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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】熱交換器及び温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20240904BHJP
   F24H 8/00 20220101ALI20240904BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20240904BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20240904BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20240904BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H8/00
F24H1/14 B
F28F1/32 B
F28F9/00 321
F28D1/047 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020202555
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090274
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 健吾
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-133956(JP,A)
【文献】特開2020-051669(JP,A)
【文献】特開2019-128132(JP,A)
【文献】特開2002-147987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 8/00
F24H 1/14
F28F 1/32
F28F 9/00
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において間隔を空けて互いに対向している第1側壁及び第2側壁と、前記第1方向に直交している第2方向において間隔を空けて互いに対向している第3側壁及び第4側壁とを有するケースと、
前記ケース内に収納され、かつ前記第1方向及び前記第2方向に直交している第3方向において重ねて配置されている第1熱交換部及び第2熱交換部と、
ろう受け部とを備え、
前記第2熱交換部は、前記第1熱交換部の上方にあり、
前記ろう受け部は、前記ケース内にあり、
前記第1熱交換部は、前記第2方向に沿って重ねて配置されている複数の第1伝熱管を有し、
前記複数の第1伝熱管の各々は、複数の直管部と、複数の第1曲管部と、複数の第2曲管部とを含み、
前記複数の直管部は、前記第3方向に沿う列をなすように並んでおり、
前記複数の直管部の各々は、前記第1方向に沿って延在しており、
前記複数の第1曲管部の各々は、前記第3方向において隣り合う前記複数の直管部のうちの2つの前記第1方向における一方端を接続しており、
前記複数の第2曲管部の各々は、前記第3方向における両端以外に位置し、かつ前記第3方向において隣り合う前記複数の直管部のうちの2つの前記第1方向における他方端を接続しており、
前記第3方向における両端に位置する前記複数の直管部の各々の前記第1方向における他方端は、前記第2側壁により支持されており、
前記第2熱交換部は、前記第1方向に沿って延在している複数の第2伝熱管を有し、
前記複数の第2伝熱管の各々の前記第1方向における両端は、それぞれ、前記第1側壁及び前記第2側壁にろう付けされており、
前記ろう受け部は、前記第3方向において前記第1熱交換部と前記第2熱交換部との間にあり、かつ前記第1方向において前記複数の第1曲管部に重なるように、前記第2方向に沿って延在している、熱交換器。
【請求項2】
前記第1側壁に取り付けられ、かつ前記第3方向に沿って前記複数の第1伝熱管の前記第1方向における一方端側を支持している支持板をさらに備え、
前記ろう受け部は、前記支持板の前記第3方向における前記第2熱交換部側の端部に一体的に設けられている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記ろう受け部には、前記第3方向に沿って前記ろう受け部を貫通している貫通穴が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記貫通穴の周縁には、前記第3方向に沿って前記第2熱交換部側に向かって延在している立壁が形成されている、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記ろう受け部は、前記第3側壁及び前記第4側壁の一方から前記第3側壁及び前記第4側壁の他方に向かうにしたがって前記第2熱交換部から離れるように傾斜している、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の前記熱交換器と、
