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特許7549284飲食店用移動体および飲食店用搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】飲食店用移動体および飲食店用搬送システム
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/08 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024052872
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100165593
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 淳也
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-112875(JP,A)
【文献】特開2005-289548(JP,A)
【文献】特開2003-321114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 23/08
A47F 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブを有すると共に飲食物を搬送可能な搬送路上に載置されることで、前記搬送路の経路に沿って搬送される飲食店用移動体であって、
前記搬送路上に載置されると共に、物体を支持することが可能な複数の支持体と、
複数の前記支持体のうち、互いに隣接する一対の前記支持体の各々に接続または固定されることで、一方の前記支持体に対して他方の前記支持体を、少なくとも鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結する連結部と、
前記搬送路の幅の2倍よりも長く、来店客に向けて報知又は演出を行う長尺状の物体と、
を備え、
互いに隣接する一対の前記支持体をセットとして、複数の前記連結部の各々が、複数の前記支持体のセットを連続して長尺状に連結することで、前記搬送路の搬送方向に沿う方向の長さが前記搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の連続した上面を形成し、
連結された複数の前記支持体が、前記上面で前記長尺状の物体を支持した状態で、前記搬送路のカーブに沿って蛇行して移動し、
前記長尺状の物体が、複数の前記支持体の連結形状に従って変形可能であることを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項2】
請求項1に記載の飲食店用移動体であって、
前記搬送路は、複数のプレートを前記経路に沿って移動させるクレセントチェーンを備え、
前記飲食店用移動体は、
互いに隣接する一対の前記支持体をセットとして、複数の前記連結部の各々が、複数の前記支持体のセットを連続して長尺状に連結することで、複数の前記支持体が一体的に連結されると共に、
一体的に連結された複数の前記支持体が、前記クレセントチェーンの前記複数のプレートを跨ぐように前記複数のプレートの上面に追加的に載置された状態で、前記搬送路のカーブに沿って蛇行して移動することを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項3】
請求項1に記載の飲食店用移動体であって、
各々の前記連結部は、互いに隣接する一対の前記支持体のうち、一方の前記支持体において接続または固定された位置から、他方の前記支持体の底面部の上方を通過して、他方の前記支持体における接続位置へ延びることを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項4】
請求項1に記載の飲食店用移動体であって、
各々の前記支持体における上面または側面の外周部の少なくとも一部に、前記上面からさらに上方に突出する突出部が設けられていることを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項5】
請求項に記載の飲食店用移動体であって、
前記複数の支持体には、
前記搬送路の搬送方向における前端側に配置される前端支持体と、
前記搬送方向における後端側に配置される後端支持体と、
前記前端支持体と前記後端支持体の間に配置される1つまたは複数の中間支持体と、
が含まれており、
前記中間支持体では、外周部のうち、前記搬送方向における前後方向の両端部を除く領域に前記突出部が設けられ、前後方向の両端部には前記突出部が設けられていないことを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項6】
請求項1に記載の飲食店用移動体であって、
各々の前記支持体における上面または側面の外周部の少なくとも一部に、前記支持体によって支持された物体を外部から視認可能な状態で、前記上面からさらに上方に延びるカバー部材が設けられたことを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項7】
請求項に記載の飲食店用移動体であって、
前記複数の支持体には、
前記搬送路の搬送方向における前端側に配置される前端支持体と、
前記搬送方向における後端側に配置される後端支持体と、
前記前端支持体と前記後端支持体の間に配置される1つまたは複数の中間支持体と、
が含まれており、
前記中間支持体では、外周部のうち、前記搬送方向における前後方向の両端部を除く領域に前記カバー部材が設けられ、前後方向の両端部には前記カバー部材が設けられていないことを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項8】
請求項1に記載の飲食店用移動体であって、
物体が載置される載置部を上面側に備えると共に、前記載置部と前記支持体の底面部との間に空間が確保された状態で、複数の前記支持体のうちの少なくともいずれかに着脱可能に装着される着脱部材をさらに備えたことを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項9】
カーブを有すると共に飲食物を搬送可能な搬送路上に載置されることで、前記搬送路の経路に沿って搬送される飲食店用移動体であって、
前記搬送路上に載置されると共に、物体を支持することが可能な複数の支持体と、
複数の前記支持体のうち、互いに隣接する一対の前記支持体の各々に接続または固定されることで、一方の前記支持体に対して他方の前記支持体を、少なくとも鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結する連結部と、
を備え、
互いに隣接する一対の前記支持体をセットとして、複数の前記連結部の各々が、複数の前記支持体のセットを連続して長尺状に連結することで、連結された複数の前記支持体が前記搬送路のカーブに沿って蛇行して移動し、
複数の前記支持体の連結形状に従って変形可能であり、且つ電気的演出を実行する長尺状の演出部が、複数の前記連結部によって長尺状に連結された複数の前記支持体に亘って設置されることを特徴とする飲食店用移動体。
【請求項10】
飲食物を搬送する飲食店用搬送システムであって、
カーブを有する搬送路上に載置された物体を搬送する搬送装置と、
前記搬送路上に載置されることで、前記搬送路の経路に沿って搬送される飲食店用移動体と、
を備え、
前記飲食店用移動体は、
前記搬送路上に載置されると共に、物体を支持することが可能な複数の支持体と、
複数の前記支持体のうち、互いに隣接する一対の前記支持体の各々に接続または固定されることで、一方の前記支持体に対して他方の前記支持体を、少なくとも鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結する連結部と、
前記搬送路の幅の2倍よりも長く、来店客に向けて報知又は演出を行う長尺状の物体と、
を備え、
互いに隣接する一対の前記支持体をセットとして、複数の前記連結部の各々が、複数の前記支持体のセットを連続して長尺状に連結することで、前記搬送路の搬送方向に沿う方向の長さが前記搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の連続した上面を形成し、
連結された複数の前記支持体が、前記上面で前記長尺状の物体を支持した状態で、前記搬送路のカーブに沿って蛇行して移動し、
前記長尺状の物体が、複数の前記支持体の連結形状に従って変形可能であることを特徴とする飲食店用搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置によって搬送される飲食店用移動体、および、飲食店用移動体を備えた飲食店用搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店(例えば回転寿司店等)では、搬送路上で飲食物等を搬送する搬送装置が使用される場合がある。搬送路上に載置された飲食物等は、搬送装置によって来店客の飲食スペースに搬送される。近年では、飲食店は、飲食物以外の種々の移動体を搬送装置によって搬送させる場合も多い。例えば、お勧めのメニュー等が掲載された案内物を搬送装置に搬送させることで、搬送路の近傍の来店客の意識を、搬送路上を移動する案内物に向けさせる試みも行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のシステムは、表示手段を備えた案内装置を搬送路上に載せて搬送する。案内装置の表示手段には、例えば、通信端末を介して来店客によって送信された画像およびメッセージ等が表示される。来店客は、搬送路上を搬送されている搬送物の中から、自分が送信した表示データが表示されている案内装置を見つけることで、自分が注文した飲食物を把握する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-293322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、搬送装置によって搬送させる移動体の、搬送路に沿う方向の長さを長くすると、特にカーブしている経路の通過時等に、移動体の搬送路からの離脱、搬送路外の物体への接触、および移動体の転倒等の不具合が生じてしまう。従って、従来の技術では、特許文献1に記載のように、搬送装置によって搬送させる移動体の長さを制限せざるを得ず、来店客の意識を十分に案内物に向けさせることは困難であった。長さが短い移動体を、搬送路上に複数並べて搬送させることも考えられる。しかし、この場合でも、複数の移動体を分離せざるを得ないので、見栄えが良いとは言い難く、一体感も乏しく、来店客に与えるインパクトも弱い。以上のように、従来の技術では、来店客の注目を十分且つ適切に搬送路上の移動体に集めることは困難であった。
