(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】決済サーバ、決済方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/04 20120101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q20/04 310
(21)【出願番号】P 2023205542
(22)【出願日】2023-12-05
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ゴバニ アカシュ
(72)【発明者】
【氏名】チョードリー マドミタ
(72)【発明者】
【氏名】岩井 研人
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 安代
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第7348419(JP,B1)
【文献】特許第7381685(JP,B1)
【文献】特開2001-209678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
少なくとも前記利用者端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信する通信部と、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理するバウチャー管理部と、
前記店舗において表示される店舗識別情報を含む店舗コード画像を読み取った前記利用者端末装置から、前記店舗識別情報を含む決済情報を、前記通信部を介して取得したときに、利用者情報を参照して利用者が前記特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、
前記バウチャー管理部の管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させるレコメンド部と、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行う決済処理部と、を備え、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記レコメンド部は、前記複数の金額のうち、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額をレコメンドする画面を前記決済アプリに表示させる、
決済サーバ。
【請求項2】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
少なくとも前記利用者端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信する通信部と、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理するバウチャー管理部と、
前記店舗において表示される店舗識別情報を含む店舗コード画像を読み取った前記利用者端末装置から、前記店舗識別情報を含む決済情報を、前記通信部を介して取得したときに、利用者情報を参照して利用者が前記特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、
前記バウチャー管理部の管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させるレコメンド部と、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行う決済処理部と、を備え、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記レコメンド部は、前記複数の金額を並べて表示すると共に、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額を強調して示す画面を前記決済アプリに表示させる、
決済サーバ。
【請求項3】
前記決済処理部は、前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付の申し込みのための操作を要求せずに、前記自治体への寄付をする処理と電子決済のための処理とを行う、
請求項1または2に記載の決済サーバ。
【請求項4】
前記決済処理部は、前記バウチャー管理部の管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していると判定し、前記利用者が前記特定バウチャーを自動的に適用し電子決済を行うことを前記決済アプリにおいて設定している場合、前記特定バウチャーを適用させ電子決済を行う、
請求項1または2に記載の決済サーバ。
【請求項5】
前記決済処理部は、前記特定バウチャーを購入した金額が前記電子決済に必要な購入金額に下回る場合は、他の決済方法を併用して電子決済を行う、
請求項1または2に記載の決済サーバ。
【請求項6】
前記特定バウチャーは、複数の前記設定店舗で使用可能である、
請求項1または2に記載の決済サーバ。
【請求項7】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
少なくとも前記利用者端末装置と第1店舗端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信する通信部と、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理するバウチャー管理部と、
前記利用者端末装置に表示される利用者を識別可能な情報を含むコード画像を前記第1店舗端末装置が読み取り、前記第1店舗端末装置から前記通信部を介して取得したときに、前記コード画像から特定した利用者の利用者情報を参照して当該利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、
