(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】電気自動車又はハイブリッド車用のOBC充電器及び関連する実現プロセス
(51)【国際特許分類】
B60L 53/302 20190101AFI20240904BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240904BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B60L53/302
H05K7/20 B
H05K7/20 N
H05K9/00 W
(21)【出願番号】P 2019566783
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 IB2018054626
(87)【国際公開番号】W WO2018235049
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】102017000070324
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516032517
【氏名又は名称】メタ システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】META SYSTEM S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Tancredi Galimberti, 5, 42124 Reggio Emilia (IT)
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】シモナッチ,ジュゼッペ
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-17479(JP,A)
【文献】特開2005-19564(JP,A)
【文献】特開2011-233726(JP,A)
【文献】特開2015-154699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/302
H02K 5/02
H05K 7/20
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車又はハイブリッド車用のOBC(On-Board Charger)充電器(1)であり、該OBC充電器は、
-少なくとも1個の外部容器(2)、
-前記容器(2)内に収容され、入力電流/電圧を所定の出力電流/電圧に変換するよう構成される少なくとも1つの電子パワー回路(3)、
-前記電子パワー回路(3)を冷却するために、前記容器(2)の一部に作製される少なくとも1つの液冷回路(4)
を含むOBC充電器であって、
前記容器(2)は、
-前記液冷回路(4)を有する少なくとも1つの部分を備える高分子材料製の収容体(5)であって、前記電子パワー回路(3)を収容し、略直方体状をなす収容体(5)、
-前記電子パワー回路(3)によって発生される電磁波をシールドするために前記収容体(5)の外面
の一面を除く他の面に亘り延在するシールド用金属シート(6)、
-前記収容体(5)の
前記一面を覆う少なくとも1つの金属密閉カバー(8)、
-前記電子パワー回路(3)用の少なくとも1つの収容座部を備え、前記収容体(5)の少なくとも1つの内部分と
の間で一連の相互空間を画成する少なくとも1つの放熱金属ジグ(7)
を含み、
前記液冷回路(4)は、前記収容体(5)の前記内部分と、前記金属ジグ(7)との間で画成される少なくとも1つの
相互空間から構成され、
前記電子パワー回路(3)は、前記液冷回路(4)を通流する冷却流体と接触する相対的な金属基体を有する前記金属ジグ(7)に固定される少なくとも1つのIMS(Insulated Metal Substrate:絶縁金属基板)プリント回路(9)と、該プリント回路(9)に接続された少なくとも1つのPFC(Power Factor Correction:力率補正)回路(10)、少なくとも1つのLLC回路(11)及び少なくとも1つのACフィルタ(12)とを含む、ことを特徴とする、OBC充電器(1)。
【請求項2】
電気自動車又はハイブリッド車用のOBC充電器を作製するためのプロセスであり、該プロセスは、少なくとも以下のステップ、すなわち
-高分子材料製の少なくとも1個の
略直方体状をなす収容体(5)を作製するステップ、
-前記収容体(5)の少なくとも1つの内部分で、少なくとも1つの液冷回路(4)を作製するステップ、
-前記収容体(5)内に少なくとも1つの電子パワー回路(3)を収容し、前記電子パワー回路(3)は、入力電流/電圧を所定の出力電流/電圧に変換するよう構成される、ステップ
、
を含むプロセスであって、
-シールド用金属シート(6)を作製するステップ、
-前記電子パワー回路(3)によって発生される電磁波をシールドするために、前記シールド用金属シート(6)を、高分子材料製の前記収容体
(5)の外面
の一面を除く他の面に亘り延在させるステップ、
-少なくとも1つの金属密閉カバー(8)
により、前記収容体(5)
の前記一面を覆うステップ
を更に含み、
前記液冷回路(4)を作製するステップは、
