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特許7549271超音波駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】超音波駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240904BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240904BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240904BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20240904BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240904BHJP
   H02N 2/04 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
G02B7/04 E
G02B7/08 B
H04N23/57
H02N2/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023179629
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2022096544の分割
【原出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2024003006
(43)【公開日】2024-01-11
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正吉
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-506366(JP,A)
【文献】国際公開第2015/005217(WO,A1)
【文献】特表2020-525822(JP,A)
【文献】特開2018-072473(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102902038(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0028647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/02-7/18
G03B 30/00
H04N 23/57
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動により光軸方向に直交するX方向及び又はY方向に移動するOIS可動部と、駆動により前記光軸方向に移動するAF可動部と、を含む可動部と、
前記AF可動部を駆動して前記光軸方向に移動させる超音波モーターと、前記OIS可動部を駆動して前記X方向に移動させる超音波モーターと、前記OIS可動部を駆動して前記Y方向に移動させる超音波モーターと、を含む駆動部と、
前記OIS可動部に対して前記光軸方向に離間して配置された、平面視矩形形状を有するベースと、
前記光軸方向における前記AF可動部の位置を検出するセンサーと、前記X方向における前記OIS可動部の位置を検出するセンサーと、前記Y方向における前記OIS可動部の位置を検出するセンサーと、を含む電子部品を実装し、前記ベースにおいて前記OIS可動部に対向して配置された基板と、
を有し、
前記センサーは全て、前記ベース上の領域において前記超音波モーターが夫々配置される領域のいずれとも異なる領域に、配置され、
前記基板は、前記ベースの一辺に沿って配置されている、
超音波駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波駆動装置と、
前記可動部に装着されるレンズと、
前記レンズにより結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える、
カメラモジュール。
【請求項3】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項2に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォン等の携帯端末には、小型のカメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うオートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)及び撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減する振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を有するレンズ駆動装置が適用される(例えば特許文献1)。
【0003】
AF機能及びOIS機能を有するレンズ駆動装置は、レンズ部を光軸方向に移動させるためのオートフォーカス駆動部(以下「AF駆動部」と称する)と、レンズ部を光軸方向に直交する平面内で揺動させるための振れ補正駆動部(以下「OIS駆動部」と称する)と、を備える。特許文献1では、AF駆動部及びOIS駆動部に、ボイスコイルモーター(VCM)が適用されている。
【0004】
また、近年では、複数(典型的には2つ)のレンズ駆動装置を有するカメラモジュールの実用化が進められている(いわゆるデュアルカメラ)。デュアルカメラは、焦点距離の異なる2枚の画像を同時に撮像できたり、静止画像と動画像を同時に撮像できたりするなど、利用シーンに応じて様々な可能性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-210550号公報
【文献】国際公開第2015/123787号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、VCMを利用したレンズ駆動装置は、外部磁気の影響を受けるため、高精度の動作が損なわれる虞がある。特に、レンズ駆動装置が並置されるデュアルカメラにおいては、レンズ駆動装置間で磁気干渉が生じる可能性が高い。
【0007】
