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特許7549344治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを投与する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを投与する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20240904BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240904BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61K9/10
A61P25/00
A61P43/00 105
A61P1/16
A61P3/06
A61P35/00
A61P15/00
A61P5/14
A61P37/06
A61P5/00
A61P9/10
A61P9/12
A61P17/00
A61P29/00
A61P11/00
A61P9/00
A61P25/08
A61P31/12
A61P3/00
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/16
A61P27/02
A61P21/00
A61P17/04
A61P27/16
A61P31/22
A61P3/10
A61P21/04
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2020567799
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2019054743
(87)【国際公開番号】W WO2019234689
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】18382398.8
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516293978
【氏名又は名称】ミノリックス セラピューティクス エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マルティネル ペデモンテ, マルク
(72)【発明者】
【氏名】ピスクエタ ラランサ, マリア ピラール
(72)【発明者】
【氏名】ピナ ラグーナ, ギエム
(72)【発明者】
【氏名】メヤ, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】バイ, アラン
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-511339(JP,A)
【文献】特表2009-517186(JP,A)
【文献】Aliment Pharmacol Ther.,2017年,Vol.46,p.56-61
【文献】Exp Clin Endocrinol Diabetes 108,2000年,Suppl 2,p.S234-S242
【文献】Journal of AOAC International,2010年,Vol.93, No.3,p.876-881
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法における使用のための組成物であって、前記組成物は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を含み、前記方法は、
(a)1日当たり、ある量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも4日後に、前記患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた前記血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、式1:
【数14】

(式中、
SDは、(a)において前記患者に投与された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩の量(mg)であり;
CMTは、Cmin target(ng/mL)であり;
min target=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±20%)-1104±20%であり;
PCは、(c)において決定された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4
-ジオンの血漿濃度(ng/mL)である)
に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を、前記患者に投与するステップ
を含む、組成物。
【請求項2】
前記血漿試料が、(a)による投与の少なくとも7日後に、前記患者から得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
血漿試料が、(a)による投与の少なくとも10日後に、前記患者から得られる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
血漿試料が、(a)による投与の少なくとも14日後に、前記患者から得られる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩が、(a)および(d)において、前記患者に経口投与されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(a)および(d)において、1日当たり、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が、前記患者に投与されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記目標AUCが、約100μg・時/mL~約300μg・時/mLである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記目標AUCが、約50μg・時/mL~約100μg・時/mLである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)において、1日当たり、約180mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が前記患者に投与され、前記目標AUCが約200μg・時/mLであることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
(d)において、1日当たり、再計算された量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が前記患者に投与されることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、(a)および(d)において、1mL当たり約15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む懸濁液として前記患者に投与されることを特徴とする、請求項6から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法における使用のための組成物であって、前記組成物は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含み、前記組成物は、経口懸濁液であり、前記方法は、
(a)5日またはそれよりも長い日数の間、1日当たり、5~20ミリリットルの前記組成物を、前記患者に投与するステップであって、前記組成物が、1mL当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む、ステップ;
(b)(a)による投与の5日後またはそれよりも後に、前記組成物の最後の投与の後に、前記患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた前記血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのCmin ssを決定するステップ;および
(d)1日当たり、式4:
【数15】

(式中、
用量V1は、(d)において、1日当たり、前記患者に投与される前記組成物の再計算された量(ミリリットル)であり;
用量pre-V1は、(a)において前記患者に投与された前記組成物の量(ミリリットル)であり;
minV1は、最後の投与の22時間~26時間後に採取された(c)において決定された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのCmin ss(ng/mL)であり;
minTARは、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの目標濃度(ng/mL)であり;
(A)(b)の前記血漿試料が(a)における前記組成物の最後の投与の18時間~19.9時間後に得られた場合、CminTARは、式5A:
minTAR=7700-(88.5×用量pre-V1) 式5A
に従って計算され;
(B)(b)の前記血漿試料が(a)における前記組成物の最後の投与の20時間~21.9時間後に得られた場合、CminTARは、式5B:
minTAR=7440-(103.4×用量pre-V1) 式5B
に従って計算され;
(C)(b)の前記血漿試料が(a)における前記組成物の最後の投与後22時間~25.9時間後に得られた場合、CminTARは、5716であり;
(D)(b)の前記血漿試料が(a)における前記組成物の最後の投与後26時間~27.9時間後に得られた場合、CminTARは、式5D:
minTAR=6740-(138.6×用量pre-V1) 式5D
に従って計算され;または
(E)(b)の前記血漿試料が(a)における前記組成物の最後の投与後28時間~30時間後に得られた場合、CminTARは、式5E:
minTAR=6520-(148.0×用量pre-V1) 式5E
に従って計算される)
に従って決定した通りの、再計算された量(ミリリットル)の前記組成物を前記患者に投与するステップ
を含む、組成物。
【請求項13】
前記方法が、
(i)(d)において、1日当たり、前記再計算された量(ミリリットル)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の前記組成物を、前記患者に投与した5日後またはそれよりも後に、前記組成物の最後の投与の後に、前記患者から血漿試料を得るステップ;
(ii)式6:
【数16】

に従って、(i)で得た前記血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのCmin calcd(ng/mL)を決定するステップ;
(iii)(ii)で決定したCmin calcdに基づいて、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUCCalcd(μg・時/mL)を決定するステップであって、
(A)(i)の前記血漿試料が、前記組成物の最後の投与後の18時間~19.9時間の間に得られた場合、
AUCCalcdは、式7A:
【数17】

に従って計算され;
(B)(i)の前記血漿試料が、前記組成物の最後の投与の20時間~21.9時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7B:
【数18】

に従って計算され;
(C)(i)の前記血漿試料が、前記経口懸濁液の最後の投与の22時間~25.9時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7C:
【数19】

に従って計算され;
(D)(i)の前記血漿試料が、前記組成物の最後の投与の26時間~27.9時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7D:
【数20】

に従って計算され;または
(E)(i)の前記血漿試料が、前記組成物の最後の投与の28時間~30時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7E:
【数21】

に従って計算される、ステップ;
(iv)AUCCalcdが150~240μg・時/mLである場合、1日当たり、(i)におけるのと同じ再計算された量(ミリリットル)の前記組成物を、5日間もしくはそれよりも長く、前記患者に投与し、必要に応じて(i)~(iii)を繰り返すステップ;または
(v)AUCCalcdが150未満もしくは240μg・時/mLを超える場合、(i)において、1日当たり、新しい量(ミリリットル)の前記組成物を前記患者に投与するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法における使用のための組成物であって、前記組成物は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含み、前記方法は、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の組成物を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、前記患者に投与するステップ;および
(a)前記患者における最後の投与の24±6時間後に前記患者から採取された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の前記組成物を、1日1回、前記患者に投与するステップ;
(b)前記患者における最後の投与の24±6時間後に前記患者から採取された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が241μg・時/mLを超える場合、より低用量の前記組成物を、1日1回、前記患者に投与するステップ;または
(c)前記患者における最後の投与の24±6時間後に前記患者から採取された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の前記組成物を、1日1回、前記患者に投与するステップ
を含む、組成物。
【請求項15】
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法における使用のための組成物であって、前記組成物は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含み、前記方法は、
(a)初期用量の前記組成物を、1日1回、5日またはそれよりも長い日数の間、前記患者に;および
(b)(i)式8a:
recal=Dinitial (AUCTar/AUC_0t) 式8a
(式中、
recalは、前記患者に投与される前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の再計算された用量(ミリグラム)であり;
initialは、前記患者に投与された前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の前記初期用量(ミリグラム)であり;
AUCTarは、(a)における最後の投与の24時間後の前記患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの目標曝露(ng・時/ml)であり;
AUC_0tは、(a)における最後の投与の24時間後の前記患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの計算された曝露(ng・時/ml)である);および
(ii)式8b:
AUC_0t=(28.31+0.472ΔT)C+(34410+2234ΔT)initial/150 式8b
(式中、
AUC_0tは、(a)における最後の投与の24時間後の前記患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの計算された曝露(ng・時/ml)であり;
initialは、前記患者に投与された前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の前記初期用量(ミリグラム)であり;
Cは、前記患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度(ng/ml)であり、血漿試料は、(a)における最後の投与の24±6時間後に前記患者から採取され;
ΔTは、前記血漿試料が前記患者から採取された時間と、(a)における最後の投与の24時間後との間の差(時)である)
に従って再計算された用量の前記組成物を前記患者に
投与するステップであって、
前記目標曝露が、50,000ng・時/mL~250,000ng・時/mLである、ステップ
を含む、組成物。
【請求項16】
前記目標曝露が、100,000ng・時/mL~200,000ng・時/mLである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記目標曝露が、50,000ng・時/mL~100,000ng・時/mLである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記患者が、疾患または障害を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記疾患または障害が、中枢神経系疾患または障害、ミトコンドリア性疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、慢性肉芽腫障害、多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺癌腫、甲状腺自己免疫性障害、下垂体腺腫、アテローム性動脈硬化症、高血圧、皮膚疾患、炎症性および自己免疫性疾患、ならびに炎症性呼吸器疾患からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記疾患または障害は、中枢神経系疾患または障害である、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記中枢神経系疾患または障害が、神経変性疾患、脳血管疾患、てんかん、ウイルス性疾患、神経炎症性疾患、脳腫瘍、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝的ミトコンドリア性障害からなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記中枢神経系疾患または障害が、神経変性疾患である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、多発性硬化症、視神経脊髄炎、白質ジストロフィー、ALS、変性運動失調症、多系統萎縮症、NBIA(神経変性および脳鉄蓄積障害)、ニューロミオパチー、および運動ニューロン疾患からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記白質ジストロフィーが、X連鎖性副腎白質ジストロフィーである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記変性運動失調症が、フリードライヒ運動失調症である、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記運動ニューロン疾患が、進行性球麻痺、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ポリオ後症候群(PPS)-マリー・トゥース疾患、ギラン・バレー症候群、および副腎脊髄ニューロパチー(AMN)からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記中枢神経系障害が、全脳虚血または局所的虚血、脳内出血、脳卒中、および血管性認知症からなる群から選択される脳血管疾患である、請求項21に記載の組成物。
【請求項28】
前記中枢神経系障害が、髄膜炎、脳炎、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、急性灰白髄炎、単純ヘルペス、および水痘帯状疱疹からなる群から選択される、ウイルス性疾患である、請求項21に記載の組成物。
【請求項29】
稀代謝性疾患が、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項30】
前記疾患または障害が、ミトコンドリア性疾患である、請求項19に記載の組成物。
【請求項31】
前記ミトコンドリア性疾患が、レット症候群、アルパース病;レーバー遺伝性視神経萎縮症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;リー様症候群;母系遺伝性リー症候群(MILS);ミトコンドリア枯渇症候群(MDS);ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO);優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);ミトコンドリアミオパチー;心筋症;ミトコンドリア脳症;ミオクローヌスてんかん;母系遺伝性糖尿病および難聴(MIDD);運動失調ニューロパチースペクトル;3-メチルグルタコン酸酸性尿症;感音性難聴;リー様症候群の神経放射線学的所見(MEGDEL);SURF1(複合体IV surfeitタンパク質欠損症に起因するCOX欠損リー症候群);酸化的リン酸化障害;バース症候群;致死性小児心筋症(LIC);ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;POLG突然変異;ピルビン酸酸化の乱れおよびATP+PCr産生率を含む現在未解決の遺伝的欠陥による孤立または混合性OXPHOS欠乏症;POLG2突然変異;カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチニン欠乏症症候群;補酵素Q10欠損症;複合体I欠損症;複合体II欠損症;複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;乳酸アシドーシス;脳幹および脊髄の障害と乳酸上昇とを伴う白質脳症(LBSL);ルフト病;カルニチン パルミトイルトランスフェラーゼ(CPT IまたはCPT II)欠損症;短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD);短鎖3-ヒドロキシアセチル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCHAD);中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD);多種アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MADD);長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD);超長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD);三機能性タンパク質(TFP)欠損症;およびグルタル酸尿症II型からなる群から選択される原発性ミトコンドリア性障害である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記ミトコンドリア性疾患が、レット症候群;優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);複合体I欠損症;レーバー遺伝性視神経症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;および慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)からなる群から選択される、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記ミトコンドリア性疾患が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD);ベッカー型筋ジストロフィー(BMD);筋緊張性ジストロフィー(BMD);先天性ミオパチー;糖原貯蔵障害;球脊髄性筋萎縮症(SBMA);アルギニノコハク酸尿症;自閉症スペクトル障害(ASD);皮膚の自己免疫疾患(例えば、尋常性天疱瘡およびループス);メチルマロン酸およびプロピオン酸酸性尿症;プリンおよび/またはピリミジン合成の障害;顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD);先天性筋ジストロフィー;コラーゲンVI筋ジストロフィー(例えば、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー、ベスレムミオパチー、眼咽頭遠位およびエメリ・ドレフュス型);ディジョージ症候群;および神経筋障害(例えば、肢帯型筋ジストロフィー、炎症性ミオパチー、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)ニューロパチーおよび薬物誘発性末梢神経障害)からなる群から選択される続発性ミトコンドリア性障害である、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
前記疾患または障害が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項19に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年6月6日に出願された欧州出願番号EP18382398.8への優先権を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、患者において疾患または障害を処置する方法であって、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、患者が、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの閾値定常状態血漿濃度を達成する、方法を提供する。本開示はまた、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を患者に投与する方法を提供する。5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを使用して、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および中枢神経系疾患、例えば、X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)、フリードライヒ運動失調症を含むがこれらに限定されない種々の疾患および障害を処置することができる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(本明細書において「化合物(1)」と呼ばれる)は、選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPAR-γ)アゴニスト活性を有するピオグリタゾンの代謝物質である。例えば、Sohda et al., Chem. Pharm. Bull. 43(12):2168-2172 (1995);Maeshiba et al., Arzneim.-Forsch/Drug Res. 47(I):29-35 (1997)を参照されたい。WO2015/150476A1は、中枢神経系疾患の処置における使用のための化合物(1)および薬学的に許容されるその塩を開示している。国際出願番号PCT/IB2017/057587は、非アルコール性脂肪肝疾患(「NAFLD」)、非アルコール性脂肪性肝炎(「NASH」)、ならびに他の疾患および障害の処置のための化合物(1)および薬学的に許容されるその塩を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/150476号
【非特許文献】
【0005】
【文献】Sohda et al., Chem. Pharm. Bull. 43(12):2168-2172 (1995)
【文献】Maeshiba et al., Arzneim.-Forsch/Drug Res. 47(I):29-35 (1997)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の簡単な要旨
化合物(1)および薬学的に許容されるその塩は、経口生体利用可能であり、ヒトにおいて線形薬物動態を示す。しかし本出願人は、個々の患者間の薬物クリアランスおよび血漿濃度の大きな変動により、従来の投薬技術を使用すると、治療有効量の化合物(1)を患者に投与することが予期せず困難になることを見出した。この薬物動態的な変動性のために、X-ALD、フリードライヒ運動失調症およびNASHを含む種々の疾患を処置するために化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、とりわけ長期間、例えば、数週間、数か月間または数年間にわたって、それを必要とする患者に投与する改善された方法の必要性が存在する。
一態様では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、
(i)患者由来の血漿中化合物(1)の定常状態曲線下面積(AUCss)が、約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであるか;
(ii)患者由来の血漿中化合物(1)の最小定常状態血漿薬物濃度(Cmin ss)が、約55ng/mL~約9126ng/mLであるか;または
(iii)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssが、約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであり、かつ患者由来血漿中化合物(1)のCmin ssが、約55ng/mL~約9126ng/mLであり;
(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssが、一日当たり、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への経口投与の少なくとも5日後に測定される、方法を提供する。
別の態様では、本開示は、治療有効量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与するための濃度制御手法を提供する。この手法は、測定された定常状態曝露、例えば、血漿中化合物(1)のAUCssまたはCmin ssに基づく。この手法を使用して、初期、例えば、最初の5~14日間の、投薬量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の計算された調整は、毒性および望ましくない副作用に対する化合物(1)の治療有効性をバランスして、経時的に、例えば、数週間、数か月間または数年間にわたって、患者に最大の利益をもたらす。そのような患者を代表するのは、ヒト対象である。
【0007】
別の態様では、本開示は、患者における処置の全期間の間、患者における化合物(1)曝露を周期的にモニタリングする濃度制御手法を提供する。この手法を使用して、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の投薬量の計算された調整は、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩による処置の間の任意の時点、例えば、約4週間後、約6週間後、約8週間後、約10週間後、約12週間後、約4ヶ月後、約6ヶ月後、約8ヶ月後、約10ヶ月後、もしくは約1年後、またはそれよりも後に行われてもよい。
【0008】
別の態様では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり、ある量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも5日後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の化合物(1)の血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、式1:
【数1】
(式中、
SDは、(a)において患者に投与された化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量(mg)であり;
CMTは、Cmin target(ng/mL)であり;
min target=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±20%)-1104±20%であり;
PCは、(c)において決定された化合物(1)の血漿濃度(ng/mL)である)
に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、患者から得られた試料における、血漿および/または脳脊髄液(CSF)濃度のバイオマーカー、例えば、PPAR-γ結合バイオマーカーに基づいて、治療有効の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む、1~20ミリリットル、例えば、1ミリリットル、2ミリリットル、4ミリリットル、5ミリリットル、6ミリリットル、7ミリリットル、8ミリリットル、9ミリリットル、10ミリリットル、11ミリリットル、12ミリリットル、13ミリリットル、14ミリリットル、15ミリリットル、16ミリリットル、17ミリリットル、18ミリリットル、19ミリリットル、または20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が241μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0011】
別の態様では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が241μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、それを必要とする小児患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む1~4ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)小児患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、小児患者に投与するステップ;
(b)小児患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、241μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、小児患者に投与するステップ;または
(c)小児患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、小児患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0013】
本開示のさらなる実施形態および利点は、一部は以下の記載に示され、記載から生じ、または本開示の実施によって知ることができる。本開示の実施形態および利点は、特に添付の特許請求の範囲において指し示すエレメントおよび組合せによって実現および達成される。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含み、
(i)前記患者由来の血漿中5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUC ss が、約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであるか;
(ii)前記患者由来の血漿中5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss が、約55ng/mL~約9126ng/mLであるか;または
(iii)前記患者由来の血漿中5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUC ss が、約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであり、かつ前記患者由来の血漿中5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss が、約55ng/mL~約9126ng/mLであり;
(i)のAUC ss 、(ii)のC min ss 、または(iii)のAUC ss およびC min ss が、一日当たり、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩の前記患者への経口投与の少なくとも4日後に測定される、方法。
(項目2)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUC ss が、約50μg・時/mL~約250μg・時/mLである、項目1に記載の方法。
(項目3)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUC ss が、約100μg・時/mL~約200μg・時/mLである、項目2に記載の方法。
(項目4)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUC ss が、約125μg・時/mL~約175μg・時/mLである、項目3に記載の方法。
(項目5)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUC ss が、約200μg・時/mLである、項目1に記載の方法。
(項目6)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss が、約1595~約7421ng/mLである、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss が、約2306ng/mL~約5716ng/mLである、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss が、約3158ng/mL~約4863ng/mLである、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss が、約5716ng/mLである、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
AUC ss 、C min ss 、またはAUC ss およびC min ss が、少なくとも7日後に測定される、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
AUC ss 、C min ss 、またはAUC ss およびC min ss が、少なくとも10日後に測定される、項目10に記載の方法。
(項目12)
AUC ss 、C min ss 、またはAUC ss およびC min ss が、少なくとも14日後に測定される、項目11に記載の方法。
(項目13)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が、それを必要とする前記患者に投与される、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が、1mL当たり約15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む懸濁液として前記患者に投与される、項目13に記載の方法。
(項目15)
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり、ある量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも4日後に、前記患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた前記血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、式1:
【数14】