【0006】
本開示の典型的な目的は、上記の課題の少なくともいずれかを解決することで、来店客の注目を十分且つ適切に集めることが可能な飲食店用移動体および飲食店用搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における典型的な実施形態が提供する飲食店用移動体は、カーブを有すると共に飲食物を搬送可能な搬送路上に載置されることで、前記搬送路の経路に沿って搬送される飲食店用移動体であって、前記搬送路上に載置されると共に、物体を支持することが可能な複数の支持体と、複数の前記支持体のうち、互いに隣接する一対の前記支持体の各々に接続または固定されることで、一方の前記支持体に対して他方の前記支持体を、少なくとも鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結する連結部と、前記搬送路の幅の2倍よりも長く、来店客に向けて報知又は演出を行う長尺状の物体と、を備え、互いに隣接する一対の前記支持体をセットとして、複数の前記連結部の各々が、複数の前記支持体のセットを連続して長尺状に連結することで、前記搬送路の搬送方向に沿う方向の長さが前記搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の連続した上面を形成し、連結された複数の前記支持体が、前記上面で前記長尺状の物体を支持した状態で、前記搬送路のカーブに沿って蛇行して移動し、前記長尺状の物体が、複数の前記支持体の連結形状に従って変形可能である
【0008】
本開示における典型的な実施形態が提供する飲食店用搬送システムの第1態様は、飲食物を搬送する飲食店用搬送システムであって、カーブを有する搬送路上に載置された物体を搬送する搬送装置と、前記搬送路上に載置されることで、前記搬送路の経路に沿って搬送される飲食店用移動体と、を備え、前記飲食店用移動体は、前記搬送路上に載置されると共に、物体を支持することが可能な複数の支持体と、複数の前記支持体のうち、互いに隣接する一対の前記支持体の各々に接続または固定されることで、一方の前記支持体に対して他方の前記支持体を、少なくとも鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結する連結部と、前記搬送路の幅の2倍よりも長く、来店客に向けて報知又は演出を行う長尺状の物体と、を備え、互いに隣接する一対の前記支持体をセットとして、複数の前記連結部の各々が、複数の前記支持体のセットを連続して長尺状に連結することで、前記搬送路の搬送方向に沿う方向の長さが前記搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の連続した上面を形成し、連結された複数の前記支持体が、前記上面で前記長尺状の物体を支持した状態で、前記搬送路のカーブに沿って蛇行して移動し、前記長尺状の物体が、複数の前記支持体の連結形状に従って変形可能である
【0009】
本開示における典型的な実施形態が提供する飲食店用搬送システムの第2態様は、飲食物を搬送する飲食店用搬送システムであって、搬送路上に載置された物体を搬送する搬送装置と、前記搬送路上に載置されることで、前記搬送路の経路に沿って搬送される飲食店用移動体と、を備え、前記飲食店用移動体は、前記搬送路の搬送方向に沿う方向の長さが、前記搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の連続した上面を有し、長尺方向が前記搬送方向に一致した状態で前記搬送路上に載置されると共に、前記搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の物体であって、来店客に向けて報知又は演出を行うために設けられる物体を支持することが可能な支持体を備える。
【0010】
本開示に係る飲食店用移動体および飲食店用搬送システムによると、来店客の注目を十分且つ適切に集めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の飲食店用搬送システム100の概略構成を示す平面図である。
図2】本実施形態の飲食店用移動体1の斜視図である。
図3】連結部30によって連結された状態の前端支持体10Aおよび中間支持体10Cの平面図である。
図4図3に示す状態から、前端支持体10Aが中間支持体10Cに対して軸Oを中心に回動した状態を示す平面図である。
図5】着脱部材50の斜視図である。
図6】着脱部材の底面図である。
図7】演出部60が設置され、且つ搬送路102上を搬送されている状態の飲食店用移動体1の斜視図である。
図8図7に示す演出部60とは異なる演出部60が載置された状態の飲食店用移動体1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<概要>
本開示で例示する飲食店用移動体は、カーブを有すると共に飲食物を搬送可能な搬送路上に載置されることで、搬送路の経路に沿って搬送される。本開示の飲食店用移動体は、複数の支持体と、複数の連結部を備える。各々の支持体は、搬送路上に載置されると共に、物体を支持することができる。各々の連結部は、複数の支持体のうち、互いに隣接する一対の支持体の各々に接続または固定されることで、一方の支持体に対して他方の支持体を、少なくとも鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結する。互いに隣接する一対の支持体をセットとして、複数の連結部の各々が、複数の支持体のセットを連続して長尺状に連結することで、連結された複数の支持体が搬送路のカーブに沿って蛇行して移動する。
【0013】
本開示の飲食店用移動体によると、連結部によって連結された複数の支持体が、搬送路のカーブに沿って蛇行して移動する。従って、搬送路に沿う方向の飲食店用移動体の長さを長くしても、飲食店用移動体の搬送路からの離脱、搬送経路外の物体への接触、および転倒等の不具合が生じにくい状態で、飲食店用移動体が適切に移動する。さらに、支持体は物体を支持することができる。従って、連結された複数の支持体は、例えば、1つの支持体のみでは支持することが困難な長尺状の物体等を支持した状態で、搬送路上を移動することも可能である。よって、飲食店は、本開示の飲食店用移動体を用いることで、来店客の注目を十分且つ適切に搬送路上の飲食店用移動体に集めることができる。
【0014】
飲食店用移動体が備える支持体の数は3つ以上であってもよい。この場合、飲食店用移動体は、搬送路に沿う方向の長さがより長い物体を支持した状態で、搬送路上を適切に移動することができる。よって、来店客の注目をさらに飲食店用移動体に集めやすくなる。なお、支持体の数をN個(N≧3)とした場合、連結部の数はN-1個であってもよい。この場合、N個の支持体が適切に長尺状に連結される。ただし、支持体の数を2つ(連結部の数を1つ)とすることも可能である。この場合でも、搬送路上で1つの物体を移動させる場合に比べて、来店客の注目を集めやすくなる。
【0015】
支持体のうち、少なくとも物体を支持することが可能な上面の少なくとも一部は平面状に形成されていてもよい。この場合、作業者(例えば、飲食店の店員等)は、種々の物体を安定した状態で支持体の上面に支持させることができる。また、支持体のうち、少なくとも物体を支持することが可能な底面部は略板状の部材によって形成されていてもよい。この場合、作業者は、底面部の底面を搬送路上にそのまま載置することで、搬送路上における飲食店用移動体の姿勢を安定させることも可能である。ただし、支持体の構成を変更することも可能である。例えば、複数の棒状の部材が並べられることで、支持体の底面が構成されてもよい。メッシュ状の部材によって支持体の底面が構成されてもよい。これらの場合でも、飲食店用移動体は、物体を適切に支持した状態で搬送路上を移動することができる。また、支持体の上面の形状を曲面形状または凹凸形状等に形成することも可能である。
【0016】
互いに隣接する一対の支持体のうち、搬送路の搬送方向の前側に配置される支持体の後端部の平面視形状は、前方に向けて凹状または後方に向けて凸状の円弧状である後端円弧部に形成されていてもよい。搬送方向の後側に配置される支持体の前端部の平面視形状は、前側の支持体の後端円弧部における円弧と同じ曲率で、前側の支持体の後端円弧部の形状に沿う円弧状である前端円弧部に形成されていてもよい。この場合、飲食店用移動体が搬送路のカーブを通過する際に、一対の支持体の一方が他方に対して回動しても、一対の支持体の間に隙間が生じにくくなる。従って、支持体に載置された物体が隙間から落下する不具合、および、隙間に入り込んだ物体が挟み込まれてしまう不具合等が適切に減少する。なお、「支持体の後端部の平面視形状が前方に向けて凹状」とは、支持体の後端部が前方に凹んでいる状態を示す。