一方、特許文献2には、AF駆動部及びOIS駆動部に超音波モーターを適用したレンズ駆動装置が開示されている。特許文献2に開示のレンズ駆動装置は、マグネットレスであるため外部磁気の影響を低減できるが、構造が複雑であり、小型化及び低背化を図るのが困難である。
【0008】
本発明の目的は、小型化及び低背化を図ることができるとともに、駆動性能を向上できる超音波駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る超音波駆動装置の一態様は、
駆動により光軸方向に直交するX方向及び又はY方向に移動するOIS可動部と、駆動により前記光軸方向に移動するAF可動部と、を含む可動部と、
前記AF可動部を駆動して前記光軸方向に移動させる超音波モーターと、前記OIS可動部を駆動して前記X方向に移動させる超音波モーターと、前記OIS可動部を駆動して前記Y方向に移動させる超音波モーターと、を含む駆動部と、
前記OIS可動部に対して前記光軸方向に離間して配置された、平面視矩形形状を有するベースと、
前記光軸方向における前記AF可動部の位置を検出するセンサーと、前記X方向における前記OIS可動部の位置を検出するセンサーと、前記Y方向における前記OIS可動部の位置を検出するセンサーと、を含む電子部品を実装し、前記ベースにおいて前記OIS可動部に対向して配置された基板と、
を有し、
前記センサーは全て、前記ベース上の領域において前記超音波モーターが夫々配置される領域のいずれとも異なる領域に、配置され、
前記基板は、前記ベースの一辺に沿って配置されている。
【0010】
本発明に係るカメラモジュールの一態様は、
上記の超音波駆動装置と、
前記可動部に装着されるレンズと、
前記レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える。
【0011】
本発明に係るカメラ搭載装置の一態様は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
上記のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置の小型化及び低背化を図ることができるとともに、駆動性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1A図1Bは、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す図である。
図2図2は、カメラモジュールの外観斜視図である。
図3図3A図3Bは、実施の形態に係るレンズ駆動装置の外観斜視図である。
図4図4は、レンズ駆動装置の分解斜視図である。
図5図5は、レンズ駆動装置の分解斜視図である。
図6図6は、ベースの配線構造を示す平面図である。
図7図7A図7Bは、OIS駆動部の斜視図である。
図8図8は、OIS可動部の分解斜視図である。
図9図9は、OIS可動部の分解斜視図である。
図10図10は、OIS可動部の分解斜視図である。
図11図11A図11Bは、AF駆動部の斜視図である。
図12図12は、AFユニットにおける配線構造及び支持構造を示す平面図である。
図13図13は、AFユニットにおける支持構造を示す図である。
図14図14は、AF駆動部の取付状態を示す側面図である。
図15図15A図15Bは、車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1A図1Bは、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0016】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0017】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。図3A図3Bは、実施の形態に係るレンズ駆動装置1の外観斜視図である。図3Bは、図3AをZ軸周りに180°回転した状態を示す。図2図3A及び図3Bに示すように、実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。
【0018】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側(+Z側)が光軸方向受光側、下側(-Z側)が光軸方向結像側である。また、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称し、XY面を「光軸直交面」と称する。
【0019】
図2図3A及び図3Bに示すように、カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を実現するレンズ駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)等を備える。
【0020】
撮像部(図示略)は、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側に配置される。撮像部(図示略)は、例えば、イメージセンサー基板及びイメージセンサー基板に実装される撮像素子を有する。撮像素子は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。レンズ駆動装置1は、イメージセンサー基板(図示略)に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。レンズ駆動装置1の駆動制御を行う制御部は、イメージセンサー基板に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0021】
レンズ駆動装置1は、外側をカバー24で覆われている。カバー24は、光軸方向から見た平面視で矩形状の有蓋四角筒体である。実施の形態では、カバー24は、平面視で正方形状を有している。カバー24は、上面に概略円形の開口241を有する。レンズ部2は、カバー24の開口241から外部に臨み、光軸方向における移動に伴い、カバー24の開口面よりも受光側に突出するように構成される。カバー24は、レンズ駆動装置1のOIS固定部20のベース21(図4参照)に、例えば、接着により固定される。
【0022】