(式中、
SDは、(a)において前記患者に投与された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩の量(mg)であり;
CMTは、C min target (ng/mL)であり;
min target =(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±20%)-1104±20%であり;
PCは、(c)において決定された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度(ng/mL)である)
に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を、前記患者に投与するステップ
を含む、方法。
(項目16)
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者から得られた試料中のPPAR-γ結合バイオマーカーの血漿濃度を決定して、PPAR-γ結合バイオマーカーのベースライン濃度を得るステップ;および
(a)1日当たり、ある量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を、前記患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも4日後に、前記患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた前記血漿試料中の前記PPAR-γ結合バイオマーカーの血漿濃度を決定するステップ;および
(d)(c)で得られた前記血漿試料中の前記PPAR-γ結合バイオマーカーの濃度に基づいて、再計算された量(ミリグラム)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップ
を含み、
(i)前記PPAR-γ結合バイオマーカーの前記ベースライン濃度と比べた、(c)における前記PPAR-γ結合バイオマーカーの約200%またはそれ未満の増加が、1日当たり、より多い量(mg)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与することを含み;
(ii)前記PPAR-γ結合バイオマーカーの前記ベースライン濃度と比べた、(c)における前記PPAR-γ結合バイオマーカーの約600%またはそれを超える増加が、1日当たり、より少ない量(mg)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与することを含み;
(iii)前記PPAR-γ結合バイオマーカーの前記ベースライ濃度と比べた、(c)における前記PPAR-γ結合バイオマーカーの約200%~約600%の増加が、1日当たり、同量(mg)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与することを含む、方法。
(項目17)
前記血漿試料が、(a)による投与の少なくとも7日後に、前記患者から得られる、項目15または16に記載の方法。
(項目18)
血漿試料が、(a)による投与の少なくとも10日後に、前記患者から得られる、項目17に記載の方法。
(項目19)
血漿試料が、(a)による投与の少なくとも14日後に、前記患者から得られる、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩が、(a)および(d)において、前記患者に経口投与される、項目15から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
(a)および(d)において、1日当たり、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が、前記患者に投与される、項目15から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
(a)において、1日当たり、約180mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が前記患者に投与され、前記目標AUCが約200ng・時/mLである、項目21に記載の方法。
(項目23)
(d)において、1日当たり、再計算された量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が前記患者に投与される、項目21または22に記載の方法。
(項目24)
前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が、(a)および(d)において、1mL当たり約15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む懸濁液として前記患者に投与される、項目20から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記PPAR-γ結合バイオマーカーが、アディポネクチンである、項目16から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり、5~20ミリリットルの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の経口懸濁液を、前記患者に投与するステップであって、前記経口懸濁液が、1mL当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む、ステップ;
(b)(a)による投与の5日またはそれよりも後に、前記患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた前記血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss を決定するステップ;および
(d)1日当たり、式4:
【数15】

(式中、
用量 V1 は、(d)において、1日当たり、前記患者に投与される前記経口懸濁液の再計算された量(ミリリットル)であり;
用量 pre-V1 は、(a)において前記患者に投与された前記経口懸濁液の量(ミリリットル)であり;
minV1 は、最後の投与の22時間~26時間後に採取された(c)において決定された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min ss (ng/mL)であり;
minTAR は、5 5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの目標濃度(ng/mL)であり;
(A)(b)の前記血漿試料が(a)における前記経口懸濁液の最後の投与の18時間~19.9時間後に得られた場合、C minTAR は、式5A:
minTAR =7700-(88.5×用量 pre-V1 ) 式5A
に従って計算され;
(B)(b)の前記血漿試料が(a)における前記経口懸濁液の最後の投与の20時間~21.9時間後に得られた場合、C minTAR は、式5B:
minTAR =7440-(103.4×用量 pre-V1 ) 式5B
に従って計算され;
(C)(b)の前記血漿試料が(a)における前記経口懸濁液の最後の投与後22時間~25.9時間後に得られた場合、C minTAR は、5716であり;
(D)(b)の前記血漿試料が(a)における前記経口懸濁液の最後の投与後26時間~27.9時間後に得られた場合、C minTAR は、式5D:
minTAR =6740-(138.6×用量 pre-V1 ) 式5D
に従って計算され;または
(E)(b)の前記血漿試料が(a)における前記経口懸濁液の最後の投与後28時間~30時間後に得られた場合、C minTAR は、式5E:
minTAR =6520-(148.0×用量 pre-V1 ) 式5E
に従って計算される)
に従って決定した通りの、再計算された量(ミリリットル)の前記経口懸濁液を前記患者に投与するステップ
を含む、方法。
(項目27)
(i)(d)において、1日当たり、前記再計算された量(ミリリットル)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の前記経口懸濁液を、前記患者に投与した5日後またはそれよりも後に、前記患者から血漿試料を得るステップ;
(ii)式6:
【数16】

に従って、(i)で得た前記血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのC min calcd (ng/mL)を決定するステップ;
(iii)(ii)で決定したC min calcd に基づいて、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUC Calcd (μg・時/mL)を決定するステップであって、
(A)(i)の前記血漿試料が、前記経口懸濁液の最後の投与後の18時間~19.9時間の間に得られた場合、
AUC Calcd は、式7A:
【数17】

に従って計算され;
(B)(i)の前記血漿試料が、前記経口懸濁液の最後の投与の20時間~21.9時間後に得られた場合、
AUC Calcd は、式7B:
【数18】

に従って計算され;
(C)(i)の前記血漿試料が、前記経口懸濁液の最後の投与の22時間~25.9時間後に得られた場合、
AUC Calcd は、式7C:
【数19】

に従って計算され;
(D)(i)の前記血漿試料が、前記経口懸濁液の最後の投与の26時間~27.9時間後に得られた場合、
AUC Calcd は、式7D:
【数20】

に従って計算され;または
(E)(i)の前記血漿試料が、前記経口懸濁液の最後の投与の28時間~30時間後に得られた場合、
AUC Calcd は、式7E:
【数21】

