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特許7549539表示装置、表示制御方法および表示制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】表示装置、表示制御方法および表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/407 20060101AFI20240904BHJP
   G06T 5/92 20240101ALI20240904BHJP
   H04N 5/202 20230101ALI20240904BHJP
【FI】
H04N1/407 740
G06T5/92
H04N5/202
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021009146
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2021184589
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2020089980
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴志
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-072650(JP,A)
【文献】特開2011-172264(JP,A)
【文献】特開2006-093753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/40- 1/409
H04N 5/20- 5/208
G06T 5/00- 5/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像の輝度である入力輝度に対する出力画像の輝度である出力輝度を表すガンマカーブを決定する点となる、前記入力輝度の低輝度領域にある第1基準点、前記入力輝度の高輝度領域にある第2基準点、および前記第1基準点と前記第2基準点との間にある第3基準点のそれぞれに対応する前記入力輝度を取得する入力輝度取得部と、
前記第1基準点の入力輝度に基づき前記第1基準点の出力輝度を演算し、前記第2基準点の入力輝度に基づき前記第2基準点の出力輝度を演算し、さらに、前記第1基準点の入力輝度と出力輝度、前記第2基準点の入力輝度と出力輝度、および前記入力画像に応じたゲインに基づき、前記第1基準点と前記第3基準点とを結ぶ直線の傾きが前記第3基準点と前記第2基準点とを結ぶ直線の傾きと異なるように前記第3基準点の出力輝度を演算する出力輝度演算部と、
前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度によって決定された前記ガンマカーブに基づいて、前記入力画像の前記入力輝度を前記出力輝度に変換することにより前記出力画像を出力する輝度変換部と、を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度に基づいて前記ガンマカーブを作成するガンマカーブ作成部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記出力輝度演算部は、前記入力画像の平均輝度に応じて、前記第3基準点の前記出力輝度を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記出力輝度演算部は、前記入力画像の最小輝度または当該最小輝度に近似する近似最小輝度と、前記第1基準点の前記入力輝度との差に応じて、前記第1基準点の前記出力輝度を演算することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記出力輝度演算部は、前記入力画像の最大輝度または当該最大輝度に近似する近似最大輝度と、前記第2基準点の前記入力輝度との差に応じて、前記第2基準点の前記出力輝度を演算することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記入力画像の前記入力輝度が特定の範囲に分布するか否かを判定する画像判定部をさらに備え、
前記出力輝度演算部は、前記画像判定部によって、前記入力画像の前記入力輝度が特定の範囲に分布すると判定された前記入力画像について、前記入力画像の前記入力輝度と、前記入力輝度と対応する前記出力輝度との比が一定となるように前記出力輝度を演算することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記画像判定部は、前記入力輝度のヒストグラムにおいて、最大から多くとも所定の順位までの度数を有する階級の度数の総和の、全階級の度数の総和に対する割合が所定の割合以上となるときに、前記入力画像が特定の範囲に分布する前記入力輝度を有すると判定することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の表示装置としてコンピュータを機能させるための表示制御プログラムであって、前記入力輝度取得部、前記出力輝度演算部および前記輝度変換部としてコンピュータを機能させるための表示制御プログラム。
【請求項9】
入力画像の輝度である入力輝度に対する出力画像の輝度である出力輝度を表すガンマカーブを決定する点となる、前記入力輝度の低輝度領域にある第1基準点、前記入力輝度の高輝度領域にある第2基準点、および前記第1基準点と前記第2基準点との間にある第3基準点のそれぞれに対応する前記入力輝度を取得する入力輝度取得ステップと、
前記第1基準点の入力輝度に基づき前記第1基準点の出力輝度を演算し、前記第2基準点の入力輝度に基づき前記第2基準点の出力輝度を演算し、さらに、前記第1基準点の入力輝度と出力輝度、前記第2基準点の入力輝度と出力輝度、および前記入力画像に応じたゲインに基づき、前記第1基準点と前記第3基準点とを結ぶ直線の傾きが前記第3基準点と前記第2基準点とを結ぶ直線の傾きと異なるように前記第3基準点の出力輝度を演算する出力輝度演算ステップと、
前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度によって決定された前記ガンマカーブに基づいて、前記入力画像の前記入力輝度を前記出力輝度に変換することにより前記出力画像を出力する輝度変換ステップと、を含んでいることを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示制御方法および表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力画像に対してガンマカーブを用いて輝度補正処理を行う画像処理装置が、従来技術として知られている。例えば、特許文献1には、補正区間内の黒側区間・白側区間それぞれの輝度ヒストグラムの総数に応じて最適なガンマカーブを生成する画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-017200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術では、例えば、入力画像における黒付近の任意の区間のコントラストを向上させるためのガンマカーブを作成する一方、入力画像における白付近の任意の区間のコントラストを向上させるためのガンマカーブを作成する。しかしながら、当該従来技術では、中輝度領域のガンマカーブを入力画像によって決めることができない。