(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】織機
(51)【国際特許分類】
D03D 49/02 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
D03D49/02
(21)【出願番号】P 2020179827
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】名木 啓一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 大吾
(72)【発明者】
【氏名】田村 公一
(72)【発明者】
【氏名】山 和也
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-291380(JP,A)
【文献】特開2016-000871(JP,A)
【文献】特開2018-066096(JP,A)
【文献】中国実用新案第204311195(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 49/02
D03D 49/60-49/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のサイドフレームのそれぞれに設けられて揺動駆動される一対の支持軸と、両前記支持軸に連結されることで前記支持軸間に架設されるロッキングシャフトと、前記ロッキングシャフトを回転可能に支持する軸受を含む軸受構造体と、前記軸受構造体が取り付けられる面である取付面を含むと共に織幅方向に亘って延在するように設けられる支持体とを備える織機において、
前記支持体は、長手方向における両端部の少なくとも一方に前記取付面と平行を成す位置調整面を有している
ことを特徴とする織機。
【請求項2】
前記軸受構造体は、前記軸受が設けられる軸支部と、前記取付面に取り付けられる基部とを含む単一の構造体として成型されている
ことを特徴とする請求項1に記載の織機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のサイドフレームのそれぞれに設けられて揺動駆動される一対の支持軸と、両支持軸に連結されることで支持軸間に架設されるロッキングシャフトと、ロッキングシャフトを回転可能に支持する軸受を含む軸受構造体と、軸受構造体が取り付けられる面である取付面を含むと共に織幅方向に亘って延在するように設けられる支持体とを備えるように構成された織機に関する。
【背景技術】
【0002】
織機は、主軸の回転に連動して揺動駆動される一対の支持軸を有している。なお、その支持軸は、織機における左右のサイドフレームのそれぞれに設けられると共に、その一端部がそれぞれのサイドフレームから織幅方向における内側へ突出するかたちで設けられている。そして、その両支持軸には、筬打ち装置におけるロッキングシャフトが連結されている。それにより、ロッキングシャフトは、一対の支持軸間で架設された状態となっている。また、ロッキングシャフトは、そのように支持軸間に架設された状態で、軸受を介して軸受構造体にも支持されている。なお、その軸受構造体は、織幅方向に亘って延在するように設けられた支持体に対し取り付けられている。
【0003】
そのような軸受構造体を備えた織機として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。その特許文献1に開示された織機において、軸受構造体(中間支持装置)は、織機における左右のサイドフレームに対し架設されるかたちで織幅方向に亘って延在する梁に取り付けられたプレートに載置されるかたちで設けられている。また、その軸受構造体は、軸受を構成する軸支部としてのベアリングホルダ及びベアリングカバーと、その軸支部を支持すると共にプレートに取り付けられる基部としてのL字型のブラケットとで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロッキングシャフトは、前述のようにその両端に連結された支持軸の軸心を揺動中心として揺動駆動される。そのため、ロッキングシャフトを支持する軸受構造体が前記のようにプレート上に設置された状態において、その軸受構造体における軸支部の軸受の中心は、織幅方向に見て、支持軸の軸心と略一致した状態となっている必要がある。そこで、軸受構造体は、プレート上に設置される際のその初期の状態が、例えば上下方向に関し、織機に対して予め定められた位置に取り付けられた際のプレートと支持軸の軸心との位置関係に基づいて定められるものとなっている。具体的には、軸受構造体は、その初期状態において、プレートに載置される面(載置面)と軸受の中心との位置関係が前記の支持軸側の位置関係と一致するように構成されている。