に従って計算される、ステップ;
(iv)AUC Calcd が150~240μg・時/mLである場合、1日当たり、(i)におけるのと同じ再計算された量(ミリリットル)の前記経口懸濁液を、5日間もしくはそれよりも長く、前記患者に投与し、必要に応じて(i)~(iii)を繰り返すステップ;または
(v)AUC Calcd が150未満もしくは240μg・時/mLを超える場合、(i)において、1日当たり、新しい量(ミリリットル)の前記経口懸濁液を前記患者に投与するステップ
をさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、前記患者に投与するステップ;および
(a)前記患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の前記経口懸濁液を、1日1回、前記患者に投与するステップ;
(b)前記患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が241μg・時/mLを超える場合、より低用量の前記経口懸濁液を、1日1回、前記患者に投与するステップ;または
(c)前記患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の前記経口懸濁液を、1日1回、前記患者に投与するステップ
を含む、方法。
(項目29)
前記患者が、疾患または障害を有する、項目15から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記疾患または障害が、中枢神経系疾患または障害、ミトコンドリア性疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、慢性肉芽腫障害、多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺癌腫、甲状腺自己免疫性障害、下垂体腺腫、アテローム性動脈硬化症、高血圧、皮膚疾患、炎症性および自己免疫性疾患、ならびに炎症性呼吸器疾患からなる群から選択される、項目1から14または29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記疾患または障害は、中枢神経系疾患または障害である、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記中枢神経系疾患または障害が、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、神経炎症性疾患、脳腫瘍、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝的ミトコンドリア性障害からなる群から選択される、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記中枢神経系疾患または障害が、神経変性疾患である、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、多発性硬化症、視神経脊髄炎、白質ジストロフィー、ALS、変性運動失調症、多系統萎縮症、NBIA(神経変性および脳鉄蓄積障害)、ニューロミオパチー、および運動ニューロン疾患からなる群から選択される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記白質ジストロフィーが、X連鎖性副腎白質ジストロフィーである、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記変性運動失調症が、フリードライヒ運動失調症である、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記運動ニューロン疾患が、進行性球麻痺、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ポリオ後症候群(PPS)-マリー・トゥース疾患、ギラン・バレー症候群、および副腎脊髄ニューロパチー(AMN)からなる群から選択される、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記中枢神経系障害が、全脳虚血または局所的虚血、脳内出血、脳卒中、および血管性認知症からなる群から選択される脳血管疾患である、項目32に記載の方法。
(項目39)
前記中枢神経系障害が、髄膜炎、脳炎、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、急性灰白髄炎、単純ヘルペス、および水痘帯状疱疹からなる群から選択される、ウイルス性疾患である、項目32に記載の方法。
(項目40)
稀代謝性疾患が、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害からなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目41)
前記疾患または障害が、ミトコンドリア性疾患である、項目30に記載の方法。
(項目42)
前記ミトコンドリア性疾患が、レット症候群、アルパース病;レーバー遺伝性視神経萎縮症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;リー様症候群;母系遺伝性リー症候群(MILS);ミトコンドリア枯渇症候群(MDS);ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO);優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);ミトコンドリアミオパチー;心筋症;ミトコンドリア脳症;ミオクローヌスてんかん;母系遺伝性糖尿病および難聴(MIDD);運動失調ニューロパチースペクトル;3-メチルグルタコン酸酸性尿症;感音性難聴;リー様症候群の神経放射線学的所見(MEGDEL);SURF1(複合体IV surfeitタンパク質欠損症に起因するCOX欠損リー症候群);酸化的リン酸化障害;バース症候群;致死性小児心筋症(LIC);ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;POLG突然変異;ピルビン酸酸化の乱れおよびATP+PCr産生率を含む現在未解決の遺伝的欠陥による孤立または混合性OXPHOS欠乏症;POLG2突然変異;カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチニン欠乏症症候群;補酵素Q10欠損症;複合体I欠損症;複合体II欠損症;複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;乳酸アシドーシス;脳幹および脊髄の障害と乳酸上昇とを伴う白質脳症(LBSL);ルフト病;カルニチン パルミトイルトランスフェラーゼ(CPT IまたはCPT II)欠損症;短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD);短鎖3-ヒドロキシアセチル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCHAD);中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD);多種アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MADD);長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD);超長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD);三機能性タンパク質(TFP)欠損症;およびグルタル酸尿症II型からなる群から選択される原発性ミトコンドリア性障害である、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記ミトコンドリア性疾患が、レット症候群;優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);複合体I欠損症;レーバー遺伝性視神経症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;および慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)からなる群から選択される、項目41に記載の方法。
(項目44)
前記ミトコンドリア性疾患が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD);ベッカー型筋ジストロフィー(BMD);筋緊張性ジストロフィー(BMD);先天性ミオパチー;糖原貯蔵障害;球脊髄性筋萎縮症(SBMA);アルギニノコハク酸尿症;自閉症スペクトル障害(ASD);皮膚の自己免疫疾患(例えば、尋常性天疱瘡およびループス);メチルマロン酸およびプロピオン酸酸性尿症;プリンおよび/またはピリミジン合成の障害;顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD);先天性筋ジストロフィー;コラーゲンVI筋ジストロフィー(例えば、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー、ベスレムミオパチー、眼咽頭遠位およびエメリ・ドレフュス型);ディジョージ症候群;および神経筋障害(例えば、肢帯型筋ジストロフィー、炎症性ミオパチー、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)ニューロパチーおよび薬物誘発性末梢神経障害)からなる群から選択される続発性ミトコンドリア性障害である、項目41に記載の方法。
(項目45)
前記疾患または障害が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、項目30に記載の方法。
(項目46)
治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)初期用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を、1日1回、5日またはそれよりも長い日数の間、前記患者に投与するステップ;および
(b)(i)式8a:
recal =D initial (AUC Tar /AUC_0t) 式8a
(式中、
recal は、前記患者に投与される前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の再計算された用量(ミリグラム)であり;
initial は、前記患者に投与された前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の前記初期用量(ミリグラム)であり;
AUC Tar は、(a)における最後の投与の24時間後の前記患者における化合物(1)の目標曝露(ng・時/ml)であり;
AUC_0tは、(a)における最後の投与の24時間後の前記患者における化合物(1)の計算された曝露(ng・時/ml)である);および
(ii)式8b:
AUC_0t=(28.31+0.472 ΔT) C+(34410+2234 ΔT) initial /150 式8b
(式中、
AUC_0tは、(a)における最後の投与の24時間後の前記患者における化合物(1)の計算された曝露(ng・時/ml)であり;
initial は、前記患者に投与された前記5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の前記初期用量(ミリグラム)であり;
Cは、前記患者における化合物(1)の血漿濃度(ng/ml)であり、血漿試料は、(a)における最後の投与の24±6時間後に前記患者から採取され;
ΔTは、前記血漿試料が前記患者から採取された時間と、(a)における最後の投与の24時間後との間の差(時)である)
に従って再計算された用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を投与するステップであって、
前記目標曝露が、50,000ng・時/mL~250,000ng・時/mLである、ステップ
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ヒト患者への135mgおよび270mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の毎日の経口投薬後の、定常状態(図中、Cmin ng/mLと標識)におけるトラフ値と定常状態(図中、AUC ng・時/mLと標識)における曲線下面積との関係を示す折れ線グラフである。
【0015】
図2図2は、HEK細胞におけるBRET-アッセイを使用した、in vitro MPC阻害活性モデルでの化合物(1)HClおよびピオグリタゾンのMPC阻害効果の比較を示す折れ線グラフである。
【0016】
図3A図3Aは、Hela細胞におけるOCRに対する化合物(1)HClの効果を示す折れ線グラフである。
【0017】
図3B図3Bは、A549細胞におけるOCRに対する化合物(1)HClの効果を示す折れ線グラフである。
【0018】
図4A図4Aは、野生型MDA MB231細胞におけるOCRに対する化合物(1)HClの効果を示す折れ線グラフおよび棒グラフである。
【0019】
図4B図4Bは、MDA MB231 KO細胞におけるOCRに対する化合物(1)HClの効果を示す折れ線グラフおよび棒グラフである。
【0020】
図5図5は、化合物(1)HClによる処置後のSprague Dawleyラットにおけるアディポネクチンレベルの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
I. 化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の投与
本開示の方法は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンはまた、5-(4-(2-(5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン、ヒドロキシピオグリタゾン、ヒドロキシ ピオグリタゾン、またはM-IVと呼ばれることもある。例えば、Sohda et al., Chem. Pharm. Bull. 43(12):2168-2172 (1995)およびMaeshiba et al., Arzneim.-Forsch/Drug Res. 47(I):29-35 (1997)を参照されたい。
【0022】
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンは、2つのキラル中心を有する。矢印で示される通り、それらのうちの一方は、チアゾリジン-ジオン環の5位の炭素原子であり、もう一方の不斉原子は、ヒドロキシエチル基の1位にある:
【化1】
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン」または「化合物(1)」は、鏡像異性体(以下の化合物(2)~(5)を参照されたい)およびジアステレオマー、ならびに5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのラセミおよびジアステレオマー混合物を含むその混合物を含むすべての可能な立体異性体を含む。
【0024】
一実施形態では、本開示の方法は、(R)-5-[[4-[2-[5-(R)-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(2))または薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。
【化2】
【0025】
別の実施形態では、本開示の方法は、(R)-5-[[4-[2-[5-(S)-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(3))または薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。
【化3】
【0026】
別の実施形態では、本開示の方法は、(S)-5-[[4-[2-[5-(R)-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(4))または薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。
【化4】
【0027】
別の実施形態では、本開示の方法は、(S)-5-[[4-[2-[5-(S)-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(5))または薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。
【化5】
【0028】
化合物(2)~(5)は調製および単離されている(WO2015/150476A1を参照されたい)が、それらの絶対(R/S)立体化学は未だ決定されていない。各鏡像異性体の保持時間は、キラルHPLCによって測定されている。
【0029】
本開示の化合物(1)~(5)への参照は、これらの化合物を、主にその同位体Hの形態である、すなわち、化合物1モル当たり水素原子の総数の1%以下がH同位体(重水素)の形態である水素原子を有するものとして示すことを意図する。一実施形態では、化合物1モル当たり水素原子の総数の0.015%以下(これは、重水素の自然存在比である)が、H同位体(重水素)の形態である。
【0030】
一実施形態では、患者は、非等モル量の化合物(2)または薬学的に許容されるその塩;化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩の各々を含む混合物を投与される。
【0031】
別の実施形態では、患者は、20%±10%w/wの量の化合物(2)または薬学的に許容されるその塩;化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩の各々を含む混合物が投与される。
【0032】
別の実施形態では、患者は、25%±5%w/wの量の化合物(2)または薬学的に許容されるその塩;化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩の各々を含む混合物を投与される。
【0033】
別の実施形態では、患者は、化合物(2)または薬学的に許容されるその塩;化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩の各々を含む混合物が投与され、混合物は、鏡像異性体過剰の化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)および化合物(5)の1種または複数を含む。
【0034】
別の実施形態では、患者は、等モル量の化合物(2)または薬学的に許容されるその塩;化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩の各々、すなわち、25%w/wの量の各化合物または薬学的に許容されるその塩を含む混合物が投与される。
【0035】
一実施形態では、患者は、非等モル量の化合物(2)または薬学的に許容されるその塩;化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩を含む混合物を投与され、混合物は光学活性である。
【0036】
別の実施形態では、混合物は、
(a)化合物(2)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;
(b)化合物(4)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩;
(c)化合物(2)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;ならびに
(d)化合物(3)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩
を含み、各化合物または薬学的に許容されるその塩は独立して、等モルまたは非等モル量で存在する。
【0037】
別の実施形態では、患者は、混合物(c)または混合物(d)を投与され、これらの混合物は、上で定義される通りである。
【0038】
別の実施形態では、患者は、
(a)活性剤として、化合物(2)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(3)または薬学的に許容されるその塩;
(b)活性剤として、化合物(4)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩;
(c)活性剤として、化合物(2)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(4)または薬学的に許容されるその塩;ならびに
(d)活性剤として、化合物(3)または薬学的に許容されるその塩、および化合物(5)または薬学的に許容されるその塩
から本質的になる混合物を投与される。
【0039】
上で言及した混合物(a)~(d)の別の実施形態では、各1種の混合物で言及した2種の化合物は、等モル量で存在する。前記混合物はまた、少量(例えば、10wt.%未満、3wt.%未満、1wt.%未満、および0.1wt.%未満)の式(1)の別の立体異性体を含んでいてもよい。前記混合物はまた、1種または複数の化合物(2)、(3)、(4)および(5)に関して鏡像異性体的に富化され得る。
【0040】
本開示の別の態様では、化合物(1)の薬学的に許容される塩が、患者に投与される。好適な薬学的に許容される塩には、例えば、以下の酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、硝酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、イソクエン酸、キシナホ酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、パモ酸、プロピオン酸、アントラニル酸、メシル酸、ナパジシル酸、オキサル酢酸、オレイン酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、ニコチン酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、硫酸、サリチル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸(algenic)、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸から調製された化合物(1)の薬学的に許容される酸付加塩が含まれる。ある実施形態では、薬学的に許容される塩は、塩酸および臭化水素酸の塩を含む。一実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、塩酸の塩、例えば、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩である。
【0041】
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンは、当技術分野で公知の任意の好適な方法、例えば、WO2015/150476A1およびWO2018/116281A1に記載の方法によって調製できる。5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンはまた、例えば、Santa Cruz Biotechnology and Toronto Research Chemicals(Toronto、Ontario、Canada)から市販されている。
【0042】
II. 本開示の方法および使用
一実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(1))または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、
(i)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCss約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであり;
(ii)患者由来の血漿中化合物(1)のCmin ssが、約55ng/mL~約9126ng/mLであり;または
(iii)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssが、約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであり、かつ患者由来の血漿中化合物(1)のCmin ssが、約55~約9126ng/mLであり;
