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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】シート表皮材及びそれを含む座席
(51)【国際特許分類】
   D04B 21/14 20060101AFI20240903BHJP
   A47C 27/12 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
D04B21/14 Z
A47C27/12 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023509197
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2022013165
(87)【国際公開番号】W WO2022202811
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2021049801
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山室 美紗子
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-190191(JP,A)
【文献】特開2006-291416(JP,A)
【文献】特開2004-229894(JP,A)
【文献】特開2004-244765(JP,A)
【文献】特開平3-199455(JP,A)
【文献】特開2011-244867(JP,A)
【文献】特開2015-010282(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0044775(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/00-1/28,21/00-21/20
A47C 7/00-7/74,27/00-27/22、31/00-31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層の編地と、裏層の編地と、該表層の編地と該裏層の編地とを連結する連結糸から構成される立体編物を含むシート表皮材であって、該表層の編地の外側面が着座面であり、該シート表皮材の熱コンダクタンスの値が8.0W/m2・℃以上、立体編物の裏層の編地から表層の編地に向かって透過する通気度が50cc/cm2/sec以上、放熱性値が5.0W/m2・℃以上、該着座面の接触冷感が75W/m2・℃以上、該立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が35cc/cm 2 /sec以上、かつ、該表層の編地がマルチフィラメントを含み、該表層の編地の編目緻密度が11000~21000であることを特徴とする、シート表皮材。
【請求項2】
前記シート表皮材の熱コンダクタンスの値が40.0W/m2・℃以下である、請求項1に記載のシート表皮材。
【請求項3】
前記立体編物の裏層の編地から表層の編地に向かって透過する通気度が400cc/cm2/sec以下である、請求項1又は2に記載のシート表皮材。
【請求項4】
前記放熱性値が15.0W/m2・℃以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシート表皮材。
【請求項5】
前記着座面の接触冷感が200W/m2・℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシート表皮材。
【請求項6】
前記着座面と反対の面の接触冷感が75W/m2・℃以上200W/m2・℃以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシート表皮材。
【請求項7】
前記立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が40cc/cm2/sec以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の表皮材。
【請求項8】
前記立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が50cc/cm2/sec以上である、請求項に記載の表皮材。
【請求項9】
前記立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が400cc/cm2/sec以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の表皮材。
【請求項10】
厚みが3~15mmである、請求項1~のいずれか1項に記載のシート表皮材。
【請求項11】
