IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-作業管理システム 図1
  • 特許-作業管理システム 図2
  • 特許-作業管理システム 図3
  • 特許-作業管理システム 図4
  • 特許-作業管理システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20240904BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240904BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240904BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q50/04
G06Q50/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020143910
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022039084
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】三輪 達哉
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-157206(JP,A)
【文献】特開2015-229210(JP,A)
【文献】特開2017-062556(JP,A)
【文献】特開2016-091316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象に対して作業を行うために使用される工具と、
前記工具から前記作業の内容に関する作業情報を取得する作業情報取得装置と、
前記作業情報取得装置から前記作業情報を取得する情報管理装置と、を備え、
前記作業情報取得装置は、
公衆通信網を介して電話番号を用いた電話通信を行う音声通信部と、
前記作業の開始時及び前記情報管理装置からの要求発生時の少なくとも一方のタイミングで、前記電話番号のデータを前記情報管理装置へ送信する電話番号送信部と、を有し、
前記情報管理装置は、前記電話番号送信部から受け取った前記電話番号のデータに基づいて、前記電話番号を提示する提示部を備える
作業管理システム。
【請求項2】
前記作業情報取得装置は、携帯型のスマート端末である
請求項1の作業管理システム。
【請求項3】
前記作業情報取得装置は、前記工具から前記作業情報を無線通信によって取得する作業情報取得部を更に備える
請求項1又は2の作業管理システム。
【請求項4】
前記提示部は、前記電話番号を表示する
請求項1乃至3のいずれか1つの作業管理システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の作業管理システムは、工具を用いた作業を管理する作業管理装置として、作業者が携帯するスマートフォンなどのスマート端末、又は作業現場から離れた場所にある管理装置を用いる。
【0003】
作業管理装置は、作業情報取得部と、位置情報取得部と、作業対象情報取得部と、情報管理部と、を有する。作業情報取得部は、作業の内容に関する作業情報を工具から取得する。位置情報取得部は、工具を用いて作業対象に対する作業が行われた場所の位置情報を取得する。作業対象情報取得部は、作業対象から読み取った情報をもとに作業対象を特定する作業対象情報を取得する。情報管理部は、作業情報と位置情報と作業対象情報とを対応付けて記憶部に記憶させる。
【0004】
作業管理装置は、記憶部に作業情報と位置情報と作業対象情報とが対応付けて記憶されるから、これらの情報をもとに、どの作業対象が、どの場所に、どのような作業内容で作業されたかを管理でき、作業の履歴を残すことができる。
【0005】
また、作業現場と離れた場所にある管理装置が作業情報、位置情報、及び作業対象情報を管理することで、管理装置を使用する管理者は、現場の作業者に対して作業の指示を出したり、作業内容に指導を与えたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-91316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1の作業管理システムでは、管理装置を使用する管理者は、現場の作業者に対して作業の指示を出したり、作業内容に指導を与えたりすることができる。しかしながら、特許文献1は、管理者が現場の作業者の連絡先をどのようにして入手するのかについて開示しておらず、作業情報に不審な点があるときに、作業者にすぐに確認することができなかった。
【0008】
