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特許7549483ソーシャルキャピタルインデックス計測システム及びソーシャルキャピタルインデックス計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】ソーシャルキャピタルインデックス計測システム及びソーシャルキャピタルインデックス計測方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240904BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020140055
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035604
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕之
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-41435(JP,A)
【文献】特開2001-222613(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105516(WO,A1)
【文献】特開2015-172856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルキャピタルインデックスを計測するソーシャルキャピタルインデックス計測システムであって、
携帯端末の位置情報を用いた人口動態データと、地域イベントの開催時間と開催場所を示す地域イベントデータと、特定施設の位置を示す特定施設位置データの少なくとも一つの入力データが入力されるデータ入力部と、
前記入力データとして前記人口動態データを用いて、地域住民が所属する所属地域を推定する所属地域推定処理部と、
前記入力データに基づいて、特定場所への滞在の有無を検出して、特定場所の滞在人口を推定する特定場所滞在人口推定処理部と、
前記所属地域及び前記滞在人口に基づいて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを算出するソーシャルキャピタルインデックス算出部と、
前記ソーシャルキャピタルインデックスを表示する表示部と、
を有し、
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記人口動態データに基づいて、パーソナルネットワーク量、互酬性量及びコミュニティの信頼度量を求めて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを算出し、
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記パーソナルネットワーク量を、前記所属地域推定処理部にて推定された前記地域住民の前記所属地域の特定の日の一日に一定時間以上滞在した滞在場所数を平均処理して得た一日の滞在場所の平均値に基づいて求め、
前記互酬性量を、前記特定場所の前記地域住民の利用者数比率に基づいて求め、
前記コミュニティの信頼度量を、前記地域住民の前記地域イベントへの参加者数比率に基づいて求めることを特徴とするソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項2】
前記所属地域推定処理部は、
前記携帯端末の前記位置情報を用いて、前記地域住民の深夜から早朝の時間帯の滞在位置を居住地域として捉えて前記所属地域を推定し、
前記特定場所滞在人口推定処理部は、
前記人口動態データの前記位置情報として、前記携帯端末から得られる緯度経度を用い、
前記地域住民が特定の前記緯度経度の範囲を特定の滞在時間だけ訪問したかどうかを判定することにより、前記地域住民が滞在した施設又は場所と滞在時間を求めて、前記特定場所滞在人口を推定することを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項3】
前記表示部は、
前記ソーシャルキャピタルインデックスを地域毎に、地図上に重ねて表示することを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項4】
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記ソーシャルキャピタルインデックスの過去のデータを時系列処理することにより、前記ソーシャルキャピタルインデックスの経過時間毎の変化傾向を地域毎に求め、
前記過去のデータを蓄積するデータ蓄積部を更に有し、
前記表示部は、
前記データ蓄積部に蓄積された前記過去のデータを、前記経過時間毎の変化傾向と共に地域毎に表示することを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項5】
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記特定の日として、土曜日又は日曜日を用いることを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項6】
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記人口動態データに含まれる前記携帯端末の前記位置情報と時間情報に基づいて、経過時間と平均移動速度の関係を求め、
