(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】ウェブ印刷装置およびウェブ印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
B41J2/01 103
B41J2/01 125
B41J2/01 451
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2020142499
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】村松 明寿香
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/059552(WO,A1)
【文献】特開2009-113323(JP,A)
【文献】特開2018-075819(JP,A)
【文献】特開2003-173109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0321512(US,A1)
【文献】特開2006-091424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に幅を有するウェブの第1面に第1画像を印刷する第1印刷部と、
前記第1印刷部により前記第1画像が印刷された前記ウェブを加熱することで前記ウェブを乾燥させる第1乾燥部と、
前記第1乾燥部により乾燥された前記ウェブの前記第1面と反対の第2面に第2画像を印刷する第2印刷部と、
前記第2印刷部により前記第2画像が印刷された前記ウェブを加熱することで前記ウェブを乾燥させる第2乾燥部と、
前記第1乾燥部で乾燥された後であって前記第2乾燥部で乾燥される前の前記ウェブの前記第1面を撮像する第1撮像部と、
前記第2乾燥部で乾燥された後の前記ウェブの前記第2面を撮像する第2撮像部と、
前記第1印刷部によって第1テストパターンを前記第1面に印刷するとともに、前記第2印刷部によって第2テストパターンを前記第2面に印刷する制御部と
を備え、
前記第1撮像部は、前記第1テストパターンが印刷された前記第1面を撮像することで第1撮像画像を取得し、
前記第2撮像部は、前記第2テストパターンが印刷された前記第2面を撮像することで第2撮像画像を取得し、
前記制御部は、前記幅方向における前記第1テストパターンのサイズを反映する第1サイズと前記ウェブの幅との比を示す第1比率を前記第1撮像画像に基づき求めるとともに、前記幅方向における前記第2テストパターンのサイズを反映する第2サイズと前記ウェブの幅との比を示す第2比率を前記第2撮像画像に基づき求め、前記第1比率および前記第2比率に応じて、前記第1画像および前記第2画像の少なくとも一方の前記幅方向における幅を調整するウェブ印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1乾燥部で乾燥された後であって前記第2乾燥部で乾燥される前における前記ウェブの幅と前記第1画像の幅との比と、前記第2乾燥部で乾燥された後における前記ウェブの幅と前記第2画像の幅との比とが一致するように、前記第1画像および前記第2画像の少なくとも一方の前記幅方向における幅を調整する請求項1に記載のウェブ印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、テストパターンを示すデータであるテストデータを前記第1印刷部および前記第2印刷部に送信し、
前記第1印刷部は、前記テストデータが示す画像を印刷することで、前記第1テストパターンを印刷し、
前記第2印刷部は、前記テストデータが示す画像を印刷することで、前記第2テストパターンを印刷する請求項1または2に記載のウェブ印刷装置。
【請求項4】
前記第1テストパターンは、前記幅方向に配列された複数の第1マークを有し、
前記第2テストパターンは、前記幅方向に配列された複数の第2マークを有し、
前記制御部は、前記第1撮像画像に含まれる前記複数の第1マークのうちの2個の第1マークの前記幅方向における距離を前記第1サイズとして求めるとともに、前記第2撮像画像に含まれる前記複数の第2マークのうちの2個の第2マークの前記幅方向における距離を前記第2サイズとして求める請求項1ないし3のいずれか一項に記載のウェブ印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の第1マークのうち両端に位置する2個の第1マークの前記幅方向における距離を前記第1サイズとして求めるとともに、前記複数の第2マークのうち両端に位置する2個の第2マークの前記幅方向における距離を前記第2サイズとして求める請求項4に記載のウェブ印刷装置。
【請求項6】
前記第1画像および前記第2画像を印刷する予定の前記ウェブの幅が、前記第1テストパターンおよび前記第2テストパターンを印刷した前記ウェブの幅から変更された場合、
前記制御部は、前記複数の第1マークのうち、変更後の前記ウェブの幅に収まる範囲の両端に位置する2個の第1マークの前記幅方向における距離を前記第1サイズとして求めるとともに、前記複数の第2マークのうち、変更後の前記ウェブの幅に収まる範囲の両端に位置する2個の第2マークの前記幅方向における距離を前記第2サイズとして求める請求項4または5に記載のウェブ印刷装置。
【請求項7】
前記第1印刷部は、前記幅方向に配列された複数の第1ヘッドを有し、前記第1ヘッドからインクを吐出することで前記第1画像を印刷し、
前記第2印刷部は、前記幅方向に配列された複数の第2ヘッドを有し、前記第2ヘッドからインクを吐出することで前記第2画像を印刷し、
前記制御部は、前記複数の第1ヘッドのそれぞれにインクを吐出させることで前記複数の第1ヘッドにより前記複数の第1マークを印刷させるとともに、前記複数の第2ヘッドのそれぞれにインクを吐出させることで前記複数の第2ヘッドに前記複数の第2マークを印刷させる請求項4ないし6のいずれか一項に記載のウェブ印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1撮像画像に基づき求めた前記ウェブの端と前記第1テストパターンとの前記幅方向への距離と、前記第2撮像画像に基づき求めた前記ウェブの端と前記第2テストパターンとの前記幅方向への距離との差に応じて、前記第1画像および前記第2画像の少なくとも一方の前記幅方向における位置を調整する請求項1ないし7のいずれか一項に記載のウェブ印刷装置。
【請求項9】
前記第1テストパターンは、前記幅方向に直交する直交方向に配列された複数の第1オフセットマークを有し、
前記第2テストパターンは、前記複数の第1オフセットマークにそれぞれ対応して前記直交方向に配列された複数の第2オフセットマークを有し、
前記幅方向における前記ウェブの端までの距離は、前記複数の第1オフセットマークで異なり、
前記幅方向における前記ウェブの端までの距離は、前記複数の第2オフセットマークで異なり、
前記制御部は、互いに対応する前記第1オフセットマークおよび前記第2オフセットマークそれぞれの前記ウェブの端までの距離の差を、互いに対応する前記第1オフセットマークおよび前記第2オフセットマークの各組み合わせについて算出した平均値に応じて、前記第1画像および前記第2画像の少なくとも一方の前記幅方向における位置を調整する請求項8に記載のウェブ印刷装置。
【請求項10】
幅方向に幅を有するウェブの第1面に第1テストパターンを第1印刷部により印刷する工程と、
前記第1印刷部により前記第1テストパターンが印刷された前記ウェブを第1乾燥部により加熱することで前記ウェブを乾燥させる工程と、
