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特許7549399縫合用の器具および縫合用の位置決め器具ならびにシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】縫合用の器具および縫合用の位置決め器具ならびにシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/062 20060101AFI20240904BHJP
   A61B 17/06 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A61B17/062
A61B17/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023142904
(22)【出願日】2023-09-04
【審査請求日】2024-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523336712
【氏名又は名称】株式会社テイクウイング
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】大熊 一成
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0096077(US,A1)
【文献】国際公開第2018/037953(WO,A1)
【文献】特表2011-520484(JP,A)
【文献】国際公開第2015/179465(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209751131(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/06-17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半筒状あるいはへら形状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の長さ方向に対する交差方向に開口する開口部3を設け、回収部材1の内面には嵌合溝6Aを設け、嵌合溝6Aに回収部材1の基部側から軸棒形状の挿入体8を嵌合挿入する構成とした縫合用の器具。
【請求項2】
請求項1において、回収部材1の先端は先端壁9を設け、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を設けた縫合用の器具。
【請求項3】
請求項1において、回収部材1の先端壁9は、回収部材1の基部側から嵌合溝6Aに挿入した挿入体8の先端部10が当接する当接部11に形成した縫合用の器具。
【請求項4】
請求項1において、回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5および/またはニードル16を挿通する大きさを有して形成した縫合用の器具。
【請求項5】
中空筒状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の軸心方向に対する交差方向に開口する開口部3を設け、回収部材1の先端は先端壁9で閉塞し、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に相対峙するように設けた縫合用の器具。
【請求項6】
請求項5において、回収部材1の開口部3より基部側部分は、挿入体8を挿入する挿入部15とし、挿入部15の内径は挿入体8の外径より大径に形成した縫合用の器具。
【請求項7】
請求項5において、回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5および/またはニードル16を挿通する大きさを有して形成した縫合用の器具。
【請求項8】
請求項5において、挿入体8は、回収部材1の挿通空間6に挿入した際に、回収部材1の先端に挿入体8の先端部10が届くように、ビニル・シリコン等の柔軟性と剛性とを有する素材で形成した縫合用の器具。
【請求項9】
請求項5において、先端に開口部3を有する回収部材1が取付けられる取付筒23を設けた一方側ハンドル24と、半月板Hの損傷部D付近に縫合糸5を挿通誘導するニードル16が取付けられる取付筒25を設けた他方側ハンドル26とを、互いに重なり、かつ、重なり長さを調節可能に固定具27により固定してハンドル30を構成した縫合用の位置決め器具。
【請求項10】
請求項9において、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26とは、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26との重なり長さを調節することにより、回収部材1とニードル16とを任意の角度で交差する状態で固定するように構成した縫合用の位置決め器具。
【請求項11】
請求項9において、取付筒23と取付筒25とは、半月板H付近の所定位置に回収部材1の開口部3が位置する状態で、開口部3に交差するようにニードル16X(ニードル16?)の先端を位置させるように、互いに配置させた縫合用の位置決め器具。
【請求項12】
半月板の断裂を修復するためのシステムであって、回収部材1とニードル16とハンドル30とを含む半月板修復テバイスであって、回収部材1は、その内部に挿通空間6を有し、挿通空間6内に挿入配置される挿入体8を有し、挿入体8は回収部材1の挿通空間6を通って進入可能であり、ニードル16は、その内部に挿通空間17を有し、挿通空間17に配置された縫合糸5を有し、縫合糸5は、ニードル16の挿通空間17を通って進入可能であり、ニードル16は、組織に少なくとも部分的に通されるように構成される、ある長さの縫合糸5を含み、縫合糸5は、ニードル16内へと装着され、ニードル16内から進出した縫合糸5は回収部材1の開口部3を通って回収部材1外に突出した状態で挿入体8により保持され、保持された縫合糸5は回収部材1と共に体内から取り出されるように構成され、ハントド30は、回収部材1を回収部材1の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒23と、取付筒23を取付けた一方側ハンドル24と、ニードル16をニードル16の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒25と、取付筒25を取付けた他方側ハンドル26とを有し、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26の取付位置を変更してニードル16から進出した縫合糸5が回収部材1の開口部3に向かうようにした位置決め器具Kと、を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫合用の器具および縫合用の位置決め器具ならびにシステムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースに2本のニードルを設け、2本のニードルを半月板に差し込み挿入し、この状態で2本のニードルの一方に先端をループ状に形成した縫合糸を挿通し、他方のニードルに直線状の縫合糸を挿通し、関節包内で一方の縫合糸のループに他方の直線縫合糸を通して行う縫合の方法が開示され、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-440418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例では、関節包内で一方の縫合糸のループに他方の直線縫合糸を通すことが非常に困難であり、縫合作業に時間を要し、患者の負担が大きいという課題がある。
また、2本のニードルを平行状態のまま半月板に差し込み挿入するので、半月板を縫合しうる部位が限定されるという課題がある。
本発明は、患者の負担を軽減させた低侵襲性の縫合用の器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、半筒状あるいはへら形状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の長さ方向に対する交差方向に開口する開口部3を設け、回収部材1の内面には嵌合溝6Aを設け、嵌合溝6Aに回収部材1の基部側から軸棒形状の挿入体8を嵌合挿入する構成とした縫合用の器具としたものである。
