IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北京銀河方圓科技有限公司の特許一覧

特許7549159標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス
<>
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図1
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図2
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図3
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図4
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図5
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図6
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図7
  • 特許-標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A61B5/055 380
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023564681
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 CN2022101590
(87)【国際公開番号】W WO2023280002
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】202110765832.2
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523397045
【氏名又は名称】北京銀河方圓科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING GALAXY CIRCUMFERENCE TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Rm. 504, 5 / F, BLDG. 2, No. 9, Yike Rd. Life Science Park, Changping District Beijing 102206, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】魏 可成
(72)【発明者】
【氏名】張 維
(72)【発明者】
【氏名】張 瓊
【審査官】宮川 数正
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-510572(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111407276(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0090749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脳の磁気共鳴画像から得られたデータを含む前記被験者のスキャンデータを取得することと、
前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定することと、ただし、各ROIは同じ機能のボクセルで構成される、
前記被験者の疾患タイプに応じて、前記疾患タイプの関心領域対応関係を特定することと、
前記関心領域対応関係に応じて、前記少なくとも2つの関心領域から少なくとも1つの疾患関心領域および少なくとも1つの標的関心領域を特定することと、
標的関心領域におけるボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続度を特定することと、
前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定することとを含む標的特定方法であって、
前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定することは、
前記スキャンデータ中の2つのボクセルごとの接続度を特定することと、
前記スキャンデータに対応する前記被験者の脳の解剖学的構造を複数の大領域に分割し、前記複数の大領域の各大領域を複数の脳領域(少なくとも1つのボクセルを含む)に分割することと、
前記複数の脳領域の各脳領域の間のボクセル接続度が予設定の脳領域のボクセル接続度の閾値よりも高い脳領域を融合して、前記少なくとも2つの関心領域を形成することと
を含むことを特徴とする標的特定方法。
【請求項2】
前記標的関心領域におけるボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続度を特定することは、
前記標的関心領域におけるボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続係数を、前記標的関心領域における対応するボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における対応する疾患関心領域との接続度として特定すること
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定することは、
前記標的関心領域において接続度の絶対値が予設定の標的接続度閾値よりも大きいボクセルに対応する位置を前記標的として特定すること
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記標的関心領域において接続度が予設定の接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定することは、
前記標的関心領域におけるボクセルを接続度の絶対値の大きい順に配列してボクセルのシーケンスを取得することと、
前記ボクセルのシーケンスのうち、最初のボクセルから順に予設定のボクセル数までのボクセルに対応する位置を前記標的として特定することと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予設定のボクセル数は、前記標的関心領域におけるボクセルの総数と予設定のボクセル比との積を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記磁気共鳴画像は、構造的磁気共鳴画像、および/またはタスク状態機能的磁気共鳴画像、および/または安静時機能的磁気共鳴画像を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
データ取得ユニット、処理ユニット、設置ユニット、標的特定ユニットを含む標的特定装置であって、
データ取得ユニットは、被験者の脳の磁気共鳴画像から得られたデータを含む前記被験者のスキャンデータを取得するように配置され、
処理ユニットは、前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定するように配置され、ただし、各ROIは同じ機能のボクセルで構成される、
設置ユニットは、前記被験者の疾患タイプに応じて、前記疾患タイプの関心領域対応関係を特定し、前記関心領域対応関係に応じて、前記少なくとも2つの関心領域から少なくとも1つの疾患関心領域および少なくとも1つの標的関心領域を特定するように配置され、
前記処理ユニットは、標的関心領域におけるボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続度を特定するようにも配置され、
標的特定ユニットは、前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度基準に適合するボクセルを標的として特定するように配置され
前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定することは、
前記スキャンデータ中の2つのボクセルごとの接続度を特定することと、
前記スキャンデータに対応する前記被験者の脳の解剖学的構造を複数の大領域に分割し、前記複数の大領域の各大領域を複数の脳領域(少なくとも1つのボクセルを含む)に分割することと、
