(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20240904BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240904BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240904BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20240904BHJP
G02F 1/16753 20190101ALI20240904BHJP
【FI】
G06K19/077 220
G06K19/07 170
G06K19/077 112
G06K19/07 040
H05K1/02 B
G02F1/167
G02F1/16753
(21)【出願番号】P 2020138932
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-07-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「マテリアル×プロセスイノベーションによる革新的ソフト3D界面の創製とやわらかものづくり革命への展開に関する国立大学法人山形大学による研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝 健夫
(72)【発明者】
【氏名】時任 静士
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-123047(JP,A)
【文献】特開2007-183919(JP,A)
【文献】特開2003-337353(JP,A)
【文献】特表2014-516175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
H05K 1/00-1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられ、通信アンテナを有する可撓性を備えたセンサ装置であって、
可撓性基板と、前記可撓性基板に形成した印刷配線に電気的に接続された回路部
及び表示部
とを有し、
前記回路部は、センサーデバイスと、電源と、前記センサーデバイスの情報を記憶するメモリとを備え、
前記表示部は、前記センサーデバイスから得られた情報を表示する可撓性を備えた表示デバイスを備え、
前記通信アンテナは、前記メモリの記憶内容を送信し、
前記回路部と前記表示部は
、前記回路部と前記表示部との間に配された折曲げ部において折り曲げられることで重なって配置され、
前記回路部と前記表示部とが重なった部分を接着せず、前記表示部の前記折曲げ部と対向する端部と、前記回路部の間を接続する接続フィルムを有し、
前記接続フィルムは切断可能部を有し、前記切断可能部を切断することにより、前記通信アンテナに前記表示デバイスが重ならない状態にできることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記表示デバイスは、電子ペーパであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記表示デバイスは、前記表示部において前記可撓性基板に前記印刷配線により走査線及び信号線を形成したものであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記表示デバイスは走査線駆動チップと信号線駆動チップを備え、
前記走査線駆動チップと前記信号線駆動チップは、長辺方向が前記表示デバイスの短辺方向となるように前記可撓性基板に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶のような曲面を持つ商品に貼り付けることができる表示機能付きのセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本酒や果実酒、その他の食品等は、輸送や貯蔵の際に温度管理等の品質管理が重要である。特に、高品質の日本酒や食品等は温度環境等に対して繊細である場合が多く、一部でも消費者に届くまでに品質が劣化すると、生産者の信用が低下してしまう。また、小売店やレストランに届くまでの間に、転売などが行われて管理がなされず、品質が劣化すると、小売店等に対する消費者の評価が下がることになる。
【0003】
