IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240904BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240904BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
H01L29/78 301D
H01L29/78 655Z
H01L29/78 301H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020127985
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025260
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 悠亮
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/127960(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0115360(US,A1)
【文献】特開2010-045130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0032754(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体チップと、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の表層部に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる側部を有する第1導電型のソース領域と、
前記第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ボディ領域の表層部に形成された第2導電型の不純物領域であって、前記第2方向に沿って延び、前記ソース領域の側部に対して前記ドレイン領域とは反対側に向けて窪んだ側部を有する不純物領域とを含み、
前記ボディ領域は、前記第1方向において前記ソース領域の側部に対向する第1側部と、前記第1方向において前記不純物領域の側部に対向し、前記第1側部に対して前記不純物領域側に向けて窪んだ第2側部とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記ボディ領域は、前記第1側部および前記第2側部を接続する傾斜側部を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ソース領域は、第1不純物濃度を有する第1部分と、前記第1部分よりも前記ドレイン領域に近い側に形成され、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記ソース領域の側部を形成する第2部分とを含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ソース領域の前記第1部分と前記第2部分との境界部の少なくとも一部は、前記第2方向における前記不純物領域の側部の延長線上に形成されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1方向において、前記ソース領域の側部と前記ボディ領域の前記第1側部との距離は、前記不純物領域の側部と前記ボディ領域の前記第2側部との距離の95%~105%の大きさである、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
主面を有する半導体チップと、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第1導電型のソース領域と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ボディ領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第2導電型の不純物領域とを含み、
前記ソース領域の第1縁部は、前記不純物領域の第1縁部に対して前記ドレイン領域側に膨らんでおり、
前記ボディ領域は、前記ソース領域の第1縁部および前記不純物領域の第1縁部に沿って延び、前記ソース領域の第1縁部の形状に沿って湾曲した側部を有している、半導体装置。
【請求項7】
前記ソース領域は、前記第2方向における第2縁部を有しており、
前記不純物領域は、前記第2方向において前記ソース領域の第2縁部との間に境界部を形成する第2縁部を有しており、
前記ソース領域の第2縁部は、前記不純物領域の第2縁部の前記第1方向における端部において選択的に突出した突出部を含む、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ソース領域の第2縁部の前記突出部は、前記第1方向において前記不純物領域の第2縁部を挟むように一対形成されている、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ソース領域は、第1不純物濃度を有する第1部分と、前記突出部を起点に前記第2方向に沿って延び、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記ソース領域の第1縁部を形成する第2部分とを含む、請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ソース領域の前記第1部分と前記第2部分との境界部の少なくとも一部は、前記第1方向において、前記不純物領域の端縁よりも内側に形成されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ソース領域の第2縁部の前記突出部は、前記第2方向に対して傾斜した端縁を有している、請求項7~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
主面を有する半導体チップと、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる側部を有する第2導電型のソース領域と、
前記第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ドリフト領域の表層部に形成された第1導電型の不純物領域であって、前記第2方向に沿って延び、前記ソース領域の側部に対して前記ドレイン領域とは反対側に向けて窪んだ側部を有する不純物領域とを含み、
前記ドレイン領域は、前記第1方向において前記ソース領域の側部に対向する第1側部と、前記第1方向において前記不純物領域の側部に対向し、前記第1側部に対して前記不純物領域側に向けて突出した第2側部とを含む、半導体装置。
【請求項13】
前記ドレイン領域は、前記第1側部および前記第2側部を接続する傾斜側部を含む、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ソース領域は、第1不純物濃度を有する第1部分と、前記第1部分よりも前記ドレイン領域に近い側に形成され、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記ソース領域の側部を形成する第2部分とを含む、請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ソース領域の前記第1部分と前記第2部分との境界部の少なくとも一部は、前記第2方向における前記不純物領域の側部の延長線上に形成されている、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1方向において、前記ソース領域の側部と前記ドレイン領域の前記第1側部との距離は、前記不純物領域の側部と前記ドレイン領域の前記第2側部との距離の95%~105%の大きさである、請求項12~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
主面を有する半導体チップと、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第2導電型のソース領域と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第2導電型の不純物領域と、
前記ソース領域および前記不純物領域と、前記ドレイン領域との間に跨って形成されたゲート電極とを含み、
前記ソース領域の第1縁部は、前記不純物領域の第1縁部に対して前記ドレイン領域側に膨らんでおり、
前記ゲート電極は、前記第1方向における前記ドレイン領域側の側部であって、前記ソース領域の第1縁部に対向する第1側部と、前記第1方向において前記不純物領域の第1縁部に対向し、前記第1側部に対して前記不純物領域に近づく方向に向けて窪んだ第2側部とを含み、
前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1側部および前記第2側部に対して自己整合的に形成されている、半導体装置。
【請求項18】
前記ゲート電極は、前記第1側部および前記第2側部を接続する傾斜側部を含み、
前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1側部、前記傾斜側部および前記第2側部の連続形状に対して自己整合的に形成されている、請求項17に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、互いに平行に延びる2つのドレインと、その2つのドレインの間に形成されたn型ソース領域およびp型不純物領域(コンタクト領域)とを含む半導体装置を開示している。n型ソース領域およびp型不純物領域は、ドレインに沿って交互に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-156205号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、主面を有する半導体チップと、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成された第1導電型のドレイン領域と、前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表層部に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる側部を有する第1導電型のソース領域と、前記第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ボディ領域の表層部に形成された第2導電型の不純物領域であって、前記第2方向に沿って延び、前記ソース領域の側部に対して前記ドレイン領域とは反対側に向けて窪んだ側部を有する不純物領域とを含み、前記ボディ領域は、前記第1方向において前記ソース領域の側部に対向する第1側部と、前記第1方向において前記不純物領域の側部に対向し、前記第1側部に対して前記不純物領域側に向けて窪んだ第2側部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
図2図2は、図1に示す領域IIの拡大図である。
図3図3は、図2に示す領域IIIの拡大図である。
図4図4は、図3の一部をさらに拡大して示す図である。
図5図5は、図2に示すV-V線に沿う断面図である。