このため、輝度の分布が中輝度領域に多く見られる一般的な入力画像に対して中輝度領域の輝度を制御できないという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、画像における中輝度領域の輝度を制御することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、入力画像の輝度である入力輝度に対する出力画像の輝度である出力輝度を表すガンマカーブを決定する点となる、前記入力輝度の低輝度領域にある第1基準点、前記入力輝度の高輝度領域にある第2基準点、および前記第1基準点と前記第2基準点との間にある第3基準点のそれぞれに対応する前記入力輝度を取得する入力輝度取得部と、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点の前記入力輝度に対するそれぞれの前記出力輝度を、前記第1基準点と前記第3基準点とを結ぶ直線の傾きが前記第3基準点と前記第2基準点とを結ぶ直線の傾きと異なるように生成する出力輝度生成部と、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度によって決定された前記ガンマカーブに基づいて、前記入力画像の前記入力輝度を前記出力輝度に変換することにより前記出力画像を出力する輝度変換部と、を備えている。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示制御方法は、入力画像の輝度である入力輝度に対する出力画像の輝度である出力輝度を表すガンマカーブを決定する点となる、前記入力輝度の低輝度領域にある第1基準点、前記入力輝度の高輝度領域にある第2基準点、および前記第1基準点と前記第2基準点との間にある第3基準点のそれぞれに対応する前記入力輝度を取得する入力輝度取得ステップと、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点の前記入力輝度に対するそれぞれの前記出力輝度を、前記第1基準点と前記第3基準点とを結ぶ直線の傾きが前記第3基準点と前記第2基準点とを結ぶ直線の傾きと異なるように生成する出力輝度生成ステップと、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度によって決定された前記ガンマカーブに基づいて、前記入力画像の前記入力輝度を前記出力輝度に変換することにより前記出力画像を出力する輝度変換ステップと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、画像における中輝度領域の輝度を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】上記表示装置のコントラスト調整部によるガンマカーブの作成の手順を示すフローチャートである。
図3】上記コントラスト調整部のヒストグラム作成部によって作成されたヒストグラムの一例を示す図である。
図4】上記コントラスト調整部の入力輝度取得部、リミッタ処理部および出力輝度演算部が行う処理を示す図である。
図5】上記コントラスト調整部の出力輝度演算部が低輝度領域の出力輝度の演算に用いられるゲインを計算するための2つの入力輝度の差とゲインとの関係を示す図である。
図6】上記出力輝度演算部が高輝度領域の出力輝度の演算に用いられるゲインを計算するための2つの入力輝度の差とゲインとの関係を示す図である。
図7】上記出力輝度演算部が中輝度領域の出力輝度の演算に用いられるゲインを計算するための入力画像の平均輝度とゲインとの関係を示す図である。
図8】本発明の実施形態2に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図9図8に示す表示装置のコントラスト調整部によるガンマカーブの作成の手順を示すフローチャートである。
図10】特殊パターンを有する入力画像の入力輝度のヒストグラムの一例を示す図である。
図11】特殊パターンを有する他の入力画像の入力輝度のヒストグラムの一例を示す図である。
図12】特殊パターンを有する入力画像に対して作成されたガンマカーブの一例を示す図である。
図13】本発明の実施形態1に係る表示装置のガンマカーブ作成部によって作成されたガンマカーブの一例を示す図である。
図14】上記ガンマカーブ作成部によって作成された、各基準点を結ぶ曲線の一例を示す図である。
図15】上記ガンマカーブ作成部によって作成された、第1基準点、第3基準点および第2基準点を結ぶ曲線の形状の4つのパターンを示す図である。
図16】上記ガンマカーブ作成部によって作成された、第1基準点、第3基準点および第2基準点を結ぶ曲線の形状の4つのパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について図1図7に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0011】
図1は、実施形態1に係る表示装置101の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、表示装置101は、入力処理部1と、コントラスト調整部2と、出力処理部3と、表示パネル4とを備えている。
【0013】
表示装置101には、入力画像(入力画像信号)として、RGB信号が入力される。入力処理部1は、まず、RGB信号をYUV信号に変換する。ここで、YUV信号は、輝度信号(Y信号)と色差信号(U信号およびV信号)との組み合わせで色情報を表す信号である。入力処理部1は、YUV信号から輝度信号と色差信号とを分離する。輝度信号および色差信号は、コントラスト調整部2に入力される。
【0014】
コントラスト調整部2は、輝度信号のコントラストを、輝度信号すなわち入力輝度のヒストグラムなどに基づいて調整する。コントラスト調整部2については、後に詳しく説明する。
【0015】
出力処理部3は、コントラスト調整部2から出力される輝度信号および色差信号に対して、表示パネル4が表示しうる形式に整えるための各種の処理を行う。出力処理部3は、主に、コントラスト調整部2からの輝度信号および色差信号を合成して、YUV信号を得た後、当該YUV信号をRGB信号に変換する処理を行う。また、出力処理部3は、RGB信号に対して、当該RGB信号が入力される表示パネル4に適したホワイトバランスの調整を行う。
【0016】
表示パネル4は、出力処理部3から出力されるRGB信号に基づいて、画像を表示する。表示パネル4は、液晶表示パネル、有機EL(Electroluminescence)パネルなどによって構成される。
【0017】
続いて、コントラスト調整部2について、詳細に説明する。
【0018】
コントラスト調整部2は、入力画像のコントラストを調整するために、輝度解析部7と、ガンマ処理部8と、ゲイン処理部9とを有している。
【0019】
輝度解析部7は、輝度解析部7に入力される輝度信号(入力輝度)を解析することにより、各種の解析情報を取得する。輝度解析部7は、平均輝度取得部71と、最大・最小輝度取得部72と、ヒストグラム作成部73と、入力輝度取得部74とを有している。
【0020】
平均輝度取得部71は、入力輝度の平均を算出することにより、平均輝度(APL:(Average Picture Level)を解析情報として取得する。
【0021】
最大・最小輝度取得部72は、入力輝度から、最大輝度Ymaxおよび最小輝度Yminを解析情報として取得する。