前記複数の脳領域の各脳領域の間のボクセル接続度が予設定の脳領域のボクセル接続度の閾値よりも高い脳領域を融合して、前記少なくとも2つの関心領域を形成することと
を含むことを特徴とする標的特定装置。
【請求項8】
少なくとも1つの処理機と、
少なくとも1つのプログラムが記憶された記憶装置と、
を含む電子デバイスであって、
前記少なくとも1つのプログラムが少なくとも1つの処理機によって実行される時、前記少なくとも1つの処理機に、請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実施させる電子デバイス。
【請求項9】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムが少なくとも1つの処理機によって実行される時、請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実施するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
予設定の神経調節プログラムに従って、被験者の標的を神経調節するように配置された神経調節デバイスであって、前記標的は、請求項1~のいずれか一項に記載の方法に従って特定されたものである神経調節デバイス。
【請求項11】
前記予設定の調節プログラムは、
脳深部電気刺激、
経頭蓋電気刺激、
電気痙攣療法、
皮質脳電気電極に基づく電気刺激、
経頭蓋磁気刺激、
超音波集束神経調節、
磁気共鳴高エネルギー超音波集束治療調節、
光刺激制御
のうちの少なくとも1つを含む請求項10に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータ技術の分野に関し、特に、標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの脳における神経調節標的をいかに選択するかは、現在の神経科学分野の技術的課題であり、個体化された神経調節標的のスクリーニングに役立つ効果的な補助手段を見つけることが目下の急務である。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、個体化された神経調節標的をスクリーニングするための標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイスを提供する。
【0004】
第1の態様では、本開示は、被験者の脳の磁気共鳴画像から得られたデータを含むスキャンデータを取得することと、前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域(region of interest、ROI)を特定することと、前記被験者の疾患タイプに応じて、前記疾患タイプの関心領域対応関係を特定することと、前記関心領域対応関係に応じて、前記少なくとも2つの関心領域から少なくとも1つの疾患関心領域および少なくとも1つの標的関心領域を特定することと、標的関心領域における各ボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続度を特定することと、前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定することと、を含む標的特定方法を提供する。
【0005】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記標的関心領域における各ボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続度を特定することは、
前記標的関心領域における各ボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続係数を、前記標的関心領域における対応するボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における対応する疾患関心領域との接続度として特定することを含む。
【0006】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定することは、
前記標的関心領域において接続度の絶対値が予設定の標的接続度閾値よりも大きいボクセルに対応する位置を前記標的として特定することを含む。
【0007】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定することは、
前記標的関心領域におけるボクセルを接続度の絶対値の大きい順に配列してボクセルのシーケンスを取得することと、
前記ボクセルのシーケンスのうち、最初のボクセルから順に予設定のボクセル数までのボクセルに対応する位置を標的として特定することと、を含む。
【0008】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記予設定のボクセル数は、前記標的関心領域におけるボクセルの総数と予設定のボクセル比との積を含む。
【0009】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定することは、
前記スキャンデータ中の2つのボクセルごとの接続度を特定して、前記スキャンデータに対応する脳接続マトリックスを形成することと、
標準脳の脳領域テンプレート及び前記脳接続マトリックスに基づいて、前記少なくとも2つの関心領域を形成することと、を含む。
【0010】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定することは、
前記スキャンデータ中の2つのボクセルごとの接続度を特定することと、
前記スキャンデータに対応する前記被験者の脳の解剖学的構造を複数の大領域に分割し、前記複数の大領域の各大領域を複数の脳領域(少なくとも1つのボクセルを含む)に分割することと、
前記複数の脳領域の各脳領域の間のボクセル接続度が予設定の脳領域のボクセル接続度の閾値よりも高い脳領域を融合して、前記少なくとも2つの関心領域を形成することと、を含む。
【0011】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記磁気共鳴画像は、構造的磁気共鳴画像、および/またはタスク状態機能的磁気共鳴画像、および/または安静時機能的磁気共鳴画像を含む。
【0012】
第2の態様では、本開示は、
被験者の脳の磁気共鳴画像から得られたデータを含む前記被験者のスキャンデータを取得するように配置されたデータ取得ユニットと、
前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定するように配置された処理ユニットと、
前記被験者の疾患タイプに応じて、前記疾患タイプの関心領域対応関係を特定し、前記関心領域対応関係に応じて、前記少なくとも2つの関心領域から少なくとも1つの疾患関心領域および少なくとも1つの標的関心領域を特定するように配置された設置ユニットと、
前記処理ユニットは、標的関心領域におけるボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続度を特定するようにも配置され、
前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度基準に適合するボクセルを標的として特定するように配置された標的特定ユニットと、
を含む標的特定装置を提供する。
【0013】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記処理ユニットはさらに、
前記少なくとも1つの疾患関心領域について各々の疾患関心領域を特定し、
前記標的関心領域におけるボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との連結係数を、前記標的関心領域における対応するボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における対応する疾患関心領域との接続度として特定するように配置される。
【0014】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記標的特定ユニットはさらに、
前記標的関心領域における接続度の絶対値が予設定の標的接続度の閾値よりも大きいボクセルに対応する位置を前記標的として特定するように配置される。
