IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キャタピラー インコーポレイテッドの特許一覧

特許7549142地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法
<>
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図1
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図2
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図3
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図4
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図5
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図6
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図7
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図8
  • 特許-地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】地面係合ツールの摩耗及び損失検出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240903BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023522853
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2021054472
(87)【国際公開番号】W WO2022093525
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】17/086,081
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペトラニー、ピーター、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ラム、シャストリ
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-105902(JP,A)
【文献】特開2015-190770(JP,A)
【文献】米国特許第10339667(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
作業機械(100)に関連するカメラ(128)から、少なくとも1つの地面係合ツール(GET)(125)を有する前記作業機械のバケット(120)を含む複数の画像(530)のビデオストリームを受信すること、
前記ビデオストリームから複数のツール画像(620)を一定期間に識別し、前記複数のツール画像は、前記一定期間内の複数の時間インスタンスにおいて前記少なくとも1つのGETを描画すること、
前記複数のツール画像から複数のツールピクセル数(635)を特定すること、及び
前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルおよび損失前記複数のツールピクセル数に基づいて特定すること、を含み、
前記少なくとも1つのGETの前記損失が、前記複数のツールピクセル数の経時変化率に基づいて特定されることを含む、
方法。
【請求項2】
前記摩耗レベルまたは損失に基づいて警報を生成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルおよび損失を前記複数のツールピクセル数に基づいて特定することは、前記一定期間内の前記複数の時間インスタンスを前記複数のツールピクセル数にマッピングすることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
摩耗レベルの傾向を特定すること(740)をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記摩耗レベルの傾向に基づいて前記少なくとも1つのGETの交換時間を予測することをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
システムであって、
カメラ(128)、
プロセッサ(140)、及び
前記プロセッサによって実行されるときに前記プロセッサに動作を実行させる実行可能命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体(150)を含み、前記動作は、
少なくとも1つの地面係合ツール(GET)(125)を有するバケット(120)の複数の画像(530)のビデオストリームを前記カメラから受信すること、
前記ビデオストリームから、一定期間内の複数の時間インスタンスにおいて前記GETを描画する前記複数のツール画像(620)を識別すること、
前記複数のツール画像から複数のツールピクセル数(635)を特定すること、及び
前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルおよび損失を前記複数のツールピクセル数に基づいて特すること、を含み、
前記少なくとも1つのGETの前記損失が、前記複数のツールピクセル数の経時変化率に基づいて特定されることを含む、システム。
【請求項7】
前記動作は、さらに、前記摩耗レベルまたは損失に基づいてアラームを生成することを含む請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルおよび損失を前記複数のツールピクセル数に基づいて特定することは、前記一定期間内の前記複数の時間インスタンスを前記複数のツールピクセル数にマッピングすることを含む請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記動作は、摩耗レベルの傾向(740)を特定することをさらに含む請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記摩耗レベルの傾向は、前記複数の時間インスタンスを前記複数のツールピクセル数にマッピングすることによって特定される請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体の経時的摩耗を検出するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、コンピュータ視覚技術を用いて地面係合ツール(GET)の経時的摩耗又は損失を検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械は、工事現場で様々なタスクを実行するために使用することができる。例えば、機械は、砂利、コンクリート、アスファルト、土壌、及び/または他の材料などの工事現場に存在する材料を掘削、移動、成形、輪郭の形成、及び/または除去するために使用することができる。これらの機械は、これらの材料を収集するためのバケットを含むことができ、且つバケットは、材料を解放するための歯などの地面係合ツール(GET)のセットを含むことができる。時間が経つにつれて、GETが摩耗して寸法が減少し、それらの有効性を低下させ、バケットが工事現場の材料を収集するのがより困難になる。GETはバケットから破断することもできる。GET破断が検出されない場合、GETは工事現場の材料と混合することができ、それに破砕機や粉砕機などの下流処理装置にダメージを与えることができる。作業機器は、摩耗検出システムを利用して下流装置が破損する前に摩耗または破断のGETを識別することができる。