本開示の目的は、作業情報に不審な点があるときに、作業者にすぐに確認することができる作業管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る作業管理システムは、作業対象に対して作業を行うために使用される工具と、前記工具から前記作業の内容に関する作業情報を取得する作業情報取得装置と、前記作業情報取得装置から前記作業情報を取得する情報管理装置と、を備える。前記作業情報取得装置は、公衆通信網を介して電話番号を用いた電話通信を行う音声通信部と、前記作業の開始時及び前記情報管理装置からの要求発生時の少なくとも一方のタイミングで、前記電話番号のデータを前記情報管理装置へ送信する電話番号送信部と、を有する。前記情報管理装置は、前記電話番号送信部から受け取った前記電話番号のデータに基づいて、前記電話番号を提示する提示部を備える。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本開示は、作業情報に不審な点があるときに、作業者にすぐに確認することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態の作業管理システムを示すブロック図である。
図2図2は、同上の作業管理システムの概略的なシステム構成を示す構成図である。
図3図3は、同上の作業管理システムに用いられる工具の一例を示す概略図である。
図4図4は、同上の作業管理システムの動作を示すシーケンス図である。
図5図5は、同上の作業管理システムに用いられる工具に表示される画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施形態は、一般に作業管理システム、作業情報取得装置、情報管理装置、及びプログラムに関する。より詳細に、以下の実施形態は、工具から作業の内容に関する作業情報を取得する作業管理システム、作業情報取得装置、情報管理装置、及びプログラムに関する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0017】
(1)作業管理システムの概略
図1は本実施形態の作業管理システムWM1の概略的なブロック図、図2は本実施形態の作業管理システムWM1の概略的なシステム構成図である。
【0018】
本実施形態の作業管理システムWM1は、工具1と、本開示の作業情報取得装置であるスマート端末2と、情報管理装置3と、を備える。工具1及びスマート端末2は、例えば工場や建築現場などの施工現場で作業を行う作業者H1に携行される。情報管理装置3は、施工現場を管理する管理者H2に使用される。
【0019】
工具1は、作業対象に対して作業を行うために使用される。スマート端末2は、工具1から作業の内容に関する作業情報を取得する。情報管理装置3は、スマート端末2から作業情報を取得する。そして、スマート端末2は、音声通信部26と、電話番号送信部212と、を有する。音声通信部26は、公衆通信網NT1を介して電話番号を用いた電話通信を行う機能を有する。電話番号送信部212は、作業の開始時及び情報管理装置3からの要求発生時の少なくとも一方のタイミングで、電話番号のデータを情報管理装置3へ送信する。情報管理装置3は、電話番号送信部212から受け取った電話番号のデータに基づいて、電話番号を提示する提示部34を備える。
【0020】
そして、管理者H2は、作業の開始時及び情報管理装置3からの要求発生時の少なくとも一方のタイミングで、施工現場にて作業を行っている作業者H1が使用するスマート端末2の電話番号を通知され、作業者H1の連絡先を知ることができる。管理者H2は、スマート端末2から取得した作業情報を監視し、作業情報に不審な点があるときには、通知された電話番号を用いて作業者H1のスマート端末2に電話することで、作業者H1に不審点をすぐに確認することができる。すなわち、作業管理システムWM1は、作業情報に不審な点があるときに、作業者H1にすぐに確認することができる。
【0021】
(2)工具
工具1について図1及び図3を参照して説明する。工具1は、例えば工場や建築現場などで使用される事業者向けの工具であり、図1では作業者H1が工具1を使用する。工具1は、設計図面や作業指図書にしたがって、複数の締め付け部材(例えばネジやボルトなど)で作業対象(例えば太陽電池パネルなど)を被取付部材(例えば架台など)に締め付ける作業を行うために使用される。この種の工具1としては、締め付け部材を回転させて衝撃力を加えることによって、締め付け部材を締め付ける電動式のインパクトドライバーがある。なお、工具1は、電動式のインパクトドライバーに限定されず、電動式のインパクトレンチでもよいし、打撃力を与えるタイプではない電動ドリルドライバーや電動式のトルクレンチでもよい。また、工具1は電動工具に限定されず、例えば圧縮空気で駆動されるエアー工具(例えばドライバーや釘打ち機など)でもよい。
【0022】
工具1は、制御部11、操作部12、締付部13、測定部14、無線通信部15、記憶部16、及び電源部17を備える(図1参照)。
【0023】
