(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】複合材料及び複合材料を形成する方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20240903BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20240903BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20240903BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20240903BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B32B27/30 D
B29C43/34
B29C70/42
B32B7/022
C08J5/04 CEW
(21)【出願番号】P 2023553181
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2022070598
(87)【国際公開番号】W WO2022187782
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-09-01
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523238852
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ プロダクツ ユーエスエー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 卓也
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537824(JP,A)
【文献】特開昭62-189153(JP,A)
【文献】特表2012-532217(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049519(WO,A1)
【文献】特表2007-517100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29B 11/16、15/08-15/14
C08J 5/04-5/10、5/24
B29C 43/00-43/58、70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)パーフルオロアルコキシアルカン及び炭素繊維を含むベース層と、
(B)中間層と、
(C)ポリテトラフルオロエチレンカバー層と
を含み、
前記中間層が、パーフルオロアルコキシアルカンを含む、複合材料。
【請求項2】
前記ベース層(A)の線膨張係数が、3~15×10
-6/℃であり、前記PTFEカバー層の線膨張係数が、120~220×10
-6/℃である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記ベース層及びPTFEカバー層が、前記複合材料を50℃で配置した後、200℃で加熱するサイクルを2,000回繰り返すことによる熱衝撃試験後に接合されている、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記層(B)の厚さが、10~2,000マイクロメートルである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
請求項1に記載の複合材料を調製する方法であって、
(a)PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットを調製するステップと、
(b)カバー層、中間層及び複数枚の圧密されたマットを金型にセットするステップと、次に
(c)前記金型内の3つの構成要素を熱間プレスして、複合材料を形成するステップと
を備える方法。
【請求項6】
請求項1に記載の複合材料を調製する方法であって、
(d)PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットを調製するステップと、
(e)複数枚の圧密されたマットを金型にセットするステップと、
(f)前記複数枚の圧密されたマットを熱間プレスして、成形材料を形成するステップと、
(g)カバー層、中間層及び前記成形材料を前記金型にセットするステップと、
(h)前記金型内の3つの構成要素を熱間プレスして、複合材料を形成するステップと
を備える方法。
【請求項7】
請求項1に記載の複合材料から形成される物品。
【請求項8】
半導体製造プロセスに使用される、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
化学処理プロセスに使用される、請求項7に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)ベース層及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)カバー層を有する複合材料であって、それらが、PFA中間層により互いに接合されている複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化PFAは、半導体製造装置の構造材料として知られている。このような繊維強化PFAは、成形して機器として有用な任意の形状を得ることができる。繊維強化PFAを得る実際的な1つの方法は、国際公開第2011/002883A号パンフレットに開示されており、フルオロポリマー及び炭素繊維を含む複合物品と、複合物品を製造するプロセスとを開示している。
