IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大塚包装工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-食品容器 図1
  • 特許-食品容器 図2
  • 特許-食品容器 図3
  • 特許-食品容器 図4
  • 特許-食品容器 図5
  • 特許-食品容器 図6
  • 特許-食品容器 図7
  • 特許-食品容器 図8
  • 特許-食品容器 図9
  • 特許-食品容器 図10
  • 特許-食品容器 図11
  • 特許-食品容器 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】食品容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/36 20060101AFI20240904BHJP
   B65D 77/02 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B65D1/36
B65D77/02 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020044844
(22)【出願日】2020-03-14
(65)【公開番号】P2021147047
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390002370
【氏名又は名称】大塚包装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100214145
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 尚恵
(72)【発明者】
【氏名】粟飯原 貴人
(72)【発明者】
【氏名】島田 健太
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-095228(JP,A)
【文献】特開2012-224357(JP,A)
【文献】登録実用新案第3044932(JP,U)
【文献】実開昭57-107791(JP,U)
【文献】特開2000-296829(JP,A)
【文献】登録実用新案第3092115(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/36
B65D 77/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収納するための食品容器であって、
食品を収納する収納空間を複数、複数の行及び列で構成された行列状に画成する、複数の隔壁部と、前記複数の隔壁部の上面と連続して、周囲を囲むように形成された枠体と、
を備えており、前記隔壁部の上面は、前記行列状に画成された複数の収納空間の内、隣接する収納空間同士の間に破断線を形成しており、前記破断線は、隣接する4つの収納空間の間で、前記隔壁部の上面で交差しており、かつ前記破断線の交差する位置に、第一凹部が形成されており、該第一凹部の底面の厚さを、前記隔壁部の他の厚さよりも薄く形成しており、
前記第一凹部の底面に、突起部を形成しており、
前記突起部が、角錐状に形成されており、
前記破断線前記第一凹部が分割されると、前記底面の突起部がしわになり、くしゃくしゃの状態に潰れるよう構成しており、
前記隔壁部の上面を、複数のなだらかな段差状に形成しており、
前記収納空間を画成する各隔壁部は、その上面の中央を窪ませた段差状に形成しており、
平面視において連なった3つの収納空間が2列に並べられた内、該3つの収納空間の中間に位置する収納空間同士の間に位置する隔壁部の上面が、左右に隣接する隔壁部との交点をさらにそれぞれ窪ませた状態となるように連続的に形成してなる食品容器。
【請求項2】
請求項1に記載の食品容器であって、
前記破断線は、前記複数の行列状の収納空間同士の間で、前記隔壁部の上面に直線状に
形成されており、前記破断線の一部が、前記枠体と直交する姿勢に形成されてなる食品容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の食品容器であって、
前記第一凹部が、平面視において矩形状に形成されてなる食品容器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の食品容器であって、
