(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】発音装置に適用可能な振動膜、その製造方法及び発音装置
(51)【国際特許分類】
H04R 7/02 20060101AFI20240903BHJP
H04R 7/18 20060101ALI20240903BHJP
H04R 9/06 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H04R7/02 D
H04R7/18
H04R9/06 Z
(21)【出願番号】P 2023540574
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2022095300
(87)【国際公開番号】W WO2022247912
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】202110606241.0
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512280079
【氏名又は名称】ゴーアテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GOERTEK INC
【住所又は居所原語表記】#268 Dongfang Road,Hi-Tech Industry District,Weifang,Shandong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティン
(72)【発明者】
【氏名】リー チュン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ チウリン
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/237607(WO,A1)
【文献】特開2007-191666(JP,A)
【文献】特開2009-290815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 7/02
H04R 7/18
H04R 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発音装置に適用可能な振動膜であって、1層の熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムのみを含み、
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、芳香族ジカルボン酸とジオールとを反応させて得られたポリエステルハードセグメントと、脂肪族ポリカーボネートを含むソフトセグメントとを共重合することにより形成され、
前記振動膜は、厚さが10~200μmであり、23℃の環境での損失係数が0.1~0.3である、ことを特徴とする振動膜。
【請求項2】
前記脂肪族ポリカーボネートは、ポリヘキサメチレンポリカーボネートジオールを含み、かつ前記ソフトセグメントの重量の70%以上を占める、ことを特徴とする請求項1に記載の振動膜。
【請求項3】
前記ソフトセグメントは、ポリカプロラクトン、ポリ(1,4-アジピン酸ブチレン)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及びポリエチレンオキシドのうちの1種類又は複数種類をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の振動膜。
【請求項4】
前記ソフトセグメントは、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの重量の20%~80%を占める、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の振動膜。
【請求項5】
前記ソフトセグメントは、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの重量の30%~60%を占める、ことを特徴とする請求項4に記載の振動膜。
【請求項6】
前記ハードセグメントは、ポリブチレンテレフタレートを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の振動膜。
【請求項7】
23℃の環境での損失係数は0.1~0.2である、ことを特徴とする請求項1に記載の振動膜。
【請求項8】
23℃の環境で、
前記発音装置の最低共振周波数F0は、F0≦500Hzであり、前記振動膜の引張弾性率は、20~100Mpaであるか、
或いは、
前記発音装置の最低共振周波数F0は、F0>500Hzであり、前記振動膜の引張弾性率は、50~400MPaである、ことを特徴とする請求項1~3、6、7のいずれか一項に記載の振動膜。
【請求項9】
前記振動膜のMDとTDの両方向の貯蔵弾性率の比率は、80~120:100である、ことを特徴とする請求項1~3、6、7のいずれか一項に記載の振動膜。
【請求項10】
ハードセグメントのプレポリマーとソフトセグメントのプレポリマーとを、230~265℃の温度で、0.5~2hの反応時間、共重合反応させるステップと、その後、造粒し、フィルムを押し出すステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の振動膜の製造方法。