【0022】
ヒストグラム作成部73は、入力輝度に基づいて、入力輝度のヒストグラムを作成する。ヒストグラム作成部73は、例えば、入力輝度が256階調を有する場合、入力輝度を32の階級(BIN)に等分して、各階級の画素数を度数として表す。階級は、この例に限定されず、入力輝度の階調数などに応じて適宜設定される。例えば、階級は、各階調ごとに設定されてもよい。
【0023】
入力輝度取得部74は、後述するガンマカーブが通る、第1基準点、第2基準点、および第1基準点と第2基準点との間にある第3基準点のそれぞれに対応する入力輝度を取得する。
【0024】
ここで、ガンマカーブは、入力画像の輝度である入力輝度に対する出力画像の輝度である出力輝度をX-Y座標系で表す曲線である。ガンマカーブのX軸の値は入力輝度であり、ガンマカーブのY軸の値は出力輝度である。ガンマカーブは、少なくとも、第1基準点、第2基準点、第3基準点、第4基準点および第5基準点を含む複数の点を通る曲線である。
【0025】
第1基準点は、低輝度領域にある点である。第2基準点は、高輝度領域にある点である。第3基準点は、第1基準点と第2基準点との間の中輝度領域にある点である。第4基準点は、入力画像の最小輝度Yminまたは当該最小輝度Yminに近似する近似最小輝度に対応する点である。第5基準点は、入力画像の最大輝度Ymaxまたは当該最大輝度Ymaxに近似する近似最大輝度に対応する点である。
【0026】
入力輝度取得部74は、ヒストグラム作成部73によって作成されたヒストグラムに基づいて、ガンマカーブを決定する主要点のそれぞれに対応する入力輝度を演算することにより、当該入力輝度を取得する。主要点は、少なくとも、入力輝度の低輝度領域にある第1基準点、入力輝度の高輝度領域にある第2基準点、および第1基準点と第2基準点との間にある第3基準点を含んでいる。
【0027】
具体的には、入力輝度取得部74は、ヒストグラムの全てのBINの度数の総和に対する各BINの比率を最低のBINから順次加算していき、低輝度領域を規定する低輝度比率を超えたBINの度数などを含む所定の式を用いて第1基準点の入力輝度を演算する。また、入力輝度取得部74は、ヒストグラムの全てのBINの度数の総和に対する各BINの比率を最高のBINから順次加算していき、高輝度領域を規定する高輝度比率を超えたBINの度数などを含む所定の式を用いて第2基準点の入力輝度を演算する。また、入力輝度取得部74は、演算した第1基準点および第2基準点のそれぞれの入力輝度に基づいて、第3基準点の出力輝度を演算する。
【0028】
なお、入力輝度取得部74は、入力輝度1x,2xを演算することによって取得している。これに対し、入力輝度取得部74は、外部から入力される固定的な入力輝度1x,2xを取得してもよい。あるいは、入力輝度取得部74は、サーバなどによって演算されて表示装置101に入力される入力輝度1x,2xを取得してもよい。
【0029】
あるいは、入力輝度取得部74は、入力輝度1x,2x,3xを演算することに特化された入力輝度演算部として機能してもよい。
【0030】
ガンマ処理部8は、輝度解析部7から出力される解析情報に基づいてガンマカーブを作成し、入力輝度を当該ガンマカーブにしたがった輝度特性を有する出力輝度に変換する。ガンマ処理部8は、このような一連の処理を行うために、リミッタ処理部82と、出力輝度演算部83(出力輝度生成部)と、ガンマカーブ作成部84と、輝度変換部85とを有している。
【0031】
リミッタ処理部82は、第1~第5基準点の入力輝度に対して、次のようにリミッタ処理を行う。リミッタ処理部82は、第1基準点の入力輝度と第4基準点の入力輝度とを、必要に応じて、それぞれに設定された上限値を超えない値に置換する。リミッタ処理部82は、第2基準点の入力輝度と第5基準点の入力輝度を、必要に応じて、それぞれに設定された上限値を超えない値に置換する。リミッタ処理部82は、第3基準点の入力輝度を、必要に応じて、所定範囲を超えない値に置換する。
【0032】
出力輝度演算部83は、リミッタ処理部82による上記のリミッタ処理が施された第4基準点の入力輝度と、リミッタ処理が施された第1基準点の入力輝度との差に応じて、第1基準点の出力輝度を演算することにより生成する。出力輝度演算部83は、リミッタ処理が施された第5基準点の入力輝度と、リミッタ処理が施された第2基準点の入力輝度との差に応じて、第2基準点の出力輝度を演算することにより生成する。出力輝度演算部83は、平均輝度取得部71によって取得された入力画像の平均輝度に応じて、前記第3基準点の前記出力輝度を演算することにより生成する。
【0033】
ガンマカーブ作成部84は、入力輝度取得部74によって演算された、第1~第5基準点の入力輝度と、出力輝度演算部83によって演算された、第1~第5基準点の出力輝度とで特定される第1~第5基準点を通るガンマカーブを作成する。
【0034】
輝度変換部85は、上記のガンマカーブに基づく輝度特性となるように、入力処理部1から出力される輝度信号を変換する。
【0035】
ゲイン処理部9は、輝度変換部85による輝度信号の変換に合わせてUV信号の色味を調整する。具体的には、ゲイン処理部9は、ガンマカーブにしたがって輝度信号の変動分に応じたゲインをUV信号に乗じる。
【0036】
以上のように構成される表示装置101のコントラスト調整部2によるコントラスト調整の動作(表示制御方法)について説明する。
【0037】
図2は、コントラスト調整部2によるガンマカーブの作成の手順を示すフローチャートである。図3は、ヒストグラム作成部73によって作成されたヒストグラムの一例を示す図である。図4は、入力輝度取得部74、リミッタ処理部82および出力輝度演算部83が行う処理を示す図である。図5は、出力輝度演算部83が低輝度領域の出力輝度の演算に用いられるゲインを計算するための2つの入力輝度の差とゲインとの関係を示す図である。図6は、出力輝度演算部83が高輝度領域の出力輝度の演算に用いられるゲインを計算するための2つの入力輝度の差とゲインとの関係を示す図である。図7は、出力輝度演算部83が中輝度領域の出力輝度の演算に用いられるゲインを計算するための入力画像の平均輝度とゲインとの関係を示す図である。図13は、ガンマカーブ作成部84によって作成されたガンマカーブの一例を示す図である。図14は、ガンマカーブ作成部によって作成された、各基準点を結ぶ曲線の一例を示す図である。図15および図16は、それぞれ、ガンマカーブ作成部によって作成された、第1基準点、第3基準点および第2基準点を結ぶ曲線の形状の4つのパターンを示す図である。
【0038】
まず、ヒストグラム作成部73は、図3に示すように、入力輝度のヒストグラムを作成する。図2に示すように、入力輝度取得部74は、ヒストグラム作成部73により作成されたヒストグラムから、ヒストグラムのBINごとの比率を算出する(ステップS1)。
【0039】
入力輝度取得部74は、BINごとの比率の算出を例えば次のようにして行う。ここでは、入力輝度が256階調を有し、ヒストグラムにおいて入力輝度が32のBIN0~BIN31に分類される場合について説明する。ヒストグラムにおいて、各BINの度数は、画素数によって表される。
【0040】
この場合、各BINの階調の範囲(階調範囲)および各BINの輝度の最高値(最高輝度値)は、表1に示すように設定される。また、入力輝度取得部74は、ある入力画像について、上述した各BINの比率(BIN比率)を表1に示すように算出する。また、上述した低輝度比率Brateは2.0%に設定され、上述した高輝度比率Wrateは1.0%に設定されている。
