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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】頭部美容器及びピン
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20240904BHJP
   A46B 11/02 20060101ALI20240904BHJP
   A46B 9/06 20060101ALI20240904BHJP
   A45D 24/10 20060101ALI20240904BHJP
   A45D 24/22 20060101ALI20240904BHJP
   A61N 1/26 20060101ALI20240904BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A46B15/00 E
A46B11/02
A46B9/06
A45D24/10
A45D24/22 B
A61N1/26
A61N1/36
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024066900
(22)【出願日】2024-04-17
【審査請求日】2024-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524116450
【氏名又は名称】株式会社CHOUCHOU
(74)【代理人】
【識別番号】100115598
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 脩
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ヤクシン
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/064873(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/096289(WO,A1)
【文献】特開2006-006831(JP,A)
【文献】特開2015-027440(JP,A)
【文献】登録実用新案第3229284(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第115337536(CN,A)
【文献】中国実用新案第210277665(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 9/06
A46B 11/02
A46B 15/00
A45D 24/10
A45D 24/22
A61N 1/26
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、該本体に着脱自在なブラシ体とを備え、該ブラシ体に形成された複数本のピンで頭皮を刺激し、毛髪を含む頭部全体のケアを行う頭部美容器であって、
前記ブラシ体は、
先端のステンレス製の電極部材及び末端の筒状金属部材を真直の鋼線で繋いだ電導体と絶縁性シリコンとを一体成型した柱状のピンが複数形成された基盤体と、該筒状金属部材に接触して該電極部材に所定の電気信号を配信する配線基板と、該基盤体と該配線基板とを収容し、中央に該基盤体及び該配線基板をも貫く穴が形成されたブラシ台と、底面に美容液を噴出する筒状体が形成され、該筒状体を外側に向けて該穴に挿入する該美容液の貯液タンクと、を備え、
前記本体は、
前記配線基板に送信する電気信号を生成する信号生成手段と、加圧空気を送るエアーポンプと、を備え、
前記本体と前記ブラシ体とは、相互を結合する着脱自在な結合手段を有し、該結合手段が結合したとき、該ブラシ体に挿入された前記貯液タンクが該本体に係合して密閉空間が形成され、前記エアーポンプから加圧空気が送られると、前記筒状体から前記美容液が噴出し、前記配線基板に前記電気信号が配信されると、頭皮に接触した前記電極部材から電流が流れて該頭皮を刺激することを特徴とする頭部美容器。
【請求項2】
本体に、複数本のピンが形成されたブラシ体を備え、頭皮を刺激して毛髪を含む頭部全体のケアを行う頭部美容器であって、
前記ブラシ体は、
先端のステンレス製の電極部材及び末端の筒状金属部材を真直の鋼線で繋いだ電導体と絶縁性シリコンとを一体成型した柱状のピンが複数形成された基盤体と、該筒状金属部材に接触して該電極部材に所定の電気信号を配信する配線基板と、該基盤体と該配線基板とを収容し、中央に該基盤体及び該配線基板をも貫く穴が形成されたブラシ台と、底面に美容液を噴出する筒状体が形成され、該筒状体を外側に向けて該穴に挿入する該美容液の貯液タンクと、を備え、
前記本体は、
前記配線基板に送信する電気信号を生成する信号生成手段と、加圧空気を送るエアーポンプと、を備え、
前記ブラシ体に挿入された前記貯液タンクが該本体に係合して密閉空間が形成され、前記エアーポンプから加圧空気が送られると、前記筒状体から前記美容液が噴出し、前記配線基板に前記電気信号が配信されると、頭皮に接触した前記電極部材から電流が流れて該頭皮を刺激することを特徴とする頭部美容器。
【請求項3】
前記本体は、操作ボタンと、該操作ボタンによって選択されたモードに対応するプログラムに基いて所定の指令を行う制御手段と、該制御手段の指令を受けて、所定の機能毎に所定周波数のパルス波を生成するパルス生成手段及び該パルス生成手段が生成した該パルス波を該モード毎に集めるモード集合手段とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部美容器。
【請求項4】
前記貯液タンクは、美容液の入った液瓶が自在に嵌合し、該液瓶は、該美容液の前記筒状体への給液路を加圧する加圧手段を有するものであって、
前記密閉空間に前記加圧空気が流入すると、前記加圧手段に加圧されて前記筒状体から所定量の美容液が噴出することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部美容器。
【請求項5】
前記ピンは、前記電極部材及び前記筒状金属部材それぞれの一部が前記絶縁性シリコンから露出してなり、該電極部材及び該筒状金属部材は、前記鋼線の挿入孔が形成された円柱部を有し、該円柱部をかしめることによって該鋼線に密着接合することを特徴とする請求項1又は2記載の頭部美容器。
【請求項6】
前記基盤体は、赤色を発光する複数のLED素子が設置され、
前記操作ボタンが起動されると、前記LEDが一斉に点灯することを特徴とする請求項3記載の頭部美容器。
【請求項7】
前記パルス生成手段は、EMS(Electric Mustle Stimulation)を行う際に使用するパルス波を生成するEMS手段と、EP(Electric Poration)を行う際に使用するパルス波を生成するEP手段と、イオン導入を行う際に使用するパルス波を生成するION手段と、を有し、
