するシードパルスを供給するように構成されている、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項11】
前記シードレーザは、約50psよりも長いパルス幅t
seedを有するシードパルスを供給するように構成されている、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項12】
前記スーパーコンティニウム光源は、400nm~850nmの範囲内の合計平均光パワーが100mW未満であるように構成されている、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項13】
前記スーパーコンティニウム光源は、前記シードパルスまたは前記ポンプパルスを増幅するように構成された複数の増幅器を含む、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項14】
前記シードレーザがモードロックYbレーザを含む、請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項15】
前記モードロックYbレーザは、SESAM(Semiconductor Saturable Absorber Mirror)を介して受動的にモードロックされるファイバレーザを含む、請求項
14に記載のスーパーコンティニウム光源。
【請求項16】
対象の少なくとも1つのパラメータを測定するのに適した光学測定システムであって、
請求項1に記載のスーパーコンティニウム光源であって、測定対象を照明するために前記スーパーコンティニウム光源の出力を供給するように構成された単一モード結合ユニットを含む前記スーパーコンティニウム光源と、
照明されたことに応答して測定対象からの光を受光し、受光した光を検出するように構成された検出器であって、少なくとも約1/F
pumpの積分時間を有する前記検出器と、を備える光学測定システム。
【請求項17】
前記光学測定システムは、加齢に関連する黄斑変性(AMD)、糖尿病網膜症又は緑内障の診断のために
、眼の屈折矯正を行う治療に関連する診断のために、または人間の眼の内部におけるボーマン層の境界を測定するために使用される、請求項
16に記載の光学測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間スーパーコンティニウム(SC:supercontinuum)光源及び単一モード結合ユニットを含むスーパーコンティニウム光源に関し、スーパーコンティニウム光源は、測定システム、例えば測定されるか又は他の方法で分析される試料が、かかるスーパーコンティニウム光源から生じる光によって照明されるシステムにおける使用に適しており、測定システムは、試料からの光の検出を可能にするように構成される。本発明はまた、対象に関する少なくとも1つのパラメータを測定するのに適したシステムに関し、前記システムは、スーパーコンティニウム光源と同様に、測定システムの対象に関する少なくとも1つのパラメータを測定する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
光学測定システムは、多くのバリエーションで存在する。これらのシステムに共通なのは、光ビームが、試料に導かれ、試料からの光が捕捉されるということである。捕捉された光は、試料から反射された光、試料を透過された光、及び/又は蛍光など、入射ビームに応じて試料から発せられた光であっても良い。
【0003】
オクターブ帯域幅スーパーコンティニウム(SC)は、入力として(しばしばMOPA構成における)パルスレーザでファイバをポンピングすることによって、微細構造ファイバ、先細標準ファイバ及び先細微細構造ファイバなどの非線形ファイバを直接通してうまく生成された。かかるスペクトル的に広範なコンティニウム光源は、多くの測定システムにおいて、例えば、光干渉断層撮影法(OCT:optical coherence tomography)、光周波数計測学、蛍光顕微鏡検査、干渉反ストークスラマン散乱(CARS:coherent anti-Stokes Raman scattering)顕微鏡検査、及び2光子蛍光顕微鏡検査などにおいて、潜在的に有用である。残念なことに、それらの実験に関して、従来のコンティニウム光源の大きな振幅変動は、精度及び/又は感度を制限する。SC生成の従前の研究は、SC生成プロセスが、量子雑音、技術的ノイズ、並びに入力レーザパルスの入力波長、持続時間及びチャープなどの特定のパラメータに非常に敏感であることを示した。安定したコンティニウムに由来する光源は、一般に、SC光源の有用性を改善することになろう。
【0004】
従来の穴のあいたフォトニック結晶又は先細単一モードの長いファイバにおけるコンティニウム生成は、複雑であり、且つ異なる波長領域に対する望ましくない不均一に分配されたノイズ及び不安定性につながる、時間及び周波数領域における際立ったサブ構造を含む可能性がある。通常、コンティニウムの振幅は、著しい過剰なホワイトノイズ背景を備えた大きな変動を示し、その変動は、高速検出器及びRFスペクトル分析器(RFSA:RF spectrum analyzer)測定を用いて明らかにすることができる。
【0005】
波長変換に対する共通のアプローチは、スーパーコンティニウムを生成し、次にコンティニウムの一部をスペクトル的にスライスし、このスライスを顕微鏡検査セットアップ用の光源として使用することである。しかしながら、選択されたコンティニウムは、恐らく大きな振幅変動(ノイズ)を含み、それは、幾つかの用途には適していない可能性がある。
【0006】
(特許文献1)において、SC光源からのノイズは、非線形ファイバを先細にすること及びいわゆるソリトン分裂を生じさせるフェムト秒パルス源を用いることによって低減される。この特許の要約は、次のように述べている:「DMMによって導入されるチェレンコフ放射(CR:Cherenkov radiation)及び四波混合(FWM:four-wave mixing)用の位相整合状態の長手方向の変化は、低ノイズスーパーコンティニウムの生成を可能にする」。テーパリングは、SC光源の製造を複雑にする可能性がある後処理技術又は製造中におけるファイバ直径の変更のいずれかを必要とし、先細りの小断面は、安全に透過され得る光量を制限する可能性がある。更に、フェムト秒ポンプ源は、比較的複雑で高価であることが多い。
【0007】
(特許文献2)において、SC光を生成できる基礎構造を有する、且つSC光のスペクトルの波形の成形、SC光のパワー調整、又はSC光を含むパルス列の繰り返し周波数の調整を可能にする構造を更に有する光源装置が説明されている。(特許文献2)の光源装置は、約1550nmの波長でポンピングされるSCファイバを含み、光源からのSC光パルス列の繰り返し周波数は、1MHz以上~100MHz以下に位置する。(特許文献2)の全体を通して、ノイズは、単一パルスに関してのみ論じられ、パルス光P1のノイズ特性が影響されないことが説明される。SC光パルス列P2のノイズ特性に関し、光源装置の外部に構成された光検出器との同期化を通して、低ノイズ検出が可能であることが言及される。異なるポンプ波長を用いるSC光源からのノイズスペクトルは異なり、従ってノイズ抑圧は、異なっても良い。(特許文献2)は、フェムト秒パルス列P1に言及する。かかるポンプ源は、比較的複雑で高価であることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第7,403,688号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0116282号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のことを考慮して、本発明の目的は、低ノイズスーパーコンティニウム光源、及び有利には、生成されたスーパーコンティニウム(SC)においてノイズの影響が低減されたスーパーコンティニウム光源を提供することである。有利には、スーパーコンティニウム光源は、光学測定システムでの使用に適している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態において、本発明は、対象に関する少なくとも1つのパラメータを測定するのに適したシステムであって、スーパーコンティニウム光源を含むシステムに関し、更に、システムを用いた測定方法を提供することもまた目的である。