図6図6は、図2に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7A図7Aは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7B図7Bは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7C図7Cは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7D図7Dは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7E図7Eは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7F図7Fは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7G図7Gは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7H図7Hは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7I図7Iは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7J図7Jは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7K図7Kは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7L図7Lは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7M図7Mは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7N図7Nは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7O図7Oは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7P図7Pは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7Q図7Qは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7R図7Rは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図7S図7Sは、前記半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図8図8は、CMOS領域を示す模式的な平面図である。
図9図9は、CMOS領域のnチャネルMOSFETの拡大平面図である。
図10図10は、ゲート電極を斜め上方から見た図である。
図11図11は、図9の一部をさらに拡大して示す図である。
図12図12は、図9に示すXII-XII線に沿う断面図である。
図13図13は、図9に示すXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14A図14Aは、図9の半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図14B図14Bは、図9の半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図14C図14Cは、図9の半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図14D図14Dは、図9の半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図14E図14Eは、図9の半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図14F図14Fは、図9の半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
図14G図14Gは、図9の半導体装置の製造方法の一部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
<本発明の実施形態>
まず、本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、主面を有する半導体チップと、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成された第1導電型のドレイン領域と、前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表層部に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる側部を有する第1導電型のソース領域と、前記第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ボディ領域の表層部に形成された第2導電型の不純物領域であって、前記第2方向に沿って延び、前記ソース領域の側部に対して前記ドレイン領域とは反対側に向けて窪んだ側部を有する不純物領域とを含み、前記ボディ領域は、前記第1方向において前記ソース領域の側部に対向する第1側部と、前記第1方向において前記不純物領域の側部に対向し、前記第1側部に対して前記不純物領域側に向けて窪んだ第2側部とを含む。
【0007】
たとえば、ソース-ドレイン間の短チャネルを抑制するために、チャネル長を一定以上にする場合がある。この構成によれば、ソース領域の側部と不純物領域の側部とを比較すると、ソース領域の側部が相対的に、ドレイン領域に近い位置に形成されている。そのため、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長を基準にしてチャネル長を一律に設定したのでは、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長が必要以上に長くなる場合がある。そこで、ボディ領域の第2側部を、ボディ領域の第1側部に対して選択的に窪ませることによって、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長と、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長との差を小さくすることができる。これにより、ソース領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについては短チャネルを抑制するためのチャネル長を確保しつつ、不純物領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについてはチャネル長を短くしてチャネル抵抗を低下させることができる。
【0008】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ボディ領域は、前記第1側部および前記第2側部を接続する傾斜側部を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域は、第1不純物濃度を有する第1部分と、前記第1部分よりも前記ドレイン領域に近い側に形成され、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記ソース領域の側部を形成する第2部分とを含んでいてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域の前記第1部分と前記第2部分との境界部の少なくとも一部は、前記第2方向における前記不純物領域の側部の延長線上に形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1方向において、前記ソース領域の側部と前記ボディ領域の前記第1側部との距離は、前記不純物領域の側部と前記ボディ領域の前記第2側部との距離の95%~105%の大きさであってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、主面を有する半導体チップと、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成された第1導電型のドレイン領域と、前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第1導電型のソース領域と、前記第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ボディ領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第2導電型の不純物領域とを含み、前記ソース領域の第1縁部は、前記不純物領域の第1縁部に対して前記ドレイン領域側に膨らんでおり、前記ボディ領域は、前記ソース領域の第1縁部および前記不純物領域の第1縁部に沿って延び、前記ソース領域の第1縁部の形状に沿って湾曲した側部を有していてもよい。
【0011】
たとえば、ソース-ドレイン間の短チャネルを抑制するために、チャネル長を一定以上にする場合がある。この構成によれば、ソース領域の第1縁部が不純物領域の第1縁部に対してドレイン領域側に膨らんでいる。そのため、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長を基準にしてチャネル長を一律に設定したのでは、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長が必要以上に長くなる場合がある。そこで、ボディ領域の側部の形状を、ソース領域の第1縁部の形状に沿う湾曲形状とすることによって、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長と、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長との差を小さくすることができる。これにより、ソース領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについては短チャネルを抑制するためのチャネル長を確保しつつ、不純物領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについてはチャネル長を短くしてチャネル抵抗を低下させることができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域は、前記第2方向における第2縁部を有しており、前記不純物領域は、前記第2方向において前記ソース領域の第2縁部との間に境界部を形成する第2縁部を有しており、前記ソース領域の第2縁部は、前記不純物領域の第2縁部の前記第1方向における端部において選択的に突出した突出部を含んでいてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域の第2縁部の前記突出部は、前記第1方向において前記不純物領域の第2縁部を挟むように一対形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域は、第1不純物濃度を有する第1部分と、前記突出部を起点に前記第2方向に沿って延び、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記ソース領域の第1縁部を形成する第2部分とを含んでいてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域の前記第1部分と前記第2部分との境界部の少なくとも一部は、前記第1方向において、前記不純物領域の端縁よりも内側に形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域の第2縁部の前記突出部は、前記第2方向に対して傾斜した端縁を有していてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、主面を有する半導体チップと、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のドレイン領域と、前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる側部を有する第2導電型のソース領域と、前記第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ドリフト領域の表層部に形成された第1導電型の不純物領域であって、前記第2方向に沿って延び、前記ソース領域の側部に対して前記ドレイン領域とは反対側に向けて窪んだ側部を有する不純物領域とを含み、前記ドレイン領域は、前記第1方向において前記ソース領域の側部に対向する第1側部と、前記第1方向において前記不純物領域の側部に対向し、前記第1側部に対して前記不純物領域側に向けて突出した第2側部とを含んでいてもよい。
【0016】
