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特許7549206学習装置、推定装置、監視システム及び学習方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】学習装置、推定装置、監視システム及び学習方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240904BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240904BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06T7/00 350C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020195682
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084080
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 慧太
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-9141(JP,A)
【文献】特開2016-12258(JP,A)
【文献】特開2020-139803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部(31)を備え、データとラベルとの対応を教師ラベルが付与された訓練データにより学習する学習装置(30)であって、
前記制御部(31)は、
前記データが第1状態であることを示す第1状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第1訓練データと、前記データが前記第1状態とは異なる第2状態であることを示す第2状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル及び前記第2状態ラベルとの対応を学習した第1学習モデル(LM11,LM21)を作成し、
前記第1訓練データと前記第2訓練データとを評価データとして用いて、前記第1学習モデル(LM11,LM21)により前記評価データに対応する前記ラベルを推定し、
前記評価データのうち、前記第1学習モデルの推定による確度が最も高い前記ラベルと、付与された前記教師ラベルと、の種類が異なるエラーデータに、前記第1学習モデルが推定を間違えたことを示すエラーラベルを付与し、
前記エラーラベルが付与された前記エラーデータと、前記エラーラベルが付与されていない前記第1訓練データ及び前記第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル、前記第2状態ラベル及び前記エラーラベルとの対応を学習した第2学習モデル(LM12,LM22)を作成する、
学習装置(30)。
【請求項2】
前記制御部(31)は、
前記エラーデータのうち、
前記第1学習モデル(LM11,LM21)の推定による確度が最も高い前記ラベルが前記第2状態ラベルであり、前記付与された前記教師ラベルが前記第1状態ラベルであるものに前記エラーラベルを付与し、
前記第1学習モデル(LM11,LM21)の推定による確度が最も高い前記ラベルが前記第1状態ラベルであり、前記付与された前記教師ラベルが前記第2状態ラベルであるものには前記エラーラベルを付与しない、
請求項1に記載の学習装置(30)。
【請求項3】
前記第1状態ラベルは、前記データの内容、又は前記データの取得過程が異常であることを示す前記ラベルであり、
前記第2状態ラベルは、前記データの内容、又は前記データの取得過程が正常であることを示す前記ラベルである、
請求項1又は請求項2に記載の学習装置(30)。
【請求項4】
第2制御部(41,51)を備え、推定対象となる前記データである対象データと対応する前記ラベルを推定する推定装置(40,50)であって、
前記第2制御部(41,51)は、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の学習装置(30)が作成した前記第2学習モデル(LM12,LM22)に前記対象データを入力することで、前記対象データについての前記第1状態ラベルの確度、前記第2状態ラベルの確度及び前記エラーラベルの確度を出力する、
推定装置(40,50)。
【請求項5】
対象装置(10)から取得される前記対象データに基づいて、前記対象装置(10)を監視する監視システム(100)であって、
請求項4に記載の推定装置(40,50)と、
前記第2制御部(41,51)により出力された前記エラーラベルの確度が第1所定値を超える場合に、前記対象データに関する情報を作業者に報知する報知部と、
を備える、
監視システム(100)。
【請求項6】
前記報知部は、前記第2制御部(41,51)により出力された前記第1状態ラベルの確度及び前記第2状態ラベルの確度がいずれも第2所定値未満となる場合に、前記対象データに関する情報を前記作業者に報知する、
請求項5に記載の監視システム(100)。
【請求項7】
前記報知部が前記対象データに関する情報を前記作業者に報知した場合に、前記作業者から、前記対象データの状態が前記第1状態であるか前記第2状態であるかの判断に関する入力を受け付ける入力部(22)をさらに備える、
請求項5又は請求項6に記載の監視システム(100)。
【請求項8】
前記第1状態は、前記対象データが正しく取得できていない状態であり、
前記第2状態は、前記対象データが正しく取得できた状態であり、
前記第2制御部(41,51)は、前記出力された前記第1状態ラベルの確度が第3所定値を超える場合、又は、前記入力部(22)が前記作業者から前記対象データの状態が前記第1状態であるとの判断に関する入力を受け付けた場合に、動作指令を発して前記対象装置(10)から前記対象データを取得させる、
請求項7に記載の監視システム(100)。
【請求項9】
前記報知部は、前記対象データに関する情報を前記作業者に報知する場合に、ディスプレイ又はスピーカを含む表示部(23)に前記対象データに関する情報を表示させ、又は前記作業者が確認可能な端末に前記対象データに関する情報を含む電子メールを送信する、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の監視システム(100)。
【請求項10】
前記対象装置(10)は空気調和装置であり、
前記対象データは、カメラ(12)により撮像された画像、マイク(13)に記録された音及び記憶部(14)に記憶された運転データ、の少なくとも1つを含む、
請求項5から請求項9に記載の監視システム(100)。
【請求項11】
前記空気調和装置(10)は、熱交換器(63)の下方に設けられるドレンパン(64)を有し、
前記対象データは、前記カメラ(12)により前記ドレンパン(64)を撮像することで取得される画像を含む、
請求項10に記載の監視システム(100)。
【請求項12】
データとラベルとの対応を、教師ラベルが付与された訓練データにより学習する学習方法であって、
前記データが第1状態であることを示す第1状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第1訓練データと、前記データが前記第1状態とは異なる第2状態であることを示す第2状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル及び前記第2状態ラベルとの対応を学習した第1学習モデル(LM11,LM21)を作成する第1学習モデル作成ステップ(S12)と、
前記第1訓練データと前記第2訓練データとを評価データとして用いて、前記第1学習モデル(LM11,LM21)により前記評価データに対応する前記ラベルを推定する評価ステップ(S13)と、
前記評価データのうち、前記第1学習モデル(LM11,LM21)の推定による確度が最も高い前記ラベルと、付与された前記教師ラベルと、の種類が異なるエラーデータに、前記第1学習モデル(LM11,LM21)が推定を間違えたことを示すエラーラベルを付与するラベル付与ステップ(S14)と、
前記エラーラベルが付与された前記エラーデータと、前記エラーラベルが付与されていない前記第1訓練データ及び前記第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル、前記第2状態ラベル及び前記エラーラベルとの対応を学習した第2学習モデル(LM12,LM22)を作成する第2学習モデル作成ステップ(S15)と、
を備える、学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、学習装置、推定装置、監視システム及び学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工知能(AI:Artifical Intelligence)を用いてデータ(例えば、画像)にラベル付けする技術が知られている。例えば、画像に写っているのが犬か猫かを推定させる際には、教師画像に何が写っているかを示す教師ラベル(犬ラベル又は猫ラベル)を付与してラーニングを行い学習モデルを作成した後、対象となる画像を当該学習モデルを用いてAIに推定させる。
【0003】
このとき、AIは、どの程度自信を持って答えを出したかを示す「確度」を出力し、当該確度が最も高いラベルを推定結果とすることがある。例えば、対象画像について推定した結果、確度が犬80%、猫30%の場合、対象画像には犬が写っていると判断する。しかしながら、確度の精度が十分ではないことが多く、AIによる判断に誤りが生じる場合がある。
【0004】
特許文献1には、付与したラベルが間違っていた画像を不連続画像として検出し、管理ユーザの操作により正しいラベルに修正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-009141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、AIが判断を誤った画像に正しいラベルを付与して再学習させる技術が知られているが、当該技術によって必ずしもAIの推定の精度が向上するわけではない。当該技術により、ラベルを再付与した画像についての推定精度は向上するかもしれないが、再学習前に正しく推定できていた画像についての推定精度が再学習後に低下することもありえる。このため、従来はAIに画像等のデータを判断させても、当該判断に誤りが含まれる可能性があり、結局はすべてのデータを作業者が判断する結果となりやすく、作業者の作業負担を効率的に低減できていなかった。