請求項2の発明は、回収部材1の先端は先端壁9を設け、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を設けた縫合用の器具としたものである。
請求項の発明は、回収部材1の先端壁9は、回収部材1の基部側から嵌合溝6Aに挿入した挿入体8の先端部10が当接する当接部11に形成した縫合用の器具としたものである。
請求項の発明は、回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5および/またはニードル16を挿通する大きさを有して形成した縫合用の器具としたものである。
請求項の発明は、中空筒状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の軸心方向に対する交差方向に開口する開口部3を設け、回収部材1の先端は先端壁9で閉塞し、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に相対峙するように設けた縫合用の器具としたものである。
請求項の発明は、回収部材1の開口部3より基部側部分は、挿入体8を挿入する挿入部15とし、挿入部15の内径は挿入体8の外径より大径に形成した縫合用の器具としたものである。
請求項の発明は、回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5および/またはニードル16を挿通する大きさを有して形成した縫合用の器具としたものである。
請求項の発明は、挿入体8は、回収部材1の挿通空間6に挿入した際に、回収部材1の先端に挿入体8の先端部10が届くように、ビニル・シリコン等の柔軟性と剛性とを有する素材で形成した縫合用の器具としたものである。
請求項の発明は、先端に開口部3を有する回収部材1が取付けられる取付筒23を設けた一方側ハンドル24と、半月板Hの損傷部D付近に縫合糸5を挿通誘導するニードル16が取付けられる取付筒25を設けた他方側ハンドル26とを、互いに重なり、かつ、重なり長さを調節可能に固定具27により固定してハンドル30を構成した縫合用の位置決め器具としたものである。
請求項10の発明は、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26とは、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26との重なり長さを調節することにより、回収部材1とニードル16とを任意の角度で交差する状態で固定するように構成した縫合用の位置決め器具としたものである。
請求項11の発明は、取付筒23と取付筒25とは、半月板H付近の所定位置に回収部材1の開口部3が位置する状態で、開口部3に交差するようにニードル16の先端を位置させるように、互いに配置させた縫合用の位置決め器具としたものである。
請求項12の発明は、半月板の断裂を修復するためのシステムであって、回収部材1とニードル16とハンドル30とを含む半月板修復テバイスであって、回収部材1は、その内部に挿通空間6を有し、挿通空間6内に挿入配置される挿入体8を有し、挿入体8は回収部材1の挿通空間6を通って進入可能であり、ニードル16は、その内部に挿通空間17を有し、挿通空間17に配置された縫合糸5を有し、縫合糸5は、ニードル16の挿通空間17を通って進入可能であり、ニードル16は、組織に少なくとも部分的に通されるように構成される、ある長さの縫合糸5を含み、縫合糸5は、ニードル16内へと装着され、ニードル16内から進出した縫合糸5は回収部材1の開口部3を通って回収部材1外に突出した状態で挿入体8により保持され、保持された縫合糸5は回収部材1と共に体内から取り出されるように構成され、ハントド30は、回収部材1を回収部材1の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒23と、取付筒23を取付けた一方側ハンドル24と、ニードル16をニードル16の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒25と、取付筒25を取付けた他方側ハンドル26とを有し、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26の取付位置を変更してニードル16から進出した縫合糸5が回収部材1の開口部3に向かうようにした位置決め器具Kと、を含む、システムとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、半筒状あるいはへら形状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の長さ方向に対する交差方向に開口する開口部3を設けているので、手技スペースの狭い関節包内に回収部材1を容易に挿入でき、これにより、回収部材1の交差方向から縫合糸5を挿入すると、縫合糸5を半月板Hを直進させるだけで、回収部材1の一対の開口部3に挿入させることができ、回収部材1への縫合糸5の挿入作業および回収作業を容易にでき、また、回収部材1の内面上には嵌合溝6Aを設け、嵌合溝6Aに回収部材1の基部側から軸棒形状の挿入体8を嵌合挿入する構成としたので、回収部材1の一対の開口部3に挿入した縫合糸5を挿入体8の外面と回収部材1の内面とにより挟んで体外に引き出すことができ、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
請求項の発明は、回収部材1の先端は先端壁9を立ち上げ、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を設けたので、回収部材1に嵌合挿入させた挿入体8は回収部材1の先端壁9に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟むことができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
請求項の発明は、回収部材1の先端壁9は、回収部材1の基部側から嵌合溝6Aに挿入した挿入体8の先端部10が当接する当接部11に形成したので、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の当接部11に当接して挿入体8の先端部10と回収部材1の当接部11とにより回収部材1内の縫合糸5を係止することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
請求項の発明は、回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5および/またはニードル16を挿通する大きさを有して形成したので、回収部材1の開口部3に縫合糸5を通すことができ、縫合糸5の回収部材1への挿入を容易にする。
請求項の発明では、中空筒状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の軸心方向に対する交差方向に開口する開口部3を設けているので、半月板Hの患部(断裂部損傷部D)に対して回収部材1を平行状態となるように挿入し、この状態で回収部材1の交差方向から縫合糸5を挿入すると、縫合糸5を半月板Hを直進させるだけで、回収部材1の一対の開口部3に挿入させることができ、回収部材1への縫合糸5の挿入作業を容易にできる。また、回収部材1の先端は先端壁9で閉塞し、先端壁9より所定長さ回収部材1の基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に対峙するように設けているので、回収部材1に挿入した挿入体8は回収部材1の先端壁9に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
請求項の発明では、回収部材1の開口部3より基部側部分は、挿入体8を挿入する挿入部15とし、挿入部15の内径は挿入体8の外径より大径に形成しているので、回収部材1への挿入体8の挿入を容易かつ円滑に行え、挿入体8の先端部10の回収部材1の先端部10への嵌合を容易にでき、縫合糸の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸の結紮作業を容易にできる。