前記バウチャー管理部の管理する情報から前記利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させるレコメンド部と、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行う決済処理部、を備え、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記レコメンド部は、前記複数の金額のうち、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額をレコメンドする画面を前記決済アプリに表示させる、
決済サーバ。
【請求項8】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバであって、
少なくとも前記利用者端末装置と第1店舗端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信する通信部と、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理するバウチャー管理部と、
前記利用者端末装置に表示される利用者を識別可能な情報を含むコード画像を前記第1店舗端末装置が読み取り、前記第1店舗端末装置から前記通信部を介して取得したときに、前記コード画像から特定した利用者の利用者情報を参照して当該利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、
前記バウチャー管理部の管理する情報から前記利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させるレコメンド部と、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行う決済処理部、を備え、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記レコメンド部は、前記複数の金額を並べて表示すると共に、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額を強調して示す画面を前記決済アプリに表示させる、
決済サーバ。
【請求項9】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバのプロセッサが、
少なくとも前記利用者端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信し、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理し、
前記店舗において表示される店舗識別情報を含む店舗コード画像を読み取った前記利用者端末装置から、前記店舗識別情報を含む決済情報を取得したときに、利用者情報を参照して利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、
管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させ、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行
い、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記複数の金額のうち、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額をレコメンドする画面を前記決済アプリに表示させる、
決済方法。
【請求項10】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバのプロセッサに、
少なくとも前記利用者端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信する処理と、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理する処理と、
前記店舗において表示される店舗識別情報を含む店舗コード画像を読み取った前記利用者端末装置から、前記店舗識別情報を含む決済情報を取得したときに、利用者情報を参照して利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定する処理と、
管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させる処理と、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理と、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記複数の金額のうち、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額をレコメンドする画面を前記決済アプリに表示させる処理と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバのプロセッサが、
少なくとも前記利用者端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信し、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理し、
前記店舗において表示される店舗識別情報を含む店舗コード画像を読み取った前記利用者端末装置から、前記店舗識別情報を含む決済情報を取得したときに、利用者情報を参照して利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、
管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させ、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行
い、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記複数の金額を並べて表示すると共に、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額を強調して示す画面を前記決済アプリに表示させる、
決済方法。
【請求項12】
利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバのプロセッサに、
少なくとも前記利用者端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信する処理と、