【0007】
本開示は、作業者の作業負担をより軽減することができる学習装置、推定装置、監視システム及び学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示の学習装置は、制御部を備え、データとラベルとの対応を教師ラベルが付与された訓練データにより学習する学習装置であって、制御部は、前記データが第1状態であることを示す第1状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第1訓練データと、前記データが前記第1状態とは異なる第2状態であることを示す第2状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル及び前記第2状態ラベルとの対応を学習した第1学習モデルを作成し、前記第1訓練データと前記第2訓練データとを評価データとして用いて、前記第1学習モデルにより前記評価データに対応する前記ラベルを推定し、前記評価データのうち、前記第1学習モデルの推定による確度が最も高い前記ラベルと、付与された前記教師ラベルと、の種類が異なるエラーデータに、前記第1学習モデルが推定を間違えたことを示すエラーラベルを付与し、前記エラーラベルが付与された前記エラーデータと、前記エラーラベルが付与されていない前記第1訓練データ及び前記第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル、前記第2状態ラベル及び前記エラーラベルとの対応を学習した第2学習モデルを作成する、学習装置である。
【0009】
第2学習モデルは、入力されたデータに対して、データの状態を示す第1状態ラベル及び第2状態ラベルの他に、第1学習モデルが推定を間違えたことを示すエラーラベルを推定することができる。第2学習モデルを用いることで、AIが判断を誤る傾向が高いデータにはエラーラベルを付与することができるため、第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータについての信憑性が向上する。この結果、作業者が第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0010】
(2)好ましくは、前記制御部は、前記エラーデータのうち、前記第1学習モデルの推定による確度が最も高い前記ラベルが前記第2状態ラベルであり、前記付与された前記教師ラベルが前記第1状態ラベルであるものに前記エラーラベルを付与し、前記第1学習モデルの推定による確度が最も高い前記ラベルが前記第1状態ラベルであり、前記付与された前記教師ラベルが前記第2状態ラベルであるものには前記エラーラベルを付与しない。
【0011】
第2状態ラベルを第1状態ラベルと推定することが許容可能な間違いである場合、第1学習モデルによる間違え方を「第2状態ラベルから第1状態ラベルへの間違い」と「第1状態ラベルから第2状態ラベルへの間違い」に細分化し、許容可能な間違いについてエラーラベルを付与しないこととすることで、エラーラベルを付与するデータの傾向を揃えることができる。これにより、第2学習モデルにおいて、エラーラベルを付与する精度を向上させることができる。
【0012】
(3)好ましくは、前記第1状態ラベルは、前記データの内容、又は前記データの取得過程が異常であることを示す前記ラベルであり、前記第2状態ラベルは、前記データの内容、又は前記データの取得過程が正常であることを示す前記ラベルである。
【0013】
データ自体、又はデータの取得過程が正常であるのに、それを異常であると推定することは、比較的許容可能な間違いである。また、逆にデータ自体、又はデータの取得過程が異常であるのに、それを正常であると推定することは、許容できない。このため、前者の許容可能な間違いについてエラーラベルを付与しないこととすることで、エラーラベルを付与するデータの傾向を後者の間違いに揃えることができる。これにより、第2学習モデルにおいて、エラーラベルを付与する精度を向上させることができる。
【0014】
(4)本開示の推定装置は、第2制御部を備え、推定対象となる前記データである対象データと対応する前記ラベルを推定する推定装置であって、前記第2制御部は、上記(1)から(3)のいずれかの学習装置が作成した前記第2学習モデルに前記対象データを入力することで、前記対象データについての前記第1状態ラベルの確度、前記第2状態ラベルの確度及び前記エラーラベルの確度を出力する。
【0015】
エラーラベルを推定することができる第2学習モデルを用いて、対象データを推定することで、対象データについての第1状態ラベルの確度及び第2状態ラベルの確度とともに、対象データについてのエラーラベルの確度を得ることができる。このため、AIが判断を誤る傾向が高い対象データはエラーラベルの確度が高くなり、そうでない対象データは第1状態ラベル又は第2状態ラベルの確度が高くなる。この結果、第1状態ラベル又は第2状態ラベルの確度が高い対象データについての信憑性が向上するため、作業者が当該対象データを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担をより軽減することができる。
【0016】
(5)本開示の監視システムは、対象装置から取得される前記対象データに基づいて、前記対象装置を監視する監視システムであって、上記(4)の推定装置と、前記第2制御部により出力された前記エラーラベルの確度が第1所定値を超える場合に、前記対象データに関する情報を作業者に報知する報知部と、を備える、監視システムである。
【0017】
対象データに基づいて対象装置を監視する際、第2学習モデルによりエラーラベルの確度が第1所定値を超える対象データに関する情報が作業者に報知される。このため、作業者は報知された対象データの確認に注力し、そうでない対象データ(例えば、エラーラベルの確度が第1所定値未満の対象データ)を再確認する作業を省略することができる。この結果、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0018】
(6)好ましくは、前記報知部は、前記第2制御部により出力された前記第1状態ラベルの確度及び前記第2状態ラベルの確度がいずれも第2所定値未満となる場合に、前記対象データに関する情報を前記作業者に報知する。
【0019】
第1状態ラベル及び第2状態ラベルの確度がいずれも第2所定値未満となる場合、エラーラベルの確度が第1所定値未満であるとしても、AIが推定を間違えている可能性が高い。このような対象データも作業者に報知することで、表示されない対象データの信憑性を向上させることができる。これにより、報知されない対象データを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0020】
(7)前記報知部が前記対象データに関する情報を前記作業者に報知した場合に、前記作業者から、前記対象データの状態が前記第1状態であるか前記第2状態であるかの判断に関する入力を受け付ける入力部をさらに備える。
【0021】
入力部により作業者からの入力を受け付けることで、AIが推定を間違える可能性が高い対象データの判断を作業者に委ねることができる。これにより、より好適にAIと作業者とが作業を分担することができるため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0022】
(8)好ましくは、前記第1状態は、前記対象データが正しく取得できていない状態であり、前記第2状態は、前記対象データが正しく取得できた状態であり、前記第2制御部は、前記出力された前記第1状態ラベルの確度が第3所定値を超える場合、又は、前記入力部が前記作業者から前記対象データの状態が前記第1状態であるとの判断に関する入力を受け付けた場合に、動作指令を発して前記対象装置から前記対象データを取得させる。
【0023】
このように構成することで、対象データが正しく取得できていない場合に、第2制御部が動作指令を発することで対象装置から対象データを再取得させることができる。これにより、より好適な対象データを取得することができる。
【0024】
(9)好ましくは、前記報知部は、前記データに関する情報を前記作業者に報知する場合に、ディスプレイ又はスピーカを含む表示部に前記対象データに関する情報を表示させ、又は前記作業者が確認可能な端末に前記対象データに関する情報を含む電子メールを送信する。
【0025】
作業者は、表示部に表示された情報を確認することで、対象データに関する情報を知ることができる。また、作業者は、端末に電子メールとして送信された情報を確認することで、対象データに関する情報を知ることができる。このように構成することで、対象装置が設置された現場へ作業者を移動させることなく、作業者に対象データに関する情報を知らせることができる。このため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0026】
(10)好ましくは、前記対象装置は空気調和装置であり、前記対象データは、カメラにより撮像された画像、マイクに記録された音及び記憶部に記憶された運転データ、の少なくとも1つを含む。
【0027】
このように構成することで、カメラ、マイク及び記憶部の少なくとも1つから得られる対象データにより空気調和装置を遠隔地から監視することができる。
【0028】
(11)好ましくは、前記空気調和装置は、熱交換器の下方に設けられるドレンパンを有し、前記対象データは、前記カメラにより前記ドレンパンを撮像することで取得される画像を含む。
【0029】
このように構成することで、空気調和装置の中でも特に経時的に汚れやすいドレンパンを遠隔地から監視することができる。
【0030】
