(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
(21)【出願番号】P 2020204212
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 拓馬
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/090975(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0233939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤の自動投入機能を有する洗濯
機であって、
前記液剤を収容する液剤タンクを着脱可能に収納するタンク収納領域と、
前記タンク収納領域を開閉可能に覆うパネルカバーとを備えており、
前記液剤タンクは、当該液剤タンクの上面が長手方向および短手方向を有する略矩形形状を有しており、
前記液剤タンクは、当該液剤タンクの上面に形成された開口部となる小窓と、前記小窓を開閉可能に覆う窓カバーとを備えており、
前記窓カバーは、当該液剤タンクの上面に対して
、当該液剤タンクの上面の短手方向に沿って配置されたヒンジ軸を介して取り付けられ、前記小窓を閉じる状態から前記ヒンジ軸周りに水平面に対して平行な状態となる最大開放状態まで回動可能であり、
当該液剤タンクの上面には、前記ヒンジ軸に対する前記小窓の反対側に、最大開放状態の前記窓カバーを載置するための座面が設けられて
おり、
前記パネルカバーは、前記タンク収納領域の後端側に配されたヒンジ軸によって前端側を上下方向に回動させるようにして開閉可能となっており、
前記液剤タンクの長手方向が前記タンク収納領域の後端側に沿うように前記液剤タンクが前記タンク収納領域に収納されることを特徴とする
洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の
洗濯機であって、
前記タンク収納領域は、複数の前記液剤タンクを前記長手方向に隣接して収納可能であることを特徴とする
洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の
洗濯機であって、
前記ヒンジ軸は、当該液剤タンクの上面の長手方向における中央付近に配置されていることを特徴とする
洗濯機。
【請求項4】
請求項
1から3の何れか1項に記載の洗濯機であって
、
前記液剤タンクの前記窓カバーには、前記窓カバーが開いた状態で上向きに突出する第1凸部が設けられており、
前記窓カバーが開いた状態で前記パネルカバーを閉じると、前記パネルカバーに前記第1凸部が干渉することを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項
1から3の何れか1項に記載の洗濯機であって
、
前記窓カバーの裏面には、前記窓カバーが開いた状態で上向きに突出する第1凸部が設けられ、かつ、前記第1凸部の反対側は第1凹部となっており、
前記パネルカバーの裏面には、前記液剤タンクにおける前記小窓と対向する位置に設けられた第2凸部と、前記窓カバーが開かれているときに前記第1凸部と対向する位置に設けられた第2凹部とが形成されており、
前記小窓の周囲には、パッキンが設けられており、
前記窓カバーを閉じ、かつ、前記パネルカバーを閉じた状態では、前記第1凸部が前記パッキンの内側に嵌まり込み、かつ、前記第2凸部が前記第1凹部に嵌まり込み、
前記窓カバーが開かれ、かつ、前記パネルカバーを閉じた状態では、前記第2凸部が前記パッキンの内側に嵌まり込むことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤(液体洗剤や柔軟剤など)の自動投入機能を有する洗濯機に用いられる液剤タンク、および液剤タンクを備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤や柔軟剤などの液剤を洗濯槽へ自動投入する機能を備えた洗濯機が知られている。このような洗濯機は、液剤タンク(洗剤タンクや柔軟剤タンク)を備えており、洗濯槽へ自動投入される液剤は液剤タンクに収容されている。通常、液剤タンクは洗濯機に対して着脱可能であり、ユーザは液剤タンクを洗濯機から取り外し、かつ液剤タンク上部のタンク蓋を外して液剤の補充が行えるようになっている。
【0003】
