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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】電子回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240904BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20240904BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20240904BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/48 F
H02M3/00 Z
H02M7/493
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021025594
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127439
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩史
(72)【発明者】
【氏名】青木 康明
(72)【発明者】
【氏名】木村 光徳
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-115158(JP,A)
【文献】特開2017-175747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1状態(F,C)と第2状態(D,B)とに切り替わるレグ(U1,V1,W1,U2,V2,W2,L1~L4)を複数有し、
各前記レグは、前記第1状態の時の方が、前記第2状態の時よりも発熱量が大きくなる半導体の第1素子(Sp)と、前記第1状態の時よりも前記第2状態の時の方が、発熱量が大きくなる半導体の第2素子(Sn)と、の各素子を有する、
電子回路(40,140)において、
各前記レグがそれぞれ第1条件及び第2条件のうちの少なくともいずれか一方を満たすように、各前記レグの各前記素子が配置されており、
各前記レグにとっての前記第1条件は、当該レグの前記第1素子に、当該レグの前記第2素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第2素子であるという条件であり、
各前記レグにとっての前記第2条件は、当該レグの前記第2素子に、当該レグの前記第1素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第1素子であるという条件であり、
前記電子回路は、直流電源(10)と複数相のコイル(53u,53v,53w)との間で電力変換を行うインバータ回路(40)であって、
前記レグは、各前記コイルの第1端(u1,v1,w1)と第2端(u2,v2,w2)との各端に対してそれぞれ1つずつ存在し、
各前記素子として、前記第1素子としての第1スイッチ(Sp)と前記第2素子としての第2スイッチ(Sn)との各スイッチが存在し、
各前記レグは、自身に対応する前記コイルの端を、前記第1スイッチを介して前記直流電源の一方の電極に電気的に接続すると共に、前記第2スイッチを介して前記直流電源の他方の電極に電気的に接続しており、
各前記レグにおいて、前記第1状態は、前記第1スイッチがON固定状態(Fon)にされ且つ前記第2スイッチがOFF固定状態(Foff)にされるスイッチ固定状態(F)であり、前記第2状態は、前記スイッチがデューティ制御されるデューティ制御状態(D)であり、
各前記レグにとっての前記第1条件は、さらに、当該レグの前記第1スイッチに、当該レグの第2スイッチ以外で最も隣接する前記スイッチは、当該レグ以外の前記レグの前記第2スイッチのうちの、最も長く前記OFF固定状態の期間が当該第1スイッチの前記ON固定状態の期間と重なる前記第2スイッチであるという条件を含み、
各前記レグにとっての前記第2条件は、さらに、当該レグの前記第2スイッチに、当該レグの第1スイッチ以外で最も隣接する前記スイッチは、当該レグ以外の前記レグの前記第1スイッチのうちの、最も長く前記ON固定状態の期間が当該第2スイッチの前記OFF固定状態の期間と重なる前記第1スイッチであるという条件を含む、
電子回路。
【請求項2】
前記複数相のコイルは、3相のコイルであって、
各前記コイルの前記第1端には、3つの前記レグを有する第1部(401)が電気的に接続されており、各前記コイルの前記第2端には、前記第1部の3つの前記レグとは別の3つの前記レグを有する第2部(402)が電気的に接続されており、
各前記レグにおいて、前記3相のうちの当該レグが対応する相を当該レグの対応相とし、前記第1部及び前記第2部のうちの当該レグが属する方を当該レグの所属部として、
各前記レグにとっての前記第1条件は、さらに、当該レグの前記第1スイッチに、当該レグの前記第2スイッチ以外で最も隣接する前記スイッチは、当該レグとは前記対応相も前記所属部も異なる前記レグの前記第2スイッチであるという条件を含み、
各前記レグにとっての前記第2条件は、さらに、当該レグの前記第2スイッチに、当該レグの前記第1スイッチ以外で最も隣接する前記スイッチは、当該レグとは前記対応相も前記所属部も異なる前記レグの前記第1スイッチであるという条件を含む、
請求項に記載の電子回路。
【請求項3】
前記複数相のコイルは、3相のコイルであって、
各前記レグにとっての前記第1条件は、さらに、当該レグの前記第1スイッチに、当該レグの前記第2スイッチ以外で最も隣接する前記スイッチは、前記OFF固定状態の期間が当該第1スイッチの前記ON固定状態の期間とその3分の2の長さの期間の間重なる前記第2スイッチであるという条件を含み、
各前記レグにとっての前記第2条件は、さらに、当該レグの前記第2スイッチに、当該レグの前記第1スイッチ以外で最も隣接する前記スイッチは、前記ON固定状態の期間が当該第2スイッチの前記OFF固定状態の期間とその3分の2の長さの期間の間重なる前記第1スイッチであるという条件を含む、
請求項又はに記載の電子回路。
【請求項4】
第1状態(F,C)と第2状態(D,B)とに切り替わるレグ(U1,V1,W1,U2,V2,W2,L1~L4)を複数有し、
各前記レグは、前記第1状態の時の方が、前記第2状態の時よりも発熱量が大きくなる半導体の第1素子(Sp)と、前記第1状態の時よりも前記第2状態の時の方が、発熱量が大きくなる半導体の第2素子(Sn)と、の各素子を有する、
電子回路(40,140)において、
各前記レグがそれぞれ第1条件及び第2条件のうちの少なくともいずれか一方を満たすように、各前記レグの各前記素子が配置されており、
各前記レグにとっての前記第1条件は、当該レグの前記第1素子に、当該レグの前記第2素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第2素子であるという条件であり、
各前記レグにとっての前記第2条件は、当該レグの前記第2素子に、当該レグの前記第1素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第1素子であるという条件であり、
前記電子回路は、直流電源(10)の電圧を昇圧して入出力端子(41p,49n)から出力すると共に、前記入出力端子に電圧が入力されると前記直流電源を充電する昇圧回路(140)であって、
各前記素子として、前記第1素子としての第1スイッチ(Sp)と前記第2素子としての第2スイッチ(Sn)との各スイッチが存在し、
前記直流電源の正極にはリアクトルの一端が電気的に接続されており、