請求項の発明では、回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5を挿通する大きさを有して形成して構成しているので、回収部材1の開口部3に縫合糸5を通すことができ、縫合糸5の回収部材1への挿入を容易にする。
請求項の発明では、挿入体8は、回収部材1の挿通空間6に挿入した際に、回収部材1の先端部10まで挿入体8の先端が届くように、ビニル・シリコン等の柔軟性と剛性を有する素材で形成しているので、挿入体8の挿入を容易に行うことができる。
請求項の発明では、先端に開口部3を有し縫合糸5を挿通する回収部材1を、取付ける取付筒23を設けた一方側ハンドル24と、半月板Hの損傷部D付近に縫合糸5とニードル16を、取付ける取付筒25を設けた他方側ハンドル26とを固定具固定具27により固定してハンドル30を構成しているので、ハンドル30を持って、回収部材1に挿入体8の挿入作業をすることができ、挿入体8の挿入作業を容易にする。
請求項10の発明では、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26とは、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26との重なり長さを調節することにより、回収部材1とニードル16とを任意の角度で交差する状態で固定するように構成しているので、回収部材1の開口部3への縫合糸5の挿入を容易にすることができる。
請求項11の発明では、取付筒23と取付筒25とは、半月板H付近の所定位置に回収部材1の開口部3が位置する状態で、開口部3に交差するようにニードル16の先端を位置させるように、互いに配置させているので、ハンドル30に取付けた回収部材1とニードル16とは互いに体内で交差するように位置決めされ、回収部材1およびニードル16の挿入作業を容易にする。
請求項12の発明では、半月板の断裂を修復するためのシステムであって、回収部材1とニードル16とハンドル30とを含む半月板修復テバイスであって、回収部材1は、その内部に挿通空間6を有し、挿通空間6内に挿入配置される挿入体8を有し、挿入体8は回収部材1の挿通空間6を通って進入可能であり、ニードル16は、その内部に挿通空間17を有し、挿通空間17に配置された縫合糸5を有し、縫合糸5は、ニードル16の挿通空間17を通って進入可能であり、ニードル16は、組織に少なくとも部分的に通されるように構成される、ある長さの縫合糸5を含み、縫合糸5は、ニードル16内へと装着され、ニードル16は半月板を貫通後開口部3を通過、あるいは、ニードル16内から進出した縫合糸5は回収部材1の開口部3を通って回収部材1外に突出した状態で挿入体8により保持され、保持された縫合糸5は回収部材1と共に体内から取り出されるように構成され、ハンドル30は、回収部材1を回収部材1の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒23と、取付筒23を取付けた一方側ハンドル24と、ニードル16をニードル16の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒25と、取付筒25を取付けた他方側ハンドル26とを有し、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26の取付位置を変更してニードル16から進出した縫合糸5が回収部材1の開口部3に向かうようにした位置決め器具Kと、を含む、システムとしているので、半月板Hの縫合を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)回収部材の側面および正面図。 (B)同他の実施形態図の側面および正面図。 (C)同他の実施形態図の側面および正面図。 (D)同他の実施形態図の側面および正面図。
図2】(A)回収部材の縦断側面図および平面図。 (B)同他の実施形態図。 (C)同他の実施形態図。
図3】(A)回収部材の開口部に縫合糸を挿通させた状態の概略平面図。 (B)同他の実施形態図。
図4】(A)2本目の縫合糸5を挿通させた状態の概略平面図。 (B)同他の実施形態図。
図5】(A)回収部材の開口部に縫合糸を挿通させた状態の側面図。 (B)同他の実施形態図。 (C)同他の実施形態図。
図6】(A) 回収部材の開口部に縫合糸を挿通させた状態の縦断側面図。 (B)同他の実施形態図。 (C)同他の実施形態図。
図7】(A) 挿入体を回収部材に挿入させた縦断側面図および挿入体を回収部材の当接部に当接させた縦断側面図。 (B)同他の実施形態図。 (C)同他の実施形態図。
図8】(A) 回収部材を患部に挿入させた状態の縦断側面図。 (B)同他の実施形態の縦断側面図。 (C)同他の実施形態の縦断側面図。
図9】(A)回収部材により縫合糸を回収する状態図。 (B)同他の実施形態図。
図10】連結後の縫合糸を引入れる状態の概略平面図。
図11】連結後の縫合糸をさらに引入れる状態の概略平面図。
図12】連結後の縫合糸が半月板の患部を縫合糸した状態の概略平面図。
図13】(A)縫合用のハンドルの使用状態の概略平面図。 (B)他の実施形態の回収部材の位置決め具の使用状態の概略平面図。
図14】ニードル用筒に針を挿入した状態のニードルの概略斜視図。
図15】同縦断正面図。
図16】縫合用のハンドルの縦断分解図および縦断組み立て図。
図17】他の実施形態の縫合用のハンドルの縦断分解図および縦断組み立て図。
図18】(A)回収部材を曲げる治具の正面図。 (B)他の実施形態回収部材を曲げる治具の側面図および正面図ならびに使用状態図。
図19】ニードルを関節包に当接させた状態の模式図。
図20】ニードルと縫合糸を回収部材の開口部を通過させる状態の模式図。
図21】ニードルと縫合糸を回収部材の開口部を通過させた状態の模式図。
図22】縫合糸のみを留置した状態の模式図。
図23】回収部材に挿入体を挿入して縫合糸を保持した状態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を、以下図により説明する。1は関節包(関節腔内)Sの半月板Hの患部(損傷部D)を縫合した縫合糸5を回収する回収用の回収部材であり、半筒状あるいはへら形状の所定長さを有する直線状または弯曲形状に形成して構成し、回収部材1の先端部に、回収部材1の長さ方向に対する交差方向に開口する開口部3を設ける。
そのため、手技スペースの狭い関節包内に回収部材1を容易に挿入でき、これにより、回収部材1の交差方向から縫合糸5を挿入すると、縫合糸5を半月板Hを直進させるだけで、回収部材1の一対の開口部3に挿入させることができ、回収部材1への縫合糸5の挿入作業および回収作業を容易にできる。
すなわち、半月板Hは大腿骨と脛骨の間に位置し、通常ではお互いに接触している状況であり、手術の際には、大腿骨と脛骨と半月板Hの双方の間を徒手的に開く操作を加えることでスペースを確保し、このスペースに回収部材1を挿入することになる。
【0009】
関節内の組織を掃除する際には径3.5ミリ程度の筒状の器具を挿入して手術を行なっているが、ヘラ形状の回収部材1ではさらに自由度が上がり、縫合の容易性を向上させられる。
図1Bは、へら形状の回収部材1の他の実施形態を示し、開口部3の開口面積を小さくし、回収部材1の曲がりに対する剛性を向上させている。
図2Aのように、回収部材1の内側面には嵌合溝6Aを設け、嵌合溝6Aに回収部材1の基部側から半軸棒形状の挿入体8を嵌合挿入する構成とする。
そのため、回収部材1の開口部3に挿入した縫合糸5を、挿入体8の外面と回収部材1の内面とにより挟んで係合保持させた状態で体外に引き出すことができ、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
回収部材1の先端には先端壁9を立ち上げ(図2A)、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を設ける。
【0010】
そのため、回収部材1に嵌合挿入させた挿入体8は回収部材1の先端壁9に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟むことができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
回収部材1の先端壁9は、回収部材1の基部側から嵌合溝6Aに挿入した挿入体8の先端部10が当接する当接部11を構成する(図2A)。