前記シート表皮材の熱コンダクタンスの値が40.0W/m2・℃以下、立体編物の裏層の編地から表層の編地に向かって透過する通気度が400cc/cm2/sec以下、放熱性値が15.0W/m2・℃以下、前記着座面の接触冷感が200W/m2・℃以下、かつ、立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が50cc/cm2/sec以上400cc/cm2/sec以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載のシート表皮材。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のシート表皮材を含む、座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート表皮材及びそれを含む座席に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種椅子および座席のクッション材として、ウレタンフォームを用いるのが主流であった。しかし、ウレタンフォームは製造中に使用する薬品の取り扱いが困難である問題や、廃棄処理した場合に有毒ガスを発生する問題、リサイクルが困難である問題など、様々な問題を抱えていた。また、発泡ウレタン製のクッション材は通気性・放熱性に乏しく、着座した場合にムレや汗のべたつきを感じ易く、快適な座り心地が得られなかった。そのため、近年ではウレタンフォームに代わるクッション材として立体編み物等が用いられるようになってきた。
【0003】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成される立体編物は、優れた通気性や圧縮弾性回復性等からクッション材等各種用途に利用されている。以下の特許文献1には、皮膚接触面MMD値を規定し、クッション性、体圧分散性、風合いといった着座快適性を備えながら、長時間皮膚接触時においても肌刺激の少ない立体編物を含むクッション材が提案されている。また、以下の特許文献2には、高熱伝導性繊維を用いて放熱性を上げることにより清涼感の得られる立体編物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007―44386号公報
【文献】特開2004-190191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のクッション材は、通気性、放熱性といった温熱快適性については考慮されていない。また、特許文献2の立体編物は、メッシュ組織となり、人が着座した際にシート表皮材と人体が点接触となり、一部用途においては着座快適性が十分ではなく、また、編目緻密度が低く摩擦等の負荷が編目部分に集中するため、長期使用後に毛羽立ちが起きて外観変化が大きくなり易いものであった。
【0006】
以上の技術水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、着座快適性と温熱快適性を両立し、さらに耐摩耗性にも優れる立体編物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、立体編物を含むシート表皮材において、熱コンダクタンス、通気度、放熱性、さらには着座面の接触冷感を特定範囲とした場合に、上記課題が解決されることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]表層の編地と、裏層の編地と、該表層の編地と該裏層の編地とを連結する連結糸とから構成される立体編物を含むシート表皮材であって、該表層の編地の外側面が着座面であり、該シート表皮材の熱コンダクタンスの値が8.0W/m2・℃以上、立体編物の裏層の編地から表層の編地に向かって透過する通気度が50cc/cm2/sec以上、放熱性値が5.0W/m2・℃以上、かつ、該着座面の接触冷感が75W/m2・℃以上であることを特徴とする、シート表皮材。
[2]前記シート表皮材の熱コンダクタンスの値が40.0W/m2・℃以下である、前記[1]に記載のシート表皮材。
[3]前記立体編物の裏層の編地から表層の編地に向かって透過する通気度が400cc/cm2/sec以下である、前記[1]又は[2]に記載のシート表皮材。
[4]前記放熱性値が15.0W/m2・℃以下である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のシート表皮材。
[5]前記着座面の接触冷感が200W/m2・℃以下である、前記[1]~[4]のいずれかに記載のシート表皮材。
[6]前記着座面と反対の面の接触冷感が75W/m2・℃以上200W/m2・℃以下である、前記[1]~[5]のいずれかに記載のシート表皮材。
[7]前記立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が35cc/cm2/sec以上である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の表皮材。
[8]前記立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が40cc/cm2/sec以上である、前記[7]に記載の表皮材。
[9]前記立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が50cc/cm2/sec以上である、前記[8]に記載の表皮材。
[10]前記立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が400cc/cm2/sec以下である、前記[1]~[9]のいずれかに記載の表皮材。
[11]前記表層の編地がマルチフィラメントを含み、該表層の編地の編目緻密度が11000~21000である、前記[1]~[10]のいずれかに記載のシート表皮材。
[12]厚みが3~15mmである、前記[1]~[11]のいずれかに記載のシート表皮材。