【請求項11】
前記ハードセグメントのプレポリマーの分子量は、15000~30000であり、前記ソフトセグメントのプレポリマーの分子量は、10000~50000である、ことを特徴とする請求項10に記載の振動膜の製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載の振動膜及び前記振動膜の一側に結合されたボイスコイルを含む振動システムと、前記振動システムと協働し、前記ボイスコイルの振動を駆動させて前記振動膜を発音させる磁気回路システムとを含む、ことを特徴とする発音装置。
【請求項13】
ケースと、前記ケース内に設置された磁気回路システム及び振動システムとを含み、前記振動システムは、ボイスコイル、第1振動膜及び第2振動膜を含み、前記ボイスコイルは、天頂部が前記第1振動膜に接続され、前記磁気回路システムは、前記ボイスコイルの振動を駆動させて前記第1振動膜を発音させ、前記第2振動膜は、両端がそれぞれ前記ケース及び前記ボイスコイルの底部に接続される、請求項1に記載の振動膜である、ことを特徴とする発音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響の技術分野に関し、特に発音装置に適用可能な振動膜、その製造方法及び発音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
業界におけるスピーカの性能に対する要件の向上に伴い、ますます多くの製品は、より高い音量、高品質の音質及び高レベルの防水などを求めている。従来のスピーカの振動膜は、多くの場合、エンジニアリングプラスチック(例えばPEEK、PAR、PET、PI、PEIなど)を基層とし、アクリルゲル、シリカゲル層などを減衰層とし、弾性率及び減衰を両立させる熱可塑性エラストマーを反発層とする複合構造材料を用いる。このような複合フィルムは、スピーカの振動膜として用いられる場合、より高い音量、高品質の音質及び高レベルの防水などの要件と完全にマッチングすることができない。近年、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、振動膜の反発弾性を効果的に向上させ、振動膜の折れを減少させ、振動膜の突変振動過程での歪みを軽減することができるため、ますます多くの製品は、製品の高品質の音質及び防水などに対する需要を満たすために、該材料をスピーカの振動膜として用いている。
【0003】
現在、スピーカ業界における一般的な熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ポリエーテル-ポリエステル型であり、高温耐性、耐薬品性などの面で依然として一定の不足がある。他の業界において、より多くの種類の熱可塑性ポリエステルエラストマー、例えばポリブチレンテレフタレートハードセグメントと脂肪族ポリカーボネートソフトセグメントとを合成して得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーが報告されているが、それらが絶縁材料、ハウジング材料などの、発音用途とは異なる材料として用いられるため、絶縁性、引張強度などの性能の最適化に重点を置いており、耐薬品性、減衰性、最低共振周波数などの音響性能を無視するため、振動膜に用いることができない。
【0004】
以上に鑑み、本発明を提案するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ポリエステルハードセグメント及び脂肪族ポリカーボネートソフトセグメントで構成され、該材料は、従来の熱可塑性エラストマーの高温耐性及び耐薬品性が低いという問題を解決するだけでなく、感度を向上させるとともに、振動膜の振動に必要な剛性、反発弾性、減衰性などの基本的な性能を効果的に両立させる、発音装置に適用可能な振動膜を提供することを主な目的とする。
【0006】
本発明は、工程が簡単であり、過酷なプロセス条件がない、上記振動膜の製造方法を提供することを他の目的とする。
【0007】
本発明は、振動発音に用いられる本発明の上記実施例における振動膜が設置された発音装置を提供することをさらにまた他の目的とする。
【0008】
本発明は、ボイスコイルの振動をバランスさせるために用いられる本発明の上記実施例における振動膜が設置された発音装置を提供することをさらにまた他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を提供する。
【0010】
本発明の第1態様の実施例に係る発音装置用の振動膜は、1層の熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムのみを含み、
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、芳香族ジカルボン酸とジオールとを反応させて得られたポリエステルハードセグメントと、脂肪族ポリカーボネートを含むソフトセグメントとを共重合することにより形成され、
前記振動膜は、厚さが10~200μmであり、23℃の環境での損失係数が0.1~0.3であるものである。
【0011】