一日のうちで前記平均移動速度がゼロでかつ滞在時間が一定時間以上である回数を前記滞在場所数としてカウントして、地域毎の単位時間当たりの前記パーソナルネットワーク量を求めることを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測シ
ステム。
【請求項7】
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記特定場所として、地元密着型の地域商店街を選択し、
前記人口動態データに含まれる前記携帯端末の前記位置情報と時間情報に基づいて、前記地域商店街に一定の滞在時間だけ滞在した人数を前記所属地域推定処理部にて推定された前記地域住民の前記所属地域毎にカウントして、前記所属地域毎の単位時間当たりの前記互酬性量を求めることを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項8】
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記滞在時間を、5分以上8時間以下の範囲で設定することを特徴とする請求項7に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項9】
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出部は、
前記地域イベントとして、地域を代表する祭りを選択し、
前記人口動態データに含まれる前記携帯端末の前記位置情報と時間情報に基づいて、前記祭りに一定の滞在時間だけ滞在した人数を前記所属地域推定処理部にて推定された前記地域住民の前記所属地域毎にカウントして、前記所属地域毎の単位時間当たりの前記コミュニティの信頼度量を求めることを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項10】
各地域で実施されたアンケート結果を表すアンケートデータを用いて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを前記アンケート結果との相関が最大となるように補正する補正部を更に有することを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項11】
前記携帯端末を持たない高齢者に対して実施されたアンケート結果を表すアンケートデータを用いて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを補正する高齢者補正部を更に有することを特徴とする請求項1に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測システム。
【請求項12】
ソーシャルキャピタルインデックスを計算機により計測するソーシャルキャピタルインデックス計測方法であって、
前記計算機は、
携帯端末の位置情報を用いた人口動態データと、地域イベントの開催時間と開催場所を示す地域イベントデータと、特定施設の位置を示す特定施設位置データの少なくとも一つの入力データが入力されるデータ入力ステップと、
前記入力データとして前記人口動態データを用いて、地域住民が所属する所属地域を推定する所属地域推定処理ステップと、
前記入力データに基づいて、特定場所への滞在の有無を検出して、特定場所の滞在人口を推定する特定場所滞在人口推定処理ステップと、
前記所属地域及び前記滞在人口に基づいて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを算出するソーシャルキャピタルインデックス算出ステップと、
前記ソーシャルキャピタルインデックスを表示する表示ステップと、
実行し、
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出ステップは、
前記人口動態データに基づいて、パーソナルネットワーク量、互酬性量及びコミュニティの信頼度量を求めて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを算出し、
前記ソーシャルキャピタルインデックス算出ステップは、
前記パーソナルネットワーク量を、前記所属地域推定処理ステップにて推定された前記地域住民の前記所属地域の特定の日の一日に一定時間以上滞在した滞在場所数を平均処理して得た一日の滞在場所の平均値に基づいて求め、
前記互酬性量を、前記特定場所の前記地域住民の利用者数比率に基づいて求め、
前記コミュニティの信頼度量を、前記地域住民の前記地域イベントへの参加者数比率に基づいて求めることを特徴とするソーシャルキャピタルインデックス計測方法。
【請求項13】
前記所属地域推定処理ステップは、前記計算機により、
前記携帯端末の前記位置情報を用いて、前記地域住民の深夜から早朝の時間帯の滞在位置を居住地域として捉えて前記所属地域を推定し、
前記特定場所滞在人口推定処理ステップは、前記計算機により、
前記人口動態データの前記位置情報として、前記携帯端末から得られる緯度経度を用い、
