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特許7549382ロータリー駆動部とロータリー型ヒートポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】ロータリー駆動部とロータリー型ヒートポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/22 20060101AFI20240904BHJP
   F04C 29/04 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
F04C18/22 Z
F04C29/04 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022209414
(22)【出願日】2022-12-27
(65)【公開番号】P2024093199
(43)【公開日】2024-07-09
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000157485
【氏名又は名称】丸子警報器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 史夫
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特許第7007776(JP,B1)
【文献】米国特許第05410998(US,A)
【文献】実開昭59-146501(JP,U)
【文献】特開2009-068811(JP,A)
【文献】特開平07-280370(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102865692(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0067906(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0089062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/22
F04C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸、前記回転軸が挿通するステーショナリギヤ、前記ステーショナリギヤの外径寸法よりも大径寸法に形成され前記ステーショナリギヤに噛合するロータギヤを有し前記回転軸の回転に伴って偏心回転するロータ、前記ロータの偏心回転により規定されるペリトロコイド曲線に沿って前記ロータの径外方向領域を区画可能に形成されたロータリーハウジング、前記回転軸を挿通させる挿通孔を有し前記ロータリーハウジングの一端側を被覆する第1サイドハウジング、および、前記ロータリーハウジングの他端側を被覆する第2サイドハウジングを有するロータリー駆動部であって、
前記ロータリーハウジングの内壁面には、少なくとも一つの圧縮領域を含み、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最前方位置の前記圧縮領域の前方側に隣接する最前方膨張領域と、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最後方位置の前記圧縮領域の後方側に隣接する最後方膨張領域との間で連続する凹溝が形成されていて、
前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝により連通された前記最前方位置から前記最後方膨張領域の範囲には第1熱交換器取付板が取り付けられ、
前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝が形成されていない前記圧縮領域に対応する範囲には第2熱交換器取付板が取り付けられていて、
前記第1熱交換器取付板と前記第2熱交換器取付板の奥行方向寸法は、前記ロータリー駆動部の奥行寸法よりも長いことを特徴とするロータリー駆動部。
【請求項2】
前記第1熱交換器取付板および前記第2熱交換器取付板には、熱交換器が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のロータリー駆動部。
【請求項3】
回転軸、前記回転軸が挿通するステーショナリギヤ、前記ステーショナリギヤの外径寸法よりも大径寸法に形成され前記ステーショナリギヤに噛合するロータギヤを有し前記回転軸の回転に伴って偏心回転するロータ、前記ロータの偏心回転により規定されるペリトロコイド曲線に沿って前記ロータの径外方向領域を区画可能に形成されたロータリーハウジング、前記回転軸を挿通させる挿通孔を有し前記ロータリーハウジングの一端側を被覆する第1サイドハウジング、および、前記ロータリーハウジングの他端側を被覆する第2サイドハウジングを有し、前記ロータリーハウジングの内壁面には、少なくとも一つの圧縮領域を含み、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最前方位置の前記圧縮領域の前方側に隣接する最前方膨張領域と、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最後方位置の前記圧縮領域の後方側に隣接する最後方膨張領域との間で連続する凹溝が形成されたロータリー駆動部と、
