(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ナノメンブレイン、ナノメンブレイン組立体及びナノメンブレインの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 69/02 20060101AFI20240903BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240903BHJP
B01D 71/64 20060101ALI20240903BHJP
B01D 71/42 20060101ALI20240903BHJP
B01D 71/28 20060101ALI20240903BHJP
B03C 3/28 20060101ALI20240903BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20240903BHJP
B01D 71/40 20060101ALI20240903BHJP
D04H 1/728 20120101ALI20240903BHJP
【FI】
B01D69/02
B01D39/16 C
B01D71/64
B01D71/42
B01D71/28
B03C3/28
B01D69/00
B01D71/40
D04H1/728
(21)【出願番号】P 2023506580
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2020011401
(87)【国際公開番号】W WO2022025336
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0095919
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジョン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ボム ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,キ テク
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/016605(WO,A1)
【文献】特表2018-507096(JP,A)
【文献】特表2015-511173(JP,A)
【文献】特開2011-183254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00 - 71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を含み
、気孔度が50~90%である、ナノメンブレイン
であって、
前記ナノメンブレインの素材はポリイミド(PI)であり、
前記ナノメンブレインの300℃での熱収縮率は1%以下であり、
前記ナノメンブレインの空気透過度は100~200cm
3
/cm
2
/secである、ナノメンブレイン。
【請求項2】
前記ナノメンブレインを構成する素材の体積抵抗が1.6~2.0×10
16Ω・cm(ASTM D257)であり、誘電強度が200~600kV/mm(ASTM D149)である、請求項1に記載のナノメンブレイン。
【請求項3】
前記ナノメンブレインの厚さは1~30μmであることを特徴とする、請求項1に記載のナノメンブレイン。
【請求項4】
前記ナノメンブレインの単位重量は0.1~10g/m
2であることを特徴とする、請求項1に記載のナノメンブレイン。
【請求項5】
前記ナノメンブレインの密度は0.1~1.0g/cm
3であることを特徴とする、請求項1に記載のナノメンブレイン。
【請求項6】
前記ナノメンブレインの下記の測定方法による粉塵捕集効率が95%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のナノメンブレイン。
[粉塵捕集効率測定方法]
粉塵サイズ5μm、空気流速32L/min及び測定面積100cm
2にてAFT 8130を使用。
【請求項7】
前記ナノメンブレインの300℃での重量減少率は1%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のナノメンブレイン。
【請求項8】
前記ナノメンブレインはナノ繊維が不織布の形態に集積されていることを特徴とする、請求項1に記載のナノメンブレイン。
【請求項9】
平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を含み、気孔度は50~90%であり、厚さは1~30μmであり、空気透過度は
100~200cm
3/cm
2/secであり、下記の測定方法による粉塵捕集効率が95%以上である、防塵用ナノメンブレイン
であって、
前記ナノメンブレインの素材はポリイミド(PI)であり、
前記ナノメンブレインの300℃での熱収縮率は1%以下である、防塵用ナノメンブレイン。
[粉塵捕集効率測定方法]
粉塵サイズ5μm、空気流速32L/min及び測定面積100cm
2にてAFT 8130を使用。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載のナノメンブレイン、前記ナノメンブレインの一面に連結されている接着剤、及び前記接着剤の一面に連結されているキャリアを含む、防塵用ナノメンブレイン組立体。
【請求項11】
マイクロ電子機器システム(MEMS)の内部に異物が流入することを防ぐために前記マイクロ電子機器システムに付着されるMEMS用ナノメンブレイン組立体であって、