【0041】
【表1】
【0042】
このような条件の下、入力輝度取得部74は、第1基準点の入力輝度(ガンマカーブのX軸の値)1xと、第2基準点の入力輝度2xとを演算する(ステップS2,入力輝度取得ステップ)。まず、入力輝度取得部74は、各BIN比率を、最低のBINから順次加算していき、BIN0からBIN4までのBIN比率の合計である2.3%が低輝度比率Brate(2.0%)を超えたところでBIN比率の加算を停止する。一方、入力輝度取得部74は、各BIN比率を、最高のBINから順次加算していき、BIN31からBIN27までのBIN比率の合計である1.4%が高輝度比率Wrate(1.0%)を超えたところでBIN比率の加算を停止する。
【0043】
また、入力輝度取得部74は、図4に示す、第1基準点の入力輝度1xと、第2基準点の入力輝度2xとを、次の式に基づいて算出する。
【0044】
1x=HYbin3+(HYbin4-HYbin3)*(Brate-SRrate0~3)/Rbin4
=31+(39-31)*(2.0-(1.0+0.6))/0.7
=35.57
上式において、HYbin3はBIN3の最高輝度値を表し、HYbin4はBIN4の最高輝度値を表している。また、上式において、SRrate0~3はBIN0からBIN3までのBIN比率の合計を表し、Rbin4はBIN4のBIN比率を表している。
【0045】
2x=HYbin27+(HYbin27-HYbin26)*(Wrate-SRrate31~28)/Rbin27
=223-(223-215)*(1.0-(0.6+0.3))/0.5
=221.4
上式において、HYbin27はBIN27の最高輝度値を表し、HYbin26はBIN26の最高輝度値を表している。また、上式において、SRrate31~28はBIN31からBIN28までのBIN比率の合計を表し、Rbin27はBIN27のBIN比率を表している。
【0046】
また、入力輝度取得部74は、入力輝度1x,2xに基づいて、入力輝度3xを算出する(ステップS3,入力輝度取得ステップ)。入力輝度取得部74は、例えば、入力輝度1x,2xの平均を計算することにより、入力輝度3xを算出する。あるいは、入力輝度取得部74は、入力輝度1x(低域側)または入力輝度2x(高域側)に重み付けをした比率として入力輝度3xを算出してもよい。例えば、1x:2x=1:2の重み付けをした場合、入力輝度取得部74は、次式のようにして入力輝度3xを算出する。
【0047】
3x=(1*1x+2*2x)/1+2
なお、入力輝度4xとして上述の近似最小輝度を用いる場合、入力輝度取得部74は、ヒストグラムから近似最大輝度を取得してもよい。具体的には、入力輝度取得部74は、度数が存在する最低のBINにおけるいずれかの輝度(例えば表1に示すBIN2の最高輝度値“23”)を近似最小輝度として取得する。
【0048】
また、入力輝度5xとして上述の近似最大輝度を用いる場合、入力輝度取得部74は、ヒストグラムから近似最大輝度を取得してもよい。具体的には、入力輝度取得部74は、度数が存在する最高のBINにおけるいずれかの輝度(例えば表1に示すBIN29の最高輝度値“239”)を近似最小輝度として取得する。
【0049】
リミッタ処理部82は、第1~第5基準点のそれぞれの入力輝度1x~5xに対してリミッタ処理を行う(ステップS4)。リミッタ処理部82は、図4に示すように、予め設定され、かつ外部から供給されるリミット値Lim1~Lim6をX軸に設定する。
【0050】
リミット値Lim1は、最小輝度Yminの下限値である。リミット値Lim2は、最小輝度Yminの上限値かつ入力輝度1xの下限値である。リミット値Lim3は、入力輝度1xの上限値かつ入力輝度3xの下限値である。リミット値Lim6は、最大輝度Ymaxの上限値である。リミット値Lim5は、最大輝度Ymaxの下限値かつ入力輝度2xの上限値である。リミット値Lim4は、入力輝度2xの下限値かつ入力輝度3xの上限値である。
【0051】
リミッタ処理部82は、次の7つのケースに応じて入力輝度1x,2x,4x,5xを適宜変更する処理を行う。入力輝度3xは、リミッタ処理部82によって上記の処理が行われることにより、リミット値Lim3,Lim4の範囲内にあるようになる。
【0052】
また、リミッタ処理部82は、最大・最小輝度取得部72から出力される、入力輝度4x(最小輝度Ymin)および入力輝度5x(最大輝度Ymax)を適宜変更する。あるいは、リミッタ処理部82は、入力輝度取得部74から出力される、入力輝度4x(近似最小輝度)および入力輝度5x(近似最大輝度)を適宜変更する。
【0053】
ケース(1):入力輝度1x,2x,4x,5xがともにリミット値Lim3,Lim4の間にある。
【0054】
リミッタ処理部82は、入力輝度4xをリミット値Lim2に変更するとともに、入力輝度1xをリミット値Lim3に変更する。また、リミッタ処理部82は、入力輝度2xをリミット値Lim4に変更するとともに、入力輝度5xをリミット値Lim5に変更する。
【0055】
ケース(2):入力輝度4xがリミット値Lim2,Lim3の間にあり、入力輝度1x,2xがリミット値Lim3,Lim4の間にあり、入力輝度5xがリミット値Lim4,Lim5の間にある。
【0056】
リミッタ処理部82は、ケース(2)と同じに入力輝度1x,2x,4x,5xを変更する。
【0057】
ケース(3):入力輝度1x,4xがともにリミット値Lim2,Lim3の間にあり、入力輝度2x,5xがともにリミット値Lim4,Lim5の間にある。
【0058】
リミッタ処理部82は、入力輝度4xをリミット値Lim2に変更するとともに、入力輝度1xを変更しない。また、リミッタ処理部82は、入力輝度2xを変更せず、入力輝度5xをリミット値Lim5に変更する。
【0059】
ケース(4):入力輝度4xがリミット値Lim2,Lim3の間にあり、入力輝度1xがリミット値Lim3,Lim4の間にあり、入力輝度2xがリミット値Lim4,Lim5の間にあり、入力輝度5xがリミット値Lim5,Lim6の間にある。
【0060】
リミッタ処理部82は、入力輝度1x,2x,4x,5xを変更しない。
【0061】
ケース(5):入力輝度1x,4xがともにリミット値Lim1,Lim2の間にあり、入力輝度2x,5xがともにリミット値Lim5,Lim6の間にある。
【0062】
リミッタ処理部82は、入力輝度4xをリミット値Lim2に変更せず、入力輝度1xをリミット値Lim2に変更する。また、リミッタ処理部82は、入力輝度2xをリミット値Lim5に変更するとともに、入力輝度5xを変更しない。
【0063】
ケース(6):入力輝度4xがリミット値Lim1未満であり、入力輝度1xがリミット値Lim2,Lim3の間にあり、入力輝度2xがリミット値Lim5,Lim6の間にあり、入力輝度5xがリミット値Lim6を超える。
【0064】
リミッタ処理部82は、入力輝度4xをリミット値Lim1に変更するとともに、入力輝度1xをリミット値Lim2に変更する。また、リミッタ処理部82は、入力輝度2xをリミット値Lim5に変更するとともに、入力輝度5xをリミット値Lim6に変更する。
【0065】
ケース(7):入力輝度1x,4xがともにリミット値Lim1未満であり、入力輝度2x,5xがともにリミット値Lim6を超える。
【0066】
リミッタ処理部82は、ケース(6)と同じに入力輝度1x,2x,4x,5xを変更する。
【0067】