また、特許文献1には、タンク蓋に小窓を設けた構成の液剤タンクが開示されている。このような液剤タンクは、洗濯機から取り外すことなく、小窓からの液剤補充を行うこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の液剤タンクでは、タンク蓋において小窓を覆う窓カバーも設けられており、窓カバーは普段は液剤の揮発を防ぐために閉じられている(小窓からの液剤補充を行う場合のみ開かれる)。特許文献1では、窓カバーはタンク蓋の長手方向に沿ったヒンジ軸を介して取り付けられており、ヒンジ軸周りの回動によって開閉される構成とされている。
【0006】
また、小窓の開口領域をできるだけ大きくするため、窓カバーのヒンジ軸は、タンク蓋の一方の長辺に近づけて配置されている。このため、窓カバーの最大開放時、窓カバーをタンク蓋の上面に載置して支えることはできない。最大開放状態とされた窓カバーは、鉛直方向の直立状態から開放側に幾分倒された状態(水平面に対して傾いた状態)で、ヒンジ軸に近い根元部分のみで支持されるようになっている。
【0007】
このような液剤タンクは、例えば、以下のような問題がある。
・小窓からの液剤補充を行う場合、開いた窓カバーが邪魔となり補充作業を行いにくくなる場合がある。
・窓カバーの最大開放状態が直立状態に近い状態だと、液剤補充中に窓カバーが倒れて閉まってしまう恐れがある。
・ヒンジ軸に近い根元部分のみで窓カバーが支持されている状態では、窓カバーに手などが当たって外力が作用すると、ヒンジ軸が折れるなどして窓カバーが破損する恐れがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、小窓からの液剤補充が行いやすく、窓カバーも破損しにくい液剤タンクおよび洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である液剤タンクは、液剤の自動投入機能を有する洗濯機に用いられる液剤タンクであって、当該液剤タンクの上面に形成された開口部となる小窓と、前記小窓を開閉可能に覆う窓カバーとを備えており、前記窓カバーは、当該液剤タンクの上面に対してヒンジ軸を介して取り付けられ、前記小窓を閉じる状態から前記ヒンジ軸周りに水平面に対して平行な状態となる最大開放状態まで回動可能であり、当該液剤タンクの上面には、前記ヒンジ軸に対する前記小窓の反対側に、最大開放状態の前記窓カバーを載置するための座面が設けられていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、窓カバーを水平面に対して平行な状態となるまで開くことで、小窓から液剤の補充を行う際に何れの方向からも補充作業が行いやすくなる。また、開いた窓カバーを、液剤タンクの上面の座面に載置した状態で保持できるため、開いた状態の窓カバーに外力が作用しにくくなり、窓カバーに荷重がかかって破損が生じることも防止できる。
【0011】
また、上記液剤タンクでは、当該液剤タンクの上面は、長手方向および短手方向を有する略矩形形状を有しており、前記ヒンジ軸は、当該液剤タンクの上面の短手方向に沿って配置されている構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、ヒンジ軸を液剤タンクの上面の短手方向に沿うように配置することで、小窓および窓カバーを液剤タンクの短手方向のほぼ全体に形成することが可能となり、小窓の開口領域を大きくとることが容易となる。
【0013】
また、上記液剤タンクでは、前記ヒンジ軸は、当該液剤タンクの上面の長手方向における中央付近に配置されている構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、ヒンジ軸を液剤タンクの上面の長手方向における中央付近に配置することで、小窓の開口領域を大きくとりながらも、開いた窓カバーを載置させる座面を設けることができる。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である洗濯機は、上記記載の液剤タンクを着脱自在に備えることを特徴としている。
【0016】
また、上記洗濯機は、前記液剤タンクを収納するタンク収納領域を開閉可能に覆うパネルカバーを備えており、前記液剤タンクの前記窓カバーには、前記窓カバーが開いた状態で上向きに突出する第1凸部が設けられており、前記窓カバーが開いた状態で前記パネルカバーを閉じると、前記パネルカバーに前記第1凸部が干渉する構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、窓カバーが開いた状態でパネルカバーを閉じようとしても、パネルカバーに第1凸部が干渉(当接)し、パネルカバーを完全に閉じることができなくなる。これにより、ユーザは、洗剤タンクにおいて窓カバーが開いた状態であることを認識でき、ユーザによる窓カバーの閉め忘れを抑制することができる。
【0018】