【0003】
摩耗検出システムを提供する試みが、2019年7月2日に特許出願された米国特許番号10339667B2(「’667特許」)に記載されている。具体的には、’667特許は、重機に関連する作業工具の画像における摩耗部分の状態を特定する方法が記載されている。’667特許によれば、該方法は、重機の動作中に作業工具の画像をキャプチャすることに関する。画像は強度値を有する複数の画素を含む。’667特許はまた、複数の画素における連続画素サブセットを選択し、各画素サブセットを処理することにより、画素サブセットの画素強度値が摩耗の部分と一致するかどうかを特定することを記載している。画像をキャプチャして分類するトレーニングのニューラルネットワークを用いてマッチングを実行する。
【0004】
’667特許は、摩耗を識別するためのニューラルネットワークと機械学習への依存性に問題がある可能性がある。ニューラルネットワーク及び機械学習を計算的に訓練・使用することは、特に動画を介して撮影された大量の画像を処理する場合に高価である可能性がある。その他、’667特許に記載されているような機械学習技術は、それらを無効にするために大量の偽陽性が発生しやすい可能性がある。本明細書で説明されるシステム及び方法は、これらの問題のうちの1つまたは複数を解決するために使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第一の様態によれば、地面係合ツール(GET)の摩耗または損失を検出する方法は、作業機械に関連するカメラから作業機械のバケットを含む複数の画像のビデオストリームを受信することを含む。該バケットは少なくとも1つのGETを含む。該方法はまた、一定期間にビデオストリームから複数のツール画像を識別することを含む。複数のツール画像は、複数の時間インスタンスで少なくとも1つのGETを描画する。本方法はまた、複数のツール画像から複数のツールピクセル数を特定し、また複数のツールピクセル数に基づいて少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を特定することを含む。
【0006】
別の様態によれば、GET摩耗検出システムは、カメラ、プロセッサ、及び実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。実行可能命令は、プロセッサによって実行されるとき、該プロセッサの実行がカメラからビデオストリームを受信する動作を含み、該ビデオストリームが少なくとも1つのGETを有するバケットの複数の画像を含む。該動作は、さらにビデオストリームから複数のツール画像を識別することを含み、該複数のツール画像が一定期間に複数の時間インスタンスで少なくとも1つのGETを描画する。該動作はまた、複数のツール画像から複数のツールピクセル数を特定し、複数のツールピクセル数に基づいて少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を特定することを含む。
【0007】
別の様態によれば、GET摩耗検出システムは、カメラを含み、該カメラは作業機械の掘削-傾倒サイクルのある時間に、複数のGETがカメラの視野内にあるときに複数のGETを有するバケットのビデオストリームをキャプチャするように構成される。該システムはまた、プロセッサと実行可能命令を格納するコンピュータ可読媒体を含み、該実行可能命令がプロセッサによって実行されたときに該プロセッサににより動作を実行させる。該動作は、カメラからビデオストリームを受信することを含む。該ビデオストリームはバケットの複数の画像を含む。該動作はまた、ビデオストリームから複数のツール画像を識別することを含み、該複数のツール画像が一定期間に複数の時間インスタンスで少なくとも1つのGETを描画する。この動作はまた、複数のツール画像からGETに関連する複数のツールピクセル数を特定し、それに複数の時間インスタンスを該複数のツールピクセル数にマッピングすることに基づいてGETの摩耗レベルまたは損失を特定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面を参照して具体的な実施形態について説明する。図面において、参照符号の最左端の数字は参照符号が最初に現れる図面を示す。異なる図面における同一の符号は、類似または同一の項目を示す。
【0009】
図1図1はGETにおける摩耗を検出する ための例示的なシステムを含む例示的な機械を示す概略図のブロック図である。
図2図2はGETにおける摩耗を検出するための例示的なシステムを含む例示的な機械の例示的な環境を示す概略側面図である。
図3図3はGETにおける摩耗を検出するための例示的なシステムを含む例示的な機械の他の例示的な環境を示す概略側面図である。
図4図4はGETにおける摩耗を検出するための例示的なシステムを含む例示的な機械の他の例示的な環境を示す概略側面図である。
図5図5は画像選択処理のための例示的なデータストリームを示すデータフロー図である。
図6図6はGET識別及びピクセル数処理のための例示的なデータストリームを示すデータフロー図である。
図7図7は例示的な実施形態におけるGETピクセル数の時間インスタンスへの例示的なマッピングを示す図である。
図8図8は例示的な環境における摩耗を検出するための例示的なプロセスである。
図9図9は例示的な環境において摩耗検出分析を実行するための画像選択の例示的なプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、一般に、工事現場などの環境における作業機器のコンポーネントの摩耗をコンピュータ視覚技術を用いて検出するためのシステム及び方法に関する。いくつかの例では、作業機械に関連するカメラは、作業機械のコンポーネントのビデオをキャプチャする。ビデオは、コンポーネントの摩耗を検出するために、作業機械に関連するプロセッサによって解析される。該コンポーネントは、作業機械であるバケットの1つまたは複数の地面係合ツール(GET)であり得る。いくつかの例では、該システム及び方法は、バケット及びGETの両方を示すテンプレート画像を用いてカメラによってキャプチャされたビデオから処理のための画像を選択する。
【0011】
処理のために選択された画像について、該システム及び方法は、GETのピクセル数を特定し、またGETのピクセル数の経時変化のグラフまたはマッピングを作成する。ピクセル数は、いくつかの例としてのみ挙げたものであり、面積(例えば、GETの総ピクセル)、ピクセルを単位とするGETの高さ、ピクセルを単位とするGETの幅、GETの高さと幅の合計を含むことができる。ピクセル数の特定方法は、GETの形状やスタイルにによって変化することができる。例えば、長さが幅よりもはるかに大きいGETには、高さピクセル数を使用することができ、幅が長さよりもはるかに大きいGETには、幅ピクセル数を使用することができる。本開示の精神及び範囲を逸脱することない場合、ピクセル数を特定するための様々な方法を使用することができる。
【0012】