前記モード集合手段は、前記EMS手段、前記EP手段、前記ION手段それぞれが生成する前記パルス波を、朝の使用を目的として集めるMモード集合手段と、夜間の使用を目的として集めるNモード集合手段と、週末の使用を目的として集めるWモード集合手段と、を有することを特徴とする請求項3記載の頭部美容器。
【請求項8】
前記密閉空間は、前記加圧空気の取入口を有し、
前記操作ボタンが起動されると、前記制御手段の指令を受けて前記エアーポンプが所定時間若しくは所定時間毎に前記加圧空気を前記取入口に送ることを特徴とする請求項3記載の頭部美容器。
【請求項9】
前記筒状金属部材は、一端側には前記鋼線の挿入孔が、他端側には螺子孔が形成され、該螺子孔には該鋼線に前記電気信号を配信する配線基板が螺着されることを特徴とする請求項5記載の頭部美容器。
【請求項10】
前記配線基板は、前記ピンを区分した複数のグループそれぞれに前記電気信号を配信する複数の配信端子と、該グループ全てに該電気信号を一斉に配信する単一の配信端子とを有し、
前記Nモード集合手段及び前記Wモード集合手段それぞれから出力される前記パルス波は、共通の出力端子から前記単一の配信端子に送られ、
前記Mモード集合手段から前記グループ毎に出力される前記パルス波は、該グループの数に対応する複数の出力端子それぞれから対応する前記複数の配信端子それぞれにダイオードを介して送られることを特徴とする請求項7記載の頭部美容器。
【請求項11】
前記Nモード集合手段及び前記Wモード集合手段は、前記制御手段の指令に基づいて前記EMS手段、前記EP手段、及び前記ION手段それぞれが生成した前記パルス波を集めたパルス集合体を記憶し、記憶された該パルス集合体を前記共通の出力端子に所定の時間、繰り返し出力することを特徴とする請求項10記載の頭部美容器。
【請求項12】
前記Mモード集合手段は、前記制御手段の指令に基づいて前記EMS手段が生成した前記パルス波を前記グループに区分した区分毎のパルス集合体を記憶し、記憶された該区分毎の集合体を前記複数の出力端子それぞれに所定の時間、繰り返し出力することを特徴とする請求項10記載の頭部美容器。
【請求項13】
先端が接触した頭皮に電流を流して頭部のケアを行う電気ブラシに複数形成されたピンであって、
先端のステンレス製電極部材及び末端の筒状金属部材を真直の鋼線で繋いだ電導体と絶縁性シリコンとが一体成型され、該電極部材及び該筒状金属部材それぞれの一部が該絶縁性シリコンから露出し、該筒状金属部材に電気回路から所定の電気信号が送られると該電極部材から前記頭皮に電流が流れることを特徴とするピン。
【請求項14】
前記電極部材及び前記筒状金属部材は、前記鋼線の挿入孔が形成された円柱部を有し、該円柱部をかしめることによって該鋼線に密着接合することを特徴とする請求項13記載のピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮に電流を流して、Electric Mustle Stimulation(筋肉電気刺激法。以下「EMS」と略称する。)、Electric Portation(電気穿孔法。以下「EP」と略称する。)、Iontophoresis(イオン導入法。以下「ION」と略称する。)によるケアと毛髪に光を照射するケアとを行うことができる頭部美容器、及びその美容器に用いるピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭髪の成長を促進するため、各種の育毛剤を塗布することや、頭皮に電流を流してマッサージするブラシが提供されている。
例えば、育毛剤などの溶液を入れた容器と、生体に電流を流す電源と、容器に入った溶液を頭皮に吐出するブリッスルと、頭皮に電流を流すブリッスルとを備えた育毛ブラシがある(特許文献1)。
しかしながら、整髪料や汗などでブリッスルが膨潤劣化し、導電性が低下するという問題があった。
そこで、ピンが、細長の筒体であって、電気回路に接続された金属製の基底部材が基端部に配設されてなる胴部材と、その胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる電極部材と、胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通されて、基底部材と電極部材とを、胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸とを有し、その金属軸は徑方向に屈曲可能な柔軟性を有し、胴部材は徑方向に屈曲可能な弾性を有することを特徴とする皮膚刺激ブラシ、及び皮膚刺激ブラシ用ピンが開発された(特許文献2、3)。
さらに、胴部材の先端面と電極部材との間に導電性充填剤を充填した皮膚刺激用ピンも開発されている(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-319835号公報
【文献】特許第6966812号公報
【文献】特許第7175479号公報
【文献】特開2022-42017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2から4記載の皮膚刺激ブラシ又はピンによれば、耐水性を有する部材で同部材を構成することができるうえ、金属軸は、皮膚や毛髪に付着した皮脂、水分、シャンプー、化粧品などに直接触れないため腐食を抑制することができる。
しかしながら、育毛剤や美容液は、皮膚刺激の際に事前に頭部や毛髪を洗浄した後に頭皮に塗布しておく必要があり、その都度、手を洗う必要がある。また、頭皮や毛髪の状態に応じて、最適な皮膚刺激を選別する必要があり、適合するブラシをその都度選別する必要がある。
上記の事情に鑑み、本発明は、EMS、イオン導入・導出、エレクトロポレーションなど多彩な機能を統合化する一方、朝・夜・週末にルーチン化し、簡単な操作を行って定期的に使用することにより、さまざまな症状の頭皮のケアを行うことができるうえ、必要な美容液を適時、適切に自動的に噴射し、手を汚すことなく皮膚に浸透させることが可能な頭部美容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の発明の頭部美容器は、本体と、該本体に着脱自在なブラシ体とを備え、該ブラシ体に形成された複数本のピンで頭皮を刺激し、毛髪を含む頭部全体のケアを行う頭部美容器であって、上記ブラシ体は、先端のステンレス製の電極部材及び末端の筒状金属部材を真直の鋼線で繋いだ電導体と絶縁性シリコンとを一体成型した柱状のピンが複数形成された基盤体と、該筒状金属部材に接触して該電極部材に所定の電気信号を配信する配線基板と、該基盤体と該配線基板とを収容し、中央に該基盤体及び該配線基板をも貫く穴が形成されたブラシ台と、底面に美容液を噴出する筒状体が形成され、該筒状体を外側に向けて該穴に挿入する該美容液の貯液タンクと、を備え、上記本体は、上記配線基板に送信する電気信号を生成する信号生成手段と、加圧空気を送るエアーポンプと、を備え、上記本体と上記ブラシ体とは、相互を結合する着脱自在な結合手段を有し、該結合手段が結合したとき、該ブラシ体に挿入された上記貯液タンクが該本体に係合して密閉空間が形成され、上記エアーポンプから加圧空気が送られると、上記筒状体から上記美容液が噴出し、上記配線基板に上記電気信号が配信されると、頭皮に接触した上記電極部材から電流が流れて該頭皮を刺激することを特徴とする。