前記回転軸に出力軸が連結されたモータと、を具備し、
前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝により連通された前記最前方位置から前記最後方膨張領域の範囲には第1熱交換器取付板が取り付けられ、
前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝が形成されていない前記圧縮領域に対応する範囲には第2熱交換器取付板が取り付けられていて、
前記第1熱交換器取付板と前記第2熱交換器取付板の奥行方向寸法は、前記ロータリー駆動部の奥行寸法よりも長いことを特徴とするロータリー型ヒートポンプ。
【請求項4】
前記第1熱交換器取付板および前記第2熱交換器取付板には、熱交換器が取り付けられていることを特徴とする請求項3記載のロータリー型ヒートポンプ。
【請求項5】
記熱交換器の冷媒流入口および冷媒排出口を外部空間に露出させた状態で前記ロータリー駆動部、前記モータおよび前記熱交換器が筐体に収容されていると共に、前記筐体の内部には所定圧力の気体が充填されていることを特徴とする請求項4記載のロータリー型ヒートポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータリー駆動部とロータリー型ヒートポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリー駆動部を有するロータリー型ヒートポンプの一例としては、出願人による特許文献1(特許第7007776号公報)に開示されているような構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7007776号公報(請求項1,明細書段落0029-0031,図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているロータリー型ヒートポンプは、2つの圧縮領域を連通させるバイパス経路がロータリー駆動部の径外方向に大きくはみ出してしまうため、ロータリー駆動部やロータリー型ヒートポンプの小型化が困難になるといった課題がある。また、バイパス経路により、2つの膨張領域に挟まれている圧縮領域には冷媒が流入しないように形成されているが、全ての冷媒をバイパス経路に流入させることができず、一部の冷媒が圧縮領域に流入、冷却効率が低下するといった課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、ロータリー駆動部の外部へのバイパス経路のはみ出しを可及的に少なくすると共に、意図しない圧縮領域への冷媒の流入が防止可能なロータリー駆動部とロータリー型ヒートポンプの提供を目的としている。
【0006】
すなわち本発明は、回転軸、前記回転軸が挿通するステーショナリギヤ、前記ステーショナリギヤの外径寸法よりも大径寸法に形成され前記ステーショナリギヤに噛合するロータギヤを有し前記回転軸の回転に伴って偏心回転するロータ、前記ロータの偏心回転により規定されるペリトロコイド曲線に沿って前記ロータの径外方向領域を区画可能に形成されたロータリーハウジング、前記回転軸を挿通させる挿通孔を有し前記ロータリーハウジングの一端側を被覆する第1サイドハウジング、および、前記ロータリーハウジングの他端側を被覆する第2サイドハウジングを有するロータリー駆動部であって、前記ロータリーハウジングの内壁面には、少なくとも一つの圧縮領域を含み、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最前方位置の前記圧縮領域の前方側に隣接する最前方膨張領域と、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最後方位置の前記圧縮領域の後方側に隣接する最後方膨張領域との間で連続する凹溝が形成されていて、前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝により連通された前記最前方位置から前記最後方膨張領域の範囲には第1熱交換器取付板が取り付けられ、前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝が形成されていない前記圧縮領域に対応する範囲には第2熱交換器取付板が取り付けられていて、前記第1熱交換器取付板と前記第2熱交換器取付板の奥行方向寸法は、前記ロータリー駆動部の奥行寸法よりも長いことを特徴とするロータリー駆動部である。
【0007】