[13]前記シート表皮材の熱コンダクタンスの値が40.0W/m2・℃以下、立体編物の裏層の編地から表層の編地に向かって透過する通気度が400cc/cm2/sec以下、放熱性値が15.0W/m2・℃以下、前記着座面の接触冷感が200W/m2・℃以下、かつ、立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層側から表層の編地に向かって透過する通気度が50cc/cm2/sec以上400cc/cm2/sec以下である、前記[1]~[12]のいずれかに記載のシート表皮材。
[14]前記[1]~[13]のいずれかに記載のシート表皮材を含む、座席。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシート表皮材は、これを座席の着座面として使用すれば、着座快適性と温熱快適性を両立し、快適な座り心地が得られ、さらには耐摩耗性に優れ長期間使用しても外観変化が少ない座席となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の1の実施形態は、表層の編地と裏層の編地と、該表層の編地と該裏層の編地とを連結する連結糸とから構成される立体編物を含むシート表皮材であって、該表層の編地の外側面が着座面であり、該シート表皮材の熱コンダクタンスの値が8.0W/m2・℃以上、立体編物の裏層の編地から表層の編地に向かって透過する通気度が50cc/cm2/sec以上、放熱性値が5.0W/m2・℃以上、かつ、該着座面の接触冷感が75W/m2・℃以上であることを特徴とする、シート表皮材である。
【0011】
本実施形態のシート表皮材は、表層の編地と、裏層の編地と、該表層の編地と該裏層の編地とを連結する連結糸とから構成される立体編物を含み、該表層の編地の外側面が着座面であるシート表皮材である。かかる立体編物は、相対する2列の針床を有する経編機、丸編機、横編機等により編成され、編機のゲージは9~28ゲージが好ましく用いられる。
【0012】
本実施形態のシート表皮材は、熱コンダクタンスの値が8.0W/m2・℃以上であることを特徴とし、好ましくは9.0W/m2・℃以上、より好ましくは9.5W/m2・℃以上である。熱コンダクタンスの値は、カトーテック(株)製のサーモラボII試験機を用いて測定する。具体的な測定方法は後述する。熱コンダクタンスが8.0W/m2・℃未満であると、着座した際に人体の熱が逃がされず快適性を損ねることとなり好ましくない。熱コンダクタンスを8.0W/m2・℃以上とするには、表層の編地を緻密にして空気層を少なくする、厚みを大きくしすぎないようにする等、熱伝導率を高くするような構造とし、かつ後述する通気度を立体構造により維持することが好ましい。また、本実施形態のシート表皮材の熱コンダクタンスの値は40.0W/m2・℃以下であることが好ましい。
【0013】
本実施形態のシート表皮材は、立体編物の裏層の編地から表層の編地に透過する通気度が50cc/cm2/sec以上であることを特徴とし、好ましくは60cc/cm2/sec以上、より好ましくは70cc/cm2/sec以上である。前記通気度はJIS-L-1096、1018通気性試験方法(A法空気量)に準じて、フラジール型試験機にて行う。前記通気度の具体的な測定方法は後述する。前記通気度が50cc/cm2/sec未満であると、着座した際に蒸れ感を感じると共にシートと人体との間の温湿度を高め、快適性を損ねることとなり好ましくない。前記通気度が50cc/cm2/sec以上であれば、ベンチレーションシステムが組み込まれているクッション部材と組み合わせて用いる座席シート用の表皮材として好適である。また、本実施形態のシート表皮材の前記通気度は400cc/cm2/sec以下であることが好ましい。
【0014】
本実施形態のシート表皮材は、立体編物の表層の編地と裏層の編地の間の連結層(以下、単に「連結層」ともいう。)側から表層の編地に向かって透過する通気度が35cc/cm2/sec以上であることが好ましく、より好ましくは40cc/cm2/sec以上、さらに好ましくは50cc/cm2/sec以上である。前記通気度はJIS L1096、1018通気性試験方法(A法)の吸引条件に準じて、立体編物の通気性を測定する際に、立体編物の試験片サイズを15cm角とし、表層の編地を下側にして通気性試験機の開口部に置き、裏層の編地の外側面には厚さ3mm、20cm角のシリコンラバープレートを重ねることで裏層の編地を透過する空気を遮断し、立体編物の4辺の断面から入り連結層を通って表層の編地を透過する空気の通気度のことをいう。また、本実施形態のシート表皮材の前記通気度は400cc/cm2/sec以下であることが好ましい。
【0015】
本実施形態のシート表皮材は、放熱性値が5.0W/m2・℃以上であることを特徴とし、好ましくは5.2W/m2・℃以上、より好ましくは5.5W/m2・℃以上である。放熱性値は、カトーテック(株)製のサーモラボII試験機を用いて測定する。具体的な測定方法は後述する。放熱性値が5.0W/m2・℃未満であると、着座した際に人体とシートとの間に熱がこもり、快適性を損ねることとなり好ましくない。放熱性値を5.0W/m2・℃以上とするには、熱コンダクタンスと同様、表層の編地を緻密にして空気層を少なくすることで熱伝導率を高くするような構造とし、なおかつ通気度を立体構造により維持することが好ましい。また、本実施形態のシート表皮材の放熱性値は15.0W/m2・℃以下であることが好ましい。
【0016】