たとえば、ソース-ドレイン間の短チャネルを抑制するために、チャネル長を一定以上にする場合がある。この構成によれば、ソース領域の側部と不純物領域の側部とを比較すると、ソース領域の側部が相対的に、ドレイン領域に近い位置に形成されている。そのため、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長を基準にしてチャネル長を一律に設定したのでは、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長が必要以上に長くなる場合がある。そこで、第1方向において不純物領域の側部に対向するドレイン領域の第2側部を選択的に突出させることによって、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長と、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長との差を小さくすることができる。これにより、ソース領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについては短チャネルを抑制するためのチャネル長を確保しつつ、不純物領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについてはチャネル長を短くしてチャネル抵抗を低下させることができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ドレイン領域は、前記第1側部および前記第2側部を接続する傾斜側部を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域は、第1不純物濃度を有する第1部分と、前記第1部分よりも前記ドレイン領域に近い側に形成され、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記ソース領域の側部を形成する第2部分とを含んでいてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ソース領域の前記第1部分と前記第2部分との境界部の少なくとも一部は、前記第2方向における前記不純物領域の側部の延長線上に形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1方向において、前記ソース領域の側部と前記ドレイン領域の前記第1側部との距離は、前記不純物領域の側部と前記ドレイン領域の前記第2側部との距離の95%~105%の大きさであってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、主面を有する半導体チップと、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のドレイン領域と、前記ドレイン領域から第1方向に間隔を空けて前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第2導電型のソース領域と、前記第2方向において前記ソース領域に隣接するように前記ドリフト領域の表層部に形成され、前記第1方向において前記ドレイン領域に対向する第1縁部を有する第2導電型の不純物領域と、前記ソース領域および前記不純物領域と、前記ドレイン領域との間に跨って形成されたゲート電極とを含み、前記ソース領域の第1縁部は、前記不純物領域の第1縁部に対して前記ドレイン領域側に膨らんでおり、前記ゲート電極は、前記第1方向における前記ドレイン領域側の側部であって、前記ソース領域の第1縁部に対向する第1側部と、前記第1方向において前記不純物領域の第1縁部に対向し、前記第1側部に対して前記不純物領域に近づく方向に向けて窪んだ第2側部とを含み、前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1側部および前記第2側部に対して自己整合的に形成されていてもよい。
【0020】
たとえば、ソース-ドレイン間の短チャネルを抑制するために、チャネル長を一定以上にする場合がある。この構成によれば、ソース領域の第1縁部が不純物領域の第1縁部に対してドレイン領域側に膨らんでいる。そのため、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長を基準にしてチャネル長を一律に設定したのでは、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長が必要以上に長くなる場合がある。そこで、第1方向において不純物領域の第1縁部に対向するゲート電極の第2側部を選択的に窪ませ、このゲート電極の第1側部および第2側部に対してドレイン領域が自己整合的に形成されている。これにより、ソース領域から第1方向に沿うチャネル長と、不純物領域から第1方向に沿うチャネル長との差を小さくすることができる。これにより、ソース領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについては短チャネルを抑制するためのチャネル長を確保しつつ、不純物領域から第1方向に沿って形成されるチャネルについてはチャネル長を短くしてチャネル抵抗を低下させることができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ゲート電極は、前記第1側部および前記第2側部を接続する傾斜側部を含み、前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1側部、前記傾斜側部および前記第2側部の連続形状に対して自己整合的に形成されていてもよい。
【0022】
<本発明の実施形態の詳細な説明>
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
(半導体装置1の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。図2は、図1に示す領域IIの拡大図である。図3は、図2に示す領域IIIの拡大図である。図4は、図3の一部をさらに拡大して示す図である。図5は、図2に示すV-V線に沿う断面図である。図6は、図2に示すVI-VI線に沿う断面図である。
【0023】
図1図6を参照して、半導体装置1は、直方体形状に形成された半導体チップ2を含む。半導体チップ2は、半導体装置1の外形を形成しており、たとえば、単結晶の半導体材料がチップ状(直方体形状)に形成された構造体である。半導体チップ2は、Si、SiC等の半導体材料で形成されている。半導体チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。
【0024】
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。第1主面3は、機能デバイスが形成されるデバイス面である。第2主面4は、機能デバイスが形成されない非デバイス面である。この実施形態では、半導体チップ2は、半導体基板およびエピタキシャル層の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0025】
第1~第4側面5A~5Dは、第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dを含む。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1方向Xに延び、第1方向Xに直交する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。
図5および図6に示すように、半導体チップ2は、第2主面4の表層部に形成されたp型領域6(第2導電型領域)を含む。p型領域6は、第2主面4の表層部の全域に形成され、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dから露出している。p型領域6のp型不純物濃度は、1.0×1013cm-3以上1.0×1015cm-3以下であってもよい。p型領域6の厚さは、100μm以上500μm以下であってもよい。p型領域6は、この実施形態では、p型の半導体基板によって形成されている。
【0026】
半導体チップ2は、第1主面3の表層部に形成されたn型領域7(第1導電型領域)を含む。n型領域7は、この実施形態では、p型領域6に直接に接している。n型領域7のn型不純物濃度は、1.0×1014cm-3以上1.0×1016cm-3以下であってもよい。n型領域7は、第1主面3の表層部の全域に形成され、第1主面3および第1~第1~第4側面5A~5Dから露出している。n型領域7の厚さは、たとえば、p型領域6の厚さよりも小さい。n型領域7の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。n型領域7は、この実施形態では、n型のエピタキシャル層によって形成されている。なお、n型領域7は、比較的低い不純物濃度を有しているので、n型の領域と称してもよい。
【0027】
n型領域7には、素子分離ウェル13が形成されている。素子分離ウェル13は、たとえば、平面視で環状に形成されている。素子分離ウェル13は、これに限らず、平面視でたとえば、円環状または三角環状等の他の閉曲線構造であってもよい。
図5および図6に示すように、素子分離ウェル13は、第2主面4側に形成されたp型の第1ピラー領域14と、第1主面3側に形成された第2ピラー領域15との2層構造であってもよい。素子分離ウェル13の第1ピラー領域14と第2ピラー領域15との境界は、n型領域7に設定されている。第1ピラー領域14と第2ピラー領域15との境界は、たとえば、半導体チップ2の第1主面3から1.0μm以上2.0μm以下の深さ位置に設定されていてもよい。
【0028】
n型領域7には、素子分離ウェル13によって、複数のデバイス領域8が区画されている。複数のデバイス領域8の個数および配置は任意である。複数のデバイス領域8は、第1主面3の表層部を利用して形成された機能デバイスを含んでいてもよい。機能デバイスは、たとえば、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。機能デバイスは、たとえば、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも2つが組み合わされた回路網を含んでいてもよい。
【0029】
半導体スイッチングデバイスは、たとえば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)およびJFET(Junction Field Effect Transistor)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、たとえば、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、たとえば、抵抗、コンデンサおよびインダクタのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0030】
複数のデバイス領域8は、MOSFETの一例としてのLDMOSFET(Lateral Double diffused MOSFET)が形成されたLDMOS領域9を含む(図1の領域II参照)。以下では、LDMOS領域9の構造について具体的に説明する。
半導体チップ2の第1主面3には、フィールド絶縁膜17が形成されている。フィールド絶縁膜17は、図5および図6に示すように、素子分離ウェル13の一部に重なると共に、素子分離ウェル13の内側の領域に選択的に形成されている。フィールド絶縁膜17は、たとえば、n型領域7の表面(第1主面3)を選択的に酸化させて形成したLOCOS膜であってもよい。
【0031】
フィールド絶縁膜17は、第1開口部17aと、第2開口部17bとを有している。第1開口部17aは、図2に示すように、平面視で第2方向Yに長く延びる矩形状に形成されている。第2開口部17bは、平面視で第2方向Yに長く延びる長円状に形成されている。第1方向Xにおいて、第1開口部17aは、第2開口部17bを挟むように一対形成されていてもよい。
【0032】
LDMOS領域9には、LDMOS20が形成されている。LDMOS20は、第1主面3の表層部に形成されたn型(第1導電型)のドリフト領域21を含む。ドリフト領域21は、n型領域7によって形成されている。図5および図6に示すように、n型領域7の表層部には、n型のウェル領域22およびp型のボディ領域23が形成されている。n型のウェル領域22およびp型のボディ領域23は、第1方向Xに互いに間隔をおいて形成されている。n型のウェル領域22は、図2に示すように、p型のボディ領域23を取り囲むように平面視で環状に形成されている。すなわち、p型のボディ領域23は、第1方向Xにおいてn型のウェル領域22の間に形成されている。n型のウェル領域22は、n型のドリフト領域21よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。ウェル領域22のn型不純物濃度は、たとえば、5.0×1015cm-3以上5.0×1017cm-3以下であってもよい。また、p型のボディ領域23のp型不純物濃度は、たとえば、1.0×1016cm-3以上5.0×1017cm-3以下であってもよい。
【0033】
図5および図6に示すように、平面視で第2開口部17bの内側では、ボディ領域23と、n型のウェル領域22の一部と、n型のウェル領域22およびボディ領域23の間に形成されているn型領域7とがフィールド絶縁膜17から露出している。