図4図5は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。図5は、図4をZ軸周りに180°回転した状態を示す。図4は、OIS駆動部30及びセンサー基板22を取り付けた状態を示し、図5は、OIS駆動部30及びセンサー基板22を取り外した状態を示している。
図4図5に示すように、本実施の形態において、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10(第2可動部)、OIS固定部20(第2固定部)、OIS駆動部30(XY方向駆動部)及びOIS支持部40(第2支持部)を備える。
【0023】
OIS可動部10は、振れ補正時に光軸直交面内で揺動する部分である。OIS可動部10は、AFユニット、第2ステージ13及びボール42(図8等参照)を含む。AFユニットは、AF可動部11(第1可動部)、第1ステージ12(第1固定部)、AF駆動部14(Z方向駆動部)及びAF支持部15(第1支持部)を有する(図7図9参照)。
OIS固定部20は、OIS支持部40を介してOIS可動部10が接続される部分である。OIS固定部20は、ベース21を含む。
OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向に離間して配置され、OIS支持部40を介してOIS固定部20と連結される。また、OIS可動部10とOIS固定部20は、OIS用付勢部材50によって、互いに近づく方向に付勢されている。本実施の形態では、OIS用付勢部材50は、レンズ駆動装置1の平面視における四隅に配置されている。
【0024】
なお、本実施の形態では、Y方向の移動に関しては、AFユニットを含むOIS可動部10の全体が可動体として移動する。一方、X方向の移動に関しては、AFユニットだけが可動体として移動する。つまり、X方向の移動に関しては、第2ステージ13は、ベース21とともにOIS固定部20を構成し、ボール42はOIS支持部40として機能する。
【0025】
ベース21は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ(例えば、PAR/PC)、又は液晶ポリマーからなる成形材料で形成される。ベース21は、平面視で矩形状の部材であり、中央に円形の開口211を有する。
【0026】
ベース21は、ベース21の主面を形成する第1ベース部212、及び、センサー基板22が配置される第2ベース部213を有する。第2ベース部213は、第1ベース部212に対して凹んで形成されている。第2ベース部213にセンサー基板22が配置され、第1ベース部212及びセンサー基板22により、面一のベース面が形成される。
【0027】
本実施の形態では、第2ベース部213は、AF駆動部14及びOIS駆動部30が配置されていない領域、すなわち、ベース21の平面形状である矩形の一辺(第4の辺)に対応する領域に設けられている。この第2ベース部213にセンサー基板22を配置することにより、磁気センサー25X、25Y、25Z用の給電ライン及び信号ラインを集約することができ、ベース21における配線構造を簡略化することができる(図6参照)。
【0028】
また、ベース21は、開口211の周縁に、AF可動部11の光軸方向結像側への移動を規制する第3ベース部214を有する。第3ベース部214は、第1ベース部212に対して凹んで形成されており、これにより、AF可動部11の光軸方向結像側への移動ストロークが確保されている。
【0029】
ベース21は、第2のOIS駆動部30Yが配置されるOISモーター固定部215を有する。OISモーター固定部215は、例えば、ベース21の角部に設けられ、第1ベース部212から光軸方向受光側に向けて突出して形成され、第2のOIS駆動部30Yを保持可能な形状を有している。
【0030】
ベース21には、例えば、インサート成形により、端子金具23A~23Cが配置される。端子金具23Aは、AF駆動部14及び第1のOIS駆動部30Xへの給電ラインを含む。端子金具23Aは、例えば、ベース21の四隅に形成された開口216から露出し、OIS用付勢部材50と電気的に接続される。AF駆動部14及び第1のOIS駆動部30Xへの給電は、OIS用付勢部材50を介して行われる。端子金具23Bは、磁気センサー25X、25Y、25Zへの給電ライン(例えば、4本)及び信号ライン(例えば、6本)を含む。端子金具23Bは、センサー基板22に形成された配線(図示略)と電気的に接続される。端子金具23Cは、第2のOIS駆動部30Yへの給電ラインを含む。
【0031】
また、ベース21は、OIS支持部40を構成するボール41が配置されるボール収容部217を有する。ボール収容部217は、例えば、ベース21の四隅の近傍に設けられる。ボール収容部217は、Y方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。ボール収容部217の側面は、例えば、底面側に向けて溝幅が狭くなるようにテーパー形状に形成される。
【0032】
センサー基板22は、磁気センサー25X、25Y、25Z用の給電ライン及び信号ラインを含む配線(図示略)を有する。センサー基板22には、磁気センサー25X、25Y、25Zが実装される。磁気センサー25X、25Y、25Zは、例えば、ホール素子又はTMR(Tunnel Magneto Resistance)センサー等で構成され、センサー基板22に形成された配線(図示略)を介して、端子金具23Bと電気的に接続される。
【0033】
OIS可動部10の第1ステージ12において、磁気センサー25X、25Yに対向する位置にはマグネット16X、16Yが配置される(図10参照)。磁気センサー25X、25Y及びマグネット16X、16Yからなる位置検出部により、OIS可動部10のX方向及びY方向の位置が検出される。
また、OIS可動部10のAF可動部11において、磁気センサー25Zに対向する位置にはマグネット16Zが配置される(図10参照)。磁気センサー25Z及びマグネット16Zからなる位置検出部により、AF可動部11のZ方向の位置が検出される。なお、マグネット16X、16Y、16Zと磁気センサー25X、25Y、25Zに代えて、フォトリフレクター等の光センサーによりOIS可動部10のX方向及びY方向の位置並びにAF可動部11のZ方向の位置を検出するようにしてもよい。
【0034】