【0011】
これらや他の目的は、請求項で定義されるような、且つ本明細書において以下で説明されるような本発明又はその実施形態によって解決された。
本発明及びその実施形態が、以下の説明から当業者に明らかになるであろう多くの追加の利点を有することが分かった。
【0012】
本発明のスーパーコンティニウム光源は、光源出力部、中間スーパーコンティニウム光源、及び単一モード結合ユニットを含み、前記中間スーパーコンティニウム光源は、
a.パルス周波数Fseedを備えたシードパルスを供給するように構成されたシードレーザと、
b.シードパルスを倍増するように、且つFseedをパルス周波数Fpumpを備えたポンプパルスに変換するように構成されたパルス周波数逓倍器(PFM:pulse frequency multiplier)であって、FpumpがFseedより大きいパルス周波数逓倍器(PFM)と、
c.前記ポンプパルスを受信するように、且つ前記非線形素子の出力として供給される、約λ1~約λ2にわたるスーパーコンティニウムスペクトルを有するスーパーコンティニウム光に前記ポンプパルスを変換するように構成された非線形素子であって、λ2-λ1>約500nmである非線形素子と、を含む。
【0013】
非線形素子からの出力は、単一モード結合ユニットからの出力を供給するために、単一モード結合ユニットに結合され、光源出力は、単一モード結合ユニットからの出力を含む。単一モード結合ユニットは、前記非線形素子からの前記スーパーコンティニウムスペクトルを減衰及び成形するように構成される。好ましくは、Fpumpは、少なくとも約100MHz、例えば、少なくとも約150MHz、少なくとも約200MHz、少なくとも約300MHz、少なくとも約400MHz、少なくとも約500MHz、少なくとも約600MHz、少なくとも約700MHz、少なくとも約800MHz、少なくとも約1GHzである。
【0014】
周波数逓倍器の好ましい実施形態において、前記単一モード結合ユニットは、前記単一モード結合ユニットからの出力スペクトルがλ3からλ4までわたるように、前記スーパーコンティニウム光を受信し、それをスペクトル的に成形するように構成され、ここでλ3-λ4>0、λ3≧λ1、且つλ4≦λ2であり、単一モード結合ユニットからのスペクトル的に成形された出力スペクトル出力は、中間スーパーコンティニウム光源からのλ3~λ4の波長領域におけるスペクトルとは異なる。
【0015】
本発明のスーパーコンティニウム光源は、特に低ノイズが有益な用途のための高度に改善されたスーパーコンティニウム光源に起因する低ノイズを有することが分かった。用語「低ノイズ」は、例えば光源が測定システムにおいて適用される場合に、スペクトル領域における出力電力の比較可能な電力レベルで動作する先行技術白色光SC光源を用いて他の場合に可能だったであろうよりも著しく低い、例えば、出力電力の比較可能な電力レベルで動作する先行技術スーパーコンティニウム光源を用いて他の場合に可能だったであろうよりも著しく低い、且つソリトン分裂領域を超える平均ノイズを意味するように理解される。
【0016】
中間スーパーコンティニウム光源のシードレーザは、例えば、好ましくはSESAMを介してモードロックされたモードロックファイバレーザであることが可能であり、好ましくは前記ファイバレーザの利得媒体は、YtYbドープファイバ、Erドープファイバ及びEr/Ybドープファイバから選択される。
【0017】
実施形態において、波長領域「λ3~λ4」は、約100nmより大きく、例えば、約200nmより大きく、約300nmより大きく、又は約500nmより大きい。実施形態において、波長λ3は、約1000nmより小さく、例えば、約900nmより小さく、約800nmより小さく、約700nmより小さく、又は約600nmより小さい。実施形態において、λ4は、約1070nmより大きく、例えば、約1100nmより大きく、約1200nmより大きく、又は約1300nmより大きい。
【0018】
実施形態において、単一モード結合ユニットは、下記の1つ又は複数、即ち、プリズム、ローパス光学フィルタ、ハイパス光学フィルタ、バンドパス光学フィルタ、及び単一モードファイバの1つ又は複数を含む。有利には、単一モード結合ユニットは、中間スーパーコンティニウム光源からのスペクトルを、ガウススペクトル、二重ピークスペクトル、又はフラットトップスペクトルに成形するように構成される。
【0019】
実施形態において、前記単一モード結合ユニットにおけるスーパーコンティニウムスペクトルの減衰は、光パワー減衰係数yによって与えられ、前記光パワー減衰係数yは、λ4~λ3の波長領域内における光パワー減衰の尺度であり、前記光パワー減衰係数yは、約2より大きく、例えば、約3より大きく、約4より大きく、約6より大きく、約8より大きく、約10より大きい。
【0020】
実施形態において、単一モード結合ユニットは、前記減衰を実行するために、下記の少なくとも1つ、即ち、i)非線形素子から単一モード結合ユニットへの出力の不整合又は不一致と、ii)単一モード結合ユニットへの入力及び/又は単一モード結合ユニットからの出力におけるスプライス損失と、iii)ニュートラルデンシティフィルタなどの広帯域減衰フィルタ又は広帯域ビームスプリッタと、の少なくとも1つを含む。
【0021】
実施形態において、単一モード結合ユニットは、非線形素子に結合するための入力部と、単一モード結合ユニットの入力部におけるダイクロイック素子であって、閾値波長λ5未満の波長を送信するように構成され、λ5>λ3であるダイクロイック素子と、次のもの、即ちプリズム、ローパス光学フィルタ、ハイパス光学フィルタ又はバンドパス光学フィルタの少なくとも1つと、単一モードファイバであって、その出力が、単一モード結合ユニットからの出力である単一モードファイバと、を含む。有利には、ダイクロイック素子は、単一モードファイバであり、前記単一モードファイバは、ステップインデックスファイバ、又は空気若しくは低指数ガラス材料の形をした微細構造を含む微細構造ファイバである。
【0022】
実施形態において、前記単一モード結合ユニットからの出力における合計光パワーは、約100mW未満であり、例えば、約50mW未満、約30mW未満、約20mW未満である。
【0023】
実施形態において、シードレーザは、パルス幅tseedを備えたシードパルスを供給するように構成され、前記パルス幅tseedは、約0.1psより長く、例えば、約0.25psより長く、約0.5psより長く、約0.75psより長く、約1psより長く、約2psより長く、約3psより長く、約5psより長く、約10psより長く、約20psより長く、約50psより長く、約100psより長く、約200psより長く、約300psより長く、約400psより長く、約500psより長く、約1nsより長い。
【0024】
実施形態において、シードレーザは、パルス幅tseedを備えたシードパルスを供給するように構成され、前記パルス幅tseedは、約1μsより短く、例えば、約500nsより短く、約200nsより短く、約100nsより短く、約50nsより短く、約20nsより短く、約10nsより短く、約1nsより短く、約500psより短く、約100psより短く、約50psより短く、約25psより短く、約20psより短く、約15psより短く、約10psより短い。
【0025】
有利には、非線形素子は、先細及び/又は非先細微細構造ファイバなどの光ファイバである。
実施形態において、中間スーパーコンティニウム光源は、PBGファイバなどのパルス圧縮器を含み、前記パルス圧縮器は、前記パルス周波数逓倍器(PFM)からパルスを受信するように、且つ時間圧縮されたパルスを前記非線形素子に出力するように構成される。有利には、中間スーパーコンティニウム光源は、非干渉光源である。
【0026】
システムは、対象に関する少なくとも1つのパラメータを測定するのに適しており、本発明のスーパーコンティニウム光源を含み、且つ前記単一モード結合ユニットの出力の少なくとも一部、例えば、前記単一モード結合ユニットの出力の全てにおける大部分、少なくとも約90%で測定対象を照明するように構成され、システムは、前記対象からの光を検出するための検出器を更に含む。