いくつかの例では、プロセッサは、GETピクセル数の経時変化率に基づいてGETの摩耗を特定し、またいつGETを交換する必要があるかを予測することができる。プロセッサはまた、GETピクセル数の経時変化率がいつ高いかに基づいて、GETのうちの1つが破断しているか(例えば、GET損失)を特定することができる。このような特定は、GETピクセル数の経時変化率を用いて行われ、該システム及び方法は、偽陽性の影響を最小化することによって摩耗検出における誤りを低減することができ、機械学習やニューラルネットワークなどのより誤りやすい技術よりも少ない処理リソースで行うことができる。
【0013】
図1は、例示的な摩耗検出コンピュータシステム110を含む例示的な作業機械100を示す概略図のブロック図である。図1は、作業機械100を油圧式採掘用ショベルとして図示しているが、他の例では、作業機械100は、土壌、岩石、鉱物などの材料を移動、彫刻、掘削、または除去する任意の機械を含むことができる。図1に示すように、作業機器100は、アーム122に取り付けられたバケット120を含むことができる。バケット120は 作業機械100が材料を解放するのを助ける 歯125などの1つまたは複数の地面係合ツール(GET)を含むことができる。本開示で提供される例は、歯125をGETと呼ぶが、他のタイプのGETも、本開示で提供される実施形態の範囲内にあると考えられる。例えば、GETは、リップカバー、エッジ保護装置、アダプタ、土緩器保護具、切削刃、サイドロッド保護具、先端、または作業機械に関連して、工事現場材料との摩擦により時間とともに摩耗する可能性がある他のツールを含むことができる。
【0014】
作業機器100は、さらにカメラ128を含むことができる。カメラ128は、バケット120及び歯125を指向する視野129を有することができる。カメラ128は、単眼カメラまたは立体カメラであり得る。
【0015】
作業機械100が工事現場内で動作しているとき、アーム122を移動させてバケット120を位置決めし、それによって掘削-傾倒サイクルの一部として工事現場で移動してまたは掘削材料とすることができる。作業機械100が掘削-傾倒サイクル中にバケット120を位置決めするとき、バケット120はカメラ128の視野129に出入りすることができる。カメラ128は、掘削-傾倒サイクル中に歯125を有するバリアフリービューとして位置決めすることができる。例えば、カメラ128は、バケット120が掘削-傾倒サイクル内で材料を空にするときにバケット120と歯125が見えるように、作業機械100に位置決めすることができる。別の例として、カメラ128は、アーム122が掘削-傾倒サイクル内で完全に伸長または完全に収縮したときにバケット120が視野に入るように位置決めすることができる。図2乃至図4に関して以下に説明するように、カメラ128の位置は、作業機器100の種類やその工事現場に関する詳細にによって変化することができる。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、作業機械100は、オペレータ制御パネル130を含むことができる。オペレータ制御パネル130は、オペレータが摩耗検出コンピュータシステム110に関連する状態またはアラームを受信できるように、作業機器100のオペレータに出力を生成するディスプレイ133を含むことができる。ディスプレイ133は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、陰極線管(CRT)ディスプレイ、または当技術分野で知られている他のタイプのディスプレイを含むことができる。いくつかの例では、ディスプレイ133は、スピーカまたはヘッドホンまたは周辺スピーカのためのポートなどのオーディオ出力を含むことができる。ディスプレイ133は、マイクや周辺マイクのためのポートなどのオーディオ入力デバイスを含むこともできる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ133は、入力デバイスとして機能することもできるタッチセンサディスプレイを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、オペレータ制御パネル130は、キーボード137をさらに含むことができる。キーボード137は、摩耗検出コンピュータシステム110に入力能力を提供することができる。キーボード137は、作業機械100のオペレータが摩耗検出コンピュータシステム110に入力を提供することを可能にする複数のキーを含むことができる。例えば、本開示の例によれば、オペレータは、作業機械100、バケット120または歯125に関連する画像テンプレートを選択するためにキーボード137のキーを押すことができる。キーボード127は非仮想的(例えば、物理的に押下可能なキーを含む)であってもよく、或いはキーボード127はディスプレイ133のタッチセンサー実施形態に示される仮想キーボードであり得る。
【0018】
図1に示すように、摩耗検出コンピュータシステム110は、プロセッサ140を含むことができる。プロセッサ140は、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、CPU、GPU、またはFPGAの何らかの組み合わせ、または任意の他のタイプの処理ユニットなどの1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。プロセッサ140は、算術演算及び論理演算を実行する多くの算術論理ユニット(ALU)と、プロセッサキャッシュから命令及び格納されたコンテンツを抽出し、その後、プログラム実行中に必要に応じてALUにアクセスすることにより命令を実行する1つまたは複数の制御ユニット(CU)とを有することができる。プロセッサ140はまた、通常のタイプの揮発性(RAM)メモリ及び/または不揮発性(ROM)メモリに関連付けることができるメモリ150に記憶されたアプリケーション、ルーチンまたはプロセスを実行するドライブ、及び他のコンピュータ実行可能命令の実行を担当することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、摩耗検出コンピュータシステム110はメモリ150を含むことができる。メモリ150は、揮発性(例えばRAM)、不揮発性(例えばROM、フラッシュメモリなど)、または両者の何らかの組み合わせであり得るシステムメモリを含むことができる。メモリ150は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術によって実現される、揮発性及び不揮発性、可動性及び非可動性媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体を含むこともできる。システムメモリ、リムーバブルストレージ、及びリムーバブルストレージは、非一時的なコンピュータ可読媒体の例である。非一時的なコンピュータ可読媒体の例としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多機能ディスク(DVD)または他の光メモリ、カセットテープ、磁気テープ、磁気ディスクメモリまたは他の磁気記憶装置、または必要な情報を記憶するために使用され、摩耗検出コンピュータシステム110によってアクセスされ得る他の非一時的媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
