(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】座席アセンブリのための展開可能な仕切りシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/75 20180101AFI20240904BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20240904BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240904BHJP
B64D 11/06 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B60N2/75
B60N3/00 Z
A47C7/62 Z
B64D11/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019097679
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・コレッティ
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0194827(US,A1)
【文献】特開2018-068737(JP,A)
【文献】特表2015-529593(JP,A)
【文献】特開2015-112909(JP,A)
【文献】特開2017-195954(JP,A)
【文献】特開平10-075847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 3/18
A47C 7/00 - A47C 7/74
B64D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席アセンブリ(100)に固定される仕切りシステム(120)であって、前記仕切りシステム(120)は、
収納位置と展開位置との間で移動するバリア(122)であって、前記バリア(122)は前記座席アセンブリ(100)の肘掛け(112)に移動可能に連結され、前記収納位置は前記肘掛け(112)の後端部(116)に近接しており、前記展開位置は前記肘掛け(112)の前端部(117)に向かって延伸している、バリア(122)
を備え、
前記肘掛け(112)の上面には、前記バリア(122)が前記肘掛け(112)の長さに沿って直線的に並進できるように、前記バリア(122)の一部を受け入れて移動可能に保持するガイドトラック(140)が形成される、仕切りシステム(120)。
【請求項2】
前記肘掛け(112)が前記座席アセンブリ(100)および隣接する座席アセンブリ(100)に共通である、請求項1に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項3】
前記バリア(122)が、前記座席アセンブリ(100)と隣接する座席アセンブリ(100)との間の空間(190)において前記肘掛け(112)に取り付けられている、請求項1に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項4】
内部チャンバ(130)を画定するハウジング(132)をさらに備え、前記バリア(122)は前記収納位置において前記内部チャンバ(130)内にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項5】
前記バリア(122)が、
第1のパネル(124)と、
第2のパネル(126)であって、前記第1のパネル(124)が前記第2のパネル(126)に移動可能に連結されている、第2のパネル(126)と、
第3のパネル(128)であって、前記第3のパネル(128)が前記第2のパネル(126)に移動可能に連結されている、第3のパネル(128)と
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項6】
前記第1のパネル(124)が、前記第2のパネル(126)の第1の溝(168)内にスライド可能に保持されている第1のレール(152,178)を備え、前記第3のパネル(128)は、前記第2のパネル(126)の第2の溝(172)内にスライド可能に保持されている第2のレール(152,178)を備える、請求項5に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項7】
前記第1の溝(168)が前記パネルの第1の面(154)(170)に形成され、前記第2の溝(172)が前記第1の面(154)(170)とは反対側の前記パネルの第2の面(154)に形成される、請求項6に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項8】
前記バリア(122)が、個人によって握られる係合部材(164)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項9】
