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特許7549462捕球送球解析システム、捕球送球解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】捕球送球解析システム、捕球送球解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
A63B69/00 505J
A63B69/00 505K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020082756
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021176437
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 宗郎
(72)【発明者】
【氏名】品山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄二
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-245887(JP,A)
【文献】特開2016-220904(JP,A)
【文献】特開2018-134153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部が取り付けられたボールと、
前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、
前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を備え、
前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、
前記制御解析手段は、
前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、
前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、
前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、
前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、
前記指示手段及び前記制御解析手段が前記ボールに取り付けられている、
ことを特徴とす捕球送球解析システム。
【請求項2】
センサ部が取り付けられたボールと、
前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、
前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を備え、
前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、
前記制御解析手段は、
前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、
前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、
前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、
前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、
前記ボールが複数設けられると共に、前記指示手段が前記ボール毎に複数設けられ、
前記制御解析手段は、前記複数のボールのうち選択されたボールに対応する前記指示手段の指示動作を指令する、
ことを特徴とす捕球送球解析システム。
【請求項3】
センサ部が取り付けられたボールと、
前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、
前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を備え、
前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、
前記制御解析手段は、
前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、
前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、
前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、
前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、
前記ボールは、半球状の外面を有し、内部に第1筒状部が設けられた第1半球片と、半球状の外面を有し、内部に第2筒状部が設けられた第2半球片と、を具備し、
前記第1筒状部は、内面に雌ねじ部を有し、
前記第2筒状部は、外面に雄ねじ部を有し、
前記第1半球片と前記第2半球片とは、前記第1筒状部の前記雌ねじ部と前記第2筒状部の前記雄ねじ部とが螺合することで結合し、
前記センサ部は、前記第1筒状部の内部又は前記第2筒状部の内部に取り付けられている、
ことを特徴とす捕球送球解析システム。
【請求項4】
センサ部が取り付けられたボールと、
前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、
前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を備え、
前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、
前記制御解析手段は、
前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、
前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、
前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、
前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、
前記送球目標は、野球又はソフトボール用のベースであり、
前記送球目標としての前記ベースに取り付けられた位置検出センサを更に備え、
前記位置検出センサは、光電センサを具備し、前記光電センサから出射した光の反射光を前記光電センサが受光するか否かで、前記位置検出センサの上方を遮る前記ボールが存在するか否かを検出する、
ことを特徴とする捕球送球解析システム。
【請求項5】
センサ部が取り付けられたボールと、
前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、
前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を備え、
前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、
前記制御解析手段は、
前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、