そこで、温度により化学変化する物質を用いて有効期限を表示したり、センサ及びメモリを用いて温度等の環境と経過時間から警告を表示したりする表示ラベルが考えられている。特許文献1には、温度等の環境と経過時間により警告を表示する表示ラベルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の警告表示ラベルは電子ペーパと駆動部からなるセンサ装置である。しかしながら、単に警告を表示するだけであり、どの程度の温度が何時間くらい継続したのか等の情報を得ることができない。そのため、輸送経路等のどこに問題があるのか、品質に影響を与える程度の環境であったのか等の情報から問題の解決を図ることができない。また、安価で問題の解決に役立つ高機能なセンサ装置をいかに得るかについては記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の一側面に係るセンサ装置は、物品に取り付けられ、通信アンテナを有する可撓性を備えたセンサ装置であって、回路部と、表示部を、可撓性基板に搭載し、前記回路部は、センサーデバイスと、電源と、前記センサーデバイスの情報を記憶するメモリとを備え、前記表示部は、前記センサーデバイスから得られた情報を表示する可撓性を備えた表示デバイスを備え、前記通信アンテナは、前記メモリの記憶内容を送信し、前記表示デバイスと前記センサーデバイスと前記電源は、前記可撓性基板に形成した印刷配線により電気的に接続され、前記回路部と前記表示デバイスは重なって配置されていることを特徴とする。
当該構成によれば、解析に用いるデータを記憶しつつ、部分的な情報は表示デバイスを介してユーザに知らせる、高機能で比較的安価な、物品に取り付けるセンサ装置を得ることができる。
【0007】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記表示デバイスは、電子ペーパであることを特徴とする。
当該構成によれば、瞬時消費電力が小さい電子ペーパを用いることにより、電源の容量を小さくすることができる。
【0008】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記表示デバイスは、前記表示部において前記可撓性基板に前記印刷配線により走査線及び信号線を形成したものであることを特徴とする。
当該構成によれば、印刷配線を用いて可撓性基板に回路部と表示デバイスを作り込むことができる。
【0009】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記可撓性基板は、前記回路部と前記表示デバイスの間を折り曲げた折曲げ部とし、前記回路部と前記表示部を重ねた配置とすることを特徴としてもよい。
当該構成によれば、一枚の可撓性基板を用いて、比較的安価でコンパクトなセンサ装置を売ることができる。
【0010】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記可撓性基板が重なった部分を接着せず、前記表示部の前記折曲げ部と対向する端部と、前記回路部の間を接続する接続フィルムを備えたことを特徴としてもよい。
当該構成によれば、センサ装置を曲率半径が小さい物品に取り付けた際に、表示部の接続フィルム側の端部が回路部から浮き上がる。これにより表示デバイスに過度の曲げが行われない。また、接続フィルムによって端部は接続されているため、表示部がふらつかないセンサ装置を得ることができる。
【0011】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記接続フィルムは切断可能部を有し、切断可能部を切断することにより、前記通信アンテナに前記表示デバイスが重ならない状態にできることを特徴としてもよい。
当該構成によれば、物品の搬送の終了後に、接続フィルムを切断して通信アンテナに表示デバイスが重ならない状態とすることができる。この状態では、通信アンテナに印刷配線や共通電極等の導電体が重ならないため、良好な通信を行うことができる。
【0012】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記可撓性基板の一面のみに前記表示部と前記回路部を形成してもよい。
当該構成によれば、両面に表示部と回路部を形成する場合と比べて製造工程を複雑にすることなく、比較的安価なセンサ装置を提供することができる。また、回路部のセンサーデバイスが可撓性基板よりも物品側になるため、物品の温度等を正確に検知することができる。
【0013】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記可撓性基板の一面に前記表示部を形成し、他面に前記回路部を形成することを特徴としてもよい。
当該構成によれば、可撓性基板が2重にならないため、センサ装置を薄く形成することができる。また、回路部のセンサーデバイスが可撓性基板よりも物品側になるため、物品の温度等を正確に検知することができる。
【0014】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記表示部は非導電性の材料から構成される印刷部を有し、前記通信アンテナは前記印刷部と重なって配置されることを特徴としてもよい。
当該構成によれば、印刷配線や表示デバイスによる導体が通信アンテナに重ならず、良好な通信を行うことができる。
【0015】