【0015】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記標的特定ユニットはさらに、
前記標的関心領域におけるボクセルを接続度の絶対値の大きい順に配列してボクセルの配列を取得し、
前記ボクセル配列のうち、最初のボクセルから順に予設定のボクセル数までのボクセルに対応する位置を標的として特定するように配置される。
【0016】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記予設定のボクセル数は、前記標的関心領域におけるボクセルの総数と予設定のボクセル比との積を含む。
【0017】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記処理ユニットはさらに、
前記スキャンデータにおける2つのボクセルごとの接続度を特定して、前記スキャンデータに対応する脳接続マトリックスを形成し、
標準脳の脳領域テンプレート及び前記脳接続マトリックスに基づいて、前記少なくとも2つの関心領域を形成するように配置される。
【0018】
いくつかの選択可能実施形態では、前記処理ユニットはさらに、
前記スキャンデータにおける2つのボクセルごとの接続度を特定し、
前記スキャンデータに対応する前記被験者の脳の解剖学的構造を複数の大領域に分割し、前記複数の大領域の各大領域を複数の脳領域(少なくとも1つのボクセルを含む)に分割し、
前記複数の脳領域の各脳領域の間のボクセル接続度が予設定の脳領域のボクセル接続度の閾値よりも高い脳領域を融合して、前記少なくとも2つの関心領域を形成するように配置される。
【0019】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記磁気共鳴画像は、構造的磁気共鳴画像、および/またはタスク状態機能的磁気共鳴画像、および/または安静時機能的磁気共鳴画像を含む。
【0020】
第3の態様では、本開示は、以下のような電子デバイスを提供する。
前記電子デバイスは、少なくとも1つの処理機と、少なくとも1つのプログラムが記憶された記憶装置とを含み、
前記少なくとも1つのプログラムが少なくとも1つの処理機によって実行される時、前記少なくとも1つの処理機に、第1の態様の実装形態のいずれかに説明された方法を実施させる。
【0021】
第4の態様では、本開示は、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を提供し、当該コンピュータプログラムが少なくとも1つの処理機によって実行される時、第1の態様のいずれかの実施形態で説明された方法を実施する。
【0022】
第5の態様では、本開示は、予設定の神経調節プログラムに従って被験者の標的を神経調節するように配置された神経調節デバイスを提供し、前記標的は、第1の態様の実装形態のいずれかに記載の方法によって特定されたものである。
【0023】
いくつかの選択可能な実施形態では、前記予設定の調節プログラムは、
脳深部電気刺激、
経頭蓋電気刺激、
電気痙攣療法、
皮質脳電気電極に基づく電気刺激、
経頭蓋磁気刺激、
超音波集束神経調節、
磁気共鳴誘導高エネルギー超音波集束治療調節、
光刺激制御
のうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
神経調節標的の特定を達成するために現在一般的に使用される技術的手段は、
1.群レベルのタスク状態機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging,fMRI)に基づいて、神経調節標的を特定する。この方法の欠点は、タスク状態fMRIの信号対雑音比が低く、再現性が高くなく、被験者に一定の認知レベルを要求すること、タスク状態fMRIの機能領域の結果がタスク設計によって大きく影響を受けること、機能領域のベースラインレベルを特定することが困難であることを含む。
2.脳解剖学的構造に基づく臨床経験により、患者の頭皮表面から特定の機能的領域の体表投影の大局的位置を見つけて神経調節標的を特定し、例えば、米国食品医薬品局FDA(Food And Drug Administration)によって承認された反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation、rTMS)により治療抵抗性うつ病を治療する左背外前頭葉(Dorsal Lateral Prefrontal Cortex、DLPFC)位置決定方法(「5cm」位置決定方法とよく呼ばれる)。この方法の欠点は、個体の解剖学的構造の差異を無視し、位置決定精度が低く、神経調節標的の位置決定が不正確になること、個体の機能的ネットワークの差異を無視し、標的位置が他の脳機能領域に位置する可能性があることを含む。
3.電極キャップから神経調節標的を特定する、例えば、国際10-20電極キャップ位置決定方法。この方式の欠点は、個体の解剖学的構造の差異を無視し、位置決定精度が低く、神経調節標的の位置決定が不正確になること、個別の機能的ネットワークの差異を無視することを含む。
4.解剖学的構造または集団平均fMRI研究によって定義されるROIに基づいて神経調節標的を特定する。この方式の欠点は、様々な神経および精神疾患が明確な病巣を有さないことが多く、神経系機能異常を示すだけであり、単純な解剖構造は疾患特徴を反映できないこと、神経および精神疾患の病因が複雑であり、個人差を加えて、集団平均fMRIに基づく治療計画が効率的ではないことを含む。
5.PETスキャンデータによって反映される組織構造代謝の状態に基づいて神経調節標的を特定する。この方法の欠点は、PETスキャンが高価であるため、医療負担が増えること、スキャンプロセスにおいてある程度放射線があること、PETスキャンが適用される神経及び精神疾患が限られていること、画像信号対雑音比が低く、解剖学的構造の境界が明瞭であるため標的を特定する精度に影響し、臨床治療の有効性が低いことを含む。
【0025】
本開示は、標的特定方法、装置、電子デバイス、記憶媒体及び神経調節デバイスを提供し、被験者の脳の磁気共鳴画像から得られたデータを含むスキャンデータを取得し、前記スキャンデータに応じて、前記被験者の少なくとも2つの関心領域を特定し、前記被験者の疾患タイプに従って、前記疾患タイプの関心領域対応関係を特定し、前記関心領域対応関係に応じて、前記少なくとも2つの関心領域の中から前記被験者の少なくとも1つの疾患関心領域および少なくとも1つの標的関心領域を特定し、標的関心領域における各ボクセルと前記少なくとも1つの疾患関心領域における各疾患関心領域との接続度を特定し、前記標的関心領域において接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定する。本開示の実施形態は、機能的磁気共鳴画像を利用して個体の脳スキャンデータを提供し、関心領域の機能的連続性パターンに基づいて標的をスクリーニングし、個体差を十分に考慮した上で、従来の方法における個体の構造または機能差を考慮していないことに起因する神経調節標的の不正確さの問題を効果的に解決し、個体化された神経標的に対応するボクセルの位置特定を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付の図面は、本明細書で説明される各実施形態を限定ではなく例示として概略的に示しており、本開示の他の特徴、目的、および利点は、以下の図面を参照してなされる非限定的な実施例の詳細な説明を読むことによって、より明らかになる。
図1】本開示の一実施例が適用され得る例示的なシステム構成図である。
図2】本開示の標的特定方法による一実施例のプロセス図である。
図3図2に示す標的特定方法のステップ202の一実施例の部分分解図である。
図4図2に示す標的特定方法のステップ202の他の実施形態の部分分解図である。
図5】実際の応用において上記の実施例の方法を用いた被験者の脳機能ネットワークのゾーニングの結果の概略図である。
図6】実際の応用において上記の実施例の方法を用いた背の外側の前頭葉における神経調節標的の概略図である。
図7】本開示の標的特定装置による一実施形態の構造概略図である。
図8】本開示を実現するための端末デバイスまたはサーバのコンピュータシステムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施例の特徴および技術的内容をより詳細に理解するために、添付の図面を参照して本開示の実施例の実現を以下で詳細に説明するが、添付の図面は、単に説明のためのものであり、本開示の実施例を限定するものではない。