本実施形態のシート表皮材は、着座面の接触冷感が75W/m2・℃以上であることを特徴とし、好ましくは80W/m2・℃以上、より好ましくは90W/m2・℃である。接触冷感の測定は、カトーテック(株)社製のサーモラボIIを使用する。具体的な測定方法は後述する。接触冷感が高いということは、熱板と試料の着座面の接触面積が大きいことに相当し、人が着座した際にチクチク感や違和感が生じず不快感がなく、また同時に着座面が緻密な構造であることを意味する。着座面が緻密であると、摩擦等の負荷が編目に集中するのを低減し、長期使用時の毛羽立ち抑えることができる。また、着座面と反対の面(裏面の編地の外側面)の接触冷感も75W/m2・℃以上であると、人が着座した際に、着座面から着座面と反対の面へと伝わった熱が、さらに該着座面と反対の面に接している椅子のフレームや、車両用の座席であればウレタンに伝わり、熱が逃げやすくなり清涼感が向上するため、好ましい。また、本実施形態のシート表皮材の着座面の接触冷感は200W/m2・℃以下であることが好ましい。
【0017】
本実施形態のシート表皮材では、表層の編地がマルチフィラメント糸で構成される場合、下式:
M=N×√D
{式中、Nは、2.54cm角(6.45cm2)当たりの表層の編地の編目数(個)であり、そしてDは、表層の編地の1個の編目を形成するマルチフィラメント糸の総繊度(デシテックス)である}で表される、編目1個の締まり具合を示す編目緻密度Mが、11000~21000であることが好ましく、より好ましくは12000~19000である。前記編目緻密度の具体的な測定方法は後述する。編目緻密度が11000以上であれば、編目を形成するマルチフィラメント糸の単糸が摩擦等の外力により動きにくくなり毛羽立ちにくくなる。また21000以下であれば、ソフトな風合となり、また編立性が良好であり、さらには通気度が十分に確保できる。尚、「表層の編地の1個の編目を形成するマルチフィラメント糸の総繊度」とは、挿入編み等の編目を形成しない繊維を除外した、編目を形成するマルチフィラメント糸のみの総繊度を指す。
【0018】
本実施形態のシート表皮材を構成する立体編物の連結糸には、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸を使用できるが、シート表皮材の圧縮弾性率を適度な範囲とし、圧縮回復性を良好にする点からモノフィラメント糸を用いることが好ましい。連結糸に用いる繊維素材としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の素材の繊維を用いることができる。このうち、ポリエチレンテレフタラート繊維を用いると、シート表皮材のリサイクル性が向上するため好ましい。繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型、不定形なものでもよいが、丸型断面がシート表皮材のクッション性の耐久性を向上させる上で好ましい。また、シート表皮材が圧縮される際に連結糸どうしが擦れ合って発生する耳障りな音を防止するには、連結糸にモノフィラメント糸とマルチフィラメント糸を、交編、糸複合等により併用し、マルチフィラメント糸を緩衝材として利用することが好ましい。
【0019】
連結糸にモノフィラメント糸を用いる場合には任意の繊度のものが使用可能であるが、ソフトな弾力感を得るためには50~600デシテックスの繊度が好ましく、より好ましくは80~500デシテックスである。連結糸は表層の編地、及び/又は、裏層の編地の中にループ状の編目を形成してもよく、表層の編地、及び/又は、裏層の編地に挿入状態やタック状態で引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸が表層の編地及び裏層の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜してクロス状(X状)、又はトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させる上で好ましい。この際、クロス状、トラス状共に連結糸が2本の連結糸で構成されていてもよく、1本の同一の連結糸が表または裏面で折り返し、見かけ上2本となっている場合であってもよい。
【0020】
本実施形態のシート表皮材を構成する立体編物の表層の編地及び裏層の編地に用いる繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維が挙げられる。繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型、不定形なものでもよい。繊維の形態は、原糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、エアー交絡糸、流体噴射加工糸等の嵩高加工糸のいずれのものを採用してもよい。連結糸がモノフィラメント糸である場合、該連結糸が編地表面へ露出しないように被覆率を上げるには、マルチフィラメント糸の仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましい。この場合のマルチフィラメント糸の繊度は、通常150~1000デシテックスであり、フィラメント数は任意に設定できる。表層及び裏層の編地の編地に用いる繊維がマルチフィラメントである場合、その単糸繊度は0.5~6.0デシテックスが好ましいが、単糸の強力がより高くなる1.0~5.0デシテックスがより好ましい。
【0021】