【0027】
低ノイズ中間スーパーコンティニウム光源を含む本発明のスーパーコンティニウム光源にゆえに、非常に正確な光学測定システムが達成される。
実施形態において、システムは、対象を含み、対象は、哺乳動物の眼又はその任意の部分など、人間又は動物の体の一部である。これによって、人間又は動物の体における部分の生体内及び/又は生体外測定が可能になる。
【0028】
有利には、検出器は、50/Fpumpより長い、例えば、100/Fpumpより長い、200/Fpumpより長い、500/Fpumpより長い、1000/Fpumpより長い、5000/Fpumpより長い積分時間を有する。
【0029】
実施形態において、測定システムは、白色光干渉分光法に基づいたシステム、光干渉断層撮影法(OCT)など、前記対象から反射された光を測定するように構成された反射モード測定システムである。有利には、システムは、時間領域、周波数領域、又はスイープ光源OCTに基づいている。
【0030】
実施形態において、測定システムは、加齢に関連する黄斑変性(AMD:Age-related macular degeneration)、糖尿病網膜症又は緑内障の診断に使用される。
【0031】
実施形態において、測定システムは、例えば眼の屈折状態を矯正するレーザ眼科手術(LASIK)など、眼の屈折矯正を行う治療に関連する診断に使用される。実施形態において、測定システムは、人間の眼の内部におけるボーマン層の境界を測定するために使用される。
【0032】
測定対象に関する少なくとも1つのパラメータを測定するための本発明の方法は、本発明のスーパーコンティニウム光源を提供することと、前記単一モード結合ユニットの出力の全てなど、本発明のスーパーコンティニウム光源の前記単一モード結合ユニットの出力の少なくとも一部で測定対象を照明することと、検出器によって前記対象からの光を検出することと、を含む。
【0033】
有利には、光学測定システムの高精度ゆえに、対象は、哺乳動物の眼又はその一部など、人間又は動物の体の一部である。これによって、人間又は動物の体における部分の生体内及び/又は生体外測定が可能になる。
【0034】
以下において、本発明は、シリカベースの非線形ファイバに関連して説明される。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明はまた、他の材料(例えば重合体、カルコゲニド及びフッ化物ガラスなど)に基づいたファイバ、非線形平面導波路及びガス充填中空コアファイバなど、他のタイプの非線形素子に基づいたSC光源を含む。シリカベースのファイバパラメータに対して、例えば分散及び非線形性など、材料及び/又は導光路ベースのパラメータは、それ相応に調整されなければならない。
【0035】
典型的には、SCは、上記で説明されたような非線形ファイバなどの非線形ファイバをポンピングするように構成されたパルスポンプ光源を適用することによって生成される。非線形素子における非線形プロセスは、ポンプパルスを、ファイバを出るスーパーコンティニウムに変換する。特に興味深いのは、実質的なポンプエネルギが、異常分散を示す非線形ファイバにおける波長に供給される場合である。何故なら、これは、達成可能な帯域幅を非常に拡張するからである。特に、ダドリー(Dudley)ら著、レビューズ・オブ・モダンフィジックス(Rev.Mod.Phys.)、78巻、4号、2006年によって説明されているように、スーパーコンティニウム生成は、効率的で広いスーパーコンティニウムスペクトルの生成を可能にする一連の短パルス(ソリトン)へとポンプパルスが分割されるいわゆる変調不安定性に基づいている。正常分散領域において、スーパーコンティニウム生成は、著しいスペクトル拡幅(例えば、>100nm 10dB帯域幅)を誘発するために非常に高いピーク強度を必要とする自己位相変調(SPM:self-phase modulation)によって主として引き起こされる。
【0036】
従って、実施形態において、ポンプパルス及び非線形ファイバ(即ち非線形素子)は、スーパーコンティニウムスペクトルが、主として変調不安定性(MI:modulation instability)によって誘発されたポンプパルスの分割を通して生成されるように、構成される。即ち、入力パルス電力のほとんどは、電力の実質的部分を異常領域にシフトするためにSPMを介した初期スペクトル拡幅を可能にするように、異常領域において又は十分に接近して位置する波長で開始される。好ましくは、生成されるスーパーコンティニウムスペクトルの50%超、例えば、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、100%が、MI及びMIによって生成されたソリトンを含む後続プロセスを介して生成される。非線形素子を出るどんな残留ポンプ光も、生成されたスーパーコンティニウムの一部とは見なされない。実施形態において、これらのパーセンテージは、スーパーコンティニウムの合計電力の一部として計算される。実施形態において、パーセンテージは、スーパーコンティニウムによって走査される帯域幅のパーセンテージとして計算される。
【0037】
いわゆる高非線形ファイバ(HNLF:Highly Nonlinear Fibers)の高非線形性は、一般に、ピーク強度の増加を生じさせる比較的小さな断面の結果であるが、しかしより重要なことには、これらのファイバの分散は、典型的に低く、少なくとも波長の一部に対しては異常であり、ファイバは、例えばポンプ波長で案内する。高非線形性は、長く有効な非線形相互作用長を保証する。何故なら、ピーク電力が維持され、ピーク電力が、ソリトン形成及びMI分割を支援するからである。実施形態において、ソリトン形成及びMIに誘発された分割は、非線形ファイバからの超広帯域光生成における主要なメカニズムである。自己位相変調、相互位相調整、自己急峻化、ラマン散乱などの他の非線形プロセスは、異常分散を必要としないが、同様に役割を果たす。
【0038】
ポンプパルス及び非線形素子は、ポンプパルスの中心波長が、好ましくは異常分散領域にあるように、構成されても良い。代替として、ポンプ波長は、ZDW-150nm以上、ZDW-100nm以上、ZDW-50nm以上、ZDW以上、ZDW+10nm以上、ZDW+20nm以上、ZDW+30nm以上、ZDW+50以上、ZDW+100nm以上、ZDW+150nm以上など、適度なスペクトル拡幅が(例えばSPM又はラマンシフトを介して)ポンプエネルギの実質的部分を異常領域に転送できる正常分散領域(しかし異常領域に十分に近い)にあることが可能である。実施形態において、結果として生じるスーパーコンティニウムスペクトルの形状は、ポンプ波長から正常及び異常分散間の交差部へ距離を変えることによって、大部分は制御することができる。いわゆるゼロ分散波長(ZDW:zero dispersion wavelength)である。
【0039】
用語「異常領域にシフトされた実質的なポンプエネルギ」は、パルスエネルギの30%超、例えば、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、100%が、パルスが分割される前に異常領域に入ることを意味すると理解される。
【0040】
ダドリー(Dudley)ら著、「フォトニック結晶ファイバにおけるスーパーコンティニウム生成(Supercontinuum generation in photonic crystal fiber)」、レビューズ・オブ・モダンフィジックス(Rev.Mod.Phys.)、78巻、4号、(2006年)p.1159~1162によって説明されているように、スーパーコンティニウムは、変調不安定性がポンプパルスの分割において支配的なプロセスである場合に、非干渉性である。非干渉スーパーコンティニウムは、ノイズから生じると理解することができ、従って、発生光の時間及びスペクトル安定性が、損なわれる。著者によれば、N<10のファイバにおいてソリトン次数(N)を有するポンプパルスが、干渉スーパーコンティニウムを提供するのに対して、N>30を有するポンプパルスは、非干渉スーパーコンティニウムを提供する。10≦N≦30の値は、これらの2つの状態間の遷移を提供し、スーパーコンティニウムスペクトルは、正確なポンプ及びファイバパラメータに依存して、干渉又は非干渉に生成され得る。ここで、ソリトン次数は、(式1)のように定義される。
