(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】積層体の製造装置及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H02K15/02 F
H02K15/02 E
(21)【出願番号】P 2023554031
(86)(22)【出願日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2023005306
(87)【国際公開番号】W WO2023162830
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2022027044
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平間 道信
(72)【発明者】
【氏名】岩田 一夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀志
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-012003(JP,A)
【文献】実開昭57-191031(JP,U)
【文献】特開2019-118169(JP,A)
【文献】実開昭54-172485(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含むプレート状の複数枚のコア片を供給可能な供給機構と、
前記供給機構から供給された前記コア片を複数枚受けることが可能な受け部材と、
前記コア片の搬送方向における前記供給機構と前記受け部材の間に配設され、前記受け部材への前記コア片の供給を制御する切り分け機構と、
前記搬送方向における前記供給機構と前記切り分け機構の間に配設され、前記供給機構から供給される前記コア片を側方から支持するスクイズであって、前記スクイズに側方から支持された前記コア片は、前記スクイズ内を前記搬送方向に沿って搬送可能である、前記スクイズと、を備え、
前記切り分け機構は、
前記スクイズの前記搬送方向下流側の端部との間に隙間が形成される位置に配設され、前記
スクイズの前記搬送方向下流側の端部から
搬出された前記係止コア片の複数の前記係止片のそれぞれを係止する係止位置と、前記係止片のそれぞれを係止しない非係止位置との間を移動可能な係止部と、
前記係止部を前記係止位置及び前記非係止位置へ移動させる作動装置と、を備える、
積層体の製造装置。
【請求項2】
前記コア片は、複数枚が積層されてブロックコアを構成するものであり、
前記ブロックコアは、単独であるいは複数個が積層されてモータコアを構成するものであって、前記搬送方向下流側に位置する1乃至複数枚の前記係止コア片と、前記搬送方向上流側に位置する1乃至複数枚の前記非係止コア片とで構成される、
請求項
1に記載の積層体の製造装置。
【請求項3】
前記作動装置は、前記係止部を、前記係止位置から前記非係止位置に移動させた後、前記係止位置を含む前記コア片の搬送経路上の位置を前記非係止コア片が通過している期間中に、前記係止位置に復帰させる、
請求項
2に記載の積層体の製造装置。
【請求項4】
前記係止片は、前記係止コア片の外周面から突出した突起で構成される、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項5】
前記係止片は、前記係止コア片の外周縁の一部で構成され、前記非係止コア片は、前記係止コア片と積層された状態において前記係止片に対応する位置に、前記非係止コア片の外周面に開口する凹部が設けられている、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項6】
前記作動装置は、前記係止部を、前記係止コア片に相対的に近づく方向に設けられた前記係止位置と、前記係止コア片から相対的に離れる方向に設けられた前記非係止位置との間を移動するよう動作させる、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項7】
その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含むプレート状の複数枚のコア片を供給可能な供給機構と、
前記供給機構から供給された前記コア片を複数枚受けることが可能な受け部材と、
前記コア片の搬送方向における前記供給機構と前記受け部材の間に配設され、前記受け部材への前記コア片の供給を制御する切り分け機構と、を備え、
前記切り分け機構は、
前記係止コア片が搬送されるときの前記係止片の移動経路上に設けられ
前記供給機構から供給された前記係止コア片の複数の前記係止片のそれぞれを係止する係止位置と、前記係止片の移動経路に対して前記係止コア片の外周面に沿った方向に隣接する位置に設けられ
前記係止片のそれぞれを係止しない非係止位置との間を移動
可能な係止部と、
前記係止部を前記係止位置及び前記非係止位置へ移動させる作動装置と、を備える、
積層体の製造装置。
【請求項8】
前記係止片が前記係止部に係止した前記係止コア片を保持する保持機構をさらに備える、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項9】
前記受け部材を前記搬送方向に沿った回転軸を基準に回転させる回転機構をさらに備える、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項10】
前記コア片は、複数枚が積層されてブロックコアを構成するものであり、
前記ブロックコアは、単独であるいは複数個が積層されてステータコアを構成するものであって、
前記コア片は、環状のヨークと、前記ヨークの内周に設けられたティースとを備え、前記係止片は、前記ティースの径方向外側に位置する、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項11】
その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含むプレート状の複数枚のコア片を下方向に搬送可能なスクイズと、
前記スクイズの前記コア片の搬送方向上流側に位置し、前記スクイズに前記係止コア片及び前記非係止コア片を選択的に供給可能な供給機構と、
前記スクイズの前記搬送方向下流側から供給された前記コア片を複数枚受けることが可能な受け部材と、を備え
、
前記スクイズは、前記スクイズの前記搬送方向上流側に位置し、前記スクイズ内を通過する複数枚の前記係止コア片及び前記非係止コア片を側方から支持するスクイズ上流部と、前記スクイズの前記搬送方向下流側に位置し、前記スクイズ内を通過する前記係止コア片の前記係止片を側方から支持
し且つ前記非係止コア片を側方から支持しないスクイズ下流部と、を備える、
積層体の製造装置。
【請求項12】
供給機構からプレート状の複数枚のコア片を供給する工程であって、複数枚の前記コア片は、その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含む、工程と、
前記供給機構から供給された前記コア片を、スクイズを用いて側方から支持する工程であって、前記スクイズは、前記コア片の搬送方向における前記供給機構と前記供給機構から供給される前記コア片を選択的に支持する切り分け機構の間に配設され、前記スクイズに側方から支持された前記コア片は前記スクイズ内を前記搬送方向に沿って搬送可能である、工程と、
前記コア片を
前記切り分け機構を用いて選択的に支持する工程であって、前記切り分け機構は、
前記スクイズの前記搬送方向下流側の端部との間に隙間が形成される位置に配設され、前記
スクイズの前記搬送方向下流側の端部から
搬出された前記係止コア片の複数の前記係止片のそれぞれを係止する係止位置と前記係止片のそれぞれを係止しない非係止位置との間を移動可能な係止部と、前記係止部を前記係止位置及び前記非係止位置へ移動させる作動装置とを備え、前記コア片は、前記係止位置に位置する前記係止部が前記係止コア片の前記係止片を係止することにより支持される、工程と、
前記切り分け機構により支持された複数枚の前記コア片を受け部材に供給するために、前記係止部を前記係止位置から前記非係止位置に移動させる工程と、
前記非係止位置に移動された前記係止部を、前記コア片の搬送経路上の前記係止位置を含む位置を前記非係止コア片が通過している期間中に、前記係止位置に復帰させる工程と、を備える、
積層体の製造方法。
【請求項13】
前記係止片が前記係止部に係止された前記係止コア片を保持機構を用いて保持する工程をさらに備える、
請求項1
2に記載の積層体の製造方法。
【請求項14】
前記係止部を、前記供給機構から供給された前記係止コア片の外周縁の少なくとも一部及び前記係止片を係止する保持位置に移動させる工程をさらに備える、
請求項1
2に記載の積層体の製造方法。
【請求項15】
前記受け部材を前記搬送方向に沿った回転軸を基準に所定角度回転させる工程をさらに備える、
請求項1
2に記載の積層体の製造方法。
【請求項16】
前記コア片は、複数枚が積層されてブロックコアを構成するものであり、
前記ブロックコアは、単独であるいは複数個が積層されてモータコアを構成するものであって、前記コア片の搬送方向下流側に位置する1乃至複数枚の前記係止コア片と、前記搬送方向上流側に位置する1乃至複数枚の前記非係止コア片とで構成される、
請求項1
2に記載の積層体の製造方法。
【請求項17】
前記係止片は、前記係止コア片の外周面から突出した突起で構成され、前記係止片を溶接用突起として溶接する工程をさらに備える、
請求項1
2に記載の積層体の製造方法。
【請求項18】
プレート状の複数枚のコア片をスクイズに供給する工程であって、複数枚の前記コア片は、その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含み、
前記スクイズは、前記スクイズの前記搬送方向上流側に位置し、前記スクイズ内を通過する複数枚の前記係止コア片及び前記非係止コア片を側方から支持するスクイズ上流部と、前記スクイズの前記搬送方向下流側に位置し、前記スクイズ内を通過する前記係止コア片の前記係止片を側方から支持し且つ前記非係止コア片を側方から支持しないスクイズ下流部と、を備える、工程と、