-前記電子パワー回路(3)用の少なくとも1つの収容座部を備える、少なくとも1つの放熱金属ジグ(7)を作製するステップ、
-前記金属ジグ(7)を前記収容体(5)の少なくとも1つの内部分と関連付け、前記液冷回路(4)は、前記収容体(5)の前記内部分と前記金属ジグ(7)との間で画成される少なくとも1つの空間で構成される、ステップ
を更に含み、
前記収容体(5)内に少なくとも1つの電子パワー回路(3)を収容するステップは、
-IMSプリント回路(9)を、前記液冷回路(4)を通流する冷却流体と接触する相対的な金属基体を有する前記金属ジグ(7)に配置し、固定するステップ、
-PFC回路(10)を配置し、前記IMSプリント回路(9)に接続するステップ
-LLC回路(11)を配置し、前記IMSプリント回路(9)に接続するステップ
-ACフィルタ(12)を配置し、前記IMSプリント回路(9)に接続するステップ
を更に含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項3】
前記収容体(5)を作製する前記ステップは、高分子材料の射出成形の作業を含むことを特徴とする、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記金属ジグ(7)を作製する前記ステップは、少なくとも1枚の金属シートの深絞り加工を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記シールド用金属シート(6)を作製する前記ステップは、切断及び冷間成形加工を含むことを特徴とする、請求項2から4のうちいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車又はハイブリッド車用のOBC充電器、特に、電圧/電流変換用液冷式電子パワー装置である充電器、及び関連する実現プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気又はハイブリッド車両の分野に関して、OBC(On-Board Charger:車載充電器)バッテリ充電器又はDC-DCコンバータ等の、車両に搭載される電子パワー装置の使用は、入力電圧/電流を出力電圧/電流に変換するのに不可欠である。
【0003】
このような装置は、一般的に、使用中に温度を許容レベルに維持できる専用の冷却システムを必要とするパワーエレクトロニクスを含む。
【0004】
事実、ユニット効率を有さない、エネルギー変換(交流電圧/電流から直流電圧/電流への、又は直流電圧/電流から直流電圧/電流への)に使用される全ての電子装置は、必然的に熱の形でエネルギーを放散し、そのエネルギーが、使用パワーに正比例することは、よく知られている。
【0005】
また、この欠点を解消するのに、エネルギー変換によって発生された熱は、空冷式(強制的又は非強制的な)又は液冷式システムによって放散できることも知られている。
【0006】
従って、既知の種類のエネルギー変換装置のエレクトロニクスは、一般的に、金属容器、好適には完全にアルミニウム製の容器内に封入される。
【0007】
より詳細には、アルミニウム容器は、エネルギー変換中、大気放散を通して効果的な熱放散を可能にするために使用される。
【0008】
また、空冷は、容器自体の外面にある所定部分に作製される適切なフィンの存在によっても、得られる。
【0009】
更にまた、既知の種類の装置は、容器の一部に作製されて、内部エレクトロニクスの一部を冷却するのに使用される流体冷却回路を、一般的に含む。
【0010】
しかしながら、既知の種類の装置には、多くの欠点がある。
【0011】
事実、アルミニウム容器の実現には、かなり高い製造コストを伴う。
【0012】
特に、アルミニウム容器は、ダイカスト加工を使用して作製され、これは、一般的に限られた寿命(約50,000~80,000個)を有する特別な鋳型の使用を伴い、その結果、計画的に介入してこれらの鋳型を取り替える必要がある。
【0013】
従って、新たな鋳型を使用する必要性は、装置の総合的な実現コストをかなり増大させる。
【0014】
更にまた、ダイカスト後に、容器は、必ず更に機械加工されねばならず、その結果、総合的な実現時間やコストが増大する。
【0015】
更にまた、使用される液冷回路は、容器の限られた部分に作製され、従って、内部エレクトロニクスの一部に関してのみ有効な冷却が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の主な目的は、内部エレクトロニクス全体をより効率的に冷却可能にできる、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置及び関連する実現プロセスを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、エネルギー変換中に発生される電磁波の放出を抑制可能な、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、従来のソリューションよりも軽量な、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、総合的な実現コストの大幅な削減を達成可能な、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、既知のソリューションより生産し易い、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、従来のソリューションより効果的な電気絶縁性を有する、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前述の目的は、請求項1に記載される特徴の組合せによる電気自動車又はハイブリッド車用の本電子パワー装置によって達成される。