【0006】
但し、軸受構造体が設置される梁やプレートは長尺の部材であるため、それ自体に長手方向に亘って反り等が生じている場合が多い。そのため、前記のような初期状態に構成された軸受構造体をそのままプレート上に設置した場合には、軸受の中心と支持軸の軸心とは織幅方向に見て一致していない状態となる。
【0007】
そこで、特許文献1の軸受構造体は、軸支部がその軸支部を支持する基部に対し上下方向に位置調整可能であるように構成されている。そして、その構成においては、前記のような初期状態の軸受構造体をプレート上に設置した上で、織幅方向に見て軸受の中心が支持軸の軸心に一致するように、基部に対する軸支部の位置を調整する作業が行われる。
【0008】
しかし、軸受構造体が設けられる位置は、織幅方向に関し、支持軸から大きく離間した位置であるため、そのように軸受の中心を支持軸の軸心に合わせる作業は、非常に難しく、手間が掛かるものとなっていた。そのため、その調整作業は、時間が掛かると共に、作業者にとって大きな負担となっている。さらに、そのような調整が可能であるように、前記した基部と軸支部を組み合わせたかたちで軸受構造体を構成しなければならないため、軸受構造体の構成の複雑化を招くという問題も生じている。
【0009】
そこで、本発明は、軸受構造体をより簡単な構造とすると共に、作業者に掛かる負担を可及的に軽減すべく、前記した軸受構造体における調整が不要となるような織機の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明は、前述のような織機を前提とし、前記した取付面において軸受構造体が取り付けられる支持体が、長手方向における両端部の少なくとも一方に取付面と平行を成す位置調整面を有していることを特徴とする。また、本発明において、軸受構造体は、軸受が設けられる軸支部と、取付面に取り付けられる基部とを含む単一の構造体として成型されても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明による織機によれば、支持体が、長手方向における両端部の少なくとも一方に取付面と平行を成す位置調整面を有するものとなっている。すなわち、支持体は、そのように取付面と平行に形成された位置調整面を、取付面よりも支持軸に対して近い位置に有している。そして、支持体がそのように構成された織機によれば、その支持体は、位置調整面が取付面を基準としてその取付面と平行を成すように形成された面であることから、その位置調整面と取付面との位置関係が容易に把握できるものとなっている。
【0012】
そこで、そのように予め把握できる位置調整面と取付面との位置関係及び軸受構造体における前記載置面と軸受の中心との位置関係に基づいて位置調整面と支持軸との位置関係を定める。その上で、位置調整面と支持軸とがそのように定められた位置関係となるように支持体を織機上に配置することで、その支持体の取付面に設置された軸受構造体における軸受の中心は、織幅方向に見て、その設置された状態で支持軸の軸心と位置が一致した状態となる。したがって、そのような本発明による織機によれば、従来のような軸受構造体における調整作業が不要となる。そして、その結果として、織機の組み付け作業に掛かる時間が短縮されると共に、作業者に掛かる負担も可及的に軽減される。
【0013】
また、本発明による織機においては、前記した軸受構造体における調整作業が不要となることから、軸受構造体を、軸受が設けられる軸支部と取付面に取り付けられる基部とを一体的に成型した単一の構造体とすることもできる。そして、そのように軸受構造体を構成するものとすれば、従来のような複数の部分の組み合わせで軸受構造体を構成するような場合と比べ、軸受構造体自体の構成が簡単なものとなる。また、そのような単一の構造体とすれば、軸受構造体全体の剛性が向上し、織機の高速運転にもより対応できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る一実施形態における織機の正面図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態における織機の側面断面図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態における織機の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、