前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、
前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、
前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、
前記送球目標に取り付けられ、前記制御解析手段に電気的に接続された位置検出センサを更に備え、
前記位置検出センサは、圧力のかかった位置を検出する感圧センサを具備し、
前記制御解析手段は、前記位置検出センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標の何れの位置に到達したかを判定する、
ことを特徴とする捕球送球解析システム。
【請求項6】
前記制御解析手段は、前記第4手順において、前記第1時間、前記第2時間及び前記第3時間の全ての時間を算出する、
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の捕球送球解析システム。
【請求項7】
前記送球目標は、ネットであり、
前記制御解析手段は、前記第3手順において、前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記ネットに当たった時点を検出する、
ことを特徴とする請求項1から3、5の何れかに記載の捕球送球解析システム。
【請求項8】
前記送球目標は、野球又はソフトボール用のベースであり、
前記制御解析手段は、前記第3手順において、前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記ベースの近傍で捕球された時点を検出する、
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の捕球送球解析システム。
【請求項9】
前記制御解析手段は、前記センサ部及び前記指示手段に無線接続された端末である、
ことを特徴とする請求項からの何れかに記載の捕球送球解析システム。
【請求項10】
前記指示手段は、LEDを具備する、
ことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の捕球送球解析システム。
【請求項11】
前記送球目標が複数設けられると共に、前記指示手段が前記送球目標毎に複数設けられ、
前記制御解析手段は、前記複数の送球目標のうち選択された送球目標に対応する前記指示手段の指示動作を指令する、
ことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の捕球送球解析システム。
【請求項12】
前記制御解析手段は、第4手順で算出した前記第1時間、前記第2時間及び前記第3時間のうちの少なくとも1つの時間を所定の基準値と比較し、その大小関係を出力する、
ことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の捕球送球解析システム。
【請求項13】
センサ部が取り付けられたボールと、前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を用いた捕球送球解析方法であって、
前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、
前記制御解析手段によって、
前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、
前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、
前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、
前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、
前記指示手段及び前記制御解析手段が前記ボールに取り付けられている、
ことを特徴とする捕球送球解析方法。
【請求項14】
請求項13に記載の捕球送球解析方法が含む前記第1手順、前記第2手順、前記第3手順及び前記第4手順を前記制御解析手段に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールの捕球及び捕球後の送球に関わる被験者の一連の動作を解析可能な捕球送球解析システム、捕球送球解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、複数の異なる方向から撮影されたピッチャーとバッターとの対戦映像を利用し、ピッチャーの送球(投球)に関わる動作を解析するシステムが提案されている。
また、例えば、特許文献2には、加速度センサ及び地磁気センサが内蔵されたボールを利用し、被験者(投手)の送球(投球)に関わる動作を解析するシステムが提案されている。
【0003】
しかしながら、従来、ボールの捕球及び捕球後の送球に関わる被験者(例えば、野球の野手)の一連の動作を解析可能なシステムは提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-154890号公報
【文献】特開2019-195607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、ボールの捕球及び捕球後の送球に関わる被験者の一連の動作を解析可能な捕球送球解析システム、捕球送球解析方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、第1の手段として、センサ部が取り付けられたボールと、前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を備え、前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、前記制御解析手段は、前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、前記指示手段及び前記制御解析手段が前記ボールに取り付けられている、ことを特徴とする捕球送球解析システムを提供する。
また、本発明は、第2の手段として、第1の手段と同様の構成を有する、ボールと、指示手段と、制御解析手段と、を備え、前記ボールが複数設けられると共に、前記指示手段が前記ボール毎に複数設けられ、前記制御解析手段は、前記複数のボールのうち選択されたボールに対応する前記指示手段の指示動作を指令する、ことを特徴とする捕球送球解析システムを提供する。
また、本発明は、第3の手段として、第1の手段と同様の構成を有する、ボールと、指示手段と、制御解析手段と、を備え、前記ボールは、半球状の外面を有し、内部に第1筒状部が設けられた第1半球片と、半球状の外面を有し、内部に第2筒状部が設けられた第2半球片と、を具備し、前記第1筒状部は、内面に雌ねじ部を有し、前記第2筒状部は、外面に雄ねじ部を有し、前記第1半球片と前記第2半球片とは、前記第1筒状部の前記雌ねじ部と前記第2筒状部の前記雄ねじ部とが螺合することで結合し、前記センサ部は、前記第1筒状部の内部又は前記第2筒状部の内部に取り付けられている、ことを特徴とする捕球送球解析システムを提供する。
