(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】連結部材、連結部材を備える地下構造物用蓋および連結方法
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20240904BHJP
H02G 9/04 20060101ALI20240904BHJP
H02G 9/10 20060101ALI20240904BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
E02D29/14 B
H02G9/04
H02G9/10
H02G1/06
E02D29/14 Z
(21)【出願番号】P 2020152196
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】立石 栄一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 英浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 竜也
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-338943(JP,A)
【文献】特開2002-098472(JP,A)
【文献】実開平05-022214(JP,U)
【文献】特開2004-166454(JP,A)
【文献】特開2013-090527(JP,A)
【文献】特開2002-054167(JP,A)
【文献】実公昭57-058296(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
H02G 9/04
H02G 9/10
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物用蓋の蓋本体を、前記蓋本体を支持する受枠に対して開閉可能に連結する連結部材であって、
細長い柱状の連結部材本体部と、
前記連結部材本体部の長手方向の一端部に設けられた第1の連結部であって、前記蓋本体の裏面側に形成された取付部に対して回転可能に取り付けられる第1の連結部と、
前記連結部材本体部の長手方向の他端部に設けられた第2の連結部であって、前記蓋本体が前記受枠から引き出された状態において前記蓋本体と前記受枠との連結状態を維持可能な第2の連結部と、
前記連結部材本体部に設けられ
たケーブル通路部であって、地下構造物の内部に設置される第1の機器と前記蓋本体に設置される第2の機器との間で信号を伝送するケーブルを沿わせるケーブル通路部とを備え、
前記ケーブル通路部は、前記
連結部材本体部の長手方向の少なくとも一部に沿って伸びる通路であって、前記ケーブルが前記連結部材本体部と連動するように取り付けられる通路を備える、連結部材。
【請求項2】
前記通路は、前記連結部材本体部の外周面を
、前記長手方向の少なくとも一部に沿って切り欠く凹溝を備える、請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
前記ケーブル通路部は、前記凹溝からの前記ケーブルの離脱を規制する規制手段を備える、請求項2に記載の連結部材。
【請求項4】
前記規制手段は、前記ケーブルが前記凹溝に挿入可能となるように、前記凹溝の内面に対して突出する突起を備える、請求項3に記載の連結部材。
【請求項5】
前記通路は、前記連結部材本体部を
、前記長手方向の少なくとも一部に沿って貫通する孔を備える、請求項1に記載の連結部材。
【請求項6】
蓋本体と、
前記蓋本体を支持する受枠と、
前記受枠に対して前記蓋本体を開閉可能に連結する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の連結部材とを備える、地下構造物用蓋。
【請求項7】
前記蓋本体に設置される第2の機器は、地下構造物の内部において取得され前記ケーブルにより送られてきた信号を当該地下構造物用蓋の外部に送信する送信機能を備える、請求項6に記載の地下構造物用蓋。
【請求項8】
連結部材を用いて蓋本体と受枠とを連結する連結方法であって、
前記連結部材は、
細長い柱状の連結部材本体部と、
前記連結部材本体部の長手方向の一端部に設けられた第1の連結部であって、前記蓋本体の裏面側に形成された取付部に対して回転可能に取り付けられる第1の連結部と、
前記連結部材本体部の長手方向の他端部に設けられた第2の連結部であって、前記蓋本体が前記受枠から引き出された状態において前記蓋本体と前記受枠との連結状態を維持可能な第2の連結部と、
前記連結部材本体部に設けられたケーブル通路部とを備え、
前記ケーブル通路部は、前記
連結部材本体部の長手方向の少なくとも一部に沿って伸びる通路を備え、
当該連結方法は、前記連結部材により、前記蓋本体を前記受枠に対して開閉可能に連結することと、