このように、ロータリーハウジングの内壁面に沿って形成した凹溝によりロータの回転方向における最前方膨張領域と最後方膨張領域との間で連通させたことで、凹溝が形成された範囲を1つの膨張領域にすることができる。これにより、ロータリー駆動部の径外方向へのはみ出し量が大幅に抑制されて小型化が可能になる。また、意図しない圧縮領域への冷媒の流入を確実に防止することができる。
【0008】
また、前記第1熱交換器取付板および前記第2熱交換器取付板には、熱交換器が取り付けられていることが好ましい。
【0009】
これにより、熱交換の効率が高まる。
【0010】
また、回転軸、前記回転軸が挿通するステーショナリギヤ、前記ステーショナリギヤの外径寸法よりも大径寸法に形成され前記ステーショナリギヤに噛合するロータギヤを有し前記回転軸の回転に伴って偏心回転するロータ、前記ロータの偏心回転により規定されるペリトロコイド曲線に沿って前記ロータの径外方向領域を区画可能に形成されたロータリーハウジング、前記回転軸を挿通させる挿通孔を有し前記ロータリーハウジングの一端側を被覆する第1サイドハウジング、および、前記ロータリーハウジングの他端側を被覆する第2サイドハウジングを有し、前記ロータリーハウジングの内壁面には、少なくとも一つの圧縮領域を含み、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最前方位置の前記圧縮領域の前方側に隣接する最前方膨張領域と、前記圧縮領域において前記ロータの回転方向における最後方位置の前記圧縮領域の後方側に隣接する最後方膨張領域との間で連続する凹溝が形成されたロータリー駆動部と、前記回転軸に出力軸が連結されたモータと、を具備し、前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝により連通された前記最前方位置から前記最後方膨張領域の範囲には第1熱交換器取付板が取り付けられ、前記ロータリーハウジングの外壁面のうち、前記凹溝が形成されていない前記圧縮領域に対応する範囲には第2熱交換器取付板が取り付けられていて、前記第1熱交換器取付板と前記第2熱交換器取付板の奥行方向寸法は、前記ロータリー駆動部の奥行寸法よりも長いことを特徴とするロータリー型ヒートポンプの発明もある。
【0011】
このように、ロータリーハウジングの内壁面に沿って形成した凹溝によりロータの回転方向における最前方膨張領域と最後方膨張領域との間で連通させたことで、凹溝が形成された範囲を1つの膨張領域にすることができる。これにより、ロータリー型ヒートポンプの径外方向へのはみ出し量が大幅に抑制されて小型化が可能になる。また、意図しない圧縮領域への冷媒の流入を確実に防止することができる。
【0012】
また、前記第1熱交換器取付板および前記第2熱交換器取付板には、熱交換器が取り付けられていることが好ましい。
【0013】
さらには、前記熱交換器の冷媒流入口および冷媒排出口を外部空間に露出させた状態で前記ロータリー駆動部、前記モータおよび前記熱交換器が筐体に収容されていると共に、前記筐体の内部には所定圧力の気体が充填されていることがさらに好ましい。
【0014】
これらにより、ロータリー型ヒートポンプにおける熱交換の効率が高まる。
【発明の効果】
【0015】
本発明におけるロータリー駆動部とロータリー型ヒートポンプの構成によれば、ロータリーハウジングの内壁面に沿って形成した凹溝によりロータの回転方向における最前方膨張領域と最後方膨張領域との間で連通させたことで、凹溝が形成された範囲を1つの膨張領域にすることができる。これにより、ロータリー型ヒートポンプの径外方向へのはみ出し量が大幅に抑制されて小型化が可能になる。また、意図しない圧縮領域への冷媒の流入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態におけるロータリー型ヒートポンプの組立斜視図である。
図2図2は、ロータリー駆動部と熱交換器を分離させた状態を示すロータリー型ヒートポンプの組立斜視図である。
図3図3は、ロータリー駆動部の内部構造を示す正面図である。
図4図4は、図2中のロータリー駆動部における組立斜視図である。
図5図5は、ロータリーハウジングの下方斜視図である。
図6図6は、本実施形態における組立後のロータリー型ヒートポンプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかるロータリー駆動部10とこれを有するロータリー型ヒートポンプ100について説明を行う。図1図2に示すように、本実施形態におけるロータリー型ヒートポンプ100は、ロータリー駆動部10、熱交換器20、モータ30およびこれらを収容する筐体40を具備している。
【0018】
本実施形態におけるロータリー駆動部10は、図1図4に示すように、回転軸11、ステーショナリギヤ12、ロータ13、ロータギヤ14、ロータリーハウジング15、第1サイドハウジング16、第2サイドハウジング17、第1熱交換器取付板18および第2熱交換器取付板19を有している。回転軸11は、ロータリーハウジング15の一端側開口面を被覆する第1サイドハウジング16の挿通孔16Aに挿通され、ロータリーハウジング15の他端側開口面を被覆する第2サイドハウジング17の挿通孔17Aに挿通されている。回転軸11は挿通孔16Aと挿通孔17Aの位置においてシールされた状態になっており、ロータリーハウジング15の内部と外部とが遮断されている。
