(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】フェニルプロピオンアミド系化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 5/107 20060101AFI20240904BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20240904BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240904BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
C07K5/107
A61K38/07
A61P17/04
A61P25/04
(21)【出願番号】P 2022566488
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2021091547
(87)【国際公開番号】W WO2021219134
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】202010365940.6
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516304780
【氏名又は名称】メッドシャイン ディスカバリー インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】524151484
【氏名又は名称】クワンチョウ コンスン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ウェンタオ
(72)【発明者】
【氏名】リー ジューシャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ ウェンユェン
(72)【発明者】
【氏名】チン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シューフイ
【審査官】白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109280075(CN,A)
【文献】特表2019-517530(JP,A)
【文献】国際公開第2019/015644(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109280076(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記から選択される
、化合物又はその薬学に許容される塩。
【化1】
【請求項2】
kappa受容体アゴニストに関連する疾患を治療するための医薬の製造における、請求項
1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項3】
前記kappa受容体アゴニストに関連する医薬は疼痛及び痒みのための医薬であることを特徴とする、請求項
2に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は出願日が2020年4月30である中国特許出願CN202010365940.6の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
[技術分野〉
本発明は、疼痛及び痒みに関連する疾患を治療するための医薬の製造におけるフェニルプロピオンアミド系化合物の使用に関し、具体的には、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0002】
[背景技術]
本発明の化合物は、新しいkappaアゴニストであり、疼痛及び痒みに関連する疾患を治療するための医薬の製造における使用である。
【0003】
オピオイド受容体は、7つの膜にわたるGタンパク質共役受容体の重要なクラスであり、MOR、DOR、KOR、OLRなどのサブタイプを含み、脳、脊髄及び末梢全体に広く分布している。Kappaオピオイド受容体(KOR)は、ヒト染色体8q11.2にある単一遺伝子OPRKによってコードされる。MORと同様に、KORは脳、脊髄及び末梢神経で広く発現している。Kappaオピオイド受容体アゴニストは、少なくとも下記の2つの機序を通じて鎮痛効果を発揮することができる:(i)疼痛シグナルのニューロン輸送の直接阻害効果及び(ii)間接的な抗炎症効果。
【0004】
中枢作用型オピオイド受容体アゴニストは疼痛を阻害することができるが、鎮静、落ち着きのなさ及び尿量の増加などの局所的な副作用を伴う。末梢オピオイド受容体の活性化は、鎮痛効果を生み出し、中枢神経系の副作用を軽減することができる。このアプローチにより、従来の中枢性オピオイドによる疼痛緩和効果が確認されている。末梢制限性のKORアゴニストは血液脳関門を通過しないため、脳又は脊髄にあるKORに影響を与えない。末梢にあるkappa受容体に作用することで、中枢を介した副作用を起こすことなく、疼痛シグナルの伝達を減少することができる。
【0005】
[発明の概要]
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
【0007】
ただし、
R1は、C3-5シクロアルキル及び-C1-3アルキル-C3-5シクロアルキルから選択され、前記C3-5シクロアルキル及び-C1-3アルキル-C3-5シクロアルキルは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
R2は、
【0008】
【0009】
【化3】
は、任意選択で1、2又は3つのR
bにより置換され、
【0010】
L1は、-N(Re)-C(Rc)(Rd)-から選択され、窒素原子は、R3に連結され、炭素原子は、L1に連結され、
R3は、-C1-3アルキル-フェニルから選択され、前記-C1-3アルキル-フェニルは、任意選択で1、2又は3つのRfにより置換され、
Ra及びRfは、F、Cl、Br及びCH3から選択され、
Rbは、F、Cl、Br、NH2、COOH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、-C(=O)-C1-3アルキル及び-NH-C(=O)NH-C1-3アルキルから選択され、前記C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、-C(=O)-C1-3アルキル及び-NH-C(=O)NH-C1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのRにより置換され、
Rc及びRdは、それぞれ独立してH、NH2及びCH3から選択され、
Reは、H及びCH3から選択され、
Rは、F、Cl及びBrから選択される。
【0011】
本発明の一部の形態において、上記R1は、シクロプロピル、シクロペンチル及び-CH2-シクロプロピルから選択され、前記シクロプロピル、シクロペンチル及び-CH2-シクロプロピルは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0012】
本発明の一部の形態において、上記R1は、
【0013】
【化4】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0014】
本発明の一部の形態において、上記Rbは、F、Cl、Br、NH2、COOH、CH3、CF3、OCH3、-C(=O)-CH3及び-NH-C(=O)NH-CH3から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0015】
本発明の一部の形態において、上記R2は、
【0016】
【0017】
【化6】
は、任意選択で1、2又は3つのR
bにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0018】
本発明の一部の形態において、上記R2は、
【0019】
【化7】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0020】
本発明の一部の形態において、上記R3は、
【0021】
【0022】
【化9】
は、任意選択で1、2又は3つのR
fにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0023】
本発明の一部の形態において、上記R3は、
【0024】
【化10】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0025】
本発明の一部の形態において、上記L1は、-NH-CH2-から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
本発明の一部の形態において、上記R3-L1-は、
【0026】
【化11】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0027】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0028】
【0029】
ただし、
R1は、C3-5シクロアルキル及び-C1-3アルキル-C3-5シクロアルキルから選択され、前記C3-5シクロアルキル及び-C1-3アルキル-C3-5シクロアルキルは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
