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特許7549404薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法、装置、及びコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法、装置、及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20240904BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
A61M5/168 520
A61M5/172
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023510404
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2021008629
(87)【国際公開番号】W WO2022035057
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0101685
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523049225
【氏名又は名称】イオフロー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EOFLOW CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンファン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨンジン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105636(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法であって、
薬液注入装置の注入口詰まり(occlusion)が発生したことに応答して、前記薬液注入装置の注入エラーを検知するステップと、
前記注入エラーが検知されたことに応答して、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するステップと
を含み、
前記決定するステップは、
インスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に基づいて、インスリン注入基準時間を計算するステップと、
現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び前記インスリン注入基準時間に基づいて前記非活性化の時間を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法であって、
薬液注入装置との通信エラーが発生したことに応答して、前記薬液注入装置の注入エラーを検知するステップと、
前記注入エラーが検知されたことに応答して、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するステップと、
を含み、
前記決定するステップは、
前記通信エラーが発生した通信エラー発生時間を取得するステップと、
現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び前記通信エラー発生時間に基づいて前記非活性化の時間を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項3】
薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する装置であって、
少なくとも1つのプログラムが保存されたメモリと、
前記少なくとも1つのプログラムを実行することによって演算を行うプロセッサと
を含み、
前記プロセッサは、
薬液注入装置の注入口詰まり(occlusion)が発生したことに応答して、前記薬液注入装置の注入エラーを検知し、前記注入エラーが検知されたことに応答して薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するものであり、
前記プロセッサは、さらに、
インスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に基づいて、インスリン注入基準時間を計算し、
現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び前記インスリン注入基準時間に基づいて前記非活性化の時間を決定するものである、
装置。
【請求項4】
薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する装置であって、
少なくとも1つのプログラムが保存されたメモリと、
前記少なくとも1つのプログラムを実行することによって演算を行うプロセッサと
を含み、
前記プロセッサは、
薬液注入装置との通信エラーが発生したことに応答して、前記薬液注入装置の注入エラーを検知し、前記注入エラーが検知されたことに応答して薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するものであり、
前記プロセッサは、さらに、
前記通信エラーが発生した通信エラー発生時間を取得し、
現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び前記通信エラー発生時間に基づいて前記非活性化の時間を決定するものである、
装置。
【請求項5】
薬液注入装置の注入口詰まり(occlusion)が発生したことに応答して、前記薬液注入装置の注入エラーを検知するステップと、
前記注入エラーが検知されたことに応答して、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するステップと
を行うようにするプログラムであって、
前記決定するステップは、
インスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に基づいて、インスリン注入基準時間を計算するステップと、
現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び前記インスリン注入基準時間に基づいて前記非活性化の時間を決定するステップと、
を含む、前記プログラムが保存された1つ又は複数のコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項6】
薬液注入装置との通信エラーが発生したことに応答して、前記薬液注入装置の注入エラーを検知するステップと、
前記注入エラーが検知されたことに応答して、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するステップと
を行うようにするプログラムであって、
前記決定するステップは、
前記通信エラーが発生した通信エラー発生時間を取得するステップと、
現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び前記通信エラー発生時間に基づいて前記非活性化の時間を決定するステップと
を含む、前記プログラムが保存された1つ又は複数のコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法、装置、及びコンピュータプログラム製品を提供する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、インスリンの分泌量が不足したりして、正常な機能が行われず、血糖が正常範囲外の兆候を引き起こす代謝障害である。糖尿病は、失明、腎不全、心不全、神経障害などの合併症により人体各組織に影響を及ぼす可能性がある複合病であり、糖尿病患者数は毎年増加しているという。
【0003】
糖尿病の場合、血糖測定器を用いて血糖を測定し、食事療法、運動プログラム、インスリン注射、経口糖尿薬などの適切な手段によって血糖を管理する必要がある。
【0004】
近年では、薬液注入装置が異常な理由により廃棄された場合、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を把握することができないため、これを解決するための技術が求められる実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法、装置、及びコンピュータプログラム製品を提供することにある。本実施形態が解決しようとする技術的課題は、上記の技術的課題に限定されず、以下の実施形態から他の技術的課題を推論することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するための技術的手段として、本開示の第1の態様は、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法であって、薬液注入装置の注入エラーを検知するステップと、前記注入エラーが検知されたことに応答して、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するステップとを含む、方法を提供することができる。
【0007】
本開示の第2の態様は、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する装置であって、少なくとも1つのプログラムが保存されたメモリと、前記少なくとも1つのプログラムを実行することによって演算を行うプロセッサとを含み、前記プロセッサは、薬液注入装置の注入エラーを検知し、前記注入エラーが検知されたことに応答して薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するものである、装置を提供することができる。
【0008】
本開示の第3の態様は、薬液注入装置の注入エラーを検知するステップと、前記注入エラーが検知されたことに応答して、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定するステップとを行うようにするプログラムが保存された1つ又は複数のコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含むコンピュータプログラム製品を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
上述した本開示の課題を解決するための手段によれば、薬液注入装置が異常な理由により廃棄された場合、一定時間薬液注入量計算機を非活性化させることにより、インスリンの過多/過少注入リスクを事前に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ユーザ端末、コントローラ、及び薬液注入装置を含むインスリン管理システムのブロック図である。
図2A図2Aは、一実施形態による薬液注入量計算機の設定方法を説明するための例示的な図である。
図2B図2Bは、一実施形態による薬液注入量計算機の設定方法を説明するための例示的な図である。
図3図3は、一実施形態による薬液注入装置の使用及び廃棄状況を説明するための例示的な図である。
図4図4は、一実施形態による薬液注入装置の注入口詰まりが発生した場合を説明するための図である。
図5図5は、一実施形態による薬液注入装置の注入口詰まりが発生した場合の薬液注入量計算機の非活性化の時間を計算する方法を示すフローチャートである。
図6図6は、一実施形態による薬液注入装置の通信エラーが発生した場合を説明するための図である。
図7図7は、一実施形態による薬液注入装置の通信エラーが発生した場合の薬液注入量計算機の非活性化の時間を計算する方法を示すフローチャートである。
図8図8は、一実施形態による薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法及び装置を提供することができる。本発明の方法は、薬液注入装置の注入エラーを検知し、注入エラーが検知されたことに応答して薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定することができる。
