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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】梱包具
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20240904BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20240904BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B65D81/05 100
B65D77/26 A
B65D5/50 101Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020149149
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2021041996
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2019161297
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514037549
【氏名又は名称】大洋紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151817
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 寿志
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】金丸 正明
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-064860(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216138(WO,A1)
【文献】特開2006-248549(JP,A)
【文献】特開2018-020832(JP,A)
【文献】米国特許第05678695(US,A)
【文献】特開2001-130640(JP,A)
【文献】特表2015-509471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05-81/15
B65D 77/26
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包対象物を梱包するために用いられる梱包具であって、
フィルムと、
前記フィルムが取り付けられた板状部材と
を備え、
前記フィルムと前記板状部材とによって、開口が形成されており、
前記板状部材は、折曲げ線を介して区画されており、
前記折曲げ線は、前記開口が延びる方向に対して平行に延びる平行折曲げ線を含み、
前記板状部材は、
基準面と、
前記平行折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能な平行折曲げ面とを有し、
前記基準面および前記フィルムとの間の隙間に前記梱包対象物を配置可能であり、
前記基準面に対する前記平行折曲げ面の折曲げ状態が変化することに伴って、前記フィルムが前記梱包対象物に接触した状態で張られることにより、前記梱包対象物が前記板状部材に押し付けられるように構成されており、
前記フィルムの端部は、前記板状部材に固定されており
前記折曲げ線は、前記開口が延びる方向に対して平行に延びる追加平行折曲げ線をさらに含み、
前記板状部材は、2つの追加平行折曲げ面をさらに有し、
前記2つの追加平行折曲げ面は、第1追加平行折曲げ面と、第2追加平行折曲げ面とを含み、
前記第1追加平行折曲げ面は、前記平行折曲げ面に隣接し、
前記第2追加平行折曲げ面は、前記基準面に隣接し、
前記フィルムの端部は、前記第1追加平行折曲げ面および前記第2追加平行折曲げ面に固定されており、
前記板状部材は、
前記梱包対象物が配置される第1主面と、
前記第1主面と反対側の第2主面と
を有し、
前記第1追加平行折曲げ面および前記第2追加平行折曲げ面は、前記追加平行折曲げ線を介して前記第2主面側に折り返され、
前記開口が延びる方向に交差する方向において、フィルム一方側端縁は、前記第1追加平行折曲げ面の中心よりも前記追加平行折曲げ線から近い位置に位置し
前記開口が延びる方向に交差する方向において、フィルム他方側端縁は、前記第2追加平行折曲げ面の中心よりも前記追加平行折曲げ線から近い位置に位置し、
前記フィルム一方側端縁は、前記開口が延びる方向に交差する方向における前記フィルムの一方側の端縁を示し、
前記フィルム他方側端縁は、前記開口が延びる方向に交差する方向における前記フィルムの他方側の端縁を示す、梱包具。
【請求項2】
前記フィルムの端部は、変質することなく前記板状部材に固定されている、請求項1に記載の梱包具。
【請求項3】
前記フィルムの一方側の端部は、前記フィルム一方側端縁から前記追加平行折曲げ線まで前記第1追加平行折曲げ面に固定されており、
前記フィルムの他方側の端部は、前記フィルム他方側端縁から前記追加平行折曲げ線まで前記第2追加平行折曲げ面に固定されている、請求項1または請求項2に記載の梱包具。
【請求項4】
前記折曲げ線は、前記板状部材の中心からずれた位置に位置する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項5】
前記フィルムは繊維製である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項6】
前記フィルムは紙である、請求項に記載の梱包具。
【請求項7】
前記折曲げ線は、前記開口が延びる方向に交差する方向に平行に延びる交差折曲げ線を含み、
前記板状部材は、前記交差折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能な交差折曲げ面をさらに有し、
前記板状部材は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記基準面に対して折り曲げられることによって、前記平行折曲げ面が前記基準面に対して展開されて前記フィルムが張られた状態が保持される、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項8】
前記板状部材は、
突出部を有し、前記基準面および前記平行折曲げ面に設けられた舌片と、
前記平行折曲げ面に設けられ、前記舌片を差し込み可能に開口する差込部と
を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項9】
前記折曲げ線は、前記開口が延びる方向に交差する方向に平行に延びる交差折曲げ線を含み、
前記板状部材は、前記交差折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能な交差折曲げ面をさらに有し、
前記フィルムの端部は、さらに前記交差折曲げ面に固定されている、請求項に記載の梱包具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包具に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包対象物を梱包するために用いられる梱包具として、フィルムと板状部材との間に梱包対象物を挟んだ状態でフィルムを張ることで梱包対象物を板状部材に押さえつけ、梱包対象物を定位置に保持するものが用いられている。