前記連結することの前後いずれかにおいて、前記通路にケーブルを沿わせることとを含む、連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結部材、連結部材を備える地下構造物用蓋および連結方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マンホール等の開口部に設置される地下構造物用蓋であって、蓋本体を受枠に対して蝶番金物によって開閉可能に連結した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、マンホールの下部に配置されるセンサ部と、マンホール蓋に備えた通信装置部とをケーブルによって接続し、センサ部によって取得されたデータを通信装置部によって外部に無線送信するマンホールの遠隔監視装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭57-58296号公報
【文献】特開2002-54167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の遠隔監視装置においては、マンホール蓋に備えた通信装置部にコネクタにより接続されたケーブルは、マンホール蓋の裏面から下方に垂れ下がって、マンホールの下部に配置されたセンサ部に接続されている。特許文献2のようなケーブルを特許文献1の地下構造物用蓋に採用する場合、蓋本体を開くときに、垂れ下がっているケーブルが開口部から引き出される。
そして、蝶番金物によって受枠に連結された蓋本体は、開閉するときに、蝶番金物を中心軸として、鉛直方向および水平方向に回転可能であるため、引き出されたケーブルが蓋本体と受枠との間に挟まれて損傷する虞がある。
したがって、受枠に対して蓋本体を開閉する際に、ケーブルが損傷することを抑制することは重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、地下構造物用蓋の蓋本体を、前記蓋本体を支持する受枠に対して開閉可能に連結する連結部材であって、第1の方向に伸びる連結部材本体部と、該連結部材本体部に設けられ、地下構造物の内部に設置される第1の機器と前記蓋本体に設置される第2の機器との間で信号を伝送するケーブルを沿わせるケーブル通路部とを備え、該ケーブル通路部は、前記第1の方向に沿って伸びる通路であって、前記ケーブルが前記連結部材本体部と連動するように取り付けられる通路を備える、連結部材である。
【0006】
本態様の連結部材においては、地下構造物の内部に設置される第1の機器と蓋本体に設置される第2の機器との間で信号を伝送するケーブルを沿わせるケーブル通路部が、連結部材本体部に設けられている。さらに、このケーブル通路部が、連結部材本体部の伸びる方向である第1の方向に沿って伸びる通路を備えているため、連結部材本体部の伸びる方向に沿ってケーブルを配置することができる。このため、受枠に対して開閉する際の蓋本体の動きに伴って、様々な向きに変動する連結部材本体部の動きに追随するようにケーブルを連動させることができる。したがって、受枠に対して蓋本体を開閉する際に、蓋本体と受枠との間にケーブルが挟まれ、ケーブルが損傷することを抑制することができる。
【0007】
上記態様においては、前記通路は、前記連結部材本体部の外周面を前記第1の方向に沿って切り欠く凹溝を備えるものであってもよい。通路は、連結部材本体部の伸びる方向である第1の方向に沿う凹溝を備えているため、ケーブルを凹溝に配置する際に、第1の方向に沿わせた状態のケーブルを平行移動させることによって、連結部材本体部の伸びる方向に沿ってケーブルを簡単に配置することができる。
【0008】
また、上記態様においては、前記ケーブル通路部は、前記凹溝からの前記ケーブルの離脱を規制する規制手段を備えていてもよい。これにより、連結部材本体部の伸びる方向に沿ってケーブルを配置した状態を維持しやすい。このため、第1の方向に沿う凹溝に対してケーブルを配置し易いだけでなく、配置したケーブルが離脱しにくい連結部材を提供することができる。したがって、より確実に、連結部材本体部の動きに追随するようにケーブルを連動させることができる。
【0009】
典型的な規制手段は、前記ケーブルが前記凹溝に挿入可能となるように、前記凹溝の内面に対して突出する突起である。
【0010】
また、上記態様においては、前記通路は、前記連結部材本体部を前記第1の方向に沿って貫通する孔を備えるものであってもよい。
これにより、ケーブルが連結部材本体部から剥き出しの状態で配置されることを抑制し易い。したがって、受枠に対して蓋本体を開閉する際に、連結部材本体部と連動するケーブルが損傷を受ける可能性を低減することができる。
【0011】
