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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-03
(45)【発行日】2024-09-11
(54)【発明の名称】ねじ山検査機
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/20 20060101AFI20240904BHJP
   G01B 3/36 20060101ALI20240904BHJP
【FI】
G01B5/20 Z
G01B3/36
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021030537
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131539
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今川 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】坪井 権一郎
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-033540(JP,A)
【文献】実開平4-134002(JP,U)
【文献】実開昭60-098005(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/20
G01B 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象であるねじ部品と螺合可能なめねじが貫通形成された検査ゲージと、
前記ねじ部品と嵌合可能な保持ビットを前記検査ゲージの軸線上に備え、当該保持ビットを回転駆動源の駆動により回転させるとともに昇降駆動源の駆動により検査ゲージの軸線上で往復直進駆動させるツールユニットと、
前記保持ビットに対向して配置される押圧ビットを押圧駆動源の駆動により保持ビットに向けて接近あるいは離反する方向へ往復直進駆動させる押圧手段と、
前記ねじ部品を軸方向に挟持するよう押圧ビットと保持ビットとを接近させるとともに、これら保持ビットおよび押圧ビットに挟持されたねじ部品が前記検査ゲージに向けて移動するよう前記ツールユニットおよび押圧手段の駆動を制御する制御部とを備えることを特徴とするねじ山検査機。
【請求項2】
昇降駆動源および押圧駆動源のストロークは、前記保持ビットおよび押圧ビットが検査ゲージの上方および下方のそれぞれに設定される所定の待機位置あるいは待機位置の間で往復移動可能な寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のねじ山検査機。
【請求項3】
前記検査ゲージの一端側開口部から螺入したねじ部品が検査ゲージの他端側開口部から螺脱したことを検出可能な検出手段を備え、
前記制御部は、検出手段からの信号あるいは前記回転駆動源の回転負荷トルクに基づきねじ山成形の良否を判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のねじ山検査機。
【請求項4】
前記制御部は、回転駆動源が予め設定された回転負荷トルクを出力すると、回転駆動源に逆転駆動指令を出力するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のねじ山検査機。
【請求項5】
前記保持ビットあるいは押圧ビットには、前記検査ゲージのめねじと接触可能に構成された回転ブラシ部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のねじ山検査機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ山成形の良否を検査するねじ山検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のねじ山検査機としては特許文献1に示されたものが知られている。