【0017】
各々の連結部は、互いに隣接する一対の支持体のうち、前側の支持体の後端円弧部と、後側の支持体の前端円弧部が沿う状態で、一対の支持体を連結してもよい。各々の連結部は、互いに沿った状態で配置される後端円弧部と前端円弧部の円弧の中心位置を、一対の支持体の一方に対する他方の支持体の回動の中心軸として、一対の支持体を連結してもよい。この場合、後端円弧部と前端円弧部の間の隙間が一定となった状態、または、後端円弧部と前端円弧部が隙間なく接触した状態で、一対の支持体の一方に対して他方が回動する。従って、一対の支持体の間の隙間がさらに生じにくくなった状態で、複数の支持体が搬送路上を円滑に蛇行し易くなる。
【0018】
なお、複数の支持体の各々に後端円弧部および前端円弧部の少なくとも一方を形成するための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、互いに隣接する一対の支持体のセットの全てにおいて、前側の支持体の後端円弧部を前方に向けて凹状に形成し、且つ、後側の支持体の前端円弧部を前方に向けて凸状に形成してもよい。また、互いに隣接する一対の支持体のセットの全てにおいて、前側の支持体の後端円弧部を後方に向けて凸状に形成し、且つ、後側の支持体の前端円弧部を後方に向けて凹状に形成してもよい。
【0019】
また、前側の支持体の後端円弧部を前方に向けて凹状とし、後側の支持体の前端円弧部を前方に向けて凸状とする一対の支持体のセットを、第1セットとする。逆に、前側の支持体の後端円弧部を後方に向けて凸状とし、後側の支持体の前端円弧部を後方に向けて凹状とする一対の支持体のセットを、第2セットとする。1つの飲食店用移動体に含まれる複数の支持体のセットの中に、第1セットと第2セットが混在していていもよい。例えば、長尺状である飲食店用移動体の長手方向に沿って、第1セットと第2セットが交互に配置されていてもよい。いずれの場合でも、一対の支持体の間の隙間がさらに生じにくくなった状態で、複数の支持体が搬送路上を円滑に蛇行し易くなる。
【0020】
ただし、支持体の形状を変更することも可能である。例えば、各々の支持体の底面部の少なくとも一部が、板状の部材で形成されていてもよい。連結部は、互いに隣接する一対の支持体のうち、底面部における板状の部分同士を上下に重ねた状態で、一対の支持体を連結してもよい。この場合、一対の支持体の一方に対して他方が回動しても、一対の支持体の間に隙間が生じにくくなる。従って、この場合、支持体の平面視形状を、矩形状等の種々の形状に形成しても、一対の支持体の間の隙間が生じにくい状態で、複数の支持体が搬送路上を円滑に蛇行し易くなる。
【0021】
各々の連結部は、互いに隣接する一対の支持体のうち、一方の支持体において接続または固定された位置から、他方の支持体の底面部の上方を通過して、他方の支持体における接続位置へ延びていてもよい。飲食店用移動体が搬送路のカーブを通過する際には、連結部は、回動の軸を中心として支持体に対して回動する。連結部を、支持体の底面部の上方に配置することで、連結部が回動の軸を中心として回動しても、回動する連結部は、支持体が載置された搬送路上に干渉しなくなる。従って、例えば、連結部の回動が搬送路との干渉によって阻害される不具合、および、搬送路の傷の発生等が適切に抑制される。
【0022】
ただし、各々の連結部は、互いに隣接する一対の支持体のうち、一方の支持体において接続または固定された位置から、他方の支持体の底面部の下方を通過して、他方の支持体における接続位置へ延びていてもよい。この場合、支持体の底面部の上面に物体が載置されていても、回動する連結部は、支持体の底面部に載置された物体に干渉しなくなる。
【0023】
各々の連結部は、剛性を有する材質によって形成されていてもよい。各々の連結部のうち、少なくとも支持体に接続または固定される一対の部位の、搬送経路の搬送方向に交差する左右方向の幅が、上下方向の厚みよりも大きくてもよい。この場合、連結部は、隣接する一対の支持体の一方に対して他方の支持体を、鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結しつつ、他の方向に回動することを抑制することができる。従って、作業者は、長尺状である飲食店用移動体の持ち運び等を容易に行い易くなる。例えば、作業者が飲食店用移動体を持ち運ぶ際に、連結された複数の支持体の一部が長手方向に延びる軸を中心として回動してしまい、支持体に載置された物体が落下してしまう不具合等も抑制される。また、支持体と連結部の間の接続または固定の強度も増加する。
【0024】
例えば、各々の連結部の全体が、剛性を有する板状の部材によって形成されていてもよい。板状である連結部の左右方向の幅が、上下方向の厚みよりも大きくなるように、連結部が支持体に接続または固定されてもよい。この場合、連結部の構成を簡素化しつつ、飲食店用移動体の持ち運び等も容易になる。
【0025】
連結部のうち、一対の支持体の各々に接続(固定)される一対の接続部位のうちの少なくとも一方は、鉛直方向に延びる軸を中心として支持体と連結部を相対的に回動可能に連結する回動連結部(例えば回転ピン等)によって支持体に接続されてもよい。この場合、一方の支持体に対して他方の支持体が回動可能な状態で連結される。
【0026】
また、連結部における一対の接続部位のうち、回動連結部による接続部位とは異なる接続部位は、支持体に対して固定されていてもよい。この場合、連結部と支持体の固定部位では、連結部に対して支持体が回動し難くなる。よって、作業者は、長尺状である飲食店用移動体の持ち運び等を容易に行い易くなる。ただし、連結部における一対の接続部位の両方を、回動連結部によって支持体に接続することも可能である。
【0027】
各々の支持体における上面または側面の外周部(つまり、支持体を上方から見た場合の支持体の外周部)の少なくとも一部に、上面からさらに上方に突出する突出部が設けられていてもよい。この場合、支持体の上面に載置された物体が、支持体の上面から離脱してしまう可能性が、突出部によって適切に抑制される。
【0028】
なお、突出部は、支持体における上面の外周端部(支持体の側面でもよい)に設けられていてもよいし、外周端部よりも僅かに内側の部位に設けられていてもよい。
【0029】
突出部の形状は、外周部に沿って一定の長さを有するフランジ形状に形成されていてもよい。この場合、支持体の上面の物体が離脱してしまう可能性がより適切に抑制される。ただし、突出部の具体的な形状を変更することも可能である。例えば、外周部に沿って並べられた複数の棒状の部材、または複数の爪状の部材等が、突出部として用いられてもよい。
【0030】
複数の支持体には、前端支持体、後端支持体、および中間支持体が含まれていてもよい。前端支持体は、複数の支持体のうち、搬送路の搬送方向における前端側に配置される。後端支持体は、複数の支持体のうち、搬送方向における後端側に配置される。中間支持体は、複数の支持体のうち、前端支持体と後端支持体の間に配置される。中間支持体では、外周部のうち、搬送方向における前後方向の両端部を除く領域に突出部が設けられていてもよい。この場合、複数の支持体の上面に亘って物体(例えば、長尺状の物体等)が載置されても、突出部が物体に干渉し難くなる。従って、作業者は、より安定した状態で適切に物体を複数の支持体の上面に載置することができる。また、例えば、複数の支持体の上面を、搬送方向に亘って平行な平面に形成することも可能である。
【0031】
なお、前述したように、各々の連結部を、一方の支持体において接続または固定された位置から、他方の支持体の底面部の上方を通過させて、他方の支持体における接続位置で接続することも可能である。この場合、中間支持体のうち、前後方向の両端部を除く領域に突出部を設けることで、中間支持体上面の前後方向両端部では、連結部が突出部に干渉することなく、接続位置を中心として適切に回動する。また、中間支持体のうち、左右方向に形成する突出部の位置を適切に規定することで、支持体に対する連結部の回動範囲を適切な範囲に規制することも可能である。
【0032】
前端支持体には、外周部のうち、搬送方向における後端部を除く領域(例えば、後端部を除く領域の全体)に突出部が設けられていてもよい。この場合、前端支持体の上面に載置された物体が、支持体の上面から前方および側方に離脱してしまう可能性が、突出部によって適切に抑制される。さらに、前端支持体と、隣接する中間支持体の上面に亘って物体が載置されても、突出部が物体に干渉し難くなる。
【0033】
後端支持体には、外周部のうち、搬送方向における前端部を除く領域(例えば、前端部を除く領域の全体、または、前端部と後端部を除く左右の領域等)に突出部が設けられていてもよい。
【0034】
複数の支持体のうち、少なくとも前端支持体の底面には、下方に向けて突出する爪部が設けられてもよい。連結部によって連結された複数の支持体は、前端支持体の移動方向に連なって移動していく。前端支持体の底面の爪部によって、前端支持体が搬送路に係止され易くなることで、前端支持体の移動経路が、搬送路の経路に沿いやすくなる。その結果、連結された複数の支持体の全体の移動経路も、搬送路の経路に沿いやすくなる。
【0035】
なお、支持体の底面の爪部は、前端支持体にのみ設けられていてもよいし、複数の支持体の各々に設けられていてもよい。また、支持体と搬送路の間の摩擦力が十分である場合等には、支持体の底面の爪部を省略することも可能である。
【0036】