各前記レグ(L1~L4)は、前記リアクトルの他端を、前記第1スイッチを介して正極側の前記入出力端子(41p)に電気的に接続すると共に、当該リアクトルの他端を、前記第2スイッチを介して前記直流電源の負極及び負極側の前記入出力端子(49n)に電気的に接続しており、
各前記レグにおいて、前記第1状態は、前記第1スイッチがONとOFFとに切り替えられ又はONに固定され、前記第2スイッチがOFFに固定される充電用状態(C)であり、前記第2状態は、前記第1スイッチがOFFに固定され、前記第2スイッチがONとOFFとに切り替えられる昇圧用状態(B)である
子回路。
【請求項5】
各前記素子は、ベースプレート(30)に搭載されており、前記ベースプレートの厚さ方向にみた平面視で、複数の各前記レグが、所定部(O)を中心とする周方向に並んでいる、請求項1~のいずれか1項に記載の電子回路。
【請求項6】
各前記レグ内において、前記第1素子及び前記第2素子が、前記所定部を中心とする径方向に並んでいる、請求項に記載の電子回路。
【請求項7】
第1状態(F,C)と第2状態(D,B)とに切り替わるレグ(U1,V1,W1,U2,V2,W2,L1~L4)を複数有し、
各前記レグは、前記第1状態の時の方が、前記第2状態の時よりも発熱量が大きくなる半導体の第1素子(Sp)と、前記第1状態の時よりも前記第2状態の時の方が、発熱量が大きくなる半導体の第2素子(Sn)と、の各素子を有する、
電子回路(40,140)において、
各前記レグがそれぞれ第1条件及び第2条件のうちの少なくともいずれか一方を満たすように、各前記レグの各前記素子が配置されており、
各前記レグにとっての前記第1条件は、当該レグの前記第1素子に、当該レグの前記第2素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第2素子であるという条件であり、
各前記レグにとっての前記第2条件は、当該レグの前記第2素子に、当該レグの前記第1素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第1素子であるという条件であり、
各前記素子は、ベースプレート(30)に搭載されており、前記ベースプレートの厚さ方向にみた平面視で、複数の各前記レグが、所定部(O)を中心とする周方向に並んでおり、
各前記レグ内において、前記第1素子及び前記第2素子が、前記所定部を中心とする径方向に並んでいる、
電子回路。
【請求項8】
各前記レグ内において、前記第1素子及び前記第2素子が、前記周方向に並んでいる、請求項5~7のいずれか1項に記載の電子回路。
【請求項9】
複数の各前記レグは、前記所定部を中心とする径方向に複数列で、前記周方向に並んでいる請求項のいずれか1項に記載の電子回路。
【請求項10】
第1状態(F,C)と第2状態(D,B)とに切り替わるレグ(U1,V1,W1,U2,V2,W2,L1~L4)を複数有し、
各前記レグは、前記第1状態の時の方が、前記第2状態の時よりも発熱量が大きくなる半導体の第1素子(Sp)と、前記第1状態の時よりも前記第2状態の時の方が、発熱量が大きくなる半導体の第2素子(Sn)と、の各素子を有する、
電子回路(40,140)において、
各前記レグがそれぞれ第1条件及び第2条件のうちの少なくともいずれか一方を満たすように、各前記レグの各前記素子が配置されており、
各前記レグにとっての前記第1条件は、当該レグの前記第1素子に、当該レグの前記第2素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第2素子であるという条件であり、
各前記レグにとっての前記第2条件は、当該レグの前記第2素子に、当該レグの前記第1素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第1素子であるという条件であり、
各前記素子は、ベースプレート(30)に搭載されており、前記ベースプレートの厚さ方向にみた平面視で、複数の各前記レグが、所定部(O)を中心とする周方向に並んでおり、
複数の各前記レグは、前記所定部を中心とする径方向に複数列で、前記周方向に並んでいる、
電子回路。
【請求項11】
各前記素子は、ベースプレート(30)に搭載されており、前記ベースプレートの厚さ方向にみた平面視で、複数の各前記レグが、所定方向である横方向に並んでおり、各前記レグ内において、前記第1素子及び前記第2素子が、前記横方向に直交する方向である縦方向に並んでいる、請求項1~のいずれか1項に記載の電子回路。
【請求項12】
第1状態(F,C)と第2状態(D,B)とに切り替わるレグ(U1,V1,W1,U2,V2,W2,L1~L4)を複数有し、
各前記レグは、前記第1状態の時の方が、前記第2状態の時よりも発熱量が大きくなる半導体の第1素子(Sp)と、前記第1状態の時よりも前記第2状態の時の方が、発熱量が大きくなる半導体の第2素子(Sn)と、の各素子を有する、
電子回路(40,140)において、
各前記レグがそれぞれ第1条件及び第2条件のうちの少なくともいずれか一方を満たすように、各前記レグの各前記素子が配置されており、
各前記レグにとっての前記第1条件は、当該レグの前記第1素子に、当該レグの前記第2素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第2素子であるという条件であり、
各前記レグにとっての前記第2条件は、当該レグの前記第2素子に、当該レグの前記第1素子以外で最も隣接する前記素子は、当該レグ以外の前記レグの前記第1素子であるという条件であり、
各前記素子は、ベースプレート(30)に搭載されており、前記ベースプレートの厚さ方向にみた平面視で、複数の各前記レグが、所定方向である横方向に並んでおり、各前記レグ内において、前記第1素子及び前記第2素子が、前記横方向に直交する方向である縦方向に並んでいる、
電子回路。
【請求項13】
複数の各前記レグが、前記縦方向に複数列で、前記横方向に並んでいる請求項11又は12に記載の電子回路。
【請求項14】
各前記レグにとっての前記第1条件は、さらに、当該レグの前記第1素子に、最も並びに2番目及び3番目に隣接する3つの前記素子のうちの1つは、当該レグの第2素子であるという条件を含み、
各前記レグにとっての前記第2条件は、さらに、当該レグの前記第2素子に、最も並びに2番目及び3番目に隣接する3つの前記素子のうちの1つは、当該レグの第1素子であるという条件を含む、
請求項1~13のいずれか1項に記載の電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を備える電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路の中には、例えばインバータ回路のように、直流電源と3相コイルとの間で電力変換を行うものがある。その3相コイルの中には、3相の各コイルがスター結線やデルタ結線されていないオープン巻線のものがある。そのオープン巻線の3相コイルに対するインバータ回路としては、次のように構成されたものがある。
【0003】
すなわち、インバータ回路は、3相の各コイルの両側の各端に対応する計6つのレグを有する。それら6つの各レグは、自身に対応するコイルの端を、半導体の上スイッチを介して直流電源の正極に電気的に接続すると共に、半導体の下スイッチを介して直流電源の負極に電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-175747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のインバータの各レグでは、例えば、上スイッチがON固定状態にされ且つ下スイッチがOFF固定状態にされるスイッチ固定状態と、上下の各スイッチがデューティ制御されるデューティ制御状態とに交互に切り替えられる。この場合、各レグにおいて、上スイッチは、スイッチ固定状態の時、つまりON固定状態の時の方が、デューティ制御状態の時よりも、電流が多く流れることにより発熱量が大きくなる。他方、下スイッチは、スイッチ固定状態の時、つまりOFF固定状態の時よりも、デューティ制御状態の時の方が、電流が多く流れることにより発熱量が大きくなる。
