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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】印刷システム、検査方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240904BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240904BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240904BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240904BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240904BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B41J29/38 302
B41J29/393 105
G03G21/00 500
G03G21/14
G03G15/01 Y
B65H7/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020097833
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021187138
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄介
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-104853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170077(US,A1)
【文献】特開2013-171570(JP,A)
【文献】特開2018-31963(JP,A)
【文献】特開2014-153560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198416(US,A1)
【文献】米国特許第7372587(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/01
B65H 7/00-7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ートに画像を形成する印刷手段と、
画像が形成されたシートを読み取り、画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された前記画像データと基準画像データ比較して検査する検査手段と
搬送経路を介して前記印刷手段にシートを供給し且つ検査済みのシートを排出部に搬送する搬送手段と、
前記検査済みのシートの順序情報と正常に排出済みのシートの順序情報とを記録する記録手段と、
記搬送経路においてジャムが発生し前記搬送経路で少なくとも一部の印刷物が搬送停止となった場合に、前記検査済みのシートの順序情報と前記正常に排出済みのシート情報の順序情報に基づいて、前記検査手段による検査を再開するページを決定する制御手段と
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記記録手段は、検査済みである最後の前記シートの順序情報、および正常に排出済みである最後の前記シートの順序情報を記録する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷システムであって、
前記記録手段は、前記印刷手段により通知される排紙の通知に応じて、前記正常に排出済みのシートの順序情報を記録する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の印刷システムであって、
前記検査手段は、前記シートに形成された画像の位置と色との検査を行う
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
印刷手段によりシートに形成された画像を検査する検査方法であって、
読取手段が、画像が形成されたシートを読み取り、画像データを生成し、
検査手段が、前記読取手段によって生成された前記画像データと基準画像データ比較して検査し、
搬送手段が、搬送経路を介して、前記印刷手段にシートを供給し且つ検査済みのシートを排出部に搬送し、
記録手段が、前記検査済みのシートの順序情報と正常に排出済みのシートの順序情報とを記録し、
制御手段が、記搬送経路においてジャムが発生し前記搬送経路で少なくとも一部の印刷物が搬送停止となった場合に、前記検査済みのシートの順序情報と前記正常に排出済みのシート情報の順序情報に基づいて、前記検査手段による検査を再開するページを決定する
ことを特徴とする検査方法。
【請求項6】
印刷手段により画像が形成されたシートを読み取り、画像データを生成する読取手段によって生成された前記画像データと基準画像データ比較して検査する検査手段と、
搬送経路を介して前記印刷手段にシートを供給し且つ検査済みのシートを排出部に搬送する搬送手段と、
前記検査済みのシートの順序情報と、搬送経路を介して前記印刷手段にシートを供給し且つ検査済みのシートを排出部に搬送する搬送手段により正常に排出済みのシートの順序情報とを記録する記録手段と、
記搬送経路においてジャムが発生し前記搬送経路で少なくとも一部の印刷物が搬送停止となった場合に、前記検査済みのシートの順序情報と前記正常に排出済みのシート情報の順序情報に基づいて、前記検査手段による検査を再開するページを決定する制御手段と
してコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項7】
印刷装置と通信可能に接続する検査装置であって、
前記印刷装置にて画像が形成され、搬送経路を流れるシートの読取により得られた画データを受信すると、前記画データと予め登録された基準画像データを比較して検査する検査手段と、
前記検査手段で検査済みのシートの順序情報と、前記搬送経路から正常に排出済みのシートの順序情報を記録する記録手段と、
前記印刷装置でジャムが発生し前記搬送経路で少なくとも一部の印刷物が搬送停止となった場合に、前記検査済みのシートの順序情報と前記正常に排出済みのシート情報の順序情報に基づいて、前記検査手段による検査を再開するページを決定する制御手段と
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項8】
前記検査装置は、
前記印刷装置から前記搬送経路から排紙された排紙シートの情報を受信する受信手段をさらにする
ことを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項9】
印刷装置と通信可能に接続され、検査手段と記録手段と制御手段とを有する検査装置による検査方法であって、
前記検査手段が、前記印刷装置にて画像が形成され、搬送経路を流れるシートの読取により得られた画データを受信すると、前記画データと予め登録された基準画像データを比較して検査し、
前記記録手段が、前記検査手段で検査済みのシートの順序情報と、前記搬送経路から正常に排出済みのシートの順序情報を記録し、
前記制御手段が、前記印刷装置でジャムが発生し前記搬送経路で少なくとも一部の印刷物が搬送停止となった場合に、前記検査済みのシートの順序情報と前記正常に排出済みのシート情報の順序情報に基づいて、前記検査手段による検査を再開するページを決定する
ことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物の品位を検査する印刷システムおよび検査方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置で印刷した印刷物を読み取り、品位を検査する検査装置が知られている。検査装置は、汚れや印刷抜けなどの画像欠陥、文字の誤り、バーコード品位などを検出可能である。これら不良が検出された成果物は、例えば排紙先を変更することで、不良のない印刷物と分別される。
【0003】