前記スクイズを通過した前記係止コア片、あるいは前記スクイズを通過した前記係止コア片及びその上面に支持された1乃至複数枚の前記非係止コア片を受け部材で受ける工程と、を備える、
積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は積層体の製造装置及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等に搭載されるモータに用いられるモータコア(ロータコアあるいはステータコア)を得るために、打ち抜き成形された薄板状のコア片を複数枚積層した積層体を製造することが行われている。
【0003】
特開2019-118169号公報には、ステータコアを構成する積層体を製造するために、プレート積層装置を用いることが記載されている。このプレート積層装置は、搬送路としてのシリンダから搬出されるプレートの通過を検知するセンサとプレートを支持する切り分け機構とがシリンダの出口付近に設けられている。そして、このセンサの検出結果に基づき、切り分け機構を任意のタイミングでプレートの搬送経路上に突出させてプレートの搬送を停止させることで、プレートのジグへの供給枚数や供給タイミングを制御している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2019-118169号公報に記載のようなプレート積層装置において、シリンダからのプレート搬出速度が比較的早い場合、特開2019-118169号公報のもののように、切り分け機構の突出タイミングをシリンダから搬出されたプレートの通過を検知するセンサの検出結果のみに基づいて決定していると、プレートの通過を検知してから切り分け機構の動作を完了させるまでの時間が極めて短くなる。したがって、当該切り分け機構のアクチュエータやセンサ、及びこれらの制御装置には、応答速度の速いものが要求され、その制御の難易度も高くなる。また、例えば切り分け機構のアクチュエータの経年劣化等により、切り分け機構の動作速度が低下すると、切り分け機構50の動作が完了する前にその搬送を停止するプレートが到達し、当該プレートの搬送を停止させることができないといった不具合が生じ得る。さらには、精度よく切り分け機構を動作させるために、切り分け機構のアクチュエータの経年劣化等を頻繁に確認する必要が生じ、メンテナンス頻度が高くなる。
【0005】
本開示は、上述した課題に鑑み、特別な装置等を必要とすることなく、コア片の積層を正確かつ効率良く行うことが可能な積層体の製造装置及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係る積層体の製造装置は、その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含むプレート状の複数枚のコア片を供給可能な供給機構と、前記供給機構から供給された前記コア片を複数枚受けることが可能な受け部材と、前記コア片の搬送方向における前記供給機構と前記受け部材の間に配設され、前記受け部材への前記コア片の供給を制御する切り分け機構と、を含み、前記切り分け機構は、前記供給機構から供給された前記係止コア片の複数の前記係止片のそれぞれを係止する係止位置と、前記係止片のそれぞれを係止しない非係止位置との間を移動可能な係止部と、前記係止部を前記係止位置及び前記非係止位置へ移動させる作動装置と、を含むものである。
【0007】
上記のような積層体の製造装置においては、切り分け機構が係止コア片の係止片を係止するため、切り分け機構が設けられた位置を非係止コア片が通過している期間を、切り分け機構の係止部が係止位置に移動するための期間として利用することができる。
【0008】
本開示の第2の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1の態様に係る積層体の製造装置において、前記搬送方向における前記供給機構と前記切り分け機構の間に配設され、前記供給機構から供給される前記コア片を側方から支持するスクイズであって、前記スクイズに側方から支持された前記コア片は、前記スクイズ内を前記搬送方向に沿って搬送可能である、前記スクイズをさらに含む。
【0009】
上記のような積層体の製造装置においては、供給機構から供給されるコア片がスクイズを介して受け部材に供給されるため、受け部材へ供給されるコア片の供給姿勢が安定する。
【0010】
本開示の第3の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1又は第2の態様に係る積層体の製造装置において、前記コア片は、複数枚が積層されてブロックコアを構成するものであり、前記ブロックコアは、単独であるいは複数個が積層されてモータコアを構成するものであって、前記搬送方向下流側に位置する1乃至複数枚の前記係止コア片と、前記搬送方向上流側に位置する1乃至複数枚の前記非係止コア片とで構成される。
【0011】
上記のような積層体の製造装置においては、ブロックコアを構成する複数枚のコア片の下流側のもののみを係止コア片としたことで、切り分け機構による切り分けをブロックコア単位で実行することができるようになる。
【0012】
本開示の第4の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第2の態様に係る積層体の製造装置において、前記作動装置は、前記係止部を、前記係止位置から前記非係止位置に移動させた後、前記係止位置を含む前記コア片の搬送経路上の位置を前記非係止コア片が通過している期間中に、前記係止位置に復帰させる。
【0013】
上記のような積層体の製造装置においては、切り分け機構は、非係止コア片が切り分け機構が設けられた位置を通過している期間中に、次のブロックコアを構成する複数枚のコア片を係止する係止位置への復帰動作を行うことができるため、この復帰動作を行うための時間を従来のものと比べて長く確保することができる。
【0014】
本開示の第5の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1乃至第4の態様のいずれかに係る積層体の製造装置において、前記係止片は、前記係止コア片の外周面から突出した突起で構成される。
【0015】
上記のような積層体の製造装置においては、コア片の係止構造を簡単に形成することができる。
【0016】
本開示の第6の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1乃至第4の態様のいずれかに係る積層体の製造装置において、前記係止片は、前記係止コア片の外周縁の一部で構成され、前記非係止コア片は、前記係止コア片と積層された状態において前記係止片に対応する位置に、前記非係止コア片の外周面に開口する凹部が設けられている。
【0017】
上記のような積層体の製造装置においては、コア片の係止構造を簡単に形成することができる。
【0018】
本開示の第7の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1乃至第6の態様のいずれかに係る積層体の製造装置において、前記作動装置は、前記係止部を、前記係止コア片に相対的に近づく方向に設けられた前記係止位置と、前記係止コア片から相対的に離れる方向に設けられた前記非係止位置との間を移動するよう動作させる。
【0019】
上記のような積層体の製造装置においては、作動装置に周知の直動装置を用いることで係止部の係止機能を実現できる。
【0020】
本開示の第8の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1乃至第6の態様のいずれかに係る積層体の製造装置において、前記作動装置は、前記係止部を、前記係止コア片が搬送されるときの前記係止片の移動経路上に設けられた前記係止位置と、前記係止片の移動経路に対して前記係止コア片の外周面に沿った方向に隣接する位置に設けられた前記非係止位置との間を移動するよう動作させる。
【0021】
上記のような積層体の製造装置においては、係止部がコア片の外周面に沿って移動するため、係止部の可動域の確保が容易である。
【0022】
本開示の第9の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1乃至第8の態様のいずれかに係る積層体の製造装置において、前記係止片が前記係止部に係止した前記係止コア片を保持する保持機構をさらに含む。
【0023】
上記のような積層体の製造装置においては、切り分け機構によるコア片の支持を保持機構で補助することができ、係止部及び係合片を小さくすることができる。
【0024】
本開示の第10の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第2乃至第9の態様のいずれかに係る積層体の製造装置において、前記受け部材を前記搬送方向に沿った回転軸を基準に回転させる回転機構をさらに含む。
【0025】
上記のような積層体の製造装置においては、例えばブロックコア単位で転積を行うことが可能となる。
【0026】
本開示の第11の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第1乃至第10の態様のいずれかに係る積層体の製造装置において、前記コア片は、複数枚が積層されてブロックコアを構成するものであり、前記ブロックコアは、単独であるいは複数個が積層されてステータコアを構成するものであって、前記コア片は、環状のヨークと、前記ヨークの内周に設けられたティースとを備え、前記係止片は、前記ティースの径方向外側に位置する。
【0027】
上記のような積層体の製造装置においては、係止片によるモータコアの磁気特性の劣化を抑制することができる。
【0028】
