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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/615 20160101AFI20240904BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240904BHJP
   E01F 9/00 20160101ALI20240904BHJP
【FI】
E01F9/615
H01L33/00 J
E01F9/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020172580
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022064071
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮下 充浩
(72)【発明者】
【氏名】梶間 勝司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康平
(72)【発明者】
【氏名】境田 信也
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-311009(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108287(WO,A1)
【文献】特開2013-021515(JP,A)
【文献】特開2020-086604(JP,A)
【文献】特開2017-156494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/615
H01L 33/00
E01F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体と該発光体の発光動作を制御する制御部を有する発光器を複数備え、該各発光器が適宜間隔をあけて設置される発光装置であって、
前記各発光器は、無線信号を他の発光器へ送信する第一送信部と、他の発光器から送信された前記無線信号を受信する第一受信部とをそれぞれ備えて、各発光器が相互に前記無線信号を送受信するように設けられていると共に、発光器とは別体に形成されたコントローラーから送信される変更信号を受信可能な第二受信部を備えており、
各発光器が送信する前記無線信号は前記発光体の発光動作を定義する第一パターン信号を含み、
前記発光器は、前記第一受信部で受信した無線信号に含まれる第一パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第一パターン変更処理を実施可能としており、
前記第一受信部とは異なる前記第二受信部で受信した前記変更信号に含まれる第二パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第二パターン変更処理を実施可能にすると共に、該第二パターン信号の内容が反映された第一パターン信号を含む無線信号を前記第一送信部から送信するように設けられており、
前記変更信号は前記無線信号よりも通信距離が短い無線の規格の信号であると共に、該変更信号を受信可能な前記第二受信部が適宜間隔をあけて設置されて前記無線信号を相互に送受信する前記各発光器にそれぞれ備えられていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
発光体と該発光体の発光動作を制御する制御部を有する発光器を複数備え、該各発光器が適宜間隔をあけて設置される発光装置であって、
前記各発光器は、無線信号を他の発光器へ送信する第一送信部と、他の発光器から送信された前記無線信号を受信する第一受信部とをそれぞれ備えて、各発光器が相互に前記無線信号を送受信するように設けられていると共に、発光器とは別体に形成されたコントローラーから送信される変更信号を受信可能な第二受信部を備えており、
各発光器が送信する前記無線信号は前記発光体の発光動作を定義する第一パターン信号を含み、
前記発光器は、前記第一受信部で受信した無線信号に含まれる第一パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第一パターン変更処理を実施可能としており、
前記第一受信部とは異なる前記第二受信部で受信した前記変更信号に含まれる第二パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第二パターン変更処理を実施可能にすると共に、該第二パターン信号の内容が反映された第一パターン信号を含む無線信号を前記第一送信部から送信するように設けられており、