【0012】
以下では、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明は様々な異なる形態で実装することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されない。なお、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて類似の部分には類似の図面符号を付けた。
【0013】
本明細書全体において、ある部分が他の部分と「接続」されているとする場合、これは「直接的に接続」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に接続」されている場合も含む。さらに、ある部分がある構成要素を「含む」と言う場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0014】
以下、添付の図面を参照して本開示を詳細に説明する。
【0015】
図1は、ユーザ端末、コントローラ、及び薬液注入装置を含むインスリン管理システムのブロック図である。
【0016】
ユーザ端末1000は、有無線通信環境でウェブサービスを利用することができる通信端末を意味する。例えば、ユーザ端末1000は、スマートフォン、タブレットPC、PC、スマートTV、携帯電話、PDA(personal digital assistant)、ラップトップ、メディアプレーヤー、マイクロサーバ、GPS(global positioning system)装置、電子書籍端末、デジタル放送用の端末、ナビゲーション、キオスク、MP3プレーヤー、デジタルカメラ、家電機器、カメラを搭載したデバイス、及び他のモバイル又は非モバイルコンピューティングデバイスであり得る。また、ユーザ端末1000は、通信機能及びデータ処理機能を備えた時計、メガネ、ヘアバンド、リングなどのウェアラブルデバイスであってもよい。しかしながら、上述したようにインターネット通信が可能なアプリケーションを搭載した端末は制限なく借用することができる。
【0017】
ユーザ端末1000は、予め登録されたコントローラ2000と一対一で接続されてもよい。また、ユーザ端末1000は、外部装置からの制御を防ぐためにコントローラ2000からデータを受信することができる。ユーザ端末1000は、予め設定された範囲内で設定情報、例えばシステム時間情報をコントローラ2000に送信することができる。
【0018】
コントローラ2000は、薬液注入装置3000とデータを送受信する機能を行い、薬液注入装置3000にインスリンなどの薬液の注入に関する制御信号を送信し、薬液注入装置3000から血糖等の生体値の測定に関する制御信号を受信することができる。
【0019】
コントローラ2000は、薬液注入装置3000にユーザの現在の状態を測定するよう指示要求を送信し、指示要求に応答して薬液注入装置3000から測定データを受信することができる。
【0020】
この際、薬液注入装置3000は、ユーザの血糖値、血圧、心拍数などの生体値を測定する機能を行うこともあるが、ユーザに注入すべきインスリン、グルカゴン、麻酔薬、鎮痛剤、ドーパミン、成長ホルモン、禁煙補助剤などの薬液を注入する機能を行うこともできる。
【0021】
薬液注入装置3000は、定期的にユーザに注入すべき物質を保管するための貯蔵部をさらに含むことができ、コントローラによって生成された注入信号に従って注入すべき注入量が貯蔵部から注入されるように制御されることができる。
【0022】
この際、薬液注入装置3000は、測定値及び注入量などの情報をコントローラ2000に送信することができる。薬液注入装置3000は、選択的に装置状態メッセージ、生体値の測定メッセージ、薬液注入メッセージなどをコントローラ2000に送信することができる。例えば、薬液注入装置3000は、装置のバッテリー残量情報、装置の起動に成功したかどうか、注入が成功したかどうかなどを含む装置状態メッセージをコントローラ2000に送信することができる。コントローラ2000に送信されたメッセージは、コントローラ2000を介してユーザ端末1000に送信されることができる。あるいは、コントローラ2000は、受信したメッセージを処理した改良データをユーザ端末1000に送信することができる。
【0023】
薬液注入装置3000も、事前に登録されたコントローラとのみ通信可能であるように実装することができる。また、薬液注入装置3000は、ハードウェア的に、ユーザの血糖値、血圧、心拍数などの生体値を測定する機能を行う測定装置と、インスリン、グルカゴン、麻酔薬などの薬液を注入する機能を行う注入装置に分けることができる。すなわち、測定装置と注入装置が独立して存在することもできる。コントローラ2000は、注入装置及び測定装置とそれぞれ接続され、測定装置を介して測定された測定値に基づいて注入装置に対する制御信号を生成して提供することができる。
【0024】
一方、ユーザ端末1000、コントローラ2000、及び薬液注入装置3000は、ネットワークを用いて通信を行うことができる。例えば、ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイドエリアネットワーク(Wide Area Network:WAN)、付加価値通信ネットワーク(Value Added Network:VAL)、移動無線通信ネットワーク(mobile radio communication network)、衛星通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせを含み、各ネットワーク構成主体が互いにシームレスに通信することができるようにする包括的な意味のデータ通信ネットワークであり、有線インターネット、無線インターネット、及びモバイル無線通信ネットワークを含むことができる。また、無線通信は、例えば、無線LAN(Wi-Fi、登録商標)、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth low energy)、ジグビー(ZigBee、登録商標)、WFD(Wi-Fi Direct)、超広帯域無線通信(ultra wideband:UWB)、赤外線通信(infrared Data Association:IrDA)、近距離無線通信(Near Field Communication:NFC(登録商標))などがあるが、これに限定されるものではない。