本開示の第12の態様に係る積層体の製造装置は、その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含むプレート状の複数枚のコア片を下方向に搬送可能なスクイズと、前記スクイズの前記搬送方向上流側に位置し、前記スクイズに前記係止コア片及び前記非係止コア片を選択的に供給可能な供給機構と、前記スクイズの前記搬送方向下流側から供給された前記コア片を複数枚受けることが可能な受け部材と、を含み、前記スクイズは、前記スクイズ内を通過する前記係止コア片の前記係止片を側方から支持するものである。
【0029】
上記のような積層体の製造装置においては、切り分け機構や保持機構といったコア片を一時的に保持することが可能な機構を別途用いる必要なく、コア片の受け部材への供給タイミングや供給枚数を調整することができる。これにより、受け部材の交換や転積を行うための時間を確保することができる。
【0030】
本開示の第13の態様に係る積層体の製造装置は、上記本開示の第12の態様に係る積層体の製造装置において、前記スクイズは、前記スクイズの前記搬送方向上流側に位置し、前記スクイズ内を通過する複数枚の前記係止コア片及び前記非係止コア片を側方から支持するスクイズ上流部と、前記スクイズの前記搬送方向下流側に位置し、前記スクイズ内を通過する前記係止コア片の前記係止片を側方から支持するスクイズ下流部と、を含む。
【0031】
上記のような積層体の製造装置においては、スクイズ上流部にて係止コア片と非係止コア片の両方を保持するため、スクイズによる係止コア片及び非係止コア片の搬送が安定する。
【0032】
本開示の第14の態様に係る積層体の製造方法は、供給機構からプレート状の複数枚のコア片を供給する工程であって、複数枚の前記コア片は、その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含む、工程と、前記供給機構から供給される前記コア片を切り分け機構を用いて選択的に支持する工程であって、前記切り分け機構は、前記供給機構から供給された前記係止コア片の複数の前記係止片のそれぞれを係止する係止位置と前記係止片のそれぞれを係止しない非係止位置との間を移動可能な係止部と、前記係止部を前記係止位置及び前記非係止位置へ移動させる作動装置と、を含み、前記コア片は、前記係止位置に位置する前記係止部が前記係止コア片の前記係止片を係止することにより支持される、工程と、前記切り分け機構により支持された複数枚の前記コア片を受け部材に供給するために、前記係止部を前記係止位置から前記非係止位置に移動させる工程と、前記非係止位置に移動された前記係止部を、前記コア片の搬送経路上の前記係止位置を含む位置を前記非係止コア片が通過している期間中に、前記係止位置に復帰させる工程と、を含むものである。
【0033】
上記のような積層体の製造方法においては、切り分け機構の係止部は係止コア片の係止片に接触するため、切り分け機構が設けられた位置を非係止コア片が通過している期間を、係止部を係止位置へ移動させる期間として利用できるため、係止部の移動のための時間を従来に比べて長く確保することができるようになる。これにより、切り分け機構の構成要素等に応答速度の速いものを用いなくても精度よくコア片の受け部材への供給制御を行うことができる。
【0034】
本開示の第15の態様に係る積層体の製造方法は、上記本開示の第14の態様に係る積層体の製造方法において、前記供給機構から供給された前記コア片を、スクイズを用いて側方から支持する工程であって、前記スクイズは、前記コア片の搬送方向における前記供給機構と前記切り分け機構の間に配設され、前記スクイズに側方から支持された前記コア片は前記スクイズ内を前記搬送方向に沿って搬送可能である、工程をさらに含む。
【0035】
上記のような積層体の製造方法においては、コア片をスクイズに支持された状態で搬送することにより、受け部材へ供給されるコア片の供給姿勢が安定する。
【0036】
本開示の第16の態様に係る積層体の製造方法は、上記本開示の第14又は第15の態様に係る積層体の製造方法において、前記係止片が前記係止部に係止された前記係止コア片を保持機構を用いて保持する工程をさらに含む。
【0037】
上記のような積層体の製造方法においては、切り分け機構によるコア片の支持を保持機構で補助することができ、コア片の支持を安定して行うことができるようになる。
【0038】
本開示の第17の態様に係る積層体の製造方法は、上記本開示の第14又は第15の態様に係る積層体の製造方法において、前記係止部を、前記供給機構から供給された前記係止コア片の外周縁の少なくとも一部及び前記係止片を係止する保持位置に移動させる工程をさらに含む。
【0039】
上記のような積層体の製造方法においては、切り分け機構の係止部を係止片に加えて係止コア片の外周縁にも係止させることで、係止部が係止片のみを係止する場合に比べて係止部と係止コア片との接触面積を大きくできる。したがって、コア片の支持を安定して行うことができるようになる。
【0040】
本開示の第18の態様に係る積層体の製造方法は、上記本開示の第15乃至第17の態様のいずれかに係る積層体の製造方法において、前記受け部材を前記搬送方向に沿った回転軸を基準に所定角度回転させる工程をさらに含む。
【0041】
上記のような積層体の製造方法においては、例えばブロックコア単位で転積を行うことが可能となる。
【0042】
本開示の第19の態様に係る積層体の製造方法は、上記本開示の第14乃至第18の態様のいずれかに係る積層体の製造方法において、前記コア片は、複数枚が積層されてブロックコアを構成するものであり、前記ブロックコアは、単独であるいは複数個が積層されてモータコアを構成するものであって、前記コア片の搬送方向下流側に位置する1乃至複数枚の前記係止コア片と、前記搬送方向上流側に位置する1乃至複数枚の前記非係止コア片とで構成される。
【0043】
上記のような積層体の製造方法においては、ブロックコアを構成する複数枚のコア片の下流側のもののみを係止コア片としたことで、ブロックコアを構成する所定の枚数のコア片が供給される毎に転積あるいは受け部材の交換のための時間を確保することができる。
【0044】
本開示の第20の態様に係る積層体の製造方法は、上記本開示の第14乃至第19の態様のいずれかに係る積層体の製造方法において、前記係止片は、前記係止コア片の外周面から突出した突起で構成され、前記係止片を溶接用突起として溶接する工程をさらに含む。
【0045】
上記のような積層体の製造方法においては、係止片を溶接用突起として流用することができるため、係止片と溶接用突起を別々に設けることが不要となる。
【0046】
本開示の第21の態様に係る積層体の製造方法は、プレート状の複数枚のコア片をスクイズに供給する工程であって、複数枚の前記コア片は、その外周面の複数箇所に係止片を有する係止コア片と、前記係止片を有しない非係止コア片と、を含み、前記スクイズは、前記スクイズ内を通過する前記係止コア片の前記係止片を側方から支持する、工程と、前記スクイズを通過した前記係止コア片、あるいは前記スクイズを通過した前記係止コア片及びその上面に支持された1乃至複数枚の前記非係止コア片を受け部材で受ける工程と、を含むものである。
【0047】
上記のような積層体の製造方法においては、切り分け機構や保持機構といったコア片を保持する機構を別途用いる必要なく、コア片の受け部材への供給タイミングや供給枚数を調整することができる。これにより、受け部材の交換や転積を行うための時間を確保することができる。
【発明の効果】
【0048】
本開示の積層体の製造装置及び積層体の製造方法によれば、特別な装置等を必要とすることなく、コア片の積層を正確かつ効率良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造装置に供給される係止コア片の一例を示す図である。
【
図2】本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造装置に供給される非係止コア片の一例を示す図である。
【
図3】本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造装置の一例を示した概略説明図である。
【
図4】
図3のD-D線で切断した概略断面図である。
【
図5】
図3のE-E線で切断した概略断面図である。
【
図6A】係止部と係止片との係合構造の一例を示した要部拡大図である。
【
図6B】係止部と係止片との係合構造の一例を示した要部拡大図である。
【
図6C】係止部と係止片との係合構造の一例を示した要部拡大図である。
【
図6D】係止部と係止片との係合構造の一例を示した要部拡大図である。
【
図7】本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8A】
図7に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置の要部を示す動作説明図である。
【
図8B】
図7に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置の要部を示す動作説明図である。
【
図8C】
図7に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置の要部を示す動作説明図である。
【
図9】本開示の第2の実施の形態に係る積層体の製造装置の一例を示した概略説明図である。
【
図10】
図9のF-F線で切断した概略断面図である。
【
図11】本開示の第2の実施の形態に係る積層体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12A】
図11に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置の要部を示す動作説明図である。
【
図12B】
図11に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置の要部を示す動作説明図である。
【
図12C】
図11に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置の要部を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