【0003】
繊維強化PFAは、その機械物性、耐熱性及び耐薬品性により優れた材料であるが、材料が強酸にさらされると、材料の表面に露出した強化繊維は、強酸によって酸化されて劣化する。これは、材料特性の劣化をもたらす。劣化した強化繊維は、材料から簡単に脱落し、汚染の問題を引き起こすことがある。更に、酸化により発生したガスにより、高温下では材料の表面が膨張する。
【0004】
国際公開第2009/110341A号パンフレットは、炭素粉末又は炭素繊維を強化材料として含むPFA及びPTFEにより作製される部材であって、その部材表面上の炭素粉末/炭素繊維が、部材を酸化性ガスに接触させることにより、部材内部と比較して除去される部材を開示する。しかしながら、そのプロセスは、部品の機械加工後に、酸化性ガスに浸漬するステップ及び軟化温度以上まで材料を再加熱するステップなどのいくつかの追加のステップを必要とする。
【0005】
したがって、耐酸性を有する繊維強化PFA材料の更なる改良が、半導体技術において、依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の一態様は、(A)パーフルオロアルコキシアルカン及び炭素繊維を含むベース層と、(B)中間層と、(C)ポリテトラフルオロエチレンカバー層とを含む複合材料であって、その中間層がパーフルオロアルコキシアルカンを含む、複合材料である。
【0007】
本発明の他の態様は、既に開示した複合材料を調製する2つのプロセスである。第1のプロセスは、(a)PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットを調製するステップ、(b)1枚のカバー層、1枚の中間層及び複数枚の圧密されたマットを金型にセットするステップ、次に(c)金型内の3つの構成要素を熱間プレスして複合材料を形成するステップ
を備える。
【0008】
既に開示した複合材料を調製する第2のプロセスは:(d)PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットを調製するステップ、(e)複数枚の圧密されたマットを金型にセットするステップ、(f)複数枚の圧密されたマットを熱間プレスして成形材料を形成するステップ、(g)1枚のカバー層、1枚の中間層、ステップ(f)により得られた成形材料を金型にセットするステップ、次に(h)金型内の3つの構成要素を熱間プレスして複合材料を形成するステップ
を備える。
【0009】
本発明の更なる態様は、既に開示した複合材料から形成される物品である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は:(A)パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)及び炭素繊維を含むベース層と、(B)中間層と、(C)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)カバー層とを含む複合材料であって、中間層がパーフルオロアルコキシアルカンを含む複合材料に関する。
【0011】
(A)PFAベース層
PFAベース層は、PFAと炭素繊維とを含む。PFAベース層は又、炭素繊維強化PFAとも呼ばれている。このような材料は、当技術分野において知られており、本発明において使用することができる。例えば、国際公開第2011/002883A号パンフレットは、フルオロポリマー及び炭素繊維を含む圧密された複合物品を開示する。その開示においては、炭素繊維を含むPFAマットが、最初に調製され、次にPFAマットが積み重ねられた後に成形されて、複合物品を形成する。
【0012】
いかなる種類のPFAも使用することができる。一般的に、PFAは、ASTM E831による線膨張係数120~200×10-6/℃、及びASTM D1238によるメルトフローインデックス(MFI)2~17g/分を有する。PFAは、例えば、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社により提供される2~15g/分のMFIを有するTeflon(商標)PFAなどの市販品において得ることができる。
【0013】
本発明においては、炭素繊維は、PFAベース層の補強材として使用される。炭素繊維は、SiCなどの無機薬品で製造した他の繊維材料と比較して、その柔らかい性質を有し、且つ市販品で入手し易いので、そのような無機繊維を超える利点を有する。
【0014】
炭素繊維は、例えば、東レ株式会社により提供されるTORAYCA(商標)又は帝人株式会社によるTenax(商標)などの市販品において得ることができる。典型的なチョップド炭素繊維は、3~25mmの長さ、及び500~5,000のアスペクト比を有する。
【0015】
PFAベース層における炭素繊維の含有量は、PFAベース層の総重量を基準として、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~30重量%である。
【0016】
PFAベース層は、カーボンナノチューブ、黒鉛粉末及びナノダイヤモンドなどの任意の他の添加剤を更に含有することができる。
【0017】
PFAベース層の厚さは、例えば1~50mm、好ましくは15~35mmである。
【0018】