シートを搬送するシート搬送パスに設けられた検査ユニットによって搬送中のシートを検査する場合、検査ユニットよりもシート搬送方向の下流側(以下、単に「下流側」という。)のシート搬送パスでシートのジャムが発生する可能性がある。この場合、検査装置によって検査が正常であると判定されたシートがジャム紙となる。ジャム紙に印刷された画像は、ジャムリカバリ処理によって再度印刷されるので、検査装置による検査も再度行われる。ジャム位置によっては、同じ印刷内容のシートが2度検査されることとなり、基準画像と撮像画像がずれたまま検査してしまい、不良シートと判定されてしまう。ユーザは、ジャムが発生した際は、常に、取り除いたジャム紙や、排紙トレイ上の最終シート画像を確認してシート検査装置に対する再検査開始ページの設定が必要か否かを判断しなければならず、ジャム処理操作が煩雑になるという問題があった。
【0004】
このような問題を回避するためには、ジャム紙を取り除いた後、自動的にジャムリカバリ処理を開始するのではなく、ユーザの指示を待って、ユーザの指示に基づいてジャムリカバリ処理を開始することが考えられる。例えば、再検査開始ページの設定が必要な場合のみ、再検査開始ページの設定画面を表示し、ユーザからの再開指示をもって印刷を再開する技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-31963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術ではジャム紙を取り除いた後、ユーザは手動で再検査開始ページの特定、入力作業が必要である。従って、ジャム発生時の検査再開作業に手間がかかるという課題がある。
【0007】
そこで本発明では、ジャム発生情報だけでなく、用紙搬送情報まで判断条件に考慮することで、検査装置が検査リカバリ開始ページを特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明は以下の構成を有する。
本発明の一側面によれば、ートに画像を形成する印刷手段と、
画像が形成されたシートを読み取り、画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された前記画像データと基準画像データ比較して検査する検査手段と
搬送経路を介して前記印刷手段にシートを供給し且つ検査済みのシートを排出部に搬送する搬送手段と、
前記検査済みのシートの順序情報と正常に排出済みのシートの順序情報とを記録する記録手段と、
記搬送経路においてジャムが発生し前記搬送経路で少なくとも一部の印刷物が搬送停止となった場合に、前記検査済みのシートの順序情報と前記正常に排出済みのシート情報の順序情報に基づいて、前記検査手段による検査を再開するページを決定する制御手段と
を有することを特徴とする印刷システムが提供される。
また本発明の他の側面によれば、印刷装置と通信可能に接続する検査装置であって、
前記印刷装置にて画像が形成され、搬送経路を流れるシートの読取により得られた画像データを受信すると、前記画像データと予め登録された基準画像データとを比較して検査する検査手段と、
前記検査手段で検査済みのシートの順序情報と、前記搬送経路から正常に排出済みのシートの順序情報とを記録する記録手段と、
前記印刷装置でジャムが発生し前記搬送経路で少なくとも一部の印刷物が搬送停止となった場合に、前記検査済みのシートの順序情報と前記正常に排出済みのシート情報の順序情報に基づいて、前記検査手段による検査を再開するページを決定する制御手段と
を有することを特徴とする検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査装置が検査のリカバリ開始ページを特定でき、ユーザに検査再開時の開始ページの設定をさせることなく、印刷を再開させることができる。そのため、ジャム発生時の検査再開作業に手間がかかるという課題を解消することができ、印刷作業の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例における情報処理装置と検査装置と印刷装置の構成を表す模式図。
図2】実施例における情報処理装置と検査装置と印刷装置の構成を示すブロック図。
図3】実施例における情報処理装置と検査ユニットと印刷装置と大容量スタッカの内部構成を示す図。
図4】実施例における検査装置の基本的な動作を示すフローチャート。
図5】実施例における検査実行時の印刷装置、検査ユニットの基本的な動作を示すフローチャート。
図6】実施例1における検査装置の基本的な動作を示すフローチャート。
図7】実施例1、2における検査実行時の印刷装置、検査ユニットの基本的な動作を示すフローチャート。
図8】実施例1における検査再開ページ管理テーブル例を示す図。
図9A】実施例1における検査装置と検査ユニット間のタイミングチャート。
図9B】実施例1における検査装置と検査ユニット間のタイミングチャート。
図10】実施例2における検査装置の基本的な動作を示すフローチャート。
図11】実施例2における検査装置と検査ユニット間のタイミングチャート。
図12】実施例3、4における検査装置の基本的な動作を示すフローチャート。
図13】実施例3における検査実行時の印刷装置、検査ユニットの基本的な動作を示すフローチャート。
図14A】実施例3における検査装置と検査ユニット間のタイミングチャート。
図14B】実施例3における検査装置と検査ユニット間のタイミングチャート。
図15】実施例4における検査実行時の印刷装置、検査ユニットの基本的な動作を示すフローチャート。
図16A】実施例4における検査装置と検査ユニット間のタイミングチャート。
図16B】実施例4における検査装置と検査ユニット間のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
また、特に断らない限り、本発明に係る機能が実現されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなる検査装置であっても、本発明を適用できることは言うまでもない。また、本発明の機能が実現されるのであれば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続がなされ、処理が行われる検査装置であっても本発明を適用できる。すなわち、以下の実施例で説明する各種端末が接続されたシステム構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。各実施形態の説明に先立って、実施形態の共通の構成や手順について説明する。
【0013】
●装置の構成
図1は、本実施形態における情報処理装置と検査装置と印刷装置などで構成される画像形成システム(あるいは印刷物検査システム)を表す模式図である。なお、本実施形態の印刷装置は電子写真方式の印刷装置を用いて説明するが、本実施形態における印刷装置は、インクジェット方式、オフセット方式など、異なる画像形成方式の印刷装置であっても良い。
【0014】
印刷装置101は、ケーブル111を介して情報処理装置109と接続されている。情報処理装置109は、ネットワーク112を介してクライアントコンピュータ110、検査装置108と接続されている。
【0015】
印刷装置101は、ユーザインターフェース(UI)パネル102、給紙デッキ103および給紙デッキ104を備える。さらに、3段の給紙デッキからなるオプションデッキ105が接続される。印刷装置101は、例えば電子写真方式の印刷装置である。また、UIパネル102は、例えば静電容量方式のタッチパネルを備えたユーザインターフェースである。
【0016】
さらに印刷装置101は、検査ユニット106、大容量スタッカ107を備える。検査ユニットは、ケーブル113を介して検査装置108と接続されている。大容量スタッカ107はメイントレイとトップトレイを備え、メイントレイには一度に数千枚の用紙を積載することができる。なお本実施形態では用紙と同様の意味でシートという用語を用いる場合もある。また検査装置108と検査ユニット106とをまとめて検査装置と呼ぶこともある。検査ユニット106は本例ではスキャナによりシートに形成された画像を取得する。検査装置108は、取得した画像と基準画像とに基づいて画像の検査を行う検査実行部に相当する。
【0017】
印刷ジョブはクライアントコンピュータ110で生成され、ネットワーク112を介して情報処理装置109に送信され、情報処理装置109で管理される。そして、印刷ジョブは情報処理装置109からケーブル111を通じて印刷装置101に送信され、印刷装置101が用紙に印字する処理を行う。
【0018】
なお、クライアントコンピュータ110、情報処理装置109、検査装置108はケーブル111に接続されて印刷装置101と通信できる形態をとっても良い。即ち、本実施例に示す印刷装置101、情報処理装置109、クライアントコンピュータ110の接続形態は一例であり、本実施例で示した他にも様々な接続形態があることは言うまでもない。
