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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/10 20230101AFI20240904BHJP
   H10B 43/30 20230101ALI20240904BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240904BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240904BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
H10B43/10
H10B43/30
H01L29/78 371
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020120902
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017990
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 勇士
(72)【発明者】
【氏名】林 泰伸
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-186663(JP,A)
【文献】特開2009-170659(JP,A)
【文献】特開2006-287096(JP,A)
【文献】特開2011-014610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/10
H10B 43/30
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体層と、
互いに間隔を空けての前記半導体層の前記主面の表面部に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたプレーナゲート構造であって、平面視において前記ソース領域に対向するソース側壁部、および、平面視において前記ドレイン領域に対向するドレイン側壁部を有し、前記ソース側壁部が、前記ドレイン領域側に窪んだ第1ゲート屈曲部、および、前記第1ゲート屈曲部以外の第1ゲート非屈曲部を有し、かつ前記ドレイン側壁部が、前記ドレイン領域側に窪んだドレイン側ゲート屈曲部、および、前記ドレイン側ゲート屈曲部以外のドレイン側ゲート非屈曲部を有するプレーナゲート構造と、
記第1ゲート屈曲部に沿う第1メモリ屈曲部、および、前記第1ゲート非屈曲部に沿う第1メモリ非屈曲部を有し、前記ソース側壁部に隣接配置されたソース側部分、ならびに、前記ドレイン側ゲート屈曲部に沿うドレイン側屈曲部、および、前記ドレイン側ゲート非屈曲部に沿うドレイン側非屈曲部を有し、前記ドレイン側壁部に隣接配置されたドレイン側部分を有するメモリ構造とを含み、
前記ソース側部分の前記第1メモリ非屈曲部の第1幅が、前記ドレイン側部分の前記ドレイン側非屈曲部の第2幅と同じであり、
前記ソース側部分の前記第1メモリ屈曲部の第3幅が、前記ドレイン側部分の前記ドレイン側屈曲部の第4幅よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
第3幅が、前記第1幅よりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3幅は、前記第1ゲート屈曲部と、前記第1メモリ屈曲部における前記ソース領域側の端部との最短距離であり、
前記第1幅は、前記第1ゲート非屈曲部と、前記第1メモリ非屈曲部における前記ソース領域側の端部との最短距離であり、
前記第2幅は、前記ドレイン側ゲート非屈曲部と、前記ドレイン側非屈曲部における前記ドレイン領域側の端部との最短距離であり、
前記第4幅は、前記ドレイン側ゲート屈曲部と、前記ドレイン側屈曲部における前記ドレイン領域側の端部との最短距離である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ソース側壁部が、平面視において、前記第1メモリ屈曲部を挟んで対向し直線的に延びる第1ソース側辺および第2ソース側辺を有し、
前記第1ゲート屈曲部が、前記第1ソース側辺および前記第2ソース側辺が交差する頂部に設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
主面を有する半導体層と、
互いに間隔を空けての前記半導体層の前記主面の表面部に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたプレーナゲート構造であって、平面視において前記ソース領域に対向するソース側壁部、および、平面視において前記ドレイン領域に対向するドレイン側壁部を有し、前記ソース側壁部が、前記ドレイン領域側に窪んだ第1ゲート屈曲部を有するプレーナゲート構造と、
前記ソース側壁部および前記ドレイン側壁部に隣接配置されたメモリ構造であって、前記第1ゲート屈曲部に沿う第1メモリ屈曲部を有するメモリ構造とを含み、
前記ソース側壁部が、平面視において前記ドレイン領域側に向かって窪む先細りの三角状部を有し、
前記第1ゲート屈曲部が、前記三角状部における前記ドレイン領域側の頂部に設けられている、半導体装置。
【請求項6】
主面を有する半導体層と、
互いに間隔を空けての前記半導体層の前記主面の表面部に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたプレーナゲート構造であって、平面視において前記ソース領域に対向するソース側壁部、および、平面視において前記ドレイン領域に対向するドレイン側壁部を有し、前記ソース側壁部が、前記ドレイン領域側に窪んだ第1ゲート屈曲部を有するプレーナゲート構造と、
前記ソース側壁部および前記ドレイン側壁部に隣接配置されたメモリ構造であって、前記第1ゲート屈曲部に沿う第1メモリ屈曲部を有するメモリ構造とを含み、
前記ソース側壁部が、平面視において前記ドレイン領域側に向かって窪む四角状部を有し、
前記第1ゲート屈曲部が、前記四角状部における前記ドレイン領域側の頂部に設けられている、半導体装置。
【請求項7】
前記ソース領域に電気的に接続されたソースコンタクト電極と、
前記ドレイン領域に電気的に接続されたドレインコンタクト電極とをさらに含み、
前記第1ゲート屈曲部が、前記ソースコンタクト電極および前記ドレインコンタクト電
極の間に位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
主面を有する半導体層と、
互いに間隔を空けての前記半導体層の前記主面の表面部に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたプレーナゲート構造であって、平面視において前記ソース領域に対向するソース側壁部、および、平面視において前記ドレイン領域に対向するドレイン側壁部を有し、前記ソース側壁部が、前記ドレイン領域側に窪んだ第1ゲート屈曲部を有するプレーナゲート構造と、
前記ソース側壁部および前記ドレイン側壁部に隣接配置されたメモリ構造であって、前記第1ゲート屈曲部に沿う第1メモリ屈曲部を有するメモリ構造とを含み、
前記ドレイン側壁部が、前記ソース領域側に窪む第2ゲート屈曲部を有し、
前記メモリ構造が、前記第2ゲート屈曲部に沿う第2メモリ屈曲部を有し、
前記第1ゲート屈曲部の数が前記第2ゲート屈曲部の数よりも多い、半導体装置。
【請求項9】
前記ドレイン側壁部が、前記第2ゲート屈曲部以外の第2ゲート非屈曲部をさらに有し、
前記メモリ構造が、前記第2ゲート非屈曲部に沿う第2メモリ非屈曲部をさらに有し、
前記第2メモリ屈曲部における前記メモリ構造の幅が、前記第2メモリ非屈曲部におけ
る前記メモリ構造の幅よりも大きい、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2メモリ屈曲部における前記メモリ構造の幅は、前記第2ゲート屈曲部と、前記第2メモリ屈曲部における前記第2ゲート屈曲部とは反対側の端部との最短距離であり、
前記第2メモリ非屈曲部における前記メモリ構造の幅は、前記第2ゲート非屈曲部と、
前記第2メモリ非屈曲部における前記第2ゲート非屈曲部とは反対側の端部との最短距離である、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ドレイン側壁部が、平面視において、前記第2メモリ屈曲部を挟んで対向し直線的に延びる第1ドレイン側辺および第2ドレイン側辺を有し、
前記第2ゲート屈曲部が、前記第1ドレイン側辺および前記第2ドレイン側辺が交差する頂部である、請求項8~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型のウェル領域をさらに含み、
前記ソース領域および前記ドレイン領域が、前記ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の不純物領域であり、
前記プレーナゲート構造が、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の第1導電型のチャネル領域に対向し、
前記メモリ構造が、前記チャネル領域上に形成された絶縁膜、および、前記絶縁膜を挟んで前記チャネル領域に対向する電荷蓄積膜を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記プレーナゲート構造が、前記半導体層の前記主面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含む、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記絶縁膜の厚みが、前記ゲート絶縁膜の厚みよりも小さい、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ゲート絶縁膜の側方には、前記半導体層の前記主面を窪ませる窪みが設けられており、
前記絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜に隣接するように前記窪み内において前記半導体層の前記主面上に形成されている、請求項13または14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記電荷蓄積膜が、前記絶縁膜とは異なる絶縁体である、請求項12~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記電荷蓄積膜がSiNからなり、前記絶縁膜がSiOからなる、請求項16に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ構造を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、不揮発性メモリを備える半導体装置を開示する文献として、下記特許文献1がある。特許文献1に開示された半導体装置に備えられたメモリセルでは、pウェル領域の表面部に形成された抵抗変化部上からゲート電極の側壁上にわたって電荷蓄積部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-064295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたメモリセルにおいて、電荷蓄積部に捕獲されるキャリア(電子および正孔)の捕獲量を増大させることで、書き込み前後の閾値電圧や電流能力の変化量を大きくすることが要求されている。
そこで、本発明の一つの目的は、プレーナゲート構造の側方にメモリ構造が隣接配置される構成において、メモリ構造に捕獲されるキャリアの量が増大された半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、主面を有する半導体層と、互いに間隔を空けての前記半導体層の前記主面の表面部に形成されたソース領域およびドレイン領域と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたプレーナゲート構造であって、平面視において前記ソース領域に対向するソース側壁部、および、平面視において前記ドレイン領域に対向するドレイン側壁部を有し、前記ソース側壁部が、前記ドレイン領域側に窪んだ第1ゲート屈曲部を有するプレーナゲート構造と、前記ソース側壁部および前記ドレイン側壁部に隣接配置されたメモリ構造であって、前記第1ゲート屈曲部に沿う第1メモリ屈曲部を有するメモリ構造とを含む、半導体装置を提供する。
【0006】
この装置によれば、メモリ構造が、プレーナゲート構造のソース側壁部およびドレイン側壁部に隣接配置されている。キャリアは、メモリ構造においてソース側壁部に隣接する部分によって主に捕獲される。そのため、メモリ構造においてソース側壁部に隣接する部分に幅広部が設けられていれば、メモリ構造に捕獲されるキャリアの量を増大させることができる。
【0007】
そこで、プレーナゲート構造のソース側壁部がドレイン領域側に窪む第1ゲート屈曲部を有する構成であれば、第1メモリ屈曲部におけるメモリ構造の幅を、第1メモリ屈曲部以外の部分におけるメモリ構造の幅よりも大きくすることができる。すなわち、メモリ構造においてプレーナゲート構造のソース側壁部に隣接する部分に、幅広部を設けることができる。これにより、メモリ構造に捕獲されるキャリアの量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の要部の平面図である。
