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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240904BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20240904BHJP
   F04D 29/64 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
F04D29/52 D
F04D29/64 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020152374
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046364
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大介
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078005(JP,A)
【文献】特開2020-101174(JP,A)
【文献】特開平09-095258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
F04D 29/52
F04D 29/64
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、前記ロータの周りを囲むステータと、を備えている電動モータと、
開口を有しており、前記開口から前記電動モータが収容されるモータハウジングと、
貫通孔を有しており、前記開口から前記電動モータに向かう第1方向から前記ステータと前記モータハウジングとに当接し、前記モータハウジングに対して前記ステータが前記第1方向の反対の方向に移動することを規制する2個のワッシャと、
前記貫通孔に挿入されて、前記2個のワッシャのそれぞれを前記モータハウジングに固定する締結具と、を備えており、
前記モータハウジングに固定された前記2個のワッシャのそれぞれを前記第1方向に見たときに、前記ロータの径方向における前記貫通孔の中心から前記ワッシャの外側端部までの距離は、前記ロータの径方向における前記貫通孔の中心から前記ワッシャの内側端部までの距離よりも短く、
前記2個のワッシャが前記モータハウジングに固定されている状態で前記2個のワッシャを前記第1方向に見たときに、前記2個のワッシャは、前記ロータの回転中心軸から前記ロータの径方向の外側に延びる方向に関して重なり合わない、電動作業機。
【請求項2】
前記2個のワッシャのそれぞれは、
前記貫通孔が配置されている第1部分と、
前記ロータの径方向において前記第1部分よりも内側に配置されている第2部分と、を備えており、
前記ロータの周方向における前記第2部分の幅は、前記ロータの前記周方向における前記第1部分の幅よりも大きい、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記モータハウジングは、前記第1部分の形状に対応した形状を有する第1凹部を有しており、
前記ステータは、前記第2部分の形状に対応した形状を有する第2凹部を有しており、
前記2個のワッシャが前記モータハウジングに固定されるとき、前記第1部分は、前記第1凹部に配置され、前記第2部分は、前記第2凹部に配置される、請求項2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記電動モータにより駆動されるファンと、
前記ファンにより送り出された空気が流れる噴出ノズルと、をさらに備えており、
前記ファンの回転により流れる空気は、前記モータハウジングに沿って流れる、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動作業機が開示されている。電動作業機は、ロータとロータの周りを囲むステータとを備えている電動モータと、開口を有しており、開口から電動モータが収容されるモータハウジングと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-78005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動作業機では、電動モータのステータがモータハウジングから外れないようにするために、ワッシャが、締結具を用いてモータハウジングに固定されることがある。ワッシャは、開口から電動モータに向かう第1方向からステータとモータハウジングとに当接し、ステータがモータハウジングに対して第1方向の反対の方向に移動することを規制する。
【0005】