【0003】
特許文献1に記載の梱包具(包装キット)では、板状部材の端部を折り曲げることによって、フィルムを張ることで梱包対象物を板状部材に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表平9-501128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の梱包具では、フィルムと板状部材とが固定されていない。したがって、フィルムがずれることによって、梱包した梱包対象物がずれる可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は梱包した梱包対象物がずれる可能性を抑制することができる梱包具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る梱包具は、梱包対象物を梱包するために用いられる。前記梱包具は、フィルムと、板状部材とを備える。前記板状部材には、前記フィルムが取り付けられている。前記フィルムと前記板状部材とによって、開口が形成されている。前記板状部材は、折曲げ線を介して区画されている。前記折曲げ線は、平行折曲げ線を含む。前記平行折曲げ線は、前記開口が延びる方向に対して平行に延びる。前記板状部材は、基準面と、平行折曲げ面とを有する。前記平行折曲げ面は、前記平行折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能である。前記基準面および前記フィルムとの間の隙間に前記梱包対象物を配置可能である。前記基準面に対する前記平行折曲げ面の折曲げ状態が変化することに伴って、前記フィルムが前記梱包対象物に接触した状態で張られることにより、前記梱包対象物が前記板状部材に押し付けられるように構成されている。前記フィルムの端部は、前記板状部材に固定されている。
【0008】
ある実施形態において、前記フィルムの端部は、変質することなく前記板状部材に固定されている。
【0009】
ある実施形態において、前記板状部材は、第1主面と、第2主面とを有する。前記第1主面は、前記梱包対象物が配置される。前記第2主面は、前記第1主面と反対側である。前記フィルムの端部は、前記第1主面側に固定されている。
【0010】
ある実施形態において、前記板状部材は、第1主面と、第2主面とを有する。前記第1主面は、前記梱包対象物が配置される。前記第2主面は、前記第1主面と反対側である。前記フィルムの端部は、前記第2主面側に固定されている。
【0011】
ある実施形態において、前記フィルムは、一対の折返し部を有する。前記フィルムは、前記一対の折返し部において折り返される。
【0012】
ある実施形態において、前記折曲げ線は、前記板状部材の中心からずれた位置に位置する。
【0013】
ある実施形態において、前記フィルムは繊維製である。
【0014】
ある実施形態において、前記フィルムは紙である。
【0015】
ある実施形態において、前記折曲げ線は、交差折曲げ線を含む。前記交差折曲げ線は、前記開口が延びる方向に交差する方向に平行に延びる。前記板状部材は、交差折曲げ面をさらに有する。前記交差折曲げ面は、前記交差折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能である。前記板状部材は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記基準面に対して折り曲げられることによって、前記平行折曲げ面が前記基準面に対して展開されて前記フィルムが張られた状態が保持される。
【0016】
ある実施形態において、前記板状部材は、舌片と、差込部とを有する。前記舌片は、突出部を有する。前記舌片は、前記基準面および前記平行折曲げ面に設けられている。前記差込部は、前記平行折曲げ面に設けられる。前記差込部は、前記舌片を差し込み可能に開口する。
【0017】
ある実施形態において、前記折曲げ線は、追加平行折曲げ線をさらに含む。前記追加平行折曲げ線は、前記開口が延びる方向に対して平行に延びる。前記板状部材は、2つの追加平行折曲げ面をさらに有する。前記2つの追加平行折曲げ面は、第1追加平行折曲げ面と、第2追加平行折曲げ面とを含む。前記第1追加平行折曲げ面は、前記平行折曲げ面に隣接する。前記第2追加平行折曲げ面は、前記基準面に隣接する。前記フィルムの端部は、前記第1追加平行折曲げ面および前記第2追加平行折曲げ面に固定されている。前記板状部材は、第1主面と、第2主面とを有する。前記第1主面には、前記梱包対象物が配置される。前記第2主面は、前記第1主面と反対側である。前記第1追加平行折曲げ面および前記第2追加平行折曲げ面は、前記追加平行折曲げ線を介して前記第2主面側に折り返される。
【0018】
ある実施形態において、前記折曲げ線は、前記開口が延びる方向に交差する方向に平行に延びる交差折曲げ線を含む。前記板状部材は、前記交差折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能な交差折曲げ面をさらに有する。前記フィルムの端部は、さらに前記交差折曲げ面に固定されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る梱包具によれば、梱包した梱包対象物がずれる可能性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1に係る梱包具を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る梱包具の分解斜視図である。
図3】板を模式的に示す平面図である。
図4】梱包具を用いた梱包方法を説明する図である。
図5】梱包が行われて展開状態とされた梱包具を示す斜視図である。
図6】交差折曲げ面を立ち上げた状態を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態1に係る梱包体の分解斜視図である。
図8】本発明の実施形態2に係る梱包具を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態2に係る梱包具を示す斜視図である。
図10】本発明の実施形態2に係る梱包具の分解斜視図である。
図11】本発明の実施形態3に係る梱包具を示す斜視図である。
図12】(a)は、本発明の実施形態3に係る板を示す展開図である。(b)は、舌片近傍の拡大図である。
図13】(a)~(c)は、梱包具の断面図である。
図14】平行折曲げ面が基準面に対して折り曲げられた梱包具を示す斜視図である。
図15】梱包が行われて展開状態とされた梱包具を示す斜視図である。
図16】交差折曲げ面を立ち上げた状態を示す斜視図である。
図17】(a)~(c)は、舌片近傍の梱包具の断面図である。
図18】本発明の実施形態3に係る梱包体の分解斜視図である。
図19】本発明の実施形態4に係る梱包具を示す斜視図である。
図20】(a)および(b)は、本発明の実施形態4に係る梱包具を示す斜視図である。
図21】本発明の実施形態4に係る梱包具の断面図である。