また、本発明は、第4の手段として、第1の手段と同様の構成を有する、ボールと、指示手段と、制御解析手段と、を備え、前記送球目標は、野球又はソフトボール用のベースであり、前記送球目標としての前記ベースに取り付けられた位置検出センサを更に備え、前記位置検出センサは、光電センサを具備し、前記光電センサから出射した光の反射光を前記光電センサが受光するか否かで、前記位置検出センサの上方を遮る前記ボールが存在するか否かを検出する、ことを特徴とする捕球送球解析システムを提供する。
さらに、本発明は、第5の手段として、第1の手段と同様の構成を有する、ボールと、指示手段と、制御解析手段と、を備え、前記送球目標に取り付けられ、前記制御解析手段に電気的に接続された位置検出センサを更に備え、前記位置検出センサは、圧力のかかった位置を検出する感圧センサを具備し、前記制御解析手段は、前記位置検出センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標の何れの位置に到達したかを判定する、ことを特徴とする捕球送球解析システムを提供する。
【0007】
本発明に係る捕球送球解析システムは、加速度センサ及びジャイロセンサを具備するセンサ部が取り付けられたボールと、指示手段と、制御解析手段と、を備えている。
そして、制御解析手段は、第1手順において、指示手段による指示の後の加速度センサの検出値に基づき、ボールが捕球された時点を検出する。ボールが捕球された時点では、捕球される直前に比べて加速度センサの検出値(加速度)が大きくなる(絶対値が大きくなる)ため、制御解析手段は、例えば、加速度センサの検出値が所定のしきい値を超えた時点をボールが捕球された時点として検出可能である。
また、制御解析手段は、第2手順において、ボールが捕球された後の(すなわち、第1手順で検出したボールが捕球された時点の後の)ジャイロセンサの検出値に基づき、ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する。ボールがリリースされた時点では、リリースされる直前に比べてジャイロセンサの検出値(回転角速度)が大きくなる(絶対値が大きくなる)ため、制御解析手段は、例えば、ジャイロセンサの検出値が所定のしきい値を超えた時点をボールがリリースされた時点として検出可能である。
また、制御解析手段は、第3手順において、ボールがリリースされた後の(すなわち、第2手順で検出したボールが送球目標に向けてリリースされた時点の後の)加速度センサの検出値に基づき、ボールが送球目標に到達した時点を検出する、ボールが送球目標に到達した時点では、到達する直前に比べて加速度センサの検出値(加速度)が大きくなる(絶対値が大きくなる)ため、制御解析手段は、例えば、加速度センサの検出値が所定のしきい値を超えた時点をボールが送球目標に到達した時点として検出可能である。
【0008】
そして、制御解析手段は、第4手順において、第1時間、第2時間及び第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する。第1時間は、指示手段による指示からボールが捕球されるまでの時間である。この第1時間は、指示手段による指示(制御解析手段による指示手段の指示動作の指令)の時点と、第1手順で検出したボールが捕球された時点との時間差によって算出可能である。第2時間は、ボールが捕球されてからボールがリリースされるまでの時間である。この第2時間は、第1手順で検出したボールが捕球された時点と、第2手順で検出したボールが送球目標に向けてリリースされた時点との時間差によって算出可能である。第3時間は、ボールがリリースされてからボールが送球目標に到達するまでの時間である。この第3時間は、第2手順で検出したボールが送球目標に向けてリリースされた時点と、第3手順で検出したボールが送球目標に到達した時点との時間差によって算出可能である。
以上のように、本発明によれば、制御解析手段が第1~第4手順を実行することで、指示手段による指示から、ボールの捕球、ボールのリリース、ボールの送球目標への到達までの一連の動作における各時点が検出される。そして、指示手段による指示から、ボールの捕球、ボールのリリース、ボールの送球目標への到達までの一連の動作の経過時間である第1~第3時間のうち少なくとも1つの時間が算出される。これにより、ボールの捕球及び捕球後の送球に関わる被験者の一連の動作を解析し、評価することができる。
特に、本発明の第1の手段によれば、本発明に係る捕球送球解析システムの構成要素がボールに集約されているため、メンテナンス性に優れると共に、準備時間の短縮が可能になるという利点が得られる。また、被験者のみで本発明に係る捕球送球解析システムを用いた捕球送球解析方法を実行できるという利点を有する。
また、本発明の第2の手段では、例えば、指示手段がLEDを具備する場合、被験者の前方左側、前方中央及び前方右側の3箇所にそれぞれ、ボール及びLEDを配置することが考えられる。そして、本発明の第2の手段では、例えば、何れのボールを捕球するかに応じて(選択されたボールが何れであるかに応じて)、そのボールに対応するLEDを点灯又は点滅させることになる。本発明の第2の手段によれば、複数設けられたボールのうち、選択されたボールを被験者が適切に捕球したか評価することができる。
また、本発明の第3の手段によれば、ボールが第1半球片と第2半球片とを具備し、第1半球片の第1筒状部の雌ねじ部と、第2半球片の第2筒状部の雄ねじ部とが螺合することで、第1半球片と第2半球片とが結合しているため、捕球動作及び送球動作の際に、第1半球片と第2半球片とに分離し難く、ボールの形状を維持し易い。また、センサ部が第1筒状部の内部又は第2筒状部の内部に取り付けられているため、センサ部が外部環境の影響を受け難い。そして、センサ部のメンテナンス(電源の交換等)を行う際には、雌ねじ部と雄ねじ部との螺合を解除することで、センサ部を外部に容易に取り出すことができる。
さらに、本発明の第4、第5の手段によれば、送球目標のうち、狙い通り(例えば、送球目標の中心近傍)に被験者が送球できたか評価することができる。
なお、本発明は、指示手段による指示から、ボールの捕球、ボールのリリース、ボールの送球目標への到達までの一連の動作を全て解析することが必須ではなく、指示手段による指示からボールの捕球までの動作、ボールの捕球からボールのリリースまでの動作、及び、ボールのリリースからボールの送球目標への到達までの3つの動作のうち、何れか1つ又は2つの動作を解析することも可能である。
【0009】
なお、本発明に係る捕球送球解析システムが備えるボールとしては、第4の手段に係る捕球送球解析システムの場合を除き、野球やソフトボール用のボール(野球やソフトボール用の大きさを有するボール)に限るものではなく、バスケットボールやハンドボールなど、捕球及び送球の動作を伴う他の球技用のボール(他の球技用の大きさを有するボール)を用いることも可能である。
また、本発明における「電気的に接続」とは、無線接続及び有線接続の双方を含む概念であり、センサ部及び指示手段の双方が制御解析手段に無線接続される態様、センサ部及び指示手段の双方が制御解析手段に有線接続される態様、並びに、センサ部及び指示手段の何れか一方が制御解析手段に無線接続され、何れか他方が制御解析手段に有線接続される態様の何れをも含む。