前記熱交換器に燃焼ガスを供給する燃焼装置とを備える、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及び温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(実公昭62-36027号公報)には、熱交換器が記載されている。特許文献1に記載の熱交換器は、ケースと、伝熱管と、第1ブラケット及び第2ブラケットとを有している。ケースは、間隔を空けて互いに対向している第1側壁及び第2側壁と、間隔を空けて互いに対向している第3側壁及び第4側壁とを有している。
【0003】
伝熱管は、蛇行管である。伝熱管は、第1側壁及び第2側壁が対向している方向に沿って延在している複数の直管部を有している。直管部の両端は、それぞれ、第1ブラケット及び第2ブラケットにより支持されている。伝熱管(直管部)は、第1ブラケット及び第2ブラケットがそれぞれ第1側壁及び第2側壁の外壁面にろう付けされることにより、ケースの内部に配置されている。
【0004】
特許文献2(特公平7-65863号公報)には、熱交換器が記載されている。特許文献2に記載の熱交換器は、ケースと、伝熱管と、フィンとを有している。ケースは、間隔を空けて互いに対向している第1側壁及び第2側壁と、間隔を空けて互いに対向している第3側壁及び第4側壁とを有している。伝熱管は、蛇行管である。伝熱管は、第1側壁及び第2側壁が対向している方向に沿って延在している複数の直管部を有している。直管部の両端は、それぞれ、第1側壁及び第2側壁により支持されている。フィンは、ろう付けにより、直管部に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公昭62-36027号公報
【文献】特公平7-65863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の熱交換器及び特許文献2に記載の熱交換器は、上下方向に重ねて配置されている複数の熱交換部を有していない。そのため、特許文献1に記載の熱交換器及び特許文献2に記載の熱交換器では、ろう付けが行われる際に、上方にある熱交換部からろう材が落下し、下方にある熱交換部に付着することが想定されていない。上方にある熱交換部から落下したろう材により下方にある熱交換部の伝熱管とケースとが接合されてしまうと、接合部において伝熱管の破損が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、ろう付けが行われる際に上方にある熱交換部から落下したろう材が下方にある熱交換部の伝熱管とケースとが接合されてしまうことを抑制可能な熱交換器及び温水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱交換器は、第1方向において間隔を空けて互いに対向している第1側壁及び第2側壁と、第1方向に直交している第2方向において間隔を空けて互いに対向している第3側壁及び第4側壁とを有するケースと、ケース内に収納され、かつ第1方向及び第2方向に直交している第3方向において重ねて配置されている第1熱交換部及び第2熱交換部と、ろう受け部とを備えている。第1熱交換部は、第2方向に沿って重ねて配置されている複数の第1伝熱管を有する。複数の第1伝熱管の各々は、複数の直管部と、複数の第1曲管部と、複数の第2曲管部とを含む。複数の直管部は、第3方向に沿う列をなすように並んでいる。複数の直管部の各々は、第1方向に沿って延在している。複数の第1曲管部の各々は、第3方向において隣り合う複数の直管部のうちの2つの第1方向における一方端を接続している。複数の第2曲管部の各々は、第3方向における両端以外に位置し、かつ第3方向において隣り合う複数の直管部のうちの2つの第1方向における他方端を接続している。第3方向における両端に位置する複数の直管部の各々の第1方向における他方端は、第2側壁により支持されている。第2熱交換部は、第1方向に沿って延在している複数の第2伝熱管を有する。複数の第2伝熱管の各々の第1方向における両端は、それぞれ、第1側壁及び第2側壁にろう付けされている。ろう受け部は、第3方向において第1熱交換部と第2熱交換部との間にあり、かつ第1方向において複数の第1曲管部に重なるように、第2方向に沿って延在している。
【0009】
上記の熱交換器は、第1側壁に取り付けられ、かつ、第3方向に沿って複数の第1伝熱管の第1方向における一方端側を支持している支持板をさらに備えていてもよい。ろう受け部は、支持板の第3方向における第2熱交換部側の端部に一体的に設けられていてもよい。
【0010】
上記の熱交換器では、ろう受け部に、第3方向に沿ってろう受け部を貫通している貫通穴が形成されていてもよい。
【0011】