【0019】
図2は、本実施形態の印刷装置101と検査ユニット106と検査装置108と大容量スタッカ107と情報処理装置109とクライアントコンピュータ110の制御構成を示すブロック図である。
【0020】
印刷装置101において、CPU(Central Processing Unit/中央演算装置)201は、システムバス212を介して印刷装置101内の各部における制御や演算を司る。CPU201は、記憶部205に格納され、RAM(Ramdom Access Memory)202にロードされるプログラムの実行を司る。RAM202は、CPU201から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU201のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部205は、印刷装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。
【0021】
エンジンI/F209は、プリンタエンジン210との通信、制御を司る。給紙デッキI/F204は、給紙デッキ211との通信、制御を司る。給紙デッキ211は、給紙デッキ13104、オプションデッキ105をハード構成として総称するものである。UIパネル203は、UIパネル102のハード構成であり、印刷装置101の操作全般を行うためのユーザインターフェースである。本実施形態では、UIパネル203は静電容量方式のタッチパネルを備えたものとする。
【0022】
ネットワークインターフェース(以下、NW I/F)207は、ケーブル213を介して情報処理装置109のNW I/F238と接続され、情報処理装置109と印刷装置101の通信を司る。なお、この例ではシステムバス212、239に接続されたインターフェース同士が直接接続されている形式であるが、情報処理装置109と印刷装置101は例えばネットワーク等で接続されている形式でもよく、その接続形式を限定しない。ビデオI/F206は、ビデオケーブル241を介してビデオI/F233と接続され、情報処理装置109と印刷装置101の間の画像データの通信を司る。
【0023】
なお、情報処理装置109における印刷装置101との接続インターフェースは、NW I/F238とビデオI/F233の機能を統合した形式をとっても良い。また、印刷装置101における情報処理装置109との接続インターフェースは、NW I/F207とビデオI/F206の機能を統合した形式をとっても良い。
【0024】
アクセサリI/F208は、ケーブル225を介してアクセサリI/F214、アクセサリI/F220と接続する。即ち、印刷装置101はアクセサリI/F208、214、220を介して検査ユニット106、大容量スタッカ107と互いに通信を行う。
【0025】
検査ユニット106において、CPU216は、システムバス219を介して検査ユニット106内の各部における制御や演算、記憶部247に格納され、RAM217にロードされるプログラムの実行を司る。RAM217は、CPU216から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU216のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部247は、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。検査装置I/F215は、ケーブル248を介して検査装置ユニットI/F231と接続する。即ち、検査ユニット106は、検査装置I/F215と検査装置ユニットI/F231とを介して検査装置108と通信を行う。
【0026】
撮影部218は、例えばコンダクトイメージセンサ(以下、CIS)を搭載した撮影機能を備え、検査ユニット内を通過する用紙を撮影し、撮影した画像を検査装置I/F215を介して検査装置108に送信する。なお、撮影部218に対するCISはセンサの一例であり、CCDイメージセンサなど他の種類のセンサであっても良く、その撮影方式を限定しない。
【0027】
大容量スタッカ107において、CPU220は、システムバス224を介して大容量スタッカ107内の各部における制御や演算、記憶部248に格納され、RAM222にロードされるプログラムの実行を司る。RAM222は、CPU221から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU221のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部248は、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。排紙部223は、メイントレイとトップトレイへの排紙動作や、メイントレイとトップトレイ各々の積載状況の監視や制御を司る。
【0028】
検査装置108において、CPU226は、システムバス230を介して検査装置108内の各部における制御や演算、記憶部228に格納され、RAM227にロードされるプログラムの実行を司る。RAM227は、CPU226から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU226のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部228は、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。PDL解析部229は、クライアントコンピュータ110や情報処理装置109から受信した例えばPDF、PostScript、PCLなどのPDLデータを読み込み、解釈処理を実行する。表示部245は例えば検査装置に接続される液晶ディスプレイであり、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したりする。
【0029】
情報処理装置109において、CPU234は、システムバス239を介して情報処理装置109内の各部における制御や演算、記憶部236に格納され、RAM235にロードされるプログラムの実行を司る。RAM235は、CPU234から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU234のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部236は、情報処理装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。ネットワークインターフェース(以下、NW I/F)237は、ネットワークを介してNW I/F232、240と接続される。情報処理装置109は、NW I/F237、NW I/F232を介して検査装置108と通信を行う。また、情報処理装置109は、NW I/F237、NW I/F240を介してクライアントコンピュータ110と通信を行う。
【0030】
クライアントコンピュータ110において、CPU243は、システムバス246を介してクライアントコンピュータ110内の各部における制御や演算、記憶部244に格納され、RAM242にロードされるプログラムの実行を司る。RAM242は、CPU243から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU243のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部244は、クライアントコンピュータ動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。
【0031】
●印刷システムの内部構成
図3は、印刷装置101と検査ユニット106と大容量スタッカ107の内部構成を示す図である。印刷装置101は、UIパネル102を介してユーザの入力を受け付けたり、印刷や機器の状態を表示したりする。給紙デッキ103及び104には、各種用紙を収容しておくことが可能である。各給紙デッキでは、収容された用紙の最上位の用紙一枚のみを分離し、用紙搬送パス305へ搬送することが可能である。
【0032】
現像ステーション301~304は、カラー画像を形成するために、それぞれY、M、C、Kの有色トナーを用いてトナー像を形成する。ここで形成されたトナー像は中間転写ベルト306に一次転写される。中間転写ベルト306は図を時計回りに回転し、307の二次転写位置で用紙搬送パス305から搬送されてきた用紙へとトナー像が転写される。定着ユニット308は加圧ローラーと加熱ローラーを備え、各ローラーの間を用紙が通過することにより、トナーを溶融・圧着することで用紙にトナー像を定着させる。