有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理する処理と、
前記店舗において表示される店舗識別情報を含む店舗コード画像を読み取った前記利用者端末装置から、前記店舗識別情報を含む決済情報を取得したときに、利用者情報を参照して利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定する処理と、
管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させる処理と、
前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理と、
前記特定バウチャーは、複数の金額が設定されており、
前記複数の金額を並べて表示すると共に、前記電子決済に必要な購入金額に応じた金額を強調して示す画面を前記決済アプリに表示させる処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済サーバ、決済方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子決済サービスにおいて利用者の保有する商品券などのバウチャーを自動的に適用して電子決済を行う電子決済サービスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、利用者が特定バウチャーを所有していない場合、自治体への寄付を行い贈呈された特定バウチャーを使用するまでに複数の操作が必要であり、利用者の利便性が低下していた。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、特定バウチャーの購入と寄付と電子決済に関する処理を一連の処理として実行することができる決済サーバ、決済方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、利用者端末装置において動作する決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する決済サーバであって、少なくとも前記利用者端末装置、および前記電子決済サービスとは別のサービスを提供するサービスサーバのそれぞれと通信する通信部と、有効期限が設定されかつ前記電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報を前記サービスサーバから取得して管理するバウチャー管理部と、前記店舗において表示される店舗識別情報を含む店舗コード画像を読み取った前記利用者端末装置から、前記店舗識別情報を含む決済情報を、前記通信部を介して取得したときに、利用者情報を参照して当該利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、前記バウチャー管理部の管理する情報から利用者が前記設定店舗で使用できる前記特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、前記サービスサーバから取得した前記特定バウチャーの購入を促す情報を前記決済アプリに表示させるレコメンド部と、を備え、前記決済処理部は、前記利用者が前記特定バウチャーを購入する旨の情報を前記決済アプリから取得した場合、前記特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行う、決済サーバである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、特定バウチャーの購入と寄付と電子決済とを一度にすることができる決済サーバ、決済方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
【
図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その1)である。
【
図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。
【
図5】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
【
図6】加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。
【
図7】バウチャー情報178の一例を示す図である。
【
図8】特定バウチャーが付与される処理の流れの一例を示す図である。
【
図9】特定バウチャーが付与される処理の流れの他の一例を示す図である。
【
図10】特定バウチャーの購入を促す情報を表示する決済アプリ20の表示の一例を示す図である。
【
図11】電子決済が完了した決済アプリ20の表示の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る決済サーバ100の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】特定バウチャーを利用した電子決済を行う場合の決済サーバ100の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の決済サーバ、決済方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下に登場する「サーバ」、「管理装置」「情報提供装置」などの、利用者にサービスを提供したり内部解析を行ったりするための各種装置は、分散化された装置群によって実現されてよく、それぞれの装置を運用する事業者は異なってもよい。また装置のハードウェアの保有者(クラウドサーバの提供者)と実質的な運用を行う事業者も異なってよい。アプリケーションプログラムと決済サーバは、協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の第1店舗端末装置50、及び一以上の第2店舗端末装置70のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置10にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