一般的なワッシャは、円形状を有しており、締結具が挿入される貫通孔が円の中心に配置されている。このため、モータハウジングに固定されたワッシャを第1方向に見たときに、ロータの径方向における貫通孔の中心からワッシャの外側端部までの距離は、ロータの径方向における貫通孔の中心からワッシャの内側端部までの距離と同一である。モータハウジングは、ロータの径方向において、なるべく小さな寸法となるように形成されているため、円形状のワッシャを使用すると、モータハウジングのワッシャと当接する箇所を外側に向かって張り出した形状とする必要が生じる。本明細書では、モータハウジングの形状をより簡素化することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動作業機を開示する。電動作業機は、ロータとロータの周りを囲むステータとを備えている電動モータと、開口を有しており、開口から電動モータが収容されるモータハウジングと、貫通孔を有しており、開口から電動モータに向かう第1方向からステータとモータハウジングとに当接し、モータハウジングに対してステータが第1方向の反対の方向に移動することを規制するワッシャと、貫通孔に挿入されて、ワッシャをモータハウジングに固定する締結具と、を備えている。モータハウジングに固定されたワッシャを第1方向に見たときに、ロータの径方向における貫通孔の中心からワッシャの外側端部までの距離は、ロータの径方向における貫通孔の中心からワッシャの内側端部までの距離よりも短い。
【0007】
上記の構成では、円形状のワッシャを使用する場合と比較して、モータハウジングのワッシャと当接する箇所が外側に張り出す量を小さくすることができる。これにより、モータハウジングの形状をより簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例の電動作業機2を後方右側から見た斜視図である。
図2】第1実施例の電動作業機2を前方左側から見た斜視図である。
図3】第1実施例の右側グリップハウジング20を取り外した電動作業機2のトリガ14の近傍を右側から見た図である。
図4】第1実施例の右側グリップハウジング20を取り外した電動作業機2を後方右側から見た斜視図である。
図5】第1実施例のグリップハウジング10を取り外した電動作業機2の断面図である。
図6】第1実施例の電動モータ106と、蓋部材100が取り外されたモータハウジング66と、ワッシャ130と、締結具132とを後側から見た図である。
図7】第1実施例のワッシャ130の斜視図である。
図8】第1実施例の電動モータ106とモータハウジング66とを後方右側から見た斜視図である。
図9】第2実施例の電動作業機2を右側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電動作業機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0010】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0011】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ワッシャは、貫通孔が配置されている第1部分と、ロータの径方向において第1部分よりも内側に配置されている第2部分と、を備えていてもよい。ロータの周方向における第2部分の幅は、ロータの周方向における第1部分の幅よりも大きくてもよい。
【0013】
上記の構成では、第2部分の幅が第1部分の幅と同一である場合と比較して、ワッシャのステータと対向する箇所の面積を十分に確保することができ、ステータがモータハウジングから抜け出ることを十分に抑制することができる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータハウジングは、第1部分の形状に対応した形状を有する第1凹部を有していてもよい。ステータは、第2部分の形状に対応した形状を有する第2凹部を有していてもよい。ワッシャがモータハウジングに固定されるとき、第1部分は、第1凹部に配置され、第2部分は、第2凹部に配置されてもよい。
【0015】
上記の構成では、ワッシャをモータハウジングに固定するとき、第1部分がモータハウジングに当接し、かつ第2部分がステータに当接するようにワッシャの向きを調整することが必要である。第1部分を第1凹部に配置し、第2部分を第2凹部に配置することにより、ワッシャの向きを容易に調整することができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動作業機は、電動モータにより駆動されるファンと、ファンにより送り出された空気が流れる噴出ノズルと、をさらに備えていてもよい。ファンの回転により流れる空気は、モータハウジングに沿って流れてもよい。
【0017】
上記の電動作業機は、ブロワとして機能する。ファンの回転により流れる空気が、モータハウジングに沿って流れるので、モータハウジングが外側に張り出した形状を有していると、空気の流れに乱れを生じてしまう。上記の構成では、モータハウジングのワッシャと当接する箇所が張り出す量を小さくすることができるので、空気の流れに乱れが生じることを抑制することができる。
【0018】
(第1実施例)