本発明のいくつかの実施例において、前記脂肪族ポリカーボネートは、ポリヘキサメチレンポリカーボネートジオールを含み、かつ前記ソフトセグメントの重量の70%以上を占めてもよい。
【0012】
本発明のいくつかの実施例において、前記ソフトセグメントは、ポリカプロラクトン、ポリ(1,4-アジピン酸ブチレン)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及びポリエチレンオキシドのうちの1種類又は複数種類をさらに含んでもよい。
【0013】
本発明のいくつかの実施例において、前記ソフトセグメントは、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの重量の20%~80%を占めてもよい。
【0014】
本発明のいくつかの実施例において、前記ソフトセグメントは、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの重量の30%~60%を占めてもよい。
【0015】
本発明のいくつかの実施例において、前記ハードセグメントは、ポリブチレンテレフタレートを含んでもよい。
【0016】
本発明のいくつかの実施例において、前記振動膜は、23℃の環境での損失係数が0.1~0.2であってもよい。
【0017】
本発明のいくつかの実施例において、23℃の環境で、
前記発音装置の最低共振周波数F0≦500Hzである場合、前記振動膜の引張弾性率は、20~100Mpaであり、
前記発音装置の最低共振周波数F0>500Hzである場合、前記振動膜の引張弾性率は、50~400MPaであってもよい。
【0018】
本発明のいくつかの実施例において、前記振動膜のMDとTDの両方向の貯蔵弾性率の比率は、80~120:100であってもよい。
【0019】
本発明の第2態様の実施例に係る振動膜の製造方法は、
ハードセグメントのプレポリマーとソフトセグメントのプレポリマーを、好ましくは230~265℃の温度で、好ましくは0.5~2hの反応時間、共重合反応させるステップと、その後、造粒し、フィルムを押し出すステップとを含むものである。
【0020】
本発明のいくつかの実施例において、前記ハードセグメントのプレポリマーの分子量は、15000~30000であり、前記ソフトセグメントのプレポリマーの分子量は、10000~50000であってもよい。
【0021】
本発明の第3態様の実施例に係る発音装置は、上記記載の振動膜及び前記振動膜の一側に結合されたボイスコイルを含む振動システムと、前記振動システムと協働し、前記ボイスコイルの振動を駆動させて前記振動膜を発音させる磁気回路システムとを含むものである。
【0022】
本発明の第4態様の実施例に係る発音装置は、ケースと、前記ケース内に設置された磁気回路システム及び振動システムとを含み、前記振動システムは、ボイスコイル、第1振動膜及び第2振動膜を含み、前記ボイスコイルは天頂部が前記第1振動膜に接続され、前記磁気回路システムは、前記ボイスコイルの振動を駆動して前記第1振動膜を発音させ、前記第2振動膜は、両端がそれぞれ前記ケース及び前記ボイスコイルの底部に接続される、上記記載の振動膜であるものである。
【発明の効果】
【0023】
従来技術に比べて、本発明は、ポリ芳香族ジカルボン酸ジオールエステルのハードセグメントとポリヘキサメチレンポリカーボネートジオールを含むソフトセグメントのそれぞれの利点を用い、かつソフトセグメントにおけるポリヘキサメチレンポリカーボネートジオールの比率を増加させることにより、相乗効果を発揮し、長所を発揮して短所を避け、共重合後に形成されたフィルムは、振動膜により適し、高温耐性、耐薬品性及び感度を顕著に向上させることができ、長期高温及び/又は高湿度環境での製品の動作信頼性を向上させることができ、また、本発明における振動膜は、さらに剛性、反発弾性、減衰性、歪みなどの様々な音響性能を両立させることができ、製品の振動過程での偏波及び歪みの問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、他の様々な利点及び利益は当業者にとって明確になる。図面は、好ましい実施形態を示すためのものに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【
図1】実施例及び比較例の樹脂材料の赤外スペクトログラムである。
【
図2】1MPaの作用力下での材料の異なる温度での変位変化グラフである。
【
図4】
図3における発音振動ユニットの概略構成図である。
【
図5】実施例及び比較例の全高調波歪みグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施例を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明するが、当業者であれば理解されるように、以下の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。実施例において具体的な条件を明記しない場合、一般的な条件又は製造業者により推奨される条件に応じて行う。使用された原薬、試薬又は機器は、製造業者が明記されない場合、いずれも市販購入により取得できる従来の製品であるか又は従来技術に基づいて製造できるものである。
【0026】