(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssが、一日当たり、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の少なくとも5日後に測定される、方法を提供する。別の実施形態では、(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssは、1日1回の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の3~15日後、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15日後に測定される。別の実施形態では、(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssは、1日1回の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の4日後に測定される。別の実施形態では、(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssが、1日1回の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の5日後に測定される。
【0043】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害、例えば、CNS疾患または障害を処置する方法であって、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(1))または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、
(i)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCss約100μg・時/mL~約300μg・時/mLであり;
(ii)患者由来の血漿中化合物(1)のCmin ssが、約2306ng/mL~約9126ng/mLであり;または
(iii)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssが、約100μg・時/mL~約300μg・時/mLであり、かつ患者由来の血漿中化合物(1)のCmin ssが、約2306ng/mL~約9126ng/mLであり;
(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssが、一日当たり、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の少なくとも5日後に測定される、方法を提供する。別の実施形態では、(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssは、1日1回の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の3~15日後、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15日後に測定される。別の実施形態では、(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssは、1日1回の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の4日後に測定される。別の実施形態では、(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssが、1日1回の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の5日後に測定される。
【0044】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約100μg・時/mL~約300μg・時/mLである。
【0045】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約100μg・時/mL~約200μg・時/mLである。
【0046】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約130μg・時/mL~約200μg・時/mLである。
【0047】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約150μg・時/mL~約250μg・時/mLである。
【0048】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約175μg・時/mL~約225μg・時/mLである。
【0049】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mL~約250μg・時/mLである。
【0050】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約100μg・時/mL~約200μg・時/mLである。
【0051】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約125μg・時/mL~約175μg・時/mLである。
【0052】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約100μg・時/mL、約110μg・時/mL、約120μg・時/mL、約130μg・時/mL、約140μg・時/mL、約150μg・時/mL、約160μg・時/mL、約170μg・時/mL、約180μg・時/mL、または約190μg・時/mLである。
【0053】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のAUCssは、約200μg・時/mLである。
【0054】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約2306ng/mL~約9126ng/mLである。
【0055】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約3329ng/mL~約5716ng/mLである。
【0056】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約4011ng/mL~約7421ng/mLである。
【0057】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約4864ng/mL~約6569ng/mLである。
【0058】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約5034ng/mL~約6569ng/mLである。
【0059】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約5375ng/mL~約6569ng/mLである。
【0060】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約2306ng/mL、約2647ng/mL、約2988ng/mL、約3329ng/mL、約3670ng/mL、約4011ng/mL、約4352ng/mL、約4693ng/mL、約4864ng/mL、約5034ng/mL、約5375ng/mL、約5716ng/mL、約6569ng/mL、約7421ng/mL、約8274ng/mL、または約9126ng/mLである。
【0061】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約1595ng/mL~約7421ng/mLである。
【0062】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約2306ng/mL~約5716ng/mLである。
【0063】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約3158ng/mL~約4863ng/mLである。
【0064】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約4352ng/mLである。
【0065】
別の実施形態では、疾患または障害を処置するための化合物(1)のCmin ssは、約5716ng/mLである。
【0066】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害、例えば、非CNS疾患もしくは障害または小児における疾患もしくは障害を処置する方法であって、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(1))または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、
(i)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssが、約34μg・時/mL~約80μg・時/mLであり;
(ii)患者由来の血漿中化合物(1)のCmin ssが、約55ng/mL~約1624ng/mLであり;または
(iii)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssが、約34μg・時/mL~約80μg・時/mLであり、かつ患者由来血漿中化合物(1)のCmin ssが、約55ng/mL~約1624ng/mLであり;
(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssが、一日当たり、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の少なくとも5日後に測定される、方法を提供する。
【0067】
別の実施形態では、疾患または障害のための化合物(1)のAUCssは、約40μg・時/mLである。
【0068】
別の実施形態では、疾患または障害のための化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mLである。
【0069】
別の実施形態では、疾患または障害のための化合物(1)のAUCssは、約60μg・時/mLである。
【0070】
別の実施形態では、疾患または障害のための化合物(1)のAUCssは、約70μg・時/mLである。
【0071】
別の実施形態では、疾患または障害のための化合物(1)のAUCssは、約80μg・時/mLである。
【0072】
別の実施形態では、AUCss、Cmin ss、またはAUCssおよびCmin ssは、少なくとも4日後に測定される。
【0073】
別の実施形態では、AUCss、Cmin ss、またはAUCssおよびCmin ssは、少なくとも7日後に測定される。
【0074】
別の実施形態では、AUCss、Cmin ss、またはAUCssおよびCmin ssは、少なくとも10日後に測定される。
【0075】
別の実施形態では、AUCss、Cmin ss、またはAUCssおよびCmin ssは、少なくとも14日後に測定される。
【0076】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害、例えば、CNS疾患または障害を処置する方法であって、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物(1))または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、
(a)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCss約30μg・時/mL~約300μg・時/mLであり;
(b)AUCssが、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与した後に測定される、方法を提供する。
【0077】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mL~約250μg・時/mLである。
【0078】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mL~約200μg・時/mLである。
【0079】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mL~約175μg・時/mLである。
【0080】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mL~約150μg・時/mLである。
【0081】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mL~約125μg・時/mLである。
【0082】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約50μg・時/mL~約100μg・時/mLである。
【0083】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約75μg・時/mL~約225μg・時/mLである。
【0084】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約100μg・時/mL~約200μg・時/mLである。
【0085】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約150μg・時/mL~約190μg・時/mLである。
【0086】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約180μg・時/mL~約220μg・時/mLである。
【0087】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約190μg・時/mL~約210μg・時/mLである。
【0088】
別の実施形態では、患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssは、約30μg・時/mL、約40μg・時/mL、約50μg・時/mL、約60μg・時/mL、約70μg・時/mL、約80μg・時/mL、約90μg・時/mL、約100μg・時/mL、約110μg・時/mL、約120μg・時/mL、約130μg・時/mL、約140μg・時/mL、約150μg・時/mL、約160μg・時/mL、約170μg・時/mL、約180μg・時/mL、約190μg・時/mL、約200μg・時/mL、約210μg・時/mL、または約220μg・時/mLである。
【0089】
別の実施形態では、AUCssは、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、1日1回、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間、患者に投与した後に測定される。
【0090】
別の実施形態では、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が、それを必要とする患者に投与される。5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩は、本明細書において、「化合物(1)HCl」とも呼ばれる。
【0091】
別の実施形態では、化合物(1)HClは、1mL当たり約15mgの化合物(1)HClを含む懸濁液として患者に投与される。
【0092】
別の実施形態では、化合物(1)HClは、約30mgの化合物(1)HCl、約60mgの化合物(1)HCl、または約90mgの化合物(1)HClを含む錠剤、カプセル剤、または他の固体形態として、患者に投与される。
【0093】
別の態様では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり、ある量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも5日後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の化合物(1)の血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、式1:
【数2】
(式中、
SDは、(a)において患者に投与された化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量(mg)であり;
CMTは、Cmin target(ng/mL)であり;
min target=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±20%)-1104±20%であり;
PCは、(c)において決定された化合物(1)の血漿濃度(ng/mL)である)
に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0094】
別の態様では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり、ある量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の3~15日後、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の化合物(1)の血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、上記の式1に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0095】
別の実施形態では、式1において、CMTまたは(Cmin target)=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±10%)-1104±10%である。
【0096】
別の実施形態では、式1において、CMTまたは(Cmin target)=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±5%)-1104±5%である。
【0097】
別の実施形態では、式1において、CMTまたは(Cmin target)=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341)-1104である。
【0098】
別の実施形態では、目標AUCは、約100μg・時/mL~約300μg・時/mLである。
【0099】
別の実施形態では、目標AUCは、約100μg・時/mL~約200μg・時/mLである。
【0100】
別の実施形態では、目標AUCは、約100μg・時/mL、約110μg・時/mL、約120μg・時/mL、約130μg・時/mL、約140μg・時/mL、約150μg・時/mL、約160μg・時/mL、約170μg・時/mL、約180μg・時/mL、約190μg・時/mL、または約200μg・時/mLである。
【0101】
別の実施形態では、(a)において患者に投与される化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量は、約100mg~約200mgである。
【0102】
別の実施形態では、(a)において患者に投与される化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量は、約90、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、または約210mgである。
【0103】
別の実施形態では、目標AUCは、約200μg・時/mLであり、(a)において患者に投与される化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量は、約150mgである。
【0104】
別の実施形態では、目標AUCは、約200μg・時/mLであり、(a)において患者に投与される化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量は、約1850mgである。
【0105】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり約90mg~約210mgの化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも5日後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の化合物(1)の血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、式2:
【数3】
(式中、PDは、(a)において患者に投与された化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量であり;PCは、(c)において決定された化合物(1)の血漿濃度(ng/mL)である)
に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0106】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり、約90mg~約210mgの化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の3~15日後、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15日後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の化合物(1)の血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、上記の式2に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0107】
別の実施形態では、血漿試料は、(a)による投与の少なくとも7日後に、患者から得られる。
【0108】
別の実施形態では、血漿試料は、(a)による投与の少なくとも10日後に、患者から得られる。
【0109】
別の実施形態では、血漿試料は、(a)による投与の少なくとも14日後に、患者から得られる。
【0110】
別の実施形態では、(a)および(d)において、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩は、患者に経口投与される。
【0111】
別の実施形態では、(a)および(d)において、一日当たり、化合物(1)HClが、患者に投与される。
【0112】
別の実施形態では、(a)において、1日当たり、約90mgの化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が、患者に投与される。
【0113】
別の実施形態では、(a)において、1日当たり、約120mgの化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が、患者に投与される。
【0114】
別の実施形態では、(a)において、1日当たり、約150mgの化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が、患者に投与される。
【0115】
別の実施形態では、(a)において、1日当たり、約180mgの化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が、患者に投与される。
【0116】
別の実施形態では、(a)において、1日当たり、約210mgの化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が、患者に投与される。
【0117】
別の実施形態では、(a)において、1日当たり、約150mgの化合物(1)HClが、患者に投与される。
【0118】
別の実施形態では、(d)において、1日当たり、再計算された量の化合物(1)HClが、患者に投与される。
【0119】
別の実施形態では、(a)および(d)において、化合物(1)HClは、1mL当たり約15mgの化合物(1)HClを含む懸濁液として患者に投与される。
【0120】
別の実施形態では、(a)および(d)において、化合物(1)HClは、約30mgの化合物(1)HCl、約60mgの化合物(1)HClまたは約90mgの化合物(1)HClを含む錠剤、カプセル剤または他の固体形態として、患者に投与される。
【0121】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に経口投与する方法であって、
(a)1日当たり、約150mgの化合物(1)HClを、1mL当たり約15mgの化合物(1)HClを含む懸濁液として、患者に経口投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも14日後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度を決定するステップ;および