図22】本発明の実施形態4の変形例に係る梱包具を示す斜視図である。
図23】本発明の実施形態4の変形例に係る梱包具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0022】
[実施形態1]
図1図7を参照して本発明の実施形態1に係る梱包具1について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る梱包具1を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係る梱包具1の分解斜視図である。
【0023】
以下の説明において、図1に示す座標のX軸方向を左右方向(原点から見てX軸で正となる方向が右方向)、Y軸方向を前後方向(原点から見てY軸で正となる方向が後方向)、Z軸方向(XY平面に垂直な方向)を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上方向)ということがある。
【0024】
図1および図2に示すように、梱包具1は、板(梱包具板状部材の一例)10と、フィルム30とを備えている。本実施形態では、フィルム30はシート状である。板10には、フィルム30が取り付けられている。梱包具1は、梱包対象物を梱包可能である。
【0025】
本実施形態において、板10は、例えば、厚みが5ミリメートル程度の、1枚の段ボール製である。板10は、第1主面10aと、第2主面10bとを有する。第1主面10aには、梱包対象物50(図4)が配置される。第2主面10bは、反対側に位置する。詳しくは、第1主面10aは、+Z側に位置し、第2主面10bは、-Z側に位置する。板10の端部には、一対の固定部R1が設けられる。
【0026】
フィルム30は、例えば、繊維製である。詳しくは、例えば、フィルム30は、紙である。紙は、例えば、上質紙、いわゆる印刷用紙である。フィルム30に紙を適用することによって、プラスチックを使用しなくてもすむ。したがって、環境保護に役立つ。さらに、梱包具1を廃棄する際に、板10とフィルム30とを分別することなく可燃ごみとして一緒に廃棄することができる。したがって、梱包具1の廃棄が容易になる。また、フィルム30が紙の場合、フィルム30に印刷を施すことによって、容易に文字および模様をフィルム30に付すことができる。また、フィルム30が紙の場合、フィルム30に印刷を施すことによって、容易にフィルム30を着色することができる。なお、フィルム30は、和紙でもよい。フィルム30が和紙の場合、フィルム30が伸縮性を有する。なお、フィルム30は、布でもよい。フィルム30は、例えば、不透明である。なお、図1において、理解の容易のために、フィルム30によって隠れる部分(例えば、交差折曲げ線23、24)が透けて見えるように図示している。また、以下の図についても同様に、理解の容易のために、フィルム30によって隠れる部分が透けて見えるように図示している。
【0027】
フィルム30の端部32は、板10に固定されている。詳しくは、フィルム30の端部32は、固定部R1に固定されている。本実施形態では、フィルム30の端縁まで板10に固定されている。なお、フィルム30の端縁が板10に固定されていなくもよい。フィルム30の端部32は、変質することなく板10に固定されていることが好ましい。例えば、フィルム30の端部32は、溶着することなく板10に固定されていることが好ましい。詳しくは、フィルム30の端部32は、例えば、接着剤(例えば、のり)によって接着することによって固定部R1に固定されている。本実施形態では、フィルム30の端縁まで接着剤が塗布されている。なお、フィルム30の端縁まで接着剤が塗布されていなくもよい。例えば、フィルム30は、接着剤が塗布される部分とフィルム30の端縁との間に、接着剤が塗布されない領域を有していてもよい。あるいは、フィルム30の端部32は、テープは貼ることによって固定部R1に固定されてもよい。あるいは、フィルム30の端部32は、ホッチキス(登録商標)によって固定部R1に固定されてもよい。あるいは、フィルム30の端部32は、糸によって縫い付けることによって固定部R1に固定されてもよい。フィルム30の端部を、溶着によって板10に固定する場合、フィルム30のうち、溶着する部分と溶着しない部分との境界において、フィルム30の強度が弱くなる可能性がある。一方、本実施形態では、フィルム30の端部は変質することなく板10に固定されている。したがって、フィルム30の強度が弱くなることを抑制することができる。さらに、フィルム30の端部を、溶着によって板10に固定する場合に比べて、フィルム30の材質および板10の材質の選択肢を広げることができる。さらに、フィルム30の材質と板10の材質の組み合わせの選択肢を広げることができる。
【0028】
なお、図1においては梱包具1の展開状態が示されている。展開状態の梱包具1の寸法は、例えば、左右方向が300ミリメートル程度であって、前後方向が180ミリメートル程度である。梱包具1の寸法は、これに限られるものではなく、梱包対象として想定される梱包対象物の大きさや種々の用途などに応じて設定される。
【0029】
梱包具1には、開口330が形成されている。開口330は、フィルム30と板10とによって形成される。開口330は、2つの開口端部30aを有する。
【0030】
図1および図2に示すように、板10には、3本の折曲げ線(折り目;筋)21、23、24が設けられている。すなわち、1本の平行折曲げ線21と、2本の交差折曲げ線23、24とが形成されている。これらの折曲げ線21、23、24は、例えば、いわゆる筋付けローラーや筋付け刃を押し付けることにより形成される。折曲げ線21、23、24には、ミシン目加工が行われるようにしてもよい。
【0031】
平行折曲げ線21は、左右方向に平行に(X軸に平行に)配置されている。平行折曲げ線21は、開口330が延びる方向に対して平行に延びている。平行折曲げ線21は、板10の前後中央よりも後ろ側にオフセットされている。板10は、平行折曲げ線21について、前後両端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。
【0032】
交差折曲げ線23は、板10の右端部近傍位置に、前後方向に平行に(Y軸に平行に)配置されている。すなわち、交差折曲げ線23は、開口330が延びる方向に対して交差する方向に平行に延びている。また、交差折曲げ線24は、板10の左端部近傍位置に、前後方向に平行に配置されている。すなわち、交差折曲げ線24は、開口330が延びる方向に対して交差する方向に平行に延びている。板10は、交差折曲げ線23について、右端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。板10は、交差折曲げ線24について、左端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。
【0033】
板10には、梱包される梱包対象物50(図4)が配置される基準面11と、基準面11に隣接する平行折曲げ面12と、2つの交差折曲げ面15、16との4つの区画が設けられている。
【0034】