平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を有し、
空気透過度は100~200cm
3
/cm
2
/secであり、素材はポリイミド(PI)であり、300℃での熱収縮率は1%以下であるナノメンブレインと、
前記ナノメンブレイン上に連結されている接着剤と、
前記接着剤上に連結されているキャリアと、
を含む、MEMS用ナノメンブレイン組立体。
【請求項12】
ポリアミック酸溶液を電気紡糸してプリカーサーを製造する電気紡糸段階と、
前記プリカーサーの密度及び厚さを調節する加工段階と、
前記プリカーサーの形態を決定するコンバーティング段階と、
コンバーティングされた前記プリカーサーを硬化する
硬化段階と、
を含み、
前記電気紡糸段階で、前記プリカーサーが吐き出される方向に空気を吹き入れることを特徴とする、ナノメンブレイン製造方法であって、
前記ポリアミック酸溶液の固形分は5~30重量%であり、溶液粘度は200~300poiseであり、
前記電気紡糸段階の吐出速度は3~8mL/minであり、
前記加工段階は、20~100℃の温度で20~200kgf/cm
2
の圧力をかけるのであり、
前記硬化段階は、200~400℃で10~30分間遂行するのであり、
前記ナノメンブレインの素材はポリイミド(PI)であり、
前記ナノメンブレインの空気透過度は1~200cm
3
/cm
2
/secであり、
前記ナノメンブレインの300℃での熱収縮率は1%以下であるナノメンブレイン製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防塵性に優れたナノメンブレイン及びナノメンブレインを含む組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板(PRINTED CIRCUIT BOARD、PCB)、センサー(Sensor)、マイクロ電気機械システム(Micro Electro-Mechanical Systems、MEMS)などの電子機器には、内部・外部へと音及び空気を通過させ、ほこりなどの異物の内部への流入を防止することができるナノメンブレインが貼り付けられ(付着され)ている。このようなナノメンブレインについて、空気及び音響の透過度は低下させずに防塵性は向上させるための開発及び研究が、多様に行われている。
【0003】
韓国公開特許第10-2017-0094396号を見ると、環境バリアメンブレインを含むベント組立体について開示しているが、メンブレイン透過度を低下させずに防塵性を向上させる方案については言及していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、防塵性が向上することで、PCB、MEMSなどの電子機器の内部に物質、汚染/ほこりなどが流入することを効果的に防止し、さらに空気及び音響の透過度が低下しないナノメンブレインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一様態は、平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を含み、前記各気孔の最大直径が30μmであり、前記各気孔の最小直径は0.1μmであり、気孔度が50~90%であるナノメンブレインに関するものである。
【0006】
前記ナノメンブレインを構成する素材の体積抵抗が1.6~2.0×1016Ω・cm(ASTM D257)であり、誘電強度が200~600kV/mm(ASTM D149)であり得る。
【0007】
前記素材は、ポリイミド(PI)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、スチレンメチルメタクリレート(SMMA)またはスチレンアクリロニトリル(SAN)とすることができる。
【0008】
前記ナノメンブレインの厚さは1~30μmとすることができる。
【0009】
前記ナノメンブレインの空気透過度は1~200cm3/cm2/secとすることができる。
【0010】
前記ナノメンブレインの単位重量は0.1~10g/m2とすることができる。
【0011】
前記ナノメンブレインの密度は0.1~1.0g/cm3とすることができる。
【0012】
前記ナノメンブレインの下記の測定方法による粉塵捕集効率が95%以上であり得る。粉塵捕集効率は、
粉塵サイズ5μm、空気流速32L/min及び測定面積100cm2で、AFT 8130を使用して測定することができる。
【0013】
前記ナノメンブレインの300℃での熱収縮率は1%以下であり得る。
【0014】
前記ナノメンブレインの300℃での重量減少率は1%以下であり得る。
【0015】
前記ナノメンブレインはナノ繊維が不織布の形態に集積しているものとすることができる。
【0016】
本発明の他の様態は、平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を含み、気孔度は50~90%であり、厚さは1~30μmであり、空気透過度は1~200cm3/cm2/secであり、粉塵サイズ5μm、空気流速32L/min及び測定面積100cm2で、AFT 8130を使用して測定するとき、粉塵捕集効率が95%以上である防塵用ナノメンブレインに関するものである。
【0017】
本発明の他の様態は、ナノメンブレイン、前記ナノメンブレインの一面に連結されている接着剤、及び前記接着剤の一面に連結されているキャリアを含む防塵用ナノメンブレイン組立体に関するものである。
【0018】