前記地域住民が特定の前記緯度経度の範囲を特定の滞在時間だけ訪問したかどうかを判定することにより、前記地域住民が滞在した施設又は場所と滞在時間を求めて、前記特定場所滞在人口を推定することを特徴とする請求項12に記載のソーシャルキャピタルインデックス計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーシャルキャピタルインデックス計測システム及びソーシャルキャピタルインデックス計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広域な地域住民への膨大なアンケートをもとに全国都道府県のソーシャルキャピタルインデックス(社会関係資本係数)を算出することが提案されている。
【0003】
広域な地域としてのソーシャルキャピタルインデックスを計測する場合、数千から数万人という膨大な人数に対するアンケートを基にして計測されてきた。
【0004】
これは地域住民の互酬性や社会的連帯の度合い、地域への愛着度や市民参加の程度などをアンケートから抽出し、地域住民のQoL(Quality of Life)向上のための広域都市計画に反映させようとするものである。
【0005】
広域住民のソーシャルキャピタルインデックスは、そのコミュニティの健康度、抑うつ傾向、教育、犯罪、賑わい、経済活動との関係が明らかになっており、このソーシャルキャピタルインデックスをフィードバックし、公共や民間における様々な施策が行われようとしている。
【0006】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1がある。
特許文献1は、同様に特定ユーザ(個人)が外出する時に使用する車両から送信される車両の位置情報を使用し、社会的交流度を推定し、ユーザのヘルスケアに役立てるというものである。特定個人の位置情報を特定して解析することで、個人に対するヘルスケアを充実させようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-67138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
広域な地域としてのソーシャルキャピタルインデックスを計測する場合、膨大な数の人々の行動から社会性を読み解かねばならない。このため、特許文献1のような特定の個人に対する社会性計測のように特定個人の行動パターンが予め大体把握できている場合と異なり、社会参加度合いの算出は非常に困難なものとなる。
【0009】
具体的には、地域のソーシャルキャピタルインデックスの計測には、従来、千人~万人規模のアンケートが必要であり、それの実施に要する動員工数も多く、多くの時間とコストがかかっていた。
【0010】
また、回収したアンケートの解析にも大きな手間と時間を要する。このようにソーシャルキャピタルインデックスの計測は、膨大なコストと手間が必要なゆえに短期間に実施することは出来ず、計測間隔は早くても3年~5年に1回とならざるを得ない。よって、施策をより良くするために計測結果をフィードバックに用いて施策を改良しようとしても、迅速な計測が困難であることから、迅速な施策の改良に支障をきたすこととなっている。
【0011】
このような背景のもと、ソーシャルキャピタルインデックスの計測をアンケートではなく、出来るだけ自動化し、これによって調査にかかる手間と日数を短縮したいという要望が大きい。
【0012】
そこで、特許文献1のような、個人ユーザのヘルスケアのために開発された個人の社会性を計測する技術を適用することは容易に類推出来る。しかしながら、実際に検討してみると以下の3つの課題があり、容易ではないことが明らかとなった。
【0013】
すなわち、第一の課題として、特許文献1に記載されている個人の社会性の計測では、対象とする個人が特定できており、年齢や依頼内容から予めその行動や思考が推定できるため、老人福祉施設などの特定施設を予め対象として社会性の尺度としておくことが出来る。
【0014】
これに対し、広域な地域のソーシャルキャピタルインデックス計測に単に本技術を適用しようとしても、個人は特定できず、また年齢などの属性や思考も推定困難である。このような中で施設と社会性を結び付けようとしても難しい。例えば、特定の施設に通う人がいたとしても、どこの住民であるのか、その施設に勤務しているのか、愛着を持って通っているのかというような属性が不明であるため、それが地域の社会性に関係付けるのには難がある。
【0015】
このように、特許文献1に示されるような手段を用いて広域な地域のソーシャルキャピタルインデックス計測を行うのは困難である。
【0016】
さらに、第二の課題として、ソーシャルキャピタルインデックスは、単に個人の社会性の集積ではなく、地域住民の互酬性や社会的連帯の度合い、地域への愛着度などのパラメータも含まれる。
【0017】
すなわち、特許文献1に示されるように特定施設を訪問したという事実から推定される社会性のみで判定するのは難しく、その地域の特性としての不特定多数の傾向を見る必要がある。
【0018】
さらに、第三の課題として、広域な地域のソーシャルキャピタルインデックス計測を行う場合に、特許文献1から類推されるように、スマートフォンのGPS位置情報を用いようとしても、その地区のスマートフォンの普及率などに差異があるため、単に施設への滞在人数を計測しただけでは偏りが出てしまうという課題がある。
【0019】