【0041】
【数1】
ここで、ガンマは、ファイバ非線形性であり、P0は、パルスピーク電力であり、T0は、パルス幅であり、β
2は、ポンプ波長におけるファイバの群速度分散である。従って、この式は、短パルスが、より干渉的なスーパーコンティニウム及び従ってより低いノイズを規定するソリトン次数を低減することを確認する。
【0042】
干渉性は、N>16の場合に劇的に低減され得る(且つノイズは劇的に増加する)。Nの値の増加は、変調不安定性(これは、量子ノイズによって誘発されるパルス分割である)を、決定論的なソリトン分裂プロセスより速く進ませる。従って、ソリトン分裂からMIに誘発された分割までの遷移は、低ノイズ/高干渉及び高ノイズ/低干渉間の分離をマークする。フェイ・ルー(Fei Lu)ら著、「先細単一モード光ファイバにおける高スペクトル干渉性を備えた広帯域コンティニウムの生成(Generation of a broadband continuum with high spectral coherence in tapered single-mode optical fibers)」、オプティックス・エクスプレス(Optics Express)、2004年1月26日、2巻、2号、p.347-353(米国特許第7,403,688号明細書において参照され、本発明者らと一致する著者を有する)において、短い50fsパルスは、比較的低いNを提供し、ソリトン次数は、テーパリングによって更に低減され、高スペクトル干渉性及び低ノイズを提供する。「リアルタイム超高分解能光干渉断層撮影法(Super continuum generation for real time ultrahigh resolution optical coherence tomography)」、国際光学技術協会の論文集(Proc.of SPIE)、6102巻、61020H、(2006年)において、スーパーコンティニウムは、95fsポンプパルスを用いて生成され、正常領域におけるポンピングによって生成されたスペクトルだけが、適用可能な十分に低ノイズを有すると結論付けられる。上記で言及したように、かかるスペクトルは、決定論的なプロセスであるSPMによって形成され、従って低ノイズ、高干渉SCの生成を可能にする。
【0043】
実施形態において、非線形ファイバは、先細にされない。しかしながら、実施形態において、本発明は、テーパリングを介して取得可能なノイズ低減効果と組み合わされる。SC生成に適している新しいタイプの先細ファイバが、国際出願PCT/デンマーク特許出願公開第2011/050328号明細書に説明されている。
【0044】
しかしながら、前記ポンプパルスのソリトン次数が、実質的に16以上、例えば、18以上、20以上、22以上、24以上、26以上、28以上、30以上、40以上、50以上、75以上、100以上、200以上、300以上、400以上、500以上になるように実施形態において非線形ファイバ及びポンプパルスが構成されるように、本発明は、実施形態において、非干渉又は部分的に非干渉なスーパーコンティニウムの適用を可能にする。それによって、スーパーコンティニウム生成プロセスは、主として変調不安定性を介して進む。
【0045】
実施形態において、ソリトン次数は、パルスが、例えば、異常領域にシフトした後で且つ/又はファイバの先細セクションを横断した後で分割される場合に定義される。実施形態において、ソリトン次数は、ファイバへのポンプパルスの入力時に定義される。
【0046】
一般に、生成されるSCのスペクトル幅は、ポンプパルスのピーク電力に依存し、従って、より長いパルスに対して、ピーク電力は、ソリトン次数を低減するためには任意に低減され得ない。ps領域又はns領域におけるパルスなどのより長いパルスは、これらのパルスが、fsレーザと比較して、より単純なポンプレーザ構成をしばしば可能にするので、好ましいことが多い。従って、実施形態において、本発明は、パルス幅が、約0.1psより長い、例えば、約0.25psより長い、約0.5psより長い、約0.75psより長い、約1psより長い、約2psより長い、約3psより長い、約5psより長い、約10psより長い、約20psより長い、約50psより長い、約100psより長い、約200psより長い、約300psより長い、約400psより長い、約500psより長い、約1nsより長い、約10nsより長い用途など、より長いパルス幅の用途を可能にする。
【0047】
他方において、非常に長いポンプパルス及びCWから生成されたSCにおいて、ポンピングは、ノイズの増加に悩まされる。本発明は、ノイズに対する感度を低減し得るが、一方で同様にパルス幅の低減を介してノイズを低減することがまた好ましくなり得、その結果、実施形態において、シードレーザは、パルス幅tseedを備えたシードパルスを供給するように構成され、前記パルス幅tseedは、約1μsより短く、例えば、約500nsより短く、約200nsより短く、約100nsより短く、約50nsより短く、約20nsより短く、約10nより短く、約1nsより短く、約500psより短く、約100psより短く、約50psより短く、約25psより短く、約20psより短く、約15psより短く、約10psより短い。
【0048】
上記で言及した変更可能な間隔は、0.1ps~1μs、0.25ps~100ps、1ps~50psであるパルス幅など、パルス幅に対する閉じた間隔を形成するために結合されても良い。
【0049】
上記で言及したように、SCは、パルスポンプ光源を適用することによって典型的に生成される。本発明のスーパーコンティニウム光源において、ポンプパルスは、繰り返し率Fpumpで供給され、繰り返し率Fpumpにより、同じ周波数Fpumpを備えた生成スーパーコンティニウムの振幅変調を生じさせる。他方において、本発明の測定システムは、1/Fpumpより長い測定時間、即ち、その時間にわたって繰り返し率が決定されず、且つSCがCW放射として現れるように測定が統合される測定時間を典型的には適用する。その理由で、MHz領域において動作するパルスレーザは、「擬似CW」と呼ばれることが多い。しかしながら、スーパーコンティニウムのパルス特性は、光が存在する有効な測定時間を低減する。従って、実施形態において、SC光源は、Fpumpが、100MHz以上、例えば、150MHz以上、200MHz以上、300MHz以上、400MHz以上、500MHz以上、600MHz以上、700MHz以上、800MHz以上、1GHz以上であるように、高い繰り返し率を適用する。
【0050】
以下で更に説明されるように、ポンプレーザシステムは、シードレーザとも呼ばれる主レーザ発振器から典型的にはなり、主レーザ発振器には、シードレーザからのパルス電力レベルを押し上げる1つ又は複数の任意選択の光増幅器が後続する。即ち、ポンプレーザは、MOPA構成を含んでも良い。シードレーザのタイプ次第で、かかる高い繰り返し率を提供することは、実際的でも可能でもない場合がある。実施形態において、ポンプレーザ(ポンプレーザシステムとも呼ばれる)は、Fpumpより低いパルス周波数Fseedを備えたシードパルスを供給するように構成されたシードレーザと、FseedをFpumpに変換するように構成された1つ又は複数のパルス周波数逓倍器(PFM)と、を含む。
【0051】
好ましくは、本発明のスーパーコンティニウム光源のパルス周波数逓倍器は、シードパルスの少なくとも1つのビームを多くのサブビームに分割するスプリッタと、サブビームの少なくとも幾つかを再結合するように構成された第1の結合器と、を含み、好ましくは、パルス周波数逓倍器は、サブビームの少なくとも1つを調整するように構成された調整可能な減衰器を更に含む。
【0052】
ビームは、本明細書においてパルス列を意味する。
スプリッタは、どんな種類のスプリッタでも良い。かかるスプリッタは、当該技術分野において周知である。
【0053】