このねじ山検査機は、被検査対象であるねじ部品の頭部を固定する治具と、この治具に固定されたねじ部品と螺合可能な検査ゲージと、この検査ゲージをモータの駆動により回転させながら接近させるツールユニットとから構成されており、前記モータが所定の回転負荷トルクに達するまでの総回転量が所定の範囲内か否かに応じて、被検査対象のねじ山成形の良否を判定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5374276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のねじ山検査機は、治具にねじ部品の頭部を嵌合させることにより、ねじ部品を固定する構造であったため、円板形状や円環形状等の頭部がないねじ部品を検査する際、ねじ部品を固定することが出来ず、正確な検査が出来ないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、ねじ部品の形状に影響されることなく検査可能なねじ山検査機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、被検査対象であるねじ部品と螺合可能なめねじが貫通形成された検査ゲージと、前記ねじ部品と嵌合可能な保持ビットを前記検査ゲージの軸線上に備え、当該保持ビットを回転駆動源の駆動により回転させるとともに昇降駆動源の駆動により検査ゲージの軸線上で往復直進駆動させるツールユニットと、前記保持ビットに対向して配置される押圧ビットを押圧駆動源の駆動により保持ビットに向けて接近あるいは離反する方向へ往復直進駆動させる押圧手段と、前記ねじ部品を軸方向に挟持するよう押圧ビットと保持ビットとを接近させるとともに、これら保持ビットおよび押圧ビットに挟持されたねじ部品が前記検査ゲージに向けて移動するよう前記ツールユニットおよび押圧手段の駆動を制御する制御部とを備えることを特徴とする。これによりねじ部品が保持ビットおよび押圧ビットに挟持された状態で回転可能かつ検査ゲージに向けて移動可能となる。
【0006】
また、昇降駆動源および押圧駆動源のストロークは、前記保持ビットおよび押圧ビットが検査ゲージの上方および下方のそれぞれに設定される所定の待機位置あるいは待機位置の間で往復移動可能な寸法に設定されていることが好ましい。これにより前記検査ゲージの一端側開口部から螺入したねじ部品が検査ゲージを貫通して、その他端側開口部から螺脱することが可能となる。なお、前記検査ゲージの一端側開口部から螺入したねじ部品が検査ゲージの他端側開口部から螺脱したことを検出可能な検出手段を備え、前記制御部は、検出手段からの信号あるいは前記回転駆動源の回転負荷トルクに基づきねじ山成形の良否を判定することが好ましい。また、前記制御部は、回転駆動源が予め設定された回転負荷トルクを出力すると、回転駆動源に逆転駆動指令を出力するよう構成されていることが好ましい。これにより、不良品のねじ部品は、検査ゲージの一端側開口部から螺脱することとなる。さらに、前記保持ビットあるいは押圧ビットには、前記検査ゲージのめねじと接触可能に構成された回転ブラシ部が設けられていることが好ましい。これにより、検査と同時に検査ゲージのめねじ表面の付着物を除去可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のねじ山検査機によれば、ねじ部品が保持ビットおよび押圧ビットに挟持された状態で回転可能かつ検査ゲージに向けて移動可能であるため、頭部の有無等、被検査対象の形状に関わらず検査可能になる等の利点がある。また、ねじ部品が検査ゲージを貫通するため、従来のようにねじ部品を所定量回転させた後、逆回転させて螺合させた側の開口部から螺脱する構成と比べて、ねじ部品と検査ゲージとが螺合している時間を短縮でき、サイクルタイムを向上可能等の利点がある。さらに、不良品のねじ部品は一端側開口部から螺脱するため、良品か不良品かが一目で確認可能等の利点がある。しかも、回転ブラシ部がめねじ表面の付着物を除去するため、長期間使用しても付着物が蓄積し難く、検査精度を安定可能等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るねじ山検査機の構造を示す一部断面正面図である。
図2図1の状態から次の状態へ移行する動作を示す正面図である。
図3図2の状態から次の状態へ移行する動作を示す正面図である。