図2図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図3図3は、図1に示すIII領域の拡大図である。
図4図4は、図1に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図5図5は、図2に示すV領域の拡大図である。
図6A図6Aは、前記半導体装置に備えられるメモリ構造の書き込み動作前の電気回路の状態を説明するための模式図である。
図6B図6Bは、前記メモリ構造の書き込み動作を説明するための模式図である。
図6C図6Cは、前記メモリ構造の消去動作を説明するための模式図である。
図6D図6Dは、前記書き込み動作後の前記メモリ構造の読み出し動作を説明するための模式図である。
図6E図6Eは、前記消去動作後の前記メモリ構造の読み出し動作を説明するための模式図である。
図7図7は、前記書き込み動作後および前記消去動作後におけるゲート電位とドレイン・ソース間電流との関係を示すグラフである。
図8A図8Aは、前記半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図8B図8Bは、図8Aの後の工程を示す断面図である。
図8C図8Cは、図8Bの後の工程を示す断面図である。
図8D図8Dは、図8Cの後の工程を示す断面図である。
図8E図8Eは、図8Dの後の工程を示す断面図である。
図8F図8Fは、図8Eの後の工程を示す断面図である。
図8G図8Gは、図8Fの後の工程を示す断面図である。
図8H図8Hは、図8Gの後の工程を示す断面図である。
図8I図8Iは、図8Hの後の工程を示す断面図である。
図8J図8Jは、図8Iの後の工程を示す断面図である。
図8K図8Kは、図8Jの後の工程を示す断面図である。
図8L図8Lは、図8Kの後の工程を示す断面図である。
図8M図8Mは、図8Lの後の工程を示す断面図である。
図8N図8Nは、図8Mの後の工程を示す断面図である。
図8O図8Oは、図8Nの後の工程を示す断面図である。
図8P図8Pは、図8Oの後の工程を示す断面図である。
図8Q図8Qは、図8Pの後の工程を示す断面図である。
図8R図8Rは、図8Qの後の工程を示す断面図である。
図8S図8Sは、図8Rの後の工程を示す断面図である。
図8T図8Tは、図8Sの後の工程を示す断面図である。
図8U図8Uは、図8Tの後の工程を示す断面図である。
図8V図8Vは、図8Uの後の工程を示す断面図である。
図8W図8Wは、図8Vの後の工程を示す断面図である。
図8X図8Xは、図8Wの後の工程を示す断面図である。
図8Y図8Yは、図8Xの後の工程を示す断面図である。
図9図9は、前記半導体装置の製造方法において、エッチングによって前記メモリ構造が形成される様子を説明するための模式図である。
図10A図10Aは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の要部の平面図である。
図10B図10Bは、図10Aに示すXB領域の拡大図である。
図10C図10Cは、図10Aに示すXC領域の拡大図である。
図11A図11Aは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の要部の平面図である。
図11B図11Bは、図11Aに示すXIB領域の拡大図である。
図12A図12Aは、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の要部の平面図である。
図12B図12Bは、図12Aに示すXIIB領域の拡大図である。
図13A図13Aは、本発明の第5実施形態に係る半導体装置の要部の平面図である。
図13B図13Bは、図13Aに示すXIIIB領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の要部の平面図である。図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。図3は、図1に示すIII領域の拡大図である。図4は、図1に示すIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図2に示すV領域の拡大図である。以下では、図1図5を参照して、半導体装置1の構成について説明する。
【0010】
図1では、後述する被覆絶縁膜51、層間絶縁膜65、ゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72が取り除かれている。半導体装置1は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた不揮発性メモリである。半導体装置1は、半導体層2を含む。半導体層2は、たとえば、Si単結晶からなる。
図2を参照して、半導体層2は、一方側の第1主面3および他方側の第2主面4を有している。半導体装置1は、半導体層2に形成されたp型(第1導電型)のバックゲート領域20を含む。バックゲート領域20は、半導体層2の全体に形成されている。
【0011】
半導体装置1は、MOSFETが形成されたデバイス領域6を区画するトレンチ絶縁構造10を含む。トレンチ絶縁構造10は、トレンチ11および絶縁埋設物12を含む。トレンチ11は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることにより形成されている。
図1を参照して、トレンチ11は、第1主面3および第2主面4の法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角環状に形成され、四角形状のデバイス領域6を区画している。平面視におけるデバイス領域6の一辺が延びる方向を第1方向Xとする。第1方向Xおよび法線方向Zの両方と直交する方向を第2方向Yとする。
【0012】
図2を参照して、トレンチ11は、具体的には、一方側の内側壁13、他方側の外側壁14、ならびに、内側壁13および外側壁14を接続する底壁15を含む。内側壁13は、平面視において四角環状に形成されている。外側壁14は、平面視において内側壁13に対して平行に延びる四角環状に形成されている。外側壁14は、必ずしも内側壁13に対して平行に延びている必要はなく、内側壁13とは異なる形状で形成されていてもよい。底壁15は、第1主面3に対して平行に延びている。底壁15は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0013】
トレンチ11は、この実施形態では、底壁15に向かって開口幅が狭まる先細り形状に形成されている。トレンチ11のテーパ角は、90°を超えて125°以下であってもよい。テーパ角は、90°を超えて100°以下であることが好ましい。トレンチ11のテーパ角は、半導体層2内においてトレンチ11の内側壁13(外側壁14)が第1主面3との間で成す角度である。むろん、トレンチ11は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。
【0014】
トレンチ11の深さは、0.1μm以上1μm以下であってもよい。トレンチ11の幅は、任意である。トレンチ11の幅は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。トレンチ11の幅は、平面視においてトレンチ11が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。
絶縁埋設物12は、トレンチ11に埋設されている。当該絶縁埋設物12を構成する絶縁体は任意である。絶縁埋設物12は、酸化シリコン(SiO)および窒化シリコン(SiN)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。絶縁埋設物12は、この実施形態では、酸化シリコンからなる。
【0015】
絶縁埋設物12は、埋設部17および突出部18を含む。埋設部17は、トレンチ11の開口端16に対してトレンチ11の底壁15側に位置している。突出部18は、底壁15側とは反対側に向けて埋設部17から突出している。
半導体装置1は、デバイス領域6において第1主面3の表面部に形成されたウェル領域21を含む。ウェル領域21は、p型(第1導電型)の不純物領域である。ウェル領域21のp型不純物濃度は、バックゲート領域20のp型不純物濃度を超えている。ウェル領域21のp型不純物濃度は、たとえば、10×1012cm-3以上10×1016cm-3以下である。
【0016】
ウェル領域21の底部は、バックゲート領域20に電気的に接続されている。ウェル領域21は、この実施形態では、トレンチ11よりも深く形成され、当該トレンチ11の底壁15を部分的に被覆している。ウェル領域21は、この実施形態とは異なり、トレンチ11の底壁15に対して第1主面3側の領域に形成され、ウェル領域21とバックゲート領域20との境界が、トレンチ11の底壁15と第1主面3との間に位置していてもよい。
【0017】
半導体装置1は、第2方向Yに互いに間隔を空けて半導体層2の第1主面3の表層部に形成されたソース領域22およびドレイン領域23を含む。ソース領域22およびドレイン領域23は、ウェル領域21の表面部に形成されたn型(第2導電型)の不純物領域である。ソース領域22およびドレイン領域23のn型不純物濃度は、たとえば、10×1016cm-3以上10×1020cm-3以下である。
【0018】
デバイス領域6の表面部においてドレイン領域23とソース領域22との間には、p型(第1導電型)のチャネル領域24が形成されている。チャネル領域24は、ソース領域22とドレイン領域23との間において、第2方向Yに沿う電流経路を形成する。
ソース領域22は、ウェル領域21の底部に対して第1主面3側に位置する底部を有している。ドレイン領域23は、ウェル領域21の底部に対して第1主面3側に位置する底部を有している。
【0019】
ソース領域22の底部は、段差なく平坦である。詳しくは、ソース領域22は、チャネル領域24に接しており、ソース領域22とチャネル領域24との間には、ソース領域22よりもn型不純物濃度が低いソース低濃度領域が設けられていない。図2に示す例とは異なり、ソース領域22の底部に段差が設けられていて、ソース領域22とチャネル領域24との間にはソース低濃度領域が設けられていてもよい。
【0020】
ドレイン領域23の底部は、段差なく平坦である。詳しくは、ドレイン領域23は、チャネル領域24に接しており、ドレイン領域23とチャネル領域24との間には、ドレイン領域23よりもn型不純物濃度が低いドレイン低濃度領域が設けられていない。図2に示す例とは異なり、ドレイン領域23とチャネル領域24との間にはドレイン低濃度領域が設けられていてもよい。
【0021】
半導体装置1は、チャネル領域24に対向するように、デバイス領域6において第1主面3の上に形成されたプレーナゲート構造30を含む。
図1を参照して、プレーナゲート構造30は、平面視において、屈曲部分30Cがデバイス領域6内に位置するように略L字形状に形成されている。詳しくは、プレーナゲート構造30は、第1直線部分30Aと、第1直線部分30Aに接続され、第1直線部分30Aに対して交差する第2直線部分30Bとを含む。
【0022】
第1直線部分30Aと第2直線部分30Bとは直交している。第1直線部分30Aおよび第2直線部分30Bは、いずれも、第1方向Xおよび第2方向Yと異なる方向に延びている。第1直線部分30Aは、第1方向Xに対して45°傾斜して延びている。第1直線部分30Aと第2直線部分30Bとが交わる部分が屈曲部分30Cである。
図1に示す例とは異なり、第1直線部分30Aと第2直線部分30Bとは、互いに直交しておらず、第1直線部分30Aと第2直線部分30Bとが成す角度がたとえば60°であってもよい。
【0023】
プレーナゲート構造30は、デバイス領域6内に位置するソース側壁部37およびドレイン側壁部38を有する。平面視において、ソース側壁部37は、ソース領域22に対向し、ドレイン側壁部38は、ドレイン領域23に対向する。
第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30の端部は、トレンチ絶縁構造10上に達している。図1に示す例とは異なり、第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30の端部が、トレンチ絶縁構造10の外側に位置していてもよい。プレーナゲート構造30の屈曲部分30Cは、ソース領域22およびドレイン領域23の間に位置している。
【0024】
図2を参照して、プレーナゲート構造30は、デバイス領域6において半導体層2上に形成されたゲート絶縁膜31と、ゲート絶縁膜31上に形成されたゲート電極32とを含む。
ゲート絶縁膜31は、半導体層2の酸化物からなる。ゲート絶縁膜31は、具体的には、第1主面3の表面部が酸化されることによって膜状に形成された酸化物からなる。つまり、ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って形成されたシリコン酸化膜(SiO膜)からなる。ゲート絶縁膜31は、さらに具体的には、半導体層2の第1主面3の表面部が熱酸化されることによって膜状に形成された半導体層2の熱酸化物からなる。つまり、ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って形成されたシリコン熱酸化膜(熱酸化膜)からなる。
【0025】
