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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】圧力調整装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/524 20060101AFI20240904BHJP
   A47J 27/08 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
F16K31/524 B
A47J27/08 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020096225
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021186391
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】藤原 武志
(72)【発明者】
【氏名】木野 伸哉
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-141864(JP,A)
【文献】特表2010-516958(JP,A)
【文献】特開2009-243475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/44-31/62
A47J 27/00-27/13
A47J 27/20-29/06
A47J 33/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動源と、
前記回転駆動源の回転軸に沿って延びる駆動軸体と、
前記駆動軸体に連結される移動体と、
前記移動体の移動方向において前記移動体と対向するように配置され、被押圧部材の開口を開閉する弁体と、
前記移動体を前記弁体側の反対側に付勢する第1コイルバネと、を備え、
前記移動体は、前記回転軸と平行な移動軸に沿って移動可能であり、
前記移動体および前記弁体の間に挟みこまれる第2コイルバネをさらに備え、
前記移動体が前記第1コイルバネによって前記弁体側の反対側の端の開放位置に移動させられている場合に、前記弁体が前記開口を開放し、
前記移動体が前記第1コイルバネの付勢力に抗して前記開放位置の前記弁体側の閉塞位置に移動させられた際に前記弁体が前記開口を閉塞し、
前記移動体が前記閉塞位置の前記弁体側の第1位置に移動させられて前記第2コイルバネが縮むことで、前記被押圧部材に対する前記弁体の押圧力が高まる
圧力調整装置。
【請求項2】
前記駆動軸体には、歯車が取り付けられており、
前記移動体には、前記歯車と噛み合う歯部が形成されている
請求項1に記載の圧力調整装置。
【請求項3】
第1周方向に向かうに従って下方に傾斜する案内部を有し、前記駆動軸体に連結される回転体をさらに備え、
前記移動体は、前記回転体が回転して前記案内部に当接することによって移動する
請求項1または2に記載の圧力調整装置。
【請求項4】
前記移動体および前記弁体の間に設けられる第3コイルバネをさらに備え、
前記移動体が前記第1位置から前記弁体側の第2位置に移動させられて前記第2コイルバネおよび前記第3コイルバネが縮むことで、前記被押圧部材に対する前記弁体の押圧力がさらに高まる
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「排気口を閉塞する閉塞弁、閉塞弁に押圧力を付与する押圧部、押圧部を閉塞方向または開放方向に移動させる押圧部移動手段、および押圧部移動手段を駆動する正逆転可能なステッピングモータを有し、押圧部移動手段は、ステッピングモータの出力軸と連動して回動自在に設けられるとともに押圧部上方に配置されたアーム部である調圧装置」が開示されている(例えば、特開2004-65394号公報等参照)。そして、この調圧装置は、一般的に圧力式炊飯器等の圧力式調理器等に搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-65394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、他の調理器と同様に圧力式調理器の小型化が望まれている。本発明の課題は、圧力式調理器等の小型化に資する圧力調整装置(調圧装置)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る圧力調整装置は、
回転駆動源と、
前記回転駆動源の回転軸に沿って延びる駆動軸体と、
前記駆動軸体に連結される移動体と、
前記移動体の移動方向において前記移動体と対向するように配置され、被押圧部材の開口を開閉する弁体と、
前記移動体を前記弁体側の反対側に付勢する第1コイルバネと、を備え、
前記移動体は、前記回転軸と平行な移動軸に沿って移動可能であり、
前記移動体および前記弁体の間に挟みこまれる第2コイルバネをさらに備え、
前記移動体が前記第1コイルバネによって前記弁体側の反対側の端の開放位置に移動させられている場合に、前記弁体が前記開口を開放し、
前記移動体が前記第1コイルバネの付勢力に抗して前記開放位置の前記弁体側の閉塞位置に移動させられた際に前記弁体が前記開口を閉塞し、
前記移動体が前記閉塞位置の前記弁体側の第1位置に移動させられて前記第2コイルバネが縮むことで、前記被押圧部材に対する前記弁体の押圧力が高まる
【0006】
上記構成によれば、移動体の脇に電動機等の回転駆動源を縦置き(回転軸を立てて置く置き方)することができる。このため、この圧力調整装置は、アーム部の高さ位置とほぼ同じ高さ位置に電動機等の回転駆動源を横置き(回転軸を寝かせて置く置き方)しなければならない従前の圧力調整装置(調圧装置)に比べて小型化され得る。このため、この圧力調整装置は、圧力式調理器等の小型化に資することができる。なお、移動体は、駆動軸体に直接的に連結されてもよし、間接的に連結されてもよい。