【0028】
なお、本発明の実施例の記載において、特に記載や限定がない限り、「接続」という用語は広く理解されるべきであり、例えば、電気的に接続されてもよく、2つの素子の内部の連通であってもよく、直接的に接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0029】
なお、本開示の実施例に係る用語「第1の/第2の/第3の」は、単に類似する対象を区別するためのものであり、対象に対する特定の順序を表すものではなく、「第1の/第2の/第3の」は、許容される場合、特定の順序または前後順位を入れ替えてもよいことは理解できる。ここで説明される本開示の実施例がここで図示又は記載された以外の順序で実施できるように、「第1の/第2の/第3の」で区分される対象は、適宜入れ替えてもよい。
【0030】
図1は、本開示の標的特定方法または標的特定装置を適用できる実施例の例示的なシステム構成100を示す。
【0031】
図1に示すように、システム構成100は、端末デバイス101、102、103、ネットワーク104、及びサーバ105を含んでもよい。ネットワーク104は、端末デバイス101、102、103とサーバ105との間の通信経路を提供する媒体の役割を果たす。ネットワーク104は、例えば、有線、無線通信経路、又は光ファイバケーブル等、様々な接続パターンを含んでもよい。
【0032】
ユーザは、端末デバイス101、102、103を使用して、ネットワーク104を介してサーバ105とやり取りして、メッセージなどを受信または送信してもよい。端末デバイス101、102、103には、例えば、磁気共鳴画像制御アプリケーション、機能的磁気共鳴画像制御アプリケーション、ウェブブラウザアプリケーション、ショッピング系アプリケーション、検索系アプリケーション、インスタントコミュニケーションツール、メールボックスクライアント、ソーシャルプラットフォームソフトウェアなど、様々な通信クライアントアプリケーションがインストールされてもよい。
【0033】
端末デバイス101、102、103は、ハードウェアであってもよいし、ソフトウェアであってもよい。端末デバイス101、102、103がハードウェアである場合、表示画面を有する電子デバイスであってもよく、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップなどを含むが、これらに限定されない。端末デバイス101、102、103がソフトウェアである場合、上記に列挙した電子的に被験者の複数の脳機能区画を特定するデバイスに搭載することができる。それは、複数のソフトウェアまたはソフトウェアモジュールとして実現されてもよいし(例えば、脳機能アトラスの処理を提供するために)、または単一のソフトウェアまたはソフトウェアモジュールとして実現されてもよい。ここでは特に限定しない。
【0034】
サーバ105は、例えば、端末デバイス101、102、103によって送信されるスキャンデータを処理するバックグラウンドデータ処理サーバのような、様々なサービスを提供するサーバであってもよい。バックグラウンドデータ処理サーバは、スキャンデータに基づいて、被験者の複数の脳機能区画及び各脳機能区画に対応するボクセルを特定して端末デバイスにフィードバックすることができる。
【0035】
なお、サーバ105は、ハードウェアであってもよいし、ソフトウェアであってもよい。サーバ105がハードウェアである場合、複数のサーバからなる分散型サーバクラスタとして実現してもよいし、単一のサーバとして実現してもよい。サーバ105がソフトウェアである場合、複数のソフトウェアまたはソフトウェアモジュールとして実現されてもよく(例えば、分散型サービスを提供するために)、単一のソフトウェアまたはソフトウェアモジュールとして実現されてもよい。ここでは特に限定しない。
【0036】
なお、本開示が提供する標的特定方法は、一般的にサーバ105によって実行されるため、標的特定装置は、一般的にサーバ105に設けられる。
【0037】
なお、本開示による標的特定方法は、場合によっては、サーバ105によって実行されてもよいし、端末デバイス101、102、103によって実行されてもよいし、サーバ105と端末デバイス101、102、103とが連携して実行されてもよい。したがって、標的特定装置は、サーバ105に設けられてもよいし、端末デバイス101、102、103に設けられてもよいし、一部がサーバ105に設けられ、一部が端末デバイス101、102、103に設けられてもよい。したがって、システム構成100は、サーバ105のみを含んでもよいし、または端末デバイス101、102、103のみを含んでもよいし、または端末デバイス101、102、103、ネットワーク104、およびサーバ105を含んでもよい。本開示ではこれについて限定しない。
【0038】
図1における端末デバイス、ネットワーク、及びサーバの数は、単なる例示的なものである。実現の必要に応じて、端末デバイス、ネットワーク、及びサーバを任意の数備えてもよい。引き続き図2を参照して、本開示による標的特定方法の一実施例のプロセス200が示されている。該標的特定方法は、被験者のスキャンデータを取得する工程201を含む。
本開示の実施例において、スキャンデータは、被験者の脳の磁気共鳴画像から得られたデータを含む。
【0039】
スキャンデータは、予設定の数のボクセルの各々に対応する血中酸素濃度依存(Blood Oxygen Level Dependency、BOLD)信号シーケンスを含む。
【0040】
本実施例において、標的特定方法の実行主体(例えば、図1に示されるサーバ)は、まず、上記実行主体にネットワーク接続された他の電子デバイス(例えば、図1に示される端末デバイス)から被験者のスキャンデータをローカルまたはリモートで取得することができる。
【0041】
ボクセルは立体ピクセル(voxel)とも呼ばれ、体積ピクセルの略称である。ボクセルは、概念的には、2次元空間の最小単位であるピクセルに類似しており、ピクセルは、2次元コンピュータ画像のイメージデータに用いられる。ボクセルは、デジタルデータの3次元空間分割上の最小単位であり、3次元イメージング、科学データ及び医用影像などの分野で利用されている。
【0042】
ボクセル対応BOLD信号シーケンスとは、被験者に対して磁気共鳴スキャンを行い、各ボクセルに対して予設定の時間単位毎に1つのBOLD信号を取得し、最終的に一定期間のBOLD信号を取得し、これらのBOLD信号を取得時間の順に並べることで、各ボクセル対応BOLD信号シーケンスを取得し、BOLD信号の数は、目標タスクに対応する時間長を予設定の時間単位で割った整数の商であってもよい。例えば、スキャンに対応する時間長が300秒であり、予設定の時間単位が2秒である場合、各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスに150個のBOLD値があり、各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスが150フレームのデータであると考えてもよいし、または、各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスが150次元のベクトルであると考えてもよいし、または、各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスは1×150次のマトリックスであると考えてもよいが、本開示はこれについて限定しない。
【0043】
スキャンデータに含まれるボクセルの具体的な数は、機能的磁気共鳴画像又は磁気共鳴画像のスキャン精度に応じて決定されてもよく、イメージング装置の精度に応じて決定されてもよく、ここでの予設定の数は、ボクセルの具体的な数を限定するものではないことが理解される。現在の実用において、人間の脳のスキャンデータのボクセル数は、万又は十万で計測されており、スキャン技術の進歩に伴って、人間の脳のスキャンデータに含まれるボクセル数は、さらに増加することができる。
【0044】
本開示において、上記実行主体は、上記実行主体にネットワーク接続された他の電子デバイス(例えば、図1に示される端末デバイス)から、被験者のスキャンデータをローカルまたはリモートで取得することができる。
【0045】
本開示の実施形態では、磁気共鳴画像は、構造的磁気共鳴画像、および/または、タスク状態機能的磁気共鳴画像、および/または、安静時機能的磁気共鳴画像を含んでもよい。