本実施形態のシート表皮材を構成する立体編物の表層の編地、裏層の編地、及び/又は、連結糸は、着色されていることが好ましい。着色方法は、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする方法(先染め)、紡糸前の原液に顔料や染料等を混ぜて着色する方法(原液着色)、立体編物状で染色したりインクジェットや転写を利用したプリント方法等が挙げられる。
【0022】
本実施形態のシート表皮材を構成する立体編物の表層の編地及び裏層の編地の編組織は同一である必要は無く、異なる編組織、異なる伸長特性のものであってもよいが、裏層の編地の外側面の動摩擦係数の標準偏差が表層の編地の外側面の動摩擦係数の標準偏差より小さい方が、表皮材としての貼り付け等が容易になり好ましい。
【0023】
本実施形態のシート表皮材を構成する立体編物の表層の編地及び裏層の編地のコース/ウェル数は、18/18~43/28個/2.54cmが好ましく、より好ましくは25/20~40/24個/2.54cmである。コース/ウェル数がこの範囲であると、通気度を維持したまま熱コンダクタンスや放熱性値を高くすることが可能であり、なおかつ接触冷感も高くすることができる。所定のコース/ウェル数とするには、編み機ゲージ、機上コース、ヒートセット条件等を適宜選択することにより達成できる。
【0024】
本実施形態のシート表皮材の厚みは、目的に応じて任意に設定できるが、2mm以上が好ましく、より好ましくは3mm以上であり、また、15mm以下が好ましく、より好ましくは10mm以下である。厚みが2mm以上であれば、クッション性が十分であり、15mm以下であれば、立体編物の編立や仕上げ加工が容易となりやすい。また、本実施形態のシート表皮材の目付は、好ましくは400~1000g/m2、より好ましくは500~800g/m2である。
【0025】
本実施形態のシート表皮材を構成する立体編物の仕上げ加工方法は、先染め糸や原液着色糸を使用した立体編物の場合、生機を精練、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。表層の編地、裏層の編地、及び連結糸を構成する糸のいずれかが未着色である場合、立体編物の生機をプレセット、精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。立体編物の硬さをコントロールする上で重要な最終のヒートセットは、ピンテンターを用いて幅出しにより連結糸の角度を調整しながら行うことが好ましい。また、難燃性を向上させるためには難燃剤を塗布することが好ましい。仕上げ加工後の立体編物は、溶着、縫製、樹脂加工等の手段で端部を処理したり、熱成形等により所望の形状にしたりしてシート表皮材とすることで、ハンモック式座席等、各種用途に用いることができる。また従来のシート表皮材のように、着座面の裏面にウレタンをラミネートしても構わないが、ラミネートせずに使用することが、リサイクル性の観点から好ましい。
【実施例
【0026】
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例等で用いた各種物性の測定方法は以下の通りのものであった。
【0027】
(1)熱コンダクタンス(W/m2・℃)
カトーテック(株)製のサーモラボII試験機を用いて測定する。具体的な測定方法としては、測定に使用する試料を20℃、65%RH環境下で24時間以上調湿した後、15cm×15cmにサンプリングし、着座面の反対側の面を20℃に保たれた熱板に接触させる。さらに30℃に加温された5cm×5cmの熱板を試料の着座面側に載せ、5分後に熱移動量を読みとり、温度差を1℃当たり、生地面積を1m2に換算する(W/m2・℃)。
【0028】
(2)立体編物の裏層の編地から表層の編地に透過する通気度(cc/cm2/sec)
JIS-L-1096、1018通気性試験方法(A法空気量)に準じて、立体編物の裏層の編地側から表層の編地側に透過する通気度を高山リード社製の通気性試験機FX3300ラボエアーIVを用いて測定する。
【0029】
(3)放熱性値(W/m2・℃)
カトーテック(株)製のサーモラボII試験機を用いて測定する。具体的な測定方法としては、測定に使用する試料を20℃、65%RH環境下で24時間以上調湿した後、15cm×15cmにサンプリングし、着座面を30℃恒温維持させたヒーターに接触させ、風速0.3m/secにおいてヒーター温を30℃に保つための熱供給量を読み取り、温度差を1℃当たり、試料面積を1m2に換算する(W/m2・℃)。
【0030】
(4)接触冷感(W/m2・℃)
カトーテック(社)製のサーモラボIIを用いて測定する。具体的な測定方法としては、測定に使用する試料を20℃、65%RH環境下で24時間以上調湿した後、8cm×8cmにサンプリングし、測定面を上にして置かれた試料に、20℃、65%RH環境下で30℃に温められた熱板を置いた瞬間の最大熱移動量を読み取り、温度差を1℃当たり、試料面積を1m2に換算する(W/m2・℃)。
【0031】
(5)立体編物の連結層から表側編地に向かって透過する通気度(cc/cm2/sec)
高山リード社製の通気性試験機FX3300ラボエアーIVを用い、試験片サイズ15cm角の立体編物の表層の編地を下側にして通気性試験機の開口部に置き、裏層の編地の外側面に厚さ3mm、20cm角のシリコンラバープレートを重ね、その上から通気性試験機のテストヘッドを押し当ててクランプで固定し、JIS L1096、1018通気性試験方法(A法)に準じた吸引条件で、立体編物の4辺の断面の連結層から入り表側編地を透過する通気度を測定する。