図3を参照して板10の区画について説明する。図3は、板10を模式的に示す平面図である。図3において、各種ハッチングで囲まれた部位が、ここでいう1つの区画に相当する。図3において、フィルム30は二点鎖線で示している。また、平行折曲げ線21と交差折曲げ線23、24とは、それぞれ一点鎖線で示されている。
【0035】
基準面11と平行折曲げ面12との間には、平行折曲げ線21が配置されている。換言すると、基準面11と平行折曲げ面12とは、平行折曲げ線21を介して区画されている。基準面11は、板10の前側に、平行折曲げ面12は板10の後ろ側に、それぞれ配置されている。交差折曲げ面15、16は、交差折曲げ線23、24を介して、それぞれ、基準面11および平行折曲げ面12に隣接するように区画されている。交差折曲げ面15は、板10のうち、交差折曲げ線23よりも右側の部分である。交差折曲げ面16は、板10のうち、交差折曲げ線24よりも左側の部分である。換言すると、基準面11は、平行折曲げ線21より前方の部位である。また、平行折曲げ面12は、平行折曲げ線21より後方の部位である。平行折曲げ面12は、基準面11に隣接する。
【0036】
板10は、平行折曲げ面12と交差折曲げ面15、16の後方の部位とが、基準面11と交差折曲げ面15、16の前方の部位とに対して、平行折曲げ線21で折り曲げ可能である。
【0037】
開口端部30aは、交差折曲げ面15、16に掛かっている。換言すると、フィルム30の長さ(左右方向の長さ)は、基準面11の左右方向の幅または平行折曲げ面12の左右方向の幅よりも長くなっている。
【0038】
板10の一対の縁部10mの各々は、直線状である。基準面11は、矩形状である。平行折曲げ面12は、矩形状である。
【0039】
なお、板10の紙巾方向(目方向)は、左右方向に平行に(X軸に平行に)なることが好ましい。板10の紙巾方向(目方向)は、左右方向に平行の場合、前後方向(Y軸方向)に板10がしなりやすくなる。
【0040】
再び、図1を参照して説明する。図1に示すように、フィルム30は、板10のうち、主に基準面11と平行折曲げ面12とを覆うように配置されている。フィルム30の幅方向(開口330が延びる方向)が左右方向になるように、フィルム30が配置されている。
【0041】
フィルム30は、板10に、種々の方法で取り付けられればよい。フィルム30が板10に取り付けられている状態で、板10は、各折曲げ線21、23、24で折り曲げ可能である。
【0042】
本実施形態では、平行折曲げ線21は、板10の前後中央よりも後ろ側にオフセットされている。すなわち、平行折曲げ線21は、板10の中心からずれた位置に位置する。基準面11の面積は、平行折曲げ面12の面積よりも大きい。
【0043】
図4は、梱包具1を用いた梱包方法を説明する図である。
【0044】
図4において上から下に、ステップS11,S12,S13を順にたどるようにして、梱包具1を用いた梱包が行われる。
【0045】
図4に示されるように、展開状態の梱包具1は、平板状である(S11)。この状態から、図に上向き矢印で示されるように、板10を平行折曲げ線21において折り曲げて平行折曲げ面12を基準面11に近づけ、折曲げ状態にする(折り曲げステップ)。
【0046】
次に、板10が折り曲げられた状態で、基準面11とフィルム30との間の隙間Aに、梱包対象物50が配置される(S12;配置ステップ)このように、梱包具1は、平行折曲げ線21で平行折曲げ面12が基準面11に対して折り曲げられた状態(以下、折曲げ状態ということがある)にされる。梱包具1が折曲げ状態であるとき、フィルム30と板10の上面との間の隙間Aに梱包対象物50を配置可能である。
【0047】
その後、図に下向き矢印で示されるように、平行折曲げ面12を基準面11に対して展開し、展開状態とする(S13)。そうすると、フィルム30が梱包対象物50の上部に接触した状態で張られる。それにより、梱包対象物50が板10に押し付けられた状態となる(展開ステップ)。
【0048】
図5は、梱包が行われて展開状態とされた梱包具1を示す斜視図である。
【0049】
図5に示すように、展開ステップが行われると、側面視で、板10の前端部、後端部、平行折曲げ線21部の折り目部分、および梱包対象物50の上部を直線で結ぶ経路の長さが、梱包対象物50が配置されていることにより、当初の展開状態よりも大きくなる。フィルム30は、梱包対象物50の上部に接触した状態で、若干伸長しながら張られる。そのため、フィルム30により、梱包対象物50が板10に押し付けられる。
【0050】
ここで、本実施形態においては、上記のように展開ステップにするとき、交差折曲げ面15、16を交差折曲げ線23、24で基準面11に対して折り曲げることによって、立ち上げた状態にすることができる。これにより、平行折曲げ面12を基準面11に対して展開させ、それによってフィルム30を張ることができる。なお、展開ステップを行った後で、交差折曲げ面15、16を立ち上げてもよい(立ち上げステップ)。
【0051】
図6は、交差折曲げ面15、16を立ち上げた状態を示す斜視図である。
【0052】
図6に示されるように、交差折曲げ線23、24は平行折曲げ線21に板10上で交わるので、交差折曲げ面15、16を交差折曲げ線23、24で折り曲げると、板10が、基準面11と平行折曲げ面12との部分において展開された状態のまま(平行折曲げ面12が基準面11に対して略平行となるように展開された状態のまま)で保持される。換言すると、基準面11と平行折曲げ面12とが略平行となる状態にならなければ、交差折曲げ面15、16を折り曲げることができない。本実施形態においては、板10上で互いに交わらない2つの交差折曲げ線23、24のそれぞれを介して2つの交差折曲げ面15、16が設けられているので、両交差折曲げ面15、16を折り曲げて立ち上げ状態とすることで、板10が、基準面11と平行折曲げ面12との部分で展開された状態が、確実に保持される。
【0053】
図7を参照して、本発明の実施形態1に係る梱包体80について説明する。図7は、本発明の実施形態1に係る梱包体80の分解斜視図である。
【0054】
図7に示すように、梱包体80は、梱包具1と外箱70とを備える。梱包具1は、交差折曲げ面15、16が基準面11に対して略垂直に折り曲げられた状態で、外箱70内に収納される。換言すると、外箱70の寸法は、このように交差折曲げ面15、16が折り曲げられた状態の梱包具1がぴったりと収納されるように、設定されている。本実施形態では、交差折曲げ面15、16の、交差折曲げ線23、24からの幅寸法(立ち上げ状態における高さ寸法)h1と、外箱70の高さ寸法h2とが、略等しく設定されている。交差折曲げ面15、16が基準面11に対して折り曲げられた状態で、梱包具1が外箱70内に収納されていることにより、交差折曲げ面15、16が基準面11に対して折り曲げられた状態が保持される。したがって、フィルム30が張られた状態が維持され、梱包対象物50が板10上の定位置に確実に保持される。
【0055】
外箱70は、例えば一般的な段ボール箱である。図7に示す状態では、外箱70の上側の蓋が開いている。外箱70に梱包具1が収納され、外箱70の上側の蓋が閉じられると、略直方体状の梱包体80が完成する。
【0056】