【0033】
定着ユニット308を抜けた用紙は用紙搬送パス309を通って312へと搬送される。用紙の種類によって定着のためにさらに溶融・圧着が必要な場合は、定着ユニット308を通過した後、上の用紙搬送パスを使って第二定着ユニット310へと搬送され、追加の溶融・圧着が施された後、用紙搬送パス311を通って312へと搬送される。画像形成モードが両面の場合は、用紙反転パス313へと用紙を搬送し、用紙搬送パス313で反転した後、両面搬送パス314へと用紙が搬送され、二次転写位置307で二面目の画像転写が行われる。
【0034】
検査ユニット106内にはCIS315、316が対向する形で配置される。CIS315は用紙の上面を、CIS316は用紙の下面を読み取るためのセンサである。検査ユニット106は、用紙搬送パス317に搬送された用紙が所定の位置に到達したタイミングで、CIS315、316を用いて用紙をスキャンする。スキャンされた画像は、検査装置I/F215、検査ユニットI/F231を介して検査装置108に送信される。検査装置108のCPU226は、当該受信した画像に欠陥があるかどうか判定し、判定した結果を再び検査ユニットI/F231、検査装置I/F215を介して検査ユニット106に通知する。CPU216は、当該受信した判定結果を、アクセサリI/F214、220を介して大容量スタッカ107に通知する。検査装置108は、シート単位の基準画像を保持し、検査ユニット106により撮影された画像と基準画像とを対比することで、印刷品質を検査する。このとき、例えば一つの文書を部単位で印刷する場合には、ひとつの部単位ではシートごとに印刷される内容は異なる。そこで検査装置108は、印刷の進行に応じて基準画像を変更していく。ページ順(シート順)に印刷が進行するジョブであれば、対応して基準画像も切り替えられる。
【0035】
大容量スタッカ107は大容量の用紙を積載することが可能である。大容量スタッカ107は、用紙を積載するトレイとしてメイントレイ324を有する。検査ユニット106を通過した用紙は用紙搬送パス319を通して大容量スタッカ107に入る。用紙は用紙搬送パス319からシート搬送パス322を経由して、メイントレイ324に積載される。さらに大容量スタッカ107は、排紙トレイとしてトップトレイ320を有する。CPU221は、検査装置108によって欠陥が検出された用紙をトップトレイ320に排出する。トップトレイ320に出力する場合は、用紙搬送パス319から用紙搬送パス321を経由してトップトレイ320へと用紙が搬送される。シートを反転するための反転部323は、用紙をメイントレイ324に積載する場合に使用される。入ってきた用紙の向きと積載時の用紙の向きが同一となるように、メイントレイ324に積載する場合には反転部323で一度用紙を反転させる。トップトレイ320へ搬送する場合は、積載時にフリップせずにそのままシートを排出するため、反転部323での反転動作は行わない。
【0036】
●検査装置による処理
図4は、検査時の検査装置108の基本動作を示す動作フローチャートである。
【0037】
S401にて、CPU226は表示部245を介してユーザからの画像読み込み開始指示を受け付ける。次にS402に進み、検査対象のシートがある場合はS403に進む。S402は、S412との間に挟まれた工程を繰り返すこと、およびその繰り返しの条件を示している。S402では、未検査の検査対象シートがあることが条件である。
【0038】
S403にて、検査ユニットI/F231は、検査装置I/F215から、CIS315、CIS316でスキャンした画像を受信する。次にS404にて、CPU226は、RAM227に保存されている基準画像と、S403にて受信した検査対象のスキャン画像を比較する。この基準画像は、本フローの開始前に予め印刷装置101で印刷した用紙をCIS315、316でスキャンして検査装置I/F215から検査ユニットI/F231に送信され、RAM227に保存されているものとする。この比較の動作では、まず、画像の特徴的な点を位置合わせの基準点として使用して、基準画像と検査対象のスキャン画像の画像位置を合わせる。次に、検査対象のスキャン画像において、用紙の四隅とスキャン画像の位置合わせ基準点とを解析して用紙に対する画像の位置ずれがないか検出する。次に、基準画像と検査対象のスキャン画像の濃度値を画素ごとに比較する。以上の結果、欠陥が検出されなければ、検査結果OKとする。
【0039】
次にS405にて、検査結果がOKであれば、S406に進み、検査ユニットI/F231は検査装置I/F215に検査結果OK、即ち大容量スタッカ107のメイントレイ324への排紙を指示する。そしてS408~S412に進み、全てのシートの検査を終えるまでS402~S412を繰り返す。全てのシートの検査が終了したらS413に進み、CPU226は表示部245にてユーザから画像読み込み終了の指示を受け付ける。
【0040】
S405にて、検査結果がNGであれば、S407に進む。S407にて、検査ユニットI/F231は検査装置I/F215に検査結果NG、即ち大容量スタッカ107のトップトレイ320への排紙を指示する。そしてS408~S412に進み、以降上述の検査結果OKの場合と同様に処理を終了することができる。なお大容量スタッカ107の排紙トレイの選択は、搬送経路として用紙搬送パス321またはシート搬送パス322のどちらを選択するかにより行われる。そしてこの搬送経路の選択の指示はたとえば、検査ユニット106のアクセサリI/F214からケーブル22および大容量スタッカ107のアクセサリI/F220を介して大容量スタッカ107に対して行われてよい。
【0041】
S408~S411までは印刷装置101でジャム発生時の処理である。S408にて、検査ユニットI/F231は、ジャム発生の判定を行う。具体的には、検査ユニットI/F231が、検査装置I/F215から印刷処理装置のジャム発生情報を受信したならジャム発生と判定してよい。ジャムが発生したと判定した場合位は、次にS409にて、実施形態にて説明するジャム処理を実施する。ジャム処理概要としては、検査中断処理、機内滞留紙の搬送完了待ち、検査リカバリ開始ページの計算を行う。
【0042】
S410にて、検査ユニットI/F231は、検査装置I/F215から、印刷処理装置のジャム解除通知を受信するまで待機する。S410にて、検査ユニットI/F231は、検査装置I/F215から、印刷処理装置のジャム解除通知を受信すると、S411へ処理を進む。
【0043】
S411にて、CPU226はS409で計算したリカバリ開始ページから検査を再開する。S412にて、全シート検査完了するまで検査処理を繰り返す。
【0044】
検査の再開は印刷の再開に同期して行われる。すなわちジャムにより印刷が中断された場合、印刷は、最後に正常に排出されたページの次のページから再開される。本実施形態では、印刷再開後の検査も印刷に同期して、印刷が再開始されたページの検査から再開される。
【0045】
なお、ここに示した例は一例であり、例えば表示部245におけるユーザの画像読み込み開始指示は印刷装置101や情報処理装置109やクライアントコンピュータ110における印刷開始の指示と連動して自動的に実施されても良く、その形態を限定しない。また、表示部245におけるユーザの画像読み込み終了指示は印刷装置101における印刷終了と連動して自動的に実施されても良く、その形態を限定しない。
【0046】
●検査ユニットによる処理図5は、検査時の検査ユニット106の動作フローチャートである。なお検査は印刷と同期して実行されるため、印刷装置101の動作も一部記載している。
【0047】
S501にて、印刷装置101のCPU201が印刷ジョブを受信して印刷を開始する。次に、S502に進み、検査対象の用紙がある場合はS503に進む。S502は、S514との間に挟まれた工程を繰り返すこと、およびその繰り返しの条件を示している。S502では、未検査の検査対象シートがあることが条件である。
【0048】
S503にて印刷装置101は用紙に画像を印刷する。次にS504にて、検査ユニット106の撮影部218が、CIS315、CIS316により、搬送されてきた用紙に印刷された画像をスキャンする。次に、S505に進み、検査ユニット106の検査装置I/F215は、S504にてスキャンした画像を検査装置108の検査ユニットI/F231に送信する。
【0049】
