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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】横編機及び不良検出システム
(51)【国際特許分類】
   D04B 35/20 20060101AFI20240904BHJP
   D06H 3/08 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
D04B35/20
D06H3/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020105380
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021195698
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 高啓
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204803513(CN,U)
【文献】特開2014-167456(JP,A)
【文献】特開2018-193655(JP,A)
【文献】特開平06-011456(JP,A)
【文献】特開平06-294069(JP,A)
【文献】特開平07-117927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 35/20
D06H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編成データに基づいて動作が制御されることによって編地を編成する編針と、
前記編針に係止された状態の編目を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記編目の状態と、前記編成データに含まれる前記編目の種類、編糸の種類及び隣接する前記編目のデータに基づいて決定される正常時の編目の状態と、を比較して、編目の良否を判定する判定部と、
前記撮像部により撮像された前記編目の位置を記憶する位置記憶部と、
を具備する編機。
【請求項2】
前記編針は、
歯口を挟んで互いに対向するように配置されたニードルベッドにそれぞれ配置され、
前記撮像部は、
前記対向するように配置されたニードルベッドの歯口の上方から、前記編針に係止された状態の編目を撮像する、
請求項1に記載の編機。
【請求項3】
前記撮像部は、
前記対向するように配置されたニードルベッドの一方側から、他方側に設けられた前記編針に係止された状態の編目を撮像する、
請求項2に記載の編機。
【請求項4】
前記撮像部は、
前記ニードルベッドに沿って移動可能となるように設けられる、
請求項2又は請求項3に記載の編機。
【請求項5】
前記撮像部は、
前記編針に係止された状態の編目を撮像可能な位置に固定され、前記編針による編目の形成のタイミングに関連付けて、前記編目を撮像する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の編機。
【請求項6】
横編機に設けられる不良検出システムであって、
編成データに基づいて動作が制御されることによって編地を編成する編針に係止された状態の編目を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記編目の状態と、前記編成データに含まれる前記編目の種類、編糸の種類及び隣接する前記編目のデータに基づいて決定される正常時の編目の状態と、を比較して、編目の良否を判定する判定部と、
前記撮像部により撮像された前記編目の位置を記憶する位置記憶部と、
を具備する不良検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編地の編成の不良を検出することが可能な編機及び不良検出システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、編地の編成の不良を検出する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、撮像部を用いて取得されたニット生地の画像と、予め記憶装置に記憶させた正常なニット生地の画像と、を比較し、編地不良(編きず)の発生の有無を検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭57-183469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、完成したニット生地の不良を検知する構成であるため、無駄なコスト(当該ニット生地を編成した編機の電力、糸、編成時間等)が発生することになる。
【0006】
また、例えばリブ編地などの幅方向に縮むニット生地は、生地を撮像しても編地不良を検知することが困難な場合がある。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、編成の不良を早期に、かつ精度良く検出することが可能な編機及び不良検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、本発明に係る編機は、編成データに基づいて動作が制御されることによって編地を編成する編針と、前記編針に係止された状態の編目を撮像可能な撮像部と、前記撮像部により撮像された前記編目の状態と、前記編成データに含まれる前記編目の種類、編糸の種類及び隣接する前記編目のデータに基づいて決定される正常時の編目の状態と、を比較して、編目の良否を判定する判定部と、前記撮像部により撮像された前記編目の位置を記憶する位置記憶部と、を具備するものである。