本発明の他の様態は、マイクロ電子機器システム(MEMS)の内部に異物が流入することを防ぐために、前記マイクロ電子機器システムに貼り付けられ(付着され)るMEMS用ナノメンブレイン組立体であって、平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を有し、素材の体積抵抗が1.6~2.0×1016Ω・cm(ASTM D257)であり、誘電強度が200~600kV/mm(ASTM D149)であるナノメンブレインと、前記ナノメンブレイン上に連結されている接着剤と、前記接着剤上に連結されているキャリアと、を含むMEMS用ナノメンブレイン組立体に関するものである。
【0019】
本発明の他の様態は、ポリアミック酸溶液を電気紡糸してプリカーサーを製造する電気紡糸段階と、前記プリカーサーの密度及び厚さを調節する加工段階と、前記プリカーサーの形態を決定するコンバーティング段階と、コンバーティングされた前記プリカーサーを硬化する段階とを含み、前記電気紡糸段階にて、前記プリカーサーが吐出される方向へと空気を吹き入れることを特徴とするナノメンブレイン製造方法に関するものである。
【0020】
前記ポリアミック酸溶液の固形分は5~30重量%であり、溶液粘度は200~300ポアズ(poise)であり得る。
【0021】
前記電気紡糸段階の吐出速度は3~8mL/minとすることができる。
【0022】
前記加工段階は、20~100℃の温度で20~200kgf/cm2の圧力をかけることができる。
【0023】
前記硬化段階は、200~400℃で10~30分間遂行することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、空気及び音響の透過度を低下させずに防塵性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の例示的な実施様態を示すものであり、本発明のポリイミドナノメンブレインと従来のポリイミドメンブレイン及びPVDFポリイミドメンブレインを映像顕微鏡で撮影した写真である。
【
図2】本発明の例示的な実施様態を示すものであり、本発明のナノメンブレインを含むナノメンブレイン組立体を示す図である。
【
図3】ナノメンブレイン組立体を撮影した写真である。
【
図4】本発明の他の実施例によるナノメンブレイン製造方法のフローチャートである。
【
図5】実施例1で製造されたポリイミドナノメンブレインと比較例1で製造されたPVDFナノメンブレインとの熱重量曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は様々な相異なる形態に具現でき、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全般にわたって類似の部分に対しては同じ図面符号を付けた。
【0027】
本発明によるナノメンブレイン100は、平均直径0.5~20μmである複数の気孔を含む。各気孔の最大直径は30μmであり、各気孔の最小直径は0.1μmである。気孔の平均直径は、好ましく1~10μmである。そして、ナノメンブレイン100の気孔度は50~90%であり、好ましく60~85%である。
【0028】
気孔の平均直径が0.5μm未満、各気孔の最小直径が0.1μm未満、かつ気孔度が50%未満であれば、防塵性は優れるが、音響透過度が低下することにより、音損失が発生しうるのであり、MEMS MICの製造の際、MEMS MICの内部圧力が上昇してMEMS MICの物理的な損傷が発生しうる。気孔の平均直径が20μmを超え、各気孔の最大直径が30μmを超え、かつ気孔度が90%を超えれば、防塵性が低下しうる。
【0029】
ナノメンブレイン100を構成する素材の体積抵抗は1.6~2.0×1016Ω・cm(ASTM D257)であり、誘電強度は200~600kV/mm(ASTM D149)である。体積抵抗及び誘電強度が前記範囲未満であれば、十分な静電気が発生しないので、防塵性が低下してMEMS MIC用に適しないのでありうるのであり、前記範囲を超えれば、過度な静電気が発生してMEMS MIC及びPCBに電気的ノイズが発生しうる。
【0030】
このような特性を有する素材は摩擦による静電気を発生させることで、ほこりなどの異物を捕集する効果を増大させる。これにより、ナノメンブレイン100の防塵性が向上する。
【0031】
ナノメンブレイン100を形成する素材は、ポリイミド(PI)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、スチレンメチルメタクリレート(SMMA)またはスチレンアクリロニトリル(SAN)を使うことができる。
【0032】
特に、ポリイミドの場合、耐熱性に優れるので、熱による損失を減少させることができ、よってナノメンブレイン100の寿命を延ばすことができる。
【0033】
このように、本発明によるナノメンブレイン100は、静電気を発生させる素材から構成されることにより、大直径の気孔を有するにもかかわらず、優れた防塵効果を現すことができる。さらに、大直径の気孔を有するので、音響損失が最小化する。
【0034】
ナノメンブレイン100の厚さは1~30μmであり、好ましくは2~20μmであり得る。ナノメンブレイン100の厚さが1μm未満であれば、MEMS MICの製造の際、MEMS MICの内部圧力が上昇してMEMS MICの物理的な損傷が発生しうるのであり、防塵性が低下しうる。ナノメンブレイン100の厚さが30μmを超えれば、防塵性は優れるが、音響透過度が低下して音の損失が発生しうる。
【0035】