この出願は、日本国で2022年2月24日に出願された特願2022-027044号に基づいており、その内容は本出願の内容としてその一部を形成する。
また、本開示は以下の詳細な説明によりさらに完全に理解できるであろう。本願のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明により明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実例は、本開示の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、本開示の精神と範囲内で、当業者にとって明らかであるからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
【0051】
以下、図面を参照して本開示を実施するための各実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。また、図中の互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0052】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る積層体の製造装置1(
図3参照)及び積層体の製造方法の説明を行う前に、積層体を構成するコア片について簡単に説明を行う。本実施の形態において積層されるコア片は、複数枚が積層されてブロックコアを構成するものであってよく、このブロックコアは、単独であるいは複数個が積層されてモータコア(鉄心)、例えばインナーロータ型の回転電機のステータコア(固定子鉄心)を構成するものとすることができる。また、このコア片は、その外周面の複数箇所に係止片13を有する係止コア片10と、前述した係止片13を有しない非係止コア片20と、を含む。なお、本開示における「積層体」とは、コア片を複数枚単に積層したものを指し、この積層体が溶接や接着等で接合されたものを「モータコア」と呼ぶこととし、両者を区別している。また、上述したモータコアは、分割式のステータコア及び非分割式のステータコアのいずれであってもよく、また、ステータコアではなくロータコア(回転子鉄心)を構成するものであってもよい
【0053】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造装置に供給される係止コア片の一例を示す図である。係止コア片10は、
図1に示すように、その中心部にロータコアが配設可能な貫通穴が形成された円環状のヨーク11と、ヨーク11の内周にヨーク11の中心部に向かって突出するように設けられた平面視略T字状のティース12と、ヨーク11の外周面から外側方向に突出した突起で構成される係止片13と、を含むものとすることができる。また、この係止コア片10は、所定肉厚を有するプレート状の電磁鋼板で構成することができる。
【0054】
係止コア片10の内周面に設けられるティース12は、当該内周面に沿って略等間隔に複数、例えば8つ設けられていてよい。このティース12の周囲には、ステータコアに組み立てられた際に電機子コイルが巻回されてよい。そして、係止コア片10の外周面に設けられる係止片13は、係止コア片10の外周に沿って略等間隔に複数、例えば4つ設けられていてよい。加えて、4つの係止片13が設けられる位置は、
図1に示すように、係止コア片10の内周面に設けられた8つのティース12のいずれかの径方向外側に位置することが好ましい。通常、ティース12の径方向外側は、係止コア片10をモータコアの一部として動作させた際に生成される磁束の密度が他の位置と比較すると低い傾向がある。したがって、上述のように係止片13をティース12の径方向外側に配置すると、係止片13を設けたことに起因するモータコアの磁気特性の劣化を抑制することができる。
【0055】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造装置に供給される非係止コア片の一例を示す図である。非係止コア片20は、
図2に示すように、その中心部にロータコアが配設可能な貫通穴が形成された円環状のヨーク21と、ヨーク21の内周面にヨーク21の中心部に向かって突出するように設けられた平面視略T字状のティース22と、を含むものとすることができる。また、この非係止コア片20も、所定肉厚を有するプレート状の電磁鋼板で構成することができる。換言すると、非係止コア片20は、上述した係止コア片10に含まれる係止片13を有しない点以外は、係止コア片10と同様の構成を含むものということができる。したがって、係止コア片10のヨーク11及びティース12と、非係止コア片20のヨーク21及びティース22とは、同様の寸法及び数を有していてよい。
【0056】
(積層体の製造装置)
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造装置の一例を示した概略説明図である。この
図3のうち、係止コア片10及び非係止コア片20は、
図1に示すA-A線に対応する位置で切断した断面図として示されている。また、
図3においては、係止片13の状態が理解しやすいように、係止片13の寸法のみを実際の寸法より大きく示し、且つ各コア片の中央に形成されている各貫通穴の図示を省略している。本実施の形態に係る積層体の製造装置1は、
図3に示すように、上述した係止コア片10及び非係止コア片20を供給可能な供給機構30と、供給機構30から供給されたコア片を複数枚受けることが可能な受け部材の一例としての受け治具40と、コア片の搬送方向における供給機構30と受け治具40の間に配設され、受け治具40へのコア片の供給を制御する切り分け機構50と、を少なくとも含む。なお、以下においては、
図3に示す矢印Xが示す方向を左右方向とし、以下同様に、矢印Yが示す方向を前後方向、矢印Zが示す方向を上下方向として説明を行うものとする。
【0057】
供給機構30は、
図3中の矢印A1方向に搬送される帯状鋼板2から係止コア片10及び非係止コア片20を選択的に打ち抜き成形するプレス機であってよい。この供給機構30は、搬送される帯状鋼板2を支持する支持台33と共に帯状鋼板2の一部を支持するダイ(下型)31と、ダイ31の上部に配設されたパンチ(上型)32と、を含むことができる。パンチ32が
図3中の矢印A2方向に作動することにより、帯状鋼板2から係止コア片10又は非係止コア片20を打ち抜き成形することができる。また、パンチ32で打ち抜かれた係止コア片10あるいは非係止コア片20は、ダイ31の下方へ押圧され、下方向に搬送される。ここでいう下方向が本実施の形態における各コア片の搬送方向に対応する。
【0058】
受け治具40は、供給機構30の下方に位置し、供給機構30から供給された係止コア片10及び非係止コア片20を受け取るものであってよい。受け治具40は、供給機構30から供給される係止コア片10及び非係止コア片20が載置される台座41と、台座41の上面から上方に延在し係止コア片10及び非係止コア片20を側方から支持する複数本の支持ポール42と、台座41を任意の方向に移動させる搬送アーム43と、を含むことができる。このうち、搬送アーム43は、台座41の下方を支持することができ、この台座41を所定の方向、例えば前後方向、左右方向及び上下方向の少なくとも一方向に移動させることができるものであってよい。加えて、この搬送アーム43は、回転機構として機能してもよい。すなわち支持した台座41を、上下方向に延在する回転軸ARを中心に、例えば
図3中の矢印A5に示す方向に、回転させることができるものであってもよい。なお、受け治具40は各コア片を受けることが可能であれば上述した構成に限定されず、特にその搬送構造等は適宜変更することができる。
【0059】
また、本実施の形態においては、受け部材として上述した受け治具40を例示しているが、受け部材は、供給機構30から供給される係止コア片10及び非係止コア片20を受け取ることが可能であれば上述の受け治具40以外のものであってよい。具体的には、受け部材として、コンベアやスロープ、あるいは後述するスクイズ60内を搬送される係止コア片10及び非係止コア片20に搬送方向とは反対方向の圧力(背圧ともいう)を付加することが可能な受け台といった搬送装置も採用可能である。また、これらの搬送装置及び上述した受け治具40は、適宜組み合わせて用いることもできる。
【0060】
切り分け機構50は、下方向に搬送される係止コア片10及び非係止コア片20の受け治具40への供給を制御するものであってよい。切り分け機構50は、少なくとも、搬送される係止コア片10に接触してその移動を制限する係止部51と、係止部51を動作させるアクチュエータ(作動装置の一例)52とを含むものである。
【0061】
図4は、
図3のD-D線で切断した概略断面図である。係止部51は、
図3及び
図4に示すように、搬送される各コア片の周囲に複数個、具体的には、係止コア片10に設けられた係止片13の数に合わせて4個設けられていてよい。この係止部51は、供給機構30から供給された係止コア片10の複数の係止片13のそれぞれを係止する係止位置P1(
図6参照)と、係止片13のそれぞれを係止しない非係止位置P2(
図6参照)との間を移動することができるもので構成することができる。換言すると、係止位置P1は、搬送経路上を搬送される係止コア片10の係止片13が通る移動経路上の任意の位置に設定でき、非係止位置P2は、係止片13の当該移動経路と重ならない位置に設定できる。なお、
図4中の係止部51は、係止位置P1にある状態が示されている。また、この
図4においては、切り分け機構50よりも下方に位置する部材、例えば受け治具40等はその図示を省略している。
【0062】
アクチュエータ52は、係止部51を動作させるものである。具体的には、係止部51を、上述した係止位置P1と非係止位置P2との間を移動するように、例えば
図4中の矢印A3で示す方向に動作させるものであってよい。本実施の形態のアクチュエータ52には、エアシリンダや単軸ロボットのような周知の直動装置を採用することができる。このアクチュエータ52により、係止部51は、例えば後述する