本発明の目的は、ソーシャルキャピタルインデックス計測システムにおいて、広域な地域のソーシャルキャピタルインデックスの計測を自動的に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様のソーシャルキャピタルインデックス計測システムは、ソーシャルキャピタルインデックスを計測するソーシャルキャピタルインデックス計測システムであって、携帯端末の位置情報を用いた人口動態データと、地域イベントの開催時間と開催場所を示す地域イベントデータと、特定施設の位置を示す特定施設位置データの少なくとも一つの入力データが入力されるデータ入力部と、前記入力データとして前記人口動態データを用いて、地域住民が所属する所属地域を推定する所属地域推定処理部と、前記入力データに基づいて、特定場所への滞在の有無を検出して、特定場所の滞在人口を推定する特定場所滞在人口推定処理部と、前記所属地域及び前記滞在人口に基づいて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを算出するソーシャルキャピタルインデックス算出部と、前記ソーシャルキャピタルインデックスを表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様のソーシャルキャピタルインデックス計測方法は、ソーシャルキャピタルインデックスを計測するソーシャルキャピタルインデックス計測方法であって、携帯端末の位置情報を用いた人口動態データと、地域イベントの開催時間と開催場所を示す地域イベントデータと、特定施設の位置を示す特定施設位置データの少なくとも一つの入力データが入力されるデータ入力ステップと、前記入力データとして前記人口動態データを用いて、地域住民が所属する所属地域を推定する所属地域推定処理ステップと、前記入力データに基づいて、特定場所への滞在の有無を検出して、特定場所の滞在人口を推定する特定場所滞在人口推定処理ステップと、前記所属地域及び前記滞在人口に基づいて、前記ソーシャルキャピタルインデックスを算出するソーシャルキャピタルインデックス算出ステップと、前記ソーシャルキャピタルインデックスを表示する表示ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、ソーシャルキャピタルインデックス計測システムにおいて、広域な地域のソーシャルキャピタルインデックスの計測を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システムの他の構成を示すブロック図である。
図3】実施例1のソーシャルキャピタルインデックスの算出プロセスを示すフロー図である。
図4】パーソナルネットワーク量を算出する方法を示す図である。
図5】パーソナルネットワーク量を算出する方法を示す図である。
図6】パーソナルネットワーク量の計算結果例を示す図である。
図7】互酬性量の計算結果例を示す図である。
図8】信頼度量の計算結果例を示す図である。
図9】実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システムの構成を示すブロック図である。
図10】実施例2のソーシャルキャピタルインデックスの算出プロセスを示すフロー図である。
図11】実施例3のソーシャルキャピタルインデックス計測システムの構成を示すブロック図である。
図12】実施例3のソーシャルキャピタルインデックスの算出プロセスを示すフロー図である。
図13A】ソーシャルキャピタルインデックス表示部の表示画面の一例を示す図である。
図13B】ソーシャルキャピタルインデックス表示部の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0025】
図1を参照して、実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システムの構成について説明する。
実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1は、携帯電話位置情報やビーコン等を用いた端末情報等を用いた人口動態データ、地域イベントの時間と場所を示す地域イベントデータ、特定施設の位置情報と開館時間を示す特定場所位置データのいずれかもしくは全てを少なくとも入力するデータ入力部2を有する。さらに、これらの入力データ群をもとに所属地域や組織を推定する所属地域推定処理部3、滞在した施設や場所とその時間を同定する特定施設滞在人口推定処理部4、これらをもとにしてソーシャルキャピタルインデックスを算出するソーシャルキャピタルインデックス算出部5及びソーシャルキャピタルインデックスを表示する表示部6を有する。
【0026】
ここで、人口動態データとしては、個々の携帯電話から得られる緯度経度等の位置情報でも良いし、それぞれの場所や領域における人口密度を示すデータでも良い。地域イベントとしては、地域の祭り、地域の寄合い、介護予防体操、防災訓練、ボランティア活動、神社仏閣での集会やお参り、子育て支援活動、大学祭、文化祭、公民館活動、等の位置と時間情報が少なくとも含まれる。また、特定施設としては、公民館、地域活動支援施設、健康支援施設、高齢者福祉施設、神社仏閣、大学、図書館、公園、駅前広場、等が少なくとも含まれる。
【0027】
また、図2に示すように、ソーシャルキャピタルインデックス計測システム1にデータ蓄積部7を具備することにより、過去のデータを蓄積し、時系列処理することにより、ソーシャルキャピタルの経過時間毎の変化傾向を知ることが出来る。よって、コミュニティに対してなされた施策の効果検証が簡単に可視化できるという利点を有する。