次にS506に進む。S506にて、印刷装置101のCPU201がジャムを検知した場合はS507に進む。この時、ジャムは印刷装置101、検査ユニット106、大容量スタッカ107の内部のどこで起きていても良く、その場所を限定しない。また、検査ユニット106や大容量スタッカ107でジャムが発生した場合は、アクセサリI/F214、220、208を介してCPU201は当該ジャム情報やジャム位置を取得するものとする。一方、S506にてジャムが発生していない場合もS511に進む。
【0050】
S507に進み、印刷装置101のCPU201は、実施形態にて説明するジャム処理を実施する。ジャム処理概要としては、ジャム発生情報の通知、機内にあるジャム紙が全て処理されるまで待機する。機内にあるジャム紙が全て処理されたらジャム処理画面表示を行う。なお、本実施形態においては、一例として、ジャム紙より上流のシートは搬送停止され、機内に残る前提で記載する。
【0051】
S508にて、CPU201は、ジャム紙が除去され、ジャム状態が解除されるまで待機する。ジャム状態が解除されると、S509に進む。
【0052】
S509にて、印刷装置101のCPU201は、アクセサリI/F208、214、220を介して検査ユニット106のCPU216、大容量スタッカ107のCPU221にジャム解除を通知する。また、CPU201はジャム解除をNW I/F207、238を介して情報処理装置109のCPU234に通知する。
【0053】
次にS510にて、CPU201は、印刷再開指示を出す。指示先は、印刷装置101とその下流にある検査ユニット106および大容量スタッカ107である。また検査ユニット106の検査装置I/F215は検査装置108の検査ユニットI/F231に検査再開指示を出す。この指示に応じて、ジャム紙以降の印刷ジョブの再印刷を開始し、S511に進む。
【0054】
S511にて、検査ユニット106の検査装置I/F215が検査装置108の検査ユニットI/F231から検査結果NGを受信した場合はS512に進む。S512にて、検査ユニット106のCPU216は、検査結果NGの用紙以降、既に給紙デッキ103~104から給紙されて用紙搬送パス上にある用紙を全てトップトレイ320に排紙するようアクセサリI/F208、214、220に指示する。
【0055】
S511にて検査装置I/F215が検査結果NGを受信しなかった場合はS513に進み、CPU216は当該用紙を印刷ジョブで指定された排紙先に排紙するようアクセサリI/F214、220に指示する。その後S514に進み、全てのシートの検査を終えるまでS502~S514を繰り返す。全てのシートの検査が終了したら、即ち印刷も終了するので、フローを終了する。なおトップトレイ320は検査結果が良好ではないと判定された印刷済みシート、およびそれに続くシートを排出するトレイなので、排紙先として指定できないか、または指定しないことが望ましい。
【0056】
以降では、ジャム発生時に自動的に検査リカバリ開始ページを計算し、検査再開する具体的な実施形態を説明する。
【0057】
(実施形態1)
本実施形態では、検査装置108がジャム発生時に自動的に検査リカバリ開始ページを図8の検査状況管理テーブル800を用いて計算する形態について説明する。
【0058】
●検査装置によるジャム処理
図6は、ジャム発生時の検査装置108の動作フローチャートである。具体的には、図4のフローチャートのS409の動作内容について説明するものである。
【0059】
S601にて、検査装置108のCPU226は、検査ユニットI/F231を介して検査装置I/F215に検査中断指示を出し、検査ユニット106、検査装置108が検査を停止するように制御する。
【0060】
次にS602にて、CPU226は、印刷装置101にて機内にあるジャムシートが全て処理(たとえば除去)され、装置内に滞留している用紙が装置外へと排出されるまで待機する。機内にあるジャムシートが全て処理されたらS603へ進む。
【0061】
S603にて、検査装置108のCPU226は、検査リカバリ開始ページを計算するため、S610~S615を実行する。ここで、S610~S615を実行する際に参照する検査状況管理テーブル800について図8を用いて説明する。
【0062】
●検査状況管理テーブル
図8は、検査リカバリ開始ページを計算するために参照する検査状況管理テーブル800である。検査状況管理テーブル800は、管理テーブルのインデックス801、検査ページ番号802、検査状態803、正常排紙状態804で構成される。管理テーブルのインデックス801は、検査テーブルを参照するときのインデックスである。検査ページ番号802は、検査ページを識別するページ番号である。ここでは、一例として、検査開始時から連番で振られるユニークな番号とする。検査状態803は、検査ページ番号に対する検査済みか否かを示すものである。ここでは、検査済みをtrue、検査未実施をfalseとする。正常排紙状態804は、検査ページが正常に排紙されたかを示す状態である。ここでは、正常に指定された排紙先に排紙されればtrue、未排紙であればfalseとする。なおここでいうページ番号は元文書のページとは無関係であり、シートの順序を示す値すなわち順序情報であるとみなしてよい。たとえば元となる文書の複数ページを1面にレイアウトした両面印刷を行う場合でも、図8の検査ページ番号とは、複数の文書ページが両面に形成されたシートごとの印刷順序を示す順序情報をとみなしてよい。
【0063】
次に、検査状況管理テーブル800の情報を更新するタイミングについて図9A図9Bのタイミングチャートを用いて説明する。
【0064】
●検査状況管理テーブルの更新
図9A図9Bは、3ページ目の用紙でジャムが発生し、2ページ目の用紙まで正常に機外に排紙された事例に基づき、検査状況管理テーブル800の情報を更新する処理の流れである。図9A図9Bは連続したチャートを分割したものであるので、下の説明ではあたかも1図のごとく扱う。
【0065】
S901にて、検査ユニット106は、スキャンした検査対象(1ページ目)のスキャン画像を検査装置108へ転送する(図5のステップS505)。検査装置108は、受信したスキャン画像と基準画像を比較し、検査結果を判断する。具体的には、検査装置108は、図4のステップS403にてスキャン画像を受信し、ステップS404にて受信した画像を基準画像と比較して、検査結果を判断する。判断対象は前述のように基準位置からのずれや色ずれなどである。
【0066】
S902にて、検査装置108は、1ページ目の検査結果を検査ユニット106へ通知する。ここでは、1ページ目の検査結果はOKとする。また、このタイミングで、検査結果に従い、検査装置108は、ステップS406、S407を実行する。
【0067】
S903にて、検査装置108は、検査状況管理テーブル800に対して、検査ページ番号802に対応する検査状態803へtrueを書き込む。
【0068】
S904にて、印刷装置101は、検査済みの1ページ目の用紙を機外へ正常排出し、検査ユニット106へ1ページ目の用紙が排出されたことを示す排紙情報を通知する。
【0069】
S905にて、検査ユニット106は、受信した排紙情報を検査装置108へ通知する。
【0070】
S906にて、検査装置108は、検査状況管理テーブル800に対して、検査ページ番号802に対応する正常排紙状態804へtrueを書き込む。
【0071】
S907~S912にて、S901~903と同様に2、3ページ目の用紙に対する検査状況管理テーブル800へ検査状態803を書き込む。S912時点では、3ページ目まで検査状態803がtrueとなる。
【0072】
S913にて、印刷装置101は、3ページ目の用紙搬送中にジャムを検知し、ジャム発生位置と併せ3ページ目でジャムが発生したことを検査ユニット106へ通知する。
【0073】
S914にて、検査ユニット106は、図5のステップS506、S507を実行し、受信したジャム情報を検査装置108へ通知する(図7のステップS701)。
【0074】
S915にて、検査装置108は、図4のステップS408~S409を実施し、検査処理を中断する(図6のステップS601)。
【0075】
S916~S918にて、S904~S906と同様に、検査済みの2ページ目の用紙が機外へ正常排出され、検査状況管理テーブル800に対して、検査ページ番号802に対応する正常排紙状態804へtrueを書き込む。S918時点では、2ページ目まで正常排紙状態804がtrueとなる。
【0076】
S919にて、印刷装置101は、機内に滞留している紙の排出が完了すると、機内の搬送完了を検査ユニット106へ通知する。