R2は、
【0030】
【0031】
【化14】
は、任意選択で1、2又は3つのR
bにより置換され、
【0032】
L1は、-C(Rc)(Rd)-及び-N(Re)-C(Rc)(Rd)-から選択され、
R3は、-C1-3アルキル-フェニルから選択され、前記-C1-3アルキル-フェニルは、任意選択で1、2又は3つのRfにより置換され、
Ra及びRfは、F、Cl、Br及びCH3から選択され、
Rbは、F、Cl、Br、NH2、COOH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ及び-C(=O)-C1-3アルキルから選択され、前記C1-3アルキル、C1-3アルコキシ及び-C(=O)-C1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのRにより置換され、
Rc及びRdは、それぞれ独立してH、NH2及びCH3から選択され、
Reは、H及びCH3から選択され、
Rは、F、Cl及びBrから選択される。
【0033】
本発明の一部の形態において、上記R1は、シクロプロピル、シクロペンチル及び-CH2-シクロプロピルから選択され、前記シクロプロピル、シクロペンチル及び-CH2-シクロプロピルは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0034】
本発明の一部の形態において、上記R1は、
【0035】
【化15】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0036】
本発明の一部の形態において、上記Rbは、F、Cl、Br、NH2、COOH、CH3、CF3、OCH3及び-C(=O)-CH3から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
本発明の一部の形態において、上記R2は、
【0037】
【0038】
【化17】
は、任意選択で1、2又は3つのR
bにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0039】
本発明の一部の形態において、上記R2は、
【0040】
【化18】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0041】
本発明の一部の形態において、上記R3は、
【0042】
【0043】
【化20】
は、任意選択で1、2又は3つのR
fにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0044】
本発明の一部の形態において、上記R3は、
【0045】
【化21】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0046】
本発明の一部の形態において、上記L1は、-CH2-、-CH(NH2)-及び-NH-CH2-から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
本発明の一部の形態において、上記R3-L1-は、
【0047】
【化22】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0048】
本発明一部の形態は、更に上記の各変量を任意に組み合わせることにより形成される。
本発明の一部の形態において、上記の化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記から選択される。
【0049】
【0050】
R1、R2及びR3は、本発明で定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又はエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0051】
本発明の一部の形態において、上記の化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記から選択される。
【0052】
【0053】
R1、R2及びR3は、本発明で定義された通りであり、
「*」の付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一エナンチオマー形態又はエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0054】
本発明は、更に下記の式で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0055】
【0056】
本発明の一部の形態において、上記の化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩は、下記から選択される。
【0057】
【0058】
本発明は、kappa受容体アゴニストに関連する疾患を治療するための医薬の製造における、上記の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明の一部の形態において、上記の使用は、前記kappa受容体アゴニストに関連する医薬が疼痛及び痒みのための医薬であることを特徴とする。
【0059】
[定義及び説明]
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0060】
本明細書で用いられる「薬学的許容される塩」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0061】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物の中性の形態と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウム塩あるいは類似の塩を含む。本発明で化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は、適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物の中性の形態と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えばアルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、上記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、上記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定的の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0062】
本発明の薬学的許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒あるいは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0063】
別途に説明しない限り、用語「異性体」とは、幾何異性体、シス-トランス異性体、立体異性体、エナンチオマー、光学異性体、エナンチオマー及び互変異性体を含むことを指す。
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、全てのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物並びに他の混合物、例えばエナンチオマー又は非エナンチオマーを多く含有する混合物を含み、全てのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキル等の置換基に他の不斉炭素原子が存在してもよい。全てのこれらの異性体及びこれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0064】
別途に説明しない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは互いに鏡像の関係にある立体異性体である。
別途に説明しない限り、用語「シス-トランス異性体」又は「幾何異性体」とは二重結合又は環構成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによるものである。
【0065】
別途に説明しない限り、用語「ジアステレオマー」とは分子が二つ又は複数のキラル中心を有し、かつ分子同士は非鏡像の関係にある立体異性体である。
別途に説明しない限り、「(D)」又は「(+)」は右旋性を意味し、「(L)」又は「(-)」は左旋性を意味し、「(DL)」または「(±)」はラセミ体を意味する。
【0066】
別途に説明しない限り、楔形実線結合(
【0067】
【0068】
【化28】
)で1つの立体中心の絶対配置を、棒状実線結合(
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
別途に説明しない限り、用語「1つの異性体に富む」、「異性体豊富な」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマー豊富な」とは、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、且つこの異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であることを意味する。