本発明に係る発音装置に適用可能な振動膜は、1層の熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムのみを含み、上記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、芳香族ジカルボン酸とジオールとを反応させて得られたポリエステルハードセグメントと、脂肪族ポリカーボネートを含むソフトセグメントとを共重合することにより形成され、上記振動膜は、厚さが10~200μmであり、23℃の環境での損失係数が0.1~0.3である。
【0027】
本発明は、ポリ芳香族ジカルボン酸ジオールエステルのハードセグメントと脂肪族ポリカーボネートソフトセグメントのそれぞれの利点を用いて、相乗効果を発揮し、長所を発揮して短所を避け、共重合後に形成されたフィルムは、振動膜により適し、高温耐性、耐薬品性及び感度を顕著に向上させることができ、長期高温及び/又は高湿度環境での製品の動作信頼性を向上させることができ、また、本発明における振動膜は、さらに剛性、反発弾性、減衰性、歪みなどの様々な性能を両立させることができ、製品の振動過程での偏波及び歪みの問題を解決することができる。また、本発明の振動膜は、従来の振動膜に比べて、相対的に高い減衰性能及び高い剛性を有するため、1層の熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層だけで実際の使用需要を満たすことができ、構造がより簡単であり、製造もより容易であるという顕著な利点をさらに有する。
【0028】
試験により、従来技術に比べて、本発明は、少なくとも、以下のいくつかの効果を達成することができる。
(1)振動膜の使用温度範囲を拡大し、特に高温耐性を改善する。
(2)本発明の振動膜の吸油率がより低く、耐薬品性がより高い。
(3)本発明の振動膜がより優れた低周波感度を有する。
(4)少なくとも従来の振動膜に相当するレベルの歪みを保持することができる。
(5)単層構造を用いるだけで使用需要を満たすことができ、製造プロセスを簡略化する。
【0029】
試験により、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層で製造された振動膜は、脂肪族ポリカーボネートを含まない振動膜に比べて、特に高温耐性、耐薬品性及び感度などの面で顕著な利点を有する。
【0030】
本発明の上記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゼン-m-ジカルボン酸又はこれらが置換された芳香族ジカルボン酸などであってもよく、好ましくはテレフタル酸である。
【0031】
本発明の上記ジオールは、エチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオールなどであってもよく、任意の以上の1種類のアルコール又は複数種類のアルコールの組み合わせであってもよい。
【0032】
上記芳香族ジカルボン酸とジオールとを重合反応させた後にハードセグメントを形成することについて、芳香族ジカルボン酸と1種類のジオールとを重合してもよく、芳香族ジカルボン酸と複数種類のジオールとを重合してもよく、複数種類の芳香族ジカルボン酸と1種類のジオールとを重合してもよく、複数種類の芳香族ジカルボン酸と複数種類のジオールとを重合してもよい。
【0033】
本発明の上記ソフトセグメントには、ポリカプロラクトン、ポリ(1,4-アジピン酸ブチレン)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンオキシドのうちの1種類又は複数種類をさらに添加することができる。以上のポリマーを少量添加することにより、材料の高い強度、剛性及び反発弾性を保持する前提で、ポリカーボネートソフトセグメントのブロック性及びハードセグメントとの重合性を向上させることに役立つが、添加量が30%を超えると、材料全体のブロック構造特性に影響を与えて、材料全体の剛性及び反発弾性の損失をもたらす。脂肪族ポリカーボネートがより強い極性を有し、耐湿熱性、耐薬品性などの面でポリエステル又はポリエーテルブロックより優れるため、ソフトセグメントにおける脂肪族ポリカーボネートブロックの含有量が支配的であると、材料全体の性能がより優れるべきである。それに応じて、ソフトセグメントにおける上記脂肪族ポリカーボネートの重量パーセントは、好ましくは70%以上であり、例えば70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよい。脂肪族ポリカーボネートと配合してソフトセグメントを構成するポリマーは、好ましくはポリカプロラクトンである。ソフトセグメントにおけるポリヘキサメチレンポリカーボネートジオールと他のポリエステルとの重量比率を5:1程度に制御することができる。
【0034】