このように構成することにより、編成の不良を早期に、かつ精度良く検出することができる。
【0010】
また、前記編針は、歯口を挟んで互いに対向するように配置されたニードルベッドにそれぞれ配置され、前記撮像部は、前記対向するように配置されたニードルベッドの歯口の上方から、前記編針に係止された状態の編目を撮像してもよい。
このように構成することにより、編目が撮像し易く、ひいては編成の不良を精度良く検出することができる。
【0011】
また、前記撮像部は、前記対向するように配置されたニードルベッドの一方側から、他方側に設けられた前記編針に係止された状態の編目を撮像してもよい。
このように構成することにより、編目がより撮像し易くなり、編成の不良をより精度良く検出することができる。
【0012】
また、前記撮像部は、前記ニードルベッドに沿って移動可能となるように設けられてもよい。
このように構成することにより、1つの撮像部で複数個所の編目を撮像することができる。
【0013】
また、前記撮像部は、前記編針に係止された状態の編目を撮像可能な位置に固定され、前記編針による編目の形成のタイミングに関連付けて、前記編目を撮像してもよい。
このように構成することにより、構成の簡素化を図ることができる。また、適切なタイミングで編目の画像を取得することができる。
【0014】
また、本発明に係る不良検出システムは、横編機に設けられる不良検出システムであって、編成データに基づいて動作が制御されることによって編地を編成する編針に係止された状態の編目を撮像可能な撮像部と、前記撮像部により撮像された前記編目の状態と、前記編成データに含まれる前記編目の種類、編糸の種類及び隣接する前記編目のデータに基づいて決定される正常時の編目の状態と、を比較して、編目の良否を判定する判定部と、前記撮像部により撮像された前記編目の位置を記憶する位置記憶部と、を具備するものである。
このように構成することにより、編成の不良を早期に、かつ精度良く検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、編成の不良を早期に、かつ精度良く検出することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る横編機の全体的な構成を示した正面図。
図2】ニードルベッド及びキャリッジの構成を示した側面図。
図3】同じく、平面図。
図4】横編機の制御に関する構成を示したブロック図。
図5】キャリッジに設けられたカム機構の概略を示した平面模式図。
図6】撮像部及び照明部の配置を示したキャリッジの平面模式図。
図7】(a)撮像部の構成を示した平面図。(b)同じく、側面図。
図8】照明部の構成を示した平面一部断面図。
図9】撮像部と照明部の相対的な位置関係を示した平面図。
図10】(a)キャリッジが右方に移動する際に稼働する撮像部を示した図。(b)キャリッジが左方に移動する際に稼働する撮像部を示した図。
図11】各コースを編成する際の制御部の処理を示した模式図。
図12】撮像部によって撮像された画像と、正常画像の一例を示した図。
図13】(a)ニードルベッドの下方に撮像部を配置した例を示した図。(b)ニードルベッドの上下に撮像部を配置した例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。また、各図においては、説明の便宜上、一部の部材の図示を適宜省略している場合がある。
【0018】
まず、本発明の一実施形態に係る横編機1の全体的な構成について説明する。
【0019】
図1から図4に示すように、横編機1は、主としてニードルベッド10、キャリッジ20、糸道レール30、サーボモータ40、糸立台50及び制御部60を具備する。
【0020】
図1から図3に示すニードルベッド10は、歯口Sを挟んで前後に互いに対向するように配置されている。前後のニードルベッド10は、前後中央側(互いに対向する側)に向かって上方に傾斜するような側面視逆V字状に配置されている(図2参照)。各ニードルベッド10には、当該ニードルベッド10の長手方向(左右方向)に沿って多数の編針11が並ぶように設けられている。前後のニードルベッド10は、互いに編目の受け渡し(目移し)を行う際に、相対的に左右に移動することができる。
【0021】
キャリッジ20は、前後のニードルベッド10に対して上方から対向するように前後一対配置される。前後のキャリッジ20は、複数の糸道レール30を跨ぐように配置されたブリッジ20aにより連結されている。キャリッジ20は、サーボモータ40(図4参照)によって、ニードルベッド10の長手方向に沿って往復移動することができる。キャリッジ20には、ニードルベッド10の編針11を選択的に動作させるための選針機構(不図示)やカム機構21が設けられる。またキャリッジ20には、編針11に係止された状態の編目を撮像するための撮像部22及び照明部23が設けられる。
【0022】
図1及び図2に示す糸道レール30は、歯口Sの上方に、ニードルベッド10の長手方向に沿って延びるように複数配置される。糸道レール30には、編糸Yを給糸するヤーンキャリア31(図1参照)が移動可能となるように支持されている。
【0023】