(12)本開示の学習方法は、データとラベルとの対応を、教師ラベルが付与された訓練データにより学習する学習方法であって、前記データが第1状態であることを示す第1状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第1訓練データと、前記データが前記第1状態とは異なる第2状態であることを示す第2状態ラベルが前記教師ラベルとして付与された第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル及び前記第2状態ラベルとの対応を学習した第1学習モデルを作成する第1学習モデル作成ステップと、前記第1訓練データと前記第2訓練データとを評価データとして用いて、前記第1学習モデルにより前記評価データに対応する前記ラベルを推定する評価ステップと、前記評価データのうち、前記第1学習モデルの推定による確度が最も高い前記ラベルと、付与された前記教師ラベルと、の種類が異なるエラーデータに、前記第1学習モデルが推定を間違えたことを示すエラーラベルを付与するラベル付与ステップと、前記エラーラベルが付与された前記エラーデータと、前記エラーラベルが付与されていない前記第1訓練データ及び前記第2訓練データと、を前記訓練データとして用いて、前記データと前記第1状態ラベル、前記第2状態ラベル及び前記エラーラベルとの対応を学習した第2学習モデルを作成する第2学習モデル作成ステップと、を備える、学習方法である。
【0031】
第2学習モデルは、入力されたデータに対して、データの状態を示す第1状態ラベル及び第2状態ラベルの他に、第1学習モデルが推定を間違えたことを示すエラーラベルを推定することができる。第2学習モデルを用いることで、AIが判断を誤る傾向が高いデータにはエラーラベルを付与することができるため、第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータについての信憑性が向上する。この結果、作業者が第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本開示の実施形態に係る監視システムの機能的な構成を概略的に示すブロック図である。
図2】本開示の実施形態に係る室内機の内部構造を概略的に示す断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る学習処理の手順を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施形態に係るデータに付与するラベルを説明する表である。
図5】本開示の実施形態に係る第1推定処理の手順を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施形態に係る第2推定処理の手順を示すフローチャートである。
図7】本開示の変形例に係るデータに付与するラベルを説明する表である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照しつつ、本開示の実施形態を説明する。
【0034】
[実施形態]
[監視システムの構成]
図1は、本開示の実施形態に係る監視システム100の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。監視システム100は、複数の空気調和装置10と、1台の監視装置20と、を備える。監視システム100は、監視装置20と複数の空気調和装置10とをネットワークN1により接続し、監視装置20により複数の空気調和装置10を監視するシステムである。
【0035】
なお、本実施形態では、1台の監視装置20により複数の空気調和装置10を1対多の対応で監視するが、本開示の実施に関してはこれに限定されない。例えば、1台の監視装置20により1台の空気調和装置10を1対1の対応で監視してもよいし、複数の監視装置20により1台の空気調和装置10を多対1の対応で監視してもよい。
【0036】
空気調和装置10は、室内の温度及び湿度の少なくとも一方を調節する装置であり、例えば暖房装置、冷房装置、加湿機、除湿機又はこれらを組み合わせた機能を有する装置である。空気調和装置10は、室内機61と室外機(図示省略)を有する。室内機61は、例えば室内空間や天井裏の空間に設けられ、冷媒配管(図示省略)を介して室外機に接続される。
【0037】
[空気調和装置の構成]
空気調和装置10は、データ取得部11をさらに有する。データ取得部11は、空気調和装置10の状態を監視するためのデータを取得するための装置であり、カメラ12と、センサ13と、記憶部14と、制御部15と、通信部16と、を有する。
【0038】
図2は、室内機61の内部構造を概略的に示す断面図である。室内機61は、ファン62と、熱交換器63と、ドレンパン64と、ドレンポンプ65と、ケーシング66と、を有する。ファン62、熱交換器63、ドレンパン64及びドレンポンプ65は、ケーシング66内に設けられる。
【0039】
ケーシング66には、流入口66aと流出口66bが形成される。ファン62は、例えばシロッコ型ファンである。ファン62が動作すると、空気RA1がケーシング66の流入口66aから取り入れられ、熱交換器63で空気RA1の熱交換がなされた後、調和空気SA1として流出口66bから吹き出される。
【0040】
熱交換器63で空気RA1が冷却される場合、空気中の水分が結露し、熱交換器63及びその近傍で凝縮水が発生する。ドレンパン64は、熱交換器63の鉛直方向下方に位置し、熱交換器63及びその近傍で発生した凝縮水を受ける。ドレンポンプ65は、ドレンパン64側に吸込管65aを開口させた状態でドレンパン64の鉛直方向上方に設置される。ドレンポンプ65の上部には排水管65bの一端が接続されている。排水管65bの他端は、ケーシング66の外部と接続されている。ドレンポンプ65が動作すると、ドレンパン64に溜まった凝縮水が吸込管65aを介してドレンポンプ65に吸い込まれ、凝縮水は排水管65bを介してケーシング66の外部に排出される。
【0041】
カメラ12は、ケーシング66内に設けられる。例えば、カメラ12は、金具12aによりケーシング66の内壁に取り付けられる。カメラ12は、ドレンパン64を向いて撮像することで、ドレンパン64が写った画像を取得する。なお、カメラ12が設置される場所やカメラ12の向きは限定されない。例えば、カメラ12は熱交換器63が写った画像を取得してもよい。
【0042】
センサ13は、ケーシング66の流出口66b付近に設けられる。センサ13は、例えばマイクであり、室内機61の動作音を測定することで、音データを取得する。なお、センサ13は、調和空気SA1の温度を測定する温度センサであってもよいし、調和空気SA1の湿度を測定する湿度センサであってもよい。また、センサ13が設置される場所は限定されない。センサ13はファン62の近傍に設けられてもよいし、ケーシング66の外部に設けられてもよい。
【0043】
図1を参照する。記憶部14は、例えば半導体メモリであり、空気調和装置10の運転データを記憶する。制御部15は、カメラ12、センサ13及び記憶部14とそれぞれ接続し、これら各部12~14に動作指令を行う。制御部15の動作指令により、カメラ12は画像を取得し、センサ13は音データを取得し、記憶部14は運転データを記憶する。各部12~14により取得又は記録される画像、音データ及び運転データは、空気調和装置10を監視するためのデータである。制御部15は、データ(画像、音データ及び運転データ)を、通信部16に出力する。
【0044】
通信部16は、ネットワークN1を介して監視装置20と通信を行うための通信インターフェースである。通信部16は、ネットワークN1を介して監視装置20に対象データを送信する。また、通信部16は、ネットワークN1を介して監視装置20から各種の命令を受信する。通信部16が受信した命令は、制御部15に入力される。制御部15は、当該命令に基づいて、カメラ12、センサ13及び記憶部14に動作指令を行う。
【0045】
[空気調和装置の保守及び点検]
従来、空気調和装置10の保守及び点検のため、作業者が空気調和装置10の設置現場に赴く必要があった。近年、労働人口の減少に伴い、設備の保守及び点検作業の負担を軽減するニーズが高まっている。また、近年の感染症対策等の影響により、人の移動を伴う作業を削減又は効率化するニーズが高まっている。
【0046】
本実施形態の空気調和装置10は、カメラ12が取得する画像、センサ13が取得する音データ及び記憶部14が取得する運転データにより、空気調和装置10を保守及び点検するための情報を収集することができる。これにより、作業者が空気調和装置10の設置現場に赴くことなく、空気調和装置10の状態を確認することができる。作業者は、空気調和装置10の汚れ等、異常を確認した場合に現場に赴けばよいため、空気調和装置10の保守及び点検作業の負担を軽減することができる。
【0047】
ここで、空気調和装置10の異常としては、例えばドレンポンプ65の詰まりによる空気調和装置10の異常停止が挙げられる。ドレンパン64は凝縮水を受けるため、カビ等が繁殖して汚れる場合がある。ドレンパン64の汚れは、時間の経過とともに悪化し、ドレンパン64に蓄積されたカビ等がドレンポンプ65を詰まらせるおそれがある。
【0048】
そこで、カメラ12によりドレンパン64を撮像し、監視装置20がドレンパン64の汚れを画像に基づいて監視する。監視装置20は、画像等のデータが正しく取得できているか否かを推定する第1の機能と、データに基づいて空気調和装置10の異常の有無を推定する第2の機能と、を有する。
【0049】
上記の第1の機能の必要性について説明する。例えば、空気調和装置10の運転状況や使用環境によっては、ドレンパン64付近に多量のミストが発生し、カメラ12が取得する画像が白くぼやけて、ドレンパン64がほとんど写らない場合がある。ドレンパン64(異常の判定対象)が正しく写っていない画像に基づいてそのまま空気調和装置10の異常の有無を判定すると、正しい判定結果が得られない。例えば、ドレンパン64の正常時の画像(基準画像)と、判定対象となる画像との差分に基づいて、ドレンパン64に汚れがあるか否かを監視装置20に判定させる場合、ミストにより白くぼやけた画像は、基準画像との差分が大きいため、実際にはドレンパン64に汚れがなくても「ドレンパン64に汚れあり(異常あり)」という判定結果となる。
【0050】
センサ13及び記憶部14が取得するデータについても同様である。例えば、空気調和装置10の付近で工事等が行われると、センサ13が工事の音を音データとして取得する場合がある。センサ13が取得する音データにより、監視装置20がファン62の動作音の異常の有無を判定する場合、実際にはファン62に異常がなくても、監視装置20がこの工事の音に基づいて「ファン62に異常あり」という誤った判定をするおそれがある。
【0051】