【0007】
また、上述の通り、この圧力調整装置では、回転駆動源の回転軸と移動体の移動軸とが平行であるため、回転駆動源の回転軸と移動体の移動方向とが略直交する従前の圧力調整装置に比べて、簡素な動力伝達機構を用いて回転駆動源と移動体とを連結することができる。
【0008】
本発明では、
前記駆動軸体に歯車が取り付けられており、
前記移動体に、前記歯車と噛み合う歯部が形成されていると好適である。
【0009】
上記構成によれば、簡素な機構によって回転駆動源の回転動力を移動体に伝達することができる。このため、この圧力調整装置は、小型化の成果を損なうことなく製造コストも低く抑えることができる。
【0010】
本発明では、
第1周方向に向かうに従って下方に傾斜する案内部を有し、前記駆動軸体に連結される回転体をさらに備え、
前記移動体は、前記回転体が回転して前記案内部に当接することによって移動すると好適である。
【0011】
上記構成によれば、回転駆動源をステッピングモータとした際、より細かな多段階圧力制御を行うことができる。
【0012】
本発明では、
前記移動体および前記弁体の間に設けられる第3コイルバネをさらに備え、
前記移動体が前記第1位置から前記弁体側の第2位置に移動させられて前記第2コイルバネおよび前記第3コイルバネが縮むことで、前記被押圧部材に対する前記弁体の押圧力がさらに高まると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器の平面図である。
図3図2のI-I断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する蓋体の蓋基板および圧力調整装置の斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置の斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置の分解斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置を構成する回転部材の下方斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置を構成する回転部材の他の下方斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置を構成する回転部材の下面図である。
図10】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する蓋体の蓋基板および圧力調整装置の平面図である。
図11図10のII-II断面図である。なお、本図には、無加圧状態の圧力調整装置が示されている。
図12図10のIII-III断面図である。なお、本図には、無加圧状態の圧力調整装置が示されている。
図13図10のII-II断面図である。なお、本図には、加圧状態の圧力調整装置が示されている。また、本図では、図11および図12に示されている3つのコイルバネが省略されている。
図14図10のIII-III断面図である。なお、本図には、加圧状態の圧力調整装置が示されている。また、本図では、図11および図12に示されている3つのコイルバネが省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、図1図3に示されるように、主に、本体110、内鍋130、鍋蓋135、および蓋体140から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0015】
1.本体
本体110は、図1図3に示されるように、主に、筐体111、誘導加熱コイル112、断熱材(図示せず)、支持台113、フェライトコア(図示せず)、センターセンサ114、保温ヒータ115、送風ファンユニット116、電源回路基板117、自動巻取式電源コードユニット118およびレバー機構119から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
(1)筐体
筐体111は、図1図3に示されるように、主に、収容体111a、肩部材111cおよび保護枠111dから構成されており、断熱材(図示せず)、支持台113、フェライトコア(図示せず)、誘導加熱コイル112、センターセンサ114、保温ヒータ115、送風ファンユニット116、電源回路基板117、自動巻取式電源コードユニット118およびレバー機構119等を収容している。以下、筐体111の各構成要素について詳述する。
【0017】
収容体111aは、図1図3に示されるように、主に、側壁部111xおよび底壁部111yから形成されている。側壁部111xは、平面視において略角丸長方形を呈する角筒状の囲い壁部位である。底壁部111yは、底面視において略角丸長方形の角皿状部位であって、図3に示されるように側壁部111xの下側に形成されている。そして、図3に示されるように、底壁部111yの後側には、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口SOが形成されており、底壁部111yの前側には、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、図3に示されるように、吸気口SOの上方には、送風ファンユニット116が配設されている。この送風ファンユニット116が駆動されると、外部の空気が吸気口SOを通って筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。また、この底壁部111yには、図3に示されるように受皿部RDが形成されている。この受皿部RDは、図3に示されるように、奥行方向および幅方向の中心付近において、下方に膨らんでいる(凹んでいる/窪んでいる)。図3に示されるように、この受皿部RDには、複数の排液口EPが形成されている。