工具1のボディ100は、筒形状の胴体部101と、胴体部101の周面から径方向に突出する握り部102とを備える(図3参照)。胴体部101の軸方向における一端側からは出力軸133が突出している。出力軸133にはソケット134が設けられている。握り部102の一端(図2における下端)には、樹脂製のケース内に電源部17を収納した電池パック103が着脱自在に取り付けられている。
【0024】
制御部11などを構成する回路が実装された回路基板18は握り部102の内部に収納されている。
【0025】
操作部12は、握り部102に設けられたトリガスイッチ121を有する。操作部12は、トリガスイッチ121が操作されると、トリガスイッチ121の引き込み量(操作量)に比例した制御量を表す操作信号を、制御部11に出力する。制御部11は、操作信号に応じた制御信号を生成し、図示しない駆動回路に制御信号を出力する。駆動回路は、制御部11から入力される制御信号に応じて、締付部13が備える後述のモータ131の回転を制御する。
【0026】
締付部13は、モータ131、インパクト機構132、及び出力軸133を備える。モータ131の回転軸の回転力は、インパクト機構132を介して出力軸133に伝達される。出力軸133にはソケット134が設けられており、ソケット134には、作業対象の部材に合わせたビット(例えばドライバービットなど)が着脱自在に取り付けられる。そして、出力トルクが所定レベル以下であれば、インパクト機構132は、モータ131の回転軸の回転を減速して出力軸133に伝達するように構成されている。出力トルクが所定レベルを超えると、インパクト機構132は、出力軸133に回転方向の打撃力を加えて、作業対象のネジやボルトをねじ込むように構成されている。モータ131およびインパクト機構132は胴体部101内に収納されている。
【0027】
測定部14は締付部13による締め付け力(締め付けトルク)を測定する。測定部14は、出力軸133に取り付けられた磁歪式のトルクセンサ135で出力軸133に加わったトルクを測定し、トルクセンサ135の測定値から締め付け力を求めている。なお測定部14は、インパクト機構132が出力軸133に加えた打撃の回数を振動センサで計数し、打撃の回数から締め付け力を求めてもよい。
【0028】
無線通信部15は、無線免許が不要な通信方式で近距離(約十m)の無線通信を行う通信モジュールである。この種の通信方式には米国電気電子学会(IEEE: The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)で標準化されたIEEE802.15.1の規格に準拠した通信方式がある。また、通信方式は、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、又はZigBee(登録商標)などの規格に準拠した方式であってもよい。無線通信部15は、いずれかの通信方式により、スマート端末2との間で無線通信を行う。
【0029】
記憶部16は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)からなる。記憶部16は、制御部11が実行する制御プログラムを記憶している。また記憶部16には、工具1に割り当てられた個別の識別情報が登録されている。
【0030】
電源部17は、電池パック103内に収納されている。電源部17は充電池を備えており、握り部102から取り外した電池パック103を充電器に接続することによって、電源部17内の充電池が充電されるように構成されている。電源部17は、充電池に充電された電力で、制御部11を含む電気回路とモータ131とに動作に必要な電力を供給する。
【0031】
制御部11は、工具1の動作に関する情報を、作業者H1が作業対象の部材に行った作業の内容を示す作業情報として生成する。制御部11は、生成した作業情報を無線通信部15からスマート端末2へ送信させる。
【0032】
工具1は、例えばマイクロコンピュータなどのコンピュータシステムを備えており、コンピュータシステムが記憶部16に記憶されているプログラム(工具用プログラム)を実行することによって、制御部11、測定部14、及び無線通信部15の一部又は全部の機能を実現する。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration) と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、非一時的記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して非一時的記録媒体に供給されてもよい。
【0033】
(3)スマート端末
スマート端末2について図1を参照して説明する。
【0034】
スマート端末2は、工具1を使用する作業者H1が携行する携帯型のスマート端末(例えばスマートフォン、又はタブレット型のコンピュータなど)である。スマート端末2は、作業者H1が工具1を用いて作業を行う間も作業者H1によって携帯されている。
【0035】
スマート端末2は、制御部21、無線通信部22、表示部23、操作部24、記憶部25、音声通信部26、及びデータ通信部27を備える。