図6A及び
図6Bに示すように、係止コア片10に相対的に近づく方向に設けられた係止位置P1と、係止コア片10から相対的に離れる方向に設けられた非係止位置P2との間を移動するよう動作させることができる。あるいは、後述する
図6C及び
図6Dに示すように、同じくアクチュエータ52により、係止部51を、係止コア片10が搬送されるときの係止片13の移動経路上に位置する係止位置P1と、係止片13の移動経路に対して係止コア片10の外周面に沿った方向に隣接する位置に設けられた非係止位置P2との間を移動するよう動作させることもできる。
【0063】
また、本実施の形態に係る切り分け機構50は、各コア片が、その搬送経路上の任意の位置を通過したことを検知可能なセンサ53をさらに含むことができる。当該任意の位置としては、スクイズ60の下端部から係止部51の上端部の間の任意の位置とすることが好ましく、係止部51の上端に隣接した位置とすることがより好ましい。このセンサ53には、周知の検知装置、例えば赤外線センサや二次元カメラ等を採用することができる。
【0064】
ところで、係止コア片10及び非係止コア片20は比較的薄い金属板で構成されているため、係止片13の強度は単体では比較的低い。そして、切り分け機構50が係止コア片10を支持した際、係止コア片10あるいは係止コア片10とこれに積層される非係止コア片20との重さは係止片13に作用する。そのため、切り分け機構50に支持された係止片13が上述した重さによって変形し、各コア片の受け治具40への供給を制御できなくなる可能性がある。この点を考慮して、本実施の形態に係る製造装置1においては、係止片13による係止コア片10の支持を補助するために、保持機構55をさらに含むことが好ましい。
【0065】
保持機構55は、
図3及び
図4に示すように、切り分け機構50と同様の高さ位置に設けられていてよい。また、この保持機構55は、係止コア片10の外周縁のうち係止片13が設けられていない部分の少なくとも一部を支持可能な係止位置P3(図示省略)と、当該外周縁の一部を支持しない非係止位置P4(図示省略)との間を移動するように動作させることが可能なものであってよい。各コア片を安定して支持するために、保持機構55の係止コア片10の外周面に沿った方向の長さ(以下、これを「幅」ともいう)は、係止部51の幅よりも大きく設定されているとよい。保持機構55の作動方向は、
図4中の矢印A4で示す方向、すなわち係止コア片10に近づくあるいは離れる方向であってよい。このような保持機構55を含むことにより、受け治具40に供給される係止コア片10あるいは係止コア片10とこれに積層される非係止コア片20とを、切り分け機構50と保持機構55の2つで支持することができるため、各コア片の受け治具40への供給の制御を確実に実行することができるようになる。
【0066】
本実施の形態に係る製造装置1は、上述した構成に加えて、係止コア片10及び非係止コア片20の搬送方向における供給機構30と切り分け機構50の間に、係止コア片10及び非係止コア片20を搬送するスクイズ60をさらに含むことができる。なお、このスクイズ60は本開示における必須の構成ではない。
【0067】
図5は、
図3のE-E線で切断した概略断面図である。スクイズ60は、
図3及び
図5に示すように、打ち抜き成形されダイ31の下方へ押し出された係止コア片10及び非係止コア片20を受け治具40へ搬送する、略円筒状の部材で構成することができる。したがって、スクイズ60の上端部はダイ31の下端部に連結するように配置され、ダイ31と共に、支持台33に取り付けられているとよい。スクイズ60の内周面61は、
図5に示すように、搬送する係止コア片10及び非係止コア片20の形状に合わせた大きさに調整されていてよい。これにより、スクイズ60内を通過する係止コア片10及び非係止コア片20は、その側方(すなわち外周囲)がスクイズ60の内周面61に当接支持されるものであってよい。なお、本実施の形態に係るスクイズ60の内周面61は、係止コア片10の外周形状に合わせた形状としたものを例示しているが、係止コア片10及び非係止コア片20を支持することができる構造であればよく、各コア片の外周面の一部に当接していればよい。また、
図3や後述する
図8等においては、理解を容易にするためにスクイズ60内を搬送されるコア片の枚数が比較的少ないものを例示したが、スクイズ60内を搬送されるコア片は、数十枚から数百枚単位であってよい。そして、積層体を構成するコア片の総枚数も、数十枚から数百枚単位であってよい。
【0068】
供給機構30から連続的に供給される係止コア片10及び非係止コア片20は、スクイズ60の上端に順次搬入され支持されるものであってよい。したがって、既にスクイズ60内に保持されていた係止コア片10及び非係止コア片20は、新たに係止コア片10又は非係止コア片20がスクイズ60内に搬入される毎に、当該搬送された係止コア片10又は非係止コア片20に押圧され、その肉厚分だけスクイズ60内を下方に搬送されることになる。なお、
図3や後述する
図8、
図9及び
図12においては、各コア片の境界部分が分かりやすいように、各コア片間に僅かな隙間が示されているが、本実施の形態におけるスクイズ60内の隣接する係止コア片10及び非係止コア片20は、積層した状態、言い換えれば互いに接触した状態で搬送されるものである。
図8及び
図12に示した受け治具40上に搬送された後のものについても同様である。
【0069】
上述した各構成要素を制御するために、本実施の形態に係る製造装置1は、制御装置70をさらに含むことができる。この制御装置70は、例えば
図3中に点線で示すように、各構成要素に有線又は無線通信を介して通信可能に接続されていてよい。制御装置70には、シーケンサ(Programmable Logic Controller、PLC)を含むコンピュータを採用することができる。
【0070】
本実施の形態に係る積層体の製造装置1は、上述した構成、特にコア片の受け治具40への搬送を制御する切り分け機構50の係止部51が、係止コア片10の係止片13を係止する構成としたことにより、係止部51は非係止コア片20に接触することがない。したがって、切り分け機構50が設けられた搬送経路上の位置を非係止コア片20が通過している期間を、係止部51を係止位置P1へ移動させるための時間として利用することができる。これにより、上記積層体の製造装置1は、係止部51を係止位置P1へ移動するための時間を従来に比べて長く確保することができ、切り分け機構50に含まれるアクチュエータ52やセンサ53に、応答速度の速いものを採用しなくても、精度よくコア片の積層が実行できる。また、当該積層体の製造装置1は比較的安価に製造することができ、またメンテナンス頻度も抑えることができる。
【0071】
ところで、上述した製造装置1においては、係止片13が係止コア片10の外周面から突出した突起で構成され、係止部51が係止コア片10の中心部に近づく又は離れる方向に動作させるものを例示したが、本開示はこれに限定されない。そこで、以下には本開示に含まれる、係止片13と係止部51との係合構造の変形例をいくつか説明する。
【0072】
図6は、係止部と係止片との係合構造の例のいくつかを示した要部拡大図である。なお、
図6A乃至
図6Dにおいて、左側に示した図は、係止位置P1にある係止部51A~51Dと係止コア片10A~10Dの一部、具体的には
図1において点線で囲われたB部との関係を示した図である。同様に、右側に示した図は、係止位置P1にある係止部51A~51Dと非係止コア片20A~20Dの一部、具体的には
図2において点線で囲われたC部との関係を示した図である。
【0073】
図6Aに示す変形例には、係止コア片10Aとして、その外周縁の一部が係止片13Aとして機能するものを採用することができ、非係止コア片20Aとして、その外周面に、係止位置P1にある係止部51Aが通過可能な第1凹部23が形成されたものを採用することができる。この場合、係止部51Aを係止コア片10Aの中心部に近づく又は離れる方向に動作させることで、係止コア片10Aの供給の制御を行うことができる。なお、係止部51Aの非係止位置P2は、
図6A中に点線で示しており、
図6B乃至
図6Dにおいても同様である。
【0074】
また、
図6Bに示す変形例は、その外周面に、例えば積層体を構成する複数枚のコア片を溶接してモータコアとするための溶接部分として形成された1乃至複数の切り欠き14、24を有する係止コア片10B及び非係止コア片20Bに、上述の係止構造を設けた例である。具体的には、本変形例に係る係止コア片10Bには、その外周面に設けられた1乃至複数の切り欠き14の底面部分に、上述した係止コア片10の係止片13と同様の形状を有する係止片13Bを設けたものを採用することができる。また、非係止コア片20Bとしては、その外周面に設けられた1乃至複数の切り欠き24の底面部分が、係止位置P1にある係止部51Bに接触しないよう、例えば平坦にあるいは円弧状に形成されたものを採用することができる。この場合も、上記
図6Aに示した例と同様に、係止部51Bを係止コア片10Bの中心部に近づく又は離れる方向に動作させることで、係止コア片10Bの供給の制御を行うことができる。なお、本開示における係止コア片の外周面とは、係止コア片の外側に位置する側面の全てを含む。具体的には、当該係止コア片の外周面には、係止コア片の外側の円周形状の側面だけでなく、上述した切り欠き24の底面部分のような円周形状でない壁面をも含む。
【0075】
上述のように、係止片13Bを切り欠き14の内部に配設すると、積層体が溶接される際に係止片13Bを溶接用突起として利用できる。さらに、非係止コア片20Bにおいて、切り欠き14の底面部分に、係止位置P1にある係止部51Bに接触しない大きさの突起を設ければ、係止コア片10Bと非係止コア片20Bの両方に溶接用突起を設けることができる。
【0076】
さらに、