図1~
図3に基づき、本発明が適用された織機の一実施形態(実施例)について説明する。
【0016】
織機において、フレーム1は、一対のサイドフレーム2、2を主体とし、その両サイドフレーム2、2が4本の梁材3a、3b、3c、3dで連結された構成となっている。また、織機においては、その織機の前後方向における一方の側(後側)において、両サイドフレーム2、2に支持されるかたちで、経糸Tを送り出すための経糸ビーム6が備えられている。さらに、前記前後方向における他方の側(前側)には、製織された織布を巻き取るための巻取ビーム8が、両サイドフレーム2、2に支持されるかたちで備えられている。
【0017】
前記した4本の梁材について、前記前後方向における巻取りビーム側8に配置される梁材3a、3bは、上下方向に互いに位置を異ならせて配置されており、上側の梁材3aが所謂フロントトップステーであり、下側の梁材3bが所謂フロントボトムステーである。また、前記前後方向における経糸ビーム6側に配置される梁材3c、3dも、上下方向に互いに位置を異ならせて配置されており、上側の梁材3cが所謂リアトップステーであり、下側の梁材3dが所謂リアボトムステーである。
【0018】
そして、フロントトップステー3a及びリアトップステー3cは、その両端部に形成されたフランジ3a1、3c1を有している。なお、フロントトップステー3aにおける両フランジ3a1、3c1は、フロントトップステー3aの長手方向に見て、その位置が一致するようにフロントトップステー3aにおいて設けられている。同じく、リアトップステー3cにおける両フランジ3c1、3c1も、リアトップステー3cの長手方向に見て、その位置が一致するようにリアトップステー3cにおいて設けられている。
【0019】
その上で、フロントトップステー3a及びリアトップステー3cは、各フランジ3a1、3c1に形成された複数の貫通孔に挿通された固定用ボルトがサイドフレーム2に螺挿されるかたちで、各サイドフレーム2、2に対し固定されている。また、フロントボトムステー3b及びリアボトムステー3dは、断面形状が略コの字型の梁材であり、その両端部に端部を塞ぐように形成された端壁を有している。そして、フロントボトムステー3b及びリアボトムステー3dも、各端壁に形成された複数の貫通孔に挿通された固定用ボルトがサイドフレーム2に螺挿されるかたちで、各サイドフレーム2、2に対し固定されている。
【0020】
また、織機は、各サイドフレーム2において、主軸(図示略)を回転駆動する駆動軸20と、主軸(主軸を駆動する駆動軸20)の回転に連動して揺動駆動される支持軸22とを有している。なお、駆動軸20及び支持軸22は、前記前後方向に関し、フロントトップステー3aに対しその後側(経糸ビーム6側)の近傍に設けられている。そして、上下方向に関しては、支持軸22は、フロントトップステー3aの存在範囲内の位置に位置している。また、駆動軸20は、その支持軸22の下方に位置している。そして、駆動軸20及び支持軸22は、その一端部がそれぞれのサイドフレーム2、2から織幅方向における内側へ突出するかたちで設けられている。
【0021】
また、織機は、筬11を揺動駆動する筬打ち装置10を備えている。その筬打ち装置10においては、筬11がスレー12及びスレーソード13を介してロッキングシャフト14に支持されている。なお、ロッキングシャフト14は、図示の例では、複数の軸部材をその長手方向に連結するかたちで構成されたものとなっている。そして、そのロッキングシャフト14は、その両端部において、両サイドフレーム2、2から突出した支持軸22、22に対しカップリング部材24、24を介して連結されている。それにより、ロッキングシャフト14は、両サイドフレーム間2、2において、両支持軸22、22間に架設されるかたちで、織幅方向に延在するように設けられている。
【0022】
また、筬打ち装置10においては、ロッキングシャフト14は、前記のように各支持軸22に連結されることで両支持軸22、22に支持されるのに加え、その支持軸22、22間においても、フロントトップステー3aに支持された軸受構造体30によって支持されている。但し、本実施例では、軸受構造体30は、フロントトップステー3aに固定された支持プレート4に取り付けられることで、その支持プレート4を介してフロントトップステー3aに支持されている。
【0023】