ナノメンブレイン100の空気透過度は1~200cm3/cm2/secであり、好ましくは100~200cm3/cm2/secである。空気透過度が1cm3/cm2/sec未満であれば、防塵性は優れるが、MEMS MICの製造の際、MEMS MICの内部圧力が上昇してMEMS MICの物理的な損傷が発生しうるのであり、音響透過度が低下して音損失が発生しうる。空気透過度が200cm3/cm2/secを超えれば、防塵性が低下しうる。
【0036】
ナノメンブレイン100の単位重量は0.1~10g/m2であり、好ましくは0.3~5g/m2である。単位重量が0.1g/m2未満であれば、MEMS MICの製造及び使用の際、振動及び衝撃によってナノメンブレイン100が破損しうる。単位重量が10g/m2を超えれば、MEMS MICまたはPCBに音損失が発生しうる。
【0037】
ナノメンブレイン100の密度は0.1~1.0g/cm3であり得る。密度が0.1g/cm3未満であれば、発生する静電気が少なくて防塵性が低下しうる。密度が10g/cm3を超えれば、MEMS MICまたはPCBの音響信号にノイズが発生しうる。
【0038】
ナノメンブレイン100の下記の測定方法による粉塵捕集効率は95%以上であり、好ましくは98%以上である。粉塵捕集効率が95%未満であれば、MEMS MICの製造の際、MEMS MICの内部に異物が流入してMEMS MICの品質に影響を与えうる。
【0039】
粉塵捕集効率の測定方法としては、粉塵のサイズ5μm、空気流速32L/min及び測定面積100cm2にて、AFT 8130(TSI社製)を使った。
【0040】
ナノメンブレイン100の300℃での熱収縮率は1%以下であり、重量減少率は1%以下である。
【0041】
MEMS MICの製造の際、溶接によって、MEMS MICの内部温度は最大270℃まで上昇するが、本発明によるナノメンブレイン100は、300℃での熱収縮率及び重量減少率が、それぞれ1%以下であるので、MEMS MICの製造の際、熱によるナノメンブレイン100の破損を防止することができる。
【0042】
ナノメンブレイン100は、ナノ繊維が不織布の形態に集積したものでありうるのであり、ナノメンブレイン100が不織布の形態を有することにより、無孔型メンブレイン、湿式/乾式メンブレイン、打孔/穿孔フィルムなどと比較するとき、優れた通気度を有する。したがって、空気及び音響透過度は低下せず、防塵性は向上することにより、粉塵などの異物が、PCB、センサー、MEMS MICなどの電子機器の内部に流入することを効率的に防止することができる。
【0043】
図1は、本発明の例示的な一実施形態によるポリイミドナノメンブレインと、従来のポリイミドメンブレイン及びPVDFポリイミドメンブレインを、映像顕微鏡で撮影した写真である。
【0044】
図1を参照すると、本発明の不織布の形態は、ナノ繊維が不規則的に絡まって大直径の気孔を有する形態である。大直径の気孔を有することにより、空気透過度が、既存のポリイミドメンブレイン及びPVDFポリイミドメンブレインと比較して著しく向上しうる。
【0045】
不織布は、織布と同様な方式ではなく、個々の繊維またはフィラメントの構造を有するシートを意味する。不織布は、カーディング(carding)、ガーネッティング(garneting)、エア-レイング(air-laying)、ウェット-レイング(wet-laying)、メルトブロイング(melt blowing)、スパンボンディング(spunbonding)、サーマルボンディング(thermal bonding)及びステッチボンディング(stitch bonding)からなる群から選択されるいずれか一つの方法によって製造することができる。
【0046】
本発明の他の例示的な実施形態は、平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を含み、気孔度は50~90%であり、厚さは1~30μmであり、空気透過度は1~200cm3/cm2/secであり、下記の測定方法による粉塵捕集効率が95%以上である防塵用ナノメンブレイン100である。粉塵捕集効率の測定方法としては、粉塵サイズ5μm、空気流速32L/min及び測定面積100cm2でAFT 8130を使った。
【0047】
本発明のナノメンブレイン100は、前記範囲の平均直径、気孔度、厚さ及び空気透過度を有することで、空気及び音響透過度は低下せずに、粉塵捕集効率は95%以上、好ましくは98%以上である優れた防塵効果を現すことができる。
【0048】
図2は、本発明の他の例示的な実施形態であるナノメンブレインを含むナノメンブレイン組立体を示す図であり、
図3は、ナノメンブレイン組立体を撮影した写真である。
【0049】
図2及び
図3を参照すると、ナノメンブレイン100を含むナノメンブレイン組立体200は、ナノメンブレイン100に付着され(貼り付けられ)るキャリア220をさらに含み、キャリア220は中心部に開口部が形成されている。
【0050】
キャリア220は、接着剤210を介してナノメンブレイン100に付着され(貼り付けられ)うる。接着剤210はシリコーン系またはアクリル系の粘着性高分子とすることができ、好ましくはシリコーン系とすることができるが、これに限定されない。
【0051】
キャリア220がナノメンブレイン100に付着され(貼り付けられ)ることにより、ナノメンブレイン100の耐久性を向上させることができる。
【0052】
ナノメンブレイン組立体200の形状は、円形、楕円形、長方形、角が丸い長方形、多角形、P字形などを有することができるが、これに限定されず、PCB、センサー、MEMS MICなどの電子機器によって多様な形状を有することができる。
【0053】