【0078】
別途に説明しない限り、用語「異性体過剰率」又は「エナンチオマー過剰率」とは、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対百分率の間の差を意味する。例えば、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が90%であり、もう1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマー過剰率(ee値)は80%である。
【0079】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体ならびにD及びL異性体は、不斉合成又はキラル試薬又はほかの通常の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の一つの鏡像異性体を得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて単離された所要の鏡像異体性を提供する。あるいは、分子に塩基性官能基(例えばアミノ)又は酸性官能基(例えばカルボキシル)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、さらに本分野で公知の通常方式の方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して単離された鏡像異体を得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を使用し、かつ任意の化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)併用する。
【0080】
本発明の化合物は、化合物を構成する一つまた複数の原子には、非天然の原子同位元素が含まれてもよい。例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。又、例えば重水素を水素に置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素で形成された結合は、通常の水素と炭素で形成された結合よりも強く、重水素化されていない薬物と比較して、重水素化された薬物には、毒性の副作用が軽減され、薬物の安定性が増し、治療効果が向上され、薬物の生物学的半減期が延ばされるという利点がある。本発明の化合物の同位体組成の変換は、放射性であるかいやかに関わらず、本発明の範囲に含まれる。
【0081】
用語「任意」また「任意に」は後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合によってその事項又は状況が乗じない場合を含むことを意味する。
【0082】
用語「置換された」は特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、置換基は重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基がケト基(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。ケト基置換は、芳香族基で生じない。用語「任意に置換される」は、置換されてもよく、置換されなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0083】
変量(例えばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れた場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、一つの基が0~2個のRで置換された場合、上記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRは独立して選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0084】
連結基の数が0である場合、例えば、-(CRR)0-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
置換基の数が0である場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、-A-(R)0は当該構造が実際に-Aとなることを表す。
【0085】
置換基がない場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-XのXがない場合、当該構造が実際にAとなることを表す。
そのうち一つの変量が単結合の場合、それで連結する2つの基が直接連結し、例えばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
【0086】
置換基の結合が環上の2つ以上の原子に交差結合できる場合、置換基は環上の任意の原子を通して結合することができ、例えば、構造単位
【0087】
【化37】
は、置換基Rがシクロヘキシルまたはシクロヘキサジエンの任意の位置で置換できることを示す。挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換された置換基が明示しない場合、このような置換基はその任意の原子を通して結合することができ、例えば、置換基としてのピリジニル基は、ピリジン環の任意の炭素原子を通して置換基に結合してもよい。
【0088】
挙げられた連結基がほかの連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意であり、例えば、
【0089】
【化38】
における連結基Lは-M-W-であり、この時-M-W-は左から右への読み取る順序と同じ方向に環Aと環Bを構成
【0090】
【化39】
することができ、また、左から右への読み取る順序と逆方向に環Aと環Bを構成
【0091】
【化40】
することもできる。上記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0092】
特に明記しない限り、ある基が一つ以上の結合可能な部位を有する場合、該基の任意の一つ以上の部位は、化学結合によって他の基に結合することができる。該化学結合の結合方式が非局在であり、且つ結合可能な部位にH原子が存在する場合、化学結合を結合すると、該部位のH原子の個数は、結合された化学結合の個数に応じて相応の価数の基に減少する。前記部位が他の基と結合する化学結合は、直線実線結合(
【0093】
【0094】
【0095】
【化43】
)で表すことができる。例えば、-OCH
3の直線実線結合は、該基の酸素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0096】
【化44】
中の直線の破線結合は、該基内の窒素原子の両端が他の基に結合されていることを意味する。
【0097】
【化45】
中の波線は、当該フェニルの部位1と2の炭素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0098】
【化46】
は、当該ピペリジニルの任意の結合可能な部位が1つの化学結合によって他の基に結合できることを意味し、少なくとも
【0099】
【化47】
の四つの結合形態を含み、H原子が-N-に描かれていても、
【0100】
【0101】
【化49】
この結合形態の基が含まれるが、1つの化学結合が接続されると、その部位のHは1つ減少して対応する一価ピペリジンになる。
【0102】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~3個の炭素原子で構成された飽和炭化水素を表す。前記C1-3アルキルにはC1-2とC2-3アルキルなどが含まれ、それは1価(例えばメチル)、2価(例えばメチレン)及び多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0103】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルコキシ」は酸素原子を介して分子の残り部分に連結した1~3個の炭素原子を含むアルキルを表す。前記C1-3アルコキシは、C1-2、C2-3、C3及びC2アルコキシなどが含まれる。C1-3アルコキシの実例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ(n―プロポキシ又はイソプロポキシを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0104】
別途に定義しない限り、「C3-5シクロアルキル」は3~5個の炭素原子から構成された環状飽和炭化水素であり、それは単環式環系を表し、上記C3-5シクロアルキルにはC3-4又はC4-5シクロアルキルなどが含まれ、それは1価、2価又は多価であってもよい。C3-5シクロアルキルの実例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0105】