前記枠体は、該枠体の周囲と、前記破断線とが交差する位置を凹状に形成した第二凹部とすると共に、該第二凹部の底面の厚さを、前記枠体の他の厚さよりも薄く形成してなる食品容器。
【請求項5】
請求項4に記載の食品容器であって、
前記第二凹部又は第一凹部の底面の厚さの平均値が、前記枠体の他の厚さの平均値の80%以下である食品容器。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の食品容器であって、
前記第二凹部が、前記第一凹部と部分的に同じ形状に形成されてなる食品容器。
【請求項7】
請求項4~のいずれか一項に記載の食品容器であって、
前記第二凹部が、半円状、三角形状、テーパ状、矩形状のいずれかに形成されてなる食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の冷凍保存技術の進歩に伴い、冷凍食品産業において様々な食材や調理済み食品の商品化が進んでいる。これに応じて、冷凍食品等の食品を収納する食品容器が種々開発されている。
【0003】
低温で保存される食品の容器としては、安価で成形性が良く、軽量であることからプラスチック製容器が汎用されている。プラスチック製容器の素材としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、又はこれらの混合物が多く使用されている。
【0004】
このような容器は、プラスチック等の樹脂シートを加熱してプレスする熱成形により形成されるものが多い(例えば、特許文献1、2参照)。この場合、薄いプラスチックシートで成形された食品容器の強度が弱くなる。食品容器は、食品を収納して包装されて流通されるところ、運搬途中の衝撃などで食品容器が変形したり破損したりすると、商品価値が低下することが懸念される。
【0005】
一方で、薄いプラスチックシートの端縁は、鋭利になることがあり、例えば包装フィルムを破損したり、あるいは包装から取り出した食品容器の端縁に触れて使用者が不意に手を傷付けることが考えられる。特に、食品容器の中には、複数の食品収納部を備え、ミシン目で切り離して使用可能としたものがあり、このようにミシン目で破断して個片化した容器の隅部が、尖り易くなる傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-095228号公報
【文献】特開2012-224357号公報
【文献】特開2014-031221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、樹脂シート性の食品容器の剛性や安全性を高めた低温保存用食品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の第1の側面に係る食品容器によれば、食品を収納するための食品容器であって、食品を収納する収納空間を複数、複数の行及び列で構成された行列状に画成する、複数の隔壁部と、前記複数の隔壁部の上面と連続して、周囲を囲むように形成された枠体とを備えており、前記隔壁部の上面は、前記行列状に画成された複数の収納空間の内、隣接する収納空間同士の間に破断線を形成しており、前記破断線は、隣接する4つの収納空間の間で、前記隔壁部の上面で交差しており、かつ破断線の交差する位置に、第一凹部が形成されており、該第一凹部の底面の厚さを、前記隔壁部の他の厚さよりも薄く形成しており、前記第一凹部の底面に、突起部を形成しており、前記突起部が、角錐状に形成されており、前記破断線前記第一凹部が分割されると、前記底面の突起部がしわになり、くしゃくしゃの状態に潰れるよう構成しており、前記隔壁部の上面を、複数のなだらかな段差状に形成しており、前記収納空間を画成する各隔壁部は、その上面の中央を窪ませた段差状に形成しており、平面視において連なった3つの収納空間が2列に並べられた内、該3つの収納空間の中間に位置する収納空間同士の間に位置する隔壁部の上面が、左右に隣接する隔壁部との交点をさらにそれぞれ窪ませた状態となるように連続的に形成することができる。上記構成により、破断線に沿って食品容器を分離した際、分離した分割容器の中心側の隅部の厚さを薄くすることで、隅部を柔らかくしてこの部分に触れて使用者が不意に手を傷付ける事態を回避できる。この結果、従来のV字状溝やストレート形状の食品容器と比べて、安全性を高めた使い易い食品容器が実現される。また第一凹部の底面を薄くすると共に、平面でなく突起部を形成することで、破断時に指などに触れる際の抵抗感を低減できる。さらに隔壁部に段差を設けることで強度を増し、食品容器の剛性を高めることが可能となる。さらにまた段差を形成しつつ、破断線に沿って分離した分割容器の高さが左右で変化しないように構成できる。