また、本発明における「送球目標」としては、例えば、ネットや、野球やソフトボール用のベースの他、被験者が送球したボール捕球する補助者が挙げられる。ただし、第4の手段に係る捕球送球解析システムの場合、送球目標は、野球又はソフトボール用のベースに限られる。また、第5の手段に係る捕球送球解析システムの場合、送球目標から、野球やソフトボール用のベースや、ボールを捕球する補助者は除外される。
さらに、本発明における「指示手段」としては、例えば、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)等の発光手段や、スピーカ等の発音手段を具備する構成が挙げられる。発光手段は、単に発光するだけでなく、文字表示機能を有していてもよい。
【0010】
好ましくは、前記制御解析手段は、前記第4手順において、前記第1時間、前記第2時間及び前記第3時間の全ての時間を算出する。
【0011】
上記の好ましい構成によれば、制御解析手段が第1~第3時間の全ての時間を算出するため、ボールの捕球及び捕球後の送球に関わる被験者の一連の動作をより詳細に解析し、評価することができる。
【0012】
第4の手段に係る捕球送球解析システムの場合を除き、前記送球目標がネットである場合、前記制御解析手段は、前記第3手順において、前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記ネットに当たった時点を検出することが好ましい。
すなわち、上記の好ましい構成では、制御解析手段は、ボールがネットに当たった時点をボールが送球目標に到達した時点として検出することになる。
【0013】
第5の手段に係る捕球送球解析システムの場合を除き、前記送球目標が野球又はソフトボール用のベースである場合、前記制御解析手段は、前記第3手順において、前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記ベースの近傍で捕球された時点を検出することが好ましい。
すなわち、上記の好ましい構成では、制御解析手段は、ボールがベースの近傍で捕球された時点をボールが送球目標に到達した時点として検出することになる。
【0014】
第1の手段に係る捕球送球解析システムの場合を除き、好ましくは、前記制御解析手段は、前記センサ部及び前記指示手段に無線接続された端末である。
【0015】
上記の好ましい構成によれば、制御解析手段をセンサ部及び指示手段から離間した位置に配置できるため、利便性に優れるという利点が得られる。
なお、上記の好ましい構成における「端末」としては、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等が挙げられる。
【0018】
好ましくは、前記指示手段は、LEDを具備する。
【0019】
上記の好ましい構成によれば、発光手段の中でも、長寿命で、消費電力が少なく、視認性が良いLEDを具備する指示手段を用いることで、ランニングコストを抑えつつ、捕球動作の開始を適切に指示することが可能である。特に、通常の電球と異なり、LEDを用いることで、太陽光下における視認性が高まるので、野球やソフトボールなどの屋外球技における捕球送球解析が容易となる。
【0020】
好ましくは、前記送球目標が複数設けられると共に、前記指示手段が前記送球目標毎に複数設けられ、前記制御解析手段は、前記複数の送球目標のうち選択された送球目標に対応する前記指示手段の指示動作を指令する。
例えば、送球目標がネットであり、指示手段がLEDを具備する場合、被験者の前方左側、前方中央及び前方右側の3箇所にそれぞれ、ネット及びLEDを配置することが考えられる。そして、上記の好ましい構成では、例えば、何れのネットに向けて送球するかに応じて(選択されたネットが何れであるかに応じて)、そのネットに対応するLEDを点灯又は点滅させることになる。
【0021】
上記の好ましい構成によれば、複数設けられた送球目標のうち、選択された送球目標に向けて被験者が適切な送球動作を行ったか評価することができる。
【0024】
好ましくは、前記制御解析手段は、第4手順で算出した前記第1時間、前記第2時間及び前記第3時間のうちの少なくとも1つの時間を所定の基準値と比較し、その大小関係を出力する。
【0025】
上記の好ましい構成によれば、例えば、予め多数の人について測定した第1時間の平均値を基準値に設定することで、被験者の第1時間についての優劣を自動で評価することができる。第2時間、第3時間についても同様である。
【0030】
また、前記課題を解決するため、本発明は、センサ部が取り付けられたボールと、前記ボールの捕球動作の開始を指示する指示手段と、前記センサ部及び前記指示手段に電気的に接続され、前記指示手段の指示動作を指令すると共に、前記センサ部の検出値を解析する制御解析手段と、を用いた捕球送球解析方法であって、前記センサ部は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を具備し、前記制御解析手段によって、前記指示手段による指示の後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが捕球された時点を検出する第1手順と、前記ボールが捕球された後の前記ジャイロセンサの検出値に基づき、前記ボールが送球目標に向けてリリースされた時点を検出する第2手順と、前記ボールがリリースされた後の前記加速度センサの検出値に基づき、前記ボールが前記送球目標に到達した時点を検出する第3手順と、前記指示手段による指示から前記ボールが捕球されるまでの時間である第1時間、前記ボールが捕球されてから前記ボールがリリースされるまでの時間である第2時間、及び前記ボールがリリースされてから前記ボールが前記送球目標に到達するまでの時間である第3時間のうちの少なくとも1つの時間を算出する第4手順と、を実行し、前記指示手段及び前記制御解析手段が前記ボールに取り付けられている、ことを特徴とする捕球送球解析方法としても提供される。
【0031】
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、前記捕球送球解析方法が含む前記第1手順、前記第2手順、前記第3手順及び前記第4手順を前記制御解析手段に実行させるためのプログラムとしても提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ボールの捕球及び捕球後の送球に関わる被験者の一連の動作を解析可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る捕球送球解析システムの概略構成を模式的に示す図である。
図2図1に示すボールの概略構成を模式的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る捕球送球解析方法に含まれる手順を概略的に示すフロー図である。
図4図1に示す制御解析手段が実行する図3に示す第1手順S4~第4手順S7を説明する説明図である。
図5】変形例に係る捕球送球解析システムの概略構成を模式的に示す図である。