別途に定義しない限り、Cn-n+m又はCn-Cn+mはn~n+m個の炭素の任意の一つの具体的な様態を含み、例えば、C1-12はC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、及びC12を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、C1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、及びC9-12等を含む。同様に、n員~n+m員は環における原子数がn~n+m個であることを表し、例えば、3~12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、及び12員環を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、3~12員環は3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、及び6~10員環等を含む。
【0106】
本発明の化合物の構造は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関する場合、絶対配置は、当業者の従来の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)、培養された単結晶はBruker D8 venture回折計によって収集され、光源はCuKα放射線、走査方法:φ/ω走査、関連データを収集した後、更に直接法は(Shelxs97)結晶構造解析により、絶対配置を確認できる。
【0107】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0108】
本発明に使用される溶媒は市販品から得ることができる。
本発明は以下の略語を使用する。aqは水を表し、HATUはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表し、eqは当量、等量を表し、DCMはジクロロメタンを表し、PEは石油エーテルを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、EtOAcは酢酸エチルを表し;EtOHはエタノールを表し、MeOHはメタノールを表し、CBzはアミン保護基であるベンジルオキシカルボニルを表し、BOCはアミン保護基であるtert-ブトキシカルボニルを表し、r.t.は室温を表し、O/Nは一晩行うことを表し、THFはテトラヒドロフランを表し、Boc2Oは二炭酸ジ―t-ブチルを表し、TFAはトリフルオロ酢酸を表し、DIPEAはジイソプロピルエチルアミンを表し、Pd2(dba)3はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを表す。
【0109】
化合物は本分野の通常の名称又はChemDraw(登録商標)ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用された。
[技術効果]
本発明の化合物は有意なKappa受容体アゴニスト効果を有し、ヒト及びSDラットの血漿において非常に高い血漿タンパク質非結合率を示し、本発明の化合物は関連する薬物間の相互作用リスクを有さなく、本発明の化合物は優れた薬物動態特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0110】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の不利な制限を意味するものではない。本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。当業者にとって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の特定の実施形態において様々な変更及び修正を行うことができることは明らかである。
【0111】
参照例1:中間体M1の合成
【0112】
【0113】
ステップ1:中間体M1-2の製造
化合物M1-1(1.1g、8.52mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、水酸化ナトリウム(408.80mg、10.22mmol)の水(10mL)溶液を加え、次に、二炭酸ジ-tert-ブチル(2.23g、10.22mmol)を加え、反応溶液を20℃で15時間撹拌し続けた。反応溶液に30mLの水を加え、飽和硫酸水素カリウム溶液でpHを約3に調節し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、抽出した後の有機相を合わせて、60mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、化合物M1-2を得、当該化合物を、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 5.09 - 5.07 (d, J =8.0 Hz, 1H), 4.28 - 4.26 (m, 1H), 1.63 - 1.53 (m, 2H), 1.32 (s, 9H), 0.70 - 0.58 (m, 1H), 0.42 - 0.32 (m, 2H), 0.05 - -0.05 (m, 2H)。
【0114】
下記の中間体は、中間体M1-2と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0115】
【0116】
ステップ2:中間体M1-3の製造
化合物M1-2(1.95g、8.51mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解させ、炭酸カリウム(1.41g、10.21mmol)及び臭化ベンジル(1.75g、10.21mmol)を加え、反応溶液を20℃で15時間撹拌し続けた。反応溶液を80mLの酢酸エチルで希釈し、順次に水(50mL×2)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:0~10%の酢酸エチル/石油エーテル)で分離・精製して化合物M1-3を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.38 - 7.25 (m, 5H), 5.12 (d, J =2.4 Hz, 2H), 4.40 - 4.36 (m, 1H), 1.64 - 1.60 (m, 2H), 1.39 (s, 9H), 0.68 - 0.56 (m, 1H), 0.46 - 0.29 (m, 2H), 0.07 - -0.08 (m, 2H)。
【0117】
下記の中間体は、中間体M1-3と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0118】
【0119】
ステップ3:中間体M1-4の製造
化合物M1-3(2.4g、7.51mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解させ、4Mの塩酸-酢酸エチル溶液(10mL)を加え、反応溶液を20℃で0.5時間反応し続けた。減圧して有機溶媒を除去し、粗生成物化合物M1-4の塩酸塩を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 7.32 - 7.19 (m, 5H), 5.19 - 5.08 (m, 2H), 4.02 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 1.82 - 1.54 (m, 2H), 0.70 - 0.55 (m, 1H), 0.47 - 0.32 (m, 2H), 0.08 - -0.09 (m, 2H)。
【0120】
下記の中間体は、中間体M1-4と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0121】
【0122】
ステップ4:中間体M1-5の製造
化合物M1-4の塩酸塩(1.9g、7.43mmol)及びBoc-D-フェニルアラニン(1.97g、7.43mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(2.88g、22.29mmol、3.88mL)及びHATU(4.24g、11.14mmol)を加え、反応溶液を20℃で16時間撹拌した。反応溶液を80mLの酢酸エチルで希釈し、水(40mL×2)及び飽和食塩水(50mL)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:10~25%の酢酸エチル/石油エーテル)で分離・精製して、化合物M1-5を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.44 - 7.21 (m, 10H), 6.53 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 5.17 (q, J = 12.0 Hz, 2H), 5.10 - 5.00 (m, 1H), 4.72 - 4.61 (m, 1H), 4.42-4.38 (m, 1H), 3.13 - 3.02 (m, 2H), 1.79 - 1.70 (m, 1H), 1.68 - 1.56 (m, 1H), 1.44 (s, 9H), 0.63 - 0.49 (m, 1H), 0.46 - 0.28 (m, 2H), 0.07 - -0.09 (m, 2H)。