【0018】
肩部材111cは、平面視において略角丸長方形状を呈する枠体であって、図3に示されるように収容体111aの側壁部111xの上側に嵌合されており、収容体111aの上側の開口の縁部を覆っている。この肩部材111cには、内鍋130を挿通させるための略円形の開口が形成されている。また、この肩部材111cの前下側にはレバー機構119が配設されており、その後側には蓋体連結部(図示せず)が形成されている。また、蓋体連結部は、蓋体140に設けられる本体連結部(図示せず)と共にヒンジ機構を構成する部位であって、本体110に対して蓋体140を開閉可能に支持している。そして、図3に示されるように、この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。なお、図3に示されるように、保護枠111dは保護枠フランジ部FP(後述)で肩部材111cに取り付けられている。
【0019】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保つ役目を担う部材であって、図3に示されるように、主に、内鍋収容部PAおよび保護枠フランジ部FPから形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。なお、この内鍋収容部PAの底壁部中央には開口が形成されており、この開口からセンターセンサ114の先端部が突出している。保護枠フランジ部FPは、上述の通り、肩部材111cの下側に位置しており、肩部材111cを外側に向かって張ることにより肩部材111cの形状を維持している。
【0020】
(2)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル112は、内鍋130を誘導加熱するためのものであって、図3に示されるように、支持台113の底部の下面および側部下側の外周面に取り付けられている。
【0021】
(3)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの外周および誘導加熱コイル112の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0022】
(4)支持台
支持台113は、誘導加熱コイル112、センターセンサ―114およびフェライトコアを保持する。また、この支持台113には、センターセンサ―114と保護枠111dの開口との間から侵入してくる水等の液体を排液するための排液路が形成されている(図3参照)。
【0023】
(5)フェライトコア
フェライトコアは、誘導加熱コイル112への通電時に生じる磁束を外部に出さないようにするための部材であって、上述の通り、支持台113に保持されている。
【0024】
(6)センターセンサ
センターセンサ114は、内鍋130の底部の温度を検知すると共に内鍋130の有無を検知するためセンサであって、支持台113により上下移動自在に支持されており、コイルバネによって上方に向かって付勢されている。
【0025】
(7)保温ヒータ
保温ヒータ115は、炊飯後の炊きあがったご飯を保温するためのヒータであって、図3に示されるように肩部材111cの内部に配設されている。
【0026】
(8)送風ファンユニット
送風ファンユニット116は、軸流ファンおよびヒートシンク等から構成されるものであって、上述の通り、筐体111の収容体111aの底壁部111yの吸気口SOの上方に、ファンの回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている。すなわち、この送風ファンユニット116中の送付ファンが駆動されると、外部の空気が吸気口SOから吸い込まれて筐体111内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンクを通って電源回路基板117などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0027】
(9)電源回路基板
電源回路基板117は、電源回路を構成する基板であって、AC電源、インバータ、スイッチング電源、いくつかの発熱部品を実装している。なお、この電源回路基板117は、図3に示されるように筐体111の後側空間Srに収容されている。
【0028】
(10)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット118は、電源コードおよび自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、図3に示されるように筐体111の後側の空間に収容されている。電源コードは、差込プラグおよび電気線(図示せず)から構成されている。差込プラグは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0029】
(11)レバー機構
レバー機構119は、蓋体140の開閉を司る機構であって、主として、開レバー119a、ストッパー(図示せず)およびバネ部材(図示せず)等から構成されており、上述の通り、肩部材111cの前下側に配設されている(図3参照)。
【0030】
開レバー119aは、蓋体140を開くための揺動型のレバーであって、図1図3に示されるように筐体111の収容体111aの前側上端において前方に突出するように配設されている。そして、この開レバー119aは、バネ部材を介してストッパーに押圧力を付与する。開レバー119aから押圧力を付与されたストッパーは、その回動軸を基点として回動する。使用者が開レバー119aを下方へ回動させると、本体110に対する蓋体140の係止が解除され、蓋体140が開く。
【0031】