【0006】
第二の発明の頭部美容器は、本体に、複数本のピンが形成されたブラシ体を備え、頭皮を刺激して毛髪を含む頭部全体のケアを行う頭部美容器であって、上記ブラシ体は、先端のステンレス製の電極部材及び末端の筒状金属部材を真直の鋼線で繋いだ電導体と絶縁性シリコンとを一体成型した柱状のピンが複数形成された基盤体と、該筒状金属部材に接触して該電極部材に所定の電気信号を配信する配線基板と、該基盤体と該配線基板とを収容し、中央に該基盤体及び該配線基板をも貫く穴が形成されたブラシ台と、底面に美容液を噴出する筒状体が形成され、該筒状体を外側に向けて該穴に挿入する該美容液の貯液タンクと、を備え、上記本体は、上記配線基板に送信する電気信号を生成する信号生成手段と、加圧空気を送るエアーポンプと、を備え、上記ブラシ体に挿入された上記貯液タンクが該本体に係合して密閉空間が形成され、上記エアーポンプから加圧空気が送られると、上記筒状体から上記美容液が噴出し、上記配線基板に上記電気信号が配信されると、頭皮に接触した上記電極部材から電流が流れて該頭皮を刺激することを特徴とする。
このように、第一の発明及び第二の発明は、ブラシ体に多数形成されているピンの先端から頭皮に電流を流して頭皮の血液循環を促進し新陳代謝を活性化すると共に、筋肉を刺激することによって顔皮膚のリフトアップ効果等が期待できる。また、育毛剤を含む美容液が自動的に噴出するので、即時に頭皮に浸透させて効果を高めることができる。第二の発明は、ブラシ体と本体が一体化され、分離することができない。しかし、第一の発明は、ブラシ体と本体とを着脱自在に結合する結合手段を備えているので、分離することが可能であり、ブラシ体あるいは本体を取り換えることができる。特に、ブラシ体は、使用によっては損傷することや劣化することがあり、また、機能性の異なる互換性のある新たな機能を持ったブラシ体が開発されたときに取り換えが容易である。
【0007】
以下は、上記の第一の発明及び第二の発明の頭部美容器それぞれに共通の要件となっている。
上記本体は、操作ボタンと、該操作ボタンによって選択されたモードに対応するプログラムに基いて所定の指令を行う制御手段と、該制御手段の指令を受けて、所定の機能毎に所定周波数のパルス波を生成するパルス生成手段及び該パルス生成手段が生成した該パルス波を該モード毎に集めるモード集合手段とを有することができる。
このように、各種の機能を集めて提供することができる各種モードを定めておけば、提供を受けるモードを操作ボタンで選択するだけでよいので簡単で便利である。
また、上記貯液タンクは、美容液の入った液瓶が自在に嵌合し、該液瓶は、該美容液の上記筒状体への給液路を加圧する加圧手段を有するものであって、上記密閉空間に上記加圧空気が流入すると、上記加圧手段に加圧されて上記筒状体から所定量の美容液が噴出することができる。
このようにすれば、育毛剤を含む美容液を適時、適切なタイミングで自動的に噴出させることができる。
また、上記ピンは、上記電極部材及び上記筒状金属部材それぞれの一部が上記絶縁性シリコンから露出してなり、該電極部材及び該筒状金属部材は、上記鋼線の挿入孔が形成された円柱部を有し、該円柱部をかしめることによって該鋼線に密着接合することができる。
そして、上記筒状金属部材は、一端側には上記鋼線の挿入孔が、他端側には螺子孔が形成され、該螺子孔には該鋼線に上記電気信号を配信する配線基板が螺着することができる。
ピンをこのように構成すれば、ピンを構成する絶縁性シリコンは柔軟性を有する上、内部に設置された鋼線が導電性と延性を有するので、電極に容易に電流が流れると共に、頭皮に当てて移動したときの曲げに即応性があり、当たりが比較的柔らかになる。また、ピンは、内部に伝導体と外被のシリコンが一体成型され、またブラシ体の基盤及び配線基板にしっかりと螺子で螺着されるので、抜けるおそれも、水が侵入するおそれもない。
さらに、上記基盤体は、赤色を発光する複数のLED素子が設置され、上記操作ボタンが起動されると、上記LEDが一斉に点灯することができるので、頭皮の血行が促進される。
また、上記密閉空間は、上記加圧空気の取入口を有し、上記操作ボタンによって電源が投入されると、上記制御手段の指令を受けて上記エアーポンプが所定時間若しくは所定時間毎に上記加圧空気を上記取入口に送ることができるので、美容液を適時、適切なタイミングで噴出させることができる。
そして、上記パルス生成手段は、EMS(Electric Mustle Stimulation)を行う際に使用するパルス波を生成するEMS手段と、EP(Electric Portation)を行う際に使用するパルス波を生成するEP手段と、イオン導入を行う際に使用するパルス波を生成するION手段と、を有し、上記モード集合手段は、上記EMS手段、上記EP手段、上記ION手段それぞれが生成する上記パルス波を、朝の使用を目的として集めるMモード集合手段と、夜間の使用を目的として集めるNモード集合手段と、週末の使用を目的として集めるWモード集合手段と、を有することが好ましい。
また、上記配線基板は、上記ピンを区分した複数のグループそれぞれに上記電気信号を配信する複数の配信端子と、該グループ全てに該電気信号を一斉に配信する単一の配信端子とを有し、上記Nモード集合手段及び上記Wモード集合手段それぞれから出力される上記パルス波は、共通の出力端子から上記単一の配信端子に送られ、上記Mモード集合手段から上記グループ毎に出力される上記パルス波は、該グループの数に対応する複数の出力端子それぞれから対応する上記複数の配信端子それぞれに送られるようにすることができる。
その場合、上記Nモード集合手段及び上記Wモード集合手段は、上記制御手段の指令に基づいて上記EMS手段、上記EP手段、及び上記ION手段それぞれが生成した上記パルス波を集めたパルス集合体を記憶し、記憶された該パルス集合体を上記共通の出力端子に所定の時間、繰り返し出力することができる。
また、上記Mモード集合手段は、上記制御手段の指令に基づいて上記EMS手段が生成した上記パルス波を上記グループに区分した区分毎のパルス集合体を記憶し、記憶された該区分毎の集合体を上記複数の出力端子それぞれに所定の時間、繰り返し出力することができる。
そして、上記Nモード集合手段は、上記EMS手段が生成する周波数が200乃至500Hzの矩形波によるパルス幅が5乃至6ミリ秒のパルス波を3秒間と、上記EP手段が生成する周波数が1000Hzのバースト波によるパルス幅が1ミリ秒のパルス波を1.8秒間と、上記ION手段が生成する周波数が1000Hzの矩形波によるパルス幅が0.5ミリ秒のパルス波を1.2秒間と、を集めた上記パルス集合体を10分間繰り返し出力し、上記操作ボタンの操作によって設定されるレベルが高くなるにつれて、上記パルス幅を長くするか又は上記周波数を低くすることができる。