【0077】
S920にて、検査ユニット106は、受信した機内の搬送完了通知を検査装置108へ通知する(図7のステップS706)。
【0078】
S921にて、検査装置108は、検査状況管理テーブル800の情報を取得し、次にS922にて検査リカバリページの計算を行う(S610~S615)。S921で取得できた情報は、図8の検査状況管理テーブル800に示す情報である。以上が、検査状況管理テーブル800の情報を更新する処理の流れである。以上のようにして、検査装置108は、図8で説明したページ単位で検査の完了と排出とを記録できる。またそれを元にして検査を再開するページを求めることができる。検査状況管理テーブル800は例えばジョブ単位で作成すればよい。たとえば一つの印刷ジョブが完了したなら消去し、新たな印刷ジョブの開始時に新たなテーブルの作成を開始してよい。この場合にはインデックス801と検査ページ番号802とは一致するので、いずれか一方のみを記録してもよい。
【0079】
●検査装置による検査リカバリページの決定
次に、図6に戻り、検査リカバリページの計算処理の例をフローチャートと図8の検査状況テーブル800とを用いて説明する。
【0080】
S610にて、CPU226は、検査状況管理テーブル800の情報を参照するためのインデックス(index)を1に初期化する。
【0081】
S611にて、CPU226は、検査状況管理テーブル800のインデックス801の1に対して、検査状態803を参照する。参照した検査状態803が検査済み(true)であれば、S612へ進む。参照した検査状態803が未検査(false)であれば、S614へ進む。ここでは、検査状況管理テーブル800のインデックス801が1の場合、検査状態803は検査済み(true)なので、S612へ進む。
【0082】
S612にて、CPU226は、検査状況管理テーブル800のインデックス801の1に対して、正常排紙状態804を参照する。参照した正常排紙状態804が正常排紙済み(true)であれば、S613へ進む。参照した正常排紙状態804が未排紙(false)であれば、S615へ進む。ここでは、検査状況管理テーブル800のインデックス801が1の場合、正常排紙状態804は排紙済み(true)なので、S613へ進む。
【0083】
S613にて、CPU226は、検査状況管理テーブル800の情報を参照するためのインデックス(index)を1インクリメントし、S611へ進む。ここではインデックス(index)を2にする。以降、検査済みかつ正常排紙済みについては、S611~S613を繰り返す。図8の例では、インデックスが3になるまでS611~S613を繰り返す。
【0084】
S611にて、CPU226は、検査状況管理テーブル800のインデックス801の値3に対して、検査状態803を参照する。参照した検査状態803は検査済み(true)なので、S612へ進む。
【0085】
S612にて、CPU226は、検査状況管理テーブル800のインデックス801の1に対して、正常排紙状態804を参照する。参照した正常排紙状態804が未排紙(false)なので、S615へ進む。
【0086】
S615にて、CPU226は、検査状況管理テーブル800のインデックス801の3に対する検査ページ番号802を検査リカバリ開始ページに設定する。すなわちS615では、検査済みであり、かつ正常排紙されていないシートのシート番号を、再開される検査の先頭のシート番号(ページ番号)すなわち検査リカバリ開始ページに設定する。ここでは、例として3を検査リカバリ開始ページに設定する。これは、3ページ目の検査から再開することを示している。
【0087】
なお、S614は、検査ユニット106よりも上流でジャムが発生した場合の処理である。例えば、検査ユニット106よりも上流でジャムが発生した場合、ジャム発生ページより下流の紙に関しては、既に検査済みかつ正常排紙済みになっている場合が起こりうる。その場合は、S614にて、検査リカバリ開始ページとして、未検査の検査ページを設定することで検査リカバリ開始ページを算出する。
【0088】
以上のように、本実施形態では、例えば1つの印刷ジョブで印刷される一連のシートのうち、検査済みであり、かつ、正常に排出された最後のシートまでを、印刷済みであるものとして扱う。そしてその直後の未検査のページまたは正常に排出されてないページから検査を再開するよう、検査リカバリ開始ページを決定する。換言すれば、検査状況管理テーブル800に表れる最初の(先頭の)未検査のページまたは正常に排出されてないページから検査を再開するよう、検査リカバリ開始ページを決定する。以降では、検査ユニット106側の動作について説明する。
【0089】
●検査ユニットによるジャム処理
図7は、ジャム発生時の印刷装置101、検査ユニット106の動作フローチャートである。具体的には、図5のフローチャートのS507の動作内容について説明するものである。
【0090】
S701にて、印刷装置101のCPU201はジャム状態であることをアクセサリI/F208、214、220を介して検査ユニット106、大容量スタッカ107それぞれのCPU216、221に通知する。また、CPU216は、検査装置I/F215から検査装置108の検査ユニットI/F231へジャム状態であることを通知する。当該ジャム状態は、印刷装置101や検品ユニット106、大容量スタッカ107の内部にあるセンサ(不図示)が用紙を検知することでわかるジャム位置情報を含む。また、CPU201は、用紙に印刷して機外に排紙すると排紙完了したことを検知することが可能なので、どの用紙でジャムが起きているかを検知することができ、この用紙情報もジャム状態に含まれる。そして、CPU201は、当該のジャム状態をNW I/F207、238を介して情報処理装置109のCPU234に通知する。これにより、情報処理装置109は印刷ジョブで使用する用紙の何枚目がジャムになったかを知ることができる。
【0091】
S702にて、CPU201はジャムの原因となった用紙(ジャム紙と呼ぶ)よりも上流側の滞留紙の搬送を停止する。ジャム紙よりも上流側の滞留紙の新たな搬送を停止することにより、ジャム紙よりも上流側で既に搬送が開始された紙が全てジャム紙となり、例えば、ユーザが手作業で取り除かなければならない紙となる。
【0092】
S703にて、CPU201はシート搬送パス上の最も下流側のジャム紙を内部パラメータの先頭ジャム紙に設定する。最も下流側のジャム紙は、後述するジャムリカバリ処理における印刷再開ページとなる。これによって、ジャム紙をリカバリすることができる。
【0093】
S704にて、CPU201は先頭ジャム紙よりも下流の滞留紙を排紙し、S705に進む。
【0094】
S705にて、CPU201は滞留紙の排紙が完了するまで待機する。滞留紙の排紙が完了するとS706へ進む。これは、図6で説明した検査リカバリ開始ページの計算にて、機内の滞留紙が排紙された状態で更新された検査状況管理テーブル800が必要なためである。
【0095】
S706にて、CPU201は機内滞留紙が排紙完了したことをアクセサリI/F208、214を介して検査ユニット106のCPU216に通知する。また、CPU216は機内滞留紙が排紙完了したことを検査装置I/F215から検査装置108の検査ユニットI/F231へ通知する。
【0096】
S707にて、CPU201はUIパネル203にジャム処理画面を表示する。そして、図5のS508へ処理を進める。
【0097】
以上の手順により、本実施形態によると、検査ユニット106および検査装置108はジャム処理後に自動的に検査を再開することができる。これにより、ジャム発生の場合においてオペレータに再開位置を入力の手間をかけることなく検査を再開することができる。
【0098】
より詳しくは、印刷装置101は、ジャムが発生するとジャムを起こしたシートより上流のシートの搬送を停止し、下流のシートを排出する。また検査装置108は、シートごとに検査済みおよび排紙済みを記録しておく。そして印刷の再開時には、印刷装置101はジャムを生じた先頭のシートから印刷を再開する。また検査ユニット106及び検査装置108は、検査されていても正常に排出されていないシート、または排出済みのシートに引き続く未検査のシートを特定し、特定したシートから検査を再開する。これにより、ジャムが生じた位置が搬送路のどこであっても、検査の重複を回避し、対象のシートと基準画像とのずれを避けて正しい検査を続行することができる。
【0099】