以上図1図7を参照して説明したように、実施形態1においては、梱包具1において、板10を折曲げ状態にして梱包対象物50を配置し、再び板10を展開状態にすることで、梱包対象物50を定位置に保持させることができる。したがって、容易に梱包対象物50の梱包を行うことができる。板10は、一旦折曲げ状態にした後でも、展開状態に近い自然状態に戻ろうとする復元力を発生する。したがって、フィルム30を張るために複雑な手順は必要なく、容易に板10を展開状態にすることができる。
【0057】
また、フィルム30の端部32は、板10に固定されている。したがって、梱包した梱包対象物50がずれる可能性を抑制することができる。また、フィルム30の端部32が板10に固定されているため、フィルム30と板10とが分離しない。したがって、フィルム30が抜け落ちてフィルム30を紛失することを抑制することができる。
【0058】
梱包具1は、板10とフィルム30とを組み合わせた簡素な構成を有する。そのため、梱包対象物50を固定するために、多くのエネルギを消費する装置や大掛かりな装置を用いる必要がなく、梱包に必要なコストを低減することができる。
【0059】
実施形態1において、梱包具1は、2つの交差折曲げ面15,16を立ち上げ状態とすることで、より確実に、梱包対象物50が保持された状態を維持することができる。
【0060】
開梱時には、梱包時と逆の手順で、交差折曲げ面15,16をもとに戻し、板10を展開状態から折曲げ状態にすればよい。これにより、フィルム30の張りを緩和させ、容易に梱包対象物50を取り除くことができる。したがって、このように容易に梱包および開梱を行うことができる。また、一旦梱包に使用した梱包具1を再利用して、別の梱包対象物50を梱包することができ、経済的である。
【0061】
[実施形態2]
図8図10を参照して本発明の実施形態2に係る梱包具1について説明する。図8および図9は、本発明の実施形態2に係る梱包具1を示す斜視図である。詳しくは、図8は、上方から見た梱包具1を示す。図9は、下方から見た梱包具1を示す。図10は、本発明の実施形態2に係る梱包具1の分解斜視図である。フィルム30の端部32が、第2主面10b側に固定されている点で、実施形態2に係る梱包具1は、実施形態1に係る梱包具1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0062】
図8図10に示すように、フィルム30は、一対の折返し部34を有する。フィルム30は、一対の折返し部34において折り返される。板10の端部には、一対の固定部R1が設けられる。本実施形態では、一対の固定部R1は、第2主面10bに設けられている。本実施形態では、フィルム30の端部32は、第2主面10b側に固定されている。
【0063】
本実施形態では、フィルム30は、一対の折返し部34において折り返される。したがって、板10を展開状態にすることで、梱包対象物50を定位置に保持させる際に、一対の折返し部34によって、フィルム30の端部32に加わる力を低減することができる。その結果、板10の固定部R1から、フィルム30の端部32が分離することを抑制することができる。
【0064】
[実施形態3]
図11図18を参照して本発明の実施形態3に係る梱包具1について説明する。図11は、本発明の実施形態3に係る梱包具1を示す斜視図である。板10が、舌片と、差込部とをさらに有する点と、フィルム30の端部32が、第2主面10b側に固定されている点とで、実施形態3に係る梱包具1は、実施形態1に係る梱包具1と異なる。以下、実施形態3が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0065】
板10は、基準面11と、平行折曲げ面12とに加えて、2つの舌片(舌片40aおよび舌片40b)と、差込部45とをさらに有する。本明細書において、舌片40aおよび舌片40bを、舌片40と総称する場合がある。
【0066】
舌片40aおよび舌片40bは、基準面11および平行折曲げ面12に設けられている。
【0067】
次に、図12(a)および図12(b)を参照して、舌片40についてさらに説明する。図12(a)は、本発明の実施形態3に係る板10を示す展開図である。図12(b)は、舌片40近傍の拡大図である。
【0068】
図12(a)に示すように、舌片40aおよび舌片40bは、交差折曲げ線23と交差折曲げ線24との間の部位に設けられている。
【0069】
図12(b)に示すように、板10は、折曲げ線461と、折曲げ線462と、折曲げ線463とをさらに有する。なお、折曲げ線463は、「突出部」の一例に相当する。
【0070】
舌片40は、本体部41と、連結部42とを有する。本体部41は、略台形状である。連結部42は、略矩形状である。
【0071】
本体部41は、下端縁において、折曲げ線461を介して基準面11に連設されている。折曲げ線461は、板10の上下端縁と平行である。折曲げ線461は、谷折り可能な折曲げ線である。
【0072】
これにより本体部41は、折曲げ線461を軸として基準面11に対し回動可能である。
【0073】
連結部42は、上端縁において、折曲げ線462を介して平行折曲げ面12に連設されている。折曲げ線462は、板10の上下端縁と平行である。折曲げ線462は、山折り可能な折目線である。
【0074】
これにより連結部42は、折曲げ線462を軸として平行折曲げ面12に対し回動可能である。
【0075】
また、本体部41と連結部42とは、本体部41の上端縁と連結部42の下端縁とにおいて、折曲げ線463を介して連設されている。折曲げ線463は、板10の上下端縁と平行である。折曲げ線463は、谷折り可能な折曲げ線である。
【0076】
ところで、舌片40上には平行折曲げ線21が形成されないため、平行折曲げ面12を平行折曲げ線21で起立させていくと、その応力が折曲げ線463に集中する。これにより、舌片40は折曲げ線463を頂点として折れ曲がり、平行折曲げ面12の外側に突出していく。
【0077】
舌片40は、板10に対して一対の切目線44を設けることにより形成される。切目線44は、折曲げ線461の両端から折曲げ線462の両端に向かって段差を有して直線状にそれぞれ延びている。
【0078】
基準面11には、舌片開口18が設けられている。本実施形態では、舌片開口18は、矩形状の開口である。舌片開口18は、舌片40に隣接する位置に配置される。詳しくは、舌片開口18は、本体部41に隣接する位置の少なくとも一部に配置される。すなわち、平行折曲げ線21と本体部41との間に舌片開口18は設けられる。したがって、平行折曲げ線21において平行折曲げ面12を起立させる際、平行折曲げ面12と舌片40とに生じる摩擦が少なくなり、平行折曲げ面12を起立させ易くなる。さらに、平行折曲げ線21において平行折曲げ面12を起立させる際、平行折曲げ面12の折り曲げの影響で本体部41が折れ曲がることを抑制することができる。
【0079】
図12(b)における左側の切目線44を用いて説明すると、切目線44は、第1切目線441と、第2切目線442と、第3切目線443とを含む。第1切目線441は、折曲げ線461の左端から右上がりに延びる。第1切目線441は、直線状である。第2切目線442は、折曲げ線462の左端から下側に向かって板10の左右端縁と平行に延びる。第3切目線443は、第1切目線441および第2切目線442を結ぶ。第3切目線443は、折曲げ線463の延長線上に沿って延びる。
【0080】