【0032】
(6)編目緻密度M
立体編物の2.54cm角(6.45cm2)当たりの表層の編地の編目数N(個)をマイクロスコープで計測する。また、表層の編地から10cm以上の糸を抜き出し、15gfの荷重を1本の糸に掛けた時の長さと重量を測定し、1本の糸の繊度を計算する。表層の編地の1個の編目を形成する繊維が2本以上の糸から形成されている場合は、それぞれの糸の繊度を計算して合計することで、表層の編地の1個の編目を形成するマルチフィラメント糸の総繊度D(デシテックス)を計測する。この際、連結糸は含まないようにする。尚、立体編物を編成する前に表層の編地の編目を形成する繊維の繊度を測定することが可能なものは、JIS L 1013に準拠して測定する。上記の通り計測された編目数N(個)と総繊度D(デシテックス)を用い、下記式:
編目緻密度M=N×√D
により編目緻密度Mを算出する。
【0033】
(7)温熱快適性及び着座快適性
試作したシート表皮材を貼り付けたSUVタイプのシートを設置し、着用モニター(身長170cm±10cmの男性、年齢22-32才)を10人選定し、そのモニター各人に明細を伏せて着席させ、官能試験を行った。尚、実験着としてすべての被験者に同一の長袖Tシャツ、ポリエステルのジャージズボンを着用させた。28℃、50%RH環境の人工気候室にて10分間安静にした後に、32℃、50%RH環境の人工気候室に移動し30分安静にした。その後同環境にて10分間着座した際の涼感、蒸れ感といった温熱快適性、クッション性や肌触りといった着座快適性を以下の5段階の評価基準で官能評価させ、最頻値を評価結果とした。
<温熱快適性の評価基準>
5:快適である
4:やや快適である
3:どちらとも言えない
2:やや不快である
1:不快である。
<着座快適性の評価基準>
5:快適である
4:やや快適である
3:どちらとも言えない
2:やや不快である
1:不快である。
【0034】
(8)外観変化(耐摩耗性)
ジーンズを着用した体重60~65Kgの男性が前記(7)で作製した座席に座って計50時間のデスクワークを行い、使用後の見栄えの変化を以下の評価基準で外観評価した。
<外観変化の評価基準>
◎ : 見栄えが全く変わらない
〇 : やや毛羽立ちが認められるが見栄えの変化は少ない
△ : かなり毛羽立ちが認められ見栄えの変化がやや大きい
× : 毛羽立ちが激しく見栄えの変化が激しい。
【0035】
[実施例1]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間6mmのダブルラッセル編機を用い、表層の編地を形成する2枚の筬(L2、L3)から167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸を2本引き揃えて1アウト1イン(L2)と1イン1アウト(L3)の配列で供給し、連結部を形成する1枚の筬(L4)から110デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントを1アウト1インの配列で供給し、更に、裏層の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸をいずれもオールインの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み35コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を1%幅出しして、オーバーフィード率0%で175℃×1分で乾熱セットし立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表1に示す。
(編組織)
L1:-
L2:1011/2322/
L3:2322/1011/
L4:3410/4367/
L5:0001/1110/
L6:2234/2210/
【0036】
[実施例2]
打ち込み39コース/2.54cmの密度とした以外は、実施例1と同様にしてシート表皮材を得た。このシート表皮材の諸物性を以下の表1に示す。
【0037】
[実施例3]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間6mmのダブルラッセル編機を用い、表層の編地を形成する2枚の筬(L2、L3)から167デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸を2本引き揃えて1アウト1イン(L2)と1イン1アウト(L3)の配列で供給し、連結部を形成する1枚の筬(L4)から110デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントを1アウト1インの配列で供給し、更に、裏層の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸をいずれもオールインの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み35コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を1%幅出しして、オーバーフィード率0%で175℃×1分で乾熱セットし立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表1に示す。
(編組織)
L1:-
L2:2133/4533/