図5を参照して、ゲート絶縁膜31は、7nm以上13nm以下の厚さT1を有していてもよい。ゲート絶縁膜31の厚さT1は、たとえば、10nmであってもよい。ゲート絶縁膜31は、第1主面3に接する第1面31aと、第1面31aに対して半導体層2とは反対側の第2面31bとを有する。第1面31aおよび第2面31bが互いに平行に延びており、ゲート絶縁膜31がほぼ一定の厚みを有していてもよい。第1方向Xにおけるゲート絶縁膜31の両端部は、絶縁埋設物12と接続されている(図4を参照)。
【0026】
第1主面3において、ゲート絶縁膜31の両側方には、第1主面3を第2主面4側に窪ませる窪み33が形成されている。窪み33は、デバイス領域6において、ゲート絶縁膜31と絶縁埋設物12の突出部18との間の全域に形成されていてもよい。
ゲート電極32は、導電性ポリシリコンからなる。ゲート電極32は、ゲート絶縁膜31の上に形成されている。第2方向Yにおけるゲート電極32の幅(ゲート長)は、0.13μm以上0.3μm以下であってもよい。
【0027】
図1および図4を参照して、ゲート電極32は、トレンチ11の開口端16を横切り、絶縁埋設物12上に達している。詳しくは、ゲート電極32は、デバイス領域6においてゲート絶縁膜31を挟んで第1主面3と対向する本体部35と、デバイス領域6よりも外側において絶縁埋設物12に対向する引き出し部36とを含む。
本体部35は、ゲート絶縁膜31上においてゲート絶縁膜31に沿って延びる膜状に形成されている。引き出し部36は、本体部35から絶縁埋設物12の突出部18上に引き出されている。
【0028】
図1を参照して、半導体装置1は、データの書き込み、消去、および読み出しを行うことができるメモリ構造40を含む。メモリ構造40は、ゲート電極32の側壁を被覆するようにプレーナゲート構造30の側方に隣接配置されている。そのため、メモリ構造40は、サイドウォール構造とも呼ばれる。
メモリ構造40は、具体的には、デバイス領域6においてゲート電極32の本体部35の側壁を被覆し、デバイス領域6よりも外側において引き出し部36の側壁を被覆している。
【0029】
メモリ構造40は、プレーナゲート構造30に隣接配置されている。メモリ構造40は、平面視において、プレーナゲート構造30を取り囲む環状である。メモリ構造40は、デバイス領域6内に位置するソース側部分40Aおよびドレイン側部分40Bと、ソース側部分40Aおよびドレイン側部分40Bを連結する一対の連結部分40Cとによって構成されている。
【0030】
ソース側部分40Aは、平面視において、ソース領域22とプレーナゲート構造30との間に位置する部分である。ドレイン側部分40Bは、平面視において、ドレイン領域23とプレーナゲート構造30との間に位置する部分である。各連結部分40Cは、メモリ構造40のうち、絶縁埋設物12上に位置する部分である。
メモリ構造40は、プレーナゲート構造30のソース側壁部37およびドレイン側壁部38に隣接配置されている。詳しくは、メモリ構造40のソース側部分40Aが、ソース側壁部37に隣接配置されており、メモリ構造40のドレイン側部分40Bが、ドレイン側壁部38に隣接配置されている。
【0031】
図3を参照して、屈曲部分30Cにおいて、ドレイン側壁部38が外側壁部であり、ソース側壁部37が内側壁部である。ソース側壁部37は、屈曲部分30Cにおいてドレイン領域23側に窪んだ第1ゲート屈曲部100と、屈曲部分30Cにおいて第1ゲート屈曲部100以外の第1ゲート非屈曲部101とを有する。メモリ構造40のソース側部分40Aは、第1ゲート屈曲部100に沿う第1メモリ屈曲部110と、第1ゲート非屈曲部101に沿う第1メモリ非屈曲部111とを含む。
【0032】
プレーナゲート構造30のソース側壁部37は、平面視において第1メモリ屈曲部110を挟んで対向し直線的に延びる第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bと、第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bが交差する頂部37cとを有する。第1ゲート屈曲部100は、頂部37cに設けられている。第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bがメモリ構造40内において成す角度は、90°以下であることが好ましい。
【0033】
メモリ構造40のソース側部分40Aは、第1ソース側辺37aと平行に延びる第3ソース側辺120と、第2ソース側辺37bと平行に延びる第4ソース側辺121と、第3ソース側辺120および第4ソース側辺121が交差する頂部122とを有する。第1メモリ屈曲部110は、平面視において、ソース側部分40Aの頂部122とソース側壁部37の頂部37cとの間の部分である。
【0034】
ソース側部分40Aの幅W1は、ソース側部分40Aにおけるソース領域22側の端部とソース側壁部37との最短距離である。ソース側部分40Aの幅W1は、第1メモリ屈曲部110と第1メモリ非屈曲部111とで異なる。
第1メモリ屈曲部110におけるソース側部分40Aの幅W1(第1屈曲部幅(第3幅)BW1)は、第1ゲート屈曲部100と、第1メモリ屈曲部110におけるソース領域22側の端部との最短距離である。第1屈曲部幅BW1は、ソース側壁部37の頂部37cと、ソース側部分40Aの頂部122との間の距離である。
【0035】
第1メモリ非屈曲部111におけるソース側部分40Aの幅W1(第1非屈曲部幅(第1幅)NW1)は、第1ゲート非屈曲部101と、第1メモリ非屈曲部111における前記ソース領域22側の端部との最短距離である。第1非屈曲部幅NW1は、ソース側壁部37の第1ソース側辺37aとソース側部分40Aの第3ソース側辺120との間の距離、または、ソース側壁部37の第2ソース側辺37bとソース側部分40Aの第4ソース側辺121との間の距離である。第1屈曲部幅BW1は、第1非屈曲部幅NW1よりも大きい。
【0036】
外側壁部であるドレイン側壁部38は、平面視においてプレーナゲート構造30を挟んで対向し直線的に延びる第1辺130(ドレイン側ゲート非屈曲部)および第2辺(ドレイン側ゲート非屈曲部)131と、第1辺130および第2辺131が交差する頂部(ドレイン側ゲート屈曲部)132とを有している。
ドレイン側部分40Bは、平面視において、第1辺130と平行に延びる第3辺140と、第2辺131と平行に延びる第4辺141と、第3辺140および第4辺141を連結する円弧状の湾曲辺142とを有する。そのため、ドレイン側部分40Bの幅(第2幅、第4幅)W2は、ドレイン側部分40Bの全域においてほぼ一定である。ドレイン側部分40Bの幅W2は、ドレイン側部分40Bにおけるドレイン領域23側の端部とドレイン側壁部38との最短距離である。
【0037】
ドレイン側部分40Bの幅W2は、第1非屈曲部幅NW1と概ね等しく、第1屈曲部幅BW1よりも小さい。すなわち、ドレイン側部分40Bには、幅広部が設けられておらず、ソース側部分40Aには、幅広部としての第1メモリ屈曲部110が設けられている。
図2を参照して、メモリ構造40は、プレーナゲート構造30の側壁に沿う内側面40aと、プレーナゲート構造30側とは反対側に向けて突出するように湾曲する外側面40bとを有する。メモリ構造40は、チャネル領域24上に形成された絶縁膜41と、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24に対向する電荷蓄積膜42と、電荷蓄積膜42上に形成れた絶縁スペーサ43とを含む。
【0038】
絶縁膜41は、半導体層2およびゲート電極32の酸化物からなる。絶縁膜41は、具体的には、半導体層2の表面部およびゲート電極32の側壁が酸化されることによって膜状に形成された酸化物からなる。絶縁膜41は、第1主面3およびゲート電極32の側面に沿って形成されたシリコン酸化膜(SiO膜)からなる。絶縁膜41は、さらに具体的には、半導体層2の表面部およびゲート電極32の側壁が熱酸化されることによって膜状に形成された熱酸化物からなる。つまり、絶縁膜41は、第1主面3およびゲート電極32の側面に沿って形成されたシリコン熱酸化膜からなる。
【0039】
図5を参照して、絶縁膜41は、5nm以上10nm以下の厚さT2を有していてもよい。絶縁膜41の厚さT2は、たとえば、8nmであってもよい。絶縁膜41は、ゲート絶縁膜31よりも薄いことが好ましい(T2<T1)。
絶縁膜41は、半導体層2の第1主面3に接する第1面41aと、第1面41aに対して半導体層2とは反対側に位置する第2面41bと、プレーナゲート構造30の側壁(ゲート電極32の側壁)に接する第3面41cと、第3面41cに対してプレーナゲート構造30とは反対側に位置する第4面41dとを有する。
【0040】
絶縁膜41は、デバイス領域6において半導体層2の第1主面3に沿って延びる第1絶縁部46と、第1絶縁部46に連結されプレーナゲート構造30の側壁に沿って延びる第2絶縁部47とを含む。絶縁膜41は、第1絶縁部46と第2絶縁部47とが直交して連結されることによって、断面視L字状に形成されていてもよい。
第1メモリ屈曲部110における第1絶縁部46の幅は、第1メモリ屈曲部110以外の箇所(ソース側部分40Aの第1メモリ非屈曲部111およびドレイン側部分40B)における第1絶縁部46の幅よりも広い(図3も参照)。
【0041】
図4を参照して、絶縁膜41は、半導体層2およびゲート電極32の酸化物からなるため、絶縁埋設物12上には形成されていない。絶縁膜41が、絶縁埋設物12上には形成されないため、メモリ構造40の連結部分40Cには、第1絶縁部46が設けられていない。
図5を参照して、絶縁膜41は、窪み33内において第1主面3上に形成されており、ゲート絶縁膜31に隣接している。第1絶縁部46は、ゲート絶縁膜31よりも、第2主面4側に位置している。絶縁膜41の第1面41aは、ゲート絶縁膜31の第1面31aよりも第2主面4(図2も参照)側に位置していてもよい。絶縁膜41の第2面41bは、ゲート絶縁膜31の第1面31aと面一に形成されていてもよい。
【0042】
電荷蓄積膜42は、絶縁膜41とは異なる絶縁体からなり、たとえば、窒化シリコン膜(SiN膜)からなる。電荷蓄積膜42は、絶縁膜41に沿って形成されている。電荷蓄積膜42は、10nm以上50nm以下の厚さT3を有していてもよい。電荷蓄積膜42の厚さT3は、たとえば、30nmであってもよい。
電荷蓄積膜42は、平面視において、プレーナゲート構造30を取り囲む環状である。すなわち、電荷蓄積膜42は、第1方向Xにおける電荷蓄積膜42の両端部がデバイス領域6よりも外側に位置する(図4も参照)。図4の例では、第1方向Xにおける電荷蓄積膜42の端部は、絶縁埋設物12上に位置している。
【0043】
電荷蓄積膜42は、絶縁膜41の第1絶縁部46上に形成された第1蓄積部48と、第1蓄積部48に連結され第2絶縁部47の側方に形成された第2蓄積部49とを含む。電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48と第2蓄積部49とが直交して連結されることによって、断面視L字状に形成されていてもよい。
第1メモリ屈曲部110における第1蓄積部48の幅は、第1メモリ屈曲部110以外の箇所(ソース側部分40Aの第1メモリ非屈曲部111およびドレイン側部分40B)における第1蓄積部48の幅よりも広い(図3も参照)。
【0044】
第1蓄積部48は、デバイス領域6よりも外側において、絶縁埋設物12に対向している(図4も参照)。第1蓄積部48は、デバイス領域6内において、絶縁膜41の第1絶縁部46を挟んで半導体層2に対向している。第2蓄積部49は、絶縁膜41の第2絶縁部47を挟んでプレーナゲート構造30に対向している(図4も参照)。
ソース領域22およびドレイン領域23は、メモリ構造40に対して自己整合的に形成されている。そのため、ソース領域22とチャネル領域24との境界は、平面視において、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界とほぼ一致している。同様に、ドレイン領域23とチャネル領域24との境界も、平面視において、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界とほぼ一致している。
【0045】
厳密には、ソース領域22とチャネル領域24との境界は、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界よりも僅かにプレーナゲート構造30側に位置している。同様に、ドレイン領域23とチャネル領域24との境界も、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界よりも僅かにプレーナゲート構造30側に位置している。
そのため、電荷蓄積膜42の第1蓄積部48は、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24と対向する第1対向部48Aと、ソース領域22およびドレイン領域23に対向する第2対向部48Bとを含む。第1対向部48Aは、平面視において、第2対向部48Bよりも大きい。
【0046】
電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48および第2蓄積部49によって形成された凹部50を有する。凹部50は、第1蓄積部48に対して第1絶縁部46とは反対側で、かつ、第2蓄積部49に対して第2絶縁部47とは反対側に設けられている。