(d)1日当たり、式3:
【数4】
(式中、PCは、(c)において決定された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度(ng/mL)である)
に従う新しい量(ミリグラム)の化合物(1)HClを、患者に経口投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0122】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)患者から得られた試料中のバイオマーカーの血漿または脳脊髄液(CSF)濃度を決定するステップ;
(b)1日当たり、ある量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(c)(b)による投与の少なくとも5日後に、患者から血漿またはCSF試料を得るステップ;
(d)(c)において得られた血漿またはCSF試料中のバイオマーカーの血漿またはCSF濃度を決定するステップ;および
(e)(d)において得られた血漿またはCSF試料中のバイオマーカー濃度に基づいて再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0123】
別の実施形態では、バイオマーカーは、血漿中PPAR-γ結合バイオマーカーである。
【0124】
別の実施形態では、バイオマーカーは、CSF中PPAR-γ結合バイオマーカーである。
【0125】
別の実施形態では、CSF中PPAR-γ結合バイオマーカーは、アディポネクチンまたはFABP4であり、アディポネクチンおよび/またはFABP4の濃度は、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の結果、増加する。
【0126】
別の実施形態では、バイオマーカーは、CSF中炎症性バイオマーカーである。
【0127】
別の実施形態では、CSF中炎症性バイオマーカーは、IP10、IL6、IL8、MMP9、MMP2またはMCP-1であり、IP10、IL6、IL8、MMP-9の濃度であり;MMp-2および/またはMCP-1は、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への投与の結果、減少する。
【0128】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、患者から得られた試料中、PPARガンマ結合バイオマーカー、例えば、アディポネクチン、FABP4、PPARガンマ、PGC-1アルファ、抗炎症性マーカー、NfKb依存遺伝子、例えば、IL-1、IL-6、VCAM-1、ICAM-1、IL-8;TNF-アルファ;MMP-9;MMP-2およびIFN、生存バイオマーカー、例えば、BCL-2、およびオリゴデンドロサイト分化、例えばOlig2の血漿および/またはCSF濃度を決定して、バイオマーカーのベースライ濃度を得るステップ;および
(a)1日当たり、ある量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の5日またはそれよりも後に、患者から血漿および/またはCSF試料を得るステップ;
(c)(b)において得られた血漿および/またはCSF試料中のバイオマーカーの血漿および/またはCSF濃度を決定するステップ;ならびに
(d)(c)において得られた血漿および/またはCSF試料中のバイオマーカーの濃度に基づいて再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を投与するステップ
を含み、
(i)バイオマーカーのベースライン濃度と比べた、(c)におけるバイオマーカーの約200%またはそれ未満の増加が、1日当たり、より多い量(mg)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含み;
(ii)アディポネクチンのベースライン濃度に比べた、(c)におけるバイオマーカーの約600%またはそれよりも高い増加が、1日当たり、より少ない量(mg)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含み;
(iii)バイオマーカーのベースライ濃度と比べた、(c)におけるバイオマーカーの約200%~約600%の増加が、1日当たり、同量(mg)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0129】
別の実施形態では、バイオマーカーの血漿濃度は、患者から得られた試料において測定される。
【0130】
別の態様では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、患者から得られた試料中のアディポネクチンの血漿および/またはCSF濃度を決定して、アディポネクチンのベースライン濃度を得るステップ;および
(a)1日当たり、ある量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップ;
(b)(a)による投与の少なくとも5日後に、患者から血漿および/またはCSF試料を得るステップ;
(c)(b)において得られた血漿および/またはCSF試料中のアディポネクチンの血漿および/またはCSF濃度を決定するステップ;ならびに
(d)(c)において得られた血漿および/またはCSF試料中のアディポネクチンの濃度に基づいて再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を投与するステップ
を含み、
(i)アディポネクチンのベースライン濃度に比べた、(c)におけるアディポネクチンの約200%またはそれ未満の増加が、1日当たり、より多い量(mg)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含み;
(ii)アディポネクチンのベースライン濃度に比べた、(c)におけるアディポネクチンの約600%またはそれよりも高い増加が、1日当たり、より少ない量(mg)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含み;
(iii)アディポネクチンのベースライ濃度と比べた、(c)におけるアディポネクチンの約200%~約600%の増加が、1日当たり、同量(mg)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0131】
別の実施形態では、アディポネクチンの血漿濃度は、患者から得られた試料において測定される。
【0132】
別の実施形態では、(a)と比べた(c)におけるアディポネクチンの約200%~約300%の増加が、1日当たり、同量(mg)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含む。
【0133】
別の実施形態では、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩、例えば、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩は、(a)および(d)において、疾患または障害を有する患者に投与される。
【0134】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)1日当たり5~20ミリリットルの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の経口懸濁液を、患者に投与するステップであって、経口懸濁液が、1mL当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む、ステップ;
(b)(a)による投与の5日またはそれよりも後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのCmin ssを決定するステップ;および
(d)1日当たり、式4:
【数5】
(式中、
用量V1は、(d)において1日当たり、患者に投与される経口懸濁液の再計算された量(ミリリットル)であり;
用量pre-V1は、(a)において患者に投与された経口懸濁液の量(ミリリットル)であり;
minV1は、最後の投与の22時間~26時間後に採取された(c)において決定された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのCmin ss(ng/mL)であり;
minTARは、5 5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの目標濃度(ng/mL)であり;
(A)(b)の血漿試料が(a)における経口懸濁液の最後の投与の18時間~19.9時間後に得られた場合、CminTARは、式5A:
minTAR=7700-(88.5×用量pre-V1) 式5A
に従って計算され;
(B)(b)の血漿試料が(a)における経口懸濁液の最後の投与の20時間~21.9時間後に得られた場合、CminTARは、式5B:
minTAR=7440-(103.4×用量pre-V1) 式5B
に従って計算され;
(C)(b)の血漿試料が(a)における経口懸濁液の最後の投与の22時間~25.9時間後に得られた場合、CminTARは、5716であり;
(D)(b)の血漿試料が(a)における経口懸濁液の最後の投与の26時間~27.9時間後に得られた場合、CminTARは、式5D:
minTAR=6740-(138.6×用量pre-V1) 式5D
に従って計算され;または
(E)(b)の血漿試料が(a)における経口懸濁液の最後の投与の28時間~30時間後に得られた場合、CminTARは、式5E:
minTAR=6520-(148.0×用量pre-V1) 式5E
に従って計算される)
に従って決定した通りの、再計算された量(ミリリットル)の経口懸濁液を患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0135】
直前の実施形態と関連する別の実施形態では、本開示は、
(i)(d)において1日当たり、再計算された量(ミリリットル)の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の経口懸濁液を、患者に投与した5日後またはそれよりも後に、患者から血漿試料を得るステップ;
(ii)式6:
【数6】
に従って(i)で得た血漿試料中の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのCmin calcd'(ng/mL)を決定するステップ;
(iii)(ii)で決定したCmin calcdに基づいて、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンのAUCCalcd(μg・時/mL)を決定するステップであって、
(A)(i)の血漿試料が、経口懸濁液の最後の投与後の18時間~19.9時間の間に得られた場合、
AUCCalcdは、式7A:
【数7】
に従って計算され;
(B)(i)の血漿試料が、経口懸濁液の最後の投与の20時間~21.9時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7B:
【数8】
に従って計算され;
(C)(i)の血漿試料が、経口懸濁液の最後の投与の22時間~25.9時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7C:
【数9】
に従って計算され;
(D)(i)の血漿試料が、経口懸濁液の最後の投与の26時間~27.9時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7D:
【数10】
に従って計算され;または
(E)(i)の血漿試料が、経口懸濁液の最後の投与の28時間~30時間後に得られた場合、
AUCCalcdは、式7E:
【数11】
に従って計算される、ステップ;
(iv)AUCCalcdが150~240μg・時/mLである場合、1日当たり(i)におけるのと同じ再計算された量(ミリリットル)の経口懸濁液を、5日もしくはそれよりも長い間、患者に投与し、必要に応じて(i)~(iii)を繰り返すステップ;または
(v)AUCCalcdが150未満または240μg・時/mLを超える場合、(i)において、1日当たり、新しい量(ミリリットル)の経口懸濁液を患者に投与するステップ
をさらに含む、方法を提供する。
【0136】
別の態様では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む、1~20ミリリットル、例えば、1ミリリットル、2ミリリットル、4ミリリットル、5ミリリットル、6ミリリットル、7ミリリットル、8ミリリットル、9ミリリットル、10ミリリットル、11ミリリットル、12ミリリットル、13ミリリットル、14ミリリットル、15ミリリットル、16ミリリットル、17ミリリットル、18ミリリットル、19ミリリットル、または20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、241μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0137】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、241μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLである場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0138】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が159μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、231μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が160μg・時/mL~230μg・時/mLである場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0139】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が179μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、221μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が180μg・時/mL~220μg・時/mLである場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0140】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が189μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、211μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が190μg・時/mL~210μg・時/mLである場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0141】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量を増加するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、241μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量を減少するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量を変更しないステップ
を含み、
経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、少なくとも5日間、患者に投与される、方法を提供する。
【0142】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が159μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量を増加するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、231μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量を減少するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が160μg・時/mL~230μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量を変更しないステップ
を含み、
経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、少なくとも5日間、患者に投与される、方法を提供する。
【0143】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が179μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量を増加するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、221μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量を減少するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が180μg・時/mL~220μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量を変更しないステップ
を含み、
経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、少なくとも5日間、患者に投与される、方法を提供する。
【0144】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が189μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量を増加するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、211μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量を減少するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が190μg・時/mL~210μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量を変更しないステップ
を含み、
経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、少なくとも5日間、患者に投与される、方法を提供する。
【0145】
別の実施形態では、本開示は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法であって、
(a)1mL当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与され;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量が増加され;
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、241μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量が減少され;または
(d)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量が変更されず;
(e)経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与される、方法を提供する。
【0146】
別の実施形態では、本開示は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法であって、
(a)1mL当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与され;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が159μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量が増加され;
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、231μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量が減少され;または
(d)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が160μg・時/mL~230μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量が変更されず;
(e)経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与される、方法を提供する。
【0147】
別の実施形態では、本開示は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法であって、
(a)1mL当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与され;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が179μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量が増加され;
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が221μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量が減少され;
(d)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が180μg・時/mL~220μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量が変更されず;
(e)経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与される、方法を提供する。
【0148】
別の実施形態では、本開示は、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法であって、
(a)1mL当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与され;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が189μg・時/mL未満である場合、経口懸濁液の初期用量が増加され;
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が211μg・時/mLを超える場合、経口懸濁液の初期用量が減少され;
(d)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が190μg・時/mL~210μg・時/mLの間である場合、経口懸濁液の初期用量が変更されず;
(e)経口懸濁液の増加、減少または非変更用量が、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与される、方法を提供する。