メモリ150は、コンピュータ実行可能命令を含む、本明細書に記載の摩耗検出コンピュータシステム110のためのデータを記憶することができる。例えば、メモリ150は、テンプレートライブラリ160、画像セレクタ165、画像解析器170、摩耗解析器175、及びアラーム管理器180などの摩耗検出コンピュータシステム110の1つまたは複数のコンポーネントを記憶することができる。メモリ150はまた、摩耗検出コンピュータシステム110の動作を可能にするために、追加のコンポーネント、モジュール、またはプロセッサ140によって実行され得る他のコードを記憶することができる。例えば、メモリ150は、入力/出力機能、ソフトウェアドライバ、オペレーティングシステム、または他のコンポーネントに関連するコードを含むことができる。
【0021】
テンプレートライブラリ160は、カメラ128によって摩耗検出コンピュータシステム110に提供されるビデオフィードから画像を識別して選択するために、画像セレクタ165によって使用される1つまたは複数のテンプレート画像を含むことができる。例えば、テンプレートライブラリ160は、ビデオフィードから1つまたは複数の画像テンプレートと基本的に類似した画像を見つけるために画像セレクタ165によって実行される分割または畳み込みフィルタリングアルゴリズムの一部として使用できる1つまたは複数の画像テンプレートを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、テンプレートライブラリ160に格納されたテンプレートは、バケット及びその歯の画像(例えばバケット-ツールテンプレート)を含む。例えば、作業機器100について、テンプレートライブラリ160に格納されたテンプレートの1つは、バケット120がカメラ128の視野内に位置することが予想されるため、歯125を有するバケット120の画像を含むことができる。いくつかの例では、1つまたは複数のテンプレートの歯125は、摩耗していなくて新しいもので、または工事現場で材料と接合する前に現れる。
【0022】
テンプレートライブラリ160は、各バケットツールテンプレートが作業機械、バケット、歯、GET、またはこれらの組み合わせに対応する複数のバケットツールテンプレートを含むことができる。操作中、オペレータはオペレータ制御パネル130を使用し、テンプレートライブラリ160から歯125または作業機械100のバケット120に適合するバケット-ツールテンプレートを選択することができる。例えば、作業機器100が「6015B」というモデルの油圧ショベルである場合、オペレータはオペレータコントロールパネル130を用いてモデル「6015B」を入力することができ、摩耗検出コンピュータシステム110は、テンプレートライブラリ160から6015Bというモデルの油圧ショベルに対応するテンプレートをメモリ150にロードすることができる。いくつかの例では、摩耗検出コンピュータシステム110の電源投入またはリセット動作時に、テンプレートライブラリ160に使用可能なテンプレートのリストをディスプレイ133に示すことができ、オペレータは、作業機械100の型番、バケット120のバケットの種類、または歯125の種類に基づいて、テンプレートの1つをリストから選択して動作に用いられる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、画像セレクタ165は、さらに摩耗検出分析のための画像を選択するための1つまたは複数の動作を実行することができる。いくつかの実施形態では、画像セレクタ165は、バケットツールテンプレート及びコンピュータ視覚技術を使用して、カメラ128のビデオフィードのビデオフレームをテンプレートにマッチングする。画像セレクタ165は、スコップツールテンプレートをカメラ128のビデオフィードのビデオフレームとマッチングするために、様々なコンピュータビジョン技術を単独で、または組み合わせて利用することができる。例えば、画像セレクタは、テンプレート、マスク、またはカーネルに基づいて画像内のオブジェクトを識別するために、普通のテンプレートベースのコンピュータ視覚的方法、特徴空間を使用する方法、相互相関的方法、画像分割、エッジ検出技術、畳み込みフィルタ、または当技術分野で知られている他の技術を使用することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、画像セレクタ165は、さらなる摩耗検出分析のための画像を選択するために他の技術を使用することができる。例えば、画像セレクタ165は、作業機械100の掘削-傾倒サイクル中にバケット120の位置に基づいて画像をキャプチャするように構成され得る。そのような例では、画像セレクタ165は、掘削-傾倒サイクルの開始または終了時など、バケット120が固定された位置にあることが予想される場合、またはバケットが完全に縮小または伸長される場合に画像を選択することができる。バケット120が固定位置に達すると、画像セレクタは、カメラ128のビデオフィードから画像をキャプチャし、将来の摩耗検出処理に使用するために選択することができる。画像セレクタ165はまた、バケット120と歯125がカメラ128に最も近いとき、またはカメラ128がバケット120と歯125の明瞭なビューまたはバリアフリービューを有するとき、掘削-傾倒サイクル中の点で画像を選択するように構成され得る。
【0025】
画像セレクタ165は、さらに摩耗検出分析のための画像を選択するために機械学習またはニューラルネットワーク技術を使用することもできる。例えば、画像セレクタは、カメラ128の視野に対して最適な位置にあるバケット120及び歯125、並びにカメラ128の視野に対して非最適な位置にあるバケット120及び歯125を示すトレーニングイメージライブラリを用いてトレーニングされたニューラルネットワークを含むことができる。訓練画像ライブラリはまた、欠落した歯125のうちの1つまたは複数を有するバケット120、それに付着した材料を有するバケット120、通常は作業機械100と共に使用されないバケットまたは歯など、偽陽性をトリガする可能性のある工事現場からの物体の画像を含むことができ、ほんの一部の例としてのみ使用される。ニューラルネットワークが訓練されると、画像セレクタ165はそれを使用してカメラ128のビデオフィードを処理し、さらに摩耗検出処理のための画像を選択することができる。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、画像セレクタ165は、上記識別技術の組み合わせを用いて、さらに摩耗検出分析のための画像を識別することができる。例えば、画像セレクタ165は、カメラ128によってキャプチャされたビデオストリームの画像へのバケット-ツールテンプレートの適用を開始するために、バケット120の掘削-傾倒サイクル内の視野129に対応する位置範囲内の位置をトリガとして使用することができる。このような実施形態では、画像セレクタ165は、バケット120が位置範囲外にある場合には「待機」モードに入ることができ、バケット120が位置範囲に入った場合には「開始処理」モードに入ることができる。別の例として、画像セレクタ165は、類似の方法でさらに処理するための画像を選択するために、バケット120の位置範囲を使用し、訓練されたニューラルネットワークと組み合わせることができる。
【0027】