また、上記洗濯機は、前記液剤タンクを収納するタンク収納領域を開閉可能に覆うパネルカバーを備えており、前記窓カバーの裏面には、前記窓カバーが開いた状態で上向きに突出する第1凸部が設けられ、かつ、前記第1凸部の反対側は第1凹部となっており、前記パネルカバーの裏面には、前記液剤タンクにおける前記小窓と対向する位置に設けられた第2凸部と、前記窓カバーが開かれているときに前記第1凸部と対向する位置に設けられた第2凹部とが形成されており、前記小窓の周囲には、パッキンが設けられており、前記窓カバーを閉じ、かつ、前記パネルカバーを閉じた状態では、前記第1凸部が前記パッキンの内側に嵌まり込み、かつ、前記第2凸部が前記第1凹部に嵌まり込み、前記窓カバーが開かれ、かつ、前記パネルカバーを閉じた状態では、前記第2凸部が前記パッキンの内側に嵌まり込む構成とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、窓カバーの閉め忘れが無ければ、第1凸部がパッキンの内側に嵌まり込むことで小窓の気密性が保たれ、液体洗剤の揮発が防止できる。一方、窓カバーの閉め忘れがある場合でも、パネルカバーの第2凸部がパッキンの内側に嵌まり込むことで小窓の気密性が保たれ、液体洗剤の揮発が防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の液剤タンクおよび洗濯機は、窓カバーを水平面に対して平行な状態となるまで開くことができ、かつ、開いた窓カバーを液剤タンクの上面の座面に載置した状態で保持することで、液剤タンクにおける小窓からの液剤補充が行いやすく、窓カバーも破損しにくくなるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】洗濯機の上部付近の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る洗濯機において、洗剤タンクの小窓を開いた状態を示す部分斜視図である。
【
図4】比較のために示した洗濯機において、洗剤タンクの小窓を開いた状態を示す部分斜視図である。
【
図5】実施の形態2に係る洗濯機において、洗剤タンクおよびパネルカバーの構成を示す模式図である。
【
図6】実施の形態3に係る洗濯機において、洗剤タンクおよびパネルカバーの構成を示す模式図であり、窓カバーが閉じられた状態を示している。
【
図7】実施の形態3に係る洗濯機において、洗剤タンクおよびパネルカバーの構成を示す模式図であり、窓カバーが開かれた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態1に係る洗濯機(以下、本洗濯機)の上部付近の構成を示す斜視図である。尚、本洗濯機の外部筐体は、
図1に示される上面板10と下部筐体とに分割されて構成されている。下部筐体には内部に洗濯槽などが配置されるが、この部分は公知の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0023】
上面板10には、本洗濯機の上面を覆う(すなわち、洗濯物投入口を覆う)上蓋11が設けられている。上蓋11は、後端側(洗濯機背面側)でヒンジ軸を介して上面板10と接続されており、上蓋11の前端側を上下方向に回動させるようにして開閉可能となっている。
【0024】
上蓋11の後方にはパネルカバー12が設けられており、パネルカバー12を開くことで、液剤タンクである洗剤タンク20および柔軟剤タンク21の上面が露出するようになっている。すなわち、パネルカバー12は、本洗濯機における液剤タンクの収納領域(タンク収納領域)を開閉可能に覆うものである。パネルカバー12は、上蓋11と同様に、後端側でヒンジ軸を介して上面板10と接続されており、パネルカバー12の前端側を上下方向に回動させるようにして開閉可能となっている。洗剤タンク20および柔軟剤タンク21は、パネルカバー12を開いた状態で本洗濯機に対して着脱可能とされており、本洗濯機から外した状態で液剤の補充が可能とされている。
【0025】
本洗濯機において洗剤タンク20および柔軟剤タンク21を収納するタンク収納領域は、本洗濯機の幅方向の全幅に亘っており形成されており、洗剤タンク20および柔軟剤タンク21はタンク収納領域において横並びに配置される。そして、洗剤タンク20および柔軟剤タンク21は前後方向に短い横長の形状とされており、タンク収納領域も本洗濯機の前後方向における寸法を小さくすることができる。このため、タンク収納領域の後方にさらに給水ホースの接続部などを設けても、洗濯機全体としての前後方向の寸法増大を抑制できる。
【0026】