OIS用付勢部材50は、例えば、引張コイルばねで構成され、OIS可動部10とOIS固定部20を連結する。本実施の形態では、OIS用付勢部材50の一端は、ベース21の端子金具23Aに接続され、他端は、第1ステージ12の配線17A、17Bに接続されている。OIS用付勢部材50は、OIS可動部10とOIS固定部20を連結したときの引張荷重を受けて、OIS可動部10とOIS固定部20が互いに近づくように作用する。すなわち、OIS可動部10は、OIS用付勢部材50によって、光軸方向に付勢された状態(ベース21に押し付けられた状態)で、XY面内で揺動可能に保持されている。これにより、OIS可動部10をがたつきのない安定した状態で保持することができる。
また、本実施の形態では、OIS用付勢部材50は、AF駆動部14及び第1のOIS駆動部30Xへの給電ラインとして機能する。
【0035】
OIS支持部40は、OIS固定部20に対して、OIS可動部10を光軸方向に離間した状態で支持する。本実施の形態では、OIS支持部40は、OIS可動部10(第1ステージ12及び第2ステージ13)とベース21の間に介在する4個のボール41を含む。4個のボール41は、ベース21と第2ステージ13の間に介在する。
また、OIS支持部40は、OIS可動部10において、第1ステージ12と第2ステージ13の間に介在する4個のボール42を含む(図8等参照)。
本実施の形態では、OIS支持部40を構成するボール41、42(計8個)の転動可能な方向を規制することにより、OIS可動部10をXY面内で精度よく揺動できるようになっている。なお、OIS支持部40を構成するボール41、42の数は、適宜変更することができる。
【0036】
OIS駆動部30は、OIS可動部10をX方向及びY方向に移動させるアクチュエーターである。具体的には、OIS駆動部30は、OIS可動部10(AFユニットのみ)をX方向に移動させる第1のOIS駆動部30X(第1のXY方向駆動部)と、OIS可動部10全体をY方向に移動させる第2のOIS駆動部30Y(第2のXY方向駆動部)とで構成される。
第1及び第2のOIS駆動部30X、30Yは、超音波モーターで構成される。第1のOIS駆動部30Xは、第1ステージ12のX方向に沿う切欠部122(OISモーター固定部)に固定される。第2のOIS駆動部30Yは、Y方向に沿って延在するように、ベース21のOISモーター固定部215に固定される。すなわち、第1のOIS駆動部30X及び第2のOIS駆動部30Yは、互いに直交する辺に沿って配置されている。
【0037】
OIS駆動部30の構成を図7A図7Bに示す。図7Aは、OIS駆動部30の各部材を組み付けた状態を示し、図7Bは、OIS駆動部30の各部材を分解した状態を示す。なお、図7A図7Bは、第2のOIS駆動部30Yを示しているが、第1のOIS駆動部30Xの主要構成、具体的にはOIS電極33の形状を除く構成は同様であるので、OIS駆動部30を示す図として扱う。
【0038】
図7A図7Bに示すように、OIS駆動部30は、OIS共振部31、OIS圧電素子32及びOIS電極33を有する。OIS駆動部30の駆動力は、OIS動力伝達部34を介して第2ステージ13に伝達される。具体的には、第1のOIS駆動部30Xは第1のOIS動力伝達部34Xを介して第2ステージ13に接続され、第2のOIS駆動部30Yは第2のOIS動力伝達部34Yを介して第2ステージ13に接続されている。
【0039】
OIS圧電素子32は、例えば、セラミック材料で形成された板状素子であり、高周波電圧を印加することにより振動を発生する。OIS共振部31の胴部311を挟み込むように、2枚のOIS圧電素子32が配置される。
OIS電極33は、OIS共振部31及びOIS圧電素子32を挟持し、OIS圧電素子32に電圧を印加する。第1のOIS駆動部30XのOIS電極33は、第1ステージ12の配線17Aと電気的に接続され、第2のOIS駆動部30YのOIS電極33は、ベース21の配線23Cと電気的に接続される。
【0040】
OIS共振部31は、導電性材料で形成され、OIS圧電素子32の振動に共振して、振動運動を直線運動に変換する。本実施の形態では、OIS共振部31は、OIS圧電素子32に挟持される略矩形状の胴部311、胴部311の上部及び下部からX方向又はY方向に延在する2つのアーム部312、胴部311の中央部からX方向又はY方向に延在する突出部313、及び、胴部311の中央部から突出部313とは反対側に延在する通電部314を有している。2つのアーム部312は対称的な形状を有し、それぞれの自由端部がOIS動力伝達部34に当接し、OIS圧電素子32の振動に共振して対称的に変形する。第1のOIS駆動部30Xの通電部314は、第1ステージ12の配線17Aと電気的に接続され、第2のOIS駆動部30Yの通電部31dは、ベース21の配線23Cと電気的に接続される。
【0041】
OIS共振部31の胴部311に、厚さ方向からOIS圧電素子32が貼り合わされ、OIS電極33により挟持されることにより、これらは互いに電気的に接続される。例えば、給電経路の一方がOIS電極33に接続され、他方がOIS共振部31の通電部314に接続されることで、OIS圧電素子32に電圧が印加され、振動が発生する。
【0042】
OIS共振部31は、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、OIS共振部31は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するように、全体の形状が設定されている。異なる挙動とは、OIS動力伝達部34をX方向又はY方向に前進させる挙動と、後退させる挙動である。
【0043】
OIS動力伝達部34は、一方向に延在するチャッキングガイドであり、一端がOIS駆動部30に接続され、他端が第2ステージ13に接続される。OIS動力伝達部34は、OISモーター当接部341、ステージ固定部343、及び連結部342を有する。OISモーター当接部341は、OIS共振部31のアーム部312の自由端部と当接する。ステージ固定部343は、OIS動力伝達部34の端部に配置され、第2ステージ13のOISチャッキングガイド固定部135(図8等参照)に固定される。連結部342は、OISモーター当接部341とステージ固定部343を連結する部分であり、ステージ固定部343から2つに分岐して互いに平行に形成されている。