前記バリア(122)が、前記座席アセンブリ(100)の直立背もたれ(110)の頂部(114,192)の高さまで延伸する、請求項1から8のいずれか一項に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項10】
固定アンカー部材(220,250)と、
前記肘掛け(112)に移動可能に固定された可動部材(222)であって、前記バリア(122)は前記固定アンカー部材(220,250)および前記可動部材(222)に接続されている、可動部材(222)と
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項11】
前記バリア(122)が、ファブリック、布地、またはメッシュのうちの1つまたは複数で形成された可撓性構造体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項12】
回転可能なアンカー部材(220,250)と、
前記肘掛け(112)に移動可能に固定された可動部材(222)であって、前記バリア(122)は前記回転可能なアンカー部材(220,250)および前記可動部材(222)に接続され、前記バリア(122)は前記収納位置において前記回転可能なアンカー部材(220,250)の周りに巻き付く、可動部材(222)と
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の仕切りシステム(120)。
【請求項13】
仕切りシステム(120)を形成する方法であって、前記方法は、
収納位置と展開位置との間で移動するバリア(122)を座席アセンブリ(100)の肘掛け(112)に移動可能に連結するステップであって、前記収納位置は前記肘掛け(112)の後端部(116)に近接しており、前記展開位置は前記肘掛け(112)の前端部(117)に向かって延伸している、ステップと、
前記肘掛け(112)の上
面にガイドトラック(140)を形成するステップと、
前記バリア(122)が前記肘掛け(112)の長さに沿って直線的に並進できるように、前記ガイドトラック(140)によって前記バリア(122)の一部を受け入れて移動可能に保持するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記座席アセンブリ(100)と隣接する座席アセンブリ(100)との間の空間(190)において前記バリア(122)を前記肘掛け(112)に取り付けるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
内部チャンバ(130)を画定するハウジング(132)を提供するステップをさらに含み、前記バリア(122)は、前記収納位置において前記内部チャンバ(130)内にあるように構成されている、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
車室(316)と、
前記車室(316)内の第1の座席アセンブリ(100)と、
前記車室(316)内の第2の座席アセンブリ(100)であって、前記第1の座席アセンブリ(100)は前記第2の座席アセンブリ(100)に隣接しており、前記第1の座席アセンブリ(100)と前記第2の座席アセンブリ(100)とは、肘掛け(112)を共有している、第2の座席アセンブリ(100)と、
前記第1の座席アセンブリ(100)と前記第2の座席アセンブリ(100)との間の空間(190)において前記肘掛け(112)に固定された仕切りシステム(120)であって、前記仕切りシステム(120)は収納位置と展開位置との間で移動するバリア(122)を備え、前記収納位置は前記肘掛け(112)の後端部(116)に近接しており、前記展開位置は前記肘掛け(112)の前端部(117)に向かって延伸している、仕切りシステム(120)と
を備え、
前記肘掛け(112)の上面には、前記バリア(122)が前記肘掛け(112)の長さに沿って直線的に並進できるように、前記バリア(122)の一部を受け入れて移動可能に保持するガイドトラック(140)が形成される、ビークル。
【請求項17】
前記仕切りシステム(120)が内部チャンバ(130)を画定するハウジング(132)をさらに備え、前記バリア(122)は前記収納位置において前記内部チャンバ(130)内にある、請求項16に記載のビークル。
【請求項18】
前記バリア(122)が、
第1のレール(152,178)と、個人によって握られる係合部材(164)とを含む、第1のパネル(124)と、
第1の面(154、170)に第1の溝(168)と、前記第1の面(154,170)と反対側の第2の面(154)に第2の溝(172)と、を含む、第2のパネル(126)であって、前記第1のレール(152,178)は前記第1の溝(168)内にスライド可能に保持されている、第2のパネル(126)と、
前記第2の溝(172)とスライド可能に保持された第2のレール(152,178)を含む第3のパネル(128)と
を備える、請求項16または17に記載のビークル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、座席アセンブリのための展開可能な仕切りシステムおよび方法に関し、より詳細には、ビークルの車室内の座席アセンブリのための展開可能な仕切りシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