前記第1乾燥部により乾燥された前記ウェブの前記第1面と反対の第2面に第2テストパターンを第2印刷部により印刷する工程と、
前記第2印刷部により前記第2テストパターンが印刷された前記ウェブを第2乾燥部により乾燥することで前記ウェブを乾燥させる工程と、
前記第1乾燥部で乾燥された後であって前記第2乾燥部で乾燥される前に、前記第1テストパターンが印刷された前記ウェブを撮像することで第1撮像画像を取得する工程と、
前記第2乾燥部で乾燥された後に、前記第2テストパターンが印刷された前記ウェブを撮像することで第2撮像画像を取得する工程と、
前記幅方向における前記第1テストパターンのサイズを反映する第1サイズと前記ウェブの幅との比を示す第1比率を前記第1撮像画像に基づき求める工程と、
前記幅方向における前記第2テストパターンのサイズを反映する第2サイズと前記ウェブの幅との比を示す第2比率を前記第2撮像画像に基づき求める工程と、
前記第1比率および前記第2比率に応じて、第1画像および第2画像の少なくとも一方を印刷する範囲を前記幅方向において調整する工程と、
前記ウェブの前記第1面に前記第1画像を前記第1印刷部により印刷する工程と、
前記第1印刷部により前記第1画像が印刷された前記ウェブを前記第1乾燥部により加熱することで前記ウェブを乾燥させる工程と、
前記第1乾燥部により乾燥された前記ウェブの前記第2面に前記第2画像を印刷する工程と、
前記第2印刷部により前記第2画像が印刷された前記ウェブを前記第2乾燥部により乾燥することで前記ウェブを乾燥させる工程と
を備えたウェブ印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はウェブの両面に画像を印刷する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3に示されるように、連続紙等のウェブをロール・トゥ・ロールで搬送しつつ、ウェブの両面それぞれに画像を印刷するウェブ印刷装置が知られている。特に特許文献3のウェブ印刷装置は、ウェブを乾燥させる乾燥部を備える。具体的には、ウェブの表面に画像を印刷した後にウェブを乾燥させ、さらにウェブの裏面に画像を印刷した後にウェブを乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3630979号公報
【文献】特許第5503952号公報
【文献】特許第6539361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2回の乾燥を経ることでウェブの幅が伸縮して、ウェブの表面の画像とウェブの裏面の画像とがずれてしまう場合がある。特に2回の乾燥でウェブの幅の伸縮が同様に発生するとは限らないため、幅方向においてウェブに占める画像の比率が、1回目の乾燥の後と2回目の乾燥の後とで異なりうる。このようにウェブの幅に対する画像の幅の比率が表裏でずれることが、表の画像と裏の画像とのずれの抑制を困難にしていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ウェブの各面に画像を印刷する度に乾燥を実行してウェブに両面印刷を実行する場合に、ウェブの両面の間で生じるウェブの幅に対する画像の幅の比率の差を抑制することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るウェブ印刷装置は、幅方向に幅を有するウェブの第1面に第1画像を印刷する第1印刷部と、第1印刷部により第1画像が印刷されたウェブを加熱することでウェブを乾燥させる第1乾燥部と、第1乾燥部により乾燥されたウェブの第1面と反対の第2面に第2画像を印刷する第2印刷部と、第2印刷部により第2画像が印刷されたウェブを加熱することでウェブを乾燥させる第2乾燥部と、第1乾燥部で乾燥された後であって第2乾燥部で乾燥される前のウェブの第1面を撮像する第1撮像部と、第2乾燥部で乾燥された後のウェブの第2面を撮像する第2撮像部と、第1印刷部によって第1テストパターンを第1面に印刷するとともに、第2印刷部によって第2テストパターンを第2面に印刷する制御部とを備え、第1撮像部は、第1テストパターンが印刷された第1面を撮像することで第1撮像画像を取得し、第2撮像部は、第2テストパターンが印刷された第2面を撮像することで第2撮像画像を取得し、制御部は、幅方向における第1テストパターンのサイズを反映する第1サイズとウェブの幅との比を示す第1比率を第1撮像画像に基づき求めるとともに、幅方向における第2テストパターンのサイズを反映する第2サイズとウェブの幅との比を示す第2比率を第2撮像画像に基づき求め、第1比率および第2比率に応じて、第1画像および第2画像の少なくとも一方の幅方向における幅を調整する。
【0007】
本発明に係るウェブ印刷方法は、幅方向に幅を有するウェブの第1面に第1テストパターンを第1印刷部により印刷する工程と、第1印刷部により第1テストパターンが印刷されたウェブを第1乾燥部により加熱することでウェブを乾燥させる工程と、第1乾燥部により乾燥されたウェブの第1面と反対の第2面に第2テストパターンを第2印刷部により印刷する工程と、第2印刷部により第2テストパターンが印刷されたウェブを第2乾燥部により乾燥することでウェブを乾燥させる工程と、第1乾燥部で乾燥された後であって第2乾燥部で乾燥される前に、第1テストパターンが印刷されたウェブを撮像することで第1撮像画像を取得する工程と、第2乾燥部で乾燥された後に、第2テストパターンが印刷されたウェブを撮像することで第2撮像画像を取得する工程と、幅方向における第1テストパターンのサイズを反映する第1サイズとウェブの幅との比を示す第1比率を第1撮像画像に基づき求める工程と、幅方向における第2テストパターンのサイズを反映する第2サイズとウェブの幅との比を示す第2比率を第2撮像画像に基づき求める工程と、第1比率および第2比率に応じて、第1画像および第2画像の少なくとも一方を印刷する範囲を幅方向において調整する工程と、ウェブの第1面に第1画像を第1印刷部により印刷する工程と、第1印刷部により第1画像が印刷されたウェブを第1乾燥部により加熱することでウェブを乾燥させる工程と、第1乾燥部により乾燥されたウェブの第2面に第2画像を印刷する工程と、第2印刷部により第2画像が印刷されたウェブを第2乾燥部により乾燥することでウェブを乾燥させる工程とを備える。
【0008】
このように構成された本発明(ウェブ印刷装置およびウェブ印刷方法)では、ウェブの第1面に第1画像を印刷するとともにウェブの第2面に第2画像を印刷することで、両面印刷が実行される。また、両面印刷に先立って、第1・第2テストパターンの印刷が実行される。詳述すると、ウェブの第1面に第1テストパターンを印刷した後に乾燥が実行され、さらにウェブの第2面に第2テストパターンを印刷した後に乾燥が実行される。この際、第1テストパターンが印刷された第1面を撮像することで第1撮像画像が取得され、第2テストパターンが印刷された第2面を撮像することで第2撮像画像が取得される。さらに、幅方向における第1テストパターンのサイズを反映する第1サイズとウェブの幅との比を示す第1比率が第1撮像画像に基づき求められる。また、幅方向における第2テストパターンのサイズを反映する第2サイズとウェブの幅との比を示す第2比率が第2撮像画像に基づき求められる。
【0009】