【0025】
図2A図2Bは、一実施形態による薬液注入量計算機の設定方法を説明するための例示的な図である。
【0026】
図1のユーザ端末1000、コントローラ2000、又は薬液注入装置3000には薬液注入量計算機を搭載することができる。薬液注入量計算機は、基礎注入とは別にユーザに注入されるべきインスリンの量を計算する計算機であり得る。例えば、薬液注入量計算機は、食物や軽食の摂取のために上昇する血糖を下げるために必要なインスリン量を計算することができる。さらに、薬液注入量計算機は、高血糖を正常血糖範囲内に下げるのに必要なインスリン量を計算することができる。
【0027】
上述のように、インスリンの基礎注入とは別に、食物摂取又は高血糖を下げる必要があるときに注入するインスリンをボーラスと呼ぶことができる。薬液注入量計算機はボーラス計算機と呼ぶことができ、ボーラス計算機はボーラス注入量を計算することができる。
【0028】
ボーラス注入量は様々な値によって決定することができる。例えば、ボーラス注入量は、現在の血糖値、炭水化物対インスリン比、補正係数、目標血糖値、以前のボーラス注入量の中に体内活性化時間が残っているインスリン量(Insulin On Board(IOB)、Bolus on Board(BOB)又はActive Insulin)、補正閾値、活動量、摂取した食物の種類と量などによって決定することができる。
【0029】
補正係数は、ボーラスインスリン1Unitが下げることができる血糖値を示す値です。補正係数の範囲は1~400mg/dl/Uであり、1mg/dl/Uずつ調整することができる。補正閾値は、血糖調節のためにインスリン注入が必要であると判断される最高血糖値を意味し得る。
【0030】
ボーラス計算機は、ユーザ個人のボーラスのプロフィール設定値、現在の血糖値、摂取した炭水化物量、及び体内インスリン残量(IOB)に基づいてボーラス注入量を計算することができる。
【0031】
具体的には、ボーラスのプロフィール設定値は、目標血糖、炭水化物対インスリン比、補正係数、インスリン持続時間によって決定することができる。現在の血糖値は、10分以内に測定された血糖値を意味する。
【0032】
図2Aを参照すると、ユーザは薬液注入量計算機に現在の血糖値210を入力することができる。ユーザは、摂取した炭水化物量に関する入力を省略することができる。ユーザは、mg/dl単位で現在の血糖値210を入力することができる。例えば、ユーザは現在の血糖値210として220mg/dlを入力することができる。薬液注入量計算機は、現在の血糖値210に基づいてボーラス注入量231として2.00Uを計算することができる。現在の血糖値210として入力することができる単位はmmol/lであり得るが、上述の単位例に限定されない。
【0033】
図2Bを参照すると、ユーザは、薬液注入量計算機に現在の血糖値210及び摂取した炭水化物量220を入力することができる。ユーザは、mg/dl単位で現在の血糖値210を入力することができ、g単位で摂取した炭水化物量220を入力することができる。例えば、ユーザは、現在の血糖値210として220mg/dlを入力し、摂取した炭水化物量220として20gを入力することができる。薬液注入量計算機は、現在の血糖値210及び摂取した炭水化物量220に基づいてボーラス注入量232として1.30Uを計算することができる。
【0034】
図3は、一実施形態による薬液注入装置の使用及び廃棄状況を説明するための例示的な図である。
【0035】
薬液注入装置310は、ユーザの体に取り付けられた状態でユーザに薬液を注入することができる。薬液注入装置310の貯蔵部には所定量のインスリンが貯蔵される。
【0036】
一実施形態では、コントローラ(図示せず)に薬液注入量計算機を搭載することができる。薬液注入装置310は、コントローラ(図示せず)とデータを送受信することができる。コントローラ(図示せず)は、薬液注入量計算機で計算されたボーラス注入量データを薬液注入装置310に送信し、薬液注入装置310は、ボーラス注入量に基づいて、貯蔵部に貯蔵されたインスリンをユーザに注入することができる。
【0037】
別の実施形態では、薬液注入装置310に薬液注入量計算機を搭載することができる。薬液注入装置310は、薬液注入量計算機で計算されたボーラス注入量に基づいて、貯蔵部に貯蔵されたインスリンをユーザに注入することができる。
【0038】
一方、薬液注入装置310は様々な理由で廃棄することができる。例えば、貯蔵部に貯蔵されたインスリンを使い切ったり、薬液注入装置310の使用期間が満了したり、インスリン注入エラーが検出された場合、薬液注入装置310は廃棄されることができる。
【0039】
具体的には、貯蔵部に貯蔵されたインスリンが予め設定された閾値以下になると、薬液注入装置310を廃棄することができる。また、薬液注入装置310が作動してから所定の期間が経過した場合、薬液注入装置310を廃棄することができる。
【0040】
また、薬液注入装置310は、薬液注入装置310の注入口詰まり(occlusion)が発生したことに応答して注入エラーを検知することができる。コントローラ(図示せず)と薬液注入装置310との間の通信エラーが発生したことに応答して、注入エラーを検知することができる。注入エラーが発生する状況の具体的な説明は、図5及び図6で後述する。
【0041】
あるいは、ユーザは、薬液注入装置310を廃棄する必要がある場合、薬液注入装置310を廃棄後に体から脱着することができる。
【0042】