L3:3422/1022/
L4:4521/4367/
L5:0001/1110/
L6:2234/2210/
【0038】
[実施例4]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間6mmのダブルラッセル編機を用い、表層の編地を形成する2枚の筬(L2、L3)から167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸を2本引き揃えて1アウト1イン(L2)と1イン1アウト(L3)の配列で供給し、連結部を形成する1枚の筬(L4)から110デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントを1アウト1インの配列で供給し、更に、裏層の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸をいずれもオールインの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み35コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を1%幅出しして、オーバーフィード率0%で175℃×1分で乾熱セットし立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表1に示す。
(編組織)
L1:糸供給なし
L2:1011/1233/4544/4322/
L3:4544/4322/1011/1233/
L4:3410/3245/2145/2310/
L5:0001/1110/
L6:2234/2210/
【0039】
[実施例5]
得られた生機を10%幅出ししてオーバーフィード率0%で175℃×1分で乾熱セットした以外は、実施例4と同様にして立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表1に示す。
【0040】
[実施例6]
得られた生機を15%幅出ししてオーバーフィード率0%で175℃×1分で乾熱セットした以外は、実施例4と同様にして立体編物を得、この編地の裏側を着座面としてシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表1に示す。
【0041】
[実施例7]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間6mmのダブルラッセル編機を用い、表層の編地を形成する2枚の筬(L2、L3)から111デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸を2本引き揃えて1アウト1イン(L2)と1イン1アウト(L3)の配列で供給した以外は、実施例1と同様にして立体編物の生機を編成し、得られた生機を15%幅出しして、オーバーフィード率0%で175℃×1分で乾熱セットし立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表1に示す。
【0042】
[比較例1]
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間13mmのダブルラッセル編機を用い、表層の編地を形成する2 枚の筬(L1、L2)から、キュプラレーヨン(スパン糸)20番単糸をL1ガイドに2イン2アウトの配列で、L2ガイドに2アウト2インの配列で供給した。裏層の編地を形成する2枚の筬(L5 、L6)から334デシテックス96フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(167デシテックス48フィラメントの2本引き揃え)を、L5ガイドに2イン2アウトの配列で、L6ガイドに2アウト2インの配列で供給した。さらに、連結糸を形成するL4の筬から、390デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントを、L3ガイドに2イン2アウトの配列で、L4ガイドに2アウト2インの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み15コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を30%幅出しして170℃ ×2分で乾熱セットして立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表2に示す。
(編組織)
L1:4544/2322/1011/3233/
L2:1011/3233/4544/2322/
L3:4545/2323/1010/3232/
L4:1010/3232/4545/2323/
L5:3345/4423/2210/1132/
L6:2210/1132/3345/4423/
【0043】
[比較例2]