【0028】
次に、図3を参照して、ソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作について説明する。
最初に、所属地域推定処理部3において居住地域を推定する(ステップ301)。
次に、パーソナルネットワーク量について、地域住民の土曜日曜の一日の滞在場所の平均値(ごく短時間の滞在は除く)を算出する(ステップ302)。
次に、地域によるデータ量の違いによる補正を行う(ステップ303)。
に、コミュニティ信頼度について、地域商店街の利用率(地域住民の利用者比率)を算出する(ステップ304)。
次に、地域によるデータ量の違いによる補正を行う(ステップ305)。
次に、互酬性について、地域住民の祭りや催し等への参加者比率を算出する(ステップ306)。
次に、地域によるデータ量の違いによる補正を行う(ステップ307)。
次に、ソーシャルキャピタルインデックスを算出する(ステップ308)。
最後に、以前のソーシャルキャピタルインデックスとの差異を算出して(ステップ309)、表示する(ステップ310)。
【0029】
広域な地域としてのソーシャルキャピタルインデックスを計測する場合には、地域ごとにその特性を把握する必要がある。よって、所属地域推定処理部3において、その居住地域を、携帯電話位置情報を用いた人口動態データから推定する。例えば、深夜から早朝に滞在する位置情報を用いてその地域に居住していると見なす。
【0030】
さらに、特定施設滞在人口推定処理部4において、その抽出した集団のうち、特定の場所への滞在の有無を検出する。一般に、従来のソーシャルキャピタルの測定では、パーソナルネットワーク量、すなわち友人等付き合いの量、互酬性、すなわち地域参加度やコミュニティ参加度、コミュニティの信頼度、の3つの項目に関してアンケートがなされてきた。実施例1では、アンケートの代わりに、ソーシャルキャピタルインデックス算出部5において、以下の指標を処理して求める。
【0031】
パーソナルネットワーク量は外出の多さとして、一日の滞在場所数の関数として表す。
具体的には、図3に示すように所属地域推定処理部3にて推定された各地域の居住者の一日の滞在場所数を平均処理する。ただし、平日のデータは、勤務者が、その職務の関係から滞在場所が増加することが多く、必ずしもパーソナルネットワーク量を反映しないことが多い。よって、パーソナルな時間である土日と休日のデータを用いるのがより望ましい。このとき、滞在場所のカウントには数分などの短時間の滞在は含めないのが望ましい。
【0032】
互酬性は、例えば、特定地域密着型の商店街での物品のやり取りを示す商店街利用率などとして表す。具体的には、商店街に滞在している特定地域の居住者数を、商店街滞在者数全体に対する比率として求める。
【0033】
コミュニティへの信頼度は、色々と行動の選択肢のある中でそのコミュニティに属することを選択する機会の多さ、例えば、特定地域の祭り等への愛着を示す参加率などとして表す。具体的には、そのコミュニティを代表する祭りや催しへの参加可否や参加時間の関数として表す。
【0034】
ここで、発明者は、地域の祭りにおける特定地域の参加割合が高いほうがソーシャルキャピタルをより反映することを見出した。すなわち、その地区の祭りを自ら運営するという意識が濃く反映されるためであろうと考えられる。具体的には、祭りの開催時間内に滞在している特定地域の参加者数を、参加者数全体に対する比率として求める。農村部では集落の防災訓練参加度合いなどでもよい。
【0035】
このように、計測対象となるコミュニティの特性を考慮し、特定施設滞在人口推定処理部4では、パーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度のそれぞれに対応した場所や地域への滞在回数や滞在時間を、携帯電話位置情報を用いた人口動態データから計算する。
【0036】
ただし、スマートフォンのGPS位置情報の集積結果を用いる場合、その地区のスマートフォンの普及率などに差異がある。このため、単に施設への滞在人数を計測しただけでは偏りが出てしまう。よってソーシャルキャピタルインデックス算出部5において、例えば、1年間の各地域での携帯電話アプリ使用者数の比率を算出し、これで各数値を補正する機能を持つ。
【0037】
さらに、ソーシャルキャピタルインデックス算出部5において、特定施設滞在人口推定処理部4において算出された参加率や滞在時間等を重要度に応じた係数をもたせた関数を用いて処理し、ソーシャルキャピタルインデックスを算出する。このとき、コミュニティの属性に応じて係数が変化させなくてはならない場合がある。
【0038】
また、滞在場所によってはソーシャルキャピタルに対して負の相関を取り入れても良い。例えば、地域の祭りへの積極的な(長時間の)参加はソーシャルキャピタルに対して強い正の相関をもたらす。一方、他者との交流の少ない図書館等での長時間滞在はソーシャルキャピタルに対しては負の相関をもたらす。
【0039】
さらに、ソーシャルキャピタルインデックス表示部6では、ソーシャルキャピタルインデックス算出部5で算出されたソーシャルキャピタルインデックスが表示される。ソーシャルキャピタルインデックスはそれぞれのコミュニティ毎に表示されるほか、時系列として表示する機能も有する。
【0040】