上記のような判定間違いを抑制するために、監視装置20では、異常の有無を判定する前に、対象データが正しく取得できているか否かを判定する。そして、監視装置20は、対象データが正しく取得できていないと判定すると、データ取得部11に動作指令を行い、対象データを再取得させる。
【0052】
監視装置20は、学習モデルを用いて、対象データが正しく取得できているか否かの推定(第1推定)と、異常の判定対象に異常があるか否かの推定(第2推定)とを行う。以下、監視装置20の構成について説明する。
【0053】
[監視装置の構成]
監視装置20は、通信部21と、入力部22と、表示部23と、学習装置30と、第1推定装置40と、第2推定装置50と、を有する。これらの各部は、バス等により接続され、互いにデータの出入力をすることができる。本実施形態では、強化学習を行うために監視装置20内に学習装置30が含まれているが、学習装置30は監視装置20とは別の装置として設けられてもよい。
【0054】
通信部21は、ネットワークN1を介して空気調和装置10のデータ取得部11と通信を行うための通信インターフェースである。通信部21は、ネットワークN1を介してデータ取得部11からデータを受信する。通信部21が受信したデータは、適宜、監視装置20内の各部に入力される。また、通信部21は、ネットワークN1を介してデータ取得部11に各種の命令を送信する。
【0055】
入力部22は、作業者の入力を受け付けるためのデバイスであり、例えばマウス及びキーボードである。表示部23は、作業者に各種の情報を表示するためのデバイスであり、例えばディスプレイ及びスピーカである。
【0056】
学習装置30、第1推定装置40及び第2推定装置50は、ハード構成としては、制御部(例えば、CPU、GPU等)と、記憶部(例えば、RAM等の主記憶部と、HDD等のストレージとを含む)と、を備えるコンピュータである。本実施形態では、制御部31及び記憶部32を有する第1コンピュータが学習装置30に、制御部41及び記憶部42を有する第2のコンピュータが第1推定装置40に、制御部51及び記憶部52を有する第3のコンピュータが第2推定装置50に割り当てられている。そして、第1~3のコンピュータが別個に所定のプログラムを実行することで、学習装置30、第1推定装置40及び第2推定装置50が実現される。なお、学習装置30、第1推定装置40及び第2推定装置50は、1台のコンピュータが順次、所定のプログラムを実行することで実現されてもよい。この場合、制御部31,41,51は共通する制御部であってもよい。また、記憶部32,42,52は共通する記憶部であってもよい。
【0057】
学習装置30は、後述の第2学習モデルLM12,LM22を作成する。
第1推定装置40は、第2学習モデルLM12を用いて、データが正しく取得できているか否かの推定(第1推定)を行う。
第2推定装置50は、第2学習モデルLM22を用いて、異常の判定対象に異常があるか否かの推定(第2推定)を行う。
【0058】
[学習処理]
図3は、学習装置30が実行する学習処理の手順を示すフローチャートである。学習装置30は、データとラベルとの対応を、教師ラベルが付与された訓練データにより学習する。
【0059】
学習装置30の制御部31は、入力部22を介して作業者から学習処理の実行指示を受け付けると、はじめに訓練データ取得ステップS11を実行する。まず、記憶部32にデータ取得部11が取得したデータDx(例えば、カメラ12が撮像した画像)が格納される。次に、データDxに教師ラベルを付与することで、訓練データTDxを生成する。
【0060】
図4は、データDxに付与するラベルを説明する表である。図4では、例示として、4個のデータD1~D4に、各ステップS11,S13,S14において付与されるラベルを示している。
【0061】
教師ラベルは、例えば、作業者が付与する。具体的には、学習装置30が表示部23にデータDxを表示し、作業者がデータDxに対応する教師ラベルを入力部22に入力することで、データDxに教師ラベルが付与される。例えば、ミスト等の影響でデータDxにドレンパン64の所定の領域が写っていない場合、作業者は、データDxの取得過程が異常であること(データDxが第1状態であること)を示す「NGラベル(第1状態ラベル)」を教師ラベルとしてデータDxに付与する。図4の例では、データD2,D4に、教師ラベルとしてNGラベルが付与される。
【0062】
また、データDxにドレンパン64の所定の領域が写っている場合、作業者は、データDxの取得過程が正常であること(データDxが第2状態であること)を示す「OKラベル(第2状態ラベル)」を教師ラベルとしてデータDxに付与する。図4の例では、データD1,D3に、教師ラベルとしてOKラベルが付与される。
【0063】
以下、OKラベルが教師ラベルとして付与されたデータDx(データD1,D3)を、第1訓練データTD1と称し、NGラベルが教師ラベルとして付与されたデータDx(データD2,D4)を、第2訓練データTD2と称する。訓練データTDxは、第1訓練データTD1と、第2訓練データTD2とを含む。生成された訓練データTDxは、記憶部32に格納される。以上により、訓練データ取得ステップS11が終了する。
【0064】
なお、本実施形態では、学習装置30においてデータDxに教師ラベルを付与して訓練データTDxを生成するが、本開示の実施はこれに限定されない。例えば、訓練データTDxは別の装置により生成された後、ネットワークN1を介して記憶部32にダウンロードされてもよい。
【0065】
次に、学習装置30の制御部31は、第1学習モデル作成ステップS12を実行する。制御部31は、複数の第1訓練データTD1(D1,D3)及び複数の第2訓練データTD2(D2,D4)を訓練データTDxとして用いて、データDxと、NGラベル及びOKラベルと、の対応を学習した第1学習モデルLM11を作成する。
【0066】
第1学習モデルLM11は、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)等の深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)である。但し、第1学習モデルLM11の構造は特に限定されず、教師あり学習により、データDxとラベルとの対応を学習可能なモデルであればよい。作成された第1学習モデルLM11は、記憶部32に格納される。以上により、第1学習モデル作成ステップS12が終了する。
【0067】
なお、上記の例では、簡単のため計4個の訓練データTDx(D1~D4)に基づいて第1学習モデルLM11を作成するが、実際にはより多い個数の訓練データTDxに基づいて作成する。例えば、100個の第1訓練データTD1と、100個の第2訓練データTD2と(すなわち、200個の訓練データTDx)に基づいて、第1学習モデルLM11を作成してもよい。この場合、複数の訓練データTDxを役割ごとに分割して用いてもよい。
【0068】
例えば140個の訓練データTDxにより第1学習モデルLM11の候補となる候補モデルを複数作成し、残りの60個の訓練データTDxにより複数の候補モデルを評価して、最も精度よく推定できる候補モデルを第1学習モデルLM11として選んでもよい。この場合、当該残りの60個の訓練データTDxは、第1学習モデルLM11を作成するための学習には用いられない、いわゆるバリデーションデータ(validation data)である。
【0069】
また、当該残りの60個の訓練データTDxをさらに分割し、50個を上記のバリデーションデータとして用い、残りの10個の訓練データTDxにより第1学習モデルLM11を評価することで、第1学習モデルLM11の推定性能を検証してもよい。この場合、当該残りの10個の訓練データTDxは、いわゆるテストデータ(test data)である。このように、訓練データTDxには、実際に学習に用いられるデータの他、バリデーションデータ及びテストデータが含まれていてもよい。
【0070】
次に、学習装置30の制御部31は、評価ステップS13を実行する。評価ステップS13において、制御部31は、教師ラベルが付与されたデータDxを用いて、第1学習モデルLM11が正確にラベルを推定できるか否かを評価する。はじめに、制御部31は、教師ラベルが付与されたデータDx(データD1~D4)を評価データEDx(評価データED1~ED4)として取得する。本実施形態では、評価データEDxは、第1学習モデルLM11を作成した際に用いた訓練データTDxと同じ内容である。しかしながら、評価データEDxに、第1学習モデルL11を作成した際に訓練データTDxとして用いられなかったデータDxが含まれていてもよい。例えば、制御部31は、教師ラベルが付与されたデータD5を評価データED5として取得してもよい。
【0071】
次に、制御部31は、第1学習モデルLM11により、評価データEDxに対応するラベルを推定する。評価データEDxには既に教師ラベル(正しいラベル)が付与されているが、制御部31は当該教師ラベルを無視して、第1学習モデルLM11によりラベルを推定する。
【0072】
第1学習モデルLM11により推定を行うと、例えば、評価データED1に対応するラベルとしてOKラベルの確度が80%、NGラベルの確度が20%というように、評価データEDxに対応する各ラベルの確度が出力される。
【0073】
最後に、制御部31は、評価データEDxのうち、第1学習モデルLM11の推定による確度が最も高いラベルと、付与された教師ラベルと、の種類が異なる評価データEDxをエラーデータERxとして抽出する。
【0074】
例えば、第1学習モデルLM11により、評価データED1に対応するラベルとしてOKラベルの確度が80%、NGラベルの確度が20%と出力された場合、評価データED1と対応する最も高い確度のラベルはOKラベルとなる。評価データED1(データD1)に付与された教師ラベルはOKラベルなので、最も確度の高いラベルと教師ラベルとの種類が同じとなる。このため、第1学習モデルLM11は正しく推定できている。この場合、評価データED1はエラーデータERxとして抽出されない。
【0075】
また、第1学習モデルL11の推定の結果、評価データED2と対応する最も高い確度のラベルがNGラベルとなる場合、評価データED2(データD2)に付与された教師ラベルはNGラベルなので、第1学習モデルLM11は正しく推定できている。この場合、評価データED2はエラーデータERxとして抽出されない。
【0076】