また、ナノメンブレイン組立体200が付着され(貼り付けられ)たPCB、センサー、MEMS MIC(MEMS MICrophone)などの電子機器は、内部に音、空気などは流入させるが、異物などの流入は遮断することができ、異物の流入を遮断することにより、耐久性などが向上して使用寿命を延ばすことができる。
【0054】
本発明の他の例示的な実施形態は、マイクロ電子機器システム(MEMS)の内部に異物が流入することを防ぐために、前記マイクロ電子機器システムに付着され(貼り付けられ)るMEMS用ナノメンブレイン組立体200であり、平均直径が0.5~20μmである複数の気孔を有し、素材の体積抵抗が1.6~2.0×1016Ω・cm(ASTM D257)であり、誘電強度が200~600kV/mm(ASTM D149)であるナノメンブレイン100、ナノメンブレイン上に連結されている接着剤210、及び接着剤210上に連結されているキャリア220を含むMEMS用ナノメンブレイン組立体200である。
【0055】
このように、本発明によるMEMS用ナノメンブレイン組立体200は優れた防塵性を有するナノメンブレイン100を含んでいるので、MEMS、好ましくはMEMSマイク(MEMS MIC)の内部に空気及び音響は透過させるが、ほこりなどの異物の流入は遮断させることができる。
【0056】
図4は本発明の他の例示的な実施形態によるナノメンブレイン製造方法のフローチャートである。
【0057】
図4を参照すると、本発明は、ポリアミック酸溶液を電気紡糸してプリカーサーを製造する電気紡糸段階、前記プリカーサーの密度及び厚さを調節する加工段階、前記プリカーサーの形態を決定するコンバーティング段階、及びコンバーティングされた前記プリカーサーを硬化させる段階を含む。前記電気紡糸段階で、プリカーサーが吐き出される方向に空気を吹き入れることができる。
【0058】
本発明で、ポリアミック酸溶液は、ジアミン単量体及びジアンハイドライド単量体を溶媒に溶解させることで製造することができる。
【0059】
ジアミン単量体は、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline、ODA)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene、RODA)、p-フェニレンジアミン(p-phenylene diamine、p-PDA)及びo-フェニレンジアミン(o-phenylene diamine、o-PDA)からなる群から選択される1種でありうるのであり、好ましくは4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline、ODA)、p-フェニレンジアミン(p-phenylene diamine、p-PDA)、o-フェニレンジアミン(o-phenylene diamine、o-PDA)またはこれらの混合物でありうる。
【0060】
ジアンハイドライド単量体は、ピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-benzophenone tetracarboxylic dianhydride、BTDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(4,4’-oxydiphthalic anhydride、ODPA)、3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸無水物(3,4,3’,4’-biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)、及びビス(3,4-カルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物(bis(3,4-dicarboxyphenyl)dimethylsilane dianhydride、SiDA)からなる群から選択される1種以上でありうる。
【0061】
溶媒は、m-クレゾール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテート、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム及びγ-ブチロラクトンからなる群から選択される1種以上でありうるのであり、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF)溶液でありうる。
【0062】
ポリアミック酸溶液の固形分は5~30重量%であり、溶液粘度は200~300ポアズ(poise)であり得る。好ましくは、固形分が10~20重量%であり、溶液粘度が220~280poiseであり得る。溶液粘度は、KSM ISO 2555の方法で23℃温度にて測定することができる。固形分の含量が5重量%未満であり、溶液粘度が200poise未満であれば、電気紡糸の過程にて高分子の含量が低くて繊維が生成され得ず、ビード状に噴射されうる。固形分の含量が30重量%を超え、溶液粘度が300poiseを超えれば、電気紡糸の過程で固化が発生して、ナノメンブレインの欠点が増加しうる。
【0063】
電気紡糸段階は、ポリアミック酸溶液を電気紡糸してプリカーサーを製造する段階である。電気紡糸段階で、プリカーサーを分散させるために、プリカーサーが吐出される方向に、空気を吹き入れることができる。空気の方向は、プリカーサーを分散させるために、プリカーサーが吐出される方向を基準に、多様な角度に調節されうる。
【0064】