実施形態において、パルス周波数逓倍器は、少なくとも1つのサブビームを受信するように構成された調整可能な減衰器を含む。好ましくは、調整可能な減衰器は、平均サブビーム電力を超える電力を備えた少なくとも1つのサブビームを受信するように構成され、パルス周波数逓倍器は、任意選択的に、複数の調整可能な減衰器を含み、好ましくは各減衰器は、選択されたピーク電力範囲内のパルスを有する少なくとも1つのサブビームを受信するように構成される。有利には、ノイズを著しく低減するために、調整可能な減衰器は、第1の結合器において結合されたサブビームのパルスが実質的に同一のピーク電力値を有するように、少なくとも1つのサブビームのパルスを受信し、それを少なくとも1つの他のサブビームにおけるパルスのピーク電力値に対応するピーク電力値へ調整するように構成される。
【0054】
実施形態において、パルス周波数逓倍器は、サブビームの少なくとも1つを時間遅延させるように構成される。時間遅延は、例えば、スプリッタから第2のサブビームの結合器への第2の経路より短い、スプリッタから一サブビームの結合器への経路を最初に配置することによって、提供することができる。好ましくは、パルス周波数逓倍器は、第1の結合器において再結合されるサブビームのパルスが、好ましくは実質的に均一な間隔で離間されるように、少なくとも1つのサブビームを時間遅延させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1a】本発明に適した概略的な中間スーパーコンティニウム光源を示す。
【
図1b】約460nmであるλ
2から約2400nmであるλ
1にわたるスーパーコンティニウムスペクトル(10)の例を示す。
【
図2a】本発明による中間スーパーコンティニウム光源のパルス周波数変調器(PFM)の例を示す。
【
図2b】本発明による中間スーパーコンティニウム光源のパルス周波数変調器(PFM)の例を示す。
【
図3a】
図1のSC光源など、SC光源のスペクトルにおける強度ノイズを測定するのに適した測定セットアップを示す。
【
図3b】中間スーパーコンティニウム光源100からのスーパーコンティニウムスペクトル出力例と同様に、単一モード結合ユニット300からのスペクトル出力例をそれぞれ示す。
【
図3c】単一モード結合ユニットからの例示的なスペクトル出力を示す。
【
図3d】単一モード結合ユニットからの例示的なスペクトル出力を示す。
【
図3e】単一モード結合ユニットからの例示的なスペクトル出力を示す。
【
図4a】分光計ノイズに対する補償前及び後の中間スーパーコンティニウム光源の平均強度ノイズを示す。
【
図4b】分光計ノイズに対する補償前及び後の中間スーパーコンティニウム光源の平均強度ノイズを示す。
【
図5】光源としてSC光源を用いるOCTシステムとして例示された光学測定システムを示す。
【
図6】ダイクロイックミラーであるダイクロイック素子、プリズムである分散素子、及びスペクトルを成形するように構成された単一モードファイバを含む単一モード結合ユニットの例を示す。
【
図7】単一モードファイバであるダイクロイック素子、減衰及び/又は成形光学素子、並びに第2の単一モードファイバを含む単一モード結合ユニットの例を示す。
【
図8a】光パワーを減衰する方法の3つの例を示す。
【
図8b】光パワーを減衰する方法の3つの例を示す。
【
図8c】光パワーを減衰する方法の3つの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1aは、本発明によるスーパーコンティニウム光源に含まれる好ましい中間スーパーコンティニウム光源100の構成を示す。主発振器(又はシードレーザ)は、ビーム経路106に沿って出力を供給する。コンポーネントは、好ましくはファイバ結合されるが、しかしまた自由空間光学系を介して結合されても良い。中間スーパーコンティニウム光源100は、2つの電力増幅器(PA1及びPA2)102及び104を含む。上記で言及したように、これらの増幅器は、任意選択であるが、しかしシードレーザ101からの出力と比較して、パルスエネルギ及びピーク電力の増加をもたらす。シードレーザ101、PA1 102及びPA4 104は、ダイオードレーザによってそれぞれポンピングされるが、しかしながら代替として電力源などの他のポンプ源を用いることが可能である。任意選択の調整器105は、中間スーパーコンティニウム光源がフィードバックシステムを含み得ることを示すために、含まれる。この実施形態において、フィードバックループが、出力108の一部を測定する、且つビームに関連する1つ又は複数のパラメータを、非線形素子107への入力を調整する決定点114に供給するフォトダイオード109によって、形成される。かかる調整器は、例として、非線形素子107に入る光パワーを調整するように構成された調整可能な減衰器によって形成されても良い。同時係属中の米国特許出願12/865,503号明細書(これによって援用される)は、調整器105及びフォトダイオード109の代替構成、調整器の様々な実施形態、フォトダイオードへのビーム集中、及びポンプ源110~112の1つ又は複数にフィードバック応答を適用する可能性など、SC光源におけるフィードバックループの様々な実施形態(例えば
図1及び請求項を参照)を論じている。
【0057】
PFM103は、第1の増幅器の前に、増幅器間に、及び非線形ファイバの前に配置されても良い。実施形態において、パルス列は、増幅器からのパルスのピーク電力が、それらの入力電力にかかわらず一定であるように、増幅器(PA1及び/又はPA2)を飽和させる。
図1において、PFMは、2つの電力増幅器(この場合にはPA1及びPA2)間に配置される。これは、好ましくなり得る。何故なら、ほとんどの場合に、PFAは、シードレーザからの光パワーをより多数のパルスに再分配し、且つシードレーザの出力パルスが比較的弱い場合に、パルス列が後続の増幅器において効率的に増幅されるためには低すぎる平均電力を備えたパルス列をPFAが生成する可能性があるように、著しい挿入損失を有し得るからである。この理由で、実施形態において、2つの増幅器間など、1つ又は複数の増幅器の後にPFMを配置することが好ましい。他方において、1つ又は複数の増幅器の後にPFMを配置することは、かかる挿入損失ゆえに、名目上の電力損失を増加させる。この理由で、実施形態において、2つの増幅器間など、1つ又は複数の増幅器の前にPFMを配置することが好ましい。このことはまた、1つ又は複数の電力増幅器(又はシステムにおける他のコンポーネント)を通過するパルスのピーク電力を低減する効果があり得、それにより、今度は、ポンプレーザシステムにおける非線形性の低減など、1つ又は複数の利益を有し得る。かかる非線形性は、非線形素子へのピーク電力レベルの低減に帰着し得る、パルスを拡幅する効果を有することが多く、それにより、今度は、生成されるスーパーコンティニウムのスペクトル幅を低減し得る。実施形態において、光増幅器、減衰器、圧縮器又はフィルタなどの光学コンポーネントによって分離された複数のPFMなど、複数のPFMが適用される。
【0058】
実施形態において、測定対象(試料とも呼ばれる)を照明する許容可能な平均光パワーには上限が存在する。かかる用途の例は、対象が或る閾値を超える光パワー(平均電力及び/又はピーク電力)に敏感な(ほとんどの生体試料にとって事実であろう)、且つ特に網膜などの哺乳動物の眼の一部のための用途を含む。対象が眼科の哺乳動物の眼である用途の例は、網膜又は角膜を撮像するOCT及び網膜又は角膜の多光子蛍光顕微鏡検査を用いた撮像を含む。
【0059】
実施形態において、SC光源又はそのサブセクションの出力は、レーザ標準クラス1、1M、2、2M、3R、3Bの1つ又は複数に一致しなければならない。実施形態において、SC光源の出力電力は、SC光源自体が、100%以上高い、200%以上高い、400%以上高い、800%以上高いなど、上記で引用されたクラスより高い出力AEL(許容可能な放射レベル)を有しても良いように、低減される。
【0060】
実施形態において、パルス幅によってもたらされる比較的低いノイズが望ましく、その結果、1ps~20ps、好ましくは2ps~20psの範囲におけるパルス幅など、0.5ps~30psの範囲におけるパルス幅が好ましい。実施形態において、SC光源からの平均光パワーが、psパルス幅当たり5ワット出力未満、例えば、psパルス幅当たり3ワット出力未満、psパルス幅当たり2ワット未満、psパルス幅当たり1ワット未満であるために、本システムに関する平均光パワーの増加は望ましくない。一実施形態において、可視領域(400nm~850nm)における合計平均光パワーは、100mW未満、例えば、50mW未満、30mW未満、20mW未満であるように構成される。他のところで言及されているように、SC光源からの出力後における平均電力の低減は、電力を低減するために必要とされる光学コンポーネントがスペクトルを変更するので、不適切に複雑又は不可能になることが多い。