また、本発明の他の態様は、蓋本体と、該蓋本体を支持する受枠と、該受枠に対して前記蓋本体を開閉可能に連結する上記いずれかの連結部材とを備える地下構造物用蓋である。
【0012】
上記態様においては、前記蓋本体に設置される第2の機器は、地下構造物の内部において取得され前記ケーブルにより送られてきた信号を当該地下構造物用蓋の外部に送信する送信機能を備えていてもよい。
【0013】
また、本発明の他の態様は、連結部材を用いて蓋本体と受枠とを連結する連結方法であって、前記連結部材は、第1の方向に伸びる連結部材本体部と、該連結部材本体部に設けられたケーブル通路部とを備え、該ケーブル通路部は、前記第1の方向に沿って伸びる通路を備え、当該連結方法は、前記連結部材により前記蓋本体を前記受枠に対して開閉可能に連結することと、前記連結することの前後いずれかにおいて、前記通路にケーブルを沿わせることとを含む、連結方法である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る地下構造物用蓋を示す縦断面図である。
【
図2】
図1の地下構造物用蓋に備えられる本発明の一実施形態に係る連結部材を示す斜視図である。
【
図3】
図2の連結部材にケーブルの長さ方向の一部を沿わせた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の地下構造物用蓋の蓋本体の外周縁の一か所を受枠から持ち上げた状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図1の地下構造物用蓋の蓋本体を受枠から引き出した状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図5の状態の蓋本体を、連結部材を中心軸として水平回転させることにより、受枠の中央開口部を開いた状態を示す縦断面図である。
【
図7】
図5の状態の蓋本体を、連結部材のピンの中心軸周りに鉛直方向に回転させることにより、受枠の中央開口部を開いた状態を示す縦断面図である。
【
図8】
図2の連結部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る連結部材1、連結部材1を備える地下構造物用蓋10および連結方法について、図面を参照して以下に説明する。
本発明の説明において、「地下構造物用蓋」とは、下水道における地下埋設物,地下構造施設等と地上とを通じる開口部を閉塞するマンホール蓋,大型鉄蓋,汚水桝蓋、電力・通信の分野における地下施設機器や地下ケーブル等を保護する開閉可能な共同溝用鉄蓋,送電用鉄蓋,配電用鉄蓋、上水道やガス配管における路面下の埋設導管およびその付属機器と地上とを結ぶ開閉扉としての機能を有する消火栓蓋,制水弁蓋,仕切弁蓋,空気弁蓋,ガス配管用蓋,量水器蓋等を総称する。
【0016】
本実施形態における地下構造物用蓋10は、
図1に示されるように、下水道(地下構造物)100のマンホール蓋であり、蓋本体11と、蓋本体11を支持する受枠12と、蓋本体11を受枠12に対して開閉可能に連結する連結部材1とを備えている。
【0017】
下水道100の内部には第1の機器13が設置され、蓋本体11には第2の機器14が設置され、第1の機器13と第2の機器14とはケーブル15によって接続される。第1の機器13は、例えば、下水道100の内部の状態(例えば、下水道内部の流量)を検出して信号を発生するセンサである。第2の機器14は、例えば、センサが発生した信号を地下構造物用蓋10の外部と通信する通信機能14Aを備え、通信機能14Aは、信号を地下構造物用蓋10の外部に送信する送信機能14A1を備える。
【0018】
ケーブル15は、第1の機器13が発生した信号を第2の機器14に伝送する。信号は、電気信号あるいは光信号である。なお、本実施例では第2の機器14が備える通信機能14Aは送信機能14A1を備える構成を例示したが、これに限定されず、受信機能やその他の機能を備えるものであってもよい。
【0019】
蓋本体11は、外周縁に、表面側から裏面側に向かって径が小さくなるテーパ外面16を備えている。蓋本体11の裏面の外周縁近くの1箇所には、後述する連結部材1を取り付ける取付部17が設けられている。
【0020】
受枠12は、下水道100と地上とを通じる開口部110に設置された状態で、上下方向に貫通する中央開口部18を備える環状の構造物である。中央開口部18には、その上部に、蓋本体11のテーパ外面16を嵌合させるテーパ内面19が設けられている。蓋本体11のテーパ外面16を受枠12のテーパ内面19に嵌合させることにより、中央開口部18が蓋本体11によって閉じられるとともに、蓋本体11が受枠12によって下から支持される。
【0021】
また、受枠12には、テーパ内面19の下方に、内周面の周方向の1箇所から中央開口部18の内方に突出する座部20が一体的に設けられている。座部20は、連結部材1を上下方向に挿入させる貫通孔21を備えている。