詳しくは、フロントトップステー3aには、板状の支持プレート4が固定されている。その支持プレート4は、板厚方向に見て矩形状を成す板材であって、その板厚方向における両端面の長辺方向(長手方向)における寸法がフレーム1におけるフロントトップステー3aの長手方向の寸法よりも若干小さく、且つ、その短辺方向における寸法が前記前後方向におけるフロントトップステー3aの寸法よりも大きい部材として形成されている。そして、支持プレート4は、前記長辺方向をフロントトップステー3aの長手方向(=織幅方向)と一致させた向きで、前記両端面の一方をフロントトップステー3aの下面に当接させるかたちで、フロントトップステー3aに対し固定されている。したがって、その支持プレート4における前記一方の端面は、織機上において上方を向く面(上面)となる。
【0024】
但し、その支持プレート4の固定は、前記前後方向に関し、その前記短辺方向における一端側の側縁を、フロントトップステー3aの前側(巻取ビーム8側)の端に一致させた状態で行われている。したがって、支持プレート4は、そのようにフロントトップステー3aに固定された状態で、フロントトップステー3aの後側(経糸ビーム6側)に突出している。さらに、支持プレート4は、そのようにフロントトップステー3aに固定された状態では、上下方向に関し、支持軸22の下方に位置すると共に駆動軸20の上方に位置している。因みに、フロントトップステー3aに対する支持プレート4の固定は、例えば、ネジ部材(ボルト等)を用いた取り付け、あるいは溶接による固着等のかたちで行われている。
【0025】
また、軸受構造体30は、ロッキングシャフト14を回転可能に支持するための軸受34aを有しており、その軸受34aを内装する軸支部34を主体として構成されている。さらに、軸受構造体30は、その軸支部34が立設されると共に、支持プレート4に対し取り付けられる基部32を有している。また、本実施例では、軸受構造体30は、その基部32及び軸支部34を含む単一の構造体として成型されている。そして、その軸受構造体30は、基部32に形成された複数の貫通孔に挿通された固定用ボルトが支持プレート4に螺挿されるかたちで、支持プレート4に対し取り付けられている。なお、その取り付けは、支持プレート4(前記上面)上において予め定められた位置において行われており、その前記上面における軸受構造体30の取り付け位置(部分)が、支持プレート4における取付面4aとなっている。
【0026】
さらに、図示の例では、ロッキングシャフト14を支持軸22、22間における2箇所で支持するように、軸受構造体30が2つ設けられている。言い換えれば、支持プレート4上には、軸受構造体30が取り付けられる取付面4aが2箇所において設けられている。そして、本実施例では、そのように軸受構造体30が取り付けられる取付面4aを有する支持プレート4及び支持プレート4が固定されるフロントトップステー3aの組み合わせが、本発明で言う支持体となっている。
【0027】
以上のような織機において、本発明では、軸受構造体が取り付けられる取付面を含む支持体が、その長手方向における両端部の少なくとも一方に取付面と平行を成す位置調整面を有するように形成される。そして、本実施例は、前記支持体における支持プレート4が、前記長辺方向における両端部において、前記上面上に両取付面4a、4aと平行を成す位置調整面4b、4bを有するように形成された例である。そのような本実施例の支持プレート4について、詳しくは以下の通りである。
【0028】
前記した支持プレート4における各取付面4aについて、本実施例では、前記上面における各軸受構造体30が取り付けられる部分を含む範囲が、その周囲の部分よりも凹むように切り欠かれるかたちに加工されている。そして、その各凹んだ部分の底面4aが、軸受構造体30のための取付面となっている。また、その両取付面4a、4aは、互いに平行を成すように形成されている。さらに、両取付面4a、4aは、前記支持体が両サイドフレーム2、2に取り付けられた状態(取り付け状態)において、その上下方向における位置(高さ位置)が互いに一致するように形成されている。但し、その取り付け状態とは、両取付面4a、4aが支持軸22の軸線方向と平行を成すようなかたちで、前記支持体が両サイドフレーム2、2に取り付けられた状態である。
【0029】
その上で、支持プレート4の前記長辺方向における両端部(支持軸22の近傍の部分)においては、その前記上面上のフロントトップステー3aよりも後側に突出した部分が、その周囲の部分よりも凹むように切り欠かれるかたちに加工されている。そして、その両凹んだ部分の底面4b、4bは、前記した両取付面4a、4aと平行を成すように形成されており、本発明で言う位置調整面となっている。さらに、その両位置調整面4b、4bは、前記取り付け状態において、前記高さ位置が互いに一致すると共に、両取付面4a、4aとも前記高さ位置が一致するように形成されている。