一方、図2A図2Bで上述したように、薬液注入量計算機でボーラス注入量を計算するためには、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を知っておく必要がある。薬液注入装置310は様々な理由によって廃棄することができる。薬液注入装置310が正常な理由によって廃棄された場合、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を把握することができ、一方、薬液注入装置310が異常な理由によって廃棄された場合、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を把握することができない。これにより、薬液注入装置310が異常な理由により廃棄された場合には一定時間薬液注入量計算機を非活性化させることにより、インスリンの過多/過少注入リスクを予め防止することができる。
【0043】
薬液注入装置310の廃棄理由によって、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定することができる。薬液注入装置310が正常な理由によって廃棄された場合、薬液注入量計算機は別の非活性化の時間なしで動作することができる。例えば、貯蔵部に貯蔵されたインスリンを使い切ったりして、薬液注入装置310の使用期間が満了して薬液注入装置310が廃棄された場合、薬液注入量計算機は別の非活性化の時間なしで動作することができる。
【0044】
薬液注入装置310が異常な理由によって廃棄された場合、薬液注入量計算機は一定の非活性化の時間後に動作することができる。具体的には、薬液注入装置310に注入エラーが検知された場合、薬液注入量計算機は一定の非活性化の時間後に動作することができる。例えば、薬液注入装置310の注入口詰まりが発生した場合、又はコントローラ(図示せず)と薬液注入装置310との間の通信エラーが発生した場合、薬液注入量計算機は一定の非活性化の時間後に動作することができる。
【0045】
図4は、一実施形態による薬液注入装置の注入口詰まりが発生する場合を説明するための図である。
【0046】
図4を参照すると、薬液注入装置1は、外側をカバーするハウジング5と、ユーザの皮膚に貼り付けられる接着部6とを備えることができる。薬液注入装置1は、ハウジング5と接着部6との間の内部空間に複数の部品が配置される。
【0047】
薬液注入装置1は、ベース本体50、ニードルアセンブリー100、貯蔵部201、駆動部300、駆動ユニット400、クラッチユニット500、トリガ部材600及びバッテリー700を含むことができる。
【0048】
ベース本体50はハウジング5の基本フレームを形成し、ハウジング5の内部空間に取り付けられる。ベース本体50は複数個に備えることができる。一実施形態では、内部部品の上側をカバーする第1本体50aと、内部部品の下側をカバーする第2本体50bとを備えることができる。第1本体50aと第2本体50bとは組み立てられており、薬液注入装置1の内部部品を予め設定された位置に固定することができる。別の実施形態では、ベース本体は一体型の1つのフレームで形成することができる。
【0049】
貯蔵部201はベース本体50に取り付けられ、ニードルアセンブリー100と流体的に接続されている。貯蔵部201の内部では、プランジャ(図示せず)が線形移動し、薬液をニードルNに排出することができる。
【0050】
駆動部300は、駆動力を生成し、駆動ユニット400に駆動力を伝達することができる。駆動ユニット400によって伝達された駆動力は、プランジャ(図示せず)を貯蔵部201内部に線形移動させて薬液を排出することができる。
【0051】
駆動部300は、電気によって薬液吸入力と薬液吐出力とを有するあらゆる種類のポンプを使用することができる。例えば、機械変位型マイクロポンプや電磁運動型マイクロポンプなどのあらゆる種類のポンプを使用することができる。機械変位型マイクロポンプは、ギヤやダイヤフラムなどの固体又は流体の動きを利用して、流体の流れを誘導するために圧力差を引き起こすポンプであり、容積式ダイヤフラムポンプ(Diaphragm displacement pump)、容積式流体ポンプ(Fluid displacement pump)、回転ポンプ(Rotary pump)などがある。電磁運動型マイクロポンプは、電気的又は磁気的形態のエネルギーを直接流体の移動に利用するポンプであり、電気流体力学ポンプ(Electro hydrodynamic pump:EHD)、電気浸透式ポンプ(Electro osmotic pump)、磁気流体力学ポンプ(Magneto hydrodynamic pump)、エレクトロウェッティングポンプ(Electro wetting pump)などがある。
【0052】
駆動部300は、クラッチユニット500によって駆動ユニット400が接続されると(engaged)、駆動ユニット400の駆動輪を回転させ、駆動輪の回転により、ロッドが線形移動してプランジャ(図示せず)が貯蔵部201の内部で移動することができる。
【0053】
駆動部300は、カバー310の内部に配置された膜320を備えることができる。膜320は、駆動部300の内部空間を第1空間S1と第2空間S2とに区画することができる。駆動部300は、第1空間S1と第2空間S2との体積変化によって駆動軸330を線形移動することができる。
【0054】
一方、ニードルアセンブリー100のニードルNを介して貯蔵部201内の薬液を患者に注入する過程で、各種異物によって患者に薬液が注入される通路である注入口が詰まる場合が発生することがある。注入口は、ニードルNの内部通路、又はニードルNと貯蔵部201とを接続する薬液移動通路を含むことができるが、これらに限定されない。様々な異物によって注入口が詰まっていると、患者に必要な量の薬液が注入されないことがある。さらに、患者に薬液をまったく注入できない可能性がある。
【0055】
一実施形態では、薬液注入装置1は、駆動部300の駆動時間に基づいて注入口詰まりがあるかどうかを決定することができる。例えば、駆動部300の駆動時間が閾値を超えると、注入口が詰まったことと決定することができる。
【0056】