つまり、ウェブの幅に対するテストパターンのサイズの比率が、1回目の乾燥後と2回目の乾燥後のそれぞれにおいて求められる(第1比率および第2比率)。そして、これら第1比率および第2比率に応じて、第1画像および第2画像の少なくとも一方を印刷する範囲が幅方向において調整される。その結果、ウェブの各面に画像を印刷する度に乾燥を実行してウェブに両面印刷を実行する場合に、ウェブの両面の間で生じるウェブの幅に対する画像の幅の比率の差を抑制することを可能となっている。
【0010】
なお、第1画像および第2画像の少なくとも一方を印刷する範囲の調整は、適宜の方法により実行すればよい。例えば、第1比率と第2比率との違いに応じて、第1画像および第2画像の少なくとも一方の幅を伸縮することで実行できる。
【0011】
また、制御部は、第1乾燥部で乾燥された後であって第2乾燥部で乾燥される前におけるウェブの幅と第1画像の幅との比と、第2乾燥部で乾燥された後におけるウェブの幅と第2画像の幅との比とが一致するように、第1画像および第2画像の少なくとも一方の幅方向における幅を調整するように、ウェブ印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、ウェブの両面の間で生じるウェブの幅に対する画像の幅の比率の差を確実に抑制することができる。
【0012】
また、制御部は、テストパターンを示すデータであるテストデータを第1印刷部および第2印刷部に送信し、第1印刷部は、テストデータが示す画像を印刷することで、第1テストパターンを印刷し、第2印刷部は、テストデータが示す画像を印刷することで、第2テストパターンを印刷するように、ウェブ印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、第1テストパターンと第2テストパターンとが同一のテストデータに基づき印刷される。したがって、第1テストパターンと第2テストパターンとの違いに、ウェブの伸縮以外の要因が含まれるのを抑えることができる。すなわち、ウェブの伸縮による影響を、第1テストパターンと第2テストパターンとの違いに的確に反映させることできる。その結果、ウェブの両面の間で生じるウェブの幅に対する画像の幅の比率の差を確実に抑制することができる。
【0013】
また、第1テストパターンは、幅方向に配列された複数の第1マークを有し、第2テストパターンは、幅方向に配列された複数の第2マークを有し、制御部は、第1撮像画像に含まれる複数の第1マークのうちの2個の第1マークの幅方向における距離を第1サイズとして求めるとともに、第2撮像画像に含まれる複数の第2マークのうちの2個の第2マークの幅方向における距離を第2サイズとして求めるように、ウェブ印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、2個のマークの幅方向における距離を求めるといった簡単な演算で、第1・第2テストパターンのサイズを反映した第1・第2サイズを求めることができる。
【0014】
この際、テストパターン(第1・第2テストパターン)の複数のマーク(第1・第2マーク)のうちから、2個のマークを選択する態様は種々考えられる。例えば、制御部は、複数の第1マークのうち両端に位置する2個の第1マークの幅方向における距離を第1サイズとして求めるとともに、複数の第2マークのうち両端に位置する2個の第2マークの幅方向における距離を第2サイズとして求めるように、ウェブ印刷装置を構成してもよい。
【0015】
あるいは、第1画像および第2画像を印刷する予定のウェブの幅が、第1テストパターンおよび第2テストパターンを印刷したウェブの幅から変更された場合、制御部は、複数の第1マークのうち、変更後のウェブの幅に収まる範囲の両端に位置する2個の第1マークの幅方向における距離を第1サイズとして求めるとともに、複数の第2マークのうち、変更後のウェブの幅に収まる範囲の両端に位置する2個の第2マークの幅方向における距離を第2サイズとして求めるように、ウェブ印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、ウェブの幅の変更に的確に対応しつつ、ウェブの両面の間で生じるウェブの幅に対する画像の幅の比率の差を抑制することができる。
【0016】
この際、第1印刷部は、幅方向に配列された複数の第1ヘッドを有し、第1ヘッドからインクを吐出することで第1画像を印刷し、第2印刷部は、幅方向に配列された複数の第2ヘッドを有し、第2ヘッドからインクを吐出することで第2画像を印刷し、制御部は、複数の第1ヘッドのそれぞれにインクを吐出させることで複数の第1ヘッドにより複数の第1マークを印刷させるとともに、複数の第2ヘッドのそれぞれにインクを吐出させることで複数の第2ヘッドに複数の第2マークを印刷させるように、ウェブ印刷装置を構成してもよい。
【0017】
また、制御部は、第1撮像画像に基づき求めたウェブの端と第1テストパターンとの幅方向への距離と、第2撮像画像に基づき求めたウェブの端と第2テストパターンとの幅方向への距離との差に応じて、第1画像および第2画像の少なくとも一方の幅方向における位置を調整するように、ウェブ印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、ウェブの幅に対する画像の幅の比率の違いのみならず、ウェブの幅方向への画像の位置ずれも抑制しつつ、ウェブの両面に画像を印刷することができる。
【0018】
また、第1テストパターンは、幅方向に直交する直交方向に配列された複数の第1オフセットマークを有し、第2テストパターンは、複数の第1オフセットマークにそれぞれ対応して直交方向に配列された複数の第2オフセットマークを有し、幅方向におけるウェブの端までの距離は、複数の第1オフセットマークで異なり、幅方向におけるウェブの端までの距離は、複数の第2オフセットマークで異なり、制御部は、互いに対応する第1オフセットマークおよび第2オフセットマークそれぞれのウェブの端までの距離の差を、互いに対応する第1オフセットマークおよび第2オフセットマークの各組み合わせについて算出した平均値に応じて、第1画像および第2画像の少なくとも一方の幅方向における位置を調整するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、ウェブの幅方向への画像の位置ずれを確実に抑制しつつ、ウェブの両面に画像を印刷することができる。
【発明の効果】
【0019】
上記のように、本発明によれば、ウェブの各面に画像を印刷する度に乾燥を実行してウェブに両面印刷を実行する場合に、ウェブの両面の間で生じるウェブの幅に対する画像の幅の比率の差を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るウェブ印刷装置の一例である連続紙印刷装置を模式的に示す正面図。
【
図2】表面プリンタおよび裏面プリンタが備えるプリントバーの構成を模式的に示す底面図。
【
図3】変倍調整値準備処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図3の変倍調整値準備処理で実行される動作を模式的に示す図。
【
図5】
図3の変倍調整値準備処理で取得される情報の一例をテーブル形式で示す図。
【
図6】
図1の連続紙印刷装置で実行される印刷処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】画像の幅と変倍値との関係を模式的に示す図。
【
図8】テストパターンに含まれる複数のマークの選択態様の変形例を模式的に示す図。
【