【0149】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、241μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0150】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が159μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、231μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が160μg・時/mL~230μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0151】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が159μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、231μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が160μg・時/mL~230μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0152】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が179μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、221μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が180μg・時/mL~220μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0153】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が189μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が、211μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度が190μg・時/mL~210μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、方法を提供する。
【0154】
本開示の一部の実施形態では、方法は、患者における5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度を、例えば、化合物(1)の初期用量を、例えば、経口懸濁液として、1日1回、少なくとも5日間患者に投与した後に決定するステップをさらに含む。
【0155】
本開示はまた、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法に関する以下の特定の実施形態を提供する。
【0156】
実施形態IA. それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、患者が、一日当たり、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に経口投与した少なくとも5日後に、約50μg・時/mL~約300μg・時/mLの化合物(1)血漿AUCssを達成する、方法。
【0157】
実施形態I. それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、患者が、一日当たり、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に経口投与した少なくとも5日後に、約100μg・時/mL~約300μg・時/mLの化合物(1)血漿AUCssを達成する、方法。
【0158】
実施形態II. 患者が、約150μg・時/mL~約250μg・時/mLの化合物(1)血漿AUCssを達成する、実施形態Iの方法。
【0159】
実施形態III. 患者が、約175μg・時/mL~約225μg・時/mLの化合物(1)血漿AUCssを達成する、実施形態IIの方法。
【0160】
実施形態IV. 患者が、約200μg・時/mLの化合物(1)血漿AUCssを達成する、実施形態IIIの方法。
【0161】
実施形態V. それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与するステップを含み、患者が、一日当たり、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を患者に経口投与した少なくとも5日後に、約2306ng/mL~約9126ng/mLの化合物(1)血漿Cmin ssを達成する、方法。
【0162】
実施形態VI. 患者が、約4011ng/mL~約7421ng/mLの化合物(1)血漿Cmin ssを達成する、実施形態Vの方法。
【0163】
実施形態VII. 患者が、約4864ng/mL~約6569ng/mLの化合物(1)血漿Cmin ssを達成する、実施形態VIの方法。
【0164】
実施形態VIII. 約5716ng/mLの化合物(1)血漿Cmin ssを達成する、実施形態VIIの方法。
【0165】
実施形態IX. 疾患または障害が、中枢神経系疾患または障害、ミトコンドリア性疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、慢性肉芽腫障害、多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺癌腫、甲状腺自己免疫性障害、下垂体腺腫、アテローム性動脈硬化症、高血圧、皮膚疾患、炎症性および自己免疫性疾患、ならびに炎症性呼吸器疾患からなる群から選択される、実施形態IからVIIIのいずれか一つに記載の方法。
【0166】
実施形態X. 疾患または障害は、中枢神経系疾患または障害である、実施形態IXに記載の方法。
【0167】
実施形態XI. 中枢神経系疾患または障害が、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、神経炎症性疾患、脳腫瘍、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝的ミトコンドリア性障害からなる群から選択される、実施形態Xに記載の方法。
【0168】
実施形態XII. 中枢神経系疾患または障害が、神経変性疾患である、実施形態XIに記載の方法。
【0169】
実施形態XIII. 神経変性疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、多発性硬化症、白質ジストロフィー、ALS、変性運動失調症、多系統萎縮症、および運動ニューロン疾患からなる群から選択される、実施形態XIIに記載の方法。
【0170】
実施形態XIV. 白質ジストロフィーが、X連鎖性副腎白質ジストロフィーである、実施形態XIIIに記載の方法。
【0171】
実施形態XV. 変性運動失調症が、フリードライヒ運動失調症である、実施形態XIIIに記載の方法。
【0172】
実施形態XVI. 運動ニューロン疾患が、進行性球麻痺、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ポリオ後症候群(PPS)-マリー・トゥース疾患、ギラン・バレー症候群、および副腎脊髄ニューロパチー(AMN)からなる群から選択される、実施形態XIIIに記載の方法。
【0173】
実施形態XVII. 中枢神経系障害が、全脳虚血または局所的虚血、脳内出血、脳卒中、および血管性認知症からなる群から選択される脳血管疾患である、実施形態IXに記載の方法。
【0174】
実施形態XVIII. 中枢神経系障害が、髄膜炎、脳炎、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、急性灰白髄炎、単純ヘルペス、および水痘帯状疱疹からなる群から選択される、ウイルス性疾患である、実施形態IXに記載の方法。
【0175】
実施形態XIX. 稀代謝性疾患が、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害からなる群から選択される、実施形態IXに記載の方法。
【0176】
実施形態XX. 疾患または障害が、ミトコンドリア性疾患である、実施形態IXに記載の方法。
【0177】
実施形態XXI. ミトコンドリア性疾患が、レット症候群、アルパース病;レーバー遺伝性視神経萎縮症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;リー様症候群;母系遺伝性リー症候群(MILS);ミトコンドリア枯渇症候群(MDS);ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO);優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);ミトコンドリアミオパチー;心筋症;ミトコンドリア脳症;ミオクローヌスてんかん;母系遺伝性糖尿病および難聴(MIDD);運動失調ニューロパチースペクトル;3-メチルグルタコン酸酸性尿症;感音性難聴;リー様症候群の神経放射線学的所見(MEGDEL);SURF1(複合体IV surfeitタンパク質欠損症に起因するCOX欠損リー症候群);酸化的リン酸化障害;バース症候群;致死性小児心筋症(LIC);ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;POLG突然変異;ピルビン酸酸化の乱れおよびATP+PCr産生率を含む現在未解決の遺伝的欠陥による孤立または混合性OXPHOS欠乏症;POLG2突然変異;カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチニン欠乏症症候群;補酵素Q10欠損症;複合体I欠損症;複合体II欠損症;複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;乳酸アシドーシス;脳幹および脊髄の障害と乳酸上昇とを伴う白質脳症(LBSL);ルフト病;カルニチン パルミトイルトランスフェラーゼ(CPT IまたはCPT II)欠損症;短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD);短鎖3-ヒドロキシアセチル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCHAD);中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD);多種アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MADD);長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD);超長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD);三機能性タンパク質(TFP)欠損症;およびグルタル酸尿症II型からなる群から選択される原発性ミトコンドリア性障害である、実施形態XXに記載の方法。
【0178】
実施形態XXII. ミトコンドリア性疾患が、レット症候群;優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);複合体I欠損症;レーバー遺伝性視神経症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;および慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)からなる群から選択される、実施形態XXに記載の方法。
【0179】
実施形態XXIII. ミトコンドリア性疾患が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD);ベッカー型筋ジストロフィー(BMD);筋緊張性ジストロフィー(BMD);先天性ミオパチー;糖原貯蔵障害;球脊髄性筋萎縮症(SBMA);アルギニノコハク酸尿症;自閉症スペクトル障害(ASD);皮膚の自己免疫疾患(例えば、尋常性天疱瘡およびループス);メチルマロン酸およびプロピオン酸酸性尿症;プリンおよび/またはピリミジン合成の障害;顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD);先天性筋ジストロフィー;コラーゲンVI筋ジストロフィー(例えば、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー、およびベスレムミオパチー);ディジョージ症候群;および神経筋障害(例えば、肢帯型筋ジストロフィー、炎症性ミオパチー、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)ニューロパチーおよび薬物誘発性末梢神経障害)からなる群から選択される続発性ミトコンドリア性障害である、実施形態XXに記載の方法。
【0180】
実施形態XXIV. 疾患または障害が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、実施形態IXに記載の方法。
【0181】
実施形態XXV. 化合物(1)HClが、患者に投与される、実施形態I~XXIVのいずれか1つの方法。
【0182】
実施形態XXVI. 化合物(1)HClが、1mL当たり約15mgの化合物(1)HClを含む懸濁液として患者に投与される、実施形態XXVの方法。別の実施形態では、化合物(1)HClは、約30mgの化合物(1)HCl、約60mgの化合物(1)HCl、または約90mgの化合物(1)HClを含む錠剤、カプセル剤、または他の固体形態として、患者に投与される。
【0183】
本開示はまた、疾患もしくは障害の処置における使用、またはこの薬物の治療有効量を投与するための、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩に関する以下の特定の実施形態も提供する。
【0184】
実施形態1. 患者において疾患または障害の処置における使用のための、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩であって、
(i)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssが、約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであり;
(ii)患者由来の血漿中化合物(1)のCmin ssが、約55ng/mL~約9126ng/mLであり;または
(iii)患者由来の血漿中化合物(1)のAUCssが、約34μg・時/mL~約300μg・時/mLであり、かつ患者由来血漿中化合物(1)のCmin ssが、約55ng/mL~約9126ng/mLであり;
(i)のAUCss、(ii)のCmin ss、または(iii)のAUCssおよびCmin ssが、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の患者への1日毎の経口投与の少なくとも5日後に測定される、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0185】
実施形態2. 化合物(1)のAUCssが、約100μg・時/mL~約300μg・時/mLである、実施形態1の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0186】
実施形態3. 化合物(1)のAUCssが、約150μg・時/mL~約250μg・時/mLである、実施形態2の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0187】
実施形態4. 化合物(1)のAUCssが、約175μg・時/mL~約225μg・時/mLである、実施形態3の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0188】
実施形態5. 化合物(1)のAUCssが、約200μg・時/mLである、実施形態5の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0189】
実施形態6. 化合物(1)のCmin ssが、約2306ng/mL~約9126ng/mLである、実施形態1~5のいずれか1つの使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0190】
実施形態7. 化合物(1)のCmin ssが、約4011ng/mL~約7421ng/mLである、実施形態1~6のいずれか1つの使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0191】
実施形態8. 化合物(1)のCmin ssが、約4864ng/mL~約6569ng/mLである、実施形態1~7のいずれか1つの使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0192】
実施形態9. 化合物(1)のCmin ssが、約5716ng/mLである、実施形態1~8のいずれか1つの使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0193】
実施形態10. AUCss、Cmin ss、またはAUCssおよびCmin ssが、少なくとも7日後に測定される、実施形態1~9のいずれか1つの使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0194】
実施形態11. AUCss、Cmin ss、またはAUCssおよびCmin ssが、少なくとも10日後に測定される、実施形態10の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0195】
実施形態12. AUCss、Cmin ss、またはAUCssおよびCmin ssが、少なくとも14日後に測定される、実施形態11の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0196】
実施形態13. 化合物(1)HClが、それを必要とする患者に投与される、実施形態1~12のいずれか1つの使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0197】
実施形態14. 化合物(1)HClが、1mL当たり約15mgの化合物(1)HClを含む懸濁液として患者に投与される、実施形態13の使用のための化合物(1)HCl。別の実施形態では、化合物(1)HClは、約30mgの化合物(1)HCl、約60mgの化合物(1)HCl、または約90mgの化合物(1)HClを含む錠剤、カプセル剤、または他の固体形態として、患者に投与される。
【0198】
実施形態15. 治療有効量の化合物(1)の、それを必要とする患者への投与における使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩であって、
(a)1日当たり、ある量の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が患者に投与され;
(b)血漿試料が、(a)による投与の少なくとも5日後に、患者から得られ;
(c)(b)で得られた血漿試料中の化合物(1)の血漿濃度が決定され;
(d)1日当たり、式1:
【数12】
(式中、
SDは、(a)において患者に投与された化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の量(mg)であり;
CMTは、Cmin target(ng/mL)であり;
min target=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±20%)-1104±20%である)
に従って決定した通りの再計算された量(ミリグラム)の化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が、患者に投与される、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0199】
PCは、(c)で決定された化合物(1)の血漿濃度(ng/mL)である。一部の実施形態では、Cmin target=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±10%)-1104±10%である。一部の実施形態では、Cmin target=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341±5%)-1104±5%である。一部の実施形態では、Cmin target=(目標AUC(ng・時/mL)×0.0341)-1104である。
【0200】
実施形態16. 血漿試料が、(a)による投与の少なくとも7日後に患者から得られる、実施形態15の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0201】
実施形態17. 血漿試料が、(a)による投与の少なくとも10日後に患者から得られる、実施形態16の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0202】
実施形態18. 血漿試料が、(a)による投与の少なくとも14日後に患者から得られる、実施形態17の使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0203】
実施形態19. 化合物(1)または薬学的に許容されるその塩が、(a)および(d)において、患者に経口投与される、実施形態15~18のいずれか1つの使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0204】
実施形態20. 一日当たり、化合物(1)HClが、(a)および(d)において、患者に投与される、実施形態15~19のいずれか1つの使用のための、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0205】
実施形態21. 1日当たり約150mgの化合物(1)HClが、(a)において患者に投与され、目標AUCが、約200μg・時/mLである、実施形態20の使用のための化合物(1)HCl。
【0206】
実施形態22. 1日当たり、再計算された量の化合物(1)HClが、(d)において患者に投与される、実施形態20または21の使用のための5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩。
【0207】
実施形態23. 化合物(1)HClが、1mL当たり約15mgの化合物(1)HClを含む懸濁液として、(i)および(iv)において患者に投与される、実施形態20~22のいずれか1つの使用のための化合物(1)HCl。別の実施形態では、化合物(1)HClは、(i)および(iv)において、約30mgの化合物(1)HCl、約60mgの化合物(1)HCl、または約90mgの化合物(1)HClを含む錠剤、カプセル剤、または他の固体形態として、患者に投与される。
【0208】
実施形態24. 患者が疾患または障害を有する、実施形態1~23のいずれか1つの使用のための5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンまたは薬学的に許容されるその塩。
【0209】
実施形態25. 患者における疾患または障害の処置における使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、少なくとも5日間、患者に投与するステップ;および
(a)患者における化合物(1)の血漿濃度が149μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における化合物(1)の血漿濃度が、241μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5化合物(1)の血漿濃度が150μg・時/mL~240μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0210】
実施形態26. 患者における疾患または障害の処置における使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における化合物(1)の血漿濃度が159μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における化合物(1)の血漿濃度が、231μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5化合物(1)の血漿濃度が160μg・時/mL~230μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0211】
実施形態27. 患者における疾患または障害の処置における使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における化合物(1)の血漿濃度が179μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における化合物(1)の血漿濃度が、221μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における5化合物(1)の血漿濃度が180μg・時/mL~220μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0212】
実施形態28. 患者における疾患または障害の処置における使用のための化合物(1)または薬学的に許容されるその塩であって、1ml当たり15mgの5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を含む5~20ミリリットルの初期用量の経口懸濁液を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;および
