(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】獣医科用猫ケージ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/02 20060101AFI20240904BHJP
A01K 1/03 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A01K1/02 Z
A01K1/03 B
(21)【出願番号】P 2022064128
(22)【出願日】2022-04-07
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591160707
【氏名又は名称】株式会社東京メニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】福田 恒二
(72)【発明者】
【氏名】福田 耕三
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165689(JP,A)
【文献】特開2014-042497(JP,A)
【文献】特開2020-103107(JP,A)
【文献】特開2011-024742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068171(US,A1)
【文献】特開2019-044476(JP,A)
【文献】実開昭54-005320(JP,U)
【文献】特開2004-305059(JP,A)
【文献】特開2013-000198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00- 3/00
A01K 31/00-31/24
A61D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者動物の収容空間の背面側、上面側、下面側、左面側及び右面側に、金属からなると共に略矩形板状に形成された背面板、上面板、下面板、左面板及び右面板が前記
収容空間を囲むように、かつ、一体的に設けられ、前記収容空間の前面側が開口部とされた筐体と、前記筐体の前記開口部に開閉可能に設けられた扉とを有する獣医科用猫ケージであって、
前記筐体の前記上面板の内側面の前記左面板及び前記右面板の近傍に、かつ、前記左面板及び前記右面板に沿って設けられると共に、内装品を吊り下げ状態で支持するレール部及び係止用孔を備えた左側ビーム部材及び右側ビーム部材とを有する獣医科用猫ケージ。
【請求項2】
垂直に配置されると共に略板状に形成された本体部と、前記本体部の上端部に前記左側ビーム部材と前記右側ビーム部材とに吊り下げるために形成された上端係止部と、前記本体部に垂直方向に対して所定間隔で配列された複数個のスリットとを備えた左側支持板及び右側支持板と、
略板状に形成されると共に中央付近が水平に配置された本体部と、前記本体部の左端部に前記左側支持板の前記スリットに係止するために形成された左側係止部と、前記本体部の右端部に前記右側支持板の前記スリットに係止するために形成された右側係止部と備えた棚板とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の獣医科用猫ケージ。
【請求項3】
前記棚板は、前記本体部の前記左側係止部と前記右側係止部との近傍となる部位をそれぞれ湾曲させた左側板バネ部と右側板バネ部とを備え、
前記左側支持板と前記右側支持板とは、前記棚板の前記左側板バネ部と前記右側板バネ部によって、前記筐体の前記左面板と前記右面板とに向かって常時押圧されていることを特徴とする請求項2に記載の獣医科用猫ケージ。
【請求項4】
透光性を有する材料から形成されると共に略板状に形成されると共に、患者動物が通り抜けるための通行用開口部が形成された本体部と、
一方の端部が前記本体部の左側上端部の近傍となる部位と右側上端部の近傍となる部位とに接続され、他方の端部が前記左側ビーム部材と前記右側ビーム部材との前記係止用孔に係止可能になされた左側係止具と右側係止具とを備えた仕切り板をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の獣医科用猫ケージ。
【請求項5】
前記仕切り板は
、前記本体部と前記筐体の前記下面板、前記左面板及び前記右面板との間に間隙ができるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の獣医科用猫ケージ。
【請求項6】
前記左側ビーム部材は、前記筐体の前記左面板に沿って延び、かつ、帯板状に形成されると共に前記係止用孔が形成された係止用ビーム部と、前記上面板に固定されると共に前記レール部及び前記係止用ビーム部と一体的に形成された固定部とをさらに備え、前記レール
部の上部が前記上面板から垂下し、かつ、下部が前記筐体の前記左面板側に屈曲するように形成され、
前記右側ビーム部材は、前記筐体の前記右面板に沿って延び、かつ、帯板状に形成されると共に前記係止用孔が形成された係止用ビーム部と、前記上面板に固定されると共に前記レール部及び前記係止用ビーム部と一体的に形成された固定部とをさらに備え、前記レール
部の上部が前記上面板から垂下し、かつ、下部が前記筐体の前記右面板側に屈曲するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の獣医科用猫ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物病院等において猫を腫瘍するために使用される獣医科用猫ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
獣医科用ケージ、つまり、患者動物を療養させるための入院ケージは、衛生管理の観点からステンレスなどの金属から形成された筐体と、筐体の手前側の開口部に設けられ、この開口部を閉止可能な扉から構成されている。このような獣医科用ケージは、患者動物が健康時に生活している室内やペット用ケージとは全く異なる構成を保っており、患者動物にとってストレスとなることが課題となっている。