【0123】
下記の中間体は、中間体M1-5と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0124】
【0125】
ステップ5:中間体M1の製造
化合物M1-5(3.4g、7.29mmol)を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、4Mの塩酸-酢酸エチル溶液(30mL)を加え、反応溶液を20℃で1時間反応を続けた。減圧して有機溶媒を除去して、化合物M1の塩酸塩を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。1H NMR (400MHz,CD3OD) δ: 7.35 - 7.11 (m, 10H), 5.08 (s, 2H), 4.49 - 4.46 (m, 1H), 4.09 - 4.00 (m, 1H), 3.16 - 3.12 (m, 1H), 2.87 - 2.84 (m, 1H), 1.92 - 1.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 1.73 - 1.50 (m, 2H), 0.79 - 0.60 (m, 1H), 0.43 - 0.22 (m, 2H), 0.09 - -0.12 (m, 2H)。
【0126】
下記の中間体は、中間体M1と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0127】
【0128】
参考例3:中間体A1の合成
【0129】
【0130】
ステップ1:中間体A1-1の製造
化合物M1の塩酸塩(1.2g、3.27mmol)をジクロロメタン(15mL)に懸濁し、トリエチルアミン(994.08mg、9.82mmol)を加え、塩化クロロアセチル(554.77mg、4.91mmol、390.68μL)をゆっくりと滴下し、反応溶液を20℃で18時間撹拌し続けた。反応溶液を50mLのジクロロメタンで希釈し、順次に30mLの飽和塩化アンモニウム溶液及び30mL飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、粗生成物化合物A1-1を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.51 - 7.38 (m, 5H), 7.35 - 7.24 (m, 5H), 6.30 (d, J =7.6 Hz, 1H), 5.38 - 5.14 (m, 2H), 4.81 - 4.59 (m, 2H), 3.29 - 3.02 (m, 3H), 1.83 - 1.67 (m, 2H), 1.48 (t, J=7.2 Hz, 1H), 0.66 - 0.50 (m, 1H), 0.45 - 0.39 (m, 2H), 0.08 - -0.09 (m, 2H);MS m/z =443.2 [M+H]+。
【0131】
下記の中間体は、中間体A1-1と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0132】
【0133】
ステップ2:中間体A1-2の製造
化合物A1-1(1.42g、3.21mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解させ、化合物(R)-(+)-β-メチルフェネチルアミン(660.41mg、3.85mmol)、ヨウ化カリウム(1.06g、6.41mmol)及び炭酸カリウム(1.33g、9.62mmol)を加え、反応溶液を60℃で16時間撹拌し続けた。冷却させ、減圧して有機溶媒を除去し、30mLの水を加え、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、抽出した後の有機相を合わせて、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、粗生成物化合物A1-2を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。MS m/z =542.3 [M+H]+。
【0134】
下記の中間体は、中間体A1-2と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0135】
【0136】
ステップ3:中間体A1-3の製造
化合物A1-2(1.7g、3.14mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(1.22g、9.42mmol、1.64mL)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(1.37g、6.28mmol)を加え、反応溶液を20℃で16時間撹拌し続けた。減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:10~30%の酢酸エチル/石油エーテル)で分離・精製して化合物A1-3を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.46 - 7.28 (m, 10H), 7.25 - 7.18 (m, 5H), 6.77 - 6.32 (m, 2H), 5.25 - 5.05 (m, 2H), 4.77 - 4.54 (m, 2H), 3.90 - 3.06 (m, 7H), 1.75 - 1.61 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.26 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.66 - 0.48 (m, 1H), 0.41 - 0.33 (m, 2H), 0.09 - -0.11 (m, 2H)。
【0137】
下記の中間体は、中間体A1-3と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0138】
【0139】
ステップ4:中間体A1の製造
化合物A1-3(1.05g、1.64mmol)をエタノール(30mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、10%のパラジウム/炭素(150mg、155.33μmol)を加え、反応溶液を20℃で、15psiの水素ガス圧力で15時間撹拌を続けた。反応溶液を珪藻土で濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、化合物A1を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.30 - 7.09 (m, 10H), 7.00 - 6.64 (m, 2H), 4.80 - 4.66 (m, 1H), 4.52 - 4.44 (m, 1H), 3.83 - 3.59 (m, 2H), 3.55 - 2.83 (m, 5H), 1.78 - 1.52 (m, 2H), 1.36 (s, 9H), 1.18 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.60 - 0.52 (m, 1H), 0.40 - 0.30 (m, 2H), 0.05 - -0.05 (m, 2H)。
【0140】
下記の中間体は、中間体A1と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0141】
【0142】
参考例5:中間体B1の合成
【0143】
【0144】
ステップ1:中間体B1-1の製造
化合物A1(1.9g、3.44mmol)及び化合物A1-A(1.16g、3.44mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(1.34g、10.33mmol、1.80mL)及びHATU(1.96g、5.17mmol)を加え、反応溶液を20℃で15時間撹拌し続けた。150mLの酢酸エチルで希釈し、有機相を水(60mL×2)及び飽和食塩水(80mL)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:10~40%の酢酸エチル/石油エーテル)で分離・精製して化合物B1-1を得た。MS m/z =870.9 [M+H]+。
【0145】
ステップ2:中間体B1の製造
化合物B1-1(1.4g、1.61mmol)をエタノール(20mL)に溶解させ、パラジウム炭素(0.2g、10%の純度)を加え、反応溶液を20℃で、15psiの水素ガスの圧力下で15時間反応し続けた。反応溶液を珪藻土で濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、化合物B1を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。MS m/z =802.6 [M+Na]+。
【0146】
参考例6:中間体D1の合成
【0147】
【0148】
ステップ1:中間体D1-2の製造