(a)患者における化合物(1)の血漿濃度が189μg・時/mL未満である場合、より高用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;
(b)患者における化合物(1)の血漿濃度が、211μg・時/mLを超える場合、より低用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ;または
(c)患者における化合物(1)の血漿濃度が190μg・時/mL~210μg・時/mLの間である場合、非変更用量の経口懸濁液を、1日1回、患者に投与するステップ
を含む、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩。
【0213】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)初期用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を、1日1回、5日またはそれよりも長い日数の間、患者に投与するステップ;および
(b)(i)式8a:
Drecal=Dinitial(AUCTar/AUC_0t) 式8a
(式中、
recalは、患者に投与される5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の再計算された用量(ミリグラム)であり;
initialは、患者に投与された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の初期用量(ミリグラム)であり;
AUCTarは、(a)における最後の投与の24時間後の患者における化合物(1)の目標曝露(ng・時/ml)であり;
AUC_0tは、(a)における最後の投与の24時間後の患者における化合物(1)の計算された曝露(ng・時/ml)である)、
(ii)式8b:
AUC_0t=(28.31+0.472ΔT)C+(34410+2234ΔT)initial/150 式8b
(式中、
AUC_0tは、(a)における最後の投与の24時間後の患者における化合物(1)の計算された曝露(ng・時/ml)であり;
initialは、患者に投与された5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の初期用量(ミリグラム)であり;
Cは、患者における化合物(1)の血漿濃度(ng/ml)であり、血漿試料は、(a)における最後の投与の24±6時間後に患者から採取され;
ΔTは、血漿試料が患者から採取された時間と、(a)における最後の投与の24時間後との間の差(時)である)、
に従って再計算された用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を投与するステップ
を含み、目標曝露は、50,000ng・時/mL~250,000ng・時/mLである、方法。
【0214】
例えば、ΔTに関して、血漿試料が、最後の投与の24.5時間後に採取された場合、ΔTは0.5時間になる。同様に、血漿試料が、最後の投与の23時間後に採取された場合、ΔTは1時間になる。
【0215】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)初期用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;ならびに
(b)式8aおよび8bに従って再計算された用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を投与するステップ
を含み、目標曝露が、100,000ng・時/mL~200,000ng・時/mLである、方法を提供する。
【0216】
別の実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物(1)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(a)初期用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;ならびに
(b)式8aおよび8bに従って再計算された用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を投与するステップ
を含み、目標曝露が、100,000ng・時/mL、120,000ng・時/mL、130,000ng・時/mL、140,000ng・時/mL、150,000ng・時/mL、160,000ng・時/mL、175,000ng・時/mL、180,000ng・時/mL、190,000ng・時/mL、または200,000ng・時/mLである、方法を提供する。
【0217】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、
(a)初期用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;ならびに
(b)式8aおよび8bに従って再計算された用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を投与するステップ
を含み、目標曝露が、50,000ng・時/mL~250,000ng・時/mLである、方法を提供する。
【0218】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、
(a)初期用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;ならびに
(b)式8aおよび8bに従って再計算された用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を投与するステップ
を含み、目標曝露が、100,000ng・時/mL~200,000ng・時/mLである、方法を提供する。
【0219】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において疾患または障害を処置する方法であって、
(a)初期用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を、1日1回、5日間またはそれよりも長く、患者に投与するステップ;ならびに
(b)式8aおよび8bに従って再計算された用量の5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩を投与するステップ
を含み、目標曝露が、100,000ng・時/mL、120,000ng・時/mL、130,000ng・時/mL、140,000ng・時/mL、150,000ng・時/mL、160,000ng・時/mL、175,000ng・時/mL、180,000ng・時/mL、190,000ng・時/mL、または200,000ng・時/mLである、方法を提供する。
【0220】
III. 疾患および障害
本開示の方法および使用は、化合物(1)または薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与して、種々の疾患または障害を処置することを含む。
【0221】
一実施形態では、疾患または障害は、ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体ガンマ(PPAR-γ)によって制御される。PPAR-γは、とりわけ、脂肪酸保存およびグルコース代謝を制御し、多数の疾患および障害の病理に関係している。
【0222】
別の実施形態では、疾患または障害は、中枢神経系疾患または障害、ミトコンドリア性疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、慢性肉芽腫障害、多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺癌、甲状腺自己免疫性障害、下垂体腺腫、アテローム性動脈硬化症、高血圧、皮膚疾患、炎症性および自己免疫性疾患、ならびに炎症性呼吸器疾患からなる群から選択される。
【0223】
別の実施形態では、疾患または障害は、中枢神経系疾患または障害である。
【0224】
別の実施形態では、疾患または障害は、神経変性疾患、脳血管疾患、脳卒中、てんかん、ウイルス性疾患、神経炎症性疾患、脳腫瘍、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝的ミトコンドリア性障害からなる群から選択される。
【0225】
別の実施形態では、疾患または障害は、神経変性疾患である。
【0226】
別の実施形態では、疾患または障害は、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、多発性硬化症、白質ジストロフィー、ALS、変性運動失調症、多系統萎縮症、および運動ニューロン疾患からなる群から選択される。
【0227】
別の実施形態では、疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、多発性硬化症、視神経脊髄炎、白質ジストロフィー、ALS、変性運動失調症、多系統萎縮症、NBIA(神経変性および脳鉄蓄積障害)、ニューロミオパチー、および運動ニューロン疾患からなる群から選択される。
【0228】
別の実施形態では、疾患または障害は、X連鎖性副腎白質ジストロフィーである。
【0229】
別の実施形態では、疾患または障害は、変性運動失調症である。別の実施形態では、変性運動失調症は、フリードライヒ運動失調である。
【0230】
別の実施形態では、疾患または障害は、運動ニューロン疾患である。
【0231】
別の実施形態では、運動ニューロン疾患は、進行性球麻痺、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ポリオ後症候群(PPS)-マリー・トゥース疾患、ギラン・バレー症候群、および副腎脊髄ニューロパチー(AMN)からなる群から選択される。
【0232】
別の実施形態では、疾患または障害は、中枢神経系障害である。別の実施形態では、中枢神経系障害は、全脳虚血または局所的虚血、脳内出血、脳卒中、および血管性認知症からなる群から選択される脳血管疾患である。別の実施形態では、中枢神経系障害は、髄膜炎、脳炎、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、急性灰白髄炎、単純ヘルペス、および水痘帯状疱疹からなる群から選択される、ウイルス性疾患である。
【0233】
別の実施形態では、疾患または障害は、稀代謝性疾患である。別の実施形態では、稀代謝性疾患は、有機酸血症、脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害からなる群から選択される。
【0234】
別の実施形態では、疾患または障害は、ミトコンドリア性疾患である。
【0235】
ミトコンドリアは、赤血球を除く人体のあらゆる細胞の内部に存在する、極小のサブユニットである。ミトコンドリアの主な役割は、細胞に進入する食物および酸素を細胞に有用なエネルギーに変換することである。ミトコンドリア内膜を通したピルビン酸取込みは、解糖と酸化的リン酸化をバランスし、異化および同化代謝を釣り合わせる能力による細胞のエネルギー代謝の中心的分岐点である(例えば、Divakaruni et al., PNAS 110(14):5422-5427 (2013)を参照されたい)。ミトコンドリアのピルビン酸キャリア(MPC)は、細胞質からミトコンドリアへのピルビン酸取込みを促進する内膜輸送体である。これは、ミトコンドリアの基質利用の中心的制御因子であり、ミトコンドリアのピルビン酸取込みの制限は、脂肪酸の使用およびアミノ酸の範囲を増強して細胞エネルギーおよび生合成を促進し得る(例えば、Divakaruni et al., J. Cell Biol. (2017)を参照されたい)。
【0236】
MPCは、2種のタンパク質、MPC1およびMPC2を含有し、これは、ミトコンドリア内膜において複合キャリアを形成する。MPCは、ピルビン酸をミトコンドリアマトリクスに輸送し、これは、ピルビン酸代謝に必要であり、代謝経路において重要である(例えば、McCommis et al., Biochem. J. 466: 443-454 (2015)を参照されたい)。
【0237】
ミトコンドリア性疾患は、その各々がミトコンドリア機能不全と関連する障害の群である。ミトコンドリア性疾患は、慢性、遺伝性、および多くの場合先天性の障害であり、これは、ミトコンドリアが、身体が適切に機能するのに十分なエネルギーを生成できない場合に起こる。ミトコンドリア性疾患は、出生時に存在し得るが、また、何歳であっても起こり得る。これらの疾患は、脳、神経、筋肉、腎臓、心臓、肝臓、眼、耳および/または膵臓の細胞を冒し得る。ミトコンドリア機能不全は、ミトコンドリアが機能しない場合に起こるだけでなく、別の疾患または状態に起因することもある。ミトコンドリア性疾患とは、原発性および続発性ミトコンドリア性障害を含む障害の異種群を指す(例えば、Niyazov et al., Mol. Syndromol. 7:122-137 (2016)を参照されたい)。原発性ミトコンドリア性障害は、OXPHOS(酸化的リン酸化)タンパク質を直接コードするか、またはそれらがOXPHOSプロセスを動かすために必要な複合体機構の産生に影響を及ぼすことによってOXPHOS機能を冒すかのいずれかによる、ミトコンドリアDNA(mtDNA)および/または核DNA(nDNA)遺伝子の生殖細胞系列変異に起因し得る。これとは対照的に、続発性ミトコンドリア性障害は、非OXPHOS遺伝子における生殖細胞系列変異による先天性疾患を含む、OXPHOSが関与しない多くの病理プロセスにおいて起こる。続発性ミトコンドリア性障害はまた、酸化ストレスを引き起こし得る有害環境効果に続いて獲得され得る。多くの状態は、自閉症、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、ルー・ゲーリック病、糖尿病およびがんを含む続発性ミトコンドリア機能不全につながり得る。
【0238】
別の実施形態では、ミトコンドリア性疾患は、レット症候群、アルパース病;レーバー遺伝性視神経萎縮症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;リー様症候群;母系遺伝性リー症候群(MILS);ミトコンドリア枯渇症候群(MDS);ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO);優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);ミトコンドリアミオパチー;心筋症;ミトコンドリア脳症;ミオクローヌスてんかん;母系遺伝性糖尿病および難聴(MIDD);運動失調ニューロパチースペクトル;3-メチルグルタコン酸酸性尿症;感音性難聴;リー様症候群の神経放射線学的所見(MEGDEL);SURF1(複合体IV surfeitタンパク質欠損症に起因するCOX欠損リー症候群);酸化的リン酸化障害;バース症候群;致死性小児心筋症(LIC);ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;POLG突然変異;ピルビン酸酸化の乱れおよびATP+PCr産生率を含む現在未解決の遺伝的欠陥による孤立または混合性OXPHOS欠乏症;POLG2突然変異;カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチニン欠乏症症候群;補酵素Q10欠損症;複合体I欠損症;複合体II欠損症;複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;乳酸アシドーシス;脳幹および脊髄の障害と乳酸上昇とを伴う白質脳症(LBSL);ルフト病;カルニチン パルミトイルトランスフェラーゼ(CPT IまたはCPT II)欠損症;短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD);短鎖3-ヒドロキシアセチル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCHAD);中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD);多種アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MADD);長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD);超長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD);三機能性タンパク質(TFP)欠損症;およびグルタル酸尿症II型からなる群から選択される原発性ミトコンドリア性障害である。
【0239】
別の実施形態では、ミトコンドリア性疾患は、レット症候群;優性視神経萎縮症(DOA);常染色体優性視神経萎縮症(ADOA);複合体I欠損症;レーバー遺伝性視神経症(LHON);カーンズ・セイヤー症候群(KSS);リー症候群;乳酸アシドーシスおよび脳卒中様エピソードを伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS);ラッグドレッド線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF);ミトコンドリア神経胃腸脳症症候群(MNGIE);ニューロパチー、運動失調および網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;および慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)からなる群から選択される。
【0240】
別の実施形態では、ミトコンドリア性疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD);ベッカー型筋ジストロフィー(BMD);筋緊張性ジストロフィー(BMD);先天性ミオパチー;糖原貯蔵障害;球脊髄性筋萎縮症(SBMA);アルギニノコハク酸尿症;自閉症スペクトル障害(ASD);皮膚の自己免疫疾患(例えば、尋常性天疱瘡およびループス);メチルマロン酸およびプロピオン酸酸性尿症;プリンおよび/またはピリミジン合成の障害;顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD);先天性筋ジストロフィー;コラーゲンVI筋ジストロフィー(例えば、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー、ベスレムミオパチー、眼咽頭遠位およびエメリ・ドレフュス型);ディジョージ症候群;および神経筋障害(例えば、肢帯型筋ジストロフィー、炎症性ミオパチー、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)ニューロパチーおよび薬物誘発性末梢神経障害)からなる群から選択される続発性ミトコンドリア性障害である。
【0241】
別の実施形態では、疾患または障害は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。
【0242】
IV. 医薬組成物および医薬としての使用
化合物(I)または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物は、任意の好適な投与経路によって投与できる。例えば、経口、口腔内、局所、皮膚上、皮下、経皮、筋肉内、非経口、眼、直腸、腟、吸入、頬側、舌下および鼻腔内送達経路のうちの任意のものが好適であり得る。
【0243】
本開示はまた、それを必要とする患者において疾患または障害を処置するための医薬の製造における化合物(1)または薬学的に許容されるその塩の化合物の使用を提供する。
【0244】
一実施形態では、化合物(I)または薬学的に許容されるその塩は、経口投与される。医薬組成物の経口形態は、固体または液体であり得る。好適な経口剤形には、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、懸濁剤、エマルション剤、シロップ剤または液剤が含まれる。医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤または顆粒剤から選択される固体形態であってもよい。ある実施形態では、経口形態は錠剤である。別の実施形態では、経口形態は、経口溶液または懸濁液である。これらは、患者が、例えば、疾患の結果として、または高齢者および小児使用の場合に、嚥下困難である場合、有利である。舌下配合物もまた有利である。
【0245】
「有効」である量は、個体の年齢および全身状態、1種または複数の特定の活性剤などに応じて対象毎に変動する。従って、正確な「有効量」を特定することが常に可能であるとは限らない。しかしながら、任意の個々の場合における適切な「有効」量は、通常の実験法を使用して、当業者により決定され得る。従って、活性剤の用量は、状態の性質および程度、患者の年齢および状態、ならびに当業者に公知の他の要因に依存する。典型的な1日投薬量は、0.1~200mg、例えば、20~200mgであり、例えば、成人の場合、10~100mgが、さらなる投薬なしに単回用量として、または複数用量で、例えば、1日に1~3回投与される。本明細書で記載される化合物はまた、80~600mgの1日用量で投与され得る。一実施形態では、成人向けの1日用量は、約50mg~約300mgである。一実施形態では、成人向けの1日用量は、約90mg、120mg、150mg、180mg、または約210mgである。小児向けの1日用量は、約0.1~約200mgである。別の実施形態では、小児向けの1日分は、約10mg~約100mgである。
【0246】
医薬組成物は、当技術分野で公知の従来の賦形剤を含有してもよく、従来の方法によって調製されてもよい。具体的な化合物または化合物の混合物は、特定の送達経路のために選択できる。一部の化合物または化合物の混合物はまた、NAFLDおよびNASH、X-ALDまたは他の疾患もしくは障害を処置するためのそれらの使用に基づいて好適であり得る。
【0247】
経口剤形は、従来の薬学調剤技術に従って、少なくとも1種の賦形剤との密接混合物中、化合物(I)または薬学的に許容されるその塩を合わせることによって、調製できる。賦形剤は、投与のために望ましい組成物の形態に応じて多種多様な形態であり得る。例えば、経口液体またはエアロゾル剤形での使用に好適な賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤および着色剤が含まれるが、これらに限定されない。固体経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤およびカプレット錠)での使用に好適な賦形剤の例には、デンプン、糖、微結晶セルロース、カオリン、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、安定化剤および崩壊剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0248】
それらの投与の容易さに起因して、錠剤、カプレット錠、およびカプセル剤(例えば、硬質ゼラチン、HPMCまたはデンプンカプセル)は、固体経口単位剤形の実施形態を表し、この場合、固体医薬賦形剤が使用される。望ましい場合、錠剤またはカプレット錠は、標準水性または非水性技術によってコーティングできる。これらの剤形は、調剤方法のうちの任意のものによって調製できる。一般に、医薬組成物および剤形は、1種または複数の本開示の化合物を、液体キャリア、微粉化固体キャリアまたはその両方と均一および密接に混合し、次いで必要な場合、生成物を所望の配合物に成形することによって調製される。
【0249】
例えば、錠剤は、圧縮または成形によって調製できる。圧縮錠剤は、必要に応じて、1種または複数の賦形剤と混合された自由流動形態、例えば、粉末または顆粒の1種または複数の化合物(I)または薬学的に許容されるその塩を好適な機械において圧縮することによって調製できる。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤により湿らせた粉末化化合物の混合物を、好適な機械において成形することによって作製できる。
【0250】
医薬組成物は、1種または複数の他の治療剤をさらに含み得る。組合せ処置は、同時に、連続的に、もしくは別々に、同じもしくは異なる経路によって、または手術もしくは介入手順の前、間および後に、投与されてもよい。
【0251】
一実施形態では、本開示は、化合物(1)HClを水性懸濁液として含む医薬組成物を提供する。
【0252】
別の実施形態では、本開示は、化合物(1)HCl、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび水を含む医薬組成物を提供する。
【0253】