画像解析器170は、画像セレクタ165によって選択された画像を解析して、選択された画像における各歯125をさらに識別するように構成され得る。いくつかの例では、画像解析器170は、取り込まれた画像内の歯125の予期の位置を使用して各歯125を選択する。例えば、画像セレクタ165がバケット-ツールテンプレートを使用する場合、バケット-ツールテンプレート中の歯とバケットの相対位置に基づいて、バケット120に対する歯125の予期の位置を知ることになる。この情報を用いて、画像解析器170は、選択された画像中の予期の位置に到達し、歯に隣接する画素領域をキャプチャすることができる。次に、畳み込みフィルタ、分割分析、エッジ検出、または画素領域内の画素強度/暗さ分析を適用するなどのコンピュータ視覚技術に基づいて、画素領域を使用して歯をさらに識別することができる。いくつかの実施形態では、画像解析器170は、コンピュータ視覚技術を使用して歯の位置をさらに細分化するために、単一の歯テンプレートを使用して画素領域に適用することができる。
【0028】
摩耗解析器175は、画像解析器170によって識別される歯画像または画素領域の摩耗を解析するように構成され得る。いくつかの実施形態では、画像解析器170は、画像セレクタ165によって使用される関連するバケットツールテンプレートに基づいて摩耗を解析し、処理のための画像を選択する。例えば、関連付けられたバケットツールテンプレートは、バケットツールテンプレートからの摩耗していない歯のサイズ及び歯の画像のサイズに基づいて画像解析器170によって識別された歯の画像と比較することができる摩耗していないツールの画像を含むことができる。いくつかの実施形態では、歯画像とバケットツールテンプレート中の対応する摩耗していない歯について類似性スコアを計算することができる。類似性スコアは、歯画像とバケット-ツールテンプレート中の対応する摩耗していない歯との整合度の尺度を反映することができる。例えば、類似性スコアは、類似性を検出するための結合交差またはJaccard指数法を使用することを含むことができる。いくつかの実施形態では、類似性スコアは、類似性を検出するdice係数またはF1スコア法を用いて特定することができる。類似性スコアはまた、バケット-ツールテンプレート内で対応する摩耗していない歯とのオーバーラップの割合を反映するいくつかの歯画像を有する画素の値を含むことができる。いくつかの実施形態では、類似性スコアは0~100からスケーリングまたは正規化することができる。
【0029】
類似性スコアは、歯125の摩耗指示を提供することができる。例えば、低スコア(例えば、0~20の範囲)は、歯125のうちの1つが破断または欠損していることを示し、歯の損失を示すことができる。高スコア(例えば、80~100の範囲)は、歯の健康が良く、交換が必要ないことを示すことができる。低スコアと高スコアとの間のスコアは、歯の摩耗レベルを提供することができ、ここで、より高いスコアは、より低いスコアより歯を交換するためのリードタイムが長いことを示す。
【0030】
いくつかの実施形態では、摩耗解析器175は、歯125の画像に関連する画素を時間とともにカウントし、このピクセル数を用いて歯125の摩耗レベルと歯125の摩耗傾向を特定することができる。例えば、作業機械100は、その工事現場で数日間作業することができる。作業機械100が作業中に材料を移動すると、カメラ128は、バケット120と歯125のビデオフィードを摩耗検出コンピュータシステム110に提供し、画像解析器170は、歯を有する画素領域を識別して更なる解析に使用する。摩耗解析器175は、動作中の一定時間内のいくつかの時間インスタンスにおいて、歯に関連するピクセル数をマッピングすることができる。バケット120と歯125が現場で材料と接合されると、歯125は摩耗により寸法が減少することが予想される。したがって、歯125に関連するピクセル数も時間とともに低下し、時間とともにピクセル数は摩耗傾向を反映する。特定の時点における歯125の摩耗レベルは、特定の時点における摩耗傾向を用いて特定することができる。歯125の摩耗レベルは、歯125の交換が必要であることを示すことができ、または歯125のうちの1つ以上の歯の損失を示すことができる。いくつかの実施形態では、歯125に関連するピクセル数をメモリ150に記憶し、複数の作業及び複数の工事現場に適用することができ、歯125の寿命に摩耗傾向を適用することができる。このような実施形態では、摩耗分析器175によって捕捉された歯125に関連するピクセル数をバケット120または歯125を交換する際にリセットすることができ、摩耗分析器175は歯125を捕捉するピクセル数をゼロ時点から再開することができる。
【0031】
摩耗解析器175は、経時的に測定された歯125のピクセル数に基づいて摩耗傾向を特定するので、摩耗解析器175はまた、歯125がいつ交換される必要があるかの予測を形成することができる。例えば、摩耗解析器175が、歯125に関連付けられたピクセル数が、歯125が10時間当たり1%寿命を失うことを示している(ピクセル数が10時間当たり1%減少するため)と判定し、歯125が800時間使用されている場合、摩耗解析器175は、歯125を200時間以内に交換する必要があると判定することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、摩耗検出コンピュータシステム110は、アラームマネージャ180を含むことができる。アラームマネージャ180は、摩耗分析器175と通信することができ、摩耗分析器175によって特定された摩耗傾向及び摩耗レベルを監視することができる。アラームマネージャ180は、摩耗解析器175によって特定された情報に基づいてオペレータ制御パネル130にメッセージアラームを提供することができる。例えば、摩耗レベルが摩耗しきい値に達した場合、アラームマネージャ180は、オペレータコントロールパネル130のディスプレイ133に示されたアラームを生成することができる。該しきい値は、極端な歯摩耗を示す値に対応するか、場合によっては完全な歯損失を示す値に対応することができる。アラームは、1つまたは複数の歯125を交換する必要がある指示を作業機器100のオペレータに提供することができる。摩耗しきい値は、実施形態に応じて変化することができ、歯125の種類及び歯125と接合される現場の材料に依存することができる。
【0033】
アラームマネージャ180はまた、歯125を2週間以内に交換する必要があるなど、将来のある時点で交換する必要があるアラームを提供することができる。交換アラームは、歯125の摩耗傾向予測に関する情報を含むことができる。例えば、交換アラームは、摩耗傾向の定量化(例えば、歯125が稼働日当たり2%摩耗する)、歯が使用された時間量、または歯125が使用データに基づいて摩耗しきい値に達する予定の日付または時間を含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、アラームマネージャ180は、摩耗分析器175によって特定された摩耗傾向を監視し、作業機械100のオペレータに現在の摩耗レベルを通知するように摩耗レベル値をディスプレイ133に提供することができる。例えば、摩耗傾向が歯125が60%摩耗したことを示している場合、摩耗傾向に基づいて、アラームマネージャ180は、歯125が交換される必要がある前にその寿命の40%が残される指示を提供することができる。 ディスプレイ133はまた、オペレータに歯がすでに破断し、歯の損失(例えば、歯125のうちの1つまたは複数が20%未満の寿命を有する場合)を示すしたことを通知することができる。
【0035】
図2は、ホイールローダ作業機201が動作している例示的な環境200の概略側面図であり、そのうち、ホイールローダ作業機器201が動作している。ホイールローダ作業機械201は、バケット220と1つまたは複数の地面係合歯225とを含むことができる。図2に示すように、カメラ228は、掘削-傾倒サイクルの傾倒終了時に、カメラ228の視野229内に歯225及びバケット220が存在するように配置される。したがって、画像セレクタ165(図1)は、このような実施形態では、掘削-傾倒サイクルの傾倒終了時にバケット220が静止している間で画像をキャプチャするように構成され得る。