【0006】
このような場合において、例えば単純に、各レグを、横方向に並べると共に、各レグ内において、上スイッチを縦方向一方寄りに、下スイッチを縦方向他方寄りにそれぞれ配置した場合には、次に示す問題が発生し得る。すなわち、同時期や近い時期に発熱量が大きくなるスイッチどうしが隣接配置されて、インバータ回路内において、温度の偏りができてしまう。そのため、最も高温となるスイッチがその耐熱限界温度に達し易くなってしまう。
【0007】
なお、以上ではインバータ回路(フルブリッジ回路)を例に説明したが、同様の課題は、例えばダイオードブリッジ回路や昇圧回路等のその他の電子回路においても、複数の半導体の素子を備えるレグを複数有する場合に、発生し得る。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電子回路内における温度の偏りを抑えて、最も高温となるスイッチをその耐熱限界温度に達し難くすることを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子回路は、第1状態と第2状態とに切り替わるレグを複数有する。各前記レグは、前記第1状態の時の方が、前記第2状態の時よりも発熱量が大きくなる半導体の第1素子と、前記第1状態の時よりも前記第2状態の時の方が、発熱量が大きくなる半導体の第2素子と、の各素子を有する。
【0010】
以上の電子回路において、各前記レグがそれぞれ第1条件及び第2条件のうちの少なくともいずれか一方を満たすように、各前記レグの各前記素子が配置されている。各前記レグにとっての前記第1条件は、当該レグの前記第1素子に、当該レグの前記第2素子以外で最も隣接する前記素子が、当該レグとは異なる前記レグの前記第2素子であるという条件である。各前記レグにとっての前記第2条件は、当該レグの前記第2素子に、当該レグの前記第1素子以外で最も隣接する前記素子が、当該レグとは異なる前記レグの前記第1素子であるという条件である。
【0011】
本発明によれば、各レグにおいて、当該レグの第1素子に最も隣接する他のレグの素子が第2素子であるという第1条件、及び当該レグの第2素子に最も隣接する他のレグの素子が第1素子であるという第2条件のうちの少なくとも一方を満たす。そして、第1素子は、第1状態の時の方が、第2状態の時よりも発熱量が大きくなり、第2素子は、第1状態の時のよりも第2状態の時の方が、発熱量が大きくなる。そのため、電子回路内における温度の偏りを抑えて、最も高温となるスイッチを、その耐熱限界温度に達し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態のインバータ回路の周辺を示す正面断面図
図2】インバータ回路及びステータの回路図
図3】各レグの制御時における所定の瞬間を示す回路図
図4】各レグの制御を示すタイムチャート
図5】各スイッチの配置を示す平面図
図6図4に示すタイムチャートを、図5に示す配置に合わせて並び替えたもの
図7】第2実施形態において、各スイッチの配置を示す平面図
図8】第3実施形態において、各スイッチの配置を示す平面図
図9】第4実施形態において、各スイッチの配置を示す平面図
図10図4に示すタイムチャートを、図9に示す配置に合わせて並び替えたもの
図11】第5実施形態において、各スイッチの配置を示す平面図
図12】第6実施形態の昇圧回路の回路図
図13】各レグが充電用状態の時の昇圧回路を示す回路図
図14】各レグが昇圧用状態の時の昇圧回路を示す回路図
図15】各スイッチの配置を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のインバータ回路40の周辺を示す正面断面図である。インバータ回路40は、例えば自動車等のモビリティのホイール60を回転させるインホイールモータ50に対して適用されている。インホイールモータ50は、ロータ57とステータ52とを有する。ロータ57は、ホイール60に接続されており、ホイール60及びタイヤ65と共に回転する。ステータ52には、インバータ回路40から交流電力が供給される。インバータ回路40に対しては、放熱フィン25を備えた空冷式の放熱器20が取り付けられている。
【0015】
図2は、インバータ回路40及びステータ52の回路図である。ステータ52は、U相コイル53uとV相コイル53vとW相コイル53wとからなる3相コイル53を有する。3相コイル53は、ロータ57が有する永久磁石(図示略)に作用してロータ57を回転させる。
【0016】
以下では、U相,V相,W相の各コイル53u,53v,53wの一端を、「第1端u1,v1,w1」といい、U相,V相,W相の各コイル53u,53v,53wの他端を、「第2端u2,v2,w2」という。そして、U相,V相,W相の各コイルの第1端u1,v1,w1及び第2端u2,v2,w2の各端を、「コイル端u1,v1,w1,u2,v2,w2」という。また以下では、「電気的に接続」されていることを、単に「接続」されているという。
【0017】
3相コイル53は、オープン巻線であって、6つの各コイル端u1,v1,w1,u2,v2,w2には、それぞれ別々の接続配線45に接続されている。
【0018】
インバータ回路40は、リチウムイオン電池等の直流電源10と3相コイル53との間で電力変換を行う。具体的には、インバータ回路40は、直流電源10の正極に接続されている正極側配線41と、直流電源10の負極に接続されている負極側配線49とを有する。正極側配線41と負極側配線49とは、平滑コンデンサ46を介して互いに接続されている。
【0019】
さらにインバータ回路40は、次の第1部401及び第2部402を有する。第1部401は、各コイルの第1端u1,v1,w1に対して、それぞれ別々のレグU1,V1,W1を有し、第2部402は、各コイルの第2端u2,v2,w2に対して、それぞれ別々のレグU2,V2,W2を有する。
【0020】
以下では、これら計6つのレグU1,V1,W1,U2,V2,W2を「レグU1~W2」といい、これら6つのレグU1~W2からレグU1を除く5つのレグV1,W1,U2,V2,W2を「レグV1~W2」という。また以下では、6つの各レグV1~W2において、U相,V相,W相のうちの当該レグが対応する相を当該レグの「対応相」といい、第1部401及び第2部402のうちの当該レグが属する方を当該レグの「所属部」という。
【0021】
つまり、6つのレグU1~W2は、対応相が「U相」で所属部が「第1部401」であるU相第1のレグU1と、対応相が「V相」で所属部が「第1部401」であるV相第1のレグV1と、対応相が「W相」で所属部が「第1部401」であるW相第1のレグW1と、対応相が「U相」で所属部が「第2部402」であるU相第2のレグU2と、対応相が「V相」で所属部が「第2部402」であるV相第2のレグV2と、対応相が「W相」で所属部が「第2部402」であるW相第2のレグW2とからなる。
【0022】
各レグU1~W2は、上下のスイッチSp,Snを有する。上下のスイッチSp,Snは、上スイッチSpと下スイッチSnとからなる。よって、インバータ回路40は、計12個のスイッチSp,Snを有する。これら12個の各スイッチSp,Snは、いずれも、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタ(図ではNチャネル型のMOSFET)と、それに逆並列に内蔵又は接続されているダイオードとから構成されている。
