(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20240903BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240903BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20240903BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B13/18
G02B17/08
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2023204288
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】202310623523.0
(32)【優先日】2023-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520357958
【氏名又は名称】ジョウシュウシ エーエーシー レイテック オプトロニクス カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】姜思遠
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0269368(US,A1)
【文献】特開2023-086613(JP,A)
【文献】特開2023-064611(JP,A)
【文献】特開2022-185302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系であって、前側から後側に向かって順に、映像面、第1レンズ及び絞り
から構成され、
前記映像面の後側に円偏光子が貼り付けられ、前記映像面は光を発射することに用いられ、
前記第1レンズは、その前側表面に部分反射素子が設けられ、その後側表面に複合フィルムが設けられ、前記複合フィルムが反射型偏光フィルムと1/4波長板とを備え、前記反射型偏光フィルムが前記1/4波長板の後側に設けられ、
前記第1レンズの後側表面が平面であり、
前記絞りが前記光学系の後側に位置し、
前記光学系の最大可視径をVDと定義し、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxと定義し、前記第1レンズの前側表面から前記映像面までの軸上距離をd4と定義し、前記第1レンズの後側表面から前記映像面までの軸上距離をTTLと定義したときに、VD≧6mm、SDmax≦21.2mm、0.71≦d4/TTL≦0.85という関係式を満たす、
ことを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記第1レンズの前側表面が非球面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記光学系の画角をFOVと定義したときに、90°≦FOV≦110°という関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記部分反射素子が半透過半反射型フィルムであり、その透過率と反射率がいずれも40%~60%であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記反射型偏光フィルムの反射率が95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記光学系の光学全長をTTLと定義したときに、TTL≦24mmという関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記光学系の光学全長をTTLと定義し、前記光学系の焦点距離をfと定義したときに、TTL/f≦1.00という関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学系の光学歪曲収差をDISTと定義したときに、DIST≦35%という関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記光学系の色収差をLCと定義したときに、LC≦120μmという関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記映像面がディスプレイであり、サイズが2.0~2.3インチであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニアアイディスプレイ技術分野に関し、特に光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートヘッドマウントデバイスに関する技術が急速に発展するにつれて、光学レンズを搭載した電子機器の応用がより広くなり、光学レンズに対する要求もより多様化し、仮想現実、拡張現実および混合現実などの分野における応用が急速に成長し、ユーザー体験から、小型で優れた結像方式を兼ね備えた光学系に対する需要が非常に差し迫っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題に対して、本発明は、優れた光学性能を備えるとともに、小型で軽量な設計要求を満たす光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術課題を解決するため、本発明の光学系は、前側から後側に向かって順に、映像面と、第1レンズと、絞りとを備え、前記映像面の後側に光を発射するための円偏光子が貼り付けられ、前記第1レンズの前側表面に部分反射素子が設けられ、その後側表面に複合フィルムが設けられ、前記複合フィルムが反射型偏光フィルムと1/4波長板とを備え、前記反射型偏光フィルムが前記1/4波長板の後側に設けられ、前記絞りが前記光学系の後側に位置し、前記光学系の最大可視径がVDであり、前記光学系における各レンズの最大有効半径がSDmaxであり、前記第1レンズの前側表面から前記映像面までの軸上距離がd4であり、前記第1レンズの後側表面から前記像面までの軸上距離がTTLであり、且つ、VD≧6mm、SDmax≦21.2mm、0.71≦d4/TTL≦0.85という関係式を満たす光学系を提供する。