そのため、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の当接部11に当接して挿入体8の先端部10と回収部材1の当接部11とにより回収部材1内の縫合糸5を保持係止することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
【0011】
挿入体8の先端部10と回収部材1の当接部11とは、相対的に、先端部10の外面が当接部11の内面に当接して縫合糸5の抜落を防止する構成とする。
そのため、回収部材1に嵌合挿入させた挿入体8の先端部10は回収部材1の当接部11に当接して挿入体8の先端部10と当接部11の内面とにより縫合糸5を挟むことができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
挿入体8は、少なくとも、その先端部10は柔軟性を有して形成し、挿入体8の先端部10が回収部材1の開口部3の部分を通過する際に縫合糸5の切断を防止する構成とする。
【0012】
そのため、挿入体8の先端部10が回収部材1の開口部3を通過する際に、開口部3のエッジによって縫合糸5が切断されるのを防止しつつ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5および/またはニードル16を挿通する大きさを有して形成する。
そのため、回収部材1の開口部3に縫合糸5を容易に通すことができ、縫合糸5の回収部材1への挿入を容易にする。
回収部材1の断面形状は、正円状の筒部材を切断して形成した半円筒状の円弧形状から、ヘラ形状まで、円弧あるいは弯曲角度の相違するものを複数種類用意し、選択使用する構成としてもよい。
【0013】
また、回収部材1の先端壁9の立ち上げ角度は、挿入体8の先端部10が当接しうる角度であればよく、90度(直角)から水平方向に30度程度まで寝かしたものでよく、任意である。
図1Cは、回収部材1の他の実施形態を示し、回収部材1を、中空筒状の所定長さを有する直線状または弯曲形状に形成し、回収部材1の先端部に、回収部材1の軸心方向に対する交差方向に開口する一対の開口部3を設ける。
そのため、半月板Hの患部(損傷部D)の位置に対して回収部材1を平行状態となるように関節包内に挿入し、この状態で回収部材1の交差方向から縫合糸5を挿入すると、縫合糸5は半月板Hを直進させるだけで、回収部材1の一対の開口部3に挿入させることができ、回収部材1への縫合糸5の挿入作業を容易にできる。
回収部材1の材質は任意であるが、径3.5ミリ程度の金属製筒部材により形成すると好適である。
【0014】
回収部材1の内部には挿通空間6を設け、回収部材1の基部側に設けた基部側挿入口7から、軸棒形状の挿入体8を挿入する構成とする。そのため、回収部材1の一対の開口部3に挿入した縫合糸5を挿入体8の外周面と回収部材1の内周面とにより挟持して縫合糸5を体外に引き出すことがでができ、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。回収部材1の先端壁9で閉塞し、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に相対峙するように設ける(図1C、D)。
そのため、回収部材1に挿入した挿入体8は回収部材1の先端壁9に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
【0015】
挿入体8の先端部10と回収部材1の先端壁9の内面とは、相対的に、先端部10の外面が先端壁9の内面に密に当接して縫合糸5の抜落を防止する構成とする。そのため、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の先端壁9の内面に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
すなわち、回収部材1の先端には、挿入体8の先端部10が当接する当接部11を設け、当接部11に挿入体8の先端部10を当接させて回収部材1内に挿入した縫合糸5を挟持して係止する。
なお、回収部材1の先端壁9は、側面視において、円弧形状に形成すると(図1C)、縫合糸5を当接部11に当接させるとき、縫合糸5の損傷を防止できて、好適である。
【0016】
換言すると、挿入体8の先端部10と回収部材1の当接部11とは、相対的に、先端部10の外面が当接部11の内面に密に当接して縫合糸5の抜落を防止する構成とする。
そのため、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の当接部11の内面に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
また、少なくとも、挿入体8の先端部10は柔軟性を有して形成し、挿入体8の先端部10が回収部材1の開口部3の部分を通過する際に縫合糸5の切断を防止する構成とする。
そのため、挿入体8の先端部10が縫合糸5を当接部11に当接させる際に、縫合糸5が開口部3の端部と挿入体8の先端とにより所謂ギロチンのように損傷作させるのを防止する。
【0017】
回収部材1の開口部3より基部側部分は、挿入体8を挿入する挿入部15とし、挿入部15の内径は挿入体8の外径より大径に形成する。
そのため、回収部材1への挿入体8の挿入を容易かつ円滑に行え、挿入体8の先端部10の回収部材1の先端壁9の内面との当接を容易にてでき、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5を挿通する大きさを有して形成するが、半月板Hを貫通する縫合糸5を装着したニードル16が通過できる大きさに構成する。
そのため、回収部材1の開口部3にニードル16ごと縫合糸5を通すことができ、縫合糸5の回収部材1への挿入を容易にする。
ニードル16は、縫合糸5が半月板Hの患部(損傷部D)を貫通して縫合できるように、縫合糸5を通すものであればよく、構成は任意であり、本実施形態では、中空部材で形成し、16~18Gの中空の針16Bを介して縫合糸5を通す構成としている(図14)。
【0018】
したがって、ニードル16は単独の中空部材で形成すればよいが、二重筒構成として、中空の針16Bに縫合糸5を通し、縫合糸5を通した針16Bごとニードル16内に挿通し、縫合糸5を回収部材1の開口部3に通す構成としてもよい(図14)。
また、縫合糸5は、通常半月板Hの縫合に使用されるものであればよく、特殊なものでは無いが、縫合糸5の基部側をニードル16内に送り込んで先端を回収部材1の開口部3に挿通させられる必要最小限の剛性を持たせると、好適である。
さらに、図示は省略するが、体内での結束は不要のため、縫合糸5の先端に針を取付けたものでもよく、回収部材1の開口部3への挿通を容易にする。
また、本発明では、回収部材1を用いて、縫合糸5を回収して体外で2本の縫合糸5を連結して体内に戻して結紮作業するので、2本の縫合糸5の先端は共に直線状に形成しているが、体外での2本の縫合糸5の連結を容易にするため、一方の縫合糸5の先端をループ状に形成してもよい(図5B)。
また、内部に挿通空間6を設けた中空の所定長さを有する直線状の回収部材1の先端を、先端壁9で閉塞し、先端壁9より所定長さ回収部材1の基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に対峙するように設け、開口部3は縫合糸5またはニードル16を挿入しうる大きさに開口させ、回収部材1の基部側には挿入体8を挿入する基部側挿入口7を形成し、回収部材1の開口部3より先側は、挿通空間6に挿入した挿入体8の先端部10が当接する当接部11に形成する。
【0019】
そのため、半月板Hの裏側に形成した進入路に体外から回収部材1の先端壁9を挿入し、半月板Hの断裂部損傷部Dの奥側に回収部材1の開口部3を位置させ、一方、半月板Hの表側の進入路から半月板Hの損傷部Dを貫通させるように、ニードル16および縫合糸5を進入させ、ニードル16また縫合糸5の何れか一方または両方を回収部材1の開口部3に貫通させ、同様に、もう一本の縫合糸5を開口部3に貫通させ、2本の縫合糸5の先端を回収部材1外に残した状態で、回収部材1の挿通空間6に挿入体8を挿入し、回収部材1の当接部11に挿入体8の先端部10を当接させ、2本の縫合糸5の先端ごと、回収部材1を体外に引き出し、取り出した2本の縫合糸5をループ状の縫合糸5にもう一方の縫合糸5を通す(結紮し)、ループ状の縫合糸5の基部を引いて、もう1本の縫合糸5により半月板Hの損傷部Dを縫合する。