上記の熱交換器では、貫通穴の周縁に、第3方向に沿って第2熱交換部側に向かって延在している立壁が形成されていてもよい。
【0012】
上記の熱交換器では、ろう受け部が、第3側壁及び第4側壁の一方から第3側壁及び4側壁の他方に向かうにしたがって第2熱交換部から離れるように傾斜していてもよい。
【0013】
本発明の温水装置は、上記の熱交換器と、上記の熱交換器に燃焼ガスを供給する燃焼装置とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱交換器及び温水装置によると、熱交換器のろう付けを行う際に、上方にある熱交換部から落下したろう材により下方にある熱交換部の伝熱管とケースとが接合されてしまうことが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】熱交換器100の第1斜視図である。
図2】熱交換器100の第2斜視図である。
図3】熱交換器100の正面図である。
図4図3のIV-IVにおける断面図である。
図5図4のV-Vにおける断面図である。
図6図5の拡大図である。
図7】熱交換器100における支持板50の斜視図である。
図8】温水装置200の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0017】
(実施形態に係る熱交換器の構成)
以下に、実施形態に係る熱交換器(「熱交換器100」とする)の構成を説明する。
【0018】
図1は、熱交換器100の第1斜視図である。図2は、熱交換器100の第2斜視図である。図3は、熱交換器100の正面図である。図4は、図3のIV-IVにおける断面図である。図5は、図4のV-Vにおける断面図である。図4において、ケース10、第1伝熱管21及び支持板50以外の図示は、省略されている。図6は、図5の拡大図である。図7は、熱交換器100における支持板50の斜視図である。図1図7に示されるように、熱交換器100は、ケース10と、第1熱交換部20と、第2熱交換部30と、支持板50とを有している。
【0019】
ケース10は、第1側壁11と、第2側壁12と、第3側壁13と、第4側壁14と、底壁15とを有している。第1側壁11及び第2側壁12は、間隔を空けて互いに対向している。第1側壁11及び第2側壁12が対向している方向を、第1方向DR1とする。第3側壁13及び第4側壁14は、間隔を空けて互いに対向している。第3側壁13及び第4側壁14が対向している方向を、第2方向DR2とする。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交している。図示されていないが、第3側壁13には、排気口13aが形成されている。排気口13aは、厚さ方向に沿って第3側壁13を貫通している。
【0020】
第1方向DR1及び第2方向DR2に直交している方向を、第3方向DR3とする。ケース10は、第3方向DR3における一方端において開口部16を有しており、第3方向DR3における他方端において開口部17を有している。開口部17は、底壁15により閉塞されている。
【0021】
第1熱交換部20及び第2熱交換部30は、第3方向DR3において、重ねて配置されている。第2熱交換部30は、第3方向DR3において、第1熱交換部20よりも開口部16の近くにある。第1熱交換部20は二次熱交換器として機能し、第2熱交換部30は一次熱交換器として機能する。
【0022】
第1熱交換部20は、複数の第1伝熱管21を有している。第1伝熱管21は、第2方向DR2に直交する面内において蛇行している蛇行管である。複数の第1伝熱管21は、第2方向DR2に沿って重ねて配置されている。第2方向DR2において隣り合う2つの第1伝熱管21は、第3方向DR3における位置がずれている。第1伝熱管21は、例えば、ステンレス鋼により形成されている。
【0023】
第1伝熱管21は、複数の直管部22と、複数の第1曲管部23と、複数の第2曲管部24とを有している。直管部22は、第1方向DR1に沿って延在している。複数の直管部22は、第3方向DR3に沿って列をなすように並んでいる。
【0024】
複数の直管部22のうちの第3方向DR3における両端にあるものを、それぞれ直管部22a及び直管部22bとする。直管部22aは、第3方向DR3において、直管部22aよりも開口部17の近くにある。複数の直管部22のうちの第3方向DR3における両端以外にあるものを、直管部22cとする。
【0025】
第3方向DR3において隣り合う直管部22のうちの2つの第1方向DR1における一方端(第1側壁11側の端)は、第1曲管部23により接続されている。直管部22aの第1方向DR1における他方端(第2側壁12側の端)及び直管部22bの第1方向DR1における他方端は、第2側壁12により支持されている。このことを別の観点から言うと、第1伝熱管21は、ケース10(第2側壁12)により片持ち支持されている。第3方向DR3において隣り合う複数の直管部22cのうちの2つの第1方向DR1における他方端は、第2曲管部24により接続されている。