図9】オフセットずれに対応する制御の変形例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係るウェブ印刷装置の一例である連続紙印刷装置を模式的に示す正面図である。この連続紙印刷装置1は、水性のインクをインクジェット方式で連続紙Mに吐出することで画像を印刷する。連続紙Mは、表面Maと、当該表面Maと反対の裏面Mbとを有し、連続紙印刷装置1は、連続紙Mの両面Ma、Mbに画像を印刷する両面印刷を実行する。
【0022】
連続紙印刷装置1は、
図1の右から左へ向かう搬送方向Acに連続紙Mを搬送する搬送部2を備える。この搬送部2は操出ローラ21と巻取ローラ22とを有し、連続紙Mの一端部が操出ローラ21に巻き付けられ、連続紙Mの他端部が巻取ローラ22に巻き付けられている。そして、操出ローラ21が連続紙Mを繰り出すとともに、巻取ローラ22が連続紙Mを巻き取ることで、ロール・トゥ・ロールで連続紙Mが搬送される。
【0023】
また、連続紙印刷装置1は、操出ローラ21と巻取ローラ22との間に配列された表面プリンタ4Aと裏面プリンタ4Bとを備える。搬送方向Acにおいて、表面プリンタ4Aは上流側に位置し、裏面プリンタ4Bは下流側に位置する。そのため、搬送部2により搬送される連続紙Mは、表面プリンタ4Aを通過してから、裏面プリンタ4Bを通過する。表面プリンタ4Aは連続紙Mの表面Maに画像を印刷し、裏面プリンタ4Bは連続紙Mの裏面Mbに画像を印刷する。このように印刷対象となる面Ma、Mbが異なる点を除いて、表面プリンタ4Aと裏面プリンタ4Bとは概ね共通する構成を備える。そのため、表面プリンタ4Aを中心に説明を行い、裏面プリンタ4Bについては相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0024】
表面プリンタ4Aは、搬送方向Acに連続紙Mを搬送する搬送部41Aを有する。搬送部41Aは、駆動ローラ411Aと、搬送方向Acにおいて駆動ローラ411Aの下流側に配置された駆動ローラ412Aと、駆動ローラ411Aと駆動ローラ412Aとの間に配列された複数の従動ローラ413Aとを有する。駆動ローラ411A、412Aは、搬送方向Acに連続紙Mを駆動し、従動ローラ413Aは、連続紙Mに従動して回転する。
【0025】
表面プリンタ4Aは、搬送方向Acにおいて駆動ローラ411Aと駆動ローラ412Aとの間に配置された印刷部43Aを有し、印刷部43Aは連続紙Mに上方から対向する。印刷部43Aは、搬送方向Acに配列された複数(4個)のプリントバーBを有し、複数のプリントバーBは互いに異なる色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のインクを連続紙Mに吐出する。こうして、連続紙Mにカラー画像が印刷される。なお、プリントバーBの個数や、プリントバーBから吐出するインクの色は、ここの例に限られない。
【0026】
また、表面プリンタ4Aは、搬送方向Acにおいて印刷部43Aと駆動ローラ412Aとの間に配置された乾燥部45Aを有する。こうして、搬送方向Acにおいて印刷部43Aの下流側に配置された乾燥部45Aは、印刷部43Aによって画像が印刷された連続紙Mを乾燥させる。具体的には、乾燥部45Aは、熱風あるいはヒータ等によって連続紙Mを加熱することで乾燥を行う。
【0027】
さらに、表面プリンタ4Aは、搬送方向Acにおいて乾燥部45Aと駆動ローラ412Aとの間に配置された撮像部47Aを有し、撮像部47Aは連続紙Mに上方から対向する。こうして、搬送方向Acにおいて印刷部43Aおよび乾燥部45Aの下流側に配置された撮像部47Aは、印刷部43Aによって画像が印刷されて乾燥部45Aによって乾燥された連続紙Mを撮像することで、連続紙Mに印刷された画像を撮像する。この撮像部47Aは、例えば印刷された画像の良否検査(ドット抜けの有無等)や、後述する表裏変倍調整に用いられる。
【0028】
この表面プリンタ4Aは、印刷部43A、乾燥部45Aおよび撮像部47Aを制御する制御部49Aを有する。具体的には、制御部49Aは、印刷対象である画像を示す印刷データDに基づき印刷部43Aの各プリントバーBからのインクの吐出を制御することで、印刷データDが示す画像を連続紙Mに印刷する。また、制御部49Aは、連続紙Mおよび当該連続紙Mに印刷された画像を撮像部47Aに撮像させて撮像画像を取得する。
【0029】
また、連続紙印刷装置1は、上記構成をそれぞれ備える表面プリンタ4Aと裏面プリンタ4Bとの間に反転機6を備える。この反転機6は連続紙Mの表面Maと裏面Mbとを反転させる機能を有し、表面Maが上方を向いた状態で表面プリンタ4Aから搬出された連続紙Mは、反転機6によって反転された後に、裏面プリンタ4Bに搬入される。したがって、裏面プリンタ4Bには、裏面Mbが上方を向いた状態で連続紙Mが搬入される。このような連続紙印刷装置1では、表面プリンタ4Aが連続紙Mの表面Maへの画像の印刷、乾燥および連続紙Mの表面Maの撮像を実行し、裏面プリンタ4Bが連続紙Mの裏面Mbへの画像の印刷、乾燥および連続紙Mの裏面Mbの撮像を実行する。
【0030】
さらに、連続紙印刷装置1は、データ生成部91と、画像処理部92とを有する。データ生成部91は、多階調(例えば256階調)で各画素の階調値を示すデータ(例えば、Portable Document Formatのデータ)を生成し、画像処理部92は、データ生成部91により生成されたデータをラスタライズすることで印刷データDを生成するRIP(Raster Image Processor)である。こうして生成された印刷データDは、各画素の値を二値で表す二値データである。データ生成部91および画像処理部92は、表面プリンタ4Aおよび裏面プリンタ4Bに共通に設けられ、表面プリンタ4Aでの印刷画像を示す印刷データDpaを生成して表面プリンタ4Aの制御部49に送信するとともに、裏面プリンタ4Bでの印刷画像を示す印刷データDpbを生成して裏面プリンタ4Bの制御部49に送信する。
【0031】
なお、上述の通り、連続紙印刷装置1は、制御部49、データ生成部91および画像処理部92といった各種の演算器を備える。データ生成部91は例えばパーソナルコンピュータにより構成され、画像処理部92および制御部49は例えばプロセッサあるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成される。
【0032】
図2は表面プリンタおよび裏面プリンタが備えるプリントバーの構成を模式的に示す底面図である。なお、表面プリンタ4Aが有する複数のプリントバーBおよび裏面プリンタ4Bが有する複数のプリントバーBは、共通した構成を具備するため、1個のプリントバーBについて説明を行う。
【0033】
プリントバーBの底面では、複数(10個)のプリントヘッドBhが二行千鳥で連続紙Mの幅方向Awに配列されている。ここで、幅方向Awは搬送方向Acに直交する。各プリントヘッドBhは、幅方向Awに配列された複数のノズルNを有する。各ノズルNは、連続紙Mに対向し、インクジェット方式でインクを連続紙Mに吐出する。なお、プリントヘッドBhの個数や、プリントヘッドBhの配列態様は、
図2の例に限られない。
【0034】
ところで、この連続紙印刷装置1では、表面Maに印刷された画像と、裏面Mbに印刷された画像とを一致させる、換言すれば重ね合わせるために、表面Maに印刷する画像と、裏面Mbに印刷する画像との倍率を調整する(表裏変倍調整)。具体的には、表裏変倍調整に必要となる各調整値(変倍値、オフセット値)を求めてから(変倍調整値準備処理)、この調整値に基づき表裏それぞれの印刷データD(Dpa、Dpb)を生成することで、表裏変倍調整が実行される。続いては、この点について説明を行う。