【0023】
レグU1は、U相コイル53uの第1端u1を、当該レグU1の上スイッチSpを介して正極側配線41に接続すると共に、当該レグU1の下スイッチSnを介して負極側配線49に接続している。具体的には、U相コイル53uの第1端u1は、レグU1に対応する接続配線45により、レグU1の上スイッチSpの負極側端子(図ではソース端子)と、レグU1の下スイッチSnの正極側端子(図ではドレイン端子)とに、それぞれ接続されている。そして、レグU1の上スイッチSpの正極側端子(図ではドレイン端子)は、正極側配線41に接続されており、レグU1の下スイッチSnの負極側端子(図ではソース端子)は、負極側配線49に接続されている。
【0024】
以上のレグU1についての説明は、レグU1以外の5つの各レグV1~W2の場合においても、「U1」「U相コイル53uの第1端u1」をそれぞれ該当するものに読み替えて同様である。つまり、6つの各レグU1~W2は、自身に対応するコイル端を、自身の上スイッチSpを介して正極側配線41に接続すると共に、自身の下スイッチSnを介して負極側配線49に接続している。
【0025】
各レグU1~W2の上下の各スイッチSn,Spの制御端子(図ではゲート端子)は、当該レグに対応するスイッチ駆動回路(図示略)に接続されている。各スイッチ駆動回路は、ECU(図示略)に接続されている。ECUは、各スイッチ駆動回路の制御により、3相の各コイル53u,53v,53wに、例えば正弦波等の電流が、位相を3分の1波長ずつ互いにずらして流れるように制御する。
【0026】
図3は、ECUによる各レグU1~W2の制御時における所定の瞬間を示す回路図である。ECUは、各レグU1~W2を、それぞれ異なるタイミングで、スイッチ固定状態Fとデューティ制御状態Dとに交互に切り替える。この図3は、レグU1とレグV1とレグW2とがスイッチ固定状態Fであり、レグW1とレグU2とレグV2とがデューティ制御状態Dである瞬間を示している。
【0027】
スイッチ固定状態Fは、上スイッチSpがON固定状態Fonにされ、下スイッチSnがOFF固定状態Foffにされる状態である。ON固定状態Fonは、トランジスタがその正極側端子と負極側端子との間で通電可能に固定される状態であり、OFF固定状態Foffは、トランジスタがその正極側端子と負極側端子との間で通電不能に固定される状態である。なお、この図3では、ON固定状態Fon及びOFF固定状態Foffの視認性のため、それらの状態の各スイッチSp,Snのトランジスタを、模式的に機械式のスイッチの記号で示している。
【0028】
デューティ制御状態Dは、上スイッチSpが上デューティ制御状態Dpであり、下スイッチSnが下デューティ制御状態Dnである状態である。上デューティ制御状態Dpは、上スイッチSpがONとOFFとに、制御された頻度で交互に切り替えられる状態である。下デューティ制御状態Dnは、下スイッチSnがOFFとONとに、制御された頻度で交互に切り替えられる状態であり、具体的には、上スイッチSpがONに切り替えられる時にOFFに切り替えられ、上スイッチSpがOFFに切り替えられる時にONに切り替えられる。デューティ制御自体は公知であるため、その詳細な説明については省略する。
【0029】
この図3に示すように、レグU1がスイッチ固定状態Fの時は、レグU2がデューティ制御状態Dとなる。このとき、U相には、レグU1からレグU2に電流が流れる。他方、図3とは反対に、レグU2がスイッチ固定状態Fの時は、レグU1がデューティ制御状態Dとなる。このとき、U相には、レグU2からレグU1に電流が流れる。
【0030】
以上のU相に関する説明は、V相やW相の場合においても、「U」を「V」や「W」に読み変えると共に、W相の場合においては「図3に示すように」「図3とは反対に」の各方を他方に読み変えて同様である。
【0031】
各レグU1~W2において、上スイッチSpは、スイッチ固定状態Fの時、つまりON固定状態Fonの時の方が、デューティ制御状態Dの時よりも、電流が多く流れることから発熱量が大きくなる。他方、下スイッチSnは、スイッチ固定状態Fの時、つまりOFF固定状態Foffの時よりも、デューティ制御状態Dの時の方が、電流が多く流れることから発熱量が大きくなる。
【0032】
以上より、本実施形態では、スイッチ固定状態Fが「第1状態」に該当し、デューティ制御状態Dが「第2状態」に該当する。そして、上スイッチSpが、第1状態(F:Fon)の時の方が、第2状態(デューティ制御状態D:Dp)の時よりも発熱量が大きい「第1素子」に該当する。そして、下スイッチSnが、第1状態(F:Foff)の時よりも第2状態(デューティ制御状態D:Dn)の時の方が、発熱量が大きい「第2素子」に該当する。
【0033】
図4は、ECUによる各レグU1~W2の制御を示すタイムチャートである。まず、U相の制御について説明する。所定の基準タイミングt0において、レグU1を、それまでのスイッチ固定状態Fからデューティ制御状態Dに切り替えると共に、レグU2を、それまでのデューティ制御状態Dからスイッチ固定状態Fに切り替える。この基準タイミングt0に、U相に流れる電流の向きが、それまでのレグU1からレグU2への方向から、レグU2からレグU1への方向に切り替わる。
【0034】
その基準タイミングt0から電気角で180°経過後の第3タイミングt3において、レグU1を、それまでのデューティ制御状態Dからスイッチ固定状態Fに切り替えると共に、レグU2を、それまでのスイッチ固定状態Fからデューティ制御状態Dに切り替える。この第3タイミングt3に、U相に流れる電流の向きが、それまでのレグU2からレグU1への方向から、レグU1からレグU2への方向に切り替わる。
【0035】
以上のU相の制御に関する説明は、V相の制御の場合においても、「U」「基準タイミングt0」「第3タイミングt3」を、それぞれ「V」「第2タイミングt2」「第5タイミングt5」に読み替えて同様である。なお、第2タイミングt2は、基準タイミングt0から電気角で120°経過後のタイミングである。
【0036】
また、以上のU相の制御に関する説明は、W相の制御の場合においても、「U」「基準タイミングt0」「第3タイミングt3」を、それぞれ「W」「第4タイミングt4」「第1タイミングt1」に読み替えて同様である。なお、第4タイミングt4は、基準タイミングt0から電気角で240°経過後のタイミングである。
【0037】
以上に示した各相の制御の関係上、レグU1の上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t3~t0)は、同じレグU1の下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間(t3~t0)と一致する。他方、当該ON固定状態Fonの期間(t3~t0)は、レグU1とは対応相が同じで所属部が異なるレグU2の下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間(t0~t3)とは全く重ならない。
【0038】
また、当該レグU1の上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t3~t0)は、対応相が異なり所属部が同じのレグV1の下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間(t5~t2)と、3分の1(t5~t0)が重なり、対応相も所属部も異なるレグV2の下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間(t2~t5)と、3分の2(t3~t5)が重なる。
【0039】