電気紡糸の際、ノズルからポリアミック酸溶液が紡糸されてプリカーサーが製造され、紡糸されたプリカーサー同士の間に発生する静電気力によってプリカーサーが分散される。この際、プリカーサーをもっと広い範囲に分散させるために、所定の角度でプリカーサーに向けて空気を吹き入れることができる。空気の圧力によって、プリカーサーは、もっと広い範囲に分散されて降り積もることになる。この過程で、プリカーサーに含まれた溶媒が除去される。
【0065】
本発明では、プリカーサーに向けて空気を吹き入れることで、プリカーサーをもっと広い範囲に分散させることができるのであって、これにより、製造されるナノメンブレイン100は、大直径の気孔を有し、高い空気透過度を有する。
【0066】
また、電気紡糸段階で、溶媒を効率的に除去するために、水平方向に空気を注入することができるのであり、このように水平方向に注入された空気と、プリカーサーを分散させるための空気の量とを調節することで、ナノメンブレイン100の気孔サイズ、気孔度などを調節することができる。
【0067】
電気紡糸段階で、吐出速度は、2~8mL/minとすることができ、好ましくは3~5mL/minとすることができる。吐出速度が2mL/min未満であれば、積層される繊維の量が少ないことから、生産性が低下するか層間剥離が発生しうるのであり、気孔度及び気孔直径が大きくなることから防塵性が低下しうる。吐出速度が8mL/minを超えれば、チャンバー内の溶媒の飽和濃度が増加して、溶媒の未揮発が起きるのであり、これに伴い、最終的に、製品が再溶解してフィルム化するという問題が発生しうる。
【0068】
電気紡糸は、電圧10~100kVで遂行することができ、好ましくは50~90kVで遂行することができる。電圧が10kV未満であれば、電気紡糸が容易でないのでありうる。電圧が100kVを超えれば、電気紡糸工程中に、絶縁に脆弱な部分にてスパークが発生して、製品の損傷が発生するかまたは静電気によって移送中に剥離するという問題があり得る。
【0069】
加工段階は、電気紡糸段階にて降り積もったプリカーサーの密度及び厚さを調節する段階であり、2段連続カレンダーによって遂行することができる。加工段階は、20~100℃の温度で20~200kgf/cm2の圧力をかけることで遂行することができ、好ましくは30~80℃の温度で30~150kgf/cm2の圧力をかけることで遂行することができる。温度が20℃未満であり、圧力が20kgf/cm2未満であれば、ナノメンブレイン100のバルキー性が過度になって、ナノメンブレイン100の耐久性が低下しうる。温度が80℃を超え、圧力が200kgf/cm2を超えれば、ナノメンブレイン100のバルキー性が低くなって、音の透過度が低下しうる。
【0070】
コンバーティング段階は、加工されたプリカーサーの形態を決定する段階である。コンバーティングは、所望の幅の用品を得るためのスリッティング、及び、所望の長さの用品を得るための切断(guillotining)といった横切削を含むことができるのであり、所望の形状の用品を得るための、例えば平圧式または回転式のダイカッティングを含むことができる。
【0071】
硬化段階は、コンバーティングされたプリカーサーに熱を加える段階であり、200~400℃で10~30分間遂行することができ、好ましくは250~350℃で15~25分間遂行することができる。硬化段階で、温度が200℃未満であり、時間が10分未満であれば、硬化が行われず、湿度及び日光によって素材の分子量が低下して、メンブレインが破損しうる。温度が300℃を超え、時間が30分を超えれば、過度な熱によって熱収縮が発生しうる。
【0072】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいてより詳細に説明する。
【0073】
実施例1
固形分が11重量%であり、溶液粘度が250poise(KSM ISO 2555、23℃)であるポリアミック酸溶液5Lを製造した。
【0074】
製造されたポリアミック酸溶液を溶液タンクに移送した後、これを、定量ギアポンプを介して、ノズルが20個で構成されて60kVの高電圧が印加される紡糸チャンバーへと供給し、電気紡糸することでプリカーサーを製造した。この際、吐出速度は4mL/minであり、ノズルと集積板との間の距離と、ノズル端の距離との比は1.2であり、プリカーサーが吐出される向きに、所定の角度に空気を吹き入れてプリカーサー同士を分散させた。
【0075】
その後、プリカーサーをロールツーロール方式で移送させながら、65℃の温度に維持された2段連続カレンダーによって、100kgf/cm2の線圧力を加えて加工し、コンバーティング工程によって、厚さ5μm、単位重量3g/m2のコンバーティングされたプリカーサーを製造した。
【0076】
その後、コンバーティングされたプリカーサーを、ロールツーロール方式で移送させながら、300℃の温度に維持された連続硬化炉にて20分間、熱硬化することで、最終的に、厚さ4μm及び単位重量2g/m2のポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0077】
実施例2
実施例1において、硬化の際の温度及び時間を250℃及び30分に変更したことを除き、実施例1と同様の方法でポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0078】
実施例3
実施例1において、硬化の際の温度及び時間を350℃及び10分に変更したことを除き、実施例1と同様の方法でポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0079】
実施例4