【0020】
この場合、2本の縫合糸5のうちの一方の縫合糸5の先端をループ状とし、もう一方の縫合糸5を直線状としているが、これは体外における結紮作業を容易にするためのものであり、本発明の要件ではなく、2本の縫合糸5の先端の何れも直線状にしてもよい。
なお、挿入体8の先端部10は、側面視において、円弧形状に形成すると、縫合糸5を開口部3の内側を先側に向けて押し込むとき、縫合糸5の損傷を防止できて、好適である。
回収部材1は、弯曲させて側面視において円弧形状に形成してもよい。この場合、回収部材1は組織内に侵入させうる剛性を有しつつ、施術中に弯曲させうる可撓性を有して形成すると、施術を容易にでき、好適である。また、回収部材1の可撓性は、不可逆的可撓性とすると、組織内に侵入させうる剛性を確保でき、好適である。
【0021】
すなわち、関節包内のスペースの問題で回収部材1の開口部3の位置が半月板Hの向きに合わないことがあるが、回収部材1を曲げる(弯曲させる)ことにより開口部3を適切な位置に位置させられる。
また、回収部材1を弯曲させる場合には、回収部材1とニードル16とが交差するように事前に調整する。また、図18Aのように、例えば、回収部材1は治具12の二本の突起12Aにより弯曲させる。
なお、治具12の使用方法は任意であるが、回収部材1全体が弧を描くように少しずつ曲げる位置を変更させて使用することにより、回収部材1の一ヶ所が集中して屈曲させないように使用すると好適である。
【0022】
図18Bは他の実施形態の治具13を示し、治具13は内部に弯曲面13Bを有する挿入溝13Aを有し、挿入溝13Aに挿操作入した回収部材1の先端を差出口13Cから突出させた状態で弯曲面13Bに沿うように弯曲させる。
図1Cは、回収部材1の他の実施形態を示し、回収部材1の先端壁9の形状を円弧形状とし、先端壁9より所定長さ回収部材1の基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に対峙するように一対設ける。
また、図1Dは、回収部材1の他の実施形態を示し、回収部材1の先端壁9の形状を角形状とし、先端壁9より所定長さ回収部材1の基部側の回収部材1に、回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に対峙するように設け、回収部材1の開口部3より先側は、挿通空間6に挿入した挿入体8の先端部10が嵌合する嵌合部11Aに形成する。
【0023】
そのため、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の嵌合部11Aに嵌合して嵌合部11Aの下面および上面と先端壁9の内面とにより回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。挿入体8の先端部10と回収部材1の嵌合部11Aとは、相対的に、先端部10の外面が嵌合部11Aの内面に密に嵌合して嵌合部11A内に位置する縫合糸5の抜落を防止する構成とする。
そのため、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の嵌合部11Aに嵌合して嵌合部11Aの下面と先端壁9の内面と嵌合部11Aの上面とにより回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合5の結紮作業を容易にできる。回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5を挿通する大きさを有して形成するが、半月板Hを貫通する縫合糸5とニードル16が通過できる大きさに構成する。
【0024】
そのため、回収部材1の開口部3にニードル16ごと縫合糸5を通すことができ、縫合糸5の回収部材1への挿入を容易にする。
内部に挿通空間6を設けた中空の所定長さを有する直線状の回収部材1の先端を、先端壁9で閉塞し、先端壁9より所定長さ回収部材1の基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に対峙するように設け、開口部3は縫合糸5またはニードル16を挿入しうる大きさに開口させ、回収部材1の基部側には挿入体8を挿入する基部側挿入口7を形成し、回収部材1の開口部3より先側は、挿通空間6に挿入した挿入体8の先端部10が嵌合する嵌合部11Aに形成する(図2)。
【0025】
そのため、半月板Hの裏側に形成した進入路に体外から回収部材1の嵌合部11Aを挿入し、半月板Hの断裂部損傷部Dの奥側に回収部材1の開口部3を位置させ、一方、半月板Hの表側の進入路から半月板Hの損傷部Dを貫通させるように、ニードル16および縫合糸5を進入させ、ニードル16と縫合糸5との何れか一方または両方を回収部材1の開口部3に貫通させ、同様に、もう一本の縫合糸5を開口部3に貫通させ、2本の縫合糸5の先端を回収部材1外に残した状態で、回収部材1の挿通空間6に挿入体8を挿入し、回収部材1の嵌合部11Aに挿入体8の先端部10を密に嵌合させ、2本の縫合糸5の先端ごと、回収部材1を体外に引き出し、取り出した2本の縫合糸5を結紮し、縫合糸5の基部を引いて、2本の縫合糸5により半月板Hの損傷部Dを縫合する。
すなわち、挿入体8の先端部10が嵌合部11Aに嵌合することで、縫合糸5を嵌合部11A内に係止させ、縫合糸5の回収を実現する。
【0026】
半月板Hの奥側に挿入した、回収部材1の外径より大径の直線状の中空筒状のケーシング20に、回収部材1を挿入可能に構成する(図8)。
そのため、半月板Hの患部(損傷部(断裂部D)に平行状態にケーシング20を挿入し、このケーシング20に回収部材1を挿入させ、ケーシング20の先端より先側に回収部材1の開口部3を突出させて、回収部材1の開口部3に縫合糸5またはニードル16を挿入して、回収部材1の先端に縫合糸5の先端を係止させ、この状態でケーシング20を体内に留置させたまま、回収部材1を体外に取り出し、縫合糸5を体外に引き出して体外でループ状縫合糸5に非ループ状縫合糸5を通しての連結作業を行うことができる。
そして、再び、ケーシング20内に回収部材1を挿入すると、半月板Hの近傍に回収部材1の開口部3を位置させて回収でき、2回目の縫合を行え、このように、半月板Hの損傷部Dの縫合作業を容易に反復させることができる。
18は2本の縫合糸5を連結した連結部である(図11)。
【0027】
なお、ケーシング20は、回収部材1を挿入する部材であり、図8では形状の相違する実施形態の回収部材1の使用例を示している。
挿入体8は、回収部材1の挿通空間6に挿入した際に、回収部材1の先端部10まで挿入体8の先端が届くように、ビニル・シリコン等の柔軟性と剛性を有する素材で形成する。
回収部材1の開口部3は幅が2ミリ前後、長さ10~20ミリメートルの長方形のスリット形状に形成する。
図13の位置決め器具Kは、先端に開口部3を有し縫合糸5を挿通する回収部材1を、取付ける取付筒23を設けた一方側ハンドル24と、半月板Hの損傷部D付近に縫合糸5を挿通誘導するニードル16を、取付ける取付筒25を設けた他方側ハンドル26とを固定具27により固定してハンドル30を有して構成する。
【0028】
そのため、ハンドル30を持って、回収部材1に挿入体8の挿入作業をすることができ、挿入体8の挿入作業を容易にする。
位置決め器具Kは、取付筒23と取付筒25とを、半月板H付近の所定位置に回収部材1の開口部3が位置する状態で、開口部3に交差するようにニードル16の先端を位置させるように、互いに配置させる。
そのため、ハンドル30に取付けた回収部材1とニードル16とは互いに体内で交差するように位置決めされ、回収部材1およびニードル16の挿入作業を容易にする。
すなわち、ハンドル30は、前記取付筒23を有する一方側ハンドル24と、一方側ハンドル24に移動自在に取付ける他方側ハンドル26とにより構成し、一方側ハンドル24の基部と他方側ハンドル26の基部とを重ねて留め具35により固定する。
これにより、ハンドル30の長さの長短切替調節が可能となって、操作性・作業性を向上させられる。
【0029】
取付筒23への回収部材1の取付構成は任意であるが、一例を示すと、取付筒23には留め具33を設け、取付筒23に回収部材1を挿入してから留め具33により回収部材1を固定する。