【0003】
図16は、従来技術に係るケージの一例を示す断面図である。
図16において、110はケージ、120は筐体、121は背面板、122は上面板、123は下面板、124は左面板、125は右面板、126は化粧枠、127は吊り下げ棒、130は扉である。
図16は、特開2012-165689公報に開示された獣医科用ケージである。ケージ110において、筐体120は、患者動物を収容し、療養させるための場所であり、金属製の背面板121、上面板122、下面板123、左面板124及び右面板125を一体的に設けることによって構成されている。また、筐体120は、前面側の化粧枠126に囲まれた開口部に扉130が設けられている。扉130は、患者動物の入退室やペットシーツの交換時などに適宜開閉される。吊り下げ棒127は、輸液バッグなどを吊り下げるためにしようされる。なお、
図16においては、図示されていないが、ケージ110は、上下方向及び左右方向に複数個配置して使用されることが多い。
【0004】
以上の構成によれば、汚物の除去などの衛生管理が非常に容易となり、患者動物の療養に好適な環境を提供することができる。吊り下げ棒127には、輸液バッグなどを吊り下げることができるので、別途吊り下げのための器具を用意する必要がない。また、扉130は線状材を格子状に組んだ構成としたので、患者動物の状態を常時観察することが可能であるなど、獣医師などにとって有用なものとなっている。
【0005】
ところで、猫が患者動物である場合には、猫の習性に対応した構成をさらに追加する方が好ましいと言える。すなわち、猫には、床面よりも高い位置にいることを好む習性や、人間などの視線を避けるために物陰に身を潜める習性などがある。したがって、獣医科用猫ケージにおいては、患者動物が快適に療養できるように、このような猫の習性に対応した構成を組み込むことが望ましいと言える。しかし、ケージ110の筐体120の構成だけでは、高所となる棚を設けることは困難であり、棚となるものを筐体120の下面板123の上に配置する必要がある。しかし、下面板123の上にものを置くことは、衛生管理上好ましくない。また、人間などの視線を避けることを可能にするために、吊り下げ棒127にタオルなどを掛けることは可能である。ところが、このタオルが患者動物を観察する際に妨げとなる場合もあり、さらに、患者動物によってはタオルなどを筐体120の内部に引き込むことも考えられ、好ましい解決策とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、患者動物である猫が快適に療養できる構成を組み込むことができ、かつ、従来技術に係るケージと同様の衛生管理が可能な獣医科用猫ケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、患者動物の収容空間の背面側、上面側、下面側、左面側及び右面側に、金属からなると共に略矩形板状に形成された背面板、上面板、下面板、左面板及び右面板が前記収容空間を囲むように、かつ、一体的に設けられ、前記収容空間の前面側が開口部とされた筐体と、前記筐体の前記開口部に開閉可能に設けられた扉とを有する獣医科用猫ケージであって、前記筐体の前記上面板の内側面の前記左面板及び前記右面板の近傍に、かつ、前記左面板及び前記右面板に沿って設けられると共に、内装品を吊り下げ状態で支持するレール部及び係止用孔を備えた左側ビーム部材及び右側ビーム部材とを有する獣医科用猫ケージである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、垂直に配置されると共に略板状に形成された本体部と、前記本体部の上端部に前記左側ビーム部材と前記右側ビーム部材とに吊り下げるために形成された上端係止部と、前記本体部に垂直方向に対して所定間隔で配列された複数個のスリットとを備えた左側支持板及び右側支持板と、略板状に形成されると共に中央付近が水平に配置された本体部と、前記本体部の左端部に前記左側支持板の前記スリットに係止するために形成された左側係止部と、前記本体部の右端部に前記右側支持板の前記スリットに係止するために形成された右側係止部と備えた棚板とをさらに有することを特徴とする獣医科用猫ケージである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記棚板は、前記本体部の前記左側係止部と前記右側係止部との近傍となる部位をそれぞれ湾曲させた左側板バネ部と右側板バネ部とを備え、前記左側支持板と前記右側支持板とは、前記棚板の前記左側板バネ部と前記右側板バネ部によって、前記筐体の前記左面板と前記右面板とに向かって常時押圧されていることを特徴とする獣医科用猫ケージである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、透光性を有する材料から形成されると共に略板状に形成されると共に、患者動物が通り抜けるための通行用開口部が形成された本体部と、一方の端部が前記本体部の左側上端部の近傍となる部位と右側上端部の近傍となる部位とに接続され、他方の端部が前記左側ビーム部材と前記右側ビーム部材との前記係止用孔に係止可能になされた左側係止具と右側係止具とを備えた仕切り板をさらに有することを特徴とする獣医科用猫ケージである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記仕切り板は、前記本体部と前記筐体の前記下面板、前記左面板及び前記右面板との間に間隙ができるように形成されていることを特徴とする獣医科用猫ケージである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記左側ビーム部材は、前記筐体の前記左面板に沿って延び、かつ、帯板状に形成されると共に前記係止用孔が形成された係止用ビーム部と、前記上面板に固定されると