化合物D1-1(3g、7.93mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解させ、炭酸カリウム(1.31g、9.51mmol)及び臭化ベンジル(1.63g、9.51mmol、1.13mL)を加え、反応溶液を20℃で15時間撹拌し続けた。反応溶液に50mLの水を加え、酢酸エチル(60mL×2)で抽出し、抽出した後の有機相を合わせて、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:5~25%の酢酸エチル/石油エーテル)で分離・精製して化合物D1-2を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.33 - 7.19 (m, 10H), 5.06 (s, 2H), 4.98 (s, 2H), 4.95 (s, 1H), 3.75 - 3.71 (m, 2H), 3.06 - 3.00 (m, 2H), 2.02 - 1.92 (m, 4H), 1.37 (s, 9H)。
【0149】
ステップ2:中間体D1-3の製造
化合物D1-2(3.7g、7.90mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解させ、4Mの塩酸/酢酸エチル(10mL)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌し続けた。減圧して有機溶媒を除去して、化合物D1-3の塩酸塩を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.37 - 7.31 (m, 10H), 5.16 (s, 2H), 5.06 (s, 2H), 3.37 - 3.30 (m, 4H), 3.27 - 3.11 (m, 2H), 2.40 - 2.21 (m, 4H)。
【0150】
ステップ3:中間体D1-5の製造
化合物D1-3の塩酸塩(3g、7.41mmol)及び化合物D1-4(3.47g、7.41mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(2.87g、22.23mmol、3.87mL)及びHATU(4.23g、11.11mmol)を加え、反応溶液を20℃で14時間撹拌を続けた。反応溶液を100mLの酢酸エチルで希釈し、水(50mL×2)及び飽和食塩水(60mL)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:15~30%の酢酸エチル/石油エーテル)で分離・精製して化合物D1-5を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.78 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.67 - 7.57 (m, 2H), 7.47 - 7.28 (m, 14H), 5.84 - 5.68 (m, 1H), 5.26 - 5.01 (m, 5H), 4.74 - 4.53 (m, 2H), 4.39 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 4.27 - 4.19 (m, 1H), 4.03 - 3.57 (m, 2H), 3.51 - 3.25 (m, 1H), 3.20 - 3.01 (m, 2H), 2.30 - 2.14 (m, 2H), 2.02 - 1.96 (m, 2H), 1.79 - 1.65 (m, 2H), 1.60 - 1.30 (m, 14H)。
【0151】
下記の中間体は、中間体D1-5と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0152】
【0153】
ステップ4:中間体D1の製造
化合物D1-5(3g、3.66mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解させ、ピペリジン(3.12g、36.63mmol、3.62mL)を加え、反応溶液を20℃で16時間撹拌を続けた。減圧して有機溶媒を除去し、30mLのアセトニトリルを加えてスラリー化させ、濾過し、濾液をスピン乾燥させ、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:35%の酢酸エチル/石油エーテル~10%のメタノール/ジクロロメタン)で分離・精製して化合物D1の塩酸塩を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 7.41 - 7.29 (m, 10H), 5.16 (s, 2H), 5.08 (s, 2H), 4.62 - 4.58 (m, 1H), 3.75 - 3.60 (m, 2H), 3.43 - 3.08 (m, 4H), 2.29 - 2.13 (m, 2H), 2.05 - 1.87 (m, 2H), 1.68 - 1.54 (m, 4H), 1.54 - 1.39 (m, 15H);MS m/z =597.3 [M+H]+。
【0154】
下記の中間体は、中間体D1と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0155】
【0156】
参考例8:中間体E1の合成
【0157】
【0158】
ステップ1:中間体E1-2の製造
化合物E1-1(2g、9.99mmol)、ピリジン(880.00mg、11.13mmol、897.96μL)をテトラヒドロフラン(45mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、0℃でクロロギ酸フェニル(1.56g、9.99mmol、1.25mL)を滴下し、添加完了後、20℃で2時間反応を続けた。反応完了後、減圧して有機溶媒を除去し、粗生成物を酢酸エチルで希釈し、次に、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)で精製して化合物E1-2を得た。MS m/z =301.9[M-56+Na]+。
【0159】
ステップ2:中間体E1-3の製造
化合物E1-2(0.6g、1.87mmol)をメタノール(15mL)に溶解させ、メチルアミン溶液(2M、842.74μL)を加え、添加完了後、50℃に昇温させて15時間反応し続けた。冷却させ、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で精製して化合物E1-3を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 4.26 - 4.10 (m, 2H), 4.03 - 3.80 (m, 2H), 3.75 - 3.61 (m, 1H), 2.79 (br t, J = 12.4 Hz, 2H), 2.70 (d, J = 4.8 Hz, 3H), 1.91 - 1.80 (m, 2H), 1.38 (s, 9H)。
ステップ2:中間体E1の製造
化合物E1-3(249.03mg、967.73μmol)を酢酸エチル(3mL)に溶解させ、塩酸-酢酸エチル溶液(4M、2.42mL)を加え、添加完了後、20℃で1時間反応し続けた。減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)で精製して化合物E1の塩酸塩を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 3.84 - 3.70 (m, 1H), 3.41 (br d, J = 13.2 Hz, 2H), 3.17 - 3.05 (m, 2H), 2.72 (s, 3H), 2.12 (br dd, J = 3.2, 14.0 Hz, 2H), 1.75 - 1.62 (m, 2H);MS m/z =158.1[M+H]+。
【0160】
実施例1:化合物1の製造
【0161】
【0162】
ステップ1:中間体1-1の製造
化合物A1(220mg、398.79μmol)及び化合物D1(237.96mg、398.79μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(154.62mg、1.20mmol、208.38μL)及びHATU(227.45mg、598.18μmol)を加え、反応溶液を20℃で16時間撹拌し続けた。反応溶液を60mLの酢酸エチルで希釈し、水(30mL×2)及び飽和食塩水(40mL)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:50%の酢酸エチル/石油エーテル~5%のメタノール/ジクロロメタン)で分離・精製して化合物1-1を得た。MS m/z =1130.6 [M+H]+。
【0163】
下記の中間体は、中間体1-1と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0164】
【0165】
ステップ2:中間体1-2の製造
化合物1-1(200mg、176.93μmol)をエタノール(10mL)に溶解させ、10%のパラジウム/炭素(20mg、176.93μmol)を加え、反応溶液を20℃で、15Psi水素ガス圧力で15時間撹拌し続けた。反応溶液を珪藻土で濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、化合物1-2を得、当該化合物は、更に精製することなく、次のステップの反応で直接に使用した。MS m/z =906.6 [M+H]+。
【0166】