民間航空機は通常、多数のセクションに分割することができる車室を含む。操縦室は一般に、ファーストクラスセクション、ビジネスクラスセクション、およびエコノミークラスセクションを含み得る客室から分離されている。客室はまた、食品および飲料貯蔵構造を含み得る、ギャレーなどの航空機乗務員用の1つまたは複数の作業領域を含み得る。1つまたは複数の通路が客室を通過し、各乗客セクションを航空機の1つまたは複数の経路および/または1つまたは複数のドアに接続する。
【0003】
客席は車室内に配置されている。車室内のさまざまなセクションで、隣接する客席が共通の肘掛けを共有することがある。隣接する座席に着席している乗客は互いに接近している可能性がある。例えば、隣同士に座っている2人の乗客は、共通の肘掛けのそれぞれの前腕が互いに直接当接することがあることを発見するかもしれない。さらに、2人の乗客が互いに接近して着席しているので、プライバシーは通常最小限である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
民間航空機のようなビークルの車室内に互いに隣接して着席している乗客間のプライバシーを向上させるシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その必要性を考慮して、本開示の特定の実施形態は、座席アセンブリに固定されるように構成されている仕切りシステムを提供する。仕切りシステムは、収納位置と展開位置との間で移動するように構成されたバリアを含む。バリアは座席アセンブリの肘掛けに移動可能に連結されている。収納位置は肘掛けの後端部に近接している。展開位置は肘掛けの前端部に向かって延伸する。
【0006】
少なくとも一実施形態では、肘掛けは座席アセンブリおよび隣接する座席アセンブリに共通である。少なくとも一実施形態では、バリアは、座席アセンブリと隣接する座席アセンブリとの間の空間において肘掛けに取り付けられる。
【0007】
仕切りシステムは、内部チャンバを画定するハウジングを含み得る。バリアは、収納位置では内部チャンバ内にある。
【0008】
肘掛けは、バリアの一部を受け入れて移動可能に保持するように構成されたガイドトラックを含み得る。
【0009】
少なくとも一実施形態では、バリアは、第1のパネルと、第2のパネルと、第3のパネルと、を含み、第1のパネルは第2のパネルに移動可能に連結され、第3のパネルは第2のパネルに移動可能に連結される。第1のパネルは、第2のパネルの第1の溝内にスライド可能に保持されている第1のレールを含み得る。第3のパネルは、第2のパネルの第2の溝内にスライド可能に保持されている第2のレールを含み得る。第1の溝は、パネルの第1の面に形成されてもよい。第2の溝は、第1の面とは反対側のパネルの第2の面に形成されてもよい。
【0010】
バリアは、個人によって握られるように構成された係合部材を含み得る。
【0011】
バリアは、座席アセンブリの直立背もたれの頂部の高さまで延伸してもよい。
【0012】
少なくとも一実施形態では、仕切りシステムは、固定アンカー部材と、肘掛けに移動可能に固定された可動部材とを含み得る。バリアは、固定アンカー部材および可動部材に接続されている。バリアは、ファブリック、布地、メッシュなどのうちの1つまたは複数から形成された可撓性構造体であり得る。
【0013】
少なくとも一実施形態では、仕切りシステムは、回転可能なアンカー部材と、肘掛けに移動可能に固定された可動部材とを含むことができる。バリアは、回転可能なアンカー部材および可動部材に接続され得る。バリアは、収納位置において回転可能なアンカー部材の周りに巻き付くことができる。
【0014】
本開示の特定の実施形態は、仕切りシステムを形成する方法を提供する。方法は、収納位置と展開位置との間で移動するように構成されたバリアを座席アセンブリの肘掛けに移動可能に連結するステップを含む。収納位置は肘掛けの後端部に近接しており、展開位置は肘掛けの前端部に向かって延伸している。少なくとも一実施形態では、方法は、座席アセンブリと隣接する座席アセンブリとの間の空間内でバリアを肘掛けに取り付けるステップを含む。
【0015】
本開示の特定の実施形態は、車室、車室内の第1の座席アセンブリ、および車室内の第2の座席アセンブリを含み、第1の座席アセンブリが第2の座席アセンブリに隣接するビークルを提供する。第1の座席アセンブリと第2の座席アセンブリは肘掛けを共有する。仕切りシステムが、第1の座席アセンブリと第2の座席アセンブリとの間の空間において肘掛けに固定される。仕切りシステムは、収納位置と展開位置との間で移動するように構成されたバリアを含む。収納位置は肘掛けの後端部に近接しており、展開位置は肘掛けの前端部に向かって延伸している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施形態による、座席アセンブリの側面図である。
【
図2】本開示の実施形態による、座席アセンブリの肘掛けに固定された収納位置にある仕切りシステムの斜視上面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、