また、上記一側面に係るセンサ装置の別の形態として、前記表示デバイスは走査線駆動チップと信号線駆動チップを備え、前記走査線駆動チップと前記信号線駆動チップは、長辺方向が前記表示デバイスの短辺方向となるように前記可撓性基板に取り付けられていることを特徴としてもよい。
当該構成によれば、センサ装置を円筒形の物品に取り付ける場合に、センサ装置の長辺が曲がり、短辺が曲がらないように取り付けることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、高機能で比較的安価であり、コンパクトな物品に取り付けるセンサ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】実施例1に係るセンサ装置1における表示部の配置図。
【
図3】接着層18による接着を行う前の実施例1に係るセンサ装置1を斜めから見た図。
【
図7】実施例4に係るセンサ装置4を瓶に取り付けた際の断面図。
【
図9】実施例5の変形例1に係るセンサ装置5-1の断面図。
【
図10】実施例5の変形例2に係るセンサ装置5-2の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では表示デバイスとして可撓性を有する電子ペーパを用いるが、可撓性があれば他の表示デバイスでもよい。
【実施例1】
【0019】
図1は、実施例1に係るセンサ装置1の断面図である。センサ装置1はシート状に形成され、可撓性を有する。そして、
図1におけるセンサ装置1の下方で物品に取り付ける。可撓性基板11は表示部12と回路部16を有している。可撓性基板11の表面には、印刷配線111が施されており、印刷配線111は、可撓性基板11と共に折曲げ部112で折り曲げられている。本願の実施形態で用いる印刷配線111は、インクジェット印刷によって樹脂製の可撓性基板11の上に金属の粒子が分散したインクを印刷し、150℃以下の温度で加熱して導電配線としたものである。
【0020】
可撓性基板11を折り曲げる前において、折曲げ部112の両側に表示部12と回路部16を形成する。そして、折曲げ部112での折曲げにより表示部12と回路部16が重なり、重なった部分を接着層18により接着する。
図1において、表示部12には電子ペーパ13と走査線駆動チップ14が記載されている。電子ペーパ13は、可撓性を有している。このように、可撓性基板11の一面に表示部12を形成し、他面に回路部16を形成している。
【0021】
電子ペーパ13は、走査線134と信号線135(
図2参照)が可撓性基板11の上に印刷配線111により形成されている。また、走査線134と信号線135の交点の近傍には、画素トランジスター136(
図2参照)、画素電極137(
図2参照)、画素容量素子138(
図2参照)が形成されている。そして、画素電極137の上に電気泳動素子131が設けられる。本実施形態で用いる電気泳動素子131は、マイクロカプセルの中に透明オイルと、正に帯電した白色顔料と、負に帯電した黒色顔料を封止した構造になっている。電気泳動素子131の上部には共通電極132を備えたカバー基板133が設けられている。
図1では、印刷配線111で形成された走査線134が、印刷配線111により走査線駆動チップ14に接続している。走査線駆動チップ14からは印刷配線111が折曲げ部112を通過して回路部16に至り、ビアホール113で可撓性基板11を通過して取付素子17に接続し、さらに印刷配線111を介して他の取付素子17や、通信アンテナ171等に接続する。
図1に示されていないが、信号線135と信号線駆動チップ15についても同様である。取付素子17は、センサーデバイスやメモリ素子、制御回路、等の回路チップや二次電池、通信アンテナ171などである。ここで通信アンテナ171は回路部16に設けられるが、上部に配置される表示部12において、印刷配線111などの導電性部材がない非導電領域121の下に設ける。
【0022】
表示部12の上側、回路部16の下側、折曲げ部112の外側は、保護層19により覆われて保護されている。センサ装置1は柔軟性を有しており、物品の曲面に接着等により取り付けることができる。なお、
図1において、信号線駆動チップ15の記載は省略している。
【0023】
図2は、実施例1に係るセンサ装置1における表示部12の配置図である。電子ペーパ13は印刷配線111で形成された走査線134と信号線135を備える。また、走査線134と信号線135の交点近傍には画素電極137が設けられ、電気泳動素子131の画素を形成している。さらに、交点近傍には画素容量素子138と画素トランジスター136を備える。走査線134から延在する印刷配線111は走査線駆動チップ14の走査線バッファ141に接続し、信号線135から延在する印刷配線111は走査線駆動チップ14の信号線バッファ151に接続する。
【0024】
表示部12は、