実施例1において、吐出速度及び印加電圧を8mL/min及び90kVに変更したことを除き、実施例1と同様の方法でポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0080】
実施例5
実施例1において、ポリアミック酸溶液の固形分及び溶液粘度を12重量%及び280poise(KSM ISO 2555、23℃)に変更し、印加電圧を65kVに変更したことを除き、実施例1と同様の方法でポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0081】
実施例6
固形分が8重量%であり、溶液粘度200poise(KSM ISO 2555、23℃)であるポリアミック酸溶液5Lを製造した。
【0082】
製造されたポリアミック酸溶液を溶液タンクに移送した後、これを、定量ギアポンプを介して、ノズルが20個で構成されて60kVの高電圧が印加された紡糸チャンバーに供給し、電気紡糸することでプリカーサーを製造した。この際、吐出速度は3mL/minであり、ノズルと集積板との間の距離と、ノズル端の距離との比は1.2であり、プリカーサーが吐出される向きに、所定の角度に空気を吹き入れてプリカーサーを分散させた。
【0083】
その後、プリカーサーをロールツーロール方式で移送させながら、65℃の温度に維持された2段連続カレンダーによって、100kgf/cm2の線圧力を加えて加工し、コンバーティング工程によって、厚さ1.5μm、単位重量1g/m2のコンバーティングされたプリカーサーを製造した。
【0084】
その後、コンバーティングされたプリカーサーをロールツーロール方式で移送させながら、300℃の温度に維持された連続硬化炉にて10分間熱硬化することで、最終的に厚さ1μm及び単位重量0.5g/m2のポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0085】
実施例7
固形分が15重量%であり、溶液粘度300poise(KSM ISO 2555、23℃)であるポリアミック酸溶液5Lを製造した。
【0086】
製造されたポリアミック酸溶液を溶液タンクに移送した後、これを、定量ギアポンプを介して、ノズルが20個で構成されて80kVの高電圧が印加された紡糸チャンバーへと供給し、電気紡糸することで、プリカーサーを製造した。この際、吐出速度は3mL/minであり、ノズルと集積板との間の距離と、ノズル端の距離との比は1.2であり、プリカーサーが吐出される向きに、所定の角度に空気を吹き入れてプリカーサーを分散させた。
【0087】
その後、プリカーサーをロールツーロール方式で移送させながら、65℃の温度に維持された2段連続カレンダーによって、100kgf/cm2の線圧力を加えて加工し、コンバーティング工程によって、厚さ6μm、単位重量4g/m2のコンバーティングされたプリカーサーを製造した。
【0088】
その後、コンバーティングされたプリカーサーを、ロールツーロール方式で移送させながら、300℃の温度に維持された連続硬化炉にて10分間熱硬化することで、最終的に、厚さ5μm及び単位重量3g/m2のポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0089】
比較例1
ポリビニリデンフルオライド(PVDF、Polyvinylidene difluoride)をジメチルホルムアミド(DMF)溶媒に溶解させることで、固形分が15重量%であって溶液粘度が250poise(KSM ISO 2555、23℃)である電気紡糸溶液5Lを製造した。
【0090】
製造された電気紡糸溶液を溶液タンクに移送した後、これを、定量ギアポンプを介して、ノズルが20個で構成されて60kVの高電圧が印加された紡糸チャンバーに供給し、電気紡糸することでPVDFナノメンブレインを製造した。この際、吐出速度は4mL/minであり、ノズルと集積板との間の距離と、ノズル端の距離との比は1.2であった。
【0091】
比較例2
固形分が11重量%であり、溶液粘度が250poise(KSM ISO 2555、23℃)であるポリアミック酸溶液5Lを製造した。
【0092】
製造されたポリアミック酸溶液を溶液タンクに移送した後、これを、定量ギアポンプを介して、20個のノズルを含み、60kVの高電圧が印加された紡糸チャンバーに供給し、電気紡糸することでプリカーサーを製造した。この際、吐出速度は4mL/minであり、ノズルと集積板との間の距離と、ノズル端の距離との比は1.2であった。
【0093】
その後、300℃の温度に維持された連続硬化炉にて20分間熱硬化することで、最終的に、厚さ25μm及び単位重量13g/m2のポリイミドナノメンブレインを製造した。
【0094】
実験例1
実施例1及び比較例1及び2で製造されたナノメンブレインの表面を映像顕微鏡で60倍、160倍及び1000倍の倍率で写真を撮影し、これに対する結果を
図1に示した。
【0095】
図1を参照すると、本発明によるナノメンブレイン(実施例1)の場合、1000倍の倍にて気孔の直径が非常に大きいことが分かり、これからPVDFナノメンブレイン(比較例1)及び従来のポリイミドナノメンブレイン(比較例2)よりも優れた空気透過度を有することができる。
【0096】
実験例2
実施例1~7及び比較例1及び2で製造されたナノメンブレインの単位重量、厚さ、気孔度、空気透過度及び気孔サイズを下記の測定方法で測定し、これを下記の表1に示した。
【0097】
[測定方法]
単位重量:KS K 0514またはASTM D 3776
厚さ:KS K 0506またはKS K ISO9073-2、ISO4593