図2の線3-3を通る肘掛けの断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、第1のパネルの斜視側面図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、収納位置にあるバリアの端面図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステムの斜視上面図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、第2のパネルの第1の面の図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、第2のパネルの第2の面の図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、隣接する座席アセンブリの共通の肘掛けに固定された仕切りシステムの正面図である。
【
図10】本開示の一実施形態による、収納位置にある仕切りシステムを含む座席アセンブリを示す図である。
【
図11】本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステムを含む座席アセンブリを示す図である。
【
図12】本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステムの側面図である。
【
図13】本開示の一実施形態による、中間位置にある仕切りシステムの側面図である。
【
図14】本開示の一実施形態による、収納位置にある仕切りシステムの側面図である。
【
図15】本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステムの上面図である。
【
図16】本開示の一実施形態による、収納位置にある仕切りシステムの上面図である。
【
図17】本開示の一実施形態による、ビークルの正面斜視図である。
【
図18】本開示の一実施形態による、仕切りシステムを形成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面と併せて読めば、上述の概要、ならびに特定の実施形態の以下の詳細な説明がより良く理解されよう。本明細書で使用される場合、「a」または「an」に続いて単数形で記載される要素またはステップは、要素またはステップの複数を排除するものではないと理解されるべきである。また、「一実施形態」への言及は、記載した形態を組み込んだ付加的な実施形態の存在を除外するものとして解釈されるものではない。さらに、特に明示的に述べられていない限りまた、ある要素または特定の特性を有する複数の要素を「含む(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、その特性を有していない追加の要素を含んでもよい。
【0018】
本開示の特定の実施形態は、航空機の車室内などの座席アセンブリのための仕切りシステムを提供する。仕切りシステムは、収納位置と展開位置との間で移動可能であるように構成される。展開位置では、仕切りシステムは2人の着席した乗客の間に可動バリアを提供する。バリアは、複数のパネル、ファブリックスクリーン、メッシュスクリーンなどを含み得る。バリアは、肘掛けから背もたれの頂部まで延伸することができる。展開位置では、バリアは、隣接する乗客が乗客に接触するのを防ぐ。少なくとも一実施形態では、仕切りシステムは座席アセンブリ間の空間に取り付けられる。例えば、仕切りシステムを、2つの座席アセンブリに共通の肘掛けに固定することができる。
【0019】
本開示の特定の実施形態は、座席アセンブリに固定されるように構成されている仕切りシステムを提供する。仕切りシステムは、収納位置と展開位置との間で移動するように構成されたバリアを含む。バリアは、座席アセンブリの肘掛けに移動可能に固定されている。収納位置は肘掛けの後端部に近接している。展開位置は肘掛けの前端部に向かって延伸する。例えば、展開位置は、肘掛けの後端部と肘掛けの前端部の外縁部に近接した箇所との間でバリアを延伸させることができる。
【0020】
肘掛けは、座席アセンブリと別の隣接する座席アセンブリとに共通であり得る。バリアは、座席アセンブリと隣接する座席アセンブリとの間の空間において肘掛けに取り付けられてもよい。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態による座席アセンブリ100の側面図を示している。座席アセンブリ100は、民間航空機のようなビークルの車室内に固定されるように構成され得る。
【0022】
座席アセンブリ100は基部102を含み、基部102はビークルの車室内のトラック106に固定され得る脚部104を含み得る。脚部104は、脚部104をトラック106にしっかりと接続するように構成されている取付具、締め具などを含み得る。基部102は、座席クッション108および背もたれ110を支持する。肘掛け112は、背もたれ110および/または基部102に旋回可能に固定され得る。
【0023】