【0044】
OISモーター当接部341間の幅は、OIS共振部31のアーム部312の自由端部間の幅よりも広く設定される。例えば、連結部342とステージ固定部343との接続部分において、2つの連結部342の間に、接続端部の幅よりも大きい離隔部材344を介在させることで、OISモーター当接部341間の幅を拡げることができる。これにより、OIS駆動部30にOIS動力伝達部34を取り付けたときに、OIS動力伝達部34が板バネとして機能し、OIS共振部31のアーム部312を押し広げる方向に付勢力が作用する。この付勢力により、OIS共振部31のアーム部312の自由端部間にOIS動力伝達部34が保持され、OIS共振部31からの駆動力がOIS動力伝達部34に効率よく伝達される。
【0045】
OIS駆動部30とOIS動力伝達部34は、付勢された状態で当接しているだけなので、当接部分をX方向又はY方向に大きくするだけで、レンズ駆動装置1の外形を大きくすることなく、OIS可動部10の移動距離(ストローク)を長くすることができる。
【0046】
第1のOIS駆動部30Xは、OIS可動部10(第1ステージ12)に固定され、OIS動力伝達部34Xを介して第2ステージ13と接続されており、第2のOIS駆動部30YによるY方向の振れ補正時は、OIS可動部10とともに移動する。一方、第2のOIS駆動部30Yは、OIS固定部20(ベース21)に固定され、OIS動力伝達部34Yを介して第2ステージ13と接続されており、第1のOIS駆動部30XによるX方向の振れ補正に影響を受けない。すなわち、一方のOIS駆動部30によるOIS可動部10の移動は、他方のOIS駆動部30の構造によって妨げられない。したがって、OIS可動部10のZ軸周りの回転を防止することができ、OIS可動部10をXY平面内で精度よく揺動させることができる。
【0047】
図8図10は、OIS可動部10の分解斜視図である。図9は、図8をZ軸周りに180°回転させた状態を示す。図10は、図8をZ軸周りに180°回転させた状態を示す下方斜視図である。なお、図9では、AF駆動部14及び第1のOIS駆動部30Xが第1ステージ12から取り外した状態となっている。
以下において、レンズ駆動装置1の平面形状である矩形において、AF駆動部14が配置される辺を「第1の辺」、第1のOIS駆動部30Xが配置される辺を「第2の辺」、第2のOIS駆動部30Xが配置される辺を「第3の辺」、残りの一辺を「第4の辺」と称する。
【0048】
図8図10に示すように、本実施の形態において、OIS可動部10は、AF可動部11、第1ステージ12、第2ステージ13、AF駆動部14及びAF支持部15等を有する。Y方向の移動に関しては、第1ステージ12及び第2ステージ13を含むOIS可動部10全体が可動体となるのに対して、X方向の移動に関しては、第2ステージ13はOIS固定部20として機能し、AFユニットだけがOIS可動部10として機能する。また、第1ステージ12は、AF固定部として機能する。
【0049】
AF可動部11は、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF可動部11は、第1ステージ12(AF固定部)に対して径方向内側に離間して配置され、AF支持部15を介して第1ステージ12に付勢された状態で支持される。
【0050】
AF可動部11は、レンズ部2(図2参照)を保持するレンズホルダーである(以下、「レンズホルダー11」と称する)。レンズホルダー11は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ、液晶ポリマー等で形成される。レンズホルダー11は、筒状のレンズ収容部111を有する。レンズ収容部111aには、レンズ部2(図2参照)が、例えば、接着により固定される。
【0051】
レンズホルダー11は、レンズ収容部111の周面において、X方向に沿う2箇所、すなわち第1の辺及び第2の辺に沿う部分に、ボール保持部112を有する。レンズホルダー11は、例えば、直方体形状を有する。それぞれのボール保持部112において、X方向における両端部に、AF支持部15(ボール)を収容するボール収容部113が設けられている。ボール収容部113の側面は、例えば、底面側に向けて溝幅狭くなるようにテーパー形状に形成されている。また、ボール保持部112の下面には、レンズ収容部111の下面よりも光軸方向結像側に突出し、レンズホルダー11の光軸方向結像側(下側)への移動を規制するストッパー部114が設けられている。本実施の形態では、ストッパー部114は、AF駆動部14が駆動されていない基準状態において、ベース21の第3ベース部214に当接する。
【0052】
また、レンズ収容部111の周面には、Z位置検出用のマグネット16Zを収容するマグネット収容部115が設けられている。マグネット収容部115にマグネット16Zが配置される。センサー基板22において、マグネット16Zと光軸方向に対向する位置に、Z位置検出用の磁気センサー25Zが配置される(図4参照)。
【0053】
また、一方のボール保持部112の下部には、AF動力伝達部144が、Y方向(-側)に突出するように配置されている。AF動力伝達部144は、Z方向に所定の長さを有するチャッキングガイドであり、AF動力伝達部144を挟み込むように、AF駆動部14の共振部141のアーム部141bが当接し、AF駆動部14の動力が伝達される(図14参照)。2つのアーム部141bによりAF動力伝達部144が挟持されているので、共振部141の変形によって生じる駆動力が効率よく伝達される。
【0054】
本実施の形態では、AF動力伝達部144は、レンズホルダー11と別部材で構成されている。AF動力伝達部144は、例えば、平面視でU字形状を有し、側面部がX方向に対向した状態で、底面部がボール保持部112の周面に固定される。AF動力伝達部144は、例えば、チタン銅、ニッケル銅、ステンレス等の金属材料で形成される。これにより、AF駆動部30のアーム部141bが樹脂成形品であるレンズホルダー11に当接する場合に比較して、AF駆動部14の駆動力が効率よく伝達される。なお、AF動力伝達部144は、レンズホルダー11と一体的に成形されてもよい。
【0055】