一方、第1学習モデルL11の推定の結果、評価データED3と対応する最も高い確度のラベルがNGラベルとなる場合、評価データED3(データD3)に付与された教師ラベルはOKラベルなので、最も確度の高いラベルと教師ラベルとの種類が異なる。このため、第1学習モデルLM11の推定には誤りがある。この場合、評価データED3はエラーデータER3として抽出される。
【0077】
また、第1学習モデルL11の推定の結果、評価データED4と対応する最も高い確度のラベルがOKラベルとなる場合、評価データED4(データD4)に付与された教師ラベルはNGラベルなので、最も確度の高いラベルと教師ラベルとの種類が異なる。このため、第1学習モデルLM11の推定には誤りがある。この場合、評価データED4はエラーデータER4として抽出される。以上により、評価ステップS13が終了する。
【0078】
次に、学習装置30の制御部31は、ラベル付与ステップS14を実行する。制御部31は、抽出されたエラーデータERxに、第1学習モデルL11が推定を間違えたことを示すエラーラベルを付与する。上記の例では、データD3,D4にエラーラベルが付与され、データD1,D2にはエラーラベルが付与されない。エラーラベルが付与されたデータDxは、記憶部32に格納される。この結果、図4の最下行に示すように、データD1にはOKラベルが、データD2にはNGラベルが、データD3にはエラーラベルが、データD4にはエラーラベルが、それぞれ付与された状態となる。
【0079】
本実施形態では、制御部31は、評価データEDxにエラーラベルを付与する際、評価データEDxに既に付与されている教師ラベルをエラーラベルで上書きする。例えば、評価データED3には教師ラベルとしてOKラベルが付与されているが、制御部31は、評価データED3のOKラベルを消去したうえで、評価データED3にエラーラベルを付与する。この結果、評価データED3にはエラーラベルのみが付与されている状態となる。
【0080】
なお、制御部31は、評価データEDxに既に付与されている教師ラベルを消去せず、エラーラベルを別途付与してもよい。この場合、評価データEDxには教師ラベルとエラーラベルとが併存する状態となる。
【0081】
最後に、学習装置30の制御部31は、第2学習モデル作成ステップS15を実行する。制御部31は、エラーラベルが付与されたエラーデータERxと、エラーラベルが付与されていない第1訓練データTD1及び第2訓練データTD2と、を訓練データTDxとして用いて、データDxと、NGラベル、OKラベル及びエラーラベルと、の対応を学習した第2学習モデルLM12を作成する。上記の例では、エラーラベルが付与されたデータD3,D4(エラーデータER3,ER4)と、エラーラベルが付与されておらず、OKラベルが付与されたデータD1(第1訓練データTD1)と、エラーラベルが付与されておらず、NGラベルが付与されたデータD2(第2訓練データTD2)と、を訓練データTDxとして用いて学習する。
【0082】
第2学習モデルLM12は、第1学習モデルLM11と同じモデル構造である。作成された第2学習モデルLM12は、記憶部32に格納されるとともに、第1推定装置40の記憶部42にも格納される。以上により、第2学習モデル作成ステップS15が終了する。
【0083】
以上では、学習装置30が第2学習モデルLM12を作成する学習処理を説明した。本実施形態の学習装置30は、第2学習モデルLM12のほか、第2学習モデルLM22も作成する。第2学習モデルLM12は、第1推定装置40の推定に用いられ、第2学習モデルLM22は第2推定装置50の推定に用いられる。第2学習モデルLM22の作成は、第2学習モデルLM12と同様の手順により実行される。以下、第2学習モデルLM12と第2学習モデルLM22は、ラベルが示す内容が相違し、その他の点は共通する。
【0084】
第2学習モデルLM22に用いるラベルは、データDxの内容が異常であることを示すNGラベルと、データDxの内容が正常であることを示すOKラベルと、第1学習モデルLM21が推定を間違えたことを示すエラーラベルである。
【0085】
例えば、訓練データ取得ステップS11において、データDxに写っているドレンパン64の汚れが所定の程度以上である場合、作業者は、データDxの内容が異常であること(データDxが第1状態であること)を示す「NGラベル(第1状態ラベル)」を教師ラベルとしてデータDxに付与する。また、データDxに写っているドレンパン64の汚れが所定の程度未満である場合、作業者は、データDxの内容が正常であること(データDxが第2状態であること)を示す「OKラベル(第2状態ラベル)」を教師ラベルとしてデータDxに付与する。
【0086】
制御部31は、NGラベルが付与された第1訓練データTD1と、OKラベルが付与された第2訓練データTD2とを訓練データTDxとして用い、データDxと、NGラベル及びOKラベルとの対応を学習した第1学習モデルLM21を作成する(第1学習モデル作成ステップS12)。そして、制御部31は、上記と同様に、以降のステップS13~S15を実行し、第2学習モデルLM22を作成する。作成された第2学習モデルLM22は記憶部32に格納されるとともに、第2推定装置50の記憶部52にも格納される。
【0087】
[第1及び第2学習モデルについて]
ここで、第1学習モデルLM11と第2学習モデルLM12について説明する。第1学習モデルLM11は、データDxと、データDxの状態を示すOKラベル及びNGラベルとの対応を学習した学習モデルである。第1学習モデルLM11を用いて、データDxについて推定を行うと、OKラベルの確度と、NGラベルの確度とが出力される。
【0088】
しかしながら、第1学習モデルLM11の推定結果には、誤りが含まれている場合がある。例えば、訓練データTDxとは異なる傾向を有するデータDxが入力された場合、推定結果に誤りが生じやすい。従来、AIが判断を誤った画像に正しいラベルを付与して再学習させる技術が知られているが、当該技術によって必ずしもAIの推定の精度が向上するわけではない。また、AIが判断を誤りやすいデータDxを網羅的に学習させることは困難である。
【0089】
そこで、本実施形態では、データDxの状態を示す状態ラベル(OKラベル、NGラベル)の他に、第1学習モデルLM11が推定を間違えたことを示すエラーラベルを用いる。そして、制御部31は、第1学習モデルLM11が推定を誤ったデータDx(エラーデータERx)にエラーラベルを付与し、OKラベル、NGラベル又はエラーラベルが付与されたデータDxを新たな訓練データTDxとして、再学習を行い、第2学習モデルLM12を作成する。
【0090】
第2学習モデルLM12によれば、データDxについて、「データDxの取得過程が正常である(OKラベル)」か、「データDxの取得過程が異常である(NGラベル)」か、「OKかNGか分からない(エラーラベル)」か、を推定することができる。従来の学習モデルには、エラーラベルが用意されていないため、「どのラベルを付与すべきか分からない」データDxについても、学習モデルが低い精度でラベルの推定を行っていた。この結果、学習モデルの推定に誤りが生じていた。
【0091】
これに対し、第2学習モデルLM12には、エラーラベルという、いわば学習モデルの「逃げ場」を用意し、推定を誤りやすいデータDxについてはエラーラベルの確度を高く出力させる。この結果、OKラベル及びNGラベルの確度が高く出力されるデータDxの精度を上げることができる。
【0092】
[第1推定処理]
図5は、第1推定装置40が実行する第1推定処理の手順を示すフローチャートである。第1推定装置40は、第2学習モデルLM12を用いて、データDxが正しく取得されたか否かを推定する。
【0093】
第1推定装置40の制御部41は、定期的に(例えば、1週間に1回)第1推定処理を行う。なお、制御部41は、入力部22を介して作業者から第1推定処理の実行指示を受け付けた際に第1推定処理を行ってもよい。制御部41は、はじめに、空気調和装置10のデータ取得部11に動作指令を行い、データ取得部11に推定対象となるデータDxを取得させる(データ取得ステップS21)。取得されたデータDxは、記憶部42に格納される。
【0094】
以下、第1推定装置40及び第2推定装置50による推定対象となるデータDxを、「対象データDx」と称する。訓練データTDxと異なり、対象データDxには教師ラベルは付与されず、第1推定装置40及び第2推定装置50によりラベルが推定される。
【0095】
次に、制御部41は、第2学習モデルLM12に、対象データDxを入力することで、当該対象データDxについてのNGラベルの確度、OKラベルの確度、及びエラーラベルの確度を出力する(推定ステップS22)。
【0096】
続いて、制御部41は、出力されたNGラベルの確度、OKラベルの確度、及びエラーラベルの確度に基づいて、対象データDxが「正しく取得できていない状態(第1状態)」か、「正しく取得できている状態(第2状態)」か、「どちらの状態か分からない」かを判定する(判定ステップS23)。
【0097】
具体的には、出力されたエラーラベルの確度が第1所定値(例えば、20%)を超える場合、たとえNGラベルの確度やOKラベルの確度がエラーラベルの確度より高い場合(例えば、NGラベルの確度が90%)であっても、第2学習モデルLM12による推定に間違いがある可能性が高い。この場合、制御部41は対象データDxが「どちらの状態か分からない」と判定し、報知ステップS24に進む(図5のS23のErrorのルート)。
【0098】
また、出力されたNGラベルの確度及び出力されたOKラベルの確度が、いずれも第2所定値(例えば、80%)未満となる場合、たとえエラーラベルの確度が第1所定値以下であっても、第2学習モデルLM12による推定に間違いがある可能性が高い。この場合も、制御部41は対象データDxが「どちらの状態か分からない」と判定し、報知ステップS24に進む(図5のS23のErrorのルート)。
【0099】
また、出力されたNGラベルの確度及び出力されたOKラベルの確度が、いずれも第2所定値(例えば、80%)以上となる場合、たとえエラーラベルの確度が第1所定値以下であっても、第2学習モデルLM12による推定に間違いがある可能性が高い。本来であればNGラベルとOKラベルは共存しないはずなのに、対象データDxについてNGラベル及びOKラベルの両方の確度を高く出力している点で、何らかの推定間違いが予測される。この場合も、制御部41は対象データDxが「どちらの状態か分からない」と判定し、報知ステップS24に進む(図5のS23のErrorのルート)。