第1切目線441は、第3切目線443に向かって、舌片40の幅が次第に小さくなるように傾斜して延びている。したがって、左右一対の第1切目線441が下側に向かって離間していく。このため、舌片40は、下側に行くにしたがって、左右方向の幅が広くなっている。なお、第1切目線441は、「傾斜部」の一例に相当する。
【0081】
板10のうちで切目線44に隔てられ、一部遊離された舌片40と対向する側、すなわち板10のうち、舌片40が切り取られて開口した領域として差込部45が形成される。
【0082】
差込部45は、平行折曲げ面12に設けられる。差込部45は、舌片40を差し込み可能に開口する。差込部45は、当接部451と、挟持部452とを有する。当接部451は、第3切目線443によって形成される。平行折曲げ面12を折り曲げたとき、舌片40は、当接部451に当接する。挟持部452は、第3切目線443の両端および両端から第1切目線441に沿って所定の領域に形成される。なお、当接部451が本発明の「段差部」に相当する。
【0083】
次に、図13(a)~図16を参照して、梱包具1を用いて梱包対象物50を梱包する方法について説明する。図13(a)~図13(c)は、梱包具1の断面図である。図13において上から下に、ステップS11、S12、S13を順にたどるようにして、梱包具1を用いた梱包が行われる。
【0084】
図13(a)に示されるように、展開状態の梱包具1は、平板状である(S11)。板10の端部と折返し部34との間にはわずかな隙間Bが形成されている。この状態から、図13(b)に上向き矢印で示されるように、板10を平行折曲げ線21において折り曲げて平行折曲げ面12を基準面11に近づけ、折曲げ状態にする(折り曲げステップ)。
【0085】
次に、板10が折り曲げられた状態で、基準面11とフィルム30との間の隙間Aに、梱包対象物50が配置される(S12;配置ステップ)このように、梱包具1は、平行折曲げ線21で平行折曲げ面12が基準面11に対して折り曲げられた状態(折曲げ状態)にされる。梱包具1が折曲げ状態であるとき、フィルム30と板10の上面との間の隙間Aに梱包対象物50を配置可能である。
【0086】
図14は、平行折曲げ面12が基準面11に対して折り曲げられた梱包具1を示す斜視図である。図14に示すように、折り曲げステップが行われると、舌片40aおよび舌片40bが差込部45に差し込まれて係止される。したがって、起立している平行折曲げ面12が、段ボールの復元力により復元することを抑制することができる。したがって、平行折曲げ面12が基準面11に対して略90度の角度で起立した状態を保持することができる。その結果、フィルム30と板10の上面との間の隙間Aに梱包対象物50を容易に配置することができる。
【0087】
その後、図13(c)に下向き矢印で示されるように、平行折曲げ面12を基準面11に対して展開し、展開状態とする(S13)。そうすると、フィルム30が梱包対象物50の上部に接触した状態で張られる。それにより、梱包対象物50が板10に押し付けられた状態となる(展開ステップ)。さらに、隙間Bが無くなり、フィルム30の端部32が上側に引っ張られることによって、板10がしなるように上側に引っ張られる。したがって、梱包対象物50が押し上げられる。その結果、梱包対象物50を定位置に保持させることができる。
【0088】
図15は、梱包が行われて展開状態とされた梱包具1を示す斜視図である。
【0089】
図15に示されるように、展開ステップが行われると、側面視で、板10の前端部、後端部、平行折曲げ線21の折り目部分、および梱包対象物50の上部を直線で結ぶ経路の長さが、梱包対象物50が配置されていることにより、当初の展開状態よりも大きくなる。フィルム30は、梱包対象物50の上部に接触した状態で、若干伸長しながら張られる。そのため、フィルム30により、梱包対象物50が板10に押し付けられる。梱包対象物50を定位置に保持させることができる。
【0090】
ここで、本実施形態においては、上記のように展開ステップにするとき、交差折曲げ面15、16を交差折曲げ線23、24で基準面11に対して折り曲げることによって、立ち上げた状態にすることができる。これにより、平行折曲げ面12を基準面11に対して展開させ、それによってフィルム30を張ることができる。なお、展開ステップを行った後で、交差折曲げ面15、16を立ち上げてもよい(立ち上げステップ)。
【0091】
図16は、交差折曲げ面15、16を立ち上げた状態を示す斜視図である。
【0092】
図16に示されるように、交差折曲げ線23、24は平行折曲げ線21に板10上で交わるので、交差折曲げ面15、16を交差折曲げ線23、24で折り曲げると、板10が、基準面11と平行折曲げ面12との部分において展開された状態のまま(平行折曲げ面12が基準面11に対して略平行となるように展開された状態のまま)で保持される。換言すると、基準面11と平行折曲げ面12とが略平行となる状態にならなければ、交差折曲げ面15、16を折り曲げることができない。本実施形態においては、板10上で互いに交わらない2つの交差折曲げ線23、24のそれぞれを介して2つの交差折曲げ面15、16が設けられているので、両交差折曲げ面15、16を折り曲げて立ち上げ状態とすることで、板10が、基準面11と平行折曲げ面12との部分で展開された状態が、確実に保持される。
【0093】
次に、図17(a)~図17(c)を参照して、舌片40が差込部45に差し込まれるときの動作について説明する。図17(a)~図17(c)は、舌片40近傍の梱包具1の断面図である。
【0094】
図17(a)の状態から平行折曲げ面12を折曲げ線461で谷折りしていくと、図17(b)に示すように、折曲げ線463を頂点として本体部41と連結部42とが徐々に屈曲される。
【0095】
さらに平行折曲げ面12を起立させていくと、折曲げ線462は左方向(左右方向において基準面11に近づく方向)に弧を描きながら移動する。これにより、折曲げ線462に支持されている連結部42も左方向に移動される。その結果、連結部42に接続している本体部41も左方向に移動され、当接部451に当接する。
【0096】
さらに、平行折曲げ面12を起立させていくと、本体部41は、当接した当接部451の先端によって案内されて平行折曲げ面12の外側にさらに突出していく。このとき、連結部42は折曲げ線462を軸に回動されるので、本体部41の先端(折曲げ線463)を、弧を描きながら左方向に案内する。
【0097】
ところで、本体部41は略台形状であり、折曲げ線463から折曲げ線462に向けてテーパー状に形成されている。そのため、平行折曲げ面12を起立させていくと、差込部45の挟持部452に対して、舌片40のうち幅が広い領域が徐々に挿入されていく。
【0098】
そして、平行折曲げ面12を、基準面11に対して概ね垂直上方に向く位置まで約90°折り曲げると、図17(c)に示すように、本体部41と連結部42とは、折曲げ線463を頂点として、V字状(約90°)に屈曲される。また、本体部41は、差込部45の当接部451に強く押し付けられて当接するとともに、挟持部452によって挟持される。このとき、板10は、段ボール板紙によって形成されているので、本体部41と、当接部451および挟持部452とは、相互に変形しながら無理嵌めされる。
【0099】