本発明の様々な実施形態によれば、薬液注入装置1は、薬液の排出経路に異物などによって詰まりが発生したか否かを決定することができ、これをユーザに知らせることで薬液注入装置1に問題が発生したことをユーザに通知することができる。
【0057】
薬液注入装置1の制御部は、薬液注入装置1の注入口に詰まりが発生したと決定すると、詰まりが発生したという状態情報を通知部に送信することができる。通知部は、制御部から状態情報を受信し、詰まりが発生したことを外部に出力することができる。例えば、通知部は、詰まりが発生したことを示す音を出力したりして、詰まりが発生したことを示す情報を外部装置に送信し得る。
【0058】
薬液注入装置1のユーザは、通知部を介して薬液注入装置1の注入口に詰まりが発生したという通知を受けた後、薬液注入装置1を廃棄することができる。薬液注入装置1の注入口詰まりが発生して薬液注入装置1が廃棄されたのは、異常な理由による廃棄に該当する。
【0059】
一実施形態では、薬液注入装置1は、注入口詰まりが発生したという状態情報をコントローラ(図示せず)に送信することができる。コントローラ(図示せず)は、注入口詰まりが発生したという状態情報を受信したことに応答して注入エラーを検知し、コントローラ(図示せず)に搭載された薬液注入量計算機を所定の時間非活性化することができる。別の実施形態では、薬液注入量計算機は薬液注入装置1に搭載されてもよい。
【0060】
図5は、一実施形態による薬液注入装置の注入口詰まりが発生した場合の薬液注入量計算機の非活性化の時間を計算する方法を示すフローチャートである。
【0061】
図5を参照すると、薬液注入装置510とコントローラ520は通信を行うことができる。コントローラ520は、スマートフォン、PCなどのユーザ端末に含まれる構成であってもよいし、ユーザ端末とは独立した構成であってもよい。一方、図5では、コントローラ520が薬液注入装置510と通信を行うように示しているが、コントローラ520は薬液注入装置510に含まれる構成であってもよい。以下では、薬液注入装置510とコントローラ520とがネットワークを介して通信を行うことを前提とする。
【0062】
コントローラ520には薬液注入量計算機を搭載することができる。薬液注入量計算機は、基礎注入とは別にユーザに注入されるべきインスリンの量を計算する計算機であり得る。例えば、薬液注入量計算機は、食物や軽食の摂取のために上昇する血糖を下げるために必要なインスリン量を計算することができる。さらに、薬液注入量計算機は、高血糖を正常血糖範囲内に下げるのに必要なインスリン量を計算することができる。
【0063】
薬液注入装置510は、ユーザの体に貼り付けられた状態でユーザに薬液を注入することができる。さらに、薬液注入装置510は様々な理由で廃棄することができる。具体的には、薬液注入装置510は、正常な理由又は異常な理由によって廃棄することができる。薬液注入装置510が正常な理由によって廃棄された場合、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を把握することができ、薬液注入量計算機は非活性化の時間なしで動作することができる。一方、薬液注入装置510が異常な理由によって廃棄された場合、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を把握することは困難であり、薬液注入量計算機は一定時間非活性化する必要がある。
【0064】
ステップ501において、薬液注入装置510は、注入口詰まりが発生したと決定することができる。例えば、薬液注入装置510は、ポンプを駆動させる駆動部の駆動時間に基づいて注入口が詰まっているかどうかを決定することができる。あるいは、薬液注入装置510は、ポンプを流れる電流が減少したことを検知したことに応答して注入口詰まりが発生したと決定することができる。注入口詰まりは注入エラーであり、薬液注入装置510の廃棄理由のうち異常な理由に該当する。
【0065】
ステップ502において、薬液注入装置510は、注入口詰まりが発生したという状態情報をコントローラ520に送信することができる。
【0066】
ステップ503において、コントローラ520は、薬液注入量計算機を非活性化するかどうかを決定することができる。具体的には、コントローラ520は、注入口詰まりが発生したという状態情報を受信したことに応答して、薬液注入量計算機を非活性化することと決定することができる。
【0067】
ステップ504において、コントローラ520は、薬液注入装置510に非活性化の時間を計算するためのデータを要求することができる。
【0068】
ステップ505において、薬液注入装置510は、コントローラ520にインスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に関する情報を送信することができる。
【0069】
ステップ506において、コントローラ520は薬液注入量計算機の非活性化の時間を計算することができる。コントローラ520は、インスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に関する情報を受信し、インスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に基づいてインスリン注入基準時間を計算することができる。さらに、コントローラ520は、現在時刻及び予め設定されたインスリン持続時間を取得することができる。
【0070】
一実施形態では、コントローラ520は、現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及びインスリン注入基準時間に基づいて、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定することができる。
【0071】
例えば、インスリン注入開始時間が13:00PMであり、インスリン注入終了時間が14:00PMである場合、コントローラ520は、インスリン注入開始時間とインスリン注入終了時間の平均値をインスリン注入基準時間として計算することができる。すなわち、インスリン注入基準時間は13:30PMとなる。