ウェル領域22の表層部には、n型のドレイン領域25が形成されている。n型のドレイン領域25は、n型のウェル領域22よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。ドレイン領域25のn型不純物濃度は、たとえば、1.0×1016cm-3以上5.0×1017cm-3以下であってもよい。n型のドレイン領域25は、第1開口部17aにおいてフィールド絶縁膜17から露出している。
【0034】
p型のボディ領域23は、n型のドレイン領域25から第1方向Xに間隔をおいて形成されている。p型のボディ領域23の表層部には、n型のソース領域26が形成されている。
ソース領域26は、図3および図4に示すように、第1方向Xに沿う一対の第1縁部38と、第2方向Yに沿う一対の第2縁部39とによって形成された平面視四角形状に形成されていてもよい。ソース領域26の第1縁部38は、第1方向Xにおいてドレイン領域25に対向している。ソース領域26の第1縁部38の外縁は、ソース領域26の側部26aと定義してもよい。ソース領域26は、第1方向Xにおいて第1幅W1(一対の側部26a間の距離)を有している。第1幅W1は、たとえば、0.7μm以上1.0μm以下であってもよい。
【0035】
ソース領域26の第2縁部39は、図4に示すように、第1方向Xにおける端部において選択的に突出した突出部44を含んでいてもよい。突出部44は、一対の第2縁部39のそれぞれに形成されている。
ソース領域26は、n型の高濃度部26bと、高濃度部26bよりも不純物濃度が低いn型の低濃度部26cとを含んでいてもよい。高濃度部26bは、n型のウェル領域22よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。高濃度部26bのn型不純物濃度は、たとえば、1.0×1019cm-3以上1.0×1022cm-3以下であってもよい。一方、低濃度部26cは、n型のウェル領域22よりも低いn型不純物濃度を有していてもよい。低濃度部26cのn型不純物濃度は、たとえば、1.0×1017cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。
【0036】
高濃度部26bは、ソース領域26の内方部に形成されていてもよい。低濃度部26cは、第1方向Xにおいて高濃度部26bの両端部に一体的に形成され、第2方向Yに沿って延びるソース領域26の第1縁部38を形成していてもよい。高濃度部26bと低濃度部26cとの境界部40は、第2方向Yに沿って一対の第2縁部39間に形成されており、第2方向Yに沿ってソース領域26を分断している。また、ソース領域26の突出部44は、図4に示すように、低濃度部26cで形成されていてもよい。つまり、低濃度部26cは、突出部44を起点に第2方向Yに沿って直線状に延びていてもよい。
【0037】
また、p型のボディ領域23の表層部には、第2方向Yにソース領域26と隣接するp型のコンタクト領域27が形成されている。p型のコンタクト領域27は、本発明の不純物領域の一例である。p型のコンタクト領域27は、p型のボディ領域23よりも高い不純物濃度を有していてもよい。コンタクト領域27のp型不純物濃度は、たとえば、1.0×1019cm-3以上1.0×1022cm-3以下であってもよい。
【0038】
コンタクト領域27は、図3および図4に示すように、第1方向Xに沿う一対の第1縁部56と、第2方向Yに沿う一対の第2縁部57とによって形成された平面視四角形状に形成されていてもよい。コンタクト領域27の第1縁部56は、第1方向Xにおいてドレイン領域25に対向している。コンタクト領域27の第1縁部56の外縁は、コンタクト領域27の側部27aと定義してもよい。
【0039】
また、コンタクト領域27は、第2縁部57がソース領域26の第2縁部39に接することによって、ソース領域26に隣接している。また、コンタクト領域27の第2縁部57は、ソース領域26の一対の突出部44の間の領域に形成されており、一対の突出部44に挟まれている。他の言い方では、コンタクト領域27の第2縁部57は、ソース領域26の第2縁部39内に向かって選択的に突出していてもよい。
【0040】
コンタクト領域27は、第1方向Xにおいて第2幅W2(一対の側部27a間の距離)を有している。第2幅W2は、ソース領域26の第1幅W1よりも狭く、たとえば、0.5μm以上0.8μm以下であってもよい。これにより、図2に示すように、コンタクト領域27の側部27aは、第1方向Xにおいて、ソース領域26の側部26aよりもドレイン領域25から遠い位置に形成されている。第2方向Yに沿って交互に連続する複数の側部26aおよび複数の側部27aの観点では、コンタクト領域27の側部27aは、第2方向Yにおいて隣り合うソース領域26の一対の側部26aに対してドレイン領域25とは反対側に窪んでいる。
【0041】
図4に示すように、ソース領域26の第1縁部38は、コンタクト領域27の第1縁部56に対してドレイン領域25側に膨らんだ膨出部あってもよい。この膨出部は、ソース領域26の低濃度部26cで形成されていてもよい。ソース領域26の第1縁部38の膨出形状は、図3に示すように、平面視長方形状であってもよいし、図4に示すように、略半楕円形状であってもよい。図4の場合、ソース領域26の側部26a(第1縁部38の外縁)は、第2方向Yに沿って延びる直線部261aと、直線部261aの端部からコンタクト領域27の側部27aに向かって第2方向Yに傾斜して延び、側部27aに連続する傾斜部262aとを含んでいてもよい。傾斜部262aは、突出部44の外縁を形成していてもよい。
【0042】
また、ソース領域26の高濃度部26bと低濃度部26cとの境界部40は、図3に示すように、コンタクト領域27の側部27aの延長線上に形成されていてもよいし、図4に示すように、コンタクト領域27の側部27aよりも内側に形成されていてもよい。
図3の場合では、高濃度部26bの第1方向Xにおける幅W1´は、コンタクト領域27の第1方向Xにおける幅(W2)と略同じであってもよい。また、コンタクト領域27は、第2方向Yにおいて、ソース領域26の高濃度部26bに接続されている一方、低濃度部26cからボディ領域23を介して離れていてもよい。
【0043】
図4の場合では、高濃度部26bの第1方向Xにおける幅W1´は、コンタクト領域27の第1方向Xにおける幅(W2)よりも小さくてもよい。また、コンタクト領域27は、第2方向Yにおいて、ソース領域26の高濃度部26bに接続される部分と、低濃度部26c(突出部44)に接続される部分とを有している。
また、図2および図3に示すように、ソース領域26およびコンタクト領域27は、第2方向Yに交互に複数形成されている。図3に示すように、ソース領域26の第2方向Yにおける第1長さL1は、コンタクト領域27の第2方向Yにおける第2長さL2よりも大きい。すなわち、第1長さL1に対する第2長さL2の比L2/L1は、1よりも小さい。たとえば、比L2/L1は1/2である。
【0044】
ボディ領域23は、この実施形態では、図3に示すように、ソース領域26およびコンタクト領域27の繰り返し構造を取り囲むように平面視環状に形成されている。より具体的には、ボディ領域23は、第2方向Yに沿って延びる一対の側部54と、一対の側部54の同士を接続する一対の端部58とを一体的に含む長円環状に形成されている。
ボディ領域23の側部54は、図3に示すように、第1方向Xにおいてソース領域26の側部26aに対向する第1側部51と、第1方向Xにおいてコンタクト領域27の側部27aに対向する第2側部52とを含んでいてもよい。第1側部51は、ソース領域26の第1方向Xにおける両側にそれぞれ形成されている。一方、第2側部52は、コンタクト領域27の第1方向Xにおける両側にそれぞれ形成されている。第1側部51および第2側部52は、それぞれ第2方向Yに延びる直線状であってもよい。
【0045】
図3に示すように、第1主面3の表層部において、第2側部52は、第1側部51よりもコンタクト領域27側に形成されている。これにより、ボディ領域23の側部54は、第2側部52においてコンタクト領域27側へ窪んでいる。すなわち、ボディ領域23は、第1方向Xにおける第1側部51同士の間の距離WSが、第1方向における第2側部52同士の距離WCよりも大きい。
【0046】
ここで、第1方向Xにおける、ボディ領域23の第1側部51と、ソース領域26との距離を第3幅W3とする。また、第1方向Xにおける、ボディ領域23の第2側部52と、コンタクト領域27との距離を第4幅W4とする。そうすると、距離WSは、第1幅W1と、2つの第3幅W3との和となり(WS=W1+W3×2)、距離WCは、第2幅W2と、2つの第4幅W4との和となる(WC=W2+W4×2)。距離WSは、距離WCよりも大きい。
【0047】
また、ソース領域26の側方(第1方向X)に形成される第1チャネル領域32のチャネル長は第3幅W3となる。一方、コンタクト領域27の側方(第1方向X)に形成される第2チャネル領域33のチャネル長は第4幅W4となる。
この実施形態では、第1側部51およびソース領域26の距離(第3幅W3)が、第2側部52およびコンタクト領域27の距離(第4幅W4)の95%~105%の大きさであってもよい。つまり、第3幅W3が、第4幅W4と略同じである。したがって、第1チャネル領域32のチャネル長(第3幅W3)は、第2チャネル領域33のチャネル長(第4幅W4)と略同じになっている。
【0048】
また、ボディ領域23は、第1側部51および第2側部52を繋ぐ傾斜側部53を含む。傾斜側部53は、第1側部51から第2側部52に向かって徐々にコンタクト領域27に近づくように傾斜している。他の言い方では、平面視において、第1側部51と傾斜側部53との挟角、および第2側部52と傾斜側部53との挟角の少なくとも一方が、鈍角であってもよい。これにより、各挟角の部分においてボディ領域23に電界が集中することを抑制することができる。
【0049】
また、傾斜側部53とソース領域26との距離は、第5幅W5となる。第5幅W5は、第1方向Xに対して傾斜する方向に沿って測定することができる。
傾斜側部53は、ソース領域26およびコンタクト領域27の境界に対して、第1方向Xに重なるように形成されている。傾斜側部53は、ソース領域26に対して第1方向Xに重ならず、かつコンタクト領域27に対して第1方向Xに重なるように形成してもよい。
【0050】
また、ボディ領域23の側部54は、図4に示すように、交互に連続するソース領域26の第1縁部38およびコンタクト領域27の第1縁部56に沿って延びており、ソース領域26の第1縁部38の形状に沿って湾曲していてもよい。たとえば、第2方向Yにおいてコンタクト領域27の第1縁部56に平行に延びる直線状の側部59と、側部59から、ソース領域26の第1縁部38の膨出形状に合わせて湾曲した形状でドレイン領域25側に膨らむ側部60とを含んでいてもよい。
【0051】
図5および図6に示すように、フィールド絶縁膜17の第2開口部17bの内側における第1主面3には、ゲート絶縁膜28が形成されている。ゲート絶縁膜28は、ウェル領域22、ドリフト領域21およびボディ領域23に跨がるように形成されている。ソース領域26の高濃度部26bおよびコンタクト領域27は、ゲート絶縁膜28から露出している。ゲート絶縁膜28は、たとえば、第1主面3を熱酸化して形成したシリコン酸化膜であってもよい。また、ゲート絶縁膜28の厚さは、たとえば、0.4μm以上1.0μm以下であってもよい。
【0052】
第1主面3には、ゲート絶縁膜28を介してゲート電極29が形成されている。ゲート電極29は、ゲート絶縁膜28およびフィールド絶縁膜17を選択的に覆うように形成されている。ゲート電極29は、たとえば、ポリシリコンまたはアルミニウム等の導電材料を含んでいてもよい。ゲート電極29の厚さは、たとえば、0.4μm以上1.0μm以下であってもよい。ゲート電極29の側壁は、絶縁膜であるサイドウォール31によって覆われている。
【0053】
ゲート電極29がゲート絶縁膜28を介してボディ領域23と対向する領域が、LDMOS20のチャネル領域32,33である。チャネル領域32,33のチャネルの形成は、ゲート電極29によって制御される。チャネル領域32,33は、ソース領域26とドリフト領域21との間でボディ領域23に形成される第1チャネル領域32と、コンタクト領域27とドリフト領域21との間でボディ領域23に形成される第2チャネル領域33とを含む。
【0054】
第1主面3には、ゲート電極29およびフィールド絶縁膜17を覆うように層間絶縁膜34が形成されている。層間絶縁膜34は、たとえば、酸化膜および窒化膜の少なくとも一方を含む絶縁膜によって形成されている。なお、層間絶縁膜34は、複数層の層間絶縁膜によって形成されていてもよい。