また、当該レグU1の上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t3~t0)は、対応相が異なり所属部が同じのレグW1の下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間(t1~t4)と、3分の1(t3~t4)が重なり、対応相も所属部も異なるレグW2の下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間(t4~t1)と、3分の2(t4~t0)が重なる。
【0040】
そのため、当該レグU1の上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t3~t0)に最も長くOFF固定状態Foffの期間が重なるスイッチは、同じレグU1の下スイッチSnである。そして、次に長くOFF固定状態Foffの期間が重なるスイッチは、対応相も所属部も異なるレグV2及びレグW2の各下スイッチSnである。
【0041】
それらのレグU1,V2,W2の各下スイッチSnが、当該レグU1の上スイッチSpに隣接して配置されることが好ましい。上スイッチSpのON固定状態Fonと、それに隣接する下スイッチSnのOFF固定状態Foffとが極力重なることにより、インバータ回路40における温度の偏りが抑えられるからである。
【0042】
以上に示したレグU1の上スイッチSpについての説明は、レグU1以外の5つの各レグV1~W2の各上スイッチSpの場合においても、「U1」「V1」「W1」「U2」「V2」「W2」をそれぞれ該当するものに読み替えると共に、括弧内の期間を該当するものに読み替えて同様である。
【0043】
つまり、各レグU1~W2の上スイッチSpのON固定状態Fonの期間に、最も長くOFF固定状態Foffの期間が重なる下スイッチSnは、同じレグの下スイッチSnである。そして、次に長くOFF固定状態Foffの期間が重なる下スイッチSnは、対応相も所属部も異なるレグの下スイッチSnである。いずれのレグU1~W2の上スイッチSpに対しても、それらの各下スイッチSnが隣接して配置されることが好ましい。
【0044】
以上の各レグU1~W2の上スイッチSpについての説明は、各レグU1~W2の各下スイッチSnの場合においても、「上スイッチSp」「下スイッチSn」の各方を他方に読み替えると共に、「ON固定状態Fon」「OFF固定状態Foff」の各方を他方に読み替えて同様である。以上に示した好ましい配置となるように、6つの各レグU1~W2の上下の各スイッチSp,Snが配置されている。その配置の具体例について、以下に説明する。
【0045】
図5は、各レグU1~W2の各スイッチSp,Snの配置を示す平面図である。インバータ回路40は、アルミなどの例えば筐体兼冷却用のベースプレート30に形成されており、そのベースプレート30に各スイッチSp,Snが搭載されている。以下では、ベースプレート30の厚さ方向に見た平面視を単に「平面視」という。ベースプレート30は、平面視で略八角形の形状をしており、そのベースプレート30に6つの各レグU1~W2の各スイッチSp,Snが、次の配置で搭載されている。すなわち、6つの各レグU1~W2は、ベースプレート30の中心点Oを中心とする同心円上に、周方向に等間隔閣で並べて配置されている。そして、各レグU1~W2の右回り側の隣には、当該レグU1~W2とは対応相も所属部も異なるレグU1~W2が順にくるように配置されている。
【0046】
具体的には、例えば図5に示すように、レグU1の右回り側の隣には、レグU1とは対応相も所属部も異なるレグV2が配置され、そのレグV2の右回り側の隣には、レグV2とは対応相も所属部も異なるレグW1が配置されている。これらにより、6つのレグU1~W2は、右回りに、例えば図4に示すように、レグU1→レグV2→レグW1→レグU2→レグV1→レグW2の順に配置されている。
【0047】
6つの各レグU1~W2内において、上下のスイッチSp,Snは、平面視で、八角形のベースプレート30の中心点Oを中心とする径方向に並べて設けられている。具体的には、6つのレグU1~W2の中には、上スイッチSpが内周寄りに配置され、下スイッチSnが外周寄りに配置される上スイッチ内側態様と、上スイッチSpが外周寄りに配置され、下スイッチSnが内周寄りに配置される上スイッチ外側態様とがある。各レグU1~W2は、右回りに順に、上スイッチ内側態様と上スイッチ外側態様とに交互になるように配置されている。つまり、レグU1、レグW1、レグV1は、上スイッチ内側態様であり、レグV2、レグU2、レグW2は、上スイッチ外側態様である。
【0048】
以上により、ベースプレート30の内周寄りには、中心点Oを中心とする同心円上に、右回りに順に、例えば図5に示すように、レグU1の上スイッチSp→レグV2の下スイッチSn→レグW1の上スイッチSp→レグU2の下スイッチSn→レグV1の上スイッチSp→レグW2の下スイッチSnが搭載されている。つまり、ベースプレート30の内周寄りには、上スイッチSpと下スイッチSnとが交互に並んでいる。
【0049】
そして、外周寄りには、中心点Oを中心とする同心円上に、右回りに順に、レグU1の下スイッチSn→レグV2の上スイッチSp→レグW1の下スイッチSn→レグU2の上スイッチSp→レグV1の下スイッチSn→レグW2の上スイッチSpが搭載されている。つまり、ベースプレート30の外周寄りにも、下スイッチSnと上スイッチSpとが交互に並んでいる。
【0050】
以下では、最も及び2番目に隣接する2つのスイッチを、単に「隣接する2つのスイッチ」といい、最も並びに2番目及び3番目に隣接する3つのスイッチを、単に「隣接する3つのスイッチ」という。
【0051】
レグU1の上スイッチSpに隣接する2つのスイッチは、同じレグU1の下スイッチSnと、隣のレグV2の下スイッチSnとである。そして、レグV2の上スイッチSpに隣接する3つのスイッチは、同じレグV2の下スイッチSnと、隣のレグU1,W1の各下スイッチSnとである。このレグV2の上スイッチSpについての説明は、レグW1,U2,V1の各上スイッチSpの場合においても、「U1」「V2」「W1」をそれぞれ該当するものに読み替えて同様である。そして、レグW2の上スイッチSpに隣接する2つのスイッチは、同じレグW2の下スイッチSnと、隣のレグV1の下スイッチSnとである。
【0052】
以上の各レグU1~W2の上スイッチSpについての説明は、各レグU1~W2の下スイッチSnの場合においても、「上スイッチSp」「下スイッチSn」の各方を他方に読み替えて同様である。
【0053】
以上より、本実施形態では、6つの各レグU1~W2がそれぞれ次の第1条件及び第2条件の双方を満たすように、各レグU1~W2の各スイッチSp,Snが配置されている。各レグU1~W2にとっての第1条件は、当該レグの上スイッチSpに、当該レグの下スイッチSn以外で最も隣接するスイッチが、当該レグとは異なるレグの下スイッチSnであるという条件である。各レグU1~W2にとっての第2条件は、当該レグの下スイッチSnに、当該レグの上スイッチSp以外で最も隣接するスイッチが、当該レグとは異なるレグの上スイッチSpであるという条件である。
【0054】
ただし、例えばレグU1,W1,V1については、第2条件を満たさないようにしてもよい。つまり、例えば、レグU1の下スイッチSnに、当該レグU1の上スイッチSp以外で最も隣接するスイッチは、隣のレグV2の上スイッチSpではなく隣のレグV2の下スイッチSnになるようにしてもよい。なお、この場合であっても、レグU1,W1,V1は、第1条件については満たすこととなる。
【0055】