図6】送球目標としてのベースの概略構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る捕球送球解析システムについて説明する。本実施形態では、野球用のボールの捕球及び捕球後の送球に関わる被験者の一連の動作を解析する場合を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る捕球送球解析システムの概略構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る捕球送球解析システム100は、ボール1と、指示手段2と、制御解析手段3と、を備えている。また、本実施形態に係る捕球送球解析システム100は、位置検出センサ4を更に備えている。本実施形態では、送球目標Tとしてネットが用いられている。
【0035】
図2は、本実施形態のボール1の概略構成を模式的に示す図である。図2(a)は、ボール1の外観図である。図2(b)は、第1半球片12と第2半球片13との螺合を解除した状態を示す図である。図2(c)は、第1半球片12を図2(b)に示す矢符Aの方向から見た図である。図2(d)は、第2半球片13を図2(b)に示す矢符Bの方向から見た図である。
図2に示すように、本実施形態のボール1は、第1半球片12と、第2半球片13と、を具備する。第1半球片12及び第2半球片13は、無線通信に支障が生じないように、金属ではなく、高強度の樹脂から形成されている。
【0036】
第1半球片12は、半球状の外面を有する中空の本体121と、本体121の内部に設けられた第1筒状部122と、を有する。本体121の外面には、滑り防止のため、所定の凹凸(図示省略)が形成されている。第1筒状部122は、所定の支持構造(図示省略)を介して本体121の内面に結合され、支持されている。第1筒状部122は、第1半球片12と第2半球片13とを螺合して結合する際に(図2(b)に示す状態で)第2半球片13に対向する側が開口し、その反対側に底部を有する有底の筒状部である。第1筒状部122は、内面(開口している側の内面)に雌ねじ部122a(ハッチングを施した部分)を有する。
第2半球片13は、半球状の外面を有する中空の本体131と、本体131の内部に設けられた第2筒状部132と、を有する。本体121と同様に、本体131の外面にも、滑り防止のため、所定の凹凸(図示省略)が形成されている。第1筒状部122と同様に、第2筒状部132も、所定の支持構造(図示省略)を介して本体131の内面に結合され、支持されている。第2筒状部132は、第1半球片12と第2半球片13とを螺合して結合する際に(図2(b)に示す状態で)第1半球片12に対向する側が開口し、その反対側に底部を有する有底の筒状部である。第2筒状部132は、外面(開口している側の外面)に雄ねじ部132a(ハッチングを施した部分)を有する。
【0037】
第1半球片12と第2半球片13とは、図2(b)に示す状態の第1筒状部122の雌ねじ部122aと第2筒状部132の雄ねじ部132aとが螺合することで結合し、図2(a)に示す状態のボール1となる。
なお、本実施形態では、第1半球片12の本体121と、第2半球片13の本体131との間に、Oリング14が設けられている。具体的には、図2(b)に示す状態で本体121の本体131に対向する面に環状の溝が形成されており、この溝にOリング14が嵌め込まれている。雌ねじ部122aと雄ねじ部132aとが螺合する際には、Oリング14が変形した状態で第1半球片12と第2半球片13とが結合する。このように、Oリング14が介在した状態で第1半球片12と第2半球片13とが結合することにより、ボール1の内部の気密性が高まり、内部に粉塵等が侵入し難いという利点が得られる。
【0038】
ボール1にはセンサ部11が取り付けられている。本実施形態のセンサ部11は、第2筒状部132の内部(具体的には、第2筒状部132の底部)に取り付けられている。ただし、これに限るものではなく、第1筒状部122の内部(例えば、第1筒状部122の底部)にセンサ部11が取り付けられた態様を採用することも可能である。
センサ部11は、基板111と、基板111に搭載された加速度センサ112と、基板111に搭載されたジャイロセンサ113とを具備する。また、センサ部11は、基板111に搭載された通信部114及び制御部115を具備する。さらに、センサ部11は、基板111に搭載されたメモリや電池等(図示せず)を具備する。センサ部11は、制御解析手段3に電気的に接続されている。具体的には、本実施形態のセンサ部11は、制御解析手段3に無線接続されている。
【0039】
本実施形態では、加速度センサ112として、互いに直交する3軸方向の加速度を同時に検出する公知の3軸加速度センサが用いられている。
また、本実施形態では、ジャイロセンサ113として、互いに直交する3軸方向周りの回転角速度を同時に検出する公知の3軸ジャイロセンサが用いられている。
加速度センサ112及びジャイロセンサ113の検出値は、センサ部11のメモリに記憶される。
通信部114は、通信用のアンテナ等を具備し、制御解析手段3と無線通信(ZigBee、WiFi、Bluetooth(登録商標)等)が可能に構成されている。通信部114は、メモリに記憶された加速度センサ112及びジャイロセンサ113の検出値を制御解析手段3に向けて無線送信する機能を有する。
制御部115は、加速度センサ112、ジャイロセンサ113及び通信部114の動作を制御する機能を有する。
【0040】
指示手段2は、ボール1の捕球動作の開始を指示する手段である。本実施形態では、指示手段2として、LEDを具備する構成が用いられている。
図1に示すように、本実施形態では、送球目標Tであるネットが複数設けられている。図1に示す例では、被験者Sの前方左側に送球目標Taが配置され、被験者Sの前方中央に送球目標Tbが配置され、被験者Sの前方右側に送球目標Tcが配置されている。これに応じて、指示手段2も送球目標T毎に複数設けられている。図1に示す例では、送球目標Taに指示手段2aが取り付けられ、送球目標Tbに指示手段2bが取り付けられ、送球目標Tcに指示手段2cが取り付けられている。
指示手段2は、制御解析手段3に電気的に接続されている。具体的には、本実施形態の指示手段2は、制御解析手段3に無線接続されている。より具体的には、指示手段2は、LEDと電気的に接続(有線接続)された通信部(図示省略)を具備し、この通信部が制御解析手段3と無線通信可能に構成されている。指示手段2が具備する通信部の構成は、ボール1のセンサ部11が具備する通信部114と同様である。
なお、図1に示す例では、複数の指示手段2(3つの指示手段2a、2b、2c)が別体に設けられているが、これに限るものではなく、同一の筐体の異なる位置(例えば、各送信目標Ta~Tcの位置に応じた左側、中央及び右側)に複数の指示手段2が設けられた構成を採用することも可能である。また、指示手段2が文字表示機能を有する発光手段であり、各送信目標Ta~Tcの位置に応じて「左」、「中央」及び「右」などの文字を表示する構成を採用することも可能である。さらに、指示手段2が発音手段であり、各送信目標Ta~Tcの位置に応じて「左」、「中央」及び「右」などの音声を発する構成を採用することも可能である。
【0041】
制御解析手段3は、センサ部11及び指示手段2に電気的に接続されている。具体的には、本実施形態の制御解析手段3は、センサ部11及び指示手段2に無線接続された端末である。本実施形態では、制御解析手段3として、スマートフォンが用いられているが、これに限るものではなく、コンピュータやタブレットを用いることも可能である。本実施形態の制御解析手段3は、被験者Sをサポートする補助者(図示せず)が保持して操作する。