各々の支持体における上面または側面の外周部(つまり、支持体を上方から見た場合の支持体の外周部)の少なくとも一部に、支持体によって支持された物体を外部から視認可能な状態で、上面からさらに上方に延びることで、外部からの物体への接触を防止するカバー部材が設けられていてもよい。この場合、支持体によって支持された物体を来店客に視認させつつ、来店客が物体に接触することを適切に抑制することができる。さらに、支持体によって支持された物体が、支持体から離脱してしまう可能性も、カバー部材によって適切に低下する。
【0037】
なお、カバー部材の材質には種々の材質を採用できる。例えば、適度な剛性、適度な可撓性、および光透過性を有する樹脂材料等が、カバー部材として採用されてもよい。また、メッシュ状の材質等をカバー部材として使用することも可能である。なお、カバー部材の上端部には、カバー部材の上端部の形状を保持する補強片が設けられていてもよい。この場合、カバー部材の形状が安定するので、見栄えも向上し、且つ、来店客による物体への接触防止機能も確保され易い。また、カバー部材は、支持体における上面の外周端部(支持体の側面でもよい)に設けられていてもよいし、外周端部よりも僅かに内側の部位に設けられていてもよい。
【0038】
中間支持体では、外周部のうち、搬送方向における前後方向の両端部を除く領域にカバー部材が設けられていてもよい。この場合、中間支持体のカバー部材が、複数の支持体の上面に亘って物体(例えば、長尺状の物体等)を載置する際の邪魔になり難い。従って、飲食店用移動体は、長尺状の物体等、種々の物体を複数の支持体によって支持しつつ、来店客が物体に接触することを適切に抑制することができる。
【0039】
なお、搬送装置を備えた飲食店では、来店客の飲食スペースが、搬送路の搬送方向に交差する左右方向の一方にのみ設けられる場合もある。従って、カバー部材は、支持体の上面の外周部のうち、左右方向の一方にのみ設けられていてもよい。この場合でも、カバー部材は、来店客が物体に接触することを適切に抑制することができる。
【0040】
前端支持体には、外周部のうち、搬送方向における後端部を除く領域(例えば、後端部を除く領域の全体等)にカバー部材が設けられていてもよい。この場合、前端支持体と、隣接する中間支持体の上面に亘って物体を支持させることが許容された状態で、来店客が物体に接触することが適切に抑制される。
【0041】
後端支持体には、外周部のうち、搬送方向における前端部を除く領域(例えば、前端部を除く領域の全体、または、前端部と後端部を除く左右の領域等)にカバー部材が設けられていてもよい。
【0042】
各々の支持体における外周部の少なくとも一部に設けられた突出部が、カバー部材が装着される装着部を兼ねてもよい。この場合、飲食店用移動体の構成が複雑になることが抑制された状態で、支持体からの物体の離脱、および、来店客の物体への接触が共に抑制される。
【0043】
なお、カバー部材を支持体に装着するための具体的な方法は適宜選択できる。例えば、カバー部材が上方から挿入される溝部が、支持体(例えば、支持体に設けられた突出部等)に形成されていてもよい。この場合、作業者は、カバー部材を溝部に上方から差し込むだけで、容易にカバー部材を支持体に装着することができる。また、ネジ等によってカバー部材を支持体に装着することも可能である。
【0044】
連結部によって連結された複数の支持体を直線上に並べて配置した状態で、搬送方向に交差する左右方向から飲食店用移動体を見た場合に、搬送方向に沿って隣接する一対のカバー部材の一部が互いに重複していてもよい。この場合、隣接する一対のカバー部材の隙間から来店客の手等が挿入され難くなる。よって、来店客が物体に接触することがさらに適切に抑制される。
【0045】
飲食店用移動体は、着脱部材をさらに備えていてもよい。着脱部材は、物体が載置される載置部を上面側(上方を向く面側)に備える。着脱部材は、載置部と支持体の底面部との間に空間が確保された状態で、複数の支持体のうちの少なくともいずれかに着脱可能に装着される。この場合、作業者は、支持体に装着された着脱部材の載置部に、種々の物体(例えば、連結された複数の支持体に亘って延びる長尺状の物体等)を載置することができる。さらに、載置部と支持体の底面部の間に空間が確保される。従って、作業者は、例えば、見栄えを悪化させる要因となる物体(例えば、配線、電源、およびスイッチ等の少なくともいずれか)を、載置部と支持体の底面部の間の空間に配置することで、飲食店用移動体の見栄えを向上させることもできる。また、作業者は、来店客に視認させる必要が無い物体を、載置部と支持体の底面部の間の空間に配置することで、来店客に視認させる物体を載置させるためのスペースを載置部上に確保することも可能である。従って、来店客の注目を、より十分且つ適切に搬送路上の飲食店用移動体に集めることができる。
【0046】
着脱部材の載置部と、支持体の底面部の間に空間を確保するための具体的な構成は適宜選択できる。例えば、着脱部材は、載置部の底面(例えば、底面における外周部の少なくとも一部)からさらに下方に延びる支持部材(例えば、複数の柱状部材、および、フランジ状の部材等の少なくともいずれか)を備えていてもよい。この場合、着脱部材の支持部材が支持体(例えば、支持体の底面部等)に設置されることで、載置部と支持体の底面部の間に空間が適切に確保される。なお、載置部の底面の外周部に支持部材を設ける場合、載置部の底面の外周部のうち、搬送方向における前後方向の両端部を除く領域に支持部材が形成されてもよい。この場合、載置部と支持体の間の空間が、連結部によって連結された複数の支持体に亘って連通する。従って、作業者は、載置部と支持体の間の空間に長尺状の物体(例えば配線等)を通すことも可能である。
【0047】
また、支持体の少なくとも一部(例えば、支持体の突出部の内側等)に段差部が形成されていてもよい。この場合、支持体の段差部に着脱部材が装着されることで、載置部と支持体の底面部の間に空間が適切に確保される。
【0048】
載置部の上面の少なくとも一部は平面状に形成されていてもよい。この場合、作業者は、種々の物体を安定した状態で載置部の上面に載置することができる。また、載置部は略板状の部材によって形成されていてもよい。載置部の構成を変更することも可能である。例えば、複数の棒状の部材が並べられることで載置部が構成されてもよい。メッシュ状の部材によって載置部が構成されてもよい。また、載置部の上面の形状を曲面形状または凹凸形状等に形成することも可能である。
【0049】
着脱部材の載置部には、載置部と支持体の底面部との間の空間と、載置部よりも上方の空間を連通させる貫通部が形成されていてもよい。この場合、作業者は、種々の部材(例えば、載置部の下方の空間に配置され、且つ載置部に載置された物体に接続される配線等)を、貫通部に通すことができる。従って、来店客の注目を、より適切に搬送路上の飲食店用移動体に集めることができる。
【0050】
なお、貫通部の具体的な構成は適宜選択できる。例えば、貫通部は、載置部を上下方向に貫通する貫通孔であってもよい。また、貫通部は、載置部の外周部の一部に形成された切り欠き等であってもよい。載置部に形成する貫通部の数および大きさ等を適宜選択できることは言うまでもない。
【0051】
複数の支持体の連結形状に従って変形可能であり、且つ電気的演出を実行する長尺状の演出部が、複数の連結部によって長尺状に連結された複数の支持体に亘って設置されてもよい。この場合、飲食店用移動体は、1つの支持体のみでは支持することが困難な長尺状の演出部を支持し、演出部に電気的演出を実行させながら搬送路上を移動することができる。従って、来店客の注目を、より十分且つ適切に搬送路上の飲食店用移動体に集めることができる。
【0052】
演出部には種々の構成を採用することができる。例えば、可撓性を有する電子ペーパー、連結位置において屈曲可能な状態で連結された複数のモニタ、および、発光する電飾(例えばLED等)等の少なくともいずれかが演出部として使用されてもよい。また、音声を発生するスピーカが、長尺状の演出部と共に支持体に設置されてもよい。この場合、長尺状の演出部による演出に音声が加わることで、より十分に来店客の注目を集めることができる。
【0053】
ただし、連結された複数の支持体に設置する物体を変更することも可能である。例えば、複数の支持体に亘って延びる長尺状の印刷物等が、複数の支持体に設置されてもよい。この場合でも、1つの支持体のみでは支持することが困難な長尺状の物体が搬送されることで、来店客の注目を十分に集めることが可能である。また、搬送方向における長さが短い複数の物体を、連結された複数の支持体に設置することも可能である。
【0054】
本開示における飲食店用搬送システムの別態様について説明する。別態様の飲食店用搬送システムは、搬送装置と飲食店用移動体を備える。搬送装置は、搬送路上に載置された物体を搬送する。飲食店用移動体は、搬送路上に載置されることで、搬送路の経路に沿って搬送される。飲食店用移動体は、搬送路の搬送方向に沿う方向の長さが、搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の連続した上面を有する。飲食店用移動体は、長尺方向が搬送方向に一致した状態で搬送路上に載置されると共に、搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の物体であって、来店客に向けて報知または演出を行うために設けられる物体を支持することができる。
【0055】
別態様の飲食店用搬送システムによると、飲食物を載せる1つの皿に広告物または演出物等の物体を載置して搬送させる場合とは異なり、長尺状の物体を搬送させて来店客に向けて報知または演出を行うことで、来店客の注目を十分に集めることができる。また、2つの皿を単に並べる場合、および、2つの皿を連結させる場合には、2つの皿の間に隙間が生じてしまう。これに対し、別態様の飲食店用移動体は、搬送路の幅の2倍よりも長い長尺状の連続した上面を有する。従って、別態様の飲食店用搬送システムによると、2つの皿だけでは支持することが困難な長尺状の物体を支持した状態で搬送路上を移動することも可能である。よって、来店客の注目を十分且つ適切に飲食店用移動体に集めることができる。