ケース(3)~(7)では、入力輝度1x,4xの間隔と、入力輝度2x,5xの間隔とが狭くなりすぎる可能性がある。このため、入力輝度1x,4xの間隔が第1所定値未満となる場合、リミッタ処理部82は、入力輝度1x,4xの間隔を第1所定値に確保するように、入力輝度1x,4xの少なくともいずれか一方を変更する。入力輝度2x,5xの間隔が第2所定値未満となる場合、リミッタ処理部82は、入力輝度2x,5xの間隔を第2所定値に確保するように、入力輝度2x,5xの少なくともいずれか一方を変更する。
【0068】
このようにして、リミッタ処理部82は、入力輝度1x,4xの間隔が近接することを防止し、入力輝度2x,5xの間隔が近接することを防止する。なお、第1所定値と第2所定値とは、等しい値であってもよいし、それぞれで異なる値であってもよい。
【0069】
ステップS4における入力輝度1x~3xへのリミッタ処理の後、出力輝度演算部83は、入力輝度1x~3xにそれぞれ対応する出力輝度1y~3yを演算するのに先立って、出力輝度1y~3yをそれぞれ算出するためのゲインを計算する(ステップS5)。
【0070】
出力輝度演算部83は、入力輝度1xを演算するためのゲインを図5に示す関係に基づいて計算する。図5は、入力輝度Y1に対するゲインG1を表している。
【0071】
ゲインGL1は、入力輝度Y1が小さい所定値Y1aであるときの最小のゲインであり、ゲインGH1は、入力輝度Y1が所定値Y1aより大きい所定値Y1b以上であるときの最大のゲインである。ゲインG1は、所定値Y1a,Y1bの間では、線形に増加し、所定値Y1b以上では、一定のゲインGH1である。
【0072】
入力輝度Y1としてリミッタ処理部82から出力された入力輝度1x,4xが入力されると、出力輝度演算部83は、次式に基づいてゲインG1を計算する。
【0073】
G1=(1x-4x)*(GH1-GL1)/Y1b-Y1a
出力輝度演算部83は、入力輝度2xを演算するためのゲインを図6に示す関係に基づいて計算する。図6は、入力輝度Y2に対するゲインG2を表している。
【0074】
ゲインGL2は、入力輝度Y2が小さい所定値Y2aであるときの最小のゲインであり、ゲインGH2は、入力輝度Y2が所定値Y2aより大きい所定値Y2b以上であるときの最大のゲインである。ゲインG2は、所定値Y2a,Y2bの間では、線形に増加し、所定値Y2b以上では、一定のゲインGH2である。
【0075】
入力輝度Y2としてリミッタ処理部82から出力された入力輝度2x,5xが入力されると、出力輝度演算部83は、次式に基づいてゲインG2を計算する。
【0076】
G2=(5x-2x)*(GH2-GL2)/Y2b-Y2a
出力輝度演算部83は、入力輝度3xを演算するためのゲインを図7に示す関係に基づいて計算する。図7は、平均輝度取得部71から出力される平均輝度(%)に対するゲインG3を表している。入力画像が白画像(白ベタ画像)である場合、平均輝度が100%となる。具体的には、出力輝度演算部83は、図7に示す関係にしたがったテーブルを利用して、平均輝度が入力されると、当該平均輝度に対応するゲインG3を出力する。
【0077】
ゲインGL3は、最小のゲインである。ゲインGH3は、最大のゲインである。ゲインGM3はゲインGL3,GH3の間の任意のゲインである。ゲインG3は、中間値YCから高い側の所定範囲ΔYH(例えば10%)以上の範囲では、ゲインGL3である。ゲインG3は、中間値YCから低い側の所定範囲ΔYL(例えば10%)以下の範囲では、ゲインGM3である。ゲインG3は、所定範囲ΔYLでは、ゲインGM3からGH3まで線形に増加する。ゲインG3は、所定範囲ΔYHでは、ゲインGH3からGL3まで線形に減少する。
【0078】
ステップS5においてゲインG1~G3が計算されると、出力輝度演算部83は、ゲインG1~G3を用いて、出力輝度1y~3yをそれぞれ演算する(ステップS6,出力輝度生成ステップ)。
【0079】
出力輝度演算部83は、ゲインG1を用いて次式に基づいて出力輝度1yを演算する。
【0080】
1y=4x+G1*(1x-4x)
出力輝度演算部83は、ゲインG2を用いて次式に基づいて出力輝度2yを演算する。
【0081】
2y=5x-G2*(5x-2x)
出力輝度演算部83は、ゲインG3を用いて次式に基づいて出力輝度3yを演算する。
【0082】
3y={(2y-1y)/(2x-1x)}*(3x-1x)*G3+1y
また、ステップS4における入力輝度4x,5xへのリミッタ処理の後、出力輝度演算部83は、入力輝度4x,5xにそれぞれ対応する出力輝度4y,5yを演算する(ステップS7)。
【0083】
出力輝度演算部83は、出力輝度4yを入力輝度4xより低い値に設定し、出力輝度5yを入力輝度5xより高い値に設定する。例えば、入力輝度4xが“30”である場合、出力輝度演算部83は、出力輝度4yを“16”に設定する。一方、入力輝度5xが200である場合、出力輝度演算部83は、出力輝度5yを“235”に設定する。これにより、出力画像のコントラストが入力画像よりも拡大する。
【0084】
なお、入力輝度取得部74は、最小輝度Yminの代わりに、上述した近似最小輝度を取得してもよい。また、入力輝度取得部74は、最大輝度Ymaxの代わりに、上述した近似最大輝度を取得してもよい。
【0085】
近似最小輝度を用いる場合、入力輝度取得部74は、近似最小輝度を入力輝度4xに変更する。また、近似最大輝度を用いる場合、入力輝度取得部74は、近似最大輝度を入力輝度5xに変更する。
【0086】
第1~第3基準点の出力輝度1y~3yは、上記のようにしてステップS6において算出される。また、第4,第5基準点の出力輝度4y,5yは、上記のようにしてステップS7においてそれぞれ算出される。出力輝度演算部83は、リミッタ処理部82を経た入力輝度1x~5xと、演算した出力輝度1y~5yとをガンマカーブ作成部84に出力する。
【0087】
ガンマカーブ作成部84は、入力輝度1x~5xおよび出力輝度1y~5yに基づいてガンマカーブを作成する(ステップS8)。ガンマカーブ作成部84は、ガンマカーブの作成において、まず、図13に示すように、入力輝度1x~5xおよび出力輝度1y~5yによってそれぞれ第1~第5基準点を特定する。そして、ガンマカーブ作成部84は、入力輝度および出力輝度の階調が0となる点と第4基準点とを結び、入力輝度の階調が255であり、出力輝度の階調が255より若干低い点と第5基準点とを結び、第1~第5基準点を隣り合うもの同士で結ぶ。ガンマカーブ作成部84が各点を結ぶ順序は、上記の順序に限定されない。以下、ガンマカーブ作成部84の各点の結び方について、図14図16を参照し詳しく説明する。
【0088】
図14は、ガンマカーブ作成部84が各基準点を結ぶ曲線の一例として、第1基準点と第3基準点とを結ぶ2通りの曲線を示している。図14に示すように、ガンマカーブ作成部84は、第1基準点と第3基準点とを結ぶ曲線が、第1、第3基準点からそれぞれ垂直に伸びる直線と、それぞれ水平に伸びる直線とに囲まれた領域内に収まるように、第1基準点と第3基準点とを結ぶ。その他の基準点の結び方についても同様である。
【0089】
X-Y座標系において第3基準点が第1基準点と第2基準点とを結ぶ直線より上側に存在する(中間輝度が強調されている)場合、ガンマカーブ作成部84は、例えば図15に示された曲線15A~15Dのうちいずれかの曲線を作成すればよい。
【0090】