PFAベース層の成形方向に垂直な面における線膨張係数は、ASTM E831により、好ましくは1~20×10-6/℃、より好ましくは2~10×10-6/℃であり、温度範囲は、25~260℃である。
【0019】
(B)中間層
ベース層及びカバー層は、中間層により互いに接着されており、中間層は、本発明の鍵となる。中間層は、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含む。
【0020】
本発明の中間層として使用されるPFAは、PFAベース層に使用されるPFAと同一であってもよいが、数10万の分子量を有し、ASTM D1238によるMFIが2~17g/分である異なるPFAであってもよい。
【0021】
中間層は、当技術分野で既知の添加剤を更に含有してもよいが、他の添加剤を含有する必要はない。
【0022】
中間層の厚さは、好ましくは10~2,000マイクロメートル、より好ましくは100~2,000マイクロメートルである。
【0023】
(C)PTFEカバー層
本発明に使用されるPTFEは、成形グレードとして数100万~1000万の分子量を有する。
【0024】
本明細書においては、PTFEには、変性PTFEが含まれる。変性PTFEの例は、例えば、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)で変性したPTFE、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)で変性したPTFEなどである。
【0025】
PTFEカバー層の線膨張係数は、一般的にASTM E831により120~220×10-6/℃である。
【0026】
PTFEカバー層の厚さは、好ましくは0.1~10mm、より好ましくは0.5~5mmである。
【0027】
複合材料を調製するプロセス
本発明の複合材料を調製するのに2つのプロセスがある。第1のプロセスは、ワンステップの熱間プレス方法であり、一方、第2のプロセスは、ツーステップの熱間プレス方法である。第1のプロセスは又、同時成形プロセスとして開示されている。
【0028】
第1のプロセス(プロセス1)は、次の(a)~(c)に開示される以下のステップを有する。
【0029】
(a)PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットを調製するステップ:
最初に、PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットが調製される。圧密されたマットは、PFAと炭素繊維とを含むマットをその2つの軟化温度を超える温度まで加熱した後、それを前記軟化温度よりも低い温度まで冷却することにより、調製できる。PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットは、国際公開第2011/002883A号パンフレット、国際公開第1993/011450号パンフレット及び米国特許第5506052A号明細書に開示される方法により取得することができる。
【0030】
(b)1枚のカバー層、1枚の中間層及び複数枚の圧密されたマットを金型にセットするステップ
次のステップにおいて、圧密されたマットは、金型の形状に切断されて、金型に特定数だけ積み重ねられる。次に、中間層及びカバー層は、金型内の積み重ねた圧密マットの上に順に配置される。3つの層を金型に配置する順序は、入れ替えてもよい。
【0031】
(c)金型内の3つの構成要素を熱間プレスして、複合材料を形成するステップ
次のステップは、複合材を形成するように熱間プレスするステップである。最終の複合材料を形成するのに十分な時間、金型に熱及び圧力を加える。これをするのに必要な温度、圧力及び時間は、MFI、厚さ及び繊維負荷などの要素に応じて異なる。例として、金型は、327℃(上述のPTFEの溶融温度)を超えて30~60分間、0.5MPa未満の圧力で加熱される。次に、金型は、初期の圧力よりも高い圧力で室温まで冷却されて、複合材料が得られる。
【0032】
第2のプロセス(プロセス2)は、次の(d)~(h)に開示される以下のステップを有する。
【0033】
(d)PFAと炭素繊維とを含む圧密されたマットを上述のステップ(a)と同じ方法で調製するステップ、
【0034】
(e)中間層及びカバー層を積み重ねた圧密マット上に配置しないことを除いて、上述のステップ(b)と同じように複数枚の圧密されたマットを金型にセットするステップ
【0035】
(f)既に開示した複数枚の圧密されたマットを熱間プレスして、成形材料を形成するステップ既に開示した(c)と同じ手法で積み重ねた圧密されたマットを熱間プレスする。このステップの後、上層及び中間層がない成形材料、つまり、成形PFA-炭素繊維材料を取得する。
【0036】
(g)カバー層、中間層及び成形材料を金型にセットするステップ
次に、ステップ(f)により取得した成形材料を金型にセットする。成形材料は、金型にセットする前に、金型のサイズに合う特定の形状に機械で加工することができる。次に、中間層及びカバー層は、金型内の成形材料の上に順に配置される。
【0037】
(h)金型内の3つの構成要素を熱間プレスして、複合材料を形成するステップ
複合材料を成形するために既述のステップ(C)と同一条件を適用する。これをするのに必要な温度、圧力及び時間は、複合材料の形状に応じて異なることとなる。
【0038】
(D)物品
複合材料の顕著な特質は、それぞれの線膨張係数を有する複数の材料の層構造にもかかわらず、熱衝撃に対する良好な耐性を併せ持つ優れた耐酸性である。
【0039】