図4】本発明に係るねじ山検査機の構造を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1ないし図4において10は、ねじ山検査機であり、被検査対象の一例であるねじ部品Sと螺合可能な検査ゲージ20と、前記ねじ部品Sを保持する保持ビット34を回転駆動させるツールユニット30と、前記保持ビット34にねじ部品Sを押さえつける押圧手段40と、各駆動部の駆動を制御する制御部50とを備える。なお、本実施形態において、ねじ部品Sは、軸方向に六角柱形状の嵌合穴S1が貫通した略円環形状に構成されており、その外周面には、おねじが形成されている。
【0010】
前記検査ゲージ20は、図1に示すように鉛直方向に延びるフレーム11に固定された基台12上に設置されている。前記ねじ部品Sと螺合可能なめねじ22が形成されたゲージ部21と、このゲージ部21を支持するフローティング機構23とから構成されている。フローティング機構23は、往復摺動可能なローラガイドが2個、直交配置されており、前記ゲージ部21を基台12に対して水平方向に所定量移動可能に支持している。このため、後述の駆動時、ゲージ部21を水平方向に摺動させてねじ部品Sの中心に整合させることが可能となる。さらに、前記基台12には、前記ゲージ部21と同軸上に貫通穴13が形成されている。この貫通穴13は、ねじ部品Sの外径より十分大きく形成されており、ねじ部品Sと接触することがないよう構成されている。なお、前記ねじ山検査機10のフレーム11には、基台12から上下方向にそれぞれ所定の寸法離して上部固定部材14、下部固定部材15が固定されている。
【0011】
前記ツールユニット30は、前記検査ゲージ20の軸線上に回転駆動源の一例であるACサーボモータ31(以下、モータ31という)を備えている。このモータ31は、その出力軸311を前記検査ゲージ20側に向けて前記下部固定部材15に固定されており、その出力軸311には、多角柱形状の連結軸32が一体に回転可能に連結されている。この連結軸32は、軸方向に連結軸32と同形の摺動穴が貫通した中空の摺動軸33に挿入されており、この摺動軸33の上端には、前記ねじ部品Sを保持可能な保持ビット34が連結されている。これら構造により、前記モータ31の回転駆動力は、連結軸32、摺動軸33を介して保持ビット34まで伝達される。また、保持ビット34は図4に示すように前記ねじ部品Sの嵌合穴S1と嵌合可能な六角柱形状の嵌合部341およびねじ部品Sの下面と当接可能な当接部342を有しており、これら嵌合部341および当接部342は、その外径が前記検査ゲージ20のめねじ22の内径より小さく、めねじ22と接触しないよう構成されている。なお、当接部342は、ゴム等の弾性部材から構成されている。さらに、保持ビット34は、当接部342より下側に回転ブラシ部343が設けられている。この回転ブラシ部343には、径方向外側に延びる多数の毛材が設けられており、これら毛材は、前記ゲージ部21のめねじ22と接触可能な長さの低弾性部材から構成されている。
【0012】
また、前記ツールユニット30は、前記摺動軸33を昇降させる昇降駆動源の一例である昇降シリンダ35を備えている。この昇降シリンダ35は、そのピストンロッド351を上方に向けて伸長させて前記下部固定部材15に固定されており、この昇降シリンダ35のピストンロッド351には、昇降板36が一体に連結されている。この昇降板36は、前記摺動軸33が回転自在に支持しているため、昇降シリンダ35の伸長、収縮駆動に従い、前記検査ゲージ20の軸線上で摺動軸33および保持ビット34が往復直進駆動可能となる。なお、昇降シリンダ35のストロークは、図1に示す保持ビット34が前記検査ゲージ20の上側に設定された待機位置と、図2に示す前記基台12よりねじ部品Sの厚さ寸法以上下側に設定された排出位置との間で往復可能に設定されている。また、昇降シリンダ35は、保持ビット34が前記待機位置にて待機するようピストンロッド351を常時伸長させている。さらに、前記昇降シリンダ35には、ピストンロッド351のピストン(図示せず)の位置を検出するシリンダスイッチ(図示せず)が装着されている。このシリンダスイッチは、前記保持ビット34が前記排出位置に到達した際のピストンを検出可能に位置設定されており、ピストンが検出範囲内に存在する時、前記制御部50に検出信号を出力するように構成されている。
【0013】