図1に示す糸立台50には、編糸Yが巻かれた糸コーン51が設けられる。糸コーン51からの編糸Yは、適宜の給糸経路を経て、ヤーンキャリア31へと給糸される。
【0024】
図4に示す制御部60は、横編機1の動作を制御するためのものである。制御部60は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部等を具備する。制御部60の記憶部には、横編機1の制御に用いられる種々の情報やプログラム等が記憶される。制御部60は、横編機1の適宜の箇所(例えば、横編機1の本体内(後側のニードルベッド10の下方))に設けられる。
【0025】
制御部60は、サーボモータ40と接続され、当該サーボモータ40の動作を制御することができる。制御部60は、サーボモータ40の動作を制御することで、キャリッジ20を任意に移動させることができる。また制御部60は、サーボモータ40の回転数に基づいて、キャリッジ20の位置を検出することができる。
【0026】
また制御部60は、キャリッジ20(より詳細には、カム機構21、撮像部22及び照明部23)と接続され、当該キャリッジ20の動作を制御することができる。
【0027】
制御部60は、予め作成された編成データ等に基づいて、横編機1の各部を制御する。具体的には、制御部60は、サーボモータ40の動作を制御することで、ニードルベッド10の長手方向に沿ってキャリッジ20を往復移動させることができる。この際、キャリッジ20に搭載されたカム機構21等により、編針11を歯口Sに対して進退させることで、ニット、タック、ミス等の編成動作と、前後のニードルベッド10間での編目の受け渡しを行うことができる。このようなキャリッジ20の往復移動を繰り返すことによって、編地Kが編成される。
【0028】
また、制御部60は、編針11に係止された編目を撮像部22によって撮像することができる。制御部60は、撮像部22によって撮像された画像(編目の形状)に基づいて、編成の不良を検出することができる。
【0029】
以下では、キャリッジ20の構成について、より具体的に説明する。
【0030】
なお、以下では、前後のニードルベッド10のうち、前側のニードルベッド10を前側ニードルベッド10F,後側のニードルベッド10を後側ニードルベッド10Bとそれぞれ称する場合がある。また、以下では、前後のキャリッジ20のうち、前側のキャリッジ20を前側キャリッジ20F,後側のキャリッジ20を後側キャリッジ20Bとそれぞれ称する場合がある。
【0031】
まず、図5を用いて、カム機構21の構成について説明する。
【0032】
図5に示すように、前側キャリッジ20Fには、編針11を進退させるためのカム機構21が3つ設けられている。具体的には、キャリッジ20の移動方向(左右方向)に沿って、第一目移し用カム機構21A、ニット用カム機構21B及び第二目移し用カム機構21Cが配置されている。
【0033】
ニット用カム機構21Bは、ヤーンキャリア31から給糸される編糸Yを用いて編目を形成するためのものである。第一目移し用カム機構21A及び第二目移し用カム機構21Cは、前後のニードルベッド10の編針11の間で目移しを行うためのものである。本実施形態では、左から右に向かって第一目移し用カム機構21A、ニット用カム機構21B及び第二目移し用カム機構21Cが順に並ぶように配置されている。
【0034】
各カム機構21は、編成データに基づいて選択された編針11のバットを進退軌跡Lに沿って案内することで、当該編針11を進退させることができる。これによって編糸Yを用いた編目の形成や、目移しを行うことができる。
【0035】
例えば本実施形態においては、図5に矢印で示すように、キャリッジ20が右方へと移動する場合、ニット用カム機構21Bが先行システムとなり、編目を形成する。またこの場合、第一目移し用カム機構21Aが後行システムとなり、ニット用カム機構21Bによって形成された編目の目移しを行う。なお、この場合、第二目移し用カム機構21Cは目移しを行わない。
【0036】
反対に、キャリッジ20が左方へと移動する場合、ニット用カム機構21Bが先行システムとなり、編目を形成する。またこの場合、第二目移し用カム機構21Cが後行システムとなり、ニット用カム機構21Bによって形成された編目の目移しを行う。なお、この場合、第一目移し用カム機構21Aは目移しを行わない。
【0037】
但し、このような各カム機構21の動作は一例であり、例えば3つのカム機構21を用いて、目移し、編目の形成、目移しを順に行うことも可能である。
【0038】
なお、図5を用いて前側キャリッジ20Fについて説明したが、図6に示すように、後側キャリッジ20Bは前側キャリッジ20Fと概ね前後対称な構成(前側キャリッジ20Fと同様に、第一目移し用カム機構21A等を備える構成)であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、図7を用いて、撮像部22の構成について説明する。
【0040】
図7に示すように、撮像部22は、主として支持部材22a、カメラ22b、中央プリズム22c及び側方プリズム22dを具備する。
【0041】
支持部材22aは、カメラ22b、中央プリズム22c及び側方プリズム22dを支持するものである。支持部材22aは、板状の部材により形成される。支持部材22aは、カメラ22b、中央プリズム22c及び側方プリズム22dを所定の位置で支持できるよう、適宜の形状に形成される。
【0042】
カメラ22bは、画像を取得するための機器である。カメラ22bは、レンズ22eを所定の方向に向けた状態で、支持部材22aに固定される。