【0030】
そして、本実施例では、以上のように支持プレート4が構成されていることにより、前記取り付け状態における両軸受構造体30、30の軸受34a、34aの中心を、織幅方向に見て、両支持軸22、22の軸心と一致した状態とすることが容易に実現可能となっている。
【0031】
詳しくは、本実施例における各軸受構造体30は、前記したように単一の構造体として成型されている。それにより、軸受構造体30が取付面4aに取り付けられた状態において、その取付面4aから軸受34aの中心までの距離は予め決まったものとなっている。また、両取付面4a、4aと両位置調整面4b、4bとは、前記取り付け状態において前記高さ位置が一致するように形成されている。
【0032】
したがって、両位置調整面4b、4bから両支持軸22、22の軸心までの上下方向における距離を前記した取付面4aから軸受34aの中心までの距離に合わせることで、織幅方向に見て、両軸受構造体30、30の軸受34a、34aの中心が支持軸22の軸心と一致した状態となる。そこで、両サイドフレーム2、2に対し前記支持体を取り付けるにあたり、両位置調整面4b、4bと両支持軸22、22の軸心との位置関係(距離)をそのように合わせるかたちでその取り付けを行うことで、両軸受34a、34aの中心と両支持軸22、22の軸心とを織幅方向に見て一致させた状態が容易に実現される。
【0033】
以上では、本発明が適用された織機の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は、前記実施例において説明した構成に限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0034】
(1)位置調整面について、前記実施例では、前記支持体における支持プレート4の前記長手方向における両端部において、その前記上面上の一部分が凹むように切り欠かれるかたちに加工されており、その凹んだ部分の底面4b、4bが位置調整面となっている。そして、両位置調整面4b、4bは、前記取り付け状態において、軸受構造体30、30のための取付面4a、4aに対し平行を成すと共に、前記高さ位置が一致するように形成されている。しかし、本発明において、位置調整面は、取付面に対し平行を成すように形成された面であれば良く、前記取り付け状態における前記高さ位置が取付面に対し一致するように形成された面には限られない。
【0035】
なお、その場合における両サイドフレームに対する前記支持体の取り付け位置を定めるにあたっては、先ずは、位置調整面と取付面との前記高さ位置を予め求める。その上で、その両面の前記高さ位置の差、及び予め求められた取付面と軸受構造体における軸受との間の距離から、軸受の中心と支持軸の軸心とが一致するような位置調整面と支持軸の軸心との間の距離を求めれば良い。そして、位置調整面と支持軸の軸心との間の距離がその求められた距離となるような前記支持体の位置が、その前記支持体の取り付け位置となる。
【0036】
また、位置調整面は、支持プレート4における前記上面上に形成されるものに限らない。例えば、位置調整面は、支持プレート4の両端部において、支持プレート4上の取付面4aに対し平行を成すように、織機上において下方を向く面(下面)に形成されても良い。さらに、位置調整面は、支持プレートに対し形成されるのには限らず、前記支持体における梁材の両端部において、上下方向における上側面若しくは下側面に形成されても良い。また、位置調整面は、前記支持体の長手方向における両端部の少なくとも一方に形成されていれば良く、例えば、前記実施例のような支持プレートや梁材の一方の端部のみに形成されていても良い。
【0037】
因みに、前記実施例では、前記支持体の取り付けは、支持軸の軸心に対する位置調整面の位置を、予め求められた支持軸の軸心との間の距離となるような位置に合わせるかたちで行われている。しかし、本発明において、そのように位置調整面の位置を合わせる対象となる部分は、前記した支持軸には限られず、織機上における特定の部分(例えば、サイドフレーム等)としても良い。但し、その織機上における特定の部分は、前記支持体の前記取り付け状態において、位置調整面と平行を成す部分とされる。
【0038】