【0026】
第2側壁12の外壁面には、ヘッダ25及びヘッダ26が取り付けられている。直管部22aの第1方向DR1における他方端は、ヘッダ25に接続されている。ヘッダ25には、ヘッダ25の内部に連通している入水口27が形成されている。直管部22bの第1方向DR1における他方端は、ヘッダ26に接続されている。ヘッダ26には、ヘッダ26の内部に連通している出水口28が形成されている。
【0027】
第2熱交換部30は、複数の胴管31と、複数の第2伝熱管32とを有している。複数の胴管31は、第3方向DR3において、複数の第2伝熱管32よりも開口部16の近くにある。胴管31及び第2伝熱管32は、例えば、ステンレス鋼により形成されている。
【0028】
複数の胴管31は、第3方向DR3に沿って重ねて配置されている。胴管31は、第3側壁13の内壁面、第1側壁11の内壁面及び第4側壁14の内壁面に沿って延在している。胴管31は、ろう付けにより、第3側壁13の内壁面、第1側壁11の内壁面及び第4側壁14の内壁面に取り付けられている。
【0029】
胴管31の一方端及び胴管31の他方端は、第2側壁12により支持されている。胴管31の一方端は第3側壁13側にあり、胴管31の他方端は第4側壁14側にある。第3方向DR3において最も開口部16の近くにある胴管31の一方端は、接続管33により出水口28に接続されている。ある胴管31の他方端は、その胴管31と第3方向DR3において隣り合う別の胴管31の一方端と接続管34により接続されている。
【0030】
第2伝熱管32は、第1方向DR1に沿って延在している。第1方向DR1における第2伝熱管32の一方端(第1側壁11側の端)及び他方端(第2側壁12側の端)は、それぞれ、第1側壁11及び第2側壁12に取り付けられている。この取り付けは、ろう付けにより行われている。
【0031】
複数の第2伝熱管32は、第2方向DR2に沿って複数の列をなすように並んでいる。複数の第2伝熱管32には、例えば、第2方向DR2に沿って列をなすように並んでいる複数の第2伝熱管32aと、第2方向DR2に沿って列をなすように並んでいる複数の第2伝熱管32b(図示せず)とが含まれている。第2伝熱管32aは、第3方向DR3において、第2伝熱管32bよりも開口部16の近くにある。
【0032】
複数の第2伝熱管32aのうちの最も第4側壁14側にあるものを、第2伝熱管32aaとする。複数の第2伝熱管32aのうちの最も第3側壁13側にあるものを、第2伝熱管32abとする。複数の第2伝熱管32bのうちの最も第4側壁14側にあるものを、第2伝熱管32baとする。複数の第2伝熱管32bのうちの最も第3側壁13側にあるものを、第2伝熱管32bbとする。
【0033】
第2方向DR2において隣り合う第2伝熱管32aのうちの2つの第1方向DR1における一方端は、接続管35により接続されている。第2方向DR2において隣り合う第2伝熱管32aのうちの2つの第1方向DR1における他方端は、接続管36により接続されている。但し、第2伝熱管32aaの第1方向DR1における他方端は、接続管37により、第3方向DR3において開口部16から最も離れている胴管31の他方端に接続されている。また、第2伝熱管32abの第1方向DR1における一方端は、接続管38により、第2伝熱管32bbの第1方向DR1における一方端に接続されている。
【0034】
第2方向DR2において隣り合う第2伝熱管32bのうちの2つの第1方向DR1における一方端は、接続管39により接続されている。但し、第2伝熱管32baの一方端には、接続管40の一方端が接続されている。第2方向DR2において隣り合う第2伝熱管32bのうちの2つの第1方向DR1における他方端は、接続管41により接続されている。但し、上記のとおり、第2伝熱管32bbの第1方向DR1における一方端は、接続管38により、第2伝熱管32abの第1方向DR1における一方端に接続されている。接続管40の他方端は、出水口42になっている。
【0035】
第2伝熱管32には、複数のフィン32cが取り付けられている。フィン32cの取り付けは、ろう付けにより行われている。フィン32cは、例えば、ステンレス鋼により形成されている。フィン32cの一方の主面は第1側壁11に対向しており、フィン32cの他方の主面は第2側壁12に対向している。複数のフィン32cは、第1方向DR1において間隔を空けて配置されている。なお、図中には、一部のフィン32cのみが図示されており、残りのフィン32cは図示が省略されている。
【0036】
支持板50は、第1側壁11の内壁面に取り付けられている。支持板50の第1側壁11への取り付けは、例えばスポット溶接により行われる。支持板50は、支持部51と、ろう受け部52とを有している。支持板50は、例えば、ステンレス鋼により形成されている。支持板50は、第1方向DR1に沿って見た際の支持部51の中心に関して2回回転対称になっている。このことを別の観点から言えば、支持板50は、上記の中心回りに180°回転させても同様に用いることができる。