曲線15Aは、出力輝度が第1基準点から第2基準点まで全体的に上昇した曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線15Aを作成することにより、映像全体を明るく表示することができる。
【0091】
曲線15Bは、出力輝度が、第1基準点から第3基準点までの低階調域で上昇し、第3基準点から第2基準までの高階調域で低下する曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線15Bを作成することにより、暗い映像を明るく表示することができる。
【0092】
曲線15Cは、出力輝度が、第1基準点から第3基準点までの低階調域で低下し、第3基準点から第2基準点までの高階調域で上昇する曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線15Cを作成することにより、黒が明瞭であり、かつ高階調が強調された映像を表示することができる。
【0093】
曲線15Dは、出力輝度が、第1基準点から第1基準点と第3基準点との第1中間点まで、および、第2基準点から第2基準点と第3基準点との第2中間点まで低下し、第3基準点から第1中間点および第2中間点の範囲において上昇する曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線15Dを作成することにより、平均輝度を高めた映像を表示することができる。
【0094】
X-Y座標系において第3基準点が第1基準点と第2基準点とを結ぶ直線より下側に存在する(中間輝度が低下している)場合、ガンマカーブ作成部84は、例えば図16に示された曲線16A~16Dのうちいずれかの曲線を作成すればよい。
曲線16Aは、出力輝度が、第1基準点から第1基準点と第3基準点との第3中間点まで、および、第2基準点から第2基準点と第3基準点との第4中間点まで上昇し、第3基準点から第3中間点および第4中間点の範囲において低下した曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線16Aを作成することにより、平均輝度を下げた映像を表示することができる。
【0095】
曲線16Bは、出力輝度が、第1基準点から第3基準点までの低階調域で上昇し、第3基準点から第2基準点までの高階調域で低下した曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線16Bを作成することにより、中間調域の輝度が強調されるので映像のコントラストが弱まる。
【0096】
曲線16Cは、出力輝度が、第1基準点から第3基準点までの低階調域で低下し、第3基準点から第2基準点までの高階調域で上昇する曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線16Cを作成することにより、黒が明瞭である映像を表示することができる。
【0097】
曲線16Dは、出力輝度が、第1基準点から第2基準点まで全体的に低下した曲線である。ガンマカーブ作成部84は曲線16Dを作成することにより、映像全体を暗く表示することができる。
【0098】
コントラスト調整部2において、輝度変換部85は、以上のようにして作成されたガンマカーブに基づく輝度特性となるように、入力される輝度信号を変換する(輝度変換ステップ)。低輝度区間と高輝度区間との間に線形の中輝度区間を有するガンマカーブと比べて、算出されたガンマカーブの中輝度区間では、出力輝度3yが上げられたり下げられたりする。
【0099】
これにより、出力画像の中輝度領域が強調されたり抑制されたりする。したがって、中輝度領域における画素が多い画像の表示において画面全体を明るくすることができる。
【0100】
また、出力輝度演算部83は、入力画像の平均輝度に応じて、出力輝度3yを演算する。これにより、表示装置101がOLED(Organic Light Emitting Diode)を用いた有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである場合、出力画像のピーク輝度の変動を少なくするように第3基準点の出力輝度を定めることができる。これは、OLED(Organic Light Emitting Diode)が、平均輝度が高いほど、ピーク輝度が低下し、平均輝度が低いほど、ピーク輝度が上昇するという傾向があるからである。
【0101】
また、出力輝度演算部83は、入力画像の最小輝度Yminまたは近似最小輝度と、入力輝度1xとの差に応じて、出力輝度1yを演算する。これにより、低輝度側で出力輝度が変化しないという現象(いわゆる黒つぶれ)を回避することができる。
【0102】
また、出力輝度演算部83は、入力画像の最大輝度Ymaxまたは近似最大輝度と、入力輝度2xとの差に応じて、出力輝度2yを演算する。これにより、高輝度側で出力輝度が変化しないという現象(いわゆる白当たり)を回避することができる。
【0103】
以下に、黒つぶれおよび白当たりを回避できる理由について詳しく説明する。
【0104】
特許文献1(段落0033および図7)には、ガンマカーブのゲイン(gain_upper, gain_lower)が、輝度のヒストグラムの総数が多いほど大きくなり、輝度を上げるゲイン(gain_upper)と輝度を上げるゲイン(gam_lower)とが別々の値で設定できることが記載されている。黒区間においてgain_lowerがgain_upperより大きい場合には、合成したgam[X]は沈むカーブとなり(特許文献1の図2)、ゲインの設定によっては低階調側がクリップする、すなわち黒つぶれ(階調性がなくなる)が生じる可能性がある。また、上記の記載から、ゲインの設定によっては高階調側がクリップする、すなわち白当たり(階調性がなくなる)が生じる可能性があることも推測できる。
【0105】
これに対し、表示装置101では、黒側の画素数が多い入力画像について、入力輝度1x,4xの間隔が広くなる。これにより、ゲインG1すなわち第1基準点と第4基準点とを結ぶ直線の傾きが大きくなる。それゆえ、当該直線の傾きがリニアなガンマカーブに近づく。したがって、黒つぶれは生じない。
【0106】
同様に、表示装置101では、白側の画素数が多い入力画像について、入力輝度2x,5xの間隔が広くなる。これにより、ゲインG2すなわち第2基準点と第5基準点とを結ぶ直線の傾きが大きくなる。それゆえ、当該直線の傾きがリニアなガンマカーブに近づく。したがって、白当たりは生じない。
【0107】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図8図12に基づいて以下のとおり説明する。なお、実施形態2において、実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0108】
図8は、実施形態2に係る表示装置102の構成を示すブロック図である。
【0109】
図8に示すように、表示装置102は、実施形態1の表示装置101と同じく、入力処理部1と、出力処理部3と、表示パネル4とを備えている。また、表示装置102は、表示装置101のコントラスト調整部2に代えて、コントラスト調整部2Aを備えている。コントラスト調整部2Aは、輝度解析部7Aと、ガンマ処理部8Aとを有している。
【0110】
輝度解析部7Aは、コントラスト調整部2の輝度解析部7と同じく、平均輝度取得部71と、最大・最小輝度取得部72と、ヒストグラム作成部73と、入力輝度取得部74とを有している。また、輝度解析部7Aは、画像判定部75を有している。
【0111】