【0043】
中央プリズム22cは、2方向からの光をカメラ22bのレンズ22eへと導くものである。中央プリズム22cは、レンズ22eの正面(レンズ22eが向けられた方向)に配置される。中央プリズム22cは、側方(図7(a)における紙面上下方向)からの光を反射して、レンズ22eへと案内する。
【0044】
側方プリズム22dは、所定方向からの光を中央プリズム22cへと導くものである。側方プリズム22dは、中央プリズム22cを挟んで一対(図7(a)における紙面上下方向に一対)設けられる。側方プリズム22dは、それぞれ正面(図7(a)における紙面右方向)からの光を反射して、中央プリズム22cへと案内する。
【0045】
このように構成された撮像部22において、一対の側方プリズム22dの正面からの光が、当該側方プリズム22d及び中央プリズム22cに適宜案内されてカメラ22bのレンズ22eへと入射する。これによって、撮像部22は、1台のカメラ22bで異なる2箇所(2つの側方プリズム22dの正面)の画像を取得することができる。
【0046】
次に、図2及び図6を用いて、撮像部22の配置について説明する。
【0047】
図2及び図6に示すように、撮像部22は、ニードルベッド10の歯口Sの上方に配置される。撮像部22は、前後のキャリッジ20に計4つ設けられる。具体的には、撮像部22は、歯口Sを挟んで前後に2つずつ配置される。撮像部22は、キャリッジ20に対して直接的に、又は間接的に(ブリッジ20aや、その他適宜の部材を介して)固定される。撮像部22を、移動するキャリッジ20に設けることにより、キャリッジ20と共に撮像部22を移動させながら撮像を行うことができるため、例えば単一の撮像部22によって複数個所の撮像を行うことができる。
【0048】
歯口Sの前側に配置された2つの撮像部22に着目すると、当該撮像部22は、前側キャリッジ20Fの上方に配置される。当該撮像部22は、撮像方向(レンズ22e)が後下方を向くように配置される。これによって、当該撮像部22は、後側ニードルベッド10Bの編針11の先端部分(より詳細には、当該編針11に係止された状態の編目)を撮像することができる。
【0049】
このように、後側ニードルベッド10Bの編針11を歯口Sの上方から撮像することで、編目の形状を明確に撮像し易くなる。特に本実施形態のように、後側ニードルベッド10Bの編針11を、対向する前側ニードルベッド10F側から撮像することで、編目の形状をより明確に撮像し易くなり、ひいては後述する編成の不良の検出を精度良く行うことができる。
【0050】
また、歯口Sの前側に配置された2つの撮像部22は、カム機構21の左右方向位置に対応するように配置される。具体的には、当該撮像部22は、図6に示すように、第一目移し用カム機構21A及び第二目移し用カム機構21Cと左右方向において略同一位置となるように配置される。また、各撮像部22の側方プリズム22dが、カム機構21の左右にそれぞれ位置するように配置される。
【0051】
これによって、2つの撮像部22は、図6に示すように、後側ニードルベッド10Bのうち4つの撮像ポイント(後側第一撮像ポイントPB1、後側第二撮像ポイントPB2、後側第三撮像ポイントPB3及び後側第四撮像ポイントPB4)を撮像することができる。
【0052】
後側第一撮像ポイントPB1は、第一目移し用カム機構21Aよりも左方に位置するように設定されている。また、後側第二撮像ポイントPB2は、第一目移し用カム機構21Aよりも右方かつニット用カム機構21Bよりも左方に位置するように設定されている。また、後側第三撮像ポイントPB3は、ニット用カム機構21Bよりも右方かつ第二目移し用カム機構21Cよりも左方に位置するように設定されている。また、後側第四撮像ポイントPB4は、第二目移し用カム機構21Cよりも右方に位置するように設定されている。
【0053】
また、歯口Sの後側に配置された2つの撮像部22については、歯口Sを挟んで前側に配置された撮像部22と前後対称に配置されるため、詳細な説明は省略する。歯口Sの後側に配置された2つの撮像部22は、図6に示すように、前側ニードルベッド10Fのうち4つの撮像ポイント(前側第一撮像ポイントPF1、前側第二撮像ポイントPF2、前側第三撮像ポイントPF3及び前側第四撮像ポイントPF4)を撮像することができる。
【0054】
前側の4つの撮像ポイントPF1~PF4の左右位置についても、後側の4つの撮像ポイントPB1~PB4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
以上のように本実施形態では、4つの撮像部22を用いて、計8つの撮像ポイントを撮像することができる。
【0056】
次に、図8を用いて、照明部23の構成について説明する。
【0057】
図8に示すように、照明部23は、主としてLED23a、集光レンズ23b及びガイド部23cを具備する。
【0058】
LED23aは、電圧が加えられると発光する光源である。LED23aは、所定の方向(図8における紙面右方向)に向かって光を照射することができる。
【0059】
集光レンズ23bは、LED23aから照射される光を集めるためのものである。集光レンズ23bは、LED23aの正面(図8における紙面右方向)に配置される。本実施形態では、集光レンズ23bを2枚配置している。
【0060】