前記変更信号は前記無線信号よりも通信距離が短い無線の通信規格の信号であって、該通信規格の有効な最長通信距離が30mm以下となされていると共に、該変更信号を受信可能な前記第二受信部が適宜間隔をあけて設置され前記無線信号を相互に送受信する前記各発光器にそれぞれ備えられていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記変更信号を受信する前記第二受信部は前記無線信号の規格の通信を受信不能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間隔をあけて配置した複数の発光器をそれぞれ同期させて発光させる発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路に沿って設置する発光式視線誘導標や発光式道路鋲などは、間隔をあけて配置した各発光器の発光を車輌の運転手等の観者へ視認させることで道路の線形をより明確に認識させる用途に利用されている。
このように発光器を複数備える発光装置においては、各発光器の発光動作を同期させることで、各発光器を同時に点滅させたり、各発光器の点灯と消灯を順次切り替えて光が流れるように表したりする構成が従来より利用されており、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、道路に沿って適宜間隔をおいて複数の自発光式道路標識が設置され、各自発光式道路標識には、群として同時点滅や順次点滅の動作を行うように予めそれぞれに割当てられた点滅パターンが記憶され、コントローラーから自発光式道路標識に電波無線により点滅制御信号を送信することにより、各自発光式道路標識を前記割当てられた点滅パターンで動作させるようになされたことを特徴とする自発光式道路標識装置が本出願人によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-311009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、コントローラーからの点滅制御信号を一の自発光式道路標識の無線アンテナと無線モジュールで受信させ、受信させた点滅制御信号を順次電波無線により前記無線アンテナと無線モジュールを介して他の自発光式道路標識に送受させるようにして他の無線設備に電波妨害を与えないようにする構成が示されている。本発明は、これと異なる構成によって複数の発光器の発光動作を効果的に変更可能な発光装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る発光装置は、発光体と該発光体の発光動作を制御する制御部を有する発光器を複数備え、該各発光器が適宜間隔をあけて設置される発光装置であって、前記各発光器は、無線信号を他の発光器へ送信する第一送信部と、他の発光器から送信された前記無線信号を受信する第一受信部とをそれぞれ備えて、各発光器が相互に前記無線信号を送受信するように設けられていると共に、発光器とは別体に形成されたコントローラーから送信される変更信号を受信可能な第二受信部を備えており、各発光器が送信する前記無線信号は前記発光体の発光動作を定義する第一パターン信号を含み、前記発光器は、前記第一受信部で受信した無線信号に含まれる第一パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第一パターン変更処理を実施可能としており、前記第一受信部とは異なる前記第二受信部で受信した前記変更信号に含まれる第二パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第二パターン変更処理を実施可能にすると共に、該第二パターン信号の内容が反映された第一パターン信号を含む無線信号を前記第一送信部から送信するように設けられており、前記変更信号は前記無線信号よりも通信距離が短い無線の規格の信号であると共に、該変更信号を受信可能な前記第二受信部が適宜間隔をあけて設置されて前記無線信号を相互に送受信する前記各発光器にそれぞれ備えられていることを特徴とするものである。
また、発光体と該発光体の発光動作を制御する制御部を有する発光器を複数備え、該各発光器が適宜間隔をあけて設置される発光装置であって、前記各発光器は、無線信号を他の発光器へ送信する第一送信部と、他の発光器から送信された前記無線信号を受信する第一受信部とをそれぞれ備えて、各発光器が相互に前記無線信号を送受信するように設けられていると共に、発光器とは別体に形成されたコントローラーから送信される変更信号を受信可能な第二受信部を備えており、各発光器が送信する前記無線信号は前記発光体の発光動作を定義する第一パターン信号を含み、前記発光器は、前記第一受信部で受信した無線信号に含まれる第一パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第一パターン変更処理を実施可能としており、前記第一受信部とは異なる前記第二受信部で受信した前記変更信号に含まれる第二パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第二パターン変更処理を実施可能にすると共に、該第二パターン信号の内容が反映された第一パターン信号を含む無線信号を前記第一送信部から送信するように設けられており、前記変更信号は前記無線信号よりも通信距離が短い無線の通信規格の信号であって、該通信規格の有効な最長通信距離が30mm以下となされていると共に、該変更信号を受信可能な前記第二受信部が適宜間隔をあけて設置され前記無線信号を相互に送受信する前記各発光器にそれぞれ備えられていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る発光装置によれば、各発光器が発光体とその発光動作を制御する制御部を有しているので、各発光器をそれぞれ所定の発光動作で発光させることができる。