【0035】
図3は変倍調整値準備処理の一例を示すフローチャートであり、
図4は
図3の変倍調整値準備処理で実行される動作を模式的に示す図であり、
図5は
図3の変倍調整値準備処理で取得される情報の一例をテーブル形式で示す図である。なお、
図4における寸法関係は、実際のそれと比較して差を強調して表されている。
図3の変倍調整値準備処理は、データ生成部91、画像処理部92、制御部49Aおよび制御部49Bの協働によって実行される。また、
図3のフローチャートは、表面プリンタ4Aおよび裏面プリンタ4Bで印刷可能な複数の色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のそれぞれについて実行される。ただし、処理の内容は各色で共通するため、ここでは一色に対する処理ついて説明を行う。
【0036】
ステップS101では、連続紙Mの表面MaにテストパターンPtが印刷される。例えば
図4の「表印刷時」の欄に示すように、テストパターンPtは、幅方向Awに等間隔で配列された複数のマークKtを有する。具体的には、プリントバーBの複数のプリントヘッドBhのそれぞれが1個ずつマークKtを印刷することで、複数(10個)のプリントヘッドBhが複数(10個)のマークKtを印刷する。これら複数のマークKtは同一の形状およびサイズを有する。
【0037】
詳述すると、データ生成部91は、テストパターンPtを示すデータを生成して、画像処理部92に送信する。画像処理部92は、受信したデータをラスタライズして、テストパターンPtを示す印刷データDであるテスト印刷データDtを生成する。このテスト印刷データDtは、画像処理部92から表面プリンタ4Aの制御部49Aに送信される。そして、表面プリンタ4Aでは、制御部49Aが受信したテスト印刷データDtに基づき印刷が実行されて、
図4の「表印刷時」の欄に示すテストパターンPtが連続紙Mの表面Maに印刷される。
【0038】
図4の「表印刷時」の欄に示すように、表面プリンタ4Aの印刷部43Aによる印刷時には、連続紙Mは、幅方向Awに用紙幅Wm0を有する。また、テストパターンPtは幅方向Awにパターン幅Wp0を有する。ここで、パターン幅Wp0は、テストパターンPtに含まれる複数のマークKtのうち、幅方向Awの両端に位置する2個のマークKtの距離で与えられる。この際、2個のマークKtの距離は、2個のマークKtそれぞれの外側の端の間の距離であり、
図4を用いて説明すると、右側のマークKtの右端と左側のマークKtの左端との間の距離である。以下においても、テストパターンPtの幅を与える2個のマークKtの間の距離は同様に求められる。
【0039】
表面プリンタ4Aにおいて、その表面MaにテストパターンPtが印刷された連続紙Mは搬送方向Acに搬送されて、乾燥部45Aにおいて乾燥される(ステップS102)。さらに、乾燥部45Aにより乾燥された連続紙Mは、搬送方向Acに搬送されて、撮像部47Aの下方を通過する。撮像部47Aは幅方向Awに平行に配置されたラインカメラであり、その下方を通過する連続紙Mを1ラインずつ撮像する動作を、連続紙Mの搬送に同期して繰り返すことで、連続紙Mの二次元画像を撮像する。この撮像部47Aは、幅方向Awにおいて用紙幅Wm0よりも広く、幅方向Awにおいて連続紙Mの全体を撮像することができる。
【0040】
したがって、テストパターンPtが撮像部47Aの下方を通過すると、テストパターンPtと、当該テストパターンPtが印刷された連続紙Mの表面Maが撮像部47Aによって撮像されて、表撮像画像I1が取得される(ステップS103)。この表撮像画像I1は、撮像部47Aから制御部49Aに送信される。制御部49Aは、表撮像画像I1に対して画像処理を実行することにより変倍値を算出し、算出した変倍値を画像処理部92に送信する。変倍値の詳細については後述する。
【0041】
表面プリンタ4Aにおいて、撮像部47Aにより撮像されるまでに連続紙Mは乾燥部45Aにより乾燥され、幅方向Awに縮んでいる。したがって、
図4の「乾燥後表撮像時」の欄に示すように、表面プリンタ4Aの撮像部47Aによる撮像時には、連続紙Mは、幅方向Awにおいて用紙幅Wm0より狭い用紙幅Wm1を有する。また、テストパターンPtは幅方向Awにおいてパターン幅Wp0より狭いパターン幅Wp1を有する。
【0042】
ステップS104では、制御部49Aが表撮像画像I1からテストパターンPtの画像を抽出して、テストパターンPtに含まれる複数のマークKtの位置情報(
図5)を取得する。具体的には、
図5に示されるように、10個のマークKt(n)に対応して10個の位置情報L(n)が取得される(n=1~10)。例えば、位置情報Lは、対応するマークKtの位置(幾何重心の位置あるいは幅方向Awの端の位置等)、形状あるいは寸法等の少なくともいずれかを含む。さらに、ステップS104では、制御部49Aが表撮像画像I1から連続紙Mの画像を抽出して、搬送方向Acにおける連続紙Mの用紙幅Wm1を求める。
【0043】
ステップS105では、連続紙Mの裏面MbにテストパターンPtが印刷される。具体的には、連続紙Mの表面MaへのテストパターンPtの印刷で使用されたテスト印刷データDtが画像処理部92から裏面プリンタ4Bの制御部49Bに送信される。そして、裏面プリンタ4Bでは、制御部49Bが受信したテスト印刷データDtに基づき印刷が実行されて、
図4の「裏印刷時」の欄に示すテストパターンPtが連続紙Mの裏面Mbに印刷される。つまり、プリントバーBの複数のプリントヘッドBhのそれぞれが1個ずつマークKtを印刷することで、幅方向Awに等間隔で配列された複数のマークKtを有するテストパターンPtが印刷される。
【0044】
図4の「裏印刷時」の欄に示すように、裏面プリンタ4Bの印刷部43Bによる印刷時には、連続紙Mは、幅方向Awに用紙幅Wm1を有する。また、テストパターンPtは幅方向Awにパターン幅Wp0を有する。
【0045】
裏面プリンタ4Bにおいて、その裏面MbにテストパターンPtが印刷された連続紙Mは乾燥部45Bから搬送方向Acに搬送されて、乾燥部45Bにおいて乾燥される(ステップS106)。さらに、乾燥部45Bにより乾燥された連続紙Mは、搬送方向Acに搬送されて、撮像部47Bの下方を通過する。そして、テストパターンPtが撮像部47Bの下方を通過すると、テストパターンPtと、当該テストパターンPtが印刷された連続紙Mの裏面Mbが撮像部47Bによって撮像されて、裏撮像画像I2が取得される(ステップS107)。この裏撮像画像I2は、撮像部47Bから制御部49Bに送信される。
【0046】
裏面プリンタ4Bにおいて、撮像部47Bにより撮像されるまでに連続紙Mは乾燥部45Bにより乾燥され、幅方向Awにさらに縮んでいる。したがって、
図4の「乾燥後裏撮像時」の欄に示すように、裏面プリンタ4Bの撮像部47Bによる撮像時には、連続紙Mは、幅方向Awにおいて用紙幅Wm1より狭い用紙幅Wm2を有する。また、テストパターンPtは幅方向Awにおいてパターン幅Wp0より狭いパターン幅Wp2を有する。
【0047】
ステップS108では、制御部49Bが裏撮像画像I2からテストパターンPtの画像を抽出して、テストパターンPtに含まれる複数のマークKtの位置情報(
図5)を取得する。さらに、ステップS108では、制御部49Bが裏撮像画像I2から連続紙Mの画像を抽出して、搬送方向Acにおける連続紙Mの用紙幅Wm2を求める。また、ステップS108では、制御部49Bが取得した連続紙Mの用紙幅Wm2および複数のマークKtの位置情報を制御部49Aに送信する。