図1から図8を参照して、第1実施例の電動作業機2を説明する。電動作業機2は、落ち葉等を吹き集めるために使用されるブロワである。図1および図2に示すように、電動作業機2は、グリップハウジング10と、電源コード12と、トリガ14と、クルーズコントロールレバー16と、制御部18(図4参照)と、を備えている。なお、以下の説明では、電動作業機2の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を電動作業機2の上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を電動作業機2の左右方向と呼ぶ。
【0019】
グリップハウジング10は、右側グリップハウジング20と、左側グリップハウジング22と、から構成されている。右側グリップハウジング20は、グリップハウジング10の右半分の外形形状を規定し、左側グリップハウジング22は、グリップハウジング10の左半分の外形形状を規定する。グリップハウジング10は、第1ハウジング26と、第2ハウジング28と、第3ハウジング30と、第4ハウジング32と、を備えている。第1ハウジング26と、第2ハウジング28と、第3ハウジング30と、第4ハウジング32とは、一体的に形成されている。第1ハウジング26は、長手方向に延びている。
【0020】
第2ハウジング28は、第1ハウジング26の上面前部から後方上側に向かって延びている。第3ハウジング30は、第1ハウジング26の上面後部から後方上側に向かって延びている。第4ハウジング32は、第2ハウジング28の後面上部から第3ハウジング30の前面上部に向かって延びている。第4ハウジング32の断面形状は、略円形状である。第4ハウジング32は、作業者により把持される。電源コード12は、第3ハウジング30の後面に接続されている。電源コード12を介して、電動作業機2に電力が供給される。電源コード12は、例えば、作業者により背負われる背負い式のバッテリ、または外部電源に接続される。
【0021】
第3ハウジング30の上面には、主電源スイッチ36と、主電源LED38とが配置されている。主電源スイッチ36は、電動作業機2のオン状態とオフ状態とを切り替えるための作業者からの操作を受け入れる。主電源LED38は、電動作業機2のオン状態とオフ状態を表示する。
【0022】
トリガ14は、第4ハウジング32の前側下部に取り付けられている。作業者は、第4ハウジング32を把持した手の指でトリガ14を操作することができる。図3に示すように、トリガ14は、トリガ操作部42と、トリガ突部44と、スイッチ押し込み部46と、を備えている。トリガ操作部42と、トリガ突部44と、スイッチ押し込み部46とは、一体的に形成されている。トリガ操作部42は、回動軸AX1の周りに回動可能に、第2ハウジング28に支持されている。トリガ操作部42が作業者により押し込み操作されると、トリガ操作部42は、回動軸AX1の周りを回動する。回動軸AX1は、トリガ操作部42の前端部に配置されている。トリガ14が作業者に完全に押し込まれた場合であっても、トリガ操作部42は、第4ハウジング32の下面から下側に突出している。
【0023】
トリガ突部44とスイッチ押し込み部46とは、第2ハウジング28の内部に配置されている。トリガ突部44は、トリガ操作部42の前端部に配置されている。トリガ突部44は、トリガ操作部42の上面に略直交する方向に延びている。スイッチ押し込み部46は、トリガ操作部42の前端部に配置されている。スイッチ押し込み部46は、トリガ操作部42から前方前側に向かって延びている。トリガ突部44とスイッチ押し込み部46とは、トリガ操作部42と一体となって回動軸AX1の周りを回動する。スイッチ押し込み部46が回動すると、スイッチ押し込み部46は、第1スイッチ118を下側に向かって押し込む。また、トリガ突部44が所定の位置を超えて回動すると、板部材124が後側に向かって押されて、第2スイッチ120が押し込まれる。
【0024】
図2に示すように、クルーズコントロールレバー16は、第2ハウジング28と第4ハウジング32との接続箇所近傍の第2ハウジング28に取り付けられている。クルーズコントロールレバー16は、回動軸AX2の周りを回動可能である。クルーズコントロールレバー16は、レバー操作部50と、ストッパ部56(図3参照)と、を備えている。レバー操作部50は、第2ハウジング28の外部に配置されている。レバー操作部50は、作業者により操作される。図3に示すように、ストッパ部56は、第2ハウジング28の内部に配置されている。ストッパ部56は、レバー操作部50が操作されると、回動軸AX2の周りを回動する。ストッパ部56は、トリガ突部44に後側から当接可能である。ストッパ部56がトリガ突部44に当接して所望の位置に固定されている状態では、トリガ突部44は、後側に戻ることができない。これにより、トリガ14が押し込まれた状態に維持される。
【0025】
図4に示すように、第1ハウジング26の前面には、開口62が形成されている。開口62は、第1ハウジング26と第2ハウジング28との接続箇所の近傍に配置されている。開口62は、グリップハウジング10の内部と外部とを連通する。
【0026】