他方側ハンドル26の基部側には他方側取付筒25を取付け、取付筒25には筒16を着脱自在に取付ける。他方側ハンドル26の基部側には他方側取付筒25を取付け、取付筒25にはニードル16を着脱自在に取付ける。
そのため、ニードル16の先端を半月板Hの損傷部Dに当てるように挿入し、ニードル16に縫合糸5を挿入すると、縫合糸5はニードル16に誘導されて、確実に半月板Hの損傷部Dに挿入することができる。
【0030】
位置決め器具Kは、ハンドル30の取付筒23と取付筒25とを、半月板H付近の所定位置に回収部材1の開口部3が位置する状態で、開口部3に交差するようにニードル16の先端を位置させるように、互いに配置させる。
そのため、予め、半月板Hの損傷部Dに対して縫合糸5が挿入されるであろう予測された位置を設定し、この設定箇所に回収部材1の開口部3が位置するように、ハンドル30の取付筒23の向きを設定し、次に、回収部材1の開口部3が位置するであろう位置にニードル16の先端が挿入されるであろう角度に他方側ハンドル26の取付筒25が位置するように、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26を組み合わせて固定する。
【0031】
したがって、体外で予め、半月板Hの損傷部Dと回収部材1の開口部3とニードル16の先端位置との配置関係をシミュレーションすることができ、このシミュレーションに基づいて、回収部材1とニードル16を体内に挿入し、回収部材1の開口部3にニードル16から縫合糸5を挿入係止させればよいので、縫合作業を頗るように短時間で行うことができる。
すなわち、回収部材1とニードル16はdefault(初期設定)の状態では開口部3と交差するように設定されており、これは、開口部3を基準として一方側ハンドル24と他方側ハンドル26を伸縮移動させて回収部材1と16の成す角度を変えても、特段の調整を要することなく、常にニードル16は開口部3と交差するようになっており、そして、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26の調整では、本来、回収部材1の開口部3とニードル16とが直角に交差させることが望まれるが、関節包内のスペースの問題で角度を変更しなければならないことがあり、回収部材1を半月板Hの向きに合わせる目的で曲げることができる。
【0032】
したがって、体外で予め、半月板Hの損傷部Dと回収部材1の開口部3とニードル16の先端位置との配置関係をシミュレーションすることができ、このシミュレーションに基づいて、回収部材1とニードル16を体内に挿入し、回収部材1の開口部3にニードル16から縫合糸5を挿入係止させればよいので、縫合作業を頗るように短時間で行うことができる。
ハンドル30の一方側ハンドル24と他方側ハンドル26との移動構成は任意であり、一例を示すと、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26の何れか一方に移動溝36を形成し、何れか他方に移動溝36に係合して移動する移動体37を設ける(図16)。
この場合、図17のように、移動溝36の開口部38を溝底39より幅狭に形成し、移動体37の断面形状を台形状に形成すると、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26とは外れること無くスライドのみさせることができ、操作を容易にすることができる。
【0033】
また、本発明では、半月板の断裂を修復するためのシステムであって、回収部材1とニードル16とハンドル30とを含む半月板修復テバイスであって、回収部材1は、その内部に挿通空間6を有し、挿通空間6内に挿入配置される挿入体8を有し、挿入体8は回収部材1の挿通空間6を通って進入可能であり、ニードル16は、その内部に挿通空間17を有し、挿通空間17に配置された縫合糸5を有し、縫合糸5は、ニードル16の挿通空間17を通って進入可能であり、ニードル16は、組織に少なくとも部分的に通されるように構成される、ある長さの縫合糸5を含み、縫合糸5は、ニードル16内へと装着され、ニードル16内から進出した縫合糸5は回収部材1の開口部3を通って回収部材1外に突出した状態で挿入体8により保持され、保持された縫合糸5は回収部材1と共に体内から取り出されるように構成され、ハンドル30は、回収部材1を回収部材1の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒23と、取付筒23を取付けた一方側ハンドル24と、ニードル16をニードル16の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒25と、取付筒25を取付けた他方側ハンドル26とを有し、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26の取付位置を変更してニードル16から進出した縫合糸5が回収部材1の開口部3に向かうようにした位置決め器具Kと、を含む、システムとしている。
【0034】
なお、ニードル16の構成は任意であり、一例示すと、金属製の筒部材により内部に縫合糸5を挿通しうる挿通空間17を形成して構成する。
また、ニードル16は、本実施形態の一例では単体の筒部材で形成しているが(図3等)、二重筒構成とし、外側の取付用筒16Aの基部側を取付筒25に固定し、取付用筒16Aにニードル16を挿入し、ニードル16に縫合糸5を挿入する構成としてもよい。
また、半月板Hの手術に際し、ニードル16の使用方法も任意であり、ニードル16を直接半月板Hに貫通挿通させる場合や、あるいは、ニードル16の先端を半月板Hに当接させて、半月板Hに形成させた挿通孔(図示省略)に縫合糸5を挿通させる構成としてもよい。
さらに、図示は省略するが、取付用筒16Aの先端を半月板Hに当接させ、中空の針16Bを直接半月板Hに貫通挿通させて、中空の針16Bから突出する縫合糸5を送り込んで回収部材1の開口部3に挿通させる構成としてもよい。
【0035】
すなわち、取付用筒16Aは先端を関節包に当接させるのみで、関節包や半月板組織に刺さるまたは挿入させることはしない。
また、取付用筒16Aを取付筒25に通し、先端を関節包の外側に当接させ、取付用筒16Aに針16Bと縫合糸5を通し、関節包、半月板Hを刺し進め、開口部3を通り抜けさせてもよい。
換言すると、取付用筒16Aは関節包Sに当接させ、ニードル(針16B)16は、関節包、半月板、回収部材1の対側の開口部3を通過し、ニードル(針16B)16が反対側の開口部3を通過していれば縫合糸5も反対側の開口部3を貫通しており、この状態で、縫合糸5のみ残してニードル(針16B)16を引き抜き、そして、次の縫合糸5を装填したニードル(針16B)16を刺入し、上記施術を反復する。
図19は、本発明の構成を容易にするための模式図であり、ニードル16(16A)を関節包Sに当接させた状態を示している。
図20は、ニードル16(16B)と縫合糸5を回収部材1の開口部3を通過させる状態を示している。
図21は、ニードル16(16B)と縫合糸5を回収部材1の開口部3を通過させた状態を示している。
図22は、ニードル16(16B)を抜いて縫合糸5のみを関節包S内の留置した状態の模式図を示している。
図23は、回収部材1の挿通空間6に挿入体8を挿入して縫合糸5を保持した状態を示している。
なお、理解を容易にするため、図22図23では、ニードル16(16B)を抜いているが、縫合糸5を挿入体8により縫合糸5を保持してから、ニードル16(16B)を抜いてもよい。
【0036】
(実施形態の作用)
本発明は、上記構成であり、関節鏡(内視鏡)を関節内に挿入しMRI検査で認められた損傷部Dを確認し、半月板Hの縫合の可否を決定する。
半月板Hの後側の損傷部位に応じて関節包の皮膚を切開して関節包を展開し、関節包の至適部位を切開し、この切開部分から回収部材1を関節内に挿入し、可能な範囲で損傷部Dに並行に設置する。
次に、ハンドル30の固定具27を緩め、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26が自由に伸縮できるようにした状態で、ニードル16の先端と回収部材1の開口部3とが可能な範囲で直交するように、関節包の外側にあてがって、仮止め状態とする。