下記の中間体は、中間体1-2と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0167】
【0168】
ステップ3:化合物1の製造
化合物1-2(155mg、171.06μmol)を酢酸エチル(5mL)に溶解させ、4Mの塩酸/酢酸エチル(5mL)を加え、反応溶液を20℃で0.5時間撹拌し続けた。減圧して大部分の溶媒を除去し、20mLの酢酸エチルを加えてスラリー化させ、濾過し、得られたケーキ粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(カラム:Venusil ASB Phenyl 150×30mm×5μm;移動相:[水(0.05%の塩酸)-アセトニトリル];B(アセトニトリル)%:8%~38%、9分)で分離・精製して化合物1の塩酸塩を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 7.26 - 7.08 (m, 9H), 7.07 - 6.97 (m, 1H), 4.62 - 4.50 (m, 1H), 4.31 - 4.18 (m, 1H), 4.08 - 3.83 (m, 1H), 3.80 - 3.49 (m, 4H), 3.25 - 3.24 (m, 1H), 3.12 - 2.88 (m, 4H), 2.86 - 2.68 (m, 3H), 2.25 - 2.03 (m, 2H), 1.93 - 1.50 (m, 7H), 1.49 - 1.25 (m, 4H), 1.24 - 1.15 (m, 3H), 0.77 - 0.56 (m, 1H), 0.49 - 0.23 (m, 2H), 0.12 - -0.10 (m, 2H);MS m/z =706.4 [M+H] +。
【0169】
下記の化合物は、化合物1と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0170】
【0171】
実施例3:化合物3の製造
【0172】
【0173】
ステップ1:中間体3-1の製造
化合物B1(0.2g、256.42μmol)、化合物E1の塩酸塩(70.81mg、307.71μmol)をDMF(5mL)に溶解させ、HATU(146.25mg、384.64μmol)及びジイソプロピルエチルアミン(99.42mg、769.27μmol、133.99μL)を加え、反応溶液を20℃で15時間撹拌し続けた。反応溶液を50mLの酢酸エチルで希釈し、有機相を水(30mL×2)、飽和食塩水(30mL)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:0~5%のメタノール/ジクロロメタン)で分離・精製して化合物3-1を得た。MS m/z =919.6[M+H]+。
【0174】
下記の中間体は、中間体3-1と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0175】
【0176】
ステップ2:化合物3の製造
化合物3-1(0.19g、206.71μmol)を酢酸エチル(4mL)に溶解させ、塩酸-酢酸エチル溶液(4M、2mL)を加え、反応溶液を20℃で2時間撹拌し続けた。減圧して有機溶媒を除去し、得られた粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(カラム:Venusil ASB Phenyl 150×30mm×5μm;移動相:[水(0.05%のHCl)-ACN];B(アセトニトリル)%:15%~45%、9分)で分離・精製して化合物3を得た。1H NMR (400MHz, METHANOL-d4) δ: 7.41 - 7.37 (m, 2H), 7.33 - 7.26 (m, 7H), 7.20 - 7.11 (m, 1H), 4.77 - 4.69 (m, 1H), 4.45 - 4.27 (m, 2H), 4.08 - 3.94 (m, 1H), 3.91 - 3.82 (m, 1H), 3.81 - 3.74 (m, 1H), 3.68 (br d, J = 15.6 Hz, 1H), 3.24 (br dd, J = 4.0, 14.0 Hz, 2H), 3.18 - 3.05 (m, 3H), 3.01 - 2.86 (m, 4H), 2.73 (s, 3H), 2.03 - 1.88 (m, 2H), 1.83 - 1.67 (m, 6H), 1.58 (td, J = 6.8, 14.0 Hz, 1H), 1.47 (br s, 3H), 1.38 - 1.32 (m, 4H), 0.79 (br d, J = 7.2 Hz, 1H), 0.56 - 0.41 (m, 2H), 0.23 - 0.10 (m, 2H);MS m/z =719.2[M+H]+。
【0177】
以下化合物使用与化合物3と同様の方法を使用して合成して得られた。
【0178】
【0179】
実験例1:Kappa受容体cAMP試験
溶液及び緩衝液:
実験緩衝液:1×HBSS(+/+)(SIGMA#H1387)+20mMのHEPES(LONZA#17-737E)
刺激緩衝液(STB):200μMのIBMX(SIGMA#I7018)及び3μMのNKH477(SIGMA#N3290)実験緩衝液
実験方法及びステップ:
化合物の製造
DMSO(Amresco#0231)で化合物粉末を溶解させ、化合物溶液の濃度は10mMであった。1μLの試験化合物を取り、49μLのDMSOを加え、200μMの溶液に希釈した。
【0180】
LDV384ウェルプレートを取り、前記のステップで希釈した化合物溶液をそれぞれウェルA1~H1に順次に加え、事前に準備した200μMのU-50488(Tocris#0495/25)をウェルP1に加え、A2~A11、B2~H22、P2~P11の各ウェルにそれぞれ10.8μLのDMSOを加え、1000rpmで30秒間遠心分離した。
【0181】
化合物をbravoで連続勾配希釈し、前記のステップで製造したLDVプレートの1列目を開始濃度とし、毎回5μLを後の列に吸引し、均一にピペッティングした。
希釈完了後、ウェルA24に10μLの200μMのU-50488をHPE(100%の阻害率活性)として加え、ウェルP24に10μLのDMSOをZPE(0%の阻害率活性)として加え、1000rpmで遠心分離した。
【0182】
Echo550を使用して実験レイアウトに従い、前のステップで希釈した化合物溶液を実験プレートcorning3824に移して、50nl/ウェルであった。
実験ステップ
-80℃の冷蔵庫から凍結保存したKOR cAMP細胞を取り出し、37℃のウォーターバスで解凍した。
【0183】
解凍完了後、チューブ内の細胞を15mLの遠心管に吸引し、4mLの実験緩衝液を加えた。
1000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨て、5mLの実験緩衝液を加え、ピペットで軽くピペッティングして均一に吹き飛ばして混合した。
【0184】
細胞カウンターで計数し、細胞密度を1.5×106細胞/mLに調節した。
Multidrop Combiを使用して、化合物を含む実験プレートにSTBを5μL/ウェルで加えた。
【0185】
Multidrop Combiを使用して、化合物を含む実験プレートに製造した細胞懸濁液を5μL/ウェルで加えた。
300rpmで30秒間遠心分離し、37℃のインキュベーターで40分間培養した。
【0186】
cAMP標準曲線を作成し、事前にサブパックして凍結保存した2848nMのcAMP溶液を解凍し、2848nMを最高濃度ポイントとして合計16濃度点で4倍連続勾配希釈した。
希釈したcAMP溶液をマルチチャンネルピペットで新しいCorning3824実験プレートに移して、10μL/ウェルにし、合計3列を繰り返した。
【0187】
40分間培養した後、Multidrop Combiを使用してD2(Cisbio#62AM4PEJ)を実験プレート(標準曲線実験プレートを含む)に加え、5μL/ウェルにした。
Multidrop Combiを使用してAc(Cisbio#62AM4PEJ)を実験プレート(標準曲線実験プレートを含む)に加え、5μL/ウェルにし、室温で60分間培養した。
【0188】
Envisionで実験プレートを読み取った。
実験結果:
実験結果は表1に示された通りである。
【0189】
【0190】
結果により、本発明の化合物は有意なKappa受容体アゴニスト作用を有していることが示めされた。
実験例2:血漿タンパク質結合率(PPB)試験
1.実験目的
ヒト、SDラットの血漿における試験化合物のタンパク質結合率を測定することである。
【0191】
2.実験方法
2.1 血漿の製造
冷凍保存した血漿を冷たい水道水で解凍した後、3220×gで5分間遠心分離して懸濁物質及び沈殿物を除去し、血漿のpHが測定して、pHが7.0~8.0の血漿のみを実験に使用した。
【0192】
2.2溶液の製造
【0193】
【0194】
2.3 実験操作