図2の横方向(X方向)に長く延在する形状を有している。走査線駆動チップ14と信号線駆動チップ15は、延在する長辺方向が電子ペーパ13及び表示部12の短辺方向(Y方向)となるように可撓性基板11に取り付けられている。センサ装置1を円筒形の物品に貼り付ける場合には、長辺であるX方向が湾曲するように取り付けることが一般的である。走査線駆動チップ14と信号線駆動チップ15は延在方向では曲がらないため、
図2のようにX方向に垂直に延在するように配置する。
【0025】
図3は、接着層18による接着を行う前の実施例1に係るセンサ装置1を斜めから見た図である。表示部12と回路部16は重なって配置され、表示部12と回路部16は折曲げ部112で接続している。表示部12の電子ペーパ13には温度、時間等の文字と二次元バーコードが表示されている。また、回路部16には、電源である二次電池が取付素子17として取り付けられている。本実施例では、二次電池は柔軟性のあるフィルム状のものを用いる。
【0026】
センサ装置1は物品に取り付けられる。センサ装置1は可撓性を有したシート状であり、瓶等の円筒形の物品にも取り付けることができる。そして、温湿度センサや9軸センサ等のセンサーデバイスの情報を得られた時間と共に連続的にメモリに記憶する。物品の搬送後等において、メモリの記憶内容は近距離無線通信により、通信アンテナから送信可能である。また、得られた温度等の情報の一部は電子ペーパ13で表示する。本実施例では、物品にセンサ装置1を取り付けた後、出荷時に近距離無線通信により送り先名を入力する等の出荷処理をする。
図3では、出荷処理後に温度センサにより検出した温度の最高温度と、出荷処理の日時の情報等を表示している。送り先の店舗等では、表示されている最高温度が高すぎる場合に、商品を販売しないなどの処置を取ることができる。さらに、高すぎる最高温度が表示されている場合には、近距離通信を用いてメモリ内の情報を通信アンテナ経由で取り出し、温度の時間推移等をチェックして問題のある輸送過程を把握し、改善につなげることができる。また、表示部12に異常値が表示されているか否かにかかわらず、取り出したメモリ内の情報を商品管理に役立てることができる。
【0027】
<実施例1の変形例>
図2において、信号線駆動チップ15を、電子ペーパ13からみてY方向の側に配置することもできる。この場合には、信号線駆動チップがX方向に延在することになるが、複数に分割して複数の信号線駆動チップを用いる。これにより、複数の信号線駆動チップがX方向に延在しても、各チップのX方向の長さが短いため、X方向で湾曲することができ、センサ装置を円筒形の物品に貼り付けることができる。
【実施例2】
【0028】
図4は、実施例2に係るセンサ装置2の断面図である。センサ装置2もシート状に形成され、可撓性を有する。表示部22及び折曲げ部212の構成は実施例1の表示部12及び折曲げ部112と同様である。実施例1の回路部16と異なり、実施例2の回路部26にはビアホール113に相当する構成がなく、印刷配線211および取付素子27は、可撓性基板21の同じ面に形成されている。すなわち、可撓性基板21の一面のみに表示部22と回路部26を形成している。そして、印刷配線211等がない可撓性基板21の内側の面が接着層28で接着されている。通信アンテナ271は、印刷配線211などの導電性部材がない非導電領域221の下に設けている。可撓性基板21の外側は、電子ペーパ23や取付素子27、印刷配線211等が保護層29により覆われて保護されている。
【0029】
実施例2では物品に取り付ける側に回路部26があるため、可撓性基板21を介さずに取付素子27である温度センサを物品の近くに配置することができる。そのため、物品の温度を正確に記憶することができる。
【実施例3】
【0030】
図5は、実施例3に係るセンサ装置3の断面図である。センサ装置3もシート状に形成され、可撓性を有する。しかし、実施例1と異なり、接着層がなく、可撓性基板31の表示部32と回路部36は接着されていない。また、接続フィルム38の接着固定部381は、折曲げ部312に対向する端部である表示部32の右端部と、回路部36の右端部の接着固定部381に接着固定されている。接続フィルム38は可撓性基板31の表示部32と回路部36の部分の間に入り込み、折りたたまれている。そして、折り畳み部382は、上下における接続フィルム38及び可撓性基板31の間と、接続フィルム38が折り曲げられて重なることにより接している部分で、弱く接着されている。可撓性基板31の外側は保護層39により保護されている。
【0031】
上部の表示部32は電子ペーパ33を搭載しており、下部の回路部36よりも柔軟性が劣る。回路部36の下方で曲率半径が小さい円筒形の物品に接着した場合、表示部32が物品の曲率半径まで曲がることなく折曲げ部312が拡がって折り畳み部382の接着が剥がれる。このとき、接着固定部381は剥がれない。その結果、回路部36との間に隙間を空けた状態で、表示部32は一端の折曲げ部312と他端の接続フィルム38で回路部36に接続する。これにより、センサ装置3を貼り付ける物品の曲率半径が小さくても、電子ペーパ33を傷つけることなく物品に貼り付けることができる。実施例3では、可撓性基板31において、表示部32が設置されている上部は回路部36が設置されている下部より短い。表示部32の端部は回路部36の端部より左側に延在しているため、物品に回路部36を貼り付ける際に、折り畳み部382が剥がれても、延在した部分を抑えることができて貼り付けやすい。なお、実施例3において、実施例1等のように非導電領域を設け、その下に通信アンテナ371を設けることもできる。