(2)取付面を含む支持体について、前記実施例では、支持体がフロントトップステー3aと支持プレート4との組み合わせによって構成されており、その支持プレート4の前記上面上に取付面が設けられている。しかし、本発明において、支持体は、取付面が支持プレートに設けられるように構成されたものに限らず、フロントトップステーに取付面が設けられるように構成されたものであっても良い。また、その場合には、支持体は、支持プレートを省略したかたちで構成されても良い。
【0039】
なお、そのようにフロントトップステーに取付面を設ける場合について、具体的には、フロントトップステーにおける後側を向く面(後側側面)上に取付面が設けられることとなる。そして、その場合には、軸受構造体は、前記後側側面に取り付けられ、軸支部が後方へ向けて延びるようなかたちで設けられた状態となる。また、その場合には、位置調整面は、その取付面と平行を成す面として、前記後側側面上に形成すれば良い。但し、支持体に前記後側側面と同じ方向を向く面であって位置調整面を形成可能な面が存在する場合には、位置調整面をその面に形成しても良い。
【0040】
また、支持体における取付面について、前記実施例では、支持プレート4の前記上面上における軸受構造体30が取り付けられる部分に加工を施し、その加工によって形成された凹んだ部分の底面4aを取付面としている。すなわち、前記実施例における取付面は、支持体に対し追加工を加えて形成された面には限らない。例えば、支持体を前記取り付け状態とした際に、支持体全体における長手方向に亘る反り等との関係で、軸受構造体が取り付けられる部分の支持体上の面が支持軸の軸線方向と略平行を成すと見なせるような場合には、その支持体上の面に対して前記のような追加工を加えること無しに、その面を取付面としても良い。
【0041】
さらに、支持体について、前記実施例では、前記のようにフロントトップステー3aと支持プレート4との組み合わせによって支持体が構成されている。すなわち、前記実施例における支持体は、織機における既存の梁材と、軸受構造体が取り付けられる取付部材とを組み合わせるかたちで構成されている。しかし、本発明において、支持体は、そのように構成されたものに限らない。
【0042】
例えば、板状あるいは梁状に形成された前記取付部材を、織機における既存の梁材では無く、一対のサイドフレーム間に架設された状態となるように両サイドフレームに取り付け、その前記取付部材のみで支持体が構成されるようにしても良い。あるいは、織機における既存の梁材とは別に、本発明において専用の梁状の部材を一対のサイドフレーム間に架設させるかたちで設けると共に、その専用の梁状の部材に、前記実施例の支持プレートのような板状の前記取付部材を取り付け、その専用の梁状の部材と板状の前記取付部材とで支持体が構成されるものとしても良い。
【0043】
なお、前記取付部材が梁状の部材である場合、あるいは支持体が前記のような専用の梁状の部材を含む場合において、その梁状の部材のサイドフレームに対する取り付けは、前記実施例の梁材と同様に固定用ボルトを用いて行うものとすれば良い。また、支持体となる前記取付部材が板状の部材である場合には、前記取付部材の長手方向における両端部が板厚方向に屈曲したかたちで形成されたものとし、その屈曲した部分に挿通されたネジ部材(ボルト等)をサイドフレームに締結するかたちで両サイドフレームに取り付けるものとすれば良い。
【0044】
(3)軸受構造体について、前記実施例では、軸受構造体30は、軸受34aを内装する軸支部34と支持プレート4上に取り付けられる基部32とを含む単一の構造体として成型されている。しかし、本発明において、軸受構造体は、そのように一体的に成型された構造体には限られず、別部材として成型された軸支部と基部とを組み合わせるかたちで構成されても良い。
【0045】
また、前記実施例では、ロッキングシャフト14を支持軸22、22間における2箇所で支持するように、軸受構造体30が2つ設けられている。しかし、本発明において、軸受構造体は、ロッキングシャフトの構成に応じて適宜な数だけ設けられるものとすれば良い。
【0046】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 フレーム
2 サイドフレーム
3a 梁材(フロントトップステー)
3a1 フランジ
3b 梁材(フロントボトムステー)
3c 梁材(リアトップステー)
3c1 フランジ
3d 梁材(リアボトムステー)
4 支持プレート
4a 底面(取付面)
4b 底面(位置調整面)
6 経糸ビーム
8 巻取ビーム
10 筬打ち装置
11 筬
12 スレー
13 スレーソード
14 ロッキングシャフト
20 駆動軸
22 支持軸
24 カップリング部材
30 軸受構造体
32 基部
34 軸支部
34a 軸受