【0100】
出力されたエラーラベルの確度が第1所定値以下であり、出力されたOKラベルの確度が第2所定値未満であり、かつ出力されたNGラベルの確度が第2所定値以上となる場合、第2学習モデルLM12による推定が正しい可能性が高い。この場合、制御部41は対象データDxが「正しく取得できていない状態」であると判定し、データ取得ステップS21に進む(図5のS23のNGのルート)。その後、制御部41は再度データ取得部11に動作指令を行い、対象データDxを再度取得して、新しく取得された対象データDxに基づいて推定ステップS22及び判定ステップS23を行う。
【0101】
出力されたエラーラベルの確度が第1所定値以下であり、出力されたNGラベルの確度が第2所定値未満であり、かつ出力されたOKラベルの確度が第2所定値以上となる場合、第2学習モデルLM12による推定が正しい可能性が高い。この場合、制御部41は取得された対象データDxが「正しく取得できている状態」であると判定し、送信ステップS26に進む(図5のS23のOKのルート)。
【0102】
送信ステップS26が実行されると、制御部41は、対象データDxを第2推定装置50に送信する。対象データDxは、第2推定装置50の記憶部52に格納される。
【0103】
判定ステップS23において、制御部41が対象データDxについて「どちらの状態か分からない」と判定すると、報知ステップS24が実行される。報知ステップS24において、制御部41は、対象データDxに関する情報を表示部23に表示させることで、当該情報を作業者に報知する。
【0104】
例えば、対象データDxが画像の場合、制御部41はディスプレイに当該画像を表示させる。また、対象データDxが音データの場合、制御部41はスピーカで当該音データを再生させてもよいし、当該音データを示すグラフ(例えば、横軸が時間、縦軸が周波数や音圧)をディスプレイに表示させてもよい。表示部23には、対象データDxがそのまま数値等として表示されてもよいし、対象データDxについて所定の解析・変換を行った後、グラフ等の情報として表示されてもよい。
【0105】
このように、制御部41は、対象データDxに関する情報を作業者に報知する「報知部」としても機能する。報知部(制御部41)は、対象データDxに関する情報を作業者に報知する場合、例えば上記のように、ディスプレイ又はスピーカを含む表示部23に対象データDxに関する情報を表示させる。
【0106】
なお、報知部(制御部41)は、作業者が確認可能な端末に対象データDxに関する情報を含む電子メールを送信してもよい。端末としては、例えば、作業者が業務上使用するコンピュータ装置やタブレット端末が挙げられる。電子メールには、例えば、対象データDxに関する情報にアクセスするためのURLが記載されている。なお、電子メールには、対象データDxに関する情報がテキストデータとして記載されていてもよいし、対象データDxに関する情報(例えば、画像データ又は音声データ)が添付されていてもよい。
【0107】
また、報知ステップS24が実行されると、制御部41は、入力部22を介して、対象データDxの状態が「正しく取得できていない状態」であるか「正しく取得できている状態」であるかの判断に関する作業者からの入力を受け付ける。
【0108】
作業者は、表示部23に表示された対象データDxを目視等により確認して(又は、送信された電子メールを確認して)、入力部22に当該判断に関する入力を行う(確認ステップS25)。例えば、表示部23にNGボタンとOKボタンが表示されている場合、作業者は、目視により確認した対象データDxが「正しく取得できていない状態」であると判断すると、入力部22を用いてNGボタンを選択する。
【0109】
入力部22が、作業者から対象データDxの状態が「正しく取得できていない状態」であるとの判断に関する入力を受け付けると、データ取得ステップS21に進む(図5のS25のNGのルート)。
【0110】
入力部22が、作業者から対象データDxの状態が「正しく取得できている状態」であるとの判断に関する入力を受け付けると、送信ステップS26に進む(図5のS25のOKのルート)。以上により、第1推定処理が終了する。
【0111】
[第1推定処理の作用効果]
ここで、AIにデータの異常診断をさせる目的としては、人の作業負担を軽減する事が挙げられる。例えば、はじめにAIが判断し(1次判断)、その後、AIが異常と判断したデータを人が判断する(2次判断)等、1次判断においてAIが異常と正常とを振り分けることで、2次判断の際の人の作業負担を軽減することができる。
【0112】
しかしながら、AIの推定精度を向上させても、すべてのデータに対し正しい判断を下すことは困難であり、AIの1次判断には少なからず誤りが生じうる。このため、従来は、AIが判断したデータも含め、すべてのデータを人が判断する結果となりやすく、従来のAIでは、人の作業負担を効率的に軽減できていなかった。
【0113】
これに対し、本実施形態に係る第1推定処理では、第2学習モデルLM12による推定結果に基づいて、はじめに制御部41が対象データDxについて「第1状態」、「第2状態」又は「いずれの状態か分からない」のいずれに該当するかを判定する(1次判断)。従来と異なり、制御部41には「いずれの状態か分からない」という選択肢が与えられる。「いずれの状態か分からない」と判定された対象データDxについては、確認ステップS25により作業者に判断させる(2次判断)。
【0114】
上記のように、第2学習モデルLM12を用いることで、制御部41が判断を誤る傾向が高い対象データDxにはエラーラベルを付与することができるため、NGラベル及びOKラベルが付与された対象データDxについての信憑性が向上する。この結果、作業者がNGラベル及びOKラベルが付与された対象データDxを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0115】
[第2推定処理]
図6は、第2推定装置50が実行する第2推定処理の手順を示すフローチャートである。第2推定装置50は、第2学習モデルLM22を用いて、対象データDxの内容に異常があるか否かを推定する。
【0116】
送信ステップS26により第1推定装置40から第2推定装置50に対象データDxが送信されると、第2推定装置50の制御部51は第2推定処理を実行する。第2推定装置50の記憶部52には、第1推定装置40により「正しく取得できている状態」と判定された対象データDxが格納されている。
【0117】
制御部51は、はじめに、第2学習モデルLM22に、記憶部52の対象データDxを入力することで、当該対象データDxについてのNGラベルの確度、OKラベルの確度、及びエラーラベルの確度を出力する(推定ステップS31)。
【0118】
続いて、制御部51は、出力されたNGラベルの確度、OKラベルの確度、及びエラーラベルの確度に基づいて、「対象データDxの内容に異常がある状態(第1状態)」か、「対象データDxの内容に異常がない状態(第2状態)」か、「どちらの状態か分からない」かを判定する(判定ステップS32)。
【0119】
具体的には、上記の判定ステップS23と同様に、以下の(i)~(iii)のいずれかに該当する場合、制御部51は対象データDxが「どちらの状態か分からない」と判定し、報知ステップS33に進む(図6のS32のErrorのルート)。
【0120】
(i)出力されたエラーラベルの確度が第1所定値を超える場合
(ii)出力されたNGラベルの確度及び出力されたOKラベルの確度が、いずれも第2所定値未満となる場合
(iii)出力されたNGラベルの確度及び出力されたOKラベルの確度が、いずれも第2所定値以上となる場合
【0121】
出力されたエラーラベルの確度が第1所定値以下であり、出力されたOKラベルの確度が第2所定値未満であり、かつ出力されたNGラベルの確度が第2所定値以上となる場合、制御部51は「対象データDxの内容に異常がある状態」であると判定し、異常報知ステップS35に進む(図6のS32のNGのルート)。その後、制御部51は表示部23に当該対象データDxに関する情報を表示させ、対象データDxの内容に異常があることを作業者に報知する(異常報知ステップS35)。作業者は、当該報知に基づいて、空気調和装置10の保守作業を計画する。
【0122】
出力されたエラーラベルの確度が第1所定値以下であり、出力されたNGラベルの確度が第2所定値未満であり、かつ出力されたOKラベルの確度が第2所定値以上となる場合、制御部51は「対象データDxの内容に異常がない状態」であると判定し、異常報知ステップS35を行うことなく、第2推定処理を終了する(図6のS32のOKのルート)。
【0123】
判定ステップS32において、制御部51が対象データDxについて「どちらの状態か分からない」と判定すると、報知ステップS33が実行される。報知ステップS33において、制御部51は、対象データDxに関する情報を表示部23に表示させることで、当該情報を作業者に報知する。このように、制御部51は、対象データDxに関する情報を作業者に報知する「報知部」としても機能する。
【0124】
また、報知ステップS33が実行されると、制御部51は、入力部22を介して、「対象データDxの内容に異常がある」か「対象データDxの内容に異常がない」かの判断に関する作業者からの入力を受け付ける。
【0125】
作業者は、表示部23に表示された対象データDxを目視等により確認して、入力部22に当該判断に関する入力を行う(確認ステップS34)。例えば、表示部23にNGボタンとOKボタンが表示されている場合、作業者は、目視により確認した対象データDxについて、「対象データDxの内容に異常がある」と判断すると、入力部22を用いてNGボタンを選択する。
【0126】
入力部22が、作業者から「対象データDxの内容に異常がある」との判断に関する入力を受け付けると、異常報知ステップS35に進む(図6のS34のNGのルート)。入力部22が、作業者から「対象データDxの内容に異常がない」との判断に関する入力を受け付けると、制御部51は異常報知ステップS35を行うことなく、第2推定処理を終了する(図6のS34のOKのルート)。
【0127】
上記のように、第2学習モデルLM22を用いることで、制御部51が判断を誤る傾向が高い対象データDxにはエラーラベルを付与することができるため、NGラベル及びOKラベルが付与された対象データDxについての信憑性が向上する。この結果、作業者がNGラベル及びOKラベルが付与された対象データDxを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0128】