絶縁スペーサ43は、凹部50内で電荷蓄積膜42に隣接配置されている。絶縁スペーサ43は、たとえば、シリコン酸化物からなる。絶縁スペーサ43は、電荷蓄積膜42を挟んで絶縁膜41に対向している。
【0047】
半導体装置1は、プレーナゲート構造30およびメモリ構造40を被覆する被覆絶縁膜51をさらに含む。第2方向Yにおける被覆絶縁膜51の両端部は、メモリ構造40よりもプレーナゲート構造30とは反対側に位置する。被覆絶縁膜51は、第1方向Xに延び、第1方向Xにおける被覆絶縁膜51の両端部は、絶縁埋設物12上にまで達している(図4も参照)。そのため、被覆絶縁膜51は、デバイス領域6においてソース領域22およびドレイン領域23を被覆し、デバイス領域6よりも外側で絶縁埋設物12を被覆している。
【0048】
詳しくは、被覆絶縁膜51は、ゲート電極32を被覆する第1被覆部52と、メモリ構造40の外側面40bを被覆する第2被覆部53と、デバイス領域6においてソース領域22およびドレイン領域23を被覆する第3被覆部54と、デバイス領域6よりも外側において絶縁埋設物12の突出部18を被覆する第4被覆部55(図4を参照)とを一体的に有する。
【0049】
第3被覆部54は、メモリ構造40のソース側部分40Aの側方でソース領域22を被覆し、ドレイン側部分40Bの側方でドレイン領域23を被覆する。第4被覆部55は、メモリ構造40の連結部分40Cの側方において、絶縁埋設物12を被覆する(図4を参照)。第1被覆部52においてゲート電極32を挟んでトレンチ絶縁構造10と対向する領域には、貫通孔52Aが形成されている(図4を参照)。
【0050】
図2および図4を参照して、半導体装置1は、ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62を含む。
図4を参照して、ゲートシリサイド膜60は、ゲート電極32の表面において貫通孔52Aの底部を構成する部分に形成されている。ゲートシリサイド膜60は、当該ゲート電極32と一体的に形成されたポリサイド膜からなる。
【0051】
図2を参照して、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、半導体層2と一体的に形成されたシリサイド膜からなる。ソースシリサイド膜61は、ソース領域22の表面部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。ドレインシリサイド膜62は、ドレイン領域23の表面部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。
【0052】
ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、TiSi、TiSi、NiSi、CoSi、CoSi、MoSiおよびWSiのうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでいてもよい。
半導体装置1は、第1主面3を被覆する層間絶縁膜65を含む。層間絶縁膜65は、酸化膜(SiO膜)および窒化膜(SiN膜)のうちの少なくとも1つを含む。層間絶縁膜65は、酸化膜または窒化膜からなる単層構造を有していてもよい。層間絶縁膜65は、1つまたは複数の酸化膜、および、1つまたは複数の窒化膜が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。層間絶縁膜65は、第1主面3の上においてトレンチ絶縁構造10、およびデバイス領域6を被覆している。
【0053】
図2および図4を参照して、半導体装置1は、層間絶縁膜65を貫通するゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68を含む。
図4を参照して、ゲートコンタクト電極66は、ゲートシリサイド膜60を介してゲート電極32に電気的に接続されている。ゲートコンタクト電極66は、具体的には、ゲート電極32に電気的に接続され、当該ゲート電極32を挟んで絶縁埋設物12に対向している。
【0054】
この実施形態とは異なり、ゲート電極32が絶縁埋設物12よりも外側まで延びている場合、ゲートコンタクト電極66が絶縁埋設物12よりも外側で半導体層2に対向していてもよい。
図2を参照して、ソースコンタクト電極67は、ソースシリサイド膜61を介してソース領域22に電気的に接続されている。ドレインコンタクト電極68は、ドレインシリサイド膜62を介してドレイン領域23に電気的に接続されている。平面視において、ソースコンタクト電極67とドレインコンタクト電極68との間には、屈曲部分30Cが位置している(図1参照)。第1ゲート屈曲部100(図3を参照)は、屈曲部分30Cに設けられているため、第1ゲート屈曲部100(図3を参照)も、平面視において、ソースコンタクト電極67とドレインコンタクト電極68との間に位置している。
【0055】
図2および図4を参照して、ゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68は、層間絶縁膜65に形成されたコンタクトホール69に埋設されている。各コンタクト電極(ゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68)は、銅およびタングステンの少なくともいずれかによって形成されている。
【0056】
各コンタクト電極とコンタクトホール69の内壁との間には、バリア電極膜(図示せず)が設けられていてもよい。バリア電極膜は、Ti膜またはTiN膜からなる単層構造を有していてもよい。バリア電極膜は、任意の順序で積層されたTi膜およびTiN膜を含む積層構造を有していてもよい。
半導体装置1は、層間絶縁膜65の上に形成されたゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72を含む。ゲート配線70は、ゲートコンタクト電極66に電気的に接続されている。ソース配線71は、ソースコンタクト電極67に電気的に接続されている。ドレイン配線72は、ドレインコンタクト電極68に電気的に接続されている。
【0057】
各配線(ゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72)は、Al膜、AlSiCu合金膜、AlSi合金膜およびAlCu合金膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
各配線と層間絶縁膜65との間には、バリア配線膜(図示せず)が設けられていてもよい。バリア配線膜は、Ti膜またはTiN膜からなる単層構造を有していてもよい。バリア配線膜は、任意の順序で積層されたTi膜およびTiN膜を含む積層構造を有していてもよい。バリア配線膜は、各配線上にも設けられていてもよい。
【0058】
次に、図6A図7を用いて、メモリ構造40の各動作(書き込み動作、消去動作、および読み出し動作)について具体的に説明する。いずれの動作においても、ウェル領域21に接続されるバックゲート領域20には、基準電位が印加されている。
図6Aは、メモリ構造40の書き込み動作前の初期状態を説明するための模式図である。図6Bは、メモリ構造40の書き込み動作を説明するための模式図である。
【0059】
図6Aに示すように、ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に電位が印加される前のゲート閾値電圧Vthを第1閾値電圧Vth1(初期閾値電圧)とする。ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に電位が印加される前の状態とは、ゲート電位Vg、ソース電位Vs、およびドレイン電位Vdがいずれも0Vである状態を意味する(Vg=Vs=Vd=0V)。ゲート電位Vgは、ゲート電極32に印加される電位である。ソース電位Vsは、ソース領域22に印加される電位である。ドレイン電位Vdは、ドレイン領域23に印加される電位である。
【0060】
図6Bに示すように、書き込み動作は、ソース領域22の近傍において衝突電離によって発生した電子(ホットエレクトロンHE)を電荷蓄積膜42に注入することによって達成される。
詳しくは、書き込み動作の際、ゲート電極32およびソース領域22に正電位(たとえば、5V)が印加され(Vg=Vs=5V)、ドレイン領域23に基準電位が印加される(Vd=0V)。これにより、ソース領域22からドレイン領域23に向けてドレイン・ソース間電流Idsが流れ、ソース領域22の近傍に電界が集中する。そのため、ソース領域22の近傍において衝突電離によってホットエレクトロンHEが発生する。ホットエレクトロンHEは、メモリ構造40の電荷蓄積膜42(図5を参照)に注入される。
【0061】
書き込み動作におけるゲート電位Vgおよびソース電位Vsは、5Vに限られず、たとえば、5V以上7V以下の範囲から選択された任意の電位であってもよい。
ソース領域22とゲート電極32との電位差をゲート・ソース間電圧Vgsという。たとえば、ゲート電位Vgが5Vで、ソース電位Vsが5Vの場合、ゲート・ソース間電圧Vgsは、0Vである(Vgs=0V)。
【0062】
書き込み動作によって電荷蓄積膜42に注入された電子の負電荷により、ゲート閾値電圧Vthが上昇する。具体的には、ゲート閾値電圧Vthは、第1閾値電圧Vth1よりも高い第2閾値電圧Vth2(後述する図6Dを参照)となる(Vth=Vth2,Vth2>Vth1)。
図6Cは、メモリ構造40の消去動作について説明するための模式図である。図6Cに示すように、消去動作は、バンド間トンネリング現象によって発生した正孔(ホットホールHH)を電荷蓄積膜42に注入することによって達成される。
【0063】
詳しくは、消去動作の際、ゲート電極32に負電位(たとえば-5V)が印加され(Vg=-5V)、ソース領域22に正電位(たとえば、5V)が印加され(Vs=5V)、ドレイン領域23が開放(オープン)される。つまり、ソース領域22およびゲート電極32の間に高電圧が印加されている。これにより、ウェル領域21を介して、ソース領域22からバックゲート領域20にソース・バックゲート間電流Isbが流れる。
【0064】
そのため、ウェル領域21とソース領域22との境界付近において、バンド間トンネリング現象によってホットホールHHが発生する。ホットホールHHは、メモリ構造40の電荷蓄積膜42(図2を参照)に注入される。
消去動作におけるゲート電位Vgは、-5Vに限られず、たとえば-7V以上-3V以下の範囲から任意に選択された電位であってもよい。消去動作におけるソース電位Vsは、5Vに限られず、5V以上7V以下の範囲から任意選択された電位であってもよい。
【0065】
消去動作において、ゲート電位Vgが-5Vで、ソース電位Vsが5Vの場合、ゲート・ソース間電圧Vgsは、10Vである(Vgs=10V)。たとえば、絶縁膜41の厚さT2が8nmであり、ゲート絶縁膜の厚さT1が10nmである場合、絶縁膜41は、ゲート絶縁膜31と比較して薄い。そのため、絶縁膜41の厚さとゲート絶縁膜31の厚さとが同じである構成と比較して、ゲート・ソース間電圧Vgsが効率良く電荷蓄積膜42に分圧される。そのため、ソース領域22の近傍に電界を集中させやすく、ホットホールHHを発生させやすい。
【0066】
消去動作によって電荷蓄積膜42に注入された正孔の正電荷により、ゲート閾値電圧Vthが下降する。具体的には、ゲート閾値電圧Vthは、第2閾値電圧Vth2から第1閾値電圧Vth1(後述する図6E参照)に戻る(Vth=Vth1)。
次に、メモリ構造40の読み出し動作について説明する。図6Dは、書き込み動作後の読み出し動作を説明するための模式図である。図6Eは、消去動作後(つまり、初期状態)の読み出し動作を説明するための模式図である。図7は、書き込み動作後および消去動作後のゲート電位Vgとドレイン・ソース間電流Idsとの関係を示すグラフである。
【0067】
読み出し動作時には、書き込み動作とは逆方向にドレイン・ソース間電流Idsが流れる。ドレイン・ソース間電流Idsの大きさによって、メモリ構造40にデータが書き込まれているか否かが判別される。具体的には、書き込み動作後および消去動作後のいずれにおいても、読み出し動作では、ゲート電極32に正電位(たとえば、1.5V)が印加され、ドレイン領域23に正電位(たとえば、0.5V)が印加され、ソース領域22に基準電位が印加される(Vs=0V)。
【0068】
ゲート電位Vgが1.5Vであり、ドレイン電位Vdが0.5Vである場合、ドレイン領域23とゲート電極32との電位差(ドレイン・ゲート間電圧Vdg)は、1.0Vである(Vg=1.5V,Vd=0.5V,Vdg=1.0V)。
書き込み動作後のゲート閾値電圧Vth(第2閾値電圧Vth2)は、消去動作後のゲート閾値電圧(第1閾値電圧Vth1)よりも大きい。そのため、図7に示すように、読み出し時にゲート電位Vgが所定の読み出し電位Vrのとき(Vg=Vr)、書き込み動作後の読み出し動作におけるドレイン・ソース間電流Ids2は、消去動作後の読み出し動作におけるドレイン・ソース間電流Ids1よりも小さい。この電流差ΔI(ΔI=Ids1-Ids2)によって、メモリ構造40にデータが書き込まれた状態であるか否かについての判定を行うことができる。
【0069】
第1閾値電圧Vth1は、たとえば、0.7V以上2.0V以下であり、第2閾値電圧Vth2は、第1閾値電圧Vth1に電位がプラスされた電圧である。たとえば、第1閾値電圧Vth1が1.0Vの場合、第2閾値電圧Vth2は、それ以上の電圧(1.2V以上5V以下)となる。読み出し電位Vrは、たとえば、1.5V以上5.0V以下である。