層間絶縁膜34には、ドレイン開口35、ソース開口36およびバックゲート開口37が形成されている。ドレイン開口35、ソース開口36およびバックゲート開口37は、層間絶縁膜34をその厚み方向(法線方向Z)に貫通している。
【0055】
ドレイン開口35は、平面視でドレイン領域25に重なる位置に形成されている。図2に示すように、ドレイン開口35は、第2方向Yに沿って配列された複数個のドレイン開口35を含んでいてもよい。各ドレイン開口35は、平面視四角形状であってもよい。また、図示はしないが、ドレイン開口35は、第2方向Yに沿って長い1つのドレイン開口35を含んでいてもよい。
【0056】
ソース開口36は、平面視でソース領域26に重なる位置に形成されている。バックゲート開口37は、平面視でコンタクト領域27に重なる位置に形成されている。ソース開口36およびバックゲート開口37は、それぞれ、各ソース領域26および各コンタクト領域27に対して1つずつ形成されていてもよいし、複数個形成されていてもよい。また、各ソース領域26および各コンタクト領域27に対して、ソース開口36およびバックゲート開口37の一方が複数形成され、他方が1つ形成されていてもよい。各ソース開口36およびバックゲート開口37は、平面視四角形状であってもよい。
【0057】
この実施形態では、ソース領域26の第1長さL1がコンタクト領域27の第2長さL2よりも長いため、各ソース領域26に対してソース開口36が複数個形成され、各コンタクト領域27に対してバックゲート開口37が1つ形成されている。たとえば、図3に示すように、第2方向Yに沿って、2つ1セットのソース開口36および1つのバックゲート開口37が交互に配列されている。これにより、コンタクト領域27に対して相対的に広い面積を有するソース領域26に対する全体としてのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0058】
図5に示すように、ドレイン開口35の内部には、ドレインコンタクト電極41が形成されている。ドレインコンタクト電極41は、ドレイン領域25に接続されている。ソース開口36の内部には、ソースコンタクト電極42が形成されている。また、ソースコンタクト電極42は、ソース領域26に接続されている。
図6に示すように、バックゲート開口37の内部には、バックゲートコンタクト電極43が形成されている。バックゲートコンタクト電極43は、コンタクト領域27に接続されている。
【0059】
ドレインコンタクト電極41、ソースコンタクト電極42およびバックゲートコンタクト電極43は、Ti系金属膜(Ti膜およびTiN膜のうちの少なくとも1つ)によって形成されている。
層間絶縁膜34上には、ドレイン配線45、ソース配線46およびバックゲート配線47が形成されている。ドレイン配線45は、ドレインコンタクト電極41に接続されている。ソース配線46は、ソースコンタクト電極42に接続されている。また、バックゲート配線47は、バックゲートコンタクト電極43に接続されている。
【0060】
ドレイン配線45、ソース配線46およびバックゲート配線47は、Ti系金属膜、Al系金属膜、およびTi系金属膜を含む積層構造を有していてもよい。Al系金属膜は、純Al膜(純度が99%以上のAl膜)、AlSi合金膜、AlCu合金膜およびAlSiCu合金膜のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
こうして、ドレイン配線45は、ドレインコンタクト電極41を介してドレイン領域25に電気的に接続されている。ソース配線46は、ソースコンタクト電極42を介してソース領域26に電気的に接続されている。また、バックゲート配線47は、バックゲートコンタクト電極43を介してコンタクト領域27に電気的に接続されている。
【0061】
(半導体装置1の作用効果)
たとえば、ソース-ドレイン間の短チャネルを抑制するために、チャネル長を一定以上にする場合がある。この半導体装置1では、図2図4に示すように、ソース領域26がコンタクト領域27よりもドレイン領域25側に膨らんでいて、第1方向Xにおいて幅広である。そのため、ソース領域26から第1方向Xに沿うチャネル長を基準にしてチャネル長を一律に設定したのでは、コンタクト領域27から第1方向Xに沿うチャネル長が必要以上に長くなる場合がある。
【0062】
そこで、半導体装置1では、図3に示すように、コンタクト領域27の側方(第1方向X)におけるボディ領域23の第2側部52が、ソース領域26の側方(第1方向X)におけるボディ領域23の第1側部51よりもコンタクト領域27側に形成されている。これにより、ボディ領域23の側部54が平坦である構成に比べて、ボディ領域23の第1側部51およびソース領域26の間に形成される第1チャネル領域32のチャネル長(第3幅W3)と、ボディ領域23の第2側部52およびコンタクト領域27の間に形成される第2チャネル領域33のチャネル長(第4幅W4)との差を小さくすることができる。これにより、第1チャネル領域32については短チャネルを抑制するためのチャネル長を確保しつつ、第2チャネル領域33についてはチャネル長を短くしてチャネル抵抗を低減することができる。
【0063】
一方、第2チャネル領域33の短チャネルの抑制に関しては、ソース領域26から第1方向Xに傾斜する方向に沿うチャネル長(たとえば、傾斜側部53とソース領域26との距離(第5幅W5))が短チャネルを抑制できるだけの距離であればよい。つまり、第5幅W5の大きさが第3幅W3と略同じ範囲内であれば短チャネルを抑制できるので、この条件の下、第4幅W4を狭めることによってチャネル抵抗をさらに低減することができる。
【0064】
(半導体装置1の製造方法)
次に、図7A図7Sを参照して、半導体装置1の製造工程について説明する。図7A図7Sは、前述の半導体装置1の製造工程を示す縦断面図である。
図7Aを参照して、p型の半導体ウエハ10が用意される。半導体ウエハ10には、個々の半導体装置1となる領域を区画するデバイス領域切断予定ラインが設定される。半導体ウエハ10は、半導体装置1のp型領域6に対応する。次に、第1レジストマスク61を介して半導体ウエハ10の主面の表層部に、p型不純物が導入される。これにより、半導体ウエハ10の主面の表層部に第1導入部14aが形成される。その後、第1レジストマスク61が、半導体ウエハ10から除去される。
【0065】
次に、図7Bを参照して、エピタキシャル成長法によって、半導体ウエハ10の主面からSi、SiC等の半導体材料がエピタキシャル成長され、n型のエピタキシャル層が形成される。このエピタキシャル層は、n型領域7に対応する。これにより、p型領域6およびn型領域7を含む半導体ウエハ構造体12が形成される。半導体ウエハ構造体12は、第1主面3に対応する第1ウエハ主面93と、第2主面4に対応する第2ウエハ主面94とを含む。このとき、半導体ウエハ10の主面に導入された第1導入部14aのp型不純物がn型領域7に拡散する。これにより、p型の第1ピラー領域14が形成される。
【0066】
なお、p型の不純物としては、たとえば、B(ホウ素)またはAl(アルミニウム)等を挙げることができ、n型の不純物としては、たとえばP(リン)またはAs(砒素)等を挙げることができる。
次に、図7Cを参照して、第2レジストマスク62を介して半導体ウエハ構造体12における第1ウエハ主面93の表層部に、p型の不純物が導入される。これにより、半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93の表層部に第2導入部15aが形成される。その後、第2レジストマスク62が除去される。
【0067】
次に、図7Dおよび図7Eを参照して、第3レジストマスク63を介して半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93の表層部に、p型不純物が導入される。ここで、図7Dは、図5に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域26が形成される部分を示す図である。図7Eは、図6に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域27が形成される部分を示す図である。第3レジストマスク63は、ボディ領域23を形成する領域に対応する開口63aを有している。これにより、半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93の表層部に第3導入部23aが形成される。
【0068】
このとき、図7Dに示すようにソース領域26が形成される領域では、第3レジストマスク63の開口63aを第1方向Xにおいて比較的幅広とすることによって、第1ウエハ主面93の表層部に広い幅Waでp型不純物が導入される。一方、図7Eに示すようにコンタクト領域27が形成される領域では、第3レジストマスク63の開口63aを第1方向Xにおいて比較的幅狭とすることによって、第1ウエハ主面93の表層部に幅Waよりも狭い幅Wbでp型不純物が導入される。その後、第3レジストマスク63が除去される。
【0069】
次に、図7Fおよび図7Gを参照して、第4レジストマスク64を介して半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93の表層部に、n型不純物が導入される。ここで、図7Fは、図5に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域26が形成される部分を示す図である。図7Gは、図6に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域27が形成される部分を示す図である。第4レジストマスク64は、ウェル領域22を形成する領域に対応する開口64aを有している。これにより、半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93の表層部に第4導入部22aが形成される。その後、第4レジストマスク64が除去される。
【0070】
次に、図7Hおよび図7Iを参照して、半導体ウエハ構造体12を熱処理することによって、第2導入部15aおよび第3導入部23aのp型不純物と、第4導入部22aのn型不純物とが半導体ウエハ構造体12中に拡散する。ここで、図7Hは、図5に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域26が形成される部分を示す図である。図7Iは、図6に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域27が形成される部分を示す図である。これにより、第2導入部15aから第2ピラー領域15が形成され、第3導入部23aからボディ領域23が形成され、第4導入部22aからn型のウェル領域22が形成される。
【0071】
次に、図7Jを参照して、CVD法や熱酸化処理法によって、半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93にフィールド絶縁膜17が形成される。次に、フィールド絶縁膜17の第1開口部17aおよび第2開口部17bから露出する第1ウエハ主面93が、熱酸化される。これにより、ゲート絶縁膜28が形成される。なお、フィールド絶縁膜17およびゲート絶縁膜28は、どちらが先に形成されてもよい。
【0072】
次に、図7Kを参照して、ゲート電極29が形成される。たとえば、CVD法によってゲート電極29用のベース電極層(この実施形態では、導電性ポリシリコン層)がフィールド絶縁膜17およびゲート絶縁膜28を覆うように形成される。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチングによってベース電極層の不要部分が除去されることによって、ゲート電極29が形成される。このときのエッチングは、ウエットエッチングであってもよいし、ドライエッチングであってもよい。
【0073】
次に、図7Lを参照して、レジストマスク(図示せず)およびゲート電極29をマスクとして、n型不純物がボディ領域23の表層部に導入される。これにより、ソース領域26の低濃度部26cが、ボディ領域23の表層部にゲート電極29に対して自己整合的に形成される。
次に、図7Mを参照して、ゲート電極29の側壁を覆うサイドウォール31が形成される。サイドウォール31の形成工程では、たとえば、サイドウォール31用のベース絶縁膜(図示せず)が、ゲート電極29を覆うようにフィールド絶縁膜17上に形成される。次に、ベース絶縁膜においてゲート電極29の側壁を覆う部分が残存するように、ドライエッチング等のエッチングによって、ベース絶縁膜が選択的に除去される。
【0074】