【0009】
また、第2の側面に係る食品容器によれば、上記構成に加えて、前記破断線は、前記複数の行列状の収納空間同士の間で、前記隔壁部の上面に直線状に形成されており、前記破断線の一部を、前記枠体と直交する姿勢に形成できる。
【0010】
さらに、第3の側面に係る食品容器によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第一凹部を、平面視において矩形状に形成できる。
【0011】
さらにまた、第4の側面に係る食品容器によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記枠体は、該枠体の周囲と、前記破断線とが交差する位置を凹状に形成した第二凹部とすると共に、該第二凹部の底面の厚さを、前記枠体の他の厚さよりも薄く形成できる。上記構成により、破断線に沿って食品容器を分離した際、分離した分割容器の枠体側の隅部の厚さを薄くすることで、隅部を柔らかくしてこの部分に触れて使用者が不意に手を傷付ける事態を回避できる。この結果、従来のV字状溝やストレート形状の食品容器と比べて、安全性を高めた使い易い食品容器が実現される。
【0012】
さらにまた、第5の側面に係る食品容器によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第二凹部又は第一凹部の底面の厚さの平均値が、前記枠体の他の厚さの平均値の80%以下とできる。
【0013】
さらにまた、第6の側面に係る食品容器によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第二凹部を、前記第一凹部と部分的に同じ形状に形成することができる。上記構成により、第一凹部と第二凹部を同様の方法で形成できるので、製造時の工程を簡素化できる利点が得られる。
【0014】
さらにまた、の側面に係る食品容器によれば、上記いずれかの構成に加えて、食品を収納するための食品容器であって、食品を収納する収納空間を複数画成する、複数の隔壁部と、前記複数の隔壁部の上面と連続して、周囲を囲むように形成された枠体とを備えており、前記隔壁部の上面は、隣接する収納空間同士の間で破断線を形成しており、前記枠体は、該枠体の周囲と、前記破断線とが交差する位置を凹状に形成した第二凹部とすると共に、該第二凹部の底面の厚さを、前記枠体の他の厚さよりも薄く形成することができる。上記構成により、破断線に沿って食品容器を分離した際、分離した分割容器の枠体側の隅部の厚さを薄くすることで、隅部を柔らかくしてこの部分に触れて使用者が不意に手を傷付ける事態を回避できる。この結果、従来のV字状溝やストレート形状の食品容器と比べて、安全性を高めた使い易い食品容器が実現される。
【0015】
さらにまた、第の側面に係る食品容器によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第二凹部を、半円状、三角形状、テーパ状、矩形状のいずれかに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る食品容器を示す要部拡大図付き斜視図である。
図2図1の食品容器の平面図である。
図3図1の食品容器の正面図である。
図4図1の食品容器の右側面図である。
図5】実施形態2に係る食品容器を示す要部拡大図付き斜視図である。
図6図5の食品容器の平面図である。
図7図6の食品容器の要部拡大斜視図である。
図8】破断線で破断した収納空間を示す斜視図である。
図9】変形例に係る食品容器の右側面図である。
図10】実施形態3に係る食品容器を示す平面図である。
図11図10の食品容器の正面図である。
図12図10の食品容器の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0022】
本発明の実施形態1に係る食品容器100を、図1図4に示す。これらの図において、図1は実施形態1に係る食品容器100を示す要部拡大図付き斜視図、図2図1の食品容器100の平面図、図3図1の食品容器100の正面図、図4図1の食品容器100の右側面図を、それぞれ示している。これらの図に示す食品容器100は、複数の隔壁部10と、枠体20とを備えている。複数の隔壁部10は、食品を収納する収納空間1を複数画成している。複数の収納空間1は、行列状に形成されている。行列状に形成された複数の収納空間1は、複数の行及び列で構成されている。図2の例では、縦2個×横3個の、計6個の収納空間1を形成している。これら各収納空間1に食品を個別に収納して、別途用意した包装フィルムに入れて封止したり、枠体20に透明なフィルムを貼付するなどして使用する。