【0005】
好ましくは、前記第1レンズの前側表面が非球面である。
【0006】
好ましくは、前記第1レンズの後側表面が平面である。
【0007】
好ましくは、前記光学系の画角がFOVであり、90°≦FOV≦110°を満たす。
【0008】
好ましくは、前記部分反射素子が半透過半反射型フィルムであり、その透過率と反射率がいずれも40%~60%である。
【0009】
好ましくは、前記反射型偏光フィルムの反射率が95%以上である。
【0010】
好ましくは、前記光学系の光学全長がTTLであり、TTL≦24mmを満たす。
【0011】
好ましくは、前記光学系の光学全長がTTLであり、前記光学系の焦点距離がfであり、TTL/f≦1.00を満たす。
【0012】
好ましくは、前記光学系の光学歪曲収差がDISTであり、DIST≦35%を満たす。
【0013】
好ましくは、前記光学系の色収差がLCであり、LC≦120μmを満たす。
【0014】
好ましくは、前記映像面がディスプレイであり、サイズが2.0~2.3インチである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は、第1レンズの前側表面に部分反射素子を設け、第1レンズの後側表面に反射型偏光フィルムと1/4波長板を含んだ複合フィルムを設けることにより、光路折りたたみ構造を実現し、レンズの半径を制御し、光学系の体積を減らすとともに、最大可視径が6mm以上であるため、ユーザーが煩雑な調整をすることなく最適な表示効果を得ることができ、小型と高結像性能を両立させていることにある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術考案をより明確に説明し、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面の説明が、本発明のいくつかの実施例のみを説明するためのものであり、当業者にとっては、創造的な努力を払わなくて、これらの図面からほかの図面も得られる。
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学系の構造を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す光学系の倍率色収差を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す光学系の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すフィルム層を含む光学系の構造を示す図である。
【
図6】
図5は、本発明の第2実施形態に係る光学系の構造を示す図である。
【
図8】
図8は、
図6に示す光学系の倍率色収差を示す図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す光学系の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第3実施形態に係る光学系の構造を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の第4実施形態に係る光学系の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術方案及び利点をより明確にするために、以下に、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳しく説明する。ただ、本発明の各実施形態において、本発明に対する理解を便宜にするために、多くの技術的細部まで記載されているが、これらの技術的細部および以下の各実施形態に基づく各種の変化及び修正がなくても、本発明が保護しようとする技術方案を実現可能であることは、当業者にとっては自明なことである。
【0018】
(第1実施形態)
【0019】
図1に示すように、前側から後側まで、映像面11と、円偏光子12と、部分反射素子13と、第1レンズ14と、1/4波長板15と、反射型偏光フィルム16と、絞り18とを順次含んだ光学系100を提供している。
【0020】
映像面11は、光を発射する。映像面11は、前記映像面11の後側に貼り付けられた円偏光子12を有し、本実施形態では、映像面11がディスプレイであり、サイズが2.1インチであり、ディスプレイから発射された光が円偏光子12を通過した後、左回り円偏光LCPを形成する。
【0021】
第1レンズ14の前側表面141には、部分反射素子13が設けられ、一部の光が反射され、一部の光が第1レンズ14に入射し、この場合、光が左回り円偏光LCPである。
【0022】
第1レンズ14の後側表面142には、複合フィルムが設けられ、前記複合フィルムが反射型偏光フィルム16と、1/4波長板15とを備え、前記反射型偏光フィルム16が前記1/4波長板15よりも、前記第1レンズ14の後側表面142から離れ、左回り円偏光LCPが初回1/4波長板15を通過した後、直線偏光S光に変換された後、反射型偏光フィルム16で反射され、この場合の反射光がなお直線偏光S光であり、2回目に1/4波長板15を通過した後、左回り円偏光LCPに変換され、2回目に第1レンズ14に入射し、部分反射素子13で部分的に反射され、反射された光が右回り円偏光RCPに変換されて、3回目に第1レンズ14に入射し、右回り円偏光RCPが第1レンズ14から出射された後、1/4波長板15に入射し、1/4波長板15を通過して直線偏光P光に変換され、反射型偏光フィルム16に入射する。反射型偏光フィルム16は、直線偏光S光を反射し、直線偏光P光を透過する特性を有しているため、直線偏光P光は、透過してから絞り18に入る。
【0023】
絞り18の位置は、人間の目の表面を模擬した位置であり、前記絞り18の直径が6mmであり、光学系100の最大可視径をVDと定義し、VDが6mmであり、VD≧6mmを満たす。即ち、人間の目は、直径が少なくとも6mmの範囲内を移動するときに、鮮明な画像を見ることができる。
【0024】