【0036】
図3は、例示的な環境300の概略側面図であり、油圧掘削ショベル作業機械301が動作している。油圧掘削ショベル作業機械301は、バケット320と1つ又は複数の地面係合歯325とを含むことができる。ホイールローダ作業機器201のカメラ228の位置とは反対し、カメラ328は、掘削-傾倒サイクルの掘削終了時にカメラ328の視野329内に歯325が位置するように配置される。画像セレクタ165(図1)は、このような実施形態では、掘削-傾倒サイクルの掘削終了時にバケット320が静止している間で画像をキャプチャするように構成され得る。
【0037】
図4は、例示的な環境400の概略側面図であり、そのうち、電気ロープショベル作業機械401が動作している。電気ロープショベル作業機械401は、バケット420と、1つまたは複数の地面係合歯425と、カメラ428とを含むことができる。図4に示すように、掘削-傾倒サイクルの中点において、歯425はカメラ428の視野429内にあってもよいが、バケット420はカメラ428に比較的近接している。このような実施形態では、画像セレクタ165(図1)は、バケット420がカメラ428の視野429に関連する位置範囲に入ったときに画像をキャプチャするように構成され得る。
【0038】
図5は、画像選択プロセスを例示するためのデータストリームを示す画像選択データストリーム図500を示す。いくつかの実施形態では、テンプレートライブラリ160は、バケットツールテンプレート510を画像セレクタ165に提供することができる。上述したように、バケット工具テンプレート510は、作業前に作業機械100のオペレータによって選択されてもよい。いくつかの実施形態では、バケットツールテンプレート510は、摩耗検出コンピュータシステム110のソフトウェアまたはファームウェアにプリロードされる。作業機械100が現場で動作している場合、カメラ128は、複数の画像530を含むビデオフィードを画像セレクタ165に提供することができる。画像セレクタ165は、テンプレート510を用いて複数の画像を解析することができる。例えば、画像セレクタ165は、さらに摩耗検出分析のために選択された画像540を識別するために、コンピュータ視覚テンプレートマッチング技術、畳み込みフィルタ、分割分析、エッジ検出、または他のコンピュータ視覚技術を使用して、テンプレート510を複数の画像530にマッチングすることができる。
【0039】
図5に示すように、テンプレート510は、テンプレートバケット520とテンプレート歯525の画像を含む。テンプレートバケット520は、バケット120がカメラ128の視野内にどのようにして現れるかに一致する位置及び方向におけるバケット120の画像を表すことができる。テンプレート歯525は、新しい、摩耗していない、または使用されていない歯125のバージョンを表すことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、テンプレート510は、選択された画像540内の各歯125を後で識別するために使用することができるテンプレート歯位置527を近似する情報を提供することを含む。テンプレート歯位置527は、テンプレート510に組み込まれたバケット-ツール画像の1つの位置のピクセルオフセットを含むことができる。例えば、オフセットはバケット520の左上隅の下向き及び右向きのピクセル数であり得る。いくつかの実施形態では、テンプレート歯位置527は、バケット520の縁または角からのオフセットではなく、テンプレート歯525の絶対画素位置であり得る。図像分析器170可以使用模板歯位置527来近似所選図像540内的対応図像歯位置547。画像解析器170は、選択された画像540内の対応する画像歯位置547を近似するためにテンプレート歯位置527を使用することができる。
【0041】
図6は、ピクセル数データフローチャート600を示す。ピクセル数データフローチャート600は、歯125に関連するピクセル数を特定するために画像解析器170内で発生することができる例示的なデータフローを示す。例示的なデータフローチャート600は歯125に関連するが、異なる実施形態では他のGETが想定される。いくつかの実施形態では、画像解析器170は、キャプチャされたバケットツール画像610を選択された画像540の背景から分離するために、選択された画像540に対してコンピュータ視覚分割解析を実行する。バケット‐ツール画像610が背景から分割されると、画像解析器170は、キャプチャされたバケット‐ツール画像610に関連する複数の歯画像620を識別し、拡張することにより、選択された画像540を識別することができる。画像解析器170は、複数の歯画像620を識別するためにいくつかの技術を使用することができる。例えば、上述したように、画像解析器170は、テンプレート歯位置527を用いて、近似的に対応する画像歯位置547を特定し、その後、単一歯を含む可能性のある画像の所定サイズの画素領域630を抽出することができる。例えば、画素領域630は、50画素の高さ×30画素幅であってもよく、画像解析器170は、対応する画像歯位置547ごとに画素領域630を抽出してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、画像解析器170は、キャプチャされたバケット‐ツール画像610から複数の歯画像620を分割するために、追加のテンプレートマッチング、分割、畳み込みフィルタまたは他のコンピュータ視覚技術を使用することができる。例えば、画像解析器170は、1つの歯のテンプレートを用いて複数の歯画像620を識別することができる。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、画像解析器170は、複数の歯画像620に関連するピクセル数を特定することができる。いくつかの実施形態では、画像解析器170は、選択された画像540から歯に関連する画素635を検出することができる。例えば、画像解析器170は、画素635が436画素を含むと判定することができる。画素635は、摩耗した作業機械100の歯125の1つの実際の寸法及び次元の視覚的表現または抽象化を特定することができる摩耗アナライザを提供することができる。画像解析器170は、さらなる解析のために、ピクセル数を摩耗解析器175に転送することができる。
【0044】
画像解析器170は、バケットツールテンプレート510内のテンプレート歯525を表すピクセル数に基づいて、各歯に関連する画素の予想量(例えば、予想数、予想位置、予想組み分けなど)を特定することもできる。例えば、画像解析器は、テンプレート歯525のエッジに基づいて摩耗していない歯の予期のエッジ640を検出するために、例えばエッジ検出などのコンピュータ視覚技術を使用することができる。予期のエッジ640内のピクセル数は、画素635の予期のピクセル数を表すことができる。いくつかの実施形態では、摩耗解析器175は、予期のピクセル数及び画素635の実際の数を用いて、特定の時点での歯摩耗レベルを特定することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、摩耗解析器175は、上述のようにテンプレート歯525(摩耗していない工具を表す)と複数の歯画像620との間の類似性スコアを計算することができる。類似性スコアは、歯125の予想されるピクセル数と実際の画素635の数との差に基づいて計算することができる。いくつかの実施形態では、畳み込みフィルタを使用して、テンプレート510と選択された画像540またはテンプレート510の部分(例えば、テンプレート歯525)と選択された画像540の対応する部分との比較に基づいて類似性スコアを作成することができる。一例では、類似性スコアは0~100のスケールに正規化することができ、20未満の値は低類似性(例えば、歯が欠けたり折れたりする可能性がある)を表し、80を超える値は通常摩耗していないツールを表し、20~80の間の値は異なる摩耗距離を表す。類似性スコアは0~100の範囲でスケーリングすることができるが、開示された実施形態の精神及び範囲内では他の範囲を想定することができる。