【0037】
支持部51は、第1方向DR1において第1側壁11と間隔を空けて対向している。支持部51は、板状である。支持部51は、直管部22の第1方向DR1における一方端側を支持している。この支持は、第3方向DR3に沿って行われている。支持部51には、複数の開口部51aが形成されている。開口部51aは、厚さ方向に沿って、支持部51を貫通している。直管部22の第1方向DR1における一方端側は、開口部51aの縁により支持されている。なお、開口部51aの縁は、直管部22の配置に合わせ、波状になっている。
【0038】
ろう受け部52は、支持板50の第2熱交換部30側の端部を第1側壁11側に折り曲げることにより形成されている。支持板50は、ろう受け部52において第1側壁11に取り付けられている。ろう受け部52は、第3方向DR3において、第1熱交換部20と第2熱交換部30との間に位置している。ろう受け部52は、第1方向DR1において、第1曲管部23と重なる位置にある。ろう受け部52は、第1方向DR1において、直管部22の第1方向DR1における一方端側にも重なっていてもよい。
【0039】
ろう受け部52は、第2方向DR2に沿って延在している。ろう受け部52は、第2方向において、最も第3側壁13側にある第1伝熱管21よりも第3側壁13に近い位置に達するとともに、最も第4側壁14側にある第1伝熱管21よりも第4側壁14に近い位置に達するように延在している。ろう受け部52は、第4側壁14側から第3側壁13側に向かうにしたがって、第2熱交換部30から離れるように傾斜している。ろう受け部52は、第3側壁13側から第4側壁14側に向かうにしたがって、第2熱交換部30から離れるように傾斜していてもよい。
【0040】
ろう受け部52には、貫通穴52aが形成されていてもよい。貫通穴52aは、ろう受け部52を厚さ方向に沿って貫通している。貫通穴52aは、例えば、第1方向DR1において部分的に直管部22に重なるとともに、第1方向DR1において部分的に第1曲管部23に重なる位置に形成されている。但し、貫通穴52aは、第1側壁11との距離が最小となる第1曲管部23の部分とは重ならない。貫通穴52aは、第2方向DR2に沿って延在している。貫通穴52aの周縁には、立壁52bが形成されていてもよい。立壁52bは、第3方向DR3に沿って、第2熱交換部30側に向かって立ち上がっている。
【0041】
(実施形態に係る温水装置の構成)
以下に、実施形態に係る温水装置(「温水装置200」とする)の構成を説明する。
【0042】
図8は、温水装置200の模式図である。図8に示されるように、温水装置200は、熱交換器100を有している。温水装置200は、さらに、ガスバルブ110と、オリフィス111と、ベンチュリ112と、送風装置113と、チャンバ114と、バーナ115と、点火プラグ116と、ダクト120と、配管130と、配管140と、バイパス配管150と、三方弁160を有している。
【0043】
ガスバルブ110を開状態とすることにより、燃料ガスは、オリフィス111を通ってベンチュリ112に供給される。ベンチュリ112に供給された燃料ガスは、ベンチュリ112において空気と混合される(以下においては、空気と混合された燃料ガスを混合ガスという)。混合ガスは、送風装置113により、チャンバ114を介してバーナ115に供給される。
【0044】
バーナ115に供給された混合ガスは、点火プラグ116をスパークさせることにより点火されて燃焼する。これにより、バーナ115において燃焼ガスが発生する。バーナ115は、熱交換器100に取り付けられている。より具体的には、バーナ115は、開口部16に取り付けられている。そのため、バーナ115が発生させた燃焼ガスは、開口部16側から開口部17側に向かって、ケース10の内部を流れる。
【0045】
配管130は、一方端において上水道に接続されている。配管130は、他方端において入水口27に接続されている。配管140は、一方端において出水口42に接続されている。配管140は、他方端において給湯栓(図示せず)に接続されている。
【0046】
バイパス配管150は、一方端において配管130に接続されており、他方端において配管140に接続されている。バイパス配管150と配管140との接続は、三方弁160により行われている。ダクト120は、熱交換器100に接続されている。より具体的には、ダクト120は、排気口13aに接続されている。
【0047】
配管130の一方端から供給された水は、配管130を流れて第1熱交換部20(第1伝熱管21)に供給される。第1熱交換部20に供給された水は、燃焼ガスとの間で熱交換を行うことにより、昇温される。第1熱交換部20を流れた水は、接続管33を流れて第2熱交換部30(胴管31及び第2伝熱管32)に供給される。
【0048】