また、各発光器が無線信号を他の発光器へ送信する第一送信部と、他の発光器から送信された前記無線信号を受信する第一受信部とをそれぞれ備えて相互に無線信号を送受信するように設けているので、前記無線信号によって発光のタイミングのズレを極小化して、各発光器の発光を同期させることができる。
また、各発光器が送信する前記無線信号が前記発光体の発光動作を定義する第一パターン信号を含み、前記第一受信部で受信した無線信号に含まれる第一パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第一パターン変更処理を実施可能に形成されているので、前記無線信号の送受信によって一の発光器の発光パターンを他の発光器へ伝達して反映させることができる。
また、発光器とは別体に形成したコントローラーから送信する変更信号を受信可能な第二受信部を前記各発光器が備え、受信した前記変更信号に含まれる第二パターン信号の内容を前記制御部へ反映させる第二パターン変更処理を実施可能にするので、コントローラーから送信した変更信号を発光器に受信させてその発光動作を変更することができる。
また、コントローラーからの変更信号を受信する前記第二受信部を前記第一受信部と異ならせて設けるので、前記変更信号と、各発光器の間で相互に送受信させる前記無線信号とを異なる無線規格に設けて、前記変更信号を発光器へ効果的に受信させることができる。
また、前記第二パターン信号の内容が反映された第一パターン信号を含む無線信号を前記第一送信部から送信するように設けるので、一の発光器へ受信させた前記変更信号の第二パターン信号に定義される発光動作を無線信号の送受信によって他の発光器へ反映させることができる。
【0008】
また、前記変更信号を前記無線信号よりも通信距離が短い無線の規格の信号とし、この変更信号を受信する前記第二受信部を前記無線信号の規格の通信を受信不能に設ければ、コントローラーから送信した変更信号を複数の発光器が受信するような状況が生じにくく、前記変更信号を一つの発光器へ効果的に受信させることができる。
【0009】
また、前記変更信号を有効な最長通信距離が30mm以下の通信規格とすれば、コントローラーから送信した変更信号を複数の発光器が受信するような状況がより生じにくく、前記変更信号を一つの発光器へ効果的に受信させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発光装置によれば、複数の発光器の発光動作を効果的に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る発光装置の発光器の実施の一形態を示す斜視図である。
図2図1の発光器の機能ブロック図である。
図3】発光器の動作の概要を示す図である。
図4】発光装置の発光器を設置させた状態の一例を示す図である。
図5図4の発光装置の各発光器を発光動作の一例を示す図である。
図6図4の発光装置の各発光器を発光動作の他の一例を示す図である。
図7図4の発光装置の各発光器を発光動作の他の一例を示す図である。
図8】無線信号を受信した発光器の制御部と記憶部における制御の流れの概要を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、2は発光器である。
図1に示す発光器2は、内装するLED等からなる発光体31と、この発光体31を発光させる電力を供給するための電源部5と、前記発光体31の点灯と消灯とを制御する制御部4を備えており、前記発光体31の発する光を発光部3から外方へ放出させて車輌の運転手などへ視認させるように設けている。
前記電源部5は、発光器2の上部に配置された太陽電池51を有しており、太陽電池51が生起した電力を発光器2に内装する蓄電部(図示せず)へ蓄電し、前記発光体31へ供給するように設けている。
前記発光器2は、具体的には所謂視線誘導標であり、支柱Pへ取り付け道路に沿って設置させるように設けている。前記発光器2は、道路に沿って間隔をあけて複数並設させて、道路を走行する車輌の運転手などへ道路の線形を認識させる目的で利用される。
【0013】
図2図1の発光器2の機能ブロック図である。
前記制御部4は、電源部5と発光体31とに接続しており、電源部5の前記蓄電部からの電力の供給と遮断を制御することで発光体31の点灯と消灯の切り替えを行う。即ち、前記制御部4は発光体31の発光動作を制御する。