次に、図7Nを参照して、レジストマスク(図示せず)、フィールド絶縁膜17およびサイドウォール31を介して、ウェル領域22の表層部およびボディ領域23の表層部にn型不純物が導入される。これにより、n型のドレイン領域25がフィールド絶縁膜17に対して自己整合的に形成され、ソース領域26の高濃度部26bがサイドウォール31に対して自己整合的に形成される。ソース領域26は、ボディ領域23の表層部において第1方向Xに間隔を空けて形成される。
【0075】
次に、図7Oを参照して、レジストマスク(図示せず)およびサイドウォール31を介してボディ領域23の表層部にp型不純物が導入される。これにより、コンタクト領域27がサイドウォール31に対して自己整合的に形成される。コンタクト領域27は、ソース領域26と第2方向Yに沿って交互に形成される。
次に、図7Pおよび図7Qを参照して、たとえばCVD法によって、フィールド絶縁膜17およびゲート電極29を覆うように層間絶縁膜34が形成される。ここで、図7Pは、図5に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域26が形成される部分を示す図である。図7Qは、図6に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域27が形成される部分を示す図である。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチングによって、層間絶縁膜34の不要部分が除去される。これにより、複数のドレイン開口35、複数のソース開口36および複数のバックゲート開口37が層間絶縁膜34に形成される。
【0076】
次に、たとえばスパッタ法によって、Ti系金属膜(Ti膜およびTiN膜のうちの少なくとも1つ)が、複数のドレイン開口35の壁面、複数のソース開口36の壁面および複数のバックゲート開口37の壁面および層間絶縁膜34の主面に沿って膜状に形成される。次に、たとえばCVD法によって、タングステン(W)膜が、Ti系金属膜を覆うように形成される。タングステン膜は、Ti系金属膜を挟んで複数のドレイン開口35、複数のソース開口36および複数のバックゲート開口37に埋め込まれ、Ti膜を挟んで層間絶縁膜34の主面を覆う。
【0077】
その後、タングステン膜の不要部分およびTi系金属膜の不要部分が、エッチングによって除去される。これにより、ドレインコンタクト電極41、ソースコンタクト電極42およびバックゲートコンタクト電極43が形成される。
次に、図7Rおよび図7Sを参照して、たとえばスパッタ法によって、ドレイン配線45、ソース配線46およびバックゲート配線47用の導電材料が、層間絶縁膜34上に形成される。ここで、図7Rは、図5に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域26が形成される部分を示す図である。図7Sは、図6に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域27が形成される部分を示す図である。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチングによって当該導電材料の不要部分が除去される。これにより、層間絶縁膜34上にドレイン配線45、ソース配線46およびバックゲート配線47が形成される。
その後、半導体ウエハ構造体12が切断予定ラインに沿って切断される。これにより、一枚の半導体ウエハ構造体12から複数の半導体装置1が切り出される。
【0078】
[第2実施形態]
(半導体装置71の構成)
図8は、CMOS領域16を示す模式的な平面図である。図9は、CMOS領域16のnチャネルMOSFETの拡大平面図である。図10は、ゲート電極129を斜め上方から見た図である。図11は、図9の一部をさらに拡大して示す図である。図12は、図9に示すXII-XII線に沿う断面図である。図13は、図9に示すXIII-XIII線に沿う断面図である。
【0079】
次に、図8図13を参照して、本発明の第2実施形態に係る半導体装置71の構成について説明する。なお、以下では、上記第1実施形態に係る半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置71は、前述の半導体チップ2を含んでいる。なお、図12および図13では、p型領域6を省略して示している。半導体チップ2のn型領域7の表層部には、素子分離部68が形成されている。素子分離部68は、たとえばSTI(Shallow Trench Isolation)等の絶縁膜であってもよい。
【0080】
半導体装置71は、図8に示すように、素子分離部68によって区画された複数のデバイス領域8の一例として、CMOSFET(Complementary Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されたCMOS領域16を含む。CMOS領域16は、素子分離部68によって他のデバイス領域8から絶縁分離されている。
CMOS領域16には、素子分離部68によってさらに絶縁分離されたnチャネルMOSFET70およびpチャネルMOSFET80が形成されている。以下では、nチャネルMOSFET70およびpチャネルMOSFET80のうち、nチャネルMOSFET70の構造について詳細に説明し、pチャネルMOSFET80の構造説明は省略する。pチャネルMOSFET80の構造は、nチャネルMOSFET70のn型半導体部分とp型半導体部分とを反転させればよい。
【0081】
nチャネルMOSFET70は、n型領域7の第1主面3の表層部に形成されたp型(第2導電型)のウェル領域55を含む。ウェル領域55は、ドリフト領域と称してもよい。p型のウェル領域55のp型不純物濃度は、1.0×1016cm-3以上5.0×1017cm-3以下であってもよい。ウェル領域55の表層部は、素子分離部68によって区画されている。ウェル領域55は、第1主面3から素子分離部68の底部よりも深く形成されており、素子分離部68の底部を下側から覆っている。この実施形態では、ウェル領域55は、素子分離部68の底部に接する端部55aを有している。
【0082】
nチャネルMOSFET70は、n型のドレイン領域125、n型のソース領域126およびp型のコンタクト領域127を含む。p型のコンタクト領域127は、本発明の不純物領域の一例である。n型のドレイン領域125、n型のソース領域126およびp型のコンタクト領域127は、ウェル領域55の表層部に形成されている。n型のドレイン領域125は、n型領域7よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。ドレイン領域125のn型不純物濃度は、たとえば、1.0×1019cm-3以上1.0×1022cm-3以下であってもよい。p型のコンタクト領域127のp型不純物濃度は、たとえば、1.0×1019cm-3以上1.0×1022cm-3以下であってもよい。
【0083】
ドレイン領域125は、第2方向Yに沿って長い長尺状に形成されている。より具体的には、ドレイン領域125は、第2方向Yに沿って延びる一対の側部84と、一対の側部84の同士を接続する一対の端部85とを一体的に含む形状に形成されている。
ソース領域126は、図9および図11に示すように、第1方向Xに沿う一対の第1縁部138と、第2方向Yに沿う一対の第2縁部139とによって形成された平面視四角形状に形成されていてもよい。ソース領域126の第1縁部138は、第1方向Xにおいてドレイン領域125に対向している。ソース領域126の第1縁部138の外縁は、ソース領域126の側部126aと定義してもよい。ソース領域126は、第1方向Xにおいて第1幅H1(一対の側部126a間の距離)を有している。第1幅H1は、たとえば、0.7μm以上1.0μm以下であってもよい。
【0084】
ソース領域126の第2縁部139は、図11に示すように、第1方向Xにおける端部において選択的に突出した突出部144を含んでいてもよい。突出部144は、一対の第2縁部139のそれぞれに形成されている。
ソース領域126は、n型の高濃度部126bと、高濃度部126bよりも不純物濃度が低いn型の低濃度部126cとを含んでいてもよい。高濃度部126bは、n型領域7よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。高濃度部126bのn型不純物濃度は、たとえば、1.0×1019cm-3以上1.0×1022cm-3以下であってもよい。一方、低濃度部126cは、n型領域7よりも低いn型不純物濃度を有していてもよい。低濃度部126cのn型不純物濃度は、たとえば、1.0×1017cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。
【0085】
高濃度部126bは、ソース領域126の内方部に形成されていてもよい。低濃度部126cは、第1方向Xにおいて高濃度部126bの両端部に一体的に形成され、第2方向Yに沿って延びるソース領域126の第1縁部138を形成していてもよい。高濃度部126bと低濃度部126cとの境界部140は、第2方向Yに沿って一対の第2縁部139間に形成されており、第2方向Yに沿ってソース領域126を分断している。また、ソース領域126の突出部144は、図11に示すように、低濃度部126cで形成されていてもよい。つまり、低濃度部126cは、突出部144を起点に第2方向Yに沿って直線状に延びていてもよい。
【0086】
コンタクト領域127は、図9および図11に示すように、第1方向Xに沿う一対の第1縁部156と、第2方向Yに沿う一対の第2縁部157とによって形成された平面視四角形状に形成されていてもよい。コンタクト領域127の第1縁部156は、第1方向Xにおいてドレイン領域125に対向している。コンタクト領域127の第1縁部156の外縁は、コンタクト領域127の側部127aと定義してもよい。
【0087】
また、コンタクト領域127は、第2縁部157がソース領域126の第2縁部139に接することによって、ソース領域126に隣接している。また、コンタクト領域127の第2縁部157は、ソース領域126の一対の突出部144の間の領域に形成されており、一対の突出部144に挟まれている。他の言い方では、コンタクト領域127の第2縁部157は、ソース領域126の第2縁部139内に向かって選択的に突出していてもよい。
【0088】
コンタクト領域127は、第1方向Xにおいて第2幅H2(一対の側部127a間の距離)を有している。第2幅H2は、ソース領域126の第1幅H1よりも狭く、たとえば、0.5μm以上0.8μm以下であってもよい。これにより、図9に示すように、コンタクト領域127の側部127aは、第1方向Xにおいて、ソース領域126の側部126aよりもドレイン領域125から遠い位置に形成されている。第2方向Yに沿って交互に連続する複数の側部126aおよび複数の側部127aの観点では、コンタクト領域127の側部127aは、第2方向Yにおいて隣り合うソース領域126の一対の側部126aに対してドレイン領域125とは反対側に窪んでいる。
【0089】
図11に示すように、ソース領域126の第1縁部138は、コンタクト領域127の第1縁部156に対してドレイン領域125側に膨らんだ膨出部あってもよい。この膨出部は、ソース領域126の低濃度部126cで形成されていてもよい。ソース領域126の第1縁部138の膨出形状は、図9に示すように、平面視長方形状であってもよいし、図11に示すように、略半楕円形状であってもよい。図11の場合、ソース領域126の側部126a(第1縁部138の外縁)は、第2方向Yに沿って延びる直線部263aと、直線部263aの端部からコンタクト領域127の側部127aに向かって第2方向Yに傾斜して延び、側部127aに連続する傾斜部264aとを含んでいてもよい。傾斜部264aは、突出部144の外縁を形成していてもよい。
【0090】
また、ソース領域126の高濃度部126bと低濃度部126cとの境界部140は、図9に示すように、コンタクト領域127の側部127aの延長線上に形成されていてもよいし、図11に示すように、コンタクト領域127の側部127aよりも内側に形成されていてもよい。
図9の場合では、高濃度部126bの第1方向Xにおける幅H1´は、コンタクト領域127の第1方向Xにおける幅(H2)と略同じであってもよい。また、コンタクト領域127は、第2方向Yにおいて、ソース領域126の高濃度部126bに接続されている一方、低濃度部126cからウェル領域55を介して離れていてもよい。
【0091】
図11の場合では、高濃度部126bの第1方向Xにおける幅H1´は、コンタクト領域127の第1方向Xにおける幅(H2)よりも小さくてもよい。また、コンタクト領域127は、第2方向Yにおいて、ソース領域126の高濃度部126bに接続される部分と、低濃度部126c(突出部144)に接続される部分とを有している。