ストッパーは、主に、回動軸、係止部および押圧力受け部から構成されており、本体110の収容体111aに回動(揺動)可能に設けられている。係止部は、先端部分が屈曲した形状を有しており、ストッパーの上端側に設けられている。そして、この係止部は、蓋体140が閉じられる際、蓋体140の爪部材の爪部を係止する。
【0032】
2.内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。なお、ここで、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル112によって誘導加熱され得る。
【0033】
3.鍋蓋
鍋蓋135は、図3に示されるように内鍋130の蓋であって、少量のお米を炊く際に必要とされるものである。
【0034】
4.蓋体
蓋体140は、図3および図4に示されるように、主に、蓋基板141、爪部材(図示せず)、外装体142、操作ボタン群143、情報表示パネルDI、圧力調整装置144、蒸気処理ユニット147、制御回路基板(図示せず)および内蓋146から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0035】
(1)蓋基板
蓋基板141は、制御回路基板および圧力調整装置144等の部品・部材を支持するものである。また、図4に示されるように、この蓋基板141の側面側の部位には補強構造ZJが構築されている。また、この蓋基板141の後端には一対の本体連結部が配設されており、本体110の筐体111の肩部材111cに形成されている蓋体連結部と共にヒンジ機構を構成している。そして、このヒンジ機構により、本体110に対して蓋体140が開閉可能となっている。なお、このヒンジ機構では、ねじりバネによって蓋体140が開方向に向かって付勢されている。また、この蓋基板141の下面には、着脱自在に内蓋146が配設されている。
【0036】
(2)爪部材
爪部材は、一対の爪部を有する金属製部材であって、蓋基板141の前側に配設されている。なお、蓋体140を閉じる際、この爪部材の爪部は、本体110のレバー機構119によって係止される。
【0037】
(3)外装体
外装体142は、図1図3に示されるように、略直方体状のカバー部材であって、蓋基板141の上側を覆っている。なお、ここで、操作ボタン群143は、図1および図2に示されるように、上面が外装体142の上側に露出するように外装体142に取り付けられている。また、この外装体142には、図1および図2に示されるように蒸気口BOが改正されている。
【0038】
(4)操作ボタン群
操作ボタン群143は、例えば、発停ボタンや、炊飯方法の選択ボタン等から成るものであって炊飯器100の運転方法を使用者に選択させるためのものである。そして、この操作ボタン群143中の各操作ボタンは、上述の通り、上面が外装体142の上側に露出するように外装体142に取り付けられている。また、各操作ボタンは、操作基板に実装されており、コイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。
【0039】
(5)情報表示パネル
情報表示パネルDIは、図1および図2に示されるように操作ボタン群143の直ぐ後ろに配設されている。この情報表示パネルDIには、炊飯メニュー情報、炊飯経過情報等の各種情報が表示される。
(6)圧力調整装置
圧力調整装置144は、蓋体140が閉状態とされて圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1.03~1.3気圧に調整するものであって、図5図6および図11に示されるように、主に、器部材144a、上下動部材144b、回転部材144c、上側ハードカバー144d、収容部材144e、接合ピン144f、内側コイルバネSGi(図11および図12参照)、中間コイルバネSGm(図11および図12参照)、外側コイルバネSGo(図11および図12参照)、下側ソフトカバー144g、閉塞弁144h、ステッピングモータ144i(図4図12および図14参照)および歯車144jから構成されている。以下、上述の各構成要素について詳述した後、圧力調整装置144の圧力調整機能につき詳述する。
【0040】
(6-1)圧力調整装置の構成要素
(a)器部材
器部材144aは、上記部材の組付けの基本となる部材であって、図6に示されるように、主に、円環底壁部CR、部分円筒側壁部CC、位置決めピン部PP、カバー取付部VBおよび締結部ABから形成されている。
【0041】
円環底壁部CRは、回転部材144cを載置すると共に上下動部材144bの下方への移動距離を規制する部位である(図6および図11参照)。なお、図11に示されるように、この円環底壁部CRの内縁部EIは一段低い形状とされており、この内縁部EIに外側コイルバネSGoが鎮座している。また、この円環底壁部CRの開口径は、上下動部材144bのバネ受け部WSの径よりも小さく設計されている。このため、上下動部材144bの下方への移動は、バネ受け部WSまでに規制されている。また、図6に示される通り、この円環底壁部CRは、一部が円弧状に切りかかれている。なお、この切り欠き部分は、円環底壁部CRのうち部分円筒側壁部CCが存在しない位置に形成されている。そして、この切り欠き部分RCには、歯車144jの一部が進入される。
【0042】
部分円筒側壁部CCは、図6に示されるように部分円筒形状を呈する部位であって、円環底壁部CRの外縁部から上方に向かって延びている。
【0043】
位置決めピン部PPは、上側ハードカバー144dの取付け向きを規制する部位であって、図6に示されるように器部材144aの軸を挟むように一対形成されており、部分円筒側壁部CCの上端面から上方に向かって延びている。なお、これらの位置決めピン部PPは、上側ハードカバー144dに形成される位置決め孔(図示せず)に挿通される。
【0044】