【0061】
以前に上記で言及したように、実施形態において、生成されるSCのスペクトル幅は、ピーク電力の更なる増加がスペクトル幅を増加させない少なくとも或る飽和レベルまで、パルスのピーク電力に依存する。また、ポンプ光からSC光への変換効率は、ピーク電力に依存し、このことは、固定パルス幅用に、ピーク電力(及び対応する平均電力)が、全く低減され得ないことを意味する。或る値未満では、生成されたスペクトルの所望のスペクトル幅は損なわれ、結局、貧弱な変換効率により、多すぎる未変換のポンプ光がファイバを通り過ぎ、このことは、観察下の試料を損なう可能性がある。従って、実施形態において、最小のピーク電力の結果、PFMの挿入は、PFMが省略される構成に対して、平均光出力パワーの増加を引き起こす。このことは、ポンプパルスの繰り返し率が増加される一方でピーク電力とパルス幅が一定であるので生じる。実施形態において、光パワーは、非線形素子の前の最後の電力増幅器に供給されるポンプエネルギを調整することによって低減されるが、しかしこのことは、言及したように、結果としてのスペクトル幅を損なう可能性がある。
【0062】
実施形態において、平均光パワーの低減は、ビーム経路から離れたビームの減衰又はビームの一部を分割することなど、非線形素子後に減衰を導入することによって実行されても良い。試料に導かれる生成されたスペクトルの調整可能な部分を必要とする用途は、かかる機能を実行するためにAOTFを適用しても良い。実施形態において、AOTFは、試料に導かれる平均光パワー量を低減するように制御されても良い。例えば、OCT撮像システムにおいてなど、広帯域照明を必要とする用途のために、スペクトル形状を乱すことなくビームに光学コンポーネントを適用すること及び/又は前記光学素子を損傷することは、より困難になり得る。実施形態において、ポンプレーザシステムは、ポンプパルスを圧縮するように、且つ従ってピーク電力を増加させるように構成された、PBGファイバ(中空又はソリッドコア)などのパルス圧縮器を含む。PBGファイバのこの使用は、PCT出願の国際公開第2005041367号パンフレットで論じられた。実施形態において、個別パルスのピーク電力を増加させることによって、パルス圧縮器の使用は、生成されるスペクトルのスペクトル特性を維持しながら、より低い平均光パワーの使用を可能にする。
【0063】
原則として、本発明の中間スーパーコンティニウム光源のPFMは、或る繰り返し率でパルス列を受信するのに適した任意の光学コンポーネントであり、この入力を、より高い繰り返し率を備えたパルス列に変換しても良い。実施形態において、入力及び出力パルスは、実質的に同じパルス幅及び波長を有する。実施形態において、PFMは、入力におけるパルス列を、再結合される前に異なる遅延(光路長)をそれぞれ経験する複数のサブパルス列に分割することによって機能する。相対的な遅延は、再結合される場合にサブパルス列の時間的なシフトを引き起こし、その結果、結合されたパルス列は、入力より多いパルス数を含む。例えば、入力パルス列は、一方のパルス列が他方に対して遅延される2つのサブパルス列(又はサブビーム)に分割されても良い。そのとき、結合された列の繰り返し率は、2倍になる。好ましくは、ビーム間の相対的なシフトは、入力パルス列における2つのパルス間の間隔の半分に対応する。実施形態において、この原則は、互いに対してそれぞれ遅延され再結合される、2つ、3つ又は4つのサブビームなどの2つを超えるサブビームに入力ビームが最初に分割されるように、拡張される。光スプリッタ(又は結合器)が、対称的な方法で機能することが周知である。幾つかの光ビームの結合により、同じ量の出力ビームが生じる。実施形態において、単一の出力だけが、使用され/利用可能であるのに対して、他の出力用に指定された光パワーは、光学システムにおいて失われる。従って、実施形態において、以下で
図2bに関連して説明されるように、結合器/スプリッタをカスケードすることが有利である。
【0064】
実施形態において、本発明は、ビームをサブビームに分割するスプリッタと、サブビームを受信するように構成された任意選択の調整可能な減衰器と、サブビームを結合するように構成された第1の結合器と、を含むPFMに関する。このように、調整可能な減衰器は、結合ばらつきと同様に、スプリッタ及び/又は結合器における製造ばらつきを補償するように調整されても良く、その結果、均一なピーク電力を備えたパルスの結果としてのパルス列が生成され得る。実施形態において、ピーク振幅の正確な調整は、必要とされず、再結合されたサブビームのピーク電力間の実質的な差は、許容可能である。
【0065】
実施形態において、1つ又は複数のスプリッタ及び結合器は、不均一な分割比(
【0066】
【数2】
などであり、ここでxはパーセンテージであり、例えば45/55、40/60、35/65又は30/70である)を有するように構成され、前記減衰器は、最も強力なサブビーム(又はビームの結合において、より大きく寄与するサブビーム)を受信するように構成され、これにより、サブビームが結合される場合に、より強力なサブビームが、他のサブビームと等しい電力レベルを供給するように減衰され得ることを保証し得る。それによって、ノイズは、サブビームが異なる電力レベルを有する状況と比較して、著しく低減される。
【0067】
実施形態において、PFMは、別個のサブビームを受信するようにそれぞれ構成された複数の減衰器を含む。実施形態において、スプリッタは、ビームを2つのサブビームに分割する。実施形態において、スプリッタは、2を超える、例えば、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上のサブビームにビームを分割する。実施形態において、第1の結合器は、結合されたビームを第2のサブビームに分割するスプリッタとして更に働き、第2のサブビームには第2の結合器が続く。実施形態において、PFMは、前記第2のサブビームの1つを受信するように構成された調整可能な減衰器を含む。この減衰器は、第1の結合器及び第2の結合器における変動と同様に、結合損失及び他の変動を調整するように適用されても良い。実施形態において、第2の結合器は、不均一な分割比(及び従ってまた入力ビームの不均一な結合)を有するように構成され、前記調整可能な減衰器からの出力は、より大きな部分を出力に供給するように構成される。再び、第2の結合器は、パルス間の均一な電力を備えたパルス列が、PFMによって供給され得ることを保証し得る。
【0068】
実施形態において、PFMは、バルクビームスプリッタなどの自由空間光学系によって形成される。実施形態において、PFMは、システムのコスト及び堅牢性に関して好ましいことが多い光ファイバスプリッタ及び/又は結合器によって形成される。
【0069】
図1bは、約460nmであるλ
2から約2400nmであるλ
1にわたるスーパーコンティニウムスペクトル(10)の例を示す。スペクトルは、NKTフォトニックスA/S(NKT Photonics A/S)の製品スーパーK EXW-12(SuperK EXW-12)から得られる。
【0070】
図2a及び2bは、本発明による中間スーパーコンティニウム光源のパルス周波数変調器(PFM)の例を示す。
図2aは、PFM200の実施形態を示す。入力ビーム(自由空間、又はファイバを介して)は、入力201においてPFMに入る。スプリッタ214は、1×2スプリッタとして例示されているが、任意の1×Nスプリッタ、又はM×Nスプリッタでさえあっても良い。M×Nスプリッタ用に、複数の入力が結合されても良く、又は代替として、Mの利用可能な入力のうちの1つの入力だけが用いられる。第1のスプリッタ214は、入力ビームを分割比x
1/(1-x
1)で2つのサブビーム202、203に分割する。上記で論じられたように、実施形態において、x
1及び(1-x
1)の大きいほうが、調整可能な減衰器204に送信される。実施形態において、減衰器は省略され、その場合に、出力207におけるパルス列のピーク電力の変動が最小化され得るように、x