また、前記昇降板36の下面には、ガイド軸37が前記昇降シリンダ35と平行に設けられており、このガイド軸37は、前記下部固定部材15を軸方向に摺動自在に貫通し、下部固定部材15に設置された滑り軸受16にガイドされている。これにより、昇降板36およびこの昇降板36に保持される摺動軸33の傾斜が防止される。さらに、前記昇降板36には、前記回転ブラシ部343の下側に位置し、回転ブラシ部343が除去した微細物を受け止め可能な大きさの受け止め皿38が設けられている。このため、回転ブラシ部343が除去した微細物がモータ31等の駆動部内に入り込むこと等が防止される。
【0014】
前記押圧手段40は、前記検査ゲージ20の軸線上に押圧駆動源の一例である押圧シリンダ41を備えている。この押圧シリンダ41は、そのピストンロッド411を下方に向けて伸長可能に前記上部固定部材14に固定されており、そのピストンロッド411の下端には、前記保持ビット34と対向する押圧ビット42が回転自在に連結されている。このため、押圧シリンダ41の伸長、収縮駆動に従い、押圧ビット42が往復直進駆動する。この押圧ビット42は、その外径が前記めねじ22の内径より小さく構成されており、その下端には、ゴム等弾性部材で構成される押圧部421が設けられている。なお、押圧シリンダ41の推力は、前記昇降シリンダ35の推力より強くなおかつ、ねじ部品Sと検査ゲージ20とが螺合することによりねじ部品Sが昇降する力より弱く設定されている。
【0015】
前記制御部50には、前記モータ31に正逆転駆動指令、並びに昇降シリンダ35と押圧シリンダ41とに伸長、収縮駆動指令を出力可能に構成されており、各種入力信号に基づいてこれらの駆動を制御可能に構成されている。また、制御部50は、モータ31の回転負荷トルクが基準値を超えたとき(トルクアップ)、モータ31に逆転駆動指令を出力するように構成されており、前記昇降シリンダ35のシリンダスイッチから検出信号が入力されるまでにトルクアップするか否かによってねじ部品Sに形成されたおねじのねじ山の良否判定するように構成されている。さらに、排出手段(図示せず)等別途設けられる外部装置が接続されている。
【0016】
次に上記のように構成されたねじ山検査機10の作用を説明する。
まず、図1に示すように待機位置に待機する保持ビット34上にねじ部品Sが供給されると、制御部50は、前記押圧シリンダ41を作動させて、押圧ビット42を下降させる。この下降した押圧ビット42は、図1の二点鎖線に示すようにねじ部品Sの上面に当接してねじ部品Sおよび保持ビット34を検査ゲージ20に向けて押圧する。この時、押圧シリンダ41の推力が昇降シリンダ35の推力より強く設定されており、昇降シリンダ35のピストンロッド351が徐々に収縮するため、保持ビット34およびねじ部品Sは、検査ゲージ20に向かい下降する。また、制御部50は、押圧シリンダ41を作動させると同時に、前記モータ31を正転駆動させて保持ビット34およびねじ部品Sを正回転させる。このように正回転しながら下降するねじ部品Sが前記検査ゲージ20と接触することで、ねじ部品Sは、検査ゲージ20に螺合してねじ山検査を開始する。この時、検査ゲージ20は、前記フローティング機構23によりゲージ部21のめねじ22をねじ部品Sの中心に整合させるため、ねじ部品Sと円滑に螺合可能となる。また、保持ビット34および押圧ビット42に弾性部材からなる当接部342および押圧部421が設けられており、これらが検査ゲージ20とねじ部品Sとが接触した際の衝撃や検査ゲージ20との摩擦等によるねじ部品Sの振動およびを許容するため、ねじ部品Sが検査ゲージ20に噛み込むことを防止される。このように保持ビット34および押圧ビット42がねじ部品Sを軸方向に挟持し、なおかつ保持ビット34がモータ31の回転駆動を受けて回転する構造であるため、ねじ部品Sを固定する治具等を設ける必要がなく、円環形状や円板形状のねじ部品Sであっても検査することが可能となる。
【0017】
上述のように検査ゲージ20と螺合したねじ部品Sが良品である場合、ねじ部品Sは、検査ゲージ20にねじ込まれながら下降して検査ゲージ20の下側開口部から螺脱する。ねじ部品Sが検査ゲージ20の下側開口部から螺脱すると、再度押圧シリンダ41の駆動によりピストンロッド351が徐々に収縮して、図2に示すように保持ビット34およびねじ部品Sが排出位置まで下降する。保持ビット34が排出位置に達し、前記シリンダスイッチから検出信号が入力されると、制御部50は、図3に示すように前記昇降シリンダ35のピストンロッド351を停止させるとともに、前記押圧シリンダ41のピストンロッド411を収縮させる。これにより押圧ビット42が上昇してねじ部品Sから外れた後、前記排出手段が駆動して所定の良品排出位置(図示せず)までねじ部品Sを移載する。ねじ部品Sが排出されると、昇降シリンダ35が駆動して、保持ビット34を待機位置まで復帰させる。このように、ねじ部品Sを検査ゲージ20の下側開口端部から螺脱させることにより、モータ31を逆転駆動させてねじ部品Sを上側開口端部から螺脱させる構成と比して、ねじ部品Sと検査ゲージ20とが螺合する時間が短くなる。これによりサイクルタイムが短縮され、作業効率が向上する。