カバー取付部VBは、上側ハードカバー144dをビス止めするための部位であって、図6に示されるように器部材144aの軸を挟むように一対形成されており、部分円筒側壁部CCの側面から外方に向かって延びている。なお、このカバー取付部VBに上側ハードカバー144dの取付部VCが嵌め込まれた後にビスが螺入されることによって器部材144aに上側ハードカバー144dが取り付けられる。
【0045】
締結部ABは、圧力調整装置144を蓋体140の蓋基板141に締結するための部位であって、図6に示されるように部分円筒側壁部CCの側面から外方に向かって三方に向かって延びている。そして、これらの締結部ABは、蓋基板141の被締結部(図示せず)と位置決めされた状態でビス止めされる。
【0046】
(b)上下動部材
上下動部材144bは、回転部材144cの回転に伴って上下動する部材であって、図6に示されるように、主に、基板部BP、中央突起部CP、内周側突起部PRi、外周側突起部PRo、バネ受け部WSおよび脚部LGから形成されている。
【0047】
基板部BPは、略円盤状の部位である。この基板部BPの下面の外周部には、バネ受け溝GBが形成されている。図11に示されるように、このバネ受け溝GBには、中間コイルバネSGmの上端部位が嵌まり込んでいる。
【0048】
中央突起部CPは、図11に示されるように、基板部BPの中央部位から上方に向かって延びる円柱状の部位であって、回転部材144cの案内筒部GDに挿入されている。
【0049】
内周側突起部PRiは、図6に示されるように、基板部BPの上面のうち中央突起部CPの形成部位よりも外周側に位置する内周側部位から上方に向かって延びる略直角三角形状の板状部位であって、回転部材144cの内周側突起部IKと同一の円周軌道上に位置している。すなわち、回転部材144cが一回転する間、この内周側突起部PRiは、一定の位置で回転部材144cの内周側突起部IKに当接することになる。
【0050】
外周側突起部PRoは、図6に示されるように、基板部BPにおいて中央突起部CPの形成部位よりも外周側に位置する外周側部位(上記内周側部位の外周側に位置する部位)から上方に向かって延びる略直角三角形状の板状部位であって、回転部材144cの外周側突起部IYと同一の円周軌道上に位置している。すなわち、回転部材144cが一回転する間、この外周側突起部IYは、一定の位置で回転部材144cの外周側突起部IYに当接することになる。なお、この外周側突起部PRoの形状および高さは、内周側突起部PRiの形状および高さとほぼ同一であり、また、外周側突起部PRoと内周側突起部PRiとは中央突起部CPの軸に対して点対称の関係にある。
【0051】
バネ受け部WSは、図11に示されるように基板部BPの外縁から外方に向かって延びる円環部位である。そして、このバネ受け部WSの下には、バネ受け溝GCが形成されている。図11に示されるように、このバネ受け溝GCには、外側コイルバネSGoの上端部位が嵌まり込んでいる。
【0052】
脚部LGは、図6に示されるように、円筒体に数本のスリットSLを入れた部位であって、基板部BPの下面から下方に向かって延びている。この脚部LGは、収容部材144eの円筒部ACの外周側に位置している(図11参照)。また、脚部LGのスリットSLには、収容部材144eの案内羽根GWが差し込まれている(図6参照)。これによって脚部LGに対する収容部材144eの自転が規制されていると共に、脚部LGに対する収容部材144eの上方向の移動距離が規制されている。
【0053】
(c)回転部材
回転部材144cは、ステッピングモータ144iにより歯車144jを介して回転させられる部材であって、図6に示されるように、主に、円筒壁部WO、天壁部WT、案内筒部GD、歯部GR、内周側突起部IKおよび外周側突起部IYから形成されている。
【0054】
円筒壁部WOは、図6に示されるように略円筒形状を呈する壁部位である。
【0055】
天壁部WTは、図6に示されるように略円盤板形状を呈する部位であって、円筒壁部WOの上側の大部分を覆っている。また、図11に示されるようにこの天壁部WTの中央には、案内筒部GDが貫通配置されている。
【0056】
案内筒部GDは、図11に示されるように、有蓋の円筒部位であって、天壁部WTの中央から上端部が突出するように形成されている。そして、この案内筒部GDには、上下動部材144bの中央突起部CPが上下移動自在に挿入されている。なお、図6に示されるように、この案内筒部GDの蓋部GHにはリーク孔LPが形成されている。
【0057】
歯部GRは、図5図6および図11に示されるように円筒壁部WOの下端部に全周に亘って形成されている。そして、この歯部GRは、歯車144jのハブに噛み合っている。
【0058】
内周側突起部IKは、図7および図8に示されるように天壁部WTの下面のうち案内筒部GDの形成部位よりも外周側に位置する内周側部位から下方に向かって延びる、展開時に直角三角形を呈する部分円筒部位であって、上下動部材144bの内周側突起部PRiと同一の円周軌道上に位置している。また、下面図である図9において、内周側突起部IKは、時計方向回りに約3時から約11時まで延びている(平面透視図では、反時計回りに約9時から約1時まで延びている。)。また、この内周側突起部IKは、下面視において時計方向回りに約3時から約11時に向かうに従って上方に傾斜している(平面透視図では、反時計回りに約9時から約1時に向かうに従って下方に傾斜している。)。このため、内周側突起部IKは、回転部材144cが一回転する間、一定の位置で上下動部材144bの内周側突起部PRiに当接して上下動部材144bを上下動させる。より詳細に述べると、平面透視において、回転部材144cが正転する場合(時計方向に回転する場合)、内周側突起部IKは上下動部材144bを押し下げる。また、平面透視において、回転部材144cが逆転する場合(反時計方向に回転する場合)、外側コイルバネSGoによって上下動部材144bが押し上げられる。