また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるハードセグメントとソフトセグメントとの比率は、耐温性、減衰性などの性能に顕著な影響を与え、一般的にソフトセグメントの重量パーセントは、好ましくは20%~80%であり、例えば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%などである。ソフトセグメントの含有量が多いほど、材料の剛性及び強度が低下し、振動膜が振動し発音する必要があり、高い剛性及び強度が必要な特性であり、該材料の構造特性に基づいて、ソフトセグメントの含有量が80%以下である。ソフトセグメントの含有量がより低い場合、材料全体のハードセグメントの特性が支配的であり、材料の剛性及び強度が明らかに向上するが、柔軟性が低下し、スピーカが大きな変位、高い音量及び高い防水性及び反発弾性などを実現することを保証するために、上記ソフトセグメントの含有量が25%以上である。スピーカの振動膜の振動に必要な弾性率、強度及び反発弾性の要件に応じて、ソフトセグメントの含有量は、より好ましくは25%~60%であり、例えば25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%などである。
【0035】
また、ポリマーの化学組成の複雑性のため、実際の用途に合わせてその性能を限定する必要がある。
【0036】
それが振動膜に用いられると、本発明の上記熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層の損失係数が0.1~0.3である場合(DMA温度走査モード、1Hzの振動周波数、3℃/minの昇温速度、23℃での損失係数のデータを用いる)、高い減衰性を有し、製品の高性能及び低性能に対する需要を満たすことができる。本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ポリカーボネートセグメントを含み、ポリエステルセグメント又はポリエーテルセグメントに比べて、ポリカーボネートセグメントがより高い極性を有し、セグメント運動の立体障害がより大きく、外力が作用すると、より多くのエネルギーを消費することができるため、他の種類の熱可塑性エラストマー材料に比べて、より高い減衰性を有し、0.1~0.3に容易に達することができる。損失係数が0.1より低い場合、ポリエーテル-ポリエステル型の熱可塑性ポリエステルエラストマーに比べて、歪みの面で利点がなく、損失係数が0.2より高い場合、材料の減衰が向上して材料の過渡応答性を低下させるため、振動膜は、入力信号のフィードバックを完全に実現することができず、音質が犠牲になる。その上でより好ましくは0.1~0.2であり、例えば0.12、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2などである。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層の引張弾性率は、20~500Mpaである(DMA温度走査モード、1Hzの振動周波数、3℃/minの昇温速度、23℃でのデータを用いる)。弾性率が低すぎる場合、振動膜の剛性が不足し、厚さを増加させることで製品に必要なF0(最低共振周波数)に達することを実現しかできないが、厚さの増加により振動膜の重量を増加させ、その振動空間を損失し、かつ重量制御範囲における感度を低下させる。弾性率がより高い場合、材料の柔軟性及び反発弾性が低くなり、高い音量を得るために、製品の振動膜が大きな変位を有する必要があり、この場合に弾性率の増加により必然的に不利な影響をもたらす。製品の設計及び性能要件に基づいて、上記発音装置の最低共振周波数F0≦500Hzである場合、上記振動膜の引張弾性率が20~100Mpaであり、上記発音装置の最低共振周波数F0>500Hzである場合、上記振動膜の引張弾性率が50~400MPaであることを推奨する。例えば、発音装置の最低共振周波数F0が400Hzである場合、振動膜の引張弾性率は、50Mpaであってもよい。例えば、発音装置の最低共振周波数F0が800Hzである場合、振動膜の引張弾性率は、300Mpaであってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、スピーカの振動膜の振動の一致性を保証し、製品の偏波を減少させるために、選択されたフィルムについて、上記熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層のMDとTDの両方向の貯蔵弾性率の比率は、80~120:100である。言い換えれば、上記熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層のMDとTDの両方向の貯蔵弾性率の差異は、±20%以内に制御され、好ましくは±10%以内に制御される。
【0039】
本発明の振動膜は、単層の振動膜として、厚さがより好ましくは20~150μmである。薄すぎると、振動膜の剛性が不足しやすく、かつ板製造の難易度が大きく、厚すぎると、振動膜の重量が増加するため、振動膜の発音感度が低下する。かつ、より厚い振動膜は、一部の振動空間を占めるため、振動膜の振動空間を減少させ、発音装置の発音効果に影響を与える。
【0040】
本発明における熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層の製造方法について、共重合反応を行い、粒子状樹脂を製造し、最後に押出装置を用いてフィルムを形成することを含む一般的な工程のみに関する。
【0041】