【0070】
第1実施形態では、ソース領域22の底部およびドレイン領域23の底部は、それぞれ、段差なく平坦であり、ソース領域22およびドレイン領域23に低濃度領域(ソース低濃度領域およびドレイン低濃度領域)が設けられていない。そのため、電荷蓄積膜42が、チャネル領域24に対向する。そのため、ホットキャリアが発生しやすい。これにより、書き込み動作時に、ホットエレクトロンHEを電荷蓄積膜42に注入させることができ、消去動作時に、ホットホールHHを電荷蓄積膜42に引き込むことができる。したがって、メモリ構造40へのデータの書き込みおよびメモリ構造40からのデータの消去を効率的に繰り返して行うことができる。
【0071】
また、絶縁膜41をゲート絶縁膜31よりも薄くすることによって、ゲート・ソース間電圧Vgsを効率良く電荷蓄積膜42に分圧させることができる。そのため、電荷蓄積膜42へホットホールHHを引き込みやすくすることができる。
また、この実施形態では、被覆絶縁膜51によってメモリ構造40が覆われている。そのため、メモリ構造40のシリサイド化を防ぐことができる。
【0072】
また、第1実施形態では、被覆絶縁膜51が、メモリ構造40の側方においてソース領域22およびドレイン領域23を部分的に被覆している。そして、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、それぞれ、ソース領域22およびドレイン領域23の表面部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。そのため、被覆絶縁膜51がソース領域22およびドレイン領域23を被覆していない構成と比較して、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62を、電荷蓄積膜42から遠ざけることができる。これにより、電荷蓄積膜42から電子が流出することを抑制できる。
【0073】
また、この第1実施形態では、電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48に対してプレーナゲート構造30とは反対側で、かつ、第2蓄積部49に対して半導体層2とは反対側に凹部50を有し、絶縁スペーサ43は、凹部50に配置されている。そのため、電荷蓄積膜42は、絶縁膜41および絶縁スペーサ43、すなわち絶縁体によって囲まれている。そのため、ゲート・ソース間電圧Vgsを電荷蓄積膜42に効率良く分圧させることができる。
【0074】
図8A図8Yは、図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。図8A図8Yは、図2に対応した領域の断面図である。図8A図8Yでは、MOSFETが形成されるデバイス領域6の製造方法のみを示している。
まず、図8Aを参照して、半導体ウエハ75が用意される。半導体ウエハ75は、半導体層2のベースとなる。半導体ウエハ75は、一方側の第1ウエハ主面76、および他方側の第2ウエハ主面77を有する。第1ウエハ主面76および第2ウエハ主面77は、半導体層2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している(図2を参照)。
【0075】
次に、所定パターンを有するレジストマスク80が、半導体ウエハ75上に形成される。レジストマスク80は、半導体ウエハ75においてトレンチ11を形成すべき領域を露出させ、それ以外の領域を被覆している。
次に、図8Bに示すように、レジストマスク80を介するエッチング法によって、第1ウエハ主面76の不要な部分が、除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)であることが好ましい。
【0076】
これにより、デバイス領域6を区画するトレンチ11が、第1ウエハ主面76に形成される。レジストマスク80は、その後、除去される。トレンチ11の具体的な説明については前述の通りであるので省略する。
次に、図8Cを参照して、絶縁埋設物12のベースとなるベース絶縁膜81が、第1ウエハ主面76の上に形成される。ベース絶縁膜81は、この実施形態では、酸化シリコンからなる。ベース絶縁膜81は、CVD法によって形成されてもよい。ベース絶縁膜81は、トレンチ11を埋める。
【0077】
次に、図8Dを参照して、ベース絶縁膜81の不要な部分が、エッチング法によって除去される。ベース絶縁膜81は、第1ウエハ主面76が露出するまで除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、トレンチ11内に位置する絶縁埋設物12が形成される。
【0078】
次に、図8Eを参照して、デバイス領域6において第1ウエハ主面76の表面部に、ゲート絶縁膜31(図2を参照)のベースとなる第1ベース膜82が形成される。第1ベース膜82は、半導体ウエハ75の酸化物からなる。第1ベース膜82は、酸化処理法によって第1ウエハ主面76の表面部を膜状に酸化させることによって形成される。第1ベース膜82は、具体的には、熱酸化処理法によって形成される。
【0079】
酸化処理法(熱酸化処理法)によれば、第1ウエハ主面76に沿うシリコン酸化膜(シリコン熱酸化膜)が形成される。第1ベース膜82の厚さは、ゲート絶縁膜31の厚さT1(図5を参照)と同じ、すなわち、7nm以上13nm以下であってもよい。第1ベース膜82は、絶縁埋設物12と一体を成す。
次に、図8Fを参照して、p型のウェル領域21が、デバイス領域6において第1ウエハ主面76の表面部に形成される。ゲート絶縁膜31を介するイオン注入法によってp型不純物を第1ウエハ主面76の表面部に導入することにより、ウェル領域21が形成される。ウェル領域21が形成されることによって、半導体ウエハ75においてウェル領域21よりもp型不純物濃度が低い領域がバックゲート領域20となる。
【0080】
第1ウエハ主面76へのp型不純物の導入は、任意のタイミングで行われてもよい。たとえば、第1ウエハ主面76へのp型不純物の導入は、ゲート絶縁膜31が第1ウエハ主面76に形成される前に行われてもよい。その場合、第1ウエハ主面76に犠牲酸化膜を形成し、犠牲酸化膜を介して、p型不純物が第1ウエハ主面76に導入されてもよい。そして、犠牲酸化膜が除去された後に、ゲート絶縁膜31が形成される。
【0081】
次に、図8Gを参照して、ゲート電極32が、第1ベース膜82および絶縁埋設物12を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。ゲート電極32は、この形態では、導電性ポリシリコンからなる。ゲート電極32は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、図8Hを参照して、所定パターンを有するレジストマスク87が、ゲート電極32上に形成される。レジストマスク87は、ゲート電極32の不要な部分を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク87を介するエッチング法によって、ゲート電極32の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。ウエットエッチングは、たとえば、HF(フッ酸)の供給によって行われてもよい。これにより、ゲート電極32が形成される。その後、図8Iに示すように、レジストマスク87は、除去される。
【0082】
次に、図8Jを参照して、エッチング法によって、第1ベース膜82が部分的に除去されてゲート絶縁膜31が形成される。これにより、プレーナゲート構造30が形成される。第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31の側方において、第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側に後退する。第1ウエハ主面76の後退によって、プレーナゲート構造30の側方に、第1ウエハ主面76を第2ウエハ主面77側に窪ませる第1窪み78が形成される。このように、第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31が形成されるとともに第1窪み78が形成される。第1ウエハ主面76の後退によって、絶縁埋設物12の一部がトレンチ11から突出する。
【0083】
エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31およびゲート電極32を含むプレーナゲート構造30が形成される。
次に、図8Kを参照して、絶縁膜41(図2を参照)のベースとなる第2ベース膜83が、第1窪み78内における第1ウエハ主面76の表面部と、ゲート電極32の表面部とに形成される。第2ベース膜83は、半導体ウエハ75およびゲート電極32の酸化物からなる。第2ベース膜83は、酸化処理法によって、デバイス領域6における半導体ウエハ75の表面部と、ゲート電極32の表面部とを膜状に酸化させることによって形成される。第2ベース膜83は、具体的には、熱酸化処理法によって形成される。
【0084】
酸化処理法(熱酸化処理法)によれば、第1ウエハ主面76およびゲート電極32に沿うシリコン酸化膜(シリコン熱酸化膜)が形成される。第2ベース膜83の厚さは、絶縁膜41の厚さT2(図5を参照)と同じ、すなわち、5nm以上10nm以下あってもよい。
次に、図8Lを参照して、電荷蓄積膜42のベースとなる第3ベース膜84が、第2ベース膜83および絶縁埋設物12を被覆するように第1ウエハ主面76上に形成される。第3ベース膜84は、この形態では、窒化シリコンからなる。第3ベース膜84は、CVD法によって形成されてもよい。第3ベース膜84の厚さは、電荷蓄積膜42の厚さT3(図5を参照)と同じ、すなわち、10nm以上50nm以下であってもよい。
【0085】
次に、図8Mを参照して、絶縁スペーサ43(図2を参照)のベースとなる第4ベース膜85が、第3ベース膜84を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。第4ベース膜85は、この形態では、酸化シリコンからなる。第4ベース膜85は、CVD法によって形成されてもよい。第2ベース膜83、第3ベース膜84および第4ベース膜85を、まとめてメモリベース膜86という。
【0086】
次に、図8Nを参照して、ドライエッチング(たとえば、RIE法)によって、プレーナゲート構造30の側壁部を被覆する部分を残存させるように、メモリベース膜86が部分的に除去される。詳しくは、メモリベース膜86がエッチングされる際、デバイス領域6の全域において、メモリベース膜86は徐々に薄くなる。やがて、メモリベース膜86においてプレーナゲート構造30に隣接する部分以外が消失し、メモリベース膜86においてプレーナゲート構造30に隣接する部分が残留する。これにより、絶縁膜41、電荷蓄積膜42、および絶縁スペーサ43からなるメモリ構造40が形成される。つまり、メモリ構造40が、プレーナゲート構造30に対して自己整合的に形成される。
【0087】
第2ベース膜83の部分的な除去によって、メモリ構造40の側方において、第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側にさらに後退する。第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側に後退することによって、第1窪み78よりも深い第2窪み79がプレーナゲート構造30の側方に形成される。絶縁膜41は、第2窪み79内で第1ウエハ主面76上に配置されている。第2窪み79は、窪み33(図5を参照)に対応する。第1ウエハ主面76の後退によって、トレンチ11からの絶縁埋設物12の突出量が増大する。
【0088】
次に、図8Oを参照して、n型のドレイン領域23およびn型のソース領域22が、ウェル領域21の表面部に形成される。詳しくは、ソース領域22は、メモリ構造40をマスクとするイオン注入法によってn型不純物をウェル領域21の表面部に導入することによって、メモリ構造40の一方側においてウェル領域21の表面部に形成される。ドレイン領域23は、メモリ構造40をマスクとするイオン注入法によってn型不純物をウェル領域21の表面部に導入することによって、メモリ構造40の他方側においてウェル領域21の表面部に形成される。つまり、ドレイン領域23およびソース領域22は、それぞれ、メモリ構造40に対して自己整合的に形成される。
【0089】
次に、図8Pを参照して、被覆絶縁膜51が、デバイス領域6および絶縁埋設物12上に形成される。被覆絶縁膜51は、この形態では、酸化シリコンからなる。被覆絶縁膜51は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、図8Qを参照して、所定パターンを有するレジストマスク89が、被覆絶縁膜51の上に形成される。レジストマスク89は、被覆絶縁膜51の不要な部分を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク89を介するエッチング法によって、被覆絶縁膜51の不要な部分が除去される。
【0090】
具体的には、図8Rに示すように、被覆絶縁膜51において、プレーナゲート構造30およびメモリ構造40を被覆する部分と、メモリ構造40の側方においてデバイス領域6を被覆する部分とが残存する。その際、被覆絶縁膜51において、デバイス領域6の外側においてゲート電極32を被覆する部分は除去されて、貫通孔52A(図4を参照)が形成される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。その後、レジストマスク89は、除去される。