第2熱交換部30に供給された水は、燃焼ガスとの間で熱交換を行うことにより、昇温される。第2熱交換部30を流れた水は、配管140を流れて給湯栓から給湯される。なお、第2熱交換部30を流れた水がバイパス配管150から供給される上水と配管140において混合されることにより、給湯栓から供給される水(湯)の温度が調整される。第1熱交換部20及び第2熱交換部30を流れた水との間で熱交換を行った燃焼ガスは、ダクト120から外部に排出される。
【0049】
(実施形態に係る熱交換器の効果)
以下に、熱交換器100の効果を説明する。
【0050】
熱交換器100では、ケース10内に複数の熱交換部(第1熱交換部20及び第2熱交換部30)が収納されているため、熱交換器100に対するろう付けが、一括して行われることになる。このろう付けの際、熱交換器100は、第3方向DR3が鉛直方向に一致するように炉内に配置される。
【0051】
ろう受け部52が設けられていない場合、このろう付けの際、第2伝熱管32を第1側壁11に取り付けるためのろう材が垂れ、第1曲管部23と第1側壁11の内壁面とが垂れたろう材により接合されてしまうことがある。第1曲管部23と第1側壁11の内壁面とが垂れたろう材により接合されてしまうと、第1曲管部23に水が流れる際のウォーターハンマー現象により、ろう材により第1側壁11の内壁面に接合されている第1曲管部23の部分が、破損してしまうことがる。
【0052】
しかしながら、熱交換器100では、ろう受け部52が設けられている。そのため、第2伝熱管32から垂れたろう材は、ろう受け部52により受け止められる。その結果、熱交換器100によると、上方にある熱交換部(第2熱交換部30)から垂れたろう材による第1曲管部23と第1側壁11の内壁面との間の接合が防止され、ひいては、水が流れる際の第1曲管部23の破損が抑制される。
【0053】
また、第1伝熱管21は、第2側壁12により片持ち支持されている。そのため、第1伝熱管21は、ろう付けの際の温度上昇に伴って軟化し、第1側壁11により支持されていない直管部22の第1方向DR1における一方端側が下方に向かって撓む。
【0054】
熱交換器100では、直管部22の第1方向DR1における一方端側が支持部51により第3方向DR3に沿って支持されているため、ろう付けの際に第1伝熱管21が軟化しても、直管部22の第1方向DR1における一方端側が下方に向かって撓みがたい。
【0055】
ろう受け部52に貫通穴52aが形成されている場合、バーナ115により発生された燃焼ガスが貫通穴52aを通過することができる。そのため、この場合には、ろう受け部52を設けたことに伴う熱交換効率の低下を抑制できる。ろう受け部52に立壁52bが形成されている場合、ろう受け部52により受け止められたろう材が貫通穴52aを通って第1曲管部23上に落ち、第1曲管部23と第1側壁11の内壁面とを接合してしまうことを抑制できる。
【0056】
ろう受け部52が第4側壁14側から第3側壁13側(第3側壁13側から第4側壁14側)に向かうにしたがって第2熱交換部30から離れるように傾斜している場合、ろう受け部52が受け止めたろう材は、この傾斜に伴って移動し、第1伝熱管21が配置されていない第3側壁13(第4側壁14)近傍において底壁15上に落ちる。このように、ろう受け部がろう受け部52が第4側壁14側から第3側壁13側(第3側壁13側から第4側壁14側)に向かうにしたがって第2熱交換部30から離れるように傾斜している場合、垂れたろう材を悪影響がないように処理することができる。
【0057】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本実施形態は、ケース内に複数の熱交換部が含まれる熱交換器及びそれを有する温水装置に特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0059】
10 ケース、11 第1側壁、12 第2側壁、13 第3側壁、13a 排気口、14 第4側壁、15 底壁、16,17 開口部、20 第1熱交換部、21 第1伝熱管、22,22a,22b,22c 直管部、23 第1曲管部、24 第2曲管部、25,26 ヘッダ、27 入水口、28 出水口、30 第2熱交換部、31 胴管、32,32a,32aa,32ab,32b,32ba,32bb 第2伝熱管、32c フィン、33,34,35,36,37,38,39,40,41 接続管、42 出水口、50 支持板、51 支持部、51a 開口部、52 ろう受け部、52a 貫通穴、52b 立壁、100 熱交換器、110 ガスバルブ、111 オリフィス、112 ベンチュリ、113 送風装置、114 チャンバ、115 バーナ、116 点火プラグ、120 ダクト、130,140 配管、150 バイパス配管、160 三方弁、200 温水装置、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向。
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図8