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間14.2mmのダブルラッセル編機を用い、表層の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)から500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸を2本引き揃えて1イン1アウト(L1)と1アウト1イン(L2)の配列で供給し、連結部を形成する2枚の筬(L3、L4)から440デシテックスのポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントを1イン1アウト(L3)と1アウト1イン(L4)の配列で供給し、更に、裏層の編地を形成する1枚の筬(L5)から500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸をいずれもオールインの配列で供給し、もう1枚の筬(L6)から440デシテックスのポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントをいずれもオールインの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み12.8コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を4%幅出して、オーバーフィード率0%で160℃×2分30秒で乾熱セットして立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表2に示す。
(編組織)
L1:1011/1233/4544/4322/
L2:4544/4322/1011/1233/
L3:1023/1032/4532/4523/
L4:4532/4523/1023/1032/
L5:0001/1110/
L6:2245/3310/
【0044】
[比較例3]
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間13mmのダブルラッシェル機を用い、表層の編地を形成する筬(L1、L2)から、500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸、3本引き揃えインターレース加工糸) をオールインの配列で供給した。連結糸を形成する筬(L3)から、390デシテックスのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント糸をオールインの配列で供給した。さらに裏層の編地を形成する筬(L5、L6)から、500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(167デシテックス48フィラメントの高強力ポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸の3本引き揃えインターレース加工糸)をオールインの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み13.5コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を3% 幅出しして170℃ ×2分で乾熱セットして立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表2に示す。
(編組織)
L1:2322/1011/
L2:1011/1211/
L3:3410/4367/
L5:1110/0001/
L6:2210/2234/
【0045】
[比較例4]
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間13mm のダブルラッセル編機を用い、表層の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)から、668デシテックス192フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(167デシテックス48フィラメントの4本引き揃え)をオールインの配列で供給した。裏層の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)からも同一の仮撚加工糸をいずれもオールインの配列で供給した。さらに連結糸を形成するL3の筬から390デシテックスのポリエチレンテレフタレートモノフィラメントをオールインの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み12コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を5%幅出しして170℃ ×2分で乾熱セットして立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表2に示す。
(編組織)
L1:1011/2322/
L2:2322/1011/
L3:4367/3410/
L5:0001/1110/
L6:2234/2210/
【0046】
[比較例5]
打ち込み41コース/2.54cmの密度とした以外は、実施例1と同様にして立体編物を得、これをシート表皮材とした。このシート表皮材の諸物性を以下の表2に示す。尚、この立体編物は非常に編立性の悪いものであった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のシート表皮材は、これを座席の着座面として用いれば、着座快適性と温熱快適性を両立し、快適な座り心地が得られ、さらには耐摩耗性に優れ長期間使用しても外観変化が少ないため、家具用、事務用等に使用する座席、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、車椅子等の車両用の座席、ヘッドレスト、アームレストに好適に利用可能である。