共に前記レール部及び前記係止用ビーム部と一体的に形成された固定部とをさらに備え、前記レール部の上部が前記上面板から垂下し、かつ、下部が前記筐体の前記左面板側に屈曲するように形成され、前記右側ビーム部材は、前記筐体の前記右面板に沿って延び、かつ、帯板状に形成されると共に前記係止用孔が形成された係止用ビーム部と、前記上面板に固定されると共に前記レール部及び前記係止用ビーム部と一体的に形成された固定部とをさらに備え、前記レール部の上部が前記上面板から垂下し、かつ、下部が前記筐体の前記右面板側に屈曲するように形成されていることを特徴とする獣医科用猫ケージである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、左側ビーム部材及び右側ビーム部材を設けたことによって、棚板などを支持する部材を吊り下げることができ、患者動物である猫が快適に療養できるような環境を提供することが可能になる。また、下面板の上に部材を配置しないので、衛生管理も容易になる。さらに、左側ビーム部材及び右側ビーム部材に吊り下げたものを取り外すことが容易なので、猫以外の患者動物の療養に使用することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、棚板が左側支持板と右側支持板との間に介在する構成としたので、左側支持板と右側支持板とが左側ビーム部材と右側ビーム部材とを支点として振り子のように揺れることを棚板によって防止できる。ひいては、棚板を揺れ動かないように安定的に設置することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、左側板バネ部と右側板バネ部とが左側支持板と右側支持板とを左面板と右面板とに押し付けるので、左側支持板及び右側支持板をさらに安定的に設置することができ、棚板のぐらつきを防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、左側ビーム部材及び右側ビーム部材に仕切り板を吊り下げることによって、筐体の内部空間を区分することができ、背面側の空間が物陰となり、患者動物が人間などの視線を避けた状態でくつろぐことができる。また、患者動物が通り抜けるための通行用開口部を本体部に形成しているので、患者動物が仕切り板の前面側(手前側)に容易に移動することができ、患者動物の行動を妨げない。さらに、本体部が透光性を有する材料から形成されているので、患者動物の状況をある程度観察することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、本体部と筐体との間に間隙ができるようにしているので、筐体内部の空気の流動が本体部によって妨げられることがない。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、レール部と係止用ビーム部とを併存させているので、棚板を設置した状態において仕切り板も吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体の断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体の断面図であり、(a)はA-A部分拡大断面図、(b)はB-B部分拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの斜視図である。
【
図4】本発明の第4の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの右側ビーム部材を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に仕切り板を設置した状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に仕切り板を設置した状態を示すC-C部分拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に棚板を設置した状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に棚板を設置した状態を示すD-D部分拡大断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に棚板を設置した状態を示すE-E部分拡大断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの左側支持板及び右側支持板を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの左側支持板及び右側支持板の右側面図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板を示し、(a)は正面図、(b)は部分拡大正面図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板の平面図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板の変形例を設置した状態を示す断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板の変形例の拡大正面図である。
【
図16】従来技術に係るケージの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
最初に、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの概要を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体の断面図である。
図1において、20は筐体、21は上面板、22は左面板22は右面板、24は下面板、25は背面板、30は左側ビーム部材、40は右側ビーム部材である。また、