【0023】
枠体20は、複数の隔壁部10の上面11と連続して、周囲を囲むように形成されている。枠体20と隔壁部10は、樹脂製のシート材で一体的に成形されている。例えば樹脂製のシート材を、真空成形や圧空成形、真空圧空成形、マッチモールド成形、射出成形、押し出し成形、中空成形、インフレーション成形、カレンダー加工、圧縮成形、真空プレス成形等の方法により、所望の形状に成形する。
【0024】
また収納空間1の底面には、図3及び図4に示すように凹凸パターン2が形成されている。このような凹凸パターン2を底面のリブとして機能させることで、強度を増すことができる。またこの収納空間1に収納される食品との接触面積を低減して、食品の型崩れを防止したり、冷凍された食品が解凍されるなど水分がたまった際には水を凹部に案内して含浸を回避するなどの効果も奏する。
(シート材)
【0025】
シート材は、好適には中間層の表面に表面層を積層した積層体が使用される。表面層には、ブロックコポリマー(b-PP)等が利用できる。このように表面層をb-PPで構成することで、耐熱性を向上できる。また表面層には、実質的にポリエチレン系樹脂を含まないようにできる。これにより、表面層に低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン系樹脂が含まれることで耐熱性が低下する事態を回避できる。
【0026】
一方、中間層には、b-PPと、LDPEと、LLDPEと、バイオマス由来の高密度ポリエチレン(HDPE)を含むことができる。また中間層はさらに、HDPEを含んでもよい。これによって、冷温保存用の食品の容器として好適に利用できる。
【0027】
中間層のb-PPの比率は、10~40重量%とでき、好ましくは28~30重量%とする。またLDPE或いはLLDPEの比率は20~60重量%とでき、好ましくは40~55重量%とする。このようにすることで、中間層におけるb-PPの比率を表面層と比べて相対的に下げて、耐寒性を向上させる。
【0028】
表面層と中間層を合わせたb-PPの比率は、50重量%以上とすることが好ましい。本発明者らは、先に低温保存用食品容器を開発した(特許文献3)。しかしながら、本発明者らの行った試験によれば、表面層にLDPE或いはLLDPEなどのポリエチレン系樹脂が含まれると、その分だけ耐熱性が低下するとの知見を得た。そこで、表面層からLDPE或いはLLDPEなどのポリエチレン系樹脂を排除することで、耐熱性を向上させている。加えて、ポリプロピレンの内、b-PP(ブロックコポリマー)を選択して表面層を構成することで、比重を軽くして軽量化を図ると共に、剛性も高めている。
【0029】
またシート材の厚さは、好ましくは0.20mm~0.80mm、より好ましくは0.25mm~0.65mmとする。
(破断線BL)
【0030】
この食品容器100は、隔壁部10の上面11において、隣接する収納空間1同士の間に破断線BLを形成している。ユーザは破断線BLに沿って食品容器100を分離して使用することが可能となる。例えば、冷凍食品を収納した食品容器100において、使用する個数の分だけ食品容器100を部分的に破断して使用し、未使用分のみを残して保存できるので、保管時の容積を低減して冷蔵庫内などで管理し易くなる。
【0031】
破断線BLは、容器厚み断面を半分だけカットしたハーフカットとしたり、波線状に切断した切り取り線など、既知の構成が適宜利用できる。またレーザ加工などで破断線BLを形成してもよい。
【0032】
破断線BLは、複数の行列状の収納空間1同士の間で、隔壁部10の上面11に直線状に形成されている。また破断線BLの一部が、枠体20と直交する姿勢に形成されている。
(第一凹部21)
【0033】
隣接する4つの収納空間1の間で、破断線BLは、隔壁部10の上面11で交差している。そして破断線BLの交差する位置に、第一凹部21が形成されている。この第一凹部21の底面の厚さは、隔壁部10の他の厚さよりも薄く形成している。上記構成により、破断線BLに沿って食品容器100を分離した際、分離した分割容器の中心側の隅部の厚さを薄くすることで、隅部を柔らかくしてこの部分に触れて使用者が不意に手を傷付ける事態を回避できる。この結果、従来のV字状溝やストレート形状の食品容器100と比べて、安全性を高めた使い易い食品容器100が実現される。この第一凹部21の形状は、円筒状、三角形状、矩形状等とすることができる。