【0018】
一方、ねじ部品Sが不良品である場合、ねじ部品Sが検査ゲージ20の下側開口部から螺脱するより前に前記モータ31の回転負荷トルクが基準値に達する。モータ31の回転負荷トルクが基準値に達すると、制御部50は、モータ31を逆転駆動させて、保持ビット34およびねじ部品Sを逆回転させる。これにより、ねじ部品Sが上昇し、検査ゲージ20の上側開口部から螺脱する。また、制御部50は、ねじ部品Sが検査ゲージ20から螺脱するより前に押圧シリンダ41に収縮駆動指令を出力し、押圧ビット42を初期位置まで上昇させる。これにより、ねじ部品Sが検査ゲージ20から螺脱すると、昇降シリンダ35の駆動を受けた保持ビット34は、当初待機位置まで上昇する。その後、作業者がねじ部品Sを保持ビット34から排除する。このように良品のねじ部品Sが検査ゲージ20の下側開口部から螺脱する一方、不良品のねじ部品Sは、検査ゲージ20の上側開口部から螺脱する構成であるため、そのねじ部品Sが良品か不良品かが一目で判定でき、良品の中に不良品が混入するということが防止される。
【0019】
上述のようなねじ山検査時、ねじ部品Sを上側へ押圧する昇降シリンダ35の推力と、下側へ押圧する押圧シリンダ41の推力とが互いに相殺しあうため、ねじ部品Sと検査ゲージ20との間に生じる摩擦力が減少する。また、ねじ部品Sと検査ゲージ20との螺合することにより、めねじ22の表面には、切粉や摩擦粉(以下、微細物という)が付着する。しかしながら、本願のねじ山検査機10は、保持ビット34が検査ゲージ20を通過する度に前記回転ブラシ部343がめねじ22に接触して、その表面に付着した微細物を除去する。このため、長期間の使用においても、めねじ22に微細物が蓄積することがなく、当該微細物によりねじ部品Sと検査ゲージ20との間に生じる摩擦力が増大することを防止する。この回転ブラシ部343は、本実施形態のねじ山検査機10のようにねじ部品Sおよびそれを指示する保持ビット34が検査ゲージ20を貫通する構成の時検査ゲージ20のめねじ22の表面全てと接触できるため、特に有効となる。これらにより、良品であるにもかかわらず、摩擦力による負荷でモータ31の回転負荷トルクが所定の値に達し、不良品判定されるということがない。さらに、前記押圧ビット42および保持ビット34が前記ねじ部品Sとの当接個所に弾性部材からなる押圧部421および当接部342を備え、防振効果を有するため、ねじ部品Sの振動により、ねじ部品Sが検査ゲージ20に噛み込むこと等が防止され、円滑に検査可能となる。
【0020】
なお、本発明に係るねじ山検査機10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記昇降駆動源および押圧駆動源は、保持ビット34および押圧ビット42がねじ部品Sをその軸方向に挟持するようそれぞれに所定の推力を付与可能な駆動源であれば、ボールねじの回転によりナットが直線駆動するボールねじ機構等、その他駆動源であっても何ら問題無い。また、前記シリンダスイッチは、上述のようにねじ部品Sが検査ゲージ20の下端側開口部から螺脱したことを検出可能な検出手段の一例である。この検出手段は、前記シリンダスイッチのように保持ビット34等の位置を検出する構成に限定されず、ねじ部品Sが検査ゲージ20から螺脱してモータ31の回転負荷トルクが低下することを検知可能な構成等、その他の検出手段であってもなんら問題無い。さらに、回転ブラシ部343が押圧ビット42に設けられていても良い。
【符号の説明】
【0021】
10 … ねじ山検査機
20 … 検査ゲージ
21 … ゲージ部
22 … めねじ
30 … ツールユニット
31 … 回転駆動源
34 … 保持ビット
35 … 昇降駆動源
40 … 押圧手段
41 … 押圧駆動源
42 … 押圧ビット
50 … 制御部
図1
図2
図3
図4