図3は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの斜視図である。
図3において、10は獣医科用猫ケージ、26は化粧枠部材、90は扉、91はハンドル、92は上側貫抜棒、93は下側貫抜棒、94はロック部材、95は上側掛け金、96は下側掛け金、97は上側蝶番、98は下側蝶番であり、その他の符号は
図1に示したものと同じものを示す。
【0022】
本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージ10は、
図3に示すように、外形がほぼ直方体をなすように形成され、患者動物である猫を収容する筐体20と、筐体20の前面側(手前側)の開口部を閉止する扉90とを備えている。さらに、
図1に示すように、筐体20の上面板21の内側面の左面板22と右面板23の近傍となる部位には、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とが設けられている。左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、左面板22と右面板23に沿って、前後方向に延びるように設けられており、後述するように、内装品を吊り下げ状態で支持するものである。後述するように、左側ビーム部材30及び右側ビーム部材40自体は筐体20に固定されているが、左側ビーム部材30及び右側ビーム部材40に吊り下げる内装品は、随時取り付け、又は、取り外し可能であり、獣医科用猫ケージ10を患者動物の特性や状態に応じて機動的に使用することが可能となっている。
【0023】
また、獣医科用猫ケージ10は、単体で使用される場合よりも、複数段又は複数列に配置し、獣医科用ケージの集合体として使用される場合が多い。さらに、通常は、外観を向上するために、筐体20を覆う天板や側板、さらには作業性を向上するための架台又は移動用キャスタなどが付加的に設けられる。なお、筐体20は、
図1及び
図3に示した幅(間口)又は高さに限られるものではなく、収容する患者動物の種類などに応じて適宜変更することが可能である。また、特に図示しないが、通常は、患者動物を収容する際には筐体20の内部に簀の子やマットを敷いて使用している。また、獣医科用猫ケージ10は、筐体20の大きさに適合する患者動物であれば、猫以外の患者動物を収容することも可能である。
【0024】
続けて、この実施の形態に係る獣医科用猫ケージ10の構成について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体の断面図であり、(a)はA-A部分拡大断面図、(b)はB-B部分拡大断面図である。
図2において、33は垂直部、34は固定部、35は係止用ビーム部、41は脱落防止部、42は水平部、43は垂直部、44は固定部、45は係止用ビーム部、46は折り曲げ部、48はレール部であり、その他の符号は
図1に示したものと同じものを示す。
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの右側ビーム部材を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
図4において、31は脱落防止部、32は水平部、36は折り曲げ部、37a、37b、37c、37d、37e、37f及び37gは係止用孔、38はレール部であり、その他の符号は
図1に示したものと同じものを示す。
【0025】
獣医科用猫ケージ10は、前述したように、略直方体の外形を有しており、筐体20と扉90によって周囲から区分された患者動物の収容空間が形成される。すなわち、
図1及び
図3に示すように、患者動物の収容空間は、その上面側、左面側、右面側、下面側及び背面側に、筐体20の上面板21、左面板22、右面板23、下面板24及び背面板25が配置されており、この
収容空間を囲んでいる。さらに、この収容空間の前面側は、患者動物を入退室させるための開口部となっており、患者動物の収容時には開閉可能な扉90がこの開口部を閉止している。したがって、筐体20自体には、患者動物が獣医師等の視線を避けられるための固定的な遮蔽物は設けられていない。
【0026】
筐体20は、鍛造によって上面板21、左面板22、右面板23、下面板24及び背面板25が一体になるように形成されている。また、筐体20は、ステンレス鋼又はアルミニウム合金から形成されている。さらに、上面板21、左面板22、右面板23及び下面板24の前面側端部には、化粧枠部材26を備えている。化粧枠部材26は、化粧枠としての役割を持つものであり、上面板21、左面板22、右面板23及び下面板24の前面側端部に連続するように、つまり、上面板21、左面板22、右面板23及び下面板24と一体に設けられている。なお、筐体20は、高さ、幅(間口)、及び、奥行の比率は、
図1及び
図3に限られるものではない。ただし、後述する方法によって筐体20の収容空間を前後方向に2分割した際に、前後いずれの空間にも患者動物である猫が寛げる大きさとなるような大きさとなることが条件となる。
【0027】
扉90は、格子板とこの格子板を囲む枠から形成され、ハンドル91を握って手前側又は奥側に動かしたときに、上側蝶番97及び下側蝶番98を回転軸として回動するように設けられている。なお、特に図示はしないが、上側蝶番97及び下側蝶番98は、扉90に固定された軸と、筐体20に固定された軸受が分離可能であり、扉90を筐体20から離脱させることが容易にできる。さらに、扉90は、ロック部材94側に突出するように設けられた上側貫抜棒92及び下側貫抜棒93を備えている。なお、扉90は、上側蝶番97及び下側蝶番98の回転軸と、上側貫抜棒92及び下側貫抜棒93とを固定することが可能であれば、透明なアクリル樹脂製の矩形板を利用するなど他の材質のものを使用することも可能である。また、扉の一部のみを開閉可能、つまり、扉の中に扉が設けられたような構成にしてもよい。
【0028】