(第二凹部22)
【0034】
また枠体20は、この枠体20の周囲と、破断線BLとが交差する位置を凹状に形成した第二凹部22を形成している。この第二凹部22の底面の厚さは、枠体20の他の厚さよりも薄くする。このようにすることで、破断線BLに沿って食品容器100を分離した際、分離した分割容器の枠体20側の隅部の厚さを薄くすることで、隅部を柔らかくしてこの部分に触れて使用者が不意に手を傷付ける事態を回避できる。この結果、従来のV字状溝やストレート形状の食品容器と比べて、安全性を高めた使い易い食品容器が実現される。
【0035】
この第二凹部22の形状は、半円状、三角形状、テーパ状、矩形状等とできる。また第二凹部22は、第一凹部21と部分的に同じ形状に形成することが好ましい。図2の例では、円形の第一凹部21に対し、第二凹部22を、第一凹部21の半円状としている。このようにすることで、第二凹部22と第一凹部21の形成を、同様の方法で行うことができる。
【0036】
第二凹部22や第一凹部21の形成は、パンチング等によって行うことができる。樹脂製のシートに対して、円柱状の押し型でもって円筒状に形成しつつ、この樹脂シートを所定の大きさに切断する際、円柱部分を半円となるように位置決めすることで、円形状の第一凹部21と、半円状の第二凹部22が形成される。
【0037】
またこの食品容器100は、図3及び図4に示すように隔壁部10の上面11を段差状に形成している。このように隔壁部10に段差23を設けることで強度を増し、食品容器100の剛性を高めることが可能となる。
【0038】
隔壁部10の上面11の段差23は、複数形成することが好ましい。複数の段差23は、各隔壁部10において、中央が窪んだ状態となるように連続的に形成されている。この構成により、段差23を形成しつつ、破断線BLに沿って分離した分割容器の高さが左右で変化しないように構成できる。
【0039】
また以上の例では、段差23を階段状に形成する例を説明したが、本発明はこの構成に限られず、例えば図9に示す変形例に係る食品容器100’のように、段差23’を曲線状に形成してもよい。段差23’を階段状でなく滑らかな曲線状とすることで、一層強度が高められると共に、段差部分での引っかかりを無くして使い易さも向上する。このように本明細書において段差とは、必ずしもステップ状に変化する態様のみならず、連続的に変化する曲面状の態様も含む意味で使用する。
[実施形態3]
【0040】
さらに、上述した例では段差として、隔壁部10の中央部分を一箇所のみ窪ませる態様を説明したが、本発明は段差の数や位置をこの態様に限定するものでなく、例えばの隔壁部で複数を窪ませてもよいし、中央部分以外を窪ませてもよい。このような例を実施形態3に係る食品容器として、図10図12に示す。これらの図に示す食品容器300において、上述した実施形態1等の食品容器と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を省略する。この食品容器300は、収納空間1を画成する隔壁部10”の段差23”を複数形成している。また、図11の正面図に示すように、3つの収納空間1を画成する隔壁部10”の内、中間に位置する隔壁部10”では、中央と左右の計3箇所に段差23”を形成している。このように段差23”を複数設けることで、隔壁部10”の補強効果が一層高められる。一方で図において左右に位置する隔壁部10”では、中央部分に段差23”を設けつつ、枠体20と面する側には段差を設けず、他の隔壁部10”と面する側にのみ、追加の段差23”を設けている。図12の右側面図に示す例では、収納空間1が2つのため、いずれの隔壁部10”も、中央部分と、隣接する他の収納空間1と面する側に、それぞれ段差23”を形成している。このように段差23”を複数設けることで、段差23”同士の間に山形の突起が形成されるため、これがリブの機能を果たして隔壁部10”の補強効果が得られる。隔壁部10”を補強することで、食品容器300を積み上げた際の型崩れなどを阻止できる。
【0041】
また、隔壁部10”の上面11”の高さを、枠体20の近傍では枠体20の上面と一致させつつ、他の隔壁部10”と交差する位置では、枠体20の上面よりも低い位置となるように形成している。このように構成することで、枠体20に封止フィルム等を貼付した際、中間部分では隣接する収納空間同士を隔てる隔壁部10”の上面と封止フィルム等との間に隙間を生じさせて、収納空間同士をより広い面積で連通することが可能となる。
【0042】