第1店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。第1店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第1店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0013】
第2店舗端末装置70は、加盟店の運営者によって使用される。第2店舗端末装置70は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第2店舗端末装置70では、加盟店向けインターフェース72が動作する。加盟店向けインターフェース72は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース72は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。スマートフォンである第2店舗端末装置70は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。
【0014】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第1店舗端末装置50は、POS装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、POS装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ100に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第1店舗端末装置50から決済情報が送信されるものとする。
【0015】
図2および
図3は、電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。
【0016】
図2に示すパターン1(以下、ユーザスキャンと称する)の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする(S1)。店舗コード画像60には、店舗URL(Uniform Resource Locator)の情報が含まれている。この店舗URLは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ100において加盟店IDや店舗ID等との対応付けがなされている(後述)。決済アプリ20は、店舗URLとアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDから、店舗情報(後述)を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する(S5)。そして、利用者端末装置10は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。決済サーバ100は、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像60が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像60には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0017】
図3に示すパターン2(以下、ストアスキャンと称する)の場合、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を第1店舗端末装置50に翳し(提示し)、第1店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、第1店舗端末装置50は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う(S17)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0018】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0019】
[決済サーバ]
図4は、第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、情報管理部140と、バウチャー管理部150と、レコメンド部160と、記憶部170とを備える。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0020】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、加盟店/店舗情報176、バウチャー情報178などの情報が格納される。
【0021】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0022】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0023】
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部130は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。
【0024】
図5は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、後払い枠、後払い利用額、後払い利用可能額、バウチャーID、端末決済方法、支払いの優先順位設定、優先順位1、優先順位2、カード決済方法、提携カード番号、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものであり、利用者IDは、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)IDである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0025】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払い枠は月ごとに利用可能な後払いの限度額であり、後払い利用額は、当月に既に利用された後払いの金額であり、後払い利用可能額は、後払い枠から後払い利用額を差し引いて求められる、当月に利用可能な後払いの金額である。図では後払い枠を一つだけ示しているが、実際には更に日ごとの上限額などが存在し、それらの低い方が後払い枠に設定されてよい。後払いの更なる詳細については後述する。決済方法設定は、その時点において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を、決済ごとに示す情報である。