ロック部材94は、手前に突出するように設けられると共に、筐体20に対して上下方向に摺動可能な状態で取り付けられた上側掛け金95及び下側掛け金96を備えている。上側貫抜棒92及び下側貫抜棒93は、扉90を閉止しているときにはロック部材94の上側掛け金95及び下側掛け金96によって上から押さえつける。さらに、ロック部材94は、患者動物がロックを解除することを防止するために、患者動物が簡単に持ち上げられない程度の重量を持つものとしている。したがって、獣医師などがハンドル91を握ってそのまま手前側に引いても扉90が簡単には開かないように構成されている。扉90を開く場合には、ロック部材94を持ち上げながら扉90を手前に引くことによって簡単に開くことができる。なお、ロック部材94は、前述のように、扉90などと比較した場合、その大きさに対して相対的に重くなるようにしているので、騒音となる振動を発生しやすい。なお、獣医師や動物看護師がロック部材94を持ち上げたときに筐体20の左面板22又は右面板23の表面上を摺動すると、摩擦によって騒音を発生することになる。そこで、特に図示していないが、獣医科用猫ケージ10では、ロック部材94を樹脂板を介して筐体20に取り付けており、摩擦音の低減を図っている。
【0029】
左側ビーム部材30及び右側ビーム部材40は、前述のように、内装品を吊り下げ状態で支持する役割を持ち、筐体20に対して固定されている。すなわち、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、
図2に示すように、上面板21の内側面(下面)の左右の縁辺部近傍に、かつ、左面板22と右面板23とから同じ距離離隔した部位に配置されている。また、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、同じ形状及び大きさを有しているが、手前側から見て鏡面対称となる向きに配置されている。くわえて、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40との前端部は、扉90の近傍となるところに位置し、後端部は、背面板25の近傍となるところに位置している。そして、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、帯状に形成されると共に水平方向に延びる固定部34と固定部44とが溶接によって上面板21に対して固定されている。なお、衛生管理上問題ない構成であれば、ネジ止めなど他の手段によって固着してもよい。
【0030】
左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、前述のように、同じ形状及び大きさのものが手前側から見て鏡面対称となる向きに固定されているので、右側ビーム部材40に基づいて細部の構成について説明する。右側ビーム部材40は、
図4に示すように、固定部34の右面板23側の端部から垂下するように形成された垂直部33、垂直部33の下端部から右面板23側に向かって水平に延びるように形成された水平部32、水平部32の右面板23側の端部から垂直に立ち上がるように形成された脱落防止部31を備えている。垂直部33、水平部32及び脱落防止部31は、全体としてレール部38を構成しており、後述するように、内装品の水平移動及び吊り下げに使用される。また、脱落防止部31は、内装品の水平移動を妨げないように、右面板23と所定の間隙を確保できる位置に形成されている。
【0031】
また、固定部34の左面板22側の端部から垂下するように形成された係止用ビーム部35、係止用ビーム部35の下端部から左面板22側に向かって水平に延びるように形成された折り曲げ部36を備えている。係止用ビーム部35には、係止用孔37a、37b、37c、37d、37e、37f及び37gが形成されている。係止用孔37a、37b、37c、37d、37e、37f及び37gは、内装品の吊り下げに使用されるナスカン等を係止するために形成されたものであり、筐体20の前後方向において、好適な位置に吊り下げられるように所定間隔で多数形成されている。また、レール部38と係止用ビーム部35とが所定幅だけ離隔しているので、レール部38と係止用ビーム部35とに異なる内装品をそれぞれ吊り下げることができる。さらに、右側ビーム部材40は、右面板23側の端部近傍部分となる脱落防止部31から左面板22側の端部近傍部分となる折り曲げ部36までの5箇所において折り曲げられた形状になっているので、比較的に肉薄の母材から形成しても剛性が確保できるという利点がある。なお、左側ビーム部材30についても、脱落防止部41、水平部42及び垂直部43からなるレール部48、並びに、係止用ビーム部45及び折り曲げ部46が同様の作用を奏する。
【0032】
続けて、この実施の形態に係る獣医科用猫ケージに設置される仕切り板について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に仕切り板を設置した状態を示す断面図である。
図5において、50は仕切り板、51は本体部、52は通行用開口部、53及び54は係止具用孔、55は左側係止具、56は右側係止具、57は下側間隙、58は左側間隙、59は右側間隙であり、その他の符号は
図1に示したものと同じものを示す。また、
図6は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に仕切り板を設置した状態を示すC-C部分拡大断面図である。
【0033】
仕切り板50は、患者動物である猫の人間の視線を嫌う習性、つまり、獣医師等の視線に晒されない空間に身を潜めたがるという習性に対応して設置されるものである。仕切り板50は、