【0023】
また、前述の目的は、請求項8に記載される特徴の組合せによる電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置の本実現プロセスによって達成される。
【0024】
本発明に関する他の特徴及び利点は、明示的だが非限定的な実施例として、添付図で説明される、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置及び関連する実現プロセスの好適だが、排他的でない実施形態に関する記述から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による電子パワー装置の不等角投影図である。
【
図2】本発明による電子パワー装置の分解図である。
【
図3】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図4】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図5】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図6】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図7】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図8】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図9】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図10】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図11】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図12】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図13】本発明による電子パワー装置の実現プロセスを模式的に示している。
【
図14】既知の種類の装置上で測定された温度と比較して、本発明による装置の電子パワー回路上に配置された様々なセンサによって測定された温度を示す、例示的な表を示している。
【
図15】既知の種類の装置の電磁波の放出レベルの変化と比較して、本発明による装置の電磁波の放出レベルに関する変化を示す、例示的なグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これらの図解を特に参照すると、参照番号1は、全体的に、電気自動車又はハイブリッド車用電子パワー装置を表している。
【0027】
特に、本発明による装置は、入力電圧/電流を出力電圧/電流に変換するのに使用可能な、液冷式電子パワー装置の種類のものである。
【0028】
例えば、本発明による装置は、電動車両又はハイブリッド車両のバッテリを再充電するための装置、又はDC-DC変換用装置から成ることができる。
【0029】
図面で説明された特定の実施形態を参照すると、装置1は、OBCバッテリ充電器(On-Board Charger:車載充電器)で構成される。
【0030】
しかしながら、本発明による装置が異なる電子パワー装置から成る、異なる実施形態は、排除できない。
【0031】
装置1は、
図1において参照番号2で全体的に表された、少なくとも1個の外部容器を含む。
【0032】
また、装置1は、
図2において参照番号3で全体的に表され、容器2内に収容され、入力電流/電圧を所定の出力電流/電圧に変換するように構成された、少なくとも1つの電子パワー回路も含む。
【0033】
少なくとも1つの液冷回路4は、電子パワー回路3を冷却するために、容器2の一部で作製される。
【0034】
有利には、容器は、収容体5を含み、該収容体5は、電子パワー回路3を収容するよう適合され、高分子材料製で、液冷回路4を備える少なくとも1つの内部分を含む。
【0035】
特に、収容体5の実現は、容器全体がアルミニウム製である既知の種類のソリューションと比べて、総合的な実現コストの大幅な削減を可能にする。
【0036】
事実、高分子材料製の収容体5を実現することで、金属容器を作製するのに一般的に使用される複雑で高価なダイカスト加工を回避できる。
【0037】
更にまた、高分子材料製収容体5の使用は、以下に示されるように、追加の利益を提供する。
【0038】
また、容器2は、少なくとも1枚のシールド用金属シート6も含み、該シートは、高分子材料製収容体5の外面の少なくとも1つの部分に関連付けられ、電子パワー回路3によって発生される電磁波のシールドに使用される。