ガイド部23cは、LED23aから照射された光を所定の位置まで案内するものである。ガイド部23cは、透光性を有する材料(アクリル等)により形成される。ガイド部23cは、LED23aからの光の照射方向(図8における紙面左右方向)に沿って延びる長手状に形成される。ガイド部23cの先端面23d(LED23aとは反対側の端面)は、斜めに切りかかれた斜面状に形成される。具体的には、先端面23dは、ガイド部23cの長手方向に垂直な方向に対して、傾斜するように形成されている。
【0061】
このように構成された照明部23において、LED23aから光が照射されると、当該光は集光レンズ23bを介してガイド部23cへと侵入する。ガイド部23cへと侵入した光は、当該ガイド部23cの長手方向に沿って進み、先端面23dからガイド部23cの外部へと照射される。光が先端面23dから照射される際、当該光は、先端面23dの傾斜角度に応じた角度に屈折する。
【0062】
次に、図2及び図6を用いて、照明部23の配置について説明する。
【0063】
図2及び図6に示すように、照明部23は、キャリッジ20に計8つ設けられる。具体的には、照明部23は、歯口Sを挟んで前後に4つずつ配置される。照明部23は、キャリッジ20に対して直接的に、又は間接的に(ブリッジ20aや、その他適宜の部材を介して)固定される。
【0064】
歯口Sの前側に配置された4つの照明部23に着目すると、当該照明部23は、光の照射方向(ガイド部23cの先端面23d)が後下方を向くように配置される。これによって、当該照明部23は、後側ニードルベッド10Bの編針11の先端部分(より詳細には、当該編針11に係止された状態の編目)に対して光を照射することができる。
【0065】
また、歯口Sの前側に配置された4つの照明部23は、それぞれ後側ニードルベッド10Bのうち4つの撮像ポイントPB1~PB4に対して光を照射できるように配置される。
【0066】
また、歯口Sの後側に配置された4つの照明部23については、歯口Sを挟んで前側に配置された照明部23と前後対称に配置されるため、詳細な説明は省略する。歯口Sの後側に配置された4つの照明部23は、図6に示すように、前側ニードルベッド10Fのうち4つの撮像ポイントPF1~PF4に対して光を照射できるように配置される。
【0067】
以下、図9を用いて、撮像部22と照明部23の相対的な位置関係について説明する。
【0068】
図9には、一例として、前側第一撮像ポイントPF1及び前側第二撮像ポイントPF2を撮像する撮像部22、並びに、前側第一撮像ポイントPF1及び前側第二撮像ポイントPF2に対して光を照射する2つの照明部23を示している。
【0069】
図9に示すように、各照明部23は撮像部22の視野の側方に配置され、各撮像ポイントに光を照射する。ここで、上述の如く照明部23の先端面23dは、ガイド部23cから照射される光を屈折するように形成されている。本実施形態では、各撮像ポイント側へと光が屈折するように、各照明部23が配置されている。これによって、照明部23を撮像部22の視野の外側(視野外)に配置することができ、照明部23が撮像部22の撮像を阻害するのを防止することができる。
【0070】
上述の如く構成された横編機1において、制御部60は、撮像部22により撮像された編目の画像に基づいて編目の良否判定を行うことで、編成の不良を検出することができる。以下、制御部60による編成の不良の検出方法について説明する。
【0071】
制御部60は、編地Kの編成中に、キャリッジ20の往復移動と同期して、撮像部22による撮像を行う。具体的には、制御部60は、キャリッジ20の移動によって撮像対象となる編針11が撮像ポイントに到達した際に、当該編針11に係止された編目に向かって照明部23からの光を照射させると共に、撮像部22に当該編目を撮像させる。制御部60は、サーボモータ40の回転数からキャリッジ20の位置を把握することができるため、編目(編針11)の位置に合わせて的確なタイミングで撮像を行うことができる。制御部60は、編成中の全ての編針11(編目)の撮像を行う。またこの際、制御部60は、撮像された編目の位置を記憶する。
【0072】
ここで、例えば図10(a)に示すように、キャリッジ20が右方へと移動する場合には、先行システムであるニット用カム機構21Bにより編目が形成され、後行システムである第一目移し用カム機構21Aにより目移しが行われる。すなわちこの場合、編成に伴う不良が発生する可能性があるのは、ニット用カム機構21Bを通過した後の編針11及び第一目移し用カム機構21Aを通過した後の編針11である。
【0073】
そこで制御部60は、キャリッジ20が右方へと移動する場合には、前側第一撮像ポイントPF1、前側第二撮像ポイントPF2、後側第一撮像ポイントPB1及び後側第二撮像ポイントPB2の、4つの撮像ポイントのみを撮像する。すなわち制御部60は、キャリッジ20が右方へと移動する場合には、左側に配置された2つの撮像部22のみを用いて編目の撮像を行う。
【0074】
反対に、図10(b)に示すように、キャリッジ20が左方へと移動する場合には、先行システムであるニット用カム機構21Bにより編目が形成され、後行システムである第二目移し用カム機構21Cにより目移しが行われる。すなわちこの場合、編成に伴う不良が発生する可能性があるのは、ニット用カム機構21Bを通過した後の編針11及び第二目移し用カム機構21Cを通過した後の編針11である。
【0075】