1が約0.5(即ち50%)であることが好ましい。サブビーム202は、遅延線205に供給され、遅延線205は、入力ビーム201における2つのパルス間における期間の半分だけサブビーム202を遅延させるように構成されるのが好ましい。実施形態において、遅延線は、入力ビームの繰り返し率における変動を吸収するように調整可能である。実施形態において、出力ビームにおけるパルスの均一な間隔からの小さな偏差(例えば75%未満など、50%未満など、25%未満など、15%未満など、10%未満など、5%未満など、1%未満など)は、遅延線が固定されるために許容することができる。サブビーム202、203は、出力207を供給する結合器206において結合される。結合器206は、x
2/(1-x
2)の分割比を有する。実施形態において、スプリッタ214又は結合器のいずれかが、不均一な分割比を有するように、即ちx
1又はx
2が50%から逸脱するように構成され、この方法で、減衰器204は、ビーム202及び204が等しく寄与するように調整されても良く、その結果、2つのパルスに分割される入力におけるパルスは、出力において実質的に同じピーク電力を有するように再結合され、この場合に「実質的」は、通常の許容誤差内にあるものを含むことを意味する。PFMの効果は、入力ビームのパルス周波数の倍増である。結合器206は、出力208を更に有し、出力208は、物理的に利用可能な実出力であってもなくても良い。しかしながら、(カップリング及び減衰器におけるような)他の光損失が無視される場合に、ピーク電力が入力ピーク電力の約25%に低減されるように、結合器が、ビームスプリッタ/結合器の固有の対称性ゆえの挿入損失を導入することを示すために、出力208は含まれる。実施形態において、出力208のビームは、ビームを監視し、且つ減衰器204を調整するために適用される。
【0071】
図2bは、
図2aのPFMだが、しかしPFMがパルス周波数の4倍化をもたらすために第2の結合器213を含むPFMを示す。原則として、4倍化はまた、スプリッタ214を1×4に、結合器206を4×1結合器に拡張することによって、取得することが可能である。しかしながら、この場合に、結合器は、第2の結合器213によって課される約50%の損失に対して、ビームスプリッタの対称性ゆえに約75%の挿入損失を課することになろう。第1の遅延線は、201における入力期間の半分に調整されるのが好ましく、第1の遅延線は、結合器206における結合後にパルス繰り返し数を倍増させ、第2の遅延線212は、その半分、即ち201における入力期間の4分の1の遅延を提供するように配置されるのが好ましい。分割比x
2/(1-x
2)は、実施形態において、等しくなるように設定され、x
1及びx
3は、減衰器204が、
図2aに関連して説明されているような機能を実行可能で、且つ減衰器211が、結合器213における結合と同様に、206の分割における変動を補償する類似の機能を実行し得るように、不均一に構成される。対称的分割ゆえの挿入損失を増加させずに、結合器を追加しPFMを更に拡張することによって、更なる倍増が得られ得ることが注目に値する。
【0072】
図3aは、本発明のSC光源1000が、測定対象ではなく分光計を照明するように構成される測定セットアップを示す。
図3aは、本発明のスーパーコンティニウム光源1000が、中間スーパーコンティニウム光源100及び単一モード結合ユニット300を含むことを示す。SC光源1000からの出力は、単一モード結合ユニット300からの出力である。中間SC光源100の出力は、非線形素子107(
図3aには図示せず)からの出力である。中間SC光源100からのこの出力は、単一モード結合ユニット300への入力部に結合される。中間SC光源100の出力は、少なくともほぼ、中間スーパーコンティニウム光源(
図1aの100)の非線形素子(
図1aの107、
図3aには図示せず)からの出力である。単一モード結合ユニット300は、用途の要件に従って、スペクトルを減衰及び/又は成形する形での適合を含む。一実施形態において、SM結合ユニット300は、同時係属中のPCT出願PCT/デンマーク特許出願公開第2011/050475号明細書(これによって援用される)における実施形態の1つを含む。特に、
図5a、6、7、8~10、13~15及び17~19に関する実施形態及びそれらの変形と同様に、アイテム及び/又は請求項のいずれか1つを参照されたい。
【0073】
図3bは、中間スーパーコンティニウム光源100からのスーパーコンティニウムスペクトル出力例(スペクトル10)と同様に、単一モード結合ユニット300からのスペクトル出力例(スペクトル12)をそれぞれ示す。この例において、単一モード結合ユニット後のスペクトルは、ガウス分布を有し、約650nmであるλ
4から約950nmであるλ
3にわたる。従って、
図3bは、単一モード結合ユニット後のスペクトル形状が、中間スーパーコンティニウム光源からの同じ波長領域におけるスペクトル形状とは異なることを示す。
【0074】
図3c、3d及び3eは、単一モード結合ユニット300からのスペクトル出力例、即ち、ガウシアン(
図3c)、フラットトップ(
図3d)、及び二重ピーク分布(
図3e)であるスペクトル形状をそれぞれ示す。二重ピーク分布は、光源からの出力が、対象を照明する前に伝達関数のようにガウス性を備えた光学素子(例えば光学レンズのような)を通して送られる場合には有利であり得、且つフラットトップ分布で対象を照明することは、有利である。
【0075】
一実施形態において、単一モード結合ユニット後のスペクトル形状は、ガウシアン、フラットトップ、又は二重ピーク分布など、中間スーパーコンティニウム光源からの同じ波長領域におけるスペクトルとは異なる。
図4a及び4bは、
図3aによるセットアップからの測定結果を示す。中間SC光源は、
図1に従って構成された。
【0076】
図4aは、400~850nmのスーパーコンティニウム光源の電力の関数として、バスラースプリントSPL4096-70km(Basler Sprint SPL4096-70km)カメラを備えたワサッチコブラ(Wasatch Cobra)UD分光計(310)を用いて、790~870nmで測定された中間スーパーコンティニウム光源100(
図1を参照)の平均強度ノイズを示す。
図4aは、分光計ノイズの補償後の平均強度ノイズを示し、一方で
図4bは、分光計ノイズの補償前の平均強度ノイズを示す。
図4aは、80MHz(曲線401)、160MHz(曲線402)及び320MHz(曲線403)である3つの異なるポンプパルス周波数(F
pump)用の測定値を含む。ポンプパルス周波数が増加すると、ノイズが減少することが分かる。強度ノイズは、分光計によって追加されるノイズに対して補償される。
【0077】
図4bは、分光計からのノイズの補償前の、
図4aからの強度ノイズデータを示す。
図4bは、80MHz(曲線411)、160MHz(曲線412)及び320MHz(曲線413)である3つの異なるポンプパルス周波数(F
pump)用の測定値を含む。再び、ポンプパルス周波数が増加すると、ノイズが減少することが分かる。
【0078】
MO101は、約1060nmの中心波長及び約6psのパルス幅を有する出力を備えたモードロックYbファイバレーザである。レーザは、SESAMを介して受動的にモードロックされ、80MHzの繰り返し率を備えたパルスを供給する。このレーザタイプは、シーディング(seeding)に良く適している。何故なら、全ファイバ構成が、堅牢でバルク光学セットアップの割に製造が比較的単純なレーザを提供するからである。最大繰り返し率は、どれほど短くキャビティを製造できるか及びSESAMの応答特性によって決定される。実際上、これらの制限は、約100MHzの繰り返し率に実際的な上限を課することが多い。実施形態において、他の利得媒体が、他の出力波長を提供するために適用されても良く、パルス幅及び繰り返し率はまた、他のところで論じられる制限内で変更されても良い。
【0079】
実施形態において、シードレーザ(seed laser)は、SESAMを介するモードロックのようなモードロックファイバレーザ(mode-locked fiber laser)などのファイバレーザである。利得媒体は、例えばYbドープファイバ、Erドープファイバ及びEr/Ybドープファイバなど、任意の適切なレーザ利得によって形成されても良い。シードレーザは、例えば線形キャビティレーザ又はリングレーザであっても良い。