【0022】
本実施形態に係る連結部材1は、
図2に示されるように、細長い柱状の本体部(連結部材本体部)2と、本体部2の長手方向(第1の方向)Xの一端近くにおいて、本体部2の外周面から長手方向Xに交差する方向Yに、本体部2を挟んで両側に伸びる一対のピン3とを備えている。
【0023】
また、連結部材1は、本体部2の長手方向Xの他端近くに、本体部2の外周面から長手方向Xに直交する方向Yに突出する第1ストッパ4と、本体部2の長手方向Xの途中位置から長手方向Xおよび方向Yのそれぞれに直交する方向Zに突出する第2ストッパ5とをそれぞれ備えている。本実施形態においては、第1ストッパ4は、一対のピン3の中心軸Pと略平行な方向に、本体部2を挟んで両側に伸びている。
【0024】
図1に示されるように、連結部材1をピン3によって蓋本体11の裏面側に形成した取付部17に取り付けると、ピン3の中心軸Pが蓋本体11の表面にほぼ平行に配置され、連結部材1は取付部17に、ピン3の中心軸P回りに回転可能に取り付けられる。
蓋本体11の取付部17に取り付けられた連結部材1の本体部2を受枠12の座部20の貫通孔21に挿入させて、蓋本体11のテーパ外面16を受枠12のテーパ内面19に嵌合させると、連結部材1の自重により、第2ストッパ5が、受枠12の座部20の下面22の下方に入り込んで配置される。
【0025】
これにより、蓋本体11の取付部17側を受枠12から持ち上げようとしても、第2ストッパ5が座部20の下面22に突き当たり、受枠12から蓋本体11が持ち上げられることを阻止することができる。
【0026】
また、連結部材1は、
図2および
図3に示されるように、本体部2の長手方向(第1の方向)Xに沿ってケーブル15を沿わせるケーブル通路部8を備えている。ケーブル通路部8は、第1の方向Xに沿って伸びる通路を備えている。本実施形態の通路は、本体部2の長手方向(第1の方向)Xのほぼ全長にわたって、本体部2の外周面のうち第2ストッパ5とは反対側の外周面を長手方向(第1の方向)Xに沿って切り欠く凹溝6を備えている。
【0027】
また、ケーブル通路部8は、凹溝6からのケーブル15の離脱を規制する規制手段として、複数の突起7を備えている。各突起7は、本体部2の外周面付近において凹溝6の内面から溝幅方向に突出している。突起7は、凹溝6の溝幅方向に対向する一対の内面に、凹溝6の長手方向(第1の方向)Xに沿って、互い違いに配置されている。
【0028】
凹溝6は、ケーブル15の外径とほぼ同じまたは少し大きな溝幅Wを有している。また、各突起7と、突起7の溝幅方向に対向する凹溝6の内面との間の隙間Vは、溝幅Wよりも小さく、ケーブル15の長さ方向の途中位置を通過させることができるように、ケーブル15の外径とほぼ同じまたは少し大きな寸法に設定されている。
【0029】
ケーブル15は、樹脂からなる被覆を備え、被覆は弾性変形可能であるため、各突起7と、突起7の溝幅方向に対向する凹溝6の内面との間の隙間Vがケーブル15の外径よりも若干小さくてもよい。この場合には、ケーブル15を凹溝6に収容する際に、被覆を弾性変形させて、各突起7と、突起7の溝幅方向に対向する凹溝6の内面との間の隙間Vを通過させることができる。
【0030】
ケーブル15の長さ方向の一部を連結部材1の凹溝6内に押し込むことにより、
図3に示されるように、ケーブル15の長さ方向の一部が凹溝6内に収容される。これにより、ケーブル15は凹溝6に、本体部2の長手方向(第1の方向)Xに沿わされた状態に取り付けられ、突起7によって、凹溝6内から離脱することが規制され、収容状態に維持される。
【0031】
本実施形態における連結部材1を用いて蓋本体11と受枠12とを連結する連結方法は、蓋本体11に取り付けた連結部材1の本体部2を、受枠12の座部20に設けられた貫通孔21に挿入させることにより、蓋本体11を受枠12に対して開閉可能に連結することと、本体部2に設けられた凹溝6内にケーブル15の長さ方向の一部を沿わせることとを含んでいる。凹溝6へケーブル15を沿わせる順番は、連結部材1を座部20の貫通孔21に挿入させる前に行ってもよいし、貫通孔21に挿入させた後に行ってもよい。
【0032】
本実施形態に係る連結部材1、連結部材1を備えた地下構造物用蓋10および連結方法によれば、蓋本体11と受枠12とが連結部材1によって機械的に連結されるとともに、連結部材1のケーブル通路部8によってケーブル15が連結部材1の本体部2の長手方向Xに沿わされる。
【0033】
図4に示すように、受枠12の中央開口部18を閉じている状態の蓋本体11を開くには、蓋本体11の裏面側の取付部17とは反対側の外周縁の近傍に設けたロック機構(図示しない)を解除して、