また、上記Wモード集合手段は、上記EMS手段が生成する周波数が200乃至1000Hzの矩形波によるパルス幅が4乃至6ミリ秒のパルス波を6秒間と、上記EP手段が生成する周波数が1000Hzのバースト波によるパルス幅が1ミリ秒のパルス波を1.8秒間と、上記ION手段が生成する周波数が1000Hzの矩形波によるパルス幅が0.5ミリ秒のパルス波を1.2秒間と、を集めた上記パルス集合体を10分間繰り返し出力し、上記操作ボタンの操作によって設定されるレベルが高くなるにつれて、上記パルス幅を長くするか又は上記周波数を低くすることができる。
さらに、上記Mモード集合手段は、上記EMS手段が生成する周波数が500Hzの矩形波によるパルス幅が2ミリ秒のパルス波を4つのグループに区分した835ミリ秒のパルス波を3.3秒間集めた上記パルス集合体を5分間、上記4つの配信端子それぞれに繰り返し出力し、上記操作ボタンの操作によって設定されるレベルが高くなるにつれて、上記パルス幅を長くするか又は上記周波数を低くすることができる。
【0008】
本発明のピンは、先端が接触した頭皮に電流を流して頭部のケアを行う電気ブラシに複数形成されたピンであって、先端のステンレス製電極部材及び末端の筒状金属部材を真直の鋼線で繋いだ電導体と絶縁性シリコンとが一体成型され、該電極部材及び該筒状金属部材それぞれの一部が該絶縁性シリコンから露出し、該筒状金属部材に電気回路から所定の電気信号が送られると該電極部材から上記頭皮に電流が流れることを特徴とする。
電気ブラシのピンをこのように構成すれば、先端の電極から頭皮に電流を流すことができるし、ブラシで頭部をこすっても、ピンが比較的柔軟に曲がり、復元性もよい。
そして、上記電極部材及び上記筒状金属部材は、上記鋼線の挿入孔が形成された円柱部を有し、該円柱部をかしめることによって該鋼線に密着接合することができるので、配線基板から電極に確実に電流を流すことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の頭部美容器によれば、EMS、エレクトロポレーション、イオン導入(メソポレーション)など多彩な機能をMモード・Nモード・Wモードにルーチン化してあるので、操作ボタンで選択して、時宜に応じて定期的に使用することにより、さまざまな症状の頭皮のケアを行うことができる。また、育毛剤を含む各種美容液を適切なタイミングで噴射し、頭皮に即座に浸透させて効果を早めることが期待できる。さらに、ブラシ体と本体とが着脱できるタイプのものは、ブラシ体が劣化したり損傷しても、ブラシ体だけ取取り換えることがきる上、将来の機能改善などにも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1(a)】図1(a)は、本実施形態の頭部美容器を示す平面図である。
図1(b)】図1(b)は、本実施形態の頭部美容器を示す側面図である。
図1(c)】図1(c)は、本実施形態の頭部美容器を示す背面図である。
図1(d)】図1(d)は、スタンドに立てかけたときの側面から見た図である。
図2(a)】図2(a)は、ブラシ体を示す平面図である。
図2(b)】図2(b)は、ブラシ体を示す側面図である。
図2(c)】図2(c)は、ブラシ体を示す背面図である。
図2(d)】図2(d)は、ブラシ体を示す底面図である。
図3図3は、本実施形態のピンの構造を示す図である。
図4図4は、本実施形態のブラシ体の断面を示す図である。
図5(a)】図5(a)は、本実施形態の貯液タンクを示す正面図である。
図5(b)】図5(b)は、本実施形態の貯液タンクを示す平面図である。
図5(c)】図5(c)は、本実施形態の貯液タンクを示す底面図である。
図6(a)】図6(a)は、本実施形態の頭部美容器の断面図である。
図6(b)】図6(b)は、本実施形態の頭部美容器の内部を示す斜視図である。
図7図7は、本実施形態のブラシ体を分解した分解図である。
図8図8は、本実施形態の本体を分解した分解図である。
図9図9は、基盤に形成されたピンを区分した領域と、ピン先端の電極の極性とを一例として示す図である。
図10図10は、本実施形態の電気基板に設けられる電気回路の一例を示す機能ブロック図である。
図11図11は、操作ボタンの操作によってレベル選択やモード選択が行われる過程を示す図である。
図12図12は本実施形態におけるMモード集合体を示す図である。
図12(a)】図12(a)は、Mモード集合体における、EMS手段により各区分領域に送るパルス波の具体例を示す図である。
図13図13は本実施形態におけるNモード集合体を示す図である。
図13(a)】図13(a)は、Nモード集合体における、EMS手段によるパルス波の具体例を示す図である。
図13(b)】図13(b)は、Nモード集合体における、EP手段によるパルス波の具体例を示す図である。
図13(c)】図13(c)は、Mモード集合体における、ION手段によるパルス波の具体例を示す図である。
図14図14は本実施形態におけるWモード集合体を示す図である。
図14(a)】図14(a)は、Wモード集合体における、EMS手段による前半のパルス波の具体例を示す図である。
図14(b)】図14(b)は、Mモード集合体における、EMS手段による後半のパルス波の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の頭部美容器(ブラシ体着脱式と固定式)の実施形態について図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の頭部美容器を示す図であり、図1(a)は、平面図、図1(b)は、側面図、図1(c)は、背面図、図1(d)は、スタンドに立てかけた本実施形態の頭部美容器を側面から見た図である。
図1に示す頭部美容器1は、複数本のピン5が形成された略楕円形のブラシ体2と、そのブラシ体2に結合する本体3とからなる。
ブラシ体2は、先端に電極が形成された多数のピン5があり、それらの中央には育毛剤その他の美容液の噴出口40aを有する筒状体40が6本形成されている。
本体3は、樹脂製で、ブラシ体2が固定される頭部3a側よりも尾部3c側の方が細く、手で把持する中間部分3bがより細いひょうたん形をなしている。
本体3正面の中間部分3bには操作ボタン8があり、尾部3cの底面にはワイヤレス充電素子19が設置されている。本体内部には、図に現れない電池、電気回路、エアーポンプ、美容液の貯液タンクが係合して密閉空間を形成するエアータンク等が設置されている。
頭部美容器1は、ワイヤレス充電器と通常の充電器が内蔵されたスタンド10が付属しており、尾部3cをスタンドの窪みに載せ、頭部3aを立てかけて斜めに配置すると、本体3に内蔵された電池が充電される。なお、スタンド10をAC電源に接続すれば、通常の充電もできる。
本実施形態におけるブラシ体2と本体3は、結合手段によって着脱自在に結合した状態で使用するが、当初から固定されていて、着脱できない方式のものを使用してもよい。
ブラシ体2には多数のピン5が形成されているので、使用によっては損傷することや、劣化することがあり、着脱自在であれば、ブラシ体2のみの取り換えが可能である。また、機能性の異なる互換性のある新たな機能を持ったブラシ体2、例えば、頭皮をブラッシングする毛束や毛根の血行を促進するLEDや高濃度イオンの吐出ができる機能等を有するブラシ体2が開発されれば、それに一時的に取り換えて使用することができるようになっている。