【0056】
なお、別態様の飲食店用搬送システムの搬送装置は、直線状の搬送路に沿って物体を搬送する(例えば、飲食物を注文者の元へ直接搬送する)構成を備えていてもよい。別態様の飲食店用移動体は、直線状の搬送路に沿って移動してもよい。
【0057】
別態様の飲食店用移動体が支持する物体は、飲食物または飲食物容器等とは異なる物体であってもよく、例えば、来店客(客席)に向けて報知または演出を行う物体であってもよい。来店客に報知または演出を行う物体には、例えば、飲食物の内容の報知、宣伝(所謂POP広告等)、来店客へのメッセージ(例えば、感謝、お祝い、来店客へのアピール等)の報知等の少なくともいずれかを行う物体等を採用できる。また、来店客に報知または演出を行う物体は、例えば、電飾による演出、モニタによる演出等の少なくともいずれかを行う物体であってもよい。また、音声による報知または演出が採用されてもよいことは言うまでもない。
【0058】
別態様の支持体における上面または側面の外周部の少なくとも一部に、上面からさらに上方に突出する突出部が設けられていてもよい。この場合、支持体の上面に載置された物体が、支持体の上面から離脱してしまう可能性が、突出部によって適切に抑制される。別態様の突出部の構成には、前述した突出部の構成の少なくとも一部を採用することも可能である。
【0059】
別態様の支持体における上面またら側面の外周部の少なくとも一部に、支持体によって支持された物体を外部から視認可能な状態で、上面からさらに上方に延びることで、外部からの物体への接触を防止するカバー部材が設けられていてもよい。この場合、支持体によって支持された物体を来店客に視認させつつ、来店客が物体に接触することを適切に抑制することができる。さらに、支持体によって支持された物体が、支持体から離脱してしまう可能性も、カバー部材によって適切に低下する。別態様のカバー部材の構成には、前述したカバー部材の構成の少なくとも一部を採用することも可能である。
【0060】
支持体における外周部の少なくとも一部に設けられた突出部が、カバー部材が装着される装着部を兼ねてもよい。この場合、飲食店用移動体の構成が複雑になることが抑制された状態で、支持体からの物体の離脱、および、来店客の物体への接触が共に抑制される。
【0061】
別態様の支持体は、物体が載置される載置部を備えていてもよい。載置部は、支持体の底面部との間に空間が確保された状態で支持体に設けられてもよい。この場合、作業者は、支持体に設けられた載置部に、種々の物体(例えば長尺状の物体等)を載置することができる。さらに、載置部と支持体の底面部の間に空間が確保される。従って、作業者は、例えば、見栄えを悪化させる要因となる物体(例えば、配線、電源、およびスイッチ等の少なくともいずれか)を、載置部と支持体の底面部の間の空間に配置することで、飲食店用移動体の見栄えを向上させることもできる。また、作業者は、来店客に視認させる必要が無い物体を、載置部と支持体の底面部の間の空間に配置することで、来店客に視認させる物体を載置させるためのスペースを載置部上に確保することも可能である。従って、来店客の注目を、より十分且つ適切に搬送路上の飲食店用移動体に集めることができる。
【0062】
別態様の載置部の構成には、前述した載置部の構成の少なくとも一部を採用することも可能である。ただし、別態様の載置部は、支持体に対して着脱可能に装着されてもよいし、支持体に対して固定されていてもよい。いずれの場合でも、載置部と支持体の底面部の間に空間が確保されることで、より適切に来店客の注目を集めることができる。
【0063】
別態様の飲食店用移動体には、電気的演出を実行する長尺状の演出部が設置されてもよい。この場合、飲食店用移動体は、2つの皿のみでは支持することが困難な長尺状の演出部を支持し、演出部に電気的演出を実行させながら搬送路上を移動することができる。従って、来店客の注目を、より十分且つ適切に搬送路上の飲食店用移動体に集めることができる。別態様の演出部の構成には、前述した演出部の構成の少なくとも一部を採用することも可能である。また、音声を発生するスピーカが、長尺状の演出部と共に支持体に設置されてもよい。この場合、長尺状の演出部による演出に音声が加わることで、より十分に来店客の注目を集めることができる。
【0064】
<実施形態>
(飲食店用搬送システムの概略構成)
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態における飲食店用搬送システム100について説明する。図1に示すように、本実施形態の飲食店用搬送システム100は、搬送装置101を備える。搬送装置101は、搬送路102上に載置された物体(飲食物、飲食物用容器(例えば、皿)、および飲食店用移動体1(図2参照)等)を搬送する。搬送路102はカーブを有する。図1に例示する搬送路102の経路(搬送経路)は、厨房Kと客室Gの間を循環する循環経路となっている。厨房Kにおいて搬送路102上に載置された物体は、搬送経路に沿って、客室Gに配置された複数のテーブル104(飲食スペース)の各々の近傍に順に搬送される。客室G内で取り出されなかった物体は、そのまま厨房Kに戻る。搬送路102には、例えば、複数のプレートを経路に沿って移動させるクレセントチェーン等を採用できる。
【0065】
客室Gにおける各々のテーブル104の近傍には、タッチパネル式の表示装置である注文装置106が設けられている。来店客は、注文装置106を操作することで所望の商品を注文することができる。また、厨房Kには、タッチパネル式の表示装置である注文内容表示装置107が設けられている。店員は、注文内容表示装置107に表示された注文内容を確認し、注文された商品を搬送路102上に載置する。
【0066】
(飲食店用移動体の概略構成)
図2図7を参照して、本実施形態の飲食店用搬送システム100が備える飲食店用移動体1について説明する。飲食店用移動体1は、搬送装置101の搬送路102(図1および図7参照)上に載置されることで、搬送経路に沿って搬送される。図2図3図5図7では、図面右側を、搬送路102の搬送方向の前方(進行方向)とし、図面左側を、搬送路102の搬送方向の後方(進行方向とは反対の方向)とする。
【0067】
図2に示すように、本実施形態の飲食店用移動体1は、複数の支持体10(10A、10B、10C)、および、複数の連結部30を備える。複数の支持体10は、搬送路102上に載置される。複数の支持体10の各々は、物体を支持することができる。複数の連結部30の各々は、互いに隣接する一対の支持体10の各々に接続または固定される。複数の連結部30の各々は、接続または固定された一対の支持体10のセットのうち、一方の支持体10に対して他方の支持体10を、鉛直方向(図2の矢印で示す方向のうち上下方向)に延びる軸Oを中心として回動可能に連結する(図2および図3参照)。つまり、複数の連結部30の各々は、互いに隣接する一対の支持体10を1つのセットとして、複数の支持体10のセットを連続して長尺状に連結する。その結果、複数の連結部30によって長尺状に連結された複数の支持体10が、搬送路102のカーブに沿って蛇行して移動する。
【0068】
従って、搬送路102に沿う方向の飲食店用移動体1の長さを長くしても、飲食店用移動体1の搬送路102からの離脱、搬送経路外の物体への接触、および転倒等の不具合が生じにくい状態で、飲食店用移動体1が適切に移動する。さらに、支持体10は物体を支持することができる。従って、連結された複数の支持体10は、例えば、1つの支持体10のみでは支持することが困難な長尺状の物体(例えば、後述する演出部60(図7参照)等)を支持した状態で、搬送路102上を移動することも可能である。よって、飲食店は、本実施形態の飲食店用移動体1を用いることで、来店客の注目を十分且つ適切に搬送路102上の飲食店用移動体1に集めることができる。
【0069】
本実施形態の飲食店用移動体1は、3つ以上の支持体10を備える。従って、飲食店用移動体1は、搬送路102に沿う方向の長さがより長い物体を支持した状態で、搬送路102上を適切に移動することができる。なお、本実施形態では、支持体10の数をN個(Nは3以上の自然数)とした場合、N-1個の連結部30を用いることで、N個の支持体10が適切に長尺状に連結される。
【0070】
具体的には、図2に示す例では、搬送方向の前方から見て、1番目の支持体10Aと2番目の支持体10Cのセット、2番目の支持体10Cと3番目の支持体10Cのセット、3番目の支持体10Cと4番目の支持体10Cのセット、4番目の支持体10Cと5番目の支持体10Cのセット、5番目の支持体10Cと6番目の支持体10Cのセット、6番目の支持体10Cと7番目の支持体10Bのセットの各々が、連結部30によって連結される。換言すると、搬送方向の前方から見て、K番目(Kは1以上の自然数)の支持体10と、K+1番目の支持体10のセットが、連結部30によって回動可能に連結される。
【0071】
以下の説明では、連結される複数の支持体10のうち、搬送路102の搬送方向における前端側(図2における右端側)に配置される支持体10を、前端支持体10Aとする。搬送方向における後端側(図2における左端側)に配置される支持体10を、後端支持体10Bとする。前端支持体10Aと後端支持体10Bの間に配置される1つまたは複数の支持体10を、中間支持体10Cとする。
【0072】