【0059】
外周側突起部IYは、図7および図8に示されるように天壁部WTの下面のうち案内筒部GDの形成部位よりも外周側に位置する外周側部位(上記内周側部位の外周側に位置する部位)から下方に向かって延びる、展開時に直角三角形を呈する部分円筒部位であって、上下動部材144bの外周側突起部PRoと同一の円周軌道上に位置している。また、下面図である図9において、外周側突起部IYは、時計方向回りに約5時から約5時まで(すなわち一周するように)延びている。また、この外周側突起部IYは、下面視において時計方向回りに約5時から約5時に向かうに従って上方に傾斜している。このため、外周側突起部IYは、回転部材144cが一回転する間、一定の位置で上下動部材144bの外周側突起部PRoに当接して上下動部材144bを上下動させる。より詳細に述べると、平面透視において、回転部材144cが正転する場合(時計方向に回転する場合)、外周側突起部IYは上下動部材144bを押し下げる。また、平面透視において、回転部材144cが逆転する場合(反時計方向に回転する場合)、外側コイルバネSGoによって上下動部材144bが押し上げられる。
【0060】
ところで、下面視において、案内筒部GDを挟んで対向する内周側突起部IKおよび外周側突起部IYの各箇所の高さは同一とされている。
【0061】
(d)上側ハードカバー
上側ハードカバー144dは、図5図6および図11に示されるように、器部材144aと共に上下動部材144bおよび回転部材144cを収容するための部材であって、主に、カバー本体MB、取付部VCおよびモータ支持壁WMから形成されている。
【0062】
カバー本体MBは、図5および図6に示されるように円環蓋部CXおよびドーム部DMから形成されている。図11に示されるように、円環蓋部CXは、回転部材144cの歯部GRの上側を覆っており、ドーム部DMは、回転部材144cの円筒壁部WO、天壁部WTおよび案内筒部GD等の上側を覆っている。また、このドーム部DMの中央には、開口OIが形成されている。そして、この開口OIには、回転部材144cの案内筒部GDの上端部位が回転可能に挿通されている。
【0063】
取付部VCは、上側ハードカバー144dを器部材144aにビス止めするための部位であって、図11に示されるように、上記開口OIを挟むように一対形成されており、ドーム部DMの下端部から外方に向かって延びている。なお、この取付部VCに器部材144aのカバー取付部VBが嵌め込まれた後にビスが螺入されることによってこの上側ハードカバー144dが器部材144aに取り付けられる。
【0064】
モータ支持壁WMは、図6に示されるように、カバー本体MBの脇に形成されており、ステッピングモータ144iを、シャフトSTが下方に向かうようにして支持している。
【0065】
(e)収容部材
収容部材144eは、図11に示されるように内側コイルバネSGiを収容すると共に中間コイルバネSGmを支持する部材であって、図6に示されるように円筒部AC、円環部PS、下側フランジ部FT、支持リブRSおよび案内羽根GWから形成されている。
【0066】
円筒部ACは、円筒形状を呈する部位である。そして、図11に示されるように、この円筒部ACの高さ方向略中央の内部には、円環部PSが形成されている。
【0067】
円環部PSは、略円環状の部位であって、上述の通り、円筒部ACの高さ方向略中央の内周面から軸に向かって延びている。そして、図11に示されるように、この円環部PSの中央開口には、頭部HDが円環部PSの上に位置するように接合ピン144fが挿通されている。
【0068】
下側フランジ部FTは、図6に示されるように円筒部ACの下端部から外方に向かって延びている。
【0069】
支持リブRSは、中間コイルバネSGmを位置決めするリブであって、図6に示されるように円筒部ACの上端面の内周側部位から上方に向かって延びている。
【0070】
案内羽根GWは、図6に示されるように複数箇所において円筒部ACの外周面から外方に向かって延びている。そして、この案内羽根GWは、上下動部材144bの脚部LGのスリットSLに嵌め込まれている。
【0071】
そして、図11に示されるように、この収容部材144eには、接合ピン144fにより閉塞弁144hが接合されている。すなわち、収容部材144e、接合ピン144fおよび閉塞弁144hは一体化されており、閉塞弁144hが押し上げられたり押し下げられたりする際、収容部材144eおよび接合ピン144fも同時に押し上げられたり押し下げられたりする。
【0072】
(f)接合ピン
接合ピン144fは、図11に示されるように収容部材144eと閉塞弁144hとを連結する部材であって、図6に示されるように主に、胴部BMおよび頭部HDから形成されている。胴部BMは、略切頭円錐形状を有する部位である。そして、この胴部BMの大径側には頭部HDが形成されている。頭部HDは、図6に示されるように、円盤状の部位であって、胴部BMの大径側に形成されている。なお、ここで、図6および図11から明らかな通り、頭部HDの径は、胴部BMの大径側の端部の径よりも多い。すなわち、この接合ピン144fは、胴部BMの軸を含む面で切ったとき、T字状となっている。
【0073】
(g)内側コイルバネ
内側コイルバネSGiは、図11および図12に示されるように収容部材144eの収容空間Saにおいて、収容空間Saの底に位置する接合ピン144fの頭部HDの上に鎮座している。なお、この内側コイルバネSGiは、上下動部材144bが下降させられる際、上下動部材144bの基板部BPに当接し得る。
【0074】
(h)中間コイルバネ
中間コイルバネSGmは、図11および図12に示されるように収容部材144eの支持リブRSの外側の部位と上下動部材144bの基板部BPのバネ受け溝GBとの間に挟みこまれている。すなわち、この中間コイルバネSGmは、上下動部材144bを下方に向かって付勢している。