【0046】
機能的磁気共鳴画像によって得られるデータは、時系列情報を含んでおり、4次元画像に相当する。例えば、機能的磁気共鳴画像を収集し、3次元画像マトリクス(Length×Width×Height、L×M×N)を2秒ごとに1フレーム収集すると、6分間に150フレームのデータを収集し、L×M×N個のボクセル×150の機能的磁気共鳴画像データ信号を形成することができる。
【0047】
構造磁気共鳴画像法によって得られるデータは、高解像度の三次元グレースケール解剖学的構造画像、例えば、T1w(T1強調画像---突出組織T1緩和(縦緩和)の差)及びその関連画像、T2w(T2強調画像---突出組織T2緩和(横緩和)の差)及びその関連画像、流体減衰反転回復シーケンス(fluid attenuated inversion recovery、FLAIR)及びその関連画像である。構造的磁気共鳴画像は、拡散強調画像(diffusion-weighted imaging、DWI)及びその関連画像、拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging、DTI)及びその関連画像等の磁気共鳴拡散画像を含んでもよい。
【0048】
DTIは、中枢神経系解剖学神経束の拡散異方性を研究し白質線維を可視化するための磁気共鳴技術であり、組織中の水分子の拡散の異方性(anisotropy)を利用して組織の微視的構造を調べるものである。脳白質の異方性は平行に走行するミエリン鞘軸索線維によるものであり、脳白質の拡散は平行神経線維方向に最大、即ち拡散異方性スコア(FA)が最大で、近似的に1と定めることができる(実際には0.9より大きく1に近いスコアでよい)。この特性は、色で標記されると脳白質の空間的方向性を反映し、つまり、最も拡散の早い方向が繊維の走行方向を示す。DTI法によるトラクトグラフィーは、脳の構造を反映した脳接続マトリックスを得ることができる。
【0049】
本開示の実施例において、機能的磁気共鳴画像は、タスク状態機能的磁気共鳴画像、および/または安静時機能的磁気共鳴画像を含んでもよい。
【0050】
安静時機能的磁気共鳴画像は、被験者がスキャン中にタスクを行わずに被験者の脳に対して磁気共鳴スキャンを行うことによって得られる磁気共鳴画像であることが理解される。タスク状態機能的磁気共鳴画像は、被験者が目的のタスクを実行するときに、被験者の脳に対して磁気共鳴スキャンを行うことによって得られる磁気共鳴画像である。
【0051】
被験者の脳構造磁気共鳴スキャンデータを取得した後、様々な実施形態によって、被験者の脳構造磁気共鳴スキャンデータに基づいて、被験者の脳構造図を調べることができ、つまり、被験者の脳の中で具体的にどの領域がどの構造要素であるかを調べることができる。例えば、磁気共鳴データ処理ソフト自由皮質再構築(FreeSurfer)のような、三次元の脳スキャンデータを処理する既存のソフトウェアを用いることができる。また例えば、予め大量の脳構造画像スキャンサンプルデータと対応する脳構造要素のラベリングに基づいて深層学習モデルを訓練し、訓練して得られた深層学習モデルに被験者の脳構造磁気共鳴スキャンデータを入力して、対応する脳構造図を得てもよい。
【0052】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記の実行主体は、被験者のスキャンデータを取得した後、スキャンデータを前処理する。
【0053】
本発明において、前処理の処理方法は特に限定されず、例示的に、前処理は以下の前処理を含んでもよい。
磁気共鳴画像に対する前処理、例えば、
(1)時間層補正、頭動補正、時間信号フィルタリング、ノイズ成分回帰、空間平滑など、
(2)機能的磁気共鳴画像法と構造画像(構造画像が存在する場合)のレジストレーション、
(3)機能的磁気共鳴画像信号を、再構成された個体脳皮質画像または関連する群平均レベルの構造画像を含む構造画像(構造画像が存在する場合)に投影する。
【0054】
構造磁気共鳴画像に対する前処理(構造画像が存在する場合)、例えば、頭蓋骨除去、電場強度補正、個体の解剖学的構造のセグメンテーション、脳皮質再構成など。
【0055】
ステップ202、スキャンデータから、被験者の少なくとも2つのROIを特定する。
【0056】
上記のステップ202に関して、本開示は、様々な選択可能な実施形態を提供する。
【0057】
図3は、図2に示される標的特定方法におけるステップ202の一実施形態の部分分解概略図である。いくつかの選択可能な実施形態では、図3に示すように、上記のステップ202は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
ステップ202a1、スキャンデータ中の2つのボクセルごとの接続度を特定し、スキャンデータに対応する脳接続マトリックスを形成する。
【0058】
例示的に、スキャンデータ中のボクセルの数が10万個であり、各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスがT個のBOLD値を含み、Tがスキャン時間に対応する時間次元のサンプリング数であると仮定すると、スキャンデータに対応する脳接続マトリックスは、10万×10の万次マトリックスであり、当該脳接続マトリックスは、スキャンデータ中の2つのボクセルごとの接続度を特徴付けることができ、そのうち、2つのボクセル間の接続度は、ボクセルに対応するT個のBOLD値に基づいてピアソン相関係数によって計算することができる。
【0059】
ステップ202a2、標準脳ROIテンプレート及び脳接続マトリックスに基づいて、少なくとも2つのROIを形成する。
【0060】
例示的に、パターン認識又は機械学習方法を用いて、標準脳のROIテンプレートに基づいて、被験者に対して2つ以上のROIを含む脳機能ネットワークを確立することができる。この方法は、独立成分分析(Independent Component Correlation Algorithm、ICA)、主成分分析(Principal Component Analysis、PCA)、各種クラスタリング法、因子分析(factor analysis)、線形判別分析(linear discriminant analysis、LDA)、各種マトリックス分解法などを含んでもよいが、これらに限定されない。最終的に得られた脳機能ネットワークは、被験者によって各機能区分に含まれるボクセル位置が異なる可能性があるが、それぞれのボクセルはある特定のROIに帰属される。つまり、被験者の各ROIは、同じ機能を持つfMRIにおけるボクセルで構成されるボクセルの集合でありうる。
【0061】
図4は、図2に示される標的特定方法におけるステップ202の他の実施例の部分分解概略図である。いくつかの選択可能な実施形態では、図4に示すように、上記ステップ202は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
ステップ202b1、スキャンデータ中の2つのボクセルごとのの接続度を特定する。
【0062】
ステップ202b2、スキャンデータに対応する被験者の脳の解剖学的構造を複数の大領域に分割し、複数の大領域の各々を複数の脳領域に分割し、ただし、複数の脳領域の各々は少なくとも1つのボクセルを含む。
【0063】
ステップ202b3、複数の脳領域の各脳領域の間のボクセル接続度が予設定の脳領域のボクセル接続度の閾値よりも高い脳領域を融合して、少なくとも2つのROIを形成する。
【0064】
例示的に、まず、被験者の脳を、主要な解剖学的構造境界に従って複数の大領域に分割し、その後、各大領域において機能接続によって区分し、各大領域に信頼度(test-retest reliability)によって機能接続を確定する。各大領域を分割して複数の脳領域を得て、それらの脳領域を、それらに含まれるボクセルの類似性に基づいて融合し、ボクセルの相関性が高い脳領域を1つのROIに統合し、例えば、最終的に全脳で少なくとも2つのROIを特定することができる。
【0065】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記ステップ202は、具体的に以下を含んでもよい。
脳機能アトラスのテンプレートとして、母集団脳機能アトラスを予め選択又は作成し、脳機能アトラスのテンプレート内の少なくとも2つの脳領域の境界を、被験者の脳スキャンデータに投影する。
【0066】