本明細書に記載されるように、仕切りシステムは座席アセンブリ100に固定され得る。例えば、仕切りシステムは、後端部116に近接して肘掛け112の頂部114に取り付けられてもよい。仕切りシステムは、収納位置と展開位置との間で選択的に移動するように構成され、仕切りシステムは、肘掛け112の長さに沿って延伸するバリアを提供する。
【0024】
座席アセンブリ100は、図示されているよりも多いまたは少ない構成要素を含んでもよい。さらに、座席アセンブリ100は、示されたものとは異なる形状およびサイズを有してもよい。
図1に示される座席アセンブリ100は、座席アセンブリの単なる一例であることを理解されたい。
【0025】
図2は、本開示の実施形態による、座席アセンブリ100の肘掛け112に固定された収納位置にある仕切りシステム120の斜視上面図を示している。明確にするために、座席アセンブリ100の肘掛け112のみが
図2に示されている。
【0026】
仕切りシステム120はバリア122を含む。
図2に示されるように、バリア122は収納位置にある。少なくとも一実施形態では、バリア122は、第2のパネル126に移動可能に連結された第1のパネル124を含み、第2のパネル126は次に第3のパネル128に移動可能に連結されている。第1のパネル124、第2のパネル126、および第3のパネル128のそれぞれは、プラスチックなどの剛性材料から形成されてもよい。
【0027】
収納位置において、第1のパネル124、第2のパネル126、および第3のパネル128は、ハウジング132の内部チャンバ130内に収容され得る。ハウジング132は、上壁136および後壁138に接続された側壁134を含む。内部チャンバ130は、側壁134、上壁136、後壁138、肘掛け112の頂部114、および/またはハウジング132の基部の間に画定されている。ハウジング132は、締め具、接着剤などを介して肘掛け112に固定され得る。少なくとも一実施形態では、ハウジング132は肘掛け112と一体的に形成されてもよい。任意選択で、仕切りシステム120はハウジング132を含まなくてもよい。代わりに、バリア122は、肘掛け112の後端部116の収納位置に露出されてもよい。
【0028】
ガイドトラック140が肘掛け112の頂部114を貫通して形成されている。ガイドトラック140は、後端部116から反対側の前端部117に向かって肘掛け112の頂部114に沿って延伸するチャネルを含み得る。図示のように、ガイドトラック140は前端部117を通って延伸していなくてもよい。代わりに、ガイドトラック140は前端部117の外縁部119に近接して終端してもよい。
【0029】
ガイドトラック140は第1のパネル124と整列している。ガイドトラック140は、第1のパネル124の基部142を受け入れて移動可能に保持するように構成されている。
【0030】
図3は、本開示の一実施形態による、
図2の線3-3を通る肘掛け112の断面図を示している。ガイドトラック140は、頂部114を貫通して形成され、肘掛け112の底部121に向かって延伸する。ガイドトラック140は、保持チャネル146に接続し、それによって逆T字形を形成する垂直チャネル144を含む。ガイドトラック140は、第1のパネル124の基部142を受け入れて移動可能に保持する。
【0031】
図4は、本開示の一実施形態による、第1のパネル124の斜視側面図を示している。第1のパネル124は、平らな棚部148を含む基部142を含む。
【0032】
平坦な壁150が棚部148から上方に延伸している。レール152は壁150の面154から外向きに延伸している。レール152は、第1のパネル124の第1の端部156と反対側の第2の端部157との間に延伸することができる。レール152は、延長梁158と、延長梁158の縁部162から下方に延伸するフック160とを含む。
【0033】
開放孔などの係合部材164が、第1の端部156に近接して壁150を貫通して形成されている。係合部材164は、収納位置と展開位置との間で第1のパネル124を動かすために個人によって握られるように構成されている。任意選択で、係合部材164は、ハンドル、ノブ、凹所領域、または個人によって握られるように構成された他のものであり得るかまたはそれらを含み得る。
【0034】
図2~
図4を参照すると、基部142は、ガイドトラック140によって受け入れられて移動可能に保持されるように構成されている。特に、平坦な棚部148は、保持チャネル146内に受け入れられて移動可能に保持されるように構成され、一方、壁150の下部は垂直チャネル144内に受け入れられて移動可能に保持される。このようにして、ガイドトラック140は、バリア122を展開位置に安定させる。任意選択で、追加のガイドトラックを肘掛け112に形成し、第2のパネル126および第3のパネル128と整列させることができ、これらは追加のガイドトラック内に受け入れられ移動可能に保持されるように構成されている部分を含み得る。
【0035】
図5は、本開示の一実施形態による、収納位置にあるバリア122の端面図を示している。第2のパネル126は、第1の面170に形成された第1の溝168と反対側の第2の面174に形成された第2の溝172とを有する壁166を含む。第2の溝172は、第1の溝168の上方にある高さにあり得る。