【0039】
このように、高分子材料製の収容体5を使用するにもかかわらず、それでも効果的なシールドが、装置1の使用中に発生する電磁波に対して確実になされる。
【0040】
好適には、シールド用金属シート6は、収容体5の外面全体に亘り延在する。
【0041】
特に、図面で説明された装置1の特定の実施形態を参照すると、容器2は、3枚の異なるシールド用金属シート6を含み、該シートは、適当に曲折及び形成されて、収容体5の外面の各部分に固定される。
【0042】
確実に効率的な放熱を行うために、容器2は、少なくとも1つの放熱金属ジグ7を含み、該放熱金属ジグは、電子パワー回路3用の少なくとも1つの収容座部を備え、少なくとも1本の液冷回路4の場所で、収容体5の少なくとも1つの内部分と関連付けられる。
【0043】
金属ジグ7は、従って、電子パワー回路3を収容するように適合され、液冷回路4を用いて、装置1の使用中に、電子パワー回路3の部品の効果的な冷却を可能にする。
【0044】
特に、図面に説明された装置1の特定の実施形態を参照すると、容器2は、少なくとも1つの放熱金属ジグ7を含み、該放熱金属ジグは、電子パワー回路3用の複数の収容座部を備え、収容体自体の底部で、収容体5の1つの内部分と関連付けられる。
【0045】
特に、液冷回路4は、部分的に、収容体5自体の適当に形成された底部から成る。事実、収容体5の底部に作製された適切な凹凸部は、冷却流体が入口開口4aから始まり出口開口4bまで追従しなければならない通路を画成する。
【0046】
従って、この好適な実施形態を参照すると、冷却回路4は、収容体5の内面と金属ジグ7との間で画成される一連の相互空間から構成される。
【0047】
金属ジグ7は、電子パワー回路3の各部品を収容するよう適合される収容座部を備え、冷却剤と接触する下面を備える。これは、装置1の使用中に電子パワー回路3の部品の効果的な冷却を可能にする。
【0048】
また、容器2は、収容体5の金属密閉カバー8も含む。
【0049】
好適には、金属カバー8は、アルミニウム製である。
【0050】
以上で示されたように、図面に示された実施形態による特定の装置1は、OBCバッテリ充電器(車載充電器)で構成される。
【0051】
このような場合では、装置1の電子パワー回路3は、従来OBCバッテリ充電器内に存在する、少なくとも以下の部品、すなわち
-少なくとも1個のIMS(Insulated Metal Substrate:絶縁金属基板)プリント回路9、
-少なくとも1個のPFC(Power Factor Correction:力率補正)回路10、
-少なくとも1個のLLC回路11、
-少なくとも1個のACフィルタ12
を含む。
【0052】
IMSプリント回路9に代わる手段として、電子パワー回路3は、適当なヒートシンクと組合せた別の種類のプリント回路を含み得る。
【0053】
更にまた、装置1の内部エレクトロニクスは、
-少なくとも1個の指令プリント回路13、
-少なくとも1個の供給プリント回路14
を含む。
【0054】
以上で挙げた電子部品は、容器2に収容され、既知の種類のソリューションに提供されるのと同じ方法で、互いに適当に接続される。
【0055】
より詳細には、本発明による装置1を参照すると、IMSプリント回路9は、液冷回路4の冷却流体と接触する相対的な金属基体を有する金属ジグ7に、固定される。
【0056】
このようにして、従って、IMSプリント回路の及び該回路に接続された電子パワー回路3の部品の効果的な冷却が、確実に行われる。
【0057】
本発明による装置1の実施形態について、以下に記載される。
【0058】
プロセスは、まず、高分子材料製の収容体5を実現するステップ(
図3)を含む。
【0059】
例えば、収容体5は、高分子材料の射出成形によって作製できる。
【0060】
その後、プロセスは、収容体5の少なくとも1つの内部分で、液冷回路4を実現するステップを提供する。
【0061】
特に、図解で示された特定の好適な実施形態を参照すると、液冷回路4は、部分的に、収容体5自体の適当に形成された底部から成る。事実、収容体5の底部に(成形中に)作製された適切な凹凸部は、冷却流体が、入口開口4aから始まり出口開口4bまで追従しなければならない通路を画成する。
【0062】
更にまた、冷却回路4を実現するステップは、
-電子パワー回路3用の少なくとも1つの収容座部を備える、放熱金属ジグ7を形成するステップ、
-金属ジグ7を、収容体5の内部分と関連付けるステップ
を含む。
【0063】
特に、金属ジグ7は、少なくとも1枚の金属シートの深絞り加工によって作製できる。
【0064】
一旦金属ジグ7が配置されると、冷却回路4は、収容体5の内部分と金属ジグ7との間で画成される一連の相互空間から成る。
【0065】
プロセスは、従って、収容体5の内部に電子パワー回路3と共に、他の電子制御部品又は電源部品(
図5~
図11)を収容するステップを伴う。
【0066】
特に、図解で示された特定の実施形態を参照すると、OBCバッテリ充電器の収容体5内部に全部品を配置し、固定することに関して、プロセスは、以下のステップ、すなわち
-適切なシーリングガスケットと共に、IMSプリント回路9を金属ジグ7に配置し、固定するステップ(
図5)、
-少なくとも1つのプラスチック製支持体20を配置するステップ(