【0036】
無線通信部22は、工具1の無線通信部15と同じ通信方式で、近距離の無線通信を行う通信モジュールである。本実施形態ではマスタとなる無線通信部22に、工具1の無線通信部15がスレーブとして登録され、無線通信部15と無線通信部22との間で無線通信が行われる。したがって、同じ作業者H1が使用する工具1及びスマート端末2は、通信圏内にある他の作業者の工具1及びスマート端末2と通信しないように構成されている。なお、工具1とスマート端末2との間の通信は無線方式の通信に限定されず、有線方式の通信でもよい。
【0037】
なお、無線通信部22をマスタとし、無線通信部15をスレーブとする登録処理(ペアリング処理)は、工具1のトリガスイッチ121(図3参照)が引き込まれることで開始される。登録処理の成功又は失敗は、工具1に設けられた発光素子の点灯、点滅、又は光色などによって作業者H1に通知される。
【0038】
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのような薄型ディスプレイからなり、制御部21によって表示内容が制御される。
【0039】
操作部24は、例えば、表示部23を構成する薄型ディスプレイに設けられたタッチスイッチからなり、作業者H1の指又はペンによる操作に応じた操作信号を制御部21に出力する。
【0040】
記憶部25は、ROM及びRAMと、EEPROM(Electrically Erasableand Programmable Read Only Memory)のような電気的に書き換え可能な不揮発性メモリと、を備える。記憶部25には、プログラム、スマート端末2の電話番号、並びにスマート端末2が工具1から取得した作業情報及び工具1の識別情報などの各データが記憶されている。プログラムは、制御部21が実行することによってスマート端末2を作業情報取得装置として機能させるためのプログラム(作業用アプリケーション)である。なお、記憶部25は、内蔵メモリでもよいし、スマート端末2が備えるカードスロットに着脱自在に接続されるメモリカードでもよい。
【0041】
音声通信部26は、マイクロホン及びスピーカを備えており、公衆通信網NT1を介してスマート端末2の電話番号を用いた電話通信を行う。音声通信部26を用いた通話は、制御部21によって制御される。
【0042】
データ通信部27は、公衆通信網NT1を介したデータの送信及び受信を行う通信インタフェース機能を有する。
【0043】
公衆通信網NT1は、インターネット、携帯電話網、及び固定電話網などを含むことが好ましい。音声通信部26及びデータ通信部27は、公衆通信網NT1を介した通信として、LTE((Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、及び5G(5th Generation)などのいずれかの規格に準じた通信を行うことが好ましい。
【0044】
制御部21は、作業情報取得部211、電話番号送信部212、及び通話制御部213を備える。制御部21は、例えばマイクロコンピュータなどのコンピュータシステムを備えており、コンピュータシステムが記憶部25に記憶されたプログラムを実行することによって、制御部21の一部又は全部の機能を実現する。
【0045】
作業情報取得部211は、無線通信部22が工具1と通信を行うことによって、作業者H1が作業対象の部材に行った作業の内容を示す作業情報を工具1から収集する。作業情報取得部211は、工具1から取得した作業情報を記憶部25に記憶させる。
【0046】
電話番号送信部212は、記憶部25に記憶されているスマート端末2の電話番号のデータをデータ通信部27から公衆通信網NT1を介して情報管理装置3へ送信する。
【0047】
通話制御部213は、電話通信を行う音声通信部26を制御する。
【0048】
(4)情報管理装置
情報管理装置3について図1を参照して説明する。
【0049】
情報管理装置3は、施工現場内の施工事務所、又は施工現場から離れた施工会社などに設置され、施工現場を管理する管理者H2に使用されるパーソナルコンピュータ、又はタブレット型のコンピュータなどである。
【0050】
情報管理装置3は、制御部31、データ通信部32、記憶部33、提示部34、及び操作部35を備える。
【0051】
データ通信部32は、データ通信部27と同様に、公衆通信網NT1を介したデータの送信及び受信を行う通信インタフェース機能を有する。
【0052】
記憶部33は、ROM及びRAMと、EEPROMのような電気的に書き換え可能な不揮発性メモリと、を備える。記憶部33には、プログラム、複数の作業者のそれぞれの電話番号、パスワード、名前、及び所属などの個人情報、並びに情報管理装置3がスマート端末2から取得した作業情報などが記憶されている。プログラムは、制御部31が実行する情報管理用プログラムである。
【0053】
提示部34は、表示部341、及びスピーカ装置342を備える。