また本実施形態及び後述する他の実施形態は、ジャムに限らず、印刷の中断後に、既に印刷及び検査済みのシートから印刷を再開するような場合に適用できる。
【0100】
(実施形態2)
実施形態1では、検査装置108が検査状況管理テーブル800を用いて計算する形態について説明した。別の実施形態としては、検査装置108がジャム発生時に自動的に検査リカバリ開始ページを図8の検査状況管理テーブル800を用いずに計算する形態も考えられる。以降で、具体的な実施形態について説明する。なお、検査ユニット106側の処理としては、実施形態1の図7と同様であるため説明を省略する。
【0101】
図10は、ジャム発生時の検査装置108の動作フローチャートである。具体的には、図4のフローチャートのS409の動作内容について説明するものである。
【0102】
S1001~S1002については、S601~S602と同様であるため説明を省略する。
【0103】
S1003にて、CPU226は、内部パラメータの検査済みページ、排紙済みページに従い検査リカバリ開始ページを計算する。
【0104】
ここで、検査状況管理テーブル800を使わず、内部パラメータの検査済みページ数、排紙済みページ数から検査開始リカバリ開始ページを計算する処理の流れを図11のタイミングチャートを用いて説明する。
【0105】
図11は、3ページ目の用紙でジャムが発生し、2ページ目の用紙まで正常に機外に排紙された事例に基づき、内部パラメータの検査済みページ、排紙済みページの情報を更新する処理の流れである。
【0106】
S1101にて、検査ユニット106は、スキャンした検査対象(1ページ目)のスキャン画像を検査装置108へ転送する(図5のステップS505)。検査装置108は、受信したスキャン画像と基準画像を比較し、検査結果を判断する。具体的には、検査装置108は、図4のステップS403にてスキャン画像を受信し、ステップS404にて受信した画像を基準画像と比較して、検査結果を判断する。
【0107】
S1102にて、検査装置108は、1ページ目の検査結果を検査ユニット106へ通知する。ここでは、1ページ目の検査結果はOKとする。また、このタイミングで、検査結果に従い、検査装置108は、ステップS406、S407を実行する。
【0108】
S1103にて、検査装置108は、内部パラメータの検査済みページに対して、検査したページ番号を書き込む。ここでは1を書き込むとする。
【0109】
S1104にて、印刷装置101は、検査済みの1ページ目の用紙を機外へ正常排出し、検査ユニット106へ1ページ目の用紙が排出されたことを示す排紙情報を通知する。
【0110】
S1105にて、検査ユニット106は、受信した排紙情報を検査装置108へ通知する。
【0111】
S1106にて、検査装置108は、内部パラメータの排紙済みページに対して、排紙されたページ番号を書き込む。ここでは1を書き込むとする。
【0112】
S1107~S1112にて、S1101~S1103と同様に2、3ページ目の用紙に対する内部パラメータの検査済みページに対して検査したページ番号を書き込む。S1112時点では、内部パラメータの検査済みページが3となる。
【0113】
S1113にて、印刷装置101は、3ページ目の用紙搬送中にジャムを検知し、ジャム発生位置と併せ3ページ目でジャムが発生したことを検査ユニット106へ通知する。
【0114】
S1114にて、検査ユニット106は、図5のステップS506、S507を実行し、受信したジャム情報を検査装置108へ通知する(図7のステップS701)。
【0115】
S1115にて、検査装置108は、図4のステップS408~S409を実施し、検査処理を中断する(図10のステップS1001)。
【0116】
S1116~S1118にて、S1104~1106と同様に、検査済みの2ページ目の用紙が機外へ正常排出され、内部パラメータの排紙済みページに対して、排紙されたページ番号を書き込む。S1118時点では2を書き込むとする。
【0117】
S1119にて、印刷装置101は、機内に滞留している紙の排出が完了すると、機内の搬送完了を検査ユニット106へ通知する。
【0118】
S1120にて、検査ユニット106は、受信した機内の搬送完了通知を検査装置108へ通知する(図7のステップS706)。
【0119】
S1121にて、検査装置108は、内部パラメータの排紙済みページを取得し、検査リカバリページの計算を行う。排紙済みの次ページが検査リカバリ開始ページとなるため、内部パラメータの排紙済みページをインクリメントして検査リカバリ開始ページへ設定する。そして、図4のS410へ処理を進める。
【0120】
以上の手順により、検査状況管理テーブル800を利用せずに検査リカバリ開始ページを計算することができる。これにより、実施形態1と同様に、ジャム発生の場合においてオペレータに再開位置を入力の手間をかけることなく検査を再開することができる。
【0121】
本実施形態における検査リカバリ開始ページの決定方法では、検査済みである最後の前記シートの順序情報、および正常に排出済みである最後のシートの順序情報を記録する。このため、実施形態1と比べて検査状況管理テーブル800を用いない分、小さなメモリ容量で済む。
【0122】
(実施形態3)
実施形態1、2では、検査装置108がジャム発生時に自動的に検査リカバリ開始ページを計算する形態について説明した。別の実施形態として、検査ユニット106がジャム発生時に自動的に検査リカバリ開始ページを計算する形態も考えられる。
【0123】
本実施形態では検査ユニット106がジャム発生時に自動的に検査リカバリ開始ページを図8の検査状況管理テーブル800を用いて計算する形態について説明する。本実施形態では、検査ユニット106が検査リカバリ開始ページを計算し、計算結果を検査装置108へ通知する形態である。
【0124】
●検査ユニットによるジャム処理
図13は、ジャム発生時の印刷装置101、検査ユニット106の動作フローチャートである。具体的には、図5のフローチャートのS507の動作内容について説明するものである。
【0125】
S1301~S1306については、S701~S706と同様の処理であるため説明を省略する。
【0126】
S1307にて、CPU216は、検査状況管理テーブル800の情報を取得し、検査リカバリページの計算を行う。その詳細は、実施形態1の図6のS610~S615と同様な処理であるため、説明を省略する。
【0127】
S1308にて、CPU216は検査リカバリ開始ページを検査装置I/F215から検査ユニットI/F231へ通知する。
【0128】
S1309にて、CPU201はUIパネル203にジャム処理画面を表示する。そして、図5のS508へ処理を進める。
【0129】
●検査状況管理テーブルの更新及び検査リカバリページ計算
次に、検査状況管理テーブル800の情報を更新するタイミングについて図14A図14Bのタイミングチャートを用いて説明する。図14A図14Bは連続したチャートを分割したものであるので、下の説明ではあたかも1図のごとく扱う。
【0130】
図14A図14Bは、3ページ目の用紙でジャムが発生し、2ページ目の用紙まで正常に機外に排紙された事例に基づき、検査状況管理テーブル800の情報を更新する処理の流れである。
【0131】
S1401にて、検査ユニット106は、スキャンした検査対象(1ページ目)のスキャン画像を検査装置108へ転送する(図5のステップS505)。検査装置108は、受信したスキャン画像と基準画像を比較し、検査結果を判断する。具体的には、検査装置108は、図4のステップS403にてスキャン画像を受信し、ステップS404にて受信した画像を基準画像と比較して、検査結果を判断する。
【0132】
S1402にて、検査装置108は、1ページ目の検査結果を検査ユニット106へ通知する。ここでは、1ページ目の検査結果はOKとする。また、このタイミングで、検査結果に従い、検査装置108は、ステップS406、S407を実行する。
【0133】
S1403にて、検査ユニット106は、検査結果を受信すると、検査状況管理テーブル800に対して、検査ページ番号802に対応する検査状態803へtrueを書き込む。
【0134】
S1404にて、印刷装置101は、検査済みの1ページ目の用紙を機外へ正常排出し、検査ユニット106へ1ページ目の用紙が排出されたことを示す排紙情報を通知する。
【0135】
S1405にて、検査ユニット106は、検査状況管理テーブル800に対して、検査ページ番号802に対応する正常排紙状態804へtrueを書き込む。
【0136】