図5に示すように、本体部51と、右側係止具56及び左側係止具55とを備えている。本体部51は、筐体20の内部空間を分割して、背面側の空間を獣医師等の視線に晒されない空間とする役割を持つ。すなわち、本体部51は、透光性の比較的高い樹脂から略矩形板状に形成されており、背面側にいる患者動物からは前面側から覗き込んでいる獣医師等の目を認識できないが、獣医師等からは患者動物の姿勢や動きがある程度観察できる状況を実現するものである。また、本体部51は患者動物が通り抜け可能な大きさに形成された通行用開口部52を備えており、患者動物は通行用開口部52を通り抜けて、仕切り板50の前後の空間を自由に往来することができる。なお、本体部51には表裏の区別がない。よって、本体部51を裏返して設置することによって、
図5において右寄りに位置している通行用開口部52を左寄りにすることが簡単に実現できる。
【0034】
また、本体部51は、上側の角の近傍部分に係止具用孔53と係止具用孔54とが形成されている。さらに、係止具用孔53と係止具用孔54とには、右側係止具56と左側係止具55とが接続されている。右側係止具56と左側係止具55とは、
図6において左側ビーム部材30の係止用孔37eに係止されているように、係止用ビーム部35と係止用ビーム部45とのいずれかの孔にそれぞれ係止することによって、筐体20の内部に本体部51を吊り下げることができる。なお、右側係止具56と左側係止具55との名称は便宜的なものであり、本体部51を裏返して設置する場合には左右の位置関係が逆転する。くわえて、右側係止具56と左側係止具55とは、ナスカン(カラビナ)を利用して設けられており、係止用ビーム部35と係止用ビーム部45とから直ちに離脱させることが可能である。したがって、患者動物が退院した際や、猫以外の患者動物を収容する際には、仕切り板50を直ちに撤去することができる。
【0035】
さらに、仕切り板50は、筐体20に設置した状態において、本体部51と上面板21との間隙だけでなく、左面板22、右面板23及び下面板24との間に、左側間隙58、右側間隙59及び下側間隙57が確保されるように形成されている。左側間隙58、右側間隙59及び下側間隙57は、筐体20の内部における空気の流通を確保すると共に、左面板22、右面板23及び下面板24、あるいは、下面板24上に敷いた簀の子等に付着した飼料や、糞尿、体毛、吐瀉物などが本体部51に付着し、衛生状態を悪化させることを防ぐために設定された間隙である。なお、仕切り板50の通行用開口部52の形状や配置は、
図5に示したものに限られるものではなく、例えば、本体部51に対してU字状の切れ込みを入れたものであってもよい。さらに、筐体20の間口が広く、本体部51も横長になる場合などは、通行用開口部52に相当するものを2つ形成してもよい。
【0036】
さらに、この実施の形態に係る獣医科用猫ケージに設置される棚板について説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に棚板を設置した状態を示す断面図である。
図7において、60は棚板、61は本体部、70は左側支持板70は右側支持板であり、その他の符号は
図1に示したものと同じものを示す。また、
図8は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に棚板を設置した状態を示すD-D部分拡大断面図である。
図8において、66は右側板バネ部、68は右側垂直部であり、その他の符号は
図1に示したものと同じものを示す。さらに、
図9は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの筐体に棚板を設置した状態を示すE-E部分拡大断面図である。
図9において、72は折り曲げ枠、76は上端係止部であり、その他の符号は
図2と同じものを示す。くわえて、
図10は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの左側支持板及び右側支持板を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
図10において、71は本体部、75a、75b、75c、75d及び75eはスリット、81は本体部、82は折り曲げ枠、85a、85b、85c、85d及び85eはスリット、86は上端係止部であり、その他の符号は
図9と同じものを示す。また、
図11は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの左側支持板及び右側支持板の右側面図である。
図11において、73は折り曲げ枠、74は折り曲げ部、83は折り曲げ枠、84は折り曲げ部であり、その他の符号は
図9及び
図10と同じものを示す。さらに、
図12は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板を示し、(a)は正面図、(b)は部分拡大正面図である。
図12において、62は左側板バネ部、63は左側垂直部、64aは前面側保持部、65は左側係止部、66は右側板バネ部、67は右側垂直部、68aは前面側保持部、69は右側係止部であり、その他の符号は
図8と同じものを示す。また、
図13は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板の平面図である。
図13において、64bは背面側保持部、68bは背面側保持部であり、その他の符号は
図8及び
図12と同じものを示す。
【0037】
棚板60は、床面よりも高い位置にいることを好む猫の習性に対応して設けられるものである。すなわち、棚板60は、
図7及び
図12に示すように、患者動物が筐体20の下面板24よりも高い位置で寛ぐ場所となる本体部61、本体部61を下面板24から所定の高さで保持する右側垂直部67、前面側保持部64a、背面側保持部64b及び右側垂直部67、並びに、左側垂直部63、前面側保持部68a、背面側保持部68b及び左側係止部65、さらに、右側垂直部67を右側支持板80側に押圧する右側板バネ部66、左側垂直部63を右側支持板80側に押圧する左側板バネ部62を備えている。また、後述するように、棚板60は、仕切り板50と併設しておくことが可能であるので、患者動物が仕切り板50によって獣医師等の視線に晒されない状態において、本体部61の上で寛ぐことが可能となっている。