図6Cに示す変形例は、係止コア片10Cとして、その外周面に、非係止位置P2にある係止部51Cが通過可能な係止コア片側第2凹部15が形成され、この第2凹部15に隣接する係止コア片10Cの外周縁の一部が係止片13Cとして機能するものを採用することができる。また、非係止コア片20Cには、その外周面に、係止位置P1にある係止部51Cと非係止位置P2にある係止部51Cのいずれもが通過可能な非係止コア片側第2凹部25が形成されたものを採用することができる。
【0077】
上述した構成を備える係止コア片10C及び非係止コア片20の供給を制御するために、本変形例に係る係止部51Cは、図示しないアクチュエータにより、搬送経路上を搬送される係止コア片10Cの係止片13Cを係止する係止位置P1と、この係止位置P1に隣接する位置に設けられ、搬送経路上を搬送される係止コア片10C及び非係止コア片20Cの、係止コア片側第2凹部15及び非係止コア片側第2凹部25の経路上に位置する非係止位置P2との間を移動するよう動作するものであってよい。したがって、本変形例の係止部51Cは、
図6C中の矢印A6に示すように、各コア片の外周面に沿った方向に移動することになる。なお、後述する
図6Dに示す変形例の係止部51Dについても、同様の方向に移動する。
【0078】
さらにまた、
図6Dに示す変形例は、その外周面に、例えばステータコアとして組み立てられた後に回転電機の筐体に固定する際に用いられる1乃至複数の耳部16、26をそれぞれ有する係止コア片10D及び非係止コア片20Dに、上述の係合構造を設けた例である。具体的には、本変形例に係る係止コア片10Dは、その外周面に設けられた1乃至複数の耳部16の一部が係止片13Dとして機能するものを採用することができる。また、非係止コア片20Dとしては、その外周面に設けられた1乃至複数の耳部26の適所に、係止位置P1にある係止部51Dが通過可能な第3凹部27が形成されたものを採用することができる。上述した構成に関連して、本変形例の係止部51Dは、係止片13Dに接触する部分が各コア片の外周面に沿った方向に突出した形状を有していてよい。
【0079】
本開示の係止部と係止片との係合構造は、上述したいくつかの例にも限定されない。例えば、係止片が設けられる位置は、コア片の外周面であれば任意に設定可能である。例えば、係止コア片及び非係止コア片が外周面に径方向外側に突出した突起を有している場合において、係止片を当該突起の一部とし、非係止コア片の対応する位置には凹部を形成するようにしてもよい。あるいは、係止コア片及び非係止コア片が外周面に径方向内側に窪んだ切り欠きを有している場合において、係止片を切り欠きの底面部分の一部とし、非係止コア片の対応する位置には径方向内側にさらに窪んだ凹部を形成するようにしてもよい。
【0080】
さらに言えば、例えば上述した
図6Bに示した例では、係止片13Bが溶接用突起を兼ねているものを例示しているが、溶接用突起と係止片とを別々に配置することもできる。この場合は、例えば溶接用突起が形成される切り欠き14の底面部分あるいは側面部分を係止片として利用することもできる。また、上で列記した係止片と係止部との係合構造は、そのうちの2つ以上の形状を組み合わせることで係合構造を実現していてもよい。さらに、上述した係止部51、51A~51Dは、その先端部分が平面視でいずれも矩形状のものが例示されているが、係止部の先端形状は係止片の形状等に合わせて適宜変更することができる。
【0081】
(積層体の製造方法)
次に、本実施の形態に係る積層体の製造方法について説明する。以下の説明においては、上述した積層体の製造装置1を用いて積層体を製造する場合について例示するが、本開示の積層体の製造方法は、当該製造装置1以外の装置であっても実施可能である。なお、以下に示す効果等の説明は、本実施の形態に係る製造装置1の効果の説明を兼ねている。
【0082】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る積層体の製造方法の一例を示すフローチャートである。また、
図8は、
図7に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置1の状態を示す動作説明図である。なお、
図8では、スクイズ60から受け治具40へ搬送される各コア片の搬送状態が理解しやすいように、製造装置1の当該搬送に関連する箇所のみを示し、他の部分の図示を省略している。
【0083】
以下に説示する積層体の製造方法においては、所定の枚数のコア片を積層する度に転積を行うものを例示する。ここで、転積とは、各コア片を積層する際に電磁鋼板の向きを回転させて積層することである。この転積を行うことにより、当該積層体を含むステータコアに磁気的な方向性が残ることを抑制できる。また、各コア片における板厚の偏りによるステータコアの直角度または平行度の低下を抑制できる。
【0084】
この転積は、所定の枚数のコア片を保持している受け治具40を搬送方向に沿った回転軸ARを基準に(例えば矢印A5方向に)所定角度回転させることで実施することができる。本実施の形態においては、搬送アーム43を用い、台座41上に4枚のコア片が載置される毎に受け治具40を所定角度(例えば90°又は180°)回転させることで転積を実行するものを例示する。以下、転積あるいは受け治具40の交換が行われる間に積層される4枚のコア片をまとめてコア片群G(
図8A参照)と呼び、このコア片群Gが上述したブロックコアを構成するものとする。なお、本実施の形態においては、その理解を容易にするために、積層体を構成するコア片の総枚数が比較的少ないものを例示し、転積を行うタイミングを4枚のコア片が載置される毎とした場合を例示している。しかし、積層体を構成するコア片がここで例示したものよりも多い場合等には、例えば数十枚程度のコア片が載置される毎に転積が行われてよい。
【0085】
本実施の形態に係る積層体の製造方法は、少なくとも、供給機構30から複数枚のコア片を供給する工程(後述する工程S11を参照)と、供給機構30から供給されるコア片を切り分け機構50を用いて選択的に支持する工程(後述する工程S16を参照)と、切り分け機構50により支持された複数枚のコア片を受け治具40に供給するために、切り分け機構50の係止部51を係止位置P1から非係止位置P2に移動させる工程(後述する工程S14を参照)と、非係止位置P2に移動された係止部51を、コア片の搬送経路上の係止位置P1を含む位置を非係止コア片20が通過している期間中に、係止位置P1に復帰させる工程(後述する工程S16を参照)と、を含むものである。
【0086】
本実施の形態に係る積層体の製造方法についてより詳細に説明すると、当該製造方法は、はじめに、供給機構30による係止コア片10及び非係止コア片20の打ち抜き動作を開始する(工程S11)。この打ち抜き動作は、一方向、例えば左右方向に送られる帯状鋼板2に対して所定のタイミングでパンチ32を下降させることで実行できる。打ち抜かれた係止コア片10及び非係止コア片20は、パンチ32に押圧されることでダイ31の下方に移動し、スクイズ60のダイ31に連結した上端部からスクイズ60内に押し込まれる。スクイズ60内に押し込まれた係止コア片10及び非係止コア片20は、その外周面の少なくとも一部がスクイズ60の内周面61に側方から支持される。
【0087】
本実施の形態においては、上述した通り4枚のコア片からなるコア片群Gが積層される毎に転積を行う。これに関連して、上記工程S11において打ち抜かれるコア片は、当該一のコア片群Gを構成する複数枚(
図8では4枚)のコア片の、下流側に位置する1乃至複数枚のコア片を係止コア片10とし、上流側に位置する1乃至複数枚のコア片を非係止コア片20とするとよい。換言すると、一のコア片群Gを構成する複数枚のコア片のうち、少なくとも最初に打ち抜かれるコア片を係止コア片10とし、それ以外を非係止コア片20とするとよい。これは、転積あるいは受け治具40の交換を行う際、切り分け機構50により受け治具40への各コア片の供給を一時的に停止させるためには、コア片群Gの最も下流に位置するコア片を支持する必要があるためである。なお、本実施の形態においては、係止コア片10及び非係止コア片20を2枚ずつ交互に打ち抜くことで、一のコア片群Gが下流側から2枚の係止コア片10と2枚の非係止コア片20とが順次積層されたものを例示している。
【0088】
供給機構30によるコア片の打ち抜き動作が開始されると、スクイズ60による各コア片の搬送が開始される(工程S12)。スクイズ60によるコア片の搬送は、スクイズ60の上端部に供給機構30から新たなコア片が搬入されることにより、事前に供給機構30から供給されスクイズ60内に保持された他のコア片が押し下げられて実行される。したがって、スクイズ60内に保持された各コア片は、積層された状態を維持しつつ搬送方向に沿って搬送される。
【0089】
スクイズ60による各コア片の搬送が開始されて所定の時間が経過すると、スクイズ60の下端部から受け治具40に向かってコア片が順次搬出される。当該コア片の搬出が開始されると(工程S13でYes)、
図8Aに示すように、切り分け機構50のアクチュエータ52を動作させて係止部51を非係止位置P2へ移動させる(工程S14)。なお、本実施の形態においては製造装置1の初期状態では係止部51が係止位置P1にあるものを例示しているが、当該初期状態で係止部51が非係止位置P2にある場合には、当該工程14をスキップすればよい。
【0090】
係止部51が非係止位置P2に移動したことにより、コア片の搬送経路上には係止部51が存在していないため、少なくともスクイズ60から搬出される一のコア片群Gを構成する各コア片は、順次下方向に移動し、受け治具40の台座41上に積層される。この移動はセンサ53にて監視されるとよい。具体的には、センサ53は、切り分け機構50の係止部51が係止コア片10の係止片13を係止する係止位置P1を含む上下方向の位置(以下、この位置を「コア片支持位置」という)に向かって配設されており、このコア片支持位置を係止コア片10が通過したことを検知することができるものとすることができる。
【0091】
上述したセンサ53等により、コア片群Gのうちの係止コア片10の通過が検知されると(工程S15)、