第1レンズ14の有効半径は、20.3mmであり、光学系100におけるレンズの最大有効半径をSDmaxと定義し、SDmax≦21.2mmを満たす。これは、光学系の小型化に寄与する。
【0025】
本実施形態では、第1レンズ14の後側表面142は、平面であり、複合フィルムの貼り付け歩留まりを高めるのに役立ち、第1レンズ14の前側表面141は、非球面であり、非球面設計によって表示画像のフォーカス位置を調整することで、光学系の色収差や歪みを低減し、結像品質を高めることができる。他の代替実施形態では、第1レンズ14の前側表面141は、自由曲面であってもよい。
【0026】
本実施形態では、第1レンズ14の前側表面141は、凸面である。
【0027】
本実施形態では、光学系100の画角をFOVと定義し、FOVが100.00°であり、90°≦FOV≦110°を満たす。これにより、広い画角でより良いユーザー体験をもたらす。好ましくは、95°≦FOV≦105°を満たす。
【0028】
本実施形態では、部分反射素子は、半透過半反射型フィルムであり、その透過率と反射率は、いずれも50%である。他の代替実施形態では、部分反射素子の反射透過率は、具体的な設計要求に応じて調整することができ、40:60、55:45、60:40などであってもよい。
【0029】
本実施形態では、反射型偏光フィルム16の反射率は95%以上であり、より高い反射率は、光学系100の光線効率を高め、表示輝度を増やすことができる。
【0030】
映像面11から第1レンズ17の後側表面172までの軸上距離、即ち光学系の光学全長をTTLと定義し、本実施形態では、TTLが23.534であり、TTL≦24mmを満たす。これにより、光学系の体積を減らすのに役立つ。
【0031】
前記第1レンズ14の前側表面から前記映像面11までの軸上距離をd4と定義し、本実施形態では、d4が14.347、d4/TTLが0.737であり、0.71≦d4/TTL≦0.85を満たす。これにより、光学系の体積を減らすのに役立つ。
【0032】
光学系100の焦点距離をfと定義し、本実施形態では、fが24.59、TTL/fが0.957であり、TTL/f≦1.00を満たす。これにより、光学系の体積を減らすのに役立つ。
【0033】
光学系の光学歪曲収差をDISTと定義し、本実施形態では、DIST≦35%を満たす。これにより、歪みが小さくなり、ユーザーによりリアルなVR環境を提供することができる。
【0034】
光学系の色収差をLCと定義し、本実施形態では、LC≦120μmを満たす。これにより、色収差が小さくなり、ユーザーによりリアルなVR環境を提供することができる。
【0035】
以下、実施例を用いて、本発明に係る光学系100を説明する。各実施例に記載の符号は以下の通りである。焦点距離、軸上距離、中心曲率半径、軸上厚み、変曲点位置及び停留点位置の単位は、mmである。
【0036】
表1、表2は、本発明の第1実施形態に係る光学系100の設定データを示す。
【0037】
【0038】
ここで、各符号の意味は、以下の通りである。
R :光学面の中心の曲率半径
R1 :第1レンズ14の後側表面の中心曲率半径
R2 :第1レンズ14の前側表面の中心曲率半径
d :レンズの軸上厚み、レンズ間の軸上距離。光路を分かりやすくするために、光が後側から前側に伝播することをプラスとし、光が前側から後側に伝播することを負の値とする
d0 :絞りS18から第1レンズL14の物体側の面142までの軸上距離
d1 :第1レンズL14の軸上厚み
d2 :第1レンズL14の軸上厚みの負の値
d3 :第1レンズL14の軸上厚み
d4 :第1レンズ14の前側表面141から映像面11までの軸上距離
nd :d線の屈折率(d線は波長550nmの緑色光である)
nd1 :第1レンズL14のd線の屈折率
vd :アッベ数
v1 :第1レンズL14のアッベ数
【0039】
表2は、本発明の第1実施形態に係る光学系100における各レンズの非球面のデータを示す。
【0040】
【0041】
各レンズ面の非球面は、便宜上、上記式(1)で表される非球面を使用しているが、本発明は、この式(1)の非球面多項式に限定されるものではない。
【0042】
z=(cr2)/{1+[1-(k+1)(c2r2)]1/2}+A4r4+A6r6+A8r8+A10r10+A12r12+A14r14+A16r16+A18r18+A20r20+A22r22+A24r24+A26r26 (1)
【0043】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20、A22、A24、A26は非球面係数であり、cは光学面の中心の曲率であり、rは非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、zは非球面深さ(非球面における光軸から離れた距離がrである点と、非球面光軸上の頂点に接する接平面との垂直距離)である。
【0044】
図2、
図3は、それぞれ波長450nm、540nm、630nmの光が第1実施形態に係る光学系100を通った後のスポット図及び倍率色収差を示す図である。
図4は、波長540nmの光が第1実施形態に係る光学系100を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図であり、
図4の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0045】
本実施形態において、上記の光学系100の入射瞳径ENPDが6mmであり、TTLが23.526mmであり、d4/TTLが0.737であり、焦点距離fが24.59mmであり、TTL/fが0.957であり、全視野の像高IHが19.970mmであり、対角線方向の画角FOVが100.00°である。これにより、光学系100は、小体積、最大可視直径が6mm以上の設計要件を満たすことができ、その軸上、軸外の色収差が十分に補正されて、優れた光学特性を有する。
【0046】
(第2実施形態)
【0047】
第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であるため、異なる点のみを以下に示す。
【0048】