【0048】
ステップS109では、表面Maに印刷されたテストパターンPtと、裏面Mbに印刷されたテストパターンPtとのずれの程度を示す変倍値が、制御部49Aによって算出される。特にこの実施形態では、単なる表裏のテストパターンPtの比較によるのではなく、連続紙Mの幅に対するテストパターンPtの幅の比率を考慮して、変倍値が算出される。具体的には、変倍値は次式
変倍値=(Wp1/Wm1)/(Wp2/Wm2) …式1
Wp1:1回目の乾燥後における表面MaのテストパターンPtの幅
Wm1:1回目の乾燥後における表面Maの幅
Wp2:2回目の乾燥後における裏面MbのテストパターンPtの幅
Wm2:2回目の乾燥後における裏面Mbの幅
により算出される。なお、パターン幅Wp1は、表面Maに印刷されたマークKtの位置情報L(
図5)から算出され、パターン幅Wpは、裏面Mbに印刷されたマークKtの位置情報L(
図5)から算出される。また、制御部49Aは、上記算出した変倍値を画像処理部92に送信する。
【0049】
ステップS110では、制御部49Aがオフセットずれを算出する。つまり、制御部49Aにより表撮像画像I1に基づき、表面Maに印刷されたテストパターンPtのオフセットOr1、Ol1が求められる。具体的には、表面Maに印刷された複数のマークKt(テストパターンPt)のうち、一方側(
図4の右側)の端に位置するマークKtの一方側(外側)の端と、連続紙Mの一方側の端との幅方向Awへの距離が、一方オフセットOr1として求められる。同様に、表面Maに印刷された複数のマークKt(テストパターンPt)のうち、他方側(
図4の左側)の端に位置するマークKtの他方側(外側)の端と、連続紙Mの他方側の端との幅方向Awへの距離が、他方オフセットOl1として求められる
【0050】
さらに、制御部49Bにより裏撮像画像I2に基づき、裏面Mbに印刷されたテストパターンPtのオフセットOr2、Ol2が求められる。具体的には、裏面Mbに印刷された複数のマークKt(テストパターンPt)のうち、一方側(
図4の右側)の端に位置するマークKtの一方側(外側)の端と、連続紙Mの一方側の端との幅方向Awへの距離が、一方オフセットOr2として求められる。同様に、裏面Mbに印刷された複数のマークKt(テストパターンPt)のうち、他方側(
図4の左側)の端に位置するマークKtの他方側(外側)の端と、連続紙Mの他方側の端との幅方向Awへの距離が、他方オフセットOl2として求められる。そして、制御部49Bが求めたオフセットOr2、Ol2は制御部49Aに送信される。
【0051】
そして、制御部49Aにより、表面Maの一方オフセットOr1と、裏面Mbの一方オフセットOl2との差ΔOr(=Or1-Ol2)が一方オフセットずれとして求められ、表面Maの他方オフセットOl1と、裏面Mbの他方オフセットOr2との差ΔOl(=Ol1-Or2)が他方オフセットずれとして求められる。制御部49Aにより求められた一方オフセットずれΔOrと他方オフセットずれΔOlとは制御部49Aから画像処理部92に送信される。こうして、オフセットずれΔOr、ΔOlが求められると、
図3の変倍調整値準備処理が終了する。
【0052】
図6は
図1の連続紙印刷装置で実行される印刷処理の一例を示すフローチャートである。印刷処理の開始に伴って、データ生成部91は、表面Maに印刷予定の画像を示すデータを生成するとともに(ステップS201)、裏面Mbに印刷予定の画像を示すデータを生成する(ステップS202)。そして、画像処理部92は、ステップS201で生成されたデータにラスタライズを実行することで、表画像印刷データDpaを生成するとともに(ステップS203)、ステップS202で生成されたデータにラスタライズを実行することで、裏画像印刷データDpbを生成する(ステップS204)。特にステップS204では、変倍調整値準備処理で求めた変倍値(調整値)に基づき、裏画像印刷データDpbが生成される。この点について、
図7の例を用いつつ説明する。
【0053】
図7は画像の幅と変倍値との関係を模式的に示す図である。
図7において、例1は変倍値(式1)が1より小さい状態で印刷処理を実行した場合を示し、例2は変倍値が1に等しい状態で印刷処理を実行した場合を示し、例3は変倍値が1より大きい状態で印刷処理を実行した場合を示す。
【0054】
また、「1回目の乾燥後」の欄は、表面プリンタ4Aの乾燥部45Aによる乾燥直後(すなわち、裏面プリンタ4Bの乾燥部45Bによる乾燥前)における、表面Maに印刷された表印刷画像G1の画像幅Wg1と連続紙Mの用紙幅Wm1とが示される。また、「2回目の乾燥後」の欄は、裏面プリンタ4Bの乾燥部45Bによる乾燥直後における、裏面Mbに印刷された裏印刷画像G2の画像幅Wg2と連続紙Mの用紙幅Wm2とが示される。
【0055】
さらに、「表裏間での比のずれ」の欄では、1回目の乾燥後における連続紙Mの用紙幅Wm1に対する表印刷画像G1の画像幅Wg1の比率(Wg1/Wm1)と、2回目の乾燥後における連続紙Mの用紙幅Wm2に対する裏印刷画像G2の画像幅Wg2の比率(Wg2/Wm2)との大小関係が示されている。
【0056】
例1では、変倍値が1より小さいことが反映されて、(Wg1/Wm1)<(Wg2/Wm2)となっている。すなわち、表印刷画像G1の画像幅Wg1が連続紙Mの用紙幅Wm1に占める割合が、裏印刷画像G2の画像幅Wg2が連続紙Mの用紙幅Wm2に占める割合よりも小さい。このような場合、連続紙印刷装置1において両面印刷が完了した連続紙Mでは、表印刷画像G1の幅が裏印刷画像G2の幅より狭く、表印刷画像G1と裏印刷画像G2とを重なり合わせることができない。
【0057】
例2では、変倍値が1に等しいことが反映されて、(Wg1/Wm1)=(Wg2/Wm2)となっている。すなわち、表印刷画像G1の画像幅Wg1が連続紙Mの用紙幅Wm1に占める割合と、裏印刷画像G2の画像幅Wg2が連続紙Mの用紙幅Wm2に占める割合とが等しい。このような場合、連続紙印刷装置1において両面印刷が完了した連続紙Mでは、表印刷画像G1の幅と裏印刷画像G2の幅とが等しいため、表印刷画像G1と裏印刷画像G2とを重なり合わせることができる。
【0058】
例3では、変倍値が1より小さいことが反映されて、(Wg1/Wm1)>(Wg2/Wm2)となっている。すなわち、表印刷画像G1の画像幅Wg1が連続紙Mの用紙幅Wm1に占める割合が、裏印刷画像G2の画像幅Wg2が連続紙Mの用紙幅Wm2に占める割合よりも小さい。このような場合、連続紙印刷装置1において両面印刷が完了した連続紙Mでは、表印刷画像G1の幅が裏印刷画像G2の幅より広くなって、表印刷画像G1と裏印刷画像G2とを重なり合わせることができない。
【0059】
そこで、印刷処理(
図6)のステップS204では、画像処理部92は、両面印刷が完了した時点(換言すれば、2回目の乾燥後)において(Wg1/Wm1)=(Wg2/Wm2)が実現されるように、裏画像印刷データDpbを調整する。具体的には、変倍調整値準備処理で求めた変倍値に基づき、表画像印刷データDpaが示す画像の幅に対して、裏画像印刷データDpbが示す画像の幅が調整される(変倍調整)。
【0060】
また、ステップS204では、変倍調整値準備処理で求めたオフセットずれ(調整値)に基づき、裏画像印刷データDpbが示す画像の位置を幅方向Awに調整するオフセット調整が実行される。つまり、画像データの基準がOr側であればΔOr、Ol側であればΔOlをオフセット値として、裏印刷画像G2が表印刷画像G1に対して幅方向Awにずれる。そこで、このオフセット値に応じて、裏画像印刷データDpbが示す画像の位置を幅方向Awにシフトさせる。このようにステップS204では、変倍調整とオフセット調整とを実行しつつ、裏画像印刷データDpbが生成される。