そこで制御部60は、キャリッジ20が左方へと移動する場合には、前側第三撮像ポイントPF3、前側第四撮像ポイントPF4、後側第三撮像ポイントPB3及び後側第四撮像ポイントPB4の、4つの撮像ポイントのみを撮像する。すなわち制御部60は、キャリッジ20が左方へと移動する場合には、右側に配置された2つの撮像部22のみを用いて編目の撮像を行う。
【0076】
但し、このような撮像部22の制御は一例であり、例えば4つの撮像部22全てを用いて全ての撮像ポイントを撮像することも可能である。この場合、撮像された全ての画像の良否判定を行うのではなく、適宜必要な画像のみ良否判定を行うことで、制御部60による処理の負担の軽減を図ることができる。
【0077】
このようにして制御部60は、図11に示すように、編地Kを編成しながら、各コースの全編目を撮像すると共に、撮像された編目の位置を記憶する。
【0078】
また制御部60は、各コースの編成時に、1つ前のコースの編目の良否判定を行う。以下、編目の良否判定の方法について説明する。
【0079】
図12には、撮像部22によって撮像された編目の画像Pの一例を示している。図12には、前側第一撮像ポイントPF1及び前側第二撮像ポイントPF2を撮像することにより得られた画像Pの例を示している。
【0080】
まず制御部60は、前側第一撮像ポイントPF1及び前側第二撮像ポイントPF2のそれぞれから、良否判定の対象となる編目が示された領域(判定領域R)を抽出する。この際、制御部60は、画像Pの情報に基づいて、適切な判定領域Rを抽出することができる。例えば、画像Pの輝度に基づいて編針11の先端位置を検出し、当該編針11の先端位置に基づいて判定領域Rを抽出することができる。
【0081】
次に、制御部60は、判定領域Rに示された(実際に撮像した)編目の形状と、予め記憶されている正常時の編目の形状と、を比較して、編目の良否を判定する。
【0082】
例えば、制御部60には、正常時の編目の形状が示された画像(正常画像N)が予め記憶されている。なお、正常時の編目の形状は、編目の種類(ニット、ミス、タック等)、編糸Yの種類、隣接する編目(例えば、前コースまでに形成された編目や、左右の編目の種類や有無)等に応じて異なる。そのため、制御部60には、予め種々のパターンの正常画像Nが多数記憶されている。
【0083】
制御部60は、現在編成している編地Kの編成データ、及び撮像された編目の位置に基づいて、上述の編目の種類、編糸Yの種類、隣接する編目等を考慮して、撮像された画像の編針11に係止されているであろう編目形状を判定する。そして制御部60は、記憶されている各種の正常画像Nから良否判定に適した(撮像された編目形状に相当する)正常画像Nを抽出し、編目の良否判定に用いる。
【0084】
制御部60は、判定領域Rの画像と正常画像Nを用いて画像処理を行うことによって、編目の良否判定を行う。例えば制御部60は、判定領域Rの編目の形状と、正常画像Nに示された編目の形状と、の類似度を算出し、類似度がある程度高い(所定の閾値以上である)場合には、判定領域Rの編目が正常であると判定することができる。
【0085】
一方制御部60は、類似度がある程度低い(所定の閾値未満である)場合には、判定領域Rの編目が異常であると判定することができる。編目の異常としては、編糸Yが切れている、編目(ループ)が形成されていない、編目が詰まりすぎている、など種々の状態が想定される。
【0086】
なお、編目の良否判定(編目の形状の比較)は、判定領域Rと正常画像NのRGB値や輝度等を比較して行うことが可能である。また輝度等を用いるのではなく、例えば画像から編目を形成している編糸Yの芯線(編糸Yの中心を通る線)を抽出し、当該芯線の形状と正常時の芯線の形状を比較(類似度を算出)することでも、編目の良否判定を行うことができる。
【0087】
制御部60は、上述のような編目の良否判定を、画像Pの撮像後、速やかに行う。具体的には、制御部60は、図11に示すように、あるコース(例えばNコース)で撮像された画像の良否判定を、次のコース(N+1コース)の編成中に実行する。これによって、編目に不良が発生した場合には、その直後(次のコースの編成中)に当該不良を検出することができる。
【0088】
例えば図11に示すように、N+3コースの編成時に編目に不良が発生した場合、N+4コースの編成中にN+3コースの編目の不良を検出することができる。制御部60は、編目の不良を検出した場合にはキャリッジ20の動作を速やかに停止させ、横編機1による編成を中断することができる。なお、編目の良否判定のタイミングはこれに限るものではなく、例えば、あるコースで撮像された画像の良否判定を、そのコースの編成中にリアルタイムに実行することも可能である。
【0089】
また、制御部60は、不良が検出された位置(編針11の位置)を記憶する。当該位置は、画像Pが取得された際のキャリッジ20の位置に基づいて把握することができる。当該位置を記憶することでこれによって、不良の発生の有無だけでなく、不良の発生箇所を把握することができる。
【0090】
また、制御部60は、不良が検出された(又は、不良が疑われる)位置の編目の画像をモニター等の表示部に映し出して、作業者に確認させることもできる。
【0091】
以上のように、本実施形態では、編針11に係止された状態の編目を撮像し、撮像された画像から不良を検出することができる。すなわち、編地Kの編成中に不良の有無を把握することができるため、編成の不良を早期に検出することができる。これによって、速やかに編成の中断等の対応をとることができ、無駄なコスト(編地Kを編成する横編機1の電力、編糸Y、編成時間等)の発生を抑制することができる。
【0092】