【0080】
非線形媒体107は、コアがパターンにおける欠けた穴(missing hole)によって形成されるように構成された穴の六角形パターン(hexagonal pattern of hole)によって囲まれたシリカコア(silica core)によって形成される微細構造PCFファイバである。ファイバは、実質的なポンプエネルギがファイバの異常領域において供給されるために、ファイバのZDWがポンプ波長に比較的近いように構成される。
【0081】
図1におけるように、光ファイバ増幅器セット102、104が、任意選択のPFMのまわりに配置される。PFMなしでは、ポンプシステムは、80MHzにおいて約10W、8~10psでファイバをポンピングする。
図2aに従って、PFMを挿入することによって、繰り返し率は、160MHzに増加され、
図2bに従ってPFMを挿入することによって、繰り返し率は、320MHzに4倍化される。
図4a及び4bは、4096の画素を備えた790~870nmのスペクトル領域、即ち約0.02nm/画素を測定するように構成されたバスラースプリントSPL4096-70km(Basler Sprint SPL4096-70km)カメラを備えたワサッチコブラ(Wasatch Cobra)UD分光計を用いて取得された実験結果を示す。12.9μsの測定時間が適用され、各画素で測定された電力の変動が記録された。1μs~1ms以上などの長い測定時間及び短い測定時間が可能である。リアルタイム撮像がしばしば要求されるフーリエ領域OCT(
図4bを参照)用など、短い測定時間が望ましいことが多い。
図4において、790~870nmのスペクトル領域における画素当たりの平均相対標準偏差は、スペクトルの可視部分の関数として測定される。標準偏差及び従って強度ノイズが、ポンプパルスの繰り返し率が2倍にされるにつれて、且つ更にポンプパルスの繰り返し率が可視領域における平均電力の等量に対して4倍にされる場合に、著しく低下することが観察される。可視領域の電力量は、ポンプエネルギが、ポンプパルスのピーク電力及びポンプ電力の総量(平均電力)に依存する可視光にどれくらい効果的に変換されるかに依存する。
図4aにおいて、分光計からの推定ノイズ寄与が減算されたのに対して、このことは、
図4bに含まれる。
【0082】
図5は、光源としてSC光源を用いるOCTシステムとして例示された光学測定システムを示す。
図5に示されているシステムは、本発明によるフーリエ領域OCT(FD-OCT)システムであり、従って、フーリエ領域OCTシステムでは、SC光源1000が、本発明による光学測定システムに適している光源として適用される。一側において検出の役を務める光源及び分光計(310)に結合された2×2 50/50方向スプリッタ/結合器(501)、並びに他側におけるレンズ(502)、測定対象(503)及び基準反射器(504)が、OCTシステムの干渉計コアを構成する。ライン走査(試料の深さプロファイル)が、分光計の測定によって実行され、その場合に、測定深さは、スペクトル分解能によって決定され、試料における空間分解能は、測定のスペクトル幅によって決定される。試料における反射率の2D又は3D深さプロファイルを提供するために、ビームが対象上で走査されることが多い。OCTは、本発明の態様から全て利益を得られると予想される、システム構成における多数の変動を含む広範囲な分野であることが多い。出力スペクトルは、例えば広範で調整可能なスペクトルを提供するように構成された
図16と同様に、PCT/デンマーク特許出願公開第2011/050475号明細書における
図5a(単一バンドガウススペクトル)及び
図6(デュアルバンドガウススペクトル)に関連して論じられた実施形態など、一実施形態においてSM結合ユニットがSC光源からのスペクトルをガウススペクトルに成形するように構成されるように、ガウシアンである。一実施形態において、SM結合ユニットは、ガウススペクトルを供給するように構成されたフィルタを含む。50/50結合器は、広いスペクトルを扱うように構成されるべきであり、且つ典型的には、溶融ファイバ結合器又はバルク光学結合器のいずれかである。
【0083】
図6は、ダイクロイックミラーであるダイクロイック素子、プリズムである分散素子、及びスペクトルを成形するように構成された単一モードファイバを含む単一モード結合ユニット300の例を示す。従って、
図6は、単一モード結合ユニット300を構成する方法の例を示す。中間スーパーコンティニウム光源100の出力は、ダイクロイック素子60及び分散素子61へ導かれる。ミラー及び/又は角度分散素子が、電子制御部6に接続され、電子制御部6は、これらの2つの素子間のローテーションを可能にする。システムはまた、調整可能な減衰フィルタ62及び/又は調整可能な空間フィルタ63を任意選択的に含んでも良い。光は、レンズ系64によってコリメートされ、ファイバ65によって集光され、それによってファイバ65は、スペクトルを成形する。システムは、広帯域スプリッタ66を任意選択的に含んでも良く、広帯域スプリッタ66は、光の一部を出力部67に送り、光の別の一部を検出システム68に送る。前記検出システムは、電子制御システム6に接続され、電子制御システム6は、出力電力を安定させるために、スーパーコンティニウム光源100及び/又はダイクロイック素子500に再び接続される。一実施形態において、分散素子は、プリズムである。一実施形態において、ファイバ65は、ステップインデックスファイバ(step- index fiber)又は微細構造ファイバなどの単一モードファイバである。一実施形態において、コリメートレンズ系64は、複数のレンズを含む。
【0084】
図7は、単一モードファイバ60であるダイクロイック素子、減衰及び/又は成形光学素子70、並びに第2の単一モードファイバ65を含む単一モード結合ユニット300の例を示す。
【0085】
一実施形態において、第1の単一モードファイバ60は、或る閾値波長λ6より上で高損失を有し、従ってスペクトルフィルタとして働く。一実施形態において、減衰及び/又は成形光学素子は、プリズムと、光学ローパス、光学ハイパス及び光学バンドパスフィルタと、ニュートラルデンシティフィルタ(neutral density filter)と、のリストから選択される。
【0086】
図8a~8cは、本発明のスーパーコンティニウム光源における光パワーを減衰させる方法の3つの例を示す。
図8a~8cのそれぞれにおいて、スーパーコンティニウム光源は、参照番号1000によって示され、一方で中間スーパーコンティニウム光源は、参照番号100によって示され、単一モード結合ユニットは、参照番号300によって示されている。
【0087】
図8aにおいて、単一モード結合ユニット300は、減衰及び成形ユニット81を含み、減衰及び成形ユニット81の出力部におけるモードフィールド直径(mode field diameter)は、第2の単一モードファイバ82のモードフィールド直径とは異なる。従って、
図8aは、単一モード結合ユニット300の減衰及び成形ユニット81の出力部におけるモードフィールド直径の不一致を示す。
【0088】
図8bにおいて、単一モード結合ユニット300は、成形素子60及び減衰素子84の形をした減衰及び成形ユニットを含む。
図8cは、単一モード結合ユニット300における減衰が、中間スーパーコンティニウム光源100と単一モード結合ユニット300の入力部との間の大きな損失86を備えた光学スプライスを有することによって得られる例を示す。
【0089】
用語「含む」は、本明細書で用いられた場合に、オープンな用語として解釈されることになっていることが、強調されるべきである。即ち、それは、素子、ユニット、整数、ステップ、コンポーネント及びそれらの組み合わせなど、特に言明された特徴の存在を特定するように理解されるべきであるが、しかし1つ又は複数の他の言明された特徴の存在や追加を排除しない。
【0090】
更に、用語「実質的に」は、通常の許容誤差内にあるものを含むことを意味する。
領域及び好ましい領域を含む本発明の全ての特徴は、かかる特徴を結合しない特定の理由がなければ、本発明の範囲内において様々な方法で結合することができる。