【0091】
次に、図8Sを参照して、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62が形成される。この工程では、まず、デバイス領域6において第1ウエハ主面76およびゲート電極32を被覆する金属膜88が形成される。金属膜88は、Ti、Ni、Co、MoおよびWのうちの少なくとも1つを含む。金属膜88は、スパッタ法または蒸着法によって形成されてもよい。
【0092】
次に、ゲート電極32および第1ウエハ主面76において金属膜88と接する部分が、シリサイド化される。シリサイド化は、アニール法(たとえばRTA(rapid thermal anneal)法)によって行われてもよい。これにより、TiSi、TiSi、NiSi、CoSi、CoSi、MoSiおよびWSiのうちの少なくとも1つをそれぞれ含むドレインシリサイド膜62およびソースシリサイド膜61が形成される。ドレインシリサイド膜62およびソースシリサイド膜61が形成される際、ゲートシリサイド膜60(図4を参照)も形成される。金属膜88は、その後、除去される。
【0093】
次に、図8Tを参照して、層間絶縁膜65が、第1ウエハ主面76の上に形成される。層間絶縁膜65は、酸化膜および窒化膜のうちの少なくとも1つを含む。層間絶縁膜65は、CVD法によって形成されてもよい。層間絶縁膜65は、第1ウエハ主面76の上においてトレンチ絶縁構造10およびプレーナゲート構造30を被覆している。
次に、図8Uを参照して、所定パターンを有するレジストマスク93が、層間絶縁膜65の上に形成される。レジストマスク93は、層間絶縁膜65において複数のコンタクトホール69を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク93を介するエッチング法によって、層間絶縁膜65の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、複数のコンタクトホール69が、層間絶縁膜65に形成される。複数のコンタクトホール69は、それぞれ、ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に対応する位置に形成される。ゲート電極32に対応するコンタクトホール69は、被覆絶縁膜51を貫通する貫通孔52Aと連通している。レジストマスク93は、その後、除去される。
【0094】
次に、図8Vを参照して、ゲートコンタクト電極66、ドレインコンタクト電極68およびソースコンタクト電極67のベースとなるベースコンタクト電極膜90が、複数のコンタクトホール69を埋めて層間絶縁膜65の上に形成される。ベースコンタクト電極膜90は、スパッタ法または蒸着法により、それぞれ形成されてもよい。
次に、図8Wを参照して、ベースコンタクト電極膜90の不要な部分が、エッチング法によって除去される。ベースコンタクト電極膜90は、層間絶縁膜65が露出するまで除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、ゲートコンタクト電極66(図4を参照)、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68が形成される。
【0095】
次に、図8Xを参照して、ゲート配線70(図4を参照)、ソース配線71およびドレイン配線72のベースとなるベース配線膜91が、層間絶縁膜65の上に形成される。ベース配線膜91は、スパッタ法または蒸着法により、形成されてもよい。
次に、図8Yを参照して、所定パターンを有するレジストマスク92が、ベース配線膜91の上に形成される。レジストマスク92は、層間絶縁膜65においてゲート配線70、ドレイン配線72およびソース配線71を形成すべき領域を被覆し、そられ以外の領域を露出させている。
【0096】
次に、レジストマスク92を介するエッチング法によって、ベース配線膜91の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、ゲート配線70(図4を参照)、ソース配線71およびドレイン配線72が、層間絶縁膜65の上に形成される。レジストマスク92は、その後、除去される。その後、半導体ウエハ75が切断され、複数の半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0097】
この製造方法によれば、メモリ構造40が、レジストマスクを用いることなく自己整合的に形成される。そのため、レジストマスクを用いてメモリ構造を形成する方法と比較して、メモリ構造40の形成の効率化を図れる。
第1実施形態とは異なり、プレーナゲート構造が平面視において直線状に形成されている構成において、メモリ構造に捕獲されるキャリアの量を増大させるためには、メモリ構造の幅を大きくする必要がある。メモリ構造の幅を大きくするには、電荷蓄積膜および酸化膜の厚さを増大させる必要があるため、上述した製造方法によって幅広のメモリ構造を形成することは困難である。
【0098】
第1実施形態によれば、プレーナゲート構造30のソース側壁部37がドレイン領域23側に窪む第1ゲート屈曲部100を有する。そのため、自己整合的にメモリ構造40を形成することによって、第1非屈曲部幅NW1およびドレイン側部分40Bの幅W2よりも、第1屈曲部幅BW1を大きくすることができる。すなわち、メモリ構造40においてプレーナゲート構造30のソース側壁部37に隣接する部分に、幅広部(第1メモリ屈曲部110)を設けることができる。
【0099】
したがって、自己整合的にメモリ構造40を形成しつつ、メモリ構造40に捕獲されるキャリアの量を増大させることができる。
図9は、半導体装置1の製造方法において、ドライエッチングによってメモリ構造40が形成される様子を説明するための模式図である。
メモリベース膜86がエッチングされる際、半導体ウエハ75の第1ウエハ主面76が露出する露出領域A1が、プレーナゲート構造30の両側方に形成される。
【0100】
その後、エッチングが進行するにつれて、露出領域A1がプレーナゲート構造30に向かって拡大し、第1ウエハ主面76においてメモリベース膜86によって被覆される被覆領域A2が縮小される。具体的には、プレーナゲート構造30の両側方において、被覆領域A2と露出領域A1との境界95が、プレーナゲート構造30に近づく。
被覆領域A2と露出領域A1との境界95は、プレーナゲート構造30の第1直線部分30Aおよび第2直線部分30Bのそれぞれと平行に延びる一対の直線部96と、一対の直線部96同士を連結する湾曲状の連結部97とを有する。
【0101】
プレーナゲート構造30の一方側の被覆領域A2は、平面視において、プレーナゲート構造30の第1直線部分30Aおよび第2直線部分30Bによって挟まれている。そのため、エッチングが進行するにつれて、被覆領域A2と露出領域A1との境界95の連結部97の曲率は小さくなる。エッチングの終了後には連結部97がなくなり一対の直線部96が交差する頂部98が形成される。
【0102】
プレーナゲート構造30の他方側の被覆領域A2は、平面視においてプレーナゲート構造30の第1直線部分30Aおよび第2直線部分30Bによって挟まれていない。そのため、エッチングの終了後においても、被覆領域A2と露出領域A1との境界95の連結部97は維持される。
このように、プレーナゲート構造30のソース側壁部37に第1ゲート屈曲部100を設けることによって、メモリ構造40のソース側部分40Aに幅広部としての第1メモリ屈曲部110を自己整合的に形成することができる。
【0103】
<第2実施形態>
図10Aは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置1Pの要部の平面図である。図10Bは、図10Aに示すXB領域の拡大図である。図10Cは、図10Aに示すXC域の拡大図である。図10A図10Cにおいて、前述の図1図9に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0104】
第2実施形態に係る半導体装置1Pが、第1実施形態に係る半導体装置1と主に異なる点は、第2実施形態に係るプレーナゲート構造30Pが、平面視において、ジグザグ状に形成されている点である。
第2実施形態に係る半導体装置1Pは、それぞれ、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の断面形状(図2図4および図5を参照)を有するため、詳しい説明を省略する。第2実施形態に係るプレーナゲート構造30Pおよびメモリ構造40Pは、それぞれ、第1実施形態に係るプレーナゲート構造30およびメモリ構造40と同様の構成を有する。第2実施形態に係る半導体装置1Pは、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の製造方法で製造することができるため、詳しい説明を省略する。
【0105】
図10Aに示す例では、プレーナゲート構造30Pは、第1実施形態に係るプレーナゲート構造30の略L字形状の部分を第1方向Xに2つ並べた形状を有する。第2実施形態に係るプレーナゲート構造30Pでは、第1直線部分30Aと、第2直線部分30Bとが、第1方向Xに沿って交互に配置されている。
各第1直線部分30Aが延びる第1直線方向L1と各第2直線部分30Bが延びる第2直線方向L2は、いずれも、第1方向Xおよび第2方向Yと一致していない。第1直線方向L1と第2直線方向L2とは、互いに直交している。図10Aの例では、第1直線方向L1は、第1方向Xに対して45°傾斜しており、第2直線方向L2は、第1直線方向L1に対して直行している。図10Aの例とは異なり、複数の第1直線部分30Aが延びる方向は互いに異なっていてもよいし、複数の第2直線部分30Bが延びる方向は互いに異なっていてもよい。
【0106】
プレーナゲート構造30Pは、複数の屈曲部分30Cを有している。複数の屈曲部分30Cは、ソース領域22およびドレイン領域23の間に位置している。複数の屈曲部分30Cは、ソース側壁部37がドレイン領域23側に窪むように屈曲する複数の第1屈曲部分30CAと、ドレイン側壁部38がソース領域22側に窪むように屈曲する1つまたは複数の第2屈曲部分30CBとを有する。
【0107】
第1屈曲部分30CAでは、ドレイン側壁部38が外側壁部であり、ソース側壁部37が内側壁部である。第2屈曲部分30CBでは、ソース側壁部37が外側壁部であり、ドレイン側壁部38が内側壁部である。
第1屈曲部分30CAの数は、第2屈曲部分30CBの数よりも多い。図10Aの例では、第1屈曲部分30CAが2つ設けられており、第2屈曲部分30CBが1つ設けられている。
【0108】
第2実施形態に係るソース領域22には、複数のソースコンタクト電極67が接続されていてもよい。複数のソースコンタクト電極67は、第1方向Xに等間隔を隔てて配置されていてもよい。同様に、第2実施形態に係るドレイン領域23には、複数のドレインコンタクト電極68が接続されていてもよい。複数のドレインコンタクト電極68は、第1方向Xに等間隔を隔てて配置されていてもよい。複数のソースコンタクト電極67は、それぞれ、複数のドレインコンタクト電極68と第2方向Yに対向していてもよい。
【0109】
第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30Pの端部には、ゲートコンタクト電極66が接続されている。第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30Pの端部は、トレンチ絶縁構造10上に達している。この実施形態とは異なり、第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30Pの端部が、トレンチ絶縁構造10の外側に位置していてもよい。
第2実施形態に係るメモリ構造40Pは、平面視において、プレーナゲート構造30Pを取り囲む環状である。第2実施形態に係るメモリ構造40Pは、第1実施形態に係るメモリ構造40と同様に、ソース側部分40A、ドレイン側部分40B、および一対の連結部分40Cによって構成されている。
【0110】
図10Bに示すように、プレーナゲート構造30Pのソース側壁部37は、各第1屈曲部分30CAにおいてドレイン領域23側に窪んだ第1ゲート屈曲部100と、各第1屈曲部分30CAにおいて第1ゲート屈曲部100以外の第1ゲート非屈曲部101とを有する。この実施形態では、第1ゲート屈曲部100は、複数(図10Aの例では2つ)設けられている。
【0111】
メモリ構造40Pのソース側部分40Aは、各第1ゲート屈曲部100に沿う第1メモリ屈曲部110と、各第1ゲート非屈曲部101に沿う第1メモリ非屈曲部111とを含む。第1メモリ屈曲部110は、第1ゲート屈曲部100と同数設けられている。
プレーナゲート構造30Pのソース側壁部37は、平面視において第1メモリ屈曲部110を挟んで対向し直線的に延びる第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bと、第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bが交差する頂部37cとを有する。第1ゲート屈曲部100は、頂部37cに設けられている。第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bがメモリ構造40内においてなす角度は、90°以下であることが好ましい。