【0038】
棚板60の本体部61は、
図13に示すように、患者動物を乗せるための部位であり、略矩形板状に形成されている。また、棚板60は、本体部61の剛性を高めるために、本体部61の前端部と後端部とから垂下するように形成された前面側垂直部61aと背面側垂直部61bを備えている。くわえて、棚板60は、
図13に示すように、右側垂直部67の上端部から右側支持板80側に向かって斜行するように延びると共に、後述するように、右側支持板80に係止される右側垂直部67によって右側垂直部67が所定の高さに保持される。同時に、右側垂直部67の前端部と後端部とから右側支持板80側に延びる前面側保持部64aと背面側保持部64bとによって、本体部61が前後にがたつかないように右側支持板80を保持している。くわえて、棚板60は、本体部61と右側垂直部67との間に介在するように形成された右側板バネ部66によって、右側垂直部67が右側支持板80に対して押し付けられているので、筐体20の大きさに多少のバラツキがあったとしても、右側板バネ部66と右側支持板80との間に隙間を生じることなく、右側板バネ部66が右側支持板80によって安定的に保持される。
【0039】
さらに、棚板60は、左側垂直部63の上端部から左側支持板70側に向かって斜行するように延びると共に、後述するように、左側支持板70に係止される左側係止部65によって左側垂直部63が所定の高さに保持される。同時に、左側垂直部63の前端部と後端部とから左側支持板70側に延びる前面側保持部64aと背面側保持部64bとによって、本体部61が前後にがたつかないように左側支持板70を保持している。くわえて、棚板60は、本体部61と左側垂直部63との間に介在するように形成された左側板バネ部62によって、左側垂直部63が左側支持板70に対して押し付けられているので、筐体20の大きさに多少のバラツキがあったとしても、左側板バネ部62と左側支持板70との間に隙間を生じることなく、左側板バネ部62が左側支持板70によって安定的に保持される。なお、棚板60は、鏡面対象となる形状及び大きさに形成されており、左右を反転して設置することも可能である。よって、右側垂直部67や左側垂直部63などの名称は便宜的なものである。
【0040】
右側支持板80と左側支持板70とは、同じ形状及び大きさに形成されており、左右いずれ側にも設置することが可能である。したがって、
図10及び
図11は、右側支持板80と左側支持板70とに共通するものとなる。そこで、以下では、右側支持板80に関してのみ説明し、左側支持板70に関する説明は省略する。右側支持板80は、患者動物の状況等に応じて棚板60を様々な高さで保持できるように構成されている。すなわち、右側支持板80は、略矩形板状に形成されており、さらに、筐体20の右面板23に突き当たる領域と、右側支持板80自体の剛性を確保するために、折り曲げ加工によって前後の端部の近傍部分を折り曲げ枠72及び73とし、下端部の近傍部分を折り曲げ部74としている。また、右側支持板80は、棚板60を多様な高さで保持できるように、棚板60の右側係止部スリット75a、75b、75c、75d及び75eが上下方向に所定間隔で掲載されている。また、右側支持板80の上端部には、上端係止部76が形成されている。上端係止部76は、左側ビーム部材30のレール部38に係止できるようにするために、
図8及び
図9に示すように、左側に2箇所折り曲げ加工することによって形成されている。なお、左側ビーム部材30の前端部は扉90の近傍に位置している。そこで、左側支持板70の上端係止部76を左側ビーム部材30の前端部側からレール部38に挿入し、さらに、左側支持板70を背面板25に移動させることによって、左側ビーム部材30を所望の位置に設置することが可能である。
【0041】
続けて、この実施の形態に係る獣医科用猫ケージ棚板の変形例について説明する。
図14は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板の変形例を設置した状態を示す断面図である。
図14において、100は棚板、101aは左側棚板部、101bは右側棚板部であり、その他の符号は
図7に示したものと同じものを示す。さらに、
図15は、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージの棚板の変形例の拡大正面図である。
図15において、101cは固定ネジ、102は左側板バネ部、103は左側垂直部、104aは前面側保持部、104bは背面側保持部、105は左側係止部、106は右側板バネ部、107は右側垂直部、108aは前面側保持部、108bは背面側保持部、109は右側係止部であり、その他の符号は
図7及び
図14に示したものと同じものを示す。
【0042】
図14及び
図15に示した棚板100は、様々な大きさを持つ獣医科用猫ケージに対して設置可能にしたものである。すなわち、棚板100は、棚板60の本体部61に相当する部分が矩形筒状に形成されている。そして、左側棚板部101aの右側支持板80側の部分が右側棚板部101bの内部に挿入された状態で設けられる。また、右側棚板部101bの左側支持板70寄りの下面側には、
図15に示すように、固定ネジ101cが設けられており、固定ネジ101cを締め付けることによって左側棚板部101a及び右側棚板部101bを所定幅となるように伸縮調整した上で固定することが可能である。なお、棚板100の左側板バネ部102、左側垂直部103、前面側保持部104a、背面側保持部104b、左側係止部105、右側板バネ部106、右側垂直部107、前面側保持部108a、背面側保持部108b及び右側係止部109は、棚板60の左側板バネ部62、左側垂直部63、前面側保持部64a、背面側保持部64b、左側係止部65、右側板バネ部66、右側垂直部67、前面側保持部68a、背面側保持部68b及び右側係止部69とそれぞれほぼ同じ形状であり、同じ作用を奏するので、説明を省略する。
【0043】