被験者の脳スキャンデータに基づいて少なくとも2つの脳領域の境界を調整し、調整された脳領域境界を少なくとも被験者の脳スキャンデータとマッチングさせ、少なくとも2つのROIを形成する。
【0067】
例示的に、まず母集団脳機能アトラスを被験者の脳に直接投影した後、再帰的アルゴリズムによって、脳領域の境界が安定するまで、被験者の解剖学的脳機能アトラスに従って、これらの母集団脳機能アトラスが投影される脳領域の境界を段階的に調整する。再帰的プロセスでは、脳領域の境界調節の幅を決めるために、被験者の接続度の個人差分布、および被験者自身の脳画像の信号対雑音比を使用する。最後に、脳の脳領域をボクセルの相関性に従って融合することにより、少なくとも2つのROIを得る。
【0068】
本開示において、ボクセルとROIとの接続度は、ボクセルとROIの各ボクセルとの接続度の平均値を含んでもよく、2つのROI間の接続度は、2つのROIの一方における各ボクセルと他方のROIにおける各ボクセルとの接続度の平均値を含んでもよく、ボクセルと脳領域との接続度は、ボクセルと脳領域の各ボクセルとの接続度の平均値を含んでもよく、2つの脳領域間の接続度は、2つの脳領域の一方における各ボクセルと他方の脳領域における各ボクセルとの接続度の平均値を含んでもよい。
【0069】
接続度は、脳接続の接続程度を特徴付け、相関度として表すこともできる。ここで、脳接続は、機能的な接続及び構造的な接続を含んでもよい。機能的接続は、ROIにおけるボクセルに対応するBOLD時系列に基づいて、ピアソン相関係数計算によって取得されてもよく、構造的な接続は、トラクトグラフィーから得られたROI間の構造接続などが含まれる。
【0070】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記ステップ202は、具体的に以下を含んでもよい。
複数の試験シナリオ関連ROI及びその潜在的な機能的接続パターンを含む標準ROIライブラリを構築する。標準ROIライブラリがあると、試験シナリオタイプによって対応するROIをスクリーニングし、そしてそれに基づいて被験者の少なくとも2つのROIを得ることができる。
【0071】
ステップ203、被験者の疾患タイプに応じて、疾患タイプのROI対応関係を特定する。
疾患タイプは、被験者を診断して特定された疾患タイプ、または被験者を治療しようとする症状に対応する疾患タイプを含む。
【0072】
疾患タイプのROI対応関係は、既存の特定された疾患タイプのROI対応関係に基づいて調べてもよく、実際の必要に基づいて設定してもよく、ここで、疾患タイプのROIの取得方法は、例示に過ぎず、具体的な限定ではない。
【0073】
ステップ204、ROI対応関係に従って、少なくとも2つのROIから少なくとも1つの疾患ROIおよび少なくとも1つの標的ROIを特定する。
【0074】
被験者の疾患タイプについて、予め設定された疾患タイプのROI対応関係に従って、被験者の疾患タイプに対応する2種類のROI:(1)M個の疾患ROI、(2)N個の標的ROIを特定する。ただし、MおよびNは、いずれも1以上の正の整数である。
【0075】
標的ROIは、疾患ROIに対応する神経標的を含むROIであり、神経標的と標的脳機能区画との間に神経関連があり、神経標的に対する刺激により標的脳機能区画を神経調節することができることが理解される。
【0076】
ステップ205、標的ROIにおけるボクセルと少なくとも1つの疾患ROIの各々との接続度を確定する。
【0077】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記のステップ205は、具体的に、
少なくとも1つの疾患ROIの各々を特定すること、標的ROIにおけるボクセルと少なくとも1つの疾患ROIの各々との接続係数を、標的ROIにおける対応するボクセルと少なくとも1つの疾患ROIにおける対応する疾患ROIとの接続度として特定することを含んでもよい。
【0078】
本開示において、接続係数はピアソン(pearson)相関係数であり、変数間の線形関係を測定するための係数である。その計算式は、
であり、式は、2つの連続変数(X,Y)のpearson相関係数(ρX,Y)が、それらの間の共分散cov(X,Y)をそれらのそれぞれの標準偏差の積(σX,σY)で除算したものに等しいと定義される。係数の値が常に-1.0から1.0の間にあり、0またはほぼ0に等しい変数は無相関とみなされ、1またはほぼ1に等しい変数は強い相関を有するとみなされる。ここで、ほぼ等しいは、目標値との差が誤差許容範囲内にあると理解できるが、例えば、本開示では、0.01が0にほぼ等しく、または、0.99が1にほぼ等しいであるが、ここは例示に過ぎず、実際の応用では、計算に必要な精度に基づいて、ほぼ等しい誤差許容範囲を確定してもよい。
【0079】
ステップ206、標的ROIにおける接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定する。標的は、単一のボクセルに対応する座標を含んでもよく、若干のボクセルからなる領域の集合であってもよい。
【0080】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記のステップ206は、具体的に以下を含んでもよい。
標的ROIにおける接続度の絶対値が予設定の標的接続度閾値よりも大きいボクセルに対応する位置を標的として特定する。
【0081】
ここで、予設定の標的接続度閾値は、実際の要求に応じて設定されてもよく、ここでは単に例示的に説明し、予設定の接続度閾値を具体的に限定する意図ではない。接続絶対値が大きいほど、標的ROIにおける接続に対応するボクセルと疾患ROIとの相関が大きいことを特徴づけていることが理解され、したがって、標的ROIにおける接続度の絶対値が予設定の標的接続度閾値よりも大きいボクセルを標的として特定することにより、疾患ROIとの接続が予設定の要件を満たす標的を効率的に選別することができる。
【0082】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記のステップ206は、具体的に以下を含んでもよい。
標的ROIにおけるボクセルを接続度の絶対値の大きい順に配列してボクセルシーケンスを得、ボクセルシーケンスの最初から順に予設定のボクセル数までのボクセルを標的として特定する。
【0083】
ただし、予設定のボクセル数は実際の要求に応じて設定されてもよく、ここでは単に例示的に説明し、本開示はこれについて具体的に限定しない。応用の場合によっては、上記実施例において予設定の標的接続度閾値に基づいて判定された標的数が、後に標的を調整する等の操作を行う場合に必要な標的数を上回るか下回る可能性があることが理解されるため、実際に必要とするボクセル数に基づいて予設定のボクセル数を設定し、実際に必要な標的数を満たすようにしてもよい。
【0084】
いくつかの選択可能な実施形態では、予設定のボクセル数は、標的ROIにおけるボクセルの総数と予設定のボクセル比との積である。
【0085】
ただし、予設定のボクセル比は実際の要求に応じて設定されてもよく、例えば、後に標的に対して例えば調整等の操作を行う場合、操作の際に標的を区分するために、予設定のボクセル比を設定することで実際に必要とする比を満たす標的数を特定してもよい。
【0086】
N個の標的ROIにおける標的ROIについて、当該標的ROIにおける各ボクセルとM個の標的ROIにおける各標的ROIとの接続度を計算し(例えば、ピアソン相関係数を用いて、当該ボクセルと試験シナリオの対応する標的ROIの平均信号シーケンスとの接続を計算し)、次に、当該標的ROIのボクセルから、接続がどれだけ前にあるか、あるいは接続ランキングでどの割合で上位にあるか、あるいは接続の絶対値がどれより大きいボクセルを標的として選択する。ここでは、正接続又は負接続が可能である。例えば、2つのボクセル間の相関係数が0~1の間であれば、これら2つのボクセル間は正の接続であり、相関係数が-1~0の間であれば、負の接続である。とにかく、標的は、標的ROIに対応するボクセルの中で見つけたものである。
【0087】
上記方法により特定された標的は比較的正確であり、実際の応用においては、科学者又は医療従事者は、上記方法により特定された標的に基づいて、光ナビゲーション装置又は電磁ナビゲーション装置を用いて被験者の神経に対して調節ナビゲーションを行うことができ、神経調節の効率を向上させることができる。
【0088】
本開示は、予設定の神経調節プログラムに従って被験者の標的を神経調節するように配置された神経調節デバイスを提供し、ただし、被験者の標的は、本開示の上述の実施例のいずれかにおける標的特定方法に従って特定される。