第1ステージ12は、AF支持部15を介してAF可動部11を支持する部分である。第1ステージ12の光軸方向結像側には、ボール42を介して第2ステージ13が配置される。第1ステージ12は、振れ補正時にX方向及びY方向に移動し、第2ステージ13は、振れ補正時にY方向のみに移動する。
【0056】
第1ステージ12は、光軸方向から見た平面視において略矩形状を有する筒状の部材であり、例えば、液晶ポリマーで形成される。第1ステージ12は、レンズホルダー11に対応する部分に略円形状の開口121を有する。第1ステージ12において、OIS駆動部30に対応する部分(第2の辺及び第3の辺に沿う側壁の外側面)には切欠部122が設けられており、径方向外側にはみ出さないようにOIS駆動部30を配置できるようになっている。
【0057】
第1ステージ12は、下面に、ボール42を収容する4つのボール収容部123を有する。なお、図10において、ボール収容部123の一つは現れていない。ボール収容部123は、X方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。また、ボール収容部123の側面は、底面側に向けて溝幅狭くなるようにテーパー形状に形成されている。ボール収容部123は、第2ステージ13のボール収容部133とZ方向において対向する。
【0058】
第1ステージ12において、X方向に沿う2つの側壁(第1の辺及び第2の辺に沿う側壁)の内面には、レンズホルダー11のボール保持部112の形状に対応して切欠部(符号略)が形成されている。また、切欠部の両端に、AF支持部15を固定するためのボール固定部124が設けられている。ボール固定部124は、第1ステージ12下面よりも光軸方向結像側に突出して形成されている。
【0059】
第1ステージ12において、X方向に沿う一方の側壁(第1の辺に沿う側壁)には、AF駆動部14が配置されるAFモーター固定部125が形成されている。AF駆動部14は、AFモーター固定部125に、例えば、接着により固定される。
【0060】
第1ステージ12において、Y方向に沿う一方の側壁(第4の辺に沿う側壁)には、XY位置検出用のマグネット16X、16Yを収容するマグネット収容部126が設けられている。マグネット収容部126にマグネット16X,16Yが配置される。例えば、マグネット16XはX方向に着磁され、マグネット16YはY方向に着磁される。センサー基板22において、マグネット16X,16Yと光軸方向に対向する位置に、XY位置検出用の磁気センサー25X、25Yが配置される(図4参照)。
【0061】
また、第1ステージ12には、例えば、インサート成形により、配線17A、17Bが埋設されている(図12参照)。配線17A、17Bは、例えば、第1の辺及び第2の辺に沿って配置される。配線17A、17Bは、第1ステージ12の四隅から露出しており、この部分に、OIS用付勢部材50の一端が接続される。配線17Aを介して第1のOIS駆動部30Xへの給電が行われる、配線17Bを介してAF駆動部14への給電が行われる。
【0062】
第2ステージ13は、光軸方向から見た平面視において略矩形状を有する筒状の部材であり、例えば、液晶ポリマーで形成される。第2ステージ13の内周面131は、レンズホルダー11の外形に対応して形成されている。第2ステージ13において、OIS駆動部30に対応する部分(第2の辺及び第3の辺に沿う側壁の外側面)には、第1ステージ12と同様に、切欠部132が設けられており、径方向外側にはみ出さないようにOIS駆動部30を配置できるようになっている。
【0063】
第2ステージ13は、下面に、ボール41を収容する4つのボール収容部134を有する。ボール収容部134は、ベース21のボール収容部217とZ方向において対向する。ボール収容部134は、Y方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。また、ボール収容部134の側面は、底面側に向けて溝幅が狭くなるようにテーパー形状に形成されている。
また、第2ステージ13は、上面に、ボール42を収容する4つのボール収容部133を有する。ボール収容部133は、第1ステージ12のボール収容部123とZ方向において対向する。ボール収容部133は、X方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。ボール収容部133の側面は、底面側に向けて溝幅が狭くなるようにテーパー形状に形成されている。
【0064】
OIS支持部40を構成する4つのボール41は、ベース21のボール収容部217と第2ステージ13のボール収容部134により、多点接触で挟持される。したがって、ボール41は、安定してX方向に転動する。
また、4つのボール42は、第2ステージ13のボール収容部133と第1ステージ12のボール収容部123により、多点接触で挟持される。したがって、ボール42は、安定してX方向に転動する。
【0065】
AF支持部15は、第1ステージ12(AF固定部)に対してレンズホルダー11(AF可動部)を支持する部分である。本実施の形態では、AF支持部15は、Z方向に並んで配置された複数のボール(ここでは、2個)で構成されている。AF支持部15は、レンズホルダー11のボール収容部113と第1ステージ12のボール固定部124との間に、転動可能な状態で介在する。
【0066】
本実施の形態では、図12に示すように、AF支持部15は、レンズホルダー11の外周面において、4カ所に配置されている。具体的には、X方向に沿う第1直線L1(図12参照)上に配置される一組のAF支持部15Aと、X方向に沿う第2直線L2(図12参照)上に配置される一組の第2のAF支持部15Bと、で構成されている。第1直線L1と第2直線L2は、光軸を通りX方向に平行な直線L3に関して対称な位置関係にある。
また、図13に示すように、一組のAF支持部15Aのうちの一方と第1ステージ12のボール固定部124との間には、レンズホルダー11を付勢する付勢部18が配置される。図13は、図12における直線L1に沿う断面図である。もう一組のAF支持部15Bにおいても同様に、第1ステージ12のボール固定部124との間に付勢部18が配置される。
したがって、レンズホルダー11は、2組のAF支持部15A、15Bを介して、X方向に付勢された状態で第1ステージ12に支持される。これにより、レンズホルダー11は、安定した姿勢で保持される。
【0067】