【0112】
メモリ構造40Pのソース側部分40Aは、第1ソース側辺37aと平行に延びる第3ソース側辺120と、第2ソース側辺37bと平行に延びる第4ソース側辺121と、第3ソース側辺120および第4ソース側辺121が交差する頂部122とを有する。第1メモリ屈曲部110は、平面視において、ソース側部分40Aの頂部122とソース側壁部37の頂部37cとの間の部分である。
【0113】
ソース側部分40Aの幅W1は、ソース側部分40Aにおけるソース領域22側の端部とソース側壁部37との最短距離である。ソース側部分40Aの幅W1は、第1メモリ屈曲部110と第1メモリ非屈曲部111とで異なる。
第1メモリ屈曲部110におけるソース側部分40Aの幅W1(第1屈曲部幅BW1)は、第1ゲート屈曲部100と、第1メモリ屈曲部110におけるソース領域22側の端部との最短距離である。第1屈曲部幅BW1は、ソース側壁部37の頂部37cと、ソース側部分40Aの頂部122との間の距離である。
【0114】
第1メモリ非屈曲部111におけるソース側部分40Aの幅W1(第1非屈曲部幅NW1)は、第1ゲート非屈曲部101と、第1メモリ非屈曲部111におけるソース領域22側の端部との最短距離である。第1屈曲部幅BW1は、第1非屈曲部幅NW1よりも大きい。第1非屈曲部幅NW1は、ソース側壁部37の第1ソース側辺37aとソース側部分40Aの第3ソース側辺120との間の距離、または、ソース側壁部37の第2ソース側辺37bとソース側部分40Aの第4ソース側辺121との間の距離である。
【0115】
ドレイン側部分40Bにおいて第1屈曲部分30CAに隣接する部分の幅W2は、第1非屈曲部幅NW1と概ね等しく、第1屈曲部幅BW1よりも小さい。すなわち、ドレイン側部分40Bには、幅広部が設けられておらず、ソース側部分40Aには、幅広部としての第1メモリ屈曲部110が設けられている。
図10Cに示すように、プレーナゲート構造30Pのドレイン側壁部38は、第2屈曲部分30CBにおいてソース領域22側に窪んだ第2ゲート屈曲部150と、第2屈曲部分30CBにおいて第2ゲート屈曲部150以外の第2ゲート非屈曲部151とを有する。図10Aの例では、第2ゲート屈曲部150の数は1つである。そのため、第1ゲート屈曲部100の数が第2ゲート屈曲部150の数よりも多い。
【0116】
メモリ構造40Pのドレイン側部分40Bは、第2ゲート屈曲部150に沿う第2メモリ屈曲部160と、第2ゲート非屈曲部151に沿う第2メモリ非屈曲部161とを含む。第2メモリ屈曲部160は、第2ゲート屈曲部150と同数設けられている。そのため、第1メモリ屈曲部110の数が第2メモリ屈曲部160の数よりも多い。
プレーナゲート構造30Pのドレイン側壁部38は、平面視において第2メモリ屈曲部160を挟んで対向し直線的に延びる第1ドレイン側辺38aおよび第2ドレイン側辺38bと、第1ドレイン側辺38aおよび第2ドレイン側辺38bが交差する頂部38cとを有する。第2ゲート屈曲部150は、頂部38cに設けられている。第1ドレイン側辺38aおよび第2ドレイン側辺38bがメモリ構造40内において成す角度は、90°以下であることが好ましい。
【0117】
メモリ構造40Pのドレイン側部分40Bは、平面視において、第1ドレイン側辺38aと平行に延びる第3ドレイン側辺170と、第2ドレイン側辺38bと平行に延びる第4ドレイン側辺171と、第3ドレイン側辺170および第4ドレイン側辺171が交差する頂部172とを有する。第2メモリ屈曲部160は、平面視において、ドレイン側部分40Bの頂部172と第2ゲート屈曲部150との間の部分である。
【0118】
ドレイン側部分40Bの幅W2は、ドレイン側部分40Bにおけるドレイン領域23側の端部とドレイン側壁部38との最短距離である。第2メモリ屈曲部160におけるドレイン側部分40Bの幅W2(第2屈曲部幅BW2)は、第2ゲート屈曲部150と、第2メモリ屈曲部160におけるドレイン領域23側の端部との最短距離である。第2屈曲部幅BW2は、ドレイン側壁部38の頂部38cと、ドレイン側部分40Bの頂部172との間の距離である。
【0119】
第2メモリ非屈曲部161におけるドレイン側部分40Bの幅W2(第2非屈曲部幅NW2)は、第2ゲート非屈曲部151と、第2メモリ非屈曲部161におけるドレイン領域23側の端部との最短距離である。第2非屈曲部幅NW2は、ドレイン側壁部38の第1ドレイン側辺38aとドレイン側部分40Bの第3ドレイン側辺170との間の距離、または、ドレイン側壁部38の第2ソース側辺37bとドレイン側部分40Bの第4ドレイン側辺171との間の距離である。第2屈曲部幅BW2は、第2非屈曲部幅NW2よりも大きい。
【0120】
ソース側部分40Aにおいて第2屈曲部分30CBに隣接する部分の幅W1は、第2非屈曲部幅NW2と概ね等しく、第2屈曲部幅BW2よりも小さい。すなわち、ドレイン側部分40Bには、幅広部としての第2メモリ屈曲部160が設けられている。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。第2実施形態によれば、幅広部としての第1メモリ屈曲部110を複数箇所に設けることができる。したがって、メモリ構造40Pに捕獲されるキャリアの量を一層増大させることができる。
【0121】
<第3実施形態>
図11Aは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置1Qの要部の平面図である。図11Bは、図11Aに示すXIIB領域の拡大図である。図11Aおよび図11Bにおいて、前述の図1図10Cに示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0122】
第3実施形態に係る半導体装置1Qが第1実施形態に係る半導体装置1と主に異なる点は、第3実施形態に係るプレーナゲート構造30Qが、ソース領域22とドレイン領域23との間で第1方向Xに直線状に延びる直線状部分200と、直線状部分200からソース領域22に向けて突出する先細りの複数(図11Aの例では3つ)の三角状部分201とを有している点である。複数の三角状部分201は、第1方向Xに沿って並んでいる。
【0123】
第3実施形態に係る半導体装置1Qは、それぞれ、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の断面形状(図2図4および図5を参照)を有するため、詳しい説明を省略する。第3実施形態に係るプレーナゲート構造30Qおよびメモリ構造40Qは、それぞれ、第1実施形態に係るプレーナゲート構造30およびメモリ構造40と同様の構成を有する。第3実施形態に係る半導体装置1Qは、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の製造方法で製造することができるため、詳しい説明を省略する。
【0124】
第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30Qの端部は、トレンチ絶縁構造10上に達している。この実施形態とは異なり、第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30Qの端部が、トレンチ絶縁構造10の外側に位置していてもよい。
第3実施形態に係るメモリ構造40Qは、平面視において、プレーナゲート構造30Qを取り囲む環状である。メモリ構造40Qは、第1実施形態に係るメモリ構造40と同様に、ソース側部分40A、ドレイン側部分40B、および一対の連結部分40Cによって構成されている。
【0125】
プレーナゲート構造30Qのソース側壁部37は、第1方向Xに隣り合う三角状部分201の間のそれぞれにおいて、ドレイン領域23側に向かって窪む先細りの複数(図11Aの例では2つ)の三角状部205を有する。
図11Bに示すように、三角状部205は、ドレイン領域23側に窪んだ第1ゲート屈曲部100と、第1ゲート屈曲部100以外の第1ゲート非屈曲部101とを有する。この実施形態では、第1ゲート屈曲部100は、複数(図11Aの例では2つ)設けられている。
【0126】
メモリ構造40Qのソース側部分40Aは、各第1ゲート屈曲部100に沿う第1メモリ屈曲部110と、各第1ゲート非屈曲部101に沿う第1メモリ非屈曲部111とを含む。第1メモリ屈曲部110は、第1ゲート屈曲部100と同数設けられている。
プレーナゲート構造30Qのソース側壁部37は、平面視において第1メモリ屈曲部110を挟んで対向し直線的に延びる第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bと、第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bが交差する頂部37cとを有する。この実施形態では、頂部37cが、三角状部205におけるドレイン領域23側の頂部を構成しており、第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bが、頂部37cを形成する一対の直線状部を構成している。すなわち、第1ゲート屈曲部100は、三角状部205におけるドレイン領域23側の頂部に設けられている。
【0127】
メモリ構造40Qのソース側部分40Aは、平面視において、第1ソース側辺37aと平行に延びる第3ソース側辺120と、第2ソース側辺37bと平行に延びる第4ソース側辺121と、第3ソース側辺120および第4ソース側辺121が交差する頂部122とを有する。第1メモリ屈曲部110は、平面視において、ソース側部分40Aの頂部122と第1ゲート屈曲部100との間の部分である。
【0128】
第1メモリ屈曲部110におけるソース側部分40Aの幅W1(第1屈曲部幅BW1)は、第1ゲート屈曲部100と、第1メモリ屈曲部110におけるソース領域22側の端部との最短距離である。第1屈曲部幅BW1は、ソース側壁部37の頂部37cと、ソース側部分40Aの頂部122との間の距離である。
第1メモリ非屈曲部111におけるソース側部分40Aの幅W1(第1非屈曲部幅NW1)は、第1ゲート非屈曲部101と、第1メモリ非屈曲部111における前記ソース領域22側の端部との最短距離である。第1非屈曲部幅NW1は、ソース側壁部37の第1ソース側辺37aとソース側部分40Aの第3ソース側辺120との間の距離、または、ソース側壁部37の第2ソース側辺37bとソース側部分40Aの第4ソース側辺121との間の距離である。第1屈曲部幅BW1は、第1非屈曲部幅NW1よりも大きい。
【0129】
プレーナゲート構造30Qのドレイン側壁部38は、第1方向Xに沿う直線状である。そのため、メモリ構造40Qのドレイン側部分40Bも、第1方向Xに沿う直線状に形成されている。ドレイン側部分40Bは、第1方向Xにおける位置にかかわらず、一定の幅W2を有している。
第1屈曲部幅BW1は、第1非屈曲部幅NW1よりも大きい。ドレイン側部分40Bの幅W2は、第1非屈曲部幅NW1と概ね等しく、第1屈曲部幅BW1よりも小さい。すなわち、ソース側部分40Aには、幅広部としての第1メモリ屈曲部110が設けられている。
【0130】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。第3実施形態によれば、幅広部としての第1メモリ屈曲部110を複数箇所に設けることができる。したがって、メモリ構造40Qに捕獲されるキャリアの量を一層増大させることができる。
<第4実施形態>
図12Aは、本発明の第4実施形態に係る半導体装置1Rの要部の平面図である。図12Bは、図12Aに示すXIIB領域の拡大図である。図12Aおよび図12Bにおいて、前述の図1図11Bに示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0131】
第4実施形態に係る半導体装置1Rが第1実施形態に係る半導体装置1と主に異なる点は、第4実施形態に係るプレーナゲート構造30Rが、ソース領域22とドレイン領域23との間で第1方向Xに直線状に延びる直線状部分200と、直線状部分200からソース領域22に向けて突出する複数(図12Aの例では4つ)の四角状部分202とを有している点である。複数の四角状部分202は、第1方向Xに沿って並んでいる。隣り合う四角状部分202同士の間には間隔が設けられている。
【0132】
第4実施形態に係る半導体装置1Rは、それぞれ、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の断面形状(図2図4および図5を参照)を有するため、詳しい説明を省略する。第4実施形態に係るプレーナゲート構造30Rおよびメモリ構造40Rは、それぞれ、第1実施形態に係るプレーナゲート構造30およびメモリ構造40と同様の構成を有する。第4実施形態に係る半導体装置1Rは、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の製造方法で製造することができるため、詳しい説明を省略する。
【0133】
第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30Rの端部は、トレンチ絶縁構造10上に達している。この実施形態とは異なり、第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30Rの端部が、トレンチ絶縁構造10の外側に位置していてもよい。