また、編成後の編地Kに対して良否判定を行うのではなく、編針11に係止された状態の個々の編目の形状の良否判定を行うことで、各編目の形状をより正確に確認することができ、ひいては不良を精度良く検出することができる。特に、編地の状態では不良の確認が困難な編地(リブ編地やストレッチヤーンの編地など)の不良も、精度良く検出することができる。
【0093】
なお、本実施形態に係る制御部60は、本発明に係る判定部及び位置記憶部の実施の一形態である。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0095】
例えば、本実施形態においては、編機の一例として横編機1を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の編機(例えば、丸編機、経編機等)に適用することも可能である。すなわち、各種編機の編針に係止された状態の編目を撮像可能な撮像部を設けることで、編成の不良を検出することができる。
【0096】
また、撮像部22により撮像した画像は、編成不良の検出以外の用途にも用いることができる。例えば、一般的に編成された編地Kは巻下げローラ等によって下方へ引き下げられるが、当該巻下げローラの制御(編地Kの引き下げ張力の制御)に用いることもできる。
【0097】
具体的には、巻下げローラの引き下げ張力が弱い場合、歯口Sにおいて編地Kが浮き上がってくる。そこで、撮像部22により撮像した画像から編地Kの浮き上がりの有無を判断し、編地Kが浮き上がっている場合には、巻下げローラの引き下げ張力を増加させる。これによって不良の発生を抑制することができる。また、編地Kの浮き上がりにより明らかに不良が発生していると判断された場合には、横編機1を停止させることもできる。その他、生地盛り等により明らかに不良が発生していると判断された場合にも、横編機1を停止させることもできる。
【0098】
また、本実施形態においては、撮像部22をキャリッジ20に設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、撮像部22の配置は限定するものではない。例えば、キャリッジ20とは別個設けられた移動体(ニードルベッド10の長手方向に沿って移動可能な移動体)に設けることも可能である。例えば、撮像部22を、糸道レール30に沿って移動可能な移動体に設けることも可能である。
【0099】
また、本実施形態においては、撮像部22を移動可能な構成としたが、本発明はこれに限るものではなく、移動できない状態で配置(固定)することも可能である。例えば、歯口Sの上方など、編目を撮像可能な位置に撮像部22を固定することができる。この場合、ニードルベッド10の長手方向全範囲を1台の撮像部22で撮像してもよいし、複数の撮像部22を用いて複数個所に分けて撮像してもよい。
【0100】
また撮像部22を固定する場合、編針11による編目の形成のタイミングに関連付けて、撮像部22により編目を撮像することが望ましい。具体的には、上述の実施形態で述べたように、撮像するタイミングをキャリッジ20の位置と連動させることで、先行システム及び後行システムを通過した後の編針11を撮像することが望ましい。
【0101】
このように撮像部22を固定することで、移動のための機構が不要となるため、構成の簡素化を図ることができる。また、編針11による編目の形成のタイミングに関連付けて編目を撮像することで、適切なタイミング(編成完了後)で編目の画像を取得することができる。
【0102】
また、本実施形態においては、撮像部22をキャリッジ20の上方に配置し、ニードルベッド10の上方から編目を撮像する構成としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば図13(a)に示すように、撮像部22をニードルベッド10の下方に配置し、当該ニードルベッド10の下方から編目を撮像する構成とすることも可能である。
【0103】
また図13(b)に示すように、ニードルベッド10の上方及び下方にそれぞれ撮像部22を配置し、当該ニードルベッド10の上下双方から編目を撮像する構成とすることも可能である。このような構成により、複数の方向から同じ編目を撮像することで、編目の形状をより正確に把握し、不良の検出精度の向上を図ることができる。
【0104】
また、照明部23についても撮像部22と同様に、キャリッジ20以外の移動体に設けることが可能である。また、照明部23を移動できない状態で配置(固定)することも可能である。また、照明部23をニードルベッド10の下方(若しくは、上下双方)に配置して、ニードルベッド10の下方から編目に向けて光を照射することも可能である。また、照明部23をキャリッジ20の外部に設けると共に、キャリッジ20に適宜の反射部材(ミラー等)を設けて、キャリッジ20外から照射された光を所望の撮像箇所に案内することも可能である。
【0105】
また、照明部23により照射される光の種類(色や強さ)は、編糸Yの種類や色に応じて適宜調整することも可能である。
【0106】
また、編目の良否を判定するための正常画像Nとしては、正常な編目を実際に撮像して得られた画像だけでなく、例えば多数の正常な編目の画像を機械学習することによって作成された画像を用いることも可能である。これによって、より妥当な良否判定を行うことが可能となる。またこの場合、横編機1による編成中に撮像部22によって撮像された編目の画像をさらに学習して、正常画像Nを随時更新することも可能である。
【0107】