図13に示すように、付勢部18は、例えば、金属材料で形成される板バネ181(付勢部材)と、摩擦係数が小さいセラミック材料で形成されるスペーサー182(干渉部材)と、を有する。第1ステージ12側に板バネ181が配置され、レンズホルダー11側にスペーサー182が配置される。板バネ181とAF支持部15(ボール)との間にセラミック製のスペーサー182を介在させることにより、ボールを滑らかに転動させることができ、耐久性が向上する。なお、スペーサー182の材質は、ボールを滑らかに転動させることができるものであればよく、摩擦係数が小さいセラミック材料に限らず、例えば、銅合金やステンレスなど適度な摩擦係数を有する材料でもよい。
【0068】
AF駆動部14は、AF可動部11をZ方向に移動させるアクチュエーターである。AF駆動部14は、OIS駆動部30と同様に、超音波モーターで構成されている。AF駆動部14は、アーム部141bがZ方向に延在するように、第1ステージ12のX方向に沿う側壁(第1の辺に沿う側壁)に固定される。
【0069】
AF駆動部14の構成を図11A図11Bに示す。図11Aは、AF駆動部14の各部材を組み付けた状態を示し、図11Bは、AF駆動部14の各部材を分解した状態を示す。AF駆動部14の構成は、OIS駆動部30とほぼ同様である。
【0070】
図11A図11Bに示すように、AF駆動部14は、AF共振部141、AF圧電素子142及びAF電極143を有する。AF駆動部14の駆動力は、AF動力伝達部144を介してレンズホルダー11に伝達される。
【0071】
AF圧電素子142は、例えば、セラミック材料で形成された板状素子であり、高周波電圧を印加することにより振動を発生する。AF共振部141の胴部141aを挟み込むように、2枚のAF圧電素子142が配置される。
AF電極143は、AF共振部141及びAF圧電素子142を挟持し、AF圧電素子142に電圧を印加する。
【0072】
AF共振部141は、導電性材料で形成され、AF圧電素子142の振動に共振して、振動運動を直線運動に変換する。本実施の形態では、AF共振部141は、AF圧電素子142に挟持される略矩形状の胴部141a、胴部141aからZ方向に延在する2つのアーム部141b、胴部141aの中央部からZ方向に延在する突出部141c、及び、胴部141aの中央部から突出部141cとは反対側に延在し給電経路(第1ステージ12の配線17B)と電気的に接続される通電部141dを有している。2つのアーム部141bは対称的な形状を有し、AF圧電素子142の振動に共振して対称的に変形する。AF駆動部14は、2つのアーム部141bがZ方向に延在して、自由端部でAF動力伝達部144を挟持するように配置される。
【0073】
AF共振部141の胴部141aに、厚さ方向からAF圧電素子142が貼り合わされ、AF電極143により挟持されることにより、これらは互いに電気的に接続される。AF共振部141の通電部141d及びAF電極143が第1ステージ12の配線17Bに接続されることで、AF圧電素子142に電圧が印加され、振動が発生する。
【0074】
AF共振部141は、OIS共振部31と同様に、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、AF共振部141は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するように、全体の形状が設定されている。
【0075】
レンズ駆動装置1において、AF駆動部14に電圧を印加すると、AF圧電素子142が振動し、AF共振部141が周波数に応じた挙動で変形する。AF駆動部14の駆動力により、AF動力伝達部144がZ方向に摺動される。これに伴い、AF可動部11がZ方向に移動し、ピント合わせが行われる。AF支持部15がボールで構成されているので、AF可動部11はZ方向にスムーズに移動することができる。また、AF駆動部14とAF動力伝達部144は、付勢された状態で当接しているだけなので、当接部分をZ方向に大きくするだけで、レンズ駆動装置1の低背化を損なうことなく、AF可動部11の移動距離(ストローク)を容易に長くすることができる。
【0076】
レンズ駆動装置1において、OIS駆動部30に電圧を印加すると、OIS圧電素子32が振動し、OIS共振部31が周波数に応じた挙動で変形する。OIS駆動部30の駆動力により、OIS動力伝達部34がX方向又はY方向に摺動される。これに伴い、OIS可動部10がX方向又はY方向に移動し、振れ補正が行われる。OIS支持部40がボールで構成されているので、OIS可動部10はX方向又はY方向にスムーズに移動することができる。
【0077】
具体的には、第1のOIS駆動部30Xが駆動され、OIS動力伝達部34がX方向に移動する場合、第1のOIS駆動部30Xが配置されている第1ステージ12から第2ステージ13に動力が伝達される。このとき、第2ステージ13とベース21とで挟持されているボール41(ボール収容部217に収容されている4個)は、X方向に転動できないので、ベース21に対する第2ステージ13のX方向の位置は維持される。一方、第1ステージ12と第2ステージ13とで挟持されているボール42は、X方向に転動できるので、第2ステージ13に対して第1ステージ12がX方向に移動する。つまり、第2ステージ13がOIS固定部20を構成し、第1ステージ12がOIS可動部10を構成する。
【0078】
また、第2のOIS駆動部30Yが駆動され、OIS動力伝達部34がY方向に移動する場合、第2のOIS駆動部30Yが配置されているベース21から第2ステージ13に動力が伝達される。このとき、第1ステージ12と第2ステージ13とで挟持されているボール42は、Y方向に転動できないので、第2ステージに対する第1ステージ12のY方向の位置は維持される。一方、第2ステージ13とベース21とで挟持されているボール41(ボール収容部217に収容されている4個)は、Y方向に転動できるので、ベース21に対して第2ステージ13がY方向に移動する。第1ステージ12も第2ステージ13に追従してY方向に移動することになる。つまり、ベース21がOIS固定部20を構成し、第1ステージ12及び第2ステージ13を含むAFユニットがOIS可動部10を構成する。
【0079】