【0046】
図7は、ツールピクセル数の経時的マッピングの例示的摩耗傾向図700を示す図であり、曲線705として示されている。いくつかの実施形態によれば、摩耗傾向図700は摩耗分析器175によって作成することができる。摩耗傾向図700は、ピクセル数軸710と時間軸720とを含むことができる。摩耗傾向図700は、ピクセル数軸710を垂直軸とし、時間軸720を水平軸として示しているが、いくつかの実施形態では、これらの軸は逆にすることができる。ピクセル数軸710は、ピクセル数だけインクリメントすることができる。時間軸720は、例えば、分、時間、または日などの任意の期間にわたってインクリメントすることができる。いくつかの実施形態では、摩耗解析器175は、ディスプレイ133に摩耗傾向図700の図形表現を提示させるコードをオペレータ制御パネルに提供する。
【0047】
図7には例示的な摩耗傾向図700が視覚的に示されているが、摩耗解析器175は、表示可能なコードを作成する必要はない。そのような実施形態では、摩耗傾向図700に示すデータは、摩耗傾向、摩耗レベル、及び/または歯125の損失を特定するために摩耗解析器175が使用するデータ構造またはオブジェクトに格納することができる。そのような実施形態について、摩耗傾向図700は、本開示において議論の目的のために提供される視覚的支援である。
【0048】
図7の例に示すように、摩耗傾向図700は、歯1 731、歯2 732、歯3 737、歯4 734の4種類の歯の曲線705を示している。摩耗傾向図700の提示された視覚的表現において、摩耗傾向図700は、摩耗傾向図700上の曲線と歯1 731、歯2 732、歯3 737と歯4 734との間の相関を識別する歯キー730を含むことができる。摩耗傾向図700は歯に関するデータを示しているが、いくつかの実施形態では他のタイプのGETに関する曲線を示してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、摩耗解析器175は曲線705に基づいて摩耗傾向を特定することができる。例えば、図7は、歯4 734の曲線705の摩耗傾向740を示す。例示的な摩耗傾向マップ700では、摩耗傾向740は線形であるが、いくつかの用途では、いくつかの歯は非線形摩耗傾向を有することができる。摩耗傾向図700は、摩耗レベルしきい値750を含むこともできる。摩耗傾向740が摩耗レベルしきい値750と交差すると、摩耗傾向740に対応する歯(例えば、歯4 734)は、 すでに交換が必要な時点まで摩耗しているか、または破断しており、歯損失<59/>を示している。いくつかの実施形態では、アラームマネージャ180は、作業機械100のオペレータ歯の交換が必要であることを知らせる視覚的または音声的アラームを生成することができる。いくつかの実施形態では、摩耗傾向740は、摩耗傾向740の外挿バージョンと摩耗しきい値750との間の交差点に基づいて、歯を交換する必要があるかもしれない将来の時点を検出するために使用されてもよい。
【0050】
図8は、例示的な画像の選択プロセス800を示すフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、プロセス800は、画像セレクタ165及び画像解析器170によって実行することができる。以下の議論では、プロセス800を画像セレクタ165及び画像解析器170によって実行されると説明するが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、摩耗検出コンピュータシステムの他のコンポーネントはプロセス800の1つまたは複数のブロックを実行することができる。
【0051】
プロセス800は、画像セレクタが作業機械のバケットのビデオストリームをキャプチャするブロック810で開始する。ビデオストリームは、作業機械のバケットとバケットの地面係合ツール(GET)(例えば歯)の複数の画像を含むことができる。ブロック820で、画像セレクタ165は、バケットツールテンプレートを用いてビデオストリームから複数の画像を分割する。上記の議論と一致するバケット-ツールテンプレートは、摩耗していないGETを有するバケットの画像を含む。画像セレクタは、分割分析を使用して、ビデオから供給される複数の画像のバケットと歯の画像が背景から分割されるブロック820を実行することができる。さらに、バケットツールテンプレートは、複数の画像とバケットツールテンプレートとの間の類似性を特定するために複数の画像に適用されるマスクとして機能することができる。いくつかの実施形態では、画像セレクタはバケット-ツールテンプレートと複数の画像との間の類似性スコアを特定する。類似性に基づいて、画像セレクタ165は、ブロック830で摩耗検出分析のための画像を選択することができる。
【0052】
ブロック840で、画像解析器は、ブロック830で選択された画像のうちの複数のGETを識別する。いくつかの実施形態では、画像解析器は、図5に関して上述したように、バケット-ツールテンプレート内のツールの位置を使用して複数のGETを識別することができる。複数のGETを識別すると、ツールの摩耗レベルを特定することができる。摩耗レベルは、バケット-ツールテンプレートに描かれた摩耗していないツールのピクセル数と、複数のGETに関連するピクセル数との差に基づいて特定することができる。別の例として、ブロック850は、バケット-ツールテンプレート内のツールの類似性を複数の識別されたGETと比較することによって実行することができる。別の例として、図9に示す摩耗検出分析プロセス900に従って摩耗レベルを特定することができる。
【0053】
図9は、例示的な摩耗検出分析プロセス900を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、プロセス900は、摩耗検出コンピュータシステム110の1つまたは複数のコンポーネントによって実行することができる。以下の議論では、プロセス900を摩耗検出コンピュータシステム110の一部のコンポーネントとして実行するように説明するが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、摩耗検出コンピュータシステムの異なるコンポーネントはプロセス900の1つまたは複数のブロックを実行することができる。
【0054】