制御部18は、第1ハウジング26の内部に配置されている。制御部18は、前後方向および左右方向に沿って配置されている。制御部18は、第1ハウジング26と第2ハウジング28との接続箇所の近傍に配置されている。上下方向に関して、制御部18は、開口62よりも上側に配置されている。図示省略されているが、制御部18は、マイコンと複数のスイッチング素子とを有する制御基板と、制御基板が取り付けられるケースから構成されている。スイッチング素子は、例えば、IGBTまたはMOSFETである。スイッチング素子は、マイコンに制御されることにより、オン状態とオフ状態とに切り替えられる。
【0027】
電動作業機2は、モータハウジング66と、リアハウジング68と、噴出ノズル70と、カバー部材72と、をさらに備えている。モータハウジング66は、第1ハウジング26の内部に配置されている。リアハウジング68は、モータハウジング66の後端部に連結されており、第1ハウジング26の後端部から後側に向かって突出している。また、リアハウジング68は、第1ハウジング26に固定されている。噴出ノズル70は、モータハウジング66の前端部に連結されており、第1ハウジング26の前端部から前側に向かって突出している。また、噴出ノズル70は、第1ハウジング26に固定されている。
【0028】
図5に示すように、リアハウジング68は、後側から前側に向かうにつれて内周面の直径が小さくなる筒形状を有する。リアハウジング68は、内部に上流通路84を有する。リアハウジング68の後端部には、カバー部材72が取り付けられている。カバー部材72は、リアハウジング68の後端開口を覆っている。カバー部材72は、複数の吸気孔72aを有する。複数の吸気孔72aは、カバー部材72を前後方向に貫通している。複数の吸気孔72aは、電動作業機2の外部とリアハウジング68の上流通路84とを連通している。
【0029】
噴出ノズル70は、第1噴出ノズル86と、第2噴出ノズル88(図1参照)と、を備えている。第2噴出ノズル88は、第1噴出ノズル86の前部に着脱可能に取り付けられている。第1噴出ノズル86と第2噴出ノズル88とは、筒形状を有する。第1噴出ノズル86と第2噴出ノズル88とは、内部に下流通路90を有する。第1噴出ノズル86の上端部には、開口86aが形成されている。開口86aは、制御部18の下側に配置されている。
【0030】
モータハウジング66は、外側筒部材80と、複数のフィン96と、内側筒部材98と、蓋部材100と、を備えている。外側筒部材80と複数のフィン96と内側筒部材98とは、一体的に形成されている。外側筒部材80は、前後方向に延びる筒形状を有する。外側筒部材80は、内部に空気通路82を有する。空気通路82の上流端は、リアハウジング68の上流通路84に連通しており、空気通路82の下流端は、噴出ノズル70の下流通路90に連通している。複数のフィン96は、外側筒部材80の内周面から外側筒部材80の中心軸に向かって延びている。図6に示すように、複数のフィン96は、外側筒部材80の内周面の周方向に対して互いに等間隔に配置されている。
【0031】
図5に示すように、内側筒部材98は、外側筒部材80の内部に配置されている。内側筒部材98は、前後方向に延びている。内側筒部材98の外周面には、外側筒部材80の内周面から延びる複数のフィン96が接続されている。内側筒部材98の後端部には、蓋部材100が取り付けられている。蓋部材100は、内側筒部材98の後端開口102を閉じる。蓋部材100の後端部には、複数の孔161(図8参照)が形成されている。蓋部材100の詳細な構成については、後述する。内側筒部材98の前端部には、コーン104が取り付けられている。コーン104の外周面の直径は、後側から前側に向かうにつれて小さくなる。コーン104の先端部には、先端開口が形成されている。
【0032】
電動作業機2は、電動モータ106と、ファン108と、をさらに備えている。電動モータ106は、例えば、インナロータ型のブラシレスモータである。電動モータ106は、電源コード12を介して供給される電力により回転する。電動モータ106は、ロータ110と、ステータ112と、シャフト114と、を備えている。ロータ110とステータ112とは、内側筒部材98の内部に配置されている。ロータ110は、前後方向に延びている。ロータ110の回転中心は、外側筒部材80の内周面の中心と同一である。ステータ112は、ロータ110の外周面を囲んでいる。シャフト114は、内側筒部材98の内部から後側に向かって延び、その後に蓋部材100を貫通して内側筒部材98の外部まで延びている。シャフト114は、ベアリング115aを介してモータハウジング66に回転可能に支持されており、ベアリング115bを介して蓋部材100に回転可能に支持されている。シャフト114は、ロータ110と一体となって回転する。
【0033】
電動モータ106の動作は、制御部18のマイコン(図示省略)がスイッチング素子(図示省略)のオン状態とオフ状態とを切り替える制御を実行することにより、制御される。第1スイッチ118が押し込まれている場合、電動モータ106は、第1スイッチ118の押し込み量に応じた回転数に制御される。なお、第1スイッチ118の押し込み量が大きくなるにつれて、電動モータ106の回転数が大きくなる。一方、第2スイッチ120が押し込まれている場合、電動モータ106は、所定の回転数に制御される。本実施例では、第2スイッチ120が押し込まれた場合の電動モータ106の回転数は、第1スイッチ118が押し込まれた場合の電動モータ106の回転数の最大値よりも大きい。