共重合反応のプロセス条件は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの性能に一定の影響を与え、一般的に、原料が溶融状態であることを保証して行われ、ハードセグメントとソフトセグメントについていずれもプレポリマーを選択する。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態において、芳香族ジカルボン酸とジオールとを反応させて得られたポリエステルハードセグメントのプレポリマーの分子量は、15000~30000であり、例えば15000、20000、25000、30000などである。脂肪族ポリカーボネートソフトセグメントのプレポリマーの分子量は、好ましくは10000~50000であり、例えば10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50000などである。共重合反応は、温度が好ましくは230~265℃であり、反応時間が好ましくは0.5~2hである。本発明の1つの具体的な実施例において、芳香族ジカルボン酸とジオールとを反応させて得られたポリエステルハードセグメントのプレポリマーの分子量は、22000であり、脂肪族ポリカーボネートソフトセグメントのプレポリマーの分子量は、36000であり、共重合反応は、温度が250℃であり、反応時間が1hである。
【0043】
共重合反応において、一般的に触媒及び安定化剤を添加し、両者の種類は、典型的な助剤であってもよく、例えば、上記安定化剤は、好ましくはポリカルボジイミドであり、上記触媒は、好ましくはチタン酸テトラブチルであり、両者の使用量は、実際の状況に応じて調整することができる。共重合反応の終点は、一般的に、樹脂が均一で透明状になることを基準とする。
【0044】
造粒は、一般的に、ミクロトーム又はペレタイザーで行われる。
【0045】
押出及びフィルム形成工程について、一般的に、押出機で行われ、さらに適量の加工助剤(例えば可塑剤、スリップ剤、潤滑剤など)を共にスクリューに添加して溶融し、スクリューで分散し混合した後にTダイヘッドに送ることができ、フィルムの配向を低下させるために、溶融体がTダイヘッドから流出した後、冷却ローラを通過する前に一定の厚さの補材(例えば離型フィルム又は離型紙など)をフィルムの表面に添加し、広げて平坦化し、定型した後、一緒に巻き取ることができる。加工助剤の種類及び使用量は、いずれも従来の典型的なものである。
【0046】
本発明に係る振動膜は、任意の構造の発音装置、例えば、振動膜及び上記振動膜の一側に結合されたボイスコイルを含む振動システムと、上記振動システムと協働する磁気回路システムとを含む典型的な発音装置を構成することができる。発音装置が動作する場合、ボイスコイルは、通電した後に磁気回路システムの磁場力の作用下で、上下に振動して振動膜の振動を駆動させることができ、振動膜が振動するときに発音することができる。
【0047】
本発明の別の態様の実施例によれば、発音装置は、ケースと、ケース内に設置された磁気回路システム及び振動システムとを含み、振動システムは、ボイスコイル、第1振動膜及び第2振動膜を含み、ボイスコイルの天頂部が第1振動膜に接続され、磁気回路システムは、ボイスコイルの振動を駆動させて第1振動膜を発音させ、第2振動膜は、両端がそれぞれケース及びボイスコイルの底部に接続される。第2振動膜は、本発明の上記実施例に係る振動膜であってもよい。
【0048】
すなわち、第1振動膜は、振動発音のために用いることができ、第2振動膜は、ボイスコイルの振動をバランスさせるために用いることができる。具体的には、発音装置が動作する場合、ボイスコイルは、通電した後に磁気回路システムの磁場力の作用下で、上下に振動して第1振動膜の振動を駆動することができ、第1振動膜が振動するときに発音することができる。第2振動膜は、ボイスコイルに伴って上下に振動することができ、第2振動膜の両端がそれぞれケース及びボイスコイルの底部に接続されるため、第2振動膜は、ボイスコイルの振動をバランスさせて、ボイスコイルの偏波現象の発生を防止することにより、発音装置の発音効果を向上させることができる。
【0049】
なお、第1振動膜及び第2振動膜は、同時に本発明の上記実施例の振動膜を用いてもよく、第1振動膜及び第2振動膜のうちの1つは、本発明の上記実施例の振動膜を用いてもよく、本発明は、これを具体的に限定しない。
【0050】
以下、具体的な実施例を参照しながら詳細に説明する。
【0051】
(実施例1)
第1ステップ、樹脂粒子の製造
不活性ガス雰囲気の反応タンクに数平均分子量が25000である70重量部のポリブチレンテレフタレートプレポリマー、数平均分子量が15000である25重量部のポリヘキサメチレンポリカーボネートジオール及び5重量部のポリカプロラクトンを添加し、0.15重量部のチタン酸テトラブチルを触媒として添加し、0.5重量部のポリカルボジイミドを添加し、溶融状態(230~265℃)まで徐々に昇温させた後、樹脂が均一で透明状になるまで1h程度反応させ続け、冷却後にミクロトーム又はペレタイザーで粒子状に切断し、フィルムの製造に用いた。
【0052】
第2ステップ、フィルムの製造