制御解析手段3は、指示手段2の指示動作を指令すると共に、センサ部11の検出値を解析する機能を有する。具体的には、制御解析手段3には、この機能を実行するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。なお、本実施形態では、指示手段2が複数の送球目標T毎に複数設けられているため、制御解析手段3は、複数の送球目標Tのうち選択された送球目標Tに対応する指示手段2の指示動作を指令する。
【0042】
位置検出センサ4は、ボール1の位置等を検出するためのセンサである。本実施形態では、位置検出センサ4として、圧力のかかった位置を検出する感圧センサを具備する構成が用いられている。
位置検出センサ4は、送球目標Tに取り付けられ、制御解析手段3に電気的に接続されている。具体的には、本実施形態の位置検出センサ4は、制御解析手段3に無線接続されている。より具体的には、位置検出センサ4は、感圧センサと電気的に接続(有線接続)された通信部(図示省略)を具備し、この通信部が制御解析手段3と無線通信可能に構成されている。位置検出センサ4が具備する通信部の構成は、ボール1のセンサ部11が具備する通信部114と同様である。
【0043】
以下、上記の構成を有する捕球送球解析システム100を用いた捕球送球解析方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る捕球送球解析方法に含まれる手順を概略的に示すフロー図である。図3に示すように、本実施形態に係る捕球送球解析方法は、初期手順S1、計測手順S2、送信手順S3、第1手順S4、第2手順S5、第3手順S6、第4手順S7及び評価手順S8を含む。以下、各手順S1~S8について順に説明する。
【0044】
<初期手順S1>
初期手順S1において、補助者は、ボール1を地面の所定の位置に置くと共に、制御解析手段3のアプリケーションプログラムを起動する。これにより、例えば、制御解析手段3のモニタ画面に、複数設けられた送球目標T(Ta~Tc)のうち何れの送球目標Tを選択するのかを確認する表示がなされる。この表示において補助者が送球目標Tを選択すれば、選択された送球目標Tが制御解析手段3に記憶される。
そして、制御解析手段3は、センサ部11に対して検出値の記憶を指令する。具体的には、制御解析手段3は、センサ部11が予め定めた一定時間(例えば、10秒)だけ加速度及び回転角速度を検出し、その検出値をメモリに記憶するように指令する指令信号を、センサ部11に無線送信する。
一方、制御解析手段3は、指示手段2に対して予め定めた一定時間(例えば、1秒)の指示動作を指令する。具体的には、制御解析手段3は、選択された送球目標T(図1に示す例では、送球目標Ta)に対応する指示手段2(図1に示す例では、指示手段2a)の指示動作を指令する指令信号を、指示手段2に無線送信する。なお、本実施形態では、制御解析手段3は、センサ部11への指令を指示手段2への指令よりも先に行っている。
【0045】
<計測手順S2>
計測手順S2において、センサ部11は、制御解析手段3から無線送信された指令信号を受信することで、加速度センサ112による加速度の検出及びジャイロセンサ113による回転角速度の検出とメモリへの検出値の記憶を開始し、一定時間が経過するまで継続する。検出値は、センサ部11によって予め定めたサンプリングピッチでサンプリングされ、メモリに記憶される。
一方、指示手段2は、制御解析手段3から無線送信された指令信号を受信することで、指示動作(LEDの点灯又は点滅)を開始し、一定時間が経過するまで継続する。
被験者Sは、指示手段2の指示動作に応じてボール1の捕球動作を開始し、捕球後に、選択された送球目標Tに向けてボール1を送球する。図1に示す例では、被験者Sは、指示手段2aの指示動作に応じてボール1の捕球動作を開始し、捕球後に、選択された送球目標Taに向けてボール1を送球することになる。指示手段2の指示からボール1が送球目標Tに到達するまでの時間においてセンサ部11で検出された検出値は、全てセンサ部11のメモリに記憶されることになる。
【0046】
<送信手順S3>
送信手順S3において、センサ部11は、検出値を取得する一定時間にメモリに記憶された検出値を纏めて制御解析手段3に無線送信する。本実施形態では、メモリに記憶された検出値を纏めて制御解析手段3に無線送信しているが、これに限るものではなく、検出値を取得する毎(センサ部11が検出する毎)に無線送信する態様を採用することも可能である。
また、送信手順S3において、位置検出センサ4は、ボール1が送球目標Tに取り付けられた位置検出センサ4の感圧センサに当たった場合、検出値であるボール1の当たった位置を制御解析手段3に無線送信する。
【0047】
制御解析手段3は、以上に説明した初期手順S1、計測手順S2及び送信手順S3を実行することで送信されたセンサ部11及び位置検出センサ4の検出値に基づき、ボール1の捕球及び捕球後の送球に関わる被験者Sの一連の動作を解析する。具体的には、制御解析手段3は、第1手順S4~評価手順S8を実行する。
【0048】
<第1手順S4>
第1手順S4において、制御解析手段3は、送信されたセンサ部11の検出値を合成する。具体的には、制御解析手段3は、加速度センサ112で検出された3軸方向の加速度のそれぞれの絶対値を加算して加速度センサ112の検出値とする。同様に、制御解析手段3は、ジャイロセンサ113で検出された3軸方向周りの回転角速度のそれぞれの絶対値を加算してジャイロセンサ113の検出値とする。
図4は、制御解析手段3が実行する第1手順S4~第4手順S7を説明する説明図である。図4(a)に示すグラフは、上記のようにして合成された加速度センサ112の検出値の一例であり、図4(b)に示すグラフは、上記のようにして合成されたジャイロセンサ113の検出値の一例である。
【0049】
次に、第1手順S4において、制御解析手段3は、指示手段2による指示(制御解析手段3による指示手段2の指示動作の指令の時点T0)の後の加速度センサ112の検出値に基づき、ボール1が捕球された時点T1を検出する。具体的には、制御解析手段3は、加速度センサ112の検出値が所定のしきい値Th1を超えた時点をボール1が捕球された時点T1として検出する。より具体的には、制御解析手段3は、加速度センサ112の検出値をサンプリング時点の早いものから順にしきい値Th1と比較し、初めてしきい値Th1を超えた時点をボール1が捕球された時点T1として検出する。
しきい値Th1としては、予め実験的に決めた値を設定すればよい。具体的には、例えば、多数の人によってボール1が実際に捕球された時点を映像や目視等で確認して記憶すると共に、同じ多数の人についての加速度センサ112の検出値を取得し、実際に捕球された時点で取得された検出値を評価することで、ボール1が捕球された時点を検出するのに適切なしきい値Th1を決定すればよい。或いは、加速度センサ112の検出開始から所定のサンプリング点数の検出値の平均値に1より大きな係数を乗算した値(例えば、検出開始から5つの検出値の平均値に係数1.2を乗算した値)をしきい値Th1として用いることも可能である。図4(a)に示す例では、しきい値Th1は、1.7Gに設定されている。
【0050】