以上説明した梱包具1によれば、折り曲げられた平行折曲げ面12が、段ボールの復元力により復元しようとしても、平行折曲げ面12に支持された舌片40が、基準面11に形成された差込部45に係止されるので、復元を抑制することができる。
【0100】
また、このとき、差込部45の挟持部452に対して、テーパー状の舌片40が可能な限り挿入されているので、平行折曲げ面12が約90°を越えて過度に基準面11の上面側に折れ曲がることが防止される。
【0101】
図18を参照して、本発明の実施形態1に係る梱包体80について説明する。図18は、本発明の実施形態3に係る梱包体80の分解斜視図である。
【0102】
図18に示すように、梱包体80は、梱包具1と外箱70とを備える。梱包具1は、交差折曲げ面15、16が基準面11に対して略垂直に折り曲げられた状態で、外箱70内に収納される。換言すると、外箱70の寸法は、このように交差折曲げ面15、16が折り曲げられた状態の梱包具1がぴったりと収納されるように、設定されている。本実施形態では、交差折曲げ面15、16の、交差折曲げ線23、24からの幅寸法(立ち上げ状態における高さ寸法)h1と、外箱70の高さ寸法h2とが、略等しく設定されている。交差折曲げ面15、16が基準面11に対して折り曲げられた状態で、梱包具1が外箱70内に収納されていることにより、交差折曲げ面15、16が基準面11に対して折り曲げられた状態が保持される。したがって、フィルム30が張られた状態が維持され、梱包対象物50が板10上の定位置に確実に保持される。
【0103】
外箱70は、例えば一般的な段ボール箱である。図18に示す状態では、外箱70の上側の蓋が開いている。外箱70に梱包具1が収納され、外箱70の上側の蓋が閉じられると、略直方体状の梱包体80が完成する。
【0104】
以上、図11図18を参照して説明したように、平行折曲げ面12が基準面11に対して折り曲げられた際、舌片40が差込部45に差し込まれて係止される。したがって、起立している平行折曲げ面12が、段ボールの復元力により復元することを抑制することができる。したがって、平行折曲げ面12が基準面11に対して略90度の角度で起立した状態を保持することができる。その結果、フィルム30と板10の上面との間の隙間Aに梱包対象物50を容易に配置することができる。したがって、梱包対象物50を容易に梱包することができる。
【0105】
[実施形態4]
図19図21を参照して本発明の実施形態4に係る梱包具1について説明する。図19図20(a)および図20(b)は、本発明の実施形態4に係る梱包具1を示す斜視図である。詳しくは、図19および図20(a)は、上方から見た梱包具1を示す。図20(b)は、下方から見た梱包具1を示す。図21は、本発明の実施形態4に係る梱包具1の断面図である。板10が、追加平行折曲げ面13(追加平行折曲げ面13aおよび追加平行折曲げ面13b)と、追加平行折曲げ線22(追加平行折曲げ線22aおよび追加平行折曲げ線22b)とをさらに有する点で、実施形態4に係る梱包具1は、実施形態1に係る梱包具1と主に異なる。以下、実施形態4が実施形態1と異なる点を主に説明する。なお、追加平行折曲げ面13aは、「第1追加平行折曲げ面」の一例に相当し、追加平行折曲げ面13bは、「第2追加平行折曲げ面」の一例に相当する。
【0106】
図19に示すように、板10には、1本の平行折曲げ線21と、2本の交差折曲げ線23、24とに加えて、2本の追加平行折曲げ線22が形成されている。2本の追加平行折曲げ線22は、追加平行折曲げ線22aと、追加平行折曲げ線22bとを含む。
【0107】
追加平行折曲げ線22は、左右方向に平行に(X軸に平行に)配置されている。追加平行折曲げ線22は、開口330が延びる方向に対して平行に延びている。板10は、追加平行折曲げ線22について、容易に折り返すことができる。
【0108】
板10は、基準面11と、平行折曲げ面12と、交差折曲げ面15、16とに加えて、さらに、2つの追加平行折曲げ面13を有する。2つの追加平行折曲げ面13は、追加平行折曲げ面13aと、追加平行折曲げ面13bとを含む。
【0109】
追加平行折曲げ面13aは、追加平行折曲げ線22aを介して、平行折曲げ面12に隣接している。追加平行折曲げ面13bは、追加平行折曲げ線22bを介して、基準面11に隣接している。追加平行折曲げ面13aおよび追加平行折曲げ面13bは、矩形状である。
【0110】
フィルム30の端部32は、板10に固定されている。本実施形態では、フィルム30の端部32は、追加平行折曲げ面13aおよび追加平行折曲げ面13bに固定されている。フィルム30の端部32は、さらに交差折曲げ面15、16に固定されていることが好ましい。本実施形態では、フィルム30の端部32は、交差折曲げ面15の+X方向側の端縁まで固定されている。フィルム30の端部32は、交差折曲げ面16の-X方向側の端縁まで固定されている。なお、フィルム30の端部32は、交差折曲げ線23を超えて固定されている限り、交差折曲げ面15の+X方向側の端縁まで固定されていなくてもよい。同様に、フィルム30の端部32は、交差折曲げ線24を超えて固定されている限り、交差折曲げ面16の+X方向側の端縁まで固定されていなくてもよい。
【0111】
実施形態1と同様に、板10が平行折曲げ線21において折り曲げられた状態で、基準面11とフィルム30との間の隙間に、梱包対象物50を配置可能である。
【0112】
本実施形態では、梱包対象物50を配置した後に、図20(a)および図20(b)に示すように、追加平行折曲げ面13aと追加平行折曲げ面13bとは第2主面10b側に折り返される。詳しくは、追加平行折曲げ面13aを、追加平行折曲げ線22aを介して、下側(-Z方向側)に折り曲げた後に、追加平行折曲げ面13aの端縁が-Y方向側を向くように折り返される。同様に、追加平行折曲げ面13bを、追加平行折曲げ線22bを介して、下側(-Z方向側)に折り曲げた後に、追加平行折曲げ面13bの端縁が+Y方向側を向くように折り返される。
【0113】
追加平行折曲げ面13aと追加平行折曲げ面13bとが第2主面10b側に折り返された結果、図21に示すように、フィルム30が梱包対象物50の上部に接触した状態で張られる。それにより、梱包対象物50が板10に押し付けられた状態となる。したがって、本実施形態でも、梱包した梱包対象物50がずれる可能性を抑制することができる。
【0114】
本実施形態では、フィルム30の端部32は、追加平行折曲げ面13aおよび追加平行折曲げ面13bに固定されている。また、梱包対象物50を梱包する際に、追加平行折曲げ面13aと追加平行折曲げ面13bとが第2主面10b側に折り返される。したがって、追加平行折曲げ面13aと追加平行折曲げ面13bとを折り返して、梱包対象物50を定位置に保持させる際に、フィルム30の端部32に加わる力を低減することができる。その結果、板10から、フィルム30の端部32が分離することを抑制することができる。
【0115】
さらに、図20(a)に示す状態から、図6を参照して説明した梱包具1と同様に、交差折曲げ面15および交差折曲げ面16を折り曲げて立ち上げ状態とすることが好ましい。本実施形態では、さらにフィルム30の端部32が交差折曲げ面15および交差折曲げ面16に固定されている。このため、交差折曲げ面15および交差折曲げ面16を折り曲げて立ち上げ状態とした場合に、フィルム30がさらに引っ張られる。したがって、梱包対象物50が板10により強く押し付けられる。その結果、梱包した梱包対象物50がずれる可能性をさらに抑制することができる。