実験では、96ウェル平衡透析プレート(HTDialysisデバイス)を使用して、試験化合物及びと対照化合物の血漿タンパク質結合率を測定した。実験を開始する前に、透析膜は説明書に従って前処理され、その後必要に応じて透析装置を組み立てた。ヒト、SDラットのブランク血漿(血漿はBioreclamationIVTから購入した)を採取し、試験化合物の作業溶液又はワルファリン作業溶液を加えて、血漿試料における化合物及びワルファリンの最終濃度をいずれも2μMにした。試料を十分に混合した。50μLの試験化合物及びワルファリン血漿試料を試料受けプレートに移し、対応する体積の対応ブランク血漿又は緩衝液を直ちに加え、各試料ウェルの最終体積は100μLであり、血漿:透析緩衝液の体積比は1:1であり、試験化合物及び対照化合物のこれらのT0試料に停止溶液を加えた。プレートを密封し、800rpmで10分間振とうした。次に、これらのT0試料を他の透析試料と一緒に2~8℃で保存し、他の透析完了試料とともに後処理を実行し、150μLの試験化合物及びワルファリン血漿試料を各透析ウェルの投与端に加え、150μLのブランク透析緩衝液を各透析ウェルの対応する受信端に加えた。次に、透析プレートをガス透過性膜で密封し、加湿した5%のCO2インキュベーターに入れ、37℃、100rpmで4時間振とうして培養した。透析終了時、透析装置の緩衝液側及び血漿(マトリックス)側から50μlの試料アリコートを新しい96ウェルプレート(サンプル収集プレート)に入れた。各試料に等量の相対ブランクマトリックス(緩衝液又は血漿)を加えて、100μLの最終体積に達し、各ウェルの血漿(マトリックス):透析緩衝液の体積比は1:1(v:v)であった。すべての試料は、LC/MS/MS分析のためにタンパク質沈殿で更に処理された。また、下記の式で化合物の非結合率(Unbound)%、結合率(Bound)%、及び回収率(Recovery)%を計算した。
【0195】
%Unbound=100×FC/TC、
%Bound=100-%Unbound、
%Recovery=100×(FC+TC)/T0。
【0196】
ここで、FCは透析プレートの緩衝液端の化合物の濃度を表し、TCは透析プレートの血漿端の化合物の濃度を表し、T0はゼロ時点での血漿試料の化合物の濃度を表す。
3.実験結果
実験結果は表2に示された通りである。
【0197】
【0198】
実験結論:本発明の化合物は、ヒト及びSDラットの血漿において非常に高い血漿タンパク質非結合率を示している。
実験例3.シトクロムP450アイソザイム阻害活性試験
1.実験目的
ヒトシトクロムP450アイソザイムの異なるサブタイプに対する試験化合物の阻害活性を測定することである。
【0199】
2.実験方法
試験化合物、標準阻害剤(100x最終濃度)及び混合基質作業溶液を製造し、-80℃の冷蔵庫で凍結したミクロソーム(Corning Inc社から購入)を取り出して解凍した。20μLの試験化合物及び標準阻害剤溶液を対応するウェル位置に加え、同時に、20μLの対応する溶媒を阻害のない対照ウェル(NIC)及びブランク対照ウェル(Blank)のウェル位置に加え、次に、20μLの混合基質溶液を対応するウェル位置に加え、ブランクウェル位を除き(20μLのPBをBlankウェル位に加える)、ヒト肝臓ミクロソーム溶液を製造し(使用後、日付をマークしてすぐに冷蔵庫に戻す)、その後、158μLのヒト肝臓ミクロソーム溶液をすべてのウェル位置に加え、上記の試料プレートを37℃のウォーターバスに入れてプレインキュベーションし、次に、コエンザイム因子(NADPH)溶液を製造し、10分後、20μLのNADPH溶液をすべてのウェルに加え、試料プレートを均一に振とうし、37℃のウォーターバスで10分間培養し、対応する時点で、400μLの冷たいアセトニトリル溶液(内部標準は200ng/mLのトルブタミドとラベタロールである)を加えて反応を終了させ、試料プレートを均一に混合した後、4000rpmで20分間遠心分離し、タンパク質を沈殿させ、200μLの上清を取り100μLの水に加え、均一に振とうし、LC/MS/MSで検出した。
【0200】
3 実験結果
実験結果は表3に示された通りである。
【0201】
【0202】
実験結論:CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4-Mに対する本発明の化合物の阻害IC50はいずれも50μMより大きく、関連する薬物相互作用リスクはない。
【0203】
実験例4:肝細胞における代謝安定性(HMS)研究
1.実験目的
ヒト及びラットの肝細胞における試験物質の代謝安定性を測定することである。
【0204】
2.実験材料
2.1 試験化合物(10mM)、対照品:7-エトキシクマリン(7-Ethoxycoumarin、30mM)、7-ヒドロキシクマリン(7-Hydroxycoumarin、参照品、30mM)
2.2 細胞
【0205】
【0206】
2.3 緩衝系:
解凍培地:5%のウシ胎児血清及び30%のPercoll溶液及びその他の補助物質を含む、ウィリアムズ培地E。
【0207】
培養培地:2mMのL-グルタミン及び25mMのヒドロキシエチルピペラジンチオスルホン酸を含む、ウィリアムズ培地E(フェノールレッドを含まない)。
停止溶液:内部標準として200ng/mlのトルブタミド及びラベタロールを含む、アセトニトリル。
【0208】
希釈液:超純水。
3.実験方法
1)正確な量の陽性対照化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、30mMの溶液を製造した。
【0209】
2)96ウェルプレートでDMSOを使用して、10mmの試験化合物及び30mmの陽性対照化合物を1mm及び3mmに希釈した。
3)1mmの試験化合物及び3mmの陽性対照化合物を、アセトニトリルで100μM及び300μMの定量溶液に希釈した。
【0210】
4)凍結保存した細胞を融解させ、培地で分離・懸濁し、次に、予熱した培地で0.5×106細胞/mLに希釈した。
5)96ウェルプレートに198μLの予熱した細胞懸濁液を加えた。
【0211】
6)あらかじめ標識した96ウェルプレートに100μLの停止溶液(内部標準として200ng/mLのトルブタミドと200ng/mLラベタロールを含むアセトニトリル)を移した。
7)96ウェルプレートの各ウェルに一式二部にして、2μLの100μmの試験化合物又は300μMの陽性対照定量溶液を加えた。
【0212】
8)T0試料の場合、試料を均一な懸濁液になるよう約1分間混合した後、直ちに20μLの各試料を100μLの氷冷停止溶液を含むウェルに移し、次に混合した。
9)95%の加湿インキュベーターで、すべてのプレートを5%のCO2で37℃で培養し、約600rpmの一定に振とうして反応を開始させた。
【0213】
10)15、30、60及び90分で、試料を混合した後、各時点で20μLの各試料を100μLの氷冷停止溶液を含むウェルに移し、次に混合した。
11)T0及びT90の各ウェルに細胞懸濁液を除く同じ成分を加えることにより、培地対照(MC)試料プレート(T0-MC及びT90-MCと標識する)を製造した。最終濃度表を生成した。
【0214】
12)対応する各時点で、インキュベーターからプレートを取り出し、100μlの氷冷停止溶液と混合して反応を停止した。
13)直ちに平板発振器でプレートを500rpmで10分間ボルテックスした。次に、すべての試料プレートを4℃で3220xgで20分間遠心分離した。
【0215】
14)遠心分離した後、35μL/ウェルの試料プレートの上清を、プレートチャートに従って70μLの超純水を含むラベル付け済みの別の群の96ウェルプレートに移した。
15)分析プレートを4℃で密閉し、LC-MS-MS分析まで4℃で保存した。
【0216】
下記の式により、試験化合物及び対照化合物の残存率を取得した。
【0217】
【0218】
肝細胞における試験化合物及び対照化合物の消失速度定数kは、残存速度に対する時間の対数をプロットすることにより計算し、消失速度kを用いて半減期(T1/2)及び体外の固有クリアランス(CLint)を得、式は下記に示された通りである。
【0219】
T1/2=0.693/k
CLint(hep)=k/mLあたりの細胞数(million cells/mL)
CLint(liver)=CLint(hep)×肝臓重量体重比×mLあたりの肝臓での肝細胞数
式における各種のパラメータは下記に示された通りである。
【0220】
【0221】
4.実験結果
実験結果は表4に示された通りである。
【0222】
【0223】
実験結論:本発明の化合物は、ヒト及びラットのいずれにおいても低いクリアランスを有する。
実験例5:SDラットにおける体内薬物動態特性研究
1.実験目的:
SDラットにおける化合物の体内薬物動態を試験することである。
【0224】
2.実験材料:
Sprague Dawleyラット(オス、6~10週齢、Beijing Vital River Laboratory Animal TecH Nology Co.、Ltd.)
3.実験方法:
化合物1を生理食塩水と混合して、1mg/mLの透明な溶液を製造し、注射群投与に使用し、使用のために微多孔性膜で濾過した。試験化合物は3mg/kgで静脈内注射により投与され、静脈内投与の溶媒は生理食塩水であった。投与後0、0.083、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0、24時間後に動物の血漿試料を採取した。LC-MS/MS法を使用して血漿濃度を測定し、WinNonlinTM Version6.3(Pharsight、Mountain View、CA)薬物動態学ソフトを使用して、非コンパートメントモデル線形対数ラダー法で薬物動態パラメーターを計算した。
【0225】
4.実験結果
実験結果は表5に示された通りである:
【0226】
【0227】
実験結論:本発明の化合物は良好な薬物動態特性を有している。