各ピン5の電極には本体の電気回路で生成される様々な電気信号(パルス波)が送られるので、ピン5が頭皮に接するとEMS(Electric Mustle Stimulation)を行う機能によってマッサージやリフトアップが図られ、EP(Electric Portation)を行う機能によって噴出口から噴出した美容液が頭皮の深層まで浸透し、イオン導入を行う機能によって美容液が頭皮の表層に浸透する。また、ブラシ体2の周縁には、血行を促進するLED素子6も設置されており、血行を促進して毛包を活性化し、毛包の萎縮や変性を防ぎ、毛包の栄養吸収能力を若返らせることが期待できる。それらの機能は、Mモード、Nモード、Wモードに統合化されており、操作ボタンでいずれかのモードを選択し、定期的に使用すれば、毛髪はもとより、頭部全体のケアが図れるようになっている。
【0012】
現代社会はストレスが強いので脳が継続的興奮状態にあり、中枢神経系が長時間にわたって高緊張状態にある。そのため、自律神経障害、皮膚毛細血管収縮機能障害、頭皮の局所血管収縮によって血液の供給が不十分となり、毛包に必要な栄養素の供給が不足し勝ちになる。また、長期にわたる精神的ストレスは、内分泌系に影響を与えて脱毛を引き起こすだけでなく、頭皮の血液循環にも影響を与えて脱毛を引き起こす。さらに、脱毛後に毛包が縮んだり閉じたりすると、頭皮の血行不良による壊死等よって頭皮が硬くなってくる。
Mモードは、Microcirculation Morning Mode(朝の微小循環モード)の略称で、頭皮の角質層を波のように貫通し、頭皮の微小循環システムをターゲットにして若返らせる。頭皮への栄養素の供給を促進し、頭皮の新陳代謝を促進して頭皮に弾力性を与え、元気になって、一日を開始するモード。断続的な低周波刺激を与え、額やこめかみ、目元や口元など、特にハリをアップしたい箇所に最適である。
Nモードは、Nutritution Night Mode(夜の栄養モード)の略称で、1日の疲労・顔面の重力によるたるみをとり、血管が集中している頭皮の血行促進を図ることにより、からだ全体の血行が良くなり、より良い睡眠がとれるようになる。1日のたるみ・むくみを取ることで、朝すっきりした顔で目覚めることを目的とする。
Wモードは、Whole Mode(全体モード)の略称で、200、500、700、1000Hzの4つの周波数を組み合わせることにより、EMSのリズム変化、人間の手で頭部マッサージのような感じを出して、EMS電流の痛さを緩和する。同時に頭皮の血液循環を促進し新陳代謝を活性化すると共に、頭部の筋肉を刺激することによって、顔皮膚のリフトアップ効果が期待できる。さらに、頭の血行を促進して頭をすっきりさせるのと同時に、顔のむくみなどをとり、すっきりとした顔で週末を過ごせるようにすることを目的とする。
特に、NモードとWモードは、EPとIONとを併用しているので、細胞間空間の透過性を高め、美容液の噴出口40aから噴出する有効成分が皮膚の中胚葉に直接入ることを可能にし、頭皮エッセンスの吸収率を指数関数的に向上させる効果があり、頭皮アンチエイジング技術であるメソポレーションの機能がある。
毛髪メソセラピーは、(1)髪の成長を刺激する。供給される栄養素は、毛包に栄養を与え、新しい有毛細胞の生成を刺激することにより、髪の成長を促進する。(2)髪の質感を改善する。提供される栄養素は、毛幹を強化するのに役立つ。(3)抜け毛を減らす。毛包を強化し、血液循環を改善する。(4)髪のボリュームを増やす。髪の成長を刺激し、髪の太さを改善する。(5)髪の健康を高める。必要な栄養素を毛包に直接届けて、髪全体の健康を促進する等の効果があると言われている。
【0013】
図2は、ブラシ体を一例として示す図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図、図2(c)は背面図、図2(d)は底面図である。
図2に一例を示すブラシ体2は、基盤20に44本のピンと、19個のLED素子6が周縁に設置されている。そして、中央には、美容液の貯液タンク(図示していない)を挿入する穴7が設けてある。
ピン5は、絶縁性シリコンと電導体(電極と鋼線と筒状金属部材)とが一体成形され、大部分が絶縁性シリコンからなる柱状体50で、高さは、一様である。先端はステンレス製の電極部材51が露出し、末端は銅製の筒状金属部材(図に現れない)が露出している。そして、柱状体50の内部(図に現れない)には、一端が電極部材51にかしめ接合され、他端が筒状金属部材にかしめ接合された鋼線が設置されている。なお、筒状金属部材は、電気信号を配信する配線基板(図に現れない)に密着しており、基盤と配線基板とは、ブラシ台23に収容され、ネジで固定されている。
このブラシ体2で頭皮をこすったとき、ピン5の大部分が絶縁性シリコンで、柔らかく折れ曲がり、当たりが柔らかい。
ブラシ体2の背面には、ブラシ台23があり、中央には美容液の貯液タンクを挿入する穴7がある。そいて、その穴7の両側には、本体の電気回路から送られた電気信号を配線基板につなぐ繋ぎ針30の挿通孔30aがある。ブラシ台23の周囲には、ここでは本体3と結合する磁石28が設置されている。ただし、結合手段は、必ずしも磁石28である必要はなく、嵌合して結合するものでも、係合若しくは係止して結合するものであってもよい。
【0014】
図3は、本実施形態のピンの構造を示す図である。
図3に示すピン5は、先端にステンレス製の電極部材51、末端に筒状金属部材53があり、それぞれには鋼線52の挿入孔が形成された円柱部54が設けられている。円柱部54相互間は真直な鋼線52で繋がれており、円柱部54と鋼線52は、円柱部54をリベット治具でかしめ、密着接合させてある。従って、電極部材51と鋼線52と銅製の筒状金属部材53は、電気抵抗が比較的低い電導体が構成されている。なお、円柱部54における鋼線52の挿入孔は入り口が漏斗状に広くなっており、ピン5が頻繁に曲がっても鋼線52が座屈しにくくなっている。
電導体は、射出成型若しくは圧縮成形によって絶縁性シリコンを一体成形するので、一部分が露出している電極部材51の先端部分と筒状金属部材53の末端部分とを除外すれば、絶縁性シリコンが密着して被覆され柱状体50を形成する。従って、ピン5の内部に水分が進入する恐れはない。他方、一部が露出している筒状金属部材53は、末端に螺子孔53dが形成されており、その螺子孔53dに配線基板を螺着することにより、電気信号が鋼線52を経由して確実に電極部材51に送られる。なお、筒状金属部材53の外周面には、長手方向に2つの突起部があり、第一の突起部53aは柱状体50に係合し、第二の突起部53bは基盤20に係合している。
ここで、鋼線52の素材としては、炭素、モリブデン、クロムなどの合金鋼が用いることが好ましい。それらの合金鋼は延性があり、ブラシ体2で頭皮をこすり、絶縁性シリコンゴムからなる柱状体50が曲がったとき、内部の鋼線52は即座に追随するので柔らかさを感じることができる。