図8Bに示すように、切り分け機構50のアクチュエータ52を動作させて、係止部51の係止位置P1への移動を開始する(工程S16)。ここで、係止コア片10のコア片支持位置の通過は、一のコア片群G内の最も上流に位置する係止コア片(
図8Bにおいては、下から2枚目の係止コア片)10のコア片支持位置の通過を指すものとする。なお、係止コア片10のコア片支持位置の通過の検出方法は、上述のものに限定されない。例えば、コア片支持位置を順次通過するコア片が、係止コア片10から非係止コア片20に変わったことを検知することにより、あるいはセンサを用いずに供給機構30からのコア片の供給枚数や供給時間等を考慮して計算により特定された係止コア片10のコア片支持位置の通過タイミングに基づいて、代替的に上記検出を行ってもよい。このような代替的な検出方法は、上述した係止コア片10の通過をセンサ53で直接検出する場合に比べてその検出精度は低い。しかし、本実施の形態に係る積層体の製造方法においては、後述するように切り分け機構50が非係止位置P2から係止位置P1へ移動するための時間が長く確保されているため、上述した代替的な検出方法を採用することも可能である。
【0092】
工程S16における係止部51の係止位置P1への移動は、一のコア片群G内の最も上流に位置する係止コア片10がコア片支持位置を通過してから、一のコア片群Gの次に搬送される他のコア片群Gの最も下流に位置する係止コア片10がコア片支持位置に到達するまでの間に完了すればよい。この期間は、
図8Bに示すように、コア片支持位置を2枚の非係止コア片20が通過する期間を含む。しかし、非係止コア片20は係止片13を有しておらず、係止部51の係止位置P1は係止片13の移動経路上に設定されているため、仮に非係止コア片20がコア片支持位置を通過するタイミングで係止部51が係止位置P1にあったとしても、この係止部51が非係止コア片20の搬送を妨げることはない。
【0093】
係止部51の係止位置P1への移動が完了すると、次いで保持機構55の係止位置P3への移動を開始する(工程S17)。保持機構55の係止位置P3への移動のタイミングは、係止部51により係止コア片10が係止された直後、あるいは複数枚の係止コア片10(場合によっては複数枚の係止コア片10と非係止コア片20)が係止部51に支持された後に設定することができる。
【0094】
また、係止部51の係止位置P1への移動が完了すると、スクイズ60の下端部から搬出される各コア片は切り分け機構50により支持され、その搬送が一時的に妨げられる。この期間中に、搬送アーム43を動作させて一のコア片群Gが載置された台座41を回転軸ARを中心に所定角度(例えば90°)回転させて転積を実行する(工程S18)。転積の実行タイミングは、切り分け機構50によりコア片が支持されている期間中であればよい。したがって、例えば上述した保持機構55の係止位置P3への移動を開始する前に、あるいは当該移動を開始すると同時に実行することもできる。なお、この工程S18は、台座41上に載置されたコア片の枚数が所望の数に達している場合には、上記転積に代えて、受け治具40の交換を実行する。また、本実施の形態においては、台座41に一のコア片群Gが載置される度に、工程S18にて転積又は受け治具40の交換を行うものを例示しているが、一のコア片群Gが載置される度に工程S18に示す処理を実行する必要は必ずしもない。例えば、台座41上に所定数のコア片群Gが載置されるまで、転積及び受け治具40の交換を実行しないようにしてもよい。この場合には必要に応じて工程S18をスキップするとよい。
【0095】
工程S18において転積動作が完了する、あるいは受け治具40の交換が完了すると、工程S14に戻って次のコア片群Gの搬送を再開する。具体的には、工程S16により一時的にその搬送が妨げられて切り分け機構50に支持されていたコア片を、係止部51を係止位置P1から非係止位置P2に移動させることにより、受け治具40へ搬送する。なお、この係止部51の非係止位置P2への移動と共に、保持機構55の非係止位置P4への移動も実行される。
【0096】
以上説明した通り、本実施の形態に係る積層体の製造方法によれば、切り分け機構50の係止部51を係止コア片10の係止片13に接触させることでコア片の供給を制御するようにしたことで、切り分け機構50の係止部51を移動させるための時間を従来に比べて長く確保することができるようになる。これにより、切り分け機構50の構成要素等に応答速度の速いものを用いなくてもよくなる。また、各係止部51を係止位置P1まで確実に移動させることができ、係止部51と係止片13との係止を安定して実行できる。
【0097】
上記実施の形態においては、一のコア片群Gを下流側の2枚を係止コア片10とし、上流側の2枚を非係止コア片20としたものを例示したが、下流側の1枚のみを係止コア片10とし、残りの3枚を非係止コア片20としてもよい。このようにコア片群Gを構成する非係止コア片20の枚数を多くすれば、切り分け機構50の移動のための時間をより長く確保することができる。
【0098】
他方、上記実施の形態に例示したように、一のコア片群Gに含まれる係止コア片10の枚数を2枚以上とすると、係止片13の強度を向上させることができる。すなわち、例えば一のコア片群Gに含まれる係止コア片10を2枚とすると、係止部51に接触する、一のコア片群Gの最も下流側に位置する係止コア片10の係止片13の上流側に、この係止コア片10に積層される2枚目の係止コア片10の係止片13が積層されるようになる。したがって、当該2枚の係止片13によって2枚の係止コア片10及びこれら2枚の係止コア片10に積層される非係止コア片20の重量を支えることができ、係止片13の変形を抑制することができる。以上の点を踏まえ、一のコア片群Gに含まれる係止コア片10の枚数は、コア片群Gに含まれるコア片の枚数や重量を考慮して適宜調整するとよい。
【0099】
また、上記実施の形態においては、保持機構55を係止位置に移動させる工程(工程S17)を含むものを例示したが、この工程に代えて、係止部51による各コア片の支持力を向上させる工程を採用することもできる。具体的には、係止部51を、係止片13のみならず、係止コア片10の外周縁の少なくとも一部をも係止する位置(保持位置に対応)に移動させる工程を採用することもできる。係止部51が
図4中の矢印A3で示す方向に動作するものである場合には、係止部51を係止位置P1よりもさらに係止コア片10の中心部に近づく方向に移動させた位置を保持位置とすれば、上述した保持機構55を用いることなく係止部51によるコア片の支持力を向上でき、各コア片の安定した支持を実現することができる。
【0100】
さらに、上述した一連の工程を経て製造された積層体は、各コア片の溶接や、スロットへのコイルの巻き回し等が行われるものであるが、各コア片を溶接する際の溶接しろとして、係止片13を流用することができる。すなわち、本実施の形態に係る積層体の製造方法は、係止片13を係止コア片10の外周面から突出した突起で構成し、この突起で構成された係止片13を溶接用突起として、各コア片を溶接する工程をさらに含むことができる。これにより、係止片13を溶接しろとして利用することで係止片と溶接用突起を別々に設けることが不要となる。
【0101】
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、切り分け機構50を用いて各コア片の受け治具40への供給を制御したものを例示したが、本開示はこのような構造に限定されない。そこで、以下には、本開示の第2の実施の形態として、切り分け機構50を用いない積層体の製造装置及び積層体の製造方法について説明を行う。
【0102】
(積層体の製造装置)
本実施の形態に係る製造装置1Aは、切り分け機構50等の部材を有しておらず且つスクイズの構造が異なる点を除き、第1の実施の形態に係る製造装置1と同様の構成を含むものであってよい。よって、以下には、第1の実施の形態に係る製造装置1と同様の構成からなる部分には第1の実施の形態の説明に用いたものと同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態に係る製造装置1とは異なる構成を中心に説明を行うものとする。
【0103】
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る積層体の製造装置の一例を示した概略説明図である。この
図9は、
図3に対応するように描かれたものである。本実施の形態に係る積層体の製造装置1Aは、
図9に示すように、例えば
図1及び
図2に示す係止コア片10及び非係止コア片20を下方向に搬送可能な第2のスクイズ80と、第2のスクイズ80の上方に位置し、第2のスクイズ80に各コア片を選択的に供給可能な供給機構30と、第2のスクイズ80の下方に位置することができ、第2のスクイズ80から搬出されたコア片を複数枚受けることが可能な受け治具40と、を含むものである。なお、第1の実施の形態に係る積層体の製造装置1と同様に、本実施の形態に係る積層体の製造装置1Aが積層するコア片の形状は、
図1及び
図2に示したものに限定されない。例えば
図6で例示したような外周面の形状を有するコア片を積層することもできる。
【0104】
第2のスクイズ80は、第2のスクイズ80内を通過する係止コア片10の係止片13を側方から支持するものである。具体的には、第2のスクイズ80は、ダイ31とパンチ32を含む供給機構30にて打ち抜き成形され、ダイ31の下方へ押し出された係止コア片10及び非係止コア片20を受け治具40へ搬送する、略円筒状の部材で構成することができる。これに加えて、第2のスクイズ80は、コア片の搬送方向上流側に位置し、第2のスクイズ80内を通過する係止コア片10及び非係止コア片20の両方を側方から支持するスクイズ上流部81と、コア片の搬送方向下流側に位置し、第2のスクイズ80内を通過する係止コア片10の係止片13を側方から支持するスクイズ下流部82と、で構成することができる。なお、本実施の形態に係る第2のスクイズ80は、上述した通りスクイズ上流部81とスクイズ下流部82とを含むものを例示しているが、このような構成に限定されない。具体的には、第2のスクイズ80は、上述したスクイズ上流部81を有しないものであってもよい。