また、前記制御部4は、前記太陽電池51の生起する電力を蓄電部へ蓄えるための制御を行う。
【0014】
発光器2は、異なる発光器2との間で無線通信するための第一通信部6を備えている。
第一通信部6は、無線信号Sの送信手段である第一送信部61と、受信手段である第一受信部62とを有し、間隔をあけて設置させた複数の発光器2を相互に通信させることができる。
前記第一通信部6は、具体的には2.4GHzの周波数帯を利用する規格の無線通信ユニットであり、発光器2は良好な環境下において80m程度の距離で相互通信が可能となされている。
本発明に係る発光装置1は、無線信号Sを相互通信する複数の発光器2で構成される。
【0015】
図3は発光器2の動作の概要を示す図である。
図3に示す各発光器2a~2dは、図1、2に示す前記発光器2と同一であり、間隔をあけて設置させた4個の発光器2a~2dによって発光装置1を構成している状況を示している。
前記各発光器2a~2dは前記第一通信部6が送受信する無線信号Sによって相互に通信している。
道路に沿って複数設置させる発光式視線誘導標や発光式道路鋲などの発光器は、一般的に4~50m程度の間隔をあけて設置させることが多いため、80m程度の距離で相互通信可能な前記発光器2a~2dは、隣接する発光器2だけでなく、更にその隣に設置されている発光器2とも無線信号Sの送受信が可能となされる。
前記各発光器2a~2dは、第一通信部6の第一送信部61から前記無線信号Sを所定の単位時間Tsが経過するごとに送信するように動作している。前記所定の単位時間Tsは、一例として0.25秒間に設定している。
【0016】
各発光器2が相互通信する無線信号Sは、前記制御部4の制御における時間を同期させるためのタイミング信号Stを含んでいる。タイミング信号Stを含む無線信号Sを相互通信させることで、発光器2a~2dの各発光体31の発光のタイミングを同期させている。即ち、発光器2a~2dの各発光体31の点灯と消灯とを同時に行う同時点滅の発光動作や、所定の時間差をつけて各発光器2a~2dを点滅させることで光が流れるように視認させる流れ発光の発光動作などを行うことができる。
発光体31の発光動作は、前記制御部4に接続する記憶部8に複数種類の発光パターンFpが記憶されており、この発光パターンFpを切り替えることで、各発光器2a~2dからなる前記発光装置1に所望の発光動作を行わせている。
【0017】
図4は発光装置1の発光器2を設置させた状態の一例を示す図である。
図4の発光装置1は、8個の発光器2a~2hによって構成させており、図中左側から右側へ発光器2a~2hを1個づつ順番に配置させている。
前記発光装置1は、構成する各発光器2を複数の発光グループPgに割り当て、各発光グループPgに所定の発光パターンFpで発光動作を行わせることで、発光装置1全体で統一感のある発光動作を行うように設けている。
具体的には、図4に示す発光装置1は、各発光器2a~2hを4つの発光グループPg1~Pg4に割り当てており、詳細には、発光器2a、2eを発光グループPg1に割り当て、発光器2b、2fを発光グループPg2に割り当て、発光器2c、2gを発光グループPg3に割り当て、発光器2d、2hを発光グループPg4に割り当てている。
同じ発光グループPgに割り当てられた各発光器2は、発光体31の点灯と消灯を同じタイミングで行うように動作する。
【0018】
図5図4の発光装置1の各発光器2a~2hの発光動作の一例を示す図であり、図6図4の発光装置1の発光動作の他の一例を示す図であり、図7図4の発光装置1の発光動作の他の一例を示す図である。
図4に示す発光装置1は、記憶部8に記憶された発光パターンFpを選択することで、各発光器2a~2hが図5~7に示す発光動作をそれぞれ行うようになされている。
図5~7は、各発光器2a~2hが割り当てられた発光グループPg1~Pg4の発光体31の点灯と消灯の状態を表した表であり、所定の単位時間Tpの経過における各発光グループPg1~Pg4の発光体31の状態の変化を示している。
尚、図5~7に示す所定の単位時間Tpは、一例として0.5秒間に設定している。
【0019】
図5に示す発光動作は、全ての各発光器2a~2hが同時点滅する発光パターンFp1であり、各発光グループPg1~Pg4が同じタイミングで点灯と消灯を繰り返すものである。
【0020】
図6に示す発光動作は、隣接する発光器2が交互に点滅する発光パターンFp2であり、発光器2a、2c、2e、2gが点灯状態のときに発光器2b、2d、2f、2hが消灯状態となされ、発光器2a、2c、2e、2gが消灯状態のときに発光器2b、2d、2f、2hが点灯状態となされる。
【0021】