【0019】
回転軸11は、第1サイドハウジング16の挿通孔16Aにねじ止め等によって取り付けられたステーショナリギヤ12の中心孔(挿通孔16A)と同一軸となるように挿通されている。また、ロータリーハウジング15の内部にはステーショナリギヤ12の外径寸法よりも大径寸法に形成されたロータギヤ14が組み付けられたロータ13が収容されている。ステーショナリギヤ12は、ロータギヤ14の周方向の所要範囲と常時噛合している。ロータギヤ14には回転軸11が嵌め込まれており、回転軸11はロータ13と一体化されている。なお詳細な図示はないが、回転軸11の先端部11Aとモータ30の出力軸32はギヤまたはピン等を介して連結されており、モータ30の出力が回転軸11に伝達可能になっている。
【0020】
回転軸11をモータ30によって回転させることにより、回転軸11が嵌め込まれたロータギヤ14は、ステーショナリギヤ12との噛合範囲を移動させながらペリトロコイド曲線で形成された(ロータ13の径外方向領域を区画可能に形成された)ロータリーハウジング15の内周面に沿って偏心回転する。また、ロータリーハウジング15の内部には、ロータリーエンジンと同様に、ロータ13の外周面、ロータリーハウジング15の内壁面、第1サイドハウジング16、第2サイドハウジング17により囲まれた領域である閉塞空間が形成されている。閉塞空間のそれぞれには、冷媒の一例としてヘリウムガスが充填されている。なお、冷媒はヘリウムガスに限定されるものではなく、公知の冷媒を用いることができる。
【0021】
ロータリーハウジング15の内部でロータ13が回転すると、閉塞空間の体積は、ロータリーハウジング15の周方向における所定位置で縮小(圧縮領域)と拡大(膨張領域)を交互に繰り返す。ロータリー駆動部10のロータ13の回転方向の所定位置には、閉塞空間の体積が最小になり高温領域となる圧縮領域HA1,HA2が形成されると共に、閉塞空間の体積が最大になり低温領域となる膨張領域LA1,LA2が形成される。以上により本実施形態におけるロータリー駆動部10は、上述した閉塞空間に充填された冷媒によりヒートポンプとして機能する。
【0022】
図4図5に示すように、ロータリーハウジング15の内壁面には、上側の圧縮領域HA1に対しロータ13の回転方向における前方および後方に隣接する膨張領域LA1(最前方膨張領域に該当)と膨張領域LA2(最後方膨張領域に該当)との間で連続する凹溝15Aが形成されている。このロータリーハウジング15の周方向に連続する凹溝15Aがバイパス経路となって、圧縮領域HA1、膨張領域LA1および膨張領域LA2がそれぞれ連通し、ロータリーハウジング15の内部には一つの膨張領域LAと一つの圧縮領域HA2が形成される。凹溝15Aは、ロータリーハウジング15の内壁面に常に対向しているため、凹溝15Aへのロータリー駆動部10の潤滑油の滞留を防止することができる。
【0023】
本実施形態におけるロータリーハウジング15の外壁面は、凹溝15Aの形成範囲が外方にわずかに突出する外方突出部15Bを有しているが、この形態に限定されるものではない。ロータリーハウジング15の壁面厚さが十分確保されている場合や、凹溝15Aを浅く形成することができる場合には、凹溝15Aの形成範囲であってもロータリーハウジング15の外方突出部15Bをなくすことができる。
【0024】
本実施形態におけるロータリー駆動部10における膨張領域LAの周方向範囲は、圧縮領域HA2の周方向範囲に対して2倍以上の範囲にすることができると共に、膨張領域LAと圧縮領域HA2をロータリー駆動部10の周方向に明確に分割配置することができる。また、ロータリーハウジング15の外壁面における膨張領域LAに対応する周方向範囲に第1熱交換器取付板18が取り付けられていてもよい。さらに、ロータリーハウジング15の外壁面における圧縮領域HA2に対応する周方向範囲に第2熱交換器取付板19が取り付けられていてもよい。第1熱交換器取付板18と第2熱交換器取付板19の奥行方向寸法(回転軸11の軸長方向)は、ロータリー駆動部10の奥行方向よりも長くなっていることが好ましい。第1熱交換器取付板18と第2熱交換器取付板19はいずれも放熱板として機能するため、熱伝導率が高い材料により形成されている。
【0025】
第1熱交換器取付板18の外表面には、熱交換器20の一部を構成する第1熱交換器22が取り付けられている。第1熱交換器22としては、流路と貫通孔が形成された複数枚のプレート22Aを板厚方向に積層させ、積層方向の両端部のプレート22Aに第1冷媒流入口22Bおよび第1冷媒排出口22Cが配設されたブレージングプレート式熱交換器を例示することができる。また、第2熱交換器取付板19の外表面には、第1熱交換器22と共に熱交換器20の一部を構成する第2熱交換器24が取り付けられている。第2熱交換器24も第1熱交換器22と同様にプレート24A、第2冷媒流入口24Bおよび第2冷媒排出口24Cを有するブレージングプレート式熱交換器を採用することができる。