【0036】
第3のパネル128は、第2のパネル126に向かって延伸するレール178を有する壁176を含む。レール178は、第1のパネル124のレール152と同様であり得る。
【0037】
レール152は、第2のパネル126の往復の第1の溝168内にスライド可能に保持され、それによって第1のパネル124を第2のパネル126に移動可能に固定する。同様に、レール178は、第2のパネル126の往復の第2の溝172内にスライド可能に保持され、それによって第2のパネル126を第3のパネル128に移動可能に固定する。
【0038】
再び
図2を参照すると、バリア122を収納位置から展開位置に移動させるために、個人は、係合部材164などを介して第1のパネル124を握り、矢印Aの方向に肘掛け112の前端部117に向かって第1のパネル124を外向きに引っ張る。第1のパネル124が前端部117に向かって外向きに引っ張られると、基部142は肘掛け112のガイドトラック140によって受け入れられて移動可能に保持され、それにより、バリア122を展開位置にガイドし安定させる。第1のパネル124を前端部117に向かって連続的に移動させると、第2のパネル126は、それに応じて、例えば第1の溝168内でのレール152のスライド可能な係合を介して移動する。第1のパネル124および第2のパネル126が前端部117に向かって移動すると、第3のパネル128は、それに応じて、例えば第2の溝172内でのレール178のスライド可能な係合を介して移動する。したがって、第1のパネル124、第2のパネル126、および第3のパネル128は、収納位置と展開位置との間で肘掛け112の全長にわたって直線的に並進する。
【0039】
図6は、本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステム120の斜視上面図を示している。図示のように、バリア122は肘掛け112の前端部117に向かって完全に延伸している。肘掛け112の長さに沿って延伸するガイドトラック140の長さは、バリア122の外向きへの延伸を制限し、また第1のパネル124、第2のパネル126、および第3のパネル128が互いに分離する可能性を防止するまたは他の方法で低減する。
【0040】
少なくとも一実施形態では、ハウジング132の上壁136は、第3のパネル128の上縁部129の少なくとも一部をスライド可能に保持する内部溝180を含み得る。第3のパネル128の上縁部129の一部を保持することにより、展開位置においてバリア122にさらなる安定性がもたらされる。
【0041】
バリア122を展開位置から収納位置に移動させるために(
図2に示すように)、個人は、矢印Bの方向に肘掛け112の後端部116に向かって第1のパネル124を押し戻す。第1のパネル124がハウジング132に向かって後方にスライドすると、第1のパネル124は第2のパネル126を越えて後方にスライドし、第2のパネル126は第3のパネル128を越えて後方にスライドし、それによってバリア122を収納位置に折り畳む。
【0042】
図7は、第2のパネル126の第1の面を示している。
図8は、第2のパネル126の第2の面を示している。
図2~
図8を参照すると、第1の溝168および第2の溝172はそれぞれ壁166の両側170および174に形成されている。第1の溝168および第2の溝172は、壁166の終端縁部177および179まで延伸していなくてもよい。したがって、第1の溝168および第2の溝172は、レール152およびレール178の可動範囲を制限し、第1のパネル124および第3のパネル128が第2のパネル126から分離するのを防止する。あるいは、第1の溝168および第2の溝172は、終端縁部177および179に延伸してそれらを貫通してもよい。
【0043】
図9は、本開示の一実施形態による、隣接する座席アセンブリ100aおよび100bの共通の肘掛け112に固定された仕切りシステム120の正面図を示している。図示のように、仕切りシステム120は、座席アセンブリ100aおよび100bの(直立位置にある)背もたれ110の間の空間190内で肘掛け112上に支持されている。肘掛け112は、第1の座席アセンブリ100aおよび第2の座席アセンブリ100bによって共有される共通の肘掛けである。仕切りシステム120は肘掛け112に連結されている。バリア122は、肘掛け112の頂部114から直立背もたれ110の頂部192に最も近い高さまで延伸する。少なくとも一実施形態では、バリア122は直立背もたれ110の頂部192まで延伸する。少なくとも1つの他の実施形態では、バリア122は、直立背もたれ110の頂部192の上方または下方に延伸することができる。
【0044】
少なくとも一実施形態では、第1の座席アセンブリ100aはビークルの車室内にあるように構成されている。第2の座席アセンブリ100bもまた、車室内にあるように構成されている。
【0045】
図10は、本開示の一実施形態による、収納位置にある仕切りシステム120を含む座席アセンブリ100を示している。バリア122(
図2、