【0026】
バウチャーIDとは、特定バウチャーを特定可能な識別情報である。特定バウチャーの詳細については後述する。利用者情報172に記憶されるバウチャーIDと、後述するバウチャー情報178に記憶されるバウチャーIDとが紐づけられている。1人の利用者に複数のバウチャーIDが紐づけられていてもよい。バウチャー自動適用設定は、利用者が電子決済をする際に使用できる特定バウチャーがある場合において、特定バウチャーを自動的に適用し電子決済を行うか否かを示す内容を含む。更に、バウチャー自動適用設定には、特定バウチャーの金額が購入金額以下であった場合に併用する決済方法(併用決済方法)が含まれる。バウチャー自動適用設定は、利用者自身が設定することができる。併用決済方法は、電子決済サービスにおけるチャージ残高による決済と、クレジットカードによる後払い決済とのどちらか一方に設定される。
【0027】
支払いの優先順位設定は、利用者が電子決済の支払い方法の優先順位を設定しているか否かを示す情報である。支払いの優先順位設定が有効である場合、利用者が電子決済の支払い方法の優先順位を設定済みであることを示す。支払いの優先順位設定が無効である場合、利用者が電子決済の支払い方法の優先順位を設定していないことを示す。支払いの優先順位設定として、例えば、2つの支払い方法を設定することができる(優先順位1、2)。支払い方法は、例えば、チャージ残高による支払い、または後払いによる支払いとのどちらか一方に設定される。
【0028】
図6は、加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報176は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル176Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)が対応付けられた第2テーブル176Bと、店舗IDに対して店舗名が対応付けられた第3テーブル176Cとを含む。加盟店/店舗情報176には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。
【0029】
情報管理部140は、利用者端末装置10や第2店舗端末装置70から取得した情報に基づいて、利用者情報172および加盟店/店舗情報176を管理する。情報管理部140は、利用者情報172および加盟店/店舗情報176について新規レコードの追加、編集、削除などを行う。
【0030】
[電子決済]
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報が取得されると、利用者情報172を参照して当該利用者の「決済方法設定」を取得する。決済処理部130は、「決済方法設定」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。決済処理部130は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。
【0031】
決済処理部130は、「設定情報」が「後払い」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。後払いとは、電子決済サービスの運営者とは別主体であるクレジットカード会社との連携による「クレジット払い」とは別枠で設定されるものであり、電子決済サービスの運営者が与信者となって、後払い枠の範囲内でチャージ残高に依存しない電子決済を許容するものである。なお後払いサービスを受けるために、電子決済サービスの運営者が提供するクレジットカードの取得が要求されてよい。後払いで利用された金額は、一か月分まとめて翌月の支払日に、例えば銀行口座からの引き落としによって決済される。この場合、決済処理部130は、後払い利用額に決済金額を加算し、後払い利用可能額から同額を差し引くことで暫定決済を行い、締め日になると上記のように当月分の決済を翌月の支払い日に引き落とすための処理を行う、或いはクレジットカード会社の運営者に当該処理を依頼する。なお暫定決済の時点で決済金額が後払い利用可能額を超える場合は、エラー通知が決済アプリ20に返信される。
【0032】
決済処理部130は、チャージ残高が一定額より下回る場合に、オートチャージを実行してもよい。利用者は、予めチャージ残高が一定額より下回る場合にオートチャージを実行するか否かを決済アプリ20上にて設定をする。例えば、1000円を下回った場合、5000円をオートチャージするという設定である。利用者情報172のオートチャージ設定が、有効であればオートチャージが実行可能になり、無効であればオートチャージは実行されない。決済処理部130は、電子決済を行いチャージ残高が更新される度にチャージ残高と一定額を比較し、チャージ残高が一定額より下回ると判断された場合オートチャージを実行する。決済処理部130は、オートチャージを実行すると、オートチャージした金額とチャージ残高を合計した最新のチャージ残高を利用者情報172に更新させる。
【0033】
バウチャー管理部150は、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報をサービスサーバ300から取得して管理する。特定バウチャーに関する情報は、バウチャー情報178に記憶されている。バウチャー管理部150は、必要に応じてバウチャー情報178から情報を取得し、特定バウチャーを用いた電子決済が行われるたびに情報を更新する。なお、電子決済サービスは特定バウチャー以外の一般的なバウチャーを扱ってもよいが、以下では専ら特定バウチャーに着目して説明する。
【0034】
図7は、バウチャー情報178の一例を示す図である。バウチャー情報178は、例えば、特定バウチャーの識別情報であるバウチャーIDに対して、金額、利用額、利用可能額、有効期限、利用可能店舗、利用可能市区町村などの情報が対応付けられた情報である。金額は、特定バウチャーごとの購入された金額である。利用額は、当該特定バウチャーについて既に利用された金額である。利用可能額は、金額から利用額を差し引いた金額である。有効期限は、特定バウチャーの使用ができる期限日を示したものである。利用可能店舗とは、特定バウチャーを使用できる店舗のことである。利用可能自治体とは、特定バウチャーの発行元が自治体である場合の利用可能店舗に相当する情報である。自治体は、都道府県単位であってもよいし、市区町村単位であってもよいし、商店街などの自主的な団体であってもよい。