【0015】
図4は、本実施形態のブラシ体の断面を示す図である。
図4に断面を示すブラシ体は、絶縁性シリコンの柱状体50を有するピン5が多数形成された基盤20と、基盤20に密着した配線基板26と、それらを収容するブラシ台23を有し、それらは螺子で固定されている。そして、基盤20、配線基板26及びブラシ台23それぞれの中央には、美容液の貯液タンク4を挿入する穴7が設けてある。
絶縁性シリコンからなる柱状体50の先端にはステンレス製の電極部材51が係合し、末端には銅製の筒状金属部材53が係合している。電極部材51及び筒状金属部材53には、絶縁性シリコンで覆われた円柱部54があり、その円柱部54には鋼線52が、かしめ接合されている。そして、筒状金属部材53は基盤20に係合している。
筒状金属部材53の末端には、螺子孔53dがあり、そこに螺子55を差し込み、配線基板26を螺着している。従って、各ピン5は、基盤20及び配線基板26にしっかりと固定され、抜ける恐れがない。同時に、配線基板26と筒状金属部材53は、電気的に確実に接続されるので、配線基板26に送られてきた電気信号は、銅製の筒状金属部材53及び鋼線52を経由してピン5先端の電極部材51に確実に達することができる。また、各ピン5を構成する絶縁性シリコンからなる柱状体50は、電極部材51及び筒状金属部材53に密着し、筒状金属部材53の末端は、基盤20及び配線基板26に螺着されて密着接合しているので、ピン5の内部に侵入するおそれがない。
【0016】
図5は、貯液タンクを示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は平面図、図5(c)は、底面図である。
る。図5に示す貯液タンク4は、楕円形の噴出ヘッド41と、噴出ヘッド41に美容液を入れると共に、本体のエアータンクに係合する受部42とからなり、受部42には、美容液を給液する液瓶43が差し込まれている。噴出ヘッド41の底面44には、美容液を噴出する、ピンと同形の筒状体40が6本形成されている。筒状体40は、シリコンゴム製で、ピンの高さよりも少し低くなっている。従って、ブラシ体2で頭皮をこすったとき、柔らかく折れ曲がったピン6が筒状体40に当たるが、シリコンゴム製の筒状体40もわずかに折れ曲がるので、ほとんど抵抗を感じることがない。
受部42は、円筒の一部の周面が平面45になっている。美容液を給液する液瓶43は、円筒形をなし、受部42と同様に一部の周面が平面45になっている。そして、加圧されると図に現れない活栓46が開閉して注ぎ口47から美容液が噴出ヘッド41に送られ、美容液の給液路が加圧されるので、噴出口40aから美容液が噴出する。なお、液瓶43は、キャップを外して、受部42の平面部分と液瓶43の平面部分とが合致するようにして、注ぎ口47を下向きにして受部42に差し込むので、貯液タンク4にぴたりとはめ込まれる。ここで、液瓶43は、本実施形態の頭部美容器1に備え付けの部品とし、市販品の容器から美容液を充填する構成としてもよいし、各種美容液の入った専用のカートリッジとして構成してもよい。
【0017】
図6は、美容液の噴出機構を示す図であり、図6(a)は頭部美容器の断面図、図6(b)は頭部美容器の内部を示斜視図である。
図6(a)に示す頭部美容器1の断面におけるブラシ体2には、多数のピン5と美容液を噴出する筒状体40が形成されている。そして、筒状体40は、ブラシ体2に挿入される貯液タンク4の底面に形成されている。
本体3には、加圧空気を作るエアーポンプ13と、加圧空気を運ぶエアーチューブ16と、貯液タンク4が係合するエア―タンク15が設置されている。エア―タンク15には貯液タンク4がシール部材を介してピタリと係合し、密閉空間17が形成されるので、エアーチューブ16を経由して取入口16aから加圧空気が送られてくると、密閉空間17は加圧状態となる。貯液タンク4には、美容液を給液する液瓶43が嵌合しており、液瓶43の活栓(本発明の「加圧手段」に相当する。)46が加圧されるので、噴出ヘッド41底面の筒状体40から美容液が所定量噴出する。
本実施形態では、加圧空気で液瓶43の活栓46を圧すことで噴出ヘッド41を加圧して美容液を噴出させているが、活栓46に替えて、圧電素子を筒状体40等に設置して美容液を噴出させることにしてもよい。
【0018】
図7は、ブラシ体を分解した分解図である。
図7に示すように、ブラシ体2は、楕円形をなした底部ケース21、防水シール22、装飾板23aからなるブラシ台23と、配線基板26と、基盤20によって構成され、基盤20には多数のピン5が形成されている。そして、ブラシ台23、配線基板26及び基盤20の中央に設けられた穴7の両側には本体の電気回路と配線基板とをつなぐ繋ぎ針30の挿入孔30aが形成されている。
ここで、底部ケース21、装飾板23aは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、防水シール22はシリコン、基盤20及び配線基板26は、ポリ塩化ビフェニール樹脂を用いているが、必ずしもこれらに限定されない。
【0019】
図8は、本体を分解した分解図である。
図8に示すように、本体3はひょうたん形をなし、底部ケース31と中部ケース32と上部ケース33とからなる。
底部ケース31と中部ケース32との間にはワイヤレス充電素子19と、電池11と、電気回路が形成された電気基板12と、エアーポンプ13等が収容され、中部ケース32には、貯液タンク4が係合するエアータンク15が形成され、その両側には、電気基板12の電気回路と配線基板26とをつなぐ繋ぎ針30の挿入孔30aが形成されている。そして、エアータンク15は、シールパッキン14で封止されている。なお、本体3とブラシ体2とを結合する磁石28が対向する位置に設置されている。
上部ケース33には、起動ボタン8aとモード切替ボタン8bが設置され、これらのボタンは、底部ケース31と中部ケース32との間に設けられた電気基板12に接続されている。そして、尾部3bには、頭部美容器1を充電するために立てかけるスタンドに固定するための磁石28が設けてある。
なお、底部ケース31と中部ケース32との間には、マイナスイオン発生器18を設置することができる。
ここで、ケース31,32,33は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、電気基板26は、ポリ塩化ビフェニール樹脂を用いているが、必ずしもこれらに限定されない。
【0020】
図9は、基盤に形成されたピンを区分した領域とピン先端の電極部材の極性を一例として示す図である。
図9に一例を示す領域は、楕円形をした基盤20を下部20a、中央下部20b、中央上部20c、上部20dに区分し、下部20a及び中央下部20bには陽極Xが6ピンと陰極Yが6ピンの12ピンずつ、中央上部20b及び上部20dには陽極Xが5ピンと陰極Yが5ピンの10ピンずつ配分される。この領域区分は、後述するMモード機能が選択されたとき、電極部材41に電流を流す領域を、例えば上部20d、中央上部20c、中央下部20b、下部20aと順次移動を繰り返しながらEMSを行なう際に用いる。