【0075】
(i)外側コイルバネ
外側コイルバネSGoは、図11および図12に示されるように器部材144aの内縁部EIと上下動部材144bのバネ受け部WSとの間に挟みこまれている。すなわち、この外側コイルバネSGoは、上下動部材144bを上方に向かって付勢している。
【0076】
(j)下側ソフトカバー
下側ソフトカバー144gは、シリコーンゴムやエラストマーから形成される可撓性部材であって、図6に示されるように下側円環部CU、蛇腹部SNおよび上側円環部OUから形成されている。
【0077】
下側円環部CUは、収容部材144eの下側フランジ部FTと閉塞弁144hの円盤部BJの上面の外周側部位とによって挟みこまれている(図11参照)。
【0078】
蛇腹部SNは、図6に示されるように、下側円環部CUの外縁から上方に向かって延びており、収容部材144eの円筒部ACの外周を覆っている。そして、この蛇腹部SNは、収容部材144e、接合ピン144fおよび閉塞弁144hの上下動に伴って伸縮する。
【0079】
上側円環部OUは、図6に示されるように、蛇腹部SNの上端から外方に向かって広がっており、蓋基板141の載置部SIと器部材144aの円環底壁部CRとによって挟みこまれている。すなわち、下側ソフトカバー144gによって、閉塞弁144h以外の構成要素が、内鍋130の内部空間と遮断されている。
【0080】
(k)閉塞弁
閉塞弁144hは、内蓋146の弁座部材VSの開口VOを開閉する部材であって、主に、円盤部BJおよび差込部BKから形成されている。円盤部BJは、上述の通り、収容部材144eの円筒部ACと共に、下側ソフトカバー144gの下側円環部CUを挟みこんでいる。差込部BKは、略円筒形状を呈する部位であって、接合ピン144fにより閉塞弁144hを収容部材144eに接合するために形成されている。
【0081】
(l)ステッピングモータ
ステッピングモータ144iは、通常のステッピングモータであって、図11に示される通り、シャフトSTが下方に延びるように上側ハードカバー144dのモータ支持壁WMに支持されている。なお、このステッピングモータ144iは、正逆回転可能となっている。そして、このステッピングモータ144iは、制御回路基板に通信接続されている。
【0082】
(m)歯車
歯車144jは、平歯車であって、図11に示されるようにステッピングモータ144iのシャフトSTの先端部に取り付けられている。また、この歯車144jは、回転部材144cの歯部GRと噛み合っている。すなわち、ステッピングモータ144iが駆動されると、この歯車144jが回転し、その結果、回転部材144cが、歯車144jの回転方向と逆の回転方向に回転する。
【0083】
(6-2)圧力調整装置の圧力調整機能
この圧力調整装置144では、ステッピングモータ144iが制御回路基板のマイクロコンピュータの指令を受けて制御されることによって、中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiの少なくとも中間コイルバネSGmの付勢力を調整される。そして、これによって内鍋130内の圧力調整が実現されている。以下、この圧力調整装置144の圧力調整機能について詳述する。
【0084】
先ず、図11および図12を用いて、内鍋130の内部が加圧されない場合の圧力調整装置144の状態を説明する。
【0085】
内鍋130の内部を加圧しない場合、図11および図12に示されるように、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYが上下動部材144bの内周側突起部PRiおよび外周側突起部PRoに当接しない状態(すなわち、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYが上下動部材144bの内周側突起部PRiおよび外周側突起部PRoが形成されていない部位に当接する状態)になるようにステッピングモータ144iが制御される。この状態では、上下動部材144bは、図11および図12に示されるように外側コイルバネSGoによって上端にまで押し上げられている。この結果、閉塞弁144hが内蓋146の弁座部材VSの上端部から離間した状態となり、内蓋146の弁座部材VSの開口VOが開放される。このため、この状態では、内鍋130の内部が加圧されない。
【0086】
次に、図13および図14を用いて、内鍋130の内部が加圧される場合の圧力調整装置144の状態を説明する。
【0087】
内鍋130の内部を加圧する場合、図13および図14に示されるように、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYが上下動部材144bの内周側突起部PRiおよび外周側突起部PRoに当接して、回転部材144cが上下動部材144bを連続的に押し下げるようにステッピングモータ144iが制御される。そして、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYによって、上下動部材144bが外側コイルバネSGoの付勢力に抗して押し下げられると、図13および図14に示されるように、閉塞弁144hが内蓋146の弁座部材VSの開口VOを閉塞する状態となる。そこからさらに上下動部材144bが押し下げられると、上下動部材144bが中間コイルバネSGmの付勢力に抗して押し下げられ、中間コイルバネSGmが縮み、内側コイルバネSGiの上端部に当接するようになる。そして、そこからさらに上下動部材144bが押し下げられると、上下動部材144bが中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiの付勢力に抗して押し下げられ、中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiが縮む。