【0032】
<実施例3の変形例>
実施例3のセンサ装置3において、接続フィルム38に切り取り線を入れ、接続フィルム38による表示部32と回路部36の接続を切り離せるようにしてもよい。実施例3では、近接通信用の取付素子37に用いる比較的面積の大きな通信アンテナ371は回路部36に搭載され、通信アンテナ371に電子ペーパ33等が重なる。そのため、通信アンテナ371に印刷配線311や共通電極332が重なることになり、表側からの通信が行いにくくなっている。本変形例では接続フィルム38に切り取り線による切断可能部を設け、接続フィルム38による接続を切断して折曲げ部312だけで接続した状態にできるようにする。これにより、配送の終了時に接続フィルム38を切り離し、表示部32が通信アンテナ371に重ならないようにして、良好な通信を行うことができる。このようにすることによって表示部に非導電領域を設ける必要がなくなる。切断可能部は切り取り線だけでなく、剥離可能とするなど他の切断手段でもよい。
【実施例4】
【0033】
図6は、実施例4に係るセンサ装置4の断面図である。センサ装置4もシート状に形成され、可撓性を有する。実施例4では、可撓性基板41の表面側が電子ペーパ43や走査線駆動チップ44等を備えた表示部42に、裏面側が取付素子47等を備えた回路部46になっている。そして、表示部42と回路部46の素子等は、可撓性基板41の表面に設けた印刷配線411とビアホール413により電気的に接続している。また、全体は保護層49で覆われて保護されている。
図6において、信号線駆動チップ45の記載は省略しているが、
図2の信号線駆動チップ15のようにY方向に延在して設置されている。走査線駆動チップ44も同様にY方向に延在する。センサ装置4はX方向が長手方向となっている。なお、信号線駆動チップ15を複数に分割し、X方向に延在して設置してもよい。
【0034】
図7は、実施例4に係るセンサ装置4を瓶7に取り付けた際の断面図である。瓶7はX方向で湾曲した円筒部の一部断面を示す。取付フィルム8は周囲にのみ粘着部81を有しており、粘着部81が瓶7の外面に粘着することによって、取付フィルム8に覆われたセンサ装置4が瓶7に取り付けられる。センサ装置4は瓶7に直接接着されていないため、輸送の終了時などに取付フィルム8からセンサ装置4を取り出して容易に再利用することができる。なお、実施例4だけでなく、他の実施例でも取付フィルム8による取付を行うことができる。
【実施例5】
【0035】
図8は、実施例5に係るセンサ装置5の断面図である。センサ装置5もシート状に形成され、可撓性を有し、
図8の下方で物品に取り付ける。実施例1と同様に、可撓性基板51に表示部52と回路部56を設け、折曲げ部512で折り曲げて接着層58で接着している。可撓性基板51には印刷配線511が施されている。回路部56には、ビアホール513が設けられ、可撓性基板51の上側に印刷配線511が施されている。印刷配線511には回路部56では通信アンテナ571を含めた取付素子57が接続され、表示部52では走査線駆動チップ54等の駆動チップと電子ペーパ53が取り付けられている。
【0036】
ここで、実施例1では、電子ペーパ13の走査線134、信号線135は印刷配線111で形成されているが、実施例5の電子ペーパ53の走査線と信号線は、電子ペーパ基板533に設けられており、可撓性基板51には設けられていない。電子ペーパ53は、走査線(図示せず)と信号線(図示せず)が設けられた電子ペーパ基板533に電気泳動素子531、共通電極(図示せず)を設けたカバー基板532を積層して形成される。そして、センサ装置5は、外側が保護層59で覆われて内部が保護されている。
【0037】
<実施例5の変形例>
図9は、実施例5の変形例1に係るセンサ装置5-1の断面図である。センサ装置5-1は、実施例5と同様に可撓性基板51を折曲げ部512で折り曲げて2重にしている。しかしながら、実施例5において電子ペーパ53の直下にある可撓性基板51が、変形例1では存在せずに保護層59となり、可撓性基板51が1重となっている。その他の点は実施例5と同様である。
【0038】
図10は、実施例5の変形例2に係るセンサ装置5-2の断面図である。回路部56が搭載される下層の可撓性基板51の下基板先端部514が、上層における電子ペーパ53のペーパ先端部534よりも短い例である。変形例1のセンサ装置5-1において、さらに下層の可撓性基板51が短い構造となっている。また、通信アンテナ571は、走査線駆動チップ54等と同様に、2重の可撓性基板51における上の層に搭載されており、導電体が障害にならないようにしている。