図6に示されたのは、本発明の第2実施形態に係る光学系200である。
【0049】
表3、表4は、本発明の第2実施形態に係る光学系200の設定データを示す。
【0050】
【0051】
表4は、本発明の第2実施形態に係る光学系200における各レンズの非球面のデータを示す。
【0052】
【0053】
図7、
図8は、それぞれ波長450nm、540nm、630nmの光が第2実施形態に係る光学系200を通った後のスポット図及び倍率色収差を示す図である。
図9は、波長540nmの光が第2実施形態に係る光学系200を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図であり、
図9の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0054】
本実施形態において、上記の光学系200の入射瞳径ENPDが6mmであり、TTLが22.528mmであり、d4/TTLが0.711であり、光学系におけるレンズの最大有効半径はSDmaxが19.5mmであり、焦点距離fが23.956mmであり、TTL/fが0.94であり、全視野の像高IHが19.200mmであり、対角線方向の画角FOVが103.89°である。これにより、光学系200は、小体積、最大可視直径が6mm以上の設計要件を満たすことができ、その軸上、軸外の色収差が十分に補正されて、優れた光学特性を有する。
【0055】
(第3実施形態)
【0056】
第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であるため、異なる点のみを以下に示す。
【0057】
図11に示されたのは、本発明の第3実施形態に係る光学系300である。
【0058】
表5、表6は、本発明の第3実施形態に係る光学系300の設定データを示す。
【0059】
【0060】
表6は、本発明の第3実施形態に係る光学系300における各レンズの非球面のデータを示す。
【0061】
【0062】
図12、
図13は、それぞれ波長450nm、540nm、630nmの光が第3実施形態に係る光学系300を通った後のスポット図及び倍率色収差を示す図である。
図14は、波長540nmの光が第3実施形態に係る光学系300を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図であり、
図14の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0063】
本実施形態において、上記の光学系300の入射瞳径ENPDが6mmであり、TTLが23.530mmであり、d4/TTLが0.798であり、光学系におけるレンズの最大有効半径はSDmaxが21.2mmであり、焦点距離fが24.643mmであり、TTL/fが0.955であり、全視野の像高IHが19.200mmであり、対角線方向の画角FOVが96.29°である。これにより、光学系300は、小体積、最大可視直径が6mm以上の設計要件を満たすことができ、その軸上、軸外の色収差が十分に補正されて、優れた光学特性を有する。
【0064】
(第4実施形態)
【0065】
第4実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であるため、異なる点のみを以下に示す。
【0066】
図16に示されたのは、本発明の第4実施形態に係る光学系400である。
【0067】
表7、表8は、本発明の第4実施形態に係る光学系400の設定データを示す。
【0068】
【0069】
表8は、本発明の第3実施形態に係る光学系400における各レンズの非球面のデータを示す。
【0070】
【0071】
図17、
図18は、それぞれ波長450nm、540nm、630nmの光が第4実施形態に係る光学系400を通った後のスポット図及び倍率色収差を示す図である。
図19は、波長540nmの光が第4実施形態に係る光学系400を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図であり、
図19の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0072】
本実施形態において、上記の光学系400の入射瞳径ENPDが6mmであり、TTLが23.664mmであり、d4/TTLが0.843であり、光学系におけるレンズの最大有効半径はSDmaxが20.3mmであり、焦点距離fが24.617mmであり、TTL/fが0.961であり、全視野の像高IHが19.200mmであり、対角線方向の画角FOVが96.58°である。これにより、光学系400は、小体積、最大可視直径が6mm以上の設計要件を満たすことができ、その軸上、軸外の色収差が十分に補正されて、優れた光学特性を有する。
【0073】
上記の各実施形態は本発明を実現するための具体的な実施形態であるが、実際の応用において、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、形式及び細部に対する種々の変更を行うことができることは、当業者であれば理解できるはずである。
【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、光学レンズの分野に関し、光学系を提供する。
【解決手段】光学系は、前側から後側に向かって順に、映像面と、第1レンズと、絞りとを備え、前記映像面の後側に光を発射するための円偏光子が貼り付けられ、前記第1レンズの前側表面に部分反射素子が設けられ、その後側表面に複合フィルムが設けられ、前記複合フィルムが反射型偏光フィルムと1/4波長板とを備え、前記反射型偏光フィルムが前記1/4波長板の後側に設けられ、前記絞りが前記光学系の後側に位置し、前記光学系の最大可視径がVDであり、前記光学系における各レンズの最大有効半径がSDmaxであり、前記第1レンズの前側表面から前記映像面までの軸上距離がd4であり、前記第1レンズの後側表面から前記像面までの軸上距離がTTLであり、且つ、VD≧6mm、SDmax≦21.2mm、0.71≦d4/TTL≦0.85という関係式を満たす。
【選択図】
図1