また、第2推定装置50では、第1推定装置40により正しく取得されたと判断された対象データDxのみについて、対象データDxの内容に異常があるか否かの推定を行う。このため、第2推定装置50が、正しく取得できていない(例えば、ドレンパン64がミストの影響で正しく写っていない)対象データDxについて、実際には対象データDxの内容に異常がないのに「対象データDxの内容に異常がある」と誤って判断することを抑制することができる。この結果、異常であると誤って判断される対象データDxの数を低減させることができるため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0129】
[変形例]
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0130】
[ラベル付与ステップの変形例]
図7は、データに付与するラベルの変形例を説明する表である。上記の実施形態の制御部31は、図4に示すように、ラベル付与ステップS14において、OKラベルを付与すべきであるのに第1学習モデルLM11が誤ってNGラベルの確度を最も高く推定したデータD3(エラーデータER3)と、NGラベルを付与すべきであるのに第1学習モデルLM11が誤ってOKラベルの確度を最も高く推定したデータD4(エラーデータER4)とに、エラーラベルを付与する。
【0131】
ここで、NGラベルを付与すべきであるのに誤ってOKラベルの確度を最も高く推定することは、「異常の看過」であり、このような現象は、ゼロにすべきである。これに対し、OKラベルを付与すべきであるのに誤ってNGラベルの確度を最も高く推定することは、「異常の誤検出」であり、上記の「異常の看過」をゼロにするために、この「異常の誤検出」が多少生じることは、許容される。
【0132】
このように、許容できる推定誤りがある場合、許容可能な誤り方にエラーラベルを付与せず、許容されない誤り方にのみエラーラベルを付与することで、これらの両方にエラーラベルを付与する場合と比べ、エラーラベルを付与するデータDxの傾向を揃えることができる。これにより、エラーラベルを推定する精度がより高い第2学習モデルLM12,LM22を作成することができる。
【0133】
具体的には、ラベル付与ステップS14において、制御部31は、OKラベルを付与すべきであるのに第1学習モデルLM11が誤ってNGラベルの確度を最も高く推定したデータD3(エラーデータER3)にエラーラベルを付与せず、NGラベルを付与すべきであるのに第1学習モデルLM11が誤ってOKラベルの確度を最も高く推定したデータD4(エラーデータER4)にエラーラベルを付与する。
【0134】
[判定ステップの変形例]
上記の実施形態において、制御部41は、(i)エラーラベルの確度が第1所定値を超える場合、(ii)NGラベル及びOKラベルの確度がいずれも第2所定値未満となる場合、又は(iii)NGラベル及びOKラベルの確度がいずれも第2所定値以上となる場合に、対象データDxが「どちらの状態か分からない」と判定し、報知ステップS24に進む。しかしながら、対象データDxが「どちらの状態か分からない」と判定した場合、作業者の判断を仰ぐことなく、データ取得ステップS21に進み、対象データDxを再取得してもよい(図5のS23のNGのルート)。このように構成することで、確認ステップS25における作業者の負担を軽減することができる。
【0135】
また、繰り返し対象データDxを取得しても判定ステップS23で「正しく取得できている」(図5のS23のOKのルート)という判定とならない場合、データ取得部11に何らかの異常が生じている可能性が高い。例えば、カメラ12のレンズに汚れが付着している場合、何度撮像しても制御部41が対象データDxに対してNGラベルの確度を最も高く推定する結果となりえる。この場合、作業者による対象データDxの確認が必要となる。
【0136】
このため、所定回数を超えて(例えば、3回を超えて)判定ステップS23が繰り返された場合に、所定回数+1回目(例えば、4回目)の判定ステップS23では、対象データDxについてどのように推定されようとも強制的に報知ステップS24に進み、対象データDxについて作業者に確認されるようにしてもよい。
【0137】
[ラベルの変形例]
上記の実施形態において、データDxに付与されるラベルは「NGラベル(第1状態ラベル)」「OKラベル(第2状態ラベル)」「エラーラベル」の3種類である。しかしながら、本開示のラベルの種類はこれに限られず、例えばNGラベルが細分化されてもよい。例えば、NGラベルとして、「第1NGラベル(例えば、ドレンパン64がミストにより写っていない)」「第2NGラベル(例えば、ドレンパン64が光量不足により写っていない)」等、複数のNGラベルを用意してもよい。このようにラベルを細分化することで、同じラベルが付与されるデータDxの傾向を揃えることができ、当該ラベルを推定する精度を向上させることができる。
【0138】
[監視システムの変形例]
上記の実施形態において、監視システム100は、第1推定装置40及び第2推定装置50を備える。しかしながら、監視システム100は、第1推定装置40又は第2推定装置50を備えていなくてもよい。例えば、監視システム100は、第1推定装置40を備えず、すべての対象データDxについて第2推定装置50により異常判断を行ってもよい。また、監視システム100は、第2推定装置50を備えず、対象データDxについて第1推定装置40により正しく取得されているか否かの判断を行った後、「正しく取得されている」と判断された対象データDxについては、作業者が目視等により確認することで異常判断を行ってもよい。
【0139】
上記の実施形態において、第1推定装置40及び第2推定装置50は、監視装置20に設けられている。しかしながら、第1推定装置40及び第2推定装置50は、空気調和装置10に設けられていてもよい。例えば、空気調和装置10に内蔵されている制御部15において、上記の第1推定処理及び第2推定処理を行ってもよい。この場合、空気調和装置10において異常の判定を行った後、判定結果をネットワークN1を介して監視装置20に送信してもよい。このように構成することで、第1推定処理及び第2推定処理を個々の空気調和装置10に搭載されたCPU等の演算装置を利用して行うことができるため、複数の空気調和装置10を監視する監視装置20の処理負担を軽減することができる。
【0140】
また、第1推定装置40及び第2推定装置50は、監視装置20及び空気調和装置10とは別の装置として設けられていてもよい。この場合、空気調和装置10において取得された対象データDxはネットワークN1を介して第1推定装置40及び第2推定装置50に送信され、第1推定装置40及び第2推定装置50における判定結果はネットワークN1を介して監視装置20に送信されてもよい。
【0141】
[その他の変形例]
上記の各実施形態及び変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。
【0142】
[実施形態の作用効果]
(1)上記の実施形態及び変形例の学習装置30は、制御部31を備え、データとラベルとの対応を教師ラベルが付与された訓練データにより学習する学習装置30であって、制御部31は、データDxが第1状態であることを示す第1状態ラベル(NGラベル)が教師ラベルとして付与された第1訓練データTD1と、データDxが第1状態とは異なる第2状態であることを示す第2状態ラベル(OKラベル)が教師ラベルとして付与された第2訓練データTD2と、を訓練データTDxとして用いて、データDxと第1状態ラベル(NGラベル)及び第2状態ラベル(OKラベル)との対応を学習した第1学習モデルLM11,LM21を作成し、第1訓練データTD1と第2訓練データTD2とを評価データEDxとして用いて、第1学習モデルLM11,LM21により評価データEDxに対応するラベルを推定し、評価データEDxのうち、第1学習モデルLM11,LM21の推定による確度が最も高いラベルと、付与された教師ラベルと、の種類が異なるエラーデータERxに、第1学習モデルLM11,LM21が推定を間違えたことを示すエラーラベルを付与し、エラーラベルが付与されたエラーデータERxと、エラーラベルが付与されていない第1訓練データTD1及び第2訓練データTD2と、を訓練データTDxとして用いて、データDxと第1状態ラベル(NGラベル)、第2状態ラベル(OKラベル)及びエラーラベルとの対応を学習した第2学習モデルLM12,LM22を作成する、学習装置30である。
【0143】
第2学習モデルLM12,LM22は、入力されたデータに対して、データの状態を示す第1状態ラベル及び第2状態ラベルの他に、第1学習モデルが推定を間違えたことを示すエラーラベルを推定することができる。第2学習モデルLM12,LM22を用いることで、AIが判断を誤る傾向が高いデータにはエラーラベルを付与することができるため、第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータについての信憑性が向上する。この結果、作業者が第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0144】
(2)上記の変形例の制御部31は、エラーデータERxのうち、第1学習モデルLM11,LM21の推定による確度が最も高いラベルが第2状態ラベル(OKラベル)であり、付与された教師ラベルが第1状態ラベル(NGラベル)であるものにエラーラベルを付与し、第1学習モデルLM11,LM21の推定による確度が最も高いラベルが第1状態ラベル(NGラベル)であり、付与された教師ラベルが第2状態ラベル(OKラベル)であるものにはエラーラベルを付与しない。
【0145】
第2状態ラベル(OKラベル)を第1状態ラベル(NGラベル)と推定することが許容可能な間違いである場合、第1学習モデルLM11,LM21による間違え方を「第1状態ラベル(NGラベル)から第2状態ラベル(OKラベル)への間違い」と「第2状態ラベル(OKラベル)から第1状態ラベル(NGラベル)への間違い」に細分化し、許容可能な後者の間違いについてエラーラベルを付与しないこととすることで、エラーラベルを付与するデータDxの傾向を揃えることができる。これにより、第2学習モデルLM12,LM22において、エラーラベルを付与する精度を向上させることができる。