溶融、押出及び流延の方式を用いた。フィルムを製造する前に、まず粒子を乾燥して水を除去し、次にスクリューに添加して溶融し、スクリューで分散し混合した後にTダイヘッドに送り、フィルムの配向を低下させるために、溶融体がTダイヘッドから流出した後、冷却ローラを通過する前に一定の厚さの補材(例えば離型フィルム又は離型紙など)をフィルムの表面に添加し、広げて平坦化し、定型した後、一緒に巻き取った。機械加工速度及び冷却ローラ間の圧力などを制御することにより、得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムのMDとTDの両方向の貯蔵弾性率の差異が±10%以内であることを保証した。
【0053】
(実施例2)
第1ステップ、樹脂粒子の製造
不活性ガス雰囲気の反応タンクに数平均分子量が25000である70重量部のポリブチレンテレフタレートプレポリマー及び数平均分子量が15000である30重量部のポリヘキサメチレンポリカーボネートジオールを添加し、0.15重量部のチタン酸テトラブチルを触媒として添加し、0.5重量部のポリカルボジイミドを添加し、溶融状態(230~265℃)まで徐々に昇温させた後、樹脂が均一で透明状になるまで1h程度反応させ続け、冷却後にミクロトーム又はペレタイザーで粒子状に切断し、フィルムの製造に用いた。該樹脂の赤外スペクトログラムは、
図1に示すように、1743cm
-1付近に、明らかなソフトセグメントのポリカーボネートのC=Oの特徴吸収ピークを示す。
【0054】
第2ステップ、フィルムの製造
溶融、押出及び流延の方式を用いた。フィルムを製造する前に、まず粒子を乾燥して水を除去し、次にスクリューに添加して溶融し、スクリューで分散し混合した後にTダイヘッドに送り、フィルムの配向を低下させるために、溶融体がTダイヘッドから流出した後、冷却ローラを通過する前に一定の厚さの補材(例えば離型フィルム又は離型紙など)をフィルムの表面に添加し、広げて平坦化し、定型した後、一緒に巻き取った。機械加工速度及び冷却ローラ間の圧力などを制御することにより、得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムのMDとTDの両方向の貯蔵弾性率の差異が±10%以内であることを保証した。
【0055】
(比較例)
第1ステップ、樹脂粒子の製造
不活性ガス雰囲気の反応タンクに数平均分子量が25000である70重量部のポリブチレンテレフタレートプレポリマー及び数平均分子量が2000である30重量部のポリテトラメチレンエーテルグリコールブロックを添加し、0.15重量部のチタン酸テトラブチルを触媒として添加し、0.5重量部のポリカルボジイミドを添加し、溶融状態(230~265℃)まで徐々に昇温させた後、樹脂が均一で透明状になるまで1h程度反応させ続け、冷却後にミクロトーム又はペレタイザーで粒子状に切断し、フィルムの製造に用いた。該樹脂の赤外スペクトログラムを
図1に示す。
【0056】
第2ステップ、フィルムの製造
溶融、押出及び流延の方式を用いた。フィルムを製造する前に、まず粒子を乾燥して水を除去し、次にスクリューに添加して溶融し、スクリューで分散し混合した後にTダイヘッドに送り、フィルムの配向を低下させるために、溶融体がTダイヘッドから流出した後、冷却ローラを通過する前に一定の厚さの補材(例えば離型フィルム又は離型紙など)をフィルムの表面に添加し、広げて平坦化し、定型した後、一緒に巻き取った。機械加工速度及び冷却ローラ間の圧力などを制御することにより、得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムのMDとTDの両方向の貯蔵弾性率の差異が±10%以内であることを保証した。
【0057】
異なる熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムの性能の検出
1、耐熱性の評価
試験方法:TMA装置を用い、厚さが20umの比較例、実施例1及び実施例2のフィルムを選択し、引張モードで、引張応力を1MPaに維持し、3℃/minの昇温速度で室温から200℃まで上昇させ、装置が試験プロセスにおける材料の異なる温度での長さ変化グラフを記録し、出力した。
【0058】
結果:
図2に示すように、材料は、力受け状態で、温度の上昇に伴って長さが増加している。長さの変化が温度の変化に伴って大きいほど、材料の高温耐性が低くなることが理解される。これにより、耐熱性の面で、実施例2は、実施例1より優れ、比較例よりさらに優れることが分かった。
【0059】
2、吸油率の試験
試験方法:重量が近い材料を切り出し、かつ分析用天秤で秤量して重量M1を記録し、オレイン酸に置いて24h浸漬して無塵布で表面のオレイン酸を拭いた後に秤量してM2と記録し、オレイン酸吸収前後の材料の重量の変化を比較することにより、耐薬品性の良否を得た。
【0060】
結果:表1に示すように、比較例の吸油率が最も高く、実施例2の吸油率が最も低かった。これにより、ポリカーボネートソフトセグメントの存在は、有機小分子の浸入を遮断して、材料全体の耐薬品性を向上させることに役立つことが推測される。
【表1】
【0061】
3、熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムの引張弾性率及び損失係数の試験
試験方法:フィルムから幅が5~10mmの平らな矩形スプラインをカッター又はアートナイフで切り出し、ASTM D412-2016標準に基づいて試験をした。試験の振動周波数が1Hzであり、温度が23℃である。