また、本実施形態の飲食店用移動体1は、カバー部材40(40A、40B、40C)を備える。カバー部材40は、複数の支持体10の少なくともいずれかに設けられる。カバー部材40は、各々の支持体10における底面部11の上面(上方を向く面)または側面の外周部(つまり、支持体10を上方から見た場合の支持体10の外周部)の少なくとも一部に、支持体10によって支持された物体を外部から視認可能な状態で、支持体10の底面部11の上面からさらに上方に延びる。従って、支持体10によって支持された物体を来店客に視認させつつ、来店客が物体に接触することが適切に抑制される。さらに、支持体10によって支持された物体が、支持体10から離脱してしまう可能性も、カバー部材40によって適切に低下する。カバー部材40の詳細については後述する。
【0073】
また、本実施形態の飲食店用移動体1は、1つまたは複数の着脱部材50を備える。着脱部材50は、物体が載置される載置部51を上面側(上方を向く面側)に備える。着脱部材50は、載置部51と支持体10の底面部11の上面との間に空間を確保した状態で、複数の支持体10のうちの少なくともいずれかに着脱可能に装着される。なお、図2に示す例では、着脱部材50が装着されていない状態の支持体10も図示するために、7個の支持体10のうちの4個に着脱部材50が装着された状態を示す。しかし、複数の支持体10の全てに着脱部材50が装着されてもよいことは言うまでもない。
【0074】
作業者は、支持体10に装着された着脱部材50の載置部51に、種々の物体(例えば、後述する長尺状の演出部60(図7参照)等)を載置することができる。さらに、載置部51と支持体10の底面部11の間に空間が確保される。従って、作業者は、例えば、見栄えを悪化させる要因となる物体(例えば、配線、電源、およびスイッチ等の少なくともいずれか)を、載置部51と支持体10の底面部11の間の空間に配置することで、飲食店用移動体1の見栄えを向上させることもできる。また、作業者は、来店客に視認させる必要が無い物体を、載置部51と支持体10の底面部11の間の空間に配置することで、来店客に視認させる物体を載置させるためのスペースを載置部51上に確保することも可能である。従って、来店客の注目を、より十分且つ適切に搬送路上の飲食店用移動体1に集めることができる。着脱部材50の詳細については、図5および図6を参照して後述する。
【0075】
(支持体・連結部)
図2図4を参照して、本実施形態の飲食店用移動体1における支持体10および連結部30の構成について詳細に説明する。図3は、連結部30によって連結された状態の前端支持体10Aおよび中間支持体10Cの平面図である。図4は、図3に示す状態から、前端支持体10Aが中間支持体10Cに対して軸Oを中心に回動した状態を示す平面図である。
【0076】
図2図4に示すように、支持体10のうち、少なくとも物体を支持することが可能な上面(本実施形態では、底面部11の上面)の少なくとも一部(本実施形態では、底面部11の上面のうち、後述する突出部13の設置位置以外の部分の全体)は、平面状に形成されている。従って、この場合、作業者(例えば、飲食店の店員等)は、種々の物体を安定した状態で支持体10の上面に支持させることができる。本実施形態では、支持体10のうち、少なくとも、物体を支持することが可能な底面部11は板状の部材によって形成されている。従って、作業者は、底面部11の底面を搬送路102上にそのまま載置することで、搬送路102上における飲食店用移動体1の姿勢を安定させることも可能である。なお、本実施形態の支持体10は、剛性を有する金属によって形成されている。ただし、他の材料(例えば樹脂等)によって支持体10が形成されていてもよい。
【0077】
図3および図4に示すように、互いに隣接する一対の支持体10のうち、搬送方向の前側に配置される支持体10(図3および図4では、前端支持体10A)の後端部(後方を向く部分)の少なくとも一部の平面視形状は、前方に向けて凹状の円弧状である後端円弧部12Rに形成されている。つまり、搬送方向の前側に配置される支持体10の後端部は前方に向けて凹んでいる。また、互いに隣接する一対の支持体10のうち、搬送方向の後側に配置される支持体(図3および図4では、中間支持体10C)の前端部(前方を向く部分)の少なくとも一部の平面視形状は、前側の支持体10(図3および図4では、前端支持体10A)の後端円弧部12Rにおける円弧と同じ曲率で、前側の支持体10の後端円弧部12Rに沿う前端円弧部12Fに形成されている。従って、飲食店用移動体1が搬送路102のカーブを通過する際に、一対の支持体10の一方が他方に対して回動しても、一対の支持体10の間に隙間が生じにくくなる。従って、支持体10によって支持された物体が隙間から落下する不具合、および、隙間に入り込んだ物体が挟み込まれてしまう不具合等が適切に減少する。
【0078】
より詳細には、各々の連結部30は、互いに隣接する一対の支持体10のうち、前側の支持体10(図3および図4では前端支持体10A)の後端円弧部12Rと、後側の支持体10(図3および図4では中間支持体10C)の前端円弧部12Fが沿う状態(例えば、略一定間隔の僅かな隙間がある状態、または接触した状態等)で、一対の支持体10を連結する。さらに、各々の連結部30は、互いに沿った状態で配置される後端円弧部12Rと前端円弧部12Fの円弧の中心位置を、一対の支持体10の一方に対する他方の支持体10の回動の中心軸Oとして、一対の支持体10を連結する。その結果、後端円弧部12Rと前端円弧部12Fの間の隙間が略一定となった状態、または、後端円弧部12Rと前端円弧部12Fが隙間なく接触した状態で、一対の支持体10の一方に対して他方が回動する。従って、一対の支持体10の間の隙間がさらに生じにくくなった状態で、複数の支持体10が搬送路102上を円滑に蛇行し易くなる。
【0079】
図2に示すように、本実施形態では、互いに隣接する一対の支持体10のセットの全てにおいて、前側の支持体10の後端円弧部12Rを前方に向けて凹状に形成し、且つ、後側の支持体10の前端円弧部12Fを前方に向けて凸状に形成している。その結果、連結された複数の支持体10が、搬送経路に沿ってより円滑に蛇行する。作業者による飲食店用移動体1の組付けも容易になる。しかし、互いに隣接する一対の支持体10のセットの全てにおいて、前側の支持体10の後端円弧部12Rを後方に向けて凸状に形成し、且つ、後側の支持体10の前端円弧部12Fを後方に向けて凹状に形成してもよい。また、前側の支持体10の後端円弧部12Rを前方に向けて凹状とし、後側の支持体10の前端円弧部12Fを前方に向けて凸状とする一対の支持体10のセットを、第1セットとする。逆に、前側の支持体10の後端円弧部12Rを後方に向けて凸状とし、後側の支持体10の前端円弧部12Fを後方に向けて凹状とする一対の支持体10のセットを、第2セットとする。1つの飲食店用移動体1に含まれる複数の支持体10のセットの中に、第1セットと第2セットが混在していていもよい。例えば、長尺状である飲食店用移動体1の長手方向に沿って、第1セットと第2セットが交互に配置されていてもよい。
【0080】
図3および図4に示すように、各々の連結部30は、互いに隣接する一対の支持体10のうち、一方の支持体10(図3および図4では前端支持体10A)において接続または固定(本実施形態では固定)された位置から、他方の支持体10(図3および図4では中間支持体10C)の底面部11の上方を通過して、他方の支持体10における接続位置(本実施形態では、軸Oに一致する回動連結部32)へ延びる。図3および図4に示すように、飲食店用移動体1が搬送路102のカーブを通過する際には、連結部30は、回動の軸Oを中心として支持体10(図3および図4では中間支持体10C)に対して回動する。連結部30を、支持体10の底面部11の上方に配置することで、連結部30が回動の軸Oを中心として回動しても、回動する連結部30は、支持体10が載置された搬送路102上に干渉しなくなる。従って、例えば、連結部30の回動が搬送路102との干渉によって阻害される不具合、および、搬送路102の傷の発生等が適切に抑制される。
【0081】
図3および図4に示すように、本実施形態では、各々の連結部30は剛性を有する材質によって形成されている。従って、連結部30によって連結される一対の支持体10の間の相対的な位置関係が安定するので、複数の支持体10が搬送路102上を円滑に蛇行し易くなる。本実施形態の連結部30は、剛性を有する金属によって形成されている。しかし、他の材料(例えば樹脂等)によって連結部30が形成されていてもよい。
【0082】
本実施形態では、各々の連結部30のうち、少なくとも支持体10に接続または固定される一対の部位の、搬送経路の搬送方向に交差する左右方向の幅が、上下方向の厚みよりも大きい。従って、連結部30は、隣接する一対の支持体10の一方に対して他方の支持体10を、鉛直方向に延びる軸Oを中心として回動可能に連結しつつ、他の方向に回動することを抑制することができる。よって、作業者は、長尺状である飲食店用移動体1の持ち運び等を容易に行い易くなる。例えば、作業者が飲食店用移動体1を持ち運ぶ際に、連結された複数の支持体10の一部が長手方向に延びる軸を中心として回動してしまい、支持体10に載置された物体が落下してしまう不具合等も抑制される。また、支持体10と連結部30の間の接続または固定の強度も増加する。
【0083】
詳細には、本実施形態では、各々の連結部30の全体が、剛性を有する板状の部材(一例として、本実施形態では金属板)によって形成されている。板状である連結部30の左右方向の幅が、上下方向の厚みよりも大きくなるように、連結部30が支持体10に接続または固定されている。従って、連結部30の構成を簡素化しつつ、飲食店用移動体1の持ち運び等も容易になる。
【0084】