図6)、
-PFC回路10を配置し、接続するステップ(
図7)、
-LLC回路11を配置し、接続するステップ(
図7)、
-ACフィルタ12及び関連する電磁シールド15を配置し、接続するステップ(
図7)、
-隔離用樹脂16をIMSプリント回路9上に注入するステップ(
図8)、
-AC入力コネクタ17、DC出力コネクタ18及び指令コネクタ19を収容体5に配置し、固定するステップ(
図9)、
-指令プリント回路13を配置し、接続するステップ(
図10)、
-供給回路14を配置し、接続するステップ(
図11)
を伴う。
【0067】
有用には、コネクタ17、18及び19は、高分子材料製とする、或いは、単体片で形成でき、収容体自体の成形中に収容体5と一体化できる。
【0068】
次に、プロセスは、好適にはアルミニウムの、金属カバー8を実現するステップ、及び収容体自体を密閉するためにカバー8を収容体5に固定するステップ(
図12)を含む。
【0069】
更にまた、プロセスは、少なくとも1枚のシールド用金属シート6を作製するステップを含む。
【0070】
特に、この少なくとも1枚のシールド用金属シート6は、好適には、切断及び冷間成形加工によって作製される。
【0071】
プロセスは、従って、電子パワー回路3によって発生される電磁波をシールドするために、シールド用金属シート6を収容体5の外面の少なくとも1つの部分に固定するステップを含む。
【0072】
特に、図解で示された、好適な実施形態を参照すると、プロセスは、収容体5の外面全体上に固定された複数のシールド用金属シート6を実現するステップ(
図13)を伴う。
【0073】
実際に、記載された本発明がどのように意図された目的を達成するかについて、確認された。
【0074】
特に、本発明による電子パワー装置及び関連する実現プロセスが、総合的な実現コストをかなり削減可能にする点は、強調される。
【0075】
事実、高分子材料製収容体の実現及び使用は、金属容器のダイカストに従来使用されるような、高価で寿命が限られた鋳型の使用を回避でき、その結果総合的な実現コストを大幅に削減できる。
【0076】
更にまた、高分子材料製の収容体は、成形後の更なる機械加工作業が可能な限りの最小限にまで減少されるために、既知の種類のソリューションより生産し易い。
【0077】
実際に、従って、本発明による装置及びプロセスは、アルミニウムダイカストに関するプロセス全てを、それに伴い結果的に生じるあらゆる制限(鋳造後に必要となる再機械加工、鋳型の限定的な寿命、かなりの環境への影響を伴う900℃の高温での機械加工作業)とともに、排除可能にする。
【0078】
これに、高分子材料製収容体の使用が、既知の種類のソリューションと比べて、より軽量な装置の実現を可能にする点が、加えられなければならない。
【0079】
また、本発明による装置に存在する特定の液冷回路は、装置自体の電子パワー回路の(及びエレクトロニクス全体の)、より効果的な冷却も可能にする。
【0080】
この点に関して、
図14は、プラスチック容器を備えた、本発明による装置の電子パワー回路上に配置された様々なセンサによって測定された温度を、従来のアルミニウム容器を備えた、既知の種類の装置上で測定された温度と比較して表す、説明に役立つ表を示している。
【0081】
特に、このような温度は、以下の試験条件、すなわち
-220Vacの入力電圧、
-300Vdcの出力電圧、
-6.6kWのパワー出力、
-25℃の周囲温度、
-20℃の冷却剤温度、
-60分の充電時間
を考慮して、測定される。
【0082】
以下は、
図14の表に示された用語の記号解説である。
LLC1:IMS回路にあるMOSFETのLLCブリッジの第1温度センサ、
PFC1:IMS回路にあるMOSFETのPFCの第1温度センサ、
Trasf1:変圧器巻線にある第1温度センサ、
Res1:共振巻線にある第1温度センサ、
LLC2:IMS回路にあるMOSFETのLLCブリッジの第2温度センサ、
PFC2:IMS回路にあるMOSFETのPFCの第2温度センサ、
Trasf2:変圧器巻線にある第2温度センサ、
Res2:共振巻線にある第2温度センサ。
【0083】
更にまた、高分子材料製収容体の実現は、既知の種類のソリューションと比べて、より効果的な電気絶縁性を達成可能にする。
【0084】
最後に、高分子材料製収容体と収容体自体の外面に配設されたシールド用金属シートを組合せた使用は、電磁波からの効果的なシールドを獲得可能にする。
【0085】
この点に関して、
図15は、実線を用いて、プラスチック容器を備える、本発明による装置の電磁波の放出レベルに関する変化を表す、説明に役立つグラフを示している。
【0086】
更にまた、点線を用いて、従来のアルミニウム容器を備える既知の装置の電磁波放出レベルに関する変化が、示されている。
【0087】
特に、このような放出レベルは、以下の試験条件、すなわち
-220Vacの入力電圧、
-390Vdcの出力電圧、
-6.6kWのパワー出力、
-30MHz~1000MHzの周波数範囲
を考慮して、測定される。
【0088】
図15のグラフから分かるように、本発明による装置の放出レベルは、既知の種類の装置の放出レベルと比べて、重なり合うことができ、殆どの周波数に関しては、低くさえある。