【0061】
そして、表画像印刷データDpaは、表面プリンタ4Aの制御部49Aに送信されて、表面プリンタ4Aでは、表画像印刷データDpaに基づき印刷部43Aがインクを吐出することで、連続紙Mの表面Maに表印刷画像G1が印刷される(ステップS205)。また、表面プリンタ4Aでは、表印刷画像G1が印刷された連続紙Mが乾燥部45Aによって乾燥される(ステップS206)。
【0062】
裏画像印刷データDpbは、裏面プリンタ4Bの制御部49Bに送信されて、裏面プリンタ4Bでは、裏画像印刷データDpbに基づき印刷部43Bがインクを吐出することで、連続紙Mの裏面Mbに裏印刷画像G2が印刷される(ステップS207)。また、裏面プリンタ4Bでは、裏印刷画像G2が印刷された連続紙Mが乾燥部45Bによって乾燥される(ステップS208)。こうして、表面Maに印刷された表印刷画像G1と、裏面Mbに印刷された裏印刷画像G2とが重ね合わされた連続紙Mを得ることができる。
【0063】
以上に説明した実施形態では、連続紙M(ウェブ)の表面Ma(第1面)に表印刷画像G1(第1画像)を印刷するとともに連続紙Mの裏面Mb(第2面)に裏印刷画像G2(第2画像)を印刷することで、両面印刷が実行される(印刷処理)。また、両面印刷に先立って、テストパターンPt(第1・第2テストパターン)の印刷が実行される(変倍調整値準備処理)。詳述すると、連続紙Mの表面MaにテストパターンPt(第1テストパターン)を印刷した後に乾燥が実行され、さらに連続紙Mの裏面MbにテストパターンPt(第2テストパターン)を印刷した後に乾燥が実行される。この際、テストパターンPtが印刷された表面Maを撮像することで表撮像画像I1(第1撮像画像)が取得され、テストパターンPtが印刷された裏面Mbを撮像することで裏撮像画像I2(第2撮像画像)が取得される。さらに、表面MaのテストパターンPtのパターン幅Wp1(第1サイズ)と連続紙Mの用紙幅Wm1との比、すなわちWp1/Wm1(第1比率)が表撮像画像I1に基づき求められる。また、裏面MbのテストパターンPtのパターン幅Wp2(第2サイズ)と連続紙Mの用紙幅Wm2との比、すなわちWp2/Wm2(第2比率)が裏撮像画像I2に基づき求められる。
【0064】
つまり、用紙幅Wm1、Wm2に対するパターン幅Wp1、Wp2の比率(Wp1/Wm1、Wp2/Wm2)が、1回目の乾燥後と2回目の乾燥後のそれぞれについて求められる(ステップS109)。そして、これらの比率に応じて、裏印刷画像G2を印刷する範囲(換言すれば、幅)が幅方向Awにおいて調整される(ステップS204)。その結果、連続紙Mの各面Ma、Mbに画像を印刷する度に乾燥を実行して連続紙Mに両面印刷を実行する場合に、連続紙Mの両面Ma、Mbの間で生じる連続紙Mの幅に対する画像G1、G2の幅の比率の差を抑制することが可能となっている。
【0065】
特に、表面プリンタ4Aの制御部49Aは、表面プリンタ4Aの乾燥部45(第1乾燥部)で乾燥された後における用紙幅Wm1と画像幅Wg1との比(Wg1/Wm1)と、裏面プリンタ4Bの乾燥部45で乾燥された後における用紙幅Wm2と画像幅Wg2との比(Wg2/Wm2)とを一致させることが可能な変倍値を算出する。また、画像処理部92は前記算出された変倍値に基づいて裏画像印刷データDpbが示す画像の幅を調整し、これらの比が一致するように裏印刷画像G2の印刷範囲を調整することで、連続紙Mの両面Ma、Mbの間で生じる連続紙Mの幅に対する画像G1、G2の幅の比率の差を確実に抑制することができる。
【0066】
また、画像処理部92は、テストパターンPtを示すデータであるテスト印刷データDt(テストデータ)を表面プリンタ4Aおよび裏面プリンタ4Bに送信する。そして、表面プリンタ4Aは、テスト印刷データDtに従って表面MaにテストパターンPtを印刷し、裏面プリンタ4Bは、テスト印刷データDtに従って裏面MbにテストパターンPtを印刷する。かかる構成では、表面MaのテストパターンPtと、裏面MbのテストパターンPtとが同一のテスト印刷データDtに基づき印刷される。したがって、表面MaのテストパターンPtと裏面MbのテストパターンPtとの違いに、連続紙Mの伸縮以外の要因が含まれるのを抑えることができる。すなわち、連続紙Mの伸縮による影響を、表面MaのテストパターンPtと裏面MbのテストパターンPtとの違いに的確に反映させることできる。その結果、連続紙Mの両面Ma、Mbの間で生じる連続紙Mの幅に対する表印刷画像G1、G2の幅の比率の差を確実に抑制することができる。
【0067】
また、表面Maおよび裏面Mbのそれぞれに印刷されるテストパターンPtは、幅方向Awに配列された複数のマークKt(第1・第2マーク)を有する。そして、制御部49Aは、表撮像画像I1に含まれる複数のマークKt(第1マーク)のうちの両端の2個のマークKtの幅方向Awにおける距離をパターン幅Wp(第1サイズ)として求めるとともに、裏撮像画像I2に含まれる複数のマークKt(第2マーク)のうちの両端の2個のマークKtの幅方向Awにおける距離をパターン幅Wp2(第2サイズ)として求める。かかる構成では、2個のマークKtの幅方向Awにおける距離を求めるといった簡単な演算で、表面Maおよび裏面MbそれぞれのテストパターンPtのサイズを反映したパターン幅Wp1、Wp2を求めることができる。
【0068】
また、制御部49Aは、表撮像画像I1に基づき、表面MaのテストパターンPtと連続紙Mの端との幅方向Awへの距離(一方オフセットOr1、他方オフセットOl1)を求める。さらに、制御部49Aは、裏撮像画像I2に基づき、裏面MbのテストパターンPtと連続紙Mの端との幅方向Awへの距離(一方オフセットOr2、他方オフセットOl2)とを求める。そして、これらの距離の差に応じて、裏印刷画像G2の幅方向Awにおける位置が調整される。かかる構成では、連続紙Mの幅に対する画像G1、G2の幅の比率の違いのみならず、連続紙Mの幅方向Awへの画像G1、G2の位置ずれも抑制しつつ、連続紙Mの両面Ma、Mbに画像G1、G2を印刷することができる。
【0069】
以上に説明した実施形態では、連続紙印刷装置1が本発明の「ウェブ印刷装置」の一例に相当し、表面プリンタ4Aの印刷部43が本発明の「第1印刷部」の一例に相当し、表面プリンタ4Aの乾燥部45が本発明の「第1乾燥部」の一例に相当し、裏面プリンタ4Bの印刷部43が本発明の「第2印刷部」の一例に相当し、裏面プリンタ4Bの乾燥部45が本発明の「第2乾燥部」の一例に相当し、表面プリンタ4Aの撮像部47が本発明の「第1撮像部」の一例に相当し、裏面プリンタ4Bの撮像部47が本発明の「第2撮像部」の一例に相当し、制御部49A、制御部49B、データ生成部91および画像処理部92が協働して本発明の「制御部」の一例として機能し、幅方向Awが本発明の「幅方向」の一例に相当し、表面プリンタ4AのプリントヘッドBhが本発明の「第1ヘッド」の一例に相当し、裏面プリンタ4BのプリントヘッドBhが本発明の「第2ヘッド」の一例に相当し、テスト印刷データDtが本発明の「テストデータ」の一例に相当し、表面Maに印刷されるマークKtが本発明の「第1マーク」の一例に相当し、裏面Mbに印刷されるマークKtが本発明の「第2マーク」の一例に相当し、表印刷画像G1が本発明の「第1画像」の一例に相当し、裏印刷画像G2が本発明の「第2画像」の一例に相当し、表撮像画像I1が本発明の「第1撮像画像」の一例に相当し、裏撮像画像I2が本発明の「第2撮像画像」の一例に相当し、連続紙Mが本発明の「ウェブ」の一例に相当し、表面Maが本発明の「第1面」の一例に相当し、裏面Mbが本発明の「第2面」の一例に相当し、表面Maに印刷されるテストパターンPtが本発明の「第1テストパターン」の一例に相当し、裏面Mbに印刷されるテストパターンPtが本発明の「第2テストパターン」の一例に相当し、パターン幅Wp1が本発明の「第1サイズ」の一例に相当し、パターン幅Wp2が本発明の「第2サイズ」の一例に相当し、Wp1/Wm1が本発明の「第1比率」の一例に相当し、Wp2/Wm2が本発明の「第2比率」の一例に相当する。