本実施形態では、連結部30のうち、隣接する一対の支持体10の各々に接続(固定)される一対の接続部位のうちの一方(本実施形態では、一対の支持体10のうち、後側の支持体10(図3および図4では中間支持体10C))は、鉛直方向に延びる軸Oを中心として支持体10と連結部30を相対的に回動可能に連結する回動連結部32(例えば回転ピン等)によって支持体10に接続されている。従って、一方の支持体10に対して他方の支持体10が回動可能な状態で適切に連結される。
【0085】
また、本実施形態では、連結部30における一対の接続部位のうち、回動連結部32による接続部位とは反対側の接続部位(図3および図4では、右側の連結部30の右端部)は、支持体10(本実施形態では、一対の支持体10のうち、前側の支持体10(図3および図4では前端支持体10A))に対して着脱されない状態で固定されている。従って、連結部30と支持体10の固定部位では、連結部30に対して支持体10が回動し難くなる。よって、作業者は、長尺状である飲食店用移動体1の持ち運び等を容易に行い易くなる。
【0086】
図2図4に示すように、各々の支持体10における底面部11の上面(上方を向く面)または側面の外周部の少なくとも一部に、上面からさらに上方に突出する突出部13(図2では、前端支持体10Aの突出部13A、後端支持体10Bの突出部13B,および中間支持体10Cの突出部13C)が設けられている。従って、支持体10の底面部11の上面に載置された物体が、底面部11の上面から離脱してしまう可能性が、突出部13によって適切に抑制される。
【0087】
本実施形態の突出部13は、支持体10における底面部11の上面の外周端部の少なくとも一部に設けられている。その結果、物体を載置することが可能な底面部11の上面の面積が適切に確保されている。しかし、突出部13は、底面部11の上面の外周端部よりも内側の部位に設けられていてもよい。また、本実施形態の突出部13の形状は、底面部11の外周部に沿って一定の長さを有するフランジ形状に形成されている。その結果、例えば、支持体10の底面部11に小さい物体が載置されている場合等でも、物体が離脱してしまう可能性がより適切に抑制される。しかし、突出部13の具体的な形状を変更することも可能である。例えば、底面部11の上面の外周部に沿って並べられた複数の棒状の部材、または複数の爪状の部材等が、突出部として用いられてもよい。
【0088】
図3および図4に示すように、中間支持体10Cでは、底面部11の外周部のうち、搬送方向における前後方向の両端部を除く領域(本実施形態では、左端部および右端部の各々の領域)に突出部13Cが設けられている。従って、長尺状に連結された複数の支持体10の上面に亘って物体(例えば、長尺状の物体等)が載置されても、突出部13Cが物体に干渉し難くなる。従って、作業者は、より安定した状態で適切に、物体を複数の支持体10の上面に載置することができる。また、本実施形態のように、複数の支持体10の上面を、搬送方向に亘って平行な平面に形成することも可能である。
【0089】
また、図2に示すように、後端支持体10Bには、底面部11の外周部のうち、搬送方向における前端部を除く領域(本実施形態では、前端部と後端部を除く左右の領域等)に突出部13Bが設けられている。よって、作業者は、より安定した状態で適切に、物体を複数の支持体10の上面に載置することができる。
【0090】
また、図3および図4に示すように、本実施形態の連結部30は、互いに隣接する一対の支持体10のうち、一方の支持体10において接続または固定された位置から、他方の支持体10の底面部11の上方を通過して、他方の支持体10における接続位置へ延びる。この場合、中間支持体10Cのうち、前後方向の両端部を除く領域に突出部13Cを設けることで、中間支持体10Cの上面の前後方向両端部では、連結部30が突出部13Cに干渉することなく、接続位置を中心として適切に回動する。また、中間支持体10Cのうち、左右方向に形成する突出部13Cの位置を適切に規定することで、中間支持体10Cに対する連結部30の回動範囲が適切な範囲に規制されている。なお、後端支持体10B(図2参照)についても同様に、後端支持体10Bの前端部では、連結部30が突出部13Bに干渉することなく、接続位置を中心として適切に回動する。また、後端支持体10Bのうち、左右方向に形成する突出部13Bの位置を適切に規定することで、後端支持体10Bに対する連結部30の回動範囲が適切な範囲に規制されている。
【0091】
図3および図4に示すように、前端支持体10Aには、外周部のうち、搬送方向における後端部を除く領域(本実施形態では、後端部を除く領域の全体)に突出部13Aが設けられている。従って、前端支持体10Aの上面に載置された物体が、前端支持体10Aの上面から前方および側方に離脱してしまう可能性が、突出部13Aによって適切に抑制される。さらに、前端支持体10Aの上面と、隣接する中間支持体10Cの上面に亘って物体が載置されても、突出部13Aが物体に干渉し難くなる。
【0092】
図2に示すように、複数の支持体10のうち、少なくとも前端支持体10Aの底面には、下方に向けて突出する爪部15が設けられている。連結部30によって連結された複数の支持体10は、前端支持体10Aの移動方向に連なって移動していく。前端支持体10Aの底面の爪部15によって、前端支持体10Aが搬送路102に係止され易くなることで、前端支持体10Aの移動経路が、搬送路102の経路に沿いやすくなる。その結果、連結された複数の支持体10の全体の移動経路も、搬送路102の経路に沿いやすくなる。なお、支持体10の底面の爪部15は、前端支持体10Aにのみ設けられていてもよいし、複数の支持体10の各々に設けられていてもよい。また、支持体10と搬送路102の間の摩擦力が十分である場合等には、支持体10の底面の爪部15を省略することも可能である。
【0093】
(カバー部材)
図2を参照して、本実施形態のカバー部材40について詳細に説明する。カバー部材40の材質には種々の材質を採用できる。本実施形態では、適度な剛性、適度な可撓性、および光透過性を有する樹脂材料(本実施形態では透明な樹脂材料)が、カバー部材40として採用されている。また、メッシュ状の材質等をカバー部材として使用することも可能である。
【0094】
本実施形態におけるカバー部材40の上端部には、カバー部材40の上端部の形状を保持する補強片42が設けられている。従って、カバー部材40の形状が安定するので、見栄えも向上し、且つ、来店客による物体への接触防止機能も確保され易い。また、本実施形態のカバー部材40は、支持体10における底面部11の上面(上方を向く面)の外周端部(側面とも言える)に設けられている。その結果、底面部11の上面の面積が広く確保されている。しかし、カバー部材40は、支持体10の底面部11の上面の外周端部よりも内側の部位に設けられていてもよい。
【0095】
図2に示すように、中間支持体10Cでは、外周部のうち、搬送方向における前後方向の両端部(前端部および後端部)を除く領域にカバー部材40Cが設けられている。従って、中間支持体10Cのカバー部材40Cが、複数の支持体10の上面に亘って物体(例えば、長尺状の物体等)を載置する際の邪魔になり難い。よって、飲食店用移動体1は、長尺状の物体等、種々の物体を複数の支持体10によって支持しつつ、来店客が物体に接触することを適切に抑制することができる。
【0096】
なお、図1に示すように、搬送装置101を備えた飲食店では、来店客の飲食スペースが、搬送路102の搬送方向に交差する左右方向の一方にのみ設けられる場合もある。従って、カバー部材40は、支持体10の上面の外周部のうち、左右方向の一方にのみ設けられていてもよい。この場合でも、カバー部材40は、来店客が物体に接触することを適切に抑制することができる。
【0097】
本実施形態の前端支持体10Aには、上面の外周部のうち、搬送方向における後端部を除く領域(本実施形態では、後端部を除く領域の全体)にカバー部材40Aが設けられている。従って、前端支持体10Aと、隣接する中間支持体10Cの上面に亘って物体を支持させることが許容された状態で、来店客が物体に接触することがより適切に抑制される。
【0098】
本実施形態の後端支持体10Bには、上面の外周部のうち、搬送方向における前端部を除く領域(本実施形態では、前端部と後端部を除く左右の領域等)にカバー部材40Bが設けられている。従って、後端支持体10Bと、隣接する中間支持体10Cの上面に亘って物体を支持させることが許容された状態で、来店客が物体に接触することがより適切に抑制される。
【0099】
図3および図4に示すように、本実施形態では、各々の支持体10における底面部11の外周部の少なくとも一部に設けられた突出部13(図3および図4では突出部13Aおよび突出部13C)が、カバー部材40が装着される装着部を兼ねる。従って、飲食店用移動体1の構成が複雑になることが抑制された状態で、支持体10からの物体の離脱、および、来店客の物体への接触が共に抑制される。なお、本実施形態の突出部13には、カバー部材40が上方から挿入される溝部14が形成されている。従って、作業者は、カバー部材40を溝部14に上方から差し込むだけで、容易にカバー部材40を支持体10に装着することができる。
【0100】
図2および図3に示すように、本実施形態では、連結部30によって連結された複数の支持体10を直線上に並べて配置した状態で、搬送方向に交差する左右方向から飲食店用移動体1を見た場合に、搬送方向に沿って隣接する一対のカバー部材40の一部が互いに重複している。その結果、隣接する一対のカバー部材40の隙間から来店客の手等が挿入され難くなる。よって、来店客が物体に接触することがさらに適切に抑制される。
【0101】
(着脱部材)