また、正常画像Nとして、3Dシミュレーションにより得られた編目形状と糸画像を組み合わせて作成された画像を用いることも可能である。
【0108】
また、本実施形態では、編目の形状に基づいて良否判定を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば制御部60は、撮像された編目の種別を判定し、編成データから求められる種別情報と比較して、編目の良否判定を行うことも可能である。また制御部60は、撮像された編目の画像と、正常な編目の画像の類似度を判定することで、編目の良否判定を行うことも可能である。このように制御部60は、撮像された編目と、正常時の編目のあらゆる状態(形状、種別等)を適宜比較することで、編目の良否判定を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態においては、不良が検出された位置を制御部60が記憶する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、編地Kに設けられるRFID(IDタグ)や、編地Kに関する情報を管理するサーバー等に、不良が検出された位置を記憶させることも可能である。
【0110】
また、本実施形態においては、不良が検出された場合、横編機1を速やかに停止させる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、不良が検出されても横編機1を停止させることなく編成を続行し、編地Kの編成完了後に不良箇所を確認することも可能である。また、不良と判断しきれないような良否の判断が困難な編目がある場合には、その位置を制御部60等に記憶させておくことで、編地Kの編成完了後に作業者が目視で確認することもできる。
【0111】
また、本実施形態のような編目の良否判定に加えて、編成された編地Kの良否判定を行うことも可能である。例えば、ニードルベッド10の下方に、本実施形態の撮像部22とは異なる他の撮像部を設けて、編成された編地Kを撮像する。そして、編目の良否判定によって不良が疑われる箇所の編地Kの画像を表示部に映し出して作業者が確認したり、制御部60が自動的に編地Kの良否を判定したりすることが可能である。このように、編目の良否判定と編地Kの良否判定を組み合わせることで、編目の良否判定だけでは判断しきれないような不良を編地Kの画像から検出したり、編地Kの画像でしか検出できないような不良(油スジや汚れ等)を検出したりすることができる。
【0112】
また、本実施形態のように、編目の画像を取得することによって、不良の検出だけでなく、当該不良の原因の特定も可能となる。具体的には、編目の不良が検出された場合、その画像を確認して、不良の原因を特定することができる。例えば、編糸Yが切れている場合には編糸Yのテンションが高すぎる、編目ができていない場合には編針11が破損している等の原因の特定(推定)が可能となる。
【0113】
また、本実施形態においては、前後一対(2枚)のニードルベッド10を設けた例を示したが、ニードルベッド10の個数はこれに限るものではない。例えば、歯口Sの前後において、ニードルベッド10を上下に2枚ずつ(計4枚)設けることも可能である。
【0114】
また、本実施形態において示したカム機構21は一例であり、カム機構21の構成(個数、配置、動作等)は任意に変更することが可能である。また本発明は、カム機構21を備えず、編針を個別のアクチュエータで進退駆動させるキャリッジレスの編機に適用することも可能である。
【0115】
また、本実施形態においては、キャリッジ20の位置をサーボモータ40の回転数に基づいて検出する構成を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、キャリッジ20の位置(ひいては、撮像される編目(編針11)の位置)を検出する適宜のセンサを別途設けることも可能である。
【0116】
また、本実施形態では、横編機1に設けられた制御部60によって各種の制御や不良の検出を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、制御部60の機能の一部又は全部を、横編機1とは別途設けられた制御部(例えば、パーソナルコンピュータ等)で実行することも可能である。例えば、編目の良否判定を、横編機1の外部に設置されたPCにより実行することも可能である。
【0117】
また、本実施形態では、横編機1(横編機1が具備する制御部60)が不良の検出を行う機能を有する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち本発明は、編機だけでなく、編機により編成される編地の不良を検出する不良検出システムに適用することも可能である。例えばこの場合、当該不良検出システムは、編針に係止された状態の編目を撮像可能な撮像部と、撮像部により撮像された編目の形状から良否を判定する判定部と、撮像された編目の位置を記憶する位置記憶部と、を具備するものであればよい。このような不良検出システムは、既存の編機に撮像部を適宜設置することで、当該編機に容易に適用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 横編機
10 ニードルベッド
11 編針
20 キャリッジ
21 カム機構
22 撮像部
23 照明部
60 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13