図13A及び図13Bを参照して、ソーシャルキャピタルインデックス表示部の表示画面の一例について説明する。
【0041】
ソーシャルキャピタルインデックス表示部6の表示画面は、図13Aに示すように、地図上に重ねて表示する画面と、図13Bに示すように、時系列ごとの変化を表示する画面を少なくとも有する。
【0042】
このように、ソーシャルキャピタルインデックス表示部6は、ソーシャルキャピタルインデックスを地域毎に、地図上に重ねて表示する(図13A参照)。
【0043】
また、ソーシャルキャピタルインデックス算出部5は、データ蓄積部7(図2参照)に蓄積された過去のデータを時系列処理することにより、ソーシャルキャピタルインデックスの経過時間毎の変化傾向を地域毎に求める。そして、ソーシャルキャピタルインデックス表示部6は、データ蓄積部7に蓄積された過去のデータを、経過時間毎の変化傾向と共に地域毎に表示する(図13B参照)。
【0044】
実施例1によれば、人口流動データを用いて計測できることから、短期間に何回も計測できるという利点を有する。このように、実施例1では、時系列毎の変化を自動で表示できる。
【0045】
次に、パーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度に関してそれぞれの算出方法に関して詳細に述べる。
【0046】
パーソナルネットワーク量に関しては、ある場所に一定時間以上滞在した場合には、それなりの交流があったものと推定し、一日の滞在場所数として表す。携帯電話のGPS情報の集積結果(人口動態情報)には各携帯電話の位置情報と時間情報が含まれる。よって、図4に示すように、経過時間と平均移動速度の関係を表し、一日のうちで平均移動速度がゼロとなった回数を滞在場所数としてカウントする。
【0047】
なお、図5に示すように、移動速度がゼロになったとしても、その時間が数分以下と短い場合にはカウントしないのが望ましい。車で移動中に信号停止をした場合や、駅での電車待ちの場合がほとんどで、人とのコミュニケーションに寄与していないからである。さらに、それを地域ごとに一定期間だけ居住者の平均値として積算することで、図6に示すように地域ごとの単位時間当たりのパーソナルネットワーク量が得られる。
【0048】
互酬性に関しては、色々と行動や取引きの選択肢のある中で、特定のコミュニティに属し、生活に必要な物品や関係性のやり取りを示すファクタと考えられる。その関係性が濃いほど社会関係資本が増大する。そこで地元密着型の商店街への愛着を示す商店街利用率として、商店街に滞在している特定地域の人数をカウントし、商店街滞在者数全体に対する比率として求める。
【0049】
具体的には、その地域でよく利用されている商店街を選択し、携帯電話のGPS情報の集積結果(人口動態情報)から、その商店街に滞在した人をカウントする。滞在時間は5分以上、8時間以下の範囲で設定するのが望ましい。滞在時間が短い場合は、商店街近くを歩く歩行者をカウントしてしまう場合があり、誤差が生じる。また、滞在時間が長すぎる場合には、その施設の従業員までカウントしてしまう場合があり、誤差が生じるためである。
【0050】
また、商店街が複数存在する場合や、施設が多数存在する場合には、そのそれぞれに関して滞在者数を計算し、それを地域ごとに総和を求める。
【0051】
さらにそのカウント数を地域ごとに一定期間だけ居住者の平均値として算出することで、図7のように地域ごとの単位時間当たりの互酬性の量として得られる。なお、商店街だけでなく、地元のスーパー、デパート、ディスカウントストア等をその中に含めても良い。
【0052】
コミュニティへの信頼度は、その地域(コミュニティ)を代表する祭りや催しへの参加状況を参加者数として表す。具体的には、該当する地域周辺の祭りや催しを年間通したデータとして入力し、その参加者を携帯電話のGPS情報の集積結果(人口動態情報)から特定し、さらにそのうちから各地域の居住推定者数を算出する。
【0053】
祭りは神社仏閣が行うもの、商店街や行政が行うもののどちらでも良い。また、正月の初詣で、神社仏閣の行事等を含んでも良い。さらに催しとしては、地域の子供会、地域の運動会や発表会、年末年始の会、消防や防災訓練、講演会、地域カラオケ大会、介護予防の会、健康増進目的の会等、地区の行政掲示板に催しとして掲載される情報も含まれる。また、祭りや催しが複数存在する場合には、そのそれぞれに関して滞在者数を計算し、それを地域ごとに総和を求める。
【0054】
以上のように、地域ごとにパーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度を求め、これらを和してソーシャルキャピタルインデックスとして用いる。具体的には、パーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度のそれぞれにおいて、全地域の平均値、もしくは日本や世界等の標準値や平均値に対する比率として各地域の値を求め、それを和する。パーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度とも平均であれば、ソーシャルキャピタルインデックスは3と求められる。
【0055】