【0026】
このように熱交換器20が取り付けられたロータリー駆動部10は、モータ30と共に筐体40の内部に収容される。このとき、図6に示すように、第1冷媒流入口22B、第1冷媒排出口22C、第2冷媒流入口24Bおよび第2冷媒排出口24Cは、筐体40の外部空間に露出させた状態になっている。筐体40は、本体部42と蓋部44とを有し、第1冷媒流入口22B、第1冷媒排出口22C、第2冷媒流入口24Bおよび第2冷媒排出口24Cと本体部42と、本体部42と蓋部44とが溶接等によって気密状態で一体化されている。また、筐体40の内部には所定圧力(30気圧~100気圧程度であることが好ましい)のヘリウムガス(冷媒)が充填されている。
【0027】
なお、図示はしないが、第1熱交換器22の第1冷媒排出口22Cには第1冷媒供給路の第1端部が連結され、第1冷媒供給路の経路上に冷却対象物と第1ポンプが配設されている。また、第1冷媒供給路の第2端部は第1冷媒流入口22Bに連結されている。このように第1熱交換器22には第1冷媒供給路により循環経路が形成されている。これによりロータリー型ヒートポンプ100によって冷却された冷媒により冷却対象物を冷却することができる。第1ポンプは図示しない動作制御部により動作制御されている。
【0028】
同様に図示はしないが、第2熱交換器24の第2冷媒排出口24Cには第2冷媒供給路の第1端部が連結され、第2冷媒供給路の経路上にラジエータに代表される放熱器と第2ポンプが配設されている。また、第2冷媒供給路の第2端部は第2冷媒流入口24Bに連結されている。このように第2熱交換器24には第2冷媒供給路により循環経路が形成されている。これによりロータリー型ヒートポンプ100によって加熱された冷媒を外部空気により冷却することができる。第2ポンプは図示しない動作制御部により動作制御されている。
【0029】
本実施形態におけるロータリーハウジング15によれば、複数の膨張領域とその間の圧縮領域をロータリーハウジング15の内壁面に形成した凹溝15Aで1つの膨張領域にすることができる。したがって、バイパス経路によるロータリー駆動部10(ロータリーハウジング15)の外部へのはみ出し量を可及的に少なくすることができる。すなわち、意図しない圧縮領域に冷媒が流入することによる熱交換効率の低下を可及的に防ぐことができ、小型で熱交換効率の高いヒートポンプを提供することができる。
【0031】
また、以上の実施形態におけるロータリー型ヒートポンプ100は、筐体40の内部にロータリー駆動部10、熱交換器20およびモータ30を収容した形態を例示しているがこの形態に限定されるものではない。筐体40の内部にロータリー駆動部10と熱交換器20を収容し、モータ30を筐体40の外部に配設し、モータ30の出力軸32を筐体40の外部から内部に貫通させて回転軸11と連結させた形態を採用することができる。また、出力軸32と回転軸11とがマグネットカップリングにより連結されている形態を採用することもできる。さらには、ロータリー型ヒートポンプ100が筐体40の内部に収容されていない形態を採用することもできる。
【0032】
そして3つ以上の膨張領域が形成されるロータリーハウジング15を採用した場合は、3つ以上の膨張領域とこれらの間にある2つ以上の圧縮領域を含む周方向範囲において、ロータ13の回転方向における最前方位置の圧縮領域に前方側で隣接する最前方膨張領域と、ロータ13の回転方向における最後方位置の圧縮領域に後方側で隣接する最後方膨張領域との間で周方向に連続する凹溝15Aで連通させた形態を採用することができる。いずれの場合においても、ロータリーハウジング15の内部において冷媒が実際に圧縮される圧縮空間は1つのみにすることが好ましい。
【0033】
また、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【0034】
10:ロータリー駆動部
11:回転軸,11A:先端部,12:ステーショナリギヤ,13:ロータ,
14:ロータギヤ,15:ロータリーハウジング,15A:凹溝,15B:外方突出部,
16:第1サイドハウジング,16A:挿通孔,17:第2サイドハウジング,
17A:挿通孔,18:第1熱交換器取付板,19:第2熱交換器取付板
20:熱交換器
22:第1熱交換器,22A:プレート,22B:第1冷媒流入口,
22C:第1冷媒排出口,24:第2熱交換器,24A:プレート,
24B:第2冷媒流入口,24C:第2冷媒排出口
30:モータ
32:出力軸
40:筐体
42:本体部,44:蓋部
100:ロータリー型ヒートポンプ
HA1:圧縮領域
HA2:圧縮領域
LA:膨張領域
LA1:膨張領域
LA2:膨張領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6