【0035】
サービスサーバ300は、決済サーバ100または決済アプリ20と連携して、利用者にサービスを提供する。本実施形態では、サービスサーバ300は、利用者にふるさと納税に関するサービスを提供するものとして説明するが、これに代えて(加えて)、他のサービスを提供するものであってもよい。他のサービスとは、例えば、後述するミニアプリに対応するサービスである。ふるさと納税に関するサービスとは、例えば、利用者がふるさと納税を代行するサービスを提供する。例えば、ふるさと納税の納付を利用者から受け付けたり、ふるさと納税に応じた商品(特定バウチャーを含む)などを利用者に提供したりするサービスである。他のサービスは、例えば、フードデリバリーサービスや、タクシーの配車サービス、ショッピングサービスなどである。
【0036】
利用者が、サービスサーバ300が提供するサービスを利用して、ふるさと納税を行うと、サービスサーバ300と連携する決済サーバ100が、特定バウチャーを利用者の決済アプリ20に付与する。利用者は、特定バウチャーが利用可能な店舗において決済アプリ20内において特定バウチャーを利用することができる。
【0037】
図8は、特定バウチャーが付与される処理の流れの一例を示す図である。この処理では、決済アプリ20を利用して決済が行われるものとして説明する。
【0038】
まず、利用者が、サービスサーバ300が提供するサービスにおいて、所定の自治体の特定バウチャーを購入する操作(寄付金の納付に関する操作)を行った後、決済アプリ20を利用して寄付額の決済を行うことを選択すると、決済アプリ20が起動する(S10)。利用者は、起動した決済アプリ20において寄付額を入力して決済の操作を行うと、決済サーバ100が決済を行う(S12)。上記のS10、S12において、サービスサーバ300と、決済サーバ100とは連携している。連携とは、例えば、サービスサーバ300と決済サーバ100とは互いに決済を行った利用者の識別情報や、決済に係る処理の内容などを共有していることである。利用者の識別番号は、アカウントIDであってもよいし、サービスサーバ300および決済サーバ100が利用者を特定可能な他の識別番号であってもよい。
【0039】
次に、サービスサーバ300が、特定バウチャーの発行リクエストを決済サーバ100に送信する(S14)。発行リクエストには、利用者の識別情報(アカウントID)、特定バウチャーの識別情報(バウチャーID)、付与金額、有効期限、利用可能な店舗に関する情報、リクエストIDが含まれる(一部の情報は省略されてもよい)。例えば、サービスサーバ300が、利用者が選択した寄付の内容と上記の決済とに応じて、特定バウチャーの内容(特定バウチャーが利用可能な店舗や、付与金額、有効期限)が決定される。なお、発行リクエストにおいて、利用可能な店舗に関する情報は省略されてもよい。この場合、決済サーバ100の記憶部170に利用可能な店舗に関する情報と、特定バウチャーの識別番号とが対応付けられた情報が記憶されていればよい。
【0040】
次に、決済サーバ100は、S14のリクエストに応じて、利用者の決済アプリ20において特定バウチャーを付与する(S16)。例えば、決済サーバ100は、リクエストIDに含まれる利用者の識別情報に基づいて、利用者を特定し、特定した利用者の決済アプリ20(利用者)に特定バウチャーを付与する。
【0041】
次に、決済サーバ100は、リクエストIDをキーに特定バウチャーの付与結果をサービスサーバ300に返却する(S18)。これにより、サービスサーバ300は、利用者に対して、寄付履歴を示すインターフェース画面に寄付に対して特定バウチャーが付与済であることを示す情報を含め、このインターフェース画面を利用者端末装置10の表示部に表示する(S18)。
【0042】
このように、サービスサーバ300と決済サーバ100とが連携して、利用者に特定バウチャーを付与することができる。
【0043】
図9は、特定バウチャーが付与される処理の流れの他の一例を示す図である。この処理では、決済アプリ20が利用されずに決済が行われるものして説明する。上述した
図8の処理との相違点を中心に説明する。
【0044】
まず、利用者が、サービスサーバ300が提供するサービスにおいて、決済アプリ20とは異なる決済方法で特定バウチャーを購入するための決済(寄付金の決済)を行うことを選択すると、選択された決済手法において決済が行われる(S10A)。この際、サービスサーバ300が、寄付履歴のインターフェース画面においてアカウント連携および特定バウチャー取得のためのボタンを含め、このインターフェース画面を利用者端末装置10の表示部に表示させる。利用者が、当該ボタンを操作すると(S11A)、サービスサーバ300が、決済サーバ100に連携リクエストを送信する(S11B)。例えば、当該ボタンが操作されると、決済アプリ20が利用者の識別番号を決済サーバ100に送信する。
【0045】
次に、決済サーバ100は、利用者の識別情報をサービスサーバ300に返却する(S11C)。これにより、サービスサーバ300は、ボタンの操作を行った利用者の識別番号を取得することができる。なお、上記のボタンの表示や操作は省略されてもよい。この場合、例えば、対象の寄付の内容が選択されると、自動で、サービスサーバ300が連携リクエストを決済サーバ100に送信してもよい。S14-S18の処理は、
図9のS14-S18の処理と同様のため、説明を省略する。
【0046】
このように、サービスサーバ300と決済サーバ100とが連携して、利用者に特定バウチャーを付与することができる。
【0047】
上記の例では、利用者が特定バウチャーを購入し、利用者に特定バウチャーが付与されるものとして説明したが、これに代えて(または加えて)、決済サーバ100が、サービスサーバが提供するサービスにおいて、利用者とは異なる利用者が特定バウチャーを購入する操作を行った場合にサービスサーバ300が送信するリクエストを取得し、取得したリクエストに基づいて異なる利用者が指定した他の利用者に特定バウチャーを付与するための処理を実行してもよい。指定は、例えば、利用者の電話番号やアカウントIDによって特定される。