【0070】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えばテストパターンPtに含まれる複数のマークKtのうちから2個のマークKtを選択する態様は適宜変更できる。
【0071】
図8はテストパターンに含まれる複数のマークの選択態様の変形例を模式的に示す図である。同図の例では、印刷処理で表印刷画像G1および裏印刷画像G2を印刷する予定の連続紙Mの用紙幅Wmが、変倍調整値準備処理でテストパターンPtを印刷した連続紙Mの用紙幅Wmから変更されている。その結果、テストパターンPtを構成する複数のマークKtの一部(両端)が連続紙Mの用紙幅Wmに収まっていない。このような場合、画像処理部92は、テストパターンPtのサイズを反映する値(第1サイズ、第2サイズ)として、印刷処理で使用する連続紙Mの用紙幅Wmに収まる範囲の両端に位置する2個のマークKt(両端から2個目のマークKte)の幅方向Awにおける距離を採用する。
【0072】
具体的には、複数のマークKtのうち、表撮像画像I1において両端から2個目に位置する各マークKteの幅方向Awへの距離が、パターン幅Wp1(第1サイズ)として取得される。また、裏撮像画像I2において両端から2個目に位置する各マークKteの幅方向Awへの距離が、パターン幅Wp2(第2サイズ)として取得される。そして、これらに基づき、変倍値が算出されて、印刷処理において変倍調整(ステップS204)が実行される。かかる構成では、連続紙Mの幅の変更に的確に対応しつつ、連続紙Mの両面Ma、Mbの間で生じる連続紙Mの幅に対する表印刷画像G1、G2の幅の比率の差を抑制することができる。なお、かかる制御を確実に実行するには、テストパターンPtが3個以上あるいは4個以上のマークKtを有することが好適となる。
【0073】
また、オフセットずれに対応する制御の具体的な方法を適宜変更してもよい。
図9はオフセットずれに対応する制御の変形例を模式的に示す図である。
図9の変形例では、テストパターンPtは、搬送方向Ac(直交方向)に配列された複数(4個)のオフセットマークKoを有する。これらオフセットマークKoの幅方向Awへの位置は互いに異なり、すなわち、幅方向AwにおいてオフセットマークKoと連続紙Mの端との距離は各オフセットマークKoによって異なる。テストパターンPtは、こうした複数のオフセットマークKoを、幅方向Awの両端のそれぞれに有する。なお、複数のマークKtのうち、両端に位置するマークKtは、オフセットマークKoとしての機能も兼ねる。
【0074】
制御部49Aは、オフセットマークKoと連続紙Mの端との距離であるオフセットを、複数のオフセットマークKoのそれぞれについて求める。したがって、幅方向Awの一方側では、表撮像画像I1に基づき複数の一方オフセットOr1が求められるとともに、裏撮像画像I2に基づき複数の一方オフセットOl2が求められる。そして、互いに同一のマークKtに対応する一方オフセットOr1と一方オフセットOl2との組み合わせについて、オフセットずれΔOr(=Or1-Ol2)が算出される。このオフセットずれΔOrは、4つの組み合わせのそれぞれについて算出される。こうして算出された4個のオフセットずれΔOrの平均値が、平均オフセットずれΔOrvとして求められる(ステップS110)。また、同様にして、幅方向Awの他方側について、4個のオフセットずれΔOlの平均値が、平均オフセットずれΔOlvとして求められる(ステップS110)。
【0075】
なお、上述の通り、表撮像画像I1と裏撮像画像I2とでは、乾燥の影響により連続紙Mの幅が異なる。ただし、
図9では、一方オフセットOr1と一方オフセットOr2並びに他方オフセットOl1と他方オフセットOl2をまとめて表示するために、連続紙Mの幅の変化は表していない。
【0076】
こうして変倍調整値準備処理が完了すると、印刷処理のステップS204では、平均オフセットずれ(調整値)に基づきオフセット調整が実行される。つまり、幅方向Awにおいて、画像データの基準がOr側であればΔOrv、画像データの基準がOl側であればΔOlvをオフセット値として、裏印刷画像G2が表印刷画像G1に対して幅方向Awにずれる。そこで、このオフセット値に応じて、裏画像印刷データDpbが示す画像の位置を幅方向Awにシフトさせる。かかる構成では、連続紙Mの幅方向Awへの画像G1、G2の位置ずれを確実に抑制しつつ、連続紙Mの両面Ma、Mbに画像G1、G2を印刷することができる。
【0077】
また、
図8および
図9等に示す変形とは異なる変形を適宜加えてもよい。例えば、上記実施形態では、比Wg1/Wm1と比Wg2/Wm2とが一致するように制御している。しかしながら、変倍調整値準備処理で算出した変倍値と比較して改善があれば、一定の効果が奏されたと判断できる。つまり、次の不等式
変倍値 >|(Wg1/Wm1)/(Wg2/Wm2)-1|
が成立していればよい。
【0078】
また、上記実施形態では、変倍調整およびオフセット調整を裏画像印刷データDpbに対して実行する(ステップS204)。しかしながら、変倍調整およびオフセット調整を表画像印刷データDpaに対して実行しても同様の効果を奏することができる。要するに、表画像印刷データDpaおよび裏画像印刷データDpbの少なくとも一方にこれらの調整を実行すればよい。さらに、変倍調整の実行対象と、オフセット調整の実行対象が、表画像印刷データDpaと裏画像印刷データDpbとの間で異なっていてもよい。
【0079】
また、表面Maに対するテストパターンPtと、裏面Mbに対するテストパターンPtとを、同一のテスト印刷データDtに基づき印刷する必要はなく、異なるテスト印刷データDtに基づき印刷してもよい。
【0080】
また、テストパターンPtの具体的な構成を適宜変更してもよい。したがって、テストパターンPtに含まれるマークKtの個数は2個でもよい。あるいは、幅方向Awに平行に延設された1本の棒状のマークでテストパターンPtを構成してもよい。さらには、印刷処理で印刷予定の画像の一部を、テストパターンPtとして印刷してもよい。
【0081】
また、ウェブの素材は紙である必要はなく、フィルムでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
この発明は、ウェブの両面に画像を印刷する技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1…連続紙印刷装置(ウェブ印刷装置)
4A…表面プリンタ
4B…裏面プリンタ
43…印刷部(第1印刷部、第2印刷部)
45…乾燥部(第1乾燥部、第2印刷部)
47…撮像部(第1撮像部、第2撮像部)
49…制御部(制御部)
91…データ生成部(制御部)
92…画像処理部(制御部)