図7に示す発光動作は、図4の図中左側に配置させた発光器2から右側の発光器2へ光が流れるように視認させる流れ発光の発光パターンFp3である。図7の発光動作は、4つの発光グループPg1~Pg4のうち一つが点灯し残りが消灯する状態において、所定の時間Tpが経過するごとに点灯させていた発光グループPgを消灯させると共にその図4中右側に配置させた発光グループPgを点灯させる発光動作を繰り返し、発光グループPg4の点灯状態が終了した後に発光グループPg1を点灯状態とするものである。
【0022】
図5~7に示す各発光パターンFp1~Fp3は、所定の単位時間Tpの経過によって各発光グループPg1~Pg4の発光状態を切り替えるようにして各発光器2a~2hを発光動作させているものであり、所定の単位時間Tpの長さを調整することで、同時点滅や交互点滅の周期や、流れ発光の早さを変更することができる。
図4に示す発光装置1は、前記発光パターンFp1~Fp3について、所定の単位時間Tpの長さが異なる発光動作を別の発光パターンFpとしてそれぞれ前記記憶部8に複数記憶させており、この発光パターンFpを指定することで所望の早さで発光動作させている。
【0023】
前記発光装置1を構成する各発光器2は、それぞれの位階を示す位階情報Irを前記記憶部8に記憶している。
前記位階情報Irは、数値に換算可能な情報であり、その大きさによって発光器2の位階の高低を比較可能としている。
前記位階情報Irは、発光器2が起動される時点においてリセットされており、所定の単位時間Trが経過するごとに所定の値Urが加算される経時処理がなされる。
即ち、起動した直後の発光器2の位階情報Irは、既に起動されて動作中の他の発光器2の位階情報Irよりも小さな値であり、より低位の位階として位置づけられる。
尚、前記所定の単位時間Trは一例として0.25秒間に設定しており、前記所定の値Urは一例として1に設定している。
【0024】
各発光器2間における無線信号Sの相互通信において、発光器2から送信される無線信号Sには、送信側発光器2の前記位階情報Irを示す位階信号Srを含んでいる。
無線信号Sを受信した発光器2は、その中に含まれる位階信号Srの情報と記憶部8に記憶されている位階情報Irの大きさを比較する位階比較処理を行う。
図8は無線信号Sを受信した発光器2の制御部4と記憶部8における処理の流れの概要を示すフロー図である。
前記位階比較処理において、前記位階信号Srの位階が受信側発光器2の位階情報Irよりも高位の場合は、受信した無線信号Sに含まれる前記タイミング信号Stの情報と、受信側発光器2の制御部4で制御されている発光体31の発光動作のタイミングとを比較するタイミング比較処理を行う。
前記タイミング比較処理において、タイミング信号Stの示すタイミングと受信側発光器2の発光動作のタイミングとの間に所定の誤差以上の違いが認められる場合は、受信側発光器2の発光動作を前記タイミング信号Stの示すタイミングに同期させるように調整する第一タイミング変更処理を行う。
また、前記位階比較処理において、前記位階信号Srの位階が受信側発光器2の位階情報Irよりも低位の場合は、前記第一タイミング変更処理は行われず、受信側発光器2の発光動作のタイミング調整はなされない。前記第一タイミング変更処理は、前記位階信号Srの位階が受信側発光器2の位階情報Irよりも高位の場合にのみ実行される第一変更処理である。
上記の位階比較処理を行うことで、起動した直後の発光器2が送信する無線信号Sを動作中の他の発光器2が受信して、動作中の発光器2の発光動作のタイミングが乱されるような問題が生じない。
また、上記の位階比較処理、タイミング比較処理、及び第一タイミング変更処理を行うことで、起動した直後の発光器2に動作中の他の発光器2が送信する無線信号Sを受信させて、その発光動作のタイミングを動作中の発光器2に同期させることができる。
【0025】
前記発光装置1を構成する各発光器2は、タイムスタンプ情報Isを前記記憶部8に記憶している。タイムスタンプ情報Isは、発光器2において所定の処理がなされた日時を示す情報であり、少なくとも秒単位を含む時刻と日付を特定可能な情報である。
各発光器2は、起動された時点で初期設定値に設定されており、一例としてゼロ値に設定される。
また、各発光器2間における無線信号Sの相互通信において、発光器2から送信される無線信号Sには、送信側発光器2の前記タイムスタンプ情報Isを示すタイムスタンプ信号Ssを含んでいる。
【0026】
無線信号Sの相互通信において、発光器2から送信される無線信号Sには、送信側発光器2で指定されている発光パターンFpを示すパターン信号Spを含んでいる。
受信した位階信号Srと受信側発光器2の位階情報Irを比較する前記位階比較処理において、前記位階信号Srの位階が受信側発光器2の位階情報Irよりも高位の場合は、タイムスタンプ信号Ssと受光器側発光器2に記憶されている前記タイムスタンプ情報Isとを比較するタイムスタンプ比較処理を行う。
前記タイムスタンプ比較処理において、タイムスタンプ信号Ssの日時が受信側発光器2のタイムスタンプ情報Isよりも新しい場合は、後述する第一タイムスタンプ変更処理と、パターン信号Spと受信側発光器2で指定されている発光パターンFpとを比較するパターン比較処理を行う。