さらに食品容器は、隔壁部10”同士の交差位置に第一凹部21を設ける一方で、食品容器の周囲に位置する隔壁部には、必ずしも第二凹部を設けずともよい。図10に示す食品容器300の例では、第二凹部に代えて、平面視において枠体をV字状に切り込ませた切り込み22’を形成している。切り込み22’は、破断線BL’に沿って収納空間1毎に破断した際に、枠体20側に面した隅部が面取りされた形状となるように、予め曲線に形成されている。
(突起部24)
【0043】
以上の例では、第一凹部21や第二凹部22の底面を底面状とする例を説明した。ただ本発明はこの構成に限らず、第一凹部や第二凹部の底面に突起を形成してもよい。このような例を実施形態2に係る食品容器200として、図5図8に示す。これらの図において、図5は実施形態2に係る食品容器200を示す要部拡大図付き斜視図、図6図5の食品容器200の平面図、図7図6の食品容器200の要部拡大斜視図、図8は破断線BLで破断した収納空間1を示す斜視図を、それぞれ示している。これらの図に示す食品容器200は、第一凹部21の底面に、突起部24を形成している。第一凹部21の底面を薄くすると共に、平面でなく突起部24を形成することで、破断時に指などに触れる際の抵抗感を低減できる。上述の通り、隔壁部10や枠体20は樹脂シートをプレスして一体に形成される。この際、第一凹部21をピン状の型により部分的に押し出して形成することで、第一凹部21の厚さを枠体20など他の部分よりも薄く形成できる。例えば、円柱状のピンの押し出しによって、第一凹部21を円筒状に形成できる。さらに、第一凹部21の底面を薄く引き伸ばして面積を大きくすることにより、一層、膜厚を薄くできる。この際、例えば第一凹部21の底面に、突起部24を形成することで、円筒状の底面である円形状から更に大きくした余剰分を、上方に突出させて吸収できる。図5の要部拡大図や図7の拡大斜視図に示す例では、突起部24を四角錐状としている。なお突起部24は、四角錐に限られず、三角錐状や六角錐状等の角錐状としてもよい。あるいは、円錐状や円錐台状、角錐台状等としてもよい。
【0044】
また食品容器200は、破断線BLで破断して収納空間1毎に分離される。この際、第一凹部21は破断線BLの交点に設けられているため、第一凹部21は二分割あるいは四分割されることになる。例えば四分割された収納空間1の隅部は、従来であれば先端が鋭利となって使用者が不意に手を傷付ける可能性があった。これに対して本実施形態に係る食品容器200では、各収納空間1の隅部のあたる領域に第一凹部21を設けている。この結果、図8に示すように、破断線BLにより第一凹部21が分割されると、薄い底面の突起部24がしわになり、くしゃくしゃの状態に潰れる結果、指で触れても抵抗感の少ない状態となり、安全性を向上できる。なお、図5等に示すように、収納空間1の四隅の内、隣接する収納空間1が存在しない隅部は、予め隅部を面取りして成形することが可能となり、この部分で鋭利な部分が発生することを回避している。
【0045】
また、第二凹部22にも同様に突起部25を形成することもできる。上述の通り、シート材を真空成形等により成形後、切断して食品容器100を得る工程においては、シート材に複数の食品容器100を多数並べた状態に成形した後、各食品容器100毎に切断することで、複数の食品容器100を得ている。このような構成においては、未切断のシート材においては隣接する食品容器100同士が並んでおり、第二凹部22は、第一凹部21と同様の円形状となっている。そしてシート材を切断することで、第二凹部22が形成されるため、この第二凹部22に形成された突起部25は、第一凹部21の突起部24が二分された形状となる。このような突起部25も、同様に柔軟で容易に変形し易くし、指などが触れても傷が付くことがない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る食品容器によれば、冷凍食品や冷蔵食品等の食品を収納するトレイとして、好適に利用できる。例えば各収納空間に食品を個別に収納して、別途用意した包装フィルムに入れて封止したり、枠体に透明なフィルムを貼付するなどして使用される。
【符号の説明】
【0047】
100、100’、200、300…食品容器
1…収納空間
2…凹凸パターン
10、10”…隔壁部
11、11”…上面
20…枠体
21…第一凹部
22…第二凹部
22’…切り込み
23、23’、23”…段差
24…突起部
25…突起部
BL…破断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12