図4に矢印Aで示されるように、蓋本体11の裏面側に形成した取付部17とは反対側の外周縁を持ち上げた後、矢印Bで示されるように、蓋本体11を取付部17とは反対側に引き出す。これにより、連結部材1の第2ストッパ5が座部20の下面22に引っ掛かることなく座部20の貫通孔21を通過することができる。この状態から、蓋本体11をさらに矢印Bの方向に引き出すと、
図5に示されるように、連結部材1の本体部2が座部20の貫通孔21内において上方に移動する。
【0034】
蓋本体11が、受枠12の中央開口部18を閉じている状態から受枠12の上方に引き出されるまでの過程において、ケーブル15は、その長さ方向の一部が本体部2の凹溝6に取り付けられた状態に維持されながら本体部2と連動して移動する。
【0035】
図5に示された状態の蓋本体11が受枠12からさらに引き出されると、本体部2の端部に設けられた第1ストッパ4が座部20の下面22に突き当たり、それ以上の引き出しが規制される。これにより、蓋本体11と受枠12との連結状態が維持される。この状態においても、ケーブル15は凹溝6に取り付けられた状態に維持されている。
【0036】
さらに、
図5の状態から
図6に示されるように、連結部材1の本体部2を中心軸Rとして蓋本体11を水平方向に回転させ、あるいは、
図5の状態から
図7に示されるように、ピン3の中心軸P周りに蓋本体11を鉛直方向に回転させても、ケーブル15は凹溝6に取り付けられた状態で、本体部2と連動して移動する。
すなわち、連結部材1による蓋本体11と受枠12との連結状態が維持されている限り、蓋本体11と受枠12との間にケーブル15が単独で露出することが防止される。これにより、ケーブル15が蓋本体11と受枠12との間に挟まれることが防止され、ケーブル15が損傷する可能性を低減しつつ、受枠12に対して蓋本体11を開閉することができるという利点がある。
【0037】
また、本実施形態においては、ケーブル通路部8として、本体部2の長手方向Xに沿って形成された凹溝(通路)6と、収容されたケーブル15を凹溝6内に維持する突起7とを備えるものを採用した。これにより、ケーブル15の端部にコネクタ、第1の機器13あるいは第2の機器14が取り付けられていたとしても、容易にケーブル15の長さ方向の途中位置を凹溝6内に収容したり凹溝6内から取り出したりすることができる。
【0038】
また、凹溝6内からのケーブル15の離脱を規制する規制手段として突起7を採用したが、これに代えて、結束バンドやクリップを採用してもよい。ただし、この場合、ケーブル15の離脱を規制する規制手段として別の部材を用意する必要があるため、突起7を採用するほうが好ましい。
また、ケーブル通路部8の通路としては、凹溝6を備えるものに代えて、
図8に示されるように、本体部2の長手方向(第1の方向)Xに貫通する孔(通路)9を採用してもよい。これにより、ケーブル15が本体部2から剥き出しの状態で配置されることを抑制し易い。したがって、受枠12に対して蓋本体11を開閉する際に、本体部2と連動するケーブル15が損傷を受ける可能性を低減することができる。
【0039】
また、本実施形態において、ケーブル通路部8の通路として、本体部2の長手方向(第1の方向)Xに沿ってほぼ全長にわたって伸びる凹溝6または孔9を例示したが、通路は本体部2の全長の一部に第1の方向に沿って備えられていればよく、例えば、ケーブル通路部は、第1の方向に伸びる通路と、第1の方向とは異なる方向(例えば、方向Y)に屈曲させた通路とを備えるものであってもよい。すなわち、ケーブル通路部8の一部に、第1の方向に沿って伸びる通路であって、ケーブル15が本体部2と連動するように取り付けられる通路を備えていればよい。
【0040】
また、本実施形態においては、連結部材1として、柱状の本体部2を備えるものを例示したが、これに代えて、他の任意の形状を有する本体部2を採用してもよい。この場合、本体部2が第1の方向に伸びる形状を有するものであれば、柱状に限定されるものではない。
【0041】
また、連結部材1が、ピン3により、蓋本体11の表面に平行な中心軸P周りのみに回転可能に蓋本体11に取り付けられるものを例示したが、これに代えて、ボールジョイントによって任意の方向に回転可能に蓋本体11に取り付けられていてもよい。
また、連結部材1が第1ストッパ4および第2ストッパ5を備える場合を例示したが、備えていなくてもよい。
また、受枠12に、貫通孔21を有する座部20が一体的に設けられている場合を例示したが、これに代えて、受枠12とは別部材で形成され受枠12に対して移動することができる座部20を採用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 連結部材、 2 本体部(連結部材本体部)、 6 凹溝(通路)、 7 突起(規制手段)、 8 ケーブル通路部、 9 孔(通路)、 10 地下構造物用蓋、 11 蓋本体、 12 受枠、 13 第1の機器、 14 第2の機器、 15 ケーブル、 100 下水道(地下構造物)、 X 長手方向(第1の方向)