【0048】
レコメンド部160は、店舗識別情報を含む決済情報を、通信部110を介して利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から取得したときに、利用者情報172を参照して当該利用者が特定バウチャーを所有しているか否かを判定し、バウチャー管理部150の管理する情報から利用者が設定店舗で使用できる特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、サービスサーバ300から取得した特定バウチャーの購入を促す情報を決済アプリ20に表示させる。
【0049】
決済処理部130は、利用者が特定バウチャーを購入する旨の情報を決済アプリ20から取得した場合、特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行う。決済処理部130は、バウチャー管理部150の管理する情報から利用者が設定店舗で使用できる特定バウチャーを所有していると判定し、利用者が特定バウチャーを自動的に適用し電子決済を行うことを決済アプリ20において設定している場合、特定バウチャーを適用させ電子決済を行う。
【0050】
また、決済処理部130は、特定バウチャーを購入した金額が電子決済に必要な購入金額を下回る場合は、他の決済方法(併用決済方法)を併用して電子決済を行う。決済処理部130は、特定バウチャーの残高と併用決済方法による残高または利用可能額を合算しても電子決済に必要な購入金額を下回る場合は、支払い方法の優先順位に設定されている支払い方法やオートチャージを併用して電子決済を行ってもよい。
【0051】
図10は、特定バウチャーの購入を促す情報を表示する決済アプリ20の表示の一例を示す図である。インターフェース画面IM1は、レコメンド部160によってサービスサーバ300から取得した特定バウチャーの購入を促す画面である。領域AR1は、寄付金額(特定バウチャーの購入金額)を指定する入力欄が存在する。入力欄の下部には、3つの特定バウチャー金額の選択肢が存在し、購入金額に応じた特定バウチャーの金額がデフォルトで選択されていてもよい。また、レコメンド部160は、デフォルトで選択された特定バウチャーの金額が強調して表示されていてもよい。
【0052】
図10において、デフォルトで選択されているのは、5000円の特定バウチャーである。領域AR2は、選択されている特定バウチャー金額に応じた詳細が表示される。まず、1行目に今回の電子決済で決済する予定の購入金額である500円が表示されている。2行目に、選択されている特定バウチャー金額である5000円が表示されている。3行目に、○○県△△町に寄付される金額の3500円が存在する。例えば、特定バウチャーの購入金額のうち、7割が寄付される金額になる。4行目は、受け取れる特定バウチャー残高である1500円が表示されている。特定バウチャーの購入金額より寄付金額を差し引いた額が、利用者が受け取れる特定バウチャーの残高になる。5行目は、今回の電子決済後の特定バウチャー残高である1000円が表示されている。受け取れる特定バウチャー残高から500円の購入金額を差し引いた金額である。
【0053】
利用者がAR2の内容に同意する場合はAR2の下部に存在するチェックボックスにチェックをし、領域AR3の「バウチャーの購入をして、○○県△△町に寄付&決済」と表示されるボタンを押下すると、決済処理部130によって、特定バウチャーの購入、寄付、電子決済のための処理が一連の処理としてスムーズに行われる。この結果、利用者にとってストレスのない操作で特定バウチャーの購入、寄付、電子決済のための処理が一連の処理として実現されることになる。
【0054】
AR1に表示されている別の特定バウチャーの金額を選択した場合、AR2の特定バウチャーの金額に応じた詳細はレコメンド部160によって再計算され新たに選択した特定バウチャーの金額に応じた詳細が表示される。仮に、1000円の特定バウチャーの金額が選択された場合、特定バウチャーの金額の7割である700円が寄付され、利用者が受け取れる特定バウチャーの残高が300円となり、購入金額を下回るが、その場合、決済処理部130は、併用決済方法を用いて電子決済が行われる。例えば、300円を特定バウチャー残高で支払い、残りの200円をチャージ残高等で電子決済を行う。
【0055】
このように、決済サーバ100と協働して電子決済サービスを提供する決済アプリ20は、決済サーバ100から取得した情報、あるいはサービスサーバ300から取得した情報に基づいて、特定バウチャーの寄付金額の指定を受け付ける画像(例えば寄付金額の選択肢を提示して選択させる画像)と、バウチャーの購入を受け付ける画像とを表示してもよい。その際に、決済アプリ20は、バウチャーの購入内容と、購入後のアカウントの状態とのうち一方または双方を提示する画像を更に表示してもよい。決済アプリ20は、利用者により選択された内容、購入が指示された内容などを決済サーバ100またはサービスサーバ300に送信する。
【0056】
図11は、電子決済が完了した決済アプリ20の表示の一例を示す図である。
図10のAR3を押下すると、決済処理部130によって特定バウチャーの購入、特定バウチャーの発行元の自治体への寄付、電子決済が行われ、電子決済が完了した旨を示すインターフェース画面IM2が決済アプリ20に表示される。領域AR4には「○○県△△町商品券500円」と表示されており、領域AR5には、支払い方法として「○○県△△町商品券」と表示されており、特定バウチャー残高を用いて、電子決済が行われたことを示す。
【0057】
図12は、実施形態に係る決済サーバ100の動作の一例を示すフローチャートである。決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報を取得する(S100)。決済情報とは、店舗識別情報を含む利用者が行いたい電子決済の情報である。
【0058】
決済処理部130は、取得した店舗識別情報から、その店舗が特定バウチャーを使用できるか否かを判定する(S110)。特定バウチャーを使用できない店舗である場合、チャージ残高等を利用した電子決済を行う(S120)。
【0059】
S110の処理において、電子決済を行おうとしている店舗が特定バウチャーを使用できると判定した場合、決済処理部130は、利用者が有効な特定バウチャーを所有しているか否かを判定する(S130)。