【実施例6】
【0039】
図11は、実施例6に係るセンサ装置6の表示部62である。センサ装置6もシート状に形成され、可撓性を有する。印刷配線等の記載は省略している。実施例1では、文字及び記号の部分とバーコードの部分は電子ペーパ13により表示されている。しかし実施例6では実施例1において、表示部62には電子ペーパ63の部分と印刷部64が設けられている。そして、印刷部64には印刷配線等の導電体は設けられていない。印刷部64にはバーコードや商標等のマーク、注意書き等を印刷することができる。
【0040】
図12は、実施例6に係るセンサ装置6の回路部66である。印刷配線等の記載は省略している。回路部66には取付素子67として、回路チップや二次電池とともに通信アンテナ671が設けられている。そして、通信アンテナ671は、表示部62と回路部66を重ねた状態で印刷部64に重なる位置に設けられる。したがって、無線通信をする際に、表示部62の印刷配線や共通電極等の導電体が障害にならず、良好な無線通信を行うことができる。また、非導電領域に印刷して表示を行っているため、表示部62の領域を有効に利用することができる。
【0041】
実施例6は実施例1のタイプに適用したものであるが、他の実施例のタイプにも適用することができる。
【0042】
上記の実施形態では、印刷配線を形成する際にインクジェット印刷を用いたが、スクリーン印刷やオフセット印刷等の他の印刷技術を用いてもよい。
【0043】
また、上記の実施形態では、通信アンテナを取付素子としたが、印刷配線により可撓性基板の上に形成してもよい。
【0044】
上記の実施形態では物品に取り付ける際に接着を用いたが、接着以外の取付方法を用いても良い。嵌め込み式の取付方法等を用いれば、センサ装置の再利用を容易にすることができる。
【0045】
上記の実施形態では、通信アンテナを回路部に設けたが、実施例1における
図1の非導電領域121に設ける等、導電体が覆わないように表示部の端部に設けてもよい。
【0046】
実施例5は実施例1の電子ペーパ13の構成を変更したものであるが、実施例1以外の実施例においても同様に電子ペーパの走査線及び信号線を可撓性基板状の印刷配線ではなく、電子ペーパ基板に設けたものとしてもよい。また、表示部に走査線駆動チップ等を設けずに、走査線駆動回路と信号線駆動回路を備えた電子ペーパを用いてもよい。
【0047】
また、実施例5では、可撓性基板51の上に電子ペーパ53を取付素子57等のように取り付けた。しかし、電子ペーパ53の電子ペーパ基板533は一種の可撓性基板であり、
図6のような折曲げ部のない可撓性基板に電子ペーパを取り付けた構造としてもよい。その場合、折曲げ部112はないが、実施例1のように2つの可撓性基板が重なる構造となる。接着層は設けることも設けないこともできる。この場合にも、通信アンテナの上に導電性部材が重ならないように非導電領域を設けたり、非導電領域を印刷領域としたりして通信アンテナを配置する。
【符号の説明】
【0048】
1 センサ装置
11 可撓性基板
111 印刷配線
112 折曲げ部
12 表示部
121 非導電領域
13 電子ペーパ
131 電気泳動素子
132 共通電極
133 カバー基板
134 走査線
135 信号線
136 画素トランジスター
137 画素電極
138 画素容量素子
14 走査線駆動チップ
141 走査線バッファ
15 信号線駆動チップ
151 信号線バッファ
16 回路部
113 ビアホール
17 取付素子
171 通信アンテナ
18 接着層
19 保護層
2 センサ装置
21 可撓性基板
211 印刷配線
212 折曲げ部
22 表示部
221 非導電領域
23 電子ペーパ
26 回路部
27 取付素子
271 通信アンテナ
28 接着層
29 保護層
3 センサ装置
31 可撓性基板
311 印刷配線
312 折曲げ部
32 表示部
33 電子ペーパ
332 共通電極
36 回路部
37 取付素子
371 通信アンテナ
38 接続フィルム
381 接着固定部
382 折り畳み部
39 保護層
4 センサ装置
41 可撓性基板
411 印刷配線
413 ビアホール
42 表示部
43 電子ペーパ
44 走査線駆動チップ
45 信号線駆動チップ
46 回路部
47 取付素子
471 通信アンテナ
49 保護層
5 センサ装置
51 可撓性基板
511 印刷配線
512 折曲げ部
513 ビアホール
514 下基板先端部
52 表示部
521 非導電領域
53 電子ペーパ
531 電気泳動素子
532 カバー基板
533 電子ペーパ基板
534 ペーパ先端部
54 走査線駆動チップ
56 回路部
513 ビアホール
57 取付素子
571 通信アンテナ
58 接着層
59 保護層
6 センサ装置
62 表示部
63 電子ペーパ
64 印刷部
66 回路部
67 取付素子
671 通信アンテナ
7 瓶
8 取付フィルム
81 粘着部