【0116】
[実施形態4の変形例]
なお、図19図21を参照して説明した梱包具1では、板10を平行折曲げ線21において折り曲げられた状態で、基準面11とフィルム30との間の隙間に、梱包対象物50を配置していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図22に示すように、図19図21に示した平行折曲げ線21が無くてもよい。
【0117】
図22を参照して、本発明の実施形態4の変形例について説明する。図22は、本発明の実施形態4の変形例に係る梱包具1を示す斜視図である。図22に示すように、図22に示す梱包具1では、図19に示した追加平行折曲げ面13aおよび追加平行折曲げ面13bが、図22に示す平行折曲げ面12aおよび平行折曲げ面12bに相当する。また、図22に示す梱包具1では、図19に示した追加平行折曲げ線22aおよび追加平行折曲げ線22bが、図22に示す平行折曲げ線21aおよび平行折曲げ線21bに相当する。
【0118】
本変形例でも、実施形態4と同様に、平行折曲げ面12aおよび平行折曲げ面12bが折り返されることによってフィルム30が梱包対象物50の上部に接触した状態で張られる。それにより、梱包対象物50が板10に押し付けられた状態となる。したがって、本実施形態でも、梱包した梱包対象物がずれる可能性を抑制することができる。
【0119】
また、本変形例でも、平行折曲げ面12aと平行折曲げ面12bとを第2主面10b側に折り返して、梱包対象物50を定位置に保持させる際に、フィルム30の端部32に加わる力を低減することができる。その結果、板10から、フィルム30の端部32が分離することを抑制することができる。
【0120】
また、図19図21を参照して説明した梱包具1では、フィルム30のY軸方向側の端部32(+Y方向側の端部32および-Y方向側の端部32)が板10に固定されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図23に示すように、フィルム30のY軸方向側の端部32(+Y方向側の端部32および-Y方向側の端部32)に加えて、フィルム30のX軸方向側の端部32の一方がさらに板10に固定されていてもよい。図23は、本発明の実施形態4の変形例に係る梱包具1を示す斜視図である。
【0121】
図23に示すように、フィルム30のY軸方向側の端部32(+Y方向側の端部32および-Y方向側の端部32)に加えて、フィルム30のX軸方向側の端部32の一方がさらに板10に固定されている。本変形例では、フィルム30のY軸方向側の端部32(+Y方向側の端部32および-Y方向側の端部32)に加えて、フィルム30の-X方向側の端部32がさらに板10に固定されている。なお、フィルム30の-X方向側の端部ではなく、フィルム30の+X方向側の端部が板10に固定されていてもよい。フィルム30のY軸方向側の端部(+Y方向側の端部および-Y方向側の端部)に加えて、フィルム30の-X方向側の端部から固定されていることによって、交差折曲げ面15および交差折曲げ面16を折り曲げて立ち上げ状態とした場合に、フィルム30がさらに引っ張られる。したがって、梱包対象物50が板10により強く押し付けられる。その結果、梱包した梱包対象物50がずれる可能性をさらに抑制することができる。
【0122】
なお、図23に示した梱包具1では、フィルム30の-X方向側の端部の全てが板10に固定されていたが、フィルム30の-X方向側の端部の一部だけ固定されていてもよい。また、開口330を形成し得る限り、フィルム30の-X方向側の端部の一部とフィルム30の+X方向側の端部の一部とが共に板10に固定されていてもよい。
【0123】
以上、図面(図1図23)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(5))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0124】
(1)板やフィルムの材質は、上述の実施形態に限られるものではない。板として、段ボールのほか、厚紙類を用いてもよい。また、板は、紙製に限らず、ポリエチレンまたはゴムのような樹脂製であってもよい。板が、ゴム製の場合、板を展開状態にした場合、板の反発力によってフィルムにテンションがかかるようにすることが可能となる。板は、折り曲げられ、その後再び展開できる板状部材であればよい。フィルムは、繊維製に限らず、ポリエチレンまたはゴムのような樹脂製であってもよい。フィルムが樹脂製である場合、フィルムの端部は、溶着によって板10に固定されてもよい。フィルムは伸縮性を有していても、有していなくてもよい。板を展開状態にした場合、フィルムにテンションがかかるようにするため、フィルムは伸縮性を有することが好ましい。
【0125】
(2)板の寸法や、フィルムの周長は、梱包対象となる物品に応じて適宜変更可能である。板は、矩形に限られず、また、三角形であっても五角形以上であってもよい。フィルムの周長は、板を折曲げ状態にしたときに物品を配置でき、その後展開状態とすることでフィルムにテンションがかかるような範囲で、適宜設定することができる。また、フィルムの形状は帯状に限らず、網目状であってもよい。あるいは、フィルムの形状は平坦状に限らず、凹凸を有していてもよい。
【0126】
(3)外箱は、上述のような段ボール製のものに限られず、種々の形態のものを用いることができる。
【0127】
(4)例えば薄型の物品を、上述の実施形態の梱包具を用いて板に固定した上で、封筒などの外袋に入れて封をすることで、梱包体が構成されるようにしてもよい。さらに、外箱または外袋を用いずに梱包具を箱状に組み上げるようにしてもよい。この場合、梱包具の一部が、側面および天面を形成するように組み上げられることが好ましい。その他、梱包具を用いて種々の物品を様々な形態で梱包することができる。
【0128】
(5)フィルム30には、少なくとも1つの切込線が形成されていてもよい。切込線は、例えば、開口が延びる方向に対して直交する方向(Y軸方向)に延びる。切込線は、例えば、開口が延びる方向に対して平行に延びる方向(X軸方向)において、中央に設けられることが好ましい。フィルム30が切込線を有することによって、フィルム30が不透明の紙である場合、切込線によって形成された隙間から、梱包具1に梱包されている梱包対象物50を視認することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 梱包具
10 板(板状部材)
10a 第1主面
10b 第2主面
11 基準面
12 平行折曲げ面
13 追加平行折曲げ面
13a 追加平行折曲げ面(第1追加平行折曲げ面)
13b 追加平行折曲げ面(第2追加平行折曲げ面)
15、16 交差折曲げ面
21 平行折曲げ線(折曲げ線)
22、22a、22b 追加平行折曲げ線(折曲げ線)
23、24 交差折曲げ線(折曲げ線)
30 フィルム
30a 開口端部
32 端部
34 折返し部
40、40a、40b 舌片
50 梱包対象物
330 開口
A 隙間
図1
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