図4、および
図6に示す)は折り畳まれ、肘掛け112の後端部116を覆って配置される。このように、収納されたバリア122は乗客への視界を妨げない。
【0046】
図11は、本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステム120を含む座席アセンブリを示している。示されるように、バリア122は、肘掛け112の長さにわたって完全にかつ外向きに延伸し、それによって乗客200の上部への視界を遮る。延伸したバリア122はまた、肘掛け112の上でまたはそれを越えて、乗客200が隣接する乗客に直接接触するのを阻止するのにも役立つ。
【0047】
図12は、本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステム120の側面図を示している。この実施形態では、仕切りシステム120は、後端部116に近接して肘掛け112に固定された固定アンカー部材220(柱、梁、ブラケットなど)を含む。可動部材222(柱、梁、ブラケットなど)は、往復式ガイドトラックなどを介して肘掛け112に移動可能に固定されている。可動部材222は、方向または矢印Cで肘掛け112を越えて固定アンカー部材220に接近するおよび離れるように構成されている。バリア122は、固定アンカー部材220および可動部材222に固定されている。この実施形態では、バリア122は、ファブリック、布地、メッシュなどの可撓性構造体であり得る。展開位置では、バリア122は完全に延伸してピンと張っている。
【0048】
図13は、本開示の一実施形態による、中間位置にある仕切りシステム120の側面図を示している。仕切りシステム120を収納位置に移動させるために、可動部材222が固定アンカー部材220に向かって内側に押され、それによってバリア122を緩める。
【0049】
図14は、本開示の一実施形態による、収納位置にある仕切りシステム120の側面図を示している。図示のように、可動部材222は固定アンカー部材220に近接していてもよく、バリア122はそれらの間および/または固定アンカー部材220および/または可動部材222の一部の周りにドレープされていてもよい。
【0050】
図15は、本開示の一実施形態による、展開位置にある仕切りシステム120の上面図を示している。仕切りシステム120は、
図12~
図14に関して上述したように可動部材222を含む。可動部材222は、ガイドトラックを介して肘掛け112に移動可能に固定されている。回転可能なアンカー部材250が肘掛け112の後端部116に近接して配置されている。アンカー部材250は、軸線252を中心に回転するように構成されている。バリア122は、ファブリック、布地、メッシュなどで形成されるような可撓性バリアであり得る。
【0051】
図16は、本開示の一実施形態による、収納位置にある仕切りシステム120の上面図を示している。可動部材222がガイドトラック140を通ってアンカー部材250に向かって移動すると、アンカー部材250は軸線252を中心に回転し、それによって可撓性バリア122をアンカー部材250の周りに巻き付ける。
【0052】
図17は、本開示の一実施形態による航空機300などのビークルの正面斜視図を示している。航空機300は、例えば、2つのターボファンエンジン304を含み得る推進システム302を含む。任意選択で、推進システム302は、図示されているよりも多くのエンジン304を含むことができる。エンジン304は、航空機300の翼306によって支えられる。他の実施形態では、エンジン304は、胴体308および/または尾翼310によって支えられてもよい。尾翼310はまた、水平スタビライザ312および垂直スタビライザ314を支持することができる。
【0053】
航空機300の胴体308は車室316を画定し、車室316は、操縦室、1つまたは複数の作業セクション(例えば、ギャレー、人員の機内持ち込み手荷物領域など)、1つまたは複数の乗客セクション(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス、およびエコノミークラスセクション)、および後方セクションを含み得る。車室316は、
図1~
図16に関して示し説明したような仕切りシステム120を有する座席アセンブリ100を含む。あるいは、航空機の代わりに、本開示の実施形態は、自動車、バス、機関車および列車の車両、船舶、宇宙船などのようなさまざまな他のビークルと共に使用されてもよい。
【0054】
図18は、本開示の一実施形態による、仕切りシステムを形成する方法のフローチャートを示している。
図1~
図18を参照すると、少なくとも一実施形態では、方法は、400で座席アセンブリ100の肘掛け112の上および/または中にガイドトラック140を形成することによって開始することができる。402で、可動バリア122が設けられる。404で、ガイドトラック140はバリア122の一部と位置合わせされ、バリア122の一部はガイドトラック140によって受け入れられ、移動可能に保持され得る。406で、バリア122が肘掛け112の後端部116にあるまたはそれに近接した収納位置と、肘掛け112の前端部117に向かって延伸する展開位置との間で肘掛け112上を移動することができるように、バリア122は肘掛け112に移動可能に固定される。