<第2手順S5>
第2手順S5において、制御解析手段3は、ボール1が捕球された後の(ボール1が捕球された時点T1の後の)ジャイロセンサ113の検出値に基づき、ボール1が送球目標Tに向けてリリースされた時点T2を検出する。具体的には、制御解析手段3は、ジャイロセンサ113の検出値が所定のしきい値Th2を超えた時点をボール1がリリースされた時点T2として検出する。より具体的には、制御解析手段3は、時点T1の後のジャイロセンサ113の検出値をサンプリング時点の早いものから順にしきい値Th2と比較し、初めてしきい値Th2を超えた時点をボール1がリリースされた時点T2として検出する。
しきい値Th2としては、しきい値Th1と同様に、予め実験的に決めた値を設定すればよい。図4(b)に示す例では、しきい値Th2は、3000rad/sに設定されている。
【0051】
<第3手順S6>
第3手順S6において、制御解析手段3は、ボール1がリリースされた後の(ボール1がリリースされた時点T2の後の)加速度センサ112の検出値に基づき、ボール1が送球目標Tに到達した時点(すなわち、ボール1が送球目標Tであるネットに当たった時点)T3を検出する。具体的には、制御解析手段3は、加速度センサ112の検出値が所定のしきい値Th3を超えた時点をボール1が送球目標Tに到達した時点T3として検出する。より具体的には、制御解析手段3は、時点T2の後の加速度センサ112の検出値をサンプリング時点の遅いものから順にしきい値Th3と比較し、初めてしきい値Th3を超えた時点をボール1が送球目標Tに到達した時点T3として検出する。
しきい値Th3としては、しきい値Th1と同様に、予め実験的に決めた値を設定すればよい。図4(a)に示す例では、しきい値Th3は、40Gに設定されている。
なお、本実施形態のように、送球目標Tがネットである場合、ボール1がネットの上部に当たった後のボール1の落下衝撃で加速度センサ112の検出値が大きくなり、この落下衝撃が生じた時点をボール1が送球目標Tに到達した時点T3として誤検出するおそれがある。この誤検出を回避するには、例えば、制御解析手段3が、ボール1がリリースされた時点T2から一定時間(例えば、1秒)経過以降の加速度センサ112の検出値をノイズN(図4(a)参照)として扱い、時点T3の検出対象から除外する(しきい値Th3との比較対象から除外する)ように構成することが好ましい。
【0052】
<第4手順S7>
第4手順S7において、制御解析手段3は、指示手段2による指示からボール1が捕球されるまでの時間である第1時間T01を算出する。この第1時間T01は、指示手段2による指示の時点T0と、第1手順S4で検出したボール1が捕球された時点T1との時間差によって算出可能(T01=T1-T0)である。また、制御解析手段3は、ボール1が捕球されてからボール1がリリースされるまでの時間である第2時間T12を算出する。この第2時間T12は、第1手順S4で検出したボール1が捕球された時点T1と、第2手順S5で検出したボール1が送球目標Tに向けてリリースされた時点T2との時間差によって算出可能(T12=T2-T1)である。さらに、制御解析手段3は、ボール1がリリースされてからボール1が送球目標Tに到達するまでの時間である第3時間T23を算出する。この第3時間T23は、第2手順S5で検出したボール1が送球目標Tに向けてリリースされた時点T2と、第3手順S6で検出したボール1が送球目標Tに到達した時点T3との時間差によって算出可能(T23=T3-T2)である。
なお、本実施形態では、第4手順S7において、制御解析手段3が、第1時間T01、第2時間T12及び第3時間T23の全てを算出するが、これに限るものではなく、少なくとも1つの時間を算出する態様を採用することも可能である。
【0053】
<評価手順S8>
評価手順S8において、制御解析手段3は、第4手順S7で算出した第1時間T01、第2時間T12及び第3時間T23をそれぞれ所定の基準値と比較し、その大小関係を出力する(例えば、大小関係をモニタ画面に表示する)。これにより、例えば、予め多数の人について測定した第1時間T01の平均値を基準値に設定することで、被験者Sの第1時間T01についての優劣を自動で評価することができる。第2時間T12、第3時間T23についても同様である。
また、制御解析手段3は、位置検出センサ4の検出値に基づき、ボール1が送球目標Tの何れの位置に到達したかを判定する。具体的には、制御解析手段3は、位置検出センサ4の検出値が得られなかった場合(極めて小さな値であった場合を含む)、ボール1が送球目標Tの感圧センサが取り付けられていない位置に当たったと判定できる。また、位置検出センサ4の検出値が得られた場合には、ボール1が感圧センサの何れの位置に当たったかを判定できる。これにより、送球目標Tのうち、狙い通り(例えば、送球目標Tの中心近傍)に被験者Sが送球できたか評価することができる。
【0054】
以上に説明した本実施形態に係る捕球送球解析システム100及びこれを用いた捕球送球解析方法によれば、ボール1の捕球及び捕球後の送球に関わる被験者Sの一連の動作を解析可能である。ただし、被験者Sの一連の動作を全て解析する態様に限るものではなく、指示手段2による指示からボール1の捕球までの動作、ボール1の捕球からボール1のリリースまでの動作、及び、ボール1のリリースからボール1の送球目標Tへの到達までの3つの動作のうち、何れか1つ又は2つの動作を解析することも可能である。
【0055】
本実施形態に係る捕球送球解析システム100を特許文献1に記載のようなカメラを用いた解析システム(以下、「カメラシステム」という)と比較した場合の利点は、以下の通りである。
(1)本実施形態に係る捕球送球解析システム100によれば、カメラシステムに比べて、ボール1の捕球及び捕球後の送球に関わる被験者Sの一連の動作を容易且つ迅速に解析可能である。カメラシステムの場合、少なくとも2台のカメラが必要となり、各カメラの同期や映像の解析に時間を要する。また、後述のように、指示手段2及び制御解析手段3が、センサ部11と同様にボール1に取り付けられている態様を採用する場合には、被験者Sのみで各手順S1~S8を実行することも可能である。
(2)本実施形態に係る捕球送球解析システム100によれば、ジャイロセンサ113の検出値を利用して、所定の演算を行うことで、ボール1の捕球からリリースまでの移動軌跡を算出することも可能である。また、ジャイロセンサ113の検出値を利用して、所定の演算を行うことで、グラブ内でのボール1の握り直し回数を算出することも可能である。これに対し、カメラシステムの場合、ボール1が野球のボールであれば、被験者Sの身体やグラブで隠れる死角が生じて撮影できない場合があり、この場合には、ボール1の移動軌跡を算出することができない。特に、被験者Sが野球の野手である場合には、野手は広範囲を素早く動くため、死角が多くなる。
(3)本実施形態に係る捕球送球解析システム100によれば、加速度センサ112の検出値及びジャイロセンサ113の検出値を利用して、所定の演算を行うことで、ボール1がリリースされた時点付近のボール1への力の伝わり方(大きさ及び向き)を算出することも可能である。これに対し、カメラシステムの場合、原理的に、力の伝わり方を算出することができない。