仮止め位置がまったら固定具27により一方側ハンドル24と他方側ハンドル26とを固定し、更に他方側ハンドル26の取付筒25に挿入した取付用筒16Aを関節包に押し当てて、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26とを固定具27により固定し、取付用筒16Aに挿入した針16Bの挿通空間17に縫合糸5を通し、更に針16Bを半月板Hに推し進め、回収部材1の開口部3にそのまま貫通させる(図14)。
【0037】
この状態で、挿入体8を回収部材1の基部側挿入口7から挿入し、挿入体8の先端部10を当接部11に当接させ、これにより、回収部材1に縫合糸5の先端を係止させる。
この状態で、ニードル16を抜去して縫合糸5のみを関節包内に残す。
この操作を繰り返して2本目の縫合糸5を、回収部材1の開口部3に挿入させて係止させる。
挿入体8により2本の縫合糸5を回収部材1に固定できたら、回収部材1を関節外に引き抜くことで縫合糸5を関節外に取出し回収する。
回収した2本の縫合糸5の先端を関節外にて連結させ、一方の縫合糸5の基部を引き抜くことで結果として、他方の縫合糸5が関節外から関節包、半月板、損傷部、半月板の表に出て折り返し、損傷部、半月板、関節包の順で通過する。
【0038】
次に、半月板Hの表側にて2本の縫合糸5の両端を結紮することで損傷部Dを密着させ、修復を促進させる。
この場合、オプションとして回収部材1を弯曲させると、回収部材1の開口部3を指摘部位にアクセスしやすくなり、縫合および結紮作業を容易にする。
このように、2本の平行状態で半月板Hを貫通させた縫合糸5であっても、半月板Hの裏側に2本の縫合糸5に対して交差方向に位置する回収部材1の開口部3に容易に挿通させることができ、挿通作業時間を頗る短縮させることができ、関節包内での結紮作業を回避でき、患者に対する侵襲を軽減できる。
また、2本の縫合糸5うち、一方の縫合糸5の先端をループ状にし、他方の縫合糸5の先端を直線状に形成すると、一方のループに直線状縫合糸5を通し、連結すると、2本の縫合糸5の連結作業を容易にする。
【0039】
この場合、半筒状あるいはへら形状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の長さ方向に対する交差方向に開口する開口部3を設けているので、手技スペースの狭い関節包内に回収部材1を容易に挿入でき、これにより、回収部材1の交差方向から縫合糸5を挿入すると、縫合糸5を半月板Hを直進させるだけで、回収部材1の一対の開口部3に挿入させることができ、回収部材1への縫合糸5の挿入作業および回収作業を容易にできる。
また、回収部材1の内面上には嵌合溝6Aを設け、嵌合溝6Aに回収部材1の基部側から軸棒形状の挿入体8を嵌合挿入する構成としたので、回収部材1の一対の開口部3に挿入した縫合糸5を挿入体8の外面と回収部材1の内面とにより挟んで体外に引き出すことができ、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
【0040】
また、回収部材1の先端は先端壁9を立ち上げ、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を設けたので、回収部材1に嵌合挿入させた挿入体8は回収部材1の先端壁9に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟むことができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
また、回収部材1の先端壁9は、回収部材1の基部側から嵌合溝6Aに挿入した挿入体8の先端部10が当接する当接部11に形成したので、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の当接部11に当接して挿入体8の先端部10と回収部材1の当接部11とにより回収部材1内の縫合糸5を係止することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
【0041】
また、挿入体8の先端部10と回収部材1の当接部11とは、相対的に、先端部10の外面が当接部11の内面に当接して縫合糸5の抜落を防止する構成としたので、回収部材1に嵌合挿入させた挿入体8の先端部10は回収部材1の当接部11に当接して挿入体8の先端部10と当接部11の内面とにより縫合糸5を挟むことができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
また、少なくとも、挿入体8の先端部10は柔軟性を有して形成し、挿入体8の先端部10が回収部材1の開口部3の部分を通過する際に縫合糸5の切断を防止する構成としたので、縫合糸5の切断を防止しつつ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
【0042】
また、回収部材1の開口部3は、少なくとも、縫合糸5および/またはニードル16を挿通する大きさを有して形成したので、回収部材1の開口部3に縫合糸5を通すことができ、縫合糸5の回収部材1への挿入を容易にする。
また、図1Bの他の実施形態では、中空筒状の所定長さを有する直線状の回収部材1の先端部に、回収部材1の軸心方向に対する交差方向に開口する開口部3を設けているので、半月板Hの患部(損傷部D)に対して回収部材1を平行状態となるように挿入し、この状態で回収部材1の交差方向から縫合糸5を挿入すると、縫合糸5は半月板Hを直進させるだけで、回収部材1の一対の開口部3に挿入させることができ、回収部材1への縫合糸5の挿入作業を容易にできる。
【0043】
回収部材1の内部には挿通空間6を設け、回収部材1の基部側に設けた基部側挿入口7から、軸棒形状の挿入体8を挿入する構成としているので、回収部材1の一対の開口部3に挿入した縫合糸5を挿入体8の外周面と回収部材1の内周面とにより縫合糸5を体外に引き出すことができ、体外での縫合糸5の連結作業を容易にできる。
回収部材1の先端は先端壁9で閉塞し、先端壁9より基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に対峙するように設けているので、回収部材1に挿入した挿入体8は回収部材1の先端壁9に当接して回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
【0044】
また、図1Cの他の実施形態では、回収部材1の開口部3より先側は、挿通空間6に挿入した挿入体8の先端部10が嵌合する嵌合部11Aに形成しているので、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の先端の嵌合部11Aに嵌合して嵌合部11Aの上下両面と先端壁9の内面とにより回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
挿入体8の先端部10と回収部材1の当接部(嵌合部11A)11とは、相対的に、先端部10の外面が当接部11の内面に密に嵌合して当接部(嵌合部11A)11内に位置する縫合糸5の抜落を防止する構成としているので、回収部材1に挿入した挿入体8の先端部10は回収部材1の当接部11に当接(嵌合)して回収部材1内の縫合糸5を挟持することができ、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
【0045】
回収部材1の開口部3より基部側部分は、挿入体8を挿入する挿入部15とし、挿入部15の内径は挿入体8の外径より大径に形成しているので、回収部材1への挿入体8の挿入を容易かつ円滑に行え、挿入体8の先端部10の回収部材1の先端部10への嵌合を容易にでき、縫合糸5の体外への引き出し作業を容易にでき、体外での縫合糸5の結紮作業を容易にできる。
回収部材1の開口部3は、少なくとも、ニードル16と縫合糸5を挿通する大きさを有して形成するが、半月板Hを貫通する縫合糸5を装着したニードル16が通過できる大きさに構成しているので、回収部材1の開口部3にニードル16ごと縫合糸5を通すことができ、縫合糸5の回収部材1への挿入を容易にする。
【0046】