S1406~S1411にて、S1401~1403と同様に2、3ページ目の用紙に対する検査状況管理テーブル800へ検査状態803を書き込む。S1411時点では、3ページ目まで検査状態803がtrueとなる。
【0137】
S1412にて、印刷装置101は、3ページ目の用紙搬送中にジャムを検知し、ジャム発生位置と併せ3ページ目でジャムが発生したことを検査ユニット106へ通知する。
【0138】
S1413にて、検査ユニット106は、図5のステップS506、S507を実行し、受信したジャム情報を検査装置108へ通知する(図13のステップS1301)。
【0139】
S1414にて、検査装置108は、図4のステップS408~S409を実施し、検査処理を中断する(図12のステップS1201)。
【0140】
S1415~S1416にて、S1404~S1405と同様に、検査済みの2ページ目の用紙が機外へ正常排出され、検査状況管理テーブル800に対して、検査ページ番号802に対応する正常排紙状態804へtrueを書き込む。S1416時点では、2ページ目まで正常排紙状態804がtrueとなる。
【0141】
S1417にて、印刷装置101は、機内に滞留している紙の排出が完了すると、機内の搬送完了を検査ユニット106へ通知する。
【0142】
S1418にて、検査ユニット106は、検査状況管理テーブル800の情報を取得し、次にS1419にて検査リカバリページの計算を行う(S610~S615)。S1418で取得できた情報は、図8の検査状況管理テーブル800に示す情報である。以上が、検査状況管理テーブル800の情報を更新する処理の流れである。
【0143】
S1420にて、検査ユニット106は、S1419で計算した検査リカバリ開始ページを検査装置108へ通知する(図13のステップS1306)。
【0144】
S1421にて、検査装置108は、検査リカバリ開始ページを受信すると、内部パラメータに受信した検査リカバリ開始ページを設定する。
【0145】
●検査装置によるジャム処理
図12は、ジャム発生時の検査装置108の動作フローチャートである。具体的には、図4のフローチャートのS409の動作内容について説明するものである。
【0146】
S1201~S1202については、S601~S602と同様であるため説明を省略する。
【0147】
S1203にて、CPU226は、検査ユニットI/F231から検査リカバリ開始ページを受信するまで待機する。検査リカバリ開始ページを受信すると、S1204へ処理を進める。
【0148】
S1204にて、CPU226は、受信した検査リカバリ開始ページを内部パラメータに格納し、図4のS410へ処理を進める。
【0149】
以上の手順により、検査ユニット106が検査状況管理テーブル800を利用して検査リカバリ開始ページを計算することができる。これにより、実施形態1、2と同様に、ジャム発生の場合においてオペレータに再開位置を入力の手間をかけることなく検査を再開することができる。
【0150】
(実施形態4)
実施形態3では、検査ユニット106が検査状況管理テーブル800を用いて計算する形態について説明した。別の実施形態としては、検査ユニット106がジャム発生時に自動的に検査リカバリ開始ページを図8の検査状況管理テーブル800を用いずに計算する形態も考えられる。以降で、具体的な実施形態について説明する。なお、本実施形態ではジャム発生時の検査装置108の動作フローチャートが、実施形態3の図12と同様であるため説明を省略する。
【0151】
図15は、ジャム発生時の印刷装置101、検査ユニット106の動作フローチャートである。具体的には、図5のフローチャートのS507の動作内容について説明するものである。
【0152】
S1501~S1506については、S1301~S1306と同様の処理であるため説明を省略する。
【0153】
S1507にて、検査ユニット106のCPU216は、内部パラメータの検査済みページ、排紙済みページに従い検査リカバリ開始ページを計算する。ここで、検査状況管理テーブル800を使わず、内部パラメータの検査済みページ数、排紙済みページ数から検査開始リカバリ開始ページを計算する処理の流れを図16A図16Bのタイミングチャートを用いて説明する。図16A図16Bは連続したチャートを分割したものであるので、下の説明ではあたかも1図のごとく扱う。
【0154】
図16A図16Bは、3ページ目の用紙でジャムが発生し、2ページ目の用紙まで正常に機外に排紙された事例に基づき、内部パラメータの検査済みページ、排紙済みページの情報を更新する処理の流れである。
【0155】
S1601にて、検査ユニット106は、スキャンした検査対象(1ページ目)のスキャン画像を検査装置108へ転送する(図5のステップS505)。検査装置108は、受信したスキャン画像と基準画像を比較し、検査結果を判断する。具体的には、検査装置108は、図4のステップS403にてスキャン画像を受信し、ステップS404にて受信した画像を基準画像と比較して、検査結果を判断する。
【0156】
S1602にて、検査装置108は、1ページ目の検査結果を検査ユニット106へ通知する。ここでは、1ページ目の検査結果はOKとする。また、このタイミングで、検査結果に従い、検査装置108は、ステップS406、S407を実行する。
【0157】
S1603にて、検査ユニット106は、内部パラメータの検査済みページに対して、検査したページ番号を書き込む。ここでは1を書き込むとする。
【0158】
S1604にて、印刷装置101は、検査済みの1ページ目の用紙を機外へ正常排出し、検査ユニット106へ1ページ目の用紙が排出されたことを示す排紙情報を通知する。
【0159】
S1605にて、検査ユニット106は、内部パラメータの排紙済みページに対して、排紙されたページ番号を書き込む。ここでは1を書き込むとする。
【0160】
S1606~S1611にて、S1601~S1603と同様に2、3ページ目の用紙に対する内部パラメータの検査済みページに対して検査したページ番号を書き込む。S1611時点では、内部パラメータの検査済みページが3となる。
【0161】
S1612にて、印刷装置101は、3ページ目の用紙搬送中にジャムを検知し、ジャム発生位置と併せ3ページ目でジャムが発生したことを検査ユニット106へ通知する。
【0162】
S1613にて、検査ユニット106は、図5のステップS506、S507を実行し、受信したジャム情報を検査装置108へ通知する(図15のステップS1501)。
【0163】
S1614にて、検査装置108は、図4のステップS408~S409を実施し、検査処理を中断する(図12のステップS1201)。
【0164】
S1615~S1616にて、S1604~1605と同様に、検査済みの2ページ目の用紙が機外へ正常排出され、内部パラメータの排紙済みページに対して、排紙されたページ番号を書き込む。S1616時点では2を書き込むとする。
【0165】
S1617にて、印刷装置101は、機内に滞留している紙の排出が完了すると、機内の搬送完了を検査ユニット106へ通知する。
【0166】
S1618~S1619にて、検査ユニット106は、内部パラメータの検査済みページ、および、排紙済みページを取得する。
【0167】
S1620にて、検査ユニット106は、取得した排紙済みページに従い、検査リカバリページの計算を行う。排紙済みの次ページが検査リカバリ開始ページとなるため、内部パラメータの排紙済みページを1インクリメントして検査リカバリ開始ページへ設定する。
【0168】
S1621にて、検査ユニット106は、検査リカバリ開始ページを検査装置108へ通知する(図15のステップS1506)。
【0169】
S1622にて、検査装置108は、検査リカバリ開始ページを受信すると、内部パラメータに受信した検査リカバリ開始ページを設定する。そして、図5のS508へ処理を進める。
【0170】
以上の手順により、検査状況管理テーブル800を利用せずに検査リカバリ開始ページを計算することができる。これにより、実施形態3と同様に、ジャム発生の場合においてオペレータに再開位置を入力の手間をかけることなく検査を再開することができる。
【0171】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0172】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0173】
101 印刷装置、106 検査ユニット、107 大容量スタッカ、108 検査装置、109 情報処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B