図2図5、および図6を参照して、本実施形態の着脱部材50について詳細に説明する。図5は着脱部材50の斜視図であり、図6は着脱部材の底面図である。前述したように、着脱部材50は、載置部51と支持体10の底面部11の上面との間に空間を確保した状態で、複数の支持体10のうちの少なくともいずれかに着脱可能に装着される。従って、作業者は、例えば、見栄えを悪化させる要因となる物体(例えば、配線、電源、およびスイッチ等の少なくともいずれか)を、載置部51と支持体10の底面部11の間の空間に配置することで、飲食店用移動体1の見栄えを向上させることが可能である。
【0102】
載置部51の上面の少なくとも一部(本実施形態では、載置部51の上面の全体)は、平面状に形成されている。従って、作業者は、種々の物体を安定した状態で載置部51の上面に載置することができる。なお、本実施形態の載置部51は板状の部材(本実施形態では平板状の部材)によって形成されている。しかし、メッシュ状の部材等によって載置部が構成されてもよい。
【0103】
図2に示すように、着脱部材50における載置部51の平面視形状は、支持体10の底面部11の平面視形状と略同一の形状であり、且つ、底面部11よりも僅かに小さい(具体的には、搬送方向に交差する左右方向の幅が、底面部11の左右方向の幅よりも僅かに小さい)形状に形成されている。従って、複数の支持体10の各々に着脱部材50が装着されることで、複数の着脱部材50の載置部51が同一の平面状に位置する。よって、種々の物体(例えば長尺状の物体等)が、安定した状態で見栄え良く、複数の載置部51上に載置される。
【0104】
図5に示すように、本実施形態の着脱部材50は、載置部51の底面(例えば、底面における外周部の少なくとも一部)からさらに下方に延びる支持部材52を備える。支持部材52の高さは、載置部51と支持体10の底面部11の間に適切な広さの空間を確保するために、所定の高さ(一定の高さ)に設定されている。従って、着脱部材50の支持部材52が支持体10(本実施形態では、支持体10の底面部11)に設置されることで、載置部51と支持体10の底面部11の間に空間が適切に確保される。なお、本実施形態の支持部材52は、フランジ状の部材である。よって、支持体10に装着された着脱部材50の姿勢が安定し易くなる。ただし、支持部材52の形状を柱状等に変更することも可能である。
【0105】
図5および図6に示すように、支持部材52は、載置部51の底面の外周部のうち、搬送方向における前後方向の両端部を除く領域に形成されている。従って、載置部51と支持体10の底面部11の間の空間が、連結部30によって連結された複数の支持体10に亘って連通する。よって、作業者は、載置部51と支持体10の間の空間に長尺状の物体(例えば配線等)を通すことも可能である。
【0106】
着脱部材50の載置部51には、載置部51と支持体10の底面部11との間の空間から、載置部51よりも上方の空間へ連通する貫通部53が形成されている。従って、作業者は、種々の部材(例えば、載置部51の下方の空間に配置され、且つ載置部51に載置された物体に接続される配線等)を、貫通部53に通すことができる。よって、来店客の注目を、より適切に搬送路102上の飲食店用移動体1に集めることができる。なお、本実施形態の貫通部53は、載置部51を上下方向に貫通する貫通孔である。しかし、貫通部は、載置部51の外周部の一部に形成された切り欠き等であってもよい。
【0107】
なお、着脱部材50の構成を変更することも可能である。例えば、支持体10の少なくとも一部(例えば、支持体10の突出部13の内側等)に段差部が形成されていてもよい。この場合、支持体10の段差部に着脱部材が装着されることで、載置部51と支持体10の底面部11の間に空間が適切に確保される。なお、この場合、着脱部材は略平板状等の部材に形成されてもよい。
【0108】
(演出部)
図7および図8を参照して、飲食店用移動体1の使用態様の一例について説明する。図7および図8に示す例では、飲食店用移動体1は演出部60を備える。演出部60は、複数の支持体10(図2等参照)の連結形状に従って変形することができる。演出部60は、飲食店用移動体1と共に搬送される電源部62から供給される電力によって電気的演出を実行することができる。詳細には、演出部60と電源部62は、配線(図示せず)によって接続されている。配線は、着脱部材50の載置部51と、支持体10の底面部11(図2等参照)の間の空間に配置されると共に、載置部51に形成された貫通部53(図5および図6参照)を通じて演出部60に接続されてもよい。搬送路102による搬送方向における演出部60の長さは、1つの支持体10の搬送方向における長さよりも長い。長尺状の演出部60は、複数の連結部30によって長尺状に連結された複数の支持体10に亘って設置されている。従って、本実施形態の飲食店用移動体1は、1つの支持体10のみでは支持することが困難な長尺状の演出部60を支持し、演出部60に電気的演出を実行させながら搬送路102上を移動することができる。よって、来店客の注目を、より十分且つ適切に搬送路102上の飲食店用移動体1に集めることができる。
【0109】
図7に示す例では、電源部62から供給される電力によって発光する複数の電飾(本実施形態ではLED)が演出部60として使用されている。さらに、図7に示す例では、電源部62から供給される電力によって音声を出力するスピーカ61が、長尺状の演出部60と共に支持体10に設置されている。長尺状の演出部60による演出に音声が加わることで、より十分に来店客の注目を集めることができる。
【0110】
図8に示す演出部60では、複数の支持体10(図2等参照)の連結形状に従って変形することが可能な長尺状のシート(図8に示す例では光透過性を有するアクリルシート)に、多数の電飾(図8に示す例ではLED)が規則的に(例えば一定の間隔で)配置されている。図8に示す例では、長尺状のシートに複数のLEDテープライトが貼り付けられることで、演出部60が形成されている。LEDテープライト(「LEDリボンライト」「LEDストリップライト」と言われる場合もある)は、複数のLEDを配線と共に平らなテープ状に加工した照明器具である。図8に示す飲食店用移動体1は、演出部60において規則的に配置された複数の電飾を発光させつつ、搬送路102上を搬送されることで、長尺状の広い範囲で統一感のある演出を来店客に提供することが可能である。なお、図8はモノクロ画像であるため分かりにくいが、図8の演出部60が備える複数の電飾には、発光色が互いに異なる複数の電飾が採用されている。複数の電飾のうち、左右方向に並ぶ同一の横列(縦列でもよい)に属する複数の電飾は、同一の色で発光する。また、電飾が属する列ごとに、複数の発光色のいずれかが選択的に配置されている。その結果、長尺状の領域に亘って統一感のあるグラデーションの演出が展開される。ただし、複数の電飾の発光色は同一の色であってもよい。
【0111】
ただし、演出部の構成を変更することも可能である。例えば、可撓性を有する電子ペーパー、および、連結位置において屈曲可能な状態で連結された複数のモニタ等の少なくともいずれかが演出部として使用されてもよい。また、複数の支持体10に亘って延びる長尺状の印刷物等が、複数の支持体10に設置されてもよい。この場合でも、1つの支持体10のみでは支持することが困難な長尺状の物体が搬送されることで、来店客の注目を十分に集めることが可能である。また、搬送方向における長さが短い複数の物体を、連結された複数の支持体10に設置することも可能である。
【0112】
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態で例示された技術の一部のみを実行することも可能である。具体的には、上記実施形態では支持体10に着脱部材50が装着されるが、着脱部材50を用いずに飲食店用移動体1を使用することも可能である。また、各々支持体10の底面部11の少なくとも一部が、板状の部材で形成されている場合、連結部30は、互いに隣接する一対の支持体10のうち、底面部11における板状の部分同士を上下に重ねた状態で、一対の支持体10を連結してもよい。この場合、一対の支持体10の一方に対して他方が回動しても、一対の支持体10の間に隙間が生じにくくなる。従って、この場合、支持体10の平面視形状を、矩形状等の種々の形状に形成しても、一対の支持体10の間の隙間が生じにくい状態で、複数の支持体10が搬送路102上を円滑に蛇行し易くなる。
【符号の説明】
【0113】
1 飲食店用移動体
10(10A,10B,10C) 支持体
10A 前端支持体
10B 後端支持体
10C 中間支持体
11 底面部
12R 後端円弧部
12F 前端円弧部
13(13A,13B,13C) 突出片
14 溝部
15 爪部
12R 後端円弧部
12F 前端円弧部
30 連結部
32 回動連結部
40 カバー部材
50 着脱部材
51 載置部
52 支持部材
53 貫通部
60 演出部
100 飲食店用搬送システム
101 搬送装置
102 搬送路
【要約】
【課題】来店客の注目を十分且つ適切に集めることが可能な飲食店用移動体および飲食店用搬送システムを提供する。
【解決手段】飲食店用移動体1は、複数の支持体10と、複数の連結部30を備える。各々の支持体10は、搬送路上に載置されると共に、物体を支持することができる。各々の連結部30は、複数の支持体10のうち、互いに隣接する一対の支持体10の各々に接続または固定されることで、一方の支持体10に対して他方の支持体10を、少なくとも鉛直方向に延びる軸を中心として回動可能に連結する。互いに隣接する一対の支持体10をセットとして、複数の連結部30の各々が、複数の支持体10のセットを連続して長尺状に連結することで、連結された複数の支持体10が搬送路のカーブに沿って蛇行して移動する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8