【0060】
S130の処理において、利用者が有効な特定バウチャーを所有していないと判定した場合、レコメンド部160は、サービスサーバ300から通信部110を介して特定バウチャーの情報を取得する(S140)。
【0061】
レコメンド部160は、取得した特定バウチャーの情報を用いて、特定バウチャーの購入を促す画面を決済アプリ20に表示させる(S150)。決済処理部130は、利用者が特定バウチャーを購入する操作を行うと、決済アプリ20から特定バウチャーを購入する旨の情報を取得する(S160)。決済処理部130は、特定バウチャーの購入(寄付)を行う(S170)。S160の処理において利用者が特定バウチャーを購入しない場合は、チャージ残高等を利用した電子決済を行う(S120)。
【0062】
S130の処理において利用者が有効な特定バウチャーを所有している場合、決済処理部130は、特定バウチャーの購入を促すことはせずに、利用者が所有している特定バウチャーを利用した電子決済を行う(S180)。この処理について、
図13を用いて説明する。
【0063】
図13は、特定バウチャーを利用した電子決済を行う場合の決済サーバ100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの処理は、オートチャージ設定を利用した処理を例示したものであるが、特定バウチャーを利用した電子決済においてオートチャージ設定を利用しないようにしてもよい。
図13以降の図においては、特定バウチャー残高を「VB(Voucher Balance)」、チャージ残高を「CB(Charge Balance)」、後払い利用可能額を「DP(Deferred Payment)」、オートチャージ額を「AC(Auto Charge)」、購入金額を「PA(Purchase Amount)」と表現する。利用者は、併用決済方法をチャージ残高による決済に設定し、支払い方法の優先順位をチャージ残高、後払いの順に設定し、オートチャージ設定を有効に設定しているものとする。
【0064】
決済処理部130は、利用者の所有する特定バウチャーの残高が購入金額以上(VB≧PA)であるか否かを判定する(S200)。特定バウチャーの残高が購入金額以上(VB≧PA)である場合、決済処理部130は、特定バウチャー残高で電子決済を行う(S210)。特定バウチャーの残高が購入金額を下回る場合、決済処理部130は、特定バウチャー残高とチャージ残高の合計額が購入金額以上(VB+CB≧PA)であるか否かを判定する(S220)。
【0065】
特定バウチャー残高とチャージ残高の合計額が購入金額以上(VB+CB≧PA)である場合、決済処理部130は、特定バウチャー残高とチャージ残高を併用して電子決済を行う(S230)。特定バウチャー残高とチャージ残高の合計額が購入金額を下回る場合、特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額の合計額が購入金額以上(VB+CB+DP≧PA)であるか否かを判定する(S240)。
【0066】
特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額の合計額が購入金額以上である場合、決済処理部130は、特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額の合計額で電子決済を行う(S250)。特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額の合計額が購入金額を下回る場合、決済処理部130は、オートチャージを実行し、特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額とオートチャージ額の合計額が購入金額以上(VB+CB+DP+AC≧PA)であるか否かを判定する(S260)。
【0067】
特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額とオートチャージ額の合計額が購入金額以上である場合、決済処理部130は、特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額とオートチャージ額の合計額で電子決済を行う(S270)。特定バウチャー残高とチャージ残高と後払い利用可能額とオートチャージ額の合計額が購入金額を下回る場合、決済処理部130は、決済失敗とし、決済アプリ20にエラー通知を出力させる(S280)。
【0068】
以上説明した実施形態によれば、特定バウチャーの購入と寄付と電子決済に関する処理を一連の処理として実行することができ、利用者の利便性を向上させることができる。また、利用者が特定バウチャーを所有している場合は自動的に適用して電子決済を行うことでき、仮に、特定バウチャー残高が足りない場合においても他の決済方法を併用して電子決済を行うことができるため、利用者の利便性を向上させることができる。
【0069】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0070】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
100、100A 決済サーバ
120、120A 決済コンテンツ提供部
122A 表示制御部
130 決済処理部
140 情報管理部
150 バウチャー管理部
160 レコメンド部
【要約】
【課題】特定バウチャーの購入と寄付と電子決済に関する処理を一連の処理として実行することができる決済サーバ、決済方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】電子決済サービスを利用できる店舗のうち予め設定された設定店舗で利用可能な電子的な特定バウチャーであって、自治体への寄付に対する返礼品として取得される特定バウチャーの情報をサービスサーバから取得して管理するバウチャー管理部と、店舗識別情報を含む決済情報を取得したときに、バウチャー管理部の管理する情報から利用者が特定バウチャーを所有していないと判定した場合に、特定バウチャーの購入を促す情報を決済アプリに表示させるレコメンド部と、を備え、決済処理部は、利用者が特定バウチャーを購入する旨の情報を取得した場合、特定バウチャーの発行元の自治体への寄付のための処理と電子決済のための処理とを行う、決済サーバ。
【選択図】
図4