【0055】
本明細書に記載されているように、本開示の実施形態は、ビークルの車室内に互いに隣接して着席している乗客間のプライバシーを向上させるシステムおよび方法を提供する。
【0056】
例えば、上、底、下、中間、横方向、水平方向、垂直方向、正面などのさまざまな空間および方向の用語を、本開示の実施形態を説明するために使用することができるが、このような用語は図示された向きに関して単に使用されることが理解される。向きは、反転され、回転され、または他の方法で変更されてもよく、このため、上部が下部に、およびその逆や、水平方向が垂直方向になどなる。
【0057】
本明細書で使用される、タスクまたは動作を実行する「ように構成された(configured to)」構造、制限、または要素は、特に構造的に形成され、構築され、またはタスクもしくは動作に対応するように適合されている。明確にする目的および誤解を避けるために、タスクまたは動作を実行するように変更されることが単に可能なオブジェクトは、本明細書で使用されるタスクまたは動作を実行する「ように構成され(configured to)」ていない。
【0058】
上記の説明は例示であって限定されないことを意図することが理解されるべきである。例えば、上述の実施形態(および/またはその態様)を、互いに組み合わせて使用することができる。加えて、本開示のさまざまな実施形態の教示に、その範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を適合するために、多くの変更がなされ得る。本明細書中に記載される材料の寸法およびタイプは、本開示のさまざまな実施形態のパラメータを画定することを意図されているが、本実施形態は、決して限定的ではなく例示的な実施形態である。多くの他の実施形態は、上記の説明を検討することにより当業者には明らかにされよう。本開示のさまざまな実施形態の範囲は、したがって、その請求項が権利を有する均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」や「ここで(in which)」という用語は、普通の英語の各用語「備える(comprising)」や「ここで(wherein)」と同等として使用される。また、用語「第1(first)」、「第2(second)」、および「第3(third)」などは、単にラベルとして使用され、これらの対象に数の要件を課すことを意図するものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の制限は、ミーンズプラスファンクション形式で書かれておらず、この特許請求の範囲の制限がさらなる構造の機能ボイドの記述に続く「手段(means for)」のフレーズを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるものではない。
【0059】
この記載は、ベストモードを含む本開示のさまざまな実施形態を開示するために例を使用し、また、当業者が、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含む、本開示のさまざまな実施形態を実施することを可能にする。本開示のさまざまな実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。例が特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または例が特許請求の範囲の文言と実質的でない差を有する同等の構造的要素を含む場合、このような他の例は、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0060】
100 座席アセンブリ
100a 第1の座席アセンブリ
100b 第2の座席アセンブリ
102 基部
104 脚部
106 トラック
108 座席クッション
110 背もたれ
112 肘掛け
114 頂部
116 後端部
117 前端部
119 外縁部
120 仕切りシステム
121 底部
122 バリア
124 第1のパネル
126 第2のパネル
128 第3のパネル
129 上縁部
130 内部チャンバ
132 ハウジング
134 側壁
136 上壁
138 後壁
140 ガイドトラック
142 基部
144 垂直チャネル
146 保持チャネル
148 棚部
150 壁
152 レール
154 面
156 第1の端部
157 第2の端部
158 延長梁
160 フック
162 縁部
164 係合部材
166 壁
168 第1の溝
170 第1の面
172 第2の溝
174 第2の面
176 壁
177 終端縁部
178 レール
179 終端縁部
180 内部溝
190 空間
192 頂部
200 乗客
220 固定アンカー部材
222 可動部材
250 アンカー部材
252 軸線
300 航空機
302 推進システム
304 エンジン
306 翼
308 胴体
310 尾翼
312 水平スタビライザ
314 垂直スタビライザ
316 車室