前記パターン比較処理において、パターン信号Spと受信側発光器2で指定されている発光パターンFpとが異なる場合は、受信側発光器2の指定を前記パターン信号Spの示す発光パターンに変更する第一パターン変更処理を行う。
【0027】
前記位階比較処理において、前記位階信号Srの位階が受信側発光器2の位階情報Irよりも低位の場合は、前記パターン比較処理は行われず、受信側発光器2の発光パターンFpは変更されない。前記第一パターン変更処理は、前記位階信号Srの位階が受信側発光器2の位階情報Irよりも高位の場合にのみ実行される第一変更処理である。
上記の位階比較処理を行うことで、起動した直後の発光器2が送信する無線信号Sを動作中の他の発光器2が受信して、動作中の発光器2の発光パターンFpが変更されるような問題が生じない。
また、上記の位階比較処理、パターン比較処理、及び第一パターン変更処理を行うことで、起動した直後の発光器2に動作中の他の発光器2が送信する無線信号Sを受信させて、動作中の発光器2の発光パターンFpの設定を起動した直後の発光器2へ反映させることができる。
【0028】
受信した位階信号Srと受信側発光器2の位階情報Irを比較する前記位階比較処理において、前記位階信号Srの位階が受信側発光器2の位階情報Irよりも高位の場合、受信側発光器2の位階情報Irを受信した位階信号Srよりも高位に位置づけるように変更する昇進処理を行う。
前記昇進処理は、受信側発光器2の位階情報Irを受信した位階信号Srよりも大きな値とすることで受信側発光器2の位階を前記位階信号Srよりも高位に位置づけるものであり、具体的には、前記位階信号Srに所定の値Upを加算した値に受信側発光器2の位階情報Irを変更するものである。
尚、昇進処理で位階信号Srに加算する前記所定の値Upは一例として1に設定している。
【0029】
前記昇進処理の実行は、前記タイミング比較処理の後であり、タイミング比較処理の結果に基づく前記第一タイミング変更処理が実施される場合には、その終了後である。
また、前記昇進処理の実行は、前記タイムスタンプ比較処理やパターン比較処理の後であり、パターン比較処理の結果に基づく第一パターン変更処理が実施される場合には、その終了後である。
【0030】
上記の昇進処理を行うことで、前記発光装置1において高い位階情報Irを有する発光器2が無線信号Sの送受信を行う稼働中に継続的に変更される。換言すると、他の全ての発光器2の発光パターンFpの変更や、発光のタイミング調整を行うことができる最も高い位階情報Irを有する発光器2が特定されない。
このように各発光器2の位階情報Irの高さを継続的に変更させることで、ある時点で高い位階情報Irを有する発光器2が故障する等して無線信号Sの送受信が不可能となった場合でも、残りの発光器2の間で無線信号Sの送受信を継続できる。これにより、残りの発光器2における発光パターンFpが維持され、発光動作のタイミングを一致させる同期の状態が維持される。
従来から利用されている発光装置では、特定の親機が送信する無線信号を複数の子機へ受信させて各子機の発光動作を同期させる構成を利用しているものがあるが、このような構成においては親機が故障した場合に、残りの各子機の同期状態の維持が困難になる。
本願発明の前記発光装置1によれば、親機に該当する高い位階情報Irを有する発光器2が継続的に変更されるため、一部の発光器2が故障した場合でも残りの発光器2の同期状態を好適に維持できる。
【0031】
前記発光装置1の各発光器2は、第二送信部71と第二受信部72と有する第二通信部7を備えている。図2に示すように、第二通信部7は前記第一通信部6とは別に形成されており、発光器2とは別体に形成したコントローラーとの間で無線信号S2の送受信を可能としている。
【0032】
前記第二通信部7は、第一通信部6よりも通信距離が短い無線規格の通信手段であり、具体的には有効な通信距離が最長でも30mm程度の近距離無線通信規格の通信手段である。
第二通信部7を介してなされる発光器2と前記コントローラーとの間の通信は、無線信号S2の通信距離が短いため、コントローラーから送信した無線信号S2が、受信させたい発光器2とは異なる別の発光器2に受信されてしまうような状況が生じにくい。
尚、近距離無線通信規格の通信手段を備える前記コントローラーは、一例としてスマートフォンタイプの携帯電話を利用している。
【0033】
前記無線信号S2には、発光器2で指定される発光パターンFpを示すパターン信号S2pを含んでいる。
無線信号S2を受信した発光器2で指定されている発光パターンFpと前記パターン信号S2pとが異なる場合は、前記発光器2の発光動作の指定を前記パターン信号S2pが示す発光パターンFpに変更する第二パターン変更処理を行う。換言すると、前記パターン信号S2pは変更信号として機能し、受信した発光器2の発光パターンFpの指定を変更する。
【0034】