また、洗剤タンク20および柔軟剤タンク21は、幅方向の寸法を大きくすることで十分な液剤容量が確保されており、奥行き寸法を短くするだけでなく、高さ方向の寸法が大きくなることも抑制されている。これにより、洗剤タンク20および柔軟剤タンク21を本洗濯機から着脱する際に、ユーザによる抜き差しが行いやすくなっている。
【0027】
図2は、液剤タンクの一例である洗剤タンク20の分解斜視図である。洗剤タンク20は、上述したように幅方向の寸法が奥行き方向の寸法に比べて十分に長くされており(幅方向が長手方向とされており)、前後方向に短い横長の略直方体形状とされている。すなわち、洗剤タンク20の上面は、長手方向および短手方向を有する略矩形形状を有している。尚、ここでの説明では、洗剤タンク20の寸法方向は、本洗濯機に収納された状態における本洗濯機の各方向と一致させている。また、柔軟剤タンク21の形状も、洗剤タンク20の形状とほぼ同じ(この例では、略左右対称)である。さらに、以下に説明する洗剤タンク20の構造は、柔軟剤タンク21においても同様に適用されている。
【0028】
図2に示すように、洗剤タンク20は、タンク本体201とタンク蓋202とによって構成されている。洗剤タンク20を本洗濯機から取り外して液体洗剤の補充を行う場合は、タンク蓋202を外して補充作業を行うことが好適である。
【0029】
一方、タンク蓋202(すなわち、洗剤タンク20の上面)には、開口部となる小窓203が設けられ、小窓203を開閉可能に覆う窓カバー204も設けられている。洗剤タンク20は、窓カバー204を開くことで、洗濯機から取り外すことなく、小窓203から液体洗剤を補充することができる。また、窓カバー204を閉じれば、洗剤タンク20内の液体洗剤の揮発が防止される。
【0030】
小窓203の内側には、洗剤タンク20における満量を示すための規制板203aが設けられていてもよい。規制板203aは、小窓203の内側において水平方向に突出する平板状に設けられており、小窓203から液体洗剤を補充する場合には、液面が規制板203aを超えないようにすればよい。このような規制板203aは、液体洗剤の満量を内壁面の規制線にて示す場合に比べ、液面との上下関係が見やすくなり、液体洗剤が満量を超えて補充されることを抑制できる。
【0031】
窓カバー204は、タンク蓋202に対して1つの辺204aがヒンジ軸を介して取り付けられており、ヒンジ軸を有する辺204aは、タンク蓋202の短手方向に沿うように配置されている(すなわち、窓カバー204のヒンジ軸がタンク蓋202の短手方向に沿って配置されている)。また、辺204aは、タンク蓋202の長手方向における中央付近に配置されている。
【0032】
辺204aをタンク蓋202の短手方向に沿うように配置することで、小窓203および窓カバー204は、タンク蓋202の短手方向のほぼ全体に形成することが可能となり、小窓203の開口領域を大きくとることが容易となる。また、辺204aをタンク蓋202の長手方向における中央付近に配置することで、小窓203の開口領域を大きくとりながらも、窓カバー204を閉じた状態から180°回動させて開き、最大開放状態の窓カバー204をタンク蓋202の上面に載置させた状態(水平面に対して平行な状態)とすることができる。すなわち、タンク蓋202の上面には、ヒンジ軸に対して小窓203と反対側において、最大開放状態の窓カバー204を載置するための座面が設けられている。
【0033】
図3は、本洗濯機において、洗剤タンク20の小窓203を開いた状態を示す部分斜視図である。
図4は、比較のために示した洗濯機において、洗剤タンク20の小窓203を開いた状態を示す部分斜視図である。
【0034】
図4に示す比較例では、従来の洗濯機と同様、小窓203を開くために窓カバー204を最大開放とするとき、窓カバー204は、閉じた状態から90°以上180°未満の角度でしか回動されず、水平面に対して傾いた状態でヒンジ軸に近い根元部分のみで支持されている。この場合、小窓203に対して詰め替え用のパウチ容器(図中、二点鎖線で記載)などから液体洗剤の補充を行おうとしても、傾いた状態で立っている窓カバー204が邪魔となり、補充作業を行いにくくなる場合がある。
図4の例では、小窓203の右側からの補充作業が行いにくい。また、傾いた状態で立っている窓カバー204に誤って触れると、窓カバー204が倒れて小窓203を塞いだり、窓カバー204のヒンジ軸に荷重がかかって破損が生じたりする恐れがある。
【0035】
これに対し、
図3に示す本洗濯機では、窓カバー204は、閉じた状態から180°の角度で回動させ、水平面に対して平行な状態となるまで開くことができる。このため、小窓203から液体洗剤の補充を行う際に、何れの方向からでも補充作業が行いやすく、窓カバー204が倒れて小窓203を塞くこともない。また、開いた窓カバー204を、タンク蓋202上の座面に載置した状態で保持できるため、窓カバー204のヒンジ軸に荷重がかかって破損が生じることも防止できる。