【0062】
結果:表2に示すように、比較例と実施例が室温で近い貯蔵弾性率を有しているが、実施例の高温での弾性率が比較例より高く、本発明の方が高温でより安定した構造強度を有していることを表す。損失弾性率のピーク温度は、材料のガラス転移温度であり、熱可塑性ポリエステルエラストマー材料が高い弾性特性を有する開始温度を示す。温度による損失弾性率のグラフから分かるように、本発明は、より低いガラス転移温度を有している。以上から分かるように、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、より広い使用温度範囲を有している。また、
図2から分かるように、実施例は、より高い減衰性(材料の損失係数=損失弾性率と貯蔵弾性率の比)を有している。
【表2】
【0063】
異なる熱可塑性ポリエステルエラストマーで製造された振動膜のF0、感度及び全高調波歪みの試験のグラフ
1、振動膜の製造
実施例2及び比較例における熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムをそれぞれ選択して振動膜を製造した。実施例2における振動膜は、単層構造を用い、すなわち、実施例2における振動膜は、1層の熱可塑性ポリエステルエラストマー層のみを含み、厚さが45μmである。比較例における振動膜は、3層の複合構造を用い、中間層及び2つの表層を含み、中間層がアクリルゲル層であり、2つの表層がそれぞれ対応する熱可塑性ポリエステルエラストマー層であり、中間層及び2つの表層の厚さがいずれも20μmである。すなわち、実施例2と比較例における振動膜とは、(1)2種類の振動膜における熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層の材料が異なり、(2)実施例2における振動膜が単層構造であり、比較例における振動膜が3層の複合構造であるという点で相違する。
【0064】
実施例2における振動膜の製造方法:製造された熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層を熱プレス成形機に置いて二次成形を行って、必要な形状の振動膜を製造して得て、製品サイズに切断した後にボイスコイル、磁気回路システムなどの部品と共にマイクロスピーカユニットに組み立てた(
図3及び
図4に示す)。
【0065】
比較例における振動膜の製造方法:製造された熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層とアクリルゲル層を交互に重ね合わせ、圧着して、熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層+アクリルゲル層+熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルム層の複合構造を形成して、必要な組み合わせの複合材料テープを製造して得た。上記複合材料テープを熱プレス成形機に置いて二次成形を行って、必要な形状の振動膜を製造して得て、製品サイズに切断した後にボイスコイル、磁気回路システムなどの部品と共にマイクロスピーカユニットに組み立てた(
図3及び
図4に示す)。
【0066】
2、試験方法:
上記実施例2及び比較例における振動膜が組み立てられたマイクロスピーカ(SPK)に対してそれぞれ製品性能試験を行った。マイクロスピーカは、
図3に示すような構造を用い、振動膜及び上記振動膜の一側に結合されたボイスコイルを含む振動システムと、上記振動システムと協働する磁気回路システムとを含んでいる。スピーカ振動ユニットについて、
図4に示すように、当業者であれば、実際の製品需要に応じて対応して調整することができる。例えば、
図3及び
図4に示すように、振動膜1は、エッジ11及びセンターキャップ12で構成され、熱可塑性ポリエステルエラストマー層は、振動膜のエッジ11に位置してもよく、エッジ11及びセンターキャップ12に位置してもよい。エッジ11は、ボイスコイル2から離れた一側へ突起し、センターキャップ12は、エッジ11に接続され、振動システムにダンパーが添加され、振動システムの偏波抵抗抗能力などを向上させることができる。
【0067】
結果:表3及び
図5に示すように、比較例と実施例2は、近いF0を有し、実施例は、単一の熱可塑性ポリエステルエラストマーフィルムであるが、製品が優れた低周波感度を示し(音圧レベル(SPL)により特徴付ける)、感度が比較例より約2dB向上している。実施例2は、製品F0が比較例より低い前提で、歪みが明らかに上昇していない。これにより、単一の熱可塑性ポリエステルエラストマー層だけで使用需要を満たすことができ、さらに一般的なポリエーテルポリエステル型エラストマーの複合振動膜の性能より優れることが分かった。
【表3】
【0068】
以上の記載は、本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎないが、本発明の保護範囲は、これに限定されるものではなく、当業者であれば本発明に開示された技術的範囲内に容易に想到できる変化又は置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、上記特許請求の範囲を基準とすべきである。