複合材料は、半導体製造装置、殊に酸性液体にさらされる装置、例えばウエハ洗浄機、ポンプ、バルブ用の部品として使用することができる。そして又、複合材料は、CPL製造、HF製造、TiO2製造、及び金属精錬用の高圧酸浸出などの化学処理産業にも使用でき、これらのプロセスでは硫酸を使用する。
【実施例】
【0040】
以下と類似の材料、並びに類似の材料及び物品を製造する方法は、米国特許第2011/0001082A号明細書、国際公開第2011/002867A号パンフレット、国際公開第2011/002877A号パンフレット及び国際公開第2011/002883A号パンフレットに詳述されており、それらは全て、その全体が参照として援用されている。
【0041】
原料
PFA(シートタイプ)
約305℃の融点、ASTM D1505による約2.12~2.17の比重及びASTM D882による約31.4~41.2MPaの引張り強度を有するシートタイプのPFAを使用した。
【0042】
PTFE(シートタイプ)
約327℃の融点、ASTM D1505による約2.13~2.20の比重及びASTM D882による約20~35MPaの引張り強度を有するシートタイプのPTFEを使用した。
【0043】
変性PTFE(シートタイプ)
約327℃の融点、ASTM D1505による約2.13~2.20の比重及びASTM D882による約20~35MPaの引張り強度を有するシートタイプの変性PTFEを使用した。
【0044】
実施例1~33(同時成形プロセス、ワンステップ成形法)
国際公開第2011/002883Al号パンフレットの方法により圧密されたマットを調製し、91.5mmの直径に切断した。圧密されたマットの厚さは、約0.3mmであり、20重量%のCF及び80重量%のPFAからそれを作製した。
【0045】
約60枚の圧密されたマットを金型内で積み重ねた。次に、表1に開示するPFA、及びPTFE又は変性PTFEを積み重ねた圧密されたマットの上に順に配置した。その後、スタック(つまり、積み重ねた圧密されたマット、PFA及びPTFE)を金型内に置いた。
【0046】
本質的に周囲温度の金型を温度制御されたプラテンプレスに配置し、スタック全体の温度が、327℃を超えるように加熱し、0.5MPa未満の圧力で厚さ方向に沿ってスタックを最小限に圧縮したが、長さ方向及び幅方向に加わった圧力による拘束を受けなかった。温度及び圧力を30分を超えて保持した。その後、加熱が終了すると同時に、完全に加熱した金型を厚さ方向に沿って更に圧縮した。次に、2.3~6.0MPaの圧力で金型を冷却した。スタックをこのように約16mmのベース層の厚さまで圧密化し、物品全体にわたって温度を290℃未満まで下げた。その後、スタックの温度及び圧力を周囲条件まで下げて、複合材を得た。成形複合材料は、直径91.5cm、積み重ねた圧密マット(ベース層)の厚さ約16.0mm、PFA(中間層)の厚さ0.1~1.0mm、及びPTFE又は変性PTFE(カバー層)の厚さ0.5~5.0mmを有する。
【0047】
実施例34~66(ツーステップ成形法)
PFA(中間層)及びPTFE又は変性PTFE(カバー層)を金型に配置しないことを除いて、実施例1~33と同じプロセスを実施した。実施例1~33で開示したのと同じ条件下で、積み重ねた圧密マットを熱間プレス(成形)した。中間層及びカバー層がない成形した圧密マットを得た。
【0048】
表2に開示されるPTFE又は変性PTFE(カバー層)、及びPFA(中間層)を金型に順に配置した。得られた成形した圧密マットをPFAの上に配置した。実施例1~33で開示したのと同じ条件下で、スタック(つまり、PTFE又は変性PTFE、PFA及び成形した圧密マット)を熱間プレスした。
【0049】
成形した複合材料は、91.5cmの直径、約16.0mmの積み重ねた圧密されたマット(ベース層)の厚さ、0.1~1.0mmのPFA(中間層)の厚さ、及び0.5~5.0mmのPTFE又は変性PTFE(カバー層)の厚さを有する。
【0050】
分析方法
1.熱衝撃試験
得られた成形複合材料をスライス及び切断することにより、試験片を調製した。成形複合材料のベース層を4.0mmの厚さにスライスした。次に、成形材料を10mmの幅から切り出し、試験片の平面の中央に2つの穴(直径3mm)をあけた。
【0051】
熱衝撃試験は、温度衝撃試験とも呼ばれ、低温と高温の温度サイクルに製品を交互にさらす。熱衝撃試験を用いて、完成品が物理的な損傷や性能の低下を被ることなく、周囲の大気の急激な温度変化に耐えられるか否かを評価する。試験片を高温のシリコーンオイルに浸漬して加熱し、ファンで持ち上げて冷却することを繰り返した。低温として50℃、高温として200℃の温度設定を2000サイクル使用して、ベース層、中間層及びカバー層の間の接着を評価する。
【0052】
蛍光浸透探傷検査を用いて、熱衝撃試験前後の接着状態を評価した。評価においては、蛍光浸透液を試験片に貼り付けて、溶媒(エタノール)で拭き取った。次に、ブラックライトを用いて、層間に隙間があるかどうか試験片を評価した。結果を表1及び2に示す。
【0053】
外観
〇:良好(剥離なし)
△:可(部分的に剥離)
×:不可(剥離)
蛍光浸透探傷検査
〇:良好(隙間なし)
△:可(およそ10~100ミクロンの僅かな隙間)
×:不可(著しい隙間)
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
この結果から、中間層を適用しない場合にはカバー層は容易に剥離でき、圧密されたマットとの同時成形は、成形複合材料での更なる成形と比べて優れた接着性を示すことがわかる。