また、例えばレグV2,U2,W2については、第1条件を満たさないようにしてもよい。つまり、例えば、レグV2の上スイッチSpに、当該レグV2の下スイッチSn以外で最も隣接するスイッチは、隣のレグU1,W1の各下スイッチSnではなく隣のレグU1,W1の各上スイッチSpになるようにしてもよい。なお、この場合であっても、レグV2,U2,W2は、第2条件については満たすこととなる。
【0056】
以上より、このような場合であっても、各レグU1~W2は、それぞれ第1条件及び第2条件のうちの少なくともいずれか一方を満たす。
【0057】
図6は、図4に示すタイムチャートを、図5に示す配置に合わせて、並び替えたものである。詳しくは、この図6の左寄りに示すタイムチャートは、ベースプレート30の内周寄りに並んでいる各スイッチSp,Snのタイムチャートであり、この図6の右寄りに示すタイムチャートは、ベースプレート30の外周寄りに並んでいる各スイッチSp,Snのタイムチャートである。
【0058】
前述の通り、例えば上から2段目に示すレグV2の右寄りに示す上スイッチSpに隣接する3つのスイッチのうちの1つは、その左側に示す、同じレグV2の下スイッチSnである。そのOFF固定状態Foffの期間(t2~t5)は、当該上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t2~t5)と一致する。そして、当該同じレグV2の下スイッチSn以外で、当該上スイッチSpに最も隣接するスイッチは、当該上スイッチSpの上側及び下側にそれぞれ示す、当該上スイッチSpのレグV2とは対応相も所属部も異なるレグU1及びレグW1の各下スイッチSnである。それらのOFF固定状態Foffの期間(t3~t0)(t1~t4)は、当該上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t2~t5)と3分の2ずつ重なる。
【0059】
以上に示したレグV2の上スイッチSpについての説明は、レグV2以外の5つの各レグU1,W1,U2,V2,W2の上スイッチSpの場合においても、「U1」「V2」「W1」「2段目」を該当するものに読み替えると共に、括弧内の期間を該当するものに読み替え、さらにレグU1、W1、V1においては、「右」「左」の各方を他方に読み替えて同様である。ただし、レグU1の上スイッチSpにおいては、その上側に示す下スイッチSnがない点で相違し、レグW2の上スイッチSpにおいては、その下側に示す下スイッチSnがない点で相違している。
【0060】
以上の各レグV1~W2の上スイッチSpについての説明は、各レグV1~W2の下スイッチSnの場合においても、「上スイッチSp」「下スイッチSn」の各方を他方に読み替えると共に、「右」「左」の各方を他方に読み替えて同様である。
【0061】
以下に、本実施形態の効果を説明する。以上より、各レグU1~W2にとっての第1条件は、さらに次の条件も含む。すなわち、当該レグの上スイッチSpに、隣接する3つのスイッチのうちの1つは、当該レグの下スイッチSnである。その下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間は、当該上スイッチSpのON固定状態Fonの期間と一致する。そのため、インバータ回路40内における温度のバランスを良くして、最も高温となるスイッチの温度を抑えることができる。
【0062】
さらに、各レグU1~W2にとっての第1条件は、次の条件も含む。すなわち、当該レグの上スイッチSpに、当該レグの下スイッチSn以外で最も隣接するスイッチは、当該レグとは対応相も所属部も異なるレグの下スイッチSnである。その下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間は、当該上スイッチSpのON固定状態Fonの期間と、その3分の2の長さ期間の間重なる。以上の結果、当該レグの上スイッチSpに、当該レグの下スイッチSn以外で最も隣接するスイッチは、当該レグ以外のレグの下スイッチSnのうちの、最も長くOFF固定状態Foffの期間が当該上スイッチSpのON固定状態の期間と重なる下スイッチSnである。
【0063】
この条件によれば、レグ間で隣接し合う上スイッチSpと下スイッチSnとの、ON固定状態Fonの期間とOFF固定状態Foffの期間とが極力長く重なるようになり、この点でも、インバータ回路40内における温度バランスが良くなる。そのため、この点でも、最も高温となるスイッチの温度を抑えることができる。
【0064】
以上の第1条件についての説明は、第2条件の場合においても、「第1条件」を「第2条件」に読み替えると共に、「上スイッチSp」「下スイッチSn」の各方を他方に読み替え、「ON固定状態Fon」「OFF固定状態Foff」の各方を他方に読み替えて同様である。
【0065】
以上より、本実施形態のように、図1に示す放熱器20が水冷式等ではなく空冷式である場合においても、最も高温となるスイッチの温度を、その耐熱限界温度に達し難くすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、図5に示す通り、平面視で、複数のレグU1~W2が周方向に並ぶと共に、各レグU1~W2内において上下のスイッチSp,Snが径方向に並んでいる。そのため、このような配置に適したインバータ回路40において、温度バランスを良くして、最も高温となるスイッチSp,Snの温度を抑えることができる。
【0067】
また、本実施形態では、図2等に示す通り、3相コイル53はオープン巻線であり、そのコイル端u1,v1,w1,u2,v2,w2毎にレグU1~W2が存在する。そのため、正極側配線41と負極側配線49とが、並列に存在する3相のコイル53u,53v,53wにより接続されることになる。そのため、各2相のコイルが直列に接続されてそれらの間で電圧が分圧されるスター結線の場合に比べて、各コイル53u,53v,53wに印加できる電圧が大きくなる。そのため、スター結線の場合よりも少ない電流で同じ電力(電圧×電流)を出力できる。その結果、上下の各スイッチSp,Snに流れる電流を抑えられる。そのため、この点でも、上下の各スイッチSp,Snの発熱を抑えて、最も高温となるスイッチSp,Snの温度を抑えることができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。以下の実施形態においては、それ以前の実施形態のものと同一の又は対応する部材について、同一の符号を付する。本実施形態は、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0069】
図7は、各レグU1~W2の各スイッチSp,Snの配置を示す平面図である。以下では、平面視での所定の方向を「横方向」といい、その横方向に直交する方向を「縦方向」という。本実施形態では、横長のベースプレート30上に、6つの各レグU1~W2が、横方向に等間隔に1列に並べて配置されている。それらの各レグU1~W2内において、上下のスイッチSp,Snが、縦方向に並べて配置されている。
【0070】
本実施形態では、縦方向一方(図において奥)寄りのスイッチSp,Snの横方向の並びが、第1実施形態の内周寄りのスイッチSp,Snの周方向の並びに対応し、縦方向他方(図において手前)寄りのスイッチSn,Spの横方向の並びが、第1実施形態の外周寄りのスイッチSp,Snの周方向の並びに対応している。
【0071】
本実施形態によれば、このように各スイッチSp,Snの設置スペースが横長の場合において、温度バランスを良くして、最も高温となるスイッチの温度を抑えることができる。
【0072】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0073】