第4実施形態に係るメモリ構造40Rは、平面視において、プレーナゲート構造30Rを取り囲む環状である。メモリ構造40Rは、第1実施形態に係るメモリ構造40と同様に、ソース側部分40A、ドレイン側部分40B、および一対の連結部分40Cによって構成されている。
【0134】
プレーナゲート構造30Rのソース側壁部37は、第1方向Xに隣り合う四角状部分202の間において、ドレイン領域23側に向かって窪む複数(図12Aの例では3つ)の四角状部206を有する。
四角状部206の間において、ドレイン領域23側に窪んだ第1ゲート屈曲部100と、第1ゲート屈曲部100以外の第1ゲート非屈曲部101とを有する。この実施形態では、第1ゲート屈曲部100は、複数(図12Aの例では3つ)設けられている。
【0135】
図12Bに示すように、メモリ構造40Rのソース側部分40Aは、各第1ゲート屈曲部100に沿う第1メモリ屈曲部110と、各第1ゲート非屈曲部101に沿う第1メモリ非屈曲部111とを含む。第1メモリ屈曲部110は、第1ゲート屈曲部100と同数設けられている。
プレーナゲート構造30Rのソース側壁部37は、平面視において、ドレイン領域23側に向かって第2方向Yに延びる一対の第1ソース側辺37aと、第1ソース側辺37a同士を連結し第1方向Xに延びる第2ソース側辺37bと、各第1ソース側辺37aと第2ソース側辺37bとが交差する頂部37cとを有する。各第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bは、第1メモリ屈曲部110を挟んで対向する。
【0136】
この実施形態では、頂部37cが、四角状部206におけるドレイン領域23側の2つの頂部を構成しており、一対の第1ソース側辺37aと第2ソース側辺37bとが、2つの頂部37cを形成する3つの直線状部を構成している。すなわち、第1ゲート屈曲部100は、四角状部206におけるドレイン領域23側の2つの頂部に設けられている。
メモリ構造40Rのソース側部分40Aは、平面視において、一対の第1ソース側辺37aのそれぞれと平行に延びる一対の第3ソース側辺120と、第2ソース側辺37bと平行に延びる第4ソース側辺121と、各第3ソース側辺120と第4ソース側辺121とが交差する頂部122とを有する。第1メモリ屈曲部110は、平面視において、ソース側部分40Aの頂部122と第1ゲート屈曲部100との間の部分である。
【0137】
第1メモリ屈曲部110におけるソース側部分40Aの幅W1(第1屈曲部幅BW1)は、第1ゲート屈曲部100と、第1メモリ屈曲部110におけるソース領域22側の端部との最短距離である。第1屈曲部幅BW1は、ソース側壁部37の頂部37cと、ソース側部分40Aの頂部122との間の距離である。
第1メモリ非屈曲部111におけるソース側部分40Aの幅W1(第1非屈曲部幅NW1)は、第1ゲート非屈曲部101と、第1メモリ非屈曲部111における前記ソース領域22側の端部との最短距離である。第1非屈曲部幅NW1は、ソース側壁部37の第1ソース側辺37aとソース側部分40Aの第3ソース側辺120との間の距離、または、ソース側壁部37の第2ソース側辺37bとソース側部分40Aの第4ソース側辺121との間の距離である。第1屈曲部幅BW1は、第1非屈曲部幅NW1よりも大きい。
【0138】
プレーナゲート構造30Rのドレイン側壁部38は、第1方向Xに沿う直線状である。そのため、メモリ構造40Rのドレイン側部分40Bも、第1方向Xに沿う直線状に形成されている。ドレイン側部分40Bは、第1方向Xにおける位置にかかわらず、一定の幅W2を有している。
第1屈曲部幅BW1は、第1非屈曲部幅NW1よりも大きい。ドレイン側部分40Bの幅W2は、第1非屈曲部幅NW1と概ね等しく、第1屈曲部幅BW1よりも小さい。すなわち、ドレイン側部分40Bには、幅広部が設けられておらず、ソース側部分40Aには、幅広部としての第1メモリ屈曲部110が設けられている。
【0139】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。第4実施形態によれば、幅広部としての第1メモリ屈曲部110を複数箇所に設けることができる。メモリ構造40Rに捕獲されるキャリアの量を一層増大させることができる。さらに、各四角状部206に第1メモリ屈曲部110を2つずつ設けることができるため、メモリ構造40Rに捕獲されるキャリアの量を一層増大させることができる。
【0140】
<第5実施形態>
図13Aは、本発明の第5実施形態に係る半導体装置1Sの要部の平面図である。図13Bは、図13Aに示すXIIIA領域の拡大図である。図13Aおよび図13Bにおいて、前述の図1図12Bに示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0141】
第5実施形態に係る半導体装置1Sが、第1実施形態に係る半導体装置1と主に異なる点は、第5実施形態に係るプレーナゲート構造30Sが、平面視において、略四角環状に形成されている点である。
第5実施形態に係る半導体装置1Sは、それぞれ、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の断面形状(図2図4および図5を参照)を有するため、詳しい説明を省略する。第5実施形態に係るプレーナゲート構造30Sおよびメモリ構造40Sは、それぞれ、第1実施形態に係るプレーナゲート構造30およびメモリ構造40と同様の構成を有する。第5実施形態に係る半導体装置1Sは、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の製造方法で製造することができるため、詳しい説明を省略する。
【0142】
プレーナゲート構造30Sは、4つの直線状部250と、直線状部250同士が交わる4つの屈曲部分251とを含む。4つの屈曲部分251は、デバイス領域6内に位置する2つの第1屈曲部分251Aと、デバイス領域6よりも外側に位置する2つの第2屈曲部分251Bとを含む。第2屈曲部分251Bは、トレンチ絶縁構造10上に位置している。2つの第2屈曲部分251Bのうちの一方には、ゲートコンタクト電極66が接続されている。
【0143】
第5実施形態に係る半導体装置1Sでは、ソース領域22がプレーナゲート構造30Sの内側に位置しており、ドレイン領域23がプレーナゲート構造30Sの両外側に位置している。
プレーナゲート構造30Sは、デバイス領域6内に位置する一対のソース側壁部37および一対のドレイン側壁部38を有する。一対のソース側壁部37は、第2方向Yの両側からソース領域22に対向し、一対のドレイン側壁部38は、一対のドレイン領域23にそれぞれ対向する。
【0144】
第5実施形態に係る半導体装置1Sに備えられたメモリ構造40Sは、プレーナゲート構造30Sの内側壁部に隣接配置された略四角環状の内側メモリ構造260と、プレーナゲート構造30Sの外側壁部に隣接配置された略四角環状の外側メモリ構造261とを含む。
内側メモリ構造260は、デバイス領域6内でソース領域22とプレーナゲート構造30Sとの間に位置する一対のソース側部分260Aと、ソース側部分260A同士を連結する一対の連結部分260Bとを含む。各ソース側部分260Aは、ソース領域22とプレーナゲート構造30Sとの間に位置している。
【0145】
外側メモリ構造261は、デバイス領域6内に位置する一対のドレイン側部分261Aと、ドレイン側部分261A同士を連結する一対の連結部分261Bとを含む。各ドレイン側部分261Aは、プレーナゲート構造30Sと対応するドレイン領域23との間に位置している。
図13Bに示すように、プレーナゲート構造30Sのソース側壁部37は、各第1屈曲部分251Aにおいて、ドレイン領域23側に窪んだ第1ゲート屈曲部100と第1ゲート屈曲部100以外の第1ゲート非屈曲部101とを有する。ソース側部分260Aは、対応する第1ゲート屈曲部100に沿う第1メモリ屈曲部110と、対応する第1ゲート非屈曲部101に沿う第1メモリ非屈曲部111とを含む。
【0146】
プレーナゲート構造30の各ソース側壁部37は、平面視において第1メモリ屈曲部110を挟んで対向し直線的に延びる第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bと、第1ソース側辺37aおよび第2ソース側辺37bが交差する頂部37cとを有する。
内側メモリ構造260の各ソース側部分260Aは、平面視において第1ソース側辺37aと平行に延びる第3ソース側辺120と、平面視において第2ソース側辺37bと平行に延びる第4ソース側辺121と、第3ソース側辺120および第4ソース側辺121が交差する頂部122とを有する。第1メモリ屈曲部110は、平面視において、ソース側部分260Aの頂部37cと第1ゲート屈曲部100との間の部分である。
【0147】
各ソース側部分260Aの幅W1は、ソース側部分260Aにおけるソース領域22側の端部とソース側壁部37との最短距離である。
第1メモリ屈曲部110におけるソース側部分260Aの幅W1(第1屈曲部幅BW1)は、第1ゲート屈曲部100と、第1メモリ屈曲部110におけるソース領域22側の端部との最短距離である。第1屈曲部幅BW1は、ソース側壁部37の頂部37cと、ソース側部分260Aの頂部122との間の距離である。
【0148】
第1メモリ非屈曲部111におけるソース側部分260Aの幅W1(第1非屈曲部幅NW1)は、第1ゲート非屈曲部101と、第1メモリ非屈曲部111におけるソース領域22側の端部との最短距離である。第1非屈曲部幅NW1は、ソース側壁部37の第1ソース側辺37aとソース側部分40Aの第3ソース側辺120との間の距離、または、ソース側壁部37の第2ソース側辺37bとソース側部分40Aの第4ソース側辺121との間の距離である。
【0149】
第1屈曲部幅BW1は、第1非屈曲部幅NW1よりも大きい。ドレイン側部分261Aの幅W2は、第1非屈曲部幅NW1と概ね等しく、第1屈曲部幅BW1よりも小さい。すなわち、ドレイン側部分261Aには、幅広部が設けられておらず、ソース側部分260Aには、幅広部としての第1メモリ屈曲部110が設けられている。
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。第5実施形態によれば、幅広部としての第1メモリ屈曲部110を複数箇所に設けることができる。したがって、メモリ構造40Sに捕獲されるキャリアの量を一層増大させることができる。
【0150】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述の第2実施形態では、第1屈曲部分30CAの数が多いほどキャリアの捕獲量を増大させることができるため、第1屈曲部分30CAは第2屈曲部分30CBよりも多く設けられている。しかしながら、第2屈曲部分30CBの数が第1屈曲部分30CAの数よりも多い構成であっても、第1屈曲部分30CAが少なくとも1つ設けられていれば、メモリ構造40Pに捕獲されるキャリアの量を増大させることができる。
【0151】
上述の各実施形態では、p型のウェル領域21、n型のソース領域22およびn型のドレイン領域23を含むn型(第1極性型)のMOSFETが形成されている。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、n型のウェル領域21、p型のソース領域22およびp型のドレイン領域23を含むp型(第2極性型)のMOSFETが形成されてもよい。
メモリ構造40,40P,40Q,40R,40Sの断面構造は、必ずしも、図2図4および図5に示すものに限られない。すなわち、絶縁膜41、電荷蓄積膜42、および絶縁スペーサ43が設けられている必要はなく、電荷を蓄積できるように構成されていればよい。
【0152】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0153】
1 :半導体装置
1P :半導体装置
1Q :半導体装置
1R :半導体装置
1S :半導体装置
2 :半導体層
3 :第1主面
21 :ウェル領域
22 :ソース領域
23 :ドレイン領域
24 :チャネル領域
30 :プレーナゲート構造
30P :プレーナゲート構造
30Q :プレーナゲート構造
30R :プレーナゲート構造
30S :プレーナゲート構造
31 :ゲート絶縁膜
32 :ゲート電極
33 :窪み
37 :ソース側壁部
37a :第1ソース側辺
37b :第2ソース側辺
37c :頂部
38 :ドレイン側壁部
38a :第1ドレイン側辺
38b :第2ドレイン側辺
38c :頂部
40 :メモリ構造
41 :絶縁膜
42 :電荷蓄積膜
67 :ソースコンタクト電極
68 :ドレインコンタクト電極
100 :第1ゲート屈曲部
101 :第1ゲート非屈曲部
110 :第1メモリ屈曲部
111 :第1メモリ非屈曲部
150 :第2ゲート屈曲部
151 :第2ゲート非屈曲部
160 :第2メモリ屈曲部
161 :第2メモリ非屈曲部
205 :三角状部
206 :四角状部
BW1 :第1屈曲部幅
BW2 :第2屈曲部幅
NW1 :第1非屈曲部幅
NW2 :第2非屈曲部幅
T1 :厚さ
T2 :厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図8L
図8M
図8N
図8O
図8P
図8Q
図8R
図8S
図8T
図8U
図8V
図8W
図8X
図8Y
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B