【0105】
スクイズ上流部81は、第1の実施の形態のスクイズ60と同様の構成を有していてよい。すなわち、その内周面は
図5に示したスクイズ60の内周面61と同一の形状を有していてよい。
【0106】
図10は、
図9のF-F線で切断した概略断面図である。スクイズ下流部82は、
図10に示すように、その内周面の係止コア片10の係止片13に対向する位置に、係止片13に側方から当接して係止コア片10を支持する第1の係止部83が設けられていてよい。ここで、スクイズ下流部82においては、その内周面のうち第1の係止部83が形成された部分以外については、係止コア片10及び非係止コア片20のいずれも支持していないことは、特に留意すべき事項である。本実施の形態に係る積層体の製造装置1Aにおいては、スクイズ下流部82の第1の係止部83が形成された部分を除く内周面と各コア片の外周面との間には間隙84が形成されている。なお、スクイズ下流部82の内周面の形状は、搬送される係止コア片10及び非係止コア片20の形状に合わせて適宜変更すればよい。
【0107】
本実施の形態に係る積層体の製造装置1Aは、上述した第2のスクイズ80を含むことにより、スクイズ下流部82においては係止コア片10のみが支持された状態で搬送され、非係止コア片20については、その側方が第2のスクイズ80により支持されることなく、下流側に位置する係止コア片10の上面に載置され支持された状態で、搬送経路上を移動することになる。そして、第2のスクイズ80の下端部から搬出される非係止コア片20は、その下流側に位置する係止コア片10が搬出された際に同時に搬出される。このように、非係止コア片20を係止コア片10の搬出と同時に行うと、非係止コア片20が搬出されてから、次に係止コア片10が第2のスクイズ80の下端部から搬出されるまでの時間間隔が長くなる。したがって、このタイミングで転積や受け治具40の交換を行うことができるようになり、転積や受け治具40の交換のために装置を停止させる、あるいはコア片の供給タイミングを制御するための別途の構成要素を用いることなく、コア片の積層を連続して正確に実行することができる。
【0108】
(積層体の製造方法)
次に、本実施の形態に係る積層体の製造方法について説明する。以下の説明においては、上述した積層体の製造装置1Aを用いて積層体を製造する場合について例示するが、本開示の積層体の製造方法は、当該製造装置1A以外の装置であっても実施可能である。なお、以下に示す効果等の説明は、本実施の形態に係る製造装置1Aの効果の説明を兼ねている。
【0109】
図11は、本開示の第2の実施の形態に係る積層体の製造方法の一例を示すフローチャートである。また、
図12は、
図11に示す積層体の製造方法を実行したときの製造装置1Aの要部の状態を示す動作説明図である。なお、
図12では、第2のスクイズ80から受け治具40へ搬送される各コア片の搬送状態が理解しやすいように、製造装置1Aの当該搬送に関連する箇所のみを示し、他の部分の図示を省略している。また、以下に説示する積層体の製造方法においては、第1の実施の形態に係る積層体の製造方法と同様に、所定の枚数のコア片を積層する度に転積を行うものを例示する。
【0110】
本実施の形態に係る積層体の製造方法は、少なくとも、複数枚のコア片を第2のスクイズ80に供給する工程(後述する工程S21を参照)と、スクイズ下流部82を通過した係止コア片10、あるいはスクイズ下流部82を通過した係止コア片10とその上面に支持された1乃至複数枚の非係止コア片20を受け治具40で受ける工程(後述する工程S23を参照)と、を含むものである。
【0111】
本実施の形態に係る積層体の製造方法についてより詳細に説明すると、当該製造方法は、はじめに、供給機構30による係止コア片10及び非係止コア片20の打ち抜き動作を開始する(工程S21)。打ち抜かれた係止コア片10及び非係止コア片20は、パンチ32に押圧されることでダイ31の下方に移動し、第2のスクイズ80のダイ31に連結した上端部から第2のスクイズ80内に押し込まれる。第2のスクイズ80内に押し込まれた係止コア片10及び非係止コア片20は、その外周面の少なくとも一部がスクイズ上流部81の内周面に側方から支持される。
【0112】
本実施の形態においても、第1の実施の形態のものと同様に、4枚のコア片からなるコア片群Gが積層される毎に転積を行う。したがって、上記工程S21では係止コア片10及び非係止コア片20が2枚ずつ交互に打ち抜かれ、一のコア片群Gが下流側から2枚の係止コア片10と2枚の非係止コア片20とが積層されたものとなっているものを例示している。
【0113】
供給機構30によるコア片の打ち抜き動作が開始されると、第2のスクイズ80による各コア片の搬送が開始される(工程S22)。第2のスクイズ80による各コア片の搬送は、スクイズ上流部81においては、係止コア片10及び非係止コア片20の両方が、その側方が支持され積層された状態を維持しつつ搬送方向に沿って搬送される。
【0114】
第2のスクイズ80内の各コア片の搬送が進行し、スクイズ下流部82に到達すると、各コア片のうち、係止コア片10は係止片13が係止部83に接触することで側方からの支持が維持される。他方、非係止コア片20は側方からの支持が解除され、下流側に位置する係止コア片10の上面に支持される(
図12A参照)。
【0115】
第2のスクイズ80による各コア片の搬送がさらに進行すると、はじめに、一のコア片群Gを構成する各コア片のうち、最も下流側に位置する係止コア片10が第2のスクイズ80の下端部から搬出され、次いで、この最も下流側に位置する係止コア片10の上面にその下面が当接した積層状態でスクイズ下流部82内を搬送されていた係止コア片10(以下、説明の理解を容易にするため、この係止コア片10を「2番目の係止コア片10」と仮に呼称する)が第2のスクイズ80の下端部から搬出される。
【0116】
ここで、2番目の係止コア片10は、その上面に同一のコア片群Gに含まれる2枚の非係止コア片20が載置され支持されている。非係止コア片20は、スクイズ下流部82には支持されていないため、2番目の係止コア片10が第2のスクイズ80の下端部から搬出された際には、
図12Bに示すように、この2枚の非係止コア片20も同時に第2のスクイズ80の下端部から搬出される。そしてこのとき、2枚の非係止コア片20の上流に積層されていた係止コア片10は、第2のスクイズ80の下端部から離れた位置を搬送されている。
【0117】
2番目の係止コア片10及びその上面に支持された2枚の非係止コア片20が受け治具40の台座41上に載置される(工程S23でYes)と、
図12Cに示すように、搬送アーム43を動作させて一のコア片群Gが載置された台座41を、回転軸ARを中心に所定角度(例えば90°)回転させて転積を実行する(工程S24)。当該転積を実行するタイミングにおいては、次に受け治具40へ搬送される係止コア片10が、上述した通り、第2のスクイズ80の下端部から離れた位置を搬送されており、第2のスクイズ80の下端部から搬出されるまでには比較的長い時間が確保されている。したがって、転積の実行中に新たなコア片が第2のスクイズ80から搬出されることがない。なお、この工程S24は、台座41上に載置されたコア片の枚数が所望の数に達している場合には、上記転積に代えて、受け治具40の交換を実行することもできる。そして、工程S24において転積動作が完了する、あるいは受け治具40の交換が完了すると、工程S23に戻って次のコア片群Gの搬出まで待機すればよい。
【0118】
以上説明した通り、本実施の形態に係る積層体の製造方法によれば、第2のスクイズ80の内周面の一部を工夫しただけで、第2のスクイズ80の下端部から搬出される各コア片の搬出タイミングを調整することができるようになる。したがって、シンプルな構造で、積層体の製造を連続的に行えるようになる。また、スクイズ下流部82が係止コア片10のみを支持する構造を有することにより、コア片群Gが搬出される毎に次の搬出までの時間が長く確保されるため、転積や受け治具40の交換を確実に実行することができる。
【0119】
本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。
【0120】
本明細書中で引用する刊行物、特許出願及び特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照して組み込むのと、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ限度で、ここで参照して組み込む。
【0121】
本開示の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」及び「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「~を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例又は例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本開示をよりよく説明することだけを意図し、本開示の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本開示の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0122】
本明細書中では、本開示を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本開示の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本開示が実施されることを予定している。したがって本開示は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正及び均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本開示に包含される。