このように、実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1は、携帯端末の位置情報を用いた人口動態データと、地域イベントの開催時間と開催場所を示す地域イベントデータと、特定施設の位置を示す特定施設位置データの少なくとも一つの入力データが入力されるデータ入力部2と、入力データとして人口動態データを用いて地域住民が所属する所属地域を推定する所属地域推定処理部3と、入力データに基づいて特定場所への滞在の有無を検出して、特定場所の滞在人口を推定する特定場所滞在人口推定処理部4と、所属地域及び前記滞在人口に基づいてソーシャルキャピタルインデックスを算出するソーシャルキャピタルインデックス算出部5と、ソーシャルキャピタルインデックスを表示する表示部6を有する。
【0056】
実施例1によれば、ソーシャルキャピタルインデックスの計測に必要なパーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度に関して、携帯電話のGPS情報の集積結果(人口動態情報)から該数を推定することが可能である。このため、調査対象となる地域の各戸を対象としたアンケートを実施する必要が無い。
【0057】
従って、大規模アンケートが省略できるため、コストと手間を大幅に削減することが出来、短い間隔にて、そして安価にソーシャルキャピタルインデックスを計測して表示できる。よって、コミュニティに対してなされた施策の効果検証が短いサイクルにて実施でき、より良い施策を早い段階から実施できる。
【実施例2】
【0058】
図9図10を参照して、実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システムの構成及び動作について説明する。
【0059】
実施例2は、ソーシャルキャピタルインデックスの計測値の精度をより高く求めようとするために、部分的なアンケートと併用するものである。すなわち、得られた結果を補正する目的で、部分的にアンケートを実施し、パーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度の和に重み付けを実施する。
【0060】
図9に示す実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の構成が、図1に示す実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の構成と異なる点は、実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1が補正部8を有する点である。その他の構成は、図1に示す実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の構成と同じなのでその説明は省略する。
【0061】
また、図10に示す実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作が、図3に示す実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作と異なる点は、実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作が、各地域で実施された小規模アンケート結果を表すアンケートデータを用いてソーシャルキャピタルインデックスをアンケート結果との相関が最大となるように補正部8で補正(ステップ100)する点である。その他の動作は、図3に示す実施例1のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作と同じなのでその説明は省略する。
【0062】
図9及び図10に示すように、携帯電話GPS情報の集積結果からパーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度を求め、さらに小規模なアンケート結果を用いて、パーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度それぞれの重み付けの補正を実施する。すなわち、ソーシャルキャピタル算出におけるそれぞれの比重が現実には若干異なることを線形に補正する。
【0063】
パーソナルネットワーク量をA、互酬性をB、コミュニティ信頼度をCとした場合、補正係数をそれぞれα、β、γとして、(ソーシャルキャピタルインデックス)=αA+βB+γCとして、α、β、γを各地区のアンケート結果との相関が最も高くなるように決定する。
【0064】
すなわち、アンケート結果の中に、パーソナルネットワーク量、互酬性、コミュニティ信頼度を示す項目があるので、それらとの相関が最大となるように補正係数を求める。
【0065】
この小規模アンケートは、調査対象となる地区の全域にわたって実施されるのが望ましい。また、調査年齢も若年層から高齢者まで、広く分散しているのが望ましい。
【0066】
実施例2においては、実施例1の効果に加えて、アンケート結果との一致度が高く、また再現性の意味で高精度が期待できる。また、過去のアンケート結果との互換性が高くなることから、従来方法で取得されたソーシャルキャピタルインデックスの値と比較することが出来る。
【0067】
また補正係数を小規模アンケートから一度決定してしまえば、調査ごとにアンケートする必要はない。よって、毎回大規模なアンケートを実施する既存の方法に比べて、コストと計測期間を少なくすることが出来る。
【実施例3】
【0068】