【0034】
ファン108は、シャフト114の後端部に取り付けられている。ファン108は、例えば、軸流ファンである。ファン108は、電動モータ106の駆動により回転する。ファン108が回転すると、ファン108の後側に負圧が発生する。これにより、空気は、カバー部材72の複数の吸気孔72aからリアハウジング68の上流通路84に流入し、外側筒部材80の空気通路82に流れる。その後、空気は、ファン108により前側に送り出され、空気通路82、下流通路90を順番に流れ、第2噴出ノズル88の先端開口から流出する。また、ファン108により前側に送り出された空気の一部は、蓋部材100の後端部に形成されている複数の孔161から内側筒部材98の内部に侵入し、内側筒部材98の内部を前側に向かって流れた後、コーン104の先端開口から下流通路90に流れる。これにより、電動モータ106が冷却される。さらに、下流通路90を流れる空気の一部は、開口86aを通り、第1噴出ノズル86の外部に流出する。流出した空気は、制御部18の下面と第1噴出ノズル86の外周面との間を流れ、開口62からグリップハウジング10の外部に流出する。これにより、制御部18が冷却される。
【0035】
図6に示すように、電動作業機2は、2個のワッシャ130と、2個の締結具132と、をさらに備えている。ワッシャ130は、締結具132を用いて、内側筒部材98に固定される。図7に示すように、ワッシャ130は、第1部分136と、第2部分138と、を備えている。また、ワッシャ130は、貫通孔140を有する。貫通孔140には、締結具132が挿入される。第1部分136は、半円部142と、矩形部144と、を備えている。貫通孔140は、半円部142と矩形部144とに跨って配置されている。半円部142の断面は、半円形状を有する。半円部142の外周面142aは、貫通孔140の中心CPを中心とする仮想円の円周と重なる。図6に示すように、半円部142の外周面142aは、ロータ110の半径方向の外側を向いている。貫通孔140の中心CP(図7参照)よりもロータ110の半径方向の外側にあるワッシャ130の外側端部は、外周面142a上に位置している。図7に示すように、矩形部144の断面は、矩形形状を有する。
【0036】
第2部分138は、矩形部144に接続されている。第2部分138は、半円部142との間に矩形部144を挟む。第2部分138は、外周面138aと、外周面138aと矩形部144の外面とを接続する接続面138bと、を有する。外周面138aは、貫通孔140の中心CPを中心とする仮想円の円周と重なる。図6に示すように、外周面138aは、ロータ110の半径方向の内側を向いている。貫通孔140の中心CP(図7参照)よりもロータ110の半径方向の内側にあるワッシャ130の内側端部は、外周面138a上に位置している。第2部分138は、ロータ110の半径方向において、第1部分136よりも半径方向の内側に配置されている。ワッシャ130を後側から見たとき、第2部分138は、内側筒部材98の内周面の円周方向に関して、第1部分136よりも広がった幅広形状を有する。ロータ110の円周方向における第2部分138の幅は、ロータ110の円周方向における第1部分136の幅よりも大きい。ロータ110の半径方向における貫通孔140の中心CP(図7参照)から第2部分138の内側端部までの第2距離L2は、ロータ110の半径方向における貫通孔140の中心CP(図7参照)から第1部分136の外側端部までの第1距離L1よりも長い。言い換えると、図7に示すように、貫通孔140の中心CPから半円部142の外周面142aまでの第1距離L1は、貫通孔140の中心CPから第2部分138の外周面138aまでの第2距離L2よりも短い。本実施例では、第1距離L1は、第2距離L2の2分の1である。なお、変形例では、第1距離L1は、第2距離L2の2分の1よりも大きくてもよく、2分の1よりも小さくてもよい。
【0037】
図6に示すように、内側筒部材98には、第1凹部148、150と、張り出し部152、154とが形成されている。第1凹部148、150は、内側筒部材98の後端開口102側に配置されている。第1凹部148、150は、内側筒部材98の後端面から前側に向かって凹んでいる。内側筒部材98を後側から見たとき、第1凹部148、150は、ワッシャ130の第1部分136に対応した形状を有する。第1凹部148、150のそれぞれは、内側筒部材98の内周面の円周方向に関して、互いに180度の間隔を有して配置されている。
【0038】
張り出し部152、154は、内側筒部材98の外周面から外側筒部材80の内周面に向かって張り出している。図8に示すように、張り出し部152、154の張り出し量は、後側から前側に向かうにつれて小さくなる。これにより、内側筒部材98の外周面に沿った空気の流れに乱れが生じることを抑制することができる。図6に示すように、張り出し部152、154のそれぞれは、内側筒部材98の内周面の円周方向に関して、第1凹部148、150のそれぞれに対応する位置に配置されている。張り出し部152、154の内面のそれぞれは、第1凹部148、150のそれぞれの形状に対応して形成されている。張り出し部152、154の内面は、半円部142の外周面142aと対向している。