一方、後述するNモードやWモードの機能が選択されたときには、領域区分にかかわらず、全てのピン5に一斉に電流を流し、全ての領域で同時にEMS、EP、IONを行う。
従って、図7に示した配線基板26は、陽極X及び陰極Yそれぞれの電気信号を4つの領域それぞれに送る配線、及びそれらの配線それぞれに接続された陽極X及び陰極Yそれぞれの4つの配信端子26a、26b、26c、26d(図示していない)が設けてある。
【0021】
図10は、本実施形態の電気基板に設けられる電気回路の一例を示す機能ブロック図であり、図11は、操作ボタンの操作によってレベル選択やモード選択が行われる過程を示す図である。
図10に一例を示すように電気回路は、操作ボタン8と、制御手段100と、加圧空気生成手段(エアーポンプが相当する。)13と、LED用電源105と、EMSを行うためのパルス波を生成するEMS手段110と、EPを行うためのパルス波を生成するEP手段120と、イオン導入を行うためのパルス波を生成するION手段130と、操作ボタン8によって選択されたモードに応じてEMS手段110、EP手段120、及びION手段130それぞれが生成するパルス波を制御手段100の指令に基づいて集めるMモード集合手段140と、Nモード集合手段150と、Wモード集合手段160とがある。
操作ボタン8は、電源をONにすることや、EMSの強弱レベルを切り替える起動ボタン8aと、モードの選択を行うモード切替ボタン8bがある。
図11に示すように、操作ボタン8を長押しすると本体3が起動(S1)し、電気回路に内蔵された電池による電源が入り、基盤20の周縁に設置された赤色光を発するLED素子6が点灯する。そして、起動ボタン8aを押してレベルを選択し(S2)、モード切替ボタン8bを押してモードを選択する(S3)。
【0022】
制御手段100は、図10に示すように、操作ボタン8で設定されたレベルやモードに基づいて、メモリに記憶されたプログラムを読み出してパルス波を生成するための電気信号の波形や周波数、生成するパルス波の電圧、電流、パルス幅、周期や継続時間などの条件をEMS手段110、EP手段120、及びION手段130に指令する。EMS手段110、EP手段120、及びION手段130は、制御手段100の指令に基づいて、生成したパルス波を送る先がMモード集合手段140か、Nモード集合手段150か、Wモード手段160かを判断し、指令を受けた条件に従って生成したパルス波を、指令を受けたタイミングで、指令を受けたモード集合手段に送る。
なお、Mモードにおいては、区分された領域を順次移動しながらEMSを行うので、生成したパルス波を区分された領域の数、繰り返し出力する。そして、Mモード集合手段140は、EMS手段110から繰り返し出力されたパルス波を領域に区分された集合体として記憶し、記憶された集合体を制御手段100の指令に基づいて所定の時間、領域の数に応じた数の出力端子(ここでは、4つの出力端子12b、12c、12d、12e)に区分して、繰り返し出力する。
4つの出力端子(12b、12c、12d、12e)は、図8で示した繋ぎ針30によって、図9で説明した4つの配信端子26a、26b、26c、26dに接続される。
【0023】
一方、Nモード及びWモードにおいては、全領域を対象にEMS、EP、IONを順番に、所定の時間ずつ繰り返し行う。
そこで、Nモード集合手段150及びWモード手段160は、EMS手段110、EP手段120、ION手段130それぞれが順番に生成したパルス波を一定の時間ずつ集めて集合体を形成し、その集合体を記憶し、記憶された集合体を制御手段100の指令に基づいて所定の時間、単一の出力端子12aに繰り返し出力する。
単一の出力端子12aは、領域の数に応じた数の出力端子(ここでは、4つの出力端子12b、12c、12d、12e)それぞれにダイオードを介して接続されているので、4つの配信端子26a、26b、26c、26dに接続され、全領域でEMS、EP、IONが同時に行われる。
本実施形態においては、Mモードでは、EMSのみを5分間行いEP及びIONは行わない。また、Nモード及びWモードでは、EMS、EP及びIONをトータルで10分間行うことにしており、EP直後にIONを行うのでメソポレーション機能がある。なお、繰り返す時間は、必ずしもここで示した5分あるいは10分に限定する必要はない。また、Mモードは、EMSのみに限定する必要はなくEP又はIONを含めて行うことにしてもよい。
さらに、本体3が起動すると、エアーポンプ13がスタンバイされる。ブラシ体2のピン5が頭皮に触れて電極部材5に電流が流れると、制御手段100の指令によりエアーポンプ13が起動し、貯液タンク4が係合して形成された密閉空間17に取入口16aから加圧空気が送られる。密閉空間17に加圧空気が入ると、液瓶43の活栓46によって給液路が加圧されるので、噴出口40から美容液が噴出する。また、ブラシ体2のピン5が頭皮から離れ、電極部材5に流れていた電流が停止すると、制御手段100の指令によりエアーポンプ13が停止する。制御手段100の指令に基づいて、エアーポンプ13から加圧空気を送るタイミングや時間間隔を調整することにすれば、美容液の噴出時間や頻度などを調整することができる。
【0024】
図12から図14は、本実施形態におけるモード毎のパルス波の集合体の一例を示す図であり、図12はMモード集合体、図13はNモード集合体、図14はWモード集合体である。
図12(a)は、Mモードの集合体におけるEMS手段による各領域毎のパルス波の具体例を示す図である。
図13(a)は、Nモードの集合体におけるEMS手段によるパルス波の具体例を示す図、図13(b)はNモードの集合体におけるEP手段によるパルス波の具体例を示す図、図13(c)は、Nモードの集合体におけるION手段によるパルス波の具体例を示す図である。
また、図14(a)、図14(b)は、Wモードの集合体におけるEMS手段によるパルス波の具体例を示す図である。なお、WモードにおけるEP手段及びION手段によるパルス波はNモードにおけるパルス波と同じであることから図及び説明を省略する。
図12に一例を示すMモード集合体は、EMS手段110が矩形波によって繰り返し4回生成された3/4秒間のパルス波を領域区分(20a、20b、20c、20d)毎に3秒間記憶し、記憶されたその集合体を、4つの出力端子(12b、12c、12d、12e)に100回、5分間、繰り返し出力する。
図12(a)に示すように、EMS手段110は、500Hzの矩形波による幅2ミリ秒のパルス波を835ミリ秒間に5個を繰り返し4回生成する。Mモード集合体は、4回繰り返し生成されたパルス波の集合体を4つの区分毎に記憶する。これらの集合体は、レベルが1の場合の例であるが、レベルが2、3と高くなるにつれて、EMS手段110によるパルスのパルス幅が長くなり、パルス数も多くなる。
【0025】