図11図12を参照して、実施例3のソーシャルキャピタルインデックス計測システムの構成及び動作について説明する。
【0069】
実施例2では、携帯電話のGPS情報を用いるため、地方などでは携帯電話を所有する比率が低い高齢者の調査結果が反映されにくいという課題が発生する。実施例3は、このような課題を解決するために、高齢者補正部9を有する。
【0070】
図11に示す実施例3のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の構成が、図9に示す実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の構成と異なる点は、実施例3のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1が高齢者補正部9を有する点である。その他の構成は、図9に示す実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の構成と同じなのでその説明は省略する。
【0071】
また、図12に示す実施例3のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作が、図10に示す実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作と異なる点は、実施例3のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作が、携帯端末を持たない高齢者に対して実施された小規模アンケート結果を表すアンケートデータを用いて、ソーシャルキャピタルインデックスを高齢者補正部9で高齢者向けに補正(ステップS120)する点である。その他の動作は、図10に示す実施例2のソーシャルキャピタルインデックス計測システム1の動作と同じなのでその説明は省略する。
【0072】
このように、実施例3では、図11図12に示すように、小規模アンケートを高齢者を対象に行い、これを補強する。すなわち、実施例2と同様にソーシャルキャピタル算出におけるそれぞれの比重が現実には若干異なることを線形に補正したのち、高齢者のアンケート結果を和する。
【0073】
すなわち、パーソナルネットワーク量をA、互酬性をB、コミュニティ信頼度をCとした場合、補正係数をそれぞれα、β、γとして、(ソーシャルキャピタルインデックス)=αA+A1+βB+B1+γC+C1として、α、β、γを各地区のアンケート結果との相関が最も高くなるように決定する。ここでA1、B1、C1は、携帯電話を持たない高齢者に向けたアンケート結果の集計値である。
【0074】
実施例3によれば、携帯電話を持たない高齢者のデータも含有するため、高精度なソーシャルキャピタルインデックスが計測できる効果を有する。よって高齢者の動向も反映した施策の策定に寄与することが可能となる。また、補正係数を小規模アンケートから一度決定してしまえば、調査ごとにアンケートする必要はない。よって、毎回大規模なアンケートを実施する既存の方法に比べて、コストと計測期間を少なくすることが出来る。
【0075】
上記実施例では、地域住民多数を群として、居住地域と特定施設の関係を明確化することで、居住地域のソーシャルキャピタルを算出する。居住地域と訪問施設の関係を明らかにして、その地域のソーシャルキャピタル的特徴を求めて街づくりに生かす。地域住民の行動の集積として、その地域のソーシャルキャピタルを算出する。携帯GPS情報から得た居住地域と利用施設の関係を用いて、その地域のソーシャルキャピタルを算出する。
【0076】
また、その地域のソーシャルキャピタルの算出方法として、同じ施設や祭り会場に、同じ地域の人がどのくらいの割合で集まっているかを指標の1つとする。行動追跡先は、公民館などの建物だけでなく、お祭りや神社、地域の商店街などを含む。
【0077】
上記実施例によれば、携帯電話の人口流動データを処理することにより、より迅速で簡便な計測を実現し、コミュニティの施策の効果を短期間で把握し、より良い施策を実現するための計測データを提供することができる。具体的には、携帯電話を用いた人口動態データにより、特定の施設や場所に滞在する人々の滞在のべ時間が計算される。これをもとに所属地域におけるソーシャルキャピタルインデックスを推定することができる。
【0078】
従って、上記実施例によれば、主としてアンケートによる計測方法を使うことが無いので、コストと手間を大幅に削減することが出来、短い間隔にて、そして安価にソーシャルキャピタルインデックスを計測して表示できる。よって、コミュニティに対してなされた施策の効果検証が短いサイクルにて実施でき、より良い施策を早い段階から実施できる。
【0079】
なお、上記実施例においては、プログラムを実行して処理を行う場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0080】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 ソーシャルキャピタルインデックス計測システム
2 データ入力部
3 所属地域推定処理部
4 特定施設滞在人口処理部
5 ソーシャルキャピタルインデックス算出部
6 ソーシャルキャピタルインデックス表示部
7 データ蓄積部
8 補正部
9 高齢者補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B