【0054】
表示部341は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのような薄型ディスプレイからなり、制御部31によって表示内容が制御される。
【0055】
スピーカ装置342は、音声を出力するスピーカ、及びスピーカを駆動するドライバなどを有し、メッセージ、チャイム音、ブザー音などを発する。スピーカ装置342が出力する音は、制御部31によって制御される。
【0056】
操作部35は、ポインティングデバイス(マウス、タッチパネル、タッチパッドなど)、キーボードなどであり、管理者H2の操作に応じた操作信号を生成し、操作信号を制御部31に出力する。
【0057】
制御部31は、操作部35から操作信号を受け取り、データ通信部32、記憶部33、及び提示部34の各動作を制御する。制御部31は、例えばマイクロコンピュータなどのコンピュータシステムを備えており、コンピュータシステムが記憶部33に記憶されているプログラムを実行することによって、制御部31の一部又は全部の機能を実現する。
【0058】
(5)通話端末
通話端末4は、管理者H2が携行しているスマートフォン又携帯電話であり、公衆通信網NT1を介した通話を可能にする電話機能を有する。すなわち、通話端末4とスマート端末2とは、公衆通信網NT1を介して電話機能による通話を行うことができる。
【0059】
(6)作業管理システムの動作
次に、作業管理システムWM1の動作を図4に基づいて説明する。以下では、太陽電池パネルを架台に固定する際のネジ締め作業を例にして説明を行う。
【0060】
スマート端末2の記憶部25には、スマート端末2を作業情報取得装置として機能させるためのプログラムが、作業用アプリケーション(アプリ)として格納されている。作業者H1が、作業の開始時にスマート端末2の操作部24を操作して作業用アプリケーションを起動させると(S1)、制御部21は、図5の起動画面G1を表示部23に表示させる。起動画面G1は、第1入力フィールドF1、第2入力フィールドF2、及びサインインボタンB1を備える。作業者H1は、操作部24を操作して、第1入力フィールドF1にスマート端末2の電話番号を入力し、第2入力フィールドF2にパスワードを入力する。電話番号は、作業者H1の識別情報に相当する。
【0061】
なお、スマート端末2の電話番号のデータは記憶部25に格納されている。そこで、制御部21は、作業用アプリケーションを起動させると、記憶部25から電話番号のデータを読み出し、第1入力フィールドF1に電話番号を自動入力してもよい。この場合、作業者H1は、第1入力フィールドF1にスマート端末2の電話番号を手動入力する必要はない。
【0062】
次に、作業者H1が操作部24を操作してサインインボタンB1を押すと、電話番号送信部212は、入力された電話番号及びパスワードの各データをデータ通信部27から情報管理装置3へ送信させる(S2)。すなわち、スマート端末2は、工具1を用いた作業に開始時に電話番号のデータを情報管理装置3へ送信する。
【0063】
情報管理装置3では、データ通信部32が電話番号及びパスワードの各データを受け取り、制御部31は、受け取った電話番号及びパスワードの認証処理を行う(S3)。記憶部33は、複数の作業者の電話番号とパスワードとの組のデータを、登録済み認証用データとして予め記憶している。制御部31は、受け取った電話番号とパスワードとの組が登録済み認証用データに含まれていれば、認証成功と判断する。制御部31は、受け取った電話番号とパスワードとの組が登録済み認証用データに含まれていなければ、認証失敗と判断する。データ通信部32は、認証結果をスマート端末2へ送信する(S4)。
【0064】
スマート端末2では、データ通信部27が認証結果を受け取る(S5)。制御部21は、認証結果が「認証成功」であれば、これから行う作業の指示情報(作業指示情報)を表示部23に表示させる。制御部21は、認証結果が「認証失敗」であれば、認証失敗のメッセージとともに起動画面G1を表示部23に再表示させる。
【0065】
これから行う作業がネジ締め作業の場合、作業指示情報としては、ネジ締め作業を行う場所、作業対象の品名(ネジで締め付けられる部材の名称、例えば太陽電池パネル)、締め付けるネジ(ボルト)の本数、締め付け力の設定値などの各情報がある。また、スマート端末2の制御部21は、締め付け力の設定値の情報を無線通信部22から工具1に送信する(S6)。工具1では、無線通信部15がスマート端末2から締め付け力の設定値の情報を受信すると、制御部11が締め付け力の設定値の情報を記憶部16に記憶させる(S7)。なお、スマート端末2は、工具1を用いてネジ締め作業を1回行うたびに、次のネジ締め作業での締め付け力の設定値の情報を工具1に送信してもよいし、複数回の作業(例えば当日行う作業)について作業を行う順番で締め付け力の設定値の情報を工具1に送信してもよい。この場合、工具1の制御部11は、複数回の作業の設定値の情報を記憶部16に記憶させ、記憶部16から順番に読み出した設定値をもとに、締付部13の締め付け力を制御すればよい。