以上のように、本発明の実施の形態に係る獣医科用猫ケージ10によれば、左側ビーム部材30及び右側ビーム部材40を設けたことによって、仕切り板50、並びに、棚板60を支持する左側支持板70及び右側支持板80を吊り下げることができ、患者動物である猫が快適に療養できるような環境を提供することが可能になる。また、下面板24の上に仕切り板50及び棚板60を配置しないので、衛生管理も容易になる。さらに、仕切り板50、棚板60、左側支持板70及び右側支持板80は、容易に取り外すことができるので、獣医科用猫ケージ10猫以外の患者動物の療養に使用することができる。また、棚板60が左側支持板70と右側支持板80との間に介在する構成としたので、左側支持板70と右側支持板80とが左側ビーム部材と右側ビーム部材とを支点として振り子のように揺れることを棚板60によって防止できる。ひいては、棚板60を揺れ動かないように安定的に設置することができる。また、棚板60の左側板バネ部62と右側板バネ部66とが左側支持板70と右側支持板80とを左面板22と右面板23とに押し付けるので、左側支持板70及び右側支持板80をさらに安定的に設置することができ、棚板60のぐらつきを防止することができる。さらに、左側ビーム部材30及び右側ビーム部材40に仕切り板50を吊り下げることによって、筐体20の内部空間を区分することができ、背面板25側の空間が獣医師等の視線が直接的に目視できない物陰となり、患者動物が人間の視線を避けた状態でくつろぐことができる。
【0044】
また、仕切り板50は、本体部51に患者動物が通り抜けるための通行用開口部52を形成しているので、患者動物が仕切り板50の前面側(手前側)に容易に移動することができ、患者動物の行動を妨げない。さらに、本体部51が透光性を有する材料から形成されているので、獣医師等が患者動物の姿勢や動きをある程度観察することができる。くわえて、仕切り板50の本体部51と筐体20との間に間隙ができるようにしているので、筐体20の内部の空気の流動が本体部51によって妨げられることがない。くわえて、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、レール部48とレール部38、及び、係止用ビーム部45と係止用ビーム部35とを併存させているので、棚板60を設置した状態において仕切り板50も吊り下げることができる。また、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、従来技術に係る獣医科用ケージに付加することが可能であり、従来技術に係る獣医科用ケージを猫用に好適なものに改装することも可能である。さらに、棚板100は、様々な大きさを持つ獣医科用猫ケージに対して対応可能であり、大きさの異なるケージ毎に棚板を製造する必要がない。
【0045】
なお、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とは、以上に述べた内装品以外のもの、例えば、市販の猫用ハンモックを吊り下げることによってさらに寛げるようにするなど、患者動物が健康であるときの生活環境にさらに近づけることが可能である。また、左側ビーム部材30と右側ビーム部材40とのいずれかの側に温度センサや小型カメラなどを設置することによって、患者動物の健康状態の管理をさらに向上させることもできる。また、温度センサや小型カメラなどを患者動物に引きずり下ろされたり、噛まれたりしないように、患者動物に対して隠れる位置に設置することも可能となる。
【0046】
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態の説明内容に限定されるものではなく、請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 獣医科用猫ケージ
20 筐体
21 上面板
22 左面板
23 右面板
24 下面板
25 背面板
26 化粧枠部材
30 左側ビーム部材
31 脱落防止部
32 水平部
33 垂直部
34 固定部
35 係止用ビーム部
36 折り曲げ部
37a 係止用孔
37b 係止用孔
37c 係止用孔
37d 係止用孔
37e 係止用孔
37f 係止用孔
37g 係止用孔
38 レール部
40 右側ビーム部材
41 脱落防止部
42 水平部
43 垂直部
44 固定部
45 係止用ビーム部
46 折り曲げ部
48 レール部
50 仕切り板
51 本体部
52 通行用開口部
53 係止具用孔
54 係止具用孔
55 左側係止具
56 右側係止具
57 下側間隙
58 左側間隙
59 右側間隙
60 棚板
61 本体部
61a 前面側垂直部
61b 背面側垂直部
62 左側板バネ部
63 左側垂直部
64a 前面側保持部
64b 背面側保持部
65 左側係止部
66 右側板バネ部
67 右側垂直部
68a 前面側保持部
68b 背面側保持部
69 右側係止部
70 左側支持板
71 本体部
72 折り曲げ枠
73 折り曲げ枠
74 折り曲げ部
75a スリット
75b スリット
75c スリット
75d スリット
75e スリット
76 上端係止部
80 右側支持板
81 本体部
82 折り曲げ枠
83 折り曲げ枠
84 折り曲げ部
85a スリット
85b スリット
85c スリット
85d スリット
85e スリット
86 上端係止部
90 扉
91 ハンドル
92 上側貫抜棒
93 下側貫抜棒
94 ロック部材
95 上側掛け金
96 下側掛け金
97 上側蝶番
98 下側蝶番
100 棚板
101a 左側棚板部
101b 右側棚板部
101c 固定ネジ
102 左側板バネ部
103 左側垂直部
104a 前面側保持部
104b 背面側保持部
105 左側係止部
106 右側板バネ部
107 右側垂直部
108a 前面側保持部
108b 背面側保持部
109 右側係止部
110 ケージ
120 筐体
121 背面板
122 上面板
123 下面板
124 左面板
125 右面板
126 化粧枠
127 吊り下げ棒
130 扉