内部に挿通空間6を設けた中空の所定長さを有する直線状の回収部材1の先端を、先端壁9で閉塞し、先端壁9より所定長さ回収部材1の基部側の回収部材1に回収部材1の長さ方向に所定長さを有する開口部3を、回収部材1の長さ方向に対して交差方向に対峙するように設け、開口部3は縫合糸5またはニードル16を挿入しうる大きさに開口させ、回収部材1の基部側には挿入体8を挿入する基部側挿入口7を形成し、回収部材1の開口部3より先側は、挿通空間6に挿入した挿入体8の先端部10が嵌合する当接部11に形成しているので、半月板Hの裏側に形成した進入路に体外から回収部材1の当接部11を挿入し、半月板Hの断裂部損傷部Dの奥側に回収部材1の開口部3を位置させ、一方、半月板Hの表側の進入路から半月板Hの損傷部Dを貫通させるように取付用筒16Aを関節包に当て、ニードル(針16B)16および縫合糸5を半月板および関節内に進入させ、ニードル16と縫合糸5の何れか一方または両方を回収部材1の開口部3に貫通させ、同様に、もう一本の縫合糸5を開口部3に貫通させ、2本の縫合糸5の先端を回収部材1外に残した状態で、回収部材1の挿通空間6に挿入体8を挿入し、回収部材1の当接部11に挿入体8の先端部10を密に嵌合させ、2本の縫合糸5の先端ごと、回収部材1を体外に引き出し、取り出した2本の縫合糸5を連結し、ループ状の縫合糸5の基部を引いて、2本の縫合糸5により半月板Hの損傷部Dを縫合する。
【0047】
半月板Hの奥側に挿入した、回収部材1の外径より大径の直線状の中空筒状のケーシング20に、回収部材1を挿入可能に構成しているので、半月板Hの患部(断裂部損傷部D)に平行状態にケーシング20を挿入し、このケーシング20に回収部材1を挿入させ、ケーシング20の先端より先側に回収部材1の開口部3を突出させて、回収部材1の開口部3に縫合糸5またはニードル16を挿入して、回収部材1の先端に縫合糸5の先端を係止させ、この状態でケーシング20を体内に留置させたまま、回収部材1を体外に取り出し、縫合糸5を体外に引き出して体外での縫合糸5の結紮作業を行うことができる。
そして、再び、ケーシング20に回収部材1を挿入すると、半月板Hの近傍に回収部材1の開口部3を位置させて、縫合糸5の回収部材1への係止させて、半月板Hの損傷部Dの縫合作業を容易に反復させることができる。
【0048】
挿入体8は、回収部材1の挿通空間6に挿入した際に、回収部材1の先端部10まで挿入体8の先端が届くように、ビニル・シリコン等の柔軟性と剛性を有する素材で形成しているので、挿入体8の挿入を容易に行うことができる。回収部材1の開口部3は幅が1~2ミリメートルで長さが12~20ミリメートルの長方形のスリット形状に形成しているので、交差方向からの縫合糸5の挿入を容易にすることができる。
先端に開口部3を有し縫合糸5を挿通する回収部材1を、取付ける取付筒23を設けた一方側ハンドル24と、半月板Hの損傷部D付近に縫合糸5を挿通誘導するニードル筒16Aを、取付ける取付筒取付筒25を設けた他方側ハンドル26とを固定具固定具27により固定してハンドル30を構成しているので、ハンドル30を持って、回収部材1に挿入体8の挿入作業をすることができ、挿入体8の挿入作業を容易にする。
【0049】
取付筒23と取付筒25とは、半月板H付近の所定位置に回収部材1の開口部3が位置する状態で、開口部3に交差するようにニードル16の先端を位置させるように、互いに配置させているので、ハンドル30に取付けた回収部材1とニードル16とは互いに体内で交差するように位置決めされ、回収部材1およびニードル16の挿入作業を容易にする。すなわち、ハンドル30は、前記取付筒23を有する一方側ハンドル一方側ハンドル24と、一方側ハンドル24に移動自在に取付ける他方側ハンドル他方側ハンドル26とにより構成し、一方側ハンドル24の基部と他方側ハンドル26の基部とを重ねて固定ネジ留め具35により固定するので、ハンドル30の長さの長短切替調節が可能となって、操作性・作業性を向上させられる。
【0050】
ハンドル30の取付筒23と取付筒25とは、半月板H付近の所定位置に回収部材1の開口部3が位置する状態で、開口部3に交差するようにニードル16の先端を位置させるように、互いに配置させているので、予め、半月板Hの損傷部Dに対して縫合糸5が挿入されるであろう予測された位置を設定し、この設定箇所に回収部材1の開口部3が位置するように、ハンドル30の取付筒23の向きを設定し、次に、回収部材1の開口部3が位置するであろう位置にニードル16の先端が挿入されるであろう角度に他方側ハンドル26の取付筒25が位置するように、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26を組み合わせて固定する。
【0051】
したがって、体外で予め、半月板Hの損傷部Dと回収部材1の開口部3とニードル16の先端位置との配置関係をシミュレーションすることができ、このシミュレーションに基づいて、回収部材1と筒16を関節包に接しさせニードル16内に挿入し、回収部材1の開口部3にニードル16から縫合糸5を挿入係止させればよいので、縫合作業を頗るように短時間で行うことができる。半月板の断裂を修復するためのシステムであって、回収部材1と筒16とハンドル30とを含む半月板修復テバイスであって、回収部材1は、その内部に挿通空間6を有し、挿通空間6内に挿入配置される挿入体8を有し、挿入体8は回収部材1の挿通空間6を通って進入可能であり、ニードル16は、組織に少なくとも部分的に通されるように構成される、ある長さの縫合糸5を含み、縫合糸5は、ニードル16内へと装着され、ニードル16内から進出した縫合糸5は回収筒1の開口部3を通って回収筒1外に突出した状態で挿入体8により保持され、保持された縫合糸5は回収筒1と共に体内から取り出されるように構成され、ハントド30は、回収筒1を回収筒1の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒23と、取付筒23を取付けた一方側ハンドル24と、ニードル16をニードル16の長さ方向に移動させて所望位置にて固定する取付筒25と、取付筒25を取付けた一方側ハンドル24とを有し、一方側ハンドル24と他方側ハンドル26の取付位置を変更してニードル16から進出した縫合糸5が回収筒1の開口部3に向かうようにした位置決め器具Kと、を含む、システムとしているので、半月板Hの縫合を容易にすることができる。
【0052】
すなわち、まず、MRI検査で膝内の半月板Hの損傷部Dの箇所を検知する。この結果に基づいて、回収筒1のハンドル30の一方側ハンドル24の取付筒23への挿入深さを決定する。
次に、ハンドル30の取付筒23に装着した回収部材1の開口部3に対して、直線状に縫合糸5の先端が位置するように、ハンドル30の他方側ハンドル26の取付筒25へのニードル16の挿入深さを決定する。この状態では、ハンドル30の一方側ハンドル24の取付筒23の向きと、他方側ハンドル26の取付筒25との向きが決定され、回収部材1とハンドル30とニードル16とは 、ニードル16と縫合糸5の先端を、そのまま伸ばすと、回収部材1の開口部3に挿入される状態となるように、配置される。
これにより、体外にて関節包内の半月板Hの損傷部Dの箇所への縫合用の器具のハンドル30と回収部材1とニードル16のアプローチのシュミュレーションを簡単に行える。
【符号の説明】
【0053】
1…回収部材、3…開口部、5…縫合糸、6…挿通空間、6A…嵌合溝、7…基部側挿入口、8…挿入体、9…先端壁、10…先端部、11…当接部、11A…嵌合部、12…治具、12A…突起、13…治具、13A…挿入溝、13B…弯曲面、15…挿入部、16…ニードル、16A…取付用筒、16B…針、17…挿通空間、18…連結部、20…ケーシング、23…取付筒、24…一方側ハンドル、25…取付筒、26…他方側ハンドル、27…固定具、30…ハンドル、33…留め具、35…留め具、D…損傷部、H…半月板、S…関節包。
【要約】
【課題】従来、ケースに2本のニードルを設け、2本のニードルを半月板に差し込み挿入し、この状態で2本のニードルの一方に先端をループ状に形成した縫合糸を挿通し、他方のニードルに直線状の縫合糸を挿通し、関節包内で一方の縫合糸のループに他方の直線縫合糸を通して行う縫合の方法が開示され、公知であるが、関節包内で一方の縫合糸のループに他方の直線縫合糸を通すことが非常に困難であり、縫合作業に時間を要し、患者の負担が大きいという課題がある。また、2本のニードルを平行状態のまま半月板に差し込み挿入するので、半月板を縫合しうる部位が限定されるという課題がある。
【解決手段】半筒状あるいはへら形状の所定長さを有する直線状または弯曲形状の回収部材1の先端部に、回収部材1の長さ方向に対する交差方向に開口する開口部3を設けた縫合用の器具。
【選択図】 図3
図1
図2
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