画像判定部75は、入力画像の入力輝度が特定の範囲に分布するか否かを、例えば、ヒストグラム作成部73によって作成された入力輝度のヒストグラムに基づいて判定する。画像判定部75には、ヒストグラムにおいて、最大から多くとも所定の順位までの度数を有するBINの度数の総和の、全てのBINの度数の総和に対する割合が所定の割合以上となるときに、入力画像の入力輝度が特定の範囲に分布すると判定する。
【0112】
また、表示装置102において、ガンマ処理部8Aは、コントラスト調整部2のガンマ処理部8と同じく、リミッタ処理部82と、ガンマカーブ作成部84と、輝度変換部85とを有している。また、ガンマ処理部8Aは、ガンマ処理部8の出力輝度演算部83に代えて、出力輝度演算部83Aを有している。
【0113】
出力輝度演算部83Aは、ガンマ処理部8の出力輝度演算部83と同様の、出力輝度を演算する機能を有する。また、出力輝度演算部83Aは、画像判定部75によって、入力画像の入力輝度が特定の範囲に分布すると判定された入力画像について、当該入力画像の入力輝度と、当該入力輝度と対応する出力輝度との比が一定となるように出力輝度を演算する。
【0114】
以上のように構成される表示装置102のコントラスト調整部2Aによるコントラスト調整の動作について説明する。以降の説明では、特定の範囲に分布する入力輝度を有する入力画像を、特殊パターンを有する入力画像と称する。
【0115】
図9は、コントラスト調整部2Aによるガンマカーブの作成の手順を示すフローチャートである。図10は、特殊パターンを有する入力画像の入力輝度のヒストグラムの一例を示す図である。図11は、特殊パターンを有する他の入力画像の入力輝度のヒストグラムの一例を示す図である。図11は、コントラスト調整部2Aによって特殊パターンを有する入力画像に対して作成されたガンマカーブの一例を示す図である。
【0116】
図9に示すように、まず、画像判定部75は、ヒストグラム作成部73によって作成された入力輝度のヒストグラムに基づいて、入力画像が特殊パターンを有するか否かを判定する(ステップS11)。画像判定部75は、ヒストグラムにおける最大から多くとも所定の順位までの度数を有するBINの度数の総和の、全てのBINの度数の総和に対する割合が所定の割合(例えば99.5%)以上となるときに、入力画像が特殊パターンを有すると判定する。上記の所定の順位は、例えば第3位とすることができるが、この順位に限定されることはない。
【0117】
ヒストグラムにおける最大の度数を有する入力画像としては、全画面が単一色のベタパターンが挙げられる。例えば、青一色のベタパターンを有する入力画像のヒストグラムは、図10に示すように、BIN3の度数が100%となる。
【0118】
ヒストグラムにおける第2位の度数を有する入力画像としては、2色で構成される、ウインドウパターン、ブロックチェックパターンなどが挙げられる。例えば、黒の背景の中央に白い矩形領域を有するウインドウパターンを有する入力画像のヒストグラムは、図11に示すように、BIN2の度数が96%となり、BIN29の度数が4%となる。
【0119】
ヒストグラムにおける第3位の度数を有する入力画像としては、3色で構成されるウインドウパターンなどが挙げられる。
【0120】
ステップS11において、画像判定部75によって、入力画像が特殊パターンを有すると判定されなかった場合(NO)、入力輝度取得部74および出力輝度演算部83Aは、それぞれ、第1~第5基準点の入力輝度および出力輝度を算出する(ステップS12)。ステップS12において、入力輝度取得部74および出力輝度演算部83Aは、表示装置101において入力輝度取得部74および出力輝度演算部83がそれぞれ通常の処理として行う入力輝度および出力輝度の演算と同様の演算を行う。
【0121】
ステップS11において、画像判定部75によって、入力画像が特殊パターンを有すると判定された場合(YES)、出力輝度演算部83Aは、入力輝度と対応する出力輝度との比が一定となるように第1~第5基準点の出力輝度を演算する(ステップS13)。
【0122】
ステップS12またはステップS13を経ることによって、第1~第5基準点のそれぞれの入力輝度および出力輝度が確定すると、ガンマカーブ作成部84は、それらの入力輝度および出力輝度を通るガンマカーブを作成する(ステップS14)。図12に示すように、作成されたガンマカーブは線形をなしている。
【0123】
以上のように、表示装置102によれば、特殊パターンを有する入力画像に対して線形のガンマカーブが作成され、広い輝度領域に入力輝度が分布する入力画像に対して中輝度領域の特性が線形な特性に対して変更されたガンマカーブが作成される。これにより、コントラストを向上させる必要のない特殊パターンを有する入力画像に対して、ガンマカーブが線形な特性に調整される。それゆえ、当該入力画像について、コントラストを向上させる処理を行わないようにすることができる。したがって、コントラストを向上させる必要がある入力画像に対してのみガンマカーブを調整することにより、コントラストを向上させることができる。
【0124】
また、画像判定部75は、ヒストグラムに基づいて、入力画像が特殊パターンを有すると判定する。これにより、ヒストグラムの度数が多いBINに基づいて、入力輝度が特定の範囲に分布する、特殊パターンを有する入力画像を検出することができる。
【0125】
なお、実施形態2では、画像判定部75が、ヒストグラムに基づいて、入力画像が特殊パターンを有すると判定する例について説明した。これに限らず、例えば、入力画像のデータに特殊パターンであることを示すフラグが埋め込まれている場合、画像判定部75は、そのフラグに基づいて、入力画像が特殊パターンを有すると判定してもよい。
【0126】
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示装置101,102の制御ブロック(特にコントラスト調整部2,2A)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0127】
前者の場合、コントラスト調整部2,2Aは、規定の演算処理を行うため、当該演算処理を行うようにロジック回路で組まれた専用のASIC(Application Specific IC)によって構成されてもよい。また、コントラスト調整部2,2Aは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)のようにメモリ要素を組み込むことができるプログラミングが可能なPLD(Programmable Logic Device)によって構成されてもよい。
【0128】
後者の場合、表示装置101,102は、各機能を実現するソフトウェアである表示制御プログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えているとともに、表示制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
【0129】
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プロセッサは、例えば、DSP(Digital Signal Processor)のようなデジタル信号処理を高速で行うことができるプロセッサであってもよい。
【0130】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。
【0131】
なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0132】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示装置は、入力画像の輝度である入力輝度に対する出力画像の輝度である出力輝度を表すガンマカーブを決定する点となる、前記入力輝度の低輝度領域にある第1基準点、前記入力輝度の高輝度領域にある第2基準点、および前記第1基準点と前記第2基準点との間にある第3基準点のそれぞれに対応する前記入力輝度を取得する入力輝度取得部と、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点の前記入力輝度に対するそれぞれの前記出力輝度を、前記第1基準点と前記第3基準点とを結ぶ直線の傾きが前記第3基準点と前記第2基準点とを結ぶ直線の傾きと異なるように生成する出力輝度生成部と、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度によって決定された前記ガンマカーブに基づいて、前記入力画像の前記入力輝度を前記出力輝度に変換することにより前記出力画像を出力する輝度変換部と、を備えている。
【0133】
上記の構成によれば、低輝度領域にある第1基準点と、高輝度領域にある第2基準点との間の中輝度領域に第3基準点が定まる。また、第1基準点と第3基準点とを結ぶ直線の傾きが、第3基準点と第2基準点とを結ぶ直線の傾きと異なる。これにより、第1基準点と第2基準点とを結ぶ直線に対して、第3基準点の出力輝度を上昇させたり低下させたりすることができる。したがって、中輝度の特性を制御することが可能になる。
【0134】
本発明の態様2に係る表示装置は、上記態様1において、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度に基づいて前記ガンマカーブを作成するガンマカーブ作成部をさらに備えていてもよい。
【0135】
上記の構成によれば、第1基準点と第3基準点との間、および、第2基準点と第3基準点との間で、それぞれ所望の形状を成す曲線を有するガンマカーブを作成することができる。
【0136】
本発明の態様3に係る表示装置は、上記態様1または2において、前記出力輝度生成部が、前記入力画像の平均輝度に応じて、前記第3基準点の前記出力輝度を生成してもよい。
【0137】
上記の構成によれば、入力画像の平均輝度に応じて、出力画像を表示する表示部の特性に適した第3基準点の出力輝度を決定することができる。例えば、OLEDは、平均輝度が高いほど、ピーク輝度が低下し、平均輝度が低いほど、ピーク輝度が上昇するという傾向がある。このため、表示装置がOLEDを用いた有機ELディスプレイである場合、出力画像のピーク輝度の変動を少なくするように第3基準点の出力輝度を定めることができる。
【0138】
本発明の態様4に係る表示装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記出力輝度生成部は、前記入力画像の最小輝度または当該最小輝度に近似する近似最小輝度と、前記第1基準点の前記入力輝度との差に応じて、前記第1基準点の前記出力輝度を生成してもよい。
【0139】
上記の構成によれば、第1基準点の入力輝度と最小輝度または近似最小輝度との差に応じて第1基準点の出力輝度が定まる。これにより、低輝度側で出力輝度が変化しないという現象を回避することができる。
【0140】
本発明の態様5に係る表示装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記出力輝度生成部が、前記入力画像の最大輝度または当該最大輝度に近似する近似最大輝度と、前記第2基準点の前記入力輝度との差に応じて、前記第2基準点の前記出力輝度を生成してもよい。
【0141】
上記の構成によれば、第2基準点の入力輝度と第5基準点の入力輝度との差に応じて第2基準点の出力輝度が定まる。これにより、高輝度側で出力輝度が変化しないという現象を回避することができる。
【0142】
本発明の態様6に係る表示装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記入力画像の前記入力輝度が特定の範囲に分布するか否かを判定する画像判定部をさらに備え、前記出力輝度生成部が、前記画像判定部によって、前記入力画像の前記入力輝度が特定の範囲に分布すると判定された前記入力画像について、前記入力画像の前記入力輝度と、前記入力輝度と対応する前記出力輝度との比が一定となるように前記出力輝度を生成してもよい。
【0143】
上記の構成によれば、コントラストを向上させる必要のない上述した特殊パターンを有する入力画像のガンマカーブは、線形な特性に調整される。これにより、当該入力画像について、コントラストを向上させる処理を行わないようにすることができる。それゆえ、コントラストを向上させる必要がある入力画像に対してのみガンマカーブを調整することにより、コントラストを向上させることができる。
【0144】
本発明の態様7に係る表示装置は、上記態様6において、前記画像判定部は、前記入力輝度のヒストグラムにおいて、最大から多くとも所定の順位までの度数を有する階級の度数の総和の、全階級の度数の総和に対する割合が所定の割合以上となるときに、前記入力画像が特定の範囲に分布する前記入力輝度を有すると判定してもよい。
【0145】
上記の構成によれば、ヒストグラムの度数が多い階級に基づいて、入力輝度が特定の範囲に分布する、特殊パターンを有する入力画像を検出することができる。
【0146】
本発明の態様8に係る表示制御方法は、入力画像の輝度である入力輝度に対する出力画像の輝度である出力輝度を表すガンマカーブを決定する点となる、前記入力輝度の低輝度領域にある第1基準点、前記入力輝度の高輝度領域にある第2基準点、および前記第1基準点と前記第2基準点との間にある第3基準点のそれぞれに対応する前記入力輝度を取得する入力輝度取得ステップと、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度に対するそれぞれの前記出力輝度を、前記第1基準点と前記第3基準点とを結ぶ直線の傾きが前記第3基準点と前記第2基準点とを結ぶ直線の傾きと異なるように生成する出力輝度生成ステップと、前記第1基準点、前記第2基準点および前記第3基準点のそれぞれの前記入力輝度および前記出力輝度によって決定された前記ガンマカーブに基づいて、前記入力画像の前記入力輝度を前記出力輝度に変換することにより前記出力画像を出力する輝度変換ステップと、を含んでいる。
【0147】
本発明の各態様に係る表示装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合には、コンピュータを上記表示装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させる。これにより、上記表示装置をコンピュータにて実現させる表示装置の表示制御プログラムも、本発明の範疇に入る。
【0148】
〔付記事項〕
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0149】
74 入力輝度取得部
75 画像判定部
83 出力輝度演算部(出力輝度生成部)
84 ガンマカーブ作成部
85 輝度変換部
101,102 表示装置
1x~5x 入力輝度
1y~5y 出力輝度
図1
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