【0089】
神経調節デバイスは、埋め込み神経調節デバイス及び非埋め込み神経調節デバイス、例えば、事象関連電位解析システム、脳波図システム、脳インターフェース装置などを含んでもよい。本開示は、神経調節デバイスの具体的な形態を限定せず、ここでは単に例示的に説明する。
【0090】
被験者の標的の神経調節は、オペレータが標的に応じて神経調節デバイスを接続した後の調節であってもよく、神経調節デバイスがオペレータの入力又は神経調節デバイスが能動的に取得した被験者の標的に基づいた調節であってもよい。ここでは、単に例示的に説明し、被験者の標的の神経調節に対する具体的な限定ではなく、当業者は実際の神経調節デバイスの使用方法に従って操作することができる。例えば、予設定の神経調節プログラムは以下を含むが、これらに限定されない。
a. 電気パルスシーケンスに基づく神経調節プログラム
i. 脳深部電気刺激
ii.経頭蓋電気刺激
iii.電気痙攣関連療法
iv.皮質脳電気電極による電気刺激
v.上記の技術の関連派生技術
b. 磁気パルスシーケンスに基づく神経調節プログラム
i.経頭蓋磁気刺激および関連プログラム
ii.上記技術の関連派生技術
c. 超音波に基づく神経調節プログラム
i. 超音波焦点神経調節プログラム
ii.磁気共鳴誘導高エネルギー超音波焦点治療システムおよび関連調節プログラム
iii.上記技術の関連派生技術
d. 光に基づく神経調節プログラム
i. 異なる波長帯域の光刺激および関連プログラム
ii.上記技術の関連派生技術
【0091】
新しい神経調節デバイス及び神経調節技術の発展に伴い、将来神経調節デバイス及び神経調節プログラムにおいても、本開示の標的特定方法を用いて神経調節の標的を特定することができ、これも本開示の保護範囲に属する。
【0092】
上記の実施例の方法の効果を視覚的に示すために、例えば、図5は、実際の用途において、上記の実施例の方法を用いて、被験者の脳の機能的ネットワークを分画する結果を示しており、異なる深さの灰色は脳の異なる機能的分画を表す。図6は、実際の応用において、上述の実施例の方法を利用して、背の外側の前頭葉に位置する神経調節標的を示し、第1の標的601は、不安に対応するROIを調節するために用いられる背側標的であり、第2の標的602は、うつ病に対応するROIを調節するために用いられる腹側標的である。
【0093】
本開示における脳機能ネットワークを確立する方法は、脳の様々な部位の機能情報を効率的、確実に取得でき、脳領域の位置特定の正確性を向上させた。脳機能の群レベルのアトラスを用いて、個体の脳の機能的位置特定を補助することにより、神経調節標的の位置特定結果の信頼性を向上させた。
【0094】
図7をさらに参照すると、上述の図に示される方法の実現として、本開示は、図2に示される方法の実施例に対応する標的特定装置の実施例を提供し、この装置は様々な電子デバイスに適用され得る。
【0095】
図7に示すように、本実施例に係る標的特定装置700は、データ取得ユニット701、設置ユニット702、処理ユニット703、および標的特定ユニット704を備える。
データ取得ユニット701は、被験者の脳の磁気共鳴画像を調べたデータを含む被験者のスキャンデータを取得するように配置され、スキャンデータは、予設定数のボクセルの各々に対応する血中酸素濃度依存性BOLD信号シーケンスを含む。
【0096】
処理ユニット703は、前記スキャンデータに応じて、被験者の少なくとも2つの関心領域ROIを特定するように配置される。
【0097】
設置ユニット702は、被験者の疾患タイプに応じて、疾患タイプのROI対応関係を特定するように配置され、ROI対応関係に応じて、少なくとも2つのROIから少なくとも1つの疾患ROIと少なくとも1つの標的ROIを特定する。
【0098】
処理ユニット703は、標的ROIにおけるボクセルと少なくとも1つの疾患ROIの各疾患ROIとの接続度を特定するようにも配置される。
【0099】
標的特定ユニット704は、標的ROIにおける接続度が予設定の標的接続度条件に適合するボクセルに対応する位置を標的として特定するように配置される。
【0100】
いくつかの選択可能な実施形態では、処理ユニット703はさらに以下のように配置される。
少なくとも1つの疾患ROIの各疾患ROIを特定する。
標的ROIにおけるボクセルと少なくとも1つの疾患ROIの各疾患ROIとの接続係数を、標的ROIにおける対応するボクセルと少なくとも1つの疾患ROIにおける対応する疾患ROIとの接続度として特定する。
【0101】
いくつかの選択可能な実施形態では、標的特定ユニット704はさらに以下のように配置される。
標的ROIにおける接続度の絶対値が予設定の標的接続度閾値よりも大きいボクセルに対応する位置を標的として特定する。
【0102】
いくつかの選択可能な実施形態では、処理ユニット703はさらに以下のように配置される。
標的ROIにおけるボクセルを接続度の絶対値の大きい順に配列してボクセルシーケンスを得る。
ボクセルシーケンスの最初から順に予設定のボクセル数までのボクセルに対応する位置を標的として特定する。
【0103】
いくつかの選択可能な実施形態では、予設定のボクセル数は、標的ROIにおけるボクセルの総数と予設定のボクセル比との積を含む。
【0104】
いくつかの選択可能な実施形態では、処理ユニット703はさらに以下のように配置される。
スキャンデータ中の各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスを取得する。
各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスに基づいて、スキャンデータ中の各2つのボクセル間の接続を特定し、スキャンデータに対応する脳接続マトリックスを形成する。
標準的な脳の脳領域テンプレート及び脳接続マトリックスに基づいて、少なくとも2つのROIを形成する。
【0105】
いくつかの選択可能な実施形態では、処理ユニット703はさらに以下のように配置される。
スキャンデータ中の各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスを取得する。
各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスに基づいて、スキャンデータ中の各2つのボクセル間の接続を特定する。
スキャンデータに対応する被験者の脳の解剖学的構造を複数の大領域に分割し、複数の大領域を複数の脳領域に分割し、ただし、複数の脳領域の各々は少なくとも1つのボクセルを含む。
複数の脳領域の各々の間のボクセル接続度が、予設定の脳領域のボクセル接続度閾値よりも高い脳領域を融合して、少なくとも2つのROIを形成する。
【0106】
いくつかの選択可能な実施形態では、機能的磁気共鳴画像は、タスク状態機能的磁気共鳴画像、及び/又は安静時機能的磁気共鳴画像を含む。
【0107】
なお、本開示が提供する標的特定装置における各ユニットの実現細部及び技術的効果は、本開示における他の実施例を参照することができ、ここでその説明が省略される。
【0108】
次に図8を参照すると、本開示を実施するのに適した端末デバイスまたはサーバのコンピュータシステム800の構造概略図が示されている。図8に示される端末デバイスやサーバは単に例示的なものであり、本開示の機能や使用範囲を何ら限定するものではない。
【0109】
図8に示すように、コンピュータシステム800は、中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)801を備え、読み出し専用メモリー(ROM、Read Only Memory)802に記憶されているプログラム、または記憶部808からランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)803にロードされたプログラムに従って、様々な適当な作動や処理を実行することができる。RAM803には、システム800の動作に必要な様々なプログラムやデータも記憶されている。CPU801、ROM802、及びRAM803は、バス804を介して互に接続されている。入力/出力(I/O、Input/Output)インターフェース805もバス804に接続されている。
【0110】