【0039】
ステータ112の後端面には、第2凹部156、158が形成されている。第2凹部156、158は、ステータ112の後端面から前側に向かって凹んでいる。ステータ112を後側から見たとき、第2凹部156、158は、ワッシャ130の第2部分138に対応した形状を有する。第2凹部156、158は、ステータ112の外周面の円周方向に関して、互いに180度の間隔を有して配置されている。第2凹部156、158の内側壁部分は、第2部分138の外周面138aと対向している。
【0040】
図8に示すように、蓋部材100は、底部160と、側部162と、突部164、166と、ショートフィン部168、170と、を備えている。底部160は、内側筒部材98の後端部に後側から当接する。図5に示すように、底部160は、内側筒部材98の後端開口102を閉じる。底部160には、電動モータ106のシャフト114が貫通している。図8に示すように、底部160には、複数の孔161が形成されている。側部162は、底部160の周縁から前側に向かって延びている。蓋部材100が内側筒部材98に取り付けられている状態では、側部162は、内側筒部材98の外周面の外側に配置されて、内側筒部材98の外周面の一部を覆う。突部164、166は、側部162の外周面の前端部近傍から外側筒部材80の内周面に向かって突出している。突部164、166のそれぞれは、側部162の外周面の円周方向に関して180度の間隔を有して配置されている。突部164、166のそれぞれは、張り出し部152、154の後端部のそれぞれに、後側から当接する。これにより、蓋部材100が内側筒部材98に取り付けられている状態では、第1凹部148、150と張り出し部152、154の後端部とが隠れて見えない。ショートフィン部168、170は、側部162の外周面と突部164、166の後面とに接続している。ショートフィン部168、170は、側部162の外周面から外側筒部材80の内周面に向かって延びている。ショートフィン部168、170は、外側筒部材80の内周面から内側筒部材98の外周面に向かって延びるフィン96の延長線上に配置されている。内側筒部材98の外周面に沿って流れる空気が、複数のフィン96とショートフィン部168、170とに沿って流れることにより、空気の流れが乱れることを抑制することができる。
【0041】
次に、モータハウジング66に電動モータ106を組み付ける方法を説明する。まず、製造者は、ステータ112を、内側筒部材98の後端開口102から第1方向に(本実施例では、前側に向かって)内側筒部材98の内部に差し込む。次いで、図6に示すように、製造者は、第2凹部156、158のそれぞれが第1凹部148、150のそれぞれに向かい合う位置にステータ112を移動する。次いで、製造者は、第1部分136を第1凹部148、150に配置し、第2部分138を第2凹部156、158に配置する。次いで、製造者は、締結具132をワッシャ130の貫通孔140に挿入し、内側筒部材98にねじ止めする。これにより、ワッシャ130が内側筒部材98に固定され、ステータ112が内側筒部材98の後端開口102から第1方向と反対側の方向に(本実施例では、後側に向かって)移動することが規制される。最後に、製造者は、ロータ110とシャフト114とを内側筒部材98に差し込むとともに、蓋部材100の突部164、166のそれぞれを張り出し部152、154に当接させ、蓋部材100を内側筒部材98にねじ止めする。
【0042】
(効果)
本実施例の電動作業機2は、ロータ110とロータ110の周りを囲むステータ112とを備えている電動モータ106と、後端開口102を有しており、後端開口102から電動モータ106が収容されるモータハウジング66と、貫通孔140を有しており、後端開口102から電動モータ106に向かう第1方向からステータ112とモータハウジング66とに当接し、モータハウジング66に対してステータ112が第1方向の反対の方向に移動することを規制するワッシャ130と、貫通孔140に挿入されて、ワッシャ130をモータハウジング66に固定する締結具132と、を備えている。図6および図7に示すように、モータハウジング66に固定されたワッシャ130を第1方向に見たときに、ロータ110の径方向における貫通孔140の中心CPからワッシャ130の外側端部までの第1距離L1は、ロータ110の径方向における貫通孔140の中心CPからワッシャ130の内側端部までの第2距離L2よりも短い。この構成では、円形状のワッシャ130を使用する場合と比較して、モータハウジング66のワッシャ130と当接する箇所が外側に張り出す量を小さくすることができる。これにより、モータハウジング66の形状をより簡素化することができる。
【0043】