気孔度:下記の数学式1によって、ナノ繊維メンブレインの全体積に対する空気体積の比として計算する(全体積は、長方形または円形のサンプルを製造し、横の長さ、縦の長さ、厚さを測定して計算し、空気体積は、サンプルの質量を測定した後、密度から逆算した高分子体積を、全体積から差し引いて計算した)。
【0098】
[数1]
気孔度(%)=[1-(A/B)]×100={1-[(C/D)/B]}×100
【0099】
式1にて、Aはナノメンブレインの密度、Bはナノメンブレイン高分子の密度、Cはナノメンブレインの重量、Dはナノメンブレインの体積である。
【0100】
空気透過度:ASTM D 737、面積38cm2、静圧125Paの条件で測定した(cm3/cm2/sをCFMに換算することができ、換算係数は、0.508016であって、その単位はft3/ft2/min(CFM)である)。
【0101】
平均気孔直径:ASTM F316に規定されたキャピラリーフローポロメーター(capillary flow porometer、CFP)を使い、一番狭小な区間での空隙サイズである制限空隙の直径で、平均空隙サイズ及び空隙サイズの分布を測定する。
【0102】
【0103】
前記表1を参照すると、本発明によって製造されたポリイミドナノメンブレイン(実施例1~7)の場合、PVDFナノメンブレイン(比較例1)よりも空気透過度が非常に優れたことを確認することができる。
【0104】
また、気孔度が30%であって低い場合(実施例6)にも、気孔度80%のPVDFナノメンブレイン(比較例1)よりも空気透過度に優れたことを確認することができる。
【0105】
また、従来の方法によって製造されたポリイミドナノメンブレイン(比較例2)の場合、本発明によって製造されたポリイミドナノメンブレイン(実施例1~7)と比較すると、通気度が非常に低いことを確認することができる。
【0106】
実験例3
実施例1~7及び比較例1及び2で製造されたナノメンブレインにアクリル系粘着性組成物(ポリアクリルアミド)を付着し(貼り付け)、キャリアとしてポリイミドフィルムを付着する(貼り付ける)ことでナノメンブレイン組立体を製造した。ナノメンブレイン組立体を用いて、音響透過損失、通気性及び防塵性を下記の測定方法で評価し、その結果を下記の表2に示した。
【0107】
[測定方法]
音透過損失:スピーカーの周波数範囲(100~20,000Hz)でマイクの感度変化を確認し、マイク感度を認識するMEMSにナノメンブレイン組立体を付着した場合と付着しなかった場合の敏感度(Sensitivity)を測定して音損失程度を評価した。
【0108】
粉塵捕集効率(防塵性):粉塵サイズ5μm、空気流速32L/min及び測定面積100cm2でAFT 8130を使って測定する。
【0109】
【0110】
前記表2を参照すると、本発明によるナノメンブレインを使った場合(実施例1~7)、防塵性が95%以上であり、音透過損失が3.5dB以下であることを確認することができる。
【0111】
一方、従来の製造方法で製造したポリイミドナノメンブレインの場合(比較例2)、防塵性は99.5%であって優れるが、音透過損失が6.5dBであって非常に大きいことを確認することができる。
【0112】
実験例4
実施例1~7及び比較例1及び2で製造されたナノメンブレインの熱収縮率を下記の測定方法で評価し、その結果を下記の表3に示した。
【0113】
[測定方法]
熱収縮率(%):300℃±2℃温度のオーブンで30±2分間熱処理した後、23℃±2℃の温度及び50%±5%の湿度(相対湿度)の条件で24時間放置した後、長さの変化を測定する。
【0114】
【0115】
前記表3を参照すると、ポリイミドナノメンブレインの場合(実施例1~7、比較例2)、熱収縮率が1%未満であることから、PVDFナノメンブレイン(比較例1)より優れた耐熱性を有することが分かる。
【0116】
実験例5
実施例1及び比較例1で製造されたナノメンブレインについての、熱による重量減少率を測定するために、下記の測定方法で重量を測定し、その結果を
図5に示した。
【0117】
[測定方法]
重量減少率:0.5gのそれぞれの試料を準備し、前記試料に対してTGA分析機(Thermoplus EVO II TG8120、Rigaku社製)を使用し、窒素雰囲気で20℃/minの速度で常温~800℃まで温度を上げながら熱を加え、これによる重量変化を測定する。
【0118】
図5を参照すると、本発明によるポリイミドナノメンブレイン(実施例1)の場合、300℃での重量減少率が1%以下であることを確認することができるが、PVDFナノメンブレイン(比較例1)の場合、重量減少率が1%を著しく超えたことを確認することができる。
【0119】
このように、本発明によるナノメンブレインは、防塵性及び空気透過度が共に優れたことが分かる。
【0120】
また、本発明によるナノメンブレインは、耐熱性に優れることからMEMS MIC用に適していることを確認することができる。
【0121】
以上で、本発明の好適な実施例を詳細に説明した。本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに、他の具体的な形態へと容易に変形可能であることが理解可能であろう。
【0122】
したがって、本発明の範囲は詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって決定され、特許請求の範囲の意味、範囲及びその均等な概念から導出されるすべての変更または変形の形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。