図8は、各レグU1~W2の各スイッチSp,Snの配置を示す平面図である。本実施形態では、縦長のベースプレート30に、各レグU1~W2が、縦方向に複数列(図では2列)で横方向に並べて配置されている。それらの各レグU1~W2内において、上下のスイッチSp,Snが、縦方向に並べて配置されている。
【0074】
本実施形態によれば、このように各スイッチSp,Snの設置スペースが縦長の場合において、温度バランスを良くして、最も高温となるスイッチの温度を抑えることができる。
【0075】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0076】
図9は、各レグU1~W2の各スイッチSp,Snの配置を示す平面図である。本実施形態では、各レグU1~W2内において、上下の各スイッチSp,Snが、径方向ではなく、周方向に並べて配置されている点で第1実施形態と相違している。具体的には、各レグU1~W2内において、相対的に左回り側に上スイッチSpが配置され、相対的に右回り側に下スイッチSnが配置されている。それにより、上スイッチSpと下スイッチSnとが交互に並ぶ形で、中心点Oを中心とする同心円上に、各スイッチSp,Snが周方向に一列に並んでいる。
【0077】
図10は、図4に示すタイムチャートを、図9に示す配置に合わせて、並び替えたものである。例えば、レグU1の上スイッチSpに隣接する2つのスイッチのうちの1つは、当該上スイッチSpの下側に示す、同じレグU1の下スイッチSnである。そのOFF固定状態Foffの期間(t3~t0)は、当該上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t3~t0)と一致する。そして、当該同じレグU1の下スイッチSn以外で、当該上スイッチSpに最も隣接するスイッチは、当該上スイッチSpの上側に示す、当該上スイッチSpのレグU1とは対応相も所属部も異なるレグW2の下スイッチSnである。そのOFF固定状態Foffの期間(t4~t1)は、当該上スイッチSpのON固定状態Fonの期間(t3~t0)と3分の2が重なる。
【0078】
以上に示したレグU1の上スイッチSpについての説明は、他の5つのレグV1~W2の各上スイッチSpの場合においても、「W2」「U1」を該当するものに読み替えると共に、括弧内の期間を該当するものに読み替えて同様である。さらに、以上に示した各レグU1~W2の上スイッチSpについての説明は、各レグU1~W2の下スイッチSnの場合においても、「上スイッチSp」「下スイッチSn」の各方を他方に読み替えて同様である。以上の配置により、各上スイッチSpのON固定状態Fonの期間と、それに隣接する下スイッチSnのOFF固定状態Foffの期間とが、極力重なり合うように構成されている。
【0079】
本実施形態によれば、このような各スイッチSp,Snの配置に適したインバータ回路40において、温度バランスを良くして、最も高温となるスイッチの温度を抑えることができる。
【0080】
[第5実施形態]
次に第5実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第4実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0081】
図11は、各レグU1~W2の各スイッチSp,Snの配置を示す平面図である。本実施形態では、第4実施形態に比べて、レグV2とレグU2とレグW2とが、径方向内側にシフトしている点で相違している。それにより、6つのレグU1~W2は、径方向に2列で周方向に並んでいる。具体的には、3つのレグU1,W1,V1の各スイッチSp,Snは、中心点Oを中心とする相対的に外側の同心円上に設けられており、残り3つのレグV2,U2,W2の各スイッチSp,Snは、中心点Oを中心とする相対的に内側の同心円上に設けられている。
【0082】
本実施形態によれば、このようなレグU1~W2の配置に適したインバータ回路40において、温度バランスを良くして、最も高温となるスイッチの温度を抑えることができる。
【0083】
[第6実施形態]
次に第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。本実施形態の電子回路は、インバータ回路40ではなく、昇圧回路140である。
【0084】
図12は、本実施形態の昇圧回路140を示す回路図である。昇圧回路140は、直流電源10の電圧を昇圧して入出力端子41p,49nから出力すると共に、入出力端子41p,49nに電圧が入力されると直流電源10を充電する。具体的には、昇圧回路140は、リアクトル43と、直流電源10の正極をリアクトル43の一端に接続している電源配線41aと、直流電源10の負極に接続されている負極側配線49とを有する。電源配線41aと負極側配線49とは、第1平滑コンデンサ46aを介して互いに接続されている。
【0085】
さらに昇圧回路140は、リアクトル43の他端に接続されている接続配線45と、正極側配線41と、複数の各レグL1~L4とを有する。正極側配線41と負極側配線49とは、第2平滑コンデンサ46bを介して互いに接続されている。
【0086】
各レグL1~L4は、上下の各スイッチSp,Snを有する。各スイッチSp,Snは、いずれも、例えばIGBT等のトランジスタと、それに逆並列接続されている還流ダイオードとから構成されている。各レグL1~L4は、接続配線45を、上スイッチSpを介して正極側配線41に接続すると共に、下スイッチSnを介して負極側配線49に接続している。なお、このように複数のレグL1~L4を並列に設けているのは、正極側配線41と接続配線45との間に流れる電流を複数の各上スイッチSpに分散すると共に、接続配線45と負極側配線49との間に流れる電流を複数の各下スイッチSnに分散するためである。
【0087】
正極側配線41における各レグL1~L4側とは反対側の端には、正極側の入出力端子41pが設けられ、負極側配線49における直流電源10側とは反対側の端には、負極側の入出力端子49nが設けられている。
【0088】
図13は、充電時における昇圧回路140の様子を示す回路図である。充電時には、各レグL1~L4は、充電用状態Cとなる。充電用状態Cは、下スイッチSnをOFF固定状態Foffにすると共に、上スイッチSpを、制御されたタイミングでONとOFFとに切り替える状態である。なお、この図13では、下スイッチSnのOFF固定状態Foffの視認性のため、下スイッチSnのトランジスタを、模式的に機械式のスイッチの記号で示している。
【0089】
上スイッチSpがONの時には、電流が、正極側配線41から複数の各レグL1~L4の上スイッチSpのトランジスタを通過してからリアクトル43を通過して、直流電源10の正極に流れ込む。他方、上スイッチSpがOFFの時には、リアクトル43のリアクタンスにより、電流が、負極側配線49から複数の各レグL1~L4の下スイッチSnのダイオードを通過してから当該リアクトル43を経過して直流電源10の正極に流れ込む。以上により、入出力端子41p,49nに入力された電圧を降圧しつつ、直流電源10を充電する。なお、以上では、各レグL1~L4の上スイッチSpをON,OFFして降圧する場合を示したが、降圧する必要がない場合には、各レグL1~L4の上スイッチSpをONに固定してもよい。この場合には、各レグL1~L4の下スイッチSnの還流ダイオードには電流が流れない。
【0090】
以上の通り、各レグL1~L4が充電用状態Cの時には、下スイッチSnについては、OFF固定状態Foffにされることから、ダイオードに電流が断続的に流れることがあるのみで、トランジスタには電流が流れない。他方、上スイッチSpについては、ON,OFFされるかONに固定されることにより、トランジスタに電流が流れる。そのトランジスタでの発熱の方がダイオードでの発熱よりも大きい。そのため、各レグL1~L4が充電用状態Cの時においては、上スイッチSpの方が、下スイッチSnよりも発熱量が大きい。