また、図6および図7に示すように、ワッシャ130は、貫通孔140が配置されている第1部分136と、ロータ110の径方向において第1部分136よりも内側に配置されている第2部分138と、を備えている。ロータ110の周方向における第2部分138の幅は、ロータ110の周方向における第1部分136の幅よりも大きい。この構成では、第2部分138の幅が第1部分136の幅と同一である場合と比較して、ワッシャ130のステータ112と対向する箇所の面積を十分に確保することができ、ステータ112がモータハウジング66から抜け出ることを十分に抑制することができる。
【0044】
また、図6に示すように、モータハウジング66は、第1部分136の形状に対応した形状を有する第1凹部148、150を有している。ステータ112は、第2部分138の形状に対応した形状を有する第2凹部156、158を有している。ワッシャ130がモータハウジング66に固定されるとき、第1部分136は、第1凹部148、150に配置され、第2部分138は、第2凹部156、158に配置される。この構成では、ワッシャ130をモータハウジング66に固定するとき、第1部分136がモータハウジング66に当接し、かつ第2部分138がステータ112に当接するようにワッシャ130の向きを調整することが必要である。第1部分136を第1凹部148、150に配置し、第2部分138を第2凹部156、158に配置することにより、ワッシャ130の向きを容易に調整することができる。
【0045】
また、電動作業機2は、電動モータ106により駆動されるファン108と、ファン108により送り出された空気が流れる噴出ノズル70と、をさらに備えている。ファン108の回転により流れる空気は、モータハウジング66に沿って流れる。この電動作業機2は、ブロワとして機能する。ファン108の回転により流れる空気が、モータハウジング66に沿って流れるので、モータハウジング66が外側に張り出した形状を有していると、空気の流れに乱れが生じてします。上記の構成では、モータハウジング66のワッシャ130と当接する箇所が張り出す量を小さくすることができるので、空気の流れに乱れが生じることを抑制することができる。
【0046】
(対応関係)
後端開口102が、「開口」の一例であり、前側が、「第1方向」の一例である。
【0047】
(第2実施例)
図9を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第2実施例は、電動作業機2が電源コード12に替えてバッテリパックBを備えている点で第1実施例と異なる。バッテリパックBは、リチウムイオンバッテリセルを含んでいる。バッテリパックBの電力は、電動モータ106に供給される。バッテリパックBは、第3ハウジング30の後面に着脱可能に取り付けられる。バッテリパックBを第3ハウジング30に対して右側にスライドさせることにより、バッテリパックBは、第3ハウジング30に取り付けられ、バッテリパックBを第3ハウジング30に対して左側にスライドさせることにより、第3ハウジング30から取り外される。なお、変形例では、バッテリパックBを第3ハウジング30に対して下側にスライドさせることにより、バッテリパックBが第3ハウジング30に取り付けられ、バッテリパックBを第3ハウジング30に対して上側にスライドさせることにより、バッテリパックBが第3ハウジング30から取り外されてもよい。また、バッテリパックBは、第1ハウジング26や第2ハウジング28に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0048】
一実施形態に係る内側筒部材98は、第1凹部148、150を有していなくてもよい。また、ステータ112は、第2凹部156、158を有していなくてもよい。
【0049】
一実施形態に係るワッシャ130の第1部分136と第2部分138との少なくとも一方の断面は、楕円形状、扇形状、または、多角形状を有していてよい。
【0050】
一実施形態に係る電動作業機2は、ブロワに限られず、例えば、チェーンソーまたは芝刈機であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
2 :電動作業機
10 :グリップハウジング
14 :トリガ
16 :クルーズコントロールレバー
18 :制御部
66 :モータハウジング
68 :リアハウジング
70 :噴出ノズル
80 :外側筒部材
96 :フィン
98 :内側筒部材
100 :蓋部材
102 :後端開口
106 :電動モータ
108 :ファン
110 :ロータ
112 :ステータ
114 :シャフト
130 :ワッシャ
132 :締結具
136 :第1部分
138 :第2部分
138a、142a:外周面
138b :接続面
140 :貫通孔
142 :半円部
144 :矩形部
148、150:第1凹部
152、154:張り出し部
156、158:第2凹部
160 :底部
161 :孔
162 :側部
164、166:突部
168、170:ショートフィン部
CP :中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9