また、図9および図11に示すように、ソース領域126およびコンタクト領域127は、第2方向Yに交互に複数形成されている。図9に示すように、ソース領域126の第2方向Yにおける第1長さL1は、コンタクト領域127の第2方向Yにおける第2長さL2よりも大きい。すなわち、第1長さL1に対する第2長さL2の比L2/L1は、1よりも小さい。たとえば、比L2/L1は1/2である。
【0092】
第1主面3には、ゲート絶縁膜128が形成されている。ゲート絶縁膜128は、ドレイン領域125とソース領域126との間に跨るように形成されている。ゲート絶縁膜128は、たとえば第1主面3を熱酸化して形成したシリコン酸化膜であってもよい。また、ゲート絶縁膜128の厚さは、たとえば、0.4μm以上1.0μm以下であってもよい。
【0093】
第1主面3には、ゲート絶縁膜128を介してゲート電極129が形成されている。ゲート電極129は、たとえば、ポリシリコンまたはアルミニウム等の導電材料を含んでいてもよい。ゲート電極129の厚さは、たとえば、0.4μm以上1.0μm以下であってもよい。
ゲート電極129がゲート絶縁膜128を介してウェル領域55と対向する領域が、nチャネルMOSFET70のチャネル領域72,73である。チャネル領域72,73のチャネルの形成は、ゲート電極129によって制御される。チャネル領域72,73は、ソース領域126とドレイン領域125との間でウェル領域55に形成される第1チャネル領域72と、コンタクト領域127とドレイン領域125との間でウェル領域55に形成される第2チャネル領域73とを含む。
【0094】
ゲート電極129は、この実施形態では、図9に示すように、ソース領域126およびコンタクト領域127の繰り返し構造を取り囲むように平面視環状に形成されている。より具体的には、ゲート電極129は、第2方向Yに沿って延びる一対の側部131と、一対の側部131の同士を接続する一対の端部132とを一体的に含む細長い環状に形成されており、その中央に、ソース領域126およびコンタクト領域127を露出させる開口100が形成されている。開口100は、第2方向Yに沿って細長い形状に形成されており、ソース領域126およびコンタクト領域127の繰り返し構造を一体的に露出させている。
【0095】
ゲート電極129の側部131は、図9および図11に示すように、第1方向Xにおいてソース領域126の側部126aに対向する第1側部151と、第1方向Xにおいてコンタクト領域127の側部127aに対向する第2側部152とを含んでいてもよい。第1側部151は、ソース領域126の第1方向Xにおける両側にそれぞれ形成されている。一方、第2側部152は、コンタクト領域127の第1方向Xにおける両側にそれぞれ形成されている。第1側部151および第2側部152は、それぞれ第2方向Yに延びる直線状であってもよい。
【0096】
図9および図11に示すように、第1主面3の表層部において、第2側部152は、第1側部151よりもコンタクト領域127側に形成されている。これにより、ゲート電極129の側部131は、第2側部152においてコンタクト領域127側へ窪んでいる。すなわち、ゲート電極129は、第1方向Xにおける第1側部151同士の間の距離HSが、第1方向における第2側部152同士の距離HCよりも大きい。
【0097】
また、ゲート電極129は、第1側部151および第2側部152を繋ぐ傾斜側部153を含む。傾斜側部153は、第1側部151から第2側部152に向かって徐々にコンタクト領域127に近づくように傾斜している。他の言い方では、平面視において、第1側部151と傾斜側部153との挟角、および第2側部152と傾斜側部153との挟角の少なくとも一方が、鈍角であってもよい。これにより、各挟角の部分においてゲート電極129に電界が集中することを抑制することができる。
【0098】
傾斜側部153は、ソース領域126およびコンタクト領域127の境界に対して、第1方向Xに重なるように形成されている。傾斜側部153は、ソース領域126に対して第1方向Xに重ならず、かつコンタクト領域127に対して第1方向Xに重なるように形成してもよい。
また、ゲート電極129は、開口100を形成する第3側部101を有していてもよい。第3側部101は、第2方向Yに沿ってソース領域126およびコンタクト領域127の繰り返し構造に連続して跨る直線状に形成されていてもよい。
【0099】
ドレイン領域125は、ゲート電極129の側部131に隣接しており、ゲート電極129の側部131に対して自己整合的に形成されている。つまり、ドレイン領域125の側部84は、ゲート電極129の第1側部151、傾斜側部153および第2側部152の連続形状に沿って形成された形状を有している。ここで、自己整合的とは、たとえば、ドレイン領域125が、ゲート電極129をマスクとして使用するイオン注入によって導入された不純物によって形成され、ドレイン領域125の側部84の形状が、ゲート電極129の側部131の形状によって決定されることであってもよい。
【0100】
したがって、この実施形態では、ドレイン領域125の側部84は、図9図11に示すように、第1方向Xにおいてソース領域126の側部126aに対向する第1側部81と、第1方向Xにおいてコンタクト領域127の側部127aに対向する第2側部82とを含んでいてもよい。第1側部81は、ソース領域126の第1方向Xにおける両側にそれぞれ形成されている。一方、第2側部82は、コンタクト領域127の第1方向Xにおける両側にそれぞれ形成されている。第1側部81および第2側部82は、それぞれ第2方向Yに延びる直線状であってもよい。
【0101】
図9に示すように、第1主面3の表層部において、第2側部82は、第1側部81よりもコンタクト領域127側に形成されている。これにより、ドレイン領域125の側部84は、第2側部82においてコンタクト領域127側へ突出している。
また、ドレイン領域125は、第1側部81および第2側部82を繋ぐ傾斜側部83を含む。傾斜側部83は、第1側部81から第2側部82に向かって徐々にコンタクト領域127に近づくように傾斜している。他の言い方では、平面視において、第1側部81と傾斜側部83との挟角、および第2側部82と傾斜側部83との挟角の少なくとも一方が、鈍角であってもよい。これにより、各挟角においてドレイン領域125に電界が集中することを抑制することができる。
【0102】
傾斜側部83は、ソース領域126およびコンタクト領域127の境界に対して、第1方向Xに重なるように形成されている。傾斜側部83は、ソース領域126に対して第1方向Xに重ならず、かつコンタクト領域127に対して第1方向Xに重なるように形成してもよい。
また、ドレイン領域125の側部84は、図11に示すように、交互に連続するソース領域126の第1縁部138およびコンタクト領域127の第1縁部156に沿って延びており、ソース領域126の第1縁部138の形状に沿って湾曲していてもよい。たとえば、ドレイン領域125の側部84は、第2方向Yにおいてコンタクト領域127の第1縁部156に平行に延びる直線状の側部86と、側部86から、ソース領域126の第1縁部138の膨出形状に合わせて湾曲した形状でドレイン領域125側に膨らむ側部87とを含んでいてもよい。また、ゲート電極129は、図11に示すように、ドレイン領域125の側部84を覆っていてもよい。
【0103】
つまり、ゲート電極129は、後述するようにエッチングによって形成されるため、図9および図10に示すように、それぞれ直線状の第1側部81、第2側部82および傾斜側部83が明確に区別されていてもよい。たとえば、第1側部81、第2側部82および傾斜側部83のそれぞれの境界に挟角が形成されていてもよい。一方、ドレイン領域125は、ゲート電極129をマスクとするイオン注入後、不純物の熱拡散によって形成される。そのため、ゲート電極129とは異なり、第1側部51、第2側部52および傾斜側部53の各境界がラウンド形状となり、図11に示すように、各側部151~153を区別することが困難な場合がある。その場合に、ドレイン領域125の側部84は、図11に示すように、側部86および側部87を有していてもよい。
【0104】
ここで、図9に示すように、第1主面3の表層部において、ドレイン領域125の第1側部81と、ソース領域126との距離を第3幅H3とする。また、第1主面3の表層部において、ドレイン領域125の第2側部82と、コンタクト領域127との距離を第4幅H4とする。そうすると、図12および図13に示すように、ソース領域126の側方(第1方向X)に形成される第1チャネル領域72のチャネル長は第3幅H3となる。一方、コンタクト領域127の側方(第1方向X)に形成される第2チャネル領域73のチャネル長は第4幅H4となる。
【0105】
この実施形態では、第1側部81およびソース領域126の距離(第3幅H3)が、第2側部82およびコンタクト領域127の距離(第4幅H4)の95%~105%の大きさであってもよい。つまり、第3幅H3が、第4幅H4と略同じである。したがって、第1チャネル領域72のチャネル長(第3幅H3)は、第2チャネル領域73のチャネル長(第4幅H4)と略同じになっている。
【0106】
また、ドレイン領域125は、ソース領域126とは反対側(第1方向Xにおいてソース領域126に対向しない)に第3側部102を有していてもよい。第3側部102は、素子分離部68との境界をなしており、第2方向Yに沿って直線状に形成されていてもよい。
また、ドレイン領域125は、第1方向Xにおいて、第6幅H6および第7幅H7を有している。第6幅H6は、第1側部81と第3側部102との距離であり、第7幅H7は、第2側部82と第3側部102との距離であってもよい。第2側部82がコンタクト領域127側に突出していることから、第7幅H7は、第6幅H6よりも大きい。
【0107】
第1主面3には、ゲート電極129を覆うように層間絶縁膜134が形成されている。層間絶縁膜134は、たとえば、酸化膜および窒化膜の少なくとも一方を含む絶縁膜によって形成されている。なお、層間絶縁膜134は、複数層の層間絶縁膜によって形成されていてもよい。
層間絶縁膜134には、ドレイン開口135、ソース開口136およびバックゲート開口137が形成されている。ドレイン開口135、ソース開口136およびバックゲート開口137は、層間絶縁膜134をその厚み方向(法線方向Z)に貫通している。
【0108】
ドレイン開口135は、平面視でドレイン領域125に重なる位置に形成されている。図9に示すように、ドレイン開口135は、第2方向Yに沿って配列された複数個のドレイン開口135を含んでいてもよい。各ドレイン開口135は、平面視四角形状であってもよい。また、図示はしないが、ドレイン開口135は、第2方向Yに沿って長い1つのドレイン開口135を含んでいてもよい。
【0109】
ソース開口136は、平面視でソース領域126に重なる位置に形成されている。バックゲート開口137は、平面視でコンタクト領域127に重なる位置に形成されている。ソース開口136およびバックゲート開口137は、それぞれ、各ソース領域126および各コンタクト領域127に対して1つずつ形成されていてもよいし、複数個形成されていてもよい。また、各ソース領域126および各コンタクト領域127に対して、ソース開口136およびバックゲート開口137の一方が複数形成され、他方が1つ形成されていてもよい。各ソース開口136およびバックゲート開口137は、平面視四角形状であってもよい。
【0110】
この実施形態では、ソース領域126の第1長さL1がコンタクト領域127の第2長さL2よりも長いため、各ソース領域126に対してソース開口136が複数個形成され、各コンタクト領域127に対してバックゲート開口137が1つ形成されている。たとえば、図9に示すように、第2方向Yに沿って、2つ1セットのソース開口136および1つのバックゲート開口137が交互に配列されている。これにより、コンタクト領域127に対して相対的に広い面積を有するソース領域126に対する全体としてのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0111】
図12に示すように、ドレイン開口135の内部には、ドレインコンタクト電極141が形成されている。ドレインコンタクト電極141は、ドレイン領域125に接続されている。ソース開口136の内部には、ソースコンタクト電極142が形成されている。また、ソースコンタクト電極142は、ソース領域126に接続されている。
図13に示すように、バックゲート開口137の内部には、バックゲートコンタクト電極143が形成されている。バックゲートコンタクト電極143は、コンタクト領域127に接続されている。