別の実施形態では、本開示は、化合物(1)HCl、コロイド状微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む医薬組成物を提供する。
【0254】
化合物(1)HClを含む本開示の医薬組成物はまた、必要に応じて、甘味剤、例えば、ソルビトール粉末、サッカリンナトリウム、保存剤、例えば、安息香酸ナトリウム、香味料、pH調節剤、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸一水和物を含み得る。
【0255】
化合物(I)または薬学的に許容されるその塩は、患者が、抗炎症および鎮痛剤、抗糖尿病剤(例えば、メトホルミン)、ドーパミンアゴニスト(例えば、レボドパ)、MAO-B阻害剤、カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、抗コリン薬、他の抗パーキンソン病薬(例えば、アマンタジン)、抗NMDA受容体(例えば、メマンチン)、コリンエステラーゼ阻害剤、ACE阻害剤、グルタミン酸アンタゴニスト(例えば、リルゾール)、抗酸化剤、免疫調節剤(例えば、フィンゴリモド、抗CD52、CD25およびCD20モノクローナル抗体、インターフェロン-β-1a、ナタリズマブ、ラキニモド、フマル酸ジメチル)、化学療法剤、酵素置換治療剤、基質還元治療剤、コルチコステロイド、抗増殖剤(例えば、メトトレキサート)、抗けいれん薬、抗凝血薬、降圧剤および神経保護薬から選択される1種または複数の別の治療剤も組み合わせて投与される場合、本開示に従って使用できる。本開示の化合物はまた、患者が、遺伝子治療、骨髄移植、深部脳刺激または放射線療法を受けている場合、使用されてもよい。
【0256】
1種または複数の治療剤には、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリピジド、グリブリド)、グリニジン(メグリチニドとして公知)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ロベグリタゾン)、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、ゲミグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、デュトグリプチン、オマリグリプチン)、ナトリウム/グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤(例えば、カナグリフロジン、ダパグリフロジン)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)受容体アゴニスト(例えば、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、タスポグルチド、セマグルチド)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、およびインスリン(例えば、ウシまたはブタの膵臓から抽出した動物インスリン配合物;Escherichia coliまたは酵母を使用した遺伝子操作によって合成したヒトインスリン配合物;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリン断片または誘導体(例えば、INS-1)および経口インスリン配合物が含まれる。
【0257】
V. 定義
ここで開示される本発明の主題の種々の例および実施形態が可能であり、本開示の利益を考慮することで当業者に明らかとなる。本開示では、「一部の実施形態」、「ある特定の実施形態」、「ある特定の例示的実施形態」、「特定の実施形態」および類似の語句への参照は各々、それらの実施形態が、本発明の主題の非限定例であり、除外されない代替の実施形態が存在することを意味する。
【0258】
冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、本明細書において、1つまたは1つより多い(すなわち少なくとも1つの)、冠詞の文法上の目的語を指すために使用される。例として、「1つのエレメント」は、1つのエレメントまたは1つよりも多いエレメントを指す。
【0259】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、述べられた値±10%を含む。従って、「約10」は、9~11を意味する。
【0260】
語「含むこと」は、そのオープンエンドの意味と一致するように使用され、つまり、所与の生成物またはプロセスが、必要に応じて、明示的に記載されたものの他に追加の特徴またはエレメントも有し得ることを意味する。実施形態が、言葉「含むこと」を用いて記載される場合は必ず、「からなる」および/または「から本質的になる」に関して記載される、それ以外の点は類似の実施形態もまた本開示の範囲内であることが企図されることが理解される。
【0261】
本開示の文脈における用語「改善する(ameliorate)」は、処置される患者の状況に対する任意の改善(improvement)を意味すると理解される。
【0262】
用語「bid投与」または「BID」は、治療剤の1日2回の投与を意味する。
【0263】
用語「SAD」は、治療剤の単回経口投与を意味する。
【0264】
「有効」量または「治療有効量」の薬物または医薬活性剤は、非毒性であるが、薬物または薬剤が所望の効果をもたらすのに十分である量を意味する。「有効」である量は、個体の年齢および全身状態、1種または複数の特定の活性剤などに応じて対象毎に変動する。従って、正確な「有効量」を特定することが常に可能であるとは限らない。しかしながら、任意の個々の場合における適切な「有効」量は、通常の実験法を使用して、当業者により決定され得る。
【0265】
本明細書の文脈における用語「処置」または「処置する」および類似の用語は、疾患または前記疾患に関連する1つもしくは複数の徴候を改善または除去することを意味する。「処置」はまた、疾患の生理学的後遺症を改善または除去することも包含する。
【0266】
用語「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機および有機酸から調製された塩を指す。
【0267】
用語「予防」または「予防する」とは、所与の疾患もしくは障害を獲得するもしくは発症するリスクの低減、または疾患もしくは障害の再発の低減もしくは阻害を指す。
【0268】
本明細書で使用される場合、句「PK変動性」または「薬物動態変動性」とは、異なる患者への同じ用量の投与後の異なる血漿濃度-時間プロファイルをもたらす、薬物の薬物動態パラメーターの個体間の変動を指す。
【0269】
本明細書で使用される場合、用語「定常状態」とは、薬物投与の速度が薬物排出の速度と等しい場合の薬物動態状況を指す。
【0270】
本明細書で使用される場合、用語「定常状態におけるAUC」または「AUCss」とは、定常状態における血漿中薬物の全量を指す。
【0271】
本明細書で使用される場合、用語「定常状態におけるトラフ値」または「Cmin ss」とは、投薬間隔の間の最小定常状態血漿薬物濃度を指す。
【0272】
本明細書で使用される場合、用語「立体異性体」は、それらの原子の空間配向のみが異なる個々の分子のすべての異性体についての一般用語である。これには、鏡像異性体および互いに鏡像ではない、1つよりも多いキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0273】
用語「キラル中心」または「不斉炭素原子」とは4つの異なる基が結合した炭素原子を指す。
【0274】
用語「鏡像異性体」および「鏡像異性体の」とは、その鏡像に重ねることができない、従って、光学活性である分子を指し、ここで鏡像異性体が偏光面を一方向に回転させ、その鏡像化合物が偏光面を反対方向に回転させる。
【0275】
用語「ラセミ」とは、鏡像異性体の等部の混合物を指し、この混合物は、光学不活性である。
【0276】
用語「絶対配置」とは、キラル分子実体(または群)の原子の空間配置、およびその立体化学的記載、例えばRまたはSを指す。
【0277】
本明細書において使用される立体化学的用語および慣習は、他に示されない限り、Pure & Appl. Chem 68:2193 (1996)に記載されているものと一致することが意味される。
【0278】
用語「鏡像異性体過剰率」または「ee」とは、1つの鏡像異性体が他と比較してどの程度多く存在するかの尺度を指す。RおよびS鏡像異性体の混合物について、パーセント鏡像異性体過剰率は、│R-S│100として定義され、RおよびSは、混合物中の鏡像異性体のそれぞれのモルまたは重量分率であり、R+S=1である。キラル物質の旋光度の知識により、パーセント鏡像異性体過剰率は、([α]obs/[α]max100として定義され、[α]obsは、鏡像異性体の混合物の旋光度であり、[α]maxは、純粋な鏡像異性体の旋光度である。鏡像異性体過剰率の決定は、NMR分光、キラルカラムクロマトグラフィーまたは旋光分析を含む種々の分析技術を使用して可能である。
【0279】
用語「鏡像異性体純粋」または「エナンチオピュア」とは、その分子のすべて(検出の限界以内)が同じキラリティーの意味を有するキラル物質の試料を指す。
【0280】
用語「鏡像異性体的に富化された」または「エナンチオ富化された」とは、その鏡像異性体比が50:50を超えるキラル物質の試料を指す。鏡像異性体的に富化された化合物は、鏡像異性体純粋であり得る。
【0281】
用語「原発性ミトコンドリア障害」または「PMD」とは、電子伝達鎖(ETC)タンパク質をコードするミトコンドリアDNA(mtDNA)および/または核DNA(nDNA)遺伝子中の生殖細胞系列変異、従って、主細胞エネルギーキャリアであるアデノシン-三リン酸(ATP)の生成に起因して起こり得るミトコンドリア疾患を指す。
【0282】
用語「続発性ミトコンドリア障害」または「SMD」とは、非OXPHOS遺伝子における生殖細胞系列変異による先天性疾患を含む、酸化的リン酸化(OXPHOS)を含まない多くの病理プロセスを伴うミトコンドリア疾患を指す。SMDはまた、酸化ストレスを引き起こし得る有害環境効果に続いて獲得され得る。
【実施例
【0283】
本明細書に記載の処置または予防の方法および使用を、ここで、以下の実施例を参照してさらに詳述する。これらの実施例は、例示の目的でのみ提供され、本明細書に記載の実施形態は、これらの実施例に限定されるとは何ら解釈されない。むしろ、実施形態は、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意のおよびすべての変形例を包含すると解釈されるべきである。
【0284】
(実施例1)
135mgおよび270mgでのヒト対象における化合物(1)HClの複数漸増用量(MAD)研究からのデータにより、経時的なクリアランスの変化はなかったことが確認された。平均AUC0-tau ss(%CV)(135μg・時/mL(20))およびCmaxss(%CV)(9488ng/ml(17))は、135mgの場合、8日目に定常状態において決定した。平均AUC0-tau ss(%CV)(299μg・時/mL(21))およびCmaxss(%CV)(17200ng/ml(18))は、270mgの場合、8日目に定常状態において決定した。
【0285】
MAD研究からの8日目のデータは、Cmin ssおよびAUC0-tau ssが、図1に示される通り相関したことを示した。最良適合の線を記載する式は、効果を発揮するための目標AUC0-tau ss(200μg・時/mL)と関連するCmin ssが、5716ng/mLであることを示す。
【0286】
ヒトにおけるすべての漸増用量研究を通して、用量の増加は、AUCの増加と線形に関連する。クリアランスにおける対象間の変動のために、200μg・時/mL目標AUCssを大幅には超えない開始用量を選択する必要がある。
【0287】
MAD研究からのPKデータを使用して、対象において毒性または有害事象を最も引き起こさないと考えられる開始用量を生成した。102~232μg・時/mLの間隔で、167μg・時/mLSD 33の幾何平均AUCtauを95%信頼度でもたらすため、用量150mgを選択した。この用量では、およそ75%の患者が200μg・時/mL未満であり、240μg・時/mLを超える患者はいないと考えられる。
【0288】
2週間の投薬後、Cmin ss PK試料を、各患者から収集し、この結果を、式3:
【数13】
(式中、PCは、5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンの血漿濃度(ng/mL)である)
を使用し、化合物(1)HClの用量を調整するために使用する。
【0289】
投薬懸濁液は、1mL当たり15mgの化合物(1)HClであり、従って、新しい用量は、ほぼ0.1mLに丸められる。
【0290】
(実施例2)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩のミトコンドリアピルビン酸キャリア(MPC)阻害活性の評価
BRET-アッセイ
MPCの活性、すなわち、MPC阻害活性(IC50)をリアルタイムでモニタリングするために、BRETアッセイを使用して、Compan et al., Molecular Cell 59:491-501 (2015)に記載されている通り、適切なキメラタンパク質をHEK細胞にトランスフェクトした。
【0291】
MPCは、2つのサブユニット、MPC1およびMPC2で構成されるヘテロ二量体である。MPC1およびMPC2は、相互作用して活性キャリアを形成する。アッセイにおいて、MPC2を、Rluc8(ドナー)に縮合し、MPC1をVenus(アクセプター)に縮合した。これらのキメラタンパク質は、HEK細胞において安定に発現された。培養培地へのセレンテラジンの添加後、BRET活性を測定した。セレンテラジンは、細胞に進入し、ルシフェラーゼRluc8と接触し、発光し、ドナーとアクセプターとの間の距離が100nm未満であるという条件で、アクセプターによる蛍光発光が活性化さる。ドナーとアクセプターとの間の距離が100nmを超える場合、BRET活性は測定されない。BRET活性のレベルは、MPCの構造変化を反映し、キャリアが閉構造である場合には高く、キャリアが休止している場合には低く、MPCがピルビン酸を輸送している場合にはその中間である。この場合、BRET活性は、キャリアが休止している場合のBRET値(ドナーとアクセプターとの間の最大距離)と、閉じている場合のBRET値(ドナーとアクセプターとの間の最短距離)との平均値である。
【0292】
1nM~100μMの、試験化合物の各々の幅広い濃度範囲を使用した。試験化合物である化合物(1)HClおよびピオグリタゾンの用量応答曲線を、図2に示す。
【0293】
各試験化合物について測定したBRET活性を、HEK細胞を、PBS中(休止状態)、および休止状態と閉鎖状態(UK5099により得た最大閉鎖)との間の中間値に対応するPBS+ピルビン酸中でインキュベートした場合に得られたBRET活性と比較した。以下の表1は、試験化合物である化合物(1)HCl、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびUK5099について、上記のBRETアッセイにおいて得られたIC50値を示す。
【表1】
【0294】
化合物(1)HClは、BRETアッセイにおいてMPC活性を阻害し、IC50値は4.1μMであった。化合物(1)HClの活性は、ロシグリタゾンの活性(IC50=2μM)よりもわずかに低い。従って、化合物(1)HClは、4.1μMのIC50を有するMPC阻害剤であり、一方ピオグリタゾンは、100μMを超えるIC50値を有するMPCを阻害しない。
【0295】
ミトコンドリア呼吸
化合物(1)HClが、ピルビン酸媒介性ミトコンドリア呼吸に対する何らかの効果を有するかを決定するために、細胞外フラックスアナライザーSeahorseを、Companらに記載の通りに使用した。Seahorse実験を、以下の細胞系:HeLa(子宮頸がん細胞)、A549(肺がん細胞)、野生型MDA MB 231およびMPC2を欠失させMPCを不活性化させたMDA MB 231(MDA MB231 KO)で実施した。MDA MB231細胞は、上皮乳がん細胞である。細胞を、37℃で1時間、化合物の上昇濃度でインキュベートした後、酸素消費速度(OCR)を測定した。Seahorseアナライザーにより、1μM CCCPによる脱分極時に測定される基底および最大呼吸の測定が可能になる。
【0296】
n=3の代表的な実験におけるHeLa細胞(図3A)およびA549細胞(図3B)における化合物(1)HClの、酸素消費速度(OCR)に対する効果。OCR値は、PBS単独でのOCRに対する異なる濃度の化合物の存在下でのOCRの比として表す。両方の細胞系におけるIC50は、およそ5μMであった。
【0297】
図4Aは、化合物(1)HClの野生型MDA MB231細胞に対する効果を示し、図4Bは、化合物(1)HClのMDA MB231 KO細胞に対する効果を示している。KO細胞は、MPC2遺伝子を欠失されており、従って、MPC活性を示さない。上部パネルは、野生型(WT)またはKO細胞系のいずれかの代表的実験を示す。下部パネルは、3つの異なる実験における最大OCRの平均値を示す。OCR値は、PBS単独でのOCRに対する異なる濃度の試験化合物の存在下でのOCRの比として表す。
【0298】
結論
化合物(1)HClは、4.1μMのIC50値でMPC活性を阻害し、MPC依存方式で酸素消費を阻害する。5化合物(1)HClは、MPCの活性が遺伝的に欠失されている場合は酸素消費を阻害せず、化合物(1)HClがMPCの特異的阻害剤であることを裏付けている。MPCに対する化合物(1)HClの阻害活性は、MPCの強力な化合物阻害剤であるUK5099の活性(IC50=17nM)と比較して低く、ロシグリタゾンの活性(IC50=2μM)よりもわずかに低いが、同じ範囲内である。化合物(1)HClは、ピオグリタゾンよりもはるかにより強力である。
【0299】
この結果に基づき、化合物(1)HClは、エネルギー要件が修正された疾患について、ピオグリタゾンよりもより良好な処置を提供すると結論することができる。
【0300】
(実施例3)
5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩による血漿中アディポネクチンレベルの大幅な増大
ミトコンドリアの機能は、脂肪細胞中でのアディポネクチン合成と関連しており、脂肪組織中でのミトコンドリア機能不全は、肥満における血漿アディポネクチンレベルの低下を説明し得る。ミトコンドリア機能不全は、ERストレス、JNKおよびATF3が関与する一連のメカニズムを活性化して、アディポネクチン合成を減少する。Eun Hee Koh et al., Diabetes 56(12):2973-2981 (2007)を参照されたい。さらに、肝アディポネクチン受容体は、NASH患者において縮小し、野生型動物と比較してアディポネクチンノックアウトマウスはより頻繁に肝線維症を発症し、一方、アディポネクチンのアデノウイルス媒介性過剰発現により、野生型マウスにおいて肝損傷が改善される(例えば、Kamada et al., Gastroenterology 125:1796-1807 (2003)を参照されたい)。
【0301】
アディポネクチンに対する化合物(1)HClの効果の評価を、PPARガンマ結合の測定によりSprague Dawley野生型ラットにおいて実施した。ラットを、54mg/Kg/日で上昇用量の化合物(1)HClにより7日間処置した。最後の化合物(1)HCl投与の1時間後に血漿を得た。アディポネクチンレベルをELISAによって測定した。結果は、n=8の平均±平均の標準誤差として表した。データを、Kruskal-Wallis、続いてDunn事後検定によって、ビヒクル群に対して分析した(****、p<0.0001)。
【0302】
化合物(1)HCl処置は、アディポネクチンのレベルを有意に増大させた(図5)。
【0303】
(実施例4)
メチオニンコリン欠乏食餌マウスにおける5-[[4-[2-[5-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2-イル]エトキシ]フェニル]メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩の効果
化合物(1)HClの予防効果を、7週間メチオニンコリン欠乏(MCD)食NASHマウスモデルにおいて評価した(Verdelho Machadoら)。順化期間後、C57BL6/J雄性マウス(n=20)を秤量し、体重に基づいて2つの均質な処置群(n=10/群)に無作為化し、MCD食を与え、ビヒクルまたは化合物(1)HClにより7週間、BID経口処置した。
【0304】
化合物(1)HClを、経管栄養により経口で62.5mg/kg BIDで投薬した。
【0305】
C57BL6/Jマウスが、MCD食を給餌される場合、マウスは、血漿アラニントランスアミナーゼ(ALT)/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルの増大を伴って、急速に脂肪肝、炎症および線維症を発症する。
【0306】
材料および方法
順化期間後、C57BL6/J雄性マウス(n=20)を秤量し、体重に基づいて2つの均質な処置群(n=10/群)に無作為化し、MCD食を与え、ビヒクルまたは化合物(1)HCl(125mg/Kg/日)により7週間、BID経口処置した。体重を、実験フェーズの終了まで、週に3回測定した。
【0307】
食餌/処置の7週目に、マウスを秤量し、朝の午前08:00頃に処置し、次いで、午後1:00頃に採血(最大体積/EDTA)した。次いで、血漿を直ちに単離し、血漿ALTおよびASTのアッセイまで-80℃で保存した。血漿体積残余は、最終の追加分析のために-80℃で保存した。
【0308】
血液採取後、マウスを、イソフルラン麻酔下で頚椎脱臼により屠殺させ、滅菌塩水により失血させた。
【0309】
以下の表2に記載の基準を使用して、NAFLDスコアリングシステム(NAS)をKleinerら(Hepatology. 41(6):1313-1321 (2005))から適合させた。
【表2】
【0310】
脂肪肉芽腫、好酸球体、メガミトコンドリアおよび色素沈着マクロファージなどの、ヒト臨床例で記載され、Kleinerらによって公開されたNASスコアリングシステムにおいて元々報告されるいくつかの他の病理組織学的観察は、この動物研究では観察されなかった。従って、上記のスコアリングシステムにおいてそれらは含まないことを選択した。個々のマウスNAS総スコアは、各動物について、(1)肝細胞脂肪症、(2)肝臓炎、(3)小葉線維症、および(4)肝細胞風船化のスコアを合計することによって計算した。
【0311】
結果
MCD食下のマウスは、実質的な体重減少を示した。しかしながら、化合物(1)HClで処置されたマウスは、14日目~50日目にそれほど重度ではない体重減少を示し、30日目~50日目の間に有意差をもたらした。
【0312】
また、MCD食は、処置の終了時、非常に高いALTおよびAST血漿レベル(それぞれ480U/Lおよび455U/Lの平均値)をもたらした。化合物(1)HClは実質的に、血漿ALTおよびASTレベルの両方において、それぞれ78%および55%低減した(いずれもp<0.01対ビヒクル)。
【0313】
また、化合物(1)HClにより処置されたマウスは、肝臓コレステロールレベルの変化を示さなかったが、92%の肝臓トリグリセリドレベルの劇的な低減を示した(p<0.001対ビヒクル)。
【0314】
脂肪肝、炎症、線維症、および肝細胞風船化についてNAFLDスコアリングシステム(NAS)のために組織学分析を実施した(オイルレッドO、H&Eおよびシリウスレッド染色)。
【0315】
平均NAS群スコアは、ビヒクルおよび化合物(1)HClにおいてそれぞれ3.40±0.3および0.44±01であった(p<0.001対ビヒクル)。NASスコアの強い低減は、鈍い脂肪肝スコア(p<0.001対ビヒクル)と関連し、これは、ビヒクルと比較して極度に低いオイルレッドo染色%(p<0.001)および炎症の全消失によって確認された。
【0316】
まとめると、本研究は、化合物(1)HClにより処置されたMCDマウスにおける脂肪肝および炎症の低減を実証する。
【0317】
ここで、本開示は完全に記載され、本開示が、本発明またはその任意の実施形態の範囲に影響することなく、条件、製法および他のパラメーターの広い等価な範囲内で実施できることが当業者によって理解される。
【0318】
本開示の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書で開示される本発明の実施から当業者に明らかとなる。本明細書および実施例は、単なる例示であると考えられ、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0319】
本明細書で引用されるすべての特許、特許出願および刊行物は、すべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5