【0072】
コントローラ520は、インスリン注入基準時間にインスリン持続時間を加え、現在時刻を差し引くことによって非活性化の時間を決定することができる。例えば、インスリン注入基準時間が13:30PMであり、インスリン持続時間が5時間であり、現在時刻が15:00PMである場合、コントローラ520は薬液注入量計算機の非活性化の時間を3時間30分に決定することができる。すなわち、薬液注入量計算機は、現在時刻15:00PMから3時間30分後の18:30PMまで非活性化される。
【0073】
一方、図5のステップ504ないしステップ505を参照すると、コントローラ520は、薬液注入装置510からインスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に関する情報を受信することで説明したが、他の実施形態ではインスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に関する情報は、コントローラ520に保存された情報であり得る。この場合、コントローラ520は、別の情報要求ステップなしに、保存されたインスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に基づいてインスリン注入基準時間を計算し、さらに薬液注入量計算機の非活性化の時間を計算することができる。
【0074】
図6は、一実施形態による薬液注入装置の通信エラーが発生した場合を説明するための図である。
【0075】
コントローラ610と薬液注入装置620はネットワークを用いて通信を行うことができる。例えば、ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイドエリアネットワーク(Wide Area Network:WAN)、付加価値通信ネットワーク(Value Added Network:VAL)、移動無線通信ネットワーク(mobile radio communication network)、衛星通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせを含み、各ネットワーク構成主体が互いにシームレスに通信することができるようにする包括的な意味のデータ通信ネットワークであり、有線インターネット、無線インターネット、及びモバイル無線通信ネットワークを含むことができる。また、無線通信は、例えば、無線LAN(Wi-Fi)、ブルートゥース(Bluetooth)、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth low energy)、ジグビー(ZigBee)、WFD(Wi-Fi Direct)、超広帯域無線通信(ultra wideband:UWB)、赤外線通信(infrared Data Association:IrDA)、近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)などがあるが、これに限定されるものではない。
【0076】
ユーザ端末630を介してコントローラ610と薬液注入装置620との間の通信状態を表示することができる。これは例示に過ぎず、コントローラ610又は薬液注入装置620のディスプレイを介してコントローラ610と薬液注入装置620との間の通信状態を表示することもできる。
【0077】
一方、コントローラ610と薬液注入装置620との間の通信エラーが発生した場合、薬液注入装置620を廃棄することができる。コントローラ610と薬液注入装置620との間の通信エラーが発生して薬液注入装置620が廃棄されたことは、異常な理由による廃棄に該当する。
【0078】
一実施形態では、コントローラ610は、通信エラーが発生したことに応答して注入エラーを検知し、コントローラ610に搭載された薬液注入量計算機を所定の時間非活性化することができる。他の実施形態では、薬液注入量計算機は薬液注入装置620に搭載されてもよい。
【0079】
図7は、一実施形態による薬液注入装置の通信エラーが発生した場合の薬液注入量計算機の非活性化の時間を計算する方法のフローチャートである。
【0080】
図7を参照すると、薬液注入装置710とコントローラ720は通信を行うことができる。薬液注入装置710とコントローラ720の説明は図5と重複するので、ここでは省略する。
【0081】
薬液注入装置710は、ユーザの体に貼り付けられた状態でユーザに薬液を注入することができる。さらに、薬液注入装置710は様々な理由で廃棄することができる。具体的には、薬液注入装置710は、正常な理由又は異常な理由によって廃棄することができる。薬液注入装置710が正常な理由によって廃棄された場合、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を把握することができ、薬液注入量計算機は非活性化の時間なしで動作することができる。一方、薬液注入装置710が異常な理由によって廃棄された場合、実際にユーザに注入された正確なボーラス量を把握することは困難であり、薬液注入量計算機は一定時間非活性化する必要がある。
【0082】
ステップ701において、薬液注入装置710とコントローラ720は通信接続を試みることができる。
【0083】
ステップ702において、コントローラ720は、薬液注入装置710との通信接続が失敗した場合に通信エラーが発生したと決定することができる。具体的には、コントローラ720は薬液注入装置710と継続的に通信接続を試み、その結果、所定回以上通信接続が失敗した場合、コントローラ720は通信エラーが発生したと決定することができる。
【0084】
ステップ703において、コントローラ720は、薬液注入量計算機を非活性化するか否かを決定することができる。具体的には、コントローラ720は、通信エラーが発生したことに応答して薬液注入量計算機を非活性化することと決定することができる。
【0085】