【0088】
上述のようにして、中間コイルバネSGm、あるいは、中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiが縮むことによって、内蓋146の弁座部材VSの上端部に対する閉塞弁144hの押圧力が高まり、閉塞弁144hが開きにくくなる。すなわち、閉塞弁144hの押圧力は、非加圧状態からの上下動部材144bの移動距離に応じて高められることなる。したがって、内鍋130の内部も非加圧状態からの上下動部材144bの移動距離に応じて高められることなる。
【0089】
(7)蒸気処理ユニット
蒸気処理ユニット147は、炊飯時に内鍋130から上昇してくる水蒸気をトラップして内鍋130に戻すものであって、図3に示されるように蓋体140の後側に配設されている。
【0090】
(8)制御回路基板
制御回路基板は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装しており、本体110の誘導加熱コイル112や、保温ヒータ115、送風ファンユニット116、電源回路基板117、蓋体140の操作ボタン群143、圧力調整装置144のステッピングモータ144i等に通信接続されている。
【0091】
(9)内蓋
内蓋146は、図3に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材であって、蓋基板141の下側に着脱自在に取り付けられている。また、この内蓋146には、図11に示されるように開口POが形成されると共に、その開口POに弁座部材VSが嵌め込まれている。弁座部材VSは、図11に示されるように円筒形状を呈する部材であって、その上端部が弁座として機能する。また、弁座部材VSの開口VOは、圧力調整口として機能する。
【0092】
<本発明の実施の形態に係る圧力調整装置の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る圧力調整装置144では、図12に示されるように、ステッピングモータ144iの回転軸が上下動部材144bの移動軸と平行になるように、ステッピングモータ144iが上下動部材144bの比較的近くに配置されている。このため、この圧力調整装置144は、アーム部の高さ位置とほぼ同じ高さ位置にモータを横置きしなければならない従前の圧力調整装置(調圧装置)に比べて小型化されている。
【0093】
また、この圧力調整装置144は、閉塞弁144hにかかる荷重がステッピングモータ144iに直接加わらない構造となっている。このため、この炊飯器100では、内蓋146の弁座部材VSの開口VOの口径を従前よりも拡大することができる。したがって、この圧力調整装置144は、圧力式の炊飯器100の炊飯性能のみならず圧力開放性能を向上させることができる。
【0094】
(2)
本発明の実施の形態に係る圧力調整装置144では、歯車144jおよび回転部材144cの二部品を介してステッピングモータ144iのシャフトSTと上下動部材144bとが連結されている。このため、圧力調整装置144を小型することができている。
【0095】
(3)
本発明の実施の形態に係る圧力調整装置144では、回転部材144cの回転によって上下動部材144bを上下動させている。このため、この圧力調整装置144では、ステッピングモータ144iにより細やかな多段階圧力制御を実現することができる。
【0096】
(4)
本発明の実施の形態に係る圧力調整装置144では、内蓋146の弁座部材VSの上端部に対する閉塞弁144hの押圧力の調整部品として、中間コイルバネSGmのみならず内側コイルバネSGiが採用されている。このため、この圧力調整装置144では、途中から急激に内蓋146の弁座部材VSの上端部に対する閉塞弁144hの押圧力を上昇させることができる。
【0097】
<変形例>
(A)
先の実施の形態では本発明が圧力式の炊飯器100に適用されたが、本発明は、圧力式炊飯器に類する他の調理器や機器に適用されてもかまわない。
【0098】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では圧力調整装置144の閉塞弁144hの弁座が蓋体140の内蓋146の弁座部材VSとされていたが、弁座が圧力調整装置に組み込まれもよいし、蓋基板141に組み込まれてもよい。
【0099】
(C)
先の実施の形態に係る圧力調整装置144では、正逆回転可能なステッピングモータ144iが採用されたが、これに代えて正転のみ可能なステッピングモータが採用されてもよい。
【0100】
(D)
先の実施の形態に係る圧力調整装置144では、内蓋146の弁座部材VSの上端部に対する閉塞弁144hの押圧力の調整部品として、中間コイルバネSGmのみならず内側コイルバネSGiが採用されていたが、中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiのいずれか一方のみが採用されてもよい。また、これとは逆に、内側コイルバネSGiの内側にさらにコイルバネが配設されてもよい。かかる場合、そのコイルバネは、内側コイルバネSGiと長くされてもよいし、短くされてもよいし、同じ長さとされてもよい。
【0101】
なお、上記変形例は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
144 圧力調整装置
144b 上下動部材(移動体)
144c 回転部材(回転体)
144h 閉塞弁(弁体)
144i ステッピングモータ(回転駆動源)
144j 歯車
IK 内周側突起部(案内部)
IY 外周側突起部(案内部)
GR 歯部
SGi 内側コイルバネ(付勢部材)
SGm 中間コイルバネ(付勢部材)
ST シャフト(駆動軸体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14