I/Oインターフェース805には、キーボード、マウスなどを含む入力部806、陰極線管(CRT、Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレー(LCD、Liquid Crystal Display)、及びスピーカなどを含む出力部807、ハードディスクなどを含む記憶部808、LAN(ローカルエリアネットワーク、Local Area Network)カード、モデムなどのネットワークインタフェースカードなどを含む通信部809が接続されている。通信部809は、インターネット等のネットワークを介して通信処理を行う。
【0111】
特に、本開示の実施例によれば、フローチャートを参照して上述したプロセスは、コンピュータソフトウェアプログラムとして実装され得る。例えば、本開示の実施例は、コンピュータ可読媒体に記録されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を含み、前記コンピュータプログラムがフローチャートに示される方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施例において、当該コンピュータプログラムは、通信部809を介してネットワークからダウンロードされてインストールされてもよい。このコンピュータプログラムが中央処理装置(CPU)801によって実行されると、本開示の方法に限定された上記機能が実行される。なお、本開示のコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体もしくはコンピュータ可読記憶媒体、またはこれらの任意の組合せであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置、またはデバイス、あるいはそれらの任意の組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は、1本以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。本開示において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用され、またはそれらと関連して使用され得るプログラムを含むまたは記憶する、任意の有形媒体であり得る。本開示では、コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンドで又は搬送波の一部として伝送されるデータ信号を含んでもよく、前記データ信号にコンピュータ可読プログラムコードが記録されている。このような伝送されるデータ信号は、電磁信号、光信号、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な形態をとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用する又はそれらと関連した使用するためのプログラムを発送、伝達、又は伝送することができるコンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体に含まれるプログラムコードは、ワイヤレス、電気配線、光ケーブル、RFなど、または上記の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切な媒体を用いて伝送され得る。
【0112】
本開示の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++、Pythonのようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」言語または類似するプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む、少なくとも1つのプログラミング言語、またはそれらの組合せで書かれてもよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的に遠隔コンピュータ上で、又は完全に遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で、実行され得る。リモートコンピュータを用いる場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、または(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットを介して)外部のコンピュータに接続されてもよい。
【0113】
図面におけるフローチャートおよび枠図は、本開示の様々な実施例によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の実現可能なシステム構成、機能、および動作を示す。この点に関して、フローチャート又は枠図における各枠は、指定された論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができる。一部の代替的な実現形態では、枠に記された機能は、図に記された順序とは異なる順序で生じ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つの枠は、実際には、関連する機能に応じて、実質的に並列に実行されてもよく、時には、逆順に実行されてもよい。枠図及び/又はフローチャート図の各枠、並びに枠図及び/又はフローチャート図の枠の組み合わせは、指定の機能又は動作を実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実現されてもよく、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実現されてもよいことにも留意されたい。
【0114】
本開示に記述されたユニットは、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。上述したユニットは処理機に設置されてもよく、例えば、スキャンデータ取得ユニットと、設置ユニットと、処理ユニットと、標的特定ユニットとを備える処理機としてもよい。ただし、これらのユニットの名称は、場合によっては、当該ユニット自体を限定するものではない。
【0115】
別の態様として、本開示は、上記の実施例で説明された装置に含まれてもよく、この装置に組み込まれずに単独で存在してもよいコンピュータ可読媒体をさらに提供する。前記コンピュータ可読媒体には、少なくとも1つのプログラムが記録され、前記少なくとも1つのプログラムが当該装置によって実行されると、装置に、被験者の脳の磁気共鳴画像法から得られるデータを含み、かつ予設定数のボクセルの各々に対応するBOLD信号シーケンスを含む被験者のスキャンデータを取得させ、スキャンデータに応じて被験者の少なくとも2つの関心領域ROIを特定させ、被験者の疾患タイプに応じて疾患タイプのROI対応関係を特定させ、ROI対応関係に応じて少なくとも2つのROIから被験者の少なくとも1つの疾患ROIと少なくとも1つの標的ROIとを特定させ、標的ROIにおけるボクセルと少なくとも1つの疾患ROIの各疾患ROIとの接続度を特定させ、接続度が予設定の標的接続度条件に適合する標的ROIにおけるボクセルに対応する位置を標的として特定させる。
【0116】
以上の説明は、本発明の好適な実施例及びその応用技術の原理の説明に過ぎない。当業者であれば、本開示に係る発明の範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせによる技術形態に限らず、上述した発明思想から逸脱することなく、上述した技術的特徴または均等的な特徴を任意に組み合わせた他の技術形態も含むことが理解できる。例えば、上述した特徴と本発明に開示された(ただし、それに限らず)類似する機能を有する技術特徴とを互いに置き換えて形成された技術形態。
【0117】
本開示の実施例に記載された技術形態の間は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせることができる。
【0118】
以上、本開示の具体的な実施形態を例示したが、本開示の保護範囲はこれに限定されず、当業者であれば、本開示に開示された技術的範囲内において、容易に変更または置換を想定することができ、本開示の保護範囲に含まれる。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲によって定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8