このようにして、OIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。具体的には、カメラモジュールAの角度振れが相殺されるように、振れ検出部(例えばジャイロセンサー、図示略)からの角度振れを示す検出信号に基づいて、OIS駆動部30X、30Yへの通電電圧が制御される。このとき、マグネット16X、16Y及び磁気センサー25X、25Yで構成されるXY位置検出部の検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の並進移動を正確に制御することができる。
【0080】
このように、実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、第1ステージ12(第1固定部)と、第1ステージ12の径方向内側に配置されるレンズホルダー11(第1可動部)と、第1ステージ12に対してレンズホルダー11を支持するAF支持部15(第1支持部)と、第1ステージ12に配置され、第1ステージ12に対してレンズホルダー11を光軸方向に移動させるAF駆動部14(Z方向駆動部)と、を備え、光軸方向から見た平面視形状が矩形形状である。
レンズホルダー11は、径方向外側に突出して設けられたAF動力伝達部144を有し、AF駆動部14は、圧電素子142及び共振部141を有し、振動運動を直線運動に変換する超音波モーターで構成され、共振部141の2つのアーム部141bが光軸方向に延在してAF動力伝達部144を挟持するように矩形の第1の辺に配置される。
レンズホルダー11は、AF支持部15を介して、光軸方向と直交する付勢方向に付勢された状態で第1ステージ12に支持されている。
【0081】
レンズ駆動装置1によれば、AF駆動部14が超音波モーターで構成されているので、外部磁気の影響を低減できるとともに、小型化及び低背化を図ることができる。
また、AF駆動部14のアーム部141bが光軸方向に延在してAF動力伝達部144を挟持しており、AF駆動部14の駆動力がレンズホルダー11に最大限に伝達されるので、レンズホルダー11を移動させる駆動力を効率よく得ることができる。その上、レンズホルダー11は、AF支持部15を介して第1ステージ(AF固定部)に付勢されているので、光軸方向へ移動する際の姿勢が安定する。したがって、レンズ駆動装置1の駆動性能が格段に向上する。
スマートフォンMのように、レンズ駆動装置1を有するカメラモジュールAを近接して配置しても磁気的な影響はないので、デュアルカメラ用として極めて好適である。
【0082】
また、レンズ駆動装置1において、付勢方向は、AF駆動部14が配置される第1の辺に平行である。
具体的には、AF支持部15A(第1支持部)は、レンズホルダー11(第1可動部)の外周面において、付勢方向に平行な第1直線L1上に2つ配置されている。
また、一組のAF支持部15A(第1支持部)のうちの一方と第1ステージ12(第1固定部)との間に、板バネ181(付勢部材)が介在している。
また、AF支持部15B(第1支持部)は、レンズホルダー11(第1可動部)の外周面において、付勢方向に平行で第1直線L1とは異なる第2直線L2上に、2つ配置されている。
また、二組のAF支持部15A、15B(第1支持部)は、付勢方向に平行で光軸を通る直線L3に関して対称な位置に配置されている。
また、AF支持部15(第1支持部)は、光軸方向に並んで配置されたボールで構成されている。
以上の構成により、光軸方向に移動する際のレンズホルダー11の姿勢を、より安定させることができる。
【0083】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0084】
例えば、実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンMを挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部を有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器は、例えば自動車を含む。
【0085】
図15A図15Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図15Aは自動車Vの正面図であり、図15Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図15A図15Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0086】
実施の形態では、レンズホルダー11がX方向に付勢されているが、レンズホルダー11の付勢方向はX方向でなくてもよく、レンズホルダー11を安定した姿勢で保持できればよい。例えば、実施の形態では、二組のAF支持部15A、15Bが、それぞれ付勢方向であるX方向に平行な直線L1、L2上に配置されているが、直線L1、L2の延在方向はY方向であってもよいし、X方向及びY方向から傾いた方向であってもよい。さらには、直線L1、L2は、互いに交差していてもよいし、光軸を通る直線に関して対称に配置されなくてもよい。
【0087】
また、本発明は、オートフォーカスだけでなく、ズームなど、可動部を光軸方向に移動させる場合に適用することができる。
さらに、AFユニットの支持構造は、AF駆動部14のように駆動源が超音波モーターで構成されている場合に限らず、超音波モーター以外の駆動源(例えば、ボイスコイルモーター(VCM))を備えるレンズ駆動装置にも適用することができる。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1 レンズ駆動装置
10 OIS可動部(第2可動部)
11 AF可動部(第1可動部)
12 第1ステージ(第1固定部)
13 第2ステージ
14 AF駆動部(Z方向駆動部)
141 AF共振部
142 AF圧電素子
143 AF電極
144 AF動力伝達部
15 AF支持部(第1支持部)
20 OIS固定部(第2固定部)
21 ベース
30 OIS駆動部(XY方向駆動部)
31 OIS共振部
32 OIS圧電素子
33 OIS電極
34 OIS動力伝達部
40 OIS支持部(第2支持部)
50 OIS用付勢部材
A カメラモジュール
M スマートフォン(カメラ搭載装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15