【0036】
〔実施の形態2〕
実施の形態1で説明した液剤タンク(洗剤タンク20を例示)は、窓カバー204を閉じた状態から180°の角度で回動させ、水平面に対して平行な状態となるまで開くことができることを特徴としている。一方、このような液剤タンクを備える本洗濯機では、液剤タンクの窓カバー204を閉め忘れた状態でパネルカバー12を閉じてしまうと、液剤の揮発が起こりうる。本実施の形態2では、このような課題を防止できる洗濯機の構成案について説明する。
【0037】
図5は、本実施の形態2に係る洗濯機において、洗剤タンク20およびパネルカバー12の構成を示す模式図である。
図5に示すように、本洗濯機の洗剤タンク20では、窓カバー204の裏面において凸部(第1凸部)204bが設けられている。また、凸部204bの反対側(窓カバー204の表面側)は凹部(第1凹部)204cとなっている。
【0038】
洗剤タンク20において、窓カバー204が開いた状態では凸部204bが上向きに突出する。本洗濯機では、この状態でパネルカバー12を閉じようとすれば、パネルカバー12に凸部204bが干渉(当接)し、パネルカバー12を完全に閉じることができなくなる。パネルカバー12が完全に閉まらなければ、ユーザは、洗剤タンク20において窓カバー204が開いた状態であることを認識できる。これにより、ユーザによる窓カバー204の閉め忘れを抑制することができる。
【0039】
〔実施の形態3〕
本実施の形態3では、実施の形態2と同様の課題を防止できる洗濯機の別構成案について説明する。
図6および
図7は、本実施の形態3に係る洗濯機において、洗剤タンク20およびパネルカバー12の構成を示す模式図であり、
図6は窓カバー204が閉じられた状態、
図7は窓カバー204が開かれた状態を示している。
【0040】
図6および
図7に示すように、本洗濯機において、洗剤タンク20の構成は実施の形態2と同じであり、窓カバー204の裏面において凸部204bが設けられ、凸部204bの反対側(窓カバー204の表面側)は凹部204cとなっている。一方、パネルカバー12の裏面には、凸部(第2凸部)12aと凹部(第2凹部)12bとが形成されている。
【0041】
凸部12aは、洗剤タンク20における小窓203と対向する位置に設けられている。凹部12bは、洗剤タンク20において窓カバー204が開かれているときに、凸部204bと対向する位置に設けられている。また、小窓203の周囲には、パッキン205が設けられている。
【0042】
図6は、洗剤タンク20における窓カバー204を閉じ、かつ、パネルカバー12を閉じた状態を示している。このように窓カバー204が閉じられれば、当然ながら、液体洗剤の揮発が防止できる。このとき、窓カバー204の凸部204bがパッキン205の内側に嵌まり込むことで小窓203の気密性が保たれる。また、パネルカバー12の凸部12aが窓カバー204の凹部204cに嵌まり込むことで、パネルカバー12は、窓カバー204の干渉を受けることなく完全に閉じることが可能となる。
【0043】
図7は、洗剤タンク20における窓カバー204が開かれ、かつ、パネルカバー12を閉じた状態を示している。この場合は、パネルカバー12の凸部12aがパッキン205の内側に嵌まり込むことで小窓203の気密性が保たれ、液体洗剤の揮発が防止できる。尚、パッキン205は、その弾性変形により、窓カバー204の凸部204bおよびパネルカバー12の凸部12aの何れに対して気密性を発揮することができる。また、窓カバー204が開かれた状態でパネルカバー12を閉じた場合でも、凸部204bと対向する位置には凹部12bが設けられているため、パネルカバー12は、窓カバー204の干渉を受けることなく完全に閉じることが可能となる。
【0044】
このように、本洗濯機では、洗剤タンク20において窓カバー204の閉め忘れがあっても、パネルカバー12の凸部12aによって小窓203の気密性を保つことができ、液体洗剤の揮発を防止することができる。
【0045】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10 上面板
11 上蓋
12 パネルカバー
12a 凸部(第2凸部)
12b 凹部(第2凹部)
20 洗剤タンク(液剤タンク)
201 タンク本体
202 タンク蓋
203 小窓
204 窓カバー
204a 辺
204b 凸部(第1凸部)
204c 凹部(第1凹部)
205 パッキン
21 柔軟剤タンク(液剤タンク)