【0146】
(3)上記の実施形態及び変形例の第1状態ラベル(NGラベル)は、データDxの内容、又はデータDxの取得過程が異常であることを示すラベルであり、第2状態ラベル(OKラベル)は、データDxの内容、又はデータDxの取得過程が正常であることを示すラベルである。
【0147】
データDx自体、又はデータDxの取得過程が異常であるのに、それを正常であると推定することは、許容できない。これに対し、データDx自体、又はデータDxの取得過程が正常であるのに、それを異常であると推定することは、比較的許容可能な間違いである。このため、後者の許容可能な間違いについてエラーラベルを付与しないこととすることで、エラーラベルを付与するデータDxの傾向を前者の間違いに揃えることができる。これにより、第2学習モデルLM12,LM22において、エラーラベルを付与する精度を向上させることができる。
【0148】
(4)第2制御部41,51を備え、推定対象となるデータである対象データDxと対応するラベルを推定する推定装置40,50であって、第2制御部41,51は、上記(1)から(3)のいずれかの学習装置30が作成した第2学習モデルLM12,LM22に対象データDxを入力することで、対象データDxについての第1状態ラベル(NGラベル)の確度、第2状態ラベル(OKラベル)の確度及びエラーラベルの確度を出力する。
【0149】
エラーラベルを推定することができる第2学習モデルLM12,LM22を用いて、対象データDxを推定することで、対象データDxについての第1状態ラベル(NGラベル)の確度及び第2状態ラベル(OKラベル)の確度とともに、対象データDxについてのエラーラベルの確度を得ることができる。このため、AIが判断を誤る傾向が高い対象データDxはエラーラベルの確度が高くなり、そうでない対象データDxは第1状態ラベル(NGラベル)又は第2状態ラベル(OKラベル)の確度が高くなる。この結果、第1状態ラベル(NGラベル)又は第2状態ラベル(OKラベル)の確度が高い対象データDxについての信憑性が向上するため、作業者が当該対象データDxを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担をより軽減することができる。
【0150】
(5)上記の実施形態及び変形例の監視システム100は、対象装置10から取得される対象データDxに基づいて、対象装置10を監視する監視システムであって、上記(4)の推定装置40,50と、第2制御部41,51により出力されたエラーラベルの確度が第1所定値を超える場合に、対象データDxに関する情報を作業者に報知する報知部と、を備える、監視システム100である。
【0151】
対象データDxに基づいて対象装置10を監視する際、第2学習モデルLM12,LM22によりエラーラベルの確度が第1所定値を超える対象データDxに関する情報が作業者に報知される。このため、作業者は表示された対象データDxの確認に注力し、そうでない対象データDx(例えば、エラーラベルの確度が第1所定値未満の対象データDx)を再確認する作業を省略することができる。この結果、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0152】
(6)報知部は、第2制御部40,50により出力された第1状態ラベル(NGラベル)の確度及び第2状態ラベル(OKラベル)の確度がいずれも第2所定値未満となる場合に、対象データDxに関する情報を作業者に報知する。
【0153】
第1状態ラベル及び第2状態ラベルの確度がいずれも第2所定値未満となる場合、エラーラベルの確度が第1所定値未満であるとしても、AIが推定を間違えている可能性が高い。このような対象データDxも作業者に報知することで、報知されない対象データDxの信憑性を向上させることができる。これにより、報知されない対象データDxを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0154】
(7)報知部が対象データDxに関する情報を作業者に報知した場合に、作業者から、対象データDxの状態が第1状態であるか第2状態であるかの判断に関する入力を受け付ける入力部22をさらに備える。
【0155】
入力部22により作業者からの入力を受け付けることで、AIが推定を間違える可能性が高い対象データDxの判断を作業者に委ねることができる。これにより、より好適にAIと作業者とが作業を分担することができるため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0156】
(8)第1状態は、対象データDxが正しく取得できていない状態であり、第2状態は、対象データDxが正しく取得できた状態であり、第2制御部41は、出力された第1状態ラベル(NGラベル)の確度が第3所定値を超える場合、又は、入力部22が作業者から対象データDxの状態が第1状態であるとの判断に関する入力を受け付けた場合に、動作指令を発して対象装置10から対象データDxを取得させる。
【0157】
このように構成することで、対象データDxが正しく取得できていない場合に、第2制御部41が動作指令を発することで対象装置10から対象データDxを再取得させることができる。これにより、より好適な対象データDxを取得することができる。
【0158】
(9)前記報知部は、対象データDxに関する情報を作業者に報知する場合に、ディスプレイ又はスピーカを含む表示部23に対象データDxに関する情報を表示させ、又は作業者が確認可能な端末に対象データDxに関する情報を含む電子メールを送信する。
【0159】
作業者は、表示部23に画面表示又は音声表示された情報を確認することで、対象データDxに関する情報を知ることができる。また、作業者は、端末に電子メールとして送信された情報を確認することで、対象データDxに関する情報を知ることができる。このように構成することで、空気調和装置10が設置された現場へ作業者を移動させることなく、作業者に対象データDxに関する情報を知らせることができる。このため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0160】
(10)対象装置は空気調和装置10であり、対象データ11は、カメラ12により撮像された画像、マイク13に記録された音及び記憶部14に記憶された運転データ、の少なくとも1つを含む。
【0161】
このように構成することで、カメラ12、マイク13及び記憶部14の少なくとも1つから得られる対象データDxにより空気調和装置10を遠隔地から監視することができる。
【0162】
(11)空気調和装置10は、熱交換器63の下方に設けられるドレンパン64を有し、対象データDxは、カメラ12によりドレンパン64を撮像することで取得される画像を含む。
【0163】
このように構成することで、空気調和装置10の中でも特に経時的に汚れやすいドレンパン64を遠隔地から監視することができる。
【0164】
(12)上記の実施形態及び変形例の学習方法は、データとラベルとの対応を、教師ラベルが付与された訓練データにより学習する学習方法であって、データDxが第1状態であることを示す第1状態ラベル(NGラベル)が教師ラベルとして付与された第1訓練データTD1と、データDxが第1状態とは異なる第2状態であることを示す第2状態ラベル(OKラベル)が教師ラベルとして付与された第2訓練データTD2と、を訓練データTDxとして用いて、データDxと第1状態ラベル(NGラベル)及び第2状態ラベル(OKラベル)との対応を学習した第1学習モデルLM11,LM21を作成する第1学習モデル作成ステップS12と、第1訓練データTD1と第2訓練データTD2とを評価データEDxとして用いて、第1学習モデルLM11,LM21により評価データEDxに対応するラベルを推定する評価ステップS13と、評価データEDxのうち、第1学習モデルLM11,LM21の推定による確度が最も高いラベルと、付与された教師ラベルと、の種類が異なるエラーデータERxに、第1学習モデルLM11,LM21が推定を間違えたことを示すエラーラベルを付与するラベル付与ステップS14と、エラーラベルが付与されたエラーデータERxと、エラーラベルが付与されていない第1訓練データTD1及び第2訓練データTD2と、を訓練データTDxとして用いて、データDxと第1状態ラベル(NGラベル)、第2状態ラベル(OKラベル)及びエラーラベルとの対応を学習した第2学習モデルLM12,LM22を作成する第2学習モデル作成ステップS15と、を備える、学習方法である。
【0165】
第2学習モデルLM12,LM22は、入力されたデータに対して、データの状態を示す第1状態ラベル及び第2状態ラベルの他に、第1学習モデルが推定を間違えたことを示すエラーラベルを推定することができる。第2学習モデルLM12,LM22を用いることで、AIが判断を誤る傾向が高いデータにはエラーラベルを付与することができるため、第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータについての信憑性が向上する。この結果、作業者が第1状態ラベル及び第2状態ラベルが付与されたデータを再確認する作業を省略することができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0166】
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0167】
100:監視システム、10:空気調和装置、11:データ取得部、12:カメラ、12a:金具、13:センサ、14:記憶部、15:制御部、16:通信部、20:監視装置、21:通信部、22:入力部、23:表示部、30:学習装置、31:制御部、32:記憶部、40:第1推定装置、41:制御部、42:記憶部、50:第2推定装置、51:制御部、52:記憶部、61:室内機、62:ファン、63:熱交換器、64:ドレンパン、65:ドレンポンプ、65a:吸込管、65b:排水管、66:ケーシング、66a:流入口、66b:流出口、N1:ネットワーク、RA1:空気、SA1:調和空気、LM11:第1学習モデル、LM21:第1学習モデル、LM12:第2学習モデル、LM22:第2学習モデル、Dx:データ、TDx:訓練データ、TD1:第1訓練データ、TD2:第2訓練データ、EDx:評価データ、ERx:エラーデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7