Mモードは、500Hzの刺激が上から下へ電流が流れるように移動する設計により、波のような動きを作り出し手技のような効果をだし、マッサージされているような刺激の体感を表現する。頭皮血行を促進することにより朝の目覚めをすっきりさせると同時に朝の時短ケアに最適で出かける前の肌の引き締めにより化粧のりをよくすることを目的とする。
【0026】
図13に一例を示すNモード集合体は、EMS手段110が生成する1種類の矩形波(A-1)によるパルス波を約3秒間と、EP手段120が生成する1種類のバースト波(B)によるパルス波を1.8秒間と、ION手段が生成する1種類の矩形波(C)によるパルス波を1,2秒間を集めて、合計6秒の集合体を記憶し、記憶されたその集合体を、単一の出力端子12aに100回、10分間、繰り返し出力する。
図13(a)に示すように、EMS手段110は、500Hzの矩形波による幅2ミリ秒のパルス波を3176ミリ秒間に4個生成する。
図13(b)に示すように、EP手段120は1000Hz、幅1ミリ秒のバースト波を1.8秒間に10波生成する。
図13(c)に示すように、ION手段130は1000Hz、幅0.5ミリ秒のパルス波を1.2秒間に正極性6個、負極性14個生成する。
これらの集合体は、レベルが1の場合の例であるが、レベルが2、3と高くなるにつれて、EMS手段110によるパルスのパルス幅が長くなり、パルス数も多くなる。
【0027】
Nモードは、1日の疲労・顔面の重力によるたるみをとり、血管が集中している頭皮の血行促進を行うことにより,からだ全体の血行がよくなり、より良い睡眠をとることができるようになる。1日のたるみ・むくみを取ることで朝すっきりした顔で目覚めることができる。更に、LED光やEMSにより血行促進し、ほぐした頭皮にエレクトロポレーション、イオン導入(メソポレーション)の応用で頭皮の表層、深層へスキンケア成分及びヘアケア成分を送り届け、毛髪及び頭皮の老化を抑え、若々しい毛髪と頭皮の維持に貢献できると同時に。LEDの赤色は肌にツヤとハリと増毛効果を促すことを目的とする。
【0028】
図14に一例を示すWモードの集合体は、EMS手段110が3種類の矩形波(A―2)によるパルス波を各3秒間と、別の3種類の矩形波(A-3)によるパルス波が各3秒間と、EP手段120が1種類のバースト波(B)によるパルス波を1.8秒間と、ION手段が1種類の矩形波(C)によるパルス波を1.2秒間を集めて、合計9秒の集合体を記憶し、記憶された集合体を、単一の出力端子12aに66回、10分間、繰り返し出力する。
図14(a)に示すように、EMS手段110は、前半には、1000Hz、700Hz、500Hzの順に、1000Hzは、パルス幅が4ミリ秒のパルス波を334ミリ秒間に2個、700Hzはパルス幅が4.29ミリ秒のパルス波を334ミリ秒間に2個、500Hzは、パルス幅が4ミリ秒のパルス波を2個集めた集合体を3回、3秒間、繰り返す。
図14(b)に示すように、EMS手段110は、後半には、700Hz、500Hz、200Hzの順に、700Hzはパルス幅が4.2ミリ秒のパルス波を334ミリ秒間に2個、500Hzはパルス幅が4ミリ秒のパルス波を334ミリ秒間に2個、200Hzは、パルス幅が5ミリ秒のパルス波を2個集めた集合体を3回、3秒間、繰り返す。
前半及び後半の集合体は、レベルが1の場合の例であるが、レベルが2、3と高くなるにつれて、EMS手段110によるパルスのパルス幅が長くなり、パルス数も多くなる。
【0029】
Wモードは、200,500、700、1000Hzの4つの周波数を組み合わせることにより、EMSのリズム変化、人間の手で頭部マッサージのような感じを出して、EMS電流の痛さを緩和させる。同時に頭皮の血液循環を促進し新陳代謝を活性化すると共に、頭部の筋肉を刺激することによって、顔皮膚のリフトアップ効果が期待できる。頭の血行を促進させることにより、頭をすっきりさせると同時に、顔のむくみなどをとりすっきりとした顔で週末を過ごせるようにする。更に、LED光やEMSにより血行促進をし、ほぐした頭皮にエレクトロポレーション、イオン導入(メソポレーション)の応用で頭皮の表層、深層へスキンケア成分及びヘアケア成分を送り届け、毛髪及び頭皮の老化を抑え、若々しい毛髪と頭皮の維持に貢献できると同時に、LEDの赤色は肌にツヤとハリと増毛効果を促すことを目的とする。
【産業上の利用可能性】
【0030】
男女を問わずに、毛髪を含む頭部全体のケアができる。家庭用のほか、エステサロンや美容院、理髪店等の業務用としても使用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 頭部美容器
2 ブラシ体
3 本体
3a 頭部
3b 尾部
3c 中間部分
4 貯液タンク
5 ピン
6 LED素子
7 穴
8 操作ボタン
8a 起動ボタン
8b モード切替ボタン
8X 操作ボタンの長押し
9 結合手段
10 スタンド
11 電池
12 電気基板
12a 単一出力端子
12b、12c、12d、12e 4つの出力端子
13 エアーポンプ
14 シールパッキン
15 エアータンク
16 エアーチューブ
16a 取入口
17 密閉空間
18 マイナスイオン発生器
19 ワイヤレス充電素子
20 基板
20a 下部
20b 中央下部
20c 中央上部
20d 上部
21 底部ケース
22 防水シール
23 ブラシ台
26 配線基板
26a、26b、26c、26d 4つの配信端子
26e 単一配信端子
28 磁石
30 繋ぎ針
30a 挿通孔
31 底部ケース
32 中部ケース
33 上部ケース
40 筒状体
40a 噴出口
41 噴出ヘッド
42 受部
43 液瓶
44 底面
45 平面
46 活栓
47 注ぎ口
50 柱状体
51 電極部材
52 鋼線
53 円筒形部材
53a 第一の突起部
53b 第二の突起部
53c 細孔
53d 螺子孔
55 螺子
105 LED電源
110 EMS手段
120 EP手段
130 ION手段
140 Mモード集合手段
150 Nモード集合手段
160 Wモード集合手段
X 陽極
Y 陰極
【要約】
【課題】多彩な機能を統合化する一方、朝・夜・週末にルーチン化し、簡単な操作で定期的に使用できるうえ、必要な美容液を適時、適切に自動的に噴射して皮膚に浸透させることができる。
【解決手段】本体と着脱自在なブラシ体とを備え、ブラシ体は、先端のステンレス製の電極部材及び末端の筒状金属部材を真直の鋼線で繋いだ電導体と絶縁性シリコンとを一体成型した柱状のピンが複数形成された基盤体と、筒状金属部材に接触して電極部材に所定の電気信号を配信する配線基板と、基盤体と配線基板とを収容し、中央に該基盤体及び該配線基板をも貫く穴が形成されたブラシ台と、底面に美容液を噴出する筒状体が形成され、筒状体を外側に向けて穴に挿入する該美容液の貯液タンクと、を備え、本体は、配線基板に送信する電気信号を生成する信号生成手段と、加圧空気を送るエアーポンプと、を備えた。
【選択図】図1(a)
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図12(a)】
図13
図13(a)】
図13(b)】
図13(c)】
図14
図14(a)】
図14(b)】