プロセス900は、画像セレクタが作業機械のバケットのビデオストリームを受信するブロック910で開始する。ビデオストリームは、作業機械のバケットとバケットの地面係合ツール(GET)の複数の画像を含むことができる。ブロック920で、画像セレクタは、さらに摩耗検出処理のための画像をビデオストリームから選択する。いくつかの例では、画像セレクタは、画像選択プロセス800について上述したバケットツールテンプレートを使用してブロック920を実行する。いくつかの実施形態では、画像選択器165は、掘削-傾倒サイクルにおける作業機械のバケットの位置に基づいて画像を選択する。例えば、バケットがカメラがバケットとそのGETの画像をキャプチャする最適な位置にある場合、画像セレクタはビデオストリームの画像をキャプチャすることができる。他の例では、画像セレクタは、機械学習技術またはニューラルネットワークを使用して、摩耗検出分析のための最適な画像を識別することができる。ブロック920において、画像は、上記の技術のうちの1つまたは複数を組み合わせて選択することができる。
【0055】
ブロック930で、画像解析器は、選択された画像内のGETを識別する。画像解析器は、図6及び図8に関して上述した実施形態と一致するGETを検出することができる。画像解析器がGETを識別すると、ブロック940で、画像解析器はGETのピクセル数を特定する。いくつかの例では、ピクセル数が摩耗解析器に提供される。ブロック950で、摩耗解析器は、GETのピクセル数を時間インスタンスにマッピングする。時間インスタンスは、絶対日付時間値(例えば、2020年10月1日16:04:32)であってもよく、または作業機器の操作に基づく相対時間(例えば、作業機器の操作の秒数、分数、時間数)であり得る。
【0056】
ブロック960において、摩耗解析器は、現在のピクセル-時間マッピング及び以前のピクセル-時間マッピングに基づいてGETの摩耗レベルを特定する。摩耗解析器175は、ピクセル時間マッピングのための最適フィット線または最適フィット曲線を作成することにより摩耗レベルを特定することができる。摩耗レベルが摩耗しきい値より高い場合(ブロック970:はい)、処理はブロック920に戻る。摩耗レベルが摩耗しきい値より低い場合(ブロック970:いいえ)、アラームマネージャ180は、交換が必要な1つ以上のアラームをGETして生成することができる。いくつかの実施形態では、アラームが生成された後、処理はブロック920に戻る。
【0057】
以上の説明を通して、摩耗検出コンピュータシステム110のいくつかのコンポーネントは、いくつかの動作を実行するように記述される。しかし、摩耗検出コンピュータシステム110のいくつかの実施形態では、上記以外のコンポーネントがこれらの動作を実行することができる。さらに、摩耗検出コンピュータシステム110は、実施形態例において上述したものよりも追加的なコンポーネント、またはより少ないコンポーネントを含むことができる。摩耗検出コンピュータシステム110は、上記に開示された特定の実施形態に限定される必要はないことを、当業者は理解するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本明細書に記載のシステム及び方法は、掘削、移動、成形、輪郭の形成、及び/または土壌、岩石、鉱物などの材料の除去などの作業機械の操作に関連して使用することができる。これらの作業機器には、工事現場で材料をすくい、掘ったり、倒したりするためのバケットを装備することができる。バケットには、作業中に材料を緩めるのを助けるための一連の地面係合ツール(GET)を装備することができる。作業機械はまた、本明細書に記載された例に従った摩耗検出方法を実行するように構成されたプロセッサとメモリとを有するシステムを含むことができる。該システム及び方法は、GETなどの作業機械コンポーネントの摩耗を検出することができる。いくつかの例では、該システム及び方法は、摩耗検出処理のために作業機械に関連するカメラから作業機械コンポーネントのビデオをキャプチャすることができる。いくつかの例では、該システム及び方法は、カメラによってキャプチャされたビデオから処理のための画像を選択するために、ビデオ画像と比較された画像テンプレートを使用する。テンプレートは、作業機械に関連する摩耗していないGETを有するバケットのサンプル画像を含むことができる。単一の摩耗していない歯のテンプレートとは反対に、バケットツールテンプレートを使用することで、画像選択処理に必要なリソースを削減できる。バケット-ツールテンプレートはGETが1つしかないテンプレートよりも大きいため、少ない処理サイクルでテンプレートとキャプチャされた画像を比較する。バケット・ツール・テンプレートの使用は、画像選択の精度を高め、偽陽性を減らすこともできる。工事現場の汚れ、破砕屑、または岩石破片の塊は、サイズと形状が単一の歯に似ていることができるため、単一の歯テンプレートを使用する従来の摩耗検出システムは、このような材料をGETに誤って使用して、処理ミスや偽陽性を引き起こすことができる。したがって、バケットツールテンプレートを使用することにより、単一の歯テンプレートを使用するコンピュータビジョンまたは方法上の処理におけるエラーを低減することができる。
【0059】
いくつかの例では、該システム及び方法は、単一のGETを識別し、バケットツールテンプレートに基づいて選択された画像中のGETのピクセル数をGETの予想されるピクセル数と比較することにより、摩耗検出のための画像を選択する。いくつかの例では、該システム及び方法は、バケット-ツールテンプレート中の摩耗していないGETの位置に基づいて単一のGETを識別することができ、バケットに対する選択画像中のGETの近似位置をバケット-ツールテンプレート中のGETの既知の位置に基づいてバランスさせることができ、選択画像内の特定のGETを識別するために標準的なコンピュータ視覚技術(例えば、畳み込みフィルタ)を使用することができる。標準的なコンピュータビジョン技術の焦点を選択した画像でGETされた近似位置に縮小することにより、処理時間が短縮される。
【0060】
いくつかの例では、該システム及び方法は、GETされた画像を一定期間キャプチャすることによって摩耗検出を特定する。例えば、該システム及び方法は、GETされた複数の画像をその期間内の複数の時間インスタンスでキャプチャすることができる。該システム及び方法は、本明細書に開示された例示的な実施形態を使用して、複数の時間インスタンスにおけるGETのピクセル数を特定することができる。ピクセル数は時間インスタンスにマッピングすることができ、該システム及び方法は、ピクセル数の変化率に基づいて摩耗傾向を特定することができる。該システム及び方法は、摩耗傾向に基づいてGETが交換を必要とするときを予測することができる。GETの経時的なピクセル数を使用することにより、該システム及び方法は、摩耗傾向の外れ値であり、摩耗傾向の統計的ノイズを表すため、偽陽性の影響を最小化することにより摩耗検出における誤りを低減することができる。さらに、開示されたシステム及び方法は、機械コンポーネントの摩耗を特定するための機械学習またはニューラルネットワーク技術よりも少ない処理リソースが必要である。したがって、開示されたシステム及び方法は、コンピュータ視覚技術を使用して摩耗を識別するために機械学習またはニューラルネットワーク技術に依存する摩耗検出システムよりも効果的であり、より正確であり、より少ない処理リソースが必要であるためである。
【0061】
上記の例を参照して、本開示の様々な態様を具体的に示し、説明したが、開示された精神及び範囲を逸脱することなく、開示された装置、システム及び方法の変更によって様々な追加の実施形態を想定することができることを当業者は理解するであろう。そのような実施形態は、特許請求の範囲及びその任意の等価物に基づいて特定された本開示の範囲内に入ると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9