(4)本実施形態に係る捕球送球解析システム100によれば、外部環境の明るさは問題とならない。これに対し、カメラシステムの場合、カメラで撮影できる明るさが必要となるため、外部環境に制約が生じる。
【0056】
なお、本実施形態では、送球目標Tであるネットが複数設けられ、これに応じて指示手段2も送球目標T毎に複数設けられている態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、送球目標T及び指示手段2が単数である場合にも適用可能である。この場合、初期手順S1における送球目標Tの選択は不要である。
【0057】
また、本実施形態では、ボール1が単数である態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、ボール1が複数設けられると共に、指示手段2がボール1毎に複数設けられる態様を採用することも可能である。
図5は、本実施形態の変形例に係る捕球送球解析システムの概略構成を模式的に示す図である。図5に示すように、変形例に係る捕球送球解析システム100Aは、ボール1と、指示手段2と、制御解析手段3と、位置検出センサ4とを備える点で、捕球送球解析システム100と共通する。しかしながら、変形例に係る捕球送球解析システム100Aでは、ボール1が複数(図5に示す例では、被験者Sの前方左側、前方中央及び前方右側にそれぞれ設けられた3つのボール1a、1b、1c)設けられると共に、指示手段2がボール1毎に複数設けられる(図5に示す例では、各ボール1a~1cの位置に応じた3つの指示手段2a、2b、2c)点で捕球送球解析システム100と相違する。
なお、図5に示す例では、複数の指示手段2(3つの指示手段2a、2b、2c)が別体に設けられているが、これに限るものではなく、同一の筐体の異なる位置(例えば、各ボール1a~1cの位置に応じた左側、中央及び右側)に複数の指示手段2が設けられた構成を採用することも可能である。また、指示手段2が文字表示機能を有する発光手段であり、各ボール1a~1cの位置に応じて「左」、「中央」及び「右」などの文字を表示する構成を採用することも可能である。さらに、指示手段2が発音手段であり、各ボール1a~1cの位置に応じて「左」、「中央」及び「右」などの音声を発する構成を採用することも可能である。
【0058】
変形例に係る捕球送球解析システム100Aでは、制御解析手段3が、複数のボール1のうち選択されたボール1(図5に示す例では、ボール1a)に対応する指示手段2(図5に示す例では、指示手段2a)の指示動作を指令する。これにより、指示手段2は、指示動作(LEDの点灯又は点滅)を開始し、一定時間が経過するまで継続する。被験者Sは、指示手段2の指示動作に応じてボール1の捕球動作を開始し(図5に示す例では、ボール1aの捕球動作を開始し)、捕球後に、送球目標Tに向けてボール1を送球する。
その他の構成や手順の詳細については、捕球送球解析システム100と同様であるため、説明を省略する。
変形例に係る捕球送球解析システム100A及びこれを用いた捕球送球解析方法によっても、ボール1の捕球及び捕球後の送球に関わる被験者Sの一連の動作を解析可能である。
【0059】
また、本実施形態では、送球目標Tがネットである態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、送球目標Tが野球又はソフトボール用のベースである態様を採用することも可能である。
図6は、捕球送球解析システム100、100Aに用いることができる送球目標Tとしてのベースの概略構成の一例を模式的に示す図である。図6(a)は平面図を、図6(b)は側面図を示す。
図6に示すように、送球目標Tとしてのベースには、好ましい態様として、4つの角部にそれぞれ位置検出センサ4Aが取り付けられている。図6に示す位置検出センサ4Aは、光電センサを具備する構成であり、光電センサから出射した光Lの反射光を光電センサが受光するか否かで、各位置検出センサ4Aの上方を遮る物体が存在するか否かを検出可能である(遮る物体が存在すれば反射光を受光し、存在しなければ受光しない)。
【0060】
図6に示すベースを送球目標Tとして用いる場合、制御解析手段3は、第3手順S6において、ボール1がリリースされた後の加速度センサ112の検出値に基づき、ボール1がベースに到達した時点(ベースの近傍で捕球された時点)T3を検出することになる。
また、制御解析手段3は、評価手順S8において、位置検出センサ4Aの検出値に基づき、ボール1がベースの何れの位置に到達したかを判定する。例えば、4つの位置検出センサ4Aのうち、図6(a)の右上に位置する位置検出センサ4Aの光電センサのみが反射光を受光した場合、制御解析手段3は、ボール1がベースの右上の位置近傍で捕球されたと判定可能である。
【0061】
また、本実施形態では、地面に置かれたボール1を捕球して送球する態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、被験者Sとは別の人が投げたボール1を被験者Sが捕球する態様を採用することも可能である。この場合は、前述の図6に示すように、送球目標Tとしてベースを採用することで、投手が投げたボール1を捕手(被験者S)が捕球した後、ベースに入る別の内野手に向けて送球する場合を模擬して、被験者Sの一連の動作を解析可能である。なお、この場合、指示手段2による捕球動作の開始指示は、投手がボール1を投げた後に行われるように適宜設定すればよい。例えば、制御解析手段3が、指示手段2に対して予め定めた一定時間(例えば、2秒)経過後に、予め定めた一定時間(例えば、1秒)の指示動作を行うように指令することが考えられる。また、捕手(被験者S)の身体や防具等にも加速度センサ及びジャイロセンサを装着することで、捕球してからボール1をリリースするまでの一連の動作をより詳細に解析し、評価することができる。
【0062】
また、本実施形態では、センサ部11と、指示手段2と、制御解析手段3とが離間した位置に設けられている態様について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、指示手段2及び制御解析手段3が、センサ部11と同様にボール1に取り付けられている態様を採用することも可能である。この場合、制御解析手段3をセンサ部11及び指示手段2に有線接続することが可能である。また、計測手順S2における被験者Sの視線の移動を少なくすることができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、ボール1が野球用のボール(野球用の大きさを有するボール)である態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、ボール1として、ソフトボール、バスケットボール、ハンドボールなど、捕球及び送球の動作を伴う他の球技用のボール(他の球技用の大きさを有するボール)を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、1a、1b、1c・・・ボール
2、2a、2b、2c・・・指示手段
3・・・制御解析手段
4・・・位置検出センサ
11・・・センサ部
100、100A・・・捕球送球解析システム
112・・・加速度センサ
113・・・ジャイロセンサ
T、Ta、Tb、Tc・・・送球目標
図1
図2
図3
図4
図5
図6