【0091】
図14は、直流電源10の電圧を昇圧して出力する昇圧時における昇圧回路140の様子を示す回路図である。昇圧時には、各レグL1~L4は、昇圧用状態Bとなる。昇圧用状態Bは、上スイッチSpをOFF固定状態Foffにすると共に、下スイッチSnを、制御されたタイミングでONとOFFとに切り替える状態である。なお、この図14では、上スイッチSpのOFF固定状態Foffの視認性のため、上スイッチSpのトランジスタを、模式的に機械式のスイッチの記号で示している。
【0092】
各レグL1~L4の下スイッチSnがONの時には、電流が、直流電源10の正極からリアクトル43を通過してから、複数の各レグL1~L4の下スイッチSnのトランジスタを通過して、負極側配線49に流れ込むことにより、リアクトル43に磁気エネルギが蓄えられる。その後、複数の各レグL1~L4の下スイッチSnがOFFになると、その蓄えられた磁気エネルギが開放されることにより、電流が、当該リアクトル43から接続配線45を通過してから、複数の各レグL1~L4の上スイッチSpの還流ダイオードを通過して、正極側配線41に流れ込む。それにより、正極側の入出力端子41pと負極側の入出力端子49nとの間に、直流電源10の電圧よりも高い電圧の電力が出力される。
【0093】
以上の通り、各レグL1~L4が昇圧用状態Bの時には、上スイッチSpについては、OFF固定状態Foffにされることから、還流ダイオードに電流が断続的に流れるのみで、トランジスタには電流が流れない。他方、下スイッチSnについては、ON,OFFされることにより、トランジスタに電流が断続的に流れる。そのトランジスタでの発熱の方が還流ダイオードでの発熱よりも大きい。そのため、各レグL1~L4が昇圧用状態Bの時においては、上スイッチSpよりも下スイッチSnの方が、発熱量が大きい。
【0094】
以上より、本実施形態では、充電用状態Cが「第1状態」に該当し、昇圧用状態Bが「第2状態」に該当する。そして、上スイッチSpが、第1状態(充電用状態C)の時の方が、第2状態(昇圧用状態B)の時よりも発熱量が大きい「第1素子」に該当する。そして、下スイッチSnが、第1状態(充電用状態C)の時よりも第2状態(昇圧用状態B)の時の方が、発熱量が大きい「第2素子」に該当する。
【0095】
図15は、各レグL1~L4の各スイッチSp,Snの配置を示す平面図である。ベースプレート30上に各レグL1~L4が、横方向に等間隔で並べて配置されている。そして、各レグL1~L4内において、上下の各スイッチSp,Snは、縦方向に並べて配置されている。具体的には、複数のレグL1~L4の中には、上スイッチSpが縦方向一方(図において奥)寄りに配置され、下スイッチSnが縦方向他方(図において手前)寄りに配置される上スイッチ一方側態様と、上スイッチSpが縦方向他方寄りに配置され、下スイッチSnが縦方向一方寄りに配置される上スイッチ他方側態様とがある。各レグL1~L4は、左から右方向に順に、上スイッチ一方側態様と上スイッチ他方側態様とに交互になるように構成されている。つまり、左から奇数番目のレグL1,L3は、上スイッチ一方側態様であり、左から偶数番目のレグL2,L4は、上スイッチ他方側態様である。
【0096】
以上により、ベースプレート30の縦方向一方(図において奥)寄りには、左から順に、例えば図15に示すように、第1レグL1の上スイッチSp→第2レグL2の下スイッチSn→第3レグL3の上スイッチSp→第4レグL4の下スイッチSnが搭載されている。つまり、上スイッチSpと下スイッチSnとが交互に並んでいる。そして、ベースプレート30の縦方向他方(図において手前)寄りには、左から順に、第1レグL1の下スイッチSn→第2レグL2の上スイッチSp→第3レグL3の下スイッチSn→第4レグL4の上スイッチSpが搭載されている。つまり、ここでも、下スイッチSnと上スイッチSpとが交互に並んでいる。
【0097】
以上より、各レグL1~L4の上スイッチSpに隣接する3つのスイッチのうちの1つは、同じレグの下スイッチSnとなる。そして、当該上スイッチSpに、同じレグの下スイッチSn以外で最も隣接するスイッチは、隣りのレグの下スイッチSnとなる。以上の各レグL1~L4の上スイッチSpについての説明は、各レグL1~L4の下スイッチSnの場合においても、「上スイッチSp」「下スイッチSn」の各方を他方に読み替えて同様である。
【0098】
本実施形態によれば、充電用状態Cの時の方が、昇圧用状態Bの時よりも発熱量が大きくなる上スイッチSpに隣接して、充電用状態Cの時よりも昇圧用状態Bの時の方が、発熱量が大きくなる下スイッチSnが配置される。そのため、隣接し合うスイッチSp,Snの発熱量が同時期に大きくなるのが回避される。そのため、昇圧回路140内における温度の偏りを抑えて、最も高温となるスイッチSp,Snの温度を、その耐熱限界温度に達し難くすることができる。
【0099】
[他の実施形態]
以上に示した各実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。
【0100】
第1~第5実施形態では、各レグU1~W2の上スイッチSpに隣接する3つのスイッチのうちの1つは、同じレグの下スイッチSnである。これに代えて、例えば、図7に示す第2実施形態において、各レグU1~W2どうしの横方向の間隔を小さくすると共に、各レグU1~W2内における上下のスイッチSp,Snの縦方向の間隔を大きくすることにより、当該隣接する3つのスイッチのうちの1つに、同じレグの下スイッチSnが含まれないようにしてもよい。
【0101】
第1~第5実施形態では、図4に示すように、スイッチ固定状態Fの時には、上スイッチSpをON固定状態Fonにし、下スイッチSnをOFF固定状態Foffにしている。これとは反対に、スイッチ固定状態Fの時には、上スイッチSpをOFF固定状態Foffにし、下スイッチSnをON固定状態Fonにするようにしてもよい。
【0102】
また、第1~第5実施形態では、前述の通り、スイッチ固定状態Fの時には、上スイッチSpをON固定状態Fonにし、下スイッチSnをOFF固定状態Foffにしている。これとは一部反対に、例えばU相,V相,W相のうちのいずれか1相の2つの各レグにおいて、スイッチ固定状態Fの時には、上スイッチSpをOFF固定状態Foffにし、下スイッチSnをON固定状態Fonにするように変更してもよい。この場合、その変更した相の2つの各レグにおいては、スイッチ固定状態Fにするタイミングと、デューティ制御状態Dにするタイミングとを、入れ替えるとよい。この場合、その変更した相では、他の相とは反対に、上スイッチSpが第2素子となり、下スイッチSnが第1素子となる。よって、その変更した相の2つの各レグでは、上スイッチSpの位置と下スイッチSnの位置とを入れ替えるとよい。
【0103】
第1~第5実施形態では、インバータ回路40は、3相コイル53に対して設けられているが、これに代えて、2相のコイルや、4相以上のコイルに対して設けてもよい。この場合には、レグU1~W2の数を当該コイルの相数の2倍となるように適宜変更すればよい。
【符号の説明】
【0104】
40…インバータ回路、140…昇圧回路、B…昇圧用状態、C…充電用状態、D…デューティ制御状態、F…スイッチ固定状態、L1~L4…レグ、Sp…上スイッチ、Sn…下スイッチ、U1…U相第1のレグ、V1…V相第1のレグ、W1…W相第1のレグ、U2…U相第2のレグ、V2…V相第2のレグ、W2…W相第2のレグ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15