【0112】
ドレインコンタクト電極141、ソースコンタクト電極142およびバックゲートコンタクト電極143は、Ti系金属膜(Ti膜およびTiN膜のうちの少なくとも1つ)によって形成されている。
層間絶縁膜134上には、ドレイン配線145、ソース配線146およびバックゲート配線147が形成されている。ドレイン配線145は、ドレインコンタクト電極141に接続されている。ソース配線146は、ソースコンタクト電極142に接続されている。また、バックゲート配線147は、バックゲートコンタクト電極143に接続されている。
【0113】
ドレイン配線145、ソース配線146およびバックゲート配線147は、Ti系金属膜、Al系金属膜、およびTi系金属膜を含む積層構造を有していてもよい。Al系金属膜は、純Al膜(純度が99%以上のAl膜)、AlSi合金膜、AlCu合金膜およびAlSiCu合金膜のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
こうして、ドレイン配線145は、ドレインコンタクト電極141を介してドレイン領域125に電気的に接続されている。ソース配線146は、ソースコンタクト電極142を介してソース領域126に電気的に接続されている。また、バックゲート配線147は、バックゲートコンタクト電極143を介してコンタクト領域127に電気的に接続されている。
【0114】
(半導体装置71の作用効果)
たとえば、ソース-ドレイン間の短チャネルを抑制するために、チャネル長を一定以上にする場合がある。この半導体装置71では、図9図11に示すように、ソース領域126がコンタクト領域127よりもドレイン領域125側に膨らんでいて、第1方向Xにおいて幅広である。そのため、ソース領域126から第1方向Xに沿うチャネル長を基準にしてチャネル長を一律に設定したのでは、コンタクト領域127から第1方向Xに沿うチャネル長が必要以上に長くなる場合がある。
【0115】
そこで、半導体装置71では、図9および図11に示すように、コンタクト領域127の側方(第1方向X)におけるドレイン領域125の第2側部82が、ソース領域126の側方(第1方向X)におけるドレイン領域125の第1側部81よりもコンタクト領域127側に形成されている。これにより、ドレイン領域125の側部84が平坦である構成に比べて、ドレイン領域125の第1側部81およびソース領域126の間に形成される第1チャネル領域72のチャネル長(第3幅H3)と、ドレイン領域125の第2側部82およびコンタクト領域127の間に形成される第2チャネル領域73のチャネル長(第4幅H4)との差を小さくすることができる。これにより、第1チャネル領域72については短チャネルを抑制するためのチャネル長を確保しつつ、第2チャネル領域73についてはチャネル長を短くしてチャネル抵抗を低減することができる。
【0116】
一方、第2チャネル領域73の短チャネルの抑制に関しては、ソース領域126から第1方向Xに傾斜する方向に沿うチャネル長(たとえば、傾斜側部83とソース領域126との距離(第5幅H5))が短チャネルを抑制できるだけの距離であればよい。つまり、第5幅H5の大きさが第3幅H3と略同じ範囲内であれば短チャネルを抑制できるので、この条件の下、第4幅H4を狭めることによってチャネル抵抗をさらに低減することができる。
【0117】
(半導体装置71の製造方法)
次に、図14A図14Gを参照して、半導体装置71の製造工程について説明する。図14A図14Gは、前述の半導体装置71の製造工程を示す縦断面図である。以下では、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法において述べた工程に対応する工程については、説明を省略する。
【0118】
図14Aを参照して、半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93の表層部に対し、p型不純物が選択的に導入され、その不純物を拡散させることによってp型のウェル領域55が形成される。次に、半導体ウエハ構造体12の第1ウエハ主面93の表層部に、ドライエッチングによって溝が形成され、その溝に絶縁膜としての酸化膜が埋め込まれる。その後、当該酸化膜の表面をCMP技術によって平坦化することによって、素子分離部68が形成される。
【0119】
次に、図14Bおよび図14Cを参照して、レジストマスク(図示せず)を介して第1ウエハ主面93の表層部にn型不純物を導入することによって、ソース領域126の低濃度部126cが形成される。ここで、図14Bは、図12に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域126が形成される部分を示す図である。図14Cは、図13に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域127が形成される部分を示す図である。
【0120】
また、たとえば、熱酸化処理法によって第1ウエハ主面93にゲート絶縁膜128が形成される。次に、ゲート電極129が形成される。たとえば、CVD法によってゲート電極129用のベース電極層(この実施形態では導電性ポリシリコン層)がゲート絶縁膜128を覆うように形成される。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチングによってベース電極層の不要部分が除去されることによって、ゲート電極129が形成される。このときのエッチングは、ウエットエッチングであってもよいし、ドライエッチングであってもよい。
【0121】
次に、レジストマスク(図示せず)およびゲート電極129をマスクとして、n型不純物ウェル領域55の表層部が導入される。これにより、n型のドレイン領域125およびソース領域126の高濃度部126bがゲート電極129に対して自己整合的に形成される。また、第1ウエハ主面93の表層部にp型不純物が導入される。これにより、コンタクト領域127が形成される。コンタクト領域127は、ソース領域126と第2方向Yに沿って交互に形成される。ドレイン領域125を形成する工程では、コンタクト領域127の形成領域の第1方向X側において、第1側部81が第2側部82よりもコンタクト領域127の形成領域側に形成される。
【0122】
次に、図14Dおよび図14Eを参照して、たとえばCVD法によって、ゲート電極129を覆うように層間絶縁膜134が形成される。ここで、図14Dは、図12に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域126が形成される部分を示す図である。図14Eは、図13に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域127が形成される部分を示す図である。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチングによって、層間絶縁膜134の不要部分が除去される。これにより、複数のドレイン開口135、複数のソース開口136および複数のバックゲート開口137が層間絶縁膜134に形成される。
【0123】
次に、たとえばスパッタ法によってTi系金属膜(Ti膜およびTiN膜のうちの少なくとも1つ)が、複数のドレイン開口135の壁面、複数のソース開口136の壁面および複数のバックゲート開口137の壁面および層間絶縁膜134の主面に沿って膜状に形成される。次に、たとえばCVD法によって、タングステン(W)膜が、Ti系金属膜を覆うように形成される。タングステン膜は、Ti系金属膜を挟んで複数のドレイン開口135、複数のソース開口136および複数のバックゲート開口137に埋め込まれ、Ti膜を挟んで層間絶縁膜134の主面を覆う。
【0124】
その後、タングステン膜の不要部分およびTi系金属膜の不要部分が、エッチングによって除去される。これにより、ドレインコンタクト電極141、ソースコンタクト電極142およびバックゲートコンタクト電極143が形成される。
次に、図14Fおよび図14Gを参照して、たとえばスパッタ法によって、ドレイン配線145、ソース配線146およびバックゲート配線147用の導電材料が、層間絶縁膜134上に形成される。ここで、図14Fは、図12に対応する部分の縦断面図であり、主に、ソース領域126が形成される部分を示す図である。図14Gは、図13に対応する部分の縦断面図であり、主に、コンタクト領域127が形成される部分を示す図である。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチングによって当該導電材料の不要部分が除去される。これにより、層間絶縁膜134上にドレイン配線145、ソース配線146およびバックゲート配線147が形成される。
【0125】
その後、半導体ウエハ構造体12が切断予定ラインに沿って切断される。これにより、一枚の半導体ウエハ構造体12から複数の半導体装置71が切り出される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、半導体装置1,71の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1,71において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
【0126】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 半導体装置
2 半導体チップ
3 第1主面
4 第2主面
5A 第1側面
5B 第2側面
5C 第3側面
5D 第4側面
6 p型領域
7 n型領域
8 デバイス領域
9 LDMOS領域
10 半導体ウエハ
12 半導体ウエハ構造体
13 素子分離ウェル
14 第1ピラー領域
14a 第1導入部
15 第2ピラー領域
15a 第2導入部
16 CMOS領域
17 フィールド絶縁膜
17a 第1開口部
17b 第2開口部
20 LDMOS
21 ドリフト領域
22 ウェル領域
22a 第4導入部
23 ボディ領域
23a 第3導入部
25 ドレイン領域
26 ソース領域
26a 側部
26b 高濃度部
26c 低濃度部
27 コンタクト領域
27a 側部
28 ゲート絶縁膜
29 ゲート電極
31 サイドウォール
32 第1チャネル領域
33 第2チャネル領域
34 層間絶縁膜
35 ドレイン開口
36 ソース開口
37 バックゲート開口
38 第1縁部
39 第2縁部
40 境界部
41 ドレインコンタクト電極
42 ソースコンタクト電極
43 バックゲートコンタクト電極
44 突出部
45 ドレイン配線
46 ソース配線
47 バックゲート配線
51 第1側部
52 第2側部
53 傾斜側部
54 側部
55 ウェル領域
55a 端部
56 第1縁部
57 第2縁部
58 端部
59 側部
60 側部
61 第1レジストマスク
62 第2レジストマスク
63 第3レジストマスク
63a 開口
64 第4レジストマスク
64a 開口
68 素子分離部
70 nチャネルMOSFET
71 半導体装置
72 第1チャネル領域
73 第2チャネル領域
80 pチャネルMOSFET
81 第1側部
82 第2側部
83 傾斜側部
84 側部
85 端部
86 側部
87 側部
93 第1ウエハ主面
94 第2ウエハ主面
100 開口
101 第3側部
102 第3側部
125 ドレイン領域
126 ソース領域
126a 側部
126b 高濃度部
126c 低濃度部
127 コンタクト領域
127a 側部
128 ゲート絶縁膜
129 ゲート電極
131 側部
132 端部
134 層間絶縁膜
135 ドレイン開口
136 ソース開口
137 バックゲート開口
138 第1縁部
139 第2縁部
140 境界部
141 ドレインコンタクト電極
142 ソースコンタクト電極
143 バックゲートコンタクト電極
144 突出部
145 ドレイン配線
146 ソース配線
147 バックゲート配線
151 第1側部
152 第2側部
153 傾斜側部
156 第1縁部
157 第2縁部
261a 直線部
262a 傾斜部
263a 直線部
264a 傾斜部
H1 第1幅
H2 第2幅
H3 第3幅
H4 第4幅
H5 第5幅
H6 第6幅
H7 第7幅
HC 距離
HS 距離
W1 第1幅
W2 第2幅
W3 第3幅
W4 第4幅
W5 第5幅
WC 距離
WS 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図7M
図7N
図7O
図7P
図7Q
図7R
図7S
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G