ステップ704において、コントローラ720は、薬液注入量計算機の非活性化の時間を計算することができる。具体的には、コントローラ720は、現在時刻及び予め設定されたインスリン持続時間を取得することができる。また、コントローラ720は、ステップ702で通信エラーが発生したと決定したときを通信エラー発生時間として決定し得る。
【0086】
一実施形態では、コントローラ720は、現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び通信エラー発生時間に基づいて薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定することができる。
【0087】
例えば、通信エラー発生時間が14:00PMであり、インスリン持続時間が5時間であり、現在時刻が15:00PMである場合、コントローラ720は薬液注入量計算機の非活性化の時間を4時間に決定することができる。すなわち、薬液注入量計算機は現在時刻15:00PMから4時間後の19:00PMまで非活性化される。
【0088】
図8は、一実施形態による薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定する方法を示すフローチャートである。
【0089】
一実施形態では、コントローラに薬液注入量計算機を搭載することができる。薬液注入装置はコントローラとデータを送受信することができる。コントローラは、薬液注入量計算機で計算されたボーラス注入量データを薬液注入装置に送信し、薬液注入装置は、ボーラス注入量に基づいて、貯蔵部に貯蔵されたインスリンをユーザに注入することができる。一方、コントローラは、スマートフォン、PCなどのユーザ端末に含まれる構成であってもよいし、ユーザ端末とは独立した構成であってもよい。
【0090】
別の実施形態では、薬液注入装置に薬液注入量計算機を搭載することができる。 薬液注入装置は、薬液注入量計算機で計算されたボーラス注入量に基づいて、貯蔵部に貯蔵されたインスリンをユーザに注入することができる。
【0091】
以下では、薬液注入量計算機がコントローラに搭載されたことを前提とする。
【0092】
図8を参照すると、ステップ810で、コントローラは薬液注入装置の注入エラーを検知することができる。
【0093】
一実施形態では、コントローラは、薬液注入装置の注入口詰まりが発生したことに応答して注入エラーを検知することができる。
【0094】
別の実施形態では、コントローラは、薬液注入装置との通信エラーが発生したことに応答して注入エラーを検知することができる。
【0095】
ステップ820で、コントローラは、注入エラーが検知されたことに応答して、薬液注入量計算機の非活性化の時間を決定することができる。
【0096】
コントローラが薬液注入装置の詰まりが発生することによる注入エラーを検知した場合、コントローラはインスリン注入開始時間及びインスリン注入終了時間に基づいてインスリン注入基準時間を計算することができる。さらに、コントローラは、現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及びインスリン注入基準時間に基づいて非活性化の時間を決定することができる。
【0097】
コントローラが薬液注入装置との通信エラーが発生することによる注入エラーを検知した場合、コントローラは通信エラーが発生した通信エラー発生時間を取得することができる。さらに、コントローラは、現在時刻、予め設定されたインスリン持続時間、及び通信エラー発生時間に基づいて非活性化の時間を決定することができる。
【0098】
本開示の様々な実施形態は、機器(machine)によって読み取り可能な記憶媒体(storage medium)に記憶された1つ又は複数の命令を含むソフトウェア(例えば、プログラム)として実装することができる。例えば、機器のプロセッサは、記憶媒体から記憶された1つ又は複数の命令のうち少なくとも1つの命令を呼び出し、それを実行することができる。これにより、機器は、前記呼び出された少なくとも1つの命令に従って少なくとも1つの機能を行うように動作することを可能にする。前記1つ又は複数の命令は、コンパイラによって生成されたコード又はインタプリタによって実行可能なコードを含み得る。機器で読み取り可能な記憶媒体は、非一時的(non-transitory)記憶媒体の形態で提供し得る。ここで、「非一時的」とは、記憶媒体が実在(tangible)する装置であり、信号(signal)(例えば、電磁波)を含まないことを意味するだけであり、この用語は、データが記憶媒体に半永久的に記憶される場合と一時的に記憶される場合を区別しない。
【0099】
一実施形態によれば、本開示の様々な実施形態による方法は、コンピュータプログラム製品(computer program product)に含まれて提供され得る。コンピュータプログラム製品は、商品として販売者と購入者との間で取引することができる。コンピュータプログラム製品は、機器で読み取り可能な記憶媒体(例えば、読み取り専用コンパクトディスク(compact disc read only memory:CD-ROM))の形態で配布されるか、又はアプリケーションストア(例えば,プレイストアTM)を介して、又は2つのユーザ装置間で直接、オンラインで配布(例えば、ダウンロード又はアップロード)することができる。オンライン配布の場合、コンピュータプログラム製品の少なくとも一部は、メーカーのサーバ、アプリケーションストアのサーバ、又は中継サーバのメモリなどの機器で読み取り可能な記憶媒体に少なくとも一時的に記憶されるか、又は一時的に生成することができる。
【0100】
さらに、本明細書において、「部」は、プロセッサ又は回路などのハードウェア構成(hardware component)、及び/又はプロセッサなどのハードウェア構成によって実行されるソフトウェア構成(software component)であり得る。
【0101】
本実施例の範囲は、上記の詳細な説明のみではなく、後述する特許請求の範囲によって表され、特許請求の範囲の意味及び範囲並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8