【0066】
作業者H1が、作業対象の部材にネジをセットして工具1の操作部12を操作すると、制御部11は締付部13を回転させて、ボルトの締め付け作業を開始する(S8)。制御部11は、測定部14によって測定された締め付け力が、記憶部16から読み出した締め付け力の設定値に一致するように、締付部13の回転を制御する。測定部14によって測定された締め付け力と設定値との誤差が所定の許容範囲(例えば設定値の±20%)に収まると、制御部11は締付部13の動作を停止させる。制御部11は、測定部14によって測定された締め付け力のデータ、作業年月日、作業開始時刻、作業終了時刻、及び工具1の識別情報などを作業情報として、無線通信部15からスマート端末2に送信させる(S9)。
【0067】
スマート端末2の無線通信部22が工具1から作業情報を受信し、作業情報取得部211は、無線通信部22を介して工具1から作業情報を取得する(S10)。すなわち、作業情報取得部211は、工具1から作業情報を無線通信によって取得する。そして、制御部21は、取得した作業情報、及びスマート端末2の電話番号のデータを互いに紐付けて、データ通信部27から情報管理装置3へ送信させる(S11)。
【0068】
情報管理装置3のデータ通信部32がスマート端末2から作業情報及び電話番号のデータを受信し、制御部31は、データ通信部32を介してスマート端末2から作業情報及び電話番号のデータを取得する(S12)。制御部31は、作業情報とともに送信されてきた電話番号のデータに基づいて、作業を行っている作業者H1を識別する。そして、制御部31は、作業者H1の個人情報に紐付けた作業情報を記憶部33に記憶させる。
【0069】
制御部31は、作業者H1の個人情報に紐付けた作業情報に基づいて、作業者H1の作業を監視する(S13)。具体的に、制御部31は、作業者H1の作業情報に基づいて、異常の発生を検出する。例えば、制御部31は、締め付け力の不足及び締め付け力の過剰があれば、締め付け力の設定値の誤り又は作業ミスなどが生じていると判定する。また、制御部31は、1日の総作業時間が短過ぎたり、ネジ締め作業毎の間隔が長過ぎたりすれば、作業効率が低下していると判定する。また、制御部31は、工具1の稼働状況に基づいて、作業者H1の体調を管理して、作業者H1の体調を判定することもできる。
【0070】
制御部31は、作業者H1の作業の監視結果から異常(締め付け力の設定値の誤り、作業ミス、作業効率の低下、及び作業者H1の体調悪化など)の発生を検出すれば(S14)、提示部34を動作させて、管理者H2に異常の発生を通知する(S15)。表示部341は、検出された異常の内容、及び作業者H1の電話番号を視覚情報として表示する。スピーカ装置342は、検出された異常の内容、及び作業者H1の電話番号を聴覚情報として音声で出力する。管理者H2は、提示部34によって、検出された異常の内容、及び作業者H1の電話番号を容易に確認できる。
【0071】
管理者H2は、異常が検出されれば、作業者H1が携行しているスマート端末2の電話番号を通話端末4に入力し、通話端末4から公衆通信網NT1を介してスマート端末2に発信する(S16)。スマート端末2の通話制御部213は、通話端末4からの着信があれば(S17)、作業者H1による操作部24の操作によって、スマート端末2の音声通信部26と通話端末4との間の電話回線を接続させる(S18)。すなわち、音声通信部26と通話端末4との間で電話通信(通話)が可能になり、作業者H1と管理者H2とは電話通信によって直接に会話をすることができる。
【0072】
このように、管理者H2は、作業者H1の電話番号を迅速に確認できるので、電話通信によって作業者H1と直接に会話をして、検出された異常について作業者H1にすぐに確認できる(S19)。すなわち、作業管理システムWM1は、作業情報に不審な点があるときに、作業者H1にすぐに確認することができる。この結果、施工現場における作業の監視、事故防止、作業者H1の体調管理などを迅速に行うことができる。
【0073】
(7)変形例
スマート端末2の電話番号送信部212は、電話番号のデータを情報管理装置3へ送信するタイミングに、情報管理装置3からの要求発生時を含めることが好ましい。この場合、情報管理装置3の制御部31は、データ通信部32からスマート端末2に対して取得要求を送信させる。スマート端末2の電話番号送信部212は、取得要求を受信すると、電話番号のデータをデータ通信部27から情報管理装置3へ送信させる。制御部31による取得要求の送信タイミングは、例えば、作業用アプリケーションを実行中のスマート端末2に対して、一定時間毎に設定される。なお、制御部31による取得要求の送信タイミングは、特定のタイミングに限定されず、任意のタイミングであってよい。
【0074】