コントローラーが送信する前記無線信号S2は、無線信号S2の送信時点の日時を示すタイムスタンプ信号S2sを含んでいる。前記第二パターン変更処理を行った受信側発光器2は、記憶部8に記憶している前記タイムスタンプ情報Isを前記タイムスタンプ信号S2sが示す日時に変更する第二タイムスタンプ変更処理を行う。
第二タイムスタンプ変更処理を行った発光器2は、前記第二パターン変更処理後の発光パターンFpを示すパターン信号Spと、第二タイムスタンプ変更処理後のタイムスタンプ情報Isとを含む無線信号Sを前記第一送信部61から送信して、他の発光器2と相互通信を行う。
【0035】
前記第二タイムスタンプ変更処理を行った発光器2は各発光器2の中で最も新しいタイムスタンプ情報Isを有しているため、この発光器2から送信される無線信号Sを他の発光器2が受信することで、コントローラーから送信した前記パターン信号S2pの示す発光パターンFpがより低位の位階情報Irを有する発光器2へ反映される。
また、前記第二タイムスタンプ変更処理を行った発光器2は各発光器2の中で最も新しいタイムスタンプ情報Isを有しているため、より高位の位階情報Irを有する他の発光器2が送信した無線信号Sを受信した場合に、前記昇進処理によってその位階情報Irがより高位に変更されると共に、発光パターンFpを変更する第一パターン変更処理が実行されない。このように昇進処理は実行されるが第一パターン変更処理が実行されない発光器2が無線信号Sの送受信を継続することで、コントローラーから送信した前記パターン信号S2pの示す発光パターンFpの指定が他の発光器2へ効果的に反映される。
【0036】
各発光器2間の無線信号Sの相互通信において、受信した無線信号Sのタイムスタンプ信号Ssが受信側発光器2のタイムスタンプ情報Isより新しい場合は、受信側発光器2のタイムスタンプ情報Isを前記タイムスタンプ信号Ssと等しくなるように変更する第一タイムスタンプ変更処理を行う。
即ち、前記第二タイムスタンプ変更処理を行った発光器2を起点として、各発光器2間の無線信号Sの相互通信により、各発光器2のタイムスタンプ情報Isはタイムスタンプ信号S2sが示す日時に変更され、各発光器2の発光パターンFpはパターン信号S2pが示す発光パターンに変更される。
【0037】
無線信号Sを相互通信している各発光器2は、前記位階比較処理と昇進処理によってその位階の高さが変化するので、コントローラーからの無線信号S2を受信させた発光器2の位階が低い場合でも、パターン信号S2pの示す発光パターンFpの設定を他の発光器2へ反映させることができる。
換言すると、前記発光装置1は、コントローラーからの無線信号S2を受信させる発光器2を特定する必要がなく、どの発光器2へ前記無線信号S2を受信させても、他の発光器2へその設定を効果的に反映させることができる。
【0038】
また、前記コントローラーからの無線信号S2を受信させる第二受信部72を備える前記第二通信部7を、各発光器2の間で相互通信する無線信号Sを送受信させるための前記第一通信部6と別に形成し、それぞれ異なる通信規格の無線の信号とすることで、前記無線信号S2の受信が前記無線信号Sの送受信によって妨げられない。
また、前記コントローラーからの無線信号S2を、各発光器2の間で相互通信する無線信号Sよりも、有効な通信距離が短い無線の規格とすることで、コントローラーが送信した無線信号S2を複数の発光器2が同時に受信するような状況が生じにくくなされる。
更に、コントローラーからの無線信号S2を、有効な通信距離が最長でも30mm程度の近距離無線通信規格とすることで、コントローラーが送信した無線信号S2を一個の発光器2のみへ受信させることが容易となされる。
【0039】
本発明に係る発光装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記発光装置1は、図1、3、4に示す前記発光器2を視線誘導標に形成しているが、これに限るものではなく、発光体31の発する光を外側へ放射する道路鋲や、注意喚起灯など他の形態に形成してもよい。
【0040】
また、前記発光装置1は、構成する発光器2を4つの発光グループPg1~Pg4に割り当てているが、これに限るものではなく、3つ以下の発光グループPgに割り当ててもよく、5つ以上の発光グループPgに割り当ててもよい。
【0041】
また、前記発光装置1は、図5~7に示す発光パターンFp1~Fp3において、所定の単位時間Tpの経過で各発光グループPgが点灯を消灯を切り替える発光動作を例示しているが、点灯時間と消灯時間の長さを異ならせてもよく、他の発光パターンで発光動作させてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 発光装置
2 発光器
3 発光部
31 発光体
4 制御部
5 電源部
51 太陽電池
6 第一通信部
61 第一送信部
62 第一受信部
7 第二通信部
71 第二送信部
72 第二受信部
8 記憶部
S 無線信号
P 支柱

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8