(8)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様の作業管理システム(WM1)は、工具(1)と、作業情報取得装置(2)と、情報管理装置(3)と、を備える。工具(1)は、作業対象に対して作業を行うために使用される。作業情報取得装置(2)は、工具(1)から作業の内容に関する作業情報を取得する。情報管理装置(3)は、作業情報取得装置(2)から作業情報を取得する。作業情報取得装置(2)は、音声通信部(26)と、電話番号送信部(212)と、を有する。音声通信部(26)は、公衆通信網(NT1)を介して電話番号を用いた電話通信を行う。電話番号送信部(212)は、作業の開始時及び情報管理装置(3)からの要求発生時の少なくとも一方のタイミングで、電話番号のデータを情報管理装置(3)へ送信する。情報管理装置(3)は、電話番号送信部(212)から受け取った電話番号のデータに基づいて、電話番号を提示する提示部(34)を備える。
【0075】
上述の作業管理システム(WM1)は、作業情報に不審な点があるときに、作業者(H1)にすぐに確認することができる。
【0076】
上述の実施形態に係る第2の態様の作業管理システム(WM1)は、第1の態様において、作業情報取得装置(2)は、携帯型のスマート端末であることが好ましい。
【0077】
上述の作業管理システム(WM1)は、作業者(H1)が携帯するスマート端末に電話することで、作業情報に不審な点があるときに、作業者(H1)にすぐに確認することができる。
【0078】
上述の実施形態に係る第3の態様の作業管理システム(WM1)は、第1又は第2の態様において、作業情報取得装置(2)は、工具(1)から作業情報を無線通信によって取得する作業情報取得部(211)を更に備えることが好ましい。
【0079】
上述の作業管理システム(WM1)は、工具(1)から作業情報を容易に取得できる。
【0080】
上述の実施形態に係る第4の態様の作業管理システム(WM1)は、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、提示部(34)は、電話番号を表示することが好ましい。
【0081】
上述の作業管理システム(WM1)では、電話番号の確認を容易に行うことができる。
【0082】
上述の実施形態に係る第5の態様の作業情報取得装置(2)は、作業対象に対して作業を行うために使用される工具(1)から作業の内容に関する作業情報を取得する。作業情報取得装置(2)は、音声通信部(26)と、電話番号送信部(212)と、を有する。音声通信部(26)は、公衆通信網(NT1)を介して電話番号を用いた電話通信を行う。電話番号送信部(212)は、作業の開始時、及び情報管理装置(3)からの要求発生時の少なくとも一方のタイミングで、電話番号のデータを情報管理装置(3)へ送信する。
【0083】
上述の作業情報取得装置(2)は、作業情報に不審な点があるときに、作業者(H1)にすぐに確認することができる。
【0084】
上述の実施形態に係る第6の態様の情報管理装置(3)は、第5の態様の作業情報取得装置(2)から作業情報を取得する。情報管理装置(3)は、電話番号送信部(212)から受け取った電話番号のデータに基づいて、電話番号を提示する提示部(34)を備える。
【0085】
上述の情報管理装置(3)は、作業情報に不審な点があるときに、作業者(H1)にすぐに確認することができる。
【0086】
上述の実施形態に係る第7の態様のプログラムは、コンピュータシステムを、作業対象に対して作業を行うために使用される工具(1)から作業の内容に関する作業情報を取得する作業情報取得装置として機能させる。プログラムは、コンピュータシステムを、通話制御部(213)と、電話番号送信部(212)と、して機能させる。通話制御部(213)は、公衆通信網(NT1)を介して電話番号を用いた電話通信を行う音声通信部(26)を制御する。電話番号送信部(212)は、作業の開始時、及び情報管理装置(3)からの要求発生時の少なくとも一方のタイミングで、電話番号のデータを情報管理装置(3)へ送信する。
【0087】
上述のプログラムは、作業情報に不審な点があるときに、作業者(H1)にすぐに確認することができる。
【0088】
上述の実施形態に係る第8の態様のプログラムは、コンピュータシステムを、第5の態様の作業情報取得装置(2)から作業情報を取得する情報管理装置(3)として機能させる。プログラムは、コンピュータシステムを、電話番号送信部(212)から受け取った電話番号のデータに基づいて、電話番号を提示部(34)に提示させる制御部(31)として機能させる。
【0089】
上述のプログラムは、作業情報に不審な点があるときに、作業者(H1)にすぐに確認することができる。
【符号の説明】
【0090】
WM1 作業管理システム
1 工具
2 スマート端末(作業情報取得装置)
211 作業情報取得部
212 電話番号送信部
213 通話制御部
26 音声通信部
3 